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特開2024-31807外壁下地パネルの固定金物、外壁下地パネルの固定構造及び外壁下地パネルの固定方法
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  • 特開-外壁下地パネルの固定金物、外壁下地パネルの固定構造及び外壁下地パネルの固定方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031807
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】外壁下地パネルの固定金物、外壁下地パネルの固定構造及び外壁下地パネルの固定方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/90 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
E04B2/90
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097032
(22)【出願日】2023-06-13
(31)【優先権主張番号】P 2022133309
(32)【優先日】2022-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】303046244
【氏名又は名称】旭化成ホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(72)【発明者】
【氏名】菊地 訓
【テーマコード(参考)】
2E002
【Fターム(参考)】
2E002PA04
2E002RA02
2E002RB01
2E002SA01
(57)【要約】
【課題】地震時に外壁パネルの損傷を抑制することができる外壁下地パネルの固定金物、外壁下地パネルの固定構造及び外壁下地パネルの固定方法を提供する。
【解決手段】外壁下地パネルの固定金物3は、外壁下地パネル1側に固定される第1金物40と、躯体2側に固定される第2金物30と、を備え、第1金物40は、外壁下地パネル1の屋内側の面18aに沿う第1方向に延びる自重支持部42を有し、第2金物30は、躯体2に固定される躯体固定部31と、外壁下地パネル1の面外方向の変位を規制するように外壁下地パネル1に連結される変位規制部33と、自重支持部42を第1方向と交差する方向に変位可能に支持する自重受け部32と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁下地パネル側に固定される第1金物と、
躯体側に固定される第2金物と、を備え、
前記第1金物は、
前記外壁下地パネルの屋内側の面に沿う第1方向に延びる自重支持部を有し、
前記第2金物は、
前記躯体に固定される躯体固定部と、
前記外壁下地パネルの面外方向の変位を規制するように前記外壁下地パネルに連結される変位規制部と、
前記自重支持部を前記第1方向と交差する方向に変位可能に支持する自重受け部と、を有する外壁下地パネルの固定金物。
【請求項2】
前記自重支持部は、軸線方向を前記第1方向に向けたボルト状をしている請求項1に記載の外壁下地パネルの固定金物。
【請求項3】
前記第1金物は、
前記外壁下地パネルに固定されるパネル固定部を有し、
前記自重支持部は、前記パネル固定部に前記第1方向に進退可能に固定されている請求項1または2に記載の外壁下地パネルの固定金物。
【請求項4】
前記変位規制部は、
前記外壁下地パネルの屋内側の面に当接する当接部と、
前記当接部を前記第1方向に移動可能に前記外壁下地パネルに連結する連結部と、を有する請求項1または2に記載の外壁下地パネルの固定金物。
【請求項5】
前記連結部は、
前記当接部に形成され、前記第1方向に長い長孔と、
前記長孔に挿通され、前記外壁下地パネルに連結されるボルトと、を有する請求項4に記載の外壁下地パネルの固定金物。
【請求項6】
前記自重受け部は、
前記自重支持部の前記第1方向の一方側の端部を支持する支持面部と、
前記自重支持部の前記第1方向と交差する方向への移動を規制する移動規制部と、を有する請求項1または2に記載の外壁下地パネルの固定金物。
【請求項7】
前記移動規制部は、前記支持面部から前記第1方向の他方側に突出し、前記第1方向の一方側の端部の外側に配置される突起である請求項6に記載の外壁下地パネルの固定金物。
【請求項8】
