IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ショット アクチエンゲゼルシャフトの特許一覧

特開2024-31885ガラスロッド、ガラスロッドのセット、およびガラスロッドの製造方法
<>
  • 特開-ガラスロッド、ガラスロッドのセット、およびガラスロッドの製造方法 図1
  • 特開-ガラスロッド、ガラスロッドのセット、およびガラスロッドの製造方法 図2
  • 特開-ガラスロッド、ガラスロッドのセット、およびガラスロッドの製造方法 図3
  • 特開-ガラスロッド、ガラスロッドのセット、およびガラスロッドの製造方法 図4
  • 特開-ガラスロッド、ガラスロッドのセット、およびガラスロッドの製造方法 図5
  • 特開-ガラスロッド、ガラスロッドのセット、およびガラスロッドの製造方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031885
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】ガラスロッド、ガラスロッドのセット、およびガラスロッドの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C03B 17/04 20060101AFI20240229BHJP
   C03C 3/091 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
C03B17/04 A
C03C3/091
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023134470
(22)【出願日】2023-08-22
(31)【優先権主張番号】22191624
(32)【優先日】2022-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】504299782
【氏名又は名称】ショット アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr. 10, 55122 Mainz, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン ハインル
(72)【発明者】
【氏名】ライナー エルヴィン アイヒホルツ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ボイムラー
(72)【発明者】
【氏名】ハンス リッパート
(72)【発明者】
【氏名】チャバ デブレツェニー
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー トリンクス
【テーマコード(参考)】
4G062
【Fターム(参考)】
4G062AA01
4G062BB01
4G062DA07
4G062DB02
4G062DB03
4G062DC02
4G062DC03
4G062DC04
4G062DD01
4G062DE01
4G062DF01
4G062EA01
4G062EA02
4G062EA03
4G062EA10
4G062EB01
4G062EB02
4G062EB03
4G062EC01
4G062EC02
4G062EC03
4G062ED01
4G062EE01
4G062EE02
4G062EE03
4G062EF01
4G062EG01
4G062EG02
4G062EG03
4G062FA01
4G062FA10
4G062FB01
4G062FC01
4G062FD01
4G062FE01
4G062FF01
4G062FG01
4G062FH01
4G062FJ01
4G062FK01
4G062FL01
4G062GA01
4G062GB01
4G062GC01
4G062GD01
4G062GE01
4G062HH01
4G062HH03
4G062HH05
4G062HH07
4G062HH09
4G062HH11
4G062HH13
4G062HH15
4G062HH17
4G062HH20
4G062JJ01
4G062JJ03
4G062JJ05
4G062JJ07
4G062JJ10
4G062KK01
4G062KK03
4G062KK05
4G062KK07
4G062KK10
4G062MM02
4G062MM24
4G062NN29
4G062NN34
(57)【要約】      (修正有)
【課題】完全に自動化されたロボット制御プロセスにおいてフラッシュランプを製造するためのガラスロッドを提供する。
【解決手段】長さlrod、平均半長軸長lmajor(a)および平均半短軸長lminor(a)を有するガラスロッドであって、前記長さlrodが100~1600mmであり、前記ガラスロッドの断面内で、lmajor(n)は前記断面の質量中心から前記断面内でのガラスロッドの最も遠い境界までの距離であり、且つlminor(n)は前記断面の質量中心から前記断面内でのガラスロッドの最も近い境界までの距離であり、lmajor(n)とlminor(n)とは同一または異なることができ、前記ガラスロッドはガラスが104dPa・sの粘度を有する温度として定義されるT4温度1400℃以上を有するガラス組成物を含む前記ガラスロッドである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さlrod、平均半長軸長lmajor(a)、および平均半短軸長lminor(a)を有するガラスロッドであって、前記長さlrodが100~1600mmであり、
前記ガラスロッドの断面内で、lmajor(n)は、前記断面の質量中心から、前記断面内でのガラスロッドの最も遠い境界までの距離であり、且つlminor(n)は、前記断面の質量中心から、前記断面内でのガラスロッドの最も近い境界までの距離であり、lmajor(n)とlminor(n)とは同一または異なることができ、
前記ガラスロッドは、ガラスが104dPa・sの粘度を有する温度として定義されるT4温度1400℃以上を有するガラス組成物を含み、
前記ガラスロッドは半長軸の全体の相対的な長さのばらつき(tlvmajor)、相対的な局所面積のばらつき(lav)、およびtlvmajor+lavの合計として定義される品質指数を有し、
tlvmajorは、(a)50の等距離の断面位置の最短の半長軸長lmajor(n)と、(b)前記50の等距離の断面位置の最長の半長軸長lmajor(n)との間の絶対差として特定され、前記50の等距離の断面位置の半長軸長の平均値lmajor(a)によって正規化され、
前記50の等距離の断面は、前記ガラスロッドの長さlrodに沿って配置され、最初の位置として0.01×lrodの位置で開始し、且つ引き続く位置ごとに追加増分0.02×lrodが用いられ、
lavは、(c)前記50の等距離の断面位置の最長の半長軸長を有する断面位置での断面積と、(d)前記50の等距離の断面位置の断面積の平均値との間の絶対差として特定され、前記50の等距離の断面位置の断面積の平均値によって正規化され、
前記品質指数は0.090以下、0.070以下、または0.050以下である、
前記ガラスロッド。
【請求項2】
前記平均半長軸長lmajor(a)は0.9~3.1mmであり、且つ前記平均半短軸長lminor(a)は0.9~3.1mmであり、
前記半長軸長lmajor(n)は、前記50の等距離の断面位置の平均半長軸長に対して、各々等距離の位置で10%または5%または2%の許容差内であり、且つ/または
前記半短軸長lminor(n)は、前記50の等距離の断面位置の平均半短軸長に対して、各々等距離の位置で10%または5%または2%の許容差内である、
請求項1に記載のガラスロッド。
【請求項3】
湾曲または曲率が、DIN EN ISO 1101:2017-09に準拠して且つ支持距離300mmで測定して、0.030~0.30mmである、請求項1または2に記載のガラスロッド。
【請求項4】
50の局所楕円率の平均2×(lmajor(n)-lminor(n))/(lmajor(n)+lminor(n))として定義される平均楕円率を有し、前記平均楕円率は前記ガラスロッドに沿った前記50の等距離の位置でサンプリングされ、且つ前記平均楕円率は各々等距離の位置で0.20以下、0.10未満、0.050未満、または0.030未満である、請求項1から3までのいずれか1項に記載のガラスロッド。
【請求項5】
半短軸の全体の相対的な長さのばらつき(tlvminor)0.040未満を有し、tlvminorは、前記50の等距離の断面位置の最短の半短軸長と最長の半短軸長との間の絶対差として特定され、前記50の等距離の断面位置の半短軸長の平均値によって正規化され、且つ/または
相対的な全体の面積のばらつき(tav)0.100未満を有し、tavは、1つの断面位置での最小の断面積と、前記50の等距離の断面位置の最大の断面積との間の絶対差として特定され、前記50の等距離の断面位置の断面積の平均値によって正規化される、
請求項1から4までのいずれか1項に記載のガラスロッド。
【請求項6】
以下の特性の1つ以上:
・ 前記ガラスロッド内の気泡数が10未満、5未満、または2未満であり、ここで気泡の長さは前記気泡における最長の直線距離として測定して少なくとも0.5mmであること、
・ 気泡における最長の直線距離として測定される気泡の長さが70mm未満、50mm未満、または10mm未満であること、および
・ 100mmを上回る気泡の広がりがなく、ここで気泡の広がりはガラスロッドの長さ方向において次々に配列する一連の気泡の発生として定義され、前記気泡は隣接する2つの気泡間の距離が、その連なりにおける最長の長さを有する気泡の長さよりも短いこと、
によって特徴付けられる、請求項1から5までのいずれか1項に記載のガラスロッド。
【請求項7】
前記ガラス組成物が、質量パーセントで以下の成分の1つ以上または全て:
・ 70.0%~90.0%のSiO2
・ 0.0%~25.0%のB23
・ 0.0%~10.0%のAl23
・ 0.0%~10.0%の1つ以上のアルカリ土類金属酸化物、
・ 0.0%~7.0%の1つ以上のアルカリ金属酸化物
を含む、請求項1から6までのいずれか1項に記載のガラスロッド。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項に記載のガラスロッドを少なくとも40個含む、ガラスロッドのセット。
【請求項9】
前記ガラスロッドの少なくとも80%が以下の特性の1つ以上:
・ 好ましくはガラス中のガス包含物によって形成される、ガラスロッド内に完全に閉じ込められた長手の空隙として定義される気泡が不在であり、ここで、前記ガスは20℃で気体状であることがあり、且つ/または冷却後に凝縮されることがあり、且つ低減された圧力を有する気泡が形成され、前記ガラスロッドの断面方向における長手の空隙の最長の広がりで直径0.15mm以下を有し、且つ前記ガラスロッドの最長の広がりに沿って50mm以下の長さを有すること、
・ 開放気泡が本質的に不在であり、ここで、気泡の長さは、前記気泡における最長の直線距離として測定して少なくとも0.5mmであること、および
・ 100μm以上のサイズを有する、ガラスロッド内に完全に閉じ込められた異物として定義される包含物、好ましくは金属粒子包含物、および/または非金属粒子包含物が不在であること、
を有する、請求項8に記載のガラスロッドのセット。
【請求項10】
ガラスロッドの製造方法、任意に請求項1から9までのいずれか1項に記載のガラスロッドまたはガラスロッドのセットの製造方法であって、以下の段階:
・ 下方の排出開口部(2)を含む反応器(1)を準備する段階、
・ 前記反応器内でガラス原料を加熱して、ガラス溶融物(3)を得る段階、
・ 前記ガラス溶融物を少なくとも部分的に、前記ガラス溶融物が102.5dPa・sの粘度を有する温度として定義される温度T2.5に加熱する段階、
・ 前記ガラス溶融物を前記反応器から、引き出し温度およびガラス溶融物の引き出し速度で引き出す段階、および
・ 前記引き出し温度を上昇させて前記ガラス溶融物の引き出し速度を制御し、且つ/または前記ガラス溶融物上の圧力を調節して、前記ガラス溶融物の引き出し速度を制御する段階、
・ 前記ガラス溶融物を冷却および/または成形してガラスロッド(5)を得る、且つ/または請求項1から7までのいずれか1項に記載のガラスロッド(5)を得る段階
を含み、前記ガラス溶融物が1400℃以上のT4温度を有するガラス組成物を有し、ここでT4はガラス溶融組成物が104dPa・sの粘度を有する温度である、前記方法。
【請求項11】
以下の条件の1つ以上:
・ 前記ガラス溶融物(3)がT4の少なくとも50℃上、好ましくはT4の50~130℃上の引き出し温度で、10℃、または5℃、または3℃の許容差で引き出され、ここで好ましくは前記反応器(1)からのガラス溶融物の引き出しは、前記排出開口部(2)を介して実施される、
・ 引き出し温度を上昇させて前記ガラス溶融物の引き出し速度を2%以下、または1%以下の許容差で制御する、および
・ 前記ガラス溶融物上の圧力を調節して、前記ガラス溶融物の引き出し速度を2%以下、または1%以下の許容差で制御する、
