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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031799
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】発電モジュールおよびリモコン装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/18 20060101AFI20240229BHJP
   H02K 7/07 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
H02K7/18 A
H02K7/07
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089956
(22)【出願日】2023-05-31
(31)【優先権主張番号】P 2022132524
(32)【優先日】2022-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023043401
(32)【優先日】2023-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】仲野 幸真
(72)【発明者】
【氏名】前野 孝司
(72)【発明者】
【氏名】岩永 貴志
(72)【発明者】
【氏名】橋本 進吾
【テーマコード(参考)】
5H607
【Fターム(参考)】
5H607BB02
5H607BB10
5H607BB14
5H607CC03
5H607DD03
5H607DD08
5H607DD19
5H607EE31
5H607EE59
5H607FF21
(57)【要約】
【課題】操作性を向上した発電モジュールを提供する。
【解決手段】入力部と、前記入力部に入力されたエネルギを蓄積可能な弾性部材と、回転子を回転させて発電する発電機と、前記回転子を回転させる回転部材と、前記弾性部材に蓄積されたエネルギを前記回転部材に伝達する伝達部と、前記伝達部による前記回転子の回転を規制するロック部と、を備え、前記入力部が初期位置から所定位置まで移動する間は、前記ロック部が前記回転子の回転を規制することにより前記弾性部材にエネルギが蓄積され、前記入力部が前記所定位置まで移動した場合には、前記ロック部による前記回転子への規制が解除されて、前記弾性部材に蓄積されたエネルギにより前記回転子を回転させることを特徴とする発電モジュール。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力部と、
前記入力部に入力されたエネルギを蓄積可能な弾性部材と、
回転子を回転させて発電する発電機と、
前記回転子を回転させる回転部材と、
前記弾性部材に蓄積されたエネルギを前記回転部材に伝達する伝達部と、
前記伝達部による前記回転子の回転を規制するロック部と、
を備え、
前記入力部が初期位置から所定位置まで移動する間は、前記ロック部が前記回転子の回転を規制することにより前記弾性部材にエネルギが蓄積され、
前記入力部が前記所定位置まで移動した場合には、前記ロック部による前記回転子への規制が解除されて、前記弾性部材に蓄積されたエネルギにより前記回転子を回転させることを特徴とする発電モジュール。
【請求項2】
前記入力部が前記所定位置から前記初期位置に移動する場合には、
前記発電機の磁力により前記回転子および前記回転部材を開始位置まで移動させることを特徴とする請求項1に記載の発電モジュール。
【請求項3】
前記回転子は、前記入力部が前記所定位置から前記初期位置に移動する場合に、現在の極にとどまって、隣接する極に移動しない状態を維持することを特徴とする請求項1または2に記載の発電モジュール。
【請求項4】
前記回転部材は、
前記伝達部により回転させられる第1ホイールと、
前記第1ホイールの回転を前記回転子に伝達する第2ホイールと、
を有し、
前記入力部が前記所定位置まで移動した場合には、前記伝達部が前記第1ホイールを介して前記第2ホイールおよび前記回転子を回転させ、
前記入力部が前記所定位置から前記初期位置に移動する場合には、前記回転子が現在の極にとどまって、隣接する極に移動しない状態を維持することを特徴とする請求項3に記載の発電モジュール。
【請求項5】
前記回転部材は、
前記伝達部により回転させられる第1ホイールと、
前記第1ホイールの回転を前記回転子に伝達する第2ホイールと、
を有し、
前記第1ホイールは、円板部と、前記円板部に設けられた歯車部と、を有し、
前記第2ホイールは、円筒部と、前記円筒部に設けられ前記第1ホイールの前記歯車部に噛合する歯車部と、前記円筒部の内部に移動可能に設けられ前記発電機の回転軸に取り付けられるブロック体と、を有し、
前記入力部が前記所定位置まで移動した場合には、前記伝達部が前記第1ホイールを介して前記第2ホイールおよび前記回転子を回転させ、
前記入力部が前記所定位置から前記初期位置に移動する場合には、前記回転子が現在の極にとどまって、隣接する極に移動しない状態を維持することを特徴とする請求項3に記載の発電モジュール。
【請求項6】
前記入力部が前記所定位置から前記初期位置に移動する場合に、前記回転子が現在の極にとどまって、隣接する極に移動しない状態を維持しながら前記伝達部を前記回転部材から退避させる退避部をさらに有することを特徴とする請求項3に記載の発電モジュール。
【請求項7】
前記ロック部が前記回転子への規制を解除するまでに移動する距離は、前記入力部が前記初期位置から前記所定位置まで移動する距離よりも短いことを特徴とする請求項1に記載の発電モジュール。
【請求項8】
前記ロック部を移動させるための力点となるロック部操作部を有し、
前記ロック部と前記ロック部操作部とは、前記入力部の移動に伴って同じ回動支点で回動し、
前記回動支点から前記ロック部操作部までの距離は、前記回動支点から前記ロック部までの距離よりも長いことを特徴とする請求項1に記載の発電モジュール。
【請求項9】
ケースと、
前記ケースに設けられた操作ボタンと、
前記操作ボタンの操作により移動するリンク機構と、
前記リンク機構に接続され、請求項1に記載された発電モジュールと、
を備えたリモコン装置。
【請求項10】
本体部と、
エネルギが入力されたときに前記本体部に対して移動する可動部と、
入力されたエネルギを蓄積可能な弾性部材と、
回転子を回転させて発電する発電機と、
前記回転子を回転させる回転部材と、
前記弾性部材に蓄積されたエネルギを前記回転部材に伝達する伝達部と、
前記伝達部による前記回転子の回転を規制するロック部と、
を備え、
前記伝達部は、前記弾性部材に蓄積されたエネルギが放出されて前記回転部材を回転させた後に、前記本体部の内部で前記可動部に衝突することを特徴とする発電モジュール。
【請求項11】
エネルギの入力が解除されたときに前記可動部を元の位置に戻す第1戻し弾性部材を備え、
前記第1戻し弾性部材は、前記本体部と前記可動部とを接続していることを特徴とする請求項10に記載の発電モジュール。
【請求項12】
前記伝達部は、前記可動部の移動方向と同じ方向に移動することを特徴とする請求項10または11に記載の発電モジュール。
【請求項13】
前記伝達部は、前記可動部が移動している間に、前記可動部に衝突することを特徴とする請求項12に記載の発電モジュール。
【請求項14】
エネルギの入力が解除されて前記可動部が元の位置に戻るときに、前記回転部材から離れる方向に移動した前記伝達部を元の位置に戻す第2戻し弾性部材をさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の発電モジュール。
【請求項15】
ケースと、
前記ケースに設けられた操作ボタンと、
前記操作ボタンの操作により移動するリンク機構と、
前記リンク機構に接続され、請求項10に記載された発電モジュールと、
を備えたリモコン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、発電モジュールおよびリモコン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
使用者の操作により発電機を回転させて発電させる発電モジュールが知られている(特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-80702号公報
【特許文献2】特開2018-191402号公報
【特許文献3】特開2004-211642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2に記載された発電モジュールは、操作力が入力されたとき(エネルギ蓄積時)に発電機や磁石が回転するので、操作力のエネルギ損失が発生して操作性が低下するおそれがある。また、特許文献3に記載された発電モジュールは、操作力が解除されなければ発電させることができないので、操作性が低下するおそれがある。
【0005】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、使用者の操作性を向上した発電モジュールおよびリモコン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、入力部と、前記入力部に入力されたエネルギを蓄積可能な弾性部材と、回転子を回転させて発電する発電機と、前記回転子を回転させる回転部材と、前記弾性部材に蓄積されたエネルギを前記回転部材に伝達する伝達部と、前記伝達部による前記回転子の回転を規制するロック部と、を備え、前記入力部が初期位置から所定位置まで移動する間は、前記ロック部が前記回転子の回転を規制することにより前記弾性部材にエネルギが蓄積され、前記入力部が前記所定位置まで移動した場合には、前記ロック部による前記回転子への規制が解除されて、前記弾性部材に蓄積されたエネルギにより前記回転子を回転させることを特徴とする発電モジュールである。
【0007】
この発電モジュールによれば、エネルギを蓄積するときに発電機を回転させず、エネルギを放出するときに発電機を回転させることで、操作力の損失を抑制して発電効率を向上させることができる。さらに、入力部が所定位置まで移動した場合に、回転子へのロックが解除されてエネルギ放出による発電ができる。これにより、入力部への入力がなくなったときにロック部を解除する構成に比べて、使用者の操作性を向上できる。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、前記入力部が前記所定位置から前記初期位置に移動する場合には、前記発電機の磁力により前記回転子および前記回転部材を開始位置まで移動させることを特徴とする発電モジュールである。
【0009】
この発電モジュールによれば、エネルギ放出によって発電が行われた後に、発電機の磁力によって、回転部材を特定の位置(開始位置)まで移動させる。これにより、次の発電を行う位置に回転部材を安定して移動させることができる。また、発電機の磁力により、回転子および回転部材を開始位置に移動させることができるので、発電モジュールを連続して使用できる。
【0010】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記回転子は、前記入力部が前記所定位置から前記初期位置に移動する場合に、現在の極にとどまって、隣接する極に移動しない状態を維持することを特徴とする発電モジュールである。
【0011】
この発電モジュールによれば、発電後による回転子の回転を小さくしている。これにより、発電機は、コギングトルクを低減することができるとともに、連続して安定した発電をすることができる。
【0012】
第4の発明は、第3の発明において、前記回転部材は、前記伝達部により回転させられる第1ホイールと、前記第1ホイールの回転を前記回転子に伝達する第2ホイールと、を有し、前記入力部が前記所定位置まで移動した場合には、前記伝達部が前記第1ホイールを介して前記第2ホイールおよび前記回転子を回転させ、前記入力部が前記所定位置から前記初期位置に移動する場合には、前記回転子が現在の極にとどまって、隣接する極に移動しない状態を維持することを特徴とする発電モジュールである。
【0013】
この発電モジュールによれば、発電後に、回転子が現在の極にとどまって、隣接する極に移動しない状態を維持する。これにより、連続して安定した発電を行うことができる。
【0014】
第5の発明は、第3の発明において、前記回転部材は、前記伝達部により回転させられる第1ホイールと、前記第1ホイールの回転を前記回転子に伝達する第2ホイールと、を有し、前記第1ホイールは、円板部と、前記円板部に設けられた歯車部と、を有し、前記第2ホイールは、円筒部と、前記円筒部に設けられ前記第1ホイールの前記歯車部に噛合する歯車部と、前記円筒部の内部に移動可能に設けられ前記発電機の回転軸に取り付けられるブロック体と、を有し、前記入力部が前記所定位置まで移動した場合には、前記伝達部が前記第1ホイールを介して前記第2ホイールおよび前記回転子を回転させ、前記入力部が前記所定位置から前記初期位置に移動する場合には、前記回転子が現在の極にとどまって、隣接する極に移動しない状態を維持することを特徴とする発電モジュールである。
【0015】
この発電モジュールによれば、発電後に、回転子が現在の極にとどまって、隣接する極に移動しない状態を維持する。これにより、連続して安定した発電を行うことができる。
【0016】
第6の発明は、第3の発明において、前記入力部が前記所定位置から前記初期位置に移動する場合に、前記回転子が現在の極にとどまって、隣接する極に移動しない状態を維持しながら前記伝達部を前記回転部材から退避させる退避部をさらに有することを特徴とする発電モジュールである。
【0017】
この発電モジュールによれば、発電後に、回転子が現在の極にとどまって、隣接する極に移動しない状態を維持しながら、伝達部を回転部材から退避させる退避部を有する。これにより、連続して安定した発電を行うことができる。
【0018】
第7の発明は、第1の発明において、前記ロック部が前記回転子への規制を解除するまでに移動する距離は、前記入力部が前記初期位置から前記所定位置まで移動する距離よりも短いことを特徴とする発電モジュールである。
【0019】
この発電モジュールによれば、ロック部が回転子への規制を解除するまで移動する間の摩擦力の影響を低減できる。
【0020】
第8の発明は、第1の発明において、前記ロック部を移動させるための力点となるロック部操作部を有し、前記ロック部と前記ロック部操作部とは、前記入力部の移動に伴って同じ回動支点で回動し、前記回動支点から前記ロック部操作部までの距離は、前記回動支点から前記ロック部までの距離よりも長いことを特徴とする発電モジュールである。
【0021】
この発電モジュールによれば、てこの原理により、ロック部が回転子への規制を解除するまで移動する間の摩擦力の影響を低減できる。
【0022】
第9の発明は、ケースと、前記ケースに設けられた操作ボタンと、前記操作ボタンの操作により移動するリンク機構と、前記リンク機構に接続され、第1の発明に記載された発電モジュールと、を備えたリモコン装置である。
【0023】
このリモコン装置によれば、発電モジュールは、操作ボタンが操作されたときにリンク機構により作動させられる。この場合、操作ボタンを操作したときに発電機の回転子が回転しないので、コギングトルクによる振動が使用者に伝わるのを抑制できる。従って、操作性および使い勝手のよいリモコン装置とすることができる。
【0024】
第10の発明は、本体部と、エネルギが入力されたときに前記本体部に対して移動する可動部と、入力されたエネルギを蓄積可能な弾性部材と、回転子を回転させて発電する発電機と、前記回転子を回転させる回転部材と、前記弾性部材に蓄積されたエネルギを前記回転部材に伝達する伝達部と、前記伝達部による前記回転子の回転を規制するロック部と、を備え、前記伝達部は、前記弾性部材に蓄積されたエネルギが放出されて前記回転部材を回転させた後に、前記本体部の内部で前記可動部に衝突することを特徴とする発電モジュールである。
【0025】
この発電モジュールによれば、伝達部が本体部の内部で可動部に衝突するので、伝達部が本体部に衝突する場合に比べて衝突音を低減できる。これにより、使用者に異音による不快感を与えるのを抑制できる。
【0026】
第11の発明は、第10の発明において、エネルギの入力が解除されたときに前記可動部を元の位置に戻す第1戻し弾性部材を備え、前記第1戻し弾性部材は、前記本体部と前記可動部とを接続していることを特徴とする発電モジュールである。
【0027】
この発電モジュールによれば、発電後に第1戻し弾性部材により可動部を初期位置に戻すことができる。また、第1戻し弾性部材は、伝達部が可動部に衝突したときの衝突エネルギを吸収することができる。
【0028】
第12の発明は、第10または第11の発明において、前記伝達部は、前記可動部の移動方向と同じ方向に移動することを特徴とする発電モジュールである。
【0029】
この発電モジュールによれば、伝達部と可動部との衝突時に伝達部の衝突エネルギを可動部の移動方向に逃がすことができる。これにより、伝達部と可動部との衝突音を小さくすることができる。
【0030】
第13の発明は、第12の発明において、前記伝達部は、前記可動部が移動している間に、前記可動部に衝突することを特徴とする発電モジュールである。
【0031】
この発電モジュールによれば、伝達部と可動部との相対速度が小さい状態で、伝達部と可動部とが衝突する。これにより、伝達部と可動部との衝突音を小さくすることができる。
【0032】
第14の発明は、第10の発明において、エネルギの入力が解除されて前記可動部が元の位置に戻るときに、前記回転部材から離れる方向に移動した前記伝達部を元の位置に戻す第2戻し弾性部材をさらに備えることを特徴とする発電モジュールである。
【0033】
この発電モジュールによれば、発電後に第2戻し弾性部材により伝達部を元の位置に戻すことができる。
【0034】
第15の発明は、ケースと、前記ケースに設けられた操作ボタンと、前記操作ボタンの操作により移動するリンク機構と、前記リンク機構に接続され、第10の発明に記載された発電モジュールと、を備えたリモコン装置である。
【0035】
このリモコン装置によれば、使用者による操作ボタンの操作により発電を行い、リモコン操作を行うことができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明の態様によれば、使用者の操作性を向上した発電モジュールおよびリモコン装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の第1実施形態に係る発電モジュールを備えたリモコン装置を正面からみた正面図である。
図2】リモコン装置の電気系を示すブロック図である。
図3】発電モジュールを単体で示す斜視図である。
図4図3中の発電モジュールを分解して示す分解斜視図である。
図5】発電モジュールを正面からみた正面図である。
図6】入力部に入力がなされたときの状態を示す正面図である。
図7】発電機が発電するときの状態を示す正面図である。
図8】入力部への入力が解除されたときの状態を示す正面図である。
図9】発電機の固定子と回転子との状態を示す説明図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る発電モジュールを示す斜視図である。
