(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003174
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】BCN(ブロックチェーンネットワーク)を使用したデータ利用方法、システムおよびそのプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/62 20130101AFI20231228BHJP
【FI】
G06F21/62 318
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023194115
(22)【出願日】2023-11-15
(62)【分割の表示】P 2021214805の分割
【原出願日】2016-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】521519825
【氏名又は名称】中村 高歩
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 高歩
(57)【要約】
【課題】個人が主体的にその自らの個人データを利用し活用しつつデータの安全性と秘匿化も図れる新たなデータ活用システムを提供する。
【解決手段】個人の利用する記情報処理装置は、個人の利用するブロックチェーンネットワーク上のアドレスに関するデータを、当該個人の情報に関連するデータの提供元となるストレージ装置を有する提供者側情報処理装置にネットワークを介して送信する機能と、その提供者側情報処理装置から、ブロックチェーンネットワークのアドレスに発行された、ブロックチェーンネットワークのアドレスに関するデータと、データの提供元を識別するためのデータとを含んだアクセス用データ(ACT)を参照する機能と、アクセス用データ(ACT)に基づき、その個人の情報に関連するデータを提供側のストレージ装置から取得し、少なくともその個人のメモリまたはストレージ装置に格納する機能と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人の利用する情報処理装置によって当該個人の情報に関連するデータを取得し活用可能とするための方法であって、
前記個人の利用するブロックチェーンネットワーク上のアドレスに関するデータを、当該個人の情報に関連するデータの提供元にネットワークを介して送信するステップと、
当該データの提供元から提供されるデータの所在を特定するためのデータを含んだアクセス用データ(ACT)を前記ブロックチェーンネットワーク上に登録するステップと、
前記アクセス用データ(ACT)を参照して、前記個人の情報に関連するデータを取得するステップと、
からなる方法。
【請求項2】
前記提供元から提供されるデータには、前記個人の識別情報が含まれている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記提供元から提供されるデータには、少なくとも、前記個人が利用する情報処理装置の識別情報、前記提供元の識別情報、データの生成時間を示す情報、のいずれかが含まれている、請求項1乃至2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記提供元から提供されるデータ(MA)は、前記個人に関する履歴データである複数のデータ(TR)を基に生成された複数のデータ項目それぞれに関するデータからなるデータセットである、請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、前記複数のデータ項目の各々は、前記履歴データのデータセットの中の最新のデータを示している、方法。
【請求項6】
少なくとも前記個人の情報に関連するデータは、ハッシュ関数によってハッシュされている、請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
個人の利用する情報処理装置からなり、当該情報処理装置によって当該個人の情報に関連するデータを取得し活用可能とするためのシステムであって、
前記情報処理装置は、少なくとも、メモリまたは当該情報処理装置と接続されたストレージ装置を有し、
前記情報処理装置は、前記個人の利用するブロックチェーンネットワーク上のアドレスに関するデータを、当該個人の情報に関連するデータの提供者側情報処理装置にネットワークを介して送信する機能と、
前記提供者側情報処理装置から、当該データの提供元から提供されるデータの所在を特定するためのデータと含んだアクセス用データ(ACT)を参照する機能と、
前記アクセス用データ(ACT)に基づき、前記個人の情報に関連するデータを取得する機能と、
を有するシステム。
【請求項8】
前記提供元から提供されるデータには、利用が認可された個人の識別情報が含まれている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記提供元から提供されるデータには、少なくとも、前記個人が利用する情報処理装置の識別情報、前記提供元の識別情報、データの生成時間を示す情報、が含まれている、請求項7乃至8のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
前記提供元から提供されるデータ(MA)は、前記個人に関する履歴データである複数のデータ(TR)を基に生成された複数のデータ項目それぞれに関するデータからなるデータセットである、請求項7乃至9のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムにおいて、前記複数のデータ項目の各々は、前記履歴データのデータセットの中の最新のデータを示している、システム。
【請求項12】
少なくとも前記個人の情報に関連するデータは、ハッシュ関数のよってハッシュされている、請求項7乃至11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
個人の利用する情報処理装置に実行される、当該個人の情報に関連するデータを取得するためのプログラムを格納した記憶媒体であって、
当該プログラムは、前記情報処理装置から提供されたブロックチェーンアドレスに基づきブロックチェーンネットワーク上に登録されたアクセス用データ(ACT)を参照して、少なくとも前記情報処理装置または他の情報処理装置が利用可能なストレージ装置に格納された前記個人の情報に関連するデータを取得可能なように前記情報処理装置に実行させる、記憶媒体。
【請求項14】
前記個人の情報に関連するデータには、前記個人の識別情報が含まれている、請求項13に記載の記憶媒体。
【請求項15】
前記個人の情報に関連するデータには、少なくとも、前記個人が利用する情報処理装置の識別情報、前記提供元の識別情報、データの生成時間を示す情報、が含まれている、請求項13乃至14のいずれかに記載の記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、BCN(ブロックチェーンネットワーク)を使用したデータ利用方法、システムおよびそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理および通信の発達により、利用者の日々の活動や定期的あるいは継続的なモニターによって、その個人の情報が日々データとして電子的に蓄えられるようになっている。
【0003】
その情報は、例えば、利用者の健康に関するデータや病院での治療、薬品投与などの個人医療データ、日々の買い物の履歴情報、お気に入り情報の検索のための日々のアクセス情報等、多種多様である。
【0004】
それらの情報は時刻情報と一緒にデータとして蓄積されて、いわゆる個人の履歴データとして扱うことができる。
【0005】
