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特開2024-31786集光レンズ、集光レンズ付き光検出器、及び集光レンズユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031786
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】集光レンズ、集光レンズ付き光検出器、及び集光レンズユニット
(51)【国際特許分類】
   G02B 17/00 20060101AFI20240229BHJP
   G02B 3/04 20060101ALI20240229BHJP
   G02B 3/08 20060101ALI20240229BHJP
   G02B 5/08 20060101ALI20240229BHJP
   G02B 5/10 20060101ALI20240229BHJP
   G02B 13/00 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
G02B17/00
G02B3/04
G02B3/08
G02B5/08 A
G02B5/10
G02B13/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071466
(22)【出願日】2023-04-25
(31)【優先権主張番号】22191693.5
(32)【優先日】2022-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】511281578
【氏名又は名称】フレイエ ユニヴェルシテイト ブリュッセル
【氏名又は名称原語表記】VRIJE UNIVERSITEIT BRUSSEL
【住所又は居所原語表記】Pleinlaan 2, B-1050 Elsene, Belgium
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100177910
【弁理士】
【氏名又は名称】木津 正晴
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】松本 逸
(72)【発明者】
【氏名】村松 博一
(72)【発明者】
【氏名】ニェ ユンフェン
(72)【発明者】
【氏名】オットヴェール ハイディ
(72)【発明者】
【氏名】ティエンポン ヒューゴ
【テーマコード(参考)】
2H042
2H087
【Fターム(参考)】
2H042DA02
2H042DA17
2H042DD09
2H087LA01
2H087PA01
2H087PB01
2H087QA02
2H087QA06
2H087TA01
2H087TA04
(57)【要約】
【課題】薄型化及び高効率化を図ることができる集光レンズ、集光レンズ付き光検出器、及び集光レンズユニットを提供する。
【解決手段】集光レンズは、光軸方向における第1側の表面である入射面と、光軸方向における第2側の表面である出射面及び反射面と、を備える。入射面は、光軸方向から見た場合に、中央部と、中央部を囲む外側部と、を有する。入射面は、中央部の中心に向かって窪む凹部の内面によって形成されている。反射面は、光軸方向から見た場合に、出射面を囲んでいる。反射面は、外側に向かうほど第1側に向かうように延在している。入射面の外側部に入射した第1光は、外側部を透過して反射面で反射され、それから入射面で反射されて出射面に入射する。入射面の中央部に入射した第2光は、中央部を透過して出射面に入射する。入射面の中央部は、反射面で反射された第1光を出射面に向けて反射させると共に、第2光を透過させる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸方向に沿って入射した光を集光して出射させるための集光レンズであって、
前記光軸方向における第1側の表面である入射面と、
前記光軸方向における第2側の表面である出射面及び反射面と、を備え、
前記入射面は、前記光軸方向から見た場合に、中央部と、前記中央部を囲む外側部と、を有し、
前記入射面は、前記中央部の中心に向かって窪む凹部の内面によって形成されており、
前記反射面は、前記光軸方向から見た場合に、前記出射面を囲んでおり、
前記反射面は、外側に向かうほど前記第1側に向かうように延在しており、
前記入射面の前記外側部に入射した第1光は、前記外側部を透過して前記反射面で反射され、前記入射面で反射されて前記出射面に入射し、
前記入射面の前記中央部に入射した第2光は、前記中央部を透過して前記出射面に入射し、
前記中央部は、前記反射面で反射された前記第1光を前記出射面に向けて反射させると共に、前記第2光を透過させる、集光レンズ。
【請求項2】
前記出射面は、前記光軸方向に垂直な平坦面である、請求項1に記載の集光レンズ。
【請求項3】
前記出射面は、前記出射面の中心に向かって窪む凹部の内面によって形成されている、請求項1に記載の集光レンズ。
【請求項4】
前記出射面は、前記出射面の中心に向かって窪むように湾曲している、請求項3に記載の集光レンズ。
【請求項5】
前記入射面において前記光軸方向に平行に入射した光が前記出射面に入射しない領域を非有効領域とすると、
前記光軸方向に平行な光に対する前記集光レンズの集光効率が50%以上となるように、前記入射面に前記非有効領域が設定されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の集光レンズ。
【請求項6】
前記入射面において前記光軸方向に平行に入射した光が前記出射面に入射しない領域を非有効領域とすると、
前記非有効領域の面積が前記入射面全体の面積の50%以下となるように、前記入射面に前記非有効領域が設定されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の集光レンズ。