前記躯体固定部には、前記面外方向に長い長孔が形成され、
前記躯体固定部の前記長孔に挿通されたボルトは、前記躯体に連結される請求項1または2に記載の外壁下地パネルの固定金物。
【請求項9】
外壁下地パネルと、
躯体と、
請求項1または2に記載された外壁下地パネルの固定金物と、を備える外壁下地パネルの固定構造。
【請求項10】
前記固定金物は、前記外壁下地パネルの幅方向の略中央に配置されている請求項9に記載の外壁下地パネルの固定構造。
【請求項11】
請求項1または2に記載の外壁下地パネルの固定金物を、外壁下地パネル及び躯体に取り付ける外壁下地パネルの固定方法であって、
前記躯体に前記第2金物の前記躯体固定部を固定して、
前記外壁下地パネルに前記第1金物を固定して、
前記外壁下地パネルを設置して、
前記自重支持部を前記自重受け部で支持して、
前記変位規制部で外壁下地パネルの面外方向の変位を規制する外壁下地パネルの固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外壁下地パネルの固定金物、外壁下地パネルの固定構造及び外壁下地パネルの固定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、現場施工省力化のために、予め工場で製造された外壁下地パネルが知られている(下記の特許文献1参照)。
【0003】
外壁下地パネルは、下記の特許文献2に示すように、躯体に強固に連結されていることが多いが、大地震時に破損、脱落の可能性が残る。このため、外壁の損傷を抑制するカーテンウォール形式の外壁固定方法が高層ビル建築において広く普及している。パネル受けの金物を介して外壁パネルを躯体に連結する構成が提案されている(下記の特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4120506号公報
【特許文献2】特許第6250929号公報
【特許文献3】特許第4611184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献3に記載のようなパネル受け金物を使用すると、地震時の躯体変形に、外壁パネルが躯体に追従して回転する。外壁パネルの下側の小口がパネル受け金物と接触して支点となって、外壁パネルが回転する。この際に、外壁パネルの小口端部が接触点となって外壁パネルの自重を支持するため、一時的に片足立ちの状態となり、自重が集中する小口端部の破損の可能性が大きくなるという問題点がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、地震時に外壁パネルの損傷を抑制することができる外壁下地パネルの固定金物、外壁下地パネルの固定構造及び外壁下地パネルの固定方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る外壁下地パネルの固定金物は、外壁下地パネル側に固定される第1金物と、躯体側に固定される第2金物と、を備え、前記第1金物は、前記外壁下地パネルの屋内側の面に沿う第1方向に延びる自重支持部を有し、前記第2金物は、前記躯体に固定される躯体固定部と、前記外壁下地パネルの面外方向の変位を規制するように前記外壁下地パネルに連結される変位規制部と、前記自重支持部を前記第1方向と交差する方向に変位可能に支持する自重受け部と、を有する。
【0008】
このように構成された外壁下地パネルの固定金物では、地震時に、躯体の変位にともなって、躯体側に固定された第2金物の躯体固定部が躯体とともに変位する。躯体固定部の変位にともなって、第2金物の変位規制部に連結された外壁下地パネルが変位しようとする。外壁下地パネルは変位する際には、第2金物の自重受け部が第1金物の自重支持部を自重支持部の延びる第1方向と交差する方向に変位可能に支持する。つまり、自重支持部における自重受け部に支持されている点が支点となって、外壁下地パネルが回転する(ロッキングする)。よって、ロッキングする際に、支点となるのが金物の一部の自重支持部であるため、外壁下地パネルの小口に負荷がかかることがなく、外壁下地パネルの損傷を抑制することができる。
【0009】
また、本発明に係る外壁下地パネルの固定金物では、前記自重支持部は、軸線方向を前記第1方向に向けたボルト状をしていてもよい。
【0010】
このように構成された外壁下地パネルの固定金物では、自重支持部は、軸線方向を第1方向に向けたボルト状をしている。よって、ボルト状をした自重支持部にナットを締結することによって、自重支持部を所望の高さに設置することができる。