このような多様な活動や定期的あるいは継続的なモニターに応じて生じた各種データは、その活動等に関連したサービスに応じて、それぞれのサービスを提供する処理システムが使用するストレージに蓄えられる。例えば、買い物情報には、クレジットによる買い物、現金より買い物、デビットカードによる買い物、等があるように、購入の形、すなわち、各サービスに散らばって蓄えられている。
【0006】
つまり、そのような履歴データは、サービスを提供した業者においてのみ管理されており、その利用者個人が、過去の履歴データを別な形で他の機関や業者に利用してもらうものではない。
【0007】
したがって、サービスごとの履歴データは、非常に偏った内容となっている可能性もある。さらには、今日高度に発達した情報システムにおいても、相互のサービスで関連した履歴データが、その個々のサービスを提供しているシステムによって分断され、相互の関連性を有したデータとして活用することも妨げられている。
【0008】
しかも、個人の活動内容は、その個人のおかれている環境に応じても刻々変化するものであり、異なる業者のサービスへと移ったりすることも少なくないために、個人の非常に重要な資産としてのデータが、その異なるサービスで分断されるとなると、その個人にとっても、あるいは、それを新たに活用しようする企業や機関団体にとっても、十分な活用を阻害してしまう。
【0009】
一方、個人データは、そのプライバシを保護するために、極めて慎重に取り扱わなければならない。単に情報を拡散するだけでは、その個人の情報が悪用され、あるいは成りすまし等で他方にも被害を生じることになる。また、情報が改竄されることで大きな被害も発生しうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許出願公開第2016-218633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明はかかる問題に着目してなされたものである。
【0012】
従って、本発明は、個人が主体的にその自らの個人データを利用し、活用を図ることもでき、さらには、そのデータの秘匿化も図れるデータ活用システムおよび活用方法等を提供するものである。
【0013】
さらに、本発明は、その目的およびデータの対象を限定するものではないが、例えば、個人情報である医療データは、個人の資産でもある。患者は複数の疾患やあるいは居住する場所を変更するなどの多くの理由で複数の病院にまたがって治療を受けることが少なくない。
【0014】
複数の異なった医療機関での治療データはその患者にとって重要な治療資産であるが、それらが統合して医療データとして管理できれば、多様な活用を行うことができる。逆に、それらの医療データが、医療機関等で分断されていると、本来必要となる治療が見過ごされてしまうことになる。
【0015】
例えば、ある疾患の治療目的として継続的に行った治療や薬品投与の結果として、その患者がどのように回復したか、あるいは回復しなかったかの情報は、その患者のみならず、多くの医療機関にとって重要な情報であり、これによって、同じような疾病を有する他の患者に対しての更なる改良した治癒方法が提供できるようになる。
【0016】
一方、医療データは個人情報であり、厳格に管理を行う必要がある。さらに、真正な個人のデータであることの信頼性や秘匿性、医療機関と個人との医療活動内容(例えば、治療方法、投薬方法等)の信頼性と秘匿性も、非常に重要である。
【0017】
従って、本発明は、真正な個人による真正な情報を流通させることのできる新たな手法を提供し、その重要な情報を活用させることのできるように、新たな手法を提供するものである。
【0018】
さらに本発明は、既存の医療等に関する個人のデータを適切に加工して、その活用を安全に図るための流通基盤を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明によると、個人の利用する情報処理装置によって当該個人の情報に関連するデータを取得し活用可能するための方法であって、個人の利用するブロックチェーンネットワーク上のアドレスに関するデータを、当該個人の情報に関連するデータの提供元にネットワークを介して送信するステップと、その提供者から、上記アドレスに関するデータと、データの提供元を識別するためのデータとを含んだアクセス用データ(ACT)をそのブロックチェーンネットワークのアドレスに発行して登録するステップと、上記ブロックチェーンネットワークのアドレスからアクセス用データ(ACT)を参照して、データの提供元を特定し、当該特定した提供元からその個人の情報に関連するデータを取得するステップと、からなるデータ活用方法を開示する。
【0020】
これによって、ブロックチェーンネットワークのアドレスを通じての信頼性を利用しながら秘匿性の高い個人情報の利用が可能となる。
【0021】
さらに本発明によると、上記提供元から提供されるデータには、情報処理装置に利用が認可された個人の識別情報や、個人が利用する情報処理装置の識別情報、あるいは提供元の識別情報の少なくともいずれかが含まれている。
【0022】
さらに本発明によると、上記提供元から提供されるデータには、そのデータの生成時間を示す情報が含まれており、そのデータの時間的履歴を参照することが可能となる。
【0023】
さらに本発明によると、上記提供元から提供されるデータは、個人に関する履歴データである複数のデータを基に生成された複数のデータ項目それぞれに関するデータからなるデータセットである。
【0024】
さらに本発明によると、そのデータ活用方法において、上記複数のデータ項目の各々は、履歴データのデータセットの中の最新のデータを示すように構成され、直近の最新の情報として提供を受けることができる。
【0025】
さらに本発明によると、少なくとも個人の情報に関連するデータがハッシュ関数のよってハッシュされており、ブロックチェーンへと台帳登録される。
【0026】
本発明はさらに、個人の利用する情報処理装置によって当該個人の情報に関連するデータを取得し活用可能とするためのシステムを提供するものである。
【0027】
本発明によるシステムの上記情報処理装置は、少なくとも、メモリまたは当該情報処理装置と接続されたストレージ装置を有し、個人の利用するブロックチェーンネットワーク上のアドレスに関するデータを、当該個人の情報に関連するデータの提供元となるストレージ装置を有する提供者側情報処理装置にネットワークを介して送信する機能と、その提供者側情報処理装置から、ブロックチェーンネットワークのアドレスに発行された、ブロックチェーンネットワークのアドレスに関するデータと、データの提供元を識別するためのデータとを含んだアクセス用データ(ACT)を参照する機能と、アクセス用データ(ACT)に基づき、その個人の情報に関連するデータを提供側のストレージ装置から取得し、少なくともその個人のメモリまたはストレージ装置に格納する機能と、を有する。
【0028】
さらに、本発明によると、上記提供元から提供されるデータには、情報処理装置に利用が認可された個人の識別情報が含まれている。
【0029】
そして、さらには、その提供元から提供されるデータには、少なくとも、上記個人が利用する情報処理装置の識別情報、提供元の識別情報、データの生成時間を示す情報、が含まれている。
【0030】
上記提供元から提供されるデータは、個人に関する履歴データである複数のデータを基に生成された複数のデータ項目それぞれに関するデータからなるデータセットであり、例えば、複数のデータ項目の各々は、履歴データのデータセットの中の最新のデータを示している。
【0031】
また、少なくとも個人の情報に関連するデータは、ハッシュ関数のよってハッシュされている。
【0032】
さらに本発明は、個人の利用する情報処理装置に格納され、第1の情報処理装置によって実行される、当該個人の情報に関連するデータを取得するためのプログラムを提供するものであり、そのプログラムは、ブロックチェーンアドレスを他の情報処理装置に提供するステップと、ブロックチェーンアドレスに基づき当該他の情報処理装置から送信されたブロックチェーンアドレスの情報を含んだアクセス用データ(ACT)に基づき、当該他の情報処理装置またはその情報処理装置が利用するストレージ装置に生成された上記個人の情報に関連するデータを取得するように構成されている。
