(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031849
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】柔軟な平面要素を製造するための方法並びにこれにより製造された平面要素
(51)【国際特許分類】
B29C 44/06 20060101AFI20240229BHJP
B29C 44/00 20060101ALI20240229BHJP
C08J 9/228 20060101ALI20240229BHJP
B32B 5/18 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
B29C44/06
B29C44/00 F
C08J9/228 CER
C08J9/228 CEZ
B32B5/18
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023124468
(22)【出願日】2023-07-31
(31)【優先権主張番号】10 2022 121 413.3
(32)【優先日】2022-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】510140238
【氏名又は名称】フォルボ・ジークリング・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】レナート・シュルツ
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・ナドラー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァディム・モロチニコフ
(72)【発明者】
【氏名】トルステン・ブーフ
【テーマコード(参考)】
4F074
4F100
4F214
【Fターム(参考)】
4F074AA00
4F074CA31
4F074CC49Y
4F074DA20
4F100AK01A
4F100AK01B
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4F100AL09B
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4F100BA10D
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4F100EJ42
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4F100JB13A
4F100JB13B
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4F214AA36
4F214AA45
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4F214AR06
4F214UA37
4F214UB01
4F214UB13
4F214UB22
4F214UF05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】有効層の特性が著しく改善された平面要素を製造するための方法を提供する。また、製造された、有効層の特性が改善された柔軟な平面要素を提供する。
【解決手段】本発明は、機能層(6)内に、膨張可能な中空微小球(4)が、好ましくは均一の分布で導入される、内側又は外側の有効層(3)を有する柔軟な平面要素(1)を製造するための方法に関する。有効層(3)に、少なくとも1つの付加的な耐圧層(5)が解離可能に取り付けられる。熱的エネルギー供給により、中空微小球(4)は、好ましくは均等に、膨張温度超の温度に加熱され、膨張させられ、中空微小球(4)の膨張は、耐圧層(5)の耐圧特性によって制限される。この場合、有効層(3)の材料厚さ(D)は、膨張によって減少し、表面の品質は、実質的に改善される。耐圧層は、最後に、有効層(3)から除去される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性、熱硬化性及び/又はエラストマーの少なくとも1つの有効層(3)を有する柔軟な平面要素(1)を製造するための方法であって、有効層(3)及び/又は機能層(6)内に、膨張可能な中空微小球(4)が、好ましくは均一の分布で導入され、有効層(3)に、少なくとも1つの付加的な耐圧層(5)が解離可能に取り付けられ、次いで、平面要素(1)の少なくとも1つの処理すべき部分が、熱的エネルギー供給によって好ましくは均等に、中空微小球(4)の膨張温度範囲内の温度に加熱され、これにより、少なくとも、処理すべき部分に含まれた中空微小球(4)が、少なくとも部分的に膨張させられる、及び/又は、既に部分膨張させられた中空微小球(4)が更に膨張させられ、中空微小球(4)の膨張が、耐圧層(5)の耐圧特性によって制限され、この耐圧層が、次いで、有効層(3)から少なくとも部分的に除去されること、を特徴とする方法。