【0011】
また、本発明に係る外壁下地パネルの固定金物では、前記第1金物は、前記外壁下地パネルに固定されるパネル固定部を有し、前記自重支持部は、前記パネル固定部に前記第1方向に進退可能に固定されていてもよい。
【0012】
このように構成された外壁下地パネルの固定金物では、自重支持部は、外壁下地パネルに固定されたパネル固定部に、自重支持部の軸線方向となる第1方向に進退可能に固定されている。よって、自重支持部がパネル固定部を介して外壁下地パネルの自重を受けつつ、その自重を自重受け部に伝達できるように、自重支持部の第1方向の進退長さを調整することができる。
【0013】
また、本発明に係る外壁下地パネルの固定金物では、前記変位規制部は、前記外壁下地パネルの屋内側の面に当接する当接部と、前記当接部を前記第1方向に移動可能に前記外壁下地パネルに連結する連結部と、を有していてもよい。
【0014】
このように構成された外壁下地パネルの固定金物では、当接部が外壁下地パネルの屋内側の面に当接するように、連結部によって当接部が外壁下地パネルに連結されている。よって、外壁下地パネルの屋内外方向の移動を規制しつつ、外壁下地パネルの第1方向への移動を許容することができる。
【0015】
また、本発明に係る外壁下地パネルの固定金物では、前記連結部は、前記当接部に形成され、前記第1方向に長い長孔と、前記長孔に挿通され、前記外壁下地パネルに連結されるボルトと、を有していてもよい。
【0016】
このように構成された外壁下地パネルの固定金物では、ボルトが、当接部に形成された第1方向に長い長孔に挿通されて外壁下地パネルに連結されている。よって、簡易な構成で、外壁下地パネルの上下方向に変位を可能とすることができる。
【0017】
また、本発明に係る外壁下地パネルの固定金物では、前記自重受け部は、前記自重支持部の前記第1方向の一方側の端部を支持する支持面部と、前記自重支持部の前記第1方向と交差する方向への移動を規制する移動規制部と、を有していてもよい。
【0018】
このように構成された外壁下地パネルの固定金物では、移動規制部は、自重支持部の第1方向と交差する方向への移動を規制する。よって、自重支持部の支持面部からの位置ずれを抑制することができる。
【0019】
また、本発明に係る外壁下地パネルの固定金物は、前記移動規制部は、前記支持面部から前記第1方向の他方側に突出し、前記第1方向の一方側の端部の外側に配置される突起であってもよい。
【0020】
このように構成された外壁下地パネルの固定金物では、移動規制部は、支持面部から第1方向の他方側に突出し、第1方向の一方側の端部の外側に配置される突起である。よって、移動規制部を簡易な構成として、自重支持部の支持面部からの位置ずれを抑制することができる。
【0021】
また、本発明に係る外壁下地パネルの固定金物は、前記躯体固定部には、前記面外方向に長い長孔が形成され、前記躯体固定部の前記長孔に挿通されたボルトは、前記躯体に連結されていてもよい。
【0022】
このように構成された外壁下地パネルの固定金物では、ボルトが、躯体固定部に形成された面外方向に長い長孔に挿通されて躯体に連結される。よって、躯体固定部の躯体に対する面外方向の取付位置を調整することができる。
【0023】
また、本発明に係る外壁下地パネルの固定構造は、外壁下地パネルと、躯体と、上記のいずれか一に記載された外壁下地パネルの固定金物と、を備える。
【0024】
このように構成された外壁下地パネルの固定構造では、地震時に、躯体の変位にともなって、躯体側に固定された第2金物の躯体固定部が躯体とともに変位する。躯体固定部の変位にともなって、第2金物の変位規制部に連結された外壁下地パネルが変位しようとする。外壁下地パネルは変位する際には、第2金物の自重受け部が第1金物の自重支持部を自重支持部の延びる第1方向と交差する方向に変位可能に支持する。つまり、自重支持部における自重受け部に支持されている点が支点となって、外壁下地パネルが回転する(ロッキングする)。よって、ロッキングする際に、支点となるのが金物の一部の自重支持部であるため、外壁下地パネルの小口に負荷がかかることがなく、外壁下地パネルの損傷を抑制することができる。
【0025】
また、本発明に係る外壁下地パネルの固定構造は、前記固定金物は、前記外壁下地パネルの幅方向の略中央に配置されていてもよい。
【0026】
このように構成された外壁下地パネルの固定構造では、固定金物は、外壁下地パネルの幅方向の略中央に配置されている。よって、外壁下地パネルを幅方向の一方側を過度に変位させることなく、バランスよくロッキングさせることができる。