が満たされる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記反応器(1)からの前記ガラス溶融物の引き出しは、前記下方の排出開口部(2)から出るガラスロッド(5)の長さに関して2~50m/分の速度であり、且つ/または前記ガラス溶融物(3)を前記反応器(1)から15~150ml/分の体積流量で引き出す、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記ガラス溶融物の90%、または80%、または70%、または60%、または50%の消費に達する前に、好ましくはバッチ式反応器として稼働される反応器(1)からの前記ガラス溶融物(3)の引き出しを中断する段階をさらに含む、請求項10から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
以下の段階:
・ 前記ガラス溶融物の90%の消費に達したら、好ましくはバッチ式反応器として稼働される前記反応器(1)から前記ガラス溶融物(3)を引き出すことを継続する段階、および
・ 溶融表面を加熱する段階
をさらに含み、前記溶融表面の加熱は、前記反応器(1)からの前記ガラス溶融物の引き出しを許容差1%以下の速度で、且つ/または許容差1%以下の体積流量で保持することをもたらす、請求項10から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
ガラス溶融物の上の圧力を調節することが、1つ以上の以下の手段:
・ 前記反応器を気密封止すること、および
・ 圧縮空気を用いて、前記下方の排出開口部での圧力低下を補償すること
を含む、請求項10から14までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記方法が、排出ガス、例えばCO2をなくすために電気的手段のみによる加熱の下で実施され、且つ/または前記ガラス溶融物と接触する反応器の接触表面は、70質量%を上回るZrO2を含むキャストジルコニアの形態での30質量%以上の接触材料を含み、且つ/または前記ガラス溶融物と接触する反応器の接触表面は、80質量%を上回る、90質量%を上回る、または95質量%を上回るケイ酸ジルコニウムを有する焼結材料を含む、請求項10から15までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記ガラスが含水率少なくとも35mmol/l、好ましくは少なくとも45mmol/l、より好ましくは少なくとも55mmol/lを有し、且つ/または前記ガラスが20℃~300℃の温度範囲における熱膨張係数0.8ppm/K~4.5ppm/Kを有する、請求項1から18までのいずれか1項に記載の方法またはガラスロッド。
【請求項18】
請求項1から7までのいずれか1項に記載のガラスロッドを含むフラッシュランプであって、前記フラッシュランプがタングステンまたはモリブデン電極、および石英ガラスをさらに含み、前記ガラスが前記石英ガラスを前記タングステンまたはモリブデン電極に封着する、前記フラッシュランプ。
【請求項19】
金属物品をガラス部材に接合するための、および/またはフラッシュランプのための、請求項1から7までのいずれか1項に記載のガラスロッドの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガラスロッド、ガラスロッドのセット、およびガラスロッドの製造方法に関する。さらに、本発明は、前記ガラスロッドを含むフラッシュランプ、および金属物品をガラス部材に接合するための、および/またはフラッシュランプのための、本発明よるガラスロッドの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
フラッシュランプは医療、工業および科学の用途において様々な利用法がある。
【0003】
フラッシュランプは典型的にはフューズドシリカ/石英またはホウケイ酸管から作られ、前記管はU字型として設計され、その2つの端部は金属電極と一体化されている。動作の間に取付台またはランプホルダとしても機能する導電性の支持体を介して高電圧の電力が供給される。金属電極の金属の導電性支持体をフラッシュランプの管壁に接続するための特別なガラスが開発されている。
【0004】
当該技術分野において公知のフラッシュランプの製造方法は、フラッシュランプを製造する間のプロセスの不規則性に起因して、技術的な監視および人間による制御を必要とする。
【0005】
フラッシュランプを製造するためのロボット制御の方法が求められているが、連続的且つ安定なワークフローを確実にするために、それらは完全に自動化された製造プロセスに適したガラスロッドに依拠する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、完全に自動化されたロボット制御プロセスにおいてフラッシュランプを製造するためのガラスロッドを提供する必要性が残っている。さらに、上述の必要性を満たし且つロボット制御プロセスにおけるフラッシュランプの製造のために使用され得る、ガラスロッドの製造方法を提供するための関連する要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の要約
第1の態様において、本発明は、長さlrod、平均半長軸長lmajor(a)、および平均半短軸長lminor(a)を有するガラスロッドであって、前記長さlrodが100~1600mmであり、
前記ガラスロッドの断面内で、lmajor(n)は、前記断面の質量中心から、前記断面内でのガラスロッドの最も遠い境界までの距離であり、且つlminor(n)は、前記断面の質量中心から、前記断面内でのガラスロッドの最も近い境界までの距離であり、lmajor(n)とlminor(n)とは同一または異なることができ、
前記ガラスロッドは、ガラスが104dPa・sの粘度を有する温度として定義されるT4温度1400℃以上を有するガラス組成物を含み、
半長軸の全体の相対的な長さのばらつき(tlvmajor)、相対的な局所面積のばらつき(lav)、およびtlvmajor+lavの合計として定義される品質指数を有し、
tlvmajorは、(a)50の等距離の断面位置の最短の半長軸長と、(b)前記50の等距離の断面位置の最長の半長軸長との間の絶対差として特定され、前記50の等距離の断面位置の半長軸長の平均値lmajor(a)によって正規化され、
前記50の等距離の断面は、前記ガラスロッドの長さlrodに沿って配置され、最初の位置として0.01×lrodの位置で開始し、且つ引き続く位置ごとに追加増分0.02×lrodが用いられ、
lavは、(c)前記50の等距離の断面位置の最長の半長軸長を有する断面位置での断面積と、(d)前記50の等距離の断面位置の断面積の平均値との間の絶対差として特定され、前記50の等距離の断面位置の断面積の平均値によって正規化され、
前記品質指数は0.090以下、0.070以下、または0.050以下である、
前記ガラスロッドに関する。
【0008】
本発明によるガラスロッドは、ガラスが104dPa・sの粘度を有する温度として定義されるT4温度1400℃以上を有するガラス組成物を含み、従って、高温を経て且つライフサイクルの間に多数の極端な温度変化を受けるフラッシュランプの製造のために適している。
【0009】
当該技術分野において公知のガラスロッドは不均一な形状を示すことが多く、それは数ある影響の中でも、製造のために使用されるガラス(原)材料の小さなバッチ、非連続プロセスにおける短い滞在時間、および用いられるガラス組成物の高い溶融温度に由来すると考えられている。観察される不均一な形状は、製造の間のガラス溶融物の不均一性に起因し、それは最終ガラスロッド製品においても現れる。ガラス溶融物における不均一性は、ガラス溶融物の粘度における不均一性も引き起こし、且つ直接的にそれと関連する。「完全な形状」からのずれがあまりに大きいと、ロボットの取り扱いを含む、引き続く製造プロセスにおいて問題が起きる。
【0010】
当然、工業的に製造されたガラスロッドの数学的に完全な円柱形は手に入りにくいままであることがある。本発明は、均質性に対する要望および要件を満たすガラスロッドを提供する。均質性は、半長軸の全体の相対的な長さのばらつき(tlvmajor)と、相対的な局所面積のばらつき(lav)との合計として定義される品質指数を介して評価および識別され得る。tlvmajorとlavとの両方のパラメータが、ガラスロッドの形状の忠実度を反映する。
【0011】
本発明によるガラスロッドは、前記ガラスロッドの長さlrodに沿って配置される50の等距離の断面位置で測定された、半長軸の全体の相対的な長さのばらつきに関して特に均質であると共に、ガラスロッドの長さ全体にわたって非常に一定の質量を有し、それは測定された50の等距離の断面に非常に小さな面積ばらつきしかないことによって表される。
【0012】
半長軸の全体の相対的な長さのばらつき(tlvmajor)は、50の等距離の断面の最大値および最小値、つまりその差に関して評価され、次いでそれが50の等距離の断面位置の半長軸長の平均値によって除算される。最長の半長軸の(断面)位置で、相対的な局所面積のばらつき(lav)が、(c)前記50の等距離の断面位置の最長の半長軸長を有する断面位置での断面積と、(d)前記50の等距離の断面位置の断面積の平均値との間の絶対差として特定され、50の等距離の断面位置の断面積の平均値によって正規化される。
【0013】
本発明者らは、0.090以下の品質指数がフラッシュランプ用のガラスロッドの要求される基準を満たし、且つ当該技術分野において公知のガラスロッドに対して改善された均質性を反映することを確立した。提供されるガラスロッドの0.090以下の品質指数は、良好なロボット操作を提供し、従ってフラッシュランプの完全に自動化された製造を可能にする。品質指数についての低い値は、ガラスロッドの所望の均質性を示し、なぜなら、それに応じて半長軸の全体の相対的な長さのばらつき(tlvmajor)は低くなければならないからである。従って、低いtlvmajor値は、特にガラスロッドを溶融し、引き続きフラッシュランプへと製造する前に、円滑なロボット操作を提供する。品質指数についての低い値は、50の等距離の断面位置の最長の半長軸長を有する断面位置で特定される、相対的な局所面積のばらつき(lav)が低いことも示し且つそれを提供する。相対的な局所面積のばらつき(lav)についての低い値は、接合されたガラスと金属電極との間の良好な融合を確立する。
【0014】
ガラスロッドの均質性は、円滑な機械的ロボット操作を可能にし、なぜなら、厚さにおけるムラおよび不均一性が、ロボットにおいてガラスロッドの失速がない程度に最小化されるからである。さらに、フラッシュランプの製造の間、ガラスロッドを加熱しなければならない。小さな相対的な局所面積ばらつきlavのみを有する均質なガラスロッドは、均一且つ一定して所望の狭い温度範囲に加熱され得る。フラッシュランプの製造温度は高く、なぜなら、用いられるガラス組成物は、高温でのみ溶融される必要があるからであり、それはT4温度が1400℃以上であるという特性によって表される。本発明によるガラスロッドは、前記ガラスロッドの長さに沿った断面積および質量の定常性に関するそれらの高い均質性に起因して、製造段階の間に経る温度のずれが少ない。有利には、これは製造自体の間も、最終製品においても、低減されたガラスの破砕をもたらす。
【0015】
第2の態様において、本発明はガラスロッドのセットに関する。有利には、本発明によるガラスロッドの均質性は、提供される個々のガラスロッドにおいても、1セットに少なくとも40のガラスロッドを含むバルクのレベルでも反映される。
【0016】
第3の態様において、本発明は、ガラスロッドの製造方法であって、以下の段階:
・ 下方の排出開口部(2)を含む反応器(1)を準備する段階、
・ 前記反応器内でガラス原料を加熱して、ガラス溶融物(3)を得る段階、
・ 前記ガラス溶融物を少なくとも部分的に、前記ガラス溶融物が102.5dPa・sの粘度を有する温度として定義される温度T2.5に加熱する段階、
・ 前記ガラス溶融物を前記反応器から、引き出し温度およびガラス溶融物の引き出し速度で引き出す段階、および
・ 前記引き出し温度を上昇させてガラス溶融物の引き出し速度を制御し、且つ/またはガラス溶融物上の圧力を調節して、ガラス溶融物の引き出し速度を制御する段階、
・ ガラス溶融物を冷却および/または成形してガラスロッド(5)を得る、且つ/またはこの開示によるガラスロッド(5)を得る段階
を含み、前記ガラス溶融物が1400℃以上のT4温度を有するガラス組成物を有し、ここでT4はガラス溶融組成物が104dPa・sの粘度を有する温度である、前記方法に関する。
【0017】
高融点を有する、例えば1400℃以上のT4温度によって特徴付けられるガラス組成物の製造方法、および関連する製品は、特に、狭い温度範囲および高い製造温度での流量の厳密な制御が必要とされる場合、技術的に非常に挑戦的である。従って、本発明者らは、反応器からのガラス溶融物の引き出しを制御することを可能にする条件を確立した。引き出し温度を上昇させてガラス溶融物の引き出し速度を制御し、且つ/またはガラス溶融物上の圧力を調節して、ガラス溶融物の引き出し速度を制御することは、独立してまたは組み合わせて使用できる2つのそれぞれの手段を提供する。それらの手段の両方は繊細であり、且つガラス溶融物の引き出し速度を制御するために、および特に予め設定された狭い範囲内の引き出し速度を提供するために、厳密なプロセス監視および制御を必要とする。有利には、前記方法は、本開示によるガラスロッドの製造を可能にする。
【0018】
任意に、前記方法は本開示によるガラスロッドまたはガラスロッドのセットを提供する。
【0019】
従って、本発明者らは、例えば半長軸の最小化された全体の相対的な長さのばらつき(tlvmajor)および/または最小化された相対的な局所面積のばらつき(lav)に関して非常に均質であり、従ってtlvmajor+lavの合計として定義される品質指数について所望の低い値を有する、ガラスロッドを製造するための製造条件を確立した。
【0020】
製造条件は反応器からのガラス溶融物の引き出しを、許容差1%以下を有する速度で、且つ/または許容差1%以下を有する体積流量で制御することができ、且つ/またはガラス溶融物がT4の少なくとも50℃上の引き出し温度で、10℃または5℃または3℃の許容差を有して引き出されることを制御できる。
【0021】
狭い(体積流量)速度の境界内で反応器からのガラス溶融物の引き出しを制御し、ひいては、反応器から出てくるほぼ一定のガラス質量流で作業して、得られるガラスロッドにおいて生じ得るずれを最小化することが有利である。今まで、この要求水準でのプロセス制御は技術的に実行可能ではなかった。排出開口部で一定のガラスの質量流が保証されていることは、定義された寸法、ひいては高い精度を有するガラスロッドをもたらす。高い精度は、半長軸の最小化された全体の相対的な長さのばらつき、および/または最小化された相対的な局所面積のばらつきに現れる。
【0022】
ガラス溶融物がT4の少なくとも50℃上の引き出し温度で、許容差10℃、または5℃、または3℃で引き出されることが有利であることができ、なぜなら、粘度は、ガラス溶融物をロッドへと引き抜く段階でガラス溶融物の流動条件を提供するために充分に大きくなければならないからである。同時に、ガラス溶融物の組成およびガラス溶融物の粘度における不均一性を回避するために、引き抜き段階でのガラス溶融物の温度のずれを小さく、例えば10℃、または5℃、または3℃の許容差に保たなければならないことがある。
【0023】
他の態様において、本発明は本開示によるガラスロッドを含むフラッシュランプであって、前記フラッシュランプは電極(例えばタングステンまたはモリブデン電極)、および石英ガラスをさらに含み、前記ガラスが前記石英ガラスを前記電極に封着する、前記フラッシュランプに関する。
【0024】
第4の態様において、本発明は、金属物品をガラス部材に接合するための、および/またはフラッシュランプのための、本発明によるガラスロッドの使用に関する。
【0025】
第5の態様において、本発明は、長さlrod、平均半長軸長lmajor(a)、および平均半短軸長lminor(a)を有するガラスロッドであって、前記長さlrodが100~1600mmであり、
前記ガラスロッドの断面内で、lmajor(n)は、前記断面の質量中心から、前記断面内でのガラスロッドの最も遠い境界までの距離であり、且つlminor(n)は、前記断面の質量中心から、前記断面内でのガラスロッドの最も近い境界までの距離であり、lmajor(n)とlminor(n)とは同一または異なることができ、
前記ガラスロッドは、ガラスが104dPa・sの粘度を有する温度として定義されるT4温度1400℃以上を有するガラス組成物を含み、
前記平均半長軸長lmajor(a)は0.9~3.1mmであり、且つ前記半短軸長lminor(n)は0.9~3.1mmであり、
前記半長軸長lmajor(n)は、前記50の等距離の断面位置の平均半長軸長lmajor(a)に対して、各々等距離の位置で10%または5%または2%の許容差内であり、且つ/または
前記半短軸長lminor(n)は、前記50の等距離の断面位置の平均半短軸長に対して、各々等距離の位置で10%または5%または2%の許容差内であり、
前記50の等距離の断面は、前記ガラスロッドの長さlrodに沿って配置され、最初の位置として0.01×lrodの位置で開始し、且つ引き続く位置ごとに追加増分0.02×lrodが用いられる、
前記ガラスロッドに関する。
【0026】
第6の態様において、本発明は、長さlrod、平均半長軸長lmajor(a)、および平均半短軸長lminor(a)を有するガラスロッドであって、前記長さlrodが100~1600mmであり、
前記ガラスロッドの断面内で、lmajor(n)は、前記断面の質量中心から、前記断面内でのガラスロッドの最も遠い境界までの距離であり、且つlminor(n)は、前記断面の質量中心から、前記断面内でのガラスロッドの最も遠い境界までの距離であり、lmajor(n)とlminor(n)とは同一または異なることができ、
前記ガラスロッドは、ガラスが104dPa・sの粘度を有する温度として定義されるT4温度1400℃以上を有するガラス組成物を含み、
前記ガラスロッドは50の局所的な楕円率の平均2×(lmajor(n)-lminor(n))/(lmajor(n)+lminor(n))として定義される平均楕円率を有し、
前記局所的な楕円率は前記ガラスロッドに沿った50の等距離の位置でサンプリングされ、且つ前記平均楕円率は各々等距離の位置で0.20以下、0.10未満、0.050未満、または0.030未満であり、
前記50の等距離の断面は、前記ガラスロッドの長さlrodに沿って配置され、最初の位置として0.01×lrodの位置で開始し、且つ引き続く位置ごとに追加増分0.02×lrodが用いられる、
前記ガラスロッドに関する。
【0027】
第7の態様において、本発明は、長さlrod、平均半長軸長lmajor(a)、および平均半短軸長lminor(a)を有するガラスロッドであって、前記長さlrodが100~1600mmであり、
前記ガラスロッドの断面内で、lmajor(n)は、前記断面の質量中心から、前記断面内でのガラスロッドの最も遠い境界までの距離であり、且つlminor(n)は、前記断面の質量中心から、前記断面内でのガラスロッドの最も近い境界までの距離であり、lmajor(n)とlminor(n)とは同一または異なることができ、
前記ガラスロッドは、ガラスが104dPa・sの粘度を有する温度として定義されるT4温度1400℃以上を有するガラス組成物を含み、
半短軸の全体の相対的な長さのばらつき(tlvminor)0.040未満を有し、tlvminorは、前記50の等距離の断面位置の最短の半短軸長と最長の半短軸長との間の絶対差として特定され、前記50の等距離の断面位置の半短軸長の平均値によって正規化され、且つ/または
相対的な全体の面積のばらつき(tav)0.100未満を有し、tavは、1つの断面位置での最小の断面積と、前記50の等距離の断面位置の最大の断面積との間の絶対差として特定され、前記50の等距離の断面位置の断面積の平均値によって正規化され、
前記50の等距離の断面は、前記ガラスロッドの長さlrodに沿って配置され、最初の位置として0.01×lrodの位置で開始し、且つ引き続く位置ごとに追加増分0.02×lrodが用いられる、
前記ガラスロッドに関する。
【0028】
本発明の説明
ガラスロッド
第1の態様において、本発明は、長さlrod、平均半長軸長lmajor(a)、および平均半短軸長lminor(a)を有するガラスロッドであって、前記長さlrodが100~1600mmであり、
前記ガラスロッドの断面内で、lmajor(n)は、前記断面の質量中心から、前記断面内でのガラスロッドの最も遠い境界までの距離であり、且つlminor(n)は、前記断面の質量中心から、前記断面内でのガラスロッドの最も近い境界までの距離であり、lmajor(n)とlminor(n)とは同一または異なることができ、
前記ガラスロッドは、ガラスが104dPa・sの粘度を有する温度として定義されるT4温度1400℃以上を有するガラス組成物を含み、
半長軸の全体の相対的な長さのばらつき(tlvmajor)、相対的な局所面積のばらつき(lav)、およびtlvmajor+lavの合計として定義される品質指数を有し、
tlvmajorは、(a)50の等距離の断面位置の最短の半長軸長と、(b)前記50の等距離の断面位置の最長の半長軸長との間の絶対差として特定され、前記50の等距離の断面位置の半長軸長の平均値lmajor(a)によって正規化され、
前記50の等距離の断面は、前記ガラスロッドの長さlrodに沿って配置され、最初の位置として0.01×lrodの位置で開始し、且つ引き続く位置ごとに追加増分0.02×lrodが用いられ、
lavは、(c)前記50の等距離の断面位置の最長の半長軸長を有する断面位置での断面積と、(d)前記50の等距離の断面位置の断面積の平均値との間の絶対差として特定され、前記50の等距離の断面位置の断面積の平均値によって正規化され、
前記品質指数は0.090以下、0.070以下、0.050以下である、
前記ガラスロッドに関する。
【0029】
本発明によるガラスロッドは、幾何学的(数学的)特性に関して記述され、つまり、長さlrod、平均半長軸長lmajor(a)、および平均半短軸長lminor(a)を有し、前記長さlrodが100~1600mmである。最も完全な幾何学的形態において、前記ガラスロッドは1つの長さおよび1つの半径を有する円柱であることができ、この場合、平均半長軸長lmajor(a)および平均半短軸長lminor(a)は同一であり、且つ半径は測定される断面とは無関係にガラスロッドの長さ全体に沿って1つの同じ値と想定される。しかしながら、工業的に製造されたガラスロッドはわずかな幾何学的ばらつきを示し、且つ数学的に完全な円柱形をとることはできず、つまり、円形の底部は楕円または楕円のような底部であることがあり、それは長さlmajor(a)を有する半長軸および長さlminor(a)を有する半単軸によって記述または近似され得る。さらに、工業的に製造されたガラスロッドは、ガラスロッドの長さに沿って半長軸および半短軸におけるばらつきを示すことがある。本発明によるガラスロッドを記述するために、ガラスロッドが長さlrod、平均半長軸長lmajor(a)、および平均半短軸長lminor(a)を有することが定義される。さらに、本発明によるガラスロッドの均質性を評価し且つ記述するために、50の等距離の断面位置が測定される。前記50の等距離の断面位置は、前記ガラスロッドの長さlrodに沿って配置され、最初の位置として0.01×lrodの位置で開始し、且つ引き続く位置ごとに追加増分0.02×lrodが用いられ、且つ幾何学的な関連パラメータを統計的に計算し、つまり半長軸長lmajor(n)および断面での局所面積がそれぞれの平均値からどれだけ異なるかを計算する。
【0030】
上記の概念および開示は、ガラスロッドの断面内で、lmajor(n)は前記断面の質量中心から前記断面内でのガラスロッドの最も遠い境界までの距離であり、且つlminor(n)は前記断面の質量中心から前記断面内でのガラスロッドの最も近い境界までの距離であり、且つlmajor(n)とlminor(n)とは同一または異なることができることと一致している。lmajor(n)とlminor(n)とが異なる場合、その2つのパラメータは前記断面の質量中心から、前記断面内でのガラスロッドの最も遠い境界および最も近い境界までのそれぞれの距離に関する。lmajor(n)およびlminor(n)についての値は断面内での最大直径および最小直径から導出でき、ここでそれぞれ、lmajor(n)およびlminor(n)を得るために最大直径および最小直径が係数2によって除算された。暗黙的に、最大直径と最小直径との両方が、各々測定される断面における質量中心を通ることが想定される。
【0031】
本開示において導出される幾何学的な関連パラメータ、例えば半長軸の全体の相対的な長さのばらつき(tlvmajor)、相対的な局所面積のばらつき(lav)、品質指数、平均楕円率、半短軸の全体の相対的な長さのばらつき(tlvminor)、および相対的な全体の面積ばらつき(tav)は、例えば、関連する平均値の除算による「正規化」の結果であり、従って無次元である。この種のデータ抽出および表現は有用であると考えられ、且つ異なるガラスロッドの幾何学的忠実度を、それらの絶対的な次元に関わらず、より良く比較することを可能にする。
【0032】
1つの実施態様において、前記長さlrodは100mm以上、150mm以上、200mm以上、250mm以上、300mm以上、400mm以上、500mm以上、600mm以上、または700mm以上である。1つの実施態様において、前記長さlrodは1600mm以下、1550mm以下、1500mm以下、1450mm以下、1400mm以下、1300mm以下、1200mm以下、1100mm以下、または1000mm以下である。1つの実施態様において、前記長さlrodは100~1600mm、150mm~1550mm、200mm~1500mm、250mm~1450mm、300mm~1400mm、400mm~1300mm、500mm~1200mm、600mm~1100mm、または700mm~1000mmである。
【0033】
前記ガラスロッドは、ガラスが104dPa・sの粘度を有する温度として定義されるT4温度1400℃以上を有するガラス組成物を含む。1つの実施態様において、前記ガラス組成物は1400℃以上、1450℃以上、1500℃以上、または1550℃以上のT4温度を有する。1つの実施態様において、前記ガラス組成物は1900℃以下、1850℃以下、1800℃以下、または1750℃以下のT4温度を有する。1つの実施態様において、前記ガラス組成物は1400℃~1900℃、1450℃~1850℃、1500℃~1800℃、または1550℃~1750℃のT4温度を有する。前記T4温度は、ISO 7884-2:1998-02に準拠して特定される。粘度値は一般に、回転粘度計を使用して、例えばDIN ISO 7884-2:1998-2に記載されるように測定できる。