【請求項7】
前記入射面において前記光軸方向に平行に入射した光が前記出射面に入射しない領域を非有効領域とすると、
前記入射面は、前記非有効領域を有していない、請求項1~4のいずれか一項に記載の集光レンズ。
【請求項8】
前記光軸方向に垂直な断面において、前記入射面は、互いに向かい合う一対の部分を有しており、前記一対の部分の各々は、前記第1側に向かって膨らむように湾曲している、請求項1~4のいずれか一項に記載の集光レンズ。
【請求項9】
前記光軸方向に垂直な断面において、前記反射面は、第1部分と、前記第1部分に対して前記第1側に位置する第2部分と、を有し、前記第1部分は、前記第2側に向かって膨らむように湾曲しており、前記第2部分は、前記第1側に向かって窪むように湾曲している、請求項1~4のいずれか一項に記載の集光レンズ。
【請求項10】
前記反射面は、前記反射面上に反射層が形成されていることにより、光を反射させる、請求項1~4のいずれか一項に記載の集光レンズ。
【請求項11】
前記入射面は、前記入射面上に反射防止層が形成されていることにより、光の反射を防止する、請求項1~4のいずれか一項に記載の集光レンズ。
【請求項12】
受光面を有する光検出部と、
前記出射面が前記受光面と向かい合うように配置された請求項1~4のいずれか一項に記載の集光レンズと、を備える、集光レンズ付き光検出器。
【請求項13】
前記出射面と前記受光面とが光学カップリング剤を介して互いに接続されている、請求項12に記載の集光レンズ付き光検出器。
【請求項14】
請求項1~4のいずれか一項に記載の集光レンズと、
前記集光レンズと組み合わせられた反射部材と、を備え、
前記反射部材は、光を反射させる反射面を有し、
前記集光レンズの前記反射面は、前記反射部材の前記反射面が前記集光レンズの前記反射面に沿って配置されていることにより、光を反射させる、集光レンズユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の一側面は、集光レンズ、集光レンズ付き光検出器、及び集光レンズユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、光源から到来する光を光検出器の受光面に効率的に入射させるために、受光面上に集光レンズを配置し、集光レンズによって光を集光する場合がある。一方、非特許文献「K.Okamoto, N.Yamada, Optical and thermal analysis of a solarconcentrator for CPV modules based on LED package technology, Proceedings ofthe 23rd International Photovoltaic Science and Engineering Conference(PVSEC-23), Taiwan (28 October - 1 November, 2013), 4-P-42.」には、屈折、反射及び全反射を利用した太陽光用のRXI集光器(concentrator)が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記非特許文献に記載されたRXI集光器の形状を集光レンズの形状として採用した場合、集光レンズを薄型化し得る。一方、集光レンズには、集光効率を高めることが求められる。通常、集光効率を高めるためには大きな光学系が必要となり、特に光軸方向における長さを長くする必要があり、薄型化と相反する。
【0004】
本開示の一側面は、薄型化及び高効率化を図ることができる集光レンズ、集光レンズ付き光検出器、及び集光レンズユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る集光レンズは、光軸方向に沿って入射した光を集光して出射させるための集光レンズであって、光軸方向における第1側の表面である入射面と、光軸方向における第2側の表面である出射面及び反射面と、を備え、入射面は、光軸方向から見た場合に、中央部と、中央部を囲む外側部と、を有し、入射面は、中央部の中心に向かって窪む凹部の内面によって形成されており、反射面は、光軸方向から見た場合に、出射面を囲んでおり、反射面は、外側に向かうほど第1側に向かうように延在しており、入射面の外側部に入射した第1光は、外側部を透過して反射面で反射され、入射面で再度反射されてそれから出射面に入射し、入射面の中央部に入射した第2光は、中央部を透過して出射面に入射し、中央部は、反射面で反射された第1光を出射面に向けて反射させると共に、第2光を透過させる。
【0006】
この集光レンズでは、入射面の外側部に入射した第1光は、外側部を透過して反射面で反射され、入射面で反射されて出射面に入射する。一方、入射面の中央部に入射した第2光は、中央部を透過して出射面に入射する。中央部は、反射面で反射された第1光を出射面に向けて反射させると共に、第2光を透過させる。すなわち、中央部は、反射面で反射された第1光を出射面に向けて反射させる反射面として機能すると共に、第2光を透過(屈折)させる透過面としても機能する。この集光レンズでは、第1光が進行する第1系統と第2光が進行する第2系統の2つの系統の光路が存在しており、第1系統及び第2系統の2つの光路が空間的に重なっている。これにより、薄型化及び高効率化を図ることができる。
【0007】
出射面は、光軸方向に垂直な平坦面であってもよい。この場合、例えば光検出器の受光面又は窓部材上に出射面を好適に配置することができる。
【0008】
出射面は、出射面の中心に向かって窪む凹部の内面によって形成されていてもよい。この場合、集光レンズ内を進行して出射面に入射した光が全反射されることを抑制することができる。
【0009】
出射面は、出射面の中心に向かって窪むように湾曲してもよい。この場合、集光レンズ内を進行して出射面に入射した光が全反射されることを抑制することができる。
【0010】
入射面において光軸方向に平行に入射した光が出射面に入射しない領域を非有効領域とすると、光軸方向に平行な光に対する集光レンズの集光効率が50%以上となるように、入射面に非有効領域が設定されていてもよい。この場合、入射面が非有効領域を含むことで、入射面を広くすることができる。また、入射面を広くしつつ、集光効率を50%以上とすることができる。
【0011】
入射面において光軸方向に平行に入射した光が出射面に入射しない領域を非有効領域とすると、非有効領域の面積が入射面全体の面積の50%以下となるように、入射面に非有効領域が設定されていてもよい。この場合、入射面が非有効領域を含むことで、入射面を広くすることができる。また、非有効領域の面積が入射面全体の面積の50%以下であることで、入射面を広くしつつ、集光効率を高めることができる。
【0012】
入射面において光軸方向に平行に入射した光が出射面に入射しない領域を非有効領域とすると、入射面は、非有効領域を有していなくてもよい。この場合、入射面を狭くして小型化を図ることができると共に、集光効率を高めることができる。
【0013】
光軸方向に垂直な断面において、入射面は、互いに向かい合う一対の部分を有しており、一対の部分の各々は、第1側に向かって膨らむように湾曲していてもよい。この場合、第1系統及び第2系統の2つの光路を好適に実現することができる。
【0014】
光軸方向に垂直な断面において、反射面は、第1部分と、第1部分に対して第1側に位置する第2部分と、を有し、第1部分は、第2側に向かって膨らむように湾曲しており、第2部分は、第1側に向かって窪むように湾曲していてもよい。この場合、反射面に入射した第1光を入射面に向けて好適に反射させることができる。
【0015】
反射面は、反射面上に反射層が形成されていることにより、光を反射させてもよい。この場合、反射面に入射した第1光を好適に反射させることができる。
【0016】
入射面は、入射面上に反射防止層が形成されていることにより、光の反射を防止してもよい。この場合、入射光が入射面を好適に透過する。
【0017】
本開示の一側面に係る集光レンズ付き光検出器は、受光面を有する光検出部と、出射面が受光面と向かい合うように配置された上記集光レンズと、を備える。この集光レンズ付き光検出器によれば、上述した理由により、薄型化及び高効率化を図ることができる。
【0018】
出射面と受光面とが光学カップリング剤を介して互いに接続されていてもよい。この場合、集光レンズ内を進行して出射面に入射した光が全反射されることを抑制することができる。
【0019】
本開示の一側面に係る集光レンズユニットは、上記集光レンズと、集光レンズと組み合わせられた反射部材と、を備え、反射部材は、光を反射させる反射面を有し、集光レンズの反射面は、反射部材の反射面が集光レンズの反射面に沿って配置されていることにより、光を反射させる。この集光レンズユニットによれば、上述した理由により、薄型化及び高効率化を図ることができる。反射部材が集光レンズと組み合わせられているため、強度を向上することができる。
【発明の効果】
【0020】
本開示の一側面によれば、薄型化及び高効率化を図ることができる集光レンズ、集光レンズ付き光検出器、及び集光レンズユニットを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、実施形態に係る集光レンズ付き光検出器の断面図である。
図2図2は、実施形態に係る集光レンズの斜視図である。
図3図3(a)は第1系統を説明するための図であり、図3(b)は第2系統を説明するための図である。
図4図4は、集光レンズにおける2つの光路を説明するための図である。
図5図5(a)、図5(b)及び図5(c)は、それぞれ、光軸方向に対して5度、10度、20度傾斜して光が入射した場合の光路を示す図である。
図6図6は、第1シミュレーションを説明するための図である。
図7図7(a)及び図7(b)は、第1シミュレーションの結果を示すグラフである。
図8図8は、第2シミュレーションを説明するための図である。
図9図9は、第2シミュレーションの結果を示すグラフである。
図10図10は、第3シミュレーションの結果を示すグラフである。
図11図11は、第4シミュレーションを説明するための図である。
図12図12は、第4シミュレーションの結果を示すグラフである。
図13図13(a)は実施形態の集光レンズを示す図であり、図13(b)は第1変形例の集光レンズを示す図である。
図14図14は、第5シミュレーションの結果を示すグラフである。
図15図15(a)、図15(b)及び図15(c)は、第2変形例を説明するための図である。
図16図16(a)及び図16(b)は、第3変形例の集光レンズを示す図である。
図17図17は、第4変形例の集光レンズを示す図である。
図18図18(a)及び図18(b)は、第4変形例の集光レンズを示す図である。
図19図19は、第6シミュレーションの結果を示すグラフである。
図20図20(a)、図20(b)及び図20(c)は、他の変形例を説明するための図である。
図21図21(a)は集光レンズユニットの断面図であり、図21(b)は集光レンズユニットの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
【0023】
図1に示されるように、集光レンズ付き光検出器1(以下、単に光検出器1ともいう)は、光検出部2と、集光レンズ10とを備えている。光検出部2は、この例では略直方体状に形成された光電子増倍管(PMT:Photomultiplier Tube)であり、光透過性を有する窓部材3の内面上に光電面である受光面2aを有している。光電子増倍管では、受光面2aへの光の入射により放出された光電子が増幅されて検出される。或いは、光検出部2は、半導体により形成された固体素子を含んで構成されていてもよい。窓部材3の外面上には、窓部材3を介して受光面2aと向かい合うように集光レンズ10が配置されている。
【0024】
集光レンズ10は、光軸方向Dに沿って入射した光を集光して出射させるための集光レンズである。光軸方向Dは、集光レンズ10の光軸Lに平行な方向である。集光レンズ10は、後述する反射層43を除き、例えばガラス等の透光性材料により形成されている。当該透光性材料は、集光レンズ10の屈折率が1.48以上、好ましくは1.8以上となるように選択され得る。この例では、集光レンズ10は、扁平な略円錐台形状に形成されている。
【0025】
図1及び図2に示されるように、集光レンズ10は、入射面20と、出射面30と、反射面40と、側面45とを備えている。入射面20は、光軸方向Dにおける第1側S1の表面であり、出射面30及び反射面40は、光軸方向Dにおける第2側S2の表面である。第2側S2は、第1側S1とは反対側である。図1及び図2において、第1側S1は図中上側であり、第2側S2は図中下側である。
【0026】
入射面20には、光軸方向Dにおける第1側S1から光が入射する。入射面20は、光軸方向Dにおける第1側S1を向いている。入射面20は、光軸方向Dから見た場合に、中央部21と、中央部21を囲む外側部22とを有している。中央部21は、例えば、光軸L上に位置し、光軸方向Dから見た場合に円形状を呈する領域である。外側部22は、例えば、入射面20の外縁部(外周部)を構成し、光軸方向Dから見た場合に中央部21を包囲する円環状を呈する領域である。
【0027】
入射面20は、中央部21の中心21aに向かって窪む凹部(凹面部)23の内面によって形成されている。この例では、凹部23は、中心21aに向けて尖った略円錐状に形成されている。光軸方向Dに垂直な断面(例えば図1に示される断面)において、入射面20は、互いに向かい合う一対の部分20aを有している。一対の部分20aは、光軸方向Dに垂直な方向において互いに向かい合っており、中央部21の中心21aにおいて互いに接続されている。各部分20aは、中心21aから径方向(光軸方向Dに垂直な方向)における外側に向かって延在している。各部分20aは、外側に向かうほど第1側S1に向かうように延在している。各部分20aは、第1側S1に向かって膨らむように湾曲している。各部分20aは、例えば円弧状に湾曲した円弧面となっている。この例では、集光レンズ10は周方向に関して一様な形状を有しており、入射面20は、光軸方向Dに垂直ないずれの断面においても同一の形状を有している。
【0028】
入射面20上には、全面にわたって反射防止層24が形成されている。反射防止層24は、例えばMgF等の所望の光学特性を備えた材料の蒸着により入射面20上に形成された反射防止膜である。反射防止層24は、入射光が入射面20において反射されてしまい集光レンズ10内に導光されないことを防止する。
【0029】
出射面30は、入射面20に入射して集光レンズ10内において集光された光、及び集光レンズ10内を透過(屈折)した光が出射する表面である。出射面30は、光軸L上に位置しており、入射面20の中央部21と光軸方向Dにおいて向かい合っている。この例では、出射面30は、光軸方向Dに垂直な平坦面であり、円形状に形成されている。出射面30は、窓部材3を介して光検出部2の受光面2aと向かい合っている。
【0030】
出射面30と窓部材3との間には光学カップリング剤5が配置されており、出射面30と受光面2aとは光学カップリング剤5を介して互いに接続されている。光学カップリング剤5は、例えば光学グリスにより層状に形成されており、出射面30の全面に接触している。光学カップリング剤5は、集光レンズ10の屈折率と窓部材3の屈折率の間の屈折率を有している。
【0031】
反射面40は、集光レンズ10内を進行して反射面40に入射した光を反射させる表面である。反射面40は、光軸方向Dから見た場合に、出射面30を囲んでいる。この例では、反射面40は、略円錐台形状の面であり、光軸方向Dから見た場合に円環状を呈している。反射面40は、入射面20の外側部22と光軸方向Dにおいて向かい合っている。
【0032】
反射面40は、出射面30の外縁から径方向における外側に向かって延在している。反射面40は、外側に向かうほど第1側S1に向かうように延在している。反射面40は、第1部分41と、第1部分41に対して第1側S1に位置する第2部分42とを有している。第1部分41は、第2側S2に向かって膨らむように湾曲している。第2部分42は、第1側S1に向かって窪むように湾曲している。すなわち、反射面40は、光軸方向Dに垂直な断面において略S字状に湾曲している。
【0033】
反射面40上には、全面にわたって反射層43が形成されている。反射層43は、例えばアルミニウム等の金属材料の蒸着により反射面40上に形成された反射膜である。反射面40は、反射層43が形成されていることにより光を反射させる。この例では、反射面40の外縁と入射面20の外縁とは、側面45により互いに接続されている。側面45は、光軸Lを中心線とする円筒状の面である。
【0034】
図3(a)~図5(c)を参照しつつ、集光レンズ10内を光が進行する光路について説明する。集光レンズ10では、第1系統及び第2系統の2つの系統の光路が存在している。第1系統は、入射面20の外側部22に入射した第1光L1が出射面30へ進行する光路であり、第2系統は、入射面20の中央部21に入射した第2光L2が出射面30へ進行する光路である。集光レンズ10では、第1系統及び第2系統の2つの光路が空間的に重なっており、それにより集光レンズ10の薄型化及び高効率化が図られている。
【0035】