【請求項2】
耐圧層(5)が、主な材料成分として、特にポリエステルから成るフィルムを備えること、を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
耐圧層(5)が、特に二軸方向に予備延伸されたフィルムを備えること、を特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
耐圧層(5)が、加熱前及び/又は加熱中に局部的又は部分的に除去及び/又は改質されること、を特徴とする請求項1~3の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項5】
有効層(3)上に、複数の、特に異なる耐圧層(5)が取り付けられること、を特徴とする請求項1~4の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項6】
有効層(3)の材料厚さ(D)が、中空微小球(4)の膨張により材料厚さ(d)に減少されること、を特徴とする請求項1~5の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項7】
耐圧層(5)を経る放射線(7)のエネルギーが、平面要素(1)の有効層(3)及び/又は機能層(6)の互いに区切られた異なる領域及び/又は異なる横断面レベルに選択的に異なるように、特に異なるパラメータで作用し、これにより、中空微小球(4)が、平面要素(1)の異なる領域及び横断面レベル内で異なるように膨張させられること、を特徴とする請求項1~6の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項8】
エネルギー入力が、特に赤外線スペクトル(IR)内の電磁放射線(7)によって達成され、特に、少なくとも有効層(3)の個々の領域及び/又は横断面レベルが加熱され、耐圧層(5)が少なくとも実質的に放射線(7)によって加熱なく貫通されるように、設定されること、を特徴とする請求項1~7の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項9】
耐圧層(5)に対して平面要素(1)の中空微小球を膨張させ、次いで少なくとも耐圧層(5)を局部的に除去することによって製造された、膨張させられた少なくとも1つの有効層(3)を有する柔軟な平面要素(1)。
【請求項10】
少なくとも1つの耐圧層(5)が、切除部又は穿孔部を備えること、を特徴とする請求項9に記載の平面要素(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膨張可能な中空微小球が好ましくは均一の分布で導入される少なくとも1つの内側又は外側の熱可塑性の有効層を有する柔軟な平面要素を製造するための方法に関する。更に、本発明は、このようにして製造された平面要素に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性のプラスチックを膨張手段を使用して膨張させることが、一般に知られている。ここで、膨張手段として、例えば膨張可能な中空微小球が使用される。
【0003】
微小球とも呼ばれるこのような膨張可能な中空微小球は、薄いプラスチックシェル、例えばポリアクリロニトリル又はコポリマーから成り、ガス、通常は炭化水素で満たされている。熱可塑性の処理での作用温度により、プラスチックシェルが軟化し、同時に封入されたガスが膨張する。これにより、中空微小球が膨張する。化学的膨張手段と膨張可能な中空微小球の組合せも使用される。
【0004】
膨張可能な熱可塑性の中空微小球の製造と使用は、特に米国特許第3615972号明細書に開示されている。未膨張の球は、熱の適用によりガス状態に移行する揮発性の液状膨張手段を含む。熱が供給されると、ポリマーシェルが軟化し、膨張手段がガス状になると、球が膨張する。
【0005】
欧州特許第0348372号明細書には、未膨張の中空微小球が熱ブロワー及び排気装置を使用して例えば赤外線により膨張させられる方法が記載されている。
【0006】
熱可塑性のポリウレタンを膨張手段によって膨張させる方法も知られている。熱可塑性のポリウレタンの場合、化学的膨張手段は、比較的非常に粗い発泡構造を生じさせ、空洞の形成を増加させる。
【0007】
