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特開2024-31899短絡回路保護用フューズ要素を具備するSICを基礎とする電子装置及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031899
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】短絡回路保護用フューズ要素を具備するSICを基礎とする電子装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/82 20060101AFI20240229BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20240229BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20240229BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
H01L21/82 F
H01L27/04 V
H01L29/78 652T
H01L29/78 657Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023134886
(22)【出願日】2023-08-22
(31)【優先権主張番号】102022000017676
(32)【優先日】2022-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】591002692
【氏名又は名称】エスティーマイクロエレクトロニクス エス.アール.エル.
【氏名又は名称原語表記】STMicroelectronics S.r.l.
(74)【代理人】
【識別番号】100076185
【弁理士】
【氏名又は名称】小橋 正明
(72)【発明者】
【氏名】ラウーラ レティツィア スカリア
(72)【発明者】
【氏名】カテーノ マルコ カマッレリ
(72)【発明者】
【氏名】エドアルド ザネッティ
(72)【発明者】
【氏名】アルフィオ ルッソ
【テーマコード(参考)】
5F038
5F064
【Fターム(参考)】
5F038AV15
5F038EZ01
5F038EZ20
5F064FF27
5F064FF29
5F064FF30
5F064FF32
5F064FF46
(57)【要約】
【課題】 従来技術の問題点を解消した保護要素を具備する電子装置及び該電子装置を製造する方法を提供する
【解決手段】 SiCを基礎としたMOSFET電子装置(20;30)は、固体ボディ(48)と、該固体ボディ(48)内に延在しているゲート端子(24)と、該固体ボディ(48)の第1側部において延在しておりバイアス電圧(VGSの発生器(23)へ電気的に結合可能に構成されている導電性経路(36)と、該ゲート端子(24)及び該導電性経路(36)へ結合されておりソリッドステート物質からなる保護要素(21)であって該ゲート端子(24)及び該導電性経路(36)の間に電気的接続を形成しており且つ臨界的スレッシュホールドより大きな漏洩電流に応答して該固体状態から溶融した又は気体の状態へ遷移して該電気的接続を中断させる構成とされている保護要素(21)と、該保護要素を少なくとも部分的に収容する該固体ボディ(48)内の埋設キャビティ(69)と、を包含している。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特にシリコンカーバイドを包含している固体ボディ(48)、
該固体ボディ(48)内に延在しているゲート端子(24)、
該固体ボディ(48)の第1側部に延在しており前記ゲート端子(24)のバイアス電圧(VGSの発生器(23)へ電気的に結合可能であるように構成されている導電性経路(36)、
該ゲート端子(24)及び該導電性経路(36)へ結合されておりソリッドステート物質からなる保護要素(21)であって、該ゲート端子(24)と該導電性経路(36)との間の電気的接続を形成しており、且つ前記保護要素(21)を介しての臨界スレッシュホールドよりも大きな漏洩電流(iSCに応答して、固体状態から溶融又は気体状態へ遷移して前記電気的接続を中断させる構成とされている前記保護要素(21)、
を有しており、更に、
前記保護要素(21)を少なくとも部分的に収容する埋設キャビティ(69)が該固体ボディ(48)内に設けられていることを特徴とする電子装置(20;30)。
【請求項2】
該埋設キャビティ(69)が該保護要素(21)の溶融したか又は気体状態にある物質を収容する構成とされている請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