【0027】
また、本発明に係る外壁下地パネルの固定方法は、上記のいずれか一に記載の外壁下地パネルの固定金物を、外壁下地パネル及び躯体と取り付ける外壁下地パネルの固定方法であって、前記躯体に前記第2金物の前記躯体固定部を固定して、前記外壁下地パネルに前記第1金物を固定して、前記外壁下地パネルを設置して、前記自重支持部を前記自重受け部で支持して、前記変位規制部で外壁下地パネルの面外方向の変位を規制する。
【0028】
このように構成された外壁下地パネルの固定方法では、地震時に、躯体の変位にともなって、躯体側に固定された第2金物の躯体固定部が躯体とともに変位する。躯体固定部の変位にともなって、第2金物の変位規制部に連結された外壁下地パネルが変位しようとする。外壁下地パネルは変位する際には、第2金物の自重受け部が第1金物の自重支持部を自重支持部の延びる第1方向と交差する方向に変位可能に支持する。つまり、自重支持部における自重受け部に支持されている点が支点となって、外壁下地パネルが回転する(ロッキングする)。よって、ロッキングする際に、支点となるのが金物の一部の自重支持部であるため、外壁下地パネルの小口に負荷がかかることがなく、外壁下地パネルの損傷を抑制することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る外壁下地パネルの固定金物、外壁下地パネルの固定構造及び外壁下地パネルの固定方法によれば、地震時に外壁パネルの損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の第一実施形態に係る外壁下地パネルの固定構造を示す正面図である。
図2】本発明の第一実施形態に係る外壁下地パネルの固定構造を示す斜視図である。
図3】本発明の第一実施形態に係る外壁下地パネルの固定構造を示す縦断面図である。
図4】本発明の第一実施形態に係る外壁下地パネルの固定構造を示す拡大正面図である。
図5】本発明の第一実施形態に係る外壁下地パネルの固定金物の第2金物を示す正面図である。
図6】本発明の第二実施形態に係る外壁下地パネルの固定金物を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の第一実施形態に係る外壁下地パネルの固定金物、外壁下地パネルの固定構造及び外壁下地パネルの固定方法について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係る外壁下地パネルの固定構造を示し、屋内側から見た正面図である
図1に示すように、外壁下地パネルの固定構造100は、外壁下地パネル1と、梁(躯体)2と、外壁下地パネルの固定金物(以下、単に「固定金物」と称する)3と、を備えている。
【0032】
外壁下地パネル1は、工場等で製作されて、現場に搬入されるものである。外壁下地パネル1を正面から見て、左右方向をパネル幅方向(図に矢印Xで示す方向)と称する。パネル幅方向と直交する水平方向を、屋内外方向(図に矢印Yで示す方向)と称する。屋内外方向のうち外壁下地パネル1の外壁19(図3参照)が配置される側を屋外側と称し、面材18が配置される側を屋内側と称する。なお、外壁下地パネル1は、現場で施工されるものであってもよい。
【0033】
外壁下地パネル1は、上下方向(第1方向)及び幅方向に隙間をあけて隣り合って複数配置されている。外壁下地パネル1は、枠体10と、断熱材17(図2参照)と、面材18(図2参照)と、外壁19(図3の二点鎖線参照)と、を備えている。
【0034】
枠体10は、上枠11と、下枠12と、縦枠13と、中縦枠14と、中横枠15と、を有している。
【0035】
上枠11及び下枠12は、パネル幅方向に延びている。一対の縦枠13は、上下方向に延びている。縦枠13は、上枠11のパネル幅方向の端部と下枠12のパネル幅方向の端部とを連結している。
【0036】
中縦枠14は、上下方向に延びている。中縦枠14は、上枠11のパネル幅方向の中間部分と下枠12のパネル幅方向の中間部分とを連結している。本実施形態では、3本の中縦枠14が設けられているが、中縦枠14の本数は適宜設定可能である。
【0037】
中横枠15は、パネル幅方向に延びている。中横枠15は、縦枠13と縦枠13の隣りに配置された中縦枠14とを連結している。中横枠15は、隣り合う中縦枠14どうしを連結している。中横枠15は、上下方向に間隔をあけて複数設けられている。
【0038】
