(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031823
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】マルチレート励振及び誤差除去に基づくノッチフィルタ較正を有するデータ記憶デバイス
(51)【国際特許分類】
G11B 5/596 20060101AFI20240229BHJP
G11B 21/10 20060101ALI20240229BHJP
G11B 21/08 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
G11B5/596
G11B21/10 R
G11B21/08 B
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023109457
(22)【出願日】2023-07-03
(31)【優先権主張番号】17/895,541
(32)【優先日】2022-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504056130
【氏名又は名称】ウェスタン デジタル テクノロジーズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100207837
【弁理士】
【氏名又は名称】小松原 寿美
(72)【発明者】
【氏名】中川 真介
(72)【発明者】
【氏名】ザイフェン チェン
(72)【発明者】
【氏名】沼里 英彦
(57)【要約】 (修正有)
【課題】アクチュエータシステムの微細な制御を向上し、サーボ制御ループにおける不安定性を防止するデータ記憶デバイスを提供する。
【解決手段】1つ以上のディスクと、1つ以上のヘッドを1つ以上のディスクの1つ以上のディスク表面に近接して位置決めするアクチュエータ機構と、アクチュエータ機構を制御する閉ループマルチレート誤差除去伝達関数(mrETF)機構制御システムを備える1つ以上の処理デバイスと、を備えるアクチュエータ機構制御システム300であって、1つ以上の処理デバイスは、アクチュエータ機構制御システムの少なくとも1つのマルチレートノッチフィルタにマルチレート励振を出力し、マルチレート励振に応答してアクチュエータ機構の周波数応答を検出し、アクチュエータ機構の検出された周波数応答に少なくとも部分的に基づいて、アクチュエータ機構制御システムの少なくとも1つのマルチレートノッチフィルタを較正する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ記憶デバイスであって、
1つ以上のディスクと、
1つ以上のヘッドを前記1つ以上のディスクの1つ以上のディスク表面に近接して位置決めするように構成されたアクチュエータ機構と、
前記アクチュエータ機構を制御するように構成されたアクチュエータ機構制御システムを備える1つ以上の処理デバイスと、を備え、
前記1つ以上の処理デバイスが、
前記アクチュエータ機構制御システムの少なくとも1つのマルチレートノッチフィルタにマルチレート励振を出力し、
前記マルチレート励振に応答して前記アクチュエータ機構の周波数応答を検出し、
前記アクチュエータ機構の前記検出された周波数応答に少なくとも部分的に基づいて、前記アクチュエータ機構制御システムの前記少なくとも1つのマルチレートノッチフィルタを較正するように構成されている、データ記憶デバイス。
【請求項2】
前記1つ以上の処理デバイスが、マルチレート制御入力を前記少なくとも1つのマルチレートノッチフィルタに出力するように更に構成され、前記マルチレート制御入力が、マルチレート誤差除去伝達関数に少なくとも部分的に基づき、
前記マルチレート誤差除去伝達関数が、前記マルチレート励振に少なくとも部分的に基づき、
前記少なくとも1つのマルチレートノッチフィルタを較正することが、前記マルチレート誤差除去伝達関数に少なくとも部分的に基づいて較正することを含む、請求項1に記載のデータ記憶デバイス。
【請求項3】
前記マルチレート励振を出力することが、複数の異なる周波数を有する複数の励振を前記アクチュエータ機構制御システムの前記少なくとも1つのマルチレートノッチフィルタに出力することを含む、請求項1に記載のデータ記憶デバイス。
【請求項4】
前記複数の異なる周波数を有する前記複数の励振を出力することが、複数の周波数を有する実質的に正弦波の励振を順次出力することを含み、
前記アクチュエータ機構の前記周波数応答を検出することが、前記複数の周波数を有する前記励振に対する前記アクチュエータ機構の周波数応答を順次検出することを含む、請求項3に記載のデータ記憶デバイス。
【請求項5】
前記複数の異なる周波数を有する前記複数の励振を出力することが、
複数の周波数を有する実質的に正弦波の励振を同時マルチレート励振に加算することと、
前記同時マルチレート励振を出力することと、を含み、
前記アクチュエータ機構の前記周波数応答を検出することが、前記同時マルチレート励振に対する前記アクチュエータ機構の周波数応答を検出することを含む、請求項3に記載のデータ記憶デバイス。
【請求項6】
更に、前記マルチレート励振に応答して前記アクチュエータ機構の前記周波数応答を検出することが、前記マルチレート励振に少なくとも部分的に基づいてマルチレート誤差除去伝達関数を決定することを含み、
前記マルチレート誤差除去伝達関数を決定することが、前記マルチレート正弦波励振と、単一レートサーボ制御ループ応答、マルチレートサーボ制御ループ応答、及びマルチレートノッチフィルタ入力のうちの少なくとも1つとのフーリエ変換を実施することを含む、請求項5に記載のデータ記憶デバイス。
【請求項7】
前記1つ以上の処理デバイスが、前記マルチレート励振を出力する前に、前記マルチレート励振のための複数の周波数を選択するように更に構成され、
前記マルチレート励振のために前記複数の周波数を選択することが、ナイキスト周波数を下回るエイリアス周波数にエイリアスしない、前記ナイキスト周波数を上回る複数の周波数を選択することを含む、請求項5に記載のデータ記憶デバイス。
【請求項8】
前記マルチレート励振のために周波数当たりの振幅を選択することを更に含み、前記周波数当たりの振幅を選択することが、前記アクチュエータ制御回路において信号飽和を引き起こすことを回避する周波数当たりの振幅を選択することを含む、請求項5に記載のデータ記憶デバイス。
【請求項9】
前記1つ以上の処理デバイスが、
前記マルチレート励振に少なくとも部分的に基づくマルチレート補償フィルタ入力が、前記単一レート補償フィルタの出力に少なくとも部分的に更に基づくように、単一レート励振を前記アクチュエータ機構制御システムの前記単一レート補償フィルタに出力するように更に構成されている、請求項1に記載のデータ記憶デバイス。
【請求項10】
前記少なくとも1つのマルチレートノッチフィルタが、
プライマリアクチュエータマルチレートノッチフィルタと、
少なくとも1つの微細アクチュエータマルチレートノッチフィルタと、を備える、請求項1に記載のデータ記憶デバイス。
【請求項11】
前記少なくとも1つのマルチレートノッチフィルタが、
ミリアクチュエータマルチレートノッチフィルタと、
マイクロアクチュエータマルチレートノッチフィルタとを備える、請求項10に記載のデータ記憶デバイス。
【請求項12】
更に、前記マルチレート励振を出力することが、
プライマリアクチュエータマルチレート励振を、前記プライマリアクチュエータマルチレートノッチフィルタを備える前記アクチュエータ機構制御システムのプライマリアクチュエータ制御サブシステムに出力することと、
少なくとも1つの微細アクチュエータマルチレート励振を、前記少なくとも1つの微細アクチュエータマルチレートノッチフィルタを備える前記アクチュエータ機構制御システムの少なくとも1つの微細アクチュエータ制御サブシステムに出力することと、を含む、請求項10に記載のデータ記憶デバイス。
【請求項13】
前記プライマリアクチュエータ制御サブシステム及び前記少なくとも1つの微細アクチュエータ制御サブシステムが、共通入力を共有する、請求項12に記載のデータ記憶デバイス。
【請求項14】
前記少なくとも1つの微細アクチュエータ制御サブシステムの出力が、前記プライマリアクチュエータ制御サブシステムへの入力に結合される微細アクチュエータ推定器に結合されている、請求項12に記載のデータ記憶デバイス。
【請求項15】
前記マルチレート励振に応答して前記アクチュエータ機構の前記周波数応答を検出することが、
プライマリアクチュエータの周波数応答を検出することと、
少なくとも1つの微細アクチュエータの周波数応答を検出することと、を含み、
前記アクチュエータ機構の前記検出された周波数応答に少なくとも部分的に基づいて、前記アクチュエータ機構制御システムの前記少なくとも1つのマルチレートノッチフィルタを較正することが、
前記プライマリアクチュエータの前記検出された周波数応答に少なくとも部分的に基づいて、前記アクチュエータ機構制御システムの前記プライマリアクチュエータマルチレートノッチフィルタを較正することと、
前記少なくとも1つの微細アクチュエータの前記検出された周波数応答に少なくとも部分的に基づいて、前記少なくとも1つの微細アクチュエータマルチレートノッチフィルタを較正することと、を含む、請求項10に記載のデータ記憶デバイス。
【請求項16】
方法であって、
1つ以上の処理デバイスによって、マルチレート励振をアクチュエータ機構制御システムの少なくとも1つのマルチレートノッチフィルタに出力することであって、前記アクチュエータ機構制御システムが、1つ以上のヘッドをデータ記憶デバイスの1つ以上のディスク表面に近接して位置決めするように構成されている、出力することと、
前記1つ以上の処理デバイスによって、前記マルチレート励振に応答して前記アクチュエータ機構の周波数応答を検出することと、
前記1つ以上の処理デバイスによって、前記アクチュエータ機構の前記検出された周波数応答に少なくとも部分的に基づいて、前記アクチュエータ機構制御システムの前記少なくとも1つのマルチレートノッチフィルタを較正することと、を含む、方法。
【請求項17】
前記1つ以上の処理デバイスが、マルチレート制御入力を前記少なくとも1つのマルチレートノッチフィルタに出力するように更に構成され、前記マルチレート制御入力が、マルチレート誤差除去伝達関数に少なくとも部分的に基づき、
前記マルチレート誤差除去伝達関数が、前記マルチレート励振に少なくとも部分的に基づき、
前記少なくとも1つのマルチレートノッチフィルタを較正することが、前記マルチレート誤差除去伝達関数に少なくとも部分的に基づいて較正することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記マルチレート励振を出力することが、複数の異なる周波数を有する複数の励振を前記アクチュエータ機構制御システムの前記少なくとも1つのマルチレートノッチフィルタに出力することを含み、
