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特開2024-31870容量性ノブ検知システム及び初期状態を検出する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031870
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】容量性ノブ検知システム及び初期状態を検出する方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0362 20130101AFI20240229BHJP
   G06F 3/03 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
G06F3/0362 461
G06F3/03 400F
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023132838
(22)【出願日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】17/821,866
(32)【優先日】2022-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】502161508
【氏名又は名称】シナプティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】フォン、ケルヴィン
(72)【発明者】
【氏名】平河 友浩
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ、イァン・ジュー
【テーマコード(参考)】
5B087
【Fターム(参考)】
5B087AB02
5B087BC12
5B087BC34
5B087CC02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ノブインタフェースの回転方向を判定する処理システム及び方法を提供する。
【解決手段】方法は、処理システムによって、ノブインタフェースと相互作用する一組の回転電極を使用して、第1結果信号と第2結果信号とを取得し、第1結果信号と第2結果信号を使用してノブインタフェースの初期状態を判定し、該一組の回転電極を使用して、ノブインタフェースが初期状態から第1の回転状態まで回転されることに少なくとも部分的に基づいて、前記ノブインタフェースの第1の回転状態を示す第3結果信号を取得し、第1結果信号、第2結果信号及び第3結果信号を使用してノブインタフェースの回転方向を判定し、判定した回転方向を使用して設定を調整し、一組の回転電極から第1結果信号を取得し、一組の回転電極から第2結果信号を取得し、第1結果信号と第2結果信号を比較してノブインタフェースの初期状態を決定する。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノブインタフェースの回転方向を判定する方法であって、
処理システムによって、前記ノブインタフェースと相互作用する一組の回転電極を使用して、第1結果信号と第2結果信号とを取得することと、
前記処理システムによって、前記第1結果信号と前記第2結果信号を使用して前記ノブインタフェースの初期状態を判定することと、
前記処理システムによって、前記一組の回転電極を使用して、前記ノブインタフェースが前記初期状態から第1の回転状態まで回転されることに少なくとも部分的に基づいて、前記ノブインタフェースの前記第1の回転状態を示す第3結果信号を取得することと、
前記処理システムによって、前記第1結果信号、前記第2結果信号及び前記第3結果信号を使用して前記ノブインタフェースの回転方向を判定することと、
前記処理システムによって、判定された前記回転方向を使用して設定を調整することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記第1結果信号と前記第2結果信号とが、前記ノブインタフェースが静止しているときに取得される
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記処理システムが、電子システムに関連しており、
前記電子システムが、車両の制御システムであり、
前記ノブインタフェースの前記初期状態を判定することが、前記車両の起動動作の間に前記ノブインタフェースの前記初期状態を判定することを含む
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記一組の回転電極が、第1導電パッドと電気的に接触する第1回転電極と、第2導電パッドと電気的に接触する第2回転電極とを備え、
前記第1導電パッドと前記第2導電パッドは、交互に設けられた導電性領域と非導電性領域とを含む周辺リングと接触しており、
前記初期状態及び前記第1の回転状態は、前記第1導電パッド及び前記第2導電パッドが前記周辺リングの前記導電性領域又は前記非導電性領域と接触しているかどうかを示す
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1結果信号と前記第2結果信号とを取得することが、
前記一組の回転電極から前記第1結果信号を取得することと、
前記一組の回転電極から前記第2結果信号を取得することと、
を含み、
前記第1結果信号が、前記ノブインタフェースと相互作用する一組の基準信号電極に基準信号を供給することなく取得され、
前記第2結果信号が、前記一組の基準信号電極への前記基準信号の供給に応じて取得される、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2結果信号を取得することが、
前記一組の参照信号電極に参照信号を供給することと、
前記一組の回転電極に検知信号を供給することと、
前記一組の回転電極から、前記検知信号に関連する前記第2結果信号を取得することと、
を含む
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1結果信号と前記第2結果信号とを用いて前記ノブインタフェースの前記初期状態を判定することが、前記第1結果信号を前記第2結果信号と比較して前記ノブインタフェースの前記初期状態を判定することを含む
請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記ノブインタフェースの前記初期状態が、第1導電パッドに関連付けられた第1初期状態と、第2導電パッドに関連付けられた第2初期状態とを含み、
前記第1結果信号は、前記第1導電パッドについての第1ADC(アナログデジタル変換)値と、前記第2導電パッドについての第2ADC値とを含み、
前記第2結果信号は、前記第1導電パッドについての第3ADC値と、前記第2導電パッドについての第4ADC値とを含む、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1結果信号を前記第2結果信号と比較することは、
前記第1導電パッドについての前記第1ADC値を前記第1導電パッドについての前記第3ADC値と比較して、前記第1導電パッドに関連付けられた前記第1初期状態を判定することと、
前記第2導電パッドについての前記第2ADC値を前記第2導電パッドについての前記第4ADC値と比較して、前記第2導電パッドに関連付けられた前記第2初期状態を判定すること
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1結果信号と前記第2結果信号とを取得することが、
前記一組の回転電極と一以上の追加電極に検知信号を供給することと、
前記一組の回転電極から、前記検知信号に対応する前記第1結果信号を取得することと、
前記一以上の追加電極から、前記検知信号に対応する前記第2結果信号を取得することと、
を含み、
前記一組の回転電極が、交互に設けられた導電性領域及び非導電性領域を備える周辺リングに電気的に接触しており、
前記一以上の追加電極が、前記周辺リングに電気的に接触していない
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ノブインタフェースが電極のグリッドを備えており、
前記電極のグリッドが、前記一組の回転電極と、一組の参照信号電極と、前記一以上の追加電極とを備えており、
前記一以上の追加電極が、前記一組の回転電極と前記一組の参照信号電極との間に設けられている、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1結果信号と前記第2結果信号とを用いて前記ノブインタフェースの前記初期状態を判定することが、前記第1初期状態を前記第2初期状態と比較して前記ノブインタフェースの前記初期状態を判定することを含む
請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記ノブインタフェースの前記初期状態が、前記第1導電パッドに関連する第1初期状態と前記第2導電パッドに関連する第2初期状態とを含み、
前記第1結果信号が、前記第1導電パッドについての第1ADC(アナログ-デジタル変換)値と、前記第2導電パッドについての第2ADC値とを含み、
前記第2結果信号が、前記一以上の追加電極からの一以上の第3ADC値を含む
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1結果信号を前記第2結果信号と比較することが、
前記第1導電パッドについての前記第1ADC値を前記一以上の第3ADC値と比較して前記第1導電パッドに関連する前記第1初期状態を判定することと、
前記第2導電パッドについての前記第2ADC値を前記一以上の第3ADC値と比較して前記第2導電パッドに関連する前記第2初期状態を判定することと、
を含む
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ノブインタフェースの回転方向を判定するための処理システムであって、
一以上のプロセッサと、
前記一以上のプロセッサによって実行されたときに、下記の実行:
前記ノブインタフェースと相互作用する一組の回転電極を使用して、第1結果信号と第2結果信号とを取得すること、
前記第1結果信号と前記第2結果信号を使用して前記ノブインタフェースの初期状態を判定すること、
前記一組の回転電極を使用して、前記ノブインタフェースが前記初期状態から第1の回転状態まで回転されることに少なくとも部分的に基づいて、前記ノブインタフェースの前記第1の回転状態を示す第3結果信号を取得すること、
前記第1結果信号、前記第2結果信号及び前記第3結果信号を使用して前記ノブインタフェースの回転方向を判定すること、及び、判定された前記回転方向を使用して設定を調整すること
を容易化するプロセッサ実行可能命令を格納している非一時的コンピュータ読み取り可能媒体と、
を含む
処理システム。
【請求項16】
前記第1結果信号と前記第2結果信号とが、前記ノブインタフェースが静止しているときに取得される
請求項15に記載の処理システム。
【請求項17】
前記一組の回転電極が、第1導電パッドと電気的に接触する第1回転電極と、第2導電パッドと電気的に接触する第2回転電極とを備え、
前記第1導電パッドと前記第2導電パッドは、交互に設けられた導電性領域と非導電性領域とを含む周辺リングと接触しており、
前記初期状態及び前記第1の回転状態は、前記第1導電パッド及び前記第2導電パッドが前記周辺リングの前記導電性領域又は前記非導電性領域と接触しているかどうかを示す
請求項15に記載の処理システム。
【請求項18】
前記第1結果信号と前記第2結果信号とを取得することが、
前記一組の回転電極から前記第1結果信号を取得することと、
前記一組の回転電極から前記第2結果信号を取得することと、
を含み、
前記第1結果信号が、前記ノブインタフェースと相互作用する一組の基準信号電極に基準信号を供給することなく取得され、
前記第2結果信号が、前記一組の基準信号電極への前記基準信号の供給に応じて取得される、
請求項15に記載の処理システム。
【請求項19】
前記第1結果信号と前記第2結果信号とを取得することが、
前記一組の回転電極と一以上の追加電極に検知信号を供給することと、
前記一組の回転電極から、前記検知信号に対応する前記第1結果信号を取得することと、
前記一以上の追加電極から、前記検知信号に対応する前記第2結果信号を取得することと、
を含み、
前記一組の回転電極は、交互に設けられた導電性領域及び非導電性領域を備える周辺リングに電気的に接触しており、
前記一以上の追加電極が、前記周辺リングに電気的に接触していない
請求項15に記載の処理システム。
【請求項20】
プロセッサ実行可能命令を格納する非一時的コンピュータ読み取り可能媒体であって、
前記プロセッサ実行可能命令が、実行されたときに、下記の実行:
前記ノブインタフェースと相互作用する一組の回転電極を使用して、第1結果信号と第2結果信号とを取得すること、
前記第1結果信号と前記第2結果信号を使用して前記ノブインタフェースの初期状態を判定すること、
前記一組の回転電極を使用して、前記ノブインタフェースが前記初期状態から第1の回転状態まで回転されることに少なくとも部分的に基づいて、前記ノブインタフェースの前記第1の回転状態を示す第3結果信号を取得すること、
前記第1結果信号、前記第2結果信号及び前記第3結果信号を使用して前記ノブインタフェースの回転方向を判定すること、及び、判定された前記回転方向を使用して設定を調整することを容易化する
非一時的コンピュータ読み取り可能媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全体として、回転可能ノブインタフェースに関する。
【背景技術】
【0002】