【0034】
ガラスロッドの均質性、つまり、幾何学的忠実度を評価するために、半長軸の全体の相対的な長さのばらつき(tlvmajor)が計算され、相対的な局所面積のばらつき(lav)が計算され、且つtlvmajor+lavの合計として定義される品質指数が計算される。
【0035】
パラメータtlvmajorは、(a)50の等距離の断面位置の最短の半長軸長と、(b)前記50の等距離の断面位置の最長の半長軸長との間の絶対差として特定され、前記50の等距離の断面位置の半長軸長の平均値lmajor(a)によって正規化される。
【0036】
パラメータlavは、(c)前記50の等距離の断面位置の最長の半長軸長を有する断面位置での断面積と、(d)前記50の等距離の断面位置の断面積の平均値との間の絶対差として特定され、前記50の等距離の断面位置の断面積の平均値によって正規化される。
【0037】
前記ガラスロッドの1つの実施態様において、品質指数は0.090以下、0.080以下、0.070以下、0.060以下、または0.050以下である。前記ガラスロッドの1つの実施態様において、品質指数は0.004以上、0.008以上、0.012以上、0.016以上、または0.020以上である。前記ガラスロッドの1つの実施態様において、品質指数は0.004~0.090、0.008~0.080、0.012~0.070、0.016~0.060、または0.020~0.050である。
【0038】
1つの実施態様において、前記ガラスロッドは0.070未満、0.060未満、または0.050未満のlavを有する。1つの実施態様において、前記ガラスロッドは0.002以上、0.004以上、または0.006以上のlavを有する。1つの実施態様において、前記ガラスロッドは0.002~0.070、0.004~0.060、または0.006~0.050のlavを有する。
【0039】
1つの実施態様において、前記ガラスロッドは0.070未満、0.060未満、または0.050未満のtlvmajorを有する。1つの実施態様において、前記ガラスロッドは0.002以上、0.004以上、または0.006以上のtlvmajorを有する。1つの実施態様において、前記ガラスロッドは0.002~0.070、0.004~0.060、または0.006~0.050のtlvmajorを有する。
【0040】
前記ガラスロッドの1つの実施態様において、前記平均半長軸長lmajor(a)は0.9~3.1mmであり、且つ前記平均半短軸長lminor(a)は0.9~3.1mmであり、
前記半長軸長lmajor(n)は、前記50の等距離の断面位置の平均半長軸長lmajor(a)に対して、各々等距離の位置で10%または5%または2%の許容差内であり、且つ/または
前記半短軸長lminor(n)は、前記50の等距離の断面位置の平均半短軸長に対して、各々等距離の位置で10%または5%または2%の許容差内である。
【0041】
前記ガラスロッドの1つの実施態様において、前記平均半長軸長lmajor(a)は0.9~3.1であり、且つ前記平均半短軸長lminor(a)は0.9~3.1mmである。前記ガラスロッドの1つの実施態様において、前記平均半長軸長lmajor(a)は1.2~2.8であり、且つ前記平均半短軸長lminor(a)は1.2~2.8mmである。前記ガラスロッドの1つの実施態様において、前記平均半長軸長lmajor(a)は1.5~2.5であり、且つ前記平均半短軸長lminor(a)は1.5~2.5mmである。
【0042】
前記ガラスロッドの1つの実施態様において、前記半長軸長lmajor(n)は、前記50の等距離の断面位置の平均半長軸長に対して、各々等距離の位置で10%または5%または2%の許容差内である。
【0043】
前記ガラスロッドの1つの実施態様において、前記半長軸長lmajor(n)は、前記50の等距離の断面位置の平均半長軸長lmajor(a)に対して、各々等距離の位置で0.3mm以下、0.2mm以下、0.1mm以下、または0.05mm以下の許容差内である。
【0044】
前記ガラスロッドの1つの実施態様において、前記半短軸長lminor(n)は、前記50の等距離の断面位置の平均半短軸長に対して、各々等距離の位置で10%または5%または2%の許容差内である。
【0045】
前記ガラスロッドの1つの実施態様において、前記半短軸長lmajor(n)は、前記50の等距離の断面位置の平均半短軸長に対して、各々等距離の位置で0.3mm以下、0.2mm以下、0.1mm以下、または0.05mm以下の許容差内である。
【0046】
前記ガラスロッドの1つの実施態様において、湾曲または曲率は、DIN EN ISO 1101:2017-09に準拠して且つ支持距離300mmで測定して、0.030~0.300mmである。1つの実施態様において、湾曲または曲率は0.030mm以上、0.050mm以上、0.070mm以上、または0.100mm以上である。1つの実施態様において、湾曲または曲率は0.300mm以下、0.270mm以下、0.230mm以下、または0.200mm以下である。1つの実施態様において、湾曲または曲率は0.030mm~0.300mm、0.050mm~0.270mm、0.070mm~0.230mm、または0.100mm~0.200mmである。
【0047】
1つの実施態様において、前記ガラスロッドは、2×(lmajor(n)-lminor(n))/(lmajor(n)+lminor(n))として定義される平均楕円率を有し、前記平均楕円率は前記ガラスロッドに沿った50の等距離の位置nでサンプリングされ、且つ平均が計算され、且つ前記平均楕円率は各々等距離の位置で0.20以下、0.10未満、0.050未満、または0.030未満である。1つの実施態様において、前記ガラスロッドは、前記ガラスロッドに沿った50の等距離の位置でサンプリングされた平均楕円率0.002以上、0.005以上、0.010以上、または0.015以上を有する。1つの実施態様において、前記ガラスロッドは、前記ガラスロッドに沿った50の等距離の位置でサンプリングされた平均楕円率0.002~0.20、0.005~0.10、0.010~0.050、または0.015~0.030を有する。
【0048】
1つの実施態様において、前記ガラスロッドは、半短軸の全体の相対的な長さのばらつき(tlvminor)0.040未満を有し、tlvminorは、前記50の等距離の断面位置の最短の半短軸長と最長の半短軸長との間の絶対差として特定され、前記50の等距離の断面位置の半短軸長の平均値によって正規化される。
【0049】
1つの実施態様において、前記ガラスロッドは0.040未満、または0.030未満のtlvminorを有する。1つの実施態様において、前記ガラスロッドは0.005以上、または0.010以上のtlvminorを有する。1つの実施態様において、前記ガラスロッドは0.005~0.040、または0.010~0.030のtlvminorを有する。
【0050】
1つの実施態様において、前記ガラスロッドは相対的な全体の面積のばらつき(tav)0.100未満を有し、tavは、1つの断面位置での最小の断面積と、前記50の等距離の断面位置の最大の断面積との間の絶対差として特定され、前記50の等距離の断面位置の断面積の平均値によって正規化される。
【0051】
1つの実施態様において、前記ガラスロッドは0.100未満、0.080未満、または0.060未満のtavを有する。1つの実施態様において、前記ガラスロッドは0.005以上、0.010以上、または0.020以上のtavを有する。1つの実施態様において、前記ガラスロッドは0.005~0.100、0.010~0.080、または0.020~0.060のtavを有する。
【0052】
測定に関する数値が、それらの精度に制約を加える測定誤差の影響を受けることは当業者に公知である。この理由のために、科学的および技術的な文献における一般的な手法が本開示に適用されるべきであり、つまり数値の小数以下の最後の桁がその精度の程度を示す。誤差のマージンが他に与えられていない場合、最大マージンは小数点以下の最後の桁に対する丸め手法を適用することによって確認され、例えば(測定された)値3.5については、誤差マージンは3.45~3.54である。
【0053】
1つの実施態様において、前記ガラスロッドは、1つ以上の以下の特性:
・ 気泡数が10未満、5未満、または2未満であり、ここで気泡の長さは前記気泡における最長の直線距離として測定して少なくとも0.5mmであること、および/または
・ 気泡における最長の直線距離として測定される気泡の長さが70mm未満、50mm未満、または10mm未満であること、および/または
・ 100mmを上回る気泡の広がりがなく、ここで気泡の広がりはガラスロッドの長さ方向において次々に配列する一連の気泡の発生として定義され、前記気泡は隣接する2つの気泡間の距離が、その連なりにおける最長の長さを有する気泡の長さよりも短いこと、
によって特徴付けられる。
【0054】
個々の気泡は例えばライトテーブルを使用して肉眼で観察でき、且つ写真によって捉えることができる。個々の気泡がほぼ球形を有することができるが、長手の、例えば楕円形の気泡として見えることもあり、エアラインとも称され、その長さは長軸に沿って測定される。長手の気泡は幾何学的に良好に定義された形状を有することができず、従って形状が不規則になることがある。気泡の長さが前記気泡中の最長の直線距離として測定して少なくとも0.5mmであれば、気泡が計数される。1つより多くの気泡が観察される場合、それらは広がりの形で見えることがある。
【0055】
1つの実施態様において、前記ガラスロッドは10未満、5未満、2未満、または0の気泡数を有し、ここで気泡の長さは前記気泡における最長の直線距離として測定して少なくとも0.5mmである。
【0056】
ガラス組成物
1つの実施態様において、前記ガラスロッドは、質量パーセントで以下の成分の1つ以上または全て:
・ 70.0%~90.0%のSiO2
・ 0.0%~25.0%のB23
・ 0.0%~10.0%のAl23
・ 0.0%~10.0%の1つ以上のアルカリ土類金属酸化物、
・ 0.0%~7.0%の1つ以上のアルカリ金属酸化物
を含むガラス組成物を含む。
【0057】
本開示において、ガラスについての言及とガラス組成物についての言及は同じ内容として理解されるべきである。
【0058】
1つの実施態様において、前記ガラスはSiO2を70.0質量%以上、72.0質量%以上、74.0質量%以上、76.0質量%以上、78.0質量%以上、または80.0質量%以上の量で含む。1つの実施態様において、前記ガラスはSiO2を90.0質量%以下、89.0質量%以下、88.0質量%以下、87.0質量%以下、または86.0質量%以下の量で含む。1つの実施態様において、前記ガラスはSiO2を70.0質量%~90.0質量%、72.0質量%~89.0質量%、74.0質量%~88.0質量%、76.0質量%~87.0質量%、または78.0質量%~86.0質量%の量で含む。
【0059】
1つの実施態様において、前記ガラスはSiO2を70.0質量%~90.0質量%、72.0質量%~89.0質量%、74.0質量%~88.0質量%、76.0質量%~87.0質量%、または78.0質量%~86.0質量%の量で含むホウケイ酸ガラスである。
【0060】
1つの実施態様において、前記ガラスは、以下の成分の1つ以上または全てを質量パーセントで含む: 70.0%~90.0%のSiO2、0.0%~25.0%のB23、0.0%~10.0%のAl23、0.0%~10.0%の1つ以上のアルカリ土類金属酸化物、0.0%~7.0%の1つ以上のアルカリ金属酸化物。
【0061】
1つの実施態様において、前記ガラスは、以下の成分の1つ以上または全てを質量パーセントで含む: 75.0%~87.0%のSiO2、8.0%~22.0%のB23、1.0%~7.0%のAl23、0.25%~5.0%の1つ以上のアルカリ土類金属酸化物、0.0%~5.0%の1つ以上のアルカリ金属酸化物。
【0062】
本発明に関して、アルカリ金属酸化物は具体的にはLi2O、Na2OおよびK2Oを含むことが意味され、且つアルカリ土類金属酸化物は具体的にはMgO、CaO、BaOおよびSrO含むことが意味される。
【0063】
1つの実施態様において、前記ガラスは、質量パーセントで0.0%~10.0%、例えば1.0%~9.0%、2.0%~8.0%、3.0%~7.0%、または4.0%~6.0%の1つ以上のアルカリ土類金属酸化物を含む。
【0064】
1つの実施態様において、前記ガラスは、質量パーセントで0.0%~7.0%、例えば0.5%~6.5%、1.0%~6.0%、1.5%~5.5%、または2.0%~5.0%の1つ以上のアルカリ金属酸化物を含む。
【0065】
1つの実施態様において、前記ガラスは質量パーセントで以下を含む:
【表1】
【0066】
1つの実施態様において、前記ガラスはB23を1.0質量%以上、2.0質量%以上、4.0質量%以上、6.0質量%以上、または8.0質量%以上の量で含む。1つの実施態様において、前記ガラスはB23を25.0質量%以下、22.0質量%以下、20.0質量%以下、18.0質量%以下、15.0質量%以下、12.0質量%以下の量で含む。1つの実施態様において、前記ガラスはB23を1.0%~25.0質量%、2.0%~22.0質量%、4.0%~20.0質量%、6.0%~18.0質量%、または8.0%~15.0質量%の量で含む。
