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特開2024-31909パイプの回転装置およびパイプシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031909
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】パイプの回転装置およびパイプシステム
(51)【国際特許分類】
   F16L 3/20 20060101AFI20240229BHJP
   F16L 3/202 20060101ALI20240229BHJP
   F16C 23/04 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
F16L3/20 Z
F16L3/202
F16C23/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023135136
(22)【出願日】2023-08-23
(31)【優先権主張番号】22192206
(32)【優先日】2022-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】523320456
【氏名又は名称】イーイーダブリュー スペシャル パイプ コンストラクションズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】ローベルト スタシュコ
(72)【発明者】
【氏名】ウルリッヒ シッツ
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス バウム
(72)【発明者】
【氏名】マックス リンデ
【テーマコード(参考)】
3H023
3J012
【Fターム(参考)】
3H023AA05
3H023AB07
3H023AC62
3H023AD57
3J012AB20
3J012BB01
3J012BB05
3J012CB10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】大径のパイプを、凹みや窪みなどのパイプの変形を生じることなく、損傷なく支持し、安全で均一な回転を可能にする回転装置を提供する。
【解決手段】回転装置1は、ベース本体2と、ベース本体上に配置された2つの支持装置とを備える。各支持装置は、ベースと、ベースの受け部に回転可能に取り付けられた少なくとも1つの揺動部材5、6とを備える。ベースは、ベース本体に連結されている。揺動部材はそれぞれ1つ以上のローラ10を有する。揺動部材により、回転装置は、異なるパイプ径に適応するので、回転装置を交換する必要がなく、異なるパイプ径に対応する複数の回転装置を準備しておく必要がない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大径のパイプをその長手軸回りに回転させるための回転装置(1)であって、
- ベース本体(2)と、
- 該ベース本体(2)上に配置された2つの支持装置(3)とを備え、
- 各該支持装置(3)が、ベース(4)と、該ベースの受け部に回転可能に取り付けられた少なくとも1つの揺動部材とを備え、
- ベース(4)がベース本体(2)に連結され、
- 各前記支持装置(3)が、第1揺動部材(5)と、第2揺動部材(6)とを備え、
- 前記第1揺動部材(5)が、第1軸(7)を有し、該第1軸(7)上において、該第1軸(7)を通る第1ピボット軸回りに、前記ベースの受け部に回転可能に取り付けられ、
- 前記第1揺動部材(5)が、前記第1軸(7)から延び、互いに一定の角度で配置された2つの主ピボットアーム(8,11)を有し
- 前記第1揺動部材の第1主ピボットアーム(8)が、サイドアーム(9)を有し、該サイドアーム(9)の外側端部にはローラ軸(31)が配置され、該ローラ軸にはローラ(10)がサイドアームに回転可能に取り付けられ、
- 前記第1揺動部材の第2主ピボットアーム(11)が、一端に第2軸(21)の受け部を有し、
- 前記第2揺動部材(6)が、第2軸(21)回りに回転可能に取り付けられ、該第2軸(21)を通って延びる第2ピボット軸が設けられ、
- 前記第2揺動部材(6)が、前記第2軸(21)から延び、互いに一定の角度で配置された2つのピボットアーム(22,23)を有し、
- 前記第2揺動部材の各前記ピボットアーム(22,23)上にローラ軸(30)が配置され、各該ローラ軸(30)上のピボットアームにローラ(24)が回転可能に取り付けられ、
- 前記第1ピボット軸と前記第2ピボット軸とは互いに平行であり、
- 各前記ローラ(10,24)が、前記ローラ軸(30,31)と、該ローラ軸を通って延びる回転軸とを有し、前記ローラ(10,24)の前記回転軸は、互いに平行かつ回転装置に取り付けられたパイプ(100)の長手軸と平行に延び、かつ、
- 前記ローラ(10,24)が前記パイプ(100)の接触点を形成し、該パイプ(100)が前記回転装置(1)上に載置されたときに、前記ローラ(10,24)のみが前記パイプの表面に対して接触する回転装置(1)。
【請求項2】
前記第2揺動部材(6)の前記ピボットアーム(22,23)が、互いに鏡面対称となるように設計されている請求項1に記載の回転装置(1)。