該埋設キャビティ(69)が、少なくとも部分的に前記保護要素(21)を支持するための支持体を収容している先行する請求項の内のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項4】
該保護要素(21)がフューズである先行する請求項の内のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項5】
該保護要素(21)が、ポリシリコン、金属、又は導電性ポリマーの中から選択された10Ω・cmより低い電気的固有抵抗を有している物質からなる先行する請求項の内のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項6】
該保護要素(21)、該ゲート端子(24)、及び該導電性経路(36)が一つのモノリシック構成体を形成している先行する請求項の内のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項7】
前記埋設キャビティ(69)をその上部において閉塞する特にポリマー物質からなる被覆層(68)を更に有している先行する請求項の内のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項8】
該被覆層(68)が該保護要素(21)と物理的に接触することによって該埋設キャビティ内に部分的に延在している請求項7に記載の電子装置。
【請求項9】
該被覆層(68)が、ポリイミドPI、又はポリイミド-イソ-インドロキナザリネディオンPIQからなる請求項7又は8に記載の電子装置。
【請求項10】
該被覆層(68)が、該固体ボディの機械的抵抗力と比較して一層低い機械的抵抗力を有している請求項7-9の内のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項11】
該保護要素(21)が金属からなり且つ部分的に該ゲート端子(24)上及び該導電性経路(36)上を延在しており、前記ゲート端子(24)及び前記導電性経路(36)が専ら該保護要素(21)によって互いに電気的に結合されている先行する請求項の内のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項12】
前記固体ボディがシリコンカーバイドSiCを包含しており、且つ本装置が縦型導通MOSFETであり且つ該固体ボディ(48)の第1側部において該ゲート端子に対して横方向に該固体ボディ(48)内を延在しているソース端子(26)と、該固体ボディ(48)の該第1側部とは反対側の第2側部において延在しているドレイン端子(66)とを更に包含している先行する請求項の内の何れか1項に記載の電子装置。
【請求項13】
該ゲート端子(24)がストリップ型のものである先行する請求項の内のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項14】
固体ボディ(48)内にゲート端子(24)を形成する工程、
該ゲート端子のバイアス電圧(VGSの発生器(23)へ電気的に結合可能に構成されている導電性経路(36)を形成する工程、
該ゲート端子(24)及び該導電性経路(36)へ結合してソリッドステート物質からなる保護要素(21)を形成する工程であって、該ゲート端子(21)と該導電性経路(36)との間の電気的接続を形成し且つ臨界スレッシュホールドよりも大きな前記保護要素(21)を介しての漏洩電流(iSCに応答して該固体状態から溶融した又は気体の状態へ遷移して前記電気的接続を中断する構成とされている前記保護要素(21)を形成する工程、
を包含しており、更に、
前記保護要素(21)を少なくとも部分的に収容する埋設キャビティ(69)を該固体ボディ(48)内に形成する工程、
を包含していることを特徴とする電子装置(20;30)を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護要素を具備する電子装置、特にパワーMOSFET及びその電子装置の製造方法に関するものである。特に、該保護要素はゲートストリップに結合したフューズである。
【背景技術】
【0002】
多数の科学文献がシリコンカーバイド(SiC)MOSFET装置の良好なスイッチング性能について報告している。産業的観点からは、スイッチング性能に加えて、SiC装置は、良好な構造的堅牢性も有しており、そのことはパワーシステムにとって望ましい特性である。
【0003】
SiCウエハを製造し且つ取り扱う工程の期間中、機械類とSiCウエハとの間の相互作用が、SiCの高い硬度に起因して砕片を発生させる場合がある。従って、これらの砕片が永久的に同じウエハの表面上に付着し且つ局所的な欠陥を発生させる場合があり、そのことは最終的なMOSFET装置の機能性に影響を与える場合がある、