上枠11、下枠12、縦枠13、中縦枠14及び中横枠15は、木製の材料で形成されている。なお、枠体10の構成は、適宜設定可能であり、中縦枠14及び中横枠15が設けられていなくてもよい。また、上枠11、下枠12、縦枠13、中縦枠14及び中横枠15の材料は、適宜設定可能であり、鋼製材料であってもよい。
【0039】
図2は、外壁下地パネルの固定構造100を示し、屋内側から見た斜視図である。
図2に示すように、断熱材17は、枠体10の内部に配置されている。枠体10の上枠11、下枠12、縦枠13、中縦枠14及び中横枠15等で形成された矩形の内部に、矩形に合わせた形状の断熱材17が充填されている。断熱材17の厚みは、枠体10の厚みと略同一である。
【0040】
面材18は、枠体10の屋内側の面10aに設けられている。面材18は、板状に形成されている。面材18の大きさは、枠体10の大きさと略同一である。面材18の屋内側を向く面には、気密シート(不図示)が設けられていてもよい。
【0041】
図3は、外壁下地パネルの固定構造100を示す縦断面図である。図3では、外壁下地パネル1が上下に隣り合って配置されている部分を示している。
図3に示ように、外壁19は、枠体10の屋外側の面10bに設けられている。枠体10と外壁19との間には、防水シート(不図示)が設けられている。
【0042】
梁2は、外壁下地パネル1の屋内側にパネル幅方向に沿って配置されている。梁2は、H鋼である。なお、梁2の構成は、適宜設定可能である。
【0043】
図1に示す固定金物3は、外壁下地パネル1を梁2に連結するものである。固定金物3は、外壁下地パネル1のパネル幅方向の略中央に配置されている。固定金物3は、正面視で、上下の外壁下地パネル1に重なるように配置されている。なお、固定金物3のパネル幅方向の配置位置及び上下方向の配置位置は、適宜設定可能である。
【0044】
図2に示すように、固定金物3は、躯体側金物(第2金物)30と、パネル側金物(第1金物)40と、を備えている。固定金物3の説明において、各方向は固定金物3が梁2に取り付けられた状態の方向に基づいて説明する。
【0045】
躯体側金物30は、躯体固定部31と、自重受け部32と、変位規制部33と、を有している。正面視で、躯体固定部31は、下側の外壁下地パネル1と重なって配置されている。正面視で、自重受け部32は、上下の外壁下地パネル1にそれぞれ重なって配置されている。正面視で、変位規制部33は、上下の外壁下地パネル1にそれぞれ重なって配置されている。
【0046】
躯体固定部31は、固定プレート部311と、折曲プレート部316と、を有している。
【0047】
図4は、外壁下地パネルの固定構造100を示す拡大正面図である。
図4に示すように、固定プレート部311は、平板状に形成されている。固定プレート部311の板面は、上下方向を向いている。固定プレート部311には、上下方向に貫通するボルト孔312が形成されている。ボルト孔312は、屋内外方向に長い長孔である(図3参照)。梁2の上側フランジ21には、上下方向に貫通するボルト孔211が形成されている。ボルト313が、固定プレート部311の上側からボルト孔312及び上側フランジ21のボルト孔211に挿通されて、上側フランジ21の下側でナット314に螺合されている。これによって、固定プレート部311は上側フランジ21に固定されている。長孔であるボルト孔312の屋内外方向の長さは、ボルト313の径よりも長い。これによって、固定プレート部311の上側フランジ21に対する屋内外方向の取付位置を調整することができる。
【0048】
図3に示すように、折曲プレート部316は、固定プレート部311の屋外側の端部から下方に延びている。折曲プレート部316は、板状に形成されている。折曲プレート部316の板面は、屋内外方向を向いている。折曲プレート部316は、梁2の屋外側且つ面材18の屋内側に配置されている。
【0049】
図2に示すように、自重受け部32は、中央立設プレート部321と、背面プレート部322と、側プレート部323と、受けプレート部324と、を有している。
【0050】
中央立設プレート部321は、固定プレート部311のパネル幅方向の中央から上方に延びている。中央立設プレート部321は、板状に形成されている。中央立設プレート部321の板面は、パネル幅方向を向いている。
【0051】
背面プレート部322は、固定プレート部311の屋外側の端部から上方に延びている。背面プレート部322は、板状に形成されている。背面プレート部322の板面は、屋内外方向を向いている。中央立設プレート部321の屋外側の端部は、背面プレート部322に接合されている。