近接検知装置を備える入力装置は、様々な電子システムで使用され得る。近接検知装置は、面によって画定された検知領域を含むことがあり、近接検知装置は、この検知領域における1以上の入力物体の存在、位置、力及び/又は動きを判定する。近接検知装置は、電子システム用のインタフェースを提供するために使用され得る。例えば、近接検知装置は、ノートブックコンピュータ若しくはデスクトップコンピュータに組み込まれた、又はそれらの周辺機器としてのタッチパッドなどの、より大型のコンピューティングシステム用の入力装置として使用され得る。近接検知装置は、しばしば、携帯電話に組み込まれたタッチスクリーン等、より小型のコンピューティングシステムでも使用され得る。また、近接検知装置は、自動車のマルチメディアエンタテインメントシステムの一部として実装されてもよい。このような場合、ノブを近接検知装置に接続すると便利である。
【0003】
従来、ノブインタフェースは、方向(例えば、ノブが時計回りに回転されているか反時計回りに回転されているか)を判定する前に、2つの状態(例えば、2つの戻り止め又は分解能)だけ回転する必要がある直交エンコーダ回転システムを含んでいることがある。ただし、ユーザは単一の状態だけ設定(例えば、ファン、温度及び/又は音量)を調整しようとする場合がある。ユーザが単一の状態だけノブを回転させる場合、方向(例えば、時計回り又は反時計回り)が不明なため、システムが設定を調整できない場合がある。
【発明の概要】
【0004】
本概要は、以下で更に説明される概念の選択を、簡略化した形式で紹介するために提供される。本概要は、本開示の主要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図したものではない。本開示は、下記の様々な態様及び実施形態を含むことがある。
【0005】
一の例示的な実施形態では、本開示は方法を提供する。該方法は、処理システムによって、ノブインタフェースと相互作用する一組の回転電極を使用して、第1結果信号と第2結果信号とを取得することと、処理システムによって、第1結果信号と第2結果信号を使用してノブインタフェースの初期状態を判定することと、処理システムによって、該一組の回転電極を使用して、ノブインタフェースが初期状態から第1の回転状態まで回転されることに少なくとも部分的に基づいて、ノブインタフェースの第1の回転状態を示す第3結果信号を取得することと、処理システムによって、第1結果信号、第2結果信号及び第3結果信号を使用してノブインタフェースの回転方向を判定することと、処理システムによって、判定された回転方向を使用して設定を調整することと、を含む。
【0006】
他の例示的な実施形態において、本開示は、ノブインタフェースの回転方向を判定するための処理システムを提供する。該処理システムは、一以上のプロセッサと、プロセッサ実行可能命令を格納している非一時的コンピュータ読み取り可能媒体とを備えている。該プロセッサ実行可能命令は、該一以上のプロセッサによって実行されたときに、ノブインタフェースと相互作用する一組の回転電極を使用して、第1結果信号と第2結果信号とを取得すること、第1結果信号と第2結果信号を使用してノブインタフェースの初期状態を判定すること、該一組の回転電極を使用して、ノブインタフェースが初期状態から第1の回転状態まで回転されることに少なくとも部分的に基づいて、ノブインタフェースの第1の回転状態を示す第3結果信号を取得すること、第1結果信号、第2結果信号及び第3結果信号を使用してノブインタフェースの回転方向を判定すること、及び、処理システムによって、判定された回転方向を使用して設定を調整すること、の実行を容易化する。
【0007】
更に他の例示的な実施形態では、本開示は、プロセッサ実行可能命令を格納している非一時的コンピュータ読み取り可能媒体を提供する。該プロセッサ実行可能命令は、実行されたときに、ノブインタフェースと相互作用する一組の回転電極を使用して、第1結果信号と第2結果信号とを取得すること、第1結果信号と第2結果信号を使用してノブインタフェースの初期状態を判定すること、一組の回転電極を使用して、該ノブインタフェースが初期状態から第1の回転状態まで回転されることに少なくとも部分的に基づいて、ノブインタフェースの第1の回転状態を示す第3結果信号を取得すること、第1結果信号、第2結果信号及び第3結果信号を使用してノブインタフェースの回転方向を判定すること、及び、処理システムによって、判定された回転方向を使用して設定を調整すること、の実行を容易化する。
【0008】
更なる特徴及び態様について、図面を参照しながら以下で更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の一以上の実施例による、回転可能ノブインタフェースを備えた例示的な入力装置を図示している。
【0010】
図2図2は、本開示の一以上の実施例による、例示的な回転可能ノブインタフェースの側面断面図を図示している。
【0011】
図3図3は、本開示の一以上の実施例による、図2の例示的な回転可能なノブインタフェースの分解図を図示している。
【0012】
図4A図4Aは、本開示の一以上の実施例による、第1の組の基準電極及びおよび2組の検知電極を備える図3の例示的な回転可能ノブインタフェースの固定基部の下面図を図示している。
【0013】
図4B図4Bは、本開示の一以上の実施例による、2組の電極を有する電極グリッドを備える入力装置の一部分の例を図示している。
【0014】
図4C図4Cは、本開示の一以上の実施例による、図4Bの例示的なセンサグリッドの上方に配置されたときの図4Aの例示的な回転可能ノブインタフェースの固定基部を図示している。
【0015】
図5図5は、本開示の一以上の実施例による、図3及び4A~4Cの例示的な固定基部の斜視上面図、底面図、及び、別の上面図を示す。
【0016】
図6A図6Aは、本開示の一以上の実施例による、図3に示される例示的な固定基部及び例示的なプラスチック軸受の分解図及び折り畳み図を図示している。
【0017】
図6B図6Bは、本開示の一以上の実施例による、例示的な平坦なリング状軸受の上に設けられた図3の例示的な回転ホイールを追加した、図6Aに示されたそれぞれの分解図及び折り畳み図を示す。
【0018】
図7A図7Aは、本開示の一以上の実施例による、図3の回転ホイールの詳細な底面図である。
【0019】
図7B図7Bは、本開示の一以上の実施例による、図7Aの回転ホイールの詳細な上面図である。
【0020】
図8図8は、本開示の一以上の実施例による、図5及び図7Aにそれぞれ示されるような例示的な固定基部の上面図及び例示的な回転ホイールの底面図と、それらの間の容量性結合を示す図である。
【0021】
図9図9は、本開示の一以上の実施例による、固定基部の上部の外側領域の導電パッドの例示的なチャネル割り当てを図示している。
【0022】
図10図10は、本開示の一以上の実施例による、例示的な回転ホイールと図9の例示的な固定基部の上面との相互作用によって生成され得る例示的なデジタル化された直交エンコーダ信号を図示している。
【0023】
図11A図11Aは、本開示の一以上の実施例による、図9の固定基部の上部の「A」と「B」で示されている導電パッドと回転ホイールの底部との間の4つの例示的な結合状態を図示している。
【0024】
図11B図11Bは、本開示の一以上の実施例による、図9の固定基部の上部の2つの外側領域の導電パッド間の例示的な距離を図示している。
【0025】
図12図12は、本開示の一以上の実施例による、回転可能ノブインタフェースの回転方向を判定するための例示的なプロセスのフローチャートである。
【0026】
図13図13は、本出願の一以上の実施例による、回転可能ノブインタフェースの回転方向を判定するための例示的なプロセスの別のフローチャートである。
【0027】
図14図14は、本出願の一以上の実施例による、回転可能ノブインタフェースの回転方向を判定するための例示的なプロセスの更に別のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の詳細な説明は本質的に例示的なものであり、本開示又は本開示の適用及び用途を限定することを意図するものではない。更に、前述の背景、概要及び図面の簡単な説明、又は、以下の発明の実施の形態で提示された如何なる明示され、又は、暗示されている理論にも拘束される意図はない。
【0029】
以下の詳細な説明では、開示される技術のより完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細が記載される。しかしながら、開示された技術がこれらの具体的な詳細が無くても実施され得ることは当業者には明らかであろう。場合によっては、説明が不必要に複雑になるのを避けるために、周知の機能については詳細に説明していない。
【0030】
本開示の様々な実施例は、二以上の状態ではなく単一の状態(例えば、単一の戻り止め又は単一の解像度)の後に、ユーザによって回転されているノブの方向を判定する入力装置および方法を提供する。例えば、本開示は、ノブの回転を検出するために使用されるノブ検知パッドの初期状態を判定する。ノブ検知パッドは、ノブ検知パッドの下の検知タッチピクセルの値を検出することがある。これらの値は、ノブの導電パッドが接地されているかどうかに依存して変化する可能性がある。ノブ検知パッドの初期状態を判定した後、本開示はノブの初期状態を判定し、ノブの初期状態を使用して単一の分解能の後で回転方向を判定することがある。
【0031】
例えば、従来、様々なアプリケーション(例えば、自動車アプリケーション等)は、回転を検出するために直交エンコーダ信号を使用することがある。2つの異なるチャネルに対し、指定された量だけ位置がオフセットされた4つの固有の状態がある。ユーザがノブを回すと、各チャンネルについてステップ信号が生成される(例えば、「0」又はLow、「1」又はHigh等)。回転方向は、各チャネルからの信号を分析することによって判定され得る。しかしながら、前述したように、従来のシステムでは、システムが回転方向を判定可能になる前に、ノブを2つの状態(例えば、2つの分解能又は2つの戻り止め)だけ回転させる必要がある。
【0032】
したがって、本開示は、ノブが単一の状態(例えば、単一の分解能又は戻り止め)だけ回転された後に、ノブの回転方向を判定する。例えば、本開示は、起動時にノブの初期状態を判定することによって、単一の状態だけの回転の後でノブの回転方向を決定し、これにより、方向を識別するために必要な戻り止めの数を2つの状態から単一の状態に減少させる。したがって、他の利点の中でも、本開示の入力装置は、ノブが単一の状態だけ回転された後にノブの回転方向を決定し得るため、本開示は、より良いユーザエクスペリエンスを提供する。例えば、ユーザは、単一の状態だけ設定(例えば、音量又はファン速度)を調整しようとする場合がある(例えば、音量を「15」から「14」に下げる、またはファン速度を「5」から「4」に下げる)。しかし、従来のシステムでは、ユーザがノブを1つの状態だけ回転させた場合には、設定を増加させるべきか減少させるべきか(例えば、音量を「15」から「14」に下げるべきか、又は、「15」から「16」に上げるべきか)を判定できないであろう。したがって、本開示の態様は、ノブが単一の状態だけ回転された後でノブの回転方向を判定することがあり、これにより、より良いユーザエクスペリエンスを提供する。ノブインタフェースの例は、「回転可能ノブインタフェース」と題する米国特許第10,921,913号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0033】
図1は、本開示の一以上の実施例による電子デバイス(例えば、入力装置)を示すブロック図である。電子デバイス100は、電子システムに入力を提供する、及び/又は、一以上のデバイスを更新するように構成され得る。本願で使用される「電子システム」(又は「電子デバイス」又は「入力装置」)という用語は、情報を電子的に処理可能な任意のシステムを広く指している。電子システムの非限定的な例としては、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ネットブックコンピュータ、タブレット、ウェブブラウザ、電子ブックリーダー及び携帯情報端末(PDA)等、あらゆるサイズ及び形状のパーソナルコンピュータが挙げられる。追加の電子システムの例としては、電子デバイス100と、別個のジョイスティック又はキースイッチとを備える物理キーボードのような複合入力装置が挙げられる。更なる電子システムの例としては、データ入力装置(リモコン及びマウスを含む)及びデータ出力装置(表示スクリーン及びプリンタを含む)等の周辺機器が挙げられる。その他の例としては、リモート端末、キオスク端末、及び、テレビゲーム機(例えば、テレビゲームコンソール、携帯ゲーム機等)が挙げられる。その他の例としては、通信装置(スマートフォン等の携帯電話を含む)及びメディア機器(レコーダ、エディタ、テレビ、セットトップボックス、音楽プレーヤ等のプレーヤ、デジタルフォトフレーム及びデジタルカメラを含む)が挙げられる。加えて、電子システムは、入力装置に対してホスト又はスレーブであり得る。他の実施形態では、電子システムが自動車の一部であってもよく、電子デバイス100は、自動車の一以上の検知装置を表している。場合によって、自動車が複数の電子デバイス100を含んでもよく、各電子デバイス100は、他の電子デバイスと互いに異なる構成であり得る。
【0034】
電子デバイス100は、電子システムの物理部分として実装されてもよく、又は、電子システムから物理的に離れていてもよい。電子デバイス100は、必要に応じて、バス、ネットワーク及びその他の有線又は無線による相互接続手段のうちの任意の一以上を用いて、電子システムの一部と通信してもよい。通信プロトコルの例としては、IC(Inter-Integrated Circuit)、SPI(Serial Peripheral Interface)、PS/2(Personal System/2)、USB(Universal Serial Bus)、Bluetooth(登録商標)、RF(Radio Frequency)及びIrDA(Infrared Data Association)通信プロトコルが挙げられる。
【0035】
いくつかの変形例では、電子デバイス100が、ユーザ入力を検出するためにセンサコンポーネント及び検知技術の任意の組み合わせを利用し得る。例えば、図1に示すように、電子デバイス100は、物体を検出し、又は、一以上のデバイスを更新するように駆動されることがある一以上の電極125を備えている。いくつかの例では、電極125は、容量性検知装置のセンサ電極である。このような場合、電極125は、一以上の共通電圧電極を含んでいる。他の例では、センサ電極125が、画像検知装置、レーダ検知装置又は超音波検知装置の電極である。更に、電極125は、表示装置の表示電極であってもよい。いくつかの実施例では、電子デバイス100の電極125は共通電極からなり、共通の形状を有する。本明細書で説明される実施例の一部には、マトリックスセンサ入力装置が含まれる。以下に詳細に説明するように、電子デバイス100には、電極125の一部又はすべてと相互作用することがある回転可能ノブインタフェース150が設けられることがある。
【0036】
センサ電極125は、任意の形状、サイズ、及び/又は向きを有し得る。例えば、センサ電極125は、図1に図示されるように二次元アレイに配置されてもよい。センサ電極125のそれぞれは、実質的に長方形の形状であってもよい。他の実施例では、センサ電極125が他の形状を有してもよい。更に、センサ電極125のそれぞれが、同じ形状及び/又はサイズを有してもよい。他の実施例では、少なくとも1つのセンサ電極が、別のセンサ電極とは異なる形状及び/又はサイズを有することがある。変形例によっては、センサ電極125が、ダイヤモンド形状であり、電界カップリングを増大させるために相互嵌合フィンガーを有していてもよく、及び/又は、近くの導電体への浮遊容量を低減するために内部に浮遊カットアウトを有していてもよい。
【0037】
場合によっては、容量性実装が、センサ電極と入力物体の間の容量カップリングの変化に基づく「自己容量」(又は「絶対容量」)検知法を使用することがある。様々な実施例において、例えば、指又はスタイラス145のような、センサ電極の近くの入力物体は、センサ電極125の近くの電界を変化させ、従って、測定される容量カップリングを変化させる。場合によっては、絶対容量検知法は、基準電圧(例えば、システム接地)に対してセンサ電極を変調し、センサ電極と入力物体との間の容量カップリングを検出することによって作動する。
【0038】
いくつかの変形例では、容量性実装が、センサ電極間の容量カップリングの変化に基づく「相互容量」(又は「トランス容量」)検知法を使用することがある。場合によっては、センサ電極の近くの入力物体が、センサ電極間で電界を変化させ、従って、測定される容量カップリングを変化させる。いくつかの実施例では、トランス容量検知法が、一以上のトランスミッタセンサ電極(「トランスミッタ電極」又は「トランスミッタ」ともいう)と一以上のレシーバセンサ電極(「レシーバ電極」又は「レシーバ」ともいう)との間の容量カップリングを検出することによって作動する。トランスミッタセンサ電極は、トランスミッタ信号を送信するために、基準電圧(例えば、システム接地)に対して変調されることがある。レシーバセンサ電極は、基準電圧に対して実質的に一定に保持されるか、又は、結果信号の受信を容易にするためにトランスミッタセンサ電極を基準にして変調されることがある。結果信号は、一以上のトランス容量検知信号及び/又は一以上の環境干渉源(例えば、他の電磁信号)に対応する効果を含み得る。センサ電極は、専用のトランスミッタ又はレシーバであってもよく、送信と受信の両方を行うように構成されてもよい。
【0039】
容量性検知装置は、入力装置に近接し、及び/又は、接触した入力物体を検出するために使用され得る。加えて、及び/又はその代わりに、容量性検知装置が指紋の特徴を検知するために使用されることがある。加えて、及び/又はその代わりに、図1の実施例のように、容量性検知装置に容量性検知装置に電気的に結合された回転ノブインタフェースが設けられており、回転ノブの回転位置を検知するために使用されることがある。回転可能ノブインタフェースを含むいくつかの実施例では、回転可能ノブインタフェースが、ホーム位置と押下位置を有することがあり、検知デバイスは、電極125のうちの一以上の容量カップリングの変化に基づいて、回転可能ノブが、何時、ホーム位置にあり、何時、押下位置にあるかを判定するために使用されることがある。
【0040】
電子デバイス100は、更に、処理システム110を備えている。処理システム110は、電子デバイス100のハードウェアを作動させるように構成される。処理システム110は、信号発生器を含むことがあるドライバモジュール140(例えば、ドライバデバイス)を備えている。いくつかの実施例では、ドライバモジュール140が、電極125を駆動するための検知信号を生成する。場合によっては、処理システム110が、一以上の集積回路(IC)及び/又は他の回路コンポーネントの一部又は全部を備えている。
【0041】
いくつかの変形例では、処理システム110が、ファームウェアコード、ソフトウェアコード等の電子的に読み取り可能な命令も備えている。場合によっては、処理システム110のコンポーネントが、例えば電子デバイス100の検知素子の近く等に、纏めて配置される。他の例では、処理システム110のコンポーネントが、電子デバイス100の検知素子に近接する一以上のコンポーネント及び他のどこかにある一以上のコンポーネントと物理的に分離されている。例えば、電子デバイス100は、デスクトップコンピュータに結合された周辺機器であってもよく、処理システム110は、デスクトップコンピュータの中央処理装置(CPU)上で実行されるように構成されたソフトウェアと、CPUとは別個の一以上の集積回路(IC)(おそらくは関連するファームウェアを伴う)とを備えていてもよい。別の実施例として、電子デバイス100が電話機に物理的に統合されてもよく、処理システム110が、電話機のメインプロセッサの一部である回路及びファームウェアを備えてもよい。さらに、処理システム110が自動車内に実装されてもよく、処理システム110は、自動車の一以上の電子制御ユニット(ECU)の一部である回路及びファームウェアを備えていてもよい。実施例によっては、処理システム110が、電子デバイス100の実装専用であるものもある。他の実施例では、処理システム110が、表示画面の操作、触覚アクチュエータの駆動、及び/又は他の機能の実行等、他の機能も実行する。
【0042】
処理システム110は、(例えば、ドライバモジュール140又は判定モジュール141のような)処理システム110の異なる機能を作動させる一以上のモジュール(例えば、デバイス)として実装され得る。各モジュールは、処理システム110の一部である回路、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせを備えることがある。様々な例において、モジュールの様々な組み合わせが使用されることがある。モジュールの例としては、センサ電極や表示画面等のハードウェアを操作するためのハードウェア操作モジュール、センサ信号や位置情報等のデータを処理するためのデータ処理モジュール、情報を報告するための報告モジュールが挙げられる。さらなるモジュールの例としては、入力を検出するために検知素子を作動させるように構成されたセンサ作動モジュール、モード変更ジェスチャ等のジェスチャを識別するように構成された識別モジュール、及び、動作モードを変更するためのモード変更モジュールが挙げられる。場合によっては、電子デバイス100が、一のチップとして、又は、一以上のチップとして実装され得る。実施例によっては、電子デバイス100が、電子デバイス100のコントローラ又はコントローラの一部を備えることがある。
【0043】
場合によっては、表示ドライバ(例えば、ドライバモジュール140)が、表示更新及び入力検知の両方のために構成されてもよく、例えば、タッチ及び表示ドライバ統合(TDDI)技術を含むと称されることがある。このような場合、ドライバモジュール140が、TDDIチップ又はTDDIチップの一部として実装されることがある。実施例によっては、電子デバイスがマトリックスセンサを備えていてもよく、また、TDDI技術を備えていてもよい。
【0044】
いくつかの変形例では、処理システム110が、判定モジュール141(例えば、判定デバイス)を更に備えている。判定モジュール141は、変調された各センサ電極と入力物体145等の入力物体との間の容量カップリングにおける変化を結果信号から判定するように構成されることがある。場合によっては、異なる結果信号が各センサ電極から同時に受信されるか、又は、共通の結果信号が二以上のセンサ電極から受信されるように、センサ電極125のすべてが絶対容量検知のために同時に作動されることがある。他の例では、センサ電極125の一部が、第1期間に絶対容量検知のために作動されることがあり、センサ電極125の他の電極が、第1期間と重ならない第2期間に絶対容量検知のために作動されることがある。
【0045】
いくつかの変形例では、処理システム110が、一以上のアクションを起こすことによって、ユーザ入力(又はユーザ入力の欠如)に直接に応答する。アクションの例としては、操作モードの変更の他、カーソルの移動、選択、メニューナビゲーション及びその他の機能のようなグラフィックユーザーインターフェイス(GUI)アクションが挙げられる。場合によっては、処理システム110が、入力(又は入力の欠如)に関する情報を電子システムのある部分に(例えば、もし、そのような別個の中央処理システムが存在するのであれば、処理システム110とは別個の電子システムの中央処理システムに)提供する。いくつかの実施例では、電子システムのある部分が、モード変更アクション及びGUIアクションを含む全範囲のアクションを容易にする等、ユーザ入力に作用するために処理システム110から受信した情報を処理する。更に、場合によっては、処理システム110が、一以上の入力物体145、及び、これらの物体までの距離を識別するように構成される。場合によっては、処理システム110が、ノブインタフェース150の一以上の回転変化又はノブインタフェース150の状態の一以上の変化、又はその両方を識別(判定)し、それらの変化をアクションにマッピングするように構成される。加えて、及び/又はその代わりに、処理システム110は、ノブインタフェース150の初期状態を判定するように構成される。処理システム110は、ノブインタフェース150の初期状態を使用して、ノブインタフェース150の一状態だけの変化後(例えば、ユーザがノブインタフェース150を単一の解像度又は単一の戻り止めだけ回転させた後)、ノブインタフェースの回転方向(例えば、時計回り又は反時計回り)を判定するように構成される。
【0046】
例えば、場合によっては、処理システム110は、電極125を作動させて、検知領域における入力(又は入力の欠如)を示す電気信号(結果信号)を生成する。処理システム110は、電子システムに提供される情報を生成する際に、該電気信号に対して適切な量の任意の処理を実行することがある。例えば、処理システム110は、電極125から得られたアナログ電気信号をデジタル化することがある。別の実施例として、処理システム110は、フィルタリング又は他の信号調整を実行することがあり、又は、更に別の実施例として、該情報が電気信号とベースラインとの間の差を反映するように、処理システム110が、ベースラインを減算するか、さもなければ補償することがある。更に別の実施例として、処理システム110は、位置情報を決定し、入力をコマンドとして認識し、手書きを認識し、指紋情報、対象物体までの距離等を認識することがある。
【0047】
本開示の多くの実施例は、完全に機能する装置の文脈で説明されているが、本開示の機構は、様々な形式のプログラム製品(例えば、ソフトウェア)として配布可能であることが理解されるべきである。例えば、本開示の機構は、電子プロセッサによって読み取り可能な情報担持媒体(例えば、処理システム110によって読み取り可能な非一時的コンピュータ読み取り可能及び/又は記録可能/書き込み可能情報担持媒体)上のソフトウェアプログラムとして実装および配布され得る。加えて、及び/又はその代わりに、本開示の実施例は、配布を実行するために使用される具体的な媒体の種類に関係なく、同様に適用される。非一時的電子的読み取り可能媒体の例としては、様々なディスク、メモリスティック、メモリカード、メモリモジュール等が挙げられる。電子的読み取り可能媒体は、フラッシュ、光学、磁気、ホログラフィック、又は任意の他のストレージ技術に基づいていてもよい。
【0048】
場合によっては、処理システム110が、表示更新期間及び入力検知期間に、それぞれ、電極125を駆動するための電圧信号を生成するように構成される。このような場合、表示更新期間に電極125を駆動するために生成される電圧信号は、実質的に一定、又は固定電圧であり、入力検知期間に電極125を駆動するために生成される電圧信号は、周期的に変化する電圧を有する波形を有しており、検知信号と呼ばれることがある。実施例によっては、表示更新期間に電極125を駆動するための電圧信号の値が、予め決定されていてもよい。例えば、電圧値は、電子デバイス100及び/又は電極125の製造業者によって提供されてもよく、電子デバイス100についてデバイス固有であってもよい。
【0049】
場合によっては、ドライバモジュール140が、検知信号を供給するように構成された回路を備えている。例えば、ドライバモジュール回路が、発振器、一以上の電流コンベヤ及び/又はデジタル信号発生器回路を備えている場合がある。いくつかの実施例では、ドライバモジュール140の回路が、クロック信号、発振器の出力、及び上述のパラメータに基づいて電圧信号を生成する。
【0050】