この点について、図1Aは、特に縦型チャンネルMOSFETトランジスタであるトランジスタ1を横断面図で示してあり、それは、SiCの基板8と、該基板8の第1表面に配置されており例えばポリシリコンのゲート領域4と、該第1表面において基板8内に延在しているボディ領域5と、基板8の該第1表面においてボディ領域5内に延在しているソース領域6と、該第1表面と反対側である基板8の第2表面において延在しているドレイン領域7と、を包含している。
【0004】
トランジスタ1は、ゲート領域4とソース領域6との間に介在している砕片2を有している。更に、ゲート酸化膜層10が、ソース領域6の上方で、基板8とゲート領域4との間に延在しており、特に、砕片2がゲート酸化膜層10の厚さ全体にわたって貫通して延在しており、ソース領域6とゲート領域4とを互いに電気的に接続している。従って、砕片2はゲート領域4をソース領域6とを短絡させる点状欠陥である。
【0005】
使用において、ゲート領域4がバイアス電圧VGBバイアスされると、砕片2は、ゲート領域4とソース領域6との間に電流iSC流れを発生させる導電性電気的経路を形成する(以後、ゲート領域4とソース領域6との間の「短絡回路電流」とも呼称する)。この電流iSC存在において、トランジスタ1は故障する。
【0006】
結果的にゲート領域4とソース領域6との間の直接接続又はトンネル効果による漏洩経路を形成することとなるゲート酸化膜形成プロセスから発生する欠陥の場合に同様の問題が発生する場合がある。
【0007】
同様に、上述したタイプの欠陥も又、又は代替的に、ゲート領域4とドレイン領域7との間に形成する場合がある。
【0008】
市販されているMOSFET装置は、典型的に、使用される特定の適用例によって要求される電流を適宜管理するために互いに共同すべく互いに並列接続されている図1A及び1Bに示したタイプの複数個のトランジスタ1によって形成されている。そのMOSFET装置に属するたった一つのトランジスタ1の欠陥であっても、そのMOSFET装置の全体が拒否されねばならず、そのことは製造コストを増加させることとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、上述した問題を解決するための必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、特許請求の範囲に記載されるように、保護要素を具備する電子装置及び該電子装置を製造する方法が提供される。
【0011】
本発明をより良く理解するために、添付の図面を参照して、純粋に非制限的な例によって、その好適実施例について以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】ゲート端子とソース端子との間に直接的電気的接続を発生させるゲート酸化膜を介しての欠陥を有している既知のタイプの実施例に基づくMOSFETトランジスタを示した断面図。
図1B図1AのMOSFETトランジスタの回路図。
図2】本発明の1側面に基づくフューズ型の保護要素を具備するMOSFETトランジスタの回路図。
図3図2のMOSFETトランジスタを複数個包含しているMOSFET装置の一部のレイアウトを示した平面図。
図4】本発明の1実施例に基づく図3におけるスクライブ線IV-IVに沿って取った図3のMOSFET装置の横断面図。
図5】本発明の更なる実施例に基づく、図3のスクライブ線IV-IVに沿って取った図3のMOSFET装置の横断面図。
図6A】本発明の1実施例に基づく、図4のMOSFET装置を製造する場合の或る工程における状態を示した横断面図。
図6B】本発明の1実施例に基づく、図4のMOSFET装置を製造する場合の或る工程における状態を示した横断面図。
図6C】本発明の1実施例に基づく、図4のMOSFET装置を製造する場合の或る工程における状態を示した横断面図。
図6D】本発明の1実施例に基づく、図4のMOSFET装置を製造する場合の或る工程における状態を示した横断面図。
図6E】本発明の1実施例に基づく、図4のMOSFET装置を製造する場合の或る工程における状態を示した横断面図。
図7A】本発明の更なる実施例に基づく、図5のMOSFET装置を製造する場合の或る工程における状態を示した横断面図。
図7B】本発明の更なる実施例に基づく、図5のMOSFET装置を製造する場合の或る工程における状態を示した横断面図。
図7C】本発明の更なる実施例に基づく、図5のMOSFET装置を製造する場合の或る工程における状態を示した横断面図。
図7D】本発明の更なる実施例に基づく、図5のMOSFET装置を製造する場合の或る工程における状態を示した横断面図。
図7E】本発明の更なる実施例に基づく、図5のMOSFET装置を製造する場合の或る工程における状態を示した横断面図。