この欠点を除去するため、欧州特許出願公開第0692516号明細書には、膨張手段として、化学的膨張手段と中空微小球の混合物が使用される、熱可塑性のポリウレタンをベースにした発泡体を製造するための方法が記載されている。
【0008】
米国特許第6103152号明細書は、溶融させたポリマー組成物と膨張可能なポリマー微小球が混合され、ノズルから組成物が流出する前に、ポリマー微小球が、ポリマー組成物内で膨張させられる、ポリマー発泡体を製造するための方法に関する。ノズルからの流出後、微小球は、ポリマー発泡体を加熱することによって更に膨張させることができる。ポリマー発泡体は、実質的に平滑な面を備えることができ、フィルムとして製造することもできる。
【0009】
米国特許出願公開第20060219350号明細書から、面又は層の間に配置されかつ2種類の熱膨張可能な微小球を含有し、ここで、第1の種類の微小球が硬化のために役立ち、第2の種類の微小球が解離のために役立つ、接着剤組成物が知られている。異なる種類の微小球は、異なる温度で活性化可能である。
【0010】
米国特許第5783302号明細書には、インサイチュで膨張可能な薄いフィルムが製造され得る、カレンダー加工システムが記載されている。フィルムは、液状の膨張手段又は膨張剤を含有する。樹脂マトリックスは、ガラスから成る中空微小球を含有し得る。
【0011】
欧州特許第2134425号明細書は、ランニングトレーニング器具用のトレッドミルベルトとしての無端ベルトの使用に関する。膨張は、熱可塑性の材料に膨張可能な微小球を添加して行なうことができ、このようにして得られた膨張層は、次いで、第2の作業段でカレンダー加工によって引張部材上に着設することができる。
【0012】
柔軟な平面要素の製造時、実際にはしばしば、有効層の単に制限された又は部分的に異なる表面品質は、不利であると分かっている。特に、凹凸、微小孔又は空洞は、確実に排除することはできない。加えて、このような平面要素の制限された寸法精度は、例えばカレンダー加工後の中空微小球の連続的な膨張により支障となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第3615972号明細書
【特許文献2】欧州特許第0348372号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0692516号明細書
【特許文献4】米国特許第6103152号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第20060219350号明細書
【特許文献6】米国特許第5783302号明細書
【特許文献7】欧州特許第2134425号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の根底にある課題は、有効層の特性が著しく改善された平面要素を製造するための方法を提供することである。更に、本発明の根底にある課題は、これにより製造された、有効層の特性が改善された柔軟な平面要素を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1の課題は、本発明によれば、請求項1の特徴による平面要素を製造するための方法によって解決される。本発明の更なる形態は、従属請求項から読み取ることができる。
【0016】
即ち、本発明によれば、熱可塑性、熱硬化性又はエラストマーの内側及び/又は外側の有効層を有する柔軟な平面要素を製造するための方法であって、膨張可能な中空微小球が、好ましくは均一の分布で導入され、有効層に、少なくとも1つの付加的な耐圧層が解離可能に取り付けられ、次いで、平面要素の少なくとも1つの処理すべき部分が、熱的エネルギー供給によって好ましくは均等に、中空微小球の上限温度未満の膨張温度範囲内の所定の温度に加熱され、これにより、少なくとも、処理すべき部分に含まれた中空微小球及び/又は既に膨張させられた中空微小球が、少なくとも部分的に膨張させられ、耐圧層の膨張圧力と背圧のバランスが生じることによって、中空微小球の膨張が、耐圧層の耐圧特性によって制限され、有効層の材料厚さが、膨張によって減少され、次いで、耐圧層が、有効層から少なくとも部分的に除去されること、を特徴とする方法が企図されている。
【0017】
この場合、本発明によれば、耐圧層とは、寸法的に正確に膨張を制限するために、膨張圧力に耐えることに適した、柔軟であるが、引張強度を有し、非弾性的で、せいぜい塑性的に伸縮可能な層であると理解する。これら特性に基づいて、耐圧層は、引張強度を有するということができる。
【0018】
