(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031764
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】一連のアルカリ金属ホウリン酸塩化合物およびアルカリ金属ホウリン酸塩非線形光学結晶ならびにその調製方法と用途
(51)【国際特許分類】
C30B 29/62 20060101AFI20240229BHJP
C30B 7/02 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
C30B29/62 H
C30B7/02
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044488
(22)【出願日】2023-03-20
(31)【優先権主張番号】202211033912.X
(32)【優先日】2022-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523102472
【氏名又は名称】天津理工大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000073
【氏名又は名称】弁理士法人プロテック
(74)【代理人】
【識別番号】100108051
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 生央
(72)【発明者】
【氏名】兪 洪偉
(72)【発明者】
【氏名】劉 浩▲なん▼
(72)【発明者】
【氏名】呉 紅萍
(72)【発明者】
【氏名】胡 章貴
【テーマコード(参考)】
4G077
【Fターム(参考)】
4G077AA02
4G077AB07
4G077BD01
4G077BD08
4G077CB02
4G077CB06
4G077CC01
4G077CC05
4G077EA02
4G077EC02
4G077EC07
4G077GA05
4G077HA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、一連のアルカリ金属ホウリン酸塩化合物およびアルカリ金属ホウリン酸塩非線形光学結晶ならびにその調製方法と用途に関するものである。
【解決手段】本発明は、一連の化合物およびその結晶の化学一般式がいずれもA
3B
11P
2O
23であり、ここでA=K、Rb、Cs、NH
4であり、それぞれK
3B
11P
2O
23、Rb
3B
11P
2O
23、Cs
3B
11P
2O
23または(NH
4)
3B
11P
2O
23である。該一連の結晶は、三方晶系、空間群R3に属し、単位格子パラメータは、
、Z=3である。該一連のアルカリ金属ホウリン酸塩化合物は、固相反応法または水熱法を用いて合成され、該一連の非線形光学結晶は、高温融液法、水熱法または溶液法を用いて生長する。該一連の材料は、第二次高調波発生器、上下周波数変換器、光パラメトリック発振器などの製造に用いることができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一連のアルカリ金属ホウリン酸塩化合物であって、該一連のアルカリ金属ホウリン酸塩化合物の分子の一般式はA3B11P2O23であり、ここでA=K、Rb、Cs、NH4であり、分子式は、それぞれK3B11P2O23、Rb3B11P2O23、Cs3B11P2O23または(NH4)3B11P2O23であり、分子量は、それぞれ666.15、805.26、947.57および602.97であることを特徴とする一連のアルカリ金属ホウリン酸塩化合物。
【請求項2】
固相反応法または水熱法を用いて調製することを特徴とする一連のアルカリ金属ホウリン酸塩化合物の調製方法。
【請求項3】
前記固相反応法を用いてA3B11P2O23を調製し、ここでA=K、Rb、Cs、NH4化合物の具体的な操作は、A=K、Rb、Cs、NH4含有化合物、ホウ素含有化合物、リン含有化合物を均一に混合し、粉砕した後にマッフル炉に入れて焼成し、その間に複数回の粉砕と焼成を経て、一連のアルカリ金属ホウリン酸塩化合物の単相多結晶粉末を調製することであり、ここで、A=K、Rb、Cs、NH4含有化合物中の元素A、ホウ素含有化合物中の元素ホウ素、リン含有化合物中の元素リンのモル比は2.5~3.5:10.5~11.5:1.5~2.5であり、
前記水熱法を用いてA3B11P2O23を調製し、ここでA=K、Rb、Cs、NH4化合物の具体的な操作は、A=K、Rb、Cs、NH4含有化合物、ホウ素含有化合物およびリン含有化合物をオートクレーブのポリテトラフルオロエチレンライニングに加え、さらに脱イオン水と鉱化剤を加え、十分に均一に混合して、混合液を得、ここでA=K、Rb、Cs、NH4含有化合物、ホウ素含有化合物、リン含有化合物のモル比は1~4:10~12:1~3であり、ポリテトラフルオロエチレンライニングをオートクレーブに入れ、オートクレーブを恒温槽に置いて加熱し、一定時間恒温し、さらに冷却して降温させ、粉末を含む溶液を濾過して、一連のアルカリ金属ホウリン酸塩を得ることであり、
前記A=K、Rb、Cs、NH4含有化合物は、AOH、A2O、アルカリ金属塩のうちの少なくとも1種を含み、アルカリ金属塩は、AF、ACl、ABr、ANO3、A2C2O4、A2CO3、AHCO3、A2SO4のうちの少なくとも1種を含み、ここでA=K、Rb、Cs、NH4であり、
前記ホウ素含有化合物は、B2O3、H3BO3およびホウ酸塩のうちの少なくとも1種を含み、ホウ酸塩は、ABO2、ABO3、A3BO3、A2B4O7のうちの少なくとも1種を含み、ここでA=K、Rb、Cs、NH4であり、
前記リン含有化合物は、P2O5、H3PO4およびリン酸塩を含み、リン酸塩は、AH2PO4、A2HPO4、A3PO4、A2H2P2O7、A4P2O7のうちの少なくとも1種を含み、ここでA=K、Rb、Cs、NH4であることを特徴とする請求項2に記載の一連のアルカリ金属ホウリン酸塩化合物の調製方法。
【請求項4】
一連のアルカリ金属ホウリン酸塩非線形光学結晶であって、該一連の結晶の化学式はA
3B
11P
2O
23(A=K、Rb、Cs、NH
4)であり、分子式は、それぞれK
3B
11P
2O
23、Rb
3B
11P
2O