図8】本発明の更なる実施例に基づく、図3におけるスクライブ線IV-IVに沿って取った図3のMOSFET装置の横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図2は、本発明の一つの側面に基づく、トランジスタ20,特に縦型チャンネルMOSFET、より一層特にパワーMOSFET、の等価回路を例示している。トランジスタ20は、それ自身既知の態様で且つ図1A、1Bを参照して簡単に説明したように、使用中にバイアス電圧VGS発生器23へ結合可能なゲート領域又はゲート24(制御端子Gを形成している)と、ソース領域又はソース26(第1導通端子Sを形成している)と、ドレイン領域又はドレイン27(第2導通端子Dを形成している)と、を包含している。
【0014】
特に、本発明によれば、保護要素21がゲート領域24と発生器23との間に介在されている。特に、保護要素21は、欠陥性、即ち点状欠陥2(それは、前述したように図1Aに例示的に示してある)の存在によって発生される短絡回路電流iSC図1Bに例示しておりこの図を参照して説明してある)が存在する場合における発生器23とゲート領域24との間の電気的接続を中断させる形態とされているフューズである。
【0015】
本発明に基づくMOSFET装置は、互いに並列接続されている図2に示したタイプの複数個(2個又はそれ以上)のトランジスタ20によって形成される。装置の通常の動作期間中に予測されるものよりも一層高い1個又はそれ以上のフューズ21を介しての短絡回路電流の流れを発生させるトランジスタ20の故障の場合に、夫々のフューズ21が溶融/破壊して、ゲート領域24及び点状欠陥2を介しての発生器23とソース領域26との間の短絡回路電流iSC流れの中断を発生させる。
【0016】
図3は、3軸カーテシアン参照系X,Y,Zにおいて、本発明の1実施例に基づくMOSFET装置30の一部を示しており、特に、MOSFET装置30は、XY面での平面図で示されており且つ本実施例の理解にとって基本的な要素のみが示されている。
【0017】
MOSFET装置30は、活性区域領域32と、保護領域34と、接続領域36とを包含している。保護領域34は活性区域領域32と接続領域36との間に介在している。
【0018】
詳細には、活性区域領域32は、ストリップ型の複数個のゲート領域24及び複数個のソース領域26を包含しており、その各々はそれ自身既知の態様で、Y軸に対して平行な夫々の主要方向に沿って延在している。
【0019】
接続領域36は、導電経路(例えば、リング状の形状を有している)であり、それは全てのゲート領域24を共通のゲート端子へ接続させている。
【0020】
各ゲート領域24は、特にポリシリコン又は金属からなり、例えば1.5μmと4μmとの間のX軸に沿って測った幅d有している。
【0021】
保護領域34は、複数個の保護要素21(「フューズ」とも呼称する)を包含しており、その各々は夫々のゲート領域24と電気的接続をしている。特に、図3の実施例においては、各フューズ21は夫々のゲート領域24と構造的及び電気的な連続体である。即ち、フューズ21及び夫々のゲート領域24はモノリシック構成体を形成している。本発明の一つの側面によれば、ゲート領域24及びフューズ21の両者が導電性ポリシリコン又は金属物質からなる。更なる実施例においては、各フューズ21は、それが結合されているゲート領域24の物質とは異なる物質からなる(例えば、ゲート領域24はポリシリコンからなりフューズ21は金属からなる)。
【0022】
各フューズ21は、1実施例においては、それが結合されているゲート領域24の夫々の幅dりも一層小さなX軸に沿って図った幅d具備している実質的に平行六面体形状を有している。幅d、例えば、1μmと2.5μmとの間である。
【0023】
上述したこととの代替として、更なる実施例においては、各フューズ21は、それが結合されているゲート領域24の寸法(特に、幅dに等しい寸法(特に、dを有している。この場合には、短絡回路保護(即ち、ゲート領域24の前にフューズ21が溶融/破壊する能力)は、フューズ21の物質を適切に選択することにより得られる(例えば、ゲート領域24の物質と比較して一層低い温度に対しての溶融点を有している物質)。
【0024】
接続領域36は導電性部分25を有しており、それはフューズ21と連続しており且つフューズ21と同一面上に延在している。特に、導電性部分25はポリシリコン又は金属からなり、且つ各フューズ21へ且つ該フューズ21を介して各ゲート領域24へ電気的に結合されており、導電性部分25の上方で且つ導電性部分25と電気的に接触して、金属層63が延在して、それ自身既知の態様で、発生器23へ電気的に結合される形態とされているパッドを形成している。
【0025】
導電性部分25は任意の形状を有することが可能であり、例えば、それは延在して、図3の領域36の形状及び範囲に従うリングを形成する。代替的に、ストリップの形状で延在する複数個の導電性部分25が存在することが可能であり、その各々はメタリゼーション63と電気的にコンタクトしている。
【0026】