図11図10中の発電モジュールを分解して示す分解斜視図である。
図12】第1ホイールと第2ホイールとを示す斜視図である。
図13】入力部に入力がなされていないときの状態を示す説明図である。
図14】入力部に入力がなされたときの状態を示す説明図である。
図15】発電機が発電するときの状態を示す説明図である。
図16】入力部への入力が解除されたときの状態を示す説明図である。
図17】本発明の第3実施形態に係る発電モジュールを示す斜視図である。
図18図17中の発電モジュールを分解して示す分解斜視図である。
図19】第1ホイールの後面と第2ホイールの後面とを示す斜視図である。
図20】入力部に入力がなされていないときの状態を示す説明図である。
図21】入力部に入力がなされたときの状態を示す説明図である。
図22】発電機が発電するときの状態を示す説明図である。
図23】入力部への入力が解除されたときの状態を示す説明図である。
図24】本発明の第4実施形態に係る発電モジュールを示す斜視図である。
図25図24中の発電モジュールを分解して示す分解斜視図である。
図26】入力部に入力がなされていないときの状態を示す説明図である。
図27】入力部に入力がなされたときの状態を示す説明図である。
図28】発電機が発電するときの状態を示す説明図である。
図29】入力部への入力が解除されたときの状態を示す説明図である。
図30】本発明の第5実施形態に係る発電モジュールを示す斜視図である。
図31図30中の発電モジュールを分解して示す分解斜視図である。
図32】入力部に入力がなされていないときの状態を示す説明図である。
図33】入力部に入力がなされたときの状態を示す説明図である。
図34】発電機が発電するときの状態を示す説明図である。
図35】入力部への入力が解除されたときの状態を示す説明図である。
図36】本発明の変形例に係る伝達部とホイールとの関係を示す説明図である。
図37】本発明の第6実施形態に係る発電モジュールを示す斜視図である。
図38図37中の発電モジュールを分解して示す分解斜視図である。
図39】入力部に入力がなされていないときの状態を示す説明図である。
図40】入力部に入力がなされたときの状態を示す説明図である。
図41】発電機が発電するときの状態を示す説明図である。
図42】入力部への入力が解除されたときの状態を示す説明図である。
図43】本発明の第7実施形態に係る発電モジュールを示す斜視図である。
図44図43中の発電モジュールを分解して示す分解斜視図である。
図45】入力部に入力がなされていないときの状態を示す説明図である。
図46】入力部に入力がなされたときの状態を示す説明図である。
図47】発電機が発電するときの状態を示す説明図である。
図48】入力部への入力が解除されたときの状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る発電モジュールを備えたリモコン装置を正面からみた正面図である。
【0039】
リモコン装置1は、例えばトイレ装置(図示せず)を遠隔操作するもので、トイレ室に設置されている。リモコン装置1は、複数の操作ボタン3を含んでいる。各操作ボタン3は、例えば押し下げ操作が可能な、いわゆる押しボタンである。リモコン装置1は、各操作ボタン3の操作を検出し、操作された操作ボタン3に応じた無線信号をトイレ装置に送信する。トイレ装置は、リモコン装置1から送信された無線信号を受信し、その無線信号に応じた動作を実行する。
【0040】
リモコン装置1は、外郭を形成するケース2と、操作ボタン3と、リンク機構4と、発電モジュール10と、を備えている。操作ボタン3は、ケース2に上下方向に2列に並んで設けられている。各操作ボタン3は、例えば上端側が回動可能な固定端(支点)となり、下端側が押し下げ可能な自由端となっている。各操作ボタン3は、例えば停止ボタン3a、おしり洗浄ボタン3b、ビデ洗浄ボタン3c、音発生ボタン3d、吐水流量小ボタン3e、吐水流量大ボタン3f、音量小ボタン3g、音量大ボタン3h、およびノズル洗浄ボタン3iなどとなっている。
【0041】
リンク機構4は、ケース2の内部に設けられている。リンク機構4は、各操作ボタン3と発電モジュール10との間を接続している。リンク機構4は、上段側に位置してリモコン装置1の長手方向に延びる第1リンク4aと、下段側(第1リンク4aよりも下側)に位置してリモコン装置1の長手方向に延びる第2リンク4bと、第1リンク4aと第2リンク4bとを連結する連結杆4cと、を有している。リンク機構4は、操作ボタン3の操作により、横方向に移動(スライド)して発電モジュール10の入力部13aを押圧する。
【0042】
発電モジュール10は、ケース2の内部に設けられている。この例では、ケース2の左下に発電モジュール10が搭載されている。発電モジュール10は、リンク機構4を介して各操作ボタン3に接続され、操作ボタン3のいずれかが押し下げ操作されることにより発電する。
【0043】
図2は、リモコン装置の電気系を示すブロック図である。
図2に示すように、リモコン装置1は、各操作ボタン3の押し下げ操作を検出する検出部5と、発電モジュール10によって発電された電力を蓄積する蓄電素子6aを有する電源部6と、発電モジュール10で発電された電力を用いて作動する制御部7と、を有している。
【0044】
電源部6は、蓄電素子6aの電圧が所定値以上になったときに、蓄電素子6aに蓄積された電力を制御部7に供給して制御部7を起動させる。蓄電素子6aには、例えばコンデンサや蓄電池などが用いられる。蓄電素子6aの容量は、例えば制御部7の起動および無線信号の送信に必要な電力を蓄積できる最低限の容量に設定される。これにより、例えば蓄電素子6aの大型化を抑制できる。また、蓄電素子6aに残った余剰の電力によって、制御部7が誤動作を起こすことなどを抑制できる。
【0045】
制御部7は、複数の検出部5のそれぞれと電気的に接続されている。制御部7は、検出部5の検出結果に基づいて判別した操作ボタン3に対応した無線信号をトイレ装置に送信することにより、トイレ装置を遠隔操作する。
【0046】
制御部7は、例えばマイコン7aと、高周波発生回路7bと、送信部7cと、を有している。マイコン7aは、例えば押し下げ操作された操作ボタン3の判別および判別した操作ボタン3に対応する信号の生成を行う。高周波発生回路7bは、例えばマイコン7aの生成した信号を高周波信号に変換する。高周波発生回路7bは、例えば2.4GHzの高周波信号を生成する。送信部7cは、例えばアンテナを含み、高周波発生回路7bの生成した高周波信号を無線信号に変換してトイレ装置に送信する。
【0047】
次に、図3図9を参照して、第1実施形態に係る発電モジュール10について説明する。
図3は、発電モジュールを単体で示す斜視図である。
図4は、図3中の発電モジュールを分解して示す分解斜視図である。
図5は、発電モジュールを正面からみた正面図である。
図6は、入力部に入力がなされたときの状態を示す正面図である。
図7は、発電機が発電するときの状態を示す正面図である。
図8は、入力部への入力が解除されたときの状態を示す正面図である。
図9は、発電機の固定子と回転子との状態を示す説明図である。図9(a)は、入力部が初期位置にある場合(入力がない場合)の説明図である。図9(b)は、発電機が発電する場合の説明図である。図9(c)は、入力部が初期位置に戻るときの状態を示す説明図である。図9(d)は、入力部が初期位置に戻ったときの状態を示す説明図である。
【0048】
発電モジュール10は、例えばリモコン装置1のケース2内に設けられている。発電モジュール10は、操作ボタン3が操作された場合に、その操作力(エネルギ)を利用して発電する。そして、発電モジュール10は、本体部12、移動部材13、第1弾性部材14、伝達部16、第2弾性部材17、ホイール18および発電機19を有している。
【0049】
なお、本願明細書において、発電モジュール10の「上」、「下」、「左」および「右」という記載は、移動部材13を正面からみて入力部13aを上側に位置させた状態を基準とした上下、左右をそれぞれいう。また、本願明細書においては、移動部材13が設けられている方向を「前」方向とし、発電機19が設けられている方向を「後」方向とする。
【0050】
本体部12は、例えば樹脂材料または金属材料により形成されている。本体部12は、例えば図示しないカバーにより覆われている。本体部12は、移動部材13をスライド可能に案内する案内部12aと、第1弾性部材14が設けられる受け部12bと、本体部12の厚さ方向(前後方向)に貫通する貫通孔12cと、を有している。案内部12aおよび受け部12bは、本体部12の前面側に設けられている。貫通孔12cは、本体部12の前面から後面に向けて貫通しており、後面には発電機19が取り付けられている。
【0051】
移動部材13は、例えば樹脂材料または金属材料により形成され、本体部12の案内部12aにスライド可能に設けられている。移動部材13は、本体部12から突出する入力部13aと、入力部13aに接続され案内部12a内に位置する中間部13bと、中間部13bに接続され案内部12aから貫通孔12cに向けて突出するロック部13cと、を有している。移動部材13は、入力部13a、中間部13b、およびロック部13cにより正面視で凹状に形成されている。移動部材13は、入力部13aに操作力(エネルギ)が入力されたときに、本体部12に対して移動する可動部となっている。
【0052】
入力部13aは、使用者の操作力が入力される部分となっている。入力部13aは、例えばリモコン装置1の第2リンク4bに接続されている。使用者がリモコン装置1の操作ボタン3を押圧すると、第2リンク4bが入力部13aを押圧することにより移動部材13が移動(スライド)する。入力部13aは、本体部12から突出した位置が初期位置(図3の状態)となっている。すなわち、初期位置は、第2リンク4bにより入力部13aが押圧されていない状態である。換言すると、初期位置は、入力部13aに入力がなされていないときの状態である。
【0053】
図3図5に示すように、中間部13bは、正面視でL字状に形成されている。中間部13bは、入力部13aと、ロック部13cと、を接続している。すなわち、移動部材13は、基端側に入力部13aが設けられ、先端側にロック部13cが設けられている。中間部13bの上下方向の寸法は、案内部12aの上下方向の寸法よりも小さく形成されている。これにより、中間部13bは、案内部12a内を上下方向に摺動可能となっている。
【0054】
中間部13bは、入力部13aの下方に位置して伝達部16が取り付けられる取付部13b1と、取付部13b1の右側に位置して伝達部16の移動を規制するストッパ13b2と、取付部13b1の左側に位置して第2弾性部材17が係合する係合部13b3と、受け部12bに対向して設けられた押圧部13b4と、を有している。
【0055】
ストッパ13b2は、伝達部16の下方への移動を規制する。係合部13b3は、第2弾性部材17の一端側を固定するとともに、案内部12aの側面に接触して移動部材13の移動を安定させている。押圧部13b4は、受け部12bとの間で第1弾性部材14を支持している。
【0056】
第1弾性部材14は、押圧部13b4を押圧することにより、移動部材13を上方に付勢している。すなわち、第1弾性部材14は、入力部13aを初期位置に戻す方向に付勢している。これにより、リモコン装置1の操作ボタン3への押圧が解除されたときには、第1弾性部材14の付勢力により入力部13aが第2リンク4bを押圧しながら初期位置に戻るようになっている。換言すると、第1弾性部材14は、入力部13aへのエネルギ(入力)が解除されたときに移動部材13(可動部)を元の位置に戻す第1戻し弾性部材となっている。第1弾性部材14(第1戻し弾性部材)は、本体部12の受け部12bと移動部材13の押圧部13b4とを接続している。
【0057】
ロック部13cは、伝達部16による発電機19の回転子19bの回転を規制する。この例では、ロック部13cは、中間部13bの先端から上方に向けて延びている。ロック部13cの移動距離は、入力部13aの移動距離と同じとなっている。図5に示すように、ロック部13cは、入力部13aが初期位置にある場合には貫通孔12c内に突出している。一方、図7に示すように、ロック部13cは、入力部13aが所定位置まで移動した場合には貫通孔12cから外れる。
【0058】
この所定位置は、例えば入力部13aに力が付与されて入力部13a(移動部材13)が移動したときのエンド位置(最終位置)となっている。ロック部13cは、入力部13aが初期位置から所定位置までの間にある場合に、貫通孔12c内に位置するホイール18の回転を規制する。すなわち、ロック部13cは、ホイール18の回転を規制することにより、回転子19bの回転を間接的に規制している。
【0059】
伝達部16は、移動部材13の取付部13b1に回動可能に取り付けられている。伝達部16は、後述の第2弾性部材17に蓄積されたエネルギをホイール18に伝達する。伝達部16は、取付部13b1に取り付けられる軸部16aと、軸部16aから貫通孔12cに向けて延びる延出部16bと、を有している。
【0060】
軸部16aは、例えば円筒状に形成され、内部に取付部13b1が挿通している。軸部16aは、取付部13b1を中心にして、時計回り方向または反時計回り方向に回動可能となっている。延出部16bは、ストッパ13b2の上方に位置している。図5に示すように、入力部13aが初期位置にある場合には、延出部16bの下面にストッパ13b2が当接している。すなわち、入力部13aが初期位置にある場合には、ストッパ13b2により伝達部16の時計回りへの回動が規制されている。
【0061】
延出部16bの下面の先端側は、貫通孔12c内に位置するホイール18に当接する当接面16b1となっている。伝達部16は、当接面16b1がホイール18を下方に向けて押圧することによりホイール18を回転させる。
【0062】
また、延出部16bの側面は、延出部16bがストッパ13b2に当接している状態で、当接面16b1から左斜め上方に向けて延びる傾斜面16b2となっている。傾斜面16b2は、入力部13aが所定位置から初期位置に戻るときに、ホイール18を押圧してホイール18を時計回りに回転させる。伝達部16とホイール18との関係については、後で詳しく述べる。また、延出部16bは、上端側に第2弾性部材17の他端側が係合する係合部16b3を有している。係合部16b3は、例えば延出部16bの前面から突出している。
【0063】
第2弾性部材17は、伝達部16に設けられている。第2弾性部材17は、例えばねじりコイルばねとなっている。第2弾性部材17は、軸部16aの外周側に巻回して設けられ、一端側が係合部13b3に係合し、他端側が係合部16b3に係合している。これにより、第2弾性部材17は、伝達部16を時計回り方向に付勢している。第2弾性部材17は、入力部13aに入力された力のエネルギを蓄積する弾性部材となっている。
【0064】
ホイール18は、本体部12の貫通孔12c内に位置して、発電機19の回転軸19cに設けられている。ホイール18は、本発明の回転部材を構成している。ホイール18は、中心部に発電機19の回転軸19cが取り付けられている。これにより、ホイール18を回転させれば、発電機19の回転軸19cを回転させることができる。すなわち、ホイール18と回転軸19cとは、同じ方向に一緒に回転する。ホイール18は、第2弾性部材17のエネルギ(付勢力)による伝達部16の押圧で回転する。なお、本願明細書において、ホイールおよび回転子の回転方向は、発電機19が発電する回転方向を正回転とし、その逆方向の回転を逆回転として説明する。
【0065】
ホイール18は、中心部から放射状に広がる複数の突出部18a1~18a6(この例では、6本)を有している。各突出部18a1~18a6は、径方向外側の端部に後方に向けて切り欠かれた切欠部18bを有している。すなわち、突出部18a1~18a6は、径方向外側部18cと径方向内側部18dとにより、前後方向で段付き状に形成されている。
【0066】
突出部18a1~18a6は、切欠部18bにより、径方向外側部18cが伝達部16の後方に位置するようになっている。一方、突出部18a1~18a6は、径方向内側部18dが径方向外側部18cよりも前方に向けて突出することにより、伝達部16の延出部16bに当接するようになっている。
【0067】
図3図5に示すように、隣り合う突出部の間(この例では、突出部18a4と突出部18a5との間)には、ロック部13cが挿入されるようになっている。これにより、ロック部13cは、突出部18a1~18a6(この例では、突出部18a5)に当接することにより、ホイール18の反時計回り方向(正回転)への回転を規制している。
【0068】
発電機19は、ホイール18の後方に位置して、本体部12の後面に設けられている。発電機19は、例えばステッピングモータとなっている。図9に示すように、発電機19は、固定子19aと、回転子19bと、回転軸19cと、を有している。
【0069】
固定子19aは、例えば円環状に形成されている。固定子19aは、磁極19a1にコイル19a2が巻装されている。この例では、固定子19aは、ホイール18の突出部18a1~18a6に合わせて6個の磁極19a1を有している。コイル19a2は、リモコン装置1の電源部6に接続されている。
【0070】
回転子19bは、固定子19aの内部に位置している。回転子19bは、磁石を有する磁性体となっている。この例では、回転子19bは、ホイール18の突出部18a1~18a6に合わせて6個の磁極(3個のN極と3個のS極)を有している。回転子19bの中心には、回転軸19cが設けられている。すなわち、各磁極は、回転軸19cの周囲に周方向に並んで設けられている。
【0071】
発電機19は、回転子19bを回転させて発電する。すなわち、回転子19bが回転することにより、コイル19a2に電流が流れる。発電機19で発電された電力は、電源部6の蓄電素子6aに蓄電される。なお、固定子19aの磁極19a1の個数および回転子19bの磁極の個数は、ホイール18の突出部の個数の整数倍となっていてもよい。
【0072】
かくして、第1実施形態に係る発電モジュール10は、上述の如き構成を有するもので、次に、発電モジュール10の作動について、図5図9を参照して説明する。
【0073】
図5は、入力部13aに力が作用していない状態となっている。すなわち、リモコン装置1の操作ボタン3が操作されていない状態となっている。この場合、入力部13aの先端は、本体部12から突出した初期位置に位置している。また、ホイール18は、開始位置に静止している。この場合、図9(a)に示すように、発電機19の回転子19bは、安定した位置(開始位置)に静止している。
【0074】
図6に示すように、入力部13aに力F(操作力)が作用すると、移動部材13が第1弾性部材14の付勢力に抗して案内部12a内を移動(スライド)する。この場合、ホイール18は、ロック部13cが突出部18a5に接触しているので、反時計回り方向への回転が規制されている。
【0075】
従って、伝達部16は、延出部16bがホイール18の突出部18a1に押圧される。伝達部16は、第2弾性部材17の付勢力に抗して矢示A1方向に移動する。換言すると、伝達部16は、移動部材13に対して相対移動する。すなわち、第2弾性部材17は、入力部13aに力Fが作用すると、ロック部13cがホイール18の回転を規制している間に、伝達部16により縮小されてエネルギ(ばね力)を蓄積する。