23、Cs
3B
11P
2O
23または(NH
4)
3B
11P
2O
23であり、いずれも三方晶系、空間群R3に結晶化し、単位格子パラメータは
【化2】
、α=90°、β=90°、γ=120°、Z=3であることを特徴とする一連のアルカリ金属ホウリン酸塩非線形光学結晶。
【請求項5】
高温融液法、水熱法および溶液法を用いて一連のアルカリ金属ホウリン酸塩非線形光学結晶を成長させることを特徴とする請求項4に記載の一連のアルカリ金属ホウリン酸塩非線形光学結晶の調製方法。
【請求項6】
前記高温融液法を用いてA3B11P2O23を成長させ、ここでA=K、Rb、Cs、NH4非線形光学結晶の具体的な操作は、一連のアルカリ金属ホウリン酸塩化合物の単相多結晶粉末、または一連のアルカリ金属ホウリン酸塩化合物の単相多結晶粉末とフラックスの混合物、または直接A=K、Rb、Cs、NH4含有化合物、ホウ素含有化合物およびリン含有化合物の混合物、またはA=K、Rb、Cs、NH4含有化合物、ホウ素含有化合物およびリン含有化合物とフラックスの混合物を、溶融するまで昇温させて混合融液を得、その後、混合融液を入れた坩堝を結晶成長炉に入れて加熱し、飽和温度まで降温させ、この時、種結晶ロッドを液面下に挿入し、その後、溶融体が凝固する前に種結晶ロッドを液面から引き出して、一連のアルカリ金属ホウリン酸塩非線形光学結晶を調製することであり、
前記水熱法を用いてA3B11P2O23を成長させ、ここでA=K、Rb、Cs、NH4非線形光学結晶の具体的な操作は、一連のアルカリ金属ホウリン酸塩化合物の単相多結晶粉末、または一連のアルカリ金属ホウリン酸塩化合物の単相多結晶粉末と鉱化剤の混合物、または直接A=K、Rb、Cs、NH4含有化合物、ホウ素含有化合物およびリン含有化合物の混合物、またはA=K、Rb、Cs、NH4含有化合物、ホウ素含有化合物およびリン含有化合物と鉱化剤の混合物を、オートクレーブのポリテトラフルオロエチレンライニングに加え、さらに脱イオン水を加え、十分に均一に混合して、混合液を得、ポリテトラフルオロエチレンライニングをオートクレーブに入れ、オートクレーブを恒温槽に置いて加熱し、さらに室温まで冷却し、結晶を含む溶液を濾過して、透明な一連のアルカリ金属ホウリン酸塩非線形光学結晶を得ることであり、
前記溶液法を用いてA3B11P2O23を成長させ、ここでA=K、Rb、Cs、NH4非線形光学結晶の具体的な操作は、一連のアルカリ金属ホウリン酸塩化合物の単相多結晶粉末または請求項3で得られた一連のアルカリ金属ホウリン酸塩化合物の単相多結晶粉末と共溶媒の混合物、または直接A=K、Rb、Cs、NH4含有化合物、ホウ素含有化合物およびリン含有化合物の混合物、またはA=K、Rb、Cs、NH4含有化合物、ホウ素含有化合物およびリン含有化合物と共溶媒の混合物を、ビーカーに加え、さらに脱イオン水を加えて溶解し、溶液を透明になるまで撹拌し、その後、ビーカーを空気中に置き、溶液を蒸発させて、一連のアルカリ金属ホウリン酸塩非線形光学結晶を生長させることであることを特徴とする請求項5に記載の一連のアルカリ金属ホウリン酸塩非線形光学結晶の調製方法。
【請求項7】
前記高温融液法を用いてA3B11P2O23を成長させ、ここでA=K、Rb、Cs、NH4非線形光学結晶であり、該一連のアルカリ金属ホウリン酸塩化合物の単相多結晶粉末とフラックスのモル比は1:0~20であり、またはA=K、Rb、Cs、NH4含有化合物、ホウ素含有化合物、リン含有化合物とフラックスのモル比は2.5~3.5:10.5~11.5:1.5~2.5:0~20であり、そのうち、フラックスはアルカリ金属塩類、すなわちアルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属硝酸塩、アルカリ金属硫酸塩、アルカリ金属シュウ酸塩、アルカリ金属ホウ酸塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ金属フルオロホウ酸塩、アルカリ金属メタホウ酸塩、およびアルカリ金属酸化物、アルカリ金属水酸化物、およびリン酸一水素塩、リン酸二水素塩、酸化ホウ素、ホウ酸、リン酸、酸化鉛、フッ化鉛、酸化モリブデン、酸化ビスマスのうちの少なくとも1種または複数種を含み、
前記水熱法を用いてA3B11P2O23を成長させ、ここでA=K、Rb、Cs、NH4非線形光学結晶であり、該一連のアルカリ金属ホウリン酸塩化合物の単相多結晶粉末と鉱化剤のモル比は1:0~10であり、またはA=K、Rb、Cs、NH4含有化合物、ホウ素含有化合物、リン含有化合物とフラックスのモル比は2~4:10~12:1~3:0~10であり、鉱化剤はAOH、A2O、AF、ACl、ABr、ABF4、A3PO4、A3BO3、ANO3、A2C2O4、A2CO3、AHCO3、A2SO4、A2HPO4、AH2PO4、B2O3のうちの少なくとも1種または複数種を含み、ここでA=K、Rb、Cs、NH4であり、
前記一連のアルカリ金属ホウリン酸塩化合物の単相多結晶粉末と共溶媒のモル比は1:0~30であり、またはA=K、Rb、Cs、NH4含有化合物、ホウ素含有化合物、リン含有化合物と共溶媒のモル比は2.5~3.5:10.5~11.5:1.5~2.5:0~30であり、共溶媒は自己共溶媒であることを特徴とする請求項6に記載の一連のアルカリ金属ホウリン酸塩非線形光学結晶の調製方法。
【請求項8】
少なくとも1つの入射電磁放射を少なくとも1つの非線形光学結晶に通過させて、少なくとも1つの周波数が入射電磁放射と異なる出力放射を生成する装置を含む非線形光学デバイスであって、非線形光学結晶は該一連のアルカリ金属ホウリン酸塩非線形光学結晶A3B11P2O23であり、ここでA=K、Rb、Cs、NH4であることを特徴とする非線形光学デバイス。
【請求項9】
該一連のアルカリ金属ホウリン酸塩非線形光学結晶は、第二次高調波発生器、上下周波変換器、光パラメトリック発振器、レーザー周波数変換デバイス、レーザー通信などの非線形光学デバイスに用いられることを特徴とする請求項4に記載のアルカリ金属ホウリン酸塩非線形光学結晶の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一連のアルカリ金属ホウリン酸塩化合物およびアルカリ金属ホウリン酸塩非線形光学結晶の調製方法ならびに該一連の結晶を利用して製造された非線形光学デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
