(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031878
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】切削工具、カッターキャリア及び工具ヘッド
(51)【国際特許分類】
B23C 5/06 20060101AFI20240229BHJP
B23C 5/28 20060101ALI20240229BHJP
B23C 5/16 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
B23C5/06 A
B23C5/28
B23C5/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023133792
(22)【出願日】2023-08-21
(31)【優先権主張番号】001003/2022
(32)【優先日】2022-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(71)【出願人】
【識別番号】506151512
【氏名又は名称】ウルマ・アクチエンゲゼルシャフト・ベルクツォイクファブリーク
【氏名又は名称原語表記】URMA AG WERKZEUGFABRIK
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ギルベルト・ツムシュテーク
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ベルガー
【テーマコード(参考)】
3C022
【Fターム(参考)】
3C022HH01
3C022HH05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】特に機械上の切削工具の軸方向及び半径方向の振れを再調整する必要なく、安価に製造することができ、高い切り替え精度を有し、及び/又は摩耗したカッターキャリアを交換するときにほとんど労力を必要としない切削工具並びにカッターキャリア及び工具ヘッドを提供する。
【解決手段】切削工具は、工具ヘッド(2)と、交換可能カッターキャリア(3)とを備える。工具ヘッド(2)は、工具ホルダ(4)に結合することができ、カッターキャリア(3)は、その周にわたって分散した複数のカッターを備え、各カッターは、前向き正面カッター(311)、及び、前向き正面カッターに対してある角度で延在する周縁カッター(312)を備える。この場合、カッターを含むカッターキャリア(3)は、少なくとも50mmの直径に対して、最大10mm、特に最大6mmの厚さを有する。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具ヘッド(2)及び交換可能カッターキャリア(3)を有する切削工具(1)であって、前記工具ヘッド(2)は、工具ホルダ(4)に結合されるように構成され、前記カッターキャリア(3)は、前記カッターキャリアの周縁にわたって分散した複数のカッターを備え、各カッターは、前向き正面カッター(311)、及び、前記前向き正面カッターに対してある角度で延在する周縁カッター(312)を備え、
前記カッターを含む前記カッターキャリア(3)は、少なくとも50mmの直径に対して、最大10mm、特に最大6mmの厚さを有する、切削工具(1)。
【請求項2】
前記工具ヘッド(2)は、前端面に冷却剤分配プレート(23)を備え、前記冷却剤分配プレート(23)は、軸方向に流れる冷却剤を半径方向において前記カッターキャリア(3)に誘導するための冷却剤チャネル(24)を備える、請求項1に記載の切削工具(1)。
【請求項3】
前記冷却剤チャネル(24)は、前記冷却剤分配プレート(23)の内部に配置される、請求項2に記載の切削工具(1)。
【請求項4】
前記工具ヘッド(2)は、前端面に冷却剤分配プレート(23)を備え、前記冷却剤分配プレート(23)は、軸方向に流入する冷却剤を出口開口部を通して前記カッターキャリア(3)まで半径方向へと案内する冷却剤分配空間を画定する、請求項1に記載の切削工具(1)。
【請求項5】
前記カッターキャリア(3)は、端面、特に前端面に、前記カッターに向かって冷却剤を案内するための冷却剤溝(34)を備え、前記冷却剤溝(34)は、前記半径方向に見て、前記カッターキャリア(3)の内側から前記カッターキャリア(3)の外側に延在し、