【0076】
図7に示すように、入力部13aにさらに力Fが作用して、入力部13aが所定位置まで移動すると、ロック部13cによるホイール18の回転規制が解除される。これにより、伝達部16は、第2弾性部材17の付勢力により、ホイール18の突出部18a1を矢示A2方向に押圧する。
【0077】
その結果、ホイール18は、矢示A3方向(反時計回り)に回転(正回転)する。ホイール18は、突出部18a2が伝達部16に接触することにより、それ以上の回転が規制される。この場合、図9(b)に示すように、発電機19の回転子19bは、ホイール18と一緒に反時計回り方向に回転(正回転)する。これにより、発電機19は、コイル19a2に電流が流れる(発電する)。
【0078】
図8に示すように、入力部13aへの入力が解除された場合には、移動部材13が第1弾性部材14の付勢力により、矢示A4方向に移動する。すなわち、入力部13aは、第1弾性部材14の付勢力により、所定位置から初期位置に戻される。換言すると、第1弾性部材14は、入力部13aへのエネルギ(入力)が解除されたときに移動部材13(可動部)を元の位置に戻す第1戻し弾性部材となっている。第1弾性部材14(第1戻し弾性部材)は、本体部12と移動部材13とを接続している。この場合、ホイール18は、突出部18a2が伝達部16の傾斜面16b2に沿って移動するとともに、伝達部16に押圧されて矢示A5方向(時計回り)に回転(逆回転)する。この場合、図9(c)に示すように、発電機19の回転子19bは、固定子19aとの間の磁力に抗して時計回りに回転(逆回転)する。
【0079】
そして、入力部13aが初期位置に戻ると、突出部18a2が伝達部16の下方に位置する。これにより、ホイール18は、伝達部16による反時計回り方向への回転規制が解除される。従って、図9(d)に示すように、発電機19の回転子19bは、磁力により安定した位置まで反時計回り方向に回転する。これにより、ホイール18は、図5と同じ状態(開始位置)となるまで回転して、次の入力部13aへの入力を待機する。
【0080】
次に入力部13aに入力がなされた場合には、伝達部16が突出部18a2を押圧して、ホイール18および回転子19bを回転させる。この例では、ホイール18は、6回の操作ボタン3の操作(すなわち、6回の発電)で1周することになる。
【0081】
第1実施形態による発電モジュール10によれば、入力部13aが初期位置から所定位置まで移動する間は、ロック部13cがホイール18の回転を規制することにより第2弾性部材17にエネルギが蓄積される。そして、入力部13aが所定位置まで移動した場合には、ロック部13cによるホイール18への規制が解除されて、第2弾性部材17に蓄積されたエネルギにより伝達部16がホイール18を正回転させて発電機19の回転子19bを回転させる。
【0082】
これにより、発電モジュール10は、入力部13aに入力がなされた場合に、ホイール18を回転させないので、効率よくエネルギを蓄積させることができる。また、入力部13aが初期位置から所定位置に移動するまでの間で、発電機19の回転子19bが回転しないので、発電機19によるコギングトルクを抑制することができる。その結果、リモコン装置1の操作性を向上できる。
【0083】
また、ホイール18は、入力部13aが所定位置から初期位置に戻る過程で回転した場合でも、発電機19により開始位置に戻される。従って、発電モジュール10は、安定して発電することができる。
【0084】
伝達部16は、発電時に可動部(移動部材13のストッパ13b2)に衝突する。すなわち、伝達部16は、第2弾性部材17に蓄積されたエネルギが放出されて回転部材(ホイール18)を回転させた後に、本体部12の内部で移動部材13のストッパ13b2に衝突する。本体部12は、カバーにより覆われている。伝達部16が本体部12の内部で移動部材13に衝突するので、伝達部16が本体部12に衝突する場合に比べて衝突音を低減できる。これにより、使用者に異音による不快感を与えるのを抑制できる。
【0085】
第1弾性部材14は、入力部13aへのエネルギ(入力)が解除されたときに移動部材13を元の位置に戻す第1戻し弾性部材となっている。第1弾性部材14(第1戻し弾性部材)は、本体部12と移動部材13とを接続している。これにより、発電後に第1弾性部材14により移動部材13を初期位置に戻すことができる。また、第1弾性部材14は、伝達部16が移動部材13に衝突したときの衝突エネルギを吸収することができる。
【0086】
伝達部16は、移動部材13の移動方向と同じ方向に移動する。すなわち、入力部13aに力Fが作用したときには、移動部材13が下方に向けて移動する。そして、伝達部16は、ロック部13cによるホイール18の回転規制が解除されたときに、第2弾性部材17の付勢力により下方に向けて移動する。この場合、伝達部16は、ホイール18を回転させた後に、移動部材13のストッパ13b2に衝突する。このように、伝達部16と移動部材13との移動方向が同じ方向(下方)であるので、伝達部16と移動部材13との衝突時に伝達部16の衝突エネルギを移動部材13の移動方向に逃がすことができる。従って、伝達部16と移動部材13との衝突音を小さくすることができる。
【0087】
なお、伝達部16は、移動部材13が移動している間に、移動部材13に衝突してもよい。すなわち、移動部材13が移動している間にロック部13cによるホイール18の回転規制が解除されてもよい。これにより、伝達部16と移動部材13との相対速度が小さい状態で、伝達部16と移動部材13とを衝突させることができる。従って、伝達部16と移動部材13との衝突音を小さくすることができる。
【0088】
次に、図10図16は、本発明の第2実施形態による発電モジュール20を示している。第2実施形態に係る発電モジュール20は、ホイール21が第1ホイール22と、第2ホイール30と、を有している。第2実施形態では、第1実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0089】
図10は、本発明の第2実施形態に係る発電モジュールを示す斜視図である。
図11は、図10中の発電モジュールを分解して示す分解斜視図である。
図12は、第1ホイールと第2ホイールとを示す斜視図である。
【0090】
発電モジュール20のホイール21は、第1ホイール22と、第2ホイール30と、を有している。ホイール21は、本発明の回転部材を構成している。第1ホイール22と第2ホイール30とは、前後方向で重なっている。第1ホイール22は、伝達部16から第2弾性部材17のエネルギを受ける部分となっている。第2ホイール30は、第1ホイール22と発電機19との間に位置して、第1ホイール22が受けたエネルギを発電機19に伝達する部分となっている。
【0091】
第1ホイール22は、第2ホイール30の前方に位置している。第1ホイール22の直径は、第2ホイール30の直径よりも小さく形成されている。図12に示すように、第1ホイール22は、後面22aから第2ホイール30に向けて突出する複数個(この例では、6個)の第1突起23a~23fおよび第2突起24a~24fを有している。
【0092】
各第1突起23a~23fは、第1ホイール22の周方向に離間して設けられている。各第1突起23a~23fは、第1ホイール22の中心部から端部に向けて放射状に延びている。各第1突起23a~23fは、第2ホイール30と非接触状態となっている。
【0093】
第1突起23a~23fには、伝達部16の延出部16bが当接する。すなわち、第1ホイール22は、第2弾性部材17に蓄積されたエネルギにより伝達部16が第1突起23a~23fを押圧して反時計回り方向に回転(正回転)する。
【0094】
各第2突起24a~24fは、それぞれ各第1突起23a~23fの径方向内側(第1ホイール22の中心側)で各第1突起23a~23fに隣接して設けられている。各第2突起24a~24fは、後面22aからの突出寸法が第1突起23a~23fよりも大きくなっている。
【0095】
各第2突起24a~24fは、それぞれ第2ホイール30の各突出部31~36間に位置する。各第2突起24a~24fは、それぞれ第2ホイール30の突出部31~36の側面に接触する。第1ホイール22は、伝達部16から伝達されたエネルギを第2突起24a~24fから第2ホイール30に伝達させる。
【0096】
また、第1ホイール22は、中心部に第3弾性部材39が挿入される挿入孔25を有している。この挿入孔25は、第3弾性部材39の一端側が係合する係合部25aを有している。
【0097】
第2ホイール30は、第1ホイール22と発電機19との間に位置している。第2ホイール30は、第1ホイール22により回転させられる。第2ホイール30の後面側の中心部には、発電機19の回転軸19cが取り付けられている。これにより、第2ホイール30が回転すると、発電機19の回転軸19cおよび回転子19bが回転する。
【0098】
図12に示すように、第2ホイール30は、中心部から放射状に広がる複数の突出部31~36(この例では、6本)を有している。各突出部31~36は、径方向外側の端部に後方に向けて切り欠かれた切欠部30aを有している。すなわち、突出部31~36は、径方向外側部30bと径方向内側部30cとにより、前後方向で段付き状に形成されている。
【0099】
突出部31~36は、第1ホイール22の第1突起23a~23fと前後方向で対面する。また、突出部31~36の径方向外側部30bは、伝達部16の延出部16bと前後方向で対面する。伝達部16の延出部16bは、第1ホイール22と第2ホイール30との間に位置して、第1ホイール22の第1突起23a~23fに当接するようになっている。
【0100】
突出部31~36の径方向内側部30cは、径方向外側部30bよりも前方に向けて突出している。径方向内側部30cの側面には、第1ホイール22の第2突起24a~24fが当接する。すなわち、各第2突起24a~24fは、隣り合う径方向内側部30cの間に位置する。第2ホイール30は、径方向内側部30cが第1ホイール22の第2突起24a~24fに押圧されることにより正回転する。
【0101】
図10図13に示すように、隣り合う突出部の間(この例では、突出部34と突出部35との間)には、ロック部13cが挿入されるようになっている。これにより、ロック部13cは、突出部31~36(この例では、突出部35)に当接することにより、第2ホイール30の反時計回り方向への回転(正回転)を規制している。
【0102】
また、第2ホイール30の前面側の中心部には、第3弾性部材39が挿入される挿入孔37を有している。この挿入孔37は、第3弾性部材39の他端側が係合する係合部37aを有している。図12に示すように、この例では、第3弾性部材39の他端が係合することができるように、突出部34の径方向内側部30cを後方に向けて切り欠いている。
【0103】
第3弾性部材39は、第1ホイール22と第2ホイール30とを弾性的に接続している。第3弾性部材39は、例えばねじりコイルばねとなっている。第3弾性部材39は、前側が第1ホイール22の挿入孔25に挿入され、後側が第2ホイール30の挿入孔37に挿入されている。その状態で、第3弾性部材39は、一端側が挿入孔25の係合部25aに係合され、他端側が挿入孔37の係合部37aに係合されている。第3弾性部材39は、第2ホイール30に対して、第1ホイール22を反時計回り方向(正回転方向)に付勢している。
【0104】
また、第3弾性部材39のばね定数は、発電機19の固定子19aと回転子19bとの間の磁力よりも小さくなっている。すなわち、発電機19の回転子19bは、第3弾性部材39の付勢力によりその回転が規制されないようになっている。
【0105】
かくして、第2実施形態に係る発電モジュール20は、上述の如き構成を有するもので、次に、発電モジュール20の作動について、図13図16を参照して説明する。
図13は、入力部に入力がなされていないときの状態を示す説明図である。
図14は、入力部に入力がなされたときの状態を示す説明図である。
図15は、発電機が発電するときの状態を示す説明図である。
図16は、入力部への入力が解除されたときの状態を示す説明図である。
図13図16では、第1ホイール22を透過させて、第1ホイール22と第2ホイール30との状態を示している。
【0106】
まず、図13に示すように、操作ボタン3が操作されていない場合には、入力部13aが初期位置にあり、第1ホイール22、第2ホイール30、および回転子19bが開始位置にある。この場合、第1ホイール22の第1突起23a~23fは、第2ホイール30の突出部31~36にそれぞれ前後方向で重なっている。また、第1ホイール22の第2突起24a~24fは、第2ホイール30の突出部31~36の側面にそれぞれ当接している。
【0107】
操作ボタン3が操作されると、リンク機構4が入力部13aを押圧する。これにより、図14に示すように、移動部材13は、第1弾性部材14の付勢力に抗して案内部12a内を移動(スライド)する。この場合、第2ホイール30は、突出部35がロック部13cに接触しているので、反時計回り方向への回転が規制されている。従って、第1ホイール22も反時計回り方向への回転が規制される。すなわち、ロック部13cは、第2ホイール30の回転を規制することにより、回転子19bの回転を間接的に規制している。
【0108】
これにより、伝達部16は、延出部16bが第1ホイール22の第1突起23aに押圧される。伝達部16は、第2弾性部材17の付勢力に抗して取付部13b1を中心に反時計回り方向に回転する。換言すると、伝達部16は、移動部材13に対して相対移動する。すなわち、第2弾性部材17は、入力部13aに力が作用すると、ロック部13cがホイール21の回転を規制している間に、伝達部16により縮小されてエネルギ(ばね力)を蓄積する。
【0109】
図15に示すように、入力部13aにさらに力が作用して、入力部13aが所定位置まで移動すると、ロック部13cによるホイール21の回転規制が解除される。これにより、伝達部16は、第2弾性部材17の付勢力により、第1ホイール22の第1突起23aを押圧する。
【0110】
その結果、第1ホイール22は、反時計回り方向に回転(正回転)する。第2ホイール30は、突出部31~36が第1ホイール22の第2突起24a~24fに押圧されて、第1ホイール22と一緒に反時計回り方向に回転する。この場合、図9(b)に示すように、発電機19の回転子19bは、第2ホイール30と一緒に反時計回り方向に回転(正回転)する。これにより、発電機19は、コイル19a2に電流が流れて発電する。
【0111】
第1ホイール22は、第1突起23bが伝達部16の傾斜面16b2に接触することにより、それ以上の回転が規制される。ここで、第1ホイール22と第2ホイール30との間に設けられた第3弾性部材39のばね力は、発電機19の磁力よりも小さくなっている。従って、図15に示すように、第2ホイール30は、発電機19の磁力により、第3弾性部材39の付勢力に抗して次の開始位置まで反時計回り方向に回転する。
【0112】
図16に示すように、操作ボタン3への操作が解除された場合には、入力部13aへの入力が解除される。そうすると、移動部材13は、第1弾性部材14の付勢力により戻る。すなわち、入力部13aは、第1弾性部材14の付勢力により、所定位置から初期位置に戻される。換言すると、第1弾性部材14は、入力部13aへのエネルギ(入力)が解除されたときに移動部材13(可動部)を元の位置に戻す第1戻し弾性部材となっている。第1弾性部材14(第1戻し弾性部材)は、本体部12の受け部12bと移動部材13の押圧部13b4とを接続している。
【0113】
この場合、第1ホイール22は、第1突起23bが伝達部16の傾斜面16b2に沿って移動する。このとき、第1ホイール22は、第1突起23bが伝達部16に押圧されて、第3弾性部材39の付勢力に抗して時計回り方向に回転(逆回転)する。第2ホイール30は、発電機19の磁力が第3弾性部材39のばね力よりも大きいので、第1ホイール22と一緒に回転せずに開始位置を維持する。すなわち、発電機19の回転子19bは、入力部13aが所定位置から初期位置に移動する場合に、非回転となっている。
【0114】
なお、回転子19bは、入力部13aが所定位置から初期位置に移動する場合に、現在の極にとどまって、隣接する極に移動しない状態を維持できればよい。すなわち、第2ホイール30および回転子19bは、回転子19bが隣の極に移動しない範囲での移動(回転)は許容される。換言すると、入力部13aが所定位置から初期位置に移動する場合に、第2ホイール30および回転子19bが僅かに逆回転してもよい。
【0115】
そして、入力部13aが初期位置に戻ると、第1ホイール22の第1突起23bが伝達部16の下方に位置する。これにより、第1ホイール22は、伝達部16による反時計回り方向への回転規制が解除される。従って、第1ホイール22は、第3弾性部材39の付勢力により図13と同じ状態(開始位置)となるまで回転して、次の入力部13aへの入力を待機する。次に入力部13aに入力がなされた場合には、伝達部16が第1ホイール22の第1突起23bを押圧して、第2ホイール30および回転子19bを回転させる。この例では、ホイール21は、6回の操作ボタン3の操作(すなわち、6回の発電)で1周することになる。
【0116】
第2実施形態による発電モジュール20によれば、ホイール21は、伝達部16により回転させられる第1ホイール22と、第1ホイール22の回転を回転子19bに伝達する第2ホイール30と、を有している。そして、入力部13aが初期位置から所定位置まで移動した場合には、伝達部16が第1ホイール22を介して第2ホイール30および回転子19bを正回転させて、発電機19を発電させる。その後、入力部13aが所定位置から初期位置に移動する場合には、回転子19bが現在の極にとどまって、隣接する極に移動しない状態を維持する。すなわち、第2ホイール30および回転子19bは、発電後において、入力部13aが所定位置から初期位置に戻る場合に、その回転量を小さくしている。
【0117】
従って、リモコン装置1の操作ボタン3が操作されているときに、発電機19の回転子19bが回転しないので、発電機19によるコギングトルクを抑制することができ、リモコン装置1の操作性を向上できる。また、発電機19の回転子19bは、発電後の回転を小さくしている。従って、発電モジュール20は、発電機19による発電を安定的に行わせることができる。
【0118】
伝達部16は、発電時に可動部(移動部材13のストッパ13b2)に衝突する。すなわち、伝達部16は、第2弾性部材17に蓄積されたエネルギが放出されて回転部材(ホイール21)を回転させた後に、本体部12の内部で移動部材13のストッパ13b2に衝突する。本体部12は、カバーにより覆われている。伝達部16が本体部12の内部で移動部材13に衝突するので、伝達部16が本体部12に衝突する場合に比べて衝突音を低減できる。これにより、使用者に異音による不快感を与えるのを抑制できる。
【0119】
第1弾性部材14は、入力部13aへのエネルギ(入力)が解除されたときに移動部材13を元の位置に戻す第1戻し弾性部材となっている。第1弾性部材14(第1戻し弾性部材)は、本体部12と移動部材13とを接続している。これにより、発電後に第1弾性部材14により移動部材13を初期位置に戻すことができる。また、第1弾性部材14は、伝達部16が移動部材13に衝突したときの衝突エネルギを吸収することができる。