波長が200~150nmの深紫外コヒーレント光は、半導体フォトリソグラフィ、レーザー微細加工および現代科学機器における潜在的な応用によりますます重要になっている。固体レーザーの場合、深紫外コヒーレント光の取得は、非線形光学結晶のカスケード周波数変換技術によって達成される。しかし、適用する深紫外非線形光学結晶の場合、i)非中心対称構造、ii)少なくともKDPのd36と相当する大二次非線形光学係数(dij)、iii)可能な限り短い紫外線カットオフ波長を有する深紫外領域の高透明度、iv)紫外または深紫外領域の第二次高調波発生の位相整合条件を満たす中程度の複屈折(△n=0.05-0.10)、v)生長しやすく、無毒性、化学的安定性および良好な機械的性質を含む厳しい構造と性能要求を満たす必要ある。しかし、上記のいくつかの属性の矛盾により、大きなバンドギャップ材料は小さな周波数逓倍応答と複屈折を示すことが多く、深紫外非線形光学結晶の設計と合成は依然として巨大な挑戦である。
【0003】
非対称[BO4]と[PO4]四面体を基本構造単位とするホウリン酸塩は通常、大きなバンドギャップを有し、UVまたはDUV光学結晶を探索する候補材料として広く考えられている。注目すべきこととして、BPO4は強い第二次高調波応答(2×KDP)を有し、その紫外線透過率範囲が約130nmにまで及ぶ。しかし、複屈折が0.005@1064nmと非常に小さいため、従来の位相整合は不可能になり、該結晶は紫外非線形光学結晶として用いることができない。しかし、優れた光学異方性を有するπ共役[BO3]基は、材料の複屈折の向上に有益である。したがって、[BO3]、[BO4]および[PO4]基を有するホウリン酸塩を設計・合成することは、深紫外非線形光学材料を設計する有効な手段である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の第一の目的は、一連のアルカリ金属ホウリン酸塩化合物および調製方法を提供することである。
【0005】
本発明の第二の目的は、一連のアルカリ金属ホウリン酸塩非線形光学結晶および調製方法を提供することである。
【0006】
本発明の第三の目的は、一連のアルカリ金属ホウリン酸塩非線形光学結晶の応用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の目的は以下のように達成される。
【0008】
本発明は、一連のアルカリ金属ホウリン酸塩化合物を提供することを目的とし、該一連のアルカリ金属ホウリン酸塩化合物の化学式はA3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)であり、分子式は、それぞれK3B11P2O23、Rb3B11P2O23、Cs3B11P2O23または(NH4)3B11P2O23であり、分子量は、それぞれ666.15、805.26、947.57および602.97であることを特徴とする。固相反応法または水熱法または溶液法を用いて、以下の化学反応式に従って一連のアルカリ金属ホウリン酸塩化合物を調製する。
【0009】
1)3A2CO3(A=K、Rb、Cs、NH4)+22H3BO3+4NH4H2PO4→2A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)+39H2O↑+3CO2↑+4NH3↑
2)3AOH(A=K、Rb、Cs、NH4)+11H3BO3+P2O5→A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)+18H2O↑
3)3A2CO3(A=K、Rb、Cs、NH4)+22H3BO3+2P2O5→2A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)+33H2O↑+3CO2↑
4)3A2O(A=K、Rb、Cs、NH4)+22H3BO3+2P2O5→2A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)+33H2O↑
5)3AF(A=K、Rb、Cs、NH4)+11H3BO3+2NH4H2PO4→A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)+18H2O↑+3HF↑+2NH3↑
6)3A2CO3(A=K、Rb、Cs、NH4)+11B2O3+4NH4H2PO4→2A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)+6H2O↑+3CO2↑+4NH3↑
7)3A2CO3(A=K、Rb、Cs、NH4)+11B2O3+2P2O5→2A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)+3CO2↑
8)3AH2PO4(A=K、Rb、Cs、NH4)+5.5B2O3→A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)+1.5H2O↑+H3PO4
9)3A2HPO4(A=K、Rb、Cs、NH4)+11B2O3+0.5P2O5→2A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)+1.5H2O↑
10)6AOH(A=K、Rb、Cs、NH4)+11B2O3+2P2O5→2A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)+3H2O↑
11)12AH2PO4(A=K、Rb、Cs、NH4)+22H3B2O3+2P2O5→4A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)+33H2↑+8H3PO4
12)6ACl(A=K、Rb、Cs、NH4)+11B2O3+4NH4H2PO4→2A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)+6HCl↑+4NH3↑+3H2O↑
13)6ACl(A=K、Rb、Cs、NH4)+22H3BO3+2P2O5→2A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)+6HCl↑+30H2O↑