【0052】
側プレート部323は、背面プレート部322のパネル幅方向の両側の端部で折曲されて屋内側に延びている。側プレート部323の下端部は、固定プレート部311に接合されている。側プレート部323は、中央立設プレート部321のパネル幅方向の両側に配置されている。側プレート部323は、板状に形成されている。側プレート部323の板面は、パネル幅方向を向いている。
【0053】
受けプレート部324は、中央立設プレート部321の上端部に接合されている。受けプレート部324は、板状に形成されている。受けプレート部324の板面は、上下方向を向いている。受けプレート部324のパネル幅方向の両端部は、側プレート部323に接合されている。受けプレート部324の屋外側の端部は、背面プレート部322に接合されている。
【0054】
変位規制部33は、自重受け部32のパネル幅方向の両側に配置されている。変位規制部33は、当接プレート部(当接部)331と、折曲プレート部332と、連結部333と、を有している。
【0055】
当接プレート部331は、固定プレート部311の屋外側の端部から上方に延びている。当接プレート部331は、板状に形成されている。当接プレート部331の板面は、屋内外方向を向いている。当接プレート部331は、外壁下地パネル1の面材18の屋内側を向く面18aに当接している。
【0056】
折曲プレート部332は、当接プレート部331の端部から屋内側に折曲されている。折曲プレート部332は、板状をしている。折曲プレート部332の板面は、パネル幅方向を向いている。折曲プレート部332は、側プレート部323に接合されている。
【0057】
図5は、躯体側金物30を屋内側から見た正面図である。
連結部333は、長孔335(図5参照)と、ボルト336と、を有している。
【0058】
図5に示すように、長孔335は、変位規制部33の当接プレート部331を屋内外方向に貫通するように形成されている。長孔335は、パネル幅方向よりも上下方向の方が長い形状をしている。長孔335は、当接プレート部331に上下方向に離間して2箇所形成されている。
【0059】
図3に示すように、外壁下地パネル1の面材18の屋外側を向く面18bには、接合金物18cが配置されている。ボルト336は、接合金物18cに形成されたボルト孔(不図示)、面材18に形成されたボルト孔及び当接プレート部331の長孔335(図5参照)に挿通されて、ナット337に螺合されている。長孔335の上下方向の長さは、ボルト336の径よりも長い。これによって、当接プレート部331は、外壁下地パネル1に上下方向に変位可能に連結されている。変位規制部33が上下の外壁下地パネル1にわたって配置されていて、上側のボルト336は上側に外壁下地パネル1に連結され、下側のボルト336は下側の外壁下地パネル1に連結されている。
【0060】
当接プレート部331が、外壁下地パネル1の面材18の屋内側を向く面18aに当接している。ボルト336が外壁下地パネル1に連結されているため、当接プレート部331が外壁下地パネル1側に押し付けられて、当接プレート部331が外壁下地パネル1の屋内外方向(面外方向)の変位を規制している。
【0061】
図2に示すように、パネル側金物40は、パネル固定部41と、自重支持部42と、を有している。
【0062】
パネル固定部41は、固定プレート部411と、支持プレート部412と、を有している。
【0063】
固定プレート部411は、外壁下地パネル1の面材18の面18aに当接している。固定プレート部411は、躯体側金物30の2つの変位規制部33の間に配置されている。ボルト431は、面材18の不図示のボルト孔及び固定プレート部411の不図示のボルト孔に挿通されて、ナット432に螺合されている。これによって、固定プレート部411は、外壁下地パネル1に固定されている。
【0064】
支持プレート部412は、固定プレート部411の下端部から屋内側に延びている。支持プレート部412は、板状に形成されている。支持プレート部412の板面は、上下方向を向いている。
【0065】