本発明による方法の典型的な適用形態の場合、平面要素の、従って熱可塑性の有効層の均等な加熱が行なわれる。中空微小球膨張により、有効層を圧縮することができる。この場合、耐圧層は、カバーフィルムとして膨張に対抗する。これにより、有効層の表面上の最小の凹凸でさえも均一化され、これにより、耐圧層の除去後の表面が、いわゆる鏡面品質を有することが、既に分かっている。これにより、例えば印刷産業での平面要素の全く新しい適用可能性が得られる。加えて、平面要素の材料厚さも、高い再現可能な精度での温度の調整によって適切に設定することができる。
【0019】
本発明の特に有利な実施形態は、耐圧層が、中空微小球の膨張後に有効層から全面的に除去されることによって達成される。その場合、このようにして露出された有効層の表面性状は、耐圧層の対向した側の表面性状に一致し、実際に最高の品質要求を達成する。当然、耐圧層によって、構造化又はパターンは、耐圧層の相応の性状のネガとして有効層に転写することもできる。
【0020】
この場合、耐圧層が、主な材料成分として、特にポリエステルから成るフィルムを備え、好ましくは一定の材料厚さを備える場合が、既に特に有利であると分かっている。これとは違い、例えば個々の領域内で、有効層内の局所的な隆起を生じさせる、耐圧層の限定された伸縮性を可能にするために、異なる材料厚さを有する領域を設けることもできる。
【0021】
更に、耐圧層によって、所定の物質が、有効層の表面上又は表面内に転写され得る、又は、耐圧層を除去する際に有効層状に残留し得る。
【0022】
耐圧層を、場合によっては複数回も使用可能な金属フィルムとして形成することが考えられる。特に好ましくは、耐圧層は、例えば保護フィルムとして使用することもできかつ平面要素の使用前に初めて有効層から除去される、二軸方向もしくは双方向に予備延伸されたフィルムを備える。
【0023】
方法の同様に有望な他のバリエーションは、膨張温度超の温度への平面要素の処理すべき部分の加熱時のエネルギー入力局部的又は部分的に異なるように行なわれることによって提供される。これにより、より低いエネルギー入力を有する少なくとも1つの領域と、高いエネルギー入力を有する少なくとも1つの別の領域が生じる。耐圧層によって制限される立体的な膨張に応じて、異なる領域で異なる圧縮が生じ、その結果、異なる密度を有する平面要素の領域が生じる。これにより、例えば、領域内の柔軟性のような別の機械的特性も互いに異なる。これにより、実際に、例えば方向転換の領域での搬送ベルトとしての適用に対して有利であると分かっている可撓性のゾーンが提供され得る。
【0024】
本発明の別の特に実用的な形態は、耐圧層が、エネルギー入力による有効層の加熱前、加熱中又は加熱後に局部的又は部分的に除去及び/又は改質されること、によって達成される。例えば、耐圧層は、機械的なツール又はレーザー放射によって切除すること、穿孔すること、又は弱めることができるので、これら領域で、有効層は、突出する又は凸状になる。既に有効層上に付着している耐圧層が、その後変更され得ることによって、有効層の個々の性状を生成し得る。
【0025】
この場合、耐圧層と有効層の解離可能な結合は、例えば接着継手によって実現される。
【0026】
本発明による方法の他の有利なバリエーションの場合、有効層上に、複数の、特に異なる耐圧層が解離可能に取り付けられ、異なる層は、特に異なる部分領域もカバーすることができる。複数の耐圧層の使用により、有効層の膨張が、これによりこのように製造された平面要素の材料厚さが、設定され得る。例えば、これにより、より少ない数の耐圧層を有する領域は、より多くの数の耐圧層を有する他の領域に比して際立つので、局所的な凹凸が実現され得る。
【0027】
同様に、個々の耐圧層は、例えば、相応に有効層に転写し得るパターンを有する切除部又は穿孔部を備え得る。
【0028】
熱エネルギーは、平面要素の互いに区切られた異なる領域、特に縦方向に延在するトラック、横方向に延在する部分及び/又は異なる横断面レベル内に延在する平面に選択的に異なる波長又は強度で導入することができ、これにより、中空微小球は、異なる領域で異なるように膨張させられる。
【0029】
即ち、中空微小球のためのマトリックスを構成する平面要素の材料内に結合された中空微小球が、例えば有効層以外に更に別の装飾的又は機能的な層を備えることもできる平面要素の完成後に選択的に活性化されることにより、エネルギー入力に依存した中空微小球の膨張が生じる。このようにして、減衰又は形態安定性のような材料特性は、耐圧層と関連して高い精度で設定することができ、平面要素の外部輪郭、特に平面要素厚さは、耐圧層によって制限され、このようにして、平面要素の高い寸法精度が保証される。この場合、本発明の意味で、「領域」との用語とは、外面に対して平行な、平面内の面領域及び/又は材料厚さ内の平面であると理解すべきであり、発明思想の全面的な活性化が含まれるべきである。異なる放射エネルギーによる異なる領域の差別化された活性化に対して選択的に、膨張させられてない中空微小球は、他の部分領域内に保持することができる。この場合、本発明は、所定の特性を有する中空微小球に限定されていない。むしろ、異なる特性を有する中空微小球を平面要素に導入することができる。