上述したように、場合によっては、ドライバモジュール140が、表示更新期間及び入力検知更新期間のそれぞれの間に電極125を駆動するための信号を生成する。このような場合、入力検知更新期間は、2つの表示更新期間の間に設けられて、表示更新期間よりも短い継続時間を有する。このような場合、表示フレームごとに、いくつかの表示更新期間と入力検知更新期間が設けられる。いくつかの実施例では、連続する入力検知期間に渡って結果信号を取得することにより、回転可能ノブインタフェース150の回転と共に、それがホーム状態にあるか押下状態にあるかを追跡することができる。
【0051】
上述したように、いくつかの変形例では、例えば回転可能ノブインタフェース150等の追加の入力装置が、電子デバイス100の表示パネル120の上に設けられてもよく、その近く又は下に位置する電極125の一部又は全てに電気的に結合されてもよい。場合によっては、該追加の装置が、指又はスタイラス145で表示画面に触れる又は表示画面の近くをホバリングする以外の、電子デバイス100に入力を提供するための代替的な方法をユーザに提供することがある。図1に示される例では、回転可能ノブインタフェース150が、表示パネル120上に取り付けられ、表示パネル120と(図1に示すように)完全に又は部分的に重なってもよい。言及したように、一以上の実施例では、回転可能ノブインタフェース150が、検知信号が供給される一以上の組の電極、及び、基準信号が供給される一以上の組の電極等、表示パネル120の各組の電極と結合するように構成された様々な結合電極の組が設けられた固定基部を有してもよい。いくつかの変形例では、固定基部は、対応する結合電極の組にそれぞれに接続された異なる導電性領域を含んでもよい。
【0052】
場合によっては、回転可能ノブインタフェース150は、固定基部の上方に位置し、固定基部に対して回転する回転ホイールも含む。このような場合、回転ホイールの下面は、固定基部の導電性領域と回転ホイールの周辺領域152の様々な導電性及び非導電性領域との間に様々な電気的結合が存在するように固定基部の導電性領域と位置整合するように構成された、周辺領域152内の様々な導電性領域および非導電性領域でパターン化される。これらの構成要素は、更に、表示パネル上で受信される結果信号への電気的結合の変化の影響を検出することによって、電子デバイス100(例えば、入力装置)がノブインタフェース150の回転又は回転の変化を判定し得るように、回転ホイールが回転するとこれらの電気的結合が変化するように構成される。場合によっては、パターン化された領域152には、導電性領域及び非導電性領域の多数の可能な配置例があり、回転ホイールが回転されたときに回転ホイールと固定基部とを電気的に相互作用させる様々な方法があり得る。従って、固定基部の両導電性領域の代替的な構成及び相対的配置、並びに回転ホイールの導電性領域及び非導電性領域の配置が可能であり、全てが本開示の範囲内である。
【0053】
いくつかの実施例では、ユーザによって回転可能ノブインタフェースに与えられる回転が、相対的表現又は絶対的表現のいずれかで、電子デバイス100によって検出され得る。場合によっては、回転可能ノブインタフェース150は、ユーザによって下方に押下されることもあり、従って、ホーム又は「非押下」位置と、例えば一以上の付勢バネに抗してノブインタフェース150を押し下げることによってユーザが維持する「押下」位置という2つの位置を有し得る。場合によっては、回転可能ノブインタフェース150がカバーを有している。いくつかの変形例では、回転可能ノブインタフェースが、複数の位置で静止するように押下されてもよく、従って、「非押下」位置と「完全押下」位置との間に複数の状態を有することがある。ホーム位置では、カバーが、押下位置におけるよりも回転ホイールの上方の距離が大きくなる。いくつかの変形例では、回転ホイールが、回転ホイールとカバーとの間に設けられたいくつかのスイッチを有してもよく、これらのスイッチが付勢バネを含んでもよい。このような変形例では、回転可能ノブインタフェース150には、検知信号で駆動もされる入力装置の電極に結合する第4の組の結合電極が設けられてもよい。図1の実施例では、第4の組の結合電極が、固定基部に設けられた内側リングに接続される。該内側リングは、回転ホイールに設けられた同様の形状の内側リング153と位置合わせされる。このような実施例では、ユーザが回転可能ノブインタフェースのカバーを押し下げて回転可能ノブインタフェース150が「押下」位置になると、回転ホイールの内側リング153をパターン領域152に設けられた導電性領域の全てと接続するようにスイッチが閉じる。これは、固定基部の第4の組の結合電極を固定基部の第1の組の結合電極に電気的に接続する働きをし、それによって表示パネルの対応する第4の組の電極を基準信号に接続する。しかしながら、ユーザがカバーを押すのをやめると、ノブインタフェースの第4の組の結合電極が単にフローティングになる。場合によっては、回転の方向及び程度と共に、ユーザが回転可能ノブインタフェース150を押し下げたこと、又は押し下げるのを止めたことが、例えば判定モジュール141等の処理システム110によって解釈されることがあり、様々なユーザ入力アクション、信号、又は、指令にマッピングされてもよい。
【0054】
場合によっては、ユーザは、回転可能ノブインタフェース150を、例えば、回転可能ノブインタフェースの外側ハウジングを掴んで回す、回転可能ノブインタフェースの上部、又は、回転可能ノブインタフェースの側面から突出しているフランジを掴んで回す、又は、回転可能ノブインタフェースの上面の凹んだチャネルの中又は上に一以上の指先を置く等、様々な方法で回転させ得る。
【0055】
場合によっては、図1の電子デバイス100は、自動車に設けられてもよい。例えば、電子デバイス100は、ダッシュボードの中央部に設けられた略垂直な表示画面に固定されてもよい。変形例によっては、回転ノブインタフェース150によって物理的にブロックされていない全ての電極が、電極125が領域155(後述する)の内側にあるか外側にあるかに関わらず、アクティブのままである。従って、そのような変形例では、ノブから離れた位置のタッチとノブの回転の両方が電極125によって同時に検出され、報告される。
【0056】
実施例によっては、回転可能ノブインタフェース150を介して受信されるもの以外の他のすべての形のユーザ入力が電子デバイス上で無効化され得る。従って、そのような実施例では、電極125が、標準的な検知機能を実行するために検知期間に駆動されない。その結果、指又は他の物体145がその近傍に移動したり、近傍から遠ざかったりしても、結果信号は取得されないか、取得されたとしても処理されない。このような実施例では、これは、安全対策として、自動車の運転者が運転中にディスプレイ120に触れようとするのを防止し、従って、回転可能ノブインタフェース150を介してのみ電子デバイス100と相互作用するように実施され得る。このような実施例では、電極125の標準的な検知機能の無効化が、自動車の特定のアクティビティの間に実施され、他の活動中には実施されないことがある。例えば、電極125の標準的な検知機能の無効化は、自動車が実際に動いている間に実施され得るが、それ以外のときは常に、電極125の一部、例えば、回転ノブインタフェースから取得される信号と干渉するほど回転可能ノブインタフェースに十分近くない電極125は、上述したように、標準的な検知を実行するように作動されることがある。
【0057】
場合によっては、自動車の実際の運転中であっても、場合によっては常に、全ての電極125が標準的な検知から無効にされている場合、自動車の運転者が電子デバイス100に入力を供給できる唯一の方法が、回転可能ノブインタフェース150の所定の組の回転及び/又は押下を使用して、回転可能ノブインタフェース150を介することである。これらの動きは、検知期間に電子デバイス100によって受信される結果信号を修正し、電子デバイス100は、例えば判定モジュール141を使用してそれらを解釈する。結果信号は、回転ノブインタフェース150の容量カップリングによって修正された後では、ドライバモジュール140が電極125を駆動する感知信号と同じ信号であり得る。
【0058】
場合によっては、例えば、電極125の一部、特に回転ノブインタフェース150の近く又はその下にある電極125のみが標準的な容量性検知が無効にされ、電子デバイス100上の電極125の残りの部分は、依然として標準的な容量性検知に対して作動可能であり得る。そのような場合、標準的な容量性検知が無効にされる電極は、回転可能ノブインタフェース150に十分に近い電極であり、そのため、標準的な検知信号でそれらの電極を駆動すると、回転可能ノブインタフェース150の結合電極にそれぞれに電気的に結合される様々な組の電極125から得られる結果信号と干渉する可能性がある。この特徴を説明するために、図1には、破線の境界155が示されている。境界155内の電極125は「停電ゾーン」にあり、標準的な検知信号では駆動されない。むしろ、以下に詳細に説明するように、回転可能ノブインタフェースに電気的に結合された停電ゾーン内の任意の電極は、以下に説明するように、回転可能ノブインタフェースの回転及び押下を捕捉するように駆動される。
【0059】
一般に、停電ゾーン内では、電極125の第1、第2及び第3の組が、回転ノブインタフェース150の固定基部の対応する第1、第2及び第3の組の結合電極に結合される。場合によっては、回転ノブインタフェース150の固定基部と回転ホイールとのその時点で存在する相対的な回転関係によって修正された結果信号を取得するために、第1の組が基準信号で駆動され、第2及び第3の組が検知信号で駆動される。したがって、これらのそれぞれの場合において、停電ゾーンの境界155内の電極は、標準的な容量検知が常に無効されることがある。
【0060】
更に、上述したように、電子デバイス100の複数の電極は、回転可能ノブインタフェース150の、対応する組の結合電極に電気的に結合される。したがって、入力検知期間中、基準信号がドライバモジュール140によって第1の組の電極125に供給され、検知信号が第2及び第3の組の電極125に供給される。場合によっては、基準信号が、処理システム110によって供給される設定可能な直流(DC)出力であってもよい。いくつかの実施例では、DC信号が、電子デバイス100の接地信号であり得る。変形例によっては、結果信号が、電極125の第2及び第3の組のそれぞれから得られる。ここで、結果信号は、回転可能ノブインタフェース150の回転状態によって修正される検知信号である。結果信号は、回転可能ノブインタフェース150の回転を判定するために判定モジュール141によって解釈される。例えば、処理システム110は、結果信号を使用して、ユーザが回転ノブインタフェース150を回転させた状態(例えば、戻り止め又は解像度)の数と共に、回転の方向を判定することがある。更に、起動時に(例えば、ユーザがノブインタフェース150を回転させる前の任意の時点)、処理システム110は、回転可能ノブインタフェース150の初期状態を判定することがある。例えば、処理システム110は、第2及び第3の組の電極から結果信号を取得することがある。複数のフレームから得られた信号の比較に基づいて、処理システム110は、ノブインタフェース150の初期状態を判定することがある。続いて、処理システム110は、ユーザがノブインタフェース150を回転させることに関連付けられたノブインタフェースの新しい状態を判定することがある。ノブインタフェース150の初期状態とノブインタフェース150の新しい状態とを比較することによって、処理システム110がノブインタフェース150の回転方向を判定することがある。従って、処理システム110は、回転方向を決定するために、ノブインタフェース150の初期状態(例えば、ノブインタフェース150が未だ回転されていないときの状態)と、ユーザによる回転中のノブインタフェース150の1つの追加の状態とを使用するため、方向を決定するためにノブインタフェース150の2つの別個の状態の回転を必要としない。
【0061】
加えて、及び/又はその代わりに、処理システム110は、ノブインタフェース150に関連する追加の検知電極から追加の結果信号を取得してもよい。例えば、第1の組の電極と第2/第3の組の電極との間に、一以上の検知電極に結合された検知ピクセルの空の列(例えば、以下の図4Aの空の列412)があってもよい。これらの検知電極から得られる結果信号と共に、第2及び/又は第3の組の電極から得られる結果信号を使用して、処理システム110は、ノブインタフェース150の初期状態を判定する。ノブインタフェース150の初期状態及びノブインタフェース150の追加状態を使用して、処理システム110は、ノブインタフェース150の回転方向を判定する。これについては、以下で更に詳細に説明する。
【0062】
図2は、本開示の一以上の実施例による、例示的な回転可能ノブインタフェースの側面断面図を示す。例えば、底部から始めて、当該回転可能ノブインタフェースは、固定基部231を備えている。場合によっては、固定基部231は、ユーザが例示的ノブインタフェースを回転させても動かない。従って、実施例によっては、固定基部231が、例えば接着剤等によって、例示的な入力装置の表面に貼り付けられる。変形例によっては、固定基部231が、半永久的又は永久的に入力装置に取り付けられ、入力装置に設けられた電極のグリッドと位置整合するようにその上に配置される。固定基部231の上方には回転ホイール230が設けられている。回転ホイール230は、以下に説明するように、例えば、ユーザがカバーキャップ215を掴んで回すことによってノブインタフェースを回転させると回転する。回転ホイール230の内側には、垂直リング軸受225が設けられている。垂直リング軸受225は非導電性であり、例えばプラスチックで作られてもよく、リングの形状を有してもよい。垂直リング軸受225は、実質的に管状の形状を有していてもよい。図2には示されていないが、以下で図3を参照して説明するのは、本開示の一以上の実施例による、回転ホイール230が載置される追加の実質的に水平なリング形状の軸受である。両方の軸受を使用することにより、固定基部231と回転ホイール230との間の摩擦力が低減され得る。