前記冷却剤分配プレート(23)の前記冷却剤チャネル(24)の出口開口部は、前記冷却剤溝(34)と位置整合される、請求項2又は4に記載の切削工具(1)。
【請求項6】
- 前記冷却剤溝(34)の側壁が、前記冷却剤通路(24)の側壁及び前記出口開口部(234)と位置整合されること、及び
- 前記冷却剤チャネル(24)の側壁及び前記出口開口部(234)が、断面領域を画定し、この断面領域は、前記冷却剤溝(34)の前記側壁によって画定される断面領域に含まれること
のうちの1つ又は複数が該当する、請求項5に記載の切削工具。
【請求項7】
前記工具ヘッド(2)を工具ホルダ(4)に締結するための中央取り付けねじ(22)と、前記切削工具(1)の回転軸の位置整合を調整するために、各場合においての前記回転軸に平行な方向に力を加えるために、前記取り付けねじ(22)の周りに配置された少なくとも3つの調整ねじ(28)とを備える、先行する請求項のいずれか1項に記載の切削工具(1)。
【請求項8】
前記取り付けねじ(22)の周りに配置された正確に4つの調整ねじ(28)を備える、請求項7に記載の切削工具(1)。
【請求項9】
基体(21)上に形成され、前記基体(21)上に配置されたカッターキャリア(3)をセンタリングするために前記軸方向に突出するセンタリングリング(213)を備える、先行する請求項のいずれか1項に記載の切削工具(1)。
【請求項10】
前記センタリングリング(213)は、外側錐体として前記半径方向外面上に形成され、前記カッターキャリア(3)は、内側錐体(35)として対応する内面上に形成される、請求項9に記載の切削工具(1)。
【請求項11】
前記基体(21)の周に沿って配置され、前記カッターキャリア(3)の前記カッター又は歯の間の刃溝から開始して、前記軸方向において後方に延在し、プロセスにおいて、螺旋状に湾曲して延在し、前記カッターキャリア(3)からの距離が増大するにつれて増大するピッチを有する溝を備え、特に、前記溝の初期ピッチは、30度~60度、特に40度~50度である、先行する請求項のいずれか1項に記載の切削工具(1)。
【請求項12】
先行する請求項のいずれか1項に記載の切削工具(1)のためのカッターキャリア(3)であって、前記カッターキャリア(3)は、前記カッターキャリアの周の周りに分散した複数のカッターを備え、各カッターは、前向き正面カッター(311)、及び、前記前向き正面カッターに対してある角度で延在する周縁カッター(312)を備え、
前記カッターを含む前記カッターキャリア(3)は、少なくとも50mmの直径において、最大10mm、特に最大6mmの厚さを有する、カッターキャリア(3)。
【請求項13】
前記カッターキャリア(3)が、硬質金属、セラミック、又はそれらの混合形態から作成されている、請求項12に記載のカッターキャリア(3)。
【請求項14】
前記正面カッター(311)及び前記周縁カッター(312)が前記カッターキャリア(3)上に形成され、前記カッターキャリア(3)が単一部品から成る、請求項12又は13に記載のカッターキャリア(3)。
【請求項15】
前記正面カッター(311)及び前記周縁カッター(312)は各々、切断要素(31)上に形成され、前記切断要素(31)は材料結合によって前記カッターキャリア(3)に締結される、請求項12又は13に記載のカッターキャリア。
【請求項16】
前記カッターキャリア(3)が、一方の面、特に前面に、前記カッターに向かって冷却剤を案内するための冷却剤溝(34)を備え、前記冷却剤溝(34)が、前記半径方向に見て、前記カッターキャリア(3)の内側から前記カッターキャリア(3)の外側に延在する、請求項12に記載のカッターキャリア(3)。
【請求項17】
前記カッターキャリア(3)は、冷却剤溝(34)、及び、ねじ頭レセプタクル(33)を有する締結孔(32)が上に形成された平坦な環状プレートとして形成される、請求項16に記載のカッターキャリア(3)。
【請求項18】
前記カッターキャリア(3)は、最大10mm、特に最大6mm、特に最大5mmの前記軸方向の厚さを有する、請求項12~17のいずれか1項に記載のカッターキャリア(3)。
【請求項19】
前記切断要素(31)は、前記カッターキャリア(3)の前方に3mm未満、特に2mm未満、特に1.5mm未満だけ前記軸方向に突出する、請求項15に従属する請求項12~18のいずれか1項に記載のカッターキャリア(3)。
【請求項20】
請求項1~11のいずれか1項に記載の切削工具(1)のための工具ヘッド(2)であって、前記工具ヘッド(2)が工具ホルダ(4)に結合されるように構成され、
・前記工具ヘッド(2)は、前端面に冷却剤分配プレート(23)を備え、前記冷却剤分配プレート(23)は、軸方向に流れる冷却剤を前記冷却剤分配プレート(23)から外方に半径方向へと誘導するための冷却剤チャネル(24)を備え、特に、前記冷却剤チャネル(24)は、前記冷却剤分配プレート(23)の内部に配置され、
・又は、前記工具ヘッド(2)は、前端面に冷却剤分配プレート(23)を備え、前記冷却剤分配プレート(23)は、軸方向に流れる冷却剤を前記冷却剤分配プレート(23)から外方に出口開口部を通して半径方向へと案内する冷却剤分配空間を画定する、工具ヘッド(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断工具の分野に関する。本発明は、対応する独立特許請求の範囲の前文による、特に正面切削のための切削工具、並びにカッターキャリア及び工具ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
特に正面切削のための切削工具は、例えば、国際公開第2018/224547号又はドイツ特許出願公開第102017112374号明細書、米国特許出願公開第2002/0106251号明細書、欧州特許出願公開第2484471号明細書及びドイツ特許出願公開第102005031988号明細書から知られている。
【0003】
国際公開第2021/060271号は、交換可能切断プレートを備えた切削ヘッドを示している。冷却剤が、基体の開口部を通して外部から刃溝に供給される。
【0004】
欧州特許出願公開第3782751号明細書は、カッターが挿入された平板を有する側面切削カッターを示している。このカッターは、軸方向の重い負荷のために設計されていない。
【0005】
中国特許第108213535号明細書は、ねじ込み式カッター及び一体化された内部冷却チャネルを有する平坦なカッターキャリアを示す。このカッターは、軸方向の重い負荷のために設計されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、特に機械上の切削工具の軸方向及び半径方向の振れを再調整する必要なく、安価に製造することができ、高い切り替え精度を有し、及び/又は摩耗したカッターキャリアを交換するときにほとんど労力を必要としない切削工具並びにカッターキャリア及び工具ヘッドを作成することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、対応する独立特許請求の範囲の特徴を有する切削工具並びにカッターキャリア及び工具ヘッドによって解決される。
【0008】
切削工具は、工具ヘッド及び交換可能カッターキャリアを備える。工具ヘッドは、工具ホルダに結合されるように構成され、カッターキャリアは、カッターキャリアの周縁にわたって分散した複数のカッターを備え、各カッターは、前向き正面カッター、及び、前向き正面カッターに対してある角度で延在する周縁カッターを備える。カッターを含むカッターキャリアは、少なくとも50mm、特に少なくとも60mm、特に少なくとも90mmの直径に対して、最大10mm、特に最大6mmの厚さを有する。
【0009】
厚さが小さいため、比較的体積が小さく、したがって製造に必要な材料の量が少なくなる。
【0010】
実施形態では、カッターキャリアの直径は、最大200mm、特に最大150mmである。
【0011】
実施形態では、工具ヘッドは、前端面に冷却剤分配プレートを備え、冷却剤分配プレートは、軸方向に流れる冷却剤を半径方向においてカッターキャリアに誘導するための冷却剤チャネルを備える。特に、冷却剤チャネルは、冷却剤分配プレートの内部に配置される。
【0012】
これにより、カッターキャリアに冷却剤を供給することができる。内部冷却剤チャネルは、付加製造技法を使用して作成することができ、他方、工具ヘッドの基体は、従来の技法を使用して作成することができる。
【0013】
実施形態では、冷却剤分配プレートは、最大10mm、特に最大6mmの厚さを有する。これは、製造が比較的複雑であるこの部品が小さい体積を有し、特に付加製造プロセスにおいて製造時間を短縮することを意味する。冷却剤分配プレートは、回転円筒形状を有することができる。
【0014】
実施形態では、冷却剤分配プレートは、軸方向に流れる冷却剤を出口開口部を通して半径方向においてブレードキャリアへと方向付ける冷却剤分配空間を画定する。これにより、冷却剤分配プレートの単純な構成が可能になる。
【0015】
実施形態では、冷却剤分配プレートは、いくつかの部分、特に2つの部分において構成され、少なくとも2つの部分が互いに対向して配置され、2つの部分の間に中間空間が残り、中間空間が冷却剤チャネルを形成する。基体から外方に面する外側部分は、金属、特にアルミニウムから作成することができる。基体に面する内側部分は、プラスチックから作成することができる。これにより、冷却剤分配プレートの費用効果の高い構成が可能になる。
【0016】
実施形態では、カッターキャリアは、端面、特に前端面に、カッターに向かって冷却剤を案内するための冷却剤溝を備え、冷却剤溝は、半径方向に見て、カッターキャリアの内側からカッターキャリアの外側に延在し、
冷却剤分配プレートの冷却剤チャネルの出口開口部は、冷却剤溝と位置整合される。
【0017】
言い換えれば、各場合において、冷却剤チャネルは、関連する冷却剤溝と位置整合される。これにより、冷却剤チャネルから冷却剤溝に冷却剤を導入し、それによって冷却剤をカッターに案内することが可能になる。
【0018】
実施形態では、冷却剤チャネルはカッターに方向付けられる。すなわち、各冷却剤チャネルの長手方向軸は、関連するカッターに方向付けられる。これにより、冷却剤の流れは、冷却剤チャネルを通してカッターへと方向付けられる。
【0019】
実施形態では、以下のことが該当する。
- 冷却剤溝の側壁は、冷却剤チャネルの側壁及び出口開口部とそれぞれ位置整合され、又は
- 冷却剤チャネルの側壁及び出口開口部はそれぞれ、冷却剤溝の側壁によって画定される断面領域に含まれる断面領域を画定する。
【0020】
これは、冷却剤溝の側壁が存在する領域において、冷却剤チャネルの出口開口部の断面形状が冷却剤溝の断面形状と一致することを意味し得る。断面領域は、流体の流れの方向に沿った投影において理解されるべきである。
【0021】
これには、冷却剤チャネルを通して流れる冷却剤が冷却剤溝に入るときにブレードキャリアの一部に衝突しないという効果がある。これは、冷却剤の偏向及び乱流をもたらす。
【0022】
実施形態では、切削工具は、工具ヘッドを工具ホルダに締結するための中央取り付けねじと、切削工具の回転軸の位置整合を調整するために、各場合において回転軸に平行な方向に力を加えるために、取り付けねじの周りに配置された少なくとも3つ、特に正確に4つの調整ねじとを備える。
【0023】
これにより、工具ホルダが結合された機械スピンドルに対する切削工具の軸方向、ひいては切削工具の軸方向振れの微調整を行うことができる。4つの調整ねじが存在し、各調整ねじが取り付けねじに対して対における他方と対向する場合、軸方向は2つの方向において独立して調整することができる。
【0024】
実施形態では、切削工具は、基体上に形成され、基体上に配置されたカッターキャリアをセンタリングするために軸方向に突出するセンタリングリングを備え、特に、センタリングリングは、外側錐体として半径方向外面上に形成され、カッターキャリアは、内側錐体として対応する内面上に形成される。
【0025】
これにより、工具ヘッド上のカッターキャリアの位置を中心に合わせることができる。実施形態では、冷却剤分配プレートは、少なくとも、センタリングリング内の軸方向の延長部の一部に配置される。これにより、切削工具の短い設計が可能になる。
【0026】
実施形態では、切削工具は、基体の周に沿って配置され、カッターキャリアのカッター又は歯の間の刃溝から開始して、軸方向において後方に延在し、プロセスにおいて、螺旋状に湾曲して延在し、カッターキャリアからの距離が増大するにつれて増大するピッチを有する溝を備え、特に、溝の初期ピッチは、30度~60度、特に40度~50度である。
【0027】
したがって、特に溝のピッチが増大することにより、基体は、周方向溝の領域内に、任意選択的にチップと共に冷却液を軸方向において後方へと搬送する軸方向ポンプ又は軸方向圧縮器を形成する。溝のピッチは、工具軸に垂直な面に対して規定される。したがって、0度のピッチは表面に平行であり、90度のピッチは工具軸に平行である。
【0028】
カッターキャリアは、上述のような切削工具のために提供され、カッターキャリアは、その周にわたって分散した複数のカッターを備え、各カッターは、前向き正面カッター、及び、前向き正面カッターに対してある角度で延在する周縁カッターを備える。切断刃を含むカッターキャリアは、少なくとも50mmの直径に対して、最大10mm、特に最大6mmの厚さを有する。
【0029】
実施形態では、カッターキャリアは、硬質金属、セラミック、又はそれらの混合形態から作成される。
【0030】
金属とセラミックとの混合形態は、金属セラミック又はサーメット又は金属結合セラミックとしても参照される。これにより、依然として全体的に剛性の切削工具を提供しながら、比較的安価で軽量な材料から工具ヘッドを製造することができる。実施形態では、工具ヘッドは、鋼、チタン、又はさらにはアルミニウムから作成される。
【0031】
実施形態では、正面カッター及び周縁カッターはカッターキャリア上に形成され、カッターキャリアは単一部品から成る。
【0032】
これにより、製造が比較的容易である一体型カッターキャリアを使用することが可能になり、カッターキャリアの基材は、カッターを形成する材料と同一である。
【0033】
実施形態では、正面カッター及び周縁カッターは各々、切断要素上に形成され、切断要素は材料結合によってカッターキャリアに締結される。
【0034】
これにより、カッターキャリアの長寿命化を達成することができる。個別に交換可能なカッターを有する既知のカッターキャリアと比較して、カッターの調整は必要とされない。カッターキャリアに恒久的に接続されている切断要素は、カッターキャリアを製造するときに研削することができる。耐用寿命の終わりに、カッターキャリア全体が交換される。切断要素は、PCD(多結晶ダイヤモンド)から作成することができる。他の材料としては、MKD(単結晶ダイヤモンド)、CVD-D(化学蒸着厚膜)、又はCBN(立方晶窒化ホウ素)が挙げられる。
【0035】
実施形態では、カッターキャリアが、端面、特に前端面に、カッターに向かって冷却剤を案内するための冷却剤溝を備え、冷却剤溝が、半径方向に見て、カッターキャリアの内側からカッターキャリアの外側に延在することは事実である。
【0036】
これにより、カッターキャリアの厚さが比較的小さいにもかかわらず、カッターに冷却剤を供給することが可能になり、これにより、カッターキャリア内にチャネルが形成され得ない。さらに、カッターキャリア内のチャネルと比較して、冷却剤溝はカッターキャリアの外面上に配置されるため、冷却剤溝の形成ははるかに容易である。
【0037】
実施形態では、カッターキャリアは、冷却剤溝が上に形成され、ねじ頭レセプタクルを有する締結孔が形成された平坦な環状プレートとして形成される。
【0038】
これにより、板状のブランクからカッターキャリアを単純に製造することができる。
実施形態では、カッターキャリアは、最大10mm、特に最大6mm、特に最大5mmの軸方向の厚さを有する。
【0039】
実施形態では、切断要素は、カッターキャリアの前方に3mm未満、特に2mm未満、特に1.5mm未満だけ軸方向に突出する。
【0040】
さらなる実施形態は、さらなる従属請求項からもたらされる。
以下において、本発明の主題は、添付の図面に示された好ましい実施形態に基づいて、より詳細に説明される。それらは、各場合において以下を概略的に示す。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図4】工具ヘッドの様々な図及び断面のうちの1つである。
【
図5】工具ヘッドの様々な図及び断面のうちの1つである。
【
図6】工具ヘッドの様々な図及び断面のうちの1つである。
【
図7】工具ヘッドの様々な図及び断面のうちの1つである。
【
図8】工具ヘッドの様々な図及び断面のうちの1つである。
【
図9】別の実施形態による切削工具及びその部品を示す図である。
【
図10】別の実施形態による切削工具及びその部品を示す図である。
【
図11】別の実施形態による切削工具及びその部品を示す図である。
【
図12】別の実施形態による切削工具及びその部品を示す図である。
【