自重支持部42は、軸線方向を上下方向に向けたボルト状をしている。自重支持部42は、支持プレート部412に形成された上下方向に貫通する不図示のボルト孔に挿通されている。図4に示すように、自重支持部42の下端部(第1方向の一方側の端部)421が躯体側金物30の受けプレート部324に当接するようにして、支持プレート部412の上下でナット422に締結されている。受けプレート部324の上面(支持面部)325は、自重支持部42の下端部421を支持している。ナット422を緩めた状態で、自重支持部42は上下方向に進退可能である。支持プレート部412と受けプレート部324との間の距離に応じて、自重支持部42の支持プレート部412から下方への突出量を調整して、自重支持部42がナット422に締結され固定プレート部411に固定されている。受けプレート部324の上面325は、水平面に沿う平面10aをしている。
【0066】
地震時に、梁2が変位すると、梁2に固定された固定金物3の躯体側金物30が梁2とともに変位する。躯体側金物30の変位にともなって、躯体側金物30に連結された外壁下地パネル1が変位しようとする。躯体側金物30の当接プレート部331に挿通されたボルト336は、外壁下地パネル1の長孔335に挿通されているため、ボルト336が長孔335内を移動することが可能である。つまり、外壁下地パネル1が躯体側金物30に対して上下方向に変位可能である。外壁下地パネル1に連結されたパネル側金物40の自重支持部42が躯体側金物30の受けプレート部324の上面325に支持されているため、外壁下地パネル1が変位する際には、自重支持部42の下端部421が支点となって、外壁下地パネル1が回転する(ロッキング)。
【0067】
次に、上記の外壁下地パネル1の固定方法について説明する。
まず、躯体側金物30の固定プレート部311をボルト313で梁2に固定する。次に、パネル側金物40の固定プレート部411をボルト431で外壁下地パネル1に固定する。次に、下側の外壁下地パネル1を設置し、その上側にパネル側金物40の取り付けられた外壁下地パネル1を設置する。次に、躯体側金物30の受けプレート部324で、パネル側金物40の自重支持部42を介して外壁下地パネル1の自重を受けられるように、自重支持部42の進退長さを調整して、ナット422を締める。次に、躯体側金物30の当接プレート部331をボルト336で外壁下地パネル1に連結する。
【0068】
このように構成された外壁下地パネルの固定金物では、地震時に、梁2の変位にともなって、梁2側に固定された躯体側金物30の躯体固定部31が梁2とともに変位する。躯体固定部31の変位にともなって、変位規制部33に連結された外壁下地パネル1が変位しようとする。外壁下地パネル1は変位する際には、躯体側金物30の自重受け部32が、パネル側金物40の自重支持部42を、水平方向に変位可能に支持する。つまり、自重支持部42における自重受け部32に支持されている下端部421が支点となって、外壁下地パネル1が回転する(ロッキングする)。よって、ロッキングする際に、支点となるのが金物の一部の自重支持部42であるため、外壁下地パネル1の小口等に負荷がかかることがなく、外壁下地パネル1の損傷を抑制することができる。
【0069】
また、自重支持部42は、軸線方向を上下方向に向けたボルト状をしている。よって、ボルト状をした自重支持部42にナット422を締結することによって、自重支持部42を所望の高さに設置することができる。
【0070】
また、自重支持部42は、外壁下地パネル1に固定されたパネル固定部41に、自重支持部42の軸線方向となる上下方向に進退可能に固定されている。よって、自重支持部42がパネル固定部41を介して外壁下地パネル1の自重を受けつつ、その自重を自重受け部32に伝達できるように、自重支持部42の上下方向の進退長さを調整することができる。
【0071】
また、当接プレート部331が外壁下地パネル1の面18aに当接するように、連結部333によって当接プレート部331が外壁下地パネル1に連結されている。よって、外壁下地パネル1の屋内外方向の移動を規制しつつ、外壁下地パネル1の上下方向への移動を許容することができる。
【0072】
また、ボルト336が、当接プレート部331に形成された上下方向に長い長孔335に挿通されて外壁下地パネル1に連結されている。よって、簡易な構成で、外壁下地パネル1の上下方向に変位を可能とすることができる。
【0073】
また、固定金物3は、外壁下地パネル1のパネル幅方向の略中央に配置されている。よって、外壁下地パネル1をパネル幅方向の一方側を過度に変位させることなく、バランスよくロッキングさせることができる。
【0074】
また、ボルト313が、躯体固定部31の固定プレート部311に形成された屋内外方向に長いボルト孔312及び上側フランジ21のボルト孔211に挿通されて、上側フランジ21の下側でナット314に螺合されている。よって、固定プレート部311の上側フランジ21に対する屋内外方向の取付位置を調整することができる。