【0030】
この場合、特に中空微小球の活性化が企図されている領域に十分な量の中空微小球を供給するために、中空微小球が、互いに立体的に区切られた異なる領域で、中空微小球の容積又は質量に対して異なる量的比でキャリア材料に導入される場合が、既に特に合目的であると分かっている。
【0031】
本発明による方法の他の同様に特に有効な形態は、高エネルギーの放射線として赤外線スペクトル(IR)内の電磁放射線が平面要素に導入されることによって実現され、例えば放射線の波長の選択によって、同時に層構造内の到達可能なレベルが設定される。これにより、高エネルギーの放射線は、任意の構造を発生させるために、選択的に比較的小さい、場合によっては個々の点状の領域に限定することもできる。
【0032】
この場合、平面要素の特性を適切に所定の部分領域で最適化するため、所定の波長範囲の選択によって、中空微小球が、トレッドミル側に対して異なるように離間した異なる平面内で及び/又は異なる縦方向部分、例えば周縁部分内で膨張及び/又は活性化される場合が、特に有望であると分かっている。
【0033】
更に、付加的に特に繊維状又はストランド状の充填物が有効層に導入される場合が、特に有効である。これにより、製造すべき平面要素の形態安定性を更に改善するため、必要に応じて、有効層の更なる補強が達成され得る。その間に中空微小球が導入された多層の充填物によって、強度の著しい改善が、このようにして発生された複合材の全質量を考慮して達成され得ることが、既に分かっている。
【0034】
更に、中空微小球が、高エネルギーの放射線によって放出される活性又は反応性の物質を含有し、放出された物質が平面要素の隣接する材料の成分と反応する場合も有利である。このため、中空微小球は、中空微小球が破裂するか、中空微小球のそれぞれのシェルが透過性になり、充填剤が流出するまで、膨張させられる。こうして、充填剤は、ガス状又は液状の流体としてストリップ材料の隣接領域に到達し、平面要素の底に存在する材料と反応する。例えば、有効層を硬化させるため、有効層の材料と不可逆反応を生じさせる硬化剤が考えられる。選択的に、中空微小球の膨張によって、平面要素の使用中に生じる閉鎖がシェルを透過性にするように、シェルの脆弱化も行なわれ得る。このようにして、中空微小球は、摩耗インジケータ物質用のキャリアとしても使用される。このようにして達成可能な色の変化は、視覚的に近く可能であり、従って摩耗インジケータとして利用することができる。
【0035】
当然、染料は、染料が環境条件下で不可視であり、所定の波長(UV)を有する光によって初めて検知可能になるように、性状を有することもできる。
【0036】
汚染インジケータとして使用される物質の場合、中空微小球は、例えば水分又は空気と反応する微生物を含有し、これにより、摩耗時に、微生物は、接触子、生物学的反応を惹起する。当然、微生物の反応パートナーは、搬送物、例えば食品又は化学物質に由来することもある。逆に、放出された物質は、搬送物を保護するために、除染、消毒、殺生物又は他の作用物質を放出することもできる。
【0037】
当然、中空微小球は、所定の所望の特性を実現するために、例えば色又は導電性の添加剤のような別の添加剤と混合することができる。
【0038】
中空微小球を膨張させるためのエネルギーは、任意の熱源によって、例えば熱媒体流体によって導入することもできる。この場合、特に有利であるのは、高エネルギーの放射線が、活性化すべき領域に適合された、特に設定可能な波長を有する放射線源によって導入され、これにより、放射線源によって、例えば赤外線範囲内の波長が、平面要素のそれぞれの領域内の自由に選択可能な層レベルに導入される。これにより、他の領域は、高エネルギーの放射線によって影響を受けないままであり、これにより、そこでは、加熱が排除されている。
【0039】
有効層の改善された特性を有する柔軟な平面要素を提供する別の課題は、本発明によれば、柔軟な平面要素が、耐圧層に対して平面要素の中空微小球を膨張させ、次いで少なくとも耐圧層を局部的に除去することによって製造された、膨張させられた少なくとも1つの熱可塑性の有効層備えること、によって達成される。
【0040】
本発明による平面要素は、制限されていない。従って、平面要素は、例えば染料のような印刷可能な物質を転写するためのプロセス又は印刷ベルトとしても適している。この場合に必要な、狭い公差限度内で設定される圧縮性は、耐圧層によって最適に設定することができる。
【0041】