【0010】
本発明の第二の目的は以下のように達成される。
【0011】
本発明は、一連のアルカリ金属ホウリン酸塩非線形光学結晶を提供することを目的とし、該一連のアルカリ金属ホウリン酸塩非線形光学結晶の化学式はA
3B
11P
2O
23であり、ここでA=K、Rb、Cs、NH
4であり、対称中心を有さず、三方晶系、空間群R3に属し、単位格子パラメータは
【化1】
、α=90°、β=90°、γ=120°、Z=3であることを特徴とする。高温融液法、水熱法または溶液法を用いて、一連のアルカリ金属ホウリン酸塩非線形光学結晶を成長させる。
【0012】
前記高温融液法を用いてA3B11P2O23を成長させ、ここでA=K、Rb、Cs、NH4非線形光学結晶であり、分子式は、それぞれK3B11P2O23、Rb3B11P2O23、Cs3B11P2O23または(NH4)3B11P2O23であり、具体的な操作は以下のステップに従って行われる。
【0013】
a、一連のアルカリ金属ホウリン酸塩化合物の単相多結晶粉末とフラックスを均一に混合し、温度350~800℃に加熱し、一定時間恒温し、混合融液を得、さらに温度300~750℃まで降温させ、ここで、一連のアルカリ金属ホウリン酸塩化合物の単相多結晶粉末とフラックスのモル比は1:0~20である。
【0014】
または直接A=K、Rb、Cs、NH4含有化合物、ホウ素含有化合物およびリン含有化合物の混合物、またはA=K、Rb、Cs、NH4含有化合物、ホウ素含有化合物およびリン含有化合物とフラックスの混合物を温度350~800℃に加熱し、一定時間恒温し、混合融液を得、さらに温度300~750℃まで降温させ、ここでA=K、Rb、Cs、NH4含有化合物、ホウ素含有化合物、リン含有化合物とフラックスのモル比は2.5~3.5:10.5~11.5:1.5~2.5:0~20である。
【0015】
前記フラックスは主に、アルカリ金属塩類、すなわちアルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属硝酸塩、アルカリ金属硫酸塩、アルカリ金属シュウ酸塩、アルカリ金属ホウ酸塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ金属フルオロホウ酸塩、アルカリ金属メタホウ酸塩、およびアルカリ金属酸化物、アルカリ金属水酸化物、およびリン酸一水素塩、リン酸二水素塩、酸化ホウ素、ホウ酸、リン酸、酸化鉛、フッ化鉛、酸化モリブデン、酸化ビスマスのうちの少なくとも1種または複数種を含む。
【0016】
前記一連のアルカリ金属ホウリン酸塩化合物の単相多結晶粉末は固相合成法を用いて調製され、以下のステップを含む。A=K、Rb、Cs、NH4含有化合物、ホウ素含有化合物およびリン含有化合物を混合し、固相反応法を用いて前記化合物の一連のアルカリ金属ホウリン酸塩を調製し、A=K、Rb、Cs、NH4含有化合物中の元素A=K、Rb、Cs、NH4、ホウ素含有化合物中の元素ホウ素、リン含有化合物中の元素リンのモル比は2.5~3.5:10.5~11.5:1.5~2.5であり、A=K、Rb、Cs、NH4含有化合物、ホウ素含有化合物およびリン含有化合物を均一に混合し、粉砕した後にマッフル炉に入れ、仮焼成して材料中の水分とガスを排除し、室温まで冷却し、取り出して粉砕した後にマッフル炉に入れて焼成し、350~800℃まで昇温させ、一定時間恒温し、室温まで冷却し、粉砕して調製された化合物の一連のアルカリ金属ホウ酸塩の単相多結晶粉末を取り出す。
【0017】
b、一連のアルカリ金属ホウリン酸塩の種結晶の調製:ステップaで得られた混合融液を室温まで徐々に降温させ、自発的に結晶化して、一連のアルカリ金属ホウリン酸塩の種結晶を得る。
【0018】
c、ステップaで調製された混合融液を入れた坩堝を結晶成長炉に置き、ステップbで得られた種結晶を種結晶ロッドに固定し、結晶成長炉の頂部から種結晶を降ろし、種結晶ロッドを予熱してから、種結晶を混合融液の液面に触れるまで、または混合融液内に降ろしてメルトバックを行い、一定時間恒温し、さらに飽和温度まで徐々に降温させる。
【0019】
d、引き続き徐々に降温させ、種結晶ロッドを回転させて結晶の成長を行い、単結晶が必要なサイズに成長した後、結晶を混合融液の表面から持ち上げ、室温まで徐々に降温させ、その後、結晶を炉床から取り出して、一連のアルカリ金属ホウリン酸塩非線形光学結晶を得ることができる。
【0020】
前記水熱法を用いてA3B11P2O23を成長させ、ここでA=K、Rb、Cs、NH4非線形光学結晶であり、具体的な操作は以下のステップに従って行われる。
【0021】
a、A=K、Rb、Cs、NH4含有化合物、ホウ素含有化合物およびリン含有化合物をオートクレーブのポリテトラフルオロエチレンライニングに加え、さらに脱イオン水0.1~50mLまたは鉱化剤0.1~50gを加え、十分に均一に混合して、混合液を得、ここでA=K、Rb、Cs、NH4含有化合物、ホウ素含有化合物およびリン含有化合物のモル比は2~4:10~12:1~3である。
【0022】
b、ステップaにおける混合溶液を入れたポリテトラフルオロエチレンライニングの蓋を締め、対応するオートクレーブに入れ、オートクレーブのピストンを締める。
【0023】
c、ステップbにおけるオートクレーブを恒温槽内に置き、120~330℃まで昇温させ、一定時間恒温し、さらに室温まで冷却する。
【0024】
d、オートクレーブを開け、結晶を含む溶液を濾過して、透明な一連のアルカリ金属ホウリン酸塩非線形光学結晶を得る。
【0025】
前記溶液法を用いてA3B11P2O23を成長させ、ここでA=K、Rb、Cs、NH4非線形光学結晶であり、具体的な操作は以下のステップに従って行われる。
【0026】
A=K、Rb、Cs、NH4含有化合物、ホウ素含有化合物およびリン含有化合物をビーカーに加え、さらに脱イオン水0.1~400mLを加え、溶液を透明になるまで撹拌する。その後、ビーカーを加熱台に置き、温度を25~400℃に加熱し、一定時間後、該一連のアルカリ金属ホウリン酸塩非線形光学結晶を得る。それをさらに成長させるために、該一連の結晶の種結晶を細い白金線で溶液中に懸濁させる。水の蒸発を減らすために、ビーカーをポリエチレンシートで覆い、その上に数十個のミリメートルサイズの穴を開ける。一定時間後、センチメートルサイズの一連のアルカリ金属ホウリン酸塩非線形光学結晶を溶液から取り出す。