【0063】
引き続き図2を参照すると、回転ホイール230の上部には、一以上のスイッチ220が設けられる。例えば、スイッチ220はドームスイッチであってもよい。スイッチ220は3つであってもよく、該スイッチは回転ホイール230の上面に等距離に配置されてもよい。一以上の実施例では、スイッチが、スイッチが閉じている押下状態と、スイッチが開いたままである非押下状態のような、ノブインタフェースの2つの状態を区別するために使用される。ノブインタフェースの押下状態は、ノブの内部回転位置に対して独立である。従って、ノブインタフェースは、押下状態又は非押下状態(及び2つの状態の間の任意の位置)のいずれにあっても回転されることがあり、その回転が検知され、測定されることがある。同様に、ノブインタフェースが「ホーム」即ち非押下状態、又は、押下状態にあることにそれぞれ対応する、スイッチが開である又は閉である状態は、回転可能ノブインタフェースが回転的に静止しているか回転しているかに関係なく、検出され得る。
【0064】
更に、ノブインタフェースは、インナーキャップ210及びカバーキャップ215を有している。動作中、ユーザは、例えば、カバーキャップ215を掴んで固定基部231に対して回転ホイール230を回転させることによって、又は、カバーキャップ215を押し下げてノブインタフェースを押下してスイッチ220を閉じることによって、カバーキャップ215と物理的に相互作用する。図示のように、インナーキャップ210は、突起211によって垂直リング軸受225の内面に設けられたリップに取り付けられている。カバーキャップ215は、アウターキャップ215を回転させると回転ホイール230が回転するようにインナーキャップ210に取り付けられている。
【0065】
図3は、図2の例示的な回転可能ノブインタフェースの分解図を示しており、様々な構成要素の上側を図示している。下から始めて、図3は、固定基部231の上面を示している。該上面には、回転ノブが取り付けられる入力装置の基準信号に結合される導電性の周辺リング235が設けられる。図示のように、上面には、内側導電リング232と共に、2つの導電パッド237および238も示されている。場合によっては、これらの3つの導電性領域は、入力装置の検知信号に結合されるように構成される。これらの領域の詳細、その機能、及び、それらが回転ノブが載置されている入力装置とどのように相互作用するかについては、以下で更に詳しく説明する。
【0066】
図3は、更に、垂直リング軸受225と、その上をスライドするように構成された水平リング状軸受226を示す。固定基部231の内径が回転ホイール230よりも小さいため、場合によっては、固定基部231の内周に、垂直リング軸受225が載置されることがある出っ張りがある。従って、垂直リング軸受225は、水平リング軸受226の内径内に嵌合して固定基部231の内周部に載置されるように構成される。従って、上述したように、該2つの軸受は、固定基部231と回転ホイール230との間に物理的な接触面を提供し、回転ホイール230が動く際のそれらの間の摩擦を低減する。
【0067】
図3は、更に、回転ホイール230の上面の周囲に設けられた3つのスイッチ220を示している。上述したように、これらのスイッチは、例えばドームスイッチであってもよい。スイッチ220の上にはインナーキャップ210が図示されており、インナーキャップ210は、垂直リング軸受225の内側に嵌合し、3つの突起211によって垂直リング軸受225に固定されるように構成されている。該3つの突起211も、一以上の実施例では、垂直リング軸受225の内側垂直面の周囲に等距離に配置されている。図示のように、インナーキャップ210は、実質的に水平な上部リングと、下部の中空円筒形部分とを有している。従って、場合によっては、インナーキャップ210の下部の円筒形部分の外径が、垂直リング軸受225の内径内に嵌合し、そして、垂直リング軸受225の底面に突起211によって把持されるように設計される。突起211は、インナーキャップ210がホーム位置又は非押下位置にあるときに、そのような底面の下にわずかに突出する。更に、インナーキャップ210の上部リング部には、カバーキャップ215が取り付けられている。
【0068】
図4Aは、本開示の一以上の実施例による、第1の組の基準電極及び2組の検知電極を備える図3に示される例示的な回転可能ノブインタフェースの固定基部の下面図を示す。図4Bは、本開示の一以上の実施例による、2組の電極を有する電極グリッドを備えた入力装置の一部分の例を示す。図4Cは、本開示の一以上の実施例による、図4Bの例示的なセンサグリッドの上方に配置されたときの図4Aの例示的な回転可能ノブインタフェースの固定基部を示す。例えば、図4A~4Cは、固定基部231の底面に設けられ、固定基部231の上面の対応する導電性領域にそれぞれに接続される結合電極と、例示的な入力装置に設けられるグリッド内の電極との間の空間的関係を示している。
【0069】
例えば、図4Aは、本開示の一以上の実施例による、例示的な入力装置の電極のグリッド401上に重ねられている、図3に示される例示的な回転可能ノブインタフェースの固定基部231の下側の図を図示している。例えば、固定基部231の底部又は下側には、3組の電極がある。斜線で示される第1の組430は、入力装置から基準信号を受信するように構成された、接続された電極の組である。残りの2つの組にグループ分けされる3つの電極410、420、411は、入力装置の検知波形を受信するように構成されている。電極410及び411を含む第2の組は、ノブインタフェースの回転を検知するとともに、ノブインタフェースの初期状態を判定するように構成されている。電極420を含む第3の組は、例えば、ユーザがノブインタフェースを押してその押下状態にしたとき、「クリック」又はスイッチ220が閉じたことを検知するように構成されている。場合によっては、検知電極410、411及び420は、それぞれが、可能な範囲で、グリッド401の一つの入力装置電極の全体(例えば、正方形)と重なるように設計される。一方、一組の電極430は、該一組の電極430が、該例示的な入力装置の上面のグリッド401上の対応する基準電極403(図4B参照)からの信号のみを拾い、隣接する検知電極から寄生容量を拾わないように、電極全体ではなく、グリッド401の複数の電極の一部と重なるようにそれぞれ設計されてもよい。この分離は、図4において、2つの特徴によって図示されている。第1に、検知電極410、411及び420の右側に検知ピクセルの空の列412があり、空の列412が、検知電極410、411及び420と一組の電極430との間に空隙を提供する。第2に、一組の電極430(実線の陰影)は、それぞれ、基準電極403(点線で陰影が付けられている)に対して、例えば1.5~2ミリメートル(mm)だけ内側に凹んでいる。この凹みは、一組の電極430が参照電極信号のみを拾い上げ、検知電極402上の近くの検知信号の寄生結合の信号を拾い上げることをずっと少なくするのに役立つ。さらに、この特徴は、入力装置に対する該例示的な回転可能ノブインタフェースの公差調整にも役立つ。
【0070】
図4Bは、一以上の実施形態による、2種類の電極に分類された、図4Aの例示的なグリッド401を示す。一般に、入力装置のグリッドの各電極は、検知波形又は基準信号(例えば、接地又はその他の基準信号)で駆動されるように選択的に選択されることがある。場合によっては、図4Aに示されているように、そのグリッドを固定基部の下側の電極と連携させるために、入力装置のグリッドが図4Bに示されているように配置されてもよい。従って、図4Bにおいて陰影が付けられているグリッド電極403は、入力装置によって基準信号で駆動されることがあり、グリッド電極402は、入力装置によって検知信号で駆動されることがある。実施例によっては、この方式が実装されると、固定基部231の下側と入力装置のグリッド401の電極との間にペアリングが存在する。これは、図4Cの重ね合わせ図に図示されている。
【0071】
図4Cは、従って、本開示の一以上の実施例による、図4Bの例示的な入力装置の電極のグリッド401の上方に配置されているときの、図4Aの固定基部231の下側を図示している。図示されているように、ノブインタフェース上での検知のために構成された検知電極410、411及び420は、それぞれ、検知波形で駆動されるようにグリッド電極402と実質的に完全に位置合わせされる。場合によっては、それらは、同じ検知波形で駆動される。同様に、一組の電極430は、入力装置の基準信号に結合するように構成されているのであるが、それぞれ、入力装置によって基準信号で駆動されるように複数のグリッド電極403の上方に設けられる。場合によっては、固定基部231は静止しており、入力装置に対して位置が固定されているため、図示のように、最初に入力装置の電極に位置合わせされ、その後、実施例によっては、入力装置のガラス表面に永久的に取り付けられる。
【0072】
図5は、本開示の一以上の実施例による、固定基部の上面を示す。例えば、上面斜視図510は、固定基部231の上面に対する入力装置の電極領域402及び403の位置を図示している。上面斜視図510に示すように、また、底面図520を別の上面図530と比較すると、固定基部231の上面は、その底面とは若干異なる構成となっている。上面及び底面上の導電パッドの相対位置を十分に理解するために、底面図520も示されている。そして、曲がっている矢印521によって示されるように、上面の対応する位置も上面図530によって示されている。この上面図530は、底面図520に示される固定基部231が、(固定基部231の右側と左側がそれぞれ図520図530で同じになるように)水平軸を中心に反転された場合に見えるであろうものである。
【0073】
上面図530は、4つの導電性領域、即ち、(スイッチが開いているか閉じているかを検知するために使用される)内側リング232、(回転を検知するために使用される)2つの導電パッド237、238、及び、周辺リング235を示す。場合によっては、これらのそれぞれは、固定基部231の底面上の対応する導電性領域に電気的に接続される。例えば、周辺リング235は、上述のように、基準信号で駆動される入力装置の電極に結合するように、対応する一組の電極430に電気的に接続される。2つの導電パッド237及び238は、それぞれ、検知電極410及び411に接続される。内側リング232は、検知電極420に電気的に接続される。実施例によっては、上述のように、導電パッド237及び238の両方が、内側リング232と共に、検知信号で駆動される入力装置の電極に結合するように構成される。
【0074】
従って、図示のように、固定基部231の上部は、その外周部に、周辺リング235によって囲まれた、互いに近くにある2つの小さな導電パッド237及び238を有している。周辺リング235は基準信号を受信し、2つのパッド237及び238は、それぞれ検知信号を受信する。該2つのパッドは、回転を検知するために使用される。周辺リング235の内側のもう一つのより細いリング232も、スイッチが閉じているかどうかを検知するために検知信号を受信するように構成されている。スイッチが閉じるときの音から、スイッチが閉じることを「クリック」ということがある。
【0075】
図6Aは、図3に図示されている、例示的な固定基部231、例示的な垂直リング軸受225及び水平リング軸受226(例えば、プラスチック軸受)の分解図601及び折り畳み図603を図示している。折り畳み図603に示すように、水平リング軸受226は、回転ホイール230がその上に載置できる滑らかな表面を有しており、垂直リング軸受225は、その周りを回転ホイール230が回転できる滑らかな外側円筒構造を有している。
【0076】
図6Bは、例示的な平坦なリング状軸受226の上に設けられている図3の例示的な回転ホイール230が追加されている、図6Aに示されている例示的な固定基部231及び軸受225、226の、各分解図610及び折り畳み図603を図示している。図示されるように、垂直リング軸受225は、回転ホイール230の高さよりも高い高さを有しており、回転ホイール230の上方に突出する。分解図610及び折り畳み図603のそれぞれに見えているものは、該一組のスイッチに接続するために回転ホイール230の上面に設けられた3組のパッド221である。
【0077】
図7Aは、図3の回転ホイールの詳細な底面図を図示している。例えば、固定基部の上面と同様に、本質的に2つのリング状構造、即ち、交互に配置された第1導電性領域710と非導電性領域720とを備える外周リング701と、単一の、接続された第2導電性領域730を備える内側リングとが設けられている。また、外周リング701と内側リングの第2導電性領域730との間に設けられたリング状領域702も非導電性である。場合によっては第1及び第2導電性領域710、720が回転を検知するために使用され、内側リングの第2導電性領域730は、「クリック」を検知するために使用される。
【0078】
図7Bは、図3の例示的な回転ホイールの詳細な上面図を図示している。図7Bの図は、それぞれがスイッチに接続する3組のパッド221を図示する図6Bに示されている回転ホイール230の上面の図に対応している。上述のように、スイッチは、例えばドームスイッチであってもよい。しかしながら、各組のパッド221がそれぞれ結合される下方にある導電リングと共に、前述した固定基部の底面及び上面の他の導電性領域を示すために、図7Bの上面図は透明に描かれている。これらは、ここで透明部分を介して示され、且つ、図4Aに示されているように、固定基部231の底面にある、検知電極410、420及び411並びに入力装置の基準信号に結合された一組の電極430と、固定基部231の上面にある、周辺リング235の一部、及び、導電パッド237及び238とを含む。
【0079】