【0067】
1つの実施態様において、前記ガラスはAl23を1.0質量%以上、2.0質量%以上、3.0質量%以上、または4.0質量%以上の量で含む。1つの実施態様において、前記ガラスはAl23を10.0質量%以下、9.0質量%以下、8.0質量%以下、7.0質量%以下、または6.0質量%以下の量で含む。1つの実施態様において、前記ガラスはAl23を0.0%~10.0質量、1.0%~9.0質量、2.0%~8.0質量、3.0%~7.0質量、または4.0%~6.0質量%の量で含む。
【0068】
1つの実施態様において、前記ガラスは質量パーセントで0.0%~5.0%、例えば0.5%~4.5%、1.0%~4.0%、1.5%~3.5%、または2.0%~3.0のBaOを含む。1つの実施態様において、前記ガラスは、質量パーセントで0.0%以上、0.5%以上、1.0%以上、1.5%以上、または2.0%以上のBaOを含む。1つの実施態様において、前記ガラスは、質量パーセントで5.0%以下、4.5%以下、4.0%以下、3.5%以下、または3.0%以下のBaOを含む。
【0069】
1つの実施態様において、前記ガラスは、質量パーセントで0.0%~3.0%、例えば0.2%~2.8%、0.4%~2.6%、0.6%~2.4%、0.8%~2.2%、または1.0%~2.0%のCaOを含む。1つの実施態様において、前記ガラスは、質量パーセントで0.0%以上、0.2%以上、0.4%以上、0.6%以上、0.8%以上、または1.0%以上のCaOを含む。1つの実施態様において、前記ガラスは、質量パーセントで3.0%以下、2.8%以下、2.6%以下、2.4%以下、2.2%以下、または2.0以下のCaOを含む。
【0070】
1つの実施態様において、前記ガラスは質量パーセントで0.0%~5.0%、例えば0.5%~4.5%、1.0%~4.0%、1.5%~3.5%、または2.0%~3.0のK2Oを含む。1つの実施態様において、前記ガラスは、質量パーセントで0.0%以上、0.5%以上、1.0%以上、1.5%以上、または2.0%以上のK2Oを含む。1つの実施態様において、前記ガラスは、質量パーセントで5.0%以下、4.5%以下、4.0%以下、3.5%以下、または3.0%以下のK2Oを含む。
【0071】
1つの実施態様において、前記ガラスは質量パーセントで0.0%~5.0%、例えば0.5%~4.5%、1.0%~4.0%、1.5%~3.5%、または2.0%~3.0のNa2Oを含む。代替的な実施態様において、前記ガラスは質量パーセントで0.0%~3.0%、例えば0.1%~2.5%、0.2%~2.0%、0.3%~1.5%、または0.4%~1.0%のNa2Oを含む。1つの実施態様において、前記ガラスは、質量パーセントで0.0%以上、0.1%以上、0.2%以上、0.3%以上、または0.4%以上のNa2Oを含む。1つの実施態様において、前記ガラスは、質量パーセントで3.0%以下、2.5%以下、2.0%以下、1.5%以下、または1.0%以下のNa2Oを含む。
【0072】
1つの実施態様において、前記ガラスは、質量パーセントで0.0%~1.0%、例えば0.1%~0.9%、0.2%~0.8%、0.3%~0.7%、または0.4%~0.6%のLi2Oを含む。1つの実施態様において、前記ガラスは、質量パーセントで0.0%以上、0.1%以上、0.2%以上、0.3%以上、または0.4%以上のLi2Oを含む。1つの実施態様において、前記ガラスは、質量パーセントで1.0%以下、0.9%以下、0.8%以下、0.7%以下、または0.6%以下のLi2Oを含む。
【0073】
1つの実施態様において、前記ガラスは、1000(質量)ppm以下のFe23、500(質量)ppm以下のFe23、200(質量)ppm以下のFe23、100(質量)ppm以下のFe23、50(質量)ppm以下のFe23、または20(質量)ppm以下のFe23を含む。1つの実施態様において、前記ガラスは、1(質量)ppm以上のFe23、2(質量)ppm以上のFe23、3(質量)ppm以上のFe23、5(質量)ppm以上のFe23、7(質量)ppm以上のFe23、または10(質量)ppm以上のFe23を含む。1つの実施態様において、前記ガラスは、1~1000(質量)ppmのFe23、2~500(質量)ppmのFe23、3~200(質量)ppmのFe23、5~100(質量)ppmのFe23、7~50(質量)ppmのFe23、または10~20(質量)ppmのFe23を含む。
【0074】
1つの実施態様において、前記ガラスは質量パーセントで以下を含む:
【表2】
【0075】
1つの実施態様において、前記ガラスは質量パーセントで以下を含む:
【表3】
【0076】
1つの実施態様において、前記ガラスはリチウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、ナトリウム、鉛、ヒ素、アンチモンの1つ以上または全て不含である。
【0077】
この説明が、ある成分不含である、または特定の成分を含有しない、またはその成分が0質量%の仮定的な場合を含むガラスに関する場合、この成分は最大でも不純物として存在し得ると理解されるべきである。これは、顕著な量では添加されず、且つ意図的には添加されないことを意味する。「成分」との用語は、元素種そのもの、並びにその元素を含有する任意の分子に関する。本質的ではない量とは、全ての意図的に添加された成分に関する質量に基づいて100ppm未満、好ましくは50ppm未満、および最も好ましくは10ppm未満として理解されるべきである。
【0078】
1つの実施態様において、前記ガラス組成物は、20~300℃の温度範囲で測定して且つISO 7991:1987に準拠して特定して0.95×10-6~3.20×10-6/Kの熱膨張率を有する。1つの実施態様において、前記ガラス組成物は少なくとも0.95×10-6/K、少なくとも1.00×10-6/K、少なくとも1.05×10-6/K、少なくとも1.10×10-6/K、少なくとも1.20×10-6/K、または少なくとも1.50×10-6/Kの熱膨張率を有する。1つの実施態様において、前記ガラス組成物は3.20×10-6/K以下、3.00×10-6/K以下、2.70×10-6/K以下、2.20×10-6/K以下、2.00×10-6/K以下の熱膨張率を有する。1つの実施態様において、前記ガラス組成物は0.95×10-6~3.20×10-6/K、1.00×10-6~3.00×10-6/K、1.05×10-6~2.70×10-6/K、1.10×10-6~2.20×10-6/K、1.20×10-6~2.20×10-6/K、1.50×10-6~2.00×10-6/Kの熱膨張率を有する。
【0079】
1つの実施態様において、前記ガラス組成物はISO 7884-8によって測定して600~750℃の転移温度を有する。1つの実施態様において、前記ガラス組成物は少なくとも600℃、少なくとも615℃、少なくとも635℃、少なくとも650℃、少なくとも680℃、または少なくとも695℃の転移温度を有する。1つの実施態様において、前記ガラス組成物は750℃以下、730℃以下、または710℃以下の転移温度を有する。1つの実施態様において、前記ガラス組成物は600~750℃、615~730℃、または635~710℃の転移温度を有する。
【0080】
ガラスロッドのセット
1つの態様において、本発明は、本開示による少なくとも40のガラスロッドを含むガラスロッドのセットに関する。有利には、前記セットは異なるロッド間での幾何学的なばらつきおよび異常が少ししかない均質なガラスロッドを提供する。従って、1セットのガラスロッドを使用して、ロボット制御または他の自動化プロセスを監視しないで実行できる。有利にはこれは、前段階の部品としてのガラスロッドに依拠するさらなる部品、例えばフラッシュランプの効率的な製造を可能にする。
【0081】
1つの実施態様において、前記セットは少なくとも40のガラスロッド、少なくとも70のガラスロッド、または少なくとも100のガラスロッドを含む。1つの実施態様において、前記セットは1000以下のガラスロッド、700以下のガラスロッド、または400以下のガラスロッドを含む。1つの実施態様において、前記セットは40~1000のガラスロッド、70~700のガラスロッド、または100~400のガラスロッドを含む。
【0082】
ガラスロッドのセットの1つの実施態様において、前記ガラスロッドの少なくとも80%が以下の特性の1つ以上:
・ 好ましくはガラス中のガス包含物によって形成される、ガラスロッド内に完全に閉じ込められた長手の空隙として定義される気泡が不在であり、ここで、前記ガスは20℃で気体状であることがあり、且つ/または冷却後に凝縮されることがあり、且つ低減された圧力を有する気泡が形成され、前記ガラスロッドの断面方向における最長の広がりで直径0.15mm以下を有し、且つ前記ガラスロッドの最長の広がりに沿って50mm以下の長さを有すること、
・ 開放気泡が本質的に不在であり、ここで、気泡の長さは、前記気泡における最長の直線距離として測定して少なくとも0.5mmであること、
・ 100μm以上のサイズを有する、ガラスロッド内に完全に閉じ込められた異物として定義される包含物、好ましくは金属粒子包含物および/または非金属粒子包含物が不在であること、
を有する。
【0083】
開放気泡は視覚的にはガラスロッド表面上の気泡として見える。開放気泡は予め完全に閉じ込められた空隙が破裂して開いた後に生じることがある。従って、開放気泡はもはや、ガス包含物をガラス中に保持および/または閉じ込めていない。
【0084】
ガラスロッドのセットの1つの実施態様において、前記ガラスロッドの少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%が上記の特性の1つ以上を有する。
【0085】
ガラスロッドのセットの1つの実施態様において、前記ガラスロッドの少なくとも99%が、好ましくはガラス中のガス包含物によって形成される、ガラスロッド内に完全に閉じ込められた長手の空隙として定義される気泡が不在であり、ここで、前記ガスは20℃で気体状であることがあり、且つ/または冷却後に凝縮されることがあり、且つ低減された圧力を有する気泡が形成され、前記ガラスロッドの断面方向における最長の広がりで直径0.15mm以下を有し、且つ前記ガラスロッドの最長の広がりに沿って50mm以下の長さを有する。
【0086】
ガラスロッドのセットの1つの実施態様において、前記ガラスロッドの少なくとも99%が、本質的に開放気泡が不在であり、ここで気泡の長さは前記気泡における最長の直線距離として測定して少なくとも0.5mmである。
【0087】
ガラスロッドのセットの1つの実施態様において、前記ガラスロッドの少なくとも99%が、100μm以上のサイズを有する、ガラスロッド内に完全に閉じ込められた異物として定義される包含物、好ましくは金属粒子包含物および/または非金属粒子包含物が不在である。
【0088】
ガラスロッドの製造方法
1つの態様において、本発明は、ガラスロッドの製造方法であって、以下の段階:
・ 下方の排出開口部(2)を含む反応器(1)を準備する段階、
・ 前記反応器内でガラス原料を加熱して、ガラス溶融物(3)を得る段階、
・ 前記ガラス溶融物を少なくとも部分的に、前記ガラス溶融物が102.5dPa・sの粘度を有する温度として定義される温度T2.5に加熱する段階、
・ 前記ガラス溶融物を前記反応器から、引き出し温度およびガラス溶融物の引き出し速度で引き出す段階、および
・ 前記引き出し温度を上昇させて前記ガラス溶融物の引き出し速度を制御し、且つ/またはガラス溶融物上の圧力を調節して、前記ガラス溶融物の引き出し速度を制御する段階、
・ 前記ガラス溶融物を冷却および/または成形してガラスロッド(5)を得る、且つ/または請求項1から7までのいずれか1項に記載のガラスロッド(5)を得る段階
を含み、前記ガラス溶融物が1400℃以上のT4温度を有するガラス組成物を有し、ここでT4は前記ガラス溶融組成物が104dPa・sの粘度を有する温度である、前記方法に関する。
【0089】
ガラス溶融物の引き出し温度はIRパイロメータ(6)によって測定できる。1つの実施態様において、引き出し温度は、ガラス溶融物と空気との界面でのガラス溶融物の表面温度に関し且つ/または該温度として監視され、ここで前記ガラス溶融物と空気との界面での最高温度が引き出し温度についての参照値として使用される。代替的な実施態様において、引き出し温度は排出開口部で測定および/または制御される。
【0090】
好ましくは、ガラス溶融物上の圧力は圧力センサ(7)によって測定される。従って、ガラス溶融物上の圧力は反応器内で且つガラス溶融物上の条件に関し得る。
【0091】
反応器からのガラス溶融物の引き出し速度は、単位時間あたりに反応器を離れるガラス溶融物の量を定量化し、且つ下方の排出開口部から出るガラスロッドの長さに関してm/分で表されることができ、且つ/または体積流量としてml/分で表されることができる。両方のパラメータがガラスロッドの断面積を通じて互いに関連し、且つ時間平均値に関する。
【0092】
任意に、前記ガラスロッドの製造方法は、本開示によるガラスロッドまたはガラスロッドのセットを提供する。
【0093】