【0027】
本発明の第三の目的は以下のように達成される。
【0028】
前記一連のアルカリ金属ホウリン酸塩非線形光学結晶製品の純度が高く、結晶が成長しやすく、かつ透明で被覆されておらず、成長速度が速く、コストが低く、大きなサイズの結晶を容易に得るなどの利点を有する。得られた結晶は、広い光透過周波数帯を有し、硬度が大きく、機械的性質に優れ、破砕と潮解しにくく、加工と保存しやすいなどの利点を有する。本発明に記載の方法を用いて得られた一連のアルカリ金属ホウリン酸塩非線形光学結晶は、デバイスの用途に応じて、少なくとも1つの入射電磁放射を少なくとも1つの非線形光学デバイスに通過させて、少なくとも1つの周波数が入射電磁放射と異なる出力放射を生成する装置を含む非線形光学デバイスとして使用可能であり、そのうちの非線形光学結晶はA3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)結晶であり、分子式は、それぞれK3B11P2O23、Rb3B11P2O23、Cs3B11P2O23または(NH4)3B11P2O23である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の化合物Rb
3B
11P
2O
23粉末のXRDスペクトル図である。
【
図2】本発明の化合物Cs
3B
11P
2O
23粉末のXRDスペクトル図である。
【
図3】本発明の一連のアルカリ金属ホウリン酸塩A
3B
11P
2O
23、A=K、Rb、Cs、NH
4の結晶構造図である。
【
図4】本発明が製造する非線形光学デバイスの動作原理図であり、ここで1はレーザーであり、2は発光ビームであり、3は一連のアルカリ金属ホウリン酸塩非線形光学結晶であり、4は出射ビームであり、5はフィルタである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面と実施例を参照して本発明を詳しく説明するが、記載された実施例に限定されるものではない。本発明に基づいてなされる改良と変化は、いずれも本発明の保護範囲内にある。
【0031】
実施例1
【0032】
反応式:3A2CO3(A=K、Rb、Cs、NH4)+22H3BO3+4NH4H2PO4→2A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)+39H2O↑+3CO2↑+4NH3↑に従って、A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)化合物を合成した。
【0033】
A2CO3(A=K、Rb、Cs、NH4)、H3BO3、P2O5をモル比3:22:4で秤量して乳鉢に入れ、混合してよく粉砕した後、Φ100mm×100mmの開放コランダム坩堝に入れ、マッフル炉に入れ、350℃まで徐々に昇温させ、24時間恒温し、室温まで冷却し、取り出して2回目の粉砕後にマッフル炉に入れ、さらに550℃まで昇温させ、24時間恒温し、室温まで冷却し、取り出して3回目の粉砕後にマッフル炉に入れ、さらに550℃で48時間恒温し、粉砕して調製された一連のアルカリ金属ホウリン酸塩化合物の単相多結晶粉末を取り出し、該生成物に対してX線分析を行い、得られたX線スペクトル図は、一連のアルカリ金属ホウリン酸塩A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)の単結晶構造から得られたX線スペクトル図と一致した。
【0034】
得られた一連のアルカリ金属ホウリン酸塩化合物A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)の単相多結晶粉末をΦ80mm×80mmの開放白金坩堝に入れ、温度30℃/hの昇温速度で650℃に加熱し、3時間恒温し、混合融液を得、さらに610℃まで降温させた。
【0035】
温度0.5℃/hの速度で室温まで徐々に降温させ、自発的に結晶化して、一連のアルカリ金属ホウリン酸塩種結晶を得た。
【0036】
化合物融液中での結晶の成長:得られたA3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)種結晶を種結晶ロッドに固定し、結晶成長炉の頂部から種結晶を降ろし、混合融液の表面で種結晶を10分間予熱してから、液面に浸し、種結晶を混合融液中でメルトバックさせ、30分間恒温し、飽和温度600℃まで急速に降温させた。
【0037】
さらに温度0.1℃/日の速度で降温させ、10rpmの回転速度で種結晶ロッドを回転させ、結晶の成長が終了した後、結晶を液面から離脱させ、温度10℃/hの速度で室温まで降温させて、サイズが56mm×40mm×30mmのA3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)結晶を得ることができた。
【0038】
実施例2
【0039】
反応式:3AOH(A=K、Rb、Cs、NH4)+11H3BO3+P2O5→A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)+18H2O↑に従って、A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)化合物を合成した。
【0040】
AOH(A=K、Rb、Cs、NH4)、H3BO3、P2O5をモル比3:11:1で原料を直接秤量し、秤量した原料とフラックスAOH(A=K、Rb、Cs、NH4)-P2O5をモル比1:4で混合配合し、ここでAOHとP2O5のモル比は3:5であり、Φ80mm×80mmの開放白金坩堝に入れ、温度800℃まで昇温させ、60時間恒温し、混合融液を得、さらに冷却して温度750℃まで降温させた。
【0041】
温度1.5℃/hの速度で室温まで徐々に降温させ、自発的に結晶化して、一連のアルカリ金属ホウリン酸塩種結晶を得た。
【0042】
得られたA3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)種結晶を種結晶ロッドに固定し、結晶成長炉の頂部から種結晶を降ろし、混合融液の表面で種結晶を10分間予熱してから、液面下に浸し、種結晶を混合融液中でメルトバックさせ、30分間恒温し、飽和温度700℃まで急速に降温させた。