場合によっては、導電性領域710は、導電パッド237、238及び周辺リング235と共に、例えば、銅、銀、金、アルミニウム、又は他の導体、若しくは、例えば、それらのいずれかの合金、それらの互いの合金、又は異なる元素又は化合物とのさまざまな合金、などの既知の導体で作製することができる。同様に、いくつかの実施例では、非導電性領域720が、金属が堆積されていないプリント回路基板又は基板の領域であってもよく、従って、例えばエポキシプラスチック及びガラス繊維で作製されていてもよく、又は、例えば、非導電性領域720が、例えば二酸化シリコン(SiO)層のようなの絶縁層を堆積することによって形成されてもよい。
【0080】
図7Bに示されるように、2つのリング状の導電性領域、即ち、例えば、回転ホイール230の上側の表面の直下に設けられる外側リング領域712及び内側リング領域732が設けられている。図7Aに示されているように、外側リング領域712は、回転ホイールの下側の第1導電性領域710のそれぞれに電気的に接続されている。同様に、回転ホイール230の上側の内周部に設けられた内側リング領域732は、図7Aにも示されているように、回転ホイールの下側の第2の導電性内側リング領域730に電気的に接続される。更に、図7Bに示された実施例では、3つのスイッチが接続される3組のパッド221の位置が示されているが、それぞれに接続するスイッチの図示は省略されている。従って、ユーザがカバーキャップ215(図2及び図3に示す)をスイッチがクリック音又は同等の音がするまで押し下げることによってスイッチが閉じられると、各パッドの内側部分が外側部分に電気的に接続される。これにより、領域712と732が電気的に接続される。また、図7Aを参照すると、これにより、各第1導電性領域710の全てが内側リングの第2導電性領域732に接続される。他の実施形態では、より多くの、又は、より少ないスイッチと、それらが接続する対応するスイッチパッドの組が存在し得ることに留意されたい。場合によっては、スイッチパッド221は、回転ホイール230の周りに等距離に配置されてもよい。いくつかの変形例では、スイッチが2つより多い状態を有することがあり、従って、「押下」又は閉、及び、「非押下」又は開の2状態よりも多くの位置を有することがある。
【0081】
固定基部231及び回転ホイール230の上面及び下面に関し、図8は、固定基部231の上面と回転ホイール230の底面との間の電気的結合を示す。一以上の実施形態では、回転ホイール230が固定基部231の上方に配置されると、回転ホイール230と固定基部231とは、組み立てられた回転ノブインタフェース内で互いに向かい合う。これを参照すると、破線矢印801は、例示的な固定基部231の上面の内側リング232と例示的な回転ホイール230の底面の内側リング730との間の電気的結合を示す。加えて、破線矢印802は、導電パッド237及び238を含む例示的な固定基部231の上面の周辺リング235と、回転ホイール230の底面の外周リング701の様々な導電性領域710との間の電気的結合を示す。上述のように、回転ホイール230の底面の外周リング701の領域720は、図示のように、外周リング701と内側導電性リング730との間に設けられた非導電性の仕切りリング702と同様に非導電性である。実施例によっては、図6Aを参照して上述したように、2つの表面の間に位置する非導電性の水平プラスチック軸受226を考慮すると、破線矢印801及び802で示される各対の領域が容量的に結合される。
【0082】
図8に示されるように、回転ホイール230が固定基部231の上に(その間に水平軸受を設けて)配置されると、それぞれの周辺リング領域間にさまざまな電気的結合が存在する可能性がある。一組の電極430を介して入力装置の基準信号に結合される周辺リング235は、回転ホイールの下側の複数の導電性領域710に容量的に結合され得るが、導電パッド237及び238の一方が回転ホイールの下側の導電パッド710に結合されるか、両方が結合されるかは、回転ホイール230と固定基部231の相対回転位置に依存している。
【0083】
実施例によっては、回転を検知するために、固定基部231の上面にある2つの導電パッド237及び238が、それぞれ検知信号で駆動される入力装置の表面上の電極に結合されることがある。図4Aを参照して上述したように、固定基部231の上面にある導電パッド237、238は、それぞれ、固定基部231の下面に設けられた検知電極410、411に電気的に接続されている。次に、例えば図4Cに示されているように、検知電極410及び411は、検知信号で駆動される、入力装置の対応する電極に結合される。いくつかの実施例では、固定基部の検知電極410、411にそれぞれに結合された入力装置の電極を検知信号で駆動することによって、固定基部231の上面にある導電パッド237及び238のそれぞれと、回転ホイール230の底面にある導電性領域710及び非導電性領域720のアレイとの容量結合の関数として、異なる結果信号が、それらの入力装置の電極によって受信される。
【0084】
図9は、固定基部の上面の周辺リングの小さな円弧状部分である。図示されている部分は、導電パッド237及び238を含む、図7Bに示されている像の部分に対応する。各導電パッドに結合された信号を区別するために、図9を参照して、いくつかの実施例では、導電パッド237がチャネルAに割り当てられ、導電パッド238がチャネルBに割り当てられる。便宜上、本明細書では、例えば、導電パッド237を「チャネルAパッド」と呼ぶことがあり、導電パッド238を「チャネルBパッド」と呼ぶことがある。異なる時点で導電パッド237及び238のそれぞれにそれぞれ結合される入力装置上の電極(例えば、図4A、4C及び5に示されている電極410及び411)によって受信される結果信号を測定することによって、処理システム110は、回転の方向を判定することがある。図9には、(入力装置の一組の電極430に結合され、従って、それらを駆動する基準信号に結合される)周辺リング235と、スイッチが閉じる「クリック」を検知するために使用される内側リングの導電性領域232も図示されている。
【0085】
図10は、本開示の一以上の実施例による、例示的な回転ホイールと図9の例示的な固定基板の上面との相互作用によって生成されることがある例示的なデジタル化直交エンコーダ信号を図示している。例えば、図10は、回転ホイール230がユーザによって回転されたときの、図9に示された例示的なチャネル割り当てを有する例示的な固定基部の導電パッド237及び238と、回転ホイール230の下面の外周リングの交互に配置された導電性領域710及び非導電性領域720との相互作用によって生成されることがある例示的なデジタル化直交エンコーダ信号を示す。生成される信号には、時計回りの回転1010の一のシーケンスと、反時計回りの回転 1020の他のシーケンスがある。相対的な回転が、連続するシーケンス又は状態を比較することによってファームウェアで判定されることがある。図示のように、チャネルAとBに使用される各信号は一致しているが、位相が90度シフトされている。これらの信号は、図11Aに図示されているような、固定基部231の導電パッド237及び238の間の、回転ホイール230の下面パターンとの間の起こり得る全ての重なり状態を参照するとより良く理解できるであろう。例えば、反時計回り回転シーケンス1020の4つのデータ点1030が、図11Aに示され、説明されている。
【0086】
図11Aは、本開示の一以上の実施例による、図9の固定基部の上部の「A」と「B」で示された導電パッドと回転ホイールの底部との間の4つの例示的な結合状態を示す。例えば、図11Aは、図9の固定基部231の上部にある「A」及び「B」で示された導電パッド237及び238の、回転ホイール230の底部の外周リングの、交互に配置された導電性領域710と非導電性領域720のパターンとの4つの可能な結合状態1110~1140を図示している。図11Aでは、導電パッド237及び238が設けられる場所の近くの、固定基部の周辺リング235の小さな部分のみが示されている。回転ホイール230の下面に対する導電パッド237及び238の相対位置により、図示の信号が生成される。図11Aは、図9に示され、上で説明されているように、固定基部231の上部の、導電パッド237及び238を取り囲んでいる周辺リング235の小さな部分も示している。図11Aに示される4つの状態のそれぞれは、図10のエンコーダ信号における対応するデータポイント(例えば、状態)を有している。導電性領域710と非導電性領域720とを区別するために、図に示すように、導電性領域710は左上から右下に伸びる斜線(「バックスラッシュ」)を使用して陰影が付けられ、非導電性領域720は左下から右上に伸びる斜線(「フロントスラッシュ」)で陰影が付けられている。
【0087】
図11Aに示される例では、交互に配置された導電性領域710及び非導電性領域720が、同じ形状及びサイズを有している。また、図11Aに示されている実施例では、固定基部231の上面上でそれぞれチャネルA及びBを担持する導電パッド237及び238は、そのパッド幅W1が、回転ホイールの底部の導電性領域710又は非導電性領域720の幅W2の半分となり、2つの導電パッド237及び238が、1つの導電性領域710又は非導電性領域720内又はその下に入ることができるような大きさになっていることにも留意されたい。更に、導電パッド237、238は、導電パッド幅W1の2倍、又は1つの領域(710、720)の幅W2だけ互いに分離されている。図示されているように、該4つの状態は、固定基部231に対する回転ホイール230の反時計回りの回転を示す。従って、この図は前述したように固定基部231の上面の下から回転ホイール230の底部を覗いているので、それぞれチャネルAおよびBを担持している導電パッド237及び238が、実際には静止しているが、回転ホイール230の底部に対して反時計回りに移動しているように見える。
【0088】
状態1 1110から始めると、固定基部231の上面のチャネルAパッド237は回転ホイール230の底面の導電性領域710Aに結合されるが、チャネルBパッド238は結合されず、図示のように、回転ホイール230の底面の非導電性領域720Bの下にある。したがって、「導電性領域710に結合」=1、「非導電性領域720に結合」=0、という規則に従っている図10のエンコーダ信号に関して言えば、チャネルAは1、チャネルBは0である、即ち、(A,B)全体の値は(1,0)である。Aパッド237を次の非導電性パッド720Aの下方で左に移動させ、Bパッド238を非導電性パッド720Bの左側の下に移動して回転ホイール230が右に1パッド幅W1だけ回転(導電性又は非導電性領域の幅W2の回転の半分である)していることを示す状態2 1120では、今度はAパッドもBパッドも導電性領域710に結合されず、したがってチャネルA及びBの両方が値0、即ち、又は(A,B)全体の値は(0,0)である。例示的な反時計回り信号セット1020においてシーケンスの3番目と4番目のデータポイントとして、(A,B)=(1,0)から(0,0)への変化が図10に示されている。状態3 1130では、Aパッド237は、今度は、非導電性領域720Aの左側の下になるまで左に1回W1回転だけ移動しており、従って、Aパッドはなおも結合されていないが、Bパッドは、1回、W1回転だけ移動して導電性領域710Aの右側の下になっており、結合される。したがって、全体の(0,1)の値については、チャネルAの値は0、チャネルBの値は1である。最後に、状態4 1140では、パッドA及びBは、更に1回、W1だけ回転して左に移動し、これは、上の回転ホイールがさらにW1回転して右に回転したことに対応する。ここで、Aチャネルパッド237とBチャネルパッド238の両方が、回転ホイールの下側の導電性領域に結合される。パッドA237は導電性領域710Bの右側に移動し、パッドB238は導電性領域710Aの左側に移動しているため、全体の(A,B)=(1,1)について、チャネルAおよびBの両方の値が1である。
【0089】
したがって、図11Aの4つの状態を通るデータ点(A、B)の進行は、(1,0)から(0,0)になり、(0,1)になり、(1,1)になる。図10の1030に示すように、このシーケンスは反時計回りの回転を示している。上述したように、ここでは、固定基部231の導電パッド237又は238が回転ホイール230の下側の導電性領域710と位置整合されているとき、その信号値は1であり、導電パッド237又は238が回転ホイール230の下側の非導電性領域720と位置整合されている場合、その信号値は0であると仮定されている。別の実施例では、逆の規則が使用されてもよい。
【0090】
いくつかの実施例では、導電パッド237及び238の幅(同じ幅W1を有する)と、導電性領域710又は非導電性領域720の幅(同じ幅W2を有する)との間に関係がある。場合によっては、固定基部231に対する回転ホイール230の回転が検出され得る分解能を決定するのは、W1とW2の相対的な幅である。そのような一例では、図11Aに示されるように、導電パッド237及び238のそれぞれの幅W1は、下側の導電性領域710又は非導電性領域720の幅W2の半分である。従って、そのような場合には、導電パッド237又は238がW1刻みで移動するときの回転の変化が検出され得る。これは、W1サイズのステップで、図11Aに示すように、状態1と状態2との間で、導電パッド238が非導電性領域720Bの一方の側から該領域の他方の側に移動する間に、導電パッド237又は238が、領域710又は720の一方の側の下から当該領域の他方の側に移動する、又は、W1サイズのステップで、例えば図11Aに示すように、導電パッド237が導電性領域710Aの第2の側から非導電性領域720Bの第1の側に移動する間に、導電パッド237又は238が、領域710又は720の第2の側から、他のタイプの隣接する領域の第1の側に移動するからである。
【0091】