1実施例において、各フューズ21は、接続領域36における夫々の導電性部分25と構造的及び電気的に連続体である。換言すると、導電性部分25と、それに結合されている夫々のフューズ21と、このフューズ21に結合されている夫々のゲート領域24とがモノリシック構成体を形成している。異なる実施例においては、各フューズ21は、それが結合されている導電性部分25及びゲート領域24の物質とは異なる物質から構成されている(例えば、ゲート領域24と導電性領域25とはポリシリコンからなり且つフューズ21は金属からなる)。
【0027】
図4図3のMOSFET装置30の断面図を示しており、特に、図4図3中のスクライブラインIV-IVに沿って取ったものである。
【0028】
詳細には、トランジスタ20は、特にSiCからなる基板48を有しており、それは互いに反対側の第1及び第2面48a,48bを有している。特に、本実施例においては、「基板」という用語は開始基板上に成長させた一つ又はそれ以上のエピタキシャル層を包含する場合がある(必ずしも包含しているわけではない)構造的要素のことを意味している。
【0029】
絶縁層52(特に、ゲート酸化膜)が第1面48a上を延在しており、それは、例えば、付着したシリコン酸化物(SiOからなり、Z軸に沿って測った30nmと60nmと間の厚さを有している。
【0030】
ゲート領域(ストリップ)24が活性区域領域32において絶縁層52上を延在している。
【0031】
特にTEOSからなるフィールドプレート酸化物層54が、保護領域34において及び接続領域36において、絶縁層52上を延在している。フィールドプレート酸化物層54は、保護領域34において、Z軸に沿って測った0.5μmと2.5μmとの間の厚さを有している。フィールドプレート酸化物層54は、接続領域36において、Z軸に沿って測った1μmと2μmとの間の厚さを有している。
【0032】
Z軸に沿って測った5μmと15μmとの間の厚さhのフューズ21が、フィールドプレート層54上で保護領域34において延在している。1実施例において、フューズ21は0.5μm1.5μmの間のXZ面断面(即ち、フューズ21のベース面積)を有している。
【0033】
1実施例によれば、前述したように、フューズ21はゲート領域24と電気的及び構造的な連続体である。更に、フューズ21は、少なくとも、部分的に導電性領域25と電気的及び構造的な連続体である。
【0034】
更なる絶縁層56が、夫々、活性領域32において及び保護領域34において、ゲート領域24上及びフューズ21上を延在している。絶縁層56は、又、接続領域36において、フューズ21と連続している延在している導電性ストリップ上方を延在している。更なる絶縁層56は、特に、TEOSからなり且つZ軸に沿って測った500nmと900nmとの間の厚さを有している。
【0035】
例えばAl/Si/Cuからなり且つZ軸に沿って測った厚さが2.5μmと7μmとの間であるメタリゼーション層58が、活性領域32において、更なる絶縁層56上を延在している。メタリゼーション層58は、図2のトランジスタ20の第1導通端子S(ソース)を形成している。
【0036】
例えばSiNからなるパッシベーション層62が、活性領域32、保護領域34、及び接続領域36において、特に、夫々、メタリゼーション層58上、及び更なる絶縁層56上を延在している。
【0037】
金属層63が、接続領域36において、導電性部分25に電気的にコンタクトするまで、絶縁層56及びパッシベーション層62を介して延在している。金属層63(及び少なくとも部分的に下側の導電性部分25も)が前述したゲートリングを形成し、従って、夫々のフューズ21を介して、ゲート領域24と電気的にコンタクトしている。
【0038】
特にニッケルシリサイドからなるインターフェース層64が第2面48b上を延在している。例えばTi/Ni/Auからなるメタリゼーション層66がインターフェース層64上を延在している。メタリゼーション層66は図2のトランジスタ20の第2導通端子D(ドレイン)を形成している。
【0039】
本発明によれば、保護領域34において、即ちフューズ21において、埋設キャビティ69が存在しており、それは絶縁層56(Zに沿ってフューズ21上方)を介して完全に且つフィールドプレート酸化物層54(Zに沿ってフューズ21下方)を介して部分的に延在している。フューズ21は、キャビティ69内に突出するフィールドプレート酸化物層54の一部54aによって、キャビティ69内に、支持されている。キャビティ69はポリマー物質68,特に絶縁性ポリマー物質(例えば、ポリイミド、PI、又はポリイミド-イソ-インドロキナザリネディオン(Polyimide-Iso-IndroQuinazalinedione)、即ちPIQ)によって上部において閉じられている。絶縁性ポリマー物質68はパッシベーション層62上方を延在しており、且つ、保護領域34において、キャビティ69及びフューズ21に到達するまで、パッシベーション層62及び絶縁層56に形成された開口内に延在している、以下により良く例示されるように、絶縁性ポリマー層68の形成は、キャビティ69が絶縁性ポリマー層68によって完全に充填されるものではなく、絶縁性ポリマー層68によって上部において閉じられるようになされている。