本発明者らは、例えば半長軸の最小化された全体の相対的な長さのばらつき(tlvmajor)および/または最小化された相対的な局所面積のばらつき(lav)に関して非常に均質であり、従ってtlvmajor+lavの合計として定義される品質指数について所望の低い値を有する、ガラスロッドを製造するための製造条件を確立した。
【0094】
1つの実施態様において、下方の排出開口部を含む反応器は、バッチ式反応器である。代替的な実施態様において、下方の排出開口部を含む反応器は、連続式反応器である。
【0095】
1つの実施態様において、前記反応器内でガラス原料を加熱してガラス溶融物を得ることは、SiO2、B23、Al23、1つ以上のアルカリ土類金属酸化物、および1つ以上のアルカリ金属酸化物のリストから選択され得る酸化物のバッチまたは混合物を準備すること、および前記酸化物のバッチまたは混合物を加熱して溶融することを含む。
【0096】
1つの実施態様において、前記ガラス溶融物は少なくとも部分的に、前記ガラス溶融物が102.5dPa・sの粘度を有する温度として定義される温度T2.5に加熱される。溶融温度T2.5は充分に低い粘度をもたらすことができるので、原料と共に供給される酸化物の均質な混合を可能にして、均一なガラス溶融物を得ることができる。
【0097】
1つの実施態様において、前記ガラス溶融物は少なくとも部分的に温度T2.3に加熱される。1つの実施態様において、前記ガラス溶融物は少なくとも部分的に温度T2.1以下に加熱される。1つの実施態様において、前記ガラス溶融物は少なくとも部分的に温度T2.5~T2.1に加熱される。
【0098】
1つの実施態様において、前記ガラス溶融物を少なくとも部分的に温度T2.5に加熱する段階は、バッチ式反応器または連続式反応器内で、均一なガラス溶融物を確立するために充分な時間の間行われる。原料中の酸化物の選択された混合物および反応器の種類(連続式またはバッチ式)に依存して、どのように温度T2.5を確立して均一なガラス溶融物を得るのかについては当業者に公知である。
【0099】
1つの実施態様において、前記反応器内のガラス溶融物全体が温度T2.5に加熱される。1つの実施態様において、前記反応器内のガラス溶融物全体が温度T2.5~2.1に加熱される。
【0100】
前記反応器内の温度は、本発明によるガラスのために必要とされる高温で作業できる適した温度プローブを使用して評価および制御され得る。
【0101】
前記ガラス溶融物の粘度が100dPas未満にならないことが好ましい。前記ガラスを非常に低い粘度に加熱すると、溶融槽壁の浸食が増加し、ガラス組成物中に不純物が導入される可能性がある。さらに、低い粘度は非常に高い温度に相応し、それは望ましくない大きな電力消費を要する。
【0102】
製造条件は引き出し温度でおよびガラス溶融物の引き出し速度での前記ガラス溶融物の反応器からの引き出しを制御すると共に、前記引き出し温度を上昇させてガラス溶融物の引き出し速度を制御し、且つ/またはガラス溶融物上の圧力を調節して、ガラス溶融物の引き出し速度を制御する。
【0103】
ガラス溶融物の引き出し温度は前記ガラス溶融物の温度に関する。前記ガラス溶融物の温度は、適した温度プローブ、例えばIRパイロメータを使用して測定可能であり、それは、温度の意図する許容差が保たれなければならないという趣旨でプロセスを監視し且つ制御することを可能にする。
【0104】
前記方法の1つの実施態様において、前記ガラス溶融物はT4の少なくとも50℃上、好ましくはT4の50~130℃上の引き出し温度で、10℃、または5℃、または3℃の許容差で引き出され、ここで好ましくは反応器からのガラス溶融物の引き出しは、排出開口部を介して実施される。
【0105】
1つの実施態様において、前記排出開口部は、円錐形の内部形状を有するノズルである。有利には、前記ノズルは、ガラス溶融物が反応器を出る際の流体の流れの特性を制御するように設計され且つ/または使用され得る。従って、ノズルはガラス溶融物の引き出し速度、並びに反応器から出るガラス溶融物流の形状を制御することを可能にする。ガラス溶融物の引き出し速度はm/分で表すことができ且つ時間あたりに製造されるガラスロッドの長さの区域に関するか、または単位時間あたりに反応器を離れるガラス溶融物の体積に関する体積流量としてml/分で表すことができる。
【0106】
1つの実施態様において、前記排出開口部は独立して加熱され得る。当業者は、ガラスの製造に必要とされる高温で、反応器内でガラス溶融物における温度勾配が生じ得ることを認識している。従って、必要に応じて、好ましくは排出開口部も含めて反応器内のガラス溶融物の温度を監視し、且つ排出開口部で独立の加熱手段を介して温度を制御および/または調節することが有利である。そのような独立の加熱手段は例えば電磁コイルであることができる。
【0107】
前記方法の1つの実施態様において、引き出し温度を上昇させてガラス溶融物の引き出し速度を2%以下、または1%以下の許容差で制御する。
【0108】
前記方法の1つの実施態様において、ガラス溶融物上の圧力を調節して、ガラス溶融物の引き出し速度を2%以下、または1%以下の許容差で制御する。
【0109】
前記方法の1つの実施態様において、引き出し温度を上昇させてガラス溶融物の引き出し速度を制御することは、前記引き出し温度を1℃刻みの温度で上昇させること、およびガラス溶融物の引き出しの間に前記引き出し温度を30℃、20℃、10℃、5℃、または3℃上昇させることを含む。反応器の種類および反応器の条件に依存して、ガラス溶融物を引き出す間の温度上昇の前記レジームは、本発明によるガラスロッドを得ることをもたらすことができ、つまり、均質な、幾何学的に定義されたガラスロッドをもたらすことができる。
【0110】
狭い(体積流量)速度の境界内で反応器からのガラス溶融物の引き出しを制御し、ひいては、反応器から出てくるほぼ一定のガラス質量流で作業して、得られるガラスロッドにおいて生じ得るずれを最小化することが有利である。排出開口部で一定のガラスの質量流が保証されていることは、定義された寸法、ひいては高精度を有するガラスロッドをもたらす。高い精度は、半長軸の最小化された全体の相対的な長さのばらつき、および/または最小化された相対的な局所面積のばらつきに現れる。
【0111】
反応器からのガラス溶融物の引き出しは、「m/分」を単位とする速度で、および/または「ml/分」を単位とする体積流量で記述および定量化され得る。反応器からのガラス溶融物の引き出し速度は非常に一定であるべきである。所定の平均引き出し速度に関し、1%の許容差とは、最高引き出し速度と最低引き出し速度とが、平均引き出し速度に基づき互いに1%より多くずれるべきではないことを意味する。
【0112】
ガラス溶融物がT4の少なくとも50℃上の引き出し温度で、許容差10℃、または5℃、または3℃で引き出されるように制御することが有利であり、なぜなら、粘度は、ガラス溶融物をロッドへと引き抜く段階でガラス溶融物の流動条件を提供するために充分に大きくなければならないからである。同時に、引き抜き段階でのガラス溶融物の温度のずれを小さく、例えば10℃、または5℃、または3℃の許容差に保ち、ガラス溶融物の組成およびガラス溶融物の粘度における不均一性を回避しなければならない。引き出しの間の例えば10℃の許容差は、最高温度と最低温度とが、1つの特定のガラス組成のガラスロッドを製造するために一回のプロセスを行う間に互いに10℃より多くずれ得ないことを意味する。
【0113】
1つの実施態様において、前記ガラス溶融物はT4の50~130℃上の引き出し温度で、10℃、または5℃、または3℃の許容差で引き出される。ガラス溶融物の引き出しの正確な温度は、ガラス組成および反応器の種類および幾何学的な特徴に依存し得る。ガラス溶融物の引き出し温度を10℃、または5℃、または3℃の許容差に関する狭い範囲内で制御することが有利であることができる。この温度制御は通常、自動化されているが、製造の間に作業者の直接的な指示によってさらに制御されることもできる。例えば、プロセスの開始時点で、例えばガラス組成物の粘度が高すぎる場合に前記温度を20℃以下低下させ、且つ/または50℃以下のフィードバック制御を実施することが必要であることがあるか、または必要になり得る。
【0114】
1つの実施態様において、前記ガラス溶融物はT4の50~130℃上、T4の55~125℃上、T4の60~120℃上、T4の65~115℃上、T4の70~110℃上、T4の75~105℃上、またはT4の80~100℃上の引き出し温度で引き出される。1つの実施態様において、前記ガラス溶融物はT4の50℃以上上、T4の55℃以上上、T4の60℃以上上、T4の65℃以上上、T4の70℃以上上、T4の75℃以上上、またはT4の80℃以上上の温度で引き出される。1つの実施態様において、前記ガラス溶融物はT4の130℃上以下、T4の125℃上以下、T4の120℃上以下、T4の115℃上以下、T4の110℃上以下、T4の105℃上以下、またはT4の100℃上以下の温度で引き出される。
【0115】
1つの実施態様において、反応器からのガラス溶融物の引き出しは、排出開口部としてのノズルを介して実施される。ガラス溶融物の引き出しのために適したノズルは合金を含み、ここで前記合金は90質量%以上のイリジウムを含む。有利には、ノズルは円滑な製造プロセスを可能にし且つ/または保証できる。
【0116】
ガラス溶融物を冷却してガラスロッドを得ることは、ガラス溶融物が排出開口部を通過した後に行われる。有利には、プロセス条件は、T4温度に達するまでガラスロッドの平均冷却速度が2000K/h以下であるように確立され、それがガラス組成物の均一性およびガラスロッドの均質性を保持する。ガラス溶融物がT4温度に冷却された後、引き続く冷却はより速い冷却速度で進行できる。
【0117】
1つの実施態様において、前記ガラスロッドの平均冷却速度は1000K/h以下、500K/h以下、200K/h以下、または5K/h以下である。1つの実施態様において、前記ガラスロッドの冷却速度は1K/h以上、2K/h以上、または3K/h以上である。1つの実施態様において、前記ガラスロッドの冷却速度は1K/h~20K/h、2K/h~15K/h、または3K/h~10K/hである。
【0118】
ガラス溶融物を成形してガラスロッドを得ることは主に、排出開口部で、つまり、ガラス溶融物が反応器を離れる際に行われる。
【0119】
1つの実施態様において、前記ガラス溶融物はT4温度1400℃以上を有するガラス組成物を有し、ここでT4はガラス溶融組成物が104dPa・sの粘度を有する温度である。
【0120】
1つの実施態様において、前記ガラス溶融物は1400℃以上、1450℃以上、1500℃以上、または1550℃以上のT4温度を有するガラス組成物を有する。1つの実施態様において、前記ガラス溶融物は1900℃以下、1850℃以下、1800℃以下、または1750℃以下のT4温度を有するガラス組成物を有する。1つの実施態様において、前記ガラス溶融物は1400℃~1900℃、1450℃~1850℃、1500℃~1800℃、または1550℃~1750℃のT4温度を有するガラス組成物を有する。
【0121】
前記方法の1つの実施態様において、反応器からのガラス溶融物の引き出しは、下方の排出開口部から出るガラスロッドの長さに関して2~50m/分の速度であり、且つ/またはガラス溶融物を反応器から15~150ml/分の体積流量で引き出す。
【0122】
前記方法の1つの実施態様において、反応器からのガラス溶融物の引き出しは、2m/分以上、5m/分以上、または10m/分以上の速度である。前記方法の1つの実施態様において、反応器からのガラス溶融物の引き出しは、50m/分以下、40m/分以下、または30m/分以下の速度である。前記方法の1つの実施態様において、反応器からのガラス溶融物の引き出しは、2~50m/分、5~40m/分、または10~30m/分の速度である。
【0123】
前記方法の1つの実施態様において、反応器からのガラス溶融物の引き出しは、15~150ml/分、25~120ml/分、または50~100ml/分の体積流量である。前記方法の1つの実施態様において、反応器からのガラス溶融物の引き出しは、15ml/分以上、25ml/分以上、または50ml/分以上の体積流量である。前記方法の1つの実施態様において、反応器からのガラス溶融物の引き出しは、150ml/分以下、120ml/分以下、または100ml/分以下の体積流量である。
【0124】
任意にバッチ式プロセスである前記方法の1つの実施態様において、前記方法は、ガラス溶融物の90%、または80%、または70%、または60%、または50%の消費に達する前に、好ましくはバッチ式反応器として稼働される反応器からのガラス溶融物の引き出しを中断するさらなる段階を含む。バッチ式プロセスにおいて、最初のガラス溶融物が製造され、ある時点で反応器からのガラス溶融物の引き出しを行うことが可能になる。引き出しの開始前、ガラス溶融物の量はそれが体積または質量に対して正規化されているかにはかかわらず100%である。ガラスの消費は、反応器から引き出される、つまりガラスロッドへと成形されるガラス溶融物の%の量として理解されるべきである。有利には、前記方法がバッチ式で行われる場合、反応器からのガラス溶融物の少なくとも50%が使用され、且つ品質の損失なくガラスロッドへと成形され得る。ガラスロッドの品質は、ガラス(溶融)組成物の均一性および得られるガラスロッドの高い幾何学的な均質性に現れることが理解されるべきである。
【0125】