前記複数の異なる周波数を有する前記複数の励振を出力することが、
複数の周波数を有する実質的に正弦波の励振を同時マルチレート励振に加算することと、
前記同時マルチレート励振を出力することと、を含み、
前記アクチュエータ機構の前記周波数応答を検出することが、
前記同時マルチレート励振に対する前記アクチュエータ機構の周波数応答を検出することを含み、前記マルチレート励振に応答して前記アクチュエータ機構の前記周波数応答を検出することが、
前記マルチレート励振に少なくとも部分的に基づいてマルチレート誤差除去伝達関数を決定することであって、前記マルチレート誤差除去伝達関数を決定するステップが、前記マルチレート正弦波励振と、単一レートサーボ制御ループ応答、マルチレートサーボ制御ループ応答、及びマルチレートノッチフィルタ入力のうちの少なくとも1つとのフーリエ変換を実施することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
1つ以上の処理デバイスであって、
アクチュエータ機構を制御するように構成されたアクチュエータ機構制御システムの少なくとも1つのマルチレートノッチフィルタにマルチレート励振を出力するための手段であって、前記アクチュエータ機構が、1つ以上のヘッドを1つ以上のディスク表面に近接して位置決めするように構成されている、手段と、
前記マルチレート励振に応答して前記アクチュエータ機構の周波数応答を検出するための手段と、
前記アクチュエータ機構の前記検出された周波数応答に少なくとも部分的に基づいて、前記アクチュエータ機構制御システムの前記少なくとも1つのマルチレートノッチフィルタを較正するための手段と、を備える、1つ以上の処理デバイス。
【請求項20】
前記少なくとも1つのマルチレートノッチフィルタにマルチレート制御入力を出力するための手段であって、前記マルチレート制御入力がマルチレート誤差除去伝達関数に少なくとも部分的に基づく、手段を更に備え、
前記マルチレート誤差除去伝達関数が、前記マルチレート励振に少なくとも部分的に基づき、
前記少なくとも1つのマルチレートノッチフィルタを較正することが、前記マルチレート誤差除去伝達関数に少なくとも部分的に基づいて較正することを含み、
前記マルチレート励振を出力することが、複数の異なる周波数を有する複数の励振を前記アクチュエータ機構制御システムの前記少なくとも1つのマルチレートノッチフィルタに出力することを含む、請求項19に記載の1つ以上の処理デバイス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ディスクドライブなどのデータ記憶デバイスは、ディスクと、アクチュエータアームの遠位端に接続されたヘッドとを備え、アクチュエータアームは、ボイスコイルモータ(VCM)によってピボットを中心に回転して、ヘッドをディスク上で半径方向に位置決めする。ディスクは、ユーザデータセクタ及びサーボウェッジ又はサーボセクタを記録するための複数の半径方向に離間された同心トラックを備える。サーボセクタは、この情報はヘッドによって読み取られ、サーボ制御システムによって処理されて、アクチュエータアームがトラック間でシークするときにアクチュエータアームを制御する、ヘッド位置決め情報(例えばトラックアドレス)を備える。
【0002】
図1は、各サーボトラックの円周の周りに記録されたサーボウェッジ6
0~6
Nによって画定された多数の半径方向に離間された同心サーボトラック4を備える従来技術のディスクフォーマット2を示す。複数の同心データトラックがサーボトラック4に対して画定され、データトラックは、サーボトラック4と同じ又は異なる半径方向密度(例えば、トラック/インチ(TPI))を有し得る。各サーボウェッジ6
iは、読み取り信号の適切なゲイン調整及びタイミング同期を可能にする周期パターンを記憶するためのプリアンブル8と、サーボデータフィールド12にシンボル同期するために使用される特殊パターンを記憶するための同期マーク10と、を備える。サーボデータフィールド12は、シーク動作中にターゲットデータトラック上にヘッドを位置決めするために使用される、サーボトラックアドレスなどの粗いヘッド位置決め情報を記憶する。各サーボウェッジ(例えば、サーボウェッジ6
4)は、位相ベースのサーボバースト14のグループ(例えば、N及びQサーボバースト)を更に備え、これらは、互いに対して、かつサーボトラック中心線に対して所定の位相で記録される。
【0003】
粗いヘッド位置決め情報は、シーク動作中にターゲットデータトラック上にヘッドを位置決めするために処理され、サーボバースト14は、書き込み/読み取り動作中にデータトラックにアクセスする間に中心線トラッキングに使用される微細なヘッド位置決め情報を提供する。位置誤差信号(PES)は、サーボバースト14を読み取ることによって生成され、PESは、ターゲットサーボトラックの中心線に対するヘッドの測定位置を表す。サーボコントローラは、PESを処理して、1つ以上のヘッドアクチュエータに印加される制御信号を生成し、ヘッドをディスク上で半径方向に、PESを低減する方向に作動させる。いくつかの例では、1つ以上のヘッドアクチュエータは、ボイスコイルモータ、及び1つ以上の微細アクチュエータを備えてもよい。
【発明の概要】
【0004】
本明細書で開示する様々な例は、生成されたマルチレート励振に基づいてノッチフィルタを較正し得る制御回路を有するハードディスクドライブなどのデータ記憶デバイスを提供する。様々な例では、制御回路は、マルチレート励振をアクチュエータ制御システム(単一アクチュエータ又はマルチアクチュエータ)に注入し、マルチレート励振に応答して共振周波数を識別し、マルチレート励振に応答して検出された共振周波数を使用して、マルチレート誤差除去伝達関数(mrETF)を含む誤差除去伝達関数(ETF)ピーク検出を較正し得る。これは、ナイキスト周波数を下回るエイリアス周波数応答から区別される、システムのナイキスト周波数を上回る真の共振周波数を検出することを含んでもよい。本開示の例におけるハードディスクドライブ制御回路は、特定のディスクドライブのためにカスタム較正されたノッチフィルタを適用することを可能にしてもよく、それによって、他の利点の中でもとりわけ、アクチュエータシステムの微細な制御を向上し、高データ密度を促進し、サーボ制御ループにおける不安定性を防止する。
【0005】
様々な例示的な態様は、1つ以上のディスクと、1つ以上のヘッドを1つ以上のディスクの1つ以上のディスク表面に近接して位置決めするように構成されたアクチュエータ機構と、アクチュエータ機構を制御するように構成されたアクチュエータ機構制御システムを備える1つ以上の処理デバイスと、を備えるデータ記憶デバイスに関する。1つ以上の処理デバイスは、アクチュエータ機構制御システムの少なくとも1つのマルチレートノッチフィルタにマルチレート励振を出力し、マルチレート励振に応答してアクチュエータ機構の周波数応答を検出し、アクチュエータ機構の検出された周波数応答に少なくとも部分的に基づいて、アクチュエータ機構制御システムの少なくとも1つのマルチレートノッチフィルタを較正するように構成されている。
【0006】
様々な例示的な態様は、方法に関する。本方法は、1つ以上の処理デバイスによって、マルチレート励振をアクチュエータ機構制御システムの少なくとも1つのマルチレートノッチフィルタに出力することを含み、アクチュエータ機構制御システムは、1つ以上のヘッドをデータ記憶デバイスの1つ以上のディスク表面に近接して位置決めするように構成されている。本方法は、1つ以上の処理デバイスによって、マルチレート励振に応答してアクチュエータ機構の周波数応答を検出することを更に含む。本方法は、1つ以上の処理デバイスによって、アクチュエータ機構の検出された周波数応答に少なくとも部分的に基づいて、アクチュエータ機構制御システムの少なくとも1つのマルチレートノッチフィルタを較正することを更に含む。
【0007】
様々な例示的な態様は、アクチュエータ機構を制御するように構成されたアクチュエータ機構制御システムの少なくとも1つのマルチレートノッチフィルタにマルチレート励振を出力するための手段を備える1つ以上の処理デバイスに関し、アクチュエータ機構は、1つ以上のヘッドを1つ以上のディスク表面に近接して位置決めするように構成されている。1つ以上の処理デバイスは、マルチレート励振に応答してアクチュエータ機構の周波数応答を検出するための手段を更に備える。1つ以上の処理デバイスは、アクチュエータ機構の検出された周波数応答に少なくとも部分的に基づいて、アクチュエータ機構制御システムの少なくとも1つのマルチレートノッチフィルタを較正するための手段を更に備える。
【0008】
様々な更なる態様が添付の図面に示され、以下で説明され、それらに基づいて更に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示の技術の様々な特徴及び利点は、それらの技術の特定の例の以下の説明から、及び添付の図面に示されるように、明らかになるであろう。図面は必ずしも縮尺通りではなく、その代わりに、技術的概念の原理を説明することに重点が置かれている。図面において、同様の参照符号は、異なる図を通して同じ部分を指す場合がある。図面は、本開示の例示的な例のみを示しており、範囲を限定するものではない。
【
図1】各サーボトラックの円周の周りに記録されたサーボウェッジによって画定される多数の半径方向に離間された同心サーボトラックを備えるような従来技術のディスクフォーマットを示す。
【
図2A】本開示の態様による、ディスクドライブの形態のデータ記憶デバイスの上面図及び側面図の概念ブロック図を示す。
【
図2B】本開示の態様による、ディスクドライブの形態のデータ記憶デバイスの上面図及び側面図の概念ブロック図を示す。
【
図2C】本開示の態様による、アクチュエータ機構の検出された周波数応答に少なくとも部分的に基づいてアクチュエータ機構制御システムの少なくとも1つのマルチレートノッチフィルタを較正することを含む、ディスクドライブの動作を制御する際にディスクドライブの制御回路が実施又は実行し得る例示的な方法のフローチャートを示す。
【
図3】本開示の例による、閉ループマルチレート誤差除去伝達関数(mrETF)制御システムを備えるアクチュエータ機構制御システムを示す。
【
図4】本開示の例による、アクチュエータ機構制御システムがmrETFを測定及び較正するために使用し得る励振信号の周波数の組み合わせを示すグラフを示す。
【
図5】本開示の例による、アクチュエータ機構制御システムがmrETFを測定及び較正するために使用し得る励振信号に対する特定の相対周波数制約を示すグラフを示す。