【0033】
また、上記個人の情報に関連するデータには、情報処理装置に利用が認可された個人の識別情報が含まれている。
【0034】
そしてさらには、上記個人の情報に関連するデータには、少なくとも、その個人が利用する情報処理装置の識別情報、前記提供元の識別情報、データの生成時間を示す情報、が含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明による個人資産データ活用システムの実施形態を示した概要図である。
【
図2】
図1の情報提供リソースとなるストレージ装置や利用者で使用するストレージ装置において、個人データを更新していく場合の概念図を示している。
【
図3】
図1のストレージ装置において、個人データをその個人データを管理するシステム以外に提供する場合にアクセス用データとして発行する、アクセスチケット(Access tacket)(略して“ACT”)のデータ構成の一例を示している。
【
図4】
図2の各ストレージ装置において作成する個人情報に関するマスターデータ(MA)およびトランザクションデータ(TR)のデータ構成の一例を示している。
【
図5A】
図4のマスターデータ(MA)およびトランザクションデータ(TR)のデータ構成要素であるデータ部のデータ構成の一例を示している。
【
図5B】
図4のマスターデータ(MA)およびトランザクションデータ(TR)のデータ構成要素である付加データ部のデータ構成の一例を示している。
【
図6】本発明による個人資産データ活用システムの実施形態を示した概要図であり、受信したマスターデータ(MA)を他の者(個人、機関、団体等)へと提供する実施形態を示した概要図である。
【
図7】利用者とそのデータ提供元のストレージ装置およびブロックチェーン50内で発行履歴がチェーン上に連鎖したアクセスチケットとの相互関係を示した概念図である。
【
図8】時系列に発生する異なる種類のトランザクションデータからマスターデータを生成する概念図および、異なる種類のマスターデータ(MA)を結合する概念図を示す。
【
図9】本発明による個人資産データ活用システムに医療データを適用した場合の概念図である。
【
図10A】トランザクションデータ(TR)およびそれから生成されるマスターデータ(MA)のデータボディ部の一例を示す。
【
図10B】異なる種類のトランザクションデータから新たな生成されたマスターデータ(MA)のデータボディ部の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は、仮想通貨であるビットコイン等の中核技術であるブロックチェーンを利用する。ブロックチェーンは、ネットワーク内で発生した取引の記録(ブロック)をチェーン状のブロックとして記録するための分散型台帳である。個々の取引のブロックは、その取引内容の他に、その前に生成されたブロックの内容のハッシュ値をその内部に格納することで、台帳には、チェーン状に連鎖した正当なブロックとして記録される。
【0037】
新たなブロックをブロックチェーンに追加する場合には、マイナーによるマイニングを行わせることで、正当性が検証されたブロックのチェーンが形成されることを保障している。
【0038】
マイニングによる合意形成が行われることで、正当なブロックによるチェーンが分散してデータベースに蓄積され、改竄の防止と、データの安全性が保障される。尚、マイニングの参加者のうちの取引の内容に不正が無いかどうかを最初に確認したものに対して、報酬を与え、データベースへの更新権限を与える方法が知られているが、ここではマイニング手法を限定するものではなく、正当性の合意形成が得られ、不正なブロックがチェーンに挿入される可能性が小さいものであれば、いかなるマイニング手法も採用し得る。
【0039】
また、ブロックチェーンには、ビットコインで利用されるようなオープン型(またはパブリック型)のほか、参加者を限定するクローズ型(プライベート型)のブロックチェーンが知られている。本発明では、いずれの型のブロックチェーンも使用しうる。このように、ブロックチェーンは多様な形態があるが、本発明を実施できるものであるならば、ブロックチェーンを限定するものではない。
【0040】
個々の取引は、例えば、P2P通信を使用して行うことができる。P2P通信は、例えば、インターネットや移動体通信網、専用通信回線等を利用することができる。ただし、これは例示であって、P2P通信以外の通信を利用しても良い。また、取引を行う情報処理装置として、パーソナルコンピュータや、携帯可能なスマートフォンやタブレット等の情報処理装置を利用することができるが、これに限定されるものではない。
【0041】
ブロックチェーンを利用した技術は、仮想通貨であるビットコインで利用されているが、その仮想通貨の取引台帳では、仮想通貨の取引データのブロック(例えば、取引対象となる仮想通貨の額、利用者の仮想通貨の支払い先アドレス、利用者の支払い先アドレスを生成するために使用された公開鍵、さらには、その通貨の基本原資等のハッシュ値)が作成されて、ブロックチェーンネットワーク内にチェーン上に記録されている。
【0042】
取引データは、上記ハッシュ値と公開鍵暗号方式とを用いることで、その安全性が担保されている。また、取引データは、マイナーによる正当性の検証を行わせるために、広く配信されることで、その正当性が監視されている。
【0043】
本発明は、そのブロックチェーンを使用することで、ブロックチェーンの台帳に記録されるブロックの正当性を利用しつつ、そのブロックで参照するデータの利用を促進する。例えば、ブロックチェーンを利用することで、データの取引の履歴の正当性を担保しつつ、データの秘匿性を図るために、所定の許可された特定の利用者、または特定の利用者と特定の情報処理装置とに制限を行うようにしてもよい。ブロックチェーンに格納されるデータとして、その実際の取引対象のデータはそのブロックには存在せず、そのブロックには、その実際の取引対象のデータ参照できるような構造やデータ、例えば、ポインタを有するようにすることができる。
【0044】
図1は、本発明による資産データ利用システム1の構成の一例を示している。
【0045】
前提として、利用者用の情報処理装置20の利用者と情報処理装置10の利用者との間で、その利用者に対して、提供者用の情報処理装置10で使用または管理している利用者の情報の提供の同意が形成されることが必要である。
【0046】
この同意が形成されることによって、情報処理装置10提供者は、その利用者の活動データを、利用者へと提供できるようになる。
【0047】
利用者の利用する情報処理装置20は、予め、その利用者個人の認証登録が完了しており、利用者の識別情報である利用者識別子(UID)が割り振られ、さらにその利用者用の情報処理装置20の識別情報である端末(デバイス)識別子DIDが一意に利用者用の情報処理装置20に登録されている。
【0048】
さらに、その利用者には、予めブロックチェーン(
図1のBCN50)上への台帳記帳を可能とするブロックチェーンアドレス(簡略化のための「BCNアドレス」またた「BCN Add」ともいう)が登録されている。そして、利用者と提供者間のそれぞれは、利用者用の情報処理装置20と提供者用の情報処理装置10によって電子的にデータ通信が可能なようにセットアップされている。
【0049】
利用者個人の活動データを利用者に提供するステップを以下に説明する。
【0050】
利用者はステップ(3)に平行して、あるいはそれと前後して、利用者は、ブロックチェーンネットワーク(BCN50)上の自分のアドレスを提供者に開示するために、そのBCNアドレス(BNC Ads)を利用者用の情報処理装置20から提供者用の情報処理装置10に送信する(ステップ(1))。
【0051】