図3(a)は第1系統を説明するための図であり、図3(b)は第2系統を説明するための図である。図3(b)では、入射面20の外側部22が省略されている。図4には、第1系統及び第2系統の両方の光路が示されている。図3(a)、図3(b)及び図4では、光が光軸方向Dに平行に入射面20に入射する場合の光路の例が示されている。
【0036】
図3(a)に示されるように、外側部22に入射した第1光L1は、外側部22を透過して反射面40で反射される。外側部22を透過する際、第1光L1は屈折する。外側部22への入射位置に応じて、第1光L1は、反射面40の第1部分41又は第2部分42のいずれかにより反射される。この例では、外側部22における内側部分を透過した第1光L1は第1部分41で反射され、外側部22における外側部分を透過した第1光L1は第2部分42で反射される。続いて、第1光L1は、入射面20で反射されて出射面30に入射する。第1光L1の入射面20における反射は全反射である。外側部22への入射位置に応じて、第1光L1は、入射面20の中央部21又は外側部22のいずれかにより反射される。その後、第1光L1は、出射面30を透過して出射面30から出射され、窓部材3を透過して光検出部2の受光面2aに入射する。
【0037】
図3(b)に示されるように、入射面20の中央部21に入射した第2光L2は、中央部21を透過して出射面30に入射する。中央部21を透過する際、第2光L2は屈折する。その後、第2光L2は、出射面30を透過して出射面30から出射され、窓部材3を透過して光検出部2の受光面2aに入射する。このように、中央部21は第2光L2を透過させる。また、上述したとおり、中央部21は、反射面40で反射された第1光L1を出射面30に向けて反射させる反射面としても機能する。すなわち、中央部21は、反射面40で反射された第1光L1を出射面30に向けて反射させる反射面として機能すると共に、第2光L2を透過(屈折)させる透過面としても機能する。そのため、図4に示されるように、集光レンズ10では、第1系統及び第2系統の2つの光路が空間的に重なっている。より具体的には、第1系統及び第2系統の光路の両方が、集光レンズ10において光軸方向Dから見た場合に中央部21と重なる領域を通っている。
【0038】
図5(a)、図5(b)及び図5(c)は、それぞれ、光軸方向Dに対して5度、10度、20度傾斜して光が入射面20に入射した場合の光路を示す図である。図5(a)~図5(c)に示されるように、光軸方向Dに対して傾斜して光が入射した場合にも、光軸方向Dに平行に光が入射した場合と同様に、第1光L1及び第2光L2は集光レンズ10内を進行して出射面30に入射する。この場合にも、第1系統及び第2系統の2つの光路は空間的に重なっている。このように、集光レンズ10は、光軸方向Dに平行に入射する光の集光だけでなく、光軸方向Dに対して傾斜して入射する光の集光にも有効である。したがって、集光レンズ10は、散乱光の集光にも好適に用いられ得る。
[作用及び効果]
【0039】
集光レンズ10では、入射面20の外側部22に入射した第1光L1は、外側部22を透過して反射面40で反射され、入射面20で反射されて出射面30に入射する。一方、入射面20の中央部21に入射した第2光L2は、中央部21を透過して出射面30に入射する。中央部21は、反射面40で反射された第1光L1を出射面30に向けて反射させると共に、第2光L2を透過させる。すなわち、中央部21は、反射面40で反射された第1光L1を出射面30に向けて反射させる反射面40として機能すると共に、第2光L2を透過(屈折)させる透過面としても機能する。集光レンズ10では、第1光L1が進行する第1系統と第2光L2が進行する第2系統の2つの系統の光路が存在しており、第1系統及び第2系統の2つの光路が空間的に重なっている。これにより、薄型化及び高効率化を図ることができる。
【0040】
出射面30が、光軸方向Dに垂直な平坦面である。これにより、例えば光検出部2の受光面2a又は窓部材3上に出射面30を好適に配置することができる。
【0041】
光軸方向Dに垂直な断面において、入射面20が、互いに向かい合う一対の部分20aを有し、各部分20aが、第1側S1に向かって膨らむように湾曲している。これにより、第1系統及び第2系統の2つの光路を好適に実現することができる。
【0042】
光軸方向Dに垂直な断面において、反射面40が、第1部分41と、第1部分41に対して第1側S1に位置する第2部分42と、を有し、第1部分41は第2側S2に向かって膨らむように湾曲しており、第2部分42は第1側S1に向かって窪むように湾曲している。これにより、反射面40に入射した第1光L1を入射面20に向けて好適に反射させることができる。
【0043】
反射面40が、反射面40上に反射層43が形成されていることにより、光を反射させる。これにより、反射面40に入射した第1光L1を好適に反射させることができる。
【0044】
出射面30と光検出部2の受光面2aとが光学カップリング剤5を介して互いに接続されている。これにより、集光レンズ10内を進行して出射面30に入射した光が全反射されることを抑制することができる。
【0045】
図6図7(a)及び図7(b)を参照しつつ、第1シミュレーションの結果について説明する。第1シミュレーションでは、レンズの入射面のサイズを同一として、実施形態の集光レンズ10を他のレンズと比較した。この例では、入射径Xを8mmとし、受光面2aのサイズを3mm×3mmとした。なお、いずれのレンズも光検出部2と光学的に結合されているが、図6では、図面の簡略化のため受光面2aを含む窓部材3のみが図示され、受光面2aの位置が点線で表されている。図6の上部には、集光レンズ10が示されている。図6の中央部には、第1比較例の非球面単レンズ51が示されている。図6の下部には、第2比較例の中空型のCPC(Compound Parabolic Concentrator:複合放物面集光器)52が示されている。集光レンズ10では、受光面2aとレンズ先端との間の距離Tは2.5mmであった。非球面単レンズ51では距離Tは7.8mmであり、CPC52では距離Tは7.8mmであった。CPC52の受光許容角度は19度とした。このように、集光レンズ10では、他のレンズと比較して、同じ入射径Xを有しつつ、受光面2aとレンズ先端との間の距離Tを十分に小さくすることができる。つまり、他のレンズと比較して、集光に要する距離を小さくすることができる。