【0120】
伝達部16は、移動部材13の移動方向と同じ方向に移動する。すなわち、入力部13aに力Fが作用したときには、移動部材13が下方に向けて移動する。そして、伝達部16は、ロック部13cによるホイール21の回転規制が解除されたときに、第2弾性部材17の付勢力により下方に向けて移動する。この場合、伝達部16は、ホイール21を回転させた後に、移動部材13のストッパ13b2に衝突する。このように、伝達部16と移動部材13との移動方向が同じ方向(下方)であるので、伝達部16と移動部材13との衝突時に伝達部16の衝突エネルギを移動部材13の移動方向に逃がすことができる。従って、伝達部16と移動部材13との衝突音を小さくすることができる。
【0121】
なお、伝達部16は、移動部材13が移動している間に、移動部材13に衝突してもよい。すなわち、移動部材13が移動している間にロック部13cによるホイール18の回転規制が解除されてもよい。これにより、伝達部16と移動部材13との相対速度が小さい状態で、伝達部16と移動部材とを衝突させることができる。従って、伝達部16と移動部材13との衝突音を小さくすることができる。
【0122】
次に、図17図23は、本発明の第3実施形態による発電モジュール40を示している。第3実施形態に係る発電モジュール40は、ホイール50が第1ホイール52と、第2ホイール60と、を有している。第3実施形態では、第1実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0123】
図17は、本発明の第3実施形態に係る発電モジュールを示す斜視図である。
図18は、図17中の発電モジュールを分解して示す分解斜視図である。
図19は、第1ホイールの後面と第2ホイールの後面とを示す斜視図である。
【0124】
本体部41は、移動部材43をスライド可能に案内する案内部41aと、第1弾性部材14が設けられる受け部41bと、本体部41の厚さ方向(前後方向)に貫通する貫通孔41cと、貫通孔41cの側方に位置する支持部41dと、を有している。貫通孔41cは、本体部41の前面から後面に向けて貫通しており、後面には発電機19が取り付けられている。貫通孔41cには、後述する第2ホイール60が配設される。支持部41dは、案内部41aと貫通孔41cとの間に設けられている。支持部41dには、後述する第1ホイール52が回転可能に取り付けられる。
【0125】
移動部材43は、本体部41から突出する入力部43aと、入力部43aに接続され案内部41a内に位置する中間部43bと、中間部43bに接続され案内部41aから本体部41と第1ホイール52との間に向けて延びるロック部43cと、を有している。移動部材43は、入力部43a、中間部43b、およびロック部43cにより正面視で凹状に形成されている。移動部材43は、入力部43aに操作力(エネルギ)が入力されたときに、本体部41に対して移動する可動部となっている。
【0126】
入力部43aは、第1実施形態による入力部13aと同様に、使用者の操作力が入力される部分となっている。入力部43aは、中間部43bから前側に向けて突出している。入力部43aの下面には、後述する第2弾性部材47が支持されている。図17図20に示すように、入力部13aは、本体部12から突出した位置が初期位置となっている。
【0127】
中間部43bは、正面視でL字状に形成されている。中間部43bは、入力部43aと、ロック部43cと、を接続している。中間部43bの上下方向の寸法は、案内部41aの上下方向の寸法よりも小さく形成されている。これにより、中間部43bは、案内部41a内を上下方向に摺動可能となっている。
【0128】
中間部43bは、入力部13aの下方に、伝達部16が取り付けられる取付部43b1を有している。取付部43b1は、中間部43bを厚さ方向(前後方向)に貫通し、上下方向に延びる貫通孔となっている。また、中間部43bには、受け部41bに対向する位置に、第1弾性部材14が係合する押圧部43b2を有している。
【0129】
ロック部43cは、伝達部45による発電機19の回転子19bの回転を規制する。この例では、ロック部43cは、中間部43bの先端から上方に向けて延びている。ロック部43cの移動距離は、入力部43aの移動距離と同じとなっている。図20に示すように、ロック部43cは、入力部43aが初期位置にある場合には第1ホイール52の回転を規制している。すなわち、ロック部43cは、第1ホイール52の回転を規制することにより、回転子19bの回転を間接的に規制している。一方、図22に示すように、ロック部43cは、入力部43aが所定位置まで移動した場合には第1ホイール52の回転規制を解除する。
【0130】
伝達部45は、移動部材43の取付部43b1に上下方向に摺動可能に取り付けられている。伝達部45は、移動部材43に対して上下方向に相対移動する。伝達部45は、前側が開口した凹状に形成されている。伝達部45の内部には、後述の第2弾性部材47が配設される。伝達部45は、第2弾性部材47に蓄積されたエネルギをホイール50に伝達する。伝達部45は、移動部材43と第1ホイール52との間に入り込んでいる。伝達部45は、下面が第1ホイール52に当接する当接面45aとなっている。また、伝達部45は、第1ホイール52側の側面が第1ホイール52に接触する接触面45bとなっている。
【0131】
第2弾性部材47は、伝達部45に設けられている。第2弾性部材47は、例えば圧縮コイルばねとなっている。第2弾性部材47は、一端側(上端側)が取付部43b1の上面に支持され、他端側(下端側)が伝達部45の底面に支持されている。これにより、第2弾性部材47は、伝達部45を下方に向けて付勢している。第2弾性部材47は、入力部43aに入力された力のエネルギを蓄積する弾性部材となっている。
【0132】
ホイール50は、伝達部45により回転させられる第1ホイール52と、第1ホイール52の回転を回転子19bに伝達する第2ホイール60と、を有している。ホイール50は、本発明の回転部材を構成している。第1ホイール52と第2ホイール60とは、左右方向に並んでいる。第1ホイール52は、伝達部45から第2弾性部材47のエネルギを受ける部分となっている。第2ホイール60は、第1ホイール52と発電機19との間に位置して、第1ホイール52が受けたエネルギを発電機19に伝達する部分となっている。
【0133】
第1ホイール52は、本体部41の支持部41dに回転可能に取り付けられている。第1ホイール52は、円板部53と、円板部53に設けられた歯車部55と、を有している。図19に示すように、円板部53の後面53aには、後方に向けて突出する複数本(この例では、6本)の突出部54a~54fが周方向に離間して設けられている。突出部54a~54fは、後面53aの中央部から径方向外側に向けて放射状に延びている。
【0134】
第1ホイール52は、突出部54a~54fが伝達部45により押圧されることで回転する。また、図17図20に示すように、隣り合う突出部の間(この例では、突出部54dと突出部54eとの間)には、ロック部43cが挿入されるようになっている。これにより、ロック部43cは、突出部54a~54f(この例では、突出部54e)に当接することにより、第1ホイール52の反時計回り方向(正回転)への回転を規制している。
【0135】
歯車部55は、円板部53の側面(径方向外側端部)に設けられている。図17に示すように、歯車部55は、伝達部45よりも前方に位置している。歯車部55は、第2ホイール60の歯車部63に噛合している。
【0136】
第2ホイール60は、第1ホイール52と発電機19との間に位置している。第2ホイール60は、第1ホイール52により回転させられる。第2ホイール60は、円筒部61と、円筒部61に設けられ第1ホイール52の歯車部55に噛合する歯車部63と、円筒部61の内部に移動可能に設けられ発電機19の回転軸19cに取り付けられるブロック体65と、を有している。
【0137】
円筒部61は、例えば段付き状に形成されている。図19に示すように、円筒部61は、後面側に扇状の空間Sが形成された有底筒状となっている。歯車部63は、円筒部61の側面(径方向外側端部)に設けられている。円筒部61は、歯車部63が第1ホイール52の歯車部55に噛合していることにより、第1ホイール52と一緒に回転する。この例では、第2ホイール60の歯車部63の歯数は、第1ホイール52の歯車部55の歯数よりも少なくなっている。これにより、第1ホイール52の回転角度よりも第2ホイール60の回転角度を大きくすることができる。
【0138】
ブロック体65は、円筒部61の空間S内に設けられている。ブロック体65の中心部には、発電機19の回転軸19cが取り付けられる。すなわち、ブロック体65と発電機19の回転軸19c(回転子19b)とは、一緒に回転する。なお、円筒部61は、発電機19の回転軸19cには取り付けられていない。円筒部61は、ブロック体65に取り付けられている。
【0139】
図19に示すように、ブロック体65は、円筒部61の空間Sよりも小さく形成されている。ブロック体65は、円筒部61の一方の内面61aに押圧されることにより回転する。ブロック体65が円筒部61の空間Sよりも小さく形成されていることにより、円筒部61とブロック体65とは相対的に回転可能となっている。
【0140】
第3弾性部材67は、円筒部61の内部(空間S)で円筒部61の他方の内面61bとブロック体65との間に設けられている。第3弾性部材67は、例えばV字状の板ばねとなっており、ブロック体65を円筒部61の内面61aに向けて付勢している。第3弾性部材67のばね定数は、発電機19の固定子19aと回転子19bとの間の磁力よりも小さくなっている。すなわち、発電機19の回転子19bは、第3弾性部材67の付勢力によりその回転が規制されないようになっている。
【0141】
かくして、第3実施形態に係る発電モジュール40は、上述の如き構成を有するもので、次に、発電モジュール40の作動について、図20図23を参照して説明する。
図20は、入力部に入力がなされていないときの状態を示す説明図である。
図21は、入力部に入力がなされたときの状態を示す説明図である。
図22は、発電機が発電するときの状態を示す説明図である。
図23は、入力部への入力が解除されたときの状態を示す説明図である。
図20図23では、縦断面図により、移動部材43,伝達部45、第1ホイール52の突出部54a~54f、第2ホイール60の円筒部61およびブロック体65の作動を示している。
【0142】
まず、図20に示すように、操作ボタン3が操作されていない場合には、入力部43aが初期位置にあり、第1ホイール52、第2ホイール60、および回転子19bが開始位置にある。この場合、ロック部43cは、突出部54dと54eとの間に位置している。また、第3弾性部材67は、ブロック体65を円筒部61の内面61aに向けて付勢している。
【0143】
操作ボタン3が操作されると、リンク機構4が入力部43aを押圧する。これにより、図21に示すように、入力部43aに力F(操作力)が作用して、移動部材43が第1弾性部材14の付勢力に抗して案内部41a内を移動(スライド)する。この場合、第1ホイール52は、突出部54eがロック部43cに接触しているので、反時計回り方向への回転が規制されている。従って、第2ホイール60も時計回り方向への回転が規制される。
【0144】
伝達部45は、当接面45aが第1ホイール52の突出部54aに押圧される。伝達部45は、第2弾性部材47の付勢力に抗して移動部材43に対して矢示B1方向に相対移動する。すなわち、第2弾性部材47は、入力部43aに力Fが作用すると、ロック部43cがホイール50の回転を規制している間に、伝達部45により縮小されてエネルギ(ばね力)を蓄積する。
【0145】
図22に示すように、入力部43aにさらに力Fが作用して、入力部43aが所定位置まで移動すると、ロック部43cによる第1ホイール52の回転規制が解除される。これにより、伝達部45は、第2弾性部材47の付勢力により、第1ホイール52の突出部54aを矢示B2方向に押圧する。
【0146】
その結果、第1ホイール52は、矢示B3方向(反時計回り方向)に回転(正回転)する。第1ホイール52は、突出部54bが伝達部45の接触面45bに接触することにより、それ以上の回転が規制される。第1ホイール52が回転すると、第1ホイール52の歯車部55に噛合している第2ホイール60が矢示B4方向(時計回り方向)に回転(正回転)する。
【0147】
この場合、第2ホイール60のブロック体65は、円筒部61の内面61aに押圧されることにより、円筒部61と一緒に時計回り方向に回転する。ブロック体65が回転することにより、発電機19の回転軸19cも回転する。これにより、発電機19は、回転子19bが回転することにより発電を行う。
【0148】
図23に示すように、操作ボタン3への操作が解除された場合には、入力部43aへの入力が解除される。そうすると、移動部材43は、第1弾性部材14の付勢力により矢示B5方向に移動する。すなわち、入力部43aは、第1弾性部材14の付勢力により、所定位置から初期位置に戻される。換言すると、第1弾性部材14は、入力部43aへのエネルギ(入力)が解除されたときに移動部材43(可動部)を元の位置に戻す第1戻し弾性部材となっている。第1弾性部材14(第1戻し弾性部材)は、本体部41の受け部41bと移動部材43の押圧部43b2とを接続している。
【0149】
この場合、第1ホイール52は、突出部54bが伝達部45の接触面45bに沿って移動する。このとき、第1ホイール52は、突出部54bが伝達部45に押圧されて、矢示B6方向(時計回り方向)に回転(逆回転)する。第2ホイール60は、発電機19の磁力が第3弾性部材67のばね力よりも大きいので、円筒部61のみが第3弾性部材67の付勢力に抗して矢示B7方向(時計回り方向)に逆回転する。すなわち、入力部43aが所定位置から初期位置に移動する場合には、第2ホイール60の円筒部61が回転しても、発電機19の回転子19bは非回転となっている。
【0150】
なお、回転子19bは、入力部43aが所定位置から初期位置に移動する場合に、現在の極にとどまって、隣接する極に移動しない状態を維持できればよい。すなわち、第2ホイール60のブロック体65および回転子19bは、回転子19bが隣の極に移動しない範囲での移動(回転)は許容される。換言すると、入力部43aが所定位置から初期位置に移動する場合に、第2ホイール60のブロック体65および回転子19bが僅かに逆回転してもよい。
【0151】
そして、入力部43aが初期位置に戻ると、第1ホイール52の突出部54bが伝達部45の下方に位置する。これにより、第1ホイール52は、伝達部45による反時計回り方向への回転規制が解除される。従って、第1ホイール52および第2ホイール60は、第3弾性部材67の付勢力により開始位置となるまで回転して、次の入力部43aへの入力を待機する。次に入力部43aに入力がなされた場合には、伝達部45が第1ホイール52の突出部54bを押圧して、第2ホイール60および回転子19bを回転させる。この例では、第1ホイール52は、6回の操作ボタン3の操作(すなわち、6回の発電)で1周することになる。
【0152】
第3実施形態による発電モジュール40によれば、ホイール50は、伝達部45により回転させられる第1ホイール52と、第1ホイール52の回転を回転子19bに伝達する第2ホイール60と、を有している。第1ホイール52は、円板部53と、円板部53に設けられた歯車部55と、を有している。第2ホイール60は、円筒部61と、円筒部61に設けられ第1ホイール52の歯車部55に噛合する歯車部63と、円筒部61の内部に移動可能に設けられ発電機19の回転軸19cに取り付けられるブロック体65と、を有している。
【0153】
そして、入力部43aが所定位置まで移動した場合には、伝達部45が第1ホイール52を介して第2ホイール60および回転子19bを正回転させる。その後、入力部43aが所定位置から初期位置に移動する場合には、回転子19bが現在の極にとどまって、隣接する極に移動しない状態を維持する。すなわち、第2ホイール60のブロック体65は、第3弾性部材67および発電機19の磁力により、発電後の回転量を小さくしている。
【0154】
従って、リモコン装置1の操作ボタン3が操作されているときに、発電機19の回転子19bが回転しないので、発電機19によるコギングトルクを抑制することができ、リモコン装置1の操作性を向上できる。また、発電機19の回転子19bは、発電後の回転を小さくしている。従って、発電モジュール40は、発電機19による発電を安定的に行わせることができる。
【0155】
伝達部45は、発電時に移動部材43の取付部43b1の底面に衝突する。すなわち、伝達部45は、第2弾性部材47に蓄積されたエネルギが放出されて回転部材(ホイール50)を回転させた後に、本体部41の内部で可動部に衝突する。本体部41は、カバーにより覆われている。伝達部45が本体部41の内部で移動部材43に衝突するので、伝達部45が本体部41に衝突する場合に比べて衝突音を低減できる。これにより、使用者に異音による不快感を与えるのを抑制できる。
【0156】
第1弾性部材14は、入力部43aへのエネルギ(入力)が解除されたときに移動部材43を元の位置に戻す第1戻し弾性部材となっている。第1弾性部材14(第1戻し弾性部材)は、本体部41と移動部材43とを接続している。これにより、発電後に第1弾性部材14により移動部材43を初期位置に戻すことができる。また、第1弾性部材14は、伝達部45が移動部材43に衝突したときの衝突エネルギを吸収することができる。
【0157】
伝達部45は、移動部材43の移動方向と同じ方向に移動する。すなわち、入力部43aに力Fが作用したときには、移動部材43が下方に向けて移動する。そして、伝達部45は、ロック部43cによる第1ホイール52の回転規制が解除されたときに、第2弾性部材47の付勢力により下方に向けて移動する。この場合、伝達部45は、第1ホイール52を回転させた後に、取付部43b1の底面に衝突する。このように、伝達部45と移動部材43との移動方向が同じ方向(下方)であるので、伝達部45と移動部材43との衝突時に伝達部45の衝突エネルギを移動部材43の移動方向に逃がすことができる。従って、伝達部45と移動部材43との衝突音を小さくすることができる。
【0158】
なお、伝達部45は、移動部材43が移動している間に、移動部材43に衝突してもよい。すなわち、移動部材43が移動している間にロック部43cによる第1ホイール52の回転規制が解除されてもよい。これにより、伝達部45と移動部材43との相対速度が小さい状態で、伝達部45と移動部材43とを衝突させることができる。従って、伝達部45と移動部材43との衝突音を小さくすることができる。
【0159】
次に、図24図29は、本発明の第4実施形態による発電モジュール70を示している。第4実施形態に係る発電モジュール70は、伝達部80をホイール90から退避させる退避部75を有している。第4実施形態では、第1実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0160】
図24は、本発明の第4実施形態に係る発電モジュールを示す斜視図である。
図25は、図24中の発電モジュールを分解して示す分解斜視図である。
【0161】