【
図6】本開示の例による、マルチレートノッチフィルタの較正の前及び後の両方のマイクロアクチュエータ伝達関数、ノッチフィルタ伝達関数、mrETF、及び単一レートETFの周波数応答を示す1組のグラフを示す。
【
図7】本開示の例による、プライマリアクチュエータ(例えば、VCM)、ミリアクチュエータ、及びマイクロアクチュエータを含む複数のアクチュエータを制御するための、結合閉ループマルチアクチュエータトラック追従制御システムを示す。
【
図8】本開示の態様による、分離閉ループマルチアクチュエータトラック追従制御システムを示す。
【
図9】本開示の態様による、マルチレート励振及び誘導mrETFに対するアクチュエータシステムの応答に基づいてノッチフィルタを較正するための方法のフローチャートを示す。
【
図10】本開示の態様による、誘導mrETFに基づいてノッチフィルタを較正するための別の方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図2A及び
図2Bは、本開示の態様による、ディスクドライブ15の形態のデータ記憶デバイスの上面図及び側面図の概念ブロック図を示す。ディスクドライブ15は、制御回路22、アクチュエータアームアセンブリ19、及び複数のハードディスク16A、16B、16C、16D(「ハードディスク16」)を備える。
図2Cは、ディスクドライブ15の制御回路22が、アクチュエータ制御システムのマルチレートノッチフィルタにマルチレート励振を出力すること、及びマルチレート励振に応答してアクチュエータ制御システムによって制御される1つ以上のアクチュエータのマルチレート共振周波数応答を検出することに関与する動作を含む、本開示の態様による、ディスクドライブ15の動作を制御する際に実施又は実行し得る例示的な方法80のフローチャートを示す。制御回路22は、本開示の態様によって、アクチュエータの検出された機械的共振周波数応答に少なくとも部分的に基づいて、アクチュエータ制御システムのマルチレートノッチフィルタを較正するためのそのような動作を実施し得る。
【0011】
アクチュエータアームアセンブリ19は、プライマリアクチュエータ20(例えば、ボイスコイルモータ(「VCM」))と、多数のアクチュエータアーム40(例えば、
図2A及び
図2Bの斜視図に見られるように、最上部のアクチュエータアーム40A)とを備える。アクチュエータアーム40の各々は、その遠位端にサスペンションアセンブリ42を備える(例えば、
図2A及び
図2Bの図において、最上部のアクチュエータアーム40Aに含まれる最上部のサスペンションアセンブリ42A)。いくつかの例では、各サスペンションアセンブリ42は、1つ以上の更なる微細アクチュエータを備えてもよい。
【0012】
アクチュエータアーム40の各々は、対応するディスク表面17上に近接して読み取り/書き込みヘッド18(「ヘッド18」)のうちの1つ(例えば、アクチュエータアーム40Aによって最上部の対応するディスク表面17Aの上に懸架されたヘッド18A、最下部のアクチュエータアーム40Hによって最下部の対応するディスク表面17Hの上に懸架されたヘッド18H)を懸架するように構成される。他の例は、例えば、
図2A及び
図2Bの例における1つのアクチュエータアームアセンブリ19及び1つのプライマリアクチュエータ20以外に、多種多様な他の数のハードディスク及びディスク表面、並びに他の数のアクチュエータアームアセンブリ、プライマリアクチュエータ、及び微細アクチュエータのいずれかを含んでもよい。したがって、様々な例によれば、アクチュエータアームアセンブリ19は、1つ以上のアクチュエータを含み、1つ以上のヘッドを1つ以上のディスクの1つ以上のディスク表面に近接して位置決めするように構成されたアクチュエータ機構を形成する。
【0013】
様々な例では、ディスクドライブ15は、例示的な方法80の態様を含む機能、タスク、プロセス、方法、及び/又は技法を、そのような機能、タスク、プロセス、方法、及び/又は技法を実施又は実行するその制御回路22に関して実施又は実行すると見なされ得る。制御回路22は、1つ以上のドライバデバイス及び/又は任意のタイプの1つ以上の他の処理デバイスを備えてもよく、及び/又はそれらの形態をとってもよく、様々な例において、ソフトウェアコード又はファームウェアコードのコンピュータ可読命令を、そのようなソフトウェアコード又はファームウェアコードを実行するように構成されたハードウェア構造上で実行することによって、機能、タスク、プロセス、方法、又は技法を実装又は実施し得る。制御回路22はまた、様々な実施例では、ソフトウェアのいかなる動作も伴わずに、ハードウェア構造自体によって、そのような機能、タスク、プロセス、方法、又は技法を実装又は実施する、ハードウェア回路によって、機能、タスク、プロセス、方法、又は技法を実装又は実施し得る。
【0014】
制御回路22は、特定のデバイスを駆動し動作させるように特別に構成されたデバイスドライバを構成する1つ以上の処理デバイスと、1つ以上のモジュールとを備えてもよい。このようなデバイスドライバは、ヘッド18を駆動し動作させるように構成された1つ以上のヘッドドライバを備えてもよい。デバイスドライバは、様々な例において、1つ以上の電力大規模集積回路(PLSI)チップ又は回路などの1つ以上の大規模回路の1つ以上の集積構成要素として、及び/又は制御回路22の一部として構成され得る。デバイスドライバはまた、システムオンチップ(SoC)回路などの他の大規模集積回路内の1つ以上の構成要素として、又は様々な例において制御回路22の他の構成要素に動作可能に結合され得る多少のスタンドアロン回路として構成されてもよい。
【0015】
プライマリアクチュエータ20は、複数のアクチュエータアーム40のマクロな一次作動を実施し得、アクチュエータアーム40の各々は、ヘッド18のうちの1つを、ディスク16の対応するディスク表面17の上に、かつ近接して懸架し得る。ヘッド18、例えば、ヘッド18A及び18Hの位置は
図2Aに示されているが、ヘッド18は一般にディスク表面に非常に近接して位置決めされており、
図2A及び2Bに縮尺通りに描かれている場合には小さすぎて見えない。
【0016】
図2A及び
図2Bの例示的なディスクドライブ15は、4つのハードディスク16を備える。他の例は、ただ1つのディスク、2つのディスク、3つのディスク、又は5つ以上のディスクなど、任意の数のディスクを備えてもよい。ハードディスク16はプラッタとしても知られており、それらのディスク表面は媒体又は媒体表面とも呼ばれる場合がある。4つのハードディスク16は、8つのディスク表面17A、17B、17C、17D、17E、17F、17G、及び17H(「ディスク表面17」)を備え、この例示的な例では、各ハードディスク16の各側に1つのディスク表面17がある。アクチュエータアセンブリ19は、各アクチュエータアーム40のヘッド18を、対応するディスク表面17の上に、かつ近接して懸架し、ヘッド18のそれぞれが、それぞれの近接ディスク表面17に制御特徴及びデータを書き込み、そこから制御特徴及びデータを読み取ることを可能にする。この意味で、各アクチュエータアーム40の各ヘッド18は、対応するディスク表面17と相互作用する。
【0017】
「ディスク表面」という用語は、当該技術分野の当業者が有する通常の意味を有するものと理解されてもよい。「ディスク表面」という用語は、ディスクのまさに外側表面層と、外側表面層の下のディスク物質の体積との両方を含むと理解されてもよく、これは、原子深さ、又は(非常に簡略化されたモデルでは)物質がヘッドと物理的に相互作用しやすい原子の表面層から深い原子の数に関して考慮されてもよい。「ディスク表面」という用語は、例えば、制御書き込み動作、制御読み取り動作、データ書き込み動作、及びデータ読み取り動作などのディスクドライブ動作において読み取り/書き込みヘッドと相互作用しやすいディスクの物質の部分を含んでもよい。
【0018】
図2A及び2Bの実施形態では、各ディスク表面、例えば、
図2Aに示されるようなディスク表面17Aは、複数の制御特徴を備える。制御特徴は、複数のサーボトラック34を画定するサーボウェッジ32
1~32
Nを含み、データトラックは、サーボトラック34に対して画定され、同じ又は異なる半径方向密度であり得る。制御回路22は、それぞれのヘッド、例えば、ヘッド18Aから発する読み取り信号36を処理してディスク表面17Aから読み取り、サーボウェッジ32
1~32
Nを復調し、ヘッドの実際の位置とターゲットトラックに対するターゲット位置との間の誤差を表す位置誤差信号(PES)を生成する。制御回路22内のサーボ制御システム又はアクチュエータ機構制御システム30は、適切な補償フィルタを使用してサーボウェッジからのPESをフィルタリングして、アクチュエータ20を制御することを含む、アクチュエータアームアセンブリ19に印加される制御信号38を生成し、アクチュエータ20は、プライマリアクチュエータとして機能し、PESを低減する方向にディスク表面17上で半径方向に対応するヘッドの一次作動を実施するために、及び様々な例において任意の微細アクチュエータを制御するために、アクチュエータアームアセンブリ19を軸方向ピボットを中心に回転させる。制御回路22はまた、様々な例において、ヘッド18及び/又はディスクドライブ15の様々な構成要素のいずれかに制御信号を印加し、ヘッド18及び/又はディスクドライブ15の様々な構成要素のいずれかからセンサ信号を受信してもよい。
【0019】
図2A及び
図2Bの例では、アクチュエータアームアセンブリ19は、アクチュエータアーム40を共通のピボットを中心に回転させる。別の例では、第1のアクチュエータアームアセンブリ及び/又はVCM、並びに第2のアクチュエータアームアセンブリ及び/又はVCM、或いは他のタイプのプライマリアクチュエータは各々、例えば、ディスクの周りの異なる円周方向位置に取り付けられた別個のピボットの周りで、それぞれのアクチュエータアームアセンブリ又はマルチアクチュエータアームの組を作動させるように構成されてもよい。他の例では、3つ以上のアクチュエータアームアセンブリ又はプライマリアクチュエータ又はマルチアクチュエータを使用してもよく、これらは、共通のピボットの周りで作動させてもよく、又はディスクの周りの異なる円周方向位置に取り付けられた複数のマルチアクチュエータに含まれてもよい。したがって、アクチュエータアームアセンブリ19及び/又はこれらの他の例のいずれかは、様々な例において、アクチュエータ機構を構成及び/又は備えてもよい。
【0020】
制御回路22は、アクチュエータ機構を制御するように構成されたアクチュエータ機構制御システム30を備える。アクチュエータ機構制御システム30は、サーボ制御システムを備えてもよく、サーボ制御システムに含まれてもよく、或いはサーボ制御システムに関連してもよい。