利用者に関連するデータが、あるストレージ装置90に格納されているとすると、ステップ(1)に応答して、またはそのステップ(1)とは独立に、その格納場所であるストレージ装置90からその利用者のデータを提供者用の情報処理装置10に取得する(ステップ(3))。そして、その受け取ったデータから、所定のデータフォーマットに沿って一つまたは複数のデータ項目に対応する実際の値(データ)のデータセットを生成し(ステップ(2)-1)、そのデータセットをトランザクションデータ(TR)としてストレージ装置30に格納(アップロード)する(ステップ(2)-2)。
【0052】
どのような項目をデータセットの要素として加えるかは、利用者と提供者の同意内容や、あるいは、提供者が提供し得る項目、利用者が欲する項目等の条件に応じて適宜決められる。
【0053】
提供者用の情報処理装置10と、利用者用の情報処理装置20には、そのデータ提供のための選択用アプリケーション・プログラムを互いのメモリに格納し、各アプリケーション・プログラムがそれぞれの処理装置によって実行されて、トランザクションデータ(TR)に加えられるデータ項目が選定される。そして、その選定に応じて、データ項目に対応するデータが、所定のフォーマット形式に対応して、トランザクションデータ(TR)へと落とし込まれる。
【0054】
トランザクションデータ(TR)として、その落とし込まれた実際のデータの内容はそのデータの項目に対応して読み込むことができる形式で記述されることで、提供者用の情報処理装置10のほか、利用者用の情報処理装置20や第三者の端末で読み込むことが可能である。その形式は、例えば、JSON形式を使用することができる。
【0055】
提供者用の情報処理装置10は、さらに、トランザクションデータ(TR)の生成とそのトランザクションデータ(TR)からマスターデータ(MA)の生成プログラム有する。尚、提供者用の情報処理装置10は利用者に対してデータの提供を行う側であり、利用者はデータを受ける側である。しかし、後に説明するが、利用者は受けたデータを提供できる側にもなり得る。したがって、利用者用の情報処理装置20と提供者用の情報処理装置10のアプリケーション・プログラムの機能は異なっても良いが、必ずしも異なる機能のアプリケーション・プログラムを有する必要は無く、同じ機能を有するアプリケーション・プログラム、または、後に説明する機能をいずれかの実行のためのアプリケーション・プログラムを有し得る。すなわち、ある情報処理装置に対して説明した機能は、その利用の目的のための他の情報処理装置においても有する可能性があることを認識すべきである。また、一部の実行、例えば、トランザクションデータ(TR)やマスターデータ(MA)の生成を、ストレージ装置のほうに肩代わりするようにしてもよい。
【0056】
ステップ(1)において、利用者のBCNアドレス(BCN Add)を受け取ると、提供者用の情報処理装置10は、そのBCNアドレス(BCN Add)と、データリソースを特定するためのデータリソース識別子(SID)をストレージ装置30に送信し、それを受けた提供者用の情報処理装置10は、アクセスチケット(ACT)を生成する。尚、データの提供元を特定できるのであれば、データリソース識別子(SID)は、利用者用の情報処理装置20の端末(デバイス)識別子DIDに限定されるものではなく、ストレージ装置30の識別子であっても良い。また、ストレージ装置には秘密分散ストレージ装置のように広く分散して存在する場合もあるが、そのストレージ装置中のデータを参照できるのであれば、データリソース識別子(SID)は、どのような識別子であってもよい。
【0057】
このアクセスチケット(ACT)が、利用者のブロックチェーンに記録するためのデータである。
【0058】
図3は、本発明による一実施形態のアクセスチケット(ACT)のデータ構成図である。
【0059】
アクセスチケット(ACT)は、ブロックチェーンに適合するように所定のデータのハッシュ値である。その要素となるデータは、利用者のBCNアドレス(BCN Add)のハッシュ値と、データリソース識別子(SID)、そして、データリソース識別子(SID)に対応する秘密文字列であり、それらをハッシュ関数によってハッシュする。ハッシュ関数としては、例えばMD5を使用することで、128ビットのハッシュ値となっている。これによって、固定長のアクセスチケット(ACT)として、ブロックチェーンネットワーク(BCN)へと記帳される。尚、
図1には示されていないが、別途アクセスチケット(ACT)の発行を提供者用の情報処理装置10から利用者用の情報処理装置20に知らせるようにしてもよい。また、ブロックチェーンネットワーク(BCN)への登録を、利用者用の情報処理装置20を経由させて行うようにしてもよい。
【0060】
このデータが発行されることで、データリソース識別子(SID)からのデータが利用者に対して用意され、利用者は、そのデータを得る権限を有したことが示される。
【0061】
そして、利用者はそのアクセスチケット(ACT)によって、提供者用の情報処理装置10が管理するストレージ装置30内にあるトランザクションデータ(TR)やそこから生成されたマスターデータ(MA)へのアクセスが可能となる。
【0062】
トランザクションデータ(TR)およびマスターデータ(MA)は、利用者によるデータの参照や操作、さらには、他の第三者へのデータの提供を可能とするために、所定のフォーマット形式を有する。
【0063】
ここで、提供者がデータ提供するためのオリジナルのデータには、利用者の異なる時間の活動データとして、別々に存在する場合が少なくない。したがって、種類は同じだが、それぞれのオリジナルデータに対応するトランザクションデータ(TR)を複数用意しても良い。また、提供者がデータ提供するためのオリジナルのデータには、種類の異なる活動データもあり、互いのデータの記録項目が異なる場合も存在する。したがって、基本的な形式は同じだが、そのレコード長や、記録するデータ項目が異なる別なトランザクションデータ(TR)を用意するようにしてもよい。
【0064】
また、利用者用の情報処理装置20からの個人データの要求は、必ずしも1回とは限らず、活動したごとに生成された個人データを受け取ることができるように、時間を置いて提供者用の情報処理装置10に複数回要求される場合もある。
【0065】
このように、ストレージ装置30に生成されるトランザクションデータ(TR)は、一つまたは複数のトランザクションデータ(TR)として生成され得る。
【0066】
図1では、説明を簡便にするために、一つのトランザクションデータ(TR)から一つのマスターデータ(MA)を作成し利用者に提供する例で説明する。
【0067】
ストレージ装置30は、図示しないメモリに格納されたプログラムまたはマクロ命令を有し、そのストレージ装置30の有する処理装置によってそのプログラムまたはマクロ命令が実行される。尚、プログラムはマクロ命令を含むものであり、ここでは、便宜的にわかりやすくするために、マクロ命令を別に使っているにすぎない。
【0068】
プログラムまたはマクロ命令は、BCNアドレス(BCN Add)や利用者用の情報処理装置20へのデータのデータ提供元を示すデータリソース識別子(SID)を提供者用の情報処理装置10から受けると、その情報を元にしてアクセスチケット(ACT)を生成する(ステップ(4))。尚、トランザクションデータ(TR)を元にしたマスターデータ(MA)をストレージ装置30が生成してもよい(ステップ(5))。そして、アクセスチケット(ACT)を提供者用の情報処理装置10に返す(ステップ(4)-1)。
【0069】
すでに説明したように、アクセスチケット(ACT)は、提供者用の情報処理装置10で使用または管理しているデータを利用者が参照し、ダウンロードできる権限を与えるものであり、提供者用の情報処理装置10を介して発行される(ステップ(4)-2)。
【0070】
アクセスチケット(ACT)の送信先は、情報処理装置20から提供された利用者のBCNアドレス(BCN Add)である。利用者は、BCN50にアクセスすることによって、利用者用の情報処理装置20を通してアクセスチケット(ACT)を取得することができる(ステップ(6))。