【0075】
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態に係る外壁下地パネルの固定金物、外壁下地パネルの固定構造及び外壁下地パネルの固定方法について、主に図6を用いて説明する。なお、以下に示す実施形態では、上述の第一実施形態と同一又は同様な部材及び部分には同一の符号を用いて説明を省略し、実施形態と異なる構成について説明する。
【0076】
図6は、本発明の第二実施形態に係る外壁下地パネルの固定金物を示す正面図である。図6では、自重支持部を二点鎖線で示している。
図6に示すように、固定金物3Aの躯体側金物30Aの自重受け部32Aは、躯体固定部31の固定プレート部311に設けられている。自重受け部32Aは、支持面部327と、移動規制部328と、を有している。
【0077】
支持面部327は、固定プレート部311の上面よりも下方に凹んだ平面である。支持面部327の形状は、自重支持部42の下端部の形状に対応して、略円形状である。
【0078】
移動規制部328は、支持面部327から上方に突出した壁部(突起)である。平面視で、移動規制部328は、環状をしている。自重支持部42が配置された状態で、移動規制部328は自重支持部42の下端部421(図2参照)の径方向の外側に配置されている。
【0079】
このように構成された外壁下地パネルの固定金物では、地震時に、梁2の変位にともなって、梁2側に固定された躯体側金物30Aの躯体固定部31が梁2とともに変位する。躯体固定部31の変位にともなって、変位規制部33に連結された外壁下地パネル1が変位しようとする。外壁下地パネル1は変位する際には、躯体側金物30Aの自重受け部32が、パネル側金物40の自重支持部42を、水平方向に変位可能に支持する。つまり、パネル側金物40は自重支持部42における自重受け部32に支持されている下端部421が支点となって、外壁下地パネル1が回転する(ロッキングする)。よって、ロッキングする際に、支点となるのが金物の一部の自重支持部42であるため、外壁下地パネル1の小口等に負荷がかかることがなく、外壁下地パネル1の損傷を抑制することができる。
【0080】
また、移動規制部328は、自重支持部42の水平方向への移動を規制する。よって、自重支持部42の支持面部327からの位置ずれを抑制することができる。
【0081】
また、移動規制部328は、支持面部327から上方に突出壁部(突起)である。自重支持部42が配置された状態で、移動規制部328は自重支持部42の下端部421の径方向の外側に配置されている。よって、移動規制部328を簡易な構成として、自重支持部42の支持面部327からの位置ずれを抑制することができる。
【0082】
なお、上述した実施の形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0083】
例えば、上記に示す実施形態では、躯体側金物30は、梁2に固定されているが、本発明はこれに限られない。第2金物の躯体固定部は、床等の躯体に固定されていてもよい。
【0084】
また、上記に示す実施形態では、躯体側金物30の変位規制部33は、上下2枚の外壁下地パネル1にそれぞれ連結されているが、本発明はこれに限られない。固定金物3の設置位置によっては、1枚の外壁下地パネル1に連結されていてもよい。
【0085】
また、上記に示す実施形態では、自重支持部42はボルト状をしているが、形状は適宜設定可能である。
【0086】
また、上記に示す実施形態では、連結部333のボルト336が挿通される孔は上下方向に長い長孔をしているが、本発明はこれに限られない。ボルト336が挿通される孔は、斜め方向に長い長孔であってもよい。
【0087】
また、上記に示す実施形態では、自重支持部42は上下方向に進退可能に固定されているが、本発明はこれに限られない。自重支持部42が自重受け部32に支持される構成であればよい。
【符号の説明】
【0088】
1 外壁下地パネル
2 梁(躯体)
3 固定金物
19 外壁
30 躯体側金物(第2金物)
31 躯体固定部
32 自重受け部
33 変位規制部
40 パネル側金物(第1金物)
41 パネル固定部
42 自重支持部
100 固定構造
325 上面(支持面部)
331 当接プレート部(当接部)
333 連結部
335 長孔
336 ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6