【0040】
通常の動作条件下においては、即ち図1Aに示したタイプの欠陥が存在しない場合には、ゲート領域24とソース領域26との間に漏洩電流は存在せず、又は、いずれにしても、可能性のある漏洩電流は10nAの程度(ゲートバイアス電圧VGS±20V程度の場合)であるから無視可能なものである。逆に、前述した欠陥が存在する場合には、1mA程度か又はそれより僅かに少ない(例えば、0.8mAより大きな)電流(即ち短絡回路電流iSCが観察される。
【0041】
本発明者等が検証したところによれば、使用期間中に、特に約1mAに等しい短絡回路電流iSC約1msに等し時間tにわたってフューズ21を介して流れる場合に、次式に従って10程度の温度変化ΔTが発生する。
【数1】
尚、ρはフューズ21の電気的固有抵抗(ポリシリコンの場合には、10e-4・cmに等しい)であり、cは比熱(ポリシリコンの場合には、700J/kg・keVに等しい)であり、Dはフューズ21の物質の密度(ポリシリコンの場合には、2330kg/cm等しい)であり、hはフューズ21のZ軸に沿っての厚さであり、且つdフューズ21のX軸に沿っての幅である。
【0042】
本発明者等が更に検証したところでは、検討した時間期間においてのこの様な温度変化ΔTはフューズ21を溶融/破壊させ、その結果、トランジスタ20を発生器23(図2)から分離させることとなる。
【0043】
その値がバイアス電圧VGS依存しており且つ、いずれにしても、通常の動作条件下において観察可能な漏洩電流よりも一層大きいものであるゲート領域24とソース領域26との間の短絡回路電流iSC存在する場合に、接続領域36(使用期間中に発生器23へ接続されている)とゲート領域24との間の電気的接続を中断させるような態様でフューズ21は構成されている。特に、フューズ21は、短絡回路電流iSC存在する場合にその物理的状態を変化(例えば、固体から溶融状態へ、又は固体から気体状態へ)させるような態様で構成されている。
【0044】
従って、一般的に、通常の動作条件下における漏洩電流と比較して少なくとも1桁一層大きく臨界スレッシュホールド(例えば、臨界スレッシュホールドは50nA以上)よりも一層大きな電流が存在する場合に、接続領域36とゲート領域24との間の電気的接続を中断させる(例えば、物理的状態を変化させることにより)ようにフューズ21は構成されている。
【0045】
フューズ21の周りに埋設キャビティ69が存在すること、換言すると、フューズ21を少なくとも部分的に埋設キャビティ69内に形成することは、フューズ21の溶融状態又は気体状態にある物質が流動して埋設キャビティ69内に回収されることを可能とする。この様に、フューズ21の物質の状態変化に基づく局所的な圧力上昇によって発生される装置30の損傷に関連する可能性のある問題が解消されている。
【0046】
図5は、図4の実施例の代替例としての図3のMOSFET装置30の実施例のスクライブラインIV-IVに沿って取った断面図である。図4に図示した要素に対応する要素には図5において同じ参照番号を付しており、更なる説明は割愛する。
【0047】
図5の実施例において、各フューズ21は、夫々のゲート領域24と及び接続領域36内に延在している導電性部分25と電気的に連続しているが、この場合に、ゲート領域24及び導電性部分25はフューズ21とモノリシック体を形成するものではない。フューズ21は、ここでは、ゲート領域24及び導電性部分25の物質とは異なる物質によって形成されている(例えば、ゲート領域24と導電性部分25はポリシリコンからなり且つフューズ21は金属からなる)。
【0048】
図6A―6Eは、本発明の1実施例に基づく図4のMOSFET装置30を製造する夫々の工程を示している。
【0049】
図6Aを参照すると、例えばシリコンカーバイドSiCからなる基板48が設けられる。
【0050】
次いで、正面側48a上に、例えばSiOらなる酸化物層52がCVD付着及び/又は熱酸化によって形成される。その後に、フィールドプレート酸化物層54が酸化物層52上に形成され、より特定的には、フィールドプレート酸化物層54は、フューズ21を収容することが意図されている保護領域34において、且つゲートリングを収容することが意図されている接続領域36において、形成される。そのために、TEOSを付着させてその後にパターニングを行って活性区域領域32からフィールドプレート酸化物層54を除去する工程を実施する。この様に、活性区域領域32において、フィールドプレート酸化物層54は、下側に存在する酸化物層52に到達するまで除去される。
【0051】