【請求項3】
前記揺動部材(5,6)が、少なくとも2つの平行で相互に連結されたサイド部材(12,25)を備え、前記ローラ(10,24)が前記サイド部材(12,25)の間に配置されている請求項1または請求項2に記載の回転装置(1)。
【請求項4】
前記ベース(4)が、前記ベース本体(2)に堅固に連結されている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の回転装置(1)。
【請求項5】
前記ベース(4)が、連結部材によって前記ベース本体(2)に、好ましくは、調節可能に取り付けられており、前記ベース本体(2)が、好ましくは、前記連結部材を受け入れるための格子状の孔、スロット状の孔または取付レールを有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の回転装置(1)。
【請求項6】
前記支持装置(3)が、前記ベース本体(2)の中心軸(C)に対して、前記ベース本体(2)上に鏡面対称に配置され、前記第1揺動部材(5)の前記サイドアーム(9)が、それぞれの場合に、前記ベース本体(2)の外側に向かって配置され、前記第2揺動部材(6)が、それぞれの場合に、前記中心軸に面する側に配置されている請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の回転装置(1)。
【請求項7】
前記ローラ軸(30,31)が、前記サイドアーム(9)および前記第2揺動部材(6)の最も外側端に配置され、
前記ローラ(10,24)が、前記パイプ(100)の方向で最も外側の接触点を形成するように、前記ローラ(10,24)が前記サイドアーム(9)および前記第2揺動部材を越えて突出している請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の回転装置(1)。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の少なくとも2つの回転装置と、少なくとも8mの管径を有するパイプとを備えるパイプシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部(プリアンブル)による、大径のパイプをその長手軸回りに回転させるための回転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大径のパイプ、特に、長手方向継ぎ目溶接(longitudinal-seam-welded)および円周方向継ぎ目溶接(girth-seam-welded)された鋼板からなり、かなりの直径を有する大径のパイプは、例えば、石油産業または金属製の大型構造物の製造において使用される。重要な応用分野は、海洋プラント、特に、風力タービンの基礎の建設である。海洋分野で使用される大径のパイプ、例えば、モノパイルあるいは三脚の場合には、パイプの直径は6mを超え、現在では9mを超えるものも珍しくなくなった。パイプの直径に比べ、これらの大径のパイプの壁は非常に薄肉に作られている。
【0003】
使用前に、パイプは様々な工程を経て製造され、用途に応じて準備される。例えば、海洋分野では、塩水中での腐食からパイプを保護するために防食コーティングが施される。パイプの寸法を考慮し、コーティングはパイプを寝かせた状態で行われる。表面全体をコーティングするためには、コーティング工程においてパイプを長手軸回りに回転させる必要がある。
【0004】
このため、パイプは回転装置の上に置かれる。回転装置には、非常に大きく重いパイプを支えられるよう、十分な耐荷重能力が必要である。パイプは直径が大きく質量が大きい割に肉厚が小さいため、半径方向の剛性が低い。そのため、回転装置でパイプを支持する際あるいはパイプを回転させる際に、パイプの表面が凹んだり傷ついたりする危険性がある。
【0005】
また、パイプが回転させられると、パイプに過大な応力が発生することもあり、その結果、パイプに不可逆的な損傷を与える。従来の回転装置の多くは、現在の大型パイプの重量を考慮すると、すでに十分な耐荷重能力を有していない。また、回転装置の中には、単一の管径のために設計されているものもあるため、異なる管径のパイプの場合には、異なる回転装置を準備しておかなければならない。
【0006】
ドイツ特許出願公開第102022103490号には、大径のパイプをその長手軸回りに回転させるための回転装置が記載されている。この多重回転装置は、6~10個のローラを有し、ローラの回転軸は円弧上に配置されている。ローラはベースフレーム上に隣接して並んでいる。説明されている回転装置を使用すれば、パイプの直径が少なくとも6mのパイプを、その重量および大きさにかかわらず、パイプの表面に凹みや損傷を与えることなく、安全かつ損傷なく回転することが可能である。
しかしながら、この回転装置は、多数の部品とローラとを有するため、自重が大きく、その製造には比較的多量の材料が必要である。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、上記の欠点を克服し、特に、少なくとも直径6mのモノパイルや鋼管などのパイプを、凹みや窪みなