(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031806
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】外壁下地パネル、外壁下地パネル間の防水構造及び外壁下地パネルの設置方法
(51)【国際特許分類】
E04B 2/56 20060101AFI20240229BHJP
E04B 1/66 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
E04B2/56 644A
E04B1/66 A
E04B2/56 605E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097031
(22)【出願日】2023-06-13
(31)【優先権主張番号】P 2022133304
(32)【優先日】2022-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】303046244
【氏名又は名称】旭化成ホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(72)【発明者】
【氏名】菊地 訓
【テーマコード(参考)】
2E001
2E002
【Fターム(参考)】
2E001DA01
2E001FA04
2E001GA24
2E001GA45
2E002FB16
2E002MA22
(57)【要約】
【課題】防水シートを施工性良く設置することができる外壁下地パネル、外壁下地パネル間の防水構造及び外壁下地パネルの設置方法を提供する。
【解決手段】外壁下地パネルは、枠体と、枠体の一方側の面に配置される防水シート3と、を備え、防水シート3は、一方側の面に設けられ、一方側の面と略同一の大きさの面状シート部31と、面状シート部31の少なくも一の端部31dから延びる縁シート部32と、を備え、縁シート部32は、面状シート部31の端部31dでで折り曲げられ、枠体の端面23aに沿うように配置された第1折曲シート部321と、第1折曲シート部321の端部321aで折り曲げられ、第1折曲シート部321に沿うように配置された第2折曲シート部322と、第2折曲シート部322の端部322aで折り曲げられ、面状シート部31に沿うように配置された第3折曲シート部323と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体と、
前記枠体の一方側の面に配置される防水シートと、を備え、
前記防水シートは、
前記一方側の面に設けられ、前記一方側の面と略同一の大きさの面状シート部と、
前記面状シート部の少なくも一の端部から延びる縁シート部と、を備え、
前記縁シート部は、
前記面状シート部の端部で折り曲げられ、前記枠体の端面に沿うように配置された第1折曲シート部と、
前記第1折曲シート部の端部で折り曲げられ、前記第1折曲シート部に沿うように配置された第2折曲シート部と、
前記第2折曲シート部の端部で折り曲げられ、前記面状シート部に沿うように配置された第3折曲シート部と、を備える外壁下地パネル。
【請求項2】
前記第1折曲シート部は、前記枠体の端面に当接している請求項1に記載の外壁下地パネル。
【請求項3】
前記第1折曲シート部及び前記第2折曲シート部は、前記枠体の端面に固定されていない請求項1または2に記載の外壁下地パネル。
【請求項4】
前記第2折曲シート部は、前記枠体の端面に取り外し可能に仮固定されている請求項1または2に記載の外壁下地パネル。
【請求項5】
前記第3折曲シート部は、前記面状シート部に取り外し可能に仮固定されている請求項1または2に記載の外壁下地パネル。
【請求項6】
前記縁シート部は、前記枠体の下端面側に設けられている請求項1または2に記載の外壁下地パネル。
【請求項7】
前記枠体は木製である請求項1または2に記載の外壁下地パネル。
【請求項8】
前記枠体の端面には、気密材が設けられている請求項1または2に記載の外壁下地パネル。
【請求項9】
隙間をあけて隣り合って配置された一対の外壁下地パネルを備え、
外壁下地パネルは、
枠体と、
前記枠体の一方側の面に配置される防水シートと、を有し、
前記防水シートは、前記一方側の面に設けられ、前記一方側の面と略同一の大きさの面状シート部を有し、
一方の前記外壁下地パネルの前記面状シート部には、前記隙間を向く端部に縁シート部が設けられ、
他方の前記外壁下地パネルの前記面状シート部には、前記隙間を向く端部に縁シート部が設けられておらず、
前記縁シート部は、
前記面状シート部の端部で折り曲げられ、前記枠体の端面に沿うように配置された第1折曲シート部と、
前記第1折曲シート部の端部で折り曲げられ、前記第1折曲シート部に沿うように配置された第2折曲シート部と、
前記第2折曲シート部の端部で折り曲げられ、前記他方の前記外壁下地パネルの前記面状シート部に重なって配置された重なり部と、有する外壁下地パネル間の防水構造。
【請求項10】
請求項1または2に記載の外壁下地パネルである第1の外壁下地パネルを設置し、
前記第1の外壁下地パネルにおける前記縁シート部が設けられていない端部に隙間をあけて、請求項1または2に記載の外壁下地パネルである第2の外壁下地パネルの前記縁シート部を前記隙間に面するように設置し、
前記第2の外壁下地パネルの前記第3折曲シート部を折り返して、前記第1の外壁下地パネルの前記面状シート部に重なるように配置する外壁下地パネルの設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外壁下地パネル、外壁下地パネル間の防水構造及び外壁下地パネルの設置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物及び建物の内部空間の性能を保つため、外壁には断熱性、気密性及び防水性等の機能が期待されている。一般的に、防水性の確保については、現場施工のシーリングが多く用いられているが、これは多くの人工と時間を要し、また性能確保のための技量も必要となる。
【0003】
例えば、下記の特許文献1では、梁の高さ位置で、外装下地パネルを上下に隙間をあけて配置して、現場で隙間に断熱材を嵌め込んで、その外側に防水シート(樹脂シート)を貼り渡す施工方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の方法では、現場で、防水シートを貼る前に、上下の外装下地パネルの間に断熱材を設置する等の手間が生じるという問題点がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、防水シートを施工性良く設置することができる外壁下地パネル、外壁下地パネル間の防水構造及び外壁下地パネルの設置方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る外壁下地パネルは、枠体と、前記枠体の一方側の面に配置される防水シートと、を備え、前記防水シートは、前記一方側の面に設けられ、前記一方側の面と略同一の大きさの面状シート部と、前記面状シート部の少なくも一の端部から延びる縁シート部と、を備え、前記縁シート部は、前記面状シート部の端部で折り曲げられ、前記枠体の端面に沿うように配置された第1折曲シート部と、前記第1折曲シート部の端部で折り曲げられ、前記第1折曲シート部に沿うように配置された第2折曲シート部と、前記第2折曲シート部の端部で折り曲げられ、前記面状シート部に沿うように配置された第3折曲シート部と、を備える。
【0008】
このように構成された外壁下地パネルでは、第1折曲シート部及び第2折曲シート部を隣り合う外壁下地パネルとの隙間に配置するように、外壁下地パネルを設置する。設置後に、第3折曲シート部を隣り合う外壁下地パネルの面状シート部に重なるように折り返す。これによって、防水シートの端部及び隣り合う外壁下地パネルの間の隙間を防水でき、防水シートを施工性良く設置することができる。
【0009】
また、本発明に係る外壁下地パネルでは、前記第1折曲シート部は、前記枠体の端面に当接していてもよい。
【0010】
このように構成された外壁下地パネルでは、第1折曲シート部が枠体の端面に当接しているため、第1折曲シート部が枠体の端面から外れることがない。第1折曲シート部が枠体の端面から外れていると、現場施工時に、隣り合う外壁下地パネルとの隙間に第1折曲シート部を押し込む必要があるが、このような必要がないため施工時の手間を削減することができる。
【0011】
また、本発明に係る外壁下地パネルでは、前記第2折曲シート部は、前記枠体の端面に取り外し可能に仮固定されていてもよい。
【0012】
このように構成された外壁下地パネルでは、第2折曲シート部は枠体の端面に取り外し可能に仮固定されているため、運搬時等に第2折曲シート部が枠体の端面から外れることが抑制される。また、現場施工時には、第2折曲シート部を枠体の端面から容易に取り外すことができる。
【0013】
また、本発明に係る外壁下地パネルでは、前記第3折曲シート部は、前記面状シート部に取り外し可能に仮固定されていてもよい。
【0014】
このように構成された外壁下地パネルでは、第3折曲シート部は面状シート部に取り外し可能に仮固定されているため、運搬時等に第2折曲シート部が面状シート部から外れることが抑制される。また、現場施工時には、第3折曲シート部を面状シート部から容易に取り外すことができる。
【0015】
また、本発明に係る外壁下地パネルでは、前記縁シート部は、前記枠体の下端面側に設けられていてもよい。
【0016】
このように構成された外壁下地パネルでは、縁シート部は、枠体の下端面側に設けられている。よって、外壁下地パネルを上下に隣り合って設置する際には、上側の外壁下地パネルの下端面側に設けられた縁シート部が、下側の外壁下地パネルの面状シート部に重なるため、確実に防水することができる。
【0017】
また、本発明に係る外壁下地パネルでは、前記枠体は木製であってもよい。
【0018】
このように構成された外壁下地パネルでは、木製の枠体を防止シートで防水することができるため、枠体の変形や劣化を抑制することができる。
【0019】
また、本発明に係る外壁下地パネルは、前記枠体の端面には、気密材が設けられていてもよい。
【0020】
このように構成された外壁下地パネルでは、枠体の端面には気密材が設けられているため、現場で気密材を設置する手間を削減して、施工性を高めることができる。
【0021】
また、本発明に係る外壁下地パネル間の防水構造は、隙間をあけて隣り合って配置された一対の外壁下地パネルを備え、外壁下地パネルは、枠体と、前記枠体の一方側の面に配置される防水シートと、を有し、前記防水シートは、前記一方側の面に設けられ、前記一方側の面と略同一の大きさの面状シート部を有し、一方の前記外壁下地パネルの前記面状シート部には、前記隙間を向く端部に縁シート部が設けられ、他方の前記外壁下地パネルの前記面状シート部には、前記隙間を向く端部に縁シート部が設けられておらず、前記縁シート部は、前記面状シート部の端部で折り曲げられ、前記枠体の端面に沿うように配置された第1折曲シート部と、前記第1折曲シート部の端部で折り曲げられ、前記第1折曲シート部に沿うように配置された第2折曲シート部と、前記第2折曲シート部の端部で折り曲げられ、前記他方の前記外壁下地パネルの前記面状シート部に重なって配置された重なり部と、有する。
【0022】
このように構成された外壁下地パネル間の防水構造では、縁シート部の第1折曲シート部及び第2折曲シート部が隣り合う外壁下地パネルとの隙間に配置されている。よって、外壁下地パネルの間の隙間を防水することができる。縁シート部の重なり部は隣り合う外壁下地パネルの面状シート部に重なっている。よって、防止シートの端部からの雨水の浸入を抑制することができる。
【0023】
また、本発明に係る外壁下地パネルの設置方法は、上記のいずれか一に記載の外壁下地パネルである第1の外壁下地パネルを設置し、前記第1の外壁下地パネルにおける前記縁シート部が設けられていない端部に隙間をあけて、上記のいずれか一に記載の外壁下地パネルである第2の外壁下地パネルの前記縁シート部を前記隙間に面するように設置し、前記第2の外壁下地パネルの前記第3折曲シート部を折り返して、前記第1の外壁下地パネルの前記面状シート部に重なるように配置する。
【0024】
このように構成された外壁下地パネルの設置方法では、第1折曲シート部及び第2折曲シート部を隣り合う外壁下地パネルとの隙間に配置するように、外壁下地パネルを設置する。設置後に、第3折曲シート部を隣り合う外壁下地パネルの面状シート部に重なるように折り返す。これによって、防水シートの端部及び隣り合う外壁下地パネルの間の隙間を防水でき、防水シートを施工性良く設置することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る外壁下地パネル、外壁下地パネル間の防水構造及び外壁下地パネルの設置方法によれば、防水シートを施工性良く設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態に係る外壁下地パネルの施工前の状態を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る外壁下地パネルの施工前の状態の水平断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る外壁下地パネル間の防水構造を示す水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態に係る外壁下地パネル、外壁下地パネル間の防水構造及び外壁下地パネルの設置方法について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る外壁下地パネルの施工前の状態を示す斜視図である。
図2は、本発明の一実施形態に係る外壁下地パネルの施工前の状態の水平断面図である。
図1及び
図2に示す外壁下地パネル1は、工場等で製作されて、現場に搬入される施工前の状態である。外壁下地パネル1は、枠体2と、防水シート3と、気密材4と、面材5(
図2参照)と、調湿シート6(
図2参照)と、断熱材7と、を備えている。
【0028】
図1に示すように、枠体2は、上枠21と、下枠22と、縦枠23と、中縦枠24と、中横枠25と、を有している。外壁下地パネル1の説明において、外壁下地パネル1の上枠21が上側に位置するように設置された状態での方向に基づいて説明する場合がある。外壁下地パネル1の面を正面から見て、左右方向を幅方向(図で矢印Xで示す方向)と称する場合がある。幅方向と直交する水平方向を、板厚方向(図で矢印Yで示す方向)と称する。
【0029】
上枠21及び下枠22は、幅方向に延びている。一対の縦枠23は、上下方向に延びている。縦枠23は、上枠21の幅方向の端部と下枠22の幅方向の端部とを連結している。
【0030】
中縦枠24は、上下方向に延びている。中縦枠24は、上枠21の幅方向の中間部分と下枠22の幅方向の中間部分とを連結している。本実施形態では、3本の中縦枠24が設けられているが、中縦枠24の本数は適宜設定可能である。
【0031】
中横枠25は、幅方向に延びている。中横枠25は、縦枠23と縦枠23の隣りに配置された中縦枠24とを連結している。中横枠25は、隣り合う中縦枠24どうしを連結している。中横枠25は、上下方向に間隔をあけて複数設けられている。
【0032】
上枠21、下枠22、縦枠23、中縦枠24及び中横枠25は、木製の材料で形成されている。なお、枠体2の構成は、適宜設定可能であり、中縦枠24及び中横枠25が設けられていなくてもよい。
【0033】
防水シート3は、枠体2の一方側の面2aに配置されている。面2aは、外壁下地パネル1が設置された際に、屋外側を向く面である。
【0034】
防水シート3は、シート状をしている。防水シート3は、面状シート部31と、縁シート部32と、を有している。
【0035】
面状シート部31は、枠体2の面2aに設けられている。面状シート部31の大きさは、枠体2の面2aの大きさと略同一である。
【0036】
面状シート部31の上端部31aは、枠体2の上枠21の上端面と揃うようになっている。面状シート部31の幅方向の一方側の端部31bは、枠体2の一方の縦枠23(以下、「縦枠23A」とする)の幅方向の端面と揃うようになっている。
【0037】
縁シート部32は、面状シート部31の下端部31cから延びるように設けられている。縁シート部32は、面状シート部31の幅方向の他方側の端部31dから延びるように設けられている。換言すると、枠体2の下枠22の下端面側及び幅方向の他方の縦枠23(以下、「縦枠23B」とする)の幅方向の端面側に設けられている。
【0038】
図3は、
図2のIII部拡大図である。
図3を用いて、面状シート部31の端部31dに設けられた縁シート部32について説明する。縁シート部32は、縦枠23Bの長さ方向に略全長にわたって設けられている。
【0039】
縁シート部32は、第1折曲シート部321と、第2折曲シート部322と、第3折曲シート部323と、を有している。
【0040】
第1折曲シート部321は、面状シート部31の端部31dで折り曲げられている。第1折曲シート部321は、縦枠23Bの端面23aに沿うように配置されている。枠体23Bの端面23aは、枠体2の正面から見たときの側面である。枠体23Bの端面23aは、枠体2の板厚方向に沿う面である。第1折曲シート部321は、縦枠23Bの端面23aに当接している。第1折曲シート部321の長さA1は、枠体2の板厚方向の長さA2の半分よりも短い。A1は、50mm程度である。第1折曲シート部321は、縦枠23Bの端面23aに接着等で固定されていない。
【0041】
第2折曲シート部322は、第1折曲シート部321の端部321aで折り曲げられて、折り返されている。第2折曲シート部322は、第1折曲シート部321の外面に沿うように配置されている。
【0042】
第3折曲シート部323は、第2折曲シート部322の端部322aで折り曲げられている。第3折曲シート部323は、面状シート部31の外面に沿うように配置されている。第3折曲シート部323の長さA3は、50mm~100mm程度である。
【0043】
第2折曲シート部322は、縦枠23Bの端面23a及び第1折曲シート部321に接着等で固定されていない。第2折曲シート部322は、縦枠23Bの端面23aに仮止めテープ27aで取り外し可能に仮固定されている。仮止めテープ27aは、第2折曲シート部322から縦枠23Bの端面23aにわたって貼着されている。仮止めテープ27aは、縦枠23Bの長さ方向に間隔をあけて複数箇所に貼着されている。
【0044】
第3折曲シート部323は、第2折曲シート部322に接着等で固定されていない。第3折曲シート部323は、面状シート部31に仮止めテープ27bで取り外し可能に仮固定されている。仮止めテープ27bは、第3折曲シート部323から面状シート部31にわたって貼着されている。
図1に示すように、仮止めテープ27bは、縦枠23Bの長さ方向に間隔をあけて複数箇所に貼着されている。
【0045】
面状シート部31の下端部31cに設けられた縁シート部32は、面状シート部31の端部31dに設けられた縁シート部32と同様の構成であり説明を省略する。
【0046】
気密材4は、縦枠23Bの端面23a及び下枠22の下端面に設けられている。気密材4は、縦枠23Bの長さ方向の略全長及び下枠22の長さ方向の略全長にわたって設けられている。気密材4として、例えばスポンジ状の発泡体を採用することができる。
【0047】
図2に示すように、面材5は、枠体2の他方側の面2bに設けられている。面材5は、板状に形成されている。面材5の大きさは、枠体2の大きさと略同一である。調湿シート6は、面材5に沿って配置されている。
【0048】
断熱材7は、枠体2の内部に配置されている。断熱材7の厚みは、枠体2の厚みと略同一である。
【0049】
次に、外壁下地パネル間の防水構造について説明する。
図4は、外壁下地パネル間の防水構造を示す水平断面図である。
図4に示すように、施工された状態の外壁下地パネルを外壁下地パネル1Aとする。外壁下地パネル間の防水構造10は、隙間Sをあけて隣り合って配置された一対の外壁下地パネル1Aを備えている。外壁下地パネル1Aの説明において、施工前の外壁下地パネル1と同様に構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0050】
一対の外壁下地パネル1Aのうち、一方の外壁下地パネル1A(「外壁下地パネル1AA」とする)は、隙間Sを向く面状シート部31の端部31dに縁シート部32(「縁シート部32A」とする)が設けられている。一対の外壁下地パネル1Aのうち、他方の外壁下地パネル1A(「外壁下地パネル1AB」とする)は、隙間Sを向く面状シート部31の端部31bに縁シート部32が設けられていない。
【0051】
縁シート部32Aは、第1折曲シート部321と、第2折曲シート部322と、重なり部324と、を有している。
【0052】
重なり部324は、外壁下地パネル1ABの面状シート部31に重なって配置されている。重なり部324は、タッカー等の固定具で枠体2の縦枠23等に固定されている。
【0053】
縁シート部32Aの第1折曲シート部321及び第2折曲シート部322は、外壁下地パネル1AAの縦枠23の端面23a及び外壁下地パネル1ABの縦枠23の端面23aの間で挟み込まれている。
【0054】
気密材4は、外壁下地パネル1AAの縦枠23の端面23a及び外壁下地パネル1ABの縦枠23の端面23aの間で挟み込まれて、押しつぶされるように変形している。これによって、外壁下地パネル1AAと外壁下地パネル1ABとの間の隙間Sが封止されている。
【0055】
次に、外壁下地パネルの設置方法について説明する。
外壁下地パネル1AB(第1の外壁下地パネル)を設置する。縁シート部32が設けられていない側の縦枠23Bと隙間Sをあけて、外壁下地パネル1AA(第2の外壁下地パネル)を設置する。この際に、仮止めテープ27aを取り外しても取り外さなくてもよい。仮止めテープ27aを取り外した場合には、縁シート部32は折り目が付いているため、
図3に示す状態を維持している。
【0056】
この状態で、外壁下地パネル1AAの縁シート部32が隙間Sに面するように設置する。仮止めテープ27bを取り外して、外壁下地パネル1ABの第3折曲シート部323を折り返して、外壁下地パネル1AAの面状シート部31に重なるように配置する。重なり部324を、タッカー等の固定具で枠体2の縦枠23等に固定する。
【0057】
このように、外壁下地パネル1ABを設置した後に、外壁下地パネル1AAの縁シート部32の第1折曲シート部321及び第2折曲シート部322を外壁下地パネル1ABとの隙間Sに配置するように、外壁下地パネル1AAを設置する。設置後に、第3折曲シート部323を隣り合う外壁下地パネル1の面状シート部31に重なるように折り返して、重なり部324を形成する。これによって、防水シート3の端部及び隣り合う外壁下地パネル1AA,1ABの間の隙間Sを防水でき、防水シート3を施工性良く設置することができる。
【0058】
また、外壁下地パネル1の第1折曲シート部321が縦枠23Bの端面23aに当接しているため、第1折曲シート部321が縦枠23Bの端面23aから外れることがない。第1折曲シート部321が縦枠23Bの端面23aから外れていると、現場施工時に、隣り合う外壁下地パネル1との隙間に第1折曲シート部321を押し込む必要があるが、このような必要がないため施工時の手間を削減することができる。
【0059】
また、施工前の外壁下地パネル1の第2折曲シート部322は縦枠23Bの端面23aに取り外し可能に仮固定されているため、運搬時等に第2折曲シート部322が縦枠23Bの端面23aから外れることが抑制される。また、現場施工時には、第2折曲シート部322を縦枠23Bの端面23aから容易に取り外すことができる。
【0060】
また、施工前の外壁下地パネル1の第3折曲シート部323は面状シート部31に取り外し可能に仮固定されているため、運搬時等に第2折曲シート部322が面状シート部31から外れることが抑制される。また、現場施工時には、第3折曲シート部323を面状シート部31から容易に取り外すことができる。
【0061】
また、縁シート部32は、下枠22側にも設けられている。よって、外壁下地パネル1を上下に隣り合って設置する際には、上側の外壁下地パネル1の下枠22側に設けられた縁シート部32が、下側の外壁下地パネル1の面状シート部31に重なるため、確実に防水することができる。
【0062】
また、木製の枠体2を防止シートで防水することができるため、枠体2の変形や劣化を抑制することができる。
【0063】
また、縦枠23Bの端面23a及び下枠22の下端面には気密材4が設けられているため、現場で気密材を設置する手間を削減して、施工性を高めることができる。
【0064】
また、防水シート3の余長部分である重なり部324が隣り合う外壁下地パネル1に重なって配置されているため、躯体変形時に発生する外壁パネルの変位に対しても対応して、防水シート3の破損を抑制することができる。
【0065】
また、躯体変形時に発生する外壁下地パネル1の隙間Sの拡がりに対して、気密材4が伸縮して隙間Sを塞ぐことができる。
【0066】
なお、上述した実施の形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0067】
例えば、上記に示す実施形態では、仮止めテープ27aによって防水シート3の第2折曲シート部322は縦枠23Bの端面23aに仮固定され、仮止めテープ27bによって第3折曲シート部323は面状シート部31に仮固定されているが、本発明はこれに限られない。防水シート3の縁シート部32を折り曲げていれば、仮止めテープ27a,27bを設けなくてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1,1A,1AA,1AB 外壁下地パネル
2 枠体
3 防水シート
4 気密材
10 防水構造
31 面状シート部
32,32A 縁シート部
321 第1折曲シート部
322 第2折曲シート部
323 第3折曲シート部
324 重なり部
S 隙間