【0043】
さらに温度1℃/日の速度で徐々に降温させ、種結晶ロッドを回転させず、結晶が必要なサイズに成長した後、結晶を融液の表面から持ち上げ、温度20℃/hの速度で室温まで降温させ後、結晶を炉床から取り出して、サイズが36mm×22mm×15mmのA3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)結晶を得ることができた。
【0044】
実施例3
【0045】
反応式:3A2CO3(A=K、Rb、Cs、NH4)+22H3BO3+2P2O5→2A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)+33H2O↑+3CO2↑に従って、A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)化合物を合成した。
【0046】
A2CO3(A=K、Rb、Cs、NH4)、H3BO3、P2O5をモル比3:22:2で原料を直接秤量し、秤量した原料とフラックスH3BO3-P2O5をモル比1:3で混合配合し、ここでH3BO3とP2O5のモル比は3:1であり、Φ80mm×80mmの開放白金坩堝に入れ、温度を350℃まで昇温させ、60時間恒温し、混合融液を得、さらに温度330℃まで降温させた。
【0047】
温度3.5℃/hの速度で室温まで徐々に降温させ、自発的に結晶化して、一連のアルカリ金属ホウリン酸塩種結晶を得た。
【0048】
得られたA3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)種結晶を種結晶ロッドに固定し、結晶成長炉の頂部から種結晶を降ろし、混合融液の表面で種結晶を15分間予熱してから、液面下に浸し、種結晶を混合融液中でメルトバックさせ、30分間恒温し、飽和温度315℃まで急速に降温させた。
【0049】
さらに温度3℃/日の速度で徐々に降温させ、5rpmの回転速度で種結晶坩堝を回転させ、結晶が必要なサイズに成長した後、結晶を融液の表面から持ち上げ、温度1℃/hの速度で室温まで降温させた後、結晶を炉床から取り出して、サイズが25mm×24mm×10mmのA3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)結晶を得ることができた。
【0050】
実施例4
【0051】
反応式:3A2O(A=K、Rb、Cs、NH4)+22H3BO3+2P2O5→2A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)+33H2O↑に従って、2A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)化合物を合成した。
【0052】
a、A2CO3(A=K、Rb、Cs、NH4)、H3BO3、NH4H2PO4をモル比3:22:2で原料を直接秤量し、体積が21mLのオートクレーブのポリテトラフルオロエチレンライニングに加え、さらに脱イオン水3mLを加え、十分に均一に混合して、混合液を得た。
【0053】
b、ステップaにおける混合液を入れたポリテトラフルオロエチレンライニングの蓋を締め、清潔で汚染のないオートクレーブに入れ、オートクレーブのピストンを締めた。
【0054】
c、ステップbにおけるオートクレーブを恒温槽内に置き、20℃/hの昇温速度で120℃まで昇温させ、5日間恒温し、さらに4℃/hの降温速度で室温まで冷却した。
【0055】
d、オートクレーブを開け、結晶を含む溶液を濾過して、一連のアルカリ金属ホウリン酸塩化合物を得て、得られた生成物は透明な結晶であった。
【0056】
実施例5
【0057】
反応式:3AF(A=K、Rb、Cs、NH4)+11H3BO3+2NH4H2PO4→A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)+18H2O↑+3HF↑+2NH3↑に従って、A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)化合物を合成した。
【0058】
a、AF(A=K、Rb、Cs、NH4)、H3BO3、NH4H2PO4をモル比3:11:2で原料を直接秤量し、体積が150mLのオートクレーブのポリテトラフルオロエチレンライニングに加え、さらに脱イオン水50mLを加え、十分に均一に混合して、混合液を得た。
【0059】
b、ステップaにおける混合液を入れたポリテトラフルオロエチレンライニングの蓋を締め、清潔で汚染のないオートクレーブに入れ、オートクレーブのピストンを締めた。
【0060】
c、ステップ5におけるオートクレーブを恒温槽内に置き、10℃/hの昇温速度で330℃まで昇温させ、10日間恒温し、さらに3℃/hの降温速度で室温まで冷却した。
【0061】
d、オートクレーブを開け、結晶を含む溶液を濾過して、一連のアルカリ金属ホウリン酸塩化合物を得、得られた生成物は透明な結晶であった。
【0062】
実施例6
【0063】
反応式:3A2CO3(A=K、Rb、Cs、NH4)+11B2O3+4NH4H2PO4→2A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)+6H2O↑+3CO2↑+4NH3↑に従って、A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)化合物を合成した。
【0064】
A2CO3(A=K、Rb、Cs、NH4)、B2O3、NH4H2PO4をモル比3:11:4で原料を直接秤量し、体積が10mLのビーカーに加え、さらに脱イオン水0.1mLを加え、溶液を透明になるまで撹拌した。その後、ビーカーを加熱台に置き、25℃に恒温し、2日後、該一連のアルカリ金属ホウリン酸塩非線形光学結晶を得た。それをさらに成長させるために、該一連の結晶の種結晶を細い白金線で溶液中に懸濁させた。水の蒸発を減らすために、ビーカーをポリエチレンシートで覆い、その上に数十個のミリメートルサイズの穴を開けた。3週間後、センチメートルサイズの一連のアルカリ金属ホウリン酸塩非線形光学結晶を溶液から取り出した。
【0065】
実施例7
【0066】