次いで、例えばポリシリコンからなる導電層を、活性区域領域32における酸化物層52上、及び保護領域34及び接続領域36におけるフィールドプレート酸化物層54上に形成する。この導電層は、次いで、パターン形成されて(例えば、リソグラフィ及びエッチングの各工程によって)、夫々の領域32,34,及び36において、端部領域24,フューズ21,及び導電性部分25に関する導電性ストリップを形成する。
【0052】
次いで、ゲート領域24,フューズ21,及び導電性部分25の上にTEOSを付着させることによって絶縁層56を形成する。
【0053】
図6Bを参照すると、導電性部分25に到達するまで接続領域36において絶縁層56に開口を形成し、次いで特に金属からなる導電性物質を付着させてメタリゼーション58及び63を形成する。メタリゼーション58及び63は保護領域34において延在するものではない。
【0054】
次いで、図6Cを参照すると、本方法は、SiNを付着してパッシベーション層62の形成に進行する。該パッシベーション層は、メタリゼーション58及び63上、及び露出されている絶縁層56(保護領域34)上を延在している。
【0055】
次いで、図6Dを参照すると、下側の絶縁層56に到達するまで、保護領域34において(即ち、メタリゼーション58及び63の間)、パッシベーション層62のエッチングする工程を実施する。パッシベーション層62のエッチングは、フューズ21及び、特に、フューズ21を収容する埋設キャビティ69を形成することが所望される箇所において実施する。埋設キャビティ69が形成されない箇所においては、パッシベーション層62は除去されない。
【0056】
図6Eを参照すると、開口80が形成されており、絶縁層56及びフィールドプレート酸化物層54の物質が等方性エッチングによって除去されて埋設キャビティ69を形成することが可能である。絶縁層56とフィールドプレート酸化物層54の物質は同じであるから、キャビティ69を形成するためには、例えばHF-(フッ化水素酸)を基礎とする化学物質を使用した単一のエッチングで十分である。図3に例示したように、ゲート領域24及びフューズ21はストリップ形状に延在していて、関連するフューズ21の対応する幅よりも一層大きな寸法(Y軸に沿って)を有する開口80を形成しており、図6Eの工程のエッチングはフューズ21のストリップに関して横方向にフィールドプレート酸化物層54の部分へ延在してフューズ21下側の物質を部分的に除去する。時間によって個のエッチングを調節することによって、フィールドプレート酸化物層54の一部がフューズ21の下側及び垂直方向に整合して位置されて、フューズ21を物理的に支持する(即ち、前述した部分54a)。
【0057】
次いで、前述したパターン形成したポリイミド、PI、又はポリイミド-イソ-インドロキナザリネディオン、PIQ等からなる絶縁性ポリマー層68を形成する工程を実施する。該ポリマー物質PI又はPIQはそれ自身既知の態様で付着させる。
【0058】
該ポリマー物質PI又はPIQは、スピニング技術によって付着させることが可能であることが知られている物質である。それが回転しているウエハ上に液相で付与されると、それは薄い膜を形成し、該膜は、次いで、必要である場合には、熱処理によって稠密化される。ポリマー物質PI又はPIQの平坦化及び粘性特性のために、それは該フューズを収容しているキャビティ内に完全に浸透することはなく該キャビティの上部を閉塞する。
【0059】
従って、図4の装置39が得られる。
【0060】
図7A―7Eは、本発明の1実施例に基づく、図5のMOSFET装置30の夫々の製造工程を示している。
【0061】
図7Aを参照すると、例えばシリコンカーバイドSiCからなる基板48が用意される。
【0062】
次いで、図6Aについて説明した如くに、例えばSiOらなる酸化物層52が正面側48a上に形成される。
【0063】
その後、フィールドプレート酸化物層54が酸化物層52の上に形成されるが、より特定的には、フィールドプレート酸化物層54は、フューズ21を収容することが意図されている保護領域34において及びゲートリングを収容することが意図されている接続領域36において形成される。そのために、TEOSを付着させ且つその後にTEOSをパターン形成して活性区域領域32からフィールドプレート酸化物層54を除去する工程が実施される。この様に、活性区域領域32において、フィールドプレート酸化物層54は下側の酸化物層52に到達するまで除去される。
【0064】
次いで、例えばポリシリコンからなる導電層を、活性区域領域32における酸化物層52の上、及び保護領域34と接続領域36におけるフィールドプレート酸化物層54の上に形成し、次いで、この導電層をパターン形成(例えば、リソグラフィ工程とエッチング工程)して、夫々の領域32及び36において、ゲート領域24及び導電性部分25に関する導電性ストリップを形成する。該ポリシリコン導電層は保護領域34において除去され、即ち、それは、フューズ21の形成が予定される個所において除去される。
【0065】