図13】別の実施形態による切削工具及びその部品を示す図である。
【
図14】別の実施形態による切削工具及びその部品を示す図である。
【
図15】別の実施形態による切削工具及びその部品を示す図である。
【
図16】冷却剤分配プレートの様々な図及び分解図のうちの1つである。
【
図17】冷却剤分配プレートの様々な図及び分解図のうちの1つである。
【
図18】冷却剤分配プレートの様々な図及び分解図のうちの1つである。
【
図19】冷却剤分配プレートの様々な図及び分解図のうちの1つである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
原則として、同一であるか又は同じ効果を有する部分には、図中に同じ参照符号が付されている。
【0043】
一般に、軸方向が言及されているとき、これは、動作中に切削工具が回転する回転軸を参照する。「半径方向」、「軸方向」、「周方向」という用語は、この軸を参照する。工具ホルダに面する切削工具の側が「後側」として参照され、反対側は「前側」として参照される。
【0044】
図1~
図3は、カッターキャリア3を上面図、断面図及び斜視図において示す。カッターキャリア3は、周に沿ってカッターを有する歯が存在する環状プレートとして設計され、それらの間に刃溝が形成される。内側錐体35が、工具ヘッド2上のカッターキャリア3の精密なセンタリングのために、リングの内側に形成されてもよい。他の実施形態では、内側錐体35の代わりに円筒状接続部が存在する。軸方向において、カッターキャリア3は、締結孔32によって貫通されている。これらは各々、工具ヘッド2にカッターキャリア3を締結するために交換可能ねじ26を入れることができるねじ頭レセプタクル33を備える。冷却剤をカッターに案内する冷却剤溝34が各カッター又は歯にそれぞれ割り当てられている。図示の実施形態では、冷却剤溝34は、カッターキャリア3の前面に配置されており、すなわち、機械加工されている加工片に面している。したがって、冷却剤溝34は開いているが、冷却剤をカッターに案内するために加工片と協働するチャネルが形成される。これは、切削工具1の意図された用途が正面切削であり、そうする際、切削工具1は、正面切削される加工片の表面と密接に接触するために可能である。
【0045】
冷却剤溝34は、カッターキャリア3の外面又は前面に形成されている。各カッターには、それ自体の冷却剤溝34を割り当てることができる。
【0046】
図示されていない他の実施形態では、それらは背面に配置され、したがって、基体21と協働する閉じたチャネルを形成する。
【0047】
表面フライスとして、及び必要に応じて周縁フライスとしても加工片を機械加工するためのカッターは、正面カッター311及び周縁カッター312として形成される。これらのカッターは、カッターキャリア3上に、すなわち対応するカッター(図示せず)を研削することによって形成することができる。この目的のために、カッターキャリア3は硬質金属から形成されている。これにより、カッターキャリア3及びカッターの全体が一体に形成される。他方、図では、正面カッター311及び周縁カッター312が各々、個々の切断要素31上に形成されていることが示されている。次いで、切断要素31は、特に材料結合、例えばろう付け又は接着結合によって、カッターキャリア3に恒久的に接続される。両方の事例において、カッターキャリア3の製造中にカッターがともに鋭利化され、摩耗後にカッターキャリア3が全体として交換される。
【0048】
切断要素31は、存在する場合、カッターキャリア3の前方に3ミリメートル未満、特に2ミリメートル未満、特に1.5ミリメートル未満だけ軸方向に突出する。
【0049】
切断キャリア3は、最大10mm、特に最大6mm、特に最大5mmの軸方向の厚さを有する。
【0050】
したがって、別個の切断要素31の有無にかかわらず、カッターを含むカッターキャリア3は、最大10mm、特に最大6mmの厚さを有することが可能である。
【0051】
図4~
図8は、工具ヘッド2の様々な図及び断面を示す。工具ヘッド2は、その後側で工具ホルダ4に結合することができ、その前側でカッターキャリア3を受け入れるように設計された基体21を備える。
【0052】
工具ホルダ4に結合するために、取り付けねじ22が設けられ、工具ホルダ4が結合される機械スピンドルに対する軸の向きは、中間体281を介して調整ねじ28によって調整可能である。これは、下記において
図14に関連して説明される。
【0053】
取り付けのために、カッターキャリア3は、交換可能ねじ26によって基体21にねじ止めされ、交換可能ねじ26の頭がねじ頭レセプタクル33に入れられる。カッターキャリア3は、基体21のセンタリングリング213上で外側錐体に嵌合された内側錐体35を備えることができる。センタリングリング213は、基体21から軸方向に突出するリブとして形成されてもよく、それにより、カッターキャリア3が嵌合されるときに圧縮され得る。
【0054】
基体21の前端面上には、冷却剤分配プレート23が配置され、例えばプレートねじ27によって締結されている。冷却剤分配プレート23は、軸方向において冷却剤分配プレート23の中央領域に開口する内部冷却剤チャネル24を備える。したがって、それらには、取り付けねじ22の長手方向チャネル221を通して冷却剤を供給することができる。冷却剤チャネル24は、半径方向において冷却剤分配プレート23を通ってカッターキャリア3に至る。これにより、別個の冷却チャネル24を各カッターに割り当てることができる。冷却剤チャネル24は、その周縁において冷却剤分配プレート23から出る。カッターキャリア3が取り付けられると、各冷却剤チャネル24は、カッターキャリア3の関連する冷却剤溝34に至る。典型的には、両者は互いに位置整合され、すなわち、冷却剤溝34は冷却剤チャネル24の延長部を形成する。冷却剤チャネル24は、出口開口部234において冷却剤分配プレート23から出る。
【0055】
カッターキャリア3を交換するとき、カッターキャリア3の互換精度のために、機械スピンドルに対する工具ヘッド2の位置整合(軸方向の振れ)を再調整する必要はない。
【0056】
図9~
図15は、別の実施形態による切削工具及びその部品を示す。これまでに示し説明した要素もここに存在するが、割合は異なる。これらの要素に加えて、これらの図には以下が見られる。
【0057】
基体21の前端には、カッターキャリア3の周方向輪郭に対応する形状の支持区画212が存在し、各場合において、支持区画212は、カッターキャリア3の歯を軸方向に支持する、すなわち軸方向の機械加工力を吸収する。支持区画212の間には、圧送溝211が、カッター又は歯の間の刃溝から軸方向後方に延在するくぼみの形態で形成されている。それらは、切削工具1の動作中に圧送又は吸引効果が生み出され、それによってチップを有する冷却液が後方に搬送されるように、増大するピッチで螺旋状に湾曲している。
【0058】
図10は、カッターキャリア3を有しない工具ヘッド2を示し、
図11は、カッターキャリア3を有する。
図14及び
図15は、工具ホルダ4に取り付けられた切削工具1を断面斜視図で示す。
図14は、工具ヘッド2が取り付けねじ22によって工具ホルダ4にどのように取り付けられるかを示す。このとき、工具ヘッド2の後面29と工具ホルダ4の接触面41とが互いに対して押圧される。取り付けねじ22の周りに分散された調整ねじ28がまた、それぞれの中間体281を介して接触面41を押圧し、それによって切削工具1の軸を、工具ホルダが取り付けられている1つの機械スピンドルの回転軸に対して位置整合させることができる。調整ねじ28は、基体21の対応するねじ穴に入れられ、内部六角形によって前方から調整することができる。この目的のために、冷却剤分配プレート23が取り外される。
図14はまた、冷却剤を取り付けねじ22の長手方向チャネル221に供給するための工具ホルダ4内のキャビティ42を示す。
【0059】
図16~
図19は、冷却剤分配プレート23の複数の部分から成る構造を示す。
図16及び
図17は、冷却剤分配プレート23を外側から見た図であり、
図18及び
図19は内側から見た図であり、すなわち基体21の側面から見た図である。冷却剤分配プレート23は、互いに対向して配置された外側部分又は第1の部分231及び内側部分又は第2の部分232を有し、これらの部分は、2つの部分の間に空間を残し、これが出口開口部234を有する冷却剤チャネル24を形成する。
【0060】
この実施形態について、前述の図のものと同様に、冷却剤分配プレート23は、平坦な円筒の形状を有する。冷却剤チャネル24は、プレートねじ27の貫通孔を通っており、プレートねじ27が冷却剤と接触しないようになっている。
【外国語明細書】