移動部材72は、本体部12から突出する入力部72aと、入力部72aに接続され案内部12a内に位置する中間部72bと、中間部72bに接続され案内部12aから貫通孔12cに向けて突出するロック部72cと、を有している。移動部材72は、入力部72a、中間部72b、およびロック部72cにより正面視で凹状に形成されている。
【0162】
入力部72aは、使用者の操作力が入力される部分となっている。入力部72aは、例えばリモコン装置1の第2リンク4bに接続されている。使用者がリモコン装置1の操作ボタン3を押圧すると、第2リンク4bが入力部72aを押圧することにより移動部材72が移動(スライド)する。入力部72aは、本体部12から突出した位置が初期位置(図24の状態)となっている。すなわち、初期位置は、第2リンク4bにより入力部72aが押圧されていない状態である。換言すると、初期位置は、入力部72aに入力がなされていないときの状態である。
【0163】
入力部72aには、前方に向けて突出する軸部72dが設けられている。この軸部72dには、後述の退避部75が回動可能に取り付けられる。なお、軸部72dは、中間部72bに設けられていてもよい。また、入力部72aには、軸部72dに隣接した位置に第2弾性部材77の一端側が係合する係合部72eが設けられている。中間部72bは、受け部12bに対向する位置に、第1弾性部材14が係合する押圧部72b1が設けられている。
【0164】
ロック部72cは、伝達部80による発電機19の回転子19bの回転を規制する。この例では、ロック部72cは、中間部72bの先端から上方に向けて延びている。ロック部72cの移動距離は、入力部72aの移動距離と同じとなっている。図26に示すように、ロック部72cは、入力部72aが初期位置にある場合には貫通孔12c内に突出している。一方、図28に示すように、ロック部72cは、入力部72aが所定位置まで移動した場合には貫通孔12cから外れる。
【0165】
この所定位置は、例えば入力部72aに力が付与されて入力部72a(移動部材72)が移動したときのエンド位置(最終位置)となっている。ロック部72cは、入力部72aが初期位置から所定位置までの間にある場合に、貫通孔12c内に位置するホイール90の回転を規制する。すなわち、ロック部72cは、ホイール90の回転を規制することにより、回転子19bの回転を間接的に規制している。
【0166】
退避部75は、移動部材72の軸部72dに回動可能に取り付けられている。退避部75は、軸部72dに取り付けられた状態で、入力部72aから中間部72bに向けて沿って延びている。退避部75は、軸部72dに取り付けられる回動部75aと、回動部75aから下方に向けて延びる垂下部75bと、を有している。移動部材72と退避部75とは、入力部72aに操作力(エネルギ)が入力されたときに、本体部12に対して移動する可動部となっている。
【0167】
回動部75aは、後面側が開口した筒状に形成されている。回動部75aは、後面側に第2弾性部材77の他端側が係合する係合部75a1を有している。退避部75は、回動部75aが回動可能な固定端となり、垂下部75bが自由端となっている。すなわち、退避部75は、軸部72dに吊り下げられている。
【0168】
垂下部75bは、上下方向で段付き状に形成されている。垂下部75bは、後述する伝達部80が取り付けられる取付部75cを有している。取付部75cは、垂下部75bを厚さ方向(前後方向)に貫通し、上下方向に延びる貫通孔となっている。また、垂下部75bは、取付部75cの側方(ホイール90側)に、伝達部80の延出部83が挿通する挿通孔75dを有している。この挿通孔75dは、取付部75cと同様に上下方向に延びている。
【0169】
第2弾性部材77は、例えばねじりコイルばねからなり、軸部72dの外周に巻回されている。第2弾性部材77は、一端側が移動部材72の係合部72eに係合され、他端側が退避部75の係合部75a1に係合されている。第2弾性部材77のばね定数は、発電機19の固定子19aと回転子19bとの間の磁力よりも小さくなっている。
【0170】
第2弾性部材77は、退避部75を反時計回り方向に付勢している。入力部72aが初期位置にある場合には、退避部75の下端が移動部材72の押圧部72b1の側面に接触して、退避部75の反時計回り方向への回転を規制している。第2弾性部材77は、入力部72aへのエネルギの入力が解除されて可動部が元の位置に戻るときに、ホイール90から離れる方向に移動した伝達部80を元の位置に戻す第2戻し弾性部材となっている。
【0171】
伝達部80は、退避部75の取付部75cに、退避部75に対して相対移動可能に設けられている。伝達部80は、凹状に形成され第3弾性部材85が支持される支持部81と、支持部81からホイール90に向けて延びる延出部83と、を有している。図24に示すように、支持部81は、取付部75c内に位置している。
【0172】
延出部83は、退避部75の挿通孔75dから貫通孔12cに向けて突出している。延出部83の下面の先端側は、貫通孔12c内に位置するホイール90に当接する当接面83aとなっている。伝達部80は、当接面83aがホイール90の突出部91a~91fを下方に向けて押圧することによりホイール90を回転させる。また、延出部83の側面は、ホイール90が反時計回り方向に回転したときに、突出部91a~91fが接触する接触面83bとなっている。
【0173】
第3弾性部材85は、伝達部80に設けられている。第3弾性部材85は、例えば圧縮コイルばねとなっている。第3弾性部材85は、一端側(上端側)が取付部75cの上面に支持され、他端側(下端側)が伝達部80の底面に支持されている。これにより、第3弾性部材85は、伝達部80を下方に向けて付勢している。第3弾性部材85は、入力部72aに入力された力のエネルギを蓄積する弾性部材となっている。
【0174】
ホイール90は、本体部12の貫通孔12c内に位置して、発電機19の回転軸19cに設けられている。ホイール90は、本発明の回転部材を構成している。ホイール90は、中心部に発電機19の回転軸19cが取り付けられている。これにより、ホイール90を回転させれば、発電機19の回転軸19cを回転させることができる。すなわち、ホイール90と回転軸19cとは、同じ方向に一緒に回転する。ホイール90は、第3弾性部材85のエネルギ(付勢力)による伝達部80の押圧で回転する。
【0175】
ホイール90は、中心部から放射状に広がる複数の突出部91a~91f(この例では、6本)を有している。ホイール90は、各突出部91a~91fが伝達部80の延出部83に押圧されることにより反時計回り方向に回転(正回転)する。
【0176】
図24図26に示すように、入力部72aが初期位置から所定位置に移動する間は、突出部(この例では、突出部91d)がロック部72cに当接している。これにより、ロック部72cは、ホイール90の反時計回り方向(正回転)への回転を規制している。
【0177】
かくして、第4実施形態に係る発電モジュール70は、上述の如き構成を有するもので、次に、発電モジュール70の作動について、図26図29を参照して説明する。
図26は、入力部に入力がなされていないときの状態を示す説明図である。
図27は、入力部に入力がなされたときの状態を示す説明図である。
図28は、発電機が発電するときの状態を示す説明図である。
図29は、入力部への入力が解除されたときの状態を示す説明図である。
図26図29は、縦断面図により、移動部材72,伝達部80、退避部75、およびホイール90の突出部91a~91fの作動を示している。
【0178】
まず、図26に示すように、操作ボタン3が操作されていない場合には、入力部72aが初期位置にあり、ホイール90、および回転子19bが開始位置にある。この場合、ホイール90は、突出部91dがロック部72cに接触していることにより、反時計回り方向への回転が規制されている。
【0179】
操作ボタン3が操作されると、リンク機構4が入力部72aを押圧する。これにより、図27に示すように、入力部72aに力F(操作力)が作用して、移動部材72が第1弾性部材14の付勢力に抗して案内部12a内を移動(スライド)する。この場合、ホイール90は、ロック部72cより反時計回り方向への回転が規制されている。
【0180】
伝達部80は、ホイール90の回転が規制されているので、当接面83aがホイール90の突出部91aにより押圧される。伝達部80は、第3弾性部材85の付勢力に抗して移動部材72に対して矢示C1方向に相対移動する。すなわち、第3弾性部材85は、入力部72aに力Fが作用すると、ロック部72cがホイール90の回転を規制している間に、伝達部80により縮小されてエネルギ(ばね力)を蓄積する。
【0181】
図28に示すように、入力部72aにさらに力Fが作用して、入力部72aが所定位置まで移動すると、ロック部72cによるホイール90の回転規制が解除される。これにより、伝達部80は、第3弾性部材85の付勢力により、ホイール90の突出部91aを矢示C2方向に押圧する。
【0182】
その結果、ホイール90は、矢示C3方向(反時計回り方向)に回転(正回転)する。ホイール90は、突出部91bが伝達部80の接触面83bに接触することにより、それ以上の回転が規制される。発電機19の回転子19bは、ホイール90が回転することにより回転する。これにより、発電機19は、コイル19a2に電流が流れる(発電する)。発電機19が発電した後には、ホイール90および回転子19bは開始位置に位置している。
【0183】
図29に示すように、入力部72aへの入力が解除された場合には、移動部材72が第1弾性部材14の付勢力により、矢示C4方向に移動する。すなわち、入力部72aは、第1弾性部材14の付勢力により、所定位置から初期位置に戻される。換言すると、第1弾性部材14は、入力部72aへのエネルギ(入力)が解除されたときに可動部(移動部材72および退避部75)を元の位置に戻す第1戻し弾性部材となっている。第1弾性部材14(第1戻し弾性部材)は、本体部12の受け部12bと可動部を構成する移動部材72の押圧部72b1とを接続している。
【0184】
ここで、退避部75を付勢している第2弾性部材77のばね力は、発電機19の磁力よりも小さくなっている。従って、退避部75は、伝達部80の延出部83がホイール90の突出部91bに押圧されて矢示C5方向(ホイール90から離れる方向)に移動する。換言すると、伝達部80の延出部83は、入力部72aが所定位置から初期位置に戻る場合に、ホイール90の突出部91a~91fを避ける方向に移動する。すなわち、ホイール90および発電機19の回転子19bは、入力部72aが所定位置から初期位置に移動する場合に、非回転となっている。
【0185】
なお、回転子19bは、入力部72aが所定位置から初期位置に移動する場合に、現在の極にとどまって、隣接する極に移動しない状態を維持できればよい。すなわち、ホイール90および回転子19bは、回転子19bが隣の極に移動しない範囲での移動(回転)は許容される。換言すると、入力部72aが所定位置から初期位置に移動する場合に、ホイール90および回転子19bが僅かに逆回転してもよい。
【0186】
そして、入力部72aが初期位置に戻ると、ホイール90の突出部91bが延出部83の下方に位置する。これにより、ホイール90は、次の入力部72aへの入力を待機する。次に入力部72aに入力がなされた場合には、伝達部80がホイール90の突出部91bを押圧して、ホイール90および回転子19bを回転させる。この例では、ホイール90は、6回の操作ボタン3の操作(すなわち、6回の発電)で1周することになる。
【0187】
第4実施形態による発電モジュール70によれば、入力部72aが所定位置から初期位置に移動する場合に、回転子19bが現在の極にとどまって、隣接する極に移動しない状態を維持しながら伝達部80を回転部材(ホイール90)から退避させる退避部75をさらに有している。すなわち、ホイール90は、退避部75、第2弾性部材77、および発電機19の磁力により、発電後の回転量を小さくしている。
【0188】
従って、リモコン装置1の操作ボタン3が操作されているときに、発電機19の回転子19bが回転しないので、発電機19によるコギングトルクを抑制することができ、リモコン装置1の操作性を向上できる。また、発電機19の回転子19bは、発電後の回転を小さくしている。従って、発電モジュール40は、発電機19による発電を安定的に行わせることができる。
【0189】
伝達部80は、発電時に退避部75の取付部75cの底面に衝突する。すなわち、伝達部80は、第3弾性部材85に蓄積されたエネルギが放出されて回転部材(ホイール90)を回転させた後に、本体部12の内部で可動部(退避部75)に衝突する。本体部12は、カバーにより覆われている。伝達部80が本体部12の内部で可動部に衝突するので、伝達部80が本体部12に衝突する場合に比べて衝突音を低減できる。これにより、使用者に異音による不快感を与えるのを抑制できる。
【0190】
第1弾性部材14は、入力部72aへのエネルギ(入力)が解除されたときに可動部(移動部材72および退避部75)を元の位置に戻す第1戻し弾性部材となっている。第1弾性部材14(第1戻し弾性部材)は、本体部12と移動部材72とを接続している。これにより、発電後に第1弾性部材14により可動部を初期位置に戻すことができる。また、第1弾性部材14は、伝達部16が可動部に衝突したときの衝突エネルギを吸収することができる。
【0191】
伝達部80は、可動部の移動方向と同じ方向に移動する。すなわち、入力部72aに力Fが作用したときには、移動部材72と退避部75とが下方に向けて一緒に移動する。そして、伝達部80は、ロック部72cによるホイール90の回転規制が解除されたときに、第3弾性部材85の付勢力により下方に向けて移動する。この場合、伝達部80は、ホイール90を回転させた後に、可動部を構成する退避部75に衝突する。このように、伝達部80と退避部75との移動方向が同じ方向(下方)であるので、伝達部80と退避部75との衝突時に伝達部80の衝突エネルギを退避部75の移動方向に逃がすことができる。従って、伝達部80と退避部75との衝突音を小さくすることができる。
【0192】
伝達部80は、可動部が移動している間に、可動部に衝突してもよい。すなわち、可動部(移動部材72および退避部75)が移動している間にロック部72cによるホイール90の回転規制が解除されてもよい。これにより、伝達部80と可動部との相対速度が小さい状態で、伝達部80と可動部とを衝突させることができる。従って、伝達部80と可動部との衝突音を小さくすることができる。
【0193】
発電モジュール70は、入力部72aへのエネルギの入力が解除されて可動部(移動部材72および退避部75)が元の位置に戻るときに、回転部材(ホイール90)から離れる方向に移動した伝達部80を元の位置に戻す第2戻し弾性部材(第2弾性部材77)をさらに備えている。伝達部80は、退避部75と一緒にホイール90から離れる方向に移動する。第2弾性部材77は、ホイール90に押圧されてホイール90から離れる方向に移動した伝達部80の当接面83aをホイール90の突出部間に戻す。これにより、第2弾性部材77は、発電後に伝達部80を元の位置に戻すことができる。
【0194】
次に、図30図35は、本発明の第5実施形態による発電モジュール100を示している。第5実施形態に係る発電モジュール100は、ロック部150が伝達部140の移動を規制している。第5実施形態では、第1実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0195】
図30は、本発明の第5実施形態に係る発電モジュールを示す斜視図である。
図31は、図30中の発電モジュールを分解して示す分解斜視図である。
【0196】
本体部110は、移動部材120をスライド可能に案内する案内部111と、第1ホイール162が取り付けられる支持部112と、杆部130が取り付けられる軸部113と、ロック部150が取り付けられる取付部114と、を有している。この例では、発電機19は、本体部110の内部に設けられている。図30図31に示すように、発電機19は、カバー116により覆われている。この場合、発電機19の回転軸19cは、カバー116から前方に向けて突出している。
【0197】
移動部材120は、本体部110の案内部111内に上下方向に摺動可能に取り付けられている。移動部材120は、杆部130が取り付けられる取付部122と、伝達部140が取り付けられる凹部124と、を有している。移動部材120は、前方が開口した凹状に形成されている。
【0198】
杆部130は、発電機19および移動部材120の上方に位置して、本体部110内に設けられている。杆部130は、一端側が軸部113に回動可能に取り付けられている。杆部130は、他端側が入力部132となっており、移動部材120の取付部122に取り付けられている。杆部130の入力部132は、例えばリモコン装置1の第2リンク4bに接続されている。杆部130は、一端側を回動支点として押圧されることにより、移動部材120を移動させる。移動部材120と杆部130とは、入力部132に操作力(エネルギ)が入力されたときに、本体部110に対して移動する可動部となっている。
【0199】
杆部130と軸部113との間には、第1弾性部材135が設けられている。第1弾性部材135は、例えばねじりコイルばねからなり、軸部113の外周に巻回されている。第1弾性部材135は、一端側が本体部110に係合され、他端側が杆部130の内面に係合されている。第1弾性部材135は、杆部130を上方(所定位置から初期位置)に向けて付勢している。第1弾性部材135は、入力部132への入力が解除されたときに、入力部132を所定位置から初期位置に戻す戻しばねとなっている。換言すると、第1弾性部材135は、入力部132へのエネルギ(入力)が解除されたときに可動部(移動部材120および杆部130)を元の位置に戻す第1戻し弾性部材となっている。第1弾性部材135(第1戻し弾性部材)は、本体部110と可動部を構成する杆部130とを接続している。
【0200】
伝達部140は、移動部材120の凹部124内に上下方向に摺動可能に取り付けられている。伝達部140は、第1部材142と、第1部材142に回動可能に取り付けられた第2部材145と、を有している。第1部材142は、上下方向の中央部に前方に向けて突出する受け部143を有している。受け部143は、第2弾性部材147の下端側を上面で支持する。受け部143の下方には、第2部材145が設けられている。入力部132が初期位置から所定位置に移動するまでの間では、第1部材142の下面142aがロック部150の当接部154に当接している。
【0201】
第2弾性部材147は、下端側が伝達部140の受け部143に支持され、上端側が移動部材120の凹部124の上面に支持されている。第2弾性部材147は、例えば圧縮コイルばねとなっている。第2弾性部材147は、伝達部140を下方に向けて付勢している。第2弾性部材147は、入力部132に入力された力のエネルギを蓄積する弾性部材となっている。伝達部140(第2部材145)は、第2弾性部材147に蓄積されたエネルギを第1ホイール162に伝達する。
【0202】
第2部材145は、第1部材142に対して回動可能に取り付けられている。第2部材145は、ロック部150よりも前方に位置している。第2部材145の下端部145aは、第1ホイール162の歯溝内に位置している。