図2Cの例示的な方法80(その態様は、更なる図を参照して以下で更に説明される)を実行する際、アクチュエータ機構制御システム30及び/又は制御回路22の他の要素は、ディスクドライブ15の他の構成要素に1つ以上のコマンドを発行し、ディスクドライブ15の1つ以上の他の構成要素から情報を受信し、及び/又はディスクドライブ15のシステム構成要素に出力するための1つ以上のドライバ電流を生成するなど、1つ以上の内部動作を実施するように構成されてもよい。特に、制御回路22は、アクチュエータ機構制御システム(82)の少なくとも1つのマルチレートノッチフィルタにマルチレート励振を出力し得る。制御回路22は、マルチレート励振に応答してアクチュエータ機構の共振周波数応答を検出し得る(84)。制御回路22は、アクチュエータ機構の検出された周波数応答に少なくとも部分的に基づいて、アクチュエータ機構制御システムの少なくとも1つのマルチレートノッチフィルタを更に較正し得る(86)。制御回路22は更に、本明細書で更に説明されるようなものを含む、様々な態様による、更なる動作、方法、及び技法を実施し得る。
【0021】
ディスクドライブ制御回路22は、1つ以上のヘッドからの1つ以上の読み取り信号を処理して、サーボセクタ信号を位置誤差信号(PES)に復調する。ディスクドライブ制御回路22のアクチュエータ機構制御システム30は、アクチュエータ制御信号(単一アクチュエータ制御信号又はマルチアクチュエータ制御信号)の生成の一部としてPESをフィルタリングする少なくとも1つの補償フィルタ及び少なくとも1つのノッチフィルタを備え、アクチュエータ制御信号は、少なくとも1つのVCMに印加される少なくとも1つのVCM制御信号を含み得、それによって、1つ以上のヘッドを1つ以上のディスク上で半径方向にPESを低減する方向に位置決めするために、アクチュエータアームアセンブリをピボットを中心に回転させる。VCMに加えて、ミリアクチュエータ及び/又はマイクロアクチュエータなどの1つ以上の微細アクチュエータを使用するディスクドライブは、その共振周波数において、及びそのような共振周波数をフィルタ除去する必要性において、更なる複雑さを有し得る。
【0022】
ノッチフィルタは、サーボシステムの1つ以上の共振周波数ピークを減衰させる。ノッチフィルタは、様々な例では、製造プロセス中の初期ノッチフィルタ較正などにおいて、及びフィールド内ノッチフィルタ較正更新プロセスなどの他の時点に較正され得る。較正は、個々のドライブの実際の1つ以上の共振周波数に対処し、フィルタリングするのに有用であり得、共振周波数は、工学設計の正確な仕様及び理想からの製造プロセスの個々の最終製品におけるわずかではあるが現実的な偏差に対する機械的共振周波数の敏感な依存性に起因して、個々のディスクドライブごとに個々の変動を有することができる。制御回路は、理想的には、ノッチフィルタを較正して、PESへの影響をできるだけ小さくしながら共振周波数を減衰させ、有用なPESを最大にすることができ、それによって、ディスク表面上のヘッドで達成される精度を最大にし、達成されるデータ密度、データ入力/出力速度、及び/又は他の性能特性を最大にし得る。
【0023】
ノッチフィルタ較正性能は、ターゲットトラックを追跡するための誤差除去伝達関数(ETF)のゲインを参照して定義される品質メトリックを用いて測定され得る。ターゲットトラックを追跡するための誤差除去伝達関数の最大ピークゲインは、ノッチフィルタ較正のための最大品質を示し得る。誤差除去伝達関数は、例えば、キロヘルツ当たりのデシベルで測定され得るような、コマンド入力に対するトラッキング誤差を減衰させるように動作する周波数応答に関して定義され得る。ハードディスクドライブは、サーボセクタの密度によって定義されるPESのサンプリング周波数に固有の限界を有する。PESのサンプリング周波数に対する固有の限界は、サンプリング周波数の半分に等しい固有のナイキスト周波数、したがって固有のエイリアシング効果を伴う。そのような固有のエイリアシング効果は、本質的に、従来の周波数検出を混乱させる可能性があり、ナイキスト周波数を上回る真の共振周波数の代わりに、ナイキスト周波数を下回るエイリアス周波数が検出されることを引き起こし、検出されたエイリアス周波数にエイリアスする。エイリアス周波数のこの混乱した検出は、微細アクチュエータ(例えば、ミリアクチュエータ及び/又はマイクロアクチュエータ)を組み込むシステムにおいて特に問題となる傾向があり、微細アクチュエータは、それらの性質(例えば、より小さい寸法、より低い質量、より低い構造強度及び剛性)によって、プライマリアクチュエータの共振周波数よりも実質的に高く、PESのサンプリング周波数に対して、したがってナイキスト周波数に対してはるかに高い共振周波数を本質的に有し得る。
【0024】
本開示の方法、システム、及びデバイスは、他の新規な利点の中でもとりわけ、エイリアシングによって引き起こされる混乱なしに、ノッチフィルタ除去性能の品質メトリックとしてナイキスト周波数を上回り、mrETFを含むETFピークを直接測定することを可能にし、真のETFピーク共振周波数を区別することによって、これらの課題の新規な解決策を実装する。これは、VCMをプライマリアクチュエータとして使用し、ミリアクチュエータ及び/又はマイクロアクチュエータなどの微細アクチュエータも使用するマルチアクチュエータシステムにおいて特に有用であり得、その構成要素及び運動ははるかに小さく微細であり、その共振周波数は大幅に高くなり得、ナイキスト周波数を上回る可能性がより高い。
【0025】
本開示によるシステムは、様々な態様において、ナイキスト周波数を上回るETFピークを、ノッチフィルタ除去性能の品質メトリックとして直接測定することを可能にする。本開示の様々な例では、アクチュエータ機構制御システムは、マルチレートノッチフィルタ入力(又は出力)においてマルチレート正弦波励振を注入し、制御フィードバック及び較正のために、マルチレート正弦波の結果として生じる励振ノイズを使用してもよい。注入されたマルチレート正弦波励振から正弦波が加えられた信号までの周波数応答は、ナイキスト周波数を上回る周波数のマルチレート誤差除去伝達関数(「mrETF」)に対応する。したがって、mrETFは、ナイキスト周波数を上回る共振によるETFピークを区別するために使用することができ、ナイキスト周波数を下回るか上回るかにかかわらず、実際の共振周波数に確実にマルチレートノッチフィルタを適用することを可能にする。したがって、本開示のシステムは、様々な例において、ノッチフィルタ較正の品質メトリックとしてナイキスト周波数を上回る共振の実際の周波数によってETFピークを評価し、較正プロセスにおいて制御回路のアクチュエータ機構制御システムが測定する実際の機械的共振周波数に適合するように調整されたノッチ周波数を有するようにマルチレートノッチフィルタをカスタマイズしてもよい。本開示のシステムは、様々な例において、ETFを追跡するためのターゲットを改善すること、及び非繰り返し精度(NRRO)誤差を低減することなど、更なる新規の利点を提供し得る。
【0026】
図3は、本開示の例による、閉ループマルチレート誤差除去伝達関数(mrETF)制御システムを備えるアクチュエータ機構制御システム300を示す。この例では、アクチュエータ機構制御システム300は、単一レート正弦波励振304(dp)を加算モジュール308に注入して、状態ターゲット信号302から状態推定器出力306(状態推定器340を介してアクチュエータ機構336からのフィードバックを組み込む)を減算したものと一緒に加算される。加算モジュール308の結果として生じる出力は、単一レートトラッキング誤差310である。アクチュエータ機構制御システム300は、単一レートトラッキング誤差310を単一レートコントローラ312に入力し、単一レートコントローラ312は、N倍アップサンプラ316に出力し、それによって、N倍アップサンプラ出力322を生成する。アクチュエータ機構制御システム300はまた、マルチレート正弦波励振324(dm)を加算モジュール328に注入し、N倍アップサンプラ出力322とともに加算され、それによって、マルチレート補償フィルタ入力330(MR入力)を出力する。単一レート正弦波励振304(dp)から単一レートトラッキング誤差310への伝達関数である単一レート誤差除去伝達関数(ETF)があり、マルチレート誤差除去伝達関数(mrETF)は、マルチレート正弦波励振324(dm)からマルチレート補償フィルタ入力330(MR入力)への伝達関数である。マルチレート補償フィルタ入力330は、マルチレートノッチフィルタを備えるマルチレート補償フィルタ332への入力として入力される。マルチレート補償フィルタ332は、アクチュエータ機構336を制御するために、アクチュエータ機構制御システム300がアクチュエータ機構336に出力するマルチレートアクチュエータ制御信号334を生成する。
【0027】
注入されたマルチレート正弦波励振324(dm)から、マルチレート正弦波励振が加えられた信号、すなわち、N倍アップサンプラ出力322への周波数応答は、ナイキスト周波数を上回る共振周波数のマルチレート誤差除去伝達関数(mrETF)に対応し得る。アクチュエータ機構制御システム300は、開始前に、又はmrETFピーク検出の較正の一部として、共振周波数を識別してもよい。ナイキスト周波数を上回るmrETFピークをノッチフィルタ除去性能の品質メトリックとして直接測定するために、アクチュエータ機構制御システム300は、マルチレートノッチフィルタの入力において、例えば、マルチレートノッチフィルタを備えるマルチレート補償フィルタ332の入力において、マルチレート正弦波励振324を注入してもよい。注入された正弦波励振から正弦波が加えられた信号への周波数応答(N倍アップサンプラ出力322)は、ナイキスト周波数(マルチレートETF又はmrETF)を上回る周波数の誤差除去に対応し得る。したがって、アクチュエータ機構制御システム300は、ナイキスト周波数を上回る周波数を有するETFピークを区別するためにmrETFを使用し得、それにより、アクチュエータ機構制御システム300が、ナイキスト周波数又はエイリアシングの効果にかかわらず、例えば、マルチレート補償フィルタ332に含まれるマルチレートノッチフィルタを較正し、実際の共振周波数に適用することが可能になる。
【0028】