次いで、ゲート領域24及び導電性部分25の上、及び該ポリシリコン層が欠如している保護領域34におけるフィールドプレート酸化物層54にわたってTEOSを付着させることにより絶縁層56を形成する。
【0066】
図7Bを参照すると、絶縁層56を、ゲート領域24と導電性部分25との間の保護領域34において除去し、ゲート領域24の及び導電性部分25の夫々の端子部分を露出させる。次いで、導電性物質(例えば、Ti、又はTiN、又はAl、又はNi等)、より特定的には金属を付着し且つパターン形成する工程を実施する。この導電性物質の付着は、特に、ゲート領域24の及び露出されている導電性部分25の端子部分上、及びゲート領域24と導電性部分25の間のフィールドプレート酸化物層54上、において実施される。従って、フューズ21が形成される。
【0067】
次いで、本方法は、図6B-6Eのものに類似した工程で進行するので、その詳細な説明は割愛する。
【0068】
従って、図5の装置30が得られる。
【0069】
本発明に基づく本発明の特性を吟味することから、本発明が提供する利点は明らかとなる。
【0070】
特に、パッシベーション皮膜を修正すること無しにフューズが実現されており、一方、破壊された後のフューズの溶融した/気体状の物質は本装置の構造に悪影響を及ぼすこと無しに排出する十分な空間を有している。
【0071】
更に、それらが使用される特定の適用例によって要求される電流を適切に管理するために互いに並列接続されており且つ互いに協働する複数個のトランジスタによって形成されているMOSFET装置において、該MOSFET装置に属する唯一つのトランジスタだけの障害の場合に、その単一の欠陥性のトランジスタを切断し、良好な電気的絶縁性特性を維持し且つ該装置の電流の流れに関して些細な損失を有することによって、全体的なMOSFET装置の機能性を回復させることが可能である。
【0072】
更に、使用中において0.8mAより大きな漏洩電流に起因してMOSFET装置の一つ又はそれ以上のトランジスタのゲート端子とソース端子との間の絶縁性が劣化した場合に、その様な一つ又はそれ以上の劣化したトランジスタに関連するフューズが溶融してその劣化したトランジスタを自動的に切り離すこととなる。
【0073】
最後に、本発明の技術的範囲を逸脱すること無しに、本発明の修正及び変更を行うことが可能であることは勿論である。
【0074】
例えば、本発明は、例えばSi、GaN(窒化ガリウム)、又はガラス又はその他の物質などのSiC以外の物質からなる基板を有する装置にも適用可能である。
【0075】
更に、本発明は、MOSFET以外の装置にも適用可能であり、例えば、GaNパワー装置、LDMOS(横方向拡散MOS)、VMOS(縦型MOS)、DMOS(拡散型MOS)、CMOS(相補的MOS)、又は制御端子と少なくとも1個の導通端子とを具備するその他の集積回路装置などがある。
【0076】
更に、装置30は1個又はそれ以上の水平チャンネルMOSFETトランジスタを包含することが可能である。
【0077】
更に、装置30は単一のトランジスタ20によって形成することが可能である。この場合には、フューズ21の溶融/破壊は装置30全体の動作を中断させる。この実施例は、装置30が複雑な電子システム内に組み込まれており且つ該電子システムの動作にとって致命的なではない(例えば、冗長性の存在)が、この装置30の欠陥が該電子システムのその他の要素の動作に影響を及ぼす可能性があるような場合に有用である場合がある。
【0078】
更に、図4及び5の実施例において、フューズ21は、金属又はゲート領域24及び/又は接続領域36の物質とは異なる物質から構成することが可能であり、例えば、1Ω・cmより低い電気的固有抵抗を有する導電性ポリマーから構成することが可能である。
【0079】
更に、フューズ21は、平行六面体形状とは異なる幾何学的形状を有することが可能であり、例えば、円筒形状又は大略多面体形状等とすることが可能である。
【0080】
更なる実施例によれば、保護要素21は、物理的状態の変化は無いが短絡回路電流iSC存在によって保護要素21を破壊する(直接的に又は更なる要素の存在による仲介により)ことによって、接続領域36とゲート領域24との間の電気的接続を中断させる構成とされる。
【0081】
更に、キャビティ60は、それを形成するために使用されるエッチングのタイプに依存して、前述したものとは異なる形状を有することが可能である。
【0082】
更なる実施例においては、各フューズ21に対して複数個のキャビティ69が存在しており、それらはフューズ21の主要方向に沿って(即ち、Y方向に沿って)互いに整合して配列されている。図8は、例示としてのこの実施例を示している。理解されるように、キャビティ69は、Yに沿って互いに直列に延在しており且つ互いに離隔されている。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8