【0203】
第2部材145と第1部材142との間には、第3弾性部材148が設けられている。第3弾性部材148は、例えばねじりコイルばねからなり、一端側が第2部材145の内面に係合され、他端側が受け部143に係合されている。第3弾性部材148は、第2部材145を反時計回り方向に付勢している。第3弾性部材148のばね定数は、発電機19の固定子19aと回転子19bとの間の磁力よりも小さくなっている。第2部材145は、入力部132が所定位置から初期位置に移動する場合に、第1ホイール162から退避する退避部も兼ねている。第3弾性部材148は、入力部132へのエネルギの入力が解除されて可動部が元の位置に戻るときに、回転部材(第1ホイール162)から離れる方向に移動した伝達部140を元の位置に戻す第2戻し弾性部材となっている。
【0204】
ロック部150は、移動部材120と発電機19との間に位置して、上端側が本体部110の取付部114に取り付けられている。ロック部150は、移動部材120に沿って上下方向に延び、上端側が回動可能な固定端となり、下端側が自由端となっている。ロック部150は、上端側に位置して取付部114に取り付けられる取付部151と、取付部151から下方に向けて延びる延出部152と、第1部材142の下面142aに当接する当接部154と、延出部152の下端から移動部材120の下方に向けて傾斜する傾斜部156と、を有している。ロック部150は、伝達部140による発電機19の回転子19bの回転を規制する。
【0205】
当接部154は、延出部152の上下方向の中央部から突出している。当接部154は、入力部132が初期位置から所定位置に移動するまでの間で、第1部材142の下面142aに当接することにより、伝達部140の移動を規制する。ロック部150は、伝達部140の移動を規制することにより、伝達部140がホイール160を回転させないように規制している。従って、ロック部150は、回転子19bの回転を間接的に規制している。
【0206】
傾斜部156は、移動部材120の下端に当接する傾斜面156a(ロック部操作部)を有している。傾斜面156aは、延出部152の側面から左斜め下方に向けて延びている。これにより、ロック部150は、傾斜面156aが移動部材120により下方に押圧されると、取付部151を回動支点として反時計回り方向に回動する。この場合、ロック部150は、当接部154が第1部材142の下面142aから外れる位置まで回動する。当接部154が第1部材142の下面142aから外れる位置は、入力部132が所定位置に到達したときとなっている。
【0207】
ロック部150と本体部110との間には、第4弾性部材158が設けられている。第4弾性部材158は、例えばねじりコイルばねからなり、一端側がロック部150の内面に係合され、他端側が本体部110に係合されている。第4弾性部材158は、ロック部150を時計回り方向に付勢している。ロック部150は、入力部132が所定位置から初期位置に移動した場合に、第4弾性部材158の付勢力により、当接部154が第1部材142の下方に進入するように回動する。
【0208】
ホイール160は、第1ホイール162と、第1ホイール162に噛合する第2ホイール164と、を有している。第1ホイール162と第2ホイール164とは、本発明の回転部材を構成している。第1ホイール162は、カバー116およびロック部150よりも前方に位置して、本体部110の支持部112に回転可能に取り付けられている。第1ホイール160は、外周側に歯車部162aを有する。
【0209】
第2ホイール164は、発電機19の回転軸19cに回転可能に取り付けられている。すなわち、発電機19の回転子19bは、第2ホイール164と一緒に回転する。第2ホイール164は、外周側に歯車部164aを有する。第2ホイール164の歯車部164aは、第1ホイール162の歯車部162aに噛合している。
【0210】
かくして、第5実施形態に係る発電モジュール100は、上述の如き構成を有するもので、次に、発電モジュール100の作動について、図32図35を参照して説明する。
図32は、入力部に入力がなされていないときの状態を示す説明図である。
図33は、入力部に入力がなされたときの状態を示す説明図である。
図34は、発電機が発電するときの状態を示す説明図である。
図35は、入力部への入力が解除されたときの状態を示す説明図である。
【0211】
まず、図32に示すように、操作ボタン3が操作されていない場合には、入力部132が初期位置にあり、ホイール160、および回転子19bが開始位置にある。そして、操作ボタン3が操作されると、リンク機構4が入力部132を押圧する。これにより、図33に示すように、入力部132に力F(操作力)が作用して、杆部130が第1弾性部材135の付勢力に抗して移動部材120を押圧する。
【0212】
この場合、伝達部140を構成する第1部材142の下面142aは、ロック部150の当接部154に当接している。これにより、伝達部140は、第2弾性部材147の付勢力に抗して移動部材120に対して上方に相対移動する。すなわち、入力部132が移動部材120を押圧すると、伝達部140が現在の位置から移動せずに、移動部材120のみが矢示D1方向(下方)に移動する。これにより、第2弾性部材147は、縮小されてエネルギ(ばね力)を蓄積する。
【0213】
図33に示すように、ロック部150は、傾斜部156が移動部材120に押圧される。これにより、ロック部150は、第4弾性部材158の付勢力に抗して反時計回り方向に回動する。移動部材120が矢示D1方向に移動するにつれて、当接部154が第1部材142の下面142aから外れる方向に移動する。
【0214】
図34に示すように、入力部132にさらに力Fが作用して、入力部132が所定位置まで移動すると、ロック部150の当接部154が第1部材142の下面142aから外れる。すなわち、入力部132が所定位置まで移動すると、伝達部140の移動規制が解除される。これにより、伝達部140は、第2弾性部材147の付勢力により、下方に移動する。ロック部150の当接部154は、第1部材142の側面に当接することにより、時計回り方向の移動が規制される。
【0215】
伝達部140を構成する第2部材145の下端部145aは、第1ホイール162の歯車部162aを押圧する。その結果、第1ホイール162は、矢示D2方向(反時計回り方向)に回転する。第2ホイール164は、第1ホイール162の回転により矢示D3方向(時計回り方向)に回転する。これにより、発電機19の回転子19bは、第2ホイール164が回転することにより回転する。これにより、発電機19は、コイル19a2に電流が流れる(発電する)。
【0216】
図35に示すように、入力部132への入力が解除された場合には、杆部130が第1弾性部材135の付勢力により、矢示D4方向に移動する。すなわち、入力部132は、第1弾性部材135の付勢力により、所定位置から初期位置に戻される。移動部材120は、取付部122が入力部132に係合しているので、入力部132により矢示D4方向に引き上げられる。
【0217】
第3弾性部材148のばね力は、発電機19の磁力よりも弱くなっている。これにより、伝達部140が上方に移動した場合には、第2部材145の下端部145aが第1ホイール162の歯車部162aに押圧されて時計回り方向に回動する。すなわち、第2部材145は、入力部132が所定位置から初期位置に戻る場合に、第1ホイール162から退避するように移動する。
【0218】
そして、第2部材145は、下端部145aが第1ホイール162の歯車部162を乗り越えると、第3弾性部材148の付勢力により反時計回り方向に回動する。これにより、第2部材145の下端部145aは、第1ホイール162の歯溝内に位置する。
【0219】
また、ロック部150の当接部154は、第1部材142の側面から外れる。これにより、ロック部150は、第4弾性部材158の付勢力により、時計回り方向に回動する。その結果、ロック部150は、当接部154が第1部材142の下方に進入するとともに、傾斜部156が移動部材120の下方に進入する。そして、発電モジュール100は、入力部132が初期位置に戻り、入力部132への次の入力を待機する。
【0220】
なお、回転子19bは、入力部132が所定位置から初期位置に移動する場合に、現在の極にとどまって、隣接する極に移動しない状態を維持できればよい。すなわち、ホイール160および回転子19bは、回転子19bが隣の極に移動しない範囲での移動(回転)は許容される。換言すると、入力部132が所定位置から初期位置に移動する場合に、ホイール160および回転子19bが僅かに逆回転してもよい。
【0221】
第5実施形態による発電モジュール100も第1実施形態による発電モジュール10と同様に、入力部132が初期位置から所定位置に移動する間は、ホイール160および回転子19bを回転させないので、効率よく第2弾性部材147にエネルギを蓄積させることができる。また、入力部132が初期位置から所定位置に移動するまでの間で、発電機19の回転子19bが回転しないので、発電機19によるコギングトルクを抑制することができる。その結果、リモコン装置1の操作性を向上できる。
【0222】
ここで、入力部132が押圧されたときには、第2弾性部材147が縮小してエネルギが溜められる。このとき、ロック部150の当接部154には、第2弾性部材147の反力(付勢力)が作用することになる。当接部154には、当接部154が第1部材142ら外れる方向に移動するときに、この反力により第1部材142との間に摩擦力が発生する。従って、入力部132(操作ボタン3)の操作力は、第2弾性部材147の反力と、ロック部150の当接部154の摩擦力との和となる。
【0223】
回動支点としての取付部151からロック部150の傾斜面156a(ロック部操作部)までの距離は、取付部151から当接部154までの距離よりも長くなっている。すなわち、当接部154は、傾斜面156aよりも取付部151側(回動支点側)に設けられている。これにより、ロック部150の当接部154が回転子19bへの規制を解除するまでに移動する距離は、入力部132が初期位置から所定位置まで移動する距離よりも短くなっている。
【0224】
すなわち、てこの原理により、入力部132が移動する距離よりも、ロック部150の当接部154がホイール160の回転規制を解除するまでの距離の方が短くなっている。その結果、操作ボタン3を操作したときに、ロック部150の当接部154と伝達部140の第1部材142との間の摩擦力の影響を低減できる。
【0225】
伝達部140は、発電時に移動部材120の凹部124の底面に衝突する。すなわち、伝達部140は、第2弾性部材147に蓄積されたエネルギが放出されて回転部材(ホイール160)を回転させた後に、本体部110の内部で可動部(移動部材120)に衝突する。本体部110は、カバーにより覆われている。伝達部140が本体部110の内部で可動部に衝突するので、伝達部140が本体部110に衝突する場合に比べて衝突音を低減できる。これにより、使用者に異音による不快感を与えるのを抑制できる。
【0226】
第1弾性部材135は、入力部132へのエネルギ(入力)が解除されたときに可動部(移動部材120および杆部130)を元の位置に戻す第1戻し弾性部材となっている。第1弾性部材135(第1戻し弾性部材)は、本体部110と杆部130とを接続している。これにより、発電後に第1弾性部材135により可動部を初期位置に戻すことができる。また、第1弾性部材135は、伝達部140が可動部に衝突したときの衝突エネルギを吸収することができる。
【0227】
伝達部140は、可動部の移動方向と同じ方向に移動する。すなわち、入力部132に力Fが作用したときには、移動部材120が下方に向けて移動する。そして、伝達部140は、ロック部150によるホイール160の回転規制が解除されたときに、第2弾性部材147の付勢力により下方に向けて移動する。この場合、伝達部140は、ホイール160を回転させた後に、移動部材120に衝突する。このように、伝達部140と移動部材120との移動方向が同じ方向(下方)であるので、伝達部140と移動部材120との衝突時に伝達部140の衝突エネルギを移動部材120の移動方向に逃がすことができる。従って、伝達部140と移動部材120との衝突音を小さくすることができる。
【0228】
伝達部140は、可動部が移動している間に、可動部に衝突してもよい。すなわち、可動部が移動している間にロック部150によるホイール160の回転規制が解除されてもよい。これにより、伝達部140と移動部材120との相対速度が小さい状態で、伝達部140と移動部材120とを衝突させることができる。従って、伝達部140と移動部材120との衝突音を小さくすることができる。
【0229】
発電モジュール100は、入力部132へのエネルギの入力が解除されて可動部(移動部材120および杆部130)が元の位置に戻るときに、回転部材(ホイール160)から離れる方向に移動した伝達部140を元の位置に戻す第2戻し弾性部材(第3弾性部材148)をさらに備えている。第3弾性部材148は、第1ホイール162に押圧されて第1ホイール162から離れる方向に移動した伝達部140の下端部145aを第1ホイール162の歯溝間に戻す。これにより、第3弾性部材148は、発電後に伝達部140を元の位置に戻すことができる。
【0230】
上述した第1実施形態では、ホイール18は、6個の突出部18a1~18a6を有し、6回の発電でホイール18が1周する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば突出部は、6本よりも多くてもよいし、少なくてもよい。すなわち、突出部や歯車の数は、発電モジュール10の大きさや、発電機19の必要な発電量などに基づいて任意に設定される。このことは、第2~第5実施形態についても同様である。
【0231】
図36は、本発明の変形例に係る伝達部とホイールとの関係を示す説明図である。図36(a)は、入力部13aが初期位置にあり伝達部170がホイール172を押圧していない状態を示している。図36(b)は、伝達部170がホイール172を押圧して、ホイール172を回転させることにより発電させた状態を示している。図36(c)は、入力部13aが所定位置から初期位置に移動することにより、伝達部170が移動する場合を示している。図36(d)は、入力部13aが初期位置に戻り、ホイール172が発電機19の磁力により開始位置に移動する状態を示している。
【0232】
上述した第1実施形態では、入力部13aが所定位置から初期位置に移動する場合に、伝達部16がホイール18を押圧することにより、ホイール18を逆回転させた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば図36に示す変形例のように、入力部13aが所定位置から初期位置に移動する場合に、ホイール172が逆回転しなくてもよい。
【0233】
例えば、伝達部170のホイール172との当接面170aが垂直状に形成されている場合には、図36(b)、(c)に示すように、入力部13aが所定位置から初期位置に移動する場合に、伝達部170がホイール172に沿って摺動する。すなわち、ホイール172は、伝達部170に押圧されない。換言すると、伝達部170は、ホイール172を逆回転させない。そして、図36(d)に示すように、伝達部170がホイール172から外れると、発電機の磁力によりホイール172が開始位置に移動する。
【0234】
次に、図37図42は、本発明の第6実施形態による発電モジュール200を示している。第6実施形態に係る発電モジュール200は、入力部221aの移動距離とロック部243の移動距離とが異なる場合を示している。第6実施形態では、第1実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0235】
図37は、本発明の第6実施形態に係る発電モジュールを示す斜視図である。
図38は、図37中の発電モジュールを分解して示す分解斜視図である。
【0236】
本体部210は、移動部材220をスライド可能に案内する案内部211と、棒状体240が取り付けられる取付部213と、を有している。この例では、発電機19は、本体部210の内部に設けられている。図37図38に示すように、発電機19は、カバー215により覆われている。この場合、発電機19の回転軸19cは、カバー215から前方に向けて突出している。
【0237】
移動部材220は、本体部210の案内部211内に上下方向に摺動可能に取り付けられている。移動部材220は、案内部211に沿って移動する第1部材221と、第1部材221に対して回動可能な第2部材223と、を有している。第1部材221は、上下方向に延びる板状に形成されている。第1部材221は、本体部210から突出する入力部221aを有している。
【0238】
第2部材223は、第1部材221の前方に位置する凹部223aを有している。凹部223aは、第2部材223の前後方向(厚さ方向)に貫通している。この凹部223aには、後述の第2弾性部材236が設けられる。第2部材223は、上端側で軸部225を介して第1部材221に対して回動可能に取り付けられている。すなわち、第2部材223は、上端側が回動可能な固定端となっており、下端側が自由端となっている。
【0239】
第1部材221と第2部材223との間には、第1弾性部材227が設けられている。第1弾性部材227は、例えばねじりコイルばねからなり、軸部225の外周に巻回されている。第1弾性部材227は、一端側が第1部材221に係合され、他端側が第2部材223に係合されている。第1弾性部材227は、第2部材223を時計回り方向に向けて付勢している。第1弾性部材227は、エネルギの入力が解除されて可動部(移動部材220および棒状体240)が元の位置に戻るときに、回転部材(ホイール250)から離れる方向に移動した伝達部230を元の位置に戻す第2戻し弾性部材となっている。
【0240】
伝達部230は、移動部材220の前方に位置して、移動部材220に対して上下方向に摺動可能に取り付けられている。伝達部230は、移動部材220に取り付けられる取付部231と、取付部231から後述のホイール250に向けて延びる延出部233と、を有している。取付部231は、第2弾性部材236の下端側を支持する受け部231aを有している。受け部231aは、第2部材223の凹部223aの下端側に位置している。
【0241】
延出部233は、ホイール250の突出部250a~250hに当接する当接部234を有している。当接部234は、ホイール250の突出部間に位置している。当接部234は、後述のロック部243が解除されたときに、突出部250a~250hを押圧する押圧面234aと、入力部221aへの入力が解除されたときに、突出部250a~250hに押圧される傾斜面234bと、を有している。
【0242】
移動部材220の第2部材223と伝達部230との間には、第2弾性部材236が設けられている。第2弾性部材236は、例えば圧縮コイルばねとなっている。第2弾性部材236は、一端側(上端側)が第2部材223の凹部223aの上面に支持され、他端側(下端側)が伝達部230の受け部231aに支持されている。これにより、第2弾性部材236は、伝達部230を下方に向けて付勢している。第2弾性部材236は、入力部221aに入力された力のエネルギを蓄積する弾性部材となっている。伝達部230は、第2弾性部材236に蓄積されたエネルギをホイール250に伝達する。