したがって、アクチュエータ機構336のマルチレート共振周波数応答は、マルチレート誤差除去伝達関数(mrETF)に少なくとも部分的に基づくか、又はマルチレート誤差除去伝達関数(DF)を示し得る。アクチュエータ機構制御システム300は、マルチレート補償フィルタに含まれる少なくとも1つのマルチレートノッチフィルタにマルチレート制御入力を出力し得る。マルチレート制御入力は、mrETFに少なくとも部分的に基づき得、mrETFは、マルチレート正弦波励振324からの誤差伝達の尺度であり、したがって、この例では、マルチレート励振に少なくとも部分的に基づく。少なくとも1つのマルチレートノッチフィルタを較正することは、以下で更に説明されるように、mrETFに少なくとも部分的に基づいて較正することを含んでもよい。
【0029】
マルチレート制御入力は更に、この例では、単一レート励振304に基づくマルチレート補償フィルタ入力330(MR入力)を生成するためにマルチレート励振324と加算されるN倍アップサンプラ出力322の形態などの、アクチュエータ機構制御システムの閉ループ制御信号に少なくとも部分的に基づき得る。すなわち、アクチュエータ機構制御システム300は、マルチレート励振304に少なくとも部分的に基づくマルチレート補償フィルタ入力330(MR入力)が、単一レート補償フィルタ312の出力に少なくとも部分的に更に基づくように、単一レート励振324をアクチュエータ機構制御システム300の単一レート補償フィルタ312に出力するように更に構成されてもよい。
【0030】
図4は、本開示の例による、アクチュエータ機構制御システム300がmrETFを測定及び較正するために使用し得る正弦波の形態の励振信号の周波数の組み合わせを示すグラフ400を示す。
図3は、マルチレート正弦波励振324(dp)の後の単一正弦波の表現を示すが、アクチュエータ機構制御システム300は、
図4に示されるように、マルチレート励振のための複数のそのような正弦波を生成し、重ね合わせるか、又は組み合わせてもよい。アクチュエータ機構制御システム300は、制御システムの飽和を回避すること、及びナイキスト周波数を下回る相互に共有された共通エイリアス周波数にエイリアスする周波数を回避することなどの特定の制約を受けて、広範囲の周波数及び振幅のいずれかを有する多数の正弦波(401で示される)のいずれかを、全マルチレート励振又はマルチレート励振信号(411で示される)に組み合わせてもよい。したがって、マルチレート励振を出力することは、アクチュエータ機構制御システム300が、複数の異なる周波数を有する複数の励振を、アクチュエータ機構制御システム300のマルチレート補償フィルタに含まれる少なくとも1つのマルチレートノッチフィルタ332に出力することを含んでもよい。様々な例において、複数の異なる周波数を有する複数の励振を出力するアクチュエータ機構制御システム300は、1つ以上の実質的に正弦波の励振を出力するアクチュエータ機構制御システム300を含んでもよい。アクチュエータ機構制御システム300は、多種多様な励振のいずれかを出力し得、これらの励振は、少なくとも正弦波励振に分解される可能性があり、したがって、様々な例において、複数の正弦波励振と同等のマルチレート励振を形成し得る。
【0031】
アクチュエータ機構制御システム300は、マルチレート正弦波励振324(dm)及びマルチレートノッチフィルタ入力/補償フィルタ入力330(MR入力)を含むマルチレートサーボ制御ループ応答の高速フーリエ変換(FFT)を、マルチレート正弦波励振324の周波数で実施することによってmrETFを計算し得る。結果として、測定において複数の周波数を使用することは、様々な例において、mrETFの測定時間を低減することを可能にし得る。アクチュエータ機構制御システム300はまた、いくつかの例では、単一周波数注入を実施し得る。アクチュエータ機構制御システム300は、様々な例において、マルチレート正弦波励振及び単一レート又はマルチレートサーボ制御ループ応答のフーリエ変換を実施し得る。アクチュエータ機構制御システム300は、周波数当たりの振幅を選択することが、アクチュエータ機構制御システムにおいて信号飽和を引き起こすことを回避する周波数当たりの振幅を選択することを含むように、マルチレート励振の周波数当たりの振幅を更に選択し得る。
【0032】
図5は、本開示の実施例による、アクチュエータ機構制御システムがmrETFを測定及び較正するために使用し得る励振正弦波に対する特定の相対周波数制約を示すグラフを示す。
図5では、PESサンプリング周波数をFsとして示され、ナイキスト周波数をFnyq=0.5Fsとして示される。
図5に示すように、この例では、Band0は0~0.5Fsであり、Band1は0.5Fs~Fsであり、Band2はFs~1.5Fsであり、Band3は1.5Fs~2Fsである。アクチュエータ機構制御システム300は、マルチレート励振を出力する前に、マルチレート励振のための複数の周波数を選択するように構成されてもよく、マルチレート励振のための複数の周波数を選択することは、ナイキスト周波数を上回る複数の周波数であって、ナイキスト周波数を下回る、すなわちBand0内の同じ共通エイリアス周波数f0にエイリアスしない、ナイキスト周波数を超える複数の周波数を選択することを含む。上述したように、アクチュエータ機構制御システム300は、複数の正弦波励振の加算後の信号振幅がアクチュエータ機構制御システム300内で信号飽和を引き起こさないという制約を受けて、1回の測定について加算される周波数を選択し得、
図5に示すように、ナイキスト周波数を上回る帯域(例えば、ディスク表面のサーボセクタをサンプリングすることによって定義されるサンプリング周波数の半分であるナイキスト周波数の倍数によって定義されるBand1、Band2、Band3)内の選択された周波数は、ナイキスト周波数下回るBand0内の対応するエイリアス周波数f0にエイリアスすべきではない。
【0033】
いくつかの例では、複数の異なる周波数を有する複数の励振を出力するアクチュエータ機構制御システム300は、複数の周波数を有する励振を順次出力するアクチュエータ機構制御システム300を含むことができ、アクチュエータ機構の周波数応答を検出することは、複数の周波数を有する励振に対するアクチュエータ機構の周波数応答を順次検出することを含んでもよい。様々な例では、複数の異なる周波数を有する複数の励振を出力するアクチュエータ機構制御システム300は、
図4に示すように、複数の周波数を有する励振を同時マルチレート励振に加算し、同時マルチレート励振を出力するアクチュエータ機構制御システム300を備えてもよい。アクチュエータ機構の周波数応答を検出することは、アクチュエータ機構制御システム300が、同時マルチレート励振に対するアクチュエータ機構の、マルチレート及び/又は単一レート周波数応答を含む周波数応答を検出することを含んでもよい。
【0034】
いくつかの例では、マルチレート励振に応答してアクチュエータ機構の周波数応答を検出することは、マルチレート励振に少なくとも部分的に基づいてマルチレート誤差除去伝達関数(mrETF)を決定すること、及び/又は単一レート誤差除去伝達関数(単一レートETF)を決定することを含んでもよい。mrETFを決定することは、アクチュエータ機構制御システム300がマルチレート正弦波励振及びマルチレートノッチフィルタ入力の高速フーリエ変換を実施することを含んでもよい。mrETFを決定することはまた、様々な例において、アクチュエータ機構制御システム300が単一周波数励振注入を実施することと、マルチレート正弦波励振応答及び単一レート又はマルチレートサーボ制御ループ応答のフーリエ変換を実施することと、を含んでもよい。
【0035】
図6は、本開示の例による、マルチレートノッチフィルタの較正の前(601)及び後(651)の両方のマイクロアクチュエータ伝達関数、ノッチフィルタ伝達関数、mrETF、及び単一レートETFの周波数応答を示す1組のグラフを示す。グラフ601は、共振周波数615で急激なピークに上昇する例示的なマイクロアクチュエータプラントの共振の周波数当たりの振幅611と、マルチレートノッチフィルタによるフィルタリングが(較正前に)周波数にわたって平坦に0であるような、較正前のマルチレートノッチフィルタによるフィルタリングの周波数当たりの振幅621とを示す。較正後、グラフ651に示されるように、mrETFに基づいて、マルチレートノッチフィルタによるフィルタリングの周波数当たりの振幅671は、マイクロアクチュエータプラントの共振周波数615に対応するフィルタリングピーク付近を中心とする周波数当たりの負の振幅で成形され、それによって、ノッチフィルタを較正するための基礎として機能する性能メトリックとしてのmrETFの有効性を実証する。任意の個々のマイクロアクチュエータプラントの共振周波数は、最終製品における微小な物理的差異に基づいて、同じ設計及び同じ製造バッチの他の個々のユニット製造バッチから大幅に変動し得、それにもかかわらず、本開示のプロセスは、それ自体の個々の検出されたmrETFに基づいてマイクロアクチュエータプラントを効果的に較正し得る。異なるマイクロアクチュエータは、したがって、様々な異なる共振周波数を有してもよく、本開示による較正プロセスは、各場合において、個々のマイクロアクチュエータの検出された共振周波数を中心とするように、マルチレートノッチフィルタのためのフィルタリングの周波数当たりの振幅を成形することをもたらしてもよい。
【0036】
図6はまた、較正前の周波数当たりのmrETF(680)及び較正後の周波数当たりのmrETF(690)、並びに較正前の周波数当たりの単一レートETF(692)及び較正後の周波数当たりの単一レートETF(696)を示す。
図6に示されるように、較正前の共振周波数(681)付近の周波数当たりのmrETFは、共振周波数付近の周波数に対して急激に異なるマルチレート誤差除去伝達関数を示す急激な変動を受ける。しかしながら、較正後、共振周波数(691)付近の周波数当たりのmrETFは、実質的に平坦化され、平滑化される。同様に、較正前のエイリアス周波数(693)付近の周波数当たりの単一レートETFは、周波数当たりの大きさの急激な変動を受け、エイリアス周波数付近の周波数に対して急激に異なる単一レート誤差除去伝達関数を示す。しかしながら、較正後、周波数当たりの単一レートETFは、エイリアス周波数(697)付近で実質的に低減された周波数当たりの大きさの変動を示す。これは、本開示のアクチュエータ機構制御システムが、この例では、本開示の技法によって較正された後に、mrETF及び単一レートETFの両方において、周波数にわたる実質的により信頼性の高い誤差除去伝達を達成し得ることを示す。
【0037】
図7は、本開示の例による、プライマリアクチュエータ791(例えば、VCM)、ミリアクチュエータ761、及びマイクロアクチュエータ731を含む複数のアクチュエータを制御するための、結合閉ループマルチアクチュエータトラック追従制御システム700を示す。したがって、閉ループマルチアクチュエータトラック追従制御システム700は、3つのタイプのアクチュエータ、すなわちプライマリアクチュエータ791、ミリアクチュエータ761、及びマイクロアクチュエータ731を有するシステムのためのアクチュエータ機構制御システムとして機能する。閉ループマルチアクチュエータトラック追従制御システム700は、プライマリアクチュエータ制御サブシステム771、ミリアクチュエータ制御サブシステム741、及びマイクロアクチュエータ制御サブシステム711の3つのアクチュエータタイプの各々に対するアクチュエータ制御サブシステムを備える。