プロセスの間にガラス溶融組成物が異常を示し始めた場合、既に得られたガラスロッドの品質を保護するために引き出しを停止する必要がある。該プロセスは厳密に監視し且つ管理することが必要であり、場合により作業者の介入も必要であることが理解されるべきである。プロセスの間に生じ得るかまたは観察され得るガラス溶融組成物の異常は、ガラス溶融物の変色、およびガラス溶融物の、またはガラス溶融物中の乳白色の外観を含む。
【0126】
1つの実施態様において、前記方法はさらに、以下の段階:
・ ガラス溶融物の90%の消費に達したら、好ましくはバッチ式反応器として稼働される前記反応器からの前記ガラス溶融物の引き出しを継続する段階、および
・ 溶融表面を加熱する段階
を含み、前記溶融表面の加熱は、前記反応器からのガラス溶融物の引き出しを許容差1%以下の速度で、且つ/または許容差1%以下の体積流量で保持することをもたらす。
【0127】
有利には、異常がない場合、前記プロセス、つまり反応器からのガラス溶融物の引き出しは、前記ガラス溶融物の90%の消費に達したら継続され得る。このために、所望のガラスロッドの品質を保持するために、溶融表面を加熱する必要があり、ここで前記溶融表面の加熱は、前記反応器からのガラス溶融物の引き出しを許容差1%以下の速度で、且つ/または許容差1%以下の体積流量で保持することをもたらす。
【0128】
前記溶融表面の加熱は粘度を下げる作用があり、それは反応器内での低減された静水圧を相殺するように調節される。場合により、前記溶融表面の加熱は手動で、つまり作業者の介入によって、または予めプログラムされた時間勾配を介して制御される。
【0129】
前記溶融表面の加熱は、燃焼ガスの導入および燃焼に依拠することがあり、それが反応器内部にさらなる圧力をもたらす。その圧力の変動を達成および制御するために、パージ開口部またはバルブ状の開口部を用い、且つパージ直径が変えられるように選択できる。反応器内でのガラスのレベルの高さ10mm(h)および密度(ρ)2.24g/mLを下げることに基づき、減少した静水圧を相殺するために、式p=ρ・h・g[式中、gは9.81m/s2である]を使用して、220Paの圧力損失(p)が補償される必要があると見積もられる。
【0130】
1つの実施態様において、ガラス溶融物上の圧力を調節することは、1つ以上の以下の手段:
・ 前記反応器を気密封止すること、および
・ 圧縮空気を用いて、前記下方の排出開口部での圧力低下を補償すること
を含む。
【0131】
1つの実施態様において、前記方法は排出ガス、例えばCO2をなくすために電気的手段のみによる加熱の下で実施され、且つ/またはガラス溶融物と接触する反応器の接触表面は、70質量%を上回るZrO2を含むキャストジルコニアの形態での30質量%以上の接触材料を含み、且つ/またはガラス溶融物と接触する反応器の接触表面は、80質量%を上回る、または90質量%を上回る、または95質量%を上回るケイ酸ジルコニウムを有する焼結材料を含む。
【0132】
有利には、静水圧の制御は、反応器からのガラス溶融物の一定の引き出しを確立および/または保持することを可能にする。
【0133】
反応器の気密封止と、排出ガス、例えばCO2をなくすための電気的手段のみによる加熱との2つの手段は内部圧力が上昇しないことをもたらす一方で、プロセスの進行中にほぼ一定の静水圧を保持するために、加圧空気を用いて下方の排出開口部での圧力低下を補償することが必要となることがある。
【0134】
1つの実施態様において、ガラスロッド、任意に前記方法によって得られるガラスロッドは、温度範囲20℃~300℃での熱膨張係数0.8ppm/K~4.5ppm/Kを有する。
【0135】
1つの実施態様において、前記ガラスロッドは少なくとも0.95ppm/K、少なくとも1.00ppm/K、少なくとも1.05ppm/K、少なくとも1.10ppm/K、少なくとも1.20ppm/K、または少なくとも1.50ppm/Kの熱膨張率を有する。1つの実施態様において、前記ガラスロッドは3.20ppm/K以下、3.00ppm/K以下、2.70ppm/K以下、2.20ppm/K以下、2.00ppm/K以下の熱膨張率を有する。1つの実施態様において、前記ガラスロッドは、0.95ppm/K~3.20ppm/K、1.00ppm/K~3.00ppm/K、1.05ppm/K~2.70ppm/K、1.10ppm/K~2.20ppm/K、1.20ppm/K~2.20ppm/K、1.50ppm/K~2.00ppm/Kの熱膨張率を有する。
【0136】
1つの実施態様において、前記ガラスロッドは、含水率少なくとも35mmol/l、少なくとも40mmol/l、少なくとも45mmol/l、少なくとも50mmol/l、または少なくとも55mmol/lを有する。1つの実施態様において、前記ガラスロッドは、含水率250mmol/l以下、200mmol/l以下、150mmol/l以下、125mmol/l以下、または100mmol/l以下を有する。従って、関連する実施態様において、前記ガラスは含水率35~250mmol/l、40~200mmol/l、45~150mmol/l、50~125mmol/l、または55~100mmol/lを有する。
【0137】
含水率はIR分光法によって約2700nmでの吸収極大で測定でき、前記吸収極大は好ましくは波長範囲2500~6500nmにおけるIR吸収スペクトルにおいて、本開示によるガラス組成物について標準吸収係数110l・cm/molと仮定して特定される。
【0138】
有利には、少なくとも35mmol/lまたは少なくとも55mmol/lの含水率が、繰り返し且つ多重の(再)加熱および/またはガラスの製造に際するガラスの破砕および/またはガラスの異常の発生の低減を助けることができる。
【0139】
フラッシュランプ
他の態様において、本発明は本開示によるガラスロッドを含むフラッシュランプであって、前記フラッシュランプは電極(例えばタングステンまたはモリブデン電極)、および石英ガラスをさらに含み、前記ガラスロッドが前記石英ガラスを前記電極に封着する、前記フラッシュランプに関する。
【0140】
1つの実施態様において、金属電極と管とを含むフラッシュランプであって、前記管が好ましくはガラス、例えば石英ガラスを含むか、またはガラス、例えば石英ガラスからなり、さらに封止ガラスを含み、前記封止ガラスが本開示によるガラスロッドから取り入れられる、前記フラッシュランプが提供される。
【0141】
1つの実施態様において、電極と石英ガラス管とを含むフラッシュランプであって、前記電極と前記石英ガラス管とが、本開示によるガラスロッドの封止によって接合されている、前記フラッシュランプが提供される。
【0142】
本開示によるガラスロッドを封止ガラスとして使用することが有利であり、なぜなら、それは極端且つ急速な温度変化に際しても、電極とガラス管との間の優れた封止接合、つまり融着をもたらすからである。有利なことに、それによって、ライフサイクルの間、つまり使用の際にそのような極端且つ急速な温度変化を経る、製造されたフラッシュランプの安定性および寿命が増加する。
【0143】
使用
さらなる態様において、本発明は、金属物品をガラス部材に接合するための、および/またはフラッシュランプのための、本開示によるガラスロッドの使用に関する。
【0144】
有利には、本発明によるガラスロッドの均質性は、円滑な機械的ロボット操作を可能にし、なぜなら、厚さにおけるムラおよび不均一性が、ロボットにおいてガラスロッドの失速がない程度に最小化されるからである。フラッシュランプの製造の間、ガラスロッドを加熱しなければならない。相対的な局所面積の小さなばらつきlavのみを有する均質なガラスロッドは、均一且つ一定して所望の狭い温度範囲に加熱され得る。フラッシュランプの製造温度は高く、なぜなら、用いられるガラス組成物は高温でのみ溶融される必要があるからであり、それはT4温度が1400℃以上であるという特性において表される。本発明によるガラスロッドは、前記ガラスロッドの長さに沿った断面積および質量の定常性に関するそれらの高い均質性に起因して、製造段階の間に経る温度のずれが少ない。有利には、これは製造自体の間も、最終製品においても、低減されたガラスの破砕をもたらす。
【0145】
ガラスロッドおよびガラス組成物
1つの実施態様において、本発明は、長さlrod、平均半長軸長lmajor(a)、および平均半短軸長lminor(a)を有するガラスロッドであって、前記長さlrodが100~1600mmであり、
前記ガラスロッドの断面内で、lmajor(n)は、前記断面の質量中心から、前記断面内でのガラスロッドの最も遠い境界までの距離であり、且つlminor(n)は、前記断面の質量中心から、前記断面内でのガラスロッドの最も近い境界までの距離であり、lmajor(n)とlminor(n)とは同一または異なることができ、
前記ガラスロッドは、ガラスが104dPa・sの粘度を有する温度として定義されるT4温度1400℃以上を有するガラス組成物を含み、
半長軸の全体の相対的な長さのばらつき(tlvmajor)、相対的な局所面積のばらつき(lav)、およびtlvmajor+lavの合計として定義される品質指数を有し、
tlvmajorは、(a)50の等距離の断面位置の最短の半長軸長と、(b)前記50の等距離の断面位置の最長の半長軸長との間の絶対差として特定され、前記50の等距離の断面位置の半長軸長の平均値lmajor(a)によって正規化され、
前記50の等距離の断面は、前記ガラスロッドの長さlrodに沿って配置され、最初の位置として0.01×lrodの位置で開始し、且つ引き続く位置ごとに追加増分0.02×lrodが用いられ、
lavは、(c)前記50の等距離の断面位置の最長の半長軸長を有する断面位置での断面積と、(d)前記50の等距離の断面位置の断面積の平均値との間の絶対差として特定され、前記50の等距離の断面位置の断面積の平均値によって正規化され、
前記品質指数は0.090以下、0.070以下、または0.050以下であり、
前記ガラス組成物が、質量%で
【表4】
を含む、
前記ガラスロッドに関する。
【0146】
1つの実施態様において、本発明は、長さlrod、平均半長軸長lmajor(a)、および平均半短軸長lminor(a)を有するガラスロッドであって、前記長さlrodが100~1600mmであり、
前記ガラスロッドの断面内で、lmajor(n)は、前記断面の質量中心から、前記断面内でのガラスロッドの最も遠い境界までの距離であり、且つlminor(n)は、前記断面の質量中心から、前記断面内でのガラスロッドの最も近い境界までの距離であり、lmajor(n)とlminor(n)とは同一または異なることができ、
前記ガラスロッドは、ガラスが104dPa・sの粘度を有する温度として定義されるT4温度1400℃以上を有するガラス組成物を含み、
前記平均半長軸長lmajor(a)は0.9~3.1mmであり、且つ前記半短軸長lminor(n)は0.9~3.1mmであり、
前記半長軸長lmajor(n)は、前記50の等距離の断面位置の平均半長軸長lmajor(a)に対して、各々等距離の位置で10%または5%または2%の許容差内であり、且つ/または
前記半短軸長lminor(n)は、前記50の等距離の断面位置の平均半短軸長に対して、各々等距離の位置で10%または5%または2%の許容差内であり、
前記50の等距離の断面は、前記ガラスロッドの長さlrodに沿って配置され、最初の位置として0.01×lrodの位置で開始し、且つ引き続く位置ごとに追加増分0.02×lrodが用いられ、
前記ガラス組成物が、質量%で
【表5】
を含む、
前記ガラスロッドに関する。
【0147】
1つの実施態様において、本発明は、長さlrod、平均半長軸長lmajor(a)、および平均半短軸長lminor(a)を有するガラスロッドであって、前記長さlrodが100~1600mmであり、
前記ガラスロッドの断面内で、lmajor(n)は、前記断面の質量中心から、前記断面内でのガラスロッドの最も遠い境界までの距離であり、且つlminor(n)は、前記断面の質量中心から、前記断面内でのガラスロッドの最も遠い境界までの距離であり、lmajor(n)とlminor(n)とは同一または異なることができ、
前記ガラスロッドは、ガラスが104dPa・sの粘度を有する温度として定義されるT4温度1400℃以上を有するガラス組成物を含み、
前記ガラスロッドは50の局所的な楕円率の平均2×(lmajor(n)-lminor(n))/(lmajor(n)+lminor(n))として定義される平均楕円率を有し、
前記局所的な楕円率は前記ガラスロッドに沿った50の等距離の位置でサンプリングされ、且つ前記平均楕円率は各々等距離の位置で0.20以下、0.10未満、0.050未満、または0.030未満であり、
前記50の等距離の断面は、前記ガラスロッドの長さlrodに沿って配置され、最初の位置として0.01×lrodの位置で開始し、且つ引き続く位置ごとに追加増分0.02×lrodが用いられ、
前記ガラス組成物が、質量%で
【表6】
を含む、
前記ガラスロッドに関する。
【0148】
1つの実施態様において、本発明は、長さlrod、平均半長軸長lmajor(a)、および平均半短軸長lminor(a)を有するガラスロッドであって、前記長さlrodが100~1600mmであり、
前記ガラスロッドの断面内で、lmajor(n)は、前記断面の質量中心から、前記断面内でのガラスロッドの最も遠い境界までの距離であり、且つlminor(n)は、前記断面の質量中心から、前記断面内でのガラスロッドの最も近い境界までの距離であり、lmajor(n)とlminor(n)とは同一または異なることができ、