【0243】
棒状体240は、本体部210の取付部213に軸部241を回動支点として取り付けられている。棒状体240は、ホイール250および移動部材220の下方に位置して、本体部210内で左右方向に延びている。棒状体240は、ホイール250の隣り合う突出部250a~250h内に位置して、伝達部230による回転子19bの回転を規制するロック部243と、移動部材220の下面に当接するロック部操作部245と、を有する。移動部材220と棒状体240とは、入力部221aに操作力(エネルギ)が入力されたときに、本体部210に対して移動する可動部となっている。
【0244】
ロック部243は、軸部241とロック部操作部245との間に位置している。ロック部243は、入力部221aが初期位置から所定位置まで移動する間は、ホイール250の突出部250a~250hに当接して、ホイール250の回転を規制している。ロック部243は、入力部221aが所定位置まで移動すると、ホイール250の突出部250a~250hから外れて、ホイール250への回転規制を解除する。
【0245】
ロック部操作部245は、移動部材220により押圧される部分となっている。すなわち、ロック部操作部245は、ロック部243を移動させるための力点となっている。ロック部操作部245は、移動部材220の第1部材221の下面に当接している。棒状体240は、ロック部操作部245が移動部材220により下方に押圧されると、軸部241を回動支点として時計回りに回動する。すなわち、ロック部243とロック部操作部245とは、入力部221aの移動に伴って同じ回動支点で回動するようになっている。
【0246】
棒状体240と本体部210との間には、第3弾性部材247が設けられている。第3弾性部材247は、例えばねじりコイルばねからなり、軸部241の外周に巻回されている。第3弾性部材247は、一端側が棒状体240に係合され、他端側が本体部210に係合されている。第3弾性部材247は、棒状体240を反時計回り方向に向けて付勢している。すなわち、棒状体240は、入力部221aへの入力が解除されると、第3弾性部材247の付勢力により、ロック部操作部245が移動部材220を上方に向けて押圧する。換言すると、第3弾性部材247は、入力部221aへのエネルギ(入力)が解除されたときに可動部(移動部材220および棒状体240)を元の位置に戻す第1戻し弾性部材となっている。第3弾性部材247(第1戻し弾性部材)は、本体部210と可動部を構成する棒状体240とを接続している。
【0247】
ホイール250は、本体部210内に位置して、発電機19の回転軸19cに設けられている。ホイール250は、本発明の回転部材を構成している。ホイール250は、中心部に発電機19の回転軸19cが取り付けられている。これにより、ホイール250を回転させれば、発電機19の回転軸19cを回転させることができる。すなわち、ホイール250と回転軸19cとは、同じ方向に一緒に回転する。ホイール250は、第2弾性部材236のエネルギ(付勢力)による伝達部230の押圧で回転する。
【0248】
ホイール250は、中心部から放射状に広がる複数の突出部250a~250h(この例では、8本)を有している。ホイール250は、各突出部250a~250hが伝達部230の当接部234に押圧されることにより時計回り方向に回転(正回転)する。なお、突出部250a~250hの数は、8本よりも多くてもよいし、少なくてもよい。
【0249】
図37に示すように、入力部221aが初期位置から所定位置に移動する間は、突出部(この例では、突出部250c)がロック部243に当接している。これにより、ロック部243は、ホイール250の時計回り方向(正回転)への回転を規制している。
【0250】
かくして、第6実施形態に係る発電モジュール200は、上述の如き構成を有するもので、次に、発電モジュール200の作動について、図39図42を参照して説明する。
図39は、入力部に入力がなされていないときの状態を示す説明図である。
図40は、入力部に入力がなされたときの状態を示す説明図である。
図41は、発電機が発電するときの状態を示す説明図である。
図42は、入力部への入力が解除されたときの状態を示す説明図である。
【0251】
まず、図39に示すように、操作ボタン3が操作されていない場合には、入力部221aが初期位置にあり、ホイール250、および回転子19bが開始位置にある。そして、操作ボタン3が操作されると、リンク機構4が入力部221aを押圧する。これにより、図40に示すように、入力部221aに力F(操作力)が作用して、移動部材220が下方に向けて移動する。
【0252】
入力部221aへの入力は、第2弾性部材236を介して伝達部230に伝達される。伝達部230は、当接部234によりホイール250の突出部250aを押圧する。このとき、棒状体240のロック部243は、ホイール250の突出部250cに当接することにより、ホイール250の回転を規制している。これにより、伝達部230は、第2弾性部材236の付勢力に抗して移動部材220に対して上方に相対移動する。すなわち、入力部221aが押圧されて移動部材220が下方に移動しても、伝達部230は現在の位置から移動せずに、移動部材220のみが矢示E1方向(下方)に移動する。これにより、第2弾性部材236は、縮小されてエネルギ(ばね力)を蓄積する。
【0253】
移動部材220は、入力部221aが押圧されると、棒状体240のロック部操作部245を下方に向けて押圧する。これにより、棒状体240は、軸部241を回動支点として時計回りに回動する。ロック部243は、棒状体240が回動することにより、下方(ホイール250から外れる方向)に向けて移動する。
【0254】
図41に示すように、入力部221aにさらに力Fが作用して、入力部221aが所定位置まで移動すると、棒状体24がさらに下方に移動することにより、ロック部243がホイール250から外れる。すなわち、入力部221aが所定位置まで移動すると、ホイール250の回転規制が解除される。これにより、伝達部230は、第2弾性部材236の付勢力により下方に移動して、ホイール250を時計回り方向に回転させる。
【0255】
ホイール250は、矢示E2方向に(時計回り方向)に回転することにより、発電機19の回転子19bを回転させる。これにより、発電機19は、コイル19a2に電流が流れる(発電する)。
【0256】
図42に示すように、入力部221aへの入力が解除された場合には、棒状体240が第3弾性部材247の付勢力により、軸部241を回動支点として反時計回り方向に回動する。これにより、棒状体240は、ロック部操作部245が移動部材220を矢示E3方向(上方)に向けて押圧する。すなわち、入力部221aは、第3弾性部材247の付勢力により、所定位置から初期位置に戻される。また、ロック部243は、ホイール250の突出部250bと突出部250cとの間に挿入される。
【0257】
この場合、伝達部230は、当接部234の傾斜面234bがホイール250の突出部250hに押圧される。これにより、伝達部230と移動部材220の第2部材223とは、第1弾性部材227の付勢力に抗して、第1部材221に対して矢示E4方向(反時計回り方向)に回動する。伝達部230と第2部材223とは、当接部234がホイール250の突出部250hを乗り越えると、第1弾性部材227の付勢力により時計回り方向に回動する。これにより、当接部234は、ホイール250の突出部250hと突出部250gとの間に挿入される。そして、発電モジュール200は、入力部221aが初期位置に戻り、入力部221aへの次の入力を待機する。
【0258】
なお、回転子19bは、入力部221aが所定位置から初期位置に移動する場合に、現在の極にとどまって、隣接する極に移動しない状態を維持できればよい。すなわち、ホイール250および回転子19bは、回転子19bが隣の極に移動しない範囲での移動(回転)は許容される。換言すると、入力部221aが所定位置から初期位置に移動する場合に、ホイール250および回転子19bが僅かに逆回転してもよい。
【0259】
第6実施形態による発電モジュール200も第1実施形態による発電モジュール10と同様に、入力部221aが初期位置から所定位置に移動する間は、ホイール250および回転子19bを回転させないので、効率よく第2弾性部材236にエネルギを蓄積させることができる。また、入力部221aが初期位置から所定位置に移動するまでの間で、発電機19の回転子19bが回転しないので、発電機19によるコギングトルクを抑制することができる。その結果、リモコン装置1の操作性を向上できる。
【0260】
ここで、入力部221aが押圧されたときには、第2弾性部材236が縮小してエネルギが溜められる。このとき、ロック部243には、第2弾性部材236の反力(付勢力)が作用することになる。ロック部243には、ロック部243がホイール250から外れる方向に移動するときに、この反力によりホイール250との間に摩擦力が発生する。従って、入力部221a(操作ボタン3)の操作力は、第2弾性部材236の反力と、ロック部243の摩擦力との和となる。
【0261】
図39に示すように、棒状体240は、ロック部243と、ロック部操作部245と、を有している。ロック部243とロック部操作部245とは、入力部221aの移動に伴って同じ回動支点(軸部241)で回動するようになっている。そして、回動支点(軸部241)からロック部操作部245までの距離L1は、回動支点(軸部241)からロック部243までの距離L2よりも長くなっている。
【0262】
これにより、図41に示すように、ロック部243が回転子19bへの規制を解除するまでに移動する距離L3は、入力部221aが初期位置から所定位置まで移動する距離L4よりも短くなっている。ロック部操作部245は、入力部221aの直下に位置している。従って、ロック部操作部245の移動距離は、入力部221aの移動距離L4と同じとなっている。
【0263】
そして、ロック部243は、ロック部操作部245よりも回動支点側に設けられている。これにより、棒状体240は、てこの原理により、入力部221aおよびロック部操作部245が移動する距離L4よりも、ロック部243がホイール250の回転規制を解除するまでの距離L3の方が短くなっている。その結果、操作ボタン3を操作したときに、ロック部243とホイール250との間の摩擦力の影響を低減できる。
【0264】
伝達部230は、発電時に移動部材220の凹部223aの底面に衝突する。すなわち、伝達部230は、第2弾性部材236に蓄積されたエネルギが放出されて回転部材(ホイール250)を回転させた後に、本体部210の内部で可動部(移動部材220)に衝突する。本体部210は、カバーにより覆われている。伝達部230が本体部210の内部で可動部に衝突するので、伝達部230が本体部210に衝突する場合に比べて衝突音を低減できる。これにより、使用者に異音による不快感を与えるのを抑制できる。
【0265】
第3弾性部材247は、入力部221aへのエネルギ(入力)が解除されたときに可動部(移動部材220および棒状体240)を元の位置に戻す第1戻し弾性部材となっている。第3弾性部材247(第1戻し弾性部材)は、本体部210と棒状体240とを接続している。これにより、発電後に第3弾性部材247により可動部を初期位置に戻すことができる。また、第3弾性部材247は、伝達部230が可動部に衝突したときの衝突エネルギを吸収することができる。
【0266】
伝達部230は、可動部の移動方向と同じ方向に移動する。すなわち、入力部221aに力Fが作用したときには、移動部材220と棒状体240とが下方に向けて一緒に移動する。そして、伝達部230は、ロック部243によるホイール250の回転規制が解除されたときに、第2弾性部材236の付勢力により下方に向けて移動する。この場合、伝達部230は、ホイール250を回転させた後に、可動部を構成する移動部材220に衝突する。このように、伝達部230と移動部材220との移動方向が同じ方向(下方)であるので、伝達部230と移動部材220との衝突時に伝達部230の衝突エネルギを移動部材220の移動方向に逃がすことができる。従って、伝達部230と移動部材220との衝突音を小さくすることができる。
【0267】
伝達部230は、可動部が移動している間に、可動部に衝突してもよい。すなわち、可動部(移動部材220)が移動している間にロック部243によるホイール250の回転規制が解除されてもよい。これにより、伝達部230と可動部との相対速度が小さい状態で、伝達部230と可動部とを衝突させることができる。従って、伝達部230と可動部との衝突音を小さくすることができる。
【0268】
発電モジュール200は、入力部221aへのエネルギの入力が解除されて可動部(移動部材220および棒状体240)が元の位置に戻るときに、回転部材(ホイール250)から離れる方向に移動した伝達部230を元の位置に戻す第2戻し弾性部材(第1弾性部材227)をさらに備えている。伝達部230は、第2部材223と一緒にホイール250から離れる方向に移動する。第1弾性部材227は、ホイール250に押圧されてホイール250から離れる方向に移動した伝達部230の当接部234をホイール250の突出部間に戻す。これにより、第1弾性部材227は、発電後に伝達部230を元の位置に戻すことができる。
【0269】
次に、図43図48は、本発明の第7実施形態による発電モジュール300を示している。第7実施形態に係る発電モジュール300は、入力部342の移動距離とロック部343の移動距離とが異なる場合を示している。第7実施形態では、第1実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0270】
図43は、本発明の第7実施形態に係る発電モジュールを示す斜視図である。
図44は、図43中の発電モジュールを分解して示す分解斜視図である。
【0271】
本体部310は、移動部材320をスライド可能に案内する案内部311と、板状体340が取り付けられる取付部313と、を有している。この例では、発電機19は、本体部310の内部に設けられている。図43図44に示すように、発電機19は、カバー315により覆われている。この場合、発電機19の回転軸19cは、カバー315から前方に向けて突出している。
【0272】
移動部材320は、本体部310の案内部311内に上下方向に摺動可能に取り付けられている。移動部材320は、案内部311に沿って移動する。移動部材320は、上端側で軸部325を介して後述の板状体340に対して回動可能に取り付けられている。移動部材320は、凹部320aを有している。この凹部320aには、後述の第2弾性部材336が設けられる。
【0273】
移動部材320と板状体340との間には、第1弾性部材327が設けられている。第1弾性部材327は、例えばねじりコイルばねからなり、軸部325の外周に巻回されている。第1弾性部材327は、一端側が移動部材320に係合され、他端側が板状体340に係合されている。第1弾性部材327は、移動部材320を時計回り方向に向けて付勢している。第1弾性部材327は、エネルギの入力が解除されて可動部(移動部材320および板状体340)が元の位置に戻るときに、回転部材(ホイール350)から離れる方向に移動した伝達部330を元の位置に戻す第2戻し弾性部材となっている。
【0274】
伝達部330は、移動部材320の前方に位置して、移動部材320に対して上下方向に摺動可能に取り付けられている。伝達部330は、移動部材320に取り付けられる取付部331と、取付部331から後述のホイール350に向けて延びる延出部333と、を有している。取付部331は、第2弾性部材336の下端側を支持する受け部331aを有している。受け部331aは、移動部材320の凹部320aの下端側に位置している。
【0275】
延出部333は、ホイール350の突出部350a~350hに当接する当接部334を有している。当接部334は、ホイール350の突出部間に位置している。当接部334は、後述のロック部343が解除されたときに、突出部350a~350hを押圧する押圧面334aと、入力部342への入力が解除されたときに、突出部350a~350hに押圧される傾斜面334bと、を有している。
【0276】
移動部材320と伝達部330との間には、第2弾性部材336が設けられている。第2弾性部材336は、例えば圧縮コイルばねとなっている。第2弾性部材336は、一端側(上端側)が移動部材320の凹部320aの上面に支持され、他端側(下端側)が伝達部330の受け部331aに支持されている。これにより、第2弾性部材336は、伝達部330を下方に向けて付勢している。第2弾性部材336は、入力部342に入力された力のエネルギを蓄積する弾性部材となっている。伝達部330は、第2弾性部材336に蓄積されたエネルギをホイール350に伝達する。
【0277】
板状体340は、本体部310の取付部313に軸部341を回動支点として取り付けられている。板状体340は、ホイール350を取り囲むようなC字状に形成されている。板状体340は、リンク機構4により押圧される入力部342と、ホイール350の隣り合う突出部350a~350h内に位置して、伝達部330による回転子19bの回転を規制するロック部343と、を有する。移動部材320と板状体340とは、入力部342に操作力(エネルギ)が入力されたときに、本体部310に対して移動する可動部となっている。
【0278】
入力部342は、本体部310から突出している。入力部342の下方には、移動部材320が取り付けられている。板状体340は、入力部342から移動部材320の下方に向けてホイール350の周囲を取り囲むように延びている。また、入力部342は、ロック部343を移動させるための力点であるロック部操作部となっている。板状体340は、入力部342(ロック部操作部)がリンク機構4により押圧されると、軸部341を回動支点として時計回りに回動する。すなわち、入力部342とロック部343とは、同じ回動支点で回動するようになっている。
【0279】
板状体340と本体部310との間には、第3弾性部材347が設けられている。第3弾性部材347は、例えばねじりコイルばねからなり、軸部341の外周に巻回されている。第3弾性部材347は、一端側が板状体340に係合され、他端側が本体部310に係合されている。第3弾性部材347は、板状体340を反時計回り方向に向けて付勢している。すなわち、板状体340は、入力部342への入力が解除されると、第3弾性部材347の付勢力により、移動部材320を引き上げる。換言すると、第3弾性部材347は、入力部342へのエネルギ(入力)が解除されたときに可動部(移動部材320および板状体340)を元の位置に戻す第1戻し弾性部材となっている。第3弾性部材347(第1戻し弾性部材)は、本体部310と可動部を構成する板状体340とを接続している。
【0280】
ホイール350は、本体部310内に位置して、発電機19の回転軸19cに設けられている。ホイール350は、本発明の回転部材を構成している。ホイール350は、中心部に発電機19の回転軸19cが取り付けられている。これにより、ホイール350を回転させれば、発電機19の回転軸19cを回転させることができる。すなわち、ホイール350と回転軸19cとは、同じ方向に一緒に回転する。ホイール350は、第2弾性部材336のエネルギ(付勢力)による伝達部330の押圧で回転する。