【0038】
マイクロアクチュエータ制御サブシステム711及びミリアクチュエータ制御サブシステム741はそれぞれ、それぞれのゲイン回路、すなわちマイクロアクチュエータゲイン回路712及びミリアクチュエータゲイン回路742を含む。各アクチュエータのためのアクチュエータ制御サブシステムは、それぞれ、単一レート補償フィルタ714、744、744(Cs*)と、N倍アップサンプラ716、746、776と、N倍アップサンプラ出力とそれぞれのマルチレート励振718、748、778とを受信して加算する加算モジュールであって、各それぞれのマルチレート励振がそれぞれのアクチュエータ固有のmrETFを受け、それによってそれぞれのアクチュエータ固有のマルチレート補償フィルタ入力721、751、781を生成する、加算モジュールと、マルチレートノッチフィルタを含むマルチレート補償フィルタ722、752、782と、(Cm*)と、を備える。各それぞれのマルチレート補償フィルタ722、752、782は、それぞれのマルチレート補償フィルタ入力721、751、781を受信し、それぞれのアクチュエータ制御出力を生成し、それぞれのマルチレート補償フィルタ722、752、782は、それぞれのアクチュエータ731、761、791に出力する。
【0039】
様々な例では、少なくとも1つのマルチレートノッチフィルタは、マルチレート補償フィルタ、例えば、マルチレート補償フィルタ722、752、782に含まれる。各マルチレート補償フィルタ722、752、782はマルチレートノッチフィルタを備えるので、マルチレート補償フィルタ722、752、782の各々は、マルチレート補償フィルタ722、752、782の各々が本開示の方法、プロセス、技法、デバイス、及びシステムによって較正され得るマルチレートノッチフィルタを備えるマルチレート補償フィルタであるという理解の下で、本明細書の目的のためにマルチレートノッチフィルタと互換的に呼ばれる場合がある。
【0040】
アクチュエータタイプ731、761、791の3つ全ての励振応答を含む、結果として生じる性能応答は、加算モジュール797によって加算され、状態推定器798に出力されてもよい。状態推定器798は、この例では、アクチュエータ731、761、791の各々に対するアクチュエータ制御サブシステム711、741、771の各々への入力として使用される共通の共有トラッキング誤差706を生成するために、フィードバックループ内の制御ターゲット入力701とともに、状態推定器出力799を加算モジュール704に出力し得る。
【0041】
マイクロアクチュエータ731及びミリアクチュエータ761のためのゲイン回路712、742(Gu、Gm)は、マイクロアクチュエータ731及びミリアクチュエータ761のための制御をアクティブ化又は非アクティブ化するために、オン又は0のいずれかに設定され得る。マイクロアクチュエータゲイン回路712もミリアクチュエータゲイン回路742も0に設定されない場合、閉ループマルチアクチュエータトラック追従制御システム700は、3段アクチュエータ(TSA)サーボとして動作する。マイクロアクチュエータゲイン回路712又はミリアクチュエータゲイン回路742のいずれかが0に設定される場合、閉ループマルチアクチュエータトラック追従制御システム700は、2段アクチュエータ(DSA)サーボとして動作する。マイクロアクチュエータゲイン回路712及びミリアクチュエータゲイン回路742の両方が0に設定される場合、閉ループマルチアクチュエータトラック追従制御システム700は、単一アクチュエータサーボ(例えば、VCM)として動作する。
【0042】
別個のmrETF値がアクチュエータタイプの各々に対して定義される。マイクロアクチュエータmrETFは、マイクロアクチュエータマルチレート励振718(dmu)からマイクロアクチュエータマルチレート補償フィルタ入力721(uAin)への伝達関数として定義され、ミリアクチュエータmrETFは、ミリアクチュエータマルチレート励振748(dmm)からミリアクチュエータマルチレート補償フィルタ入力751(mAin)への伝達関数として定義され、プライマリアクチュエータmrETFは、プライマリアクチュエータマルチレート励振778(dmv)からプライマリアクチュエータマルチレート補償フィルタ入力781(vcmin)への伝達関数として定義される。
【0043】
閉ループマルチアクチュエータトラック追従制御システム700は、プライマリアクチュエータ及び少なくとも1つの微細アクチュエータ(例えば、ミリアクチュエータ及び/又はマイクロアクチュエータ)などの複数のアクチュエータのための制御システムの例示的な例である。本開示による様々な例において、アクチュエータ制御システムは、プライマリアクチュエータ及び少なくとも1つの微細アクチュエータを制御するように構成され得る。例えば、制御システムは、プライマリアクチュエータ及びミリアクチュエータと、プライマリアクチュエータ及びマイクロアクチュエータと、(
図7の例に示されるような)プライマリアクチュエータ、ミリアクチュエータ、及びマイクロアクチュエータと、プライマリアクチュエータ、ミリアクチュエータ、マイクロアクチュエータ、及び1つ以上の更なる微細アクチュエータと、2つ以上のプライマリアクチュエータであって、共有回転軸を有してもよく、又はディスク16の円周の周りの独立した位置に配置されてもよく、独立したアクチュエータアームアセンブリを制御し、いくつかの例では、各アクチュエータアームアセンブリの各アーム上に1つ以上の微細アクチュエータを含んでもよい、2つ以上のプライマリアクチュエータと、を制御するように構成されてもよく、又は様々な例では他の構成であってもよい。
【0044】
様々な例において、ミリアクチュエータ、マイクロアクチュエータ、又は微細アクチュエータへの言及は、一般に、単一のプライマリアクチュエータによって制御され、アクチュエータアームアセンブリに含まれ、アクチュエータアームアセンブリによって懸架され、制御される各ヘッドを個別に制御するように構成されたアクチュエータアームアセンブリの各アクチュエータアーム上の1つのミリアクチュエータ、マイクロアクチュエータ、及び/又は他の微細アクチュエータを指してもよい。したがって、例えば、マルチアクチュエータトラック追従制御システム700は、アクチュエータアームアセンブリを制御する単一のプライマリアクチュエータを制御してもよく、アクチュエータアームアセンブリの各アクチュエータアーム上の1つのミリアクチュエータ及び/又は1つのマイクロアクチュエータを制御し、アクチュエータアームアセンブリの各ヘッドを制御してもよい。
【0045】
したがって、マルチアクチュエータトラック追従制御システム700は、プライマリアクチュエータマルチレートノッチフィルタ782を備えるという点で少なくとも1つのマルチレートノッチフィルタと、少なくとも1つの微細アクチュエータマルチレートノッチフィルタと、を備え、少なくとも1つの微細アクチュエータマルチレートノッチフィルタは、この例では、ミリアクチュエータマルチレートノッチフィルタ752と、マイクロアクチュエータマルチレートノッチフィルタ722と、を備える。マルチレート励振を出力することは、プライマリアクチュエータマルチレートノッチフィルタ782を備えるマルチアクチュエータトラック追従制御システム700のプライマリアクチュエータ制御サブシステム771にプライマリアクチュエータマルチレート励振778を出力することと、少なくとも1つの微細アクチュエータマルチレート励振、例えば、アクチュエータマルチレート励振751、721を、少なくとも1つの微細アクチュエータマルチレートノッチフィルタ、例えば、マルチレート補償フィルタ752及びマルチレート補償フィルタ722をそれぞれ備える閉ループマルチアクチュエータトラック追従制御システム700の少なくとも1つの微細アクチュエータ制御サブシステム、例えば、ミリアクチュエータ制御サブシステム741及びマイクロアクチュエータ制御サブシステム711に出力することと、を含んでもよい。
【0046】
マルチレート励振に応答してアクチュエータ機構の周波数応答を検出することは、プライマリアクチュエータ791の周波数応答を検出することと、少なくとも1つの微細アクチュエータ、例えば、ミリアクチュエータ761及びマイクロアクチュエータ731の周波数応答を検出することと、を含んでもよい。例えば、
図7の例のように、マルチアクチュエータトラック追従制御システム700は、マルチレート励振に応答して、マルチアクチュエータトラック追従制御システム700及びアクチュエータ791、761、731の周波数応答を検出し得る。これは、マルチアクチュエータトラック追従制御システム700が、プライマリアクチュエータマルチレート励振778に応答してプライマリアクチュエータ791の周波数応答を検出することと、ミリアクチュエータマルチレート励振748に応答してミリアクチュエータ761の周波数応答を検出することと、マイクロアクチュエータマルチレート励振718に応答してマイクロアクチュエータ731の周波数応答を検出することと、を含んでもよい。
【0047】
制御回路22又はそのマルチアクチュエータトラック追従制御システム700は、アクチュエータ機構、すなわちシステムの1つ以上のアクチュエータ、この例ではプライマリアクチュエータ791、ミリアクチュエータ761、及びマイクロアクチュエータ731の検出された周波数応答に少なくとも部分的に基づいて、マルチアクチュエータトラック追従制御システム700の少なくとも1つのマルチレートノッチフィルタを較正し得る。これは、