図11Bは、固定基部231の導電パッドA237と導電パッドB238の間の例示的な距離1160を導電パッド幅W1で図示している。ここでの図11Bにおける視点は、今度は、固定基部231全体の下から、実質的に図4C及び5を上方に見込んでいる。ここでは、固定基部の下面の3つの検知電極411、410、420と、固定基部の上面の2つの導電パッドA237、B238とが、全て透明モードで示されている。図示のように、導電パッドA237と導電パッドB238の間には、16個の導電パッド幅W1の区域がある。それらの間には、それぞれ幅W2の7つの導電性/非導電性領域710、720と共に、Aパッド237の右側に一つ、Bパッド238の左側にもう一つの、追加の2つの幅W1の領域がある。導電パッド237及び238は、それぞれ、対応する結合電極411及び410の上方に、かつ、固定基部の下側に配置されている。パッド237と238の距離を16W1だけ離すのは、近接する他の検知ピクセルからの寄生結合を減らすためである。従って、いくつかの実施例では、図4Cに示され、上述されたように、結合電極411及び410がグリッドに対して整列した特定の位置を有するので、導電パッド237及び238が特定の領域に制限される。図11Bの構成例では、2つの導電パッド237、238のいずれも、回転ホイールの下面の導電性領域に結合されていない。図示されているように、両者は非導電性領域720に結合されている。しかし、右に回転すれば、Bチャネルを担持する導電パッド238が隣接する導電性領域に結合するように移動し、又は、その代わりに左に回転すれば、Aチャネルを担持する導電パッド237が隣接する導電性領域710に結合するように移動する。
【0092】
図12は、本開示の一以上の実施例による、回転可能ノブインタフェースの回転方向を判定するための例示的なプロセスのフローチャートである。プロセス1200は、電子デバイス100、特に、図1に示す処理システム110によって実行され得る。しかしながら、図1に示すような、追加の、及び/又は、より少ない構成要素を含む入力装置がプロセス1200を実行するために使用され得ること、下記のブロックのいずれも任意の適切な順序で実行してもよいこと、及びプロセス1200を任意の適切な環境で実行してもよいことが認識されよう。図12の説明、図解及びプロセスは、単に例示的なものであり、プロセス1200は、回転可能ノブインタフェース150の回転方向を判定するために、他の説明、図解及びプロセスを使用し得る。
【0093】
例えば、上述したように、従来のシステムでは、処理システムは、ノブインタフェース150の正しい初期状態(例えば、ノブインタフェース150の回転前の状態)を判定することができない。そのため、従来のシステムは、ノブインタフェース150の2つの別々の回転状態を、ユーザがノブインタフェースを時計回り方向と反時計回り方向のどちらに回転させたかを判定するために使用することがある。しかし、場合によっては、ユーザは単一の回転状態のみによって設定(例えば、ファン速度や音量)を調整しようとすることがある。従って、処理システムは、パッド237及び238の1つの状態(例えば、(1,1)の状態)のみを示す結果信号を得ることがある。このような場合、従来の処理システムでは、ノブインタフェース150の回転方向を判定できず、それに応じて設定を調整できない可能性がある。例えば、ユーザは音量を1つ下げようとするかもしれない(例えば、「15」の設定から「14」の設定へ)。従来の処理システムは、ユーザが音量設定を「15」から「14」に調整する際に、(1,1)の回転状態を検出することがあるが、ユーザは音量を1段階調整したため、処理システム110は、この(1,1)の状態のみを検出し、第2の回転状態(例えば、(0,1)又は(1,0)を示す第2の状態)を検出しない場合がある。この第2の回転状態がなく、(1,1)の一つの検出された回転状態のみを使用する場合、従来の処理システムでは、ノブインタフェース150の回転方向(例えば、音量を1上げるか下げるか)を判定できない可能性がある。
【0094】
従って、以下に説明するように、本開示の態様は、処理システム110がノブインタフェース150の初期状態を判定するためのプロセス1200を提供する。例えば、処理システム110は、起動時に初期状態を決定することがある(例えば、電子デバイス100は車両に関連していることがあり、処理システム110は、車両の起動時及び/又は起動中に初期状態を判定することがある)。ノブインタフェース150の初期状態(例えば、初期状態が(1,0)なのか(0,1)なのか)と、検出された第1の回転状態(1,1)とを用いて、処理システム110は、ユーザがノブインタフェース150を単一の回転状態だけ回転させた場合でも、ノブインタフェース150の回転方向を判定する。例えば、図10に示されているように、初期状態が(1,0)であり、ユーザがノブインタフェース150を回転させた後の検出された状態が(1,1)である場合、処理システム110は、ノブインタフェース150の回転方向が時計回りであると判定する。同様に、初期状態が(0,1)の場合、処理システム110は、回転方向が反時計回りであると判定する。
【0095】
動作では、ブロック1202において、処理システム110が、ノブインタフェース150と相互作用する一組の回転電極(例えば、図4A図4C及び図5に示す第2の組の電極410及び411)を用いて、ノブインタフェース150の初期状態を示す第1結果信号および第2結果信号を取得する。ノブインタフェース150の初期状態は、ユーザによるノブインタフェース150の回転の前の状態(例えば、ノブインタフェースが静止しているとき)である場合があり、(0,0)、(1,0)、(1,1)又は(0,1)の状態であり得る。例えば、ノブインタフェース150の初期状態は、電子デバイス100及び/又は電子デバイス100を含む、及び/又は電子デバイス100に結合される電子システムの起動時(例えば、初期化、電源オン、通電、点火等)のノブインタフェースの状態であり得る。例えば、電子デバイス100及び/又は電子システムは、電子デバイス100及び/又はシステムを適切に起動するために、複数の操作又は機能(例えば、起動機能)を実行することがある。プロセス1200のブロック1202及び1204は、電子デバイス100が実行する起動機能の一部であってもよい。例えば、起動プロセス中、処理システム110は、ブロック1202及び1204を実行して、ノブインタフェース150の初期状態(例えば、導電パッド237及び238の初期状態)を判定することがある。場合によっては、該電子システムは、ノブインタフェース150を含むGUIを備えた車両であり得る。車両の起動プロセス中、処理システム110は、回転電極から第1結果信号及び/又は第2結果信号を取得することがある。
【0096】
上述したように、回転電極は、図4A、4C及び図5に示される第2の組の電極410及び411であってもよい。回転電極は、導電性領域710及び非導電性領域720を有する外周リングに結合された導電パッド237及び238に電気的に接続されてもよい。処理システム110は、一以上の信号(例えば、検知信号、及び/又は、基準信号/接地信号)を、第1、第2及び/又は第3の組の電極(例えば、図4A~4C及び図5の電極410、411、420及び/又は430)に供給することがある。処理システム110は、一以上の信号を提供することに応じて、第2の組の電極(例えば、回転電極)から結果信号を得ることがある。
【0097】
ブロック1204において、処理システム110は、第1結果信号と第2結果信号を用いてノブインタフェースの初期状態を判定する。例えば、図11Aを参照すると、導電パッド237、238と、交互に配置された導電性及び非導電性領域710、720を有する周辺リングとの間の結合を考慮して、処理システム110は、ノブの初期状態(例えば、(0,0)、(0,1)、(1,0)、又は(1,1)の状態)を判定する。しかし、ノブインタフェース150の回転の前に、処理システム110は、1組の結果信号のみを使用してでは、初期状態を判定することが困難な場合がある。例えば、処理システム110は、第1の値(例えば、ベースラインアナログデジタル(ADC)値のような第1結果信号)と第2の値(例えば、現在の生のADC値のような第2結果信号)との間の差を判定する(例えば、デルタを計算する)ことによって、ノブインタフェース150の状態を判定することがある。従来、起動中、及び/又は、ノブインタフェース150の回転前に、処理システム110は、ベースラインADC値(例えば、最初の結果信号)を判定できない場合があり、ベースラインADC値がなければ、ノブインタフェース150の初期状態を判定できない場合がある。例えば、従来のシステムでは、処理システムは、導電パッド237、238の状態が状態(0、0)であるか、他の状態(例えば、(1、0)、(1、1)又は(0、1))であるかにかかわらず、ベースラインADC値として常に状態(0、0)を使用することがある。そのため、図13及び図14で以下に詳細に説明するように、処理システム110は、第1結果信号及び第2結果信号を判定し、これらの結果信号の比較を使用してノブインタフェース150の初期状態を判定することがある。
【0098】
ブロック1206では、ノブインタフェースが初期状態から第1の回転状態まで回転されることに少なくとも部分的に基づいて、処理システム110が、一組の回転電極を使用して、ノブインタフェース150の第1の回転状態を示す第3結果信号を取得する。ノブインタフェースの第1の回転状態は、ユーザがノブインタフェース150を回転させた後の導電パッド237、238の第1の状態であり得る。例えば、ユーザがノブインタフェース150を1つの状態(例えば、単一の分解能、戻り止め等)だけ回転させた後、処理システム110は、導電パッド237、238の状態(例えば、第1の回転状態)を示す第3結果信号を取得する。例えば、ユーザはノブインタフェース150を回転させて設定(音量、温度、ファン等)を変更することがある。処理システム110は、ノブインタフェース150と相互作用する電極に一以上の信号を供給することがある。例えば、上述したように、処理システム110は、第1の組の電極(例えば、基準信号電極)に基準信号を供給することがある。基準信号は、接地信号(例えば、処理システム110によって提供される設定可能なDC出力)であってもよい。更に、処理システム110は、回転電極410、411のような第1及び/又は第2の組の電極に検知信号を供給することがある。導電パッド237、238と周辺リング701の領域(例えば、導電性及び非導電性領域710、720)との間の接続に依存して、処理システム110は異なる結果信号を得ることがある。例えば、図11A及び状態1に戻って参照すると、導電パッド237(例えば、チャネルA)が周辺リング701の導電性領域710Aに結合されているため、処理システム110は、チャネルAについて「1」の状態を得る。導電パッド238(例えば、チャネルB)が非導電性領域720Bに結合されているため、処理システム110は、チャネルBについて「0」の状態を得る。このように、処理システム110は、状態(例えば、第1の回転状態)を(1,0)と判定する。同様に、状態3について、導電パッド237が導電性領域720Aに結合され、導電パッド238が導電性領域710Aに結合されていれば、処理システム110は、状態を(0,1)と判定する。
【0099】
場合によっては、処理システム110が、基準信号(例えば、接地信号)と検知信号(例えば、ガードアンプ(AMP)からの正弦波)とを同時に、又は実質的に同時に供給することがある。いくつかの実施例では、処理システム110が、特定の時間間隔で信号(例えば、基準信号と検知信号の両方)を供給することがある。例えば、処理システム110は、表示フレームの半分である場合がある8.33ミリ秒(ms)ごとに信号を供給してもよい。処理システム110は、ユーザ入力の有無に関係なく信号を提供することがある。
【0100】
ブロック1208において、処理システム110は、第1結果信号、第2結果信号、及び第3結果信号を使用して、ノブインタフェースの回転方向を判定する。例えば、処理システム110は、第3結果信号(例えば、(1,1)の状態)を用いて第1の回転状態を判定することがある。処理システム110は、更に、第1結果信号と第2結果信号(例えば、(1,0)の状態)を使用して、ノブインタフェース150の初期状態を判定することがある。次に、図10を参照すると、判定されたこれらの状態を使用して、処理システム110は、ノブインタフェース150の回転方向を判定する。例えば、ノブインタフェースの初期状態から第1の回転状態への遷移は(1,0)から(1,1)であるため、処理システム110は、ノブインタフェースの回転方向を時計回り回転と判定する。同様に、もし、初期状態が(0,1)であれば、初期状態からノブインタフェースの第1の回転状態への遷移が(0,1)から(1,1)であるため、処理システム110は、ノブインタフェースの回転方向を反時計回り回転として判定する。
【0101】
ブロック1210において、処理システム110は、判定された回転方向を用いて設定を調整する。例えば、電子システム及び/又は電子デバイス100は、複数の設定を含み、及び/又は制御することがある。例えば、電子システムが車両の一部であることがあり、電子デバイス100が、ファン、温度、音量等を含むがこれらに限定されない車両の複数の設定を制御することがある。判定された回転方向を用いて、処理システム110は、設定を増加させるか減少させるかを判定することがある。更に、場合によっては、ユーザは、単一の状態(例えば、単一の分解能、戻り止め等)だけ設定を調整しようとすることがある。このように、プロセス1200を使用して、処理システム110は、ノブインタフェース150の回転前の初期状態を使用することにより、ユーザが単一の状態だけ設定を調整した場合であっても、回転方向を判定することができる。その後、処理システム110は、判定された回転方向を用いて設定を調整することがある。
【0102】
図13及び14は、ノブインタフェース150の初期状態を判定する処理システム110(例えば、ブロック1202及び1204)をより詳細に説明する。例えば、図13は、本願の一以上の実施例による、回転可能ノブインタフェースの回転方向を判定するための例示的なプロセスの別のフローチャートである。プロセス1300は、電子デバイス100、特に、図1に示す処理システム110によって実行されることがある。しかしながら、以下のブロックのいずれかを任意の適切な順序で実行してもよく、プロセス1300を任意の適切な環境で実行してもよいことが認識されよう。図13の説明、図示及びプロセスは、単に例示的なものであり、プロセス1300は、回転可能ノブインタフェース150の回転方向を判定するために、他の説明、図示及びプロセスを使用してもよい。
【0103】
ブロック1302において、処理システム110は、一組の回転電極(例えば、第2の組の電極410及び411)から、第1結果信号を取得する。第1結果信号は、一組の基準信号電極(例えば、第1の組の電極430)に基準信号(例えば、接地信号)を供給することなく得られる。例えば、回転可能ノブインタフェース150の回転前(例えば、起動中)に、処理システム110は、第1結果信号を得ることがある。例えば、ブロック1206で上述したように、第3結果信号を取得するとき、処理システム110は、一組の基準信号電極(例えば、第1の組の電極430)に基準信号又は接地信号を供給する。ここで、ブロック1302において、処理システム110は、該一組の基準信号電極に基準信号を供給しない。その代わりに、処理システム110は、回転電極(例えば、電極410及び411)に検知信号を供給し、該検知信号に対応する結果信号(例えば、第1結果信号)を取得する。例えば、基準信号電極に基準信号が送信されなかったので、導電パッド237、238が導電性領域710又は非導電性領域720と結合されているかに関わらず、第1結果信号は、導電パッド237、238が周辺リング701の非導電性領域720と接触している場合(例えば、0,0の状態)と同様であり得る。場合によっては、処理システム110が、生画像(例えば、回転電極410及び411を含む電極401のグリッドからの結果信号を示す画像)を生成してもよい。
【0104】
ブロック1304において、処理システム110は、一組の回転電極から、第2結果信号を取得する。第2結果信号は、該一組の基準信号電極に基準信号を供給することに応じて取得される。例えば、ブロック1302を実行した後(例えば、基準信号を該一組の基準信号電極に供給せずに第1結果信号を取得する等)、処理システム110は、基準信号を一組の基準信号電極に供給する。更に、処理システム110は、検知信号を回転電極に供給し、検知信号に対応する第2結果信号を取得する。場合によっては、処理システム110は、生画像(例えば、回転電極410及び411を含む電極401のグリッドからの結果信号を示す画像)を生成してもよい。
【0105】
ブロック1306において、処理システム110は、ノブインタフェース150の初期状態を決定するために、第1結果信号と第2結果信号を比較する。例えば、導電パッド(例えば、導電パッド237及び238)が周辺リング701の非導電性領域720に結合されている場合、処理システム110は、第1結果信号と第2結果信号との間で、生のアナログ/デジタル変換(ADC)値に少しの差しかないと判定することがある。導電パッドが導電性領域710に結合されている場合、処理システム110は、第1結果信号と第2結果信号との間で著しく異なる生のADC値があると判定することがある。例えば、処理システム110は、ADCベースラインと現在の生のADC値との間の比較を使用して、導電パッド237、238の状態を決定する。このように、処理システム110は、第1結果信号をADCベースライン値として使用し、第2結果信号を現在の生のADC値として使用する。これらの結果信号を用いて、処理システム110はノブインタフェース150の初期状態を決定する。
【0106】
例えば、導電パッド237(例えば、チャネルA)について、処理システム1100は、基準信号が基準信号電極に供給されなかったときの結果信号からのADC値(例えば、ブロック1302で得られた第1結果信号からのADC値)を、基準信号が基準信号電極に供給されたときの結果信号(例えば、第2結果信号からのADC値)と比較することがある。ADC値が同様である場合(例えば、第1結果信号及び第2結果信号からのADC値の差が閾値を超えない場合)、処理システム110は、導電パッド237が周辺リング701の非導電性領域720に接続されていると判定し、チャネルAの状態を「0」と判定することがある。ADC値が著しく異なる場合(例えば、第1結果信号と第2結果信号からのADC値の差が閾値を超える場合)、処理システム110は、導電パッド237が導電性領域710に接続されていると判定し、チャネルBの状態を「1」と判定することがある。処理システム110は、導電パッド238に対しても上記を実行することがある。
【0107】
その後、処理システム110は、導電パッド237、238の状態を使用してノブインタフェースの初期状態を判定する。例えば、初期状態は、上述のように、(0,0)、(0,1)、(1,0)又は(1,1)であり得る。次に、プロセス1200に戻り、処理システム110は、初期状態を使用してノブインタフェース150の回転方向を判定することがある。場合によっては、処理システム110は、第1結果信号、第2結果信号、及び/又は初期状態をメモリに格納することがある。例えば、処理システム110は、ブロック1306を実行し、第1結果信号及び第2結果信号を比較する前に、第1結果信号及び第2結果信号に対応する生画像をメモリに記憶することがある。
【0108】
図14は、本出願の一以上の実施例による、回転可能ノブインタフェースの回転方向を判定するための例示的なプロセスの別のフローチャートである。プロセス1400は、電子デバイス100、特に図1に示される処理システム110によって実行され得る。しかしながら、以下のブロックのいずれもが任意の適切な順序で実行され得ること、及び、プロセス1400は任意の適切な環境で実行され得ることは認識されよう。図14の説明、図示及びプロセスは、単なる例示であり、プロセス1400は、回転可能ノブインタフェース150の回転方向を判定するために他の説明、図示及びプロセスを使用することがある。
【0109】
ブロック1402において、処理システム110は、一組の回転電極(例えば、第2の組の電極410、411)及び一以上の追加の電極に、検知信号を供給する。該一組の回転電極は、交互に配置されている導電性領域710及び非導電性領域720を備える周辺リング701と(例えば、導電パッド237、238を介して)電気的に接触している。該一以上の追加の電極は、周辺リング701と電気的に接触していない(例えば、導電パッド237、238と電気的に接続されていない)。例えば、処理システム110は、該一組の基準信号電極(例えば、第1の組の電極430)に基準信号を供給することがある。処理システム110は、回転電極に検知信号を供給することがある。更に、処理システム110は、該追加の電極に検知信号を供給することもある。該追加の電極は、ノブインタフェース150の下にあり、第1、第2、第3の組の電極の一部ではない電極(例えば、電極410、420、411、430)であり得る。例えば、図4Aを参照すると、検知電極410、411、420の右側に電極(例えば、検知ピクセル)の空の列412があり、検知電極410、411、420と一組の電極430の間にギャップを提供している。追加の電極は、図4Aに示される電極の空の列412内の電極であってもよい。例えば、追加の電極は、検知電極410と411のすぐ右にある2つの電極であってもよい。処理システム110は、検知電極410と411のすぐ右にあるこれら2つの電極に検知信号を供給することがある。検知電極410、411は、導電パッド237、238に電気的に接続され、よって導電性領域710と非導電性領域720とで周辺リング701に結合されるが、追加の電極(例えば、検知電極410、411の右側の電極)は導電パッド237、238に電気的に結合されず、従って、周辺リング701に結合されない。
【0110】
ブロック1404において、処理システム110は、該一組の回転電極から、検知信号に対応する第1結果信号を取得する。ブロック1406において、処理システム110は、該一以上の追加の電極から、検知信号に対応する第2結果信号を取得する。例えば、検知信号の提供に応じて、処理システム110は、回転電極(例えば、電極410及び411)から第1結果信号を取得し、追加の電極(例えば、回転電極の右側の電極)から第2結果信号を取得する。
【0111】
ブロック1408において、処理システム110は、ノブインタフェース150の初期状態を判定するために、第1結果信号を第2結果信号と比較する。例えば、追加の電極からの第2結果信号に関しては、それらが周辺リング701に接続されていないため、結果信号(例えば、第2結果信号)は、導電パッド237、238が周辺リング701の非導電性領域720に接触している場合と同様であり得る。例えば、追加の電極は周辺リング701の下にあってもよいが、追加の電極を周辺リング701に電気的に接続する導電パッド又は検知パッド(例えば、導電パッド237、238)がないため、処理システム110は、導電パッド237、238が非導電性領域720に接触している場合と同様の生のADC値を示す第2結果信号を取得し得る。
【0112】
処理システム110は、第1結果信号を第2結果信号と比較することがある。例えば、第1結果信号は、第1及び第2チャネル(例えば、導電パッド237及び238に関連するチャネルA及びB)のADC値を示す場合がある。第2の結果信号は、更に、ADC値を示す場合がある。処理システム110は、チャネルAに関連する導電パッド237についてのADC値を、追加の電極から得られたADC値と比較することがある。導電パッド237が周辺リング701の非導電性領域720と接触している場合、対応するADC値は追加の電極からのADC値と同様になる。導電パッド237が周辺リング701の導電性領域710と接触している場合、対応するADC値は、追加の電極からのADC値とは異なるであろう。従って、閾値を使用することによって、処理システム110は、導電パッド237に関連する電極410のADC値を、追加の電極からのADC値と比較することがある。ADC値が同様である場合(例えば、回転電極と追加の電極からのADC値の差が閾値を超えない場合)、処理システム110は、導電パッド237が周辺リング701の非導電性領域720に接続されていると判定し、チャネルAの状態を「0」と判定することがある。ADC値が有意に異なる場合(例えば、回転電極と追加の電極からのADC値の差が閾値を超える場合)、処理システム110は、導電パッド237が導電性領域710に接続されていると判断し、チャネルBの状態を「1」と判断することがある。処理システム110は、導電パッド238に対しても上記を実行することがある。
【0113】
その後、処理システム110は、導電パッド237、238の状態を用いてノブインタフェースの初期状態を判定する。例えば、初期状態は、上述のように、(0,0)、(0,1)、(1,0)又は(1,1)であり得る。次に、プロセス1200に戻って、処理システム110は、初期状態を使用してノブインタフェース150の回転方向を判定することがある。
【0114】
本願で引用される刊行物、特許出願、および特許を含む全ての参考文献は、各参考文献が参照により組み込まれるよう個別に具体的に示され、その全体が本願に記載されている場合と同じ程度まで、参照により本願に組み込まれるものとする。
【0115】
本発明を説明する文脈における(特に以下の特許請求の範囲の文脈における)“a”、“an”、“the”及び“少なくとも一の”及び類似の参照語の使用は、本願に別段の記載がない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方をカバーするものと解釈される。「少なくとも一の」という用語の後に一以上の項目のリスト(例えば、「A及びBのうちの少なくとも一」)を使用することは、本願において別段の記載があるか、又は文脈によって明らかに矛盾する場合を除き、リストされた項目(A又はB)から選択された1つの項目、またはリストされた項目(A及びB)のうちの二以上の任意の組み合わせを意味すると解釈される。用語「備える」、「有する」、「含む」及び「含有する」は、特に断りのない限り、オープンエンドの用語(即ち、「~を含むが、~に限定されない」という意味)として解釈される。本願における値の範囲の記載は、本願に別段の記載がない限り、単に範囲内に入る各個別の値を個別に参照するための略記法としての役割を果たすことを意図したものであり、各個別の値は、本願に個別に記載されているかのように本願に組み込まれる。本願に記載される全ての方法は、本願に別段の記載がない限り、または文脈上明らかに矛盾する場合を除き、任意の適切な順序で実施することができる。本願で提供されるあらゆる例又は例示的な表現(例えば、「~のような」)の使用は、単に本発明をより良く説明することを意図しており、別段の請求がない限り、本発明の範囲を限定するものではない。明細書のいかなる文言も、請求されていない要素が本発明の実施に不可欠であることを示すものとして解釈されるべきではない。
【0116】
例示的な実施形態が本願に記載されている。これらの例示的な実施形態の変形例は、前述の説明を読めば、当業者には明らかになるであろう。発明者は、当業者が適宜このような変形例を採用することを予期しており、発明者は、本願に具体的に記載した以外の方法で本発明が実施されることを意図している。従って、本発明は、適用される法律によって許容される限り、添付の特許請求の範囲に記載された主題の全ての変更及び均等物を含む。さらに、本願に別段の記載がない限り、又は文脈上明らかに矛盾する場合を除き、あらゆる可能な変形例における上述の要素の組み合わせは、本発明に包含される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
【外国語明細書】