反応式:3A2CO3(A=K、Rb、Cs、NH4)+11B2O3+2P2O5→2A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)+3CO2↑に従って、A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)化合物を合成した。
【0067】
A2CO3(A=K、Rb、Cs、NH4)、B2O3、P2O5をモル比3:11:2で原料を直接秤量し、体積が1000mLのビーカーに加え、さらに脱イオン水400mLを加え、溶液を透明になるまで撹拌した。その後、ビーカーを加熱台に置き、温度を400℃に加熱し、7日後、該一連のアルカリ金属ホウリン酸塩非線形光学結晶を得た。それをさらに成長させるために、該一連の結晶の種結晶を細い白金線で溶液中に懸濁させた。水の蒸発を減らすために、ビーカーをポリエチレンシートで覆い、その上に数十個のミリメートルサイズの穴を開けた。5週間後、センチメートルサイズの一連のアルカリ金属ホウリン酸塩非線形光学結晶を溶液から取り出した。
【0068】
実施例8
【0069】
反応式:3AH2PO4(A=K、Rb、Cs、NH4)+5.5B2O3→A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)+1.5H2O↑+H3PO4に従って、A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)化合物を合成した。
【0070】
AH2PO4(A=K、Rb、Cs、NH4)、B2O3をモル比3:5.5で原料を直接秤量し、秤量した原料とフラックスAOH(A=K、Rb、Cs、NH4)-PbOをモル比4:7で混合配合し、ここでAOH(A=K、Rb、Cs、NH4)とPbOのモル比は1:6であり、Φ80mm×80mmの開放白金坩堝に入れ、温度350℃に昇温させ、60時間恒温し、混合融液を得、さらに温度330℃まで降温させた。
【0071】
温度3.5℃/hの速度で室温まで徐々に降温させ、自発的に結晶化して、一連のアルカリ金属ホウリン酸塩種結晶を得た。
【0072】
得られたA3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)種結晶を種結晶ロッドに固定し、結晶成長炉の頂部から種結晶を降ろし、混合融液の表面で種結晶を15分間予熱してから、液面下に浸し、種結晶を混合融液中でメルトバックさせ、30分間恒温し、飽和温度315℃に急速に降温させた。
【0073】
さらに温度3℃/日の速度で徐々に降温させ、5rpmの回転速度で種結晶坩堝を回転させ、結晶が必要なサイズに成長した後、結晶を融液の表面から持ち上げ、温度1℃/hの速度で室温まで降温させた後、結晶を炉床から取り出し、サイズが25mm×24mm×10mmのA3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)結晶を得ることができた。
【0074】
実施例9
【0075】
反応式:3A2HPO4(A=K、Rb、Cs、NH4)+11B2O3+0.5P2O5→2A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)+1.5H2O↑、A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)化合物を合成した。
【0076】
A2HPO4(A=K、Rb、Cs、NH4)、B2O3、P2O5をモル比3:11:0.5で原料を直接秤量し、秤量した原料とフラックスA2CO3(A=K、Rb、Cs、NH4)-H3BO3-NH4H2PO4をモル比5:2で混合配合し、ここでA2CO3(A=K、Rb、Cs、NH4)、H3BO3とNH4H2PO4のモル比は5:16:16であり、Φ80mm×80mmの開放白金坩堝に入れ、温度550℃まで昇温させ、60時間恒温し、混合融液を得、さらに温度530℃まで降温させた。
【0077】
温度3.5℃/hの速度で室温まで徐々に降温させ、自発的に結晶化して、一連のアルカリ金属ホウリン酸塩種結晶を得た。
【0078】
得られたA3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)種結晶を種結晶ロッドに固定し、結晶成長炉の頂部から種結晶を降ろし、混合融液の表面で種結晶を15分間予熱してから、液面下に浸し、種結晶を混合融液中でメルトバックさせ、30分間恒温し、飽和温度515℃に急速に降温させた。
【0079】
さらに温度3℃/日の速度で徐々に降温させ、5rpmの回転速度で種結晶坩堝を回転させ、結晶が必要なサイズに成長した後、結晶を融液の表面から持ち上げ、温度1℃/hの速度で室温まで降温させた後、結晶を炉床から取り出し、サイズが25mm×24mm×10mmのA3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)結晶を得ることができた。
【0080】
実施例10
【0081】
反応式:6AOH(A=K、Rb、Cs、NH4)+11B2O3+2P2O5→2A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)+3H2O↑、A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)化合物を合成した。
【0082】
AOH(A=K、Rb、Cs、NH4)、B2O3、P2O5をモル比6:11:2で原料を直接秤量し、秤量した原料とフラックスABF4(A=K、Rb、Cs、NH4)-MoO3をモル比9:3で混合配合し、ここでH3BO3とP2O5のモル比は4:7であり、Φ80mm×80mmの開放白金坩堝に入れ、温度450℃まで昇温させ、60時間恒温し、混合融液を得、さらに温度400℃まで降温させた。
【0083】
温度3.5℃/hの速度で室温まで徐々に降温させ、自発的に結晶化して、一連のアルカリ金属ホウリン酸塩種結晶を得た。
【0084】
得られたA3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)種結晶を種結晶ロッドに固定し、結晶成長炉の頂部から種結晶を降ろし、混合融液の表面で種結晶を15分間予熱してから、液面下に浸し、種結晶を混合融液中でメルトバックさせ、30分間恒温し、飽和温度405℃まで急速に降温させた。