図7の例では、ミリアクチュエータ761の検出された周波数応答に少なくとも部分的に基づいてミリアクチュエータマルチレートノッチフィルタ722を較正すること、及び/又はマイクロアクチュエータ731の検出された周波数応答に少なくとも部分的に基づいてマイクロアクチュエータマルチレートノッチフィルタ752を較正することなどによって、マルチアクチュエータトラック追従制御システム700が、プライマリアクチュエータ791の検出された周波数応答に少なくとも部分的に基づいてマルチアクチュエータトラック追従制御システム700のプライマリアクチュエータマルチレートノッチフィルタ782を較正することと、少なくとも1つの微細アクチュエータの検出された周波数応答に少なくとも部分的に基づいて少なくとも1つの微細アクチュエータマルチレートノッチフィルタを較正することと、を含んでもよい。いくつかの例では、アクチュエータ機構の検出された周波数応答に少なくとも部分的に基づいて、アクチュエータ機構制御システムの少なくとも1つのマルチレートノッチフィルタを較正することは、したがって、プライマリアクチュエータ791の検出された周波数応答に少なくとも部分的に基づいて、マルチアクチュエータトラック追従制御システム700のプライマリアクチュエータマルチレートノッチフィルタ782を較正することと、ミリアクチュエータ761の検出された周波数応答に少なくとも部分的に基づいて、ミリアクチュエータマルチレートノッチフィルタ752を較正することと、マイクロアクチュエータ731の検出された周波数応答に少なくとも部分的に基づいて、マイクロアクチュエータマルチレートノッチフィルタ722を較正することと、を含んでもよい。較正は、この例では、
図7に示すように、状態推定器798を通るフィードバックを介して検出されたそれぞれのアクチュエータ791、761、731の周波数応答に少なくとも部分的に基づき得る。マルチレート励振を出力することは、マルチアクチュエータトラック追従制御システム700が、プライマリアクチュエータマルチレートノッチフィルタ782を備えるプライマリアクチュエータ制御サブシステム771にプライマリアクチュエータマルチレート励振778を出力することと、ミリアクチュエータマルチレート励振752を、ミリアクチュエータマルチレートノッチフィルタ752を備えるミリアクチュエータ制御サブシステム741に出力することと、マイクロアクチュエータマルチレート励振718を、マイクロアクチュエータマルチレートノッチフィルタ722を備えるマイクロアクチュエータ制御サブシステム711に出力することと、を含んでもよい。
【0048】
図7の例では、プライマリアクチュエータ制御サブシステム771、ミリアクチュエータ制御サブシステム741、及びマイクロアクチュエータ制御サブシステム711は、状態推定器フィードバック799によって補正されたターゲット信号701に基づいて、加算モジュール704によるトラッキング誤差出力706の形態で、共通入力を共有する。それによって、プライマリアクチュエータ制御サブシステム771、ミリアクチュエータ制御サブシステム741、及びマイクロアクチュエータ制御サブシステム711は、この例では、結合されたシステムを形成する。したがって、この例では、プライマリアクチュエータ制御サブシステム771及び少なくとも1つの微細アクチュエータ制御サブシステム741、711は、トラッキング誤差出力706の形態の共通入力を共有する。他の例では、プライマリアクチュエータ制御サブシステム771、ミリアクチュエータ制御サブシステム741、及びマイクロアクチュエータ制御サブシステム711は、以下で説明されるように、分離されてもよく、分離された入力を有してもよい。
【0049】
図8は、本開示の態様による、分離閉ループマルチアクチュエータトラック追従制御システム800を示す。マルチアクチュエータトラック追従制御システム800は、
図7のマルチアクチュエータトラック追従制御システム700と同じ構成の多く及び同じ要素の多くを、
図8に示され本明細書で説明されるような更なる構成及び要素とともに備える。
図7の例では、プライマリアクチュエータ制御サブシステム771、ミリアクチュエータ制御サブシステム741、及びマイクロアクチュエータ制御サブシステム711が結合され、トラッキング誤差出力706の形態の共通入力を共有するが、
図8の例では、様々なアクチュエータ制御システム871、841、811が分離され、異なる入力を有する。
【0050】
特に、マイクロアクチュエータ制御サブシステム811の出力は、マイクロアクチュエータ731からの応答を推定又はエミュレートするマイクロアクチュエータ推定器832に結合され、トラッキング誤差出力806とマイクロアクチュエータ推定器832のエミュレーション出力833とを加算する加算モジュール834によってミリアクチュエータ制御サブシステム841への入力に結合される。したがって、ミリアクチュエータ制御サブシステム841への入力は、マルチアクチュエータシステム全体の最近の性能の誤差トラッキング806、並びにマイクロアクチュエータ731のための最も最近の又はほぼ同時のmrETFベースの制御信号を組み込む。同様に、ミリアクチュエータ制御サブシステム841の出力は、マイクロアクチュエータ推定器832のエミュレーション出力833と、トラッキング誤差出力806及びマイクロアクチュエータ推定器832のエミュレーション出力863を加算する加算モジュール834の加算出力835とを加算する加算モジュール864によって、プライマリアクチュエータ制御サブシステム871への入力に結合されたミリアクチュエータ推定器862に結合される。したがって、プライマリアクチュエータ制御サブシステム871への入力は、マルチアクチュエータシステム全体の最近の性能の誤差トラッキング、並びにマイクロアクチュエータ731及びミリアクチュエータ761の両方についての最も最近の又はほぼ同時のmrETFベースの制御信号を組み込む。
【0051】
したがって、ミリアクチュエータ制御サブシステム841は、マイクロアクチュエータ731のエミュレーションに部分的に基づいてミリアクチュエータ761を制御し、プライマリアクチュエータ制御システム871は、マイクロアクチュエータ731及びミリアクチュエータ761の両方のエミュレーションに部分的に基づいてプライマリアクチュエータ791を制御する。様々な他の例では、一般に、任意の2つ以上のアクチュエータ制御システムが分離されてもよく、少なくとも1つの微細アクチュエータ制御サブシステムの出力が微細アクチュエータ推定器に結合されてもよく、微細アクチュエータ推定器は、少なくとも1つの更なる微細アクチュエータ制御サブシステムへの入力、及びプライマリアクチュエータ制御サブシステムに結合されてもよい。
【0052】
図9は、本開示の態様による、マルチレート励振及び誘導mrETFに対するアクチュエータシステムの応答に基づいてノッチフィルタを較正するための方法900のフローチャートを示す。
図7及び
図8の制御回路22及び/又は閉ループマルチアクチュエータトラック追従制御システム700及び/又は800に含まれ得るような1つ以上の処理デバイスは、様々な例において、方法900を実施、実行、及び/又は具現化し得る。マルチレートノッチフィルタのパラメータは、マルチレートノッチフィルタの周波数帯域に関連付けられる1つ以上の周波数、例えば、ω
n及びω
dと、マルチレートノッチフィルタの少なくとも1つ以上の0及び1つ以上の極のうちの1つ以上の減衰比、例えば、δ
n及びδ
dと、を含んでもよい。この例では、周波数ω
n及びω
dは、ノッチの周波数帯域を定義し、減衰比δ
n及びδ
dは、0と極の減衰比を定義する。したがって、この例では、連続時間におけるノッチフィルタのパラメータは、周波数及び減衰比パラメータω
n、ω
d、δ
n、δ
dによって定義される。制御回路22のアクチュエータ制御サブシステムは、離散化によってノッチ係数を計算し得る。
【0053】
方法900は、1つ以上の処理デバイスによって、マルチレートノッチフィルタのパラメータを受信すること(902)と、1つ以上の処理デバイスによって、マルチレートノッチフィルタのパラメータに少なくとも部分的に基づいてマルチレートノッチフィルタのための係数を決定し、1つ以上の処理デバイスによって、係数をサーボ制御ループに適用すること(904)と、1つ以上の処理デバイスによって、マルチレート誤差除去伝達関数を測定すること(906)と、1つ以上の処理デバイスによって、マルチレート誤差除去伝達関数のピークがマルチレート誤差除去伝達関数閾値よりも大きいか否かを決定すること(908)と、1つ以上の処理デバイスによって、マルチレート誤差除去伝達関数のピークがマルチレート誤差除去伝達関数閾値よりも大きくないと決定したことに応答して、マルチレート誤差除去伝達関数のピークに少なくとも部分的に基づいてマルチレートノッチフィルタのパラメータを修正し、それによってマルチレート誤差除去伝達関数のピークをマルチレート誤差除去伝達関数閾値よりも大きくないように修正すること(910)と、パラメータを修正した後に、1つ以上の処理デバイスによって、マルチレート誤差除去伝達関数の測定を繰り返すこと(912)と、マルチレート誤差除去伝達関数のピークがマルチレート誤差除去伝達関数閾値よりも大きいか否かを決定することを繰り返すこと(914)と、1つ以上の処理デバイスによって、マルチレート誤差除去伝達関数のピークがマルチレート誤差除去伝達関数閾値よりも大きくないと決定することに応答して、より多くのプロファイルが利用可能であるか否かを決定すること(916)と、マルチレート誤差除去伝達関数の測定を繰り返すこと(912)の前に、以前に設定された、δn及びδdとは異なる減衰比δn及び/又はδdであり、より小さいδn及び/又はより大きい場合があるδdを提供する新しいプロファイルを選択し、パラメータの修正を繰り返すこと(918)と、1つ以上の処理デバイスによって、マルチレート誤差除去伝達関数のピークがマルチレート誤差除去伝達関数閾値よりも大きくないことに応答して(又は利用可能なより多くのプロファイルを有していないことに応答して)、マルチレートノッチフィルタの修正されたパラメータを記憶すること(920)と、を含む。したがって、マルチアクチュエータトラック追従制御システムの1つ以上の処理デバイスは、様々な例において、mrETFに関してマルチレートノッチフィルタを較正し得る。
【0054】
図10は、本開示の態様による、誘導mrETFに基づいてノッチフィルタを較正するための別の方法1000のフローチャートを示す。
図10の方法1000は、
図9の方法900に類似しており、それに拡張して、
図9に示され、上述された方法900の全ての主題に加えて、更なる要素を含む。方法900と同様に、
図10の例では周波数ω
n及びω
dは、ノッチの周波数帯域及び減衰比を定義してもよく、減衰比δ
n及びδ
dは、0と極の減衰比を定義する。
図9の例のように、連続時間におけるノッチフィルタのパラメータは、周波数及び減衰比パラメータω
n、ω
d、δ
n、δ
dによって定義される。制御回路22のアクチュエータ制御サブシステムは、離散化を含むノッチ係数を計算し得る。方法1000はまた、ノッチフィルタ較正プロセスにおいて早期に正確な共振周波数に関する情報を決定するためのプロセスを加える。これは、いくつかの例では、第1のノッチフィルタプロファイルが共振に対して特定の幅及び深さを上回る場合を含めて、共振周波数がどこにあるかについての事前知識の欠如を克服し得る。
【0055】
特に、
図10の方法1000は、