【0071】
取得したアクセスチケット(ACT)には、データリソース識別子(SID)が格納されていることから、利用者は、その情報を元に提供者用の情報処理装置10を介して、または直接的にストレージ装置30に格納されたマスターデータ(MA)の情報を参照し、マスターデータ(MA)を利用者用の情報処理装置20のメモリ21にダウンロードすることができる(ステップ(7))。
【0072】
すでに説明したように、トランザクションデータ(TR)は必ずしも一つではなく複数の時系列に生成したトランザクションデータTR(1)~TR(n)が存在しうる。また、利用者から個別の要求により、時間をおいて複数のデータ要求R1~Rnを受けつけるようにしてもよい。
図2は、複数のデータ要求R1~Rnを受け、それぞれに対応したG1~Gnの生成処理により、マスターデータMA(1)~MA(n)が生成される概念図を示している。
【0073】
生成したマスターデータMA(1)~MA(n)のそれぞれが追加された資産として利用者に提供され、それを利用者が参照、取得できるように、データ要求R1~Rnに応じて、アクセスチケット(ACT)がBCNアドレス(BCN Add)に対して送信され、利用者は各マスターデータMA(1)~MA(n)へのアクセスを可能としてもよい。
【0074】
ビットコインでは、BCNに取引のトークンを発行することで、そのトークンのブロックチェーンを台帳として形成するものであり、ブロックは取引の時系列に連鎖する。一方、本発明による例では、アクセスチケット(ACT)のブロックのチェーンを台帳に登録し、そのブロックは時系列に連鎖する。
【0075】
図4は、本発明による一実施形態のトランザクションデータ(TR)およびマスターデータ(MA)のデータ構成図である。
【0076】
トランザクションデータ(TR)およびマスターデータ(MA)の構成要素には、利用者の要求に対して生成したデータであることを示すために、利用者用に発行したアクセスチケット(ACT)の内容が含まれる。
【0077】
利用者は、提供者用の情報処理装置10によってマスターデータ(MA)のアクセス権をアクセスチケット(ACT)によって得ることができる。そのアクセスチケット(ACT)には、データリソース識別子(SID)の情報が含まれており(
図3を参照)、利用者用の情報処理装置20は、それを参照してデータへのアクセスが可能となる。
【0078】
マスターデータ(MA)およびトランザクションデータ(TR)の基本的な構成要素には、アクセスチケット(ACT)以外にデータ部と付加データ部とを有している(
図4を参照)。
【0079】
図5Aはそのデータ部の構成要素を示している。データ部は、データヘッダ部とデータボディ部に分けることができる。
【0080】
データヘッダ部は、利用者識別子(UID)と、端末(デバイス)識別子DID、そして、データリソース識別子(SID)から構成される。
【0081】
一方、データボディ部は、項目数は1~k個の個人の各項目のデータ(値)から構成される。kの値は任意の数であり、従って、データ部のデータ長は固定である必要は無い。データボディ部にはさらに、このトランザクションデータ(TR)またはマスターデータ(MA)が作成された日時を示すタイムスタンプが設けられている。これによって、トランザクションデータ(TR)およびマスターデータ(MA)を生成順に管理することが可能となる。
【0082】
図5Bは、さらに付加データを示している。付加データは、データの送信先(例えば、利用者のBCNアドレス)を示す送信アドレスと、データの閲覧条件(アクセス条件)を既定するACL条件から構成される。
【0083】
ACL条件は、アクセス可能な最初の時間を示す「start time」、アクセス可能な最後の時間を示す「end time」そして、閲覧の回数を制限する「閲覧回数(number of time)」からなる。尚、このアクセス条件は例であり、多様なアクセス条件、あるいはそれらの組み合わせから構成するようにしてもよい。また、情報処理装置には、これらの条件をユーザによって設定できるように、ユーザが入力できるインタフェースを提供可能なアプリケーション・プログラムを設けるようにしてもよい。
【0084】
尚、トランザクションデータ(TR)とマスターデータ(MA)の両方を説明したが、両データは必ずしも同じ構成である必要は無い。また、それぞれには、トランザクションデータ(TR)を示すものか、あるいはマスターデータ(MA)を示すものかの区別を容易にするためのデータ種項目を別途加えてもよい。また、付加データをトランザクションデータ(TR)およびマスターデータ(MA)のデータ構成中に含ませず、別途切り離してストレージ装置30に格納するようにしてもよい。付加データを分離する場合には、そのトランザクションデータ(TR)またはマスターデータ(MA)との対応付けが可能なようにし、ストレージ装置30のプログラムまたは情報処理装置10のアプリケーション・プログラムによって管理する。
【0085】
これまで、個人の認証がすでにされていることを前提に説明してきたが、提供者用の情報処理装置10や利用者用の情報処理装置20は、その端末を使用しようとする者が正当な利用者であるかを認証する機能を有する。例えば、利用者用の情報処理装置20は指紋や声帯認証、あるいは血管認証等の生体認証機能を有し、その認証データと個人とを一意に関連づけて、個人認証を図っている。情報処理装置20にインストールされたアプリケーション・プログラムは、個人認証が行われ、正当な利用者であることが特定されると、その実行を許可する。
【0086】
図1に示したように、資産データ利用システム1は、データの提供者用の情報処理装置10と、利用者用の情報処理装置20を利用して、情報処理装置10から情報処理装置20へのデータを提供するものである。
【0087】
さらに、
図6で示したように、利用者用の情報処理装置20へとデータが提供された場合に、そのデータをさらに別に提供するための第三者用の情報処理装置60を有しても良い。利用者用の情報処理装置20から第三者用の情報処理装置60へのデータの提供は、提供者用の情報処理装置10から利用者用の情報処理装置20へのデータの提供と基本的にそのプロセスは変わらない。尚、単にデータを提供するだけのものであれば、BCNアドレス(BCN Add)は、利用者が利用するBCNアドレス(BCN Add)でればよく、アクセスチケット(ACT)は、利用者用ストレージ装置40で作成したアクセスチケット(ACT)である。
【0088】
そのBCNアドレス(BCN Add)は、利用者用の情報処理装置20のアプリケーション・プログラムによって生成され、アクセスチケット(ACT)は、利用者用の情報処理装置20の端末(デバイス)識別子DIDの情報から生成されることができる。具体的には、利用者からのデータの提供を行う前の比較的初期の段階において、BCNアドレス(BCN Add)やアクセスチケット(ACT)が次のように生成される。
【0089】
まず、利用者用の情報処理装置20のそのローカルなアプリケーション・プログラムは、利用者識別子(UID)を利用者用ストレージ装置40に送信し、秘密鍵の生成を指示する。利用者用ストレージ装置40に格納されたプログラムまたはマクロ命令は、その指示に応答して公開鍵と秘密鍵の生成を行う。公開鍵と秘密鍵の生成を受けると、利用者用の情報処理装置20のアプリケーション・プログラムは、BCNアドレス(BCN Add)を生成する。利用者用ストレージ装置40は、その生成されたBCNアドレス(BCN Add)を受けてハッシュし、そのハッシュ値と、利用者用の情報処理装置20の端末(デバイス)識別子DIDを示すデータリソース識別子(SID)、そしてそのデータリソース識別子(SID)の秘密文字列とのハッシュ値を生成して、アクセスチケット(ACT)とする。尚、すでにストレージ装置30で説明したように、利用者用ストレージ装置40のデータを参照できるのであれば、データリソース識別子(SID)はかならずしも、情報処理装置20自体の端末(デバイス)識別子DIDである必要は無く、ストレージ装置の装置自体の識別子であってもよく、あるいは秘密分散ストレージに応じてデータを特定できる情報を使用すればよい。