前記ガラスロッドは、ガラスが104dPa・sの粘度を有する温度として定義されるT4温度1400℃以上を有するガラス組成物を含み、
半短軸の全体の相対的な長さのばらつき(tlvminor)0.040未満を有し、tlvminorは、前記50の等距離の断面位置の最短の半短軸長と、最長の半短軸長との間の絶対差として特定され、前記50の等距離の断面位置の半短軸長の平均値によって正規化され、且つ/または
相対的な全体の面積のばらつき(tav)0.100未満を有し、tavは、1つの断面位置での最小の断面積と、前記50の等距離の断面位置の最大の断面積との間の絶対差として特定され、前記50の等距離の断面位置の断面積の平均値によって正規化され、
前記50の等距離の断面は、前記ガラスロッドの長さlrodに沿って配置され、最初の位置として0.01×lrodの位置で開始し、且つ引き続く位置ごとに追加増分0.02×lrodが用いられ、
前記ガラス組成物が、質量%で
【表7】
を含む、
前記ガラスロッドに関する。
【0149】
1つの実施態様において、本発明は、長さlrod、平均半長軸長lmajor(a)、および平均半短軸長lminor(a)を有するガラスロッドであって、前記長さlrodが100~1600mmであり、
前記ガラスロッドの断面内で、lmajor(n)は、前記断面の質量中心から、前記断面内でのガラスロッドの最も遠い境界までの距離であり、且つlminor(n)は、前記断面の質量中心から、前記断面内でのガラスロッドの最も近い境界までの距離であり、lmajor(n)とlminor(n)とは同一または異なることができ、
前記ガラスロッドは、ガラスが104dPa・sの粘度を有する温度として定義されるT4温度1400℃以上を有するガラス組成物を含み、
半長軸の全体の相対的な長さのばらつき(tlvmajor)、相対的な局所面積のばらつき(lav)、およびtlvmajor+lavの合計として定義される品質指数を有し、
tlvmajorは、(a)50の等距離の断面位置の最短の半長軸長と、(b)前記50の等距離の断面位置の最長の半長軸長との間の絶対差として特定され、前記50の等距離の断面位置の半長軸長の平均値lmajor(a)によって正規化され、
前記50の等距離の断面は、前記ガラスロッドの長さlrodに沿って配置され、最初の位置として0.01×lrodの位置で開始し、且つ引き続く位置ごとに追加増分0.02×lrodが用いられ、
lavは、(c)前記50の等距離の断面位置の最長の半長軸長を有する断面位置での断面積と、(d)前記50の等距離の断面位置の断面積の平均値との間の絶対差として特定され、前記50の等距離の断面位置の断面積の平均値によって正規化され、
前記品質指数は0.090以下、0.070以下、または0.050以下であり、
前記平均半長軸長lmajor(a)は0.9~3.1mmであり、且つ前記平均半短軸長lminor(a)は0.9~3.1mmであり、
前記半長軸長lmajor(n)は、前記50の等距離の断面位置の平均半長軸長lmajor(a)に対して、各々等距離の位置で10%または5%または2%の許容差内であり、且つ/または
前記半短軸長lminor(n)は、前記50の等距離の断面位置の平均半短軸長に対して、各々等距離の位置で10%または5%または2%の許容差内であり、
前記ガラス組成物が、質量%で
【表8】
を含む、前記ガラスロッドに関する。
【0150】
1つの実施態様において、本発明は、長さlrod、平均半長軸長lmajor(a)、および平均半短軸長lminor(a)を有するガラスロッドであって、前記長さlrodが100~1600mmであり、
前記ガラスロッドの断面内で、lmajor(n)は、前記断面の質量中心から、前記断面内でのガラスロッドの最も遠い境界までの距離であり、且つlminor(n)は、前記断面の質量中心から、前記断面内でのガラスロッドの最も近い境界までの距離であり、lmajor(n)とlminor(n)とは同一または異なることができ、
前記ガラスロッドは、ガラスが104dPa・sの粘度を有する温度として定義されるT4温度1400℃以上を有するガラス組成物を含み、
半長軸の全体の相対的な長さのばらつき(tlvmajor)、相対的な局所面積のばらつき(lav)、およびtlvmajor+lavの合計として定義される品質指数を有し、
tlvmajorは、(a)50の等距離の断面位置の最短の半長軸長と、(b)前記50の等距離の断面位置の最長の半長軸長との間の絶対差として特定され、前記50の等距離の断面位置の半長軸長の平均値lmajor(a)によって正規化され、
前記50の等距離の断面は、前記ガラスロッドの長さlrodに沿って配置され、最初の位置として0.01×lrodの位置で開始し、且つ引き続く位置ごとに追加増分0.02×lrodが用いられ、
lavは、(c)前記50の等距離の断面位置の最長の半長軸長を有する断面位置での断面積と、(d)前記50の等距離の断面位置の断面積の平均値との間の絶対差として特定され、前記50の等距離の断面位置の断面積の平均値によって正規化され、
前記品質指数は0.090以下、0.070以下、または0.050以下であり、
前記ガラスロッドは50の局所的な楕円率の平均2×(lmajor(n)-lminor(n))/(lmajor(n)+lminor(n))として定義される平均楕円率を有し、
前記局所的な楕円率は前記ガラスロッドに沿った50の等距離の位置でサンプリングされ、且つ前記平均楕円率は各々等距離の位置で0.20以下、0.10未満、0.050未満、または0.030未満であり、
前記ガラス組成物が、質量%で
【表9】
を含む、
前記ガラスロッドに関する。
【0151】
1つの実施態様において、本発明は、長さlrod、平均半長軸長lmajor(a)、および平均半短軸長lminor(a)を有するガラスロッドであって、前記長さlrodが100~1600mmであり、
前記ガラスロッドの断面内で、lmajor(n)は、前記断面の質量中心から、前記断面内でのガラスロッドの最も遠い境界までの距離であり、且つlminor(n)は、前記断面の質量中心から、前記断面内でのガラスロッドの最も近い境界までの距離であり、lmajor(n)とlminor(n)とは同一または異なることができ、
前記ガラスロッドは、ガラスが104dPa・sの粘度を有する温度として定義されるT4温度1400℃以上を有するガラス組成物を含み、
半長軸の全体の相対的な長さのばらつき(tlvmajor)、相対的な局所面積のばらつき(lav)、およびtlvmajor+lavの合計として定義される品質指数を有し、
tlvmajorは、(a)50の等距離の断面位置の最短の半長軸長と、(b)前記50の等距離の断面位置の最長の半長軸長との間の絶対差として特定され、前記50の等距離の断面位置の半長軸長の平均値lmajor(a)によって正規化され、
前記50の等距離の断面は、前記ガラスロッドの長さlrodに沿って配置され、最初の位置として0.01×lrodの位置で開始し、且つ引き続く位置ごとに追加増分0.02×lrodが用いられ、
lavは、(c)前記50の等距離の断面位置の最長の半長軸長を有する断面位置での断面積と、(d)前記50の等距離の断面位置の断面積の平均値との間の絶対差として特定され、前記50の等距離の断面位置の断面積の平均値によって正規化され、
前記品質指数は0.090以下、0.070以下、または0.050以下であり、
前記ガラスロッドは、半短軸の全体の相対的な長さのばらつき(tlvminor)0.040未満を有し、tlvminorは、前記50の等距離の断面位置の最短の半短軸長と最長の半短軸長との間の絶対差として特定され、前記50の等距離の断面位置の半短軸長の平均値によって正規化され、且つ/または
相対的な全体の面積のばらつき(tav)0.100未満を有し、tavは、1つの断面位置での最小の断面積と、前記50の等距離の断面位置の最大の断面積との間の絶対差として特定され、前記50の等距離の断面位置の断面積の平均値によって正規化され、
前記ガラス組成物が、質量%で
【表10】
を含む、
前記ガラスロッドに関する。
【図面の簡単な説明】
【0152】
図1図1はガラスロッドの模式図を、透視図(A)および断面nを描く図(B)で示し、関連する幾何学的特徴を示す。前記ガラスロッドは所定の長さlrodを有し、近似円の底部を有してほぼ直円柱の形状を呈する。50の等距離の断面がガラスロッドの長さlrodに沿って配置され(cs1~cs50)、最初の位置として0.01×lrodの位置(cs1)で開始し、且つ引き続く位置(csn)ごとに追加増分0.02×lrodが用いられる。前記50の等距離の断面は近似円の底部に対して平行である。各々の前記50の等距離の断面csnは、半長軸長lmajor(n)および半短軸長lminor(n)、質量中心cmおよび局所面積を有する。前記50の等距離の断面から、平均半長軸長lmajor(a)および平均半短軸長lminor(a)を、それぞれ50の半長軸長lmajor(n)の値の平均および50の半短軸長lminor(n)の値の平均として計算できる。
図2図2は、本発明によるガラスロッド(本発明の例1~7、IE1~IE7)についての品質指数を、従来技術によるガラスロッド(比較例1~4、CE1~CE4)に比して示す。本発明の例において使用されたガラス組成を括弧内に示す。
図3図3は、本発明によるガラスロッド(本発明の例1~7、IE1~IE7)についてのパラメータtlvmajorおよびlavを、従来技術によるガラスロッド(比較例1~4、CE1~CE4)に比して示す。本発明の例において使用されたガラス組成を括弧内に示す。
図4図4は、本発明によるガラスロッド(本発明の例1~7、IE1~IE7)についてのパラメータtlvminorを、従来技術によるガラスロッド(比較例1~4、CE1~CE4)に比して示す。本発明の例において使用されたガラス組成を括弧内に示す。
図5図5は、本発明によるガラスロッド(本発明の例1~7、IE1~IE7)についてのパラメータtavを、従来技術によるガラスロッド(比較例1~4、CE1~CE4)に比して示す。本発明の例において使用されたガラス組成を括弧内に示す。
図6図6は、本発明による方法および反応器の図を示す。前記反応器(1)は下方の排出開口部(2)を有する。ガラス原料が前記反応器(1)内で加熱されてガラス溶融物(3)が得られる。搬送手段(4)は、前記反応器の下流で、つまり前記ガラス溶融物(3)が前記下方の排出開口部(2)を通じて前記反応器(1)を離れた後、ガラスロッド(5)の引き抜きを補助する。前記下方の排出開口部(2)は独立して加熱されて(例えば、円として示されている電磁コイルによる加熱)、一定且つ均質なガラスの流れを確実にする。前記下方の排出開口部(2)はノズルまたはダクトであってよい。前記ガラス溶融物(3)の引き出し温度はIRパイロメータ(6)を用いて測定される。前記ガラス溶融物上の圧力は圧力センサ(7)を用いて測定される。
【実施例0153】
幾何学的パラメータの測定
比較用のガラスロッドおよび本発明によるガラスをスライド式カリパスを用いて測定して、それらの幾何学的特性、例えば断面内で測定可能な最大直径および断面内で測定可能な最小直径を評価した。測定の不確かさは約50μmであった。
【0154】
長さ30cmの4つの比較用ガラスロッドを5mmの距離で測定した。長さ100cmを有する本発明によるガラスロッドを2cmの距離で測定した。グラフ解析はさらに、それぞれ30cmおよび100cmの長さにわたる各々の断面についての楕円率および断面積をもたらした。
【0155】
ガラス組成物
本発明によるガラスロッドは、それぞれ熱膨張係数1.25、1.60、1.90、2.65および3.05ppm/Kを有する、5つの異なるガラス組成物から製造された。
【0156】
【表11】
【0157】
ガラスロッドの製造
ガラスロッドを製造するために、Journal of the Society of Glass Technology 28, 1944, 105~112ページに記載されるとおり、小型の高温ガス焚きガラスタンク炉を使用した。前記タンク炉は長さ21インチ、幅12インチおよび高さ13インチの内部寸法を有する。製造開始時のガラスの深さは約4~5インチである。前記炉の内張は、ジルコン砂とジルコニアとの混合物から成形されたブロックで、一時的な結合としてデンプンのりを使用して構成された。ガラス溶融物の引き出し温度を、反応器の中央で、IR放射を介してガラス表面を監視するIRパイロメータによってガラス溶融物上で測定した。ガラス溶融物上の圧力を圧力センサによって測定した。製造の間、引き抜かれるガラスロッドを測定、つまり外径およびそれらの局所面積を測定した。ガラス溶融物を引き出す速度または体積流量を連続的に監視した。製造の間、ガラス溶融物の温度および圧力を手動で調節して、一定且つ均質なガラスの流れを確実にした。引き出しの開始前に、ガラス溶融物を少なくとも部分的に温度T2.5に加熱し、次いで1℃刻みで上昇させた。引き出しの間の温度上昇は最大で50℃であり、典型的には約30℃であった。製造温度を、反応器と下方の排出開口部との両方で制御し且つ調節した。代替的または追加的に、引き出しの間のガラス溶融物のレベルの低下に起因する排出開口部ヘッドでの圧力の低下を考慮して、炉内の圧力、つまりガラス溶融物上の圧力を調節した。製造は典型的には4時間の時間にわたって行われた。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】