【0046】
図7(a)には、実施形態の集光レンズ10、第1比較例の非球面単レンズ51、及び第2比較例のCPC52についての入射角度(°)と集光効率(%)の関係が示されている。図7(b)には、それらについての光源からの距離(mm)と検出光量(W)の関係が示されている。入射角度は、上述した集光レンズ10における光軸方向Dに対する入射光の角度に対応する。第1シミュレーションでは、光源を直径8mmで総光量が1Wである散乱光源とした。
【0047】
図7(a)から、集光レンズ10では、非球面単レンズ51及びCPC52と比べて、入射角度の大きい光に対する集光効率が高いことが分かる。図7(b)から、集光レンズ10では、非球面単レンズ51及びCPC52と比べて、散乱光に対する集光効率が高いことが分かる。したがって、集光レンズ10は、散乱光の集光に好適に用いられ得る。
【0048】
図8及び図9を参照しつつ、第2シミュレーションの結果について説明する。第2シミュレーションでは、実施形態の光検出器1を他の光検出器と比較すると共に、集光レンズ10を有しない場合の光検出器1(光検出部2)と比較した。図8の上部には、第3比較例の光検出器53が示されている。光検出器53の外径Yは15mmであり、入射径X(光電面の有効径)は8mmであった。光軸方向における光検出器53の長さHは11mmであった。図8の中央部には、光検出器1が示されている。図8の下部には、集光レンズ10を有しない場合の光検出器1(光検出部2)に相当する第4比較例の光検出器54が示されている。光検出器1の入射径Xは8mmであり、光軸方向における光検出器1の長さHは6mmであった。光検出器54の入射面は光検出部2の受光面2aと同一であり、3mm×3mmの正方形状の面とした。光軸方向における光検出器54の長さHは4mmであった。なお、光検出器53は、光軸方向に沿った方向で電子増倍を行うように配置された電子増倍部を有するのに対して、光検出器54は、例えば欧州特許第2557589号に示されるような光軸方向に垂直な方向に電子増倍を行うように配置された電子増倍部を有する。そのため、光検出器53が筒状の外形を有するのに対して、光検出器54は高さ方向の大きさが抑制された平板状(平たい直方体状)の外形を有する。そのため、集光レンズ10と光検出器54とを組み合わせた光検出器1は、光検出器53と同じ入射径Xを有しながら、光軸方向における長さH(つまり高さ)は、光検出器53と比較して十分小さくなっている。つまり、光検出器1は、集光レンズ10と光検出器54とを組み合わせることで、光電子増倍管を用いながらも非常に高さの小さい光検出器とすることができる。
【0049】
図9には、実施形態の光検出器1、第3比較例の光検出器53、及び第4比較例の光検出器54についての光源からの距離と検出光量の関係が示されている。破線中には当該グラフの一部が拡大して示されている。第2シミュレーションでは、光源を直径8mmで総光量が1Wである散乱光源とした。
【0050】
図9から、実施形態の光検出器1と、光検出器1の集光レンズ10と同じサイズの光電面を有する第3比較例の光検出器53とを比べると、光源からの距離が近い場合には光検出器1の検出光量は光検出器53の検出光量よりも小さいが、光源からの距離が遠くなるにつれて光検出器1の検出光量は光検出器53の検出光量に漸近することが分かる。また、光検出器1と、集光レンズ10を有しない第4比較例の光検出器54とを比べると、光検出器1の検出光量は光検出器54の検出光量よりも大きいことが分かる。
【0051】
図10を参照しつつ、第3シミュレーションの結果について説明する。第3シミュレーションでは、光源を総光量が1Wである点光源とした。その他の点については第2シミュレーションと同一とした。図10から、光検出器1と光検出器53とを比べると、光源からの距離が近い場合には光検出器1の検出光量は光検出器53の検出光量よりも小さいが、光源からの距離が遠くなるにつれて光検出器1の検出光量は光検出器53の検出光量に漸近することが分かる。また、光検出器1と光検出器54とを比べると、光源からの距離が近い場合には光検出器1の検出光量は光検出器54の検出光量よりも小さいが、光源からの距離が6mmよりも大きい領域においては光検出器1の検出光量は光検出器54の検出光量よりも大きいことが分かる。
【0052】
図11及び図12を参照しつつ、第4シミュレーションの結果について説明する。第4シミュレーションでは、上述した光検出器53に対応する光検出器に集光レンズ10を取り付けた場合と取り付けていない場合とを比較した。図11の上部には、第5比較例の光検出器55が示されている。光検出器55の外径Yは25mmであり、入射径X(光電面の有効径)は22mmであった。光軸方向における光検出器55の長さHは44mmであった。図11の中央部には、本開示の一実施形態である光検出器60が示されている。光検出器60は、光検出部2及び集光レンズ10を備えている。図11の下部には、集光レンズ10を有しない場合の光検出器60(光検出部2)に相当する第6比較例の光検出器56が示されている。光検出器60の入射径Xは21mmであり、光軸方向における光検出器60の長さHは16mmであった。光検出器56の外径Yは15mmであった。光検出器56の入射面は光検出器60の光検出部2の受光面2aと同一であり、直径8mmの円形状の面とした。光軸方向における光検出器56の長さHは11mmであった。