【0085】
さらに温度3℃/日の速度で徐々に降温させ、5rpmの回転速度で種結晶坩堝を回転させ、結晶が必要なサイズに成長した後、結晶を融液の表面から持ち上げ、温度1℃/hの速度で室温まで降温させた後、結晶を炉床から取り出して、サイズが25mm×24mm×10mmのA3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)結晶を得ることができた。
【0086】
実施例11
【0087】
反応式:12AH2PO4(A=K、Rb、Cs、NH4)+22H3B2O3+2P2O5→4A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)+33H2↑+8H3PO4に従って、2A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)化合物を合成した。
【0088】
a、AH2PO4(A=K、Rb、Cs、NH4)、H3BO3、P2O5をモル比12:22:2で原料を直接秤量し、体積が100mLのオートクレーブのポリテトラフルオロエチレンライニングに加え、さらにホウ酸50gを加え、十分に均一に混合して、混合液を得た。
【0089】
b、ステップaにおける混合液を入れたポリテトラフルオロエチレンライニングの蓋を締め、清潔で汚染のないオートクレーブに入れ、オートクレーブのピストンを締めた。
【0090】
c、ステップbにおけるオートクレーブを恒温槽内に置き、20℃/hの昇温速度で180℃まで昇温させ、10日間恒温し、さらに4℃/hの降温速度で室温まで冷却した。
【0091】
d、オートクレーブを開け、結晶を含む溶液を濾過して、一連のアルカリ金属ホウリン酸塩化合物を得、得られた生成物は透明な結晶であった。
【0092】
実施例12
【0093】
反応式:6ACl(A=K、Rb、Cs、NH4)+11B2O3+4NH4H2PO4→2A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)+6HCl↑+4NH3↑+3H2O↑に従って、A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)化合物を合成した。
【0094】
a、ACl(A=K、Rb、Cs、NH4)、B2O3、NH4H2PO4をモル比6:11:4で原料を直接秤量し、体積が21mLのオートクレーブのポリテトラフルオロエチレンライニングに加え、さらにリン酸0.1gを加え、十分に均一に混合して、混合液を得た。
【0095】
b、ステップaにおける混合液を入れたポリテトラフルオロエチレンライニングの蓋を締め、清潔で汚染のないオートクレーブに入れ、オートクレーブのピストンを締めた。
【0096】
c、ステップbにおけるオートクレーブを恒温槽内に置き、10℃/hの昇温速度で160℃まで昇温させ、11日間恒温し、さらに4℃/hの降温速度で室温まで冷却した。
【0097】
d、オートクレーブを開け、結晶を含む溶液を濾過して、一連のアルカリ金属ホウリン酸塩化合物を得、得られた生成物は透明な結晶であった。
【0098】
実施例13
【0099】
反応式:6ACl(A=K、Rb、Cs、NH4)+22H3BO3+2P2O5→2A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)+6HCl↑+30H2O↑に従って、A3B11P2O23(A=K、Rb、Cs、NH4)化合物を合成した。
【0100】
ACl(A=K、Rb、Cs、NH4)、H3BO3、P2O5をモル比6:22:2で原料を直接秤量し、体積が10mLのビーカーに加え、さらに脱イオン水0.1mLを加え、溶液が透明になるまで撹拌した。その後、ビーカーを加熱台に置き、温度を400℃に加熱し、7日後、該一連のアルカリ金属ホウリン酸塩非線形光学結晶を得た。それをさらに成長させるために、該一連の結晶の種結晶を細い白金線で溶液中に懸濁させた。水の蒸発を減らすために、ビーカーをポリエチレンシートで覆い、その上に数十個のミリメートルサイズの穴を開けた。5週間後、センチメートルサイズの一連のアルカリ金属ホウリン酸塩非線形光学結晶を溶液から取り出した。
【0101】
実施例14
【0102】
実施例1~13で得られた任意のK
3B
11P
2O
23、Rb
3B
11P
2O
23、Cs
3B
11P
2O
23または(NH
4)
3B
11P
2O
23結晶を整合方向に従って単結晶デバイスに加工し、
図4に示すように3の位置に配置し、室温で、波長が1064nmのNd:YAG Qスイッチレーザー光源をポンプ源とし、K
3B
11P
2O
23、Rb
3B
11P
2O
23、Cs
3B
11P
2O
23または(NH
4)
3B
11P
2O
23非線形光学結晶3に入射し、波長が532nmの周波数逓倍光を生成し、出射ビーム4は、波長が1064nmの赤外光と532nmの周波数逓倍光を含み、フィルタ5で濾過した後、波長が532nmのレーザー光を得た。
【0103】
実施例15
【0104】
実施例1~13で得られた任意のK
3B
11P
2O
23、Rb
3B
11P
2O
23、Cs
3B
11P
2O
23または(NH
4)
3B
11P
2O
23結晶を整合方向に従って単結晶デバイスに加工し、
図4に示すように3の位置に配置し、室温で、波長が532nmのNd:YAG Qスイッチレーザー光源をポンプ源とし、K
3B
11P
2O
23、Rb
3B
11P
2O
23、Cs
3B
11P
2O
23または(NH
4)
3B
11P
2O
23非線形光学結晶3に入射し、波長が266nmの周波数逓倍光を生成し、出射ビーム4は、波長が532nmおよび266nmの周波数逓倍光を含み、フィルタ5で濾過した後、波長が266nmのレーザー光を得た。
【0105】
実施例16
【0106】
実施例1~13で得られた任意のK3B11P2O23、Rb3B11P2O23、Cs3B11P2O23または(NH4)3B11P2O23結晶を、指向性切断と研磨加工処理を経て単結晶デバイスに製造し、1064nmのNd:YAG Qスイッチレーザー光源をポンプ源とし、波長が266nm未満のレーザー出力を生成した。