図9の方法900を拡張して、フィルタ較正のためのターゲットコントローラ経路のプラントターゲット周波数を決定すること(1002)と、プラントターゲット周波数において最大ピークゲインを有する共振周波数を識別すること(1004)と、マルチレートノッチフィルタのパラメータに少なくとも部分的に基づいてマルチレートノッチフィルタのための係数を決定する前に、マルチレートノッチフィルタの周波数帯域に関連付けられたパラメータに含まれる1つ以上の周波数を修正すること(1006)と、を更に含む。したがって、マルチアクチュエータトラック追従制御システムの1つ以上の処理デバイスは、較正プロセスを開始する前にノッチフィルタパラメータが十分に特徴付けられていない例を含めて、mrETFに関してマルチレートノッチフィルタを較正し得る。
【0056】
実験的試験及び検証を受けた別の特定の例示的な例では、3段アクチュエータ(TSA)のマイクロアクチュエータを制御するための制御回路22のマイクロアクチュエータ制御サブシステムは、マイクロアクチュエータヨーモードのために狭いノッチフィルタを適用することができ、マイクロアクチュエータノッチフィルタは、54kHzから62kHzまでのノッチフィルタ較正範囲において-40デシベル(dB)の平坦なゲイン低減のための設計目標で設計され得る。カスタマイズを適用するために準備されたノッチフィルタ候補は、ターゲット周波数において20dB大きいゲイン低減と、10dBのゲイン低減において5500ヘルツ(Hz)の幅とを有し得る。マイクロアクチュエータ制御サブシステムは、ヨー周波数境界サンプルを使用してサーボETF検証を実施し得る。試験において、トラッキング誤差に対するTSA mrETFターゲットは、本開示の例による較正により、10kHzを下回る周波数において0.25dBから0.75dBに改善された。本開示の実装形態はまた、他の利点の中でもとりわけ、非繰り返し精度(NRRO)誤差を低減し得る。
【0057】
任意の適切な集積回路(単数又は複数)など、任意の適切な制御回路が、上記の例におけるフロー図を実装するために使用され得る。例えば、制御回路は、リードチャネル集積回路内に実装されてもよいし、データ記憶コントローラなどのリードチャネルとは別個の構成要素内に実装されてもよいし、上述の特定の動作がリードチャネルによって実行され、他の動作がデータ記憶コントローラによって実施されてもよい。いくつかの例では、リードチャネル及びデータ記憶コントローラは、別個の集積回路として実装されてもよく、いくつかの例では、リードチャネル及びデータ記憶コントローラは、単一の集積回路又はシステムオンチップ(SoC)に製造されてもよい。いくつかの例では、制御回路は、別個の集積回路として実装されるか、リードチャネル若しくはデータ記憶コントローラ回路に集積されるか、又はSoCに集積される適切なプリアンプ回路を含んでもよい。
【0058】
いくつかの例では、制御回路は、命令を実施するマイクロプロセッサを備えてもよく、命令は、マイクロプロセッサに、フロー図に示され、本明細書でそれを参照して説明される方法、プロセス、又は技法の1つ以上の態様を実行させるように動作可能である。本開示の実行可能命令は、任意のコンピュータ可読媒体に記憶され得る。いくつかの例では、本開示の実行可能命令は、マイクロプロセッサの外部の不揮発性半導体メモリデバイス、構成要素、若しくはシステム上に記憶されてもよく、又はSoC内のマイクロプロセッサと集積されてもよい。いくつかの例では、本開示の実行可能命令は、1つ以上のディスク上に記憶され、ディスクドライブの電源がオンになったときに揮発性半導体メモリに読み込まれてもよい。いくつかの例では、制御回路は、状態機械回路などの論理回路を備えてもよい。いくつかの例では、フロー図ブロックのうちの少なくともいくつかは、アナログ回路(例えば、アナログ比較器、タイマーなど)を使用して実装され得る。いくつかの例では、フロー図ブロックのうちの少なくともいくつかは、デジタル回路又はアナログ回路とデジタル回路との組み合わせを使用して実装され得る。
【0059】
様々な例において、1つ以上の処理デバイスは、本明細書に記載されるような制御回路を備えるか若しくは構成してもよく、及び/又は本明細書に記載されるような制御回路の機能のうちの1つ以上を実施してもよい。様々な例において、制御回路、又は本明細書に記載されるような制御回路の機能のうちの1つ以上を実施する他の1つ以上の処理デバイスは、ディスク及びディスク表面に物理的に近接することから離れて抽象化されてもよい。制御回路、及び/又はその1つ以上のデバイスドライバ、及び/又は本明細書に説明されるような制御回路の機能のうちの1つ以上を実施する任意の他のタイプの1つ以上の処理デバイスは、様々な実施例では、複数のデータ記憶デバイスのラック又は複数のデータ記憶デバイスを備える単体製品の一部又はそれに近接してもよく、1つ以上の物理又は仮想サーバの一部又はそれに近接してもよく、1つ以上のローカルエリアネットワーク又は1つ以上のストレージエリアネットワークの一部又はそれに近接してもよく、データセンタの一部又はそれに近接してもよく、1つ以上のクラウドサービスにホストされてもよい。
【0060】
様々な例では、ディスクドライブは、磁気ディスクドライブ、光ディスクドライブ、ハイブリッドディスクドライブ、又は他のタイプのディスクドライブを含んでもよい。いくつかの例は、コンピューティングデバイス、データサーバデバイス、メディアコンテンツ記憶デバイス、又は上述のような記憶媒体及び/又は制御回路を備え得る他のデバイス、構成要素、若しくはシステムなどの電子デバイスを含んでもよい。
【0061】
上述した様々な特徴及びプロセスは、互いに独立して使用されてもよく、又は様々な方法で組み合わされてもよい。全ての可能な組み合わせ及び部分的な組み合わせは、本開示の範囲内に含まれる。いくつかの実装形態では、いくつかの方法、イベント、又はプロセスブロックが省略され得る。本明細書で説明される方法及びプロセスは、任意の特定の順序に限定されず、それに関連するブロック又は状態は、他の順序で実施することができる。例えば、説明されたタスク又はイベントは、具体的に開示されたもの以外の順序で実施されてもよく、又は複数が単一のブロック又は状態に組み合わされてもよい。例示的なタスク又はイベントは、直列に、並列に、又は別の方法で実施され得る。タスク又はイベントは、開示された例に加えられてもよく、又は開示された例から除去されてもよい本明細書に記載される例示的なシステム及び構成要素は、説明されるものとは異なるように構成されてもよい。例えば、開示された例と比較して、要素が加えられ、除去され、又は再配置されてもよい。
【0062】
特定の例示的な実施形態が本明細書に記載されるが、これらの実施形態は、例としてのみ提示され、本明細書に開示される本発明の範囲を限定しない。したがって、上述の説明において、任意の特定の特徴、特性、ステップ、モジュール、又はブロックが必要又は不可欠であることを示唆するものはない。実際に、本明細書に記載される新規の方法及びシステムは、様々な他の形態で具現化され得る。本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法及びシステムの形態の様々な省略、置換及び変更が行われてもよい。
【0063】
方法80及び本開示の他の方法は、様々な他の実施形態における他のステップ又は変形を含んでもよい。本開示の方法80及び他の方法のいずれかの一部又は全部は、ハードウェアによって実施又は具現化されてもよく、及び/又はコントローラ、CPU、FPGA、SoC、測定及び制御マルチプロセッサシステムオンチップ(MPSoC)によって実施又は実行されてもよく、MPSoCは、CPU及びFPGAの両方、及び1つの集積SoC内の他の要素を一緒に含んでもよく、又は方法の様々な主題を実行、実装、又は具現化する際に他の関連ハードウェア、デバイス、システム、又は製品を制御する際に実行可能命令を処理する他の処理デバイス又はコンピューティングデバイスを含んでもよい。
【0064】
したがって、本開示の新規の利点を実装及び具現化するデータ記憶システム、デバイス、及び方法は、本開示の新規の利点を実装及び具現化するための様々な基本的な態様及び様々な選択された例示的なアプリケーション、アーキテクチャ、技法、及び方法において、本明細書に示され、説明される。関連分野の当業者は、本開示によって、本開示及び以下に記載される特許請求の範囲によって包含される新規の利点、技法、方法、プロセス、デバイス、及びシステムのための広範な更なるアプリケーション、アーキテクチャ、技法、及び方法の理解、並びにそれらの実施への情報に基づく縮小を十分に備えるであろう。
【0065】
本明細書で使用される場合、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」という記述は、「A、B、C、又はA、B、及びCの任意の組み合わせのいずれか」を意味することが意図される。開示された例の説明は、関連分野の当業者が本開示の主題をどのように作成又は使用するかを理解することを可能にするために提供される。これらの実施形態に対する様々な修正は、本開示に基づいて当業者には容易に明らかになり、本明細書で定義される一般原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく他の例に適用され得る。したがって、本開示は、本明細書で示される実施形態に限定されず、本明細書で開示される原理及び新規の特徴と一致する最も広い範囲が与えられるべきである。
【0066】
本開示及びその付随する利点の多くは、上述の説明によって理解され、開示される主題から逸脱することなく、又はその物質的利点の全て若しくはいずれかを犠牲にすることなく、構成要素の形態、構造、及び配列において様々な変更が行われてもよい。記載された形態は単に説明的なものであり、以下の特許請求の範囲は、本明細書に記載されたような構成要素の形態、構成、及び配置における任意のそのような変更を包含する広範囲の例を含む、広範囲の実施形態を包含し、含む。
【0067】
本開示は様々な例を参照して説明されてきたが、これらの例は例示的なものであり、本開示の範囲はそれらに限定されないことが理解されよう。本明細書で説明される全ての主題は、説明のために例として明示的に呼び出されているか否かにかかわらず、排他的な実装形態としてではなく、例示的な非限定的な例の形態で提示される。多くの変形、修正、及び追加が、本開示の例の範囲内で可能である。より一般的には、本開示による例は、特定の実装形態の文脈で説明されている。機能は、本開示の趣旨及び範囲並びに以下の特許請求の範囲から逸脱することなく、本開示の様々な例において別々にブロックで分離又は組み合わされてもよく、或いは異なる用語で説明されてもよい。これら及び他の変形、修正、追加、及び改善は、以下の特許請求の範囲において定義される本開示の範囲内に含まれ得る。
【外国語明細書】