本発明の特に合目的な形態によれば、平面要素は、少なくとも1つの熱可塑性の有効層並びに少なくとも1つの引張部材を備え、これにより、中空微小球を含む有効層は、運転中に全く又は僅かにしか引張力を吸収しない。
【0042】
本発明は、異なる実施形態を許容する。その基本原理を更に明確にするため、そのうちの1つを図面に図示し、以下で説明する。各図は、それぞれ断面で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】有効層内に含まれた中空微小球の加熱中の有効層を有する本発明による平面要素
【
図2】耐圧層に対して圧縮された有効層を有する中空微小球の膨張後の平面要素
【発明を実施するための形態】
【0044】
柔軟な平面要素1を製造するための本発明による方法は、以下で
図1~3により詳細に説明される。示した平面要素1は、印刷製品での使用のために設定されているので、引張部材2上に存在するTPUから成る熱可塑性の有効層3を有効層3の表面性状に対して最高の要求が課される。有効層3を有する機能層6内に、均等な分布で、膨張可能な中空微小球4が導入され、これら中空微小球は、発明思想を明確にするためにスケール通りではなく、誇張して図示されている。有効層3上に、中空微小球4を含まない耐圧層5が取り付けられている。当然、中空微小球4は、不均等に分布させて導入することもできる。
【0045】
本発明による重要な思想は、中空微小球4の示してないシェルをその軟化温度超に加熱するために、高エネルギーの放射線7、特に赤外線スペクトル内の電磁放射線の熱的エネルギー供給による中空微小球の平面的又は局部的な活性化に基づく。このため、放射線7は、耐圧層5並びに有効層3を貫通し、機能層6の所望の横断面レベル内で集束又は集中され、耐圧層5と有効層3は、全く又は極僅かしか加熱されない。これにより、
図2に認められるように、関係のある中空微小球4が膨張する。
【0046】
中空微小球4の膨張は、まず、表面要素1の機械的特性の変化を生じさせ、このようにして、表面用紙は、初めて適切にそれぞれの用途に適合され得る。
【0047】
しかしながら、更に、本発明による重要な態様は、バリアもしくはアバットメントとして作用する耐圧層5に対する有効層3の圧縮であり、これにより、その厚さDは、減少した厚さdに減少される。同時に、このようにして発生させたコンパクトな有効層3は、優れた表面特性、特に鏡面品質の最適に平滑な表面を得る。特に、これにより、全ての表面の欠陥が補償もしくは除去される。
【0048】
図3に図示したように、耐圧層は、最後に除去されるので、有効層3の表面が利用可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 平面要素
2 引張部材
3 有効層
4 中空微小球
5 耐圧層
6 機能層
7 放射線
D 厚さ
d 厚さ
【手続補正書】
【提出日】2023-09-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性、熱硬化性及び/又はエラストマーの少なくとも1つの有効層(3)を有する柔軟な平面要素(1)を製造するための方法であって、有効層(3)及び/又は機能層(6)内に、膨張可能な中空微小球(4)が、好ましくは均一の分布で導入され、有効層(3)に、少なくとも1つの付加的な耐圧層(5)が解離可能に取り付けられ、次いで、平面要素(1)の少なくとも1つの処理すべき部分が、熱的エネルギー供給によって好ましくは均等に、中空微小球(4)の膨張温度範囲内の温度に加熱され、これにより、少なくとも、処理すべき部分に含まれた中空微小球(4)が、少なくとも部分的に膨張させられる、及び/又は、既に部分膨張させられた中空微小球(4)が更に膨張させられ、中空微小球(4)の膨張が、耐圧層(5)の耐圧特性によって制限され、この耐圧層が、次いで、有効層(3)から少なくとも部分的に除去されること、を特徴とする方法。
【請求項2】
耐圧層(5)が、主な材料成分として、特にポリエステルから成るフィルムを備えること、を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
耐圧層(5)が、特に二軸方向に予備延伸されたフィルムを備えること、を特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
耐圧層(5)が、加熱前及び/又は加熱中に局部的又は部分的に除去及び/又は改質されること、を特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
有効層(3)上に、複数の、特に異なる耐圧層(5)が取り付けられること、を特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