【0090】
利用者用の情報処理装置20から第三者用の情報処理装置60へのデータ送信の話に戻ると、アクセスチケット(ACT)は第三者用の情報処理装置60に通知することができる。同時に、第三者用の情報処理装置60へと提供するためのマスターデータ(MA)がトランザクションデータ(TR)から生成される。
【0091】
第三者用の情報処理装置60は、BCNアドレス(BCN Add)を介して利用者用ストレージ装置40内のマスターデータ(MA)のデータを入手するこができる。第三者は、必要に応じて、情報処理装置60で使用するストレージ装置に格納し、データの共通利用を図ることが可能となる。
【0092】
図7は、ブロックチェーン50に登録されるアクセスチケット(ACT)と、利用者用の情報処理装置20の端末(デバイス)識別子DIDおよび利用者識別子(UID)、そして、ストレージ装置30のマスターデータ(MA)の内容による、相互の紐付けの関係を示している。
【0093】
複数がチェーン状に連鎖したアクセスチケット(ACT)には、データリソース識別子(SID)が記述されており、これは、提供者用の情報処理装置10が管理するストレージ装置30を実質的に指定するポインタとして機能する。さらに、そのストレージ装置30内に記録されているマスターデータ(MA)には、データヘッダ部の要素として、利用者識別子(UID)と端末(デバイス)識別子DIDとが記述されており、利用者用の情報処理装置20のポインタとして機能する。情報処理装置20は利用者をその利用者識別子(UID)によって認証し、その利用者識別子(UID)によってBCNアドレス(BCN Add)を生成し、これはBCNアドレス(BCN Add)上のアクセスチケット(ACT)のポインタでもある。
【0094】
このような関係が維持され、かつアクセスチケット(ACT)がBCNアドレス(BCN Add)上で正当性が同意形成される。さらに、トランザクションデータ(TR)やマスターデータ(MA)を格納するストレージ装置30およびストレージ装置40は秘密分散ストレージ装置とすることが好ましく、データが分散管理されているために、データの秘匿性と安全性とがさらに維持される。
【0095】
利用者用の情報処理装置20は、すでにブロックチェーン50上にデータを提供する環境が整えられており、その仕様に基づいた所定のフォームのデータをブロックチェーン50にポストするごとに、ブロックチェーン50上でハッシュ値によってデータのチェーンが形成されて、データの安全性が確保される。
【0096】
データチェーン上に提供するデータのサイズは限定されるために、そのデータに対応した実際のデータは、ストレージ装置30または利用者用ストレージ装置40に格納できる。
【0097】
図8は、時系列に発生する異なる種類のトランザクションデータからマスターデータを生成し、さらにその異なる種類のマスターデータ(MA)の名寄せを行い、新たなマスターデータ(MA)を生成する概念図である。
【0098】
縦軸は時間の経過を示している。この時間は、例えば、各トランザクションデータ(TR)およびマスターデータ(MA)の生成した時とすることができ、そのデータ要素であるタイムスタンプによって示されている。トランザクションデータ(TR)は、2種類のトランザクションデータTR_A(m)、TR_B(n)(m、nは経過時間順の番号を示す) が生成されている。トランザクションデータTR_A(m)、TR_B(n)が生成されるごとに、マスターデータMA_A(m)、MA_B(n)が生成される。さらに、異なる種類のマスターデータ(MA)がそれぞれ生成された場合には、その生成されたマスターデータ(MA)を名寄せし、新たなマスターデータ、MA_C(h)(hは経過時間順の番号を示す)が生成される。尚、これから理解できるように、マスターデータ(MA)は、次のマスターデータ(MA)を生成するトランザクションデータ(TR)としても利用される。
【0099】
図1を参照すると、このトランザクションデータTR_A(m)、TR_B(n)は、情報処理装置10が利用するストレージ装置30内に生成される場合もあるが、異なる情報処理装置が利用する異なるストレージ装置に生成される可能性もある。それは、利用者のデータが外部でどのように管理されているかに依存する。
【0100】
同じストレージ装置に異なる種類のトランザクションデータTR_A(m)、TR_B(n)が生成される場合には、その同じストレージ装置内で、例えば、同じ利用者識別子(UID)で名寄せされたマスターデータMA_C(h)を生成しても良く、あるいは、すでに説明した方法により、同じ種類のトランザクションデータ(TR)から得られたマスターデータ(MA)(例えば、MA_A(2)とMA_B(1))を利用者用の情報処理装置20が利用するストレージ装置40に格納し、その中で名寄せしたマスターデータ(MA)(例えば、MA_C(1))を生成しても良い。
【0101】
名寄せしたマスターデータ(MA)は、その生成したストレージ装置側が新たなリソースとなるために、従来のデータリソースとは異なる。従って、データリソース識別子(SID)は、新たに生成したマスターデータ(MA)を参照できるようなデータリソース識別子(SID)へと変更される。
【0102】
このように、複数種類のトランザクションデータ(TR)を同一のデータリソースからも、あるいは複数のデータリソースから取得することができる。複数のデータリソースからの取得を可能とすることで、互いのデータを補完するような新たなデータとし利用することができる。また、名寄せのルールは、どのようなデータによるかによっても異なり、データの項目に応じて適宜決定すればよい。例えば、あるマスターデータ(MA)と別な種類のマスターデータ(MA)のデータ項目から、別な指標を示す新たなデータ項目が作られた新たなマスターデータ(MA)とすることができる。この新たなデータ項目の生成とは、たとえば、運動データに関するデータリソースと食事データに関するデータリソースからのそれぞれのデータをマージすることで、カロリー計算を含んだ新しいデータを生成する、といったことがあげられる。
【0103】
図1および
図6およびその説明から理解されるように、利用者用の情報処理装置20のアプリケーション・プログラムは、提供者用の(ストレージ装置30を含んだ)情報処理装置10からのデータの受信と、第三者へのデータの提供の2つの大きな機能を含むことができる。そして、そのデータの受信には、提供者用の情報処理装置10からブロックチェーン経由で送信されたアクセスチケット(ACT)またはそのアクセスチケット(ACT)の履歴を参照して、利用者用の情報処理装置10からのデータの取得を行ったり、あるいは、自身の処理装置が利用するストレージ装置(好ましくは、秘密分散ストレージ、以下同)への自身の処理装置が有するデータをアップロードしたりすることが可能である。また、すでに説明したように、利用者用の情報処理装置20は、提供者用の情報処理装置10と同様に、データの提供も可能であり、そこには、単に、自身が所有するBCNアドレス(BCN Add)を利用してデータを生成して第三者に提供するばかりか、その相手のBCNアドレス(BCN Add)を利用して、データを提供する機能を有することができる。また、自身のBCNアドレス(BCN Add)でチェーン化される分散伝票を確認して、その履歴さえもプレビューすることができようにしてもよい。
【0104】
このような処理の細かなステップを通常の利用者に行わせるのは好ましくない。従って、利用者にとって煩雑にならないようにするために、その利用者用の情報処理装置20のディスプレイ表示画面に、一連の手順をグループ化してボタン一つで行えるようにしたり、あるいは簡単な操作で行えるユーザインターフェースが、アプリケーション・プログラムによって提供される。
【0105】