【0053】
図12には、実施形態の光検出器60、第5比較例の光検出器55、及び第6比較例の光検出器56についての光源からの距離と検出光量の関係が示されている。破線中には当該グラフの一部が拡大して示されている。第4シミュレーションでは、光源を直径22mmで総光量が1Wである散乱光源とした。
【0054】
図12から、光検出器60と、光検出器60の集光レンズ10とほぼ同じサイズの光電面を有する光検出器55とを比べると、光源からの距離が近い場合には光検出器60の検出光量は光検出器55の検出光量よりも小さいが、光源からの距離が遠くなるにつれて光検出器60の検出光量は光検出器55の検出光量に漸近することが分かる。また、光検出器60と、集光レンズ10を有しない光検出器56とを比べると、光検出器60の検出光量は光検出器56の検出光量よりも大きいことが分かる。
【0055】
図13(a)は実施形態の集光レンズ10を示す図であり、図13(b)は第1変形例の集光レンズ10Aを示す図である。図13(a)に示されるように、入射面20において光軸方向Dに平行に入射した光が出射面30に入射しない領域を非有効領域Rとすると、集光レンズ10の入射面20は、非有効領域Rを有している。具体的には、非有効領域Rは、入射面20における中央部21と外側部22との間の境界部分に存在している。一方、第1変形例の集光レンズ10Aは、非有効領域Rを有していない。すなわち、集光レンズ10Aでは、入射面20の全体が有効領域となっており、入射面20に入射した光は、入射面20に対する入射位置にかかわらず、出射面30に入射する。また、集光レンズ10Aにおいては、集光レンズ10と比べて受光面2aにおける集光スポットがより点に近くなるように、形状の変更が行われている。また、そのような設計に有利になるように、より屈折率の高いガラス材料へと材質変更が行われている。
【0056】
図14は、第5シミュレーションの結果を示すグラフである。図14には、実施形態の集光レンズ10及び第1変形例の集光レンズ10Aについての入射角度と集光効率の関係が示されている。図14から、非有効領域Rを有しない集光レンズ10Aのほうが、非有効領域Rを有する集光レンズ10よりも集光効率が高いことが分かる。
【0057】
このように、第1変形例の集光レンズ10Aは、集光効率の向上の観点から有利である。また、集光レンズ10Aは、入射面20を狭くして小型化を図る観点からも有利である。一方、実施形態の集光レンズ10は、入射面20が非有効領域Rを含むことで、入射面20を広くすることができる点で有利である。また、入射光の形状や集光したい領域を加味して、非有効領域Rを設定してもよい。非有効領域Rの大きさは、これらの点を考慮して設定され得る。例えば、光軸方向Dに平行な光に対する集光レンズ10の集光効率が50%以上となるように、入射面20に非有効領域Rが設定されてもよい。図14に示されるように、実施形態では、光軸方向Dに平行な光に対する集光レンズ10の集光効率(すなわち入射角度が0°の場合の集光効率)が90%よりも高くなっている。或いは、非有効領域Rの面積が入射面20全体の面積の50%以下となるように、入射面20に非有効領域Rが設定されてもよい。
【0058】
図15(a)、図15(b)及び図15(c)は、第2変形例の集光レンズ10Bを示す図である。集光レンズ10Bでは、実施形態の集光レンズ10よりも非有効領域Rが広く設定されている。集光レンズ10Bでは、出射面30は、出射面30の中心に向かって窪む略円錐状の凹部31の内面によって形成されている。凹部31の内部は、空隙(空気層)となっている。
【0059】
上述した図14には、第2変形例の集光レンズ10Bについての入射角度と集光効率の関係が併せて示されている。図14から、非有効領域Rが広い集光レンズ10Bの集光効率は、非有効領域Rが狭い集光レンズ10、及び非有効領域Rを有しない集光レンズ10Aの集光効率よりも低いことが分かる。これは、図15(b)に示されるように、集光レンズ10Bでは、非有効領域Rに入射して反射面40で反射され、それから入射面20に入射した光が、入射面20で全反射されずに入射面20を透過してしまうからであると考えられる。また、図15(c)に示されるように、出射面30を形成する凹部31の内部が空気層となっていることにより、出射面30に入射した光が出射面30で全反射されてしまうからでもあると考えられる。すなわち、実施形態の集光レンズ10及び第1変形例の集光レンズ10では、反射面40で反射されて入射面20に入射した第1光L1が、入射面20の広い範囲において全反射されて出射面30に入射するため、集光効率が向上されている。また、出射面30が光軸方向Dに垂直な平坦面であり、出射面30と窓部材3との間に空気層が形成されていないことによっても、集光効率が向上されている。
【0060】
図16(a)~図18を参照しつつ、第6シミュレーションの結果について説明する。第6シミュレーションでは、実施形態の集光レンズ10を第3変形例の集光レンズ10C及び第4変形例の集光レンズ10Dと比較した。実施形態の集光レンズ10では出射面30上に光学カップリング剤5が配置されていたのに対し、図16(a)に示される第3変形例の集光レンズ10Cでは出射面30上に光学カップリング剤5が配置されていない。なお、図16(a)に示されるシミュレーションでは、窓部材3を省略して空気層を設けることで光学カップリング剤5が配置されていない状態としている。集光レンズ10Cでは、入射面20における外縁部に非有効領域Rが存在している。これは、図16(b)に示されるように、入射面20の外縁部を入射して出射面30に到達した光が出射面30で全反射されてしまうからであると考えられる。図19には、実施形態の集光レンズ10及び第3変形例の集光レンズ10Cについての入射角度と集光効率の関係が示されている。図19から、実施形態の集光レンズ10の集光効率は第3変形例の集光レンズ10Cの集光効率よりも高いことが分かる。このように、実施形態の集光レンズ10では、出射面30が光学カップリング剤5を介して受光面2aに接続されていることにより、集光効率が向上されている。