有効層(3)の材料厚さ(D)が、中空微小球(4)の膨張により材料厚さ(d)に減少されること、を特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
耐圧層(5)を経る放射線(7)のエネルギーが、平面要素(1)の有効層(3)及び/又は機能層(6)の互いに区切られた異なる領域及び/又は異なる横断面レベルに選択的に異なるように、特に異なるパラメータで作用し、これにより、中空微小球(4)が、平面要素(1)の異なる領域及び横断面レベル内で異なるように膨張させられること、を特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
エネルギー入力が、特に赤外線スペクトル(IR)内の電磁放射線(7)によって達成され、特に、少なくとも有効層(3)の個々の領域及び/又は横断面レベルが加熱され、耐圧層(5)が少なくとも実質的に放射線(7)によって加熱なく貫通されるように、設定されること、を特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項9】
耐圧層(5)に対して平面要素(1)の中空微小球を膨張させ、次いで少なくとも耐圧層(5)を局部的に除去することによって製造された、膨張させられた少なくとも1つの有効層(3)を有する柔軟な平面要素(1)。
【請求項10】
少なくとも1つの耐圧層(5)が、切除部又は穿孔部を備えること、を特徴とする請求項9に記載の平面要素(1)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0048】
図3に図示したように、耐圧層は、最後に除去されるので、有効層3の表面が利用可能である。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
1.熱可塑性、熱硬化性及び/又はエラストマーの少なくとも1つの有効層(3)を有する柔軟な平面要素(1)を製造するための方法であって、有効層(3)及び/又は機能層(6)内に、膨張可能な中空微小球(4)が、好ましくは均一の分布で導入され、有効層(3)に、少なくとも1つの付加的な耐圧層(5)が解離可能に取り付けられ、次いで、平面要素(1)の少なくとも1つの処理すべき部分が、熱的エネルギー供給によって好ましくは均等に、中空微小球(4)の膨張温度範囲内の温度に加熱され、これにより、少なくとも、処理すべき部分に含まれた中空微小球(4)が、少なくとも部分的に膨張させられる、及び/又は、既に部分膨張させられた中空微小球(4)が更に膨張させられ、中空微小球(4)の膨張が、耐圧層(5)の耐圧特性によって制限され、この耐圧層が、次いで、有効層(3)から少なくとも部分的に除去されること、を特徴とする方法。
2.耐圧層(5)が、主な材料成分として、特にポリエステルから成るフィルムを備えること、を特徴とする上記1に記載の方法。
3.耐圧層(5)が、特に二軸方向に予備延伸されたフィルムを備えること、を特徴とする上記1又は2に記載の方法。
4.耐圧層(5)が、加熱前及び/又は加熱中に局部的又は部分的に除去及び/又は改質されること、を特徴とする上記1~3の少なくとも1つに記載の方法。
5.有効層(3)上に、複数の、特に異なる耐圧層(5)が取り付けられること、を特徴とする上記1~4の少なくとも1つに記載の方法。
6.有効層(3)の材料厚さ(D)が、中空微小球(4)の膨張により材料厚さ(d)に減少されること、を特徴とする上記1~5の少なくとも1つに記載の方法。
7.耐圧層(5)を経る放射線(7)のエネルギーが、平面要素(1)の有効層(3)及び/又は機能層(6)の互いに区切られた異なる領域及び/又は異なる横断面レベルに選択的に異なるように、特に異なるパラメータで作用し、これにより、中空微小球(4)が、平面要素(1)の異なる領域及び横断面レベル内で異なるように膨張させられること、を特徴とする上記1~6の少なくとも1つに記載の方法。
8.エネルギー入力が、特に赤外線スペクトル(IR)内の電磁放射線(7)によって達成され、特に、少なくとも有効層(3)の個々の領域及び/又は横断面レベルが加熱され、耐圧層(5)が少なくとも実質的に放射線(7)によって加熱なく貫通されるように、設定されること、を特徴とする上記1~7の少なくとも1つに記載の方法。
9.耐圧層(5)に対して平面要素(1)の中空微小球を膨張させ、次いで少なくとも耐圧層(5)を局部的に除去することによって製造された、膨張させられた少なくとも1つの有効層(3)を有する柔軟な平面要素(1)。
10.少なくとも1つの耐圧層(5)が、切除部又は穿孔部を備えること、を特徴とする上記9に記載の平面要素(1)。
【外国語明細書】