図9は、本発明による実施例の一つとして医療データの活用を図るための医療情報活用システムの概念図である。
図8で示したような複数種類のトランザクションデータ(TR)を異なる機関から取得する構成となっている。
【0106】
中央部分は利用者を示し、左の医療機関、医療データクラウド、ヘルスケア事業会社は、その利用者が利用(活動)している医療団体である。通常はそれぞれが異なった医療データを有しており、それを利用者の秘密分散ストレージに取得し、必要に応じて、データを名寄せして新たなマスターデータ(MA)を生成する。
【0107】
個人の心身に関する医療データは、複数の様々な種類のデータが存在する。例えば、病院などの医療機関の院内データベースとして蓄えた医療データや、医療機関がアクセスして使用する医療データクラウドの格納された医療データ、さらには、個人のヘルスケアを行う事業会社(例えば、メンタルヘルスへの対策や生活習慣病対策などを支援するサービスを行う会社など)が蓄えるデータなどが存在する。
【0108】
まず、各所/各サービスに散らばっている個人自身の医療データを個人が集約して管理できるように、これらの医療データの情報リソースとなるクラウドシステムやデータベースシステムとの電子データの受け渡しのための事前の同意形成を行う。尚、医療データには、その個人の健康に関する情報を有するものであるかぎり、その種類、内容は問わず、広く医療データとして含んでよい。
【0109】
同意形成に基づき自分の秘密分散ストレージに格納したデータは、右側の医療機関やヘルスケア事業会社とデータ提供の同意形成を行い、求められるデータを利用者の秘密分散ストレージから医療機関やヘルスケア事業会社に提供することが可能となる。
【0110】
同意形成が適切に保たれるように、真正な個人であることの認証や正統で改ざんされていないデータであることの信頼性を確保するためにブロックチェーンネットワークが利用される。チェーン化によりデータの改ざんを事実上不可能として、データの信頼性を確保している。また、ブロックチェーンへのデータは実際に医療データではなく、その医療データは、ブロックチェーンネットワークに台帳記録されているポインタで示されており、そのポインタの先は秘密分散ストレージであることから、データが分散化されており、秘匿性の維持と改竄の困難性が確保され、仮にデータが部分的に破損したり消失しても対応が可能となる。
【0111】
データは、データリソース提供単位でまとめることができ、さらに新たなデータやデータの更新が加わっても、ブロックチェーンによって一レコードで構成することもでき、過去から最新までをその個人の医療関係データを閲覧可能することができる。
【0112】
たとえば、Aさんの定期的な検診データをBCN上の1レコードで参照できるために、最新の検診から過去の検診データに遡って閲覧することが可能となる。
【0113】
さらに、すでに名寄せとして説明したように、異なるデータを結合して新たなデータを生成することができ、その過去データと新たなデータとを参照するポインタはブロックチェーンネットワーク(BCN)上でチェーンで結ぶこともでき、新たなデータと過去のデータを含めてそのデータの参照ポインタが壊されることがないために、医療データの紛失を抑えることも可能となる。
【0114】
図10A及び
図10Bを参照し、医療データを例としてトランザクションデータ(TR)およびそれから生成されるマスターデータ(MA)の生成を説明する。
【0115】
図10A及び
図10Bは、トランザクションデータ(TR)およびマスターデータ(MA)のデータボディ部のみを示している。データボディ部には、一つの項目でも良いが、通常はこの例のように複数のデータ項目が存在する。
【0116】
図10Aの例で言えば、2種類のトランザクションデータTR_AとTR_Bが存在する。それぞれは理解を容易にするために、それぞれの発生時間順にカッコ内に番号を付している。尚、ここでは、トランザクションデータTR_Aは「身体測定」に基づいて得られたバイオデータであり、トランザクションデータTR_Bは「バイタル」の測定に基づいて得られたバイオデータである。
【0117】
従って、各種類のトランザクションデータTR_AとTR_Bは、異なるデータ項目からなり、そのデータ項目ごとに個人データ(または値)を有する。尚、個人データが得られていない部分は、“null”で示されている。つまり、トランザクションデータ(TR)は、個人に関する複数の項目のデータが合わさったデータセットであり、複数のトランザクションデータ(TR)は、その履歴を示している。
【0118】
各項目が何を示すか、どういった単位で示すかについては、情報処理装置が自身にインストールされているアプリケーション・プログラムや、または情報処理装置が有するメモリやストレージ装置で管理されており、そのデータ項目のデータが何の項目のデータ示すが対応付けられている。
【0119】
トランザクションデータ(TR)ごとにマスターデータ(MA)が生成される。ここでは、その対応関係がわかうように、同じ番号で示している。
【0120】
マスターデータ(MA)の直近のデータは、その個人のデータの最新のデータを示すことが好ましいために、ここでは、各データ項目について、直近のマスターデータ(MA)は、過去のトランザクションデータ(TR)のうちの最新のデータを示すようにルール化され、プログラムされている。ただし、“null”の部分はそのデータが得られていないために、無視される。すなわち、個人に関する履歴である複数のデータセット(TR)において、各項目は、その履歴データのデータセットの中の最新のデータを示している、
例えば、最初のトランザクションデータTR(1)では、そのデータを使用してマスターデータMA(1)を生成する。次のトランザクションデータTR(2)では、そのトランザクションデータTR(2)に対応して生成されたMA(2)は、トランザクションデータTR(2)と、その前のマスターデータMA(1)を組み合わせて生成され、“null”の部分は無視しながら、各データ項目について、最新のデータを示すようにする。
【0121】
マスターデータ(MA)の生成の指示を受けると、プログラムは、そのような規則に従って、マスターデータ(MA)を生成する。
図10Aは、それらのトランザクションデータ(TR)とマスターデータ(MA)とのデータ内容を示したものである。
【0122】
マスターデータ(MA)への更新のほかに、そのプログラムの機能として、名寄せ、つまり、マスターデータ(MA)どうしの結合処理機能を有する。
図10Bにその例を示す。
【0123】
図10Bの「生成されたマスターデータ(MA)」は、
図10Aの2種類のトランザクションデータTR_AとTR_Bの発生順に、その各トランザクションデータ(TR)に対応して生成されたマスターデータ(MA_AおよびMA_B)が並べられている。
【0124】
そして、「新たに生成されるマスターデータ(MA)」には、その並べられた順に新たに生成されるマスターデータMA_Cを示している。ここでのマスターデータMA_Cを生成する規則は
図10Aと同じである。
【0125】
尚、複数種類のマスターデータ(MA)は、異なるデータリソース識別子から得られる場合もあるが、マスターデータ(MA)内に存在する利用者識別子(UID)を参照すれば、同じ利用者のマスターデータ(MA)のみを結合して新たなマスターデータ(MA)を生成することが可能である。
【0126】
マスターデータ(MA)による結合生成は、単に該当するデータ項目の内容(データ)を読み込むだけではなく、より高度な処理となるようにプログラムしてもよい。トランザクションデータ(TR)のデータ項目として、体脂肪の重さ(kg)と体重(kg)とし、その結合生成プログラムには、体脂肪の重さ(kg)÷体重(kg)x100の計算プログラムを設け、その計算結果である体脂肪率(%)を新たに生成したデータ項目のデータとしてもよい。このように、その目的に応じて、適宜結合生成プログラムを設けるようにしてもよく、異なった利用者識別子(UID)からのデータ結合生成を行うことで、さらにより高度なデータ活用も可能となる。