【0061】
図17に示されるように、第4変形例の集光レンズ10Dでは、出射面30は、出射面30の中心に向かって窪む略半球状の凹部31の内面(R面)によって形成されており、出射面30の中心に向かって窪むように湾曲している。この例では、出射面30は、入射面20の側に向かって凸の連続した湾曲面である。凹部31の内部は、例えば空隙(空気層)となっている。第4変形例では、上述した第2変形例とは異なり、出射面30がR状に湾曲しているため、出射面30での全反射が抑制されている。図19には、第4変形例の集光レンズ10Dについての入射角度と集光効率の関係が併せて示されている。図19から、入射角度が小さい場合には第4変形例の集光レンズ10Dの集光効率は第3変形例の集光レンズ10Cの集光効率よりも高いが、入射角度が大きい場合には集光レンズ10Dの集光効率は集光レンズ10Cの集光効率よりも低いことが分かる。これは、図18(a)及び図18(b)に示されるように、集光レンズ10Dでは、入射角度によっては光が出射面30で全反射されてしまい、入射面20に非有効領域が生じてしまうためであると考えられる。
【0062】
第4変形例の集光レンズ10Dにおいて、出射面30を構成する凹部31の内部に光学カップリング剤が配置されてもよい。この場合、出射面30での全反射を抑制して集光効率を向上することができる。ただし、凹部31内に空気が残存しないように凹部31内に光学カップリング剤を充填する作業は容易ではなく、作業性が低下し得る。すなわち、実施形態の集光レンズ10では、平坦な出射面30と窓部材3との間に光学カップリング剤5を配置すればよいため、作業性を向上することができる。
【0063】
図20(a)、図20(b)及び図20(c)は、他の変形例を説明するための図である。図20(a)に示されるように、出射面30は、集光レンズ10に形成された凸部32の表面であってもよい。集光レンズ10は、光軸方向Dから見た場合に、図20(b)に示されるように矩形状に形成されていてもよいし、図20(c)に示されるように楕円形状に形成されていてもよい。或いは、集光レンズ10は、光軸方向Dから見た場合に六角形状又は八角形状に形成されていてもよい。
【0064】
図21(a)及び図21(b)には、集光レンズユニット100が示されている。集光レンズユニット100は、集光レンズ10と、集光レンズ10と組み合わせられた反射部材110を備えている。この例では、集光レンズ10の反射面40上に反射層43が形成されておらず、反射部材110が、光を反射させる反射面120を有している。反射部材110には、集光レンズ10の形状に対応した形状の配置孔111が形成されている。配置孔111は、光軸方向Dにおける第1側S1及び第2側S2の両方に開口している。集光レンズ10は、入射面20が配置孔111の一方の開口から露出すると共に出射面30が配置孔111の他方の開口から露出するように、配置孔111内に配置されている。出射面30は、上記実施形態と同様に、光学カップリング剤5を介して窓部材3に接続されている。
【0065】
配置孔111の内面は、反射面120となっている。例えば、反射部材110が光反射性を有する材料により形成されると共に鏡面加工が施されることにより、反射面120が形成されていてもよい。或いは、例えば、アルミニウム等の金属材料からなる反射膜が蒸着されることにより、反射面120が形成されていてもよい。反射部材110の反射面120が集光レンズ10の反射面40に沿って配置されていることにより、集光レンズ10の反射面40が光を反射させる。反射部材110の反射面120と集光レンズ10の反射面40とは向かい合っており、反射面120と反射面40とは光学カップリング剤を介して互いに接続されている。
【0066】
集光レンズユニット100によっても、上述した理由により、薄型化及び高効率化を図ることができる。また、反射部材110が集光レンズ10と組み合わせられているため、強度を向上することができると共に、集光レンズ10単体と比べて、取り扱いや光検出部2に対する固定などの作業容易性も向上することができる。また、上記実施形態の集光レンズ10では、例えばマスキング等により集光レンズ10の反射面40のみに反射膜を蒸着する必要があるのに対し、集光レンズユニット100では、配置孔111の内面に反射膜を蒸着しさえすればよいため、蒸着工程を容易化することができ、作業性を向上することができる。
【0067】
本開示は、上記実施形態及び変形例に限られない。本開示の実施形態及び変形例の特徴及び態様は、上述した特定の組合せだけではなく、互いに適宜に組み合わせられ得る。例えば、集光レンズユニット100は、実施形態の集光レンズ10に代えて、第1~第4変形例の集光レンズ10A~10Dのいずれかを備えていてもよい。各構成の材料及び形状には、上述した材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を採用することができる。集光レンズ10の形状は集光レンズの材料に応じて変化し得る。
【0068】
集光レンズ10は、光軸方向Dから見た場合に入射面20から外側に延在するフランジ部を有していてもよい。フランジ部は、環状に形成されてもよいし、周方向における一部のみに形成されてもよい。窓部材3は省略されてもよい。集光レンズ10は出射面30が光検出部2の受光面2aと向かい合うように配置されていればよく、出射面30は窓部材3を介することなく受光面2a上に配置されていてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21