【0281】
ホイール350は、中心部から放射状に広がる複数の突出部350a~350h(この例では、8本)を有している。ホイール350は、各突出部350a~350hが伝達部330の当接部334に押圧されることにより時計回り方向に回転(正回転)する。なお、突出部350a~350hの数は、8本よりも多くてもよいし、少なくてもよい。
【0282】
図43に示すように、入力部342が初期位置から所定位置に移動する間は、突出部(この例では、突出部350e)がロック部343に当接している。これにより、ロック部343は、ホイール350の時計回り方向(正回転)への回転を規制している。
【0283】
かくして、第7実施形態に係る発電モジュール300は、上述の如き構成を有するもので、次に、発電モジュール300の作動について、図45図48を参照して説明する。
図45は、入力部に入力がなされていないときの状態を示す説明図である。
図46は、入力部に入力がなされたときの状態を示す説明図である。
図47は、発電機が発電するときの状態を示す説明図である。
図48は、入力部への入力が解除されたときの状態を示す説明図である。
【0284】
まず、図45に示すように、操作ボタン3が操作されていない場合には、入力部342が初期位置にあり、ホイール350、および回転子19bが開始位置にある。そして、操作ボタン3が操作されると、リンク機構4が入力部342を押圧する。これにより、図46に示すように、入力部342に力F(操作力)が作用して、板状体340が軸部341を回動支点として、矢示G1方向(時計回り方向)に回動する。また、移動部材320は、矢示G2方向に傾斜しながら下方に向けて移動する。
【0285】
入力部342への入力は、第2弾性部材336を介して伝達部330に伝達される。伝達部330は、当接部334によりホイール350の突出部350aを押圧する。このとき、板状体340のロック部343は、ホイール350の突出部350eに当接することにより、ホイール350の回転を規制している。これにより、伝達部330は、第2弾性部材336の付勢力に抗して移動部材320に対して上方に相対移動する。すなわち、入力部342が押圧されて移動部材320が下方に移動しても、伝達部330は下方に移動せずに、移動部材320のみが下方に移動する。これにより、第2弾性部材336は、縮小されてエネルギ(ばね力)を蓄積する。また、ロック部343は、板状体340が回動することにより、ホイール350から外れる方向に向けて移動する。
【0286】
図47に示すように、入力部342にさらに力Fが作用して、入力部342が所定位置まで移動すると、板状体340がさらに回動することにより、ロック部343がホイール350から外れる。すなわち、入力部342が所定位置まで移動すると、ホイール350の回転規制が解除される。これにより、伝達部330は、第2弾性部材336の付勢力により下方に移動して、ホイール350を時計回り方向に回転させる。
【0287】
ホイール350は、矢示G3方向に(時計回り方向)に回転することにより、発電機19の回転子19bを回転させる。これにより、発電機19は、コイル19a2に電流が流れる(発電する)。
【0288】
図48に示すように、入力部342への入力が解除された場合には、板状体340が第3弾性部材347の付勢力により、軸部341を回動支点として反時計回り方向に回動する。これにより、板状体340は、入力部342が所定位置から初期位置に戻るとともに、移動部材320を引き上げる。また、ロック部343は、ホイール350の突出部350dと突出部350eとの間に挿入される。
【0289】
この場合、伝達部330は、当接部334の傾斜面334bがホイール350の突出部350hに押圧される。これにより、伝達部330と移動部材320とは、第1弾性部材327の付勢力に抗して、矢示G4方向(反時計回り方向)に回動する。伝達部330と移動部材320とは、当接部334がホイール350の突出部350hを乗り越えると、第1弾性部材327の付勢力により時計回り方向に回動する。これにより、当接部334は、ホイール350の突出部350hと突出部350gとの間に挿入される。そして、発電モジュール300は、入力部342が初期位置に戻り、入力部342への次の入力を待機する。
【0290】
なお、回転子19bは、入力部342が所定位置から初期位置に移動する場合に、現在の極にとどまって、隣接する極に移動しない状態を維持できればよい。すなわち、ホイール350および回転子19bは、回転子19bが隣の極に移動しない範囲での移動(回転)は許容される。換言すると、入力部342が所定位置から初期位置に移動する場合に、ホイール350および回転子19bが僅かに逆回転してもよい。
【0291】
第7実施形態による発電モジュール300も第1実施形態による発電モジュール10と同様に、入力部342が初期位置から所定位置に移動する間は、ホイール350および回転子19bを回転させないので、効率よく第2弾性部材336にエネルギを蓄積させることができる。また、入力部342が初期位置から所定位置に移動するまでの間で、発電機19の回転子19bが回転しないので、発電機19によるコギングトルクを抑制することができる。その結果、リモコン装置1の操作性を向上できる。
【0292】
ここで、入力部342が押圧されたときには、第2弾性部材336が縮小してエネルギが溜められる。このとき、ロック部343には、第2弾性部材336の反力(付勢力)が作用することになる。ロック部343には、ロック部343がホイール350から外れる方向に移動するときに、この反力によりホイール350との間に摩擦力が発生する。従って、入力部342(操作ボタン3)の操作力は、第2弾性部材336の反力と、ロック部343の摩擦力との和となる。
【0293】
図45に示すように、板状体340は、ロック部343と、ロック部操作部(入力部342)と、を有している。ロック部343とロック部操作部とは、入力部342の移動に伴って同じ回動支点(軸部341)で回動するようになっている。そして、回動支点(軸部341)からロック部操作部(入力部342)までの距離L5は、回動支点(軸部341)からロック部343までの距離L6よりも長くなっている。
【0294】
これにより、図47に示すように、ロック部343が回転子19bへの規制を解除するまでに移動する距離L7は、入力部342が初期位置から所定位置まで移動する距離L8よりも短くなっている。
【0295】
ロック部343は、ロック部操作部よりも回動支点側に設けられている。これにより、板状体340は、てこの原理により、ロック部操作部(入力部342)が移動する距離L8よりも、ロック部343がホイール350の回転規制を解除するまでの距離L7の方が短くなっている。その結果、操作ボタン3を操作したときに、ロック部343とホイール350との間の摩擦力の影響を低減できる。
【0296】
伝達部330は、発電時に移動部材320の凹部320aの底面に衝突する。すなわち、伝達部330は、第2弾性部材336に蓄積されたエネルギが放出されて回転部材(ホイール350)を回転させた後に、本体部310の内部で可動部(移動部材320)に衝突する。本体部310は、カバーにより覆われている。伝達部330が本体部310の内部で可動部に衝突するので、伝達部330が本体部310に衝突する場合に比べて衝突音を低減できる。これにより、使用者に異音による不快感を与えるのを抑制できる。
【0297】
第3弾性部材347は、入力部342へのエネルギ(入力)が解除されたときに可動部(移動部材320および板状体340)を元の位置に戻す第1戻し弾性部材となっている。第3弾性部材347(第1戻し弾性部材)は、本体部310と板状体340とを接続している。これにより、発電後に第3弾性部材347により可動部を初期位置に戻すことができる。また、第3弾性部材347は、伝達部330が可動部に衝突したときの衝突エネルギを吸収することができる。
【0298】
伝達部330は、可動部を構成する移動部材320の移動方向と同じ方向に移動する。すなわち、入力部342に力Fが作用したときには、移動部材320が下方に向けて移動する。そして、伝達部330は、ロック部343によるホイール350の回転規制が解除されたときに、第2弾性部材336の付勢力により下方に向けて移動する。この場合、伝達部330は、ホイール350を回転させた後に、可動部を構成する移動部材320に衝突する。このように、伝達部330と移動部材320との移動方向が同じ方向(下方)であるので、伝達部330と移動部材320との衝突時に伝達部330の衝突エネルギを移動部材320の移動方向に逃がすことができる。従って、伝達部330と移動部材320との衝突音を小さくすることができる。
【0299】
伝達部330は、可動部が移動している間に、可動部に衝突してもよい。すなわち、可動部(移動部材320)が移動している間にロック部343によるホイール350の回転規制が解除されてもよい。これにより、伝達部330と可動部との相対速度が小さい状態で、伝達部330と可動部とを衝突させることができる。従って、伝達部330と可動部との衝突音を小さくすることができる。
【0300】
発電モジュール300は、入力部342へのエネルギの入力が解除されて可動部(移動部材320および板状体340)が元の位置に戻るときに、回転部材(ホイール350)から離れる方向に移動した伝達部330を元の位置に戻す第2戻し弾性部材(第1弾性部材327)をさらに備えている。伝達部330は、移動部材320と一緒にホイール350から離れる方向に移動する。第1弾性部材327は、ホイール350に押圧されてホイール350から離れる方向に移動した伝達部330の当接部334をホイール350の突出部間に戻す。これにより、第1弾性部材327は、発電後に伝達部330を元の位置に戻すことができる。
【0301】
上述した第3実施形態では、第2ホイール60のブロック体65および第3弾性部材67を用いることにより、入力部43aが所定位置から初期位置に戻るときに、発電機19の回転子19bを非回転状態に維持させた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えばブロック体65および第3弾性部材67に変えて、第4実施形態に示す退避部75を用いてもよい。すなわち、発電機19の回転軸19cに第2ホイール60の円筒部61を取り付けて、第4実施形態に示す退避部75を用いてもよい。
【0302】
上述した実施形態では、回転部材がホイールである場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば回転部材は、レシプロエンジンのようなピストン運動を回転運動に変換するものでもよい。すなわち、回転部材は、発電機の回転子を回転させることができればどのような機構でもよい。
【0303】
上述した実施形態では、発電モジュール10、20、40、70、100、200、300をリモコン装置1に適用した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば本発明の態様による発電モジュールをIoT機器に適用してもよい。IoT機器は、例えばIoT機器に備え付けられたセンサと、IoT機器の状態を送信する送信手段や、IoT機器に備え付けられたセンサの状態を報知する報知手段が設けられるものが挙げられる。より具体的には、ドアの開閉によって発電モジュールが発電し、ドアの開閉状態をセンサで検出し、送信手段や報知手段で開閉状態を使用者や管理者に報知・送信するものなどがある。また、紙巻き器を使用者が使用する際に、使用者が巻紙を回転させ、その回転に伴って発電モジュールが発電することで、紙の有無を管理者に報知・送信できるものなどがある。
【0304】
実施形態は、以下の構成を含んでもよい。
(構成1)
入力部と、
前記入力部に入力されたエネルギを蓄積可能な弾性部材と、
回転子を回転させて発電する発電機と、
前記回転子を回転させる回転部材と、
前記弾性部材に蓄積されたエネルギを前記回転部材に伝達する伝達部と、
前記伝達部による前記回転子の回転を規制するロック部と、
を備え、
前記入力部が初期位置から所定位置まで移動する間は、前記ロック部が前記回転子の回転を規制することにより前記弾性部材にエネルギが蓄積され、
前記入力部が前記所定位置まで移動した場合には、前記ロック部による前記回転子への規制が解除されて、前記弾性部材に蓄積されたエネルギにより前記回転子を回転させることを特徴とする発電モジュール。
(構成2)
前記入力部が前記所定位置から前記初期位置に移動する場合には、
前記発電機の磁力により前記回転子および前記回転部材を開始位置まで移動させることを特徴とする構成1に記載の発電モジュール。
(構成3)
前記回転子は、前記入力部が前記所定位置から前記初期位置に移動する場合に、現在の極にとどまって、隣接する極に移動しない状態を維持することを特徴とする構成1または2に記載の発電モジュール。
(構成4)
前記回転部材は、
前記伝達部により回転させられる第1ホイールと、
前記第1ホイールの回転を前記回転子に伝達する第2ホイールと、
を有し、
前記入力部が前記所定位置まで移動した場合には、前記伝達部が前記第1ホイールを介して前記第2ホイールおよび前記回転子を回転させ、
前記入力部が前記所定位置から前記初期位置に移動する場合には、前記回転子が現在の極にとどまって、隣接する極に移動しない状態を維持することを特徴とする構成1~3のいずれか1つに記載の発電モジュール。
(構成5)
前記回転部材は、
前記伝達部により回転させられる第1ホイールと、
前記第1ホイールの回転を前記回転子に伝達する第2ホイールと、
を有し、
前記第1ホイールは、円板部と、前記円板部に設けられた歯車部と、を有し、
前記第2ホイールは、円筒部と、前記円筒部に設けられ前記第1ホイールの前記歯車部に噛合する歯車部と、前記円筒部の内部に移動可能に設けられ前記発電機の回転軸に取り付けられるブロック体と、を有し、
前記入力部が前記所定位置まで移動した場合には、前記伝達部が前記第1ホイールを介して前記第2ホイールおよび前記回転子を回転させ、
前記入力部が前記所定位置から前記初期位置に移動する場合には、前記回転子が現在の極にとどまって、隣接する極に移動しない状態を維持することを特徴とする構成1~3のいずれか1つに記載の発電モジュール。
(構成6)
前記入力部が前記所定位置から前記初期位置に移動する場合に、前記回転子が現在の極にとどまって、隣接する極に移動しない状態を維持しながら前記伝達部を前記回転部材から退避させる退避部をさらに有することを特徴とする構成1~3のいずれか1つに記載の発電モジュール。
(構成7)
前記ロック部が前記回転子への規制を解除するまでに移動する距離は、前記入力部が前記初期位置から前記所定位置まで移動する距離よりも短いことを特徴とする構成1に記載の発電モジュール。
(構成8)
前記ロック部を移動させるための力点となるロック部操作部を有し、
前記ロック部と前記ロック部操作部とは、前記入力部の移動に伴って同じ回動支点で回動し、
前記回動支点から前記ロック部操作部までの距離は、前記回動支点から前記ロック部までの距離よりも長いことを特徴とする構成1に記載の発電モジュール。
(構成9)
ケースと、
前記ケースに設けられた操作ボタンと、
前記操作ボタンの操作により移動するリンク機構と、
前記リンク機構に接続され、構成1~8のいずれか1つに記載された発電モジュールと、
を備えたリモコン装置。
(構成10)
本体部と、
エネルギが入力されたときに前記本体部に対して移動する可動部と、
入力されたエネルギを蓄積可能な弾性部材と、
回転子を回転させて発電する発電機と、
前記回転子を回転させる回転部材と、
前記弾性部材に蓄積されたエネルギを前記回転部材に伝達する伝達部と、
前記伝達部による前記回転子の回転を規制するロック部と、
を備え、
前記伝達部は、前記弾性部材に蓄積されたエネルギが放出されて前記回転部材を回転させた後に、前記本体部の内部で前記可動部に衝突することを特徴とする発電モジュール。
(構成11)
エネルギの入力が解除されたときに前記可動部を元の位置に戻す第1戻し弾性部材を備え、
前記第1戻し弾性部材は、前記本体部と前記可動部とを接続していることを特徴とする構成10に記載の発電モジュール。
(構成12)
前記伝達部は、前記可動部の移動方向と同じ方向に移動することを特徴とする構成10または11に記載の発電モジュール。
(構成13)
前記伝達部は、前記可動部が移動している間に、前記可動部に衝突することを特徴とする構成12に記載の発電モジュール。
(構成14)
エネルギの入力が解除されて前記可動部が元の位置に戻るときに、前記回転部材から離れる方向に移動した前記伝達部を元の位置に戻す第2戻し弾性部材をさらに備えることを特徴とする構成10~13のいずれか1つに記載の発電モジュール。
(構成15)
ケースと、
前記ケースに設けられた操作ボタンと、
前記操作ボタンの操作により移動するリンク機構と、
前記リンク機構に接続され、構成10~14のいずれか1つに記載された発電モジュールと、
を備えたリモコン装置。
【0305】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、発電モジュールおよびリモコン装置などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0306】
1 リモコン装置
2 ケース
3 操作ボタン
4 リンク機構
10 発電モジュール
12 本体部
13 移動部材(可動部)
13a 入力部
13c ロック部
14 第1弾性部材
16 伝達部
17 第2弾性部材
18 ホイール(回転部材)
18a1~18a6 突出部
19 発電機
19a 固定子
19b 回転子
19c 回転軸
20 発電モジュール
21 ホイール(回転部材)
22 第1ホイール
23a~23f 第1突起
24a~24f 第2突起
30 第2ホイール
31~36 突出部
39 第3弾性部材
40 発電モジュール
41 本体部
43 移動部材(可動部)
43a 入力部
43c ロック部
45 伝達部
47 第2弾性部材
50 ホイール(回転部材)
52 第1ホイール
53 円板部
54a~54f 突出部
55 歯車部
60 第2ホイール
61 円筒部
63 歯車部
65 ブロック体
67 第3弾性部材
70 発電モジュール
72 移動部材(可動部)
72a 入力部
72c ロック部
75 退避部(可動部)
77 第2弾性部材
80 伝達部
85 第3弾性部材
90 ホイール(回転部材)
91a~91f 突出部
100 発電モジュール
120 移動部材(可動部)
130 杆部(可動部)
132 入力部
140 伝達部
147 第2弾性部材
150 ロック部
160 ホイール(回転部材)
170 伝達部
172 ホイール(回転部材)
200 発電モジュール
220 移動部材(可動部)
221a 入力部
230 伝達部
236 第2弾性部材
240 棒状体(可動部)
241 軸部(回動支点)
243 ロック部
245 ロック部操作部
250 ホイール(回転部材)
300 発電モジュール
320 移動部材(可動部)
330 伝達部
336 第2弾性部材
340 板状体(可動部)
341 軸部(回動支点)
342 入力部(ロック部操作部)
343 ロック部
350 ホイール(回転部材)
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