【0127】
以上の説明から理解されるように、利用者はアクセスチケット(ACT)の内容に自身の利用するストレージ装置またはそれを管理する自身の処理装置20の識別子を記載して、自身のBCNアドレスに対して台帳記録してあれば、自身の最新データや過去のデータをそのストレージ装置から参照することもできる。また、自身のデータを第三者に提供することもできることとなり、これらの処理をユーザが簡単に操作できるように、例えば、「検査結果」ボタンや、「医師に渡す」「過去の結果」、といったボタンをユーザインタフェースとして操作画面上に用意するようにしてもよい。
【0128】
また、ブロックチェーンネットワーク(BCN)を介しての提供者や第三者との間での相互のデータを安全に行うために、ブロックチェーンアドレス(BCN Add)をQRコード(登録商標)化し、アプリケーション・プログラムは、そのQRコード(登録商標)を情報処理装置に設けられたカメラで読み込み、相手先にBCNアドレスとして送信するようにしてもよい。
【0129】
更に以下にも開示する。
(項目1)
個人の利用する情報処理装置によって当該個人の情報に関連するデータを取得し活用可能とするための方法であって、
前記個人の利用するブロックチェーンネットワーク上のアドレスに関するデータを、当該個人の情報に関連するデータの提供元にネットワークを介して送信するステップと、
前記提供者から、前記アドレスに関するデータと、データの提供元を識別するためのデータとを含んだアクセス用データ(ACT)を前記ブロックチェーンネットワークの前記アドレスに発行して登録するステップと、
前記ブロックチェーンネットワークの前記アドレスから前記アクセス用データ(ACT)を参照して、データの提供元を特定し、当該特定した提供元から前記個人の情報に関連するデータを取得するステップと、
からなるデータ活用方法。
(項目2)
前記提供元から提供されるデータには、情報処理装置に利用が認可された個人の識別情報が含まれている、項目1に記載のデータ活用方法。
(項目3)
前記提供元から提供されるデータには、前記個人が利用する情報処理装置の識別情報が含まれている、項目1乃至2のいずれかに記載のデータ活用方法。
(項目4)
前記提供元から提供されるデータには、前記提供元の識別情報が含まれている、項目1乃至3のいずれかに記載のデータ活用方法。
(項目5)
前記提供元から提供されるデータには、そのデータの生成時間を示す情報が含まれている、項目1乃至4のいずれかに記載のデータ活用方法。
(項目6)
前記提供元から提供されるデータ(MA)は、前記個人に関する履歴データである複数のデータ(TR)を基に生成された複数のデータ項目それぞれに関するデータからなるデータセットである、項目1乃至5のいずれかに記載のデータ活用方法。
(項目7)
項目6に記載のデータ活用方法において、前記複数のデータ項目の各々は、前記履歴データのデータセットの中の最新のデータを示している、データ活用方法。
(項目8)
少なくとも前記個人の情報に関連するデータは、ハッシュ関数のよってハッシュされている、項目1乃至7のいずれかに記載のデータ活用方法。
(項目9)
個人の利用する情報処理装置によって当該個人の情報に関連するデータを取得し活用可能とするためのシステムであって、当該システムは前記情報処理装置からなり、
前記情報処理装置は、少なくとも、メモリまたは当該情報処理装置と接続されたストレージ装置を有し、
前記情報処理装置は、前記個人の利用するブロックチェーンネットワーク上のアドレスに関するデータを、当該個人の情報に関連するデータの提供元となるストレージ装置を有する提供者側情報処理装置にネットワークを介して送信する機能と、
前記提供者側情報処理装置から、前記ブロックチェーンネットワークの前記アドレスに発行された、前記アドレスに関するデータと、データの提供元を識別するためのデータとを含んだアクセス用データ(ACT)を参照する機能と、
前記アクセス用データ(ACT)に基づき、前記個人の情報に関連するデータを前記提供側のストレージ装置から取得し、少なくとも前記個人のメモリまたはストレージ装置に格納する機能と、
を有するデータ活用システム。
(項目10)
前記提供元から提供されるデータには、情報処理装置に利用が認可された個人の識別情報が含まれている、項目9に記載のデータ活用システム。
(項目11)
前記提供元から提供されるデータには、少なくとも、前記個人が利用する情報処理装置の識別情報、前記提供元の識別情報、データの生成時間を示す情報、が含まれている、項目9乃至10のいずれかに記載のデータ活用システム。
(項目12)
前記提供元から提供されるデータ(MA)は、前記個人に関する履歴データである複数のデータ(TR)を基に生成された複数のデータ項目それぞれに関するデータからなるデータセットである、項目9乃至11のいずれかに記載のデータ活用システム。
(項目13)
項目12に記載のデータ活用システムにおいて、前記複数のデータ項目の各々は、前記履歴データのデータセットの中の最新のデータを示している、データ活用システム。
(項目14)
少なくとも前記個人の情報に関連するデータは、ハッシュ関数のよってハッシュされている、項目9乃至13のいずれかに記載のデータ活用システム。
(項目15)
個人の利用する情報処理装置に格納され、第1の情報処理装置によって実行される、当該個人の情報に関連するデータを取得するためのプログラムであって、
ブロックチェーンアドレスを他の情報処理装置に提供するステップと、
前記ブロックチェーンアドレスに基づき前記他の情報処理装置から送信された前記ブロックチェーンアドレスの情報を含んだアクセス用データ(ACT)に基づき、前記他の情報処理装置またはその情報処理装置が利用するストレージ装置に生成された前記個人の情報に関連するデータを取得する、プログラム。
(項目16)
前記個人の情報に関連するデータには、情報処理装置に利用が認可された個人の識別情報が含まれている、項目15に記載のプログラム。
(項目17)
前記個人の情報に関連するデータには、少なくとも、前記個人が利用する情報処理装置の識別情報、前記提供元の識別情報、データの生成時間を示す情報、が含まれている、項目15乃至16のいずれかに記載のプログラム。
【符号の説明】
【0130】
1.資産データ利用システム
10.提供者用の情報処理装置
20.利用者用の情報処理装置
30、40.ストレージ装置(秘密分散ストレージ装置)
50.ブロックチェーンネットワーク
【手続補正書】
【提出日】2023-12-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の情報処理装置によって個人の情報に関連するデータを取得し活用可能とするためのシステムであって、
前記第1の情報処理装置が利用するブロックチェーンネットワーク上のアドレスに関するデータを、前記個人の情報に関連するデータの提供者側の第2の情報処理装置にネットワークを介して送信する機能と、
前記個人の情報に関連するデータを前記第1の情報処理装置に提供することが許可されたことを基に前記提供者側の第2の情報処理装置から提供されたアクセス用データであって、前記第1の情報処理装置が利用する前記ブロックチェーンネットワーク上の前記アドレスに基づき前記ブロックチェーンネットワーク上の格納領域に格納された前記アクセス用データを第1の情報処理装置によって参照する機能と、
前記参照された前記アクセス用データに基づき、前記個人の情報に関連するデータを前記第1の情報処理装置が取得して、前記第1の情報処理装置が有するメモリ又は当該第1の情報処理装置に接続されたストレージ装置に格納する機能と、
を有し、
アクセスが許可された第3の情報処理装置が正当なデータとして前記前記メモリ又はストレージ装置に格納された前記個人の情報に関連するデータを参照又は取得可能なように、前記第1の情報処理装置が利用する前記ブロックチェーンネットワーク上に、前記第1の情報処理装置が生成したデータを前記アクセス用データに新たなアクセス用データとして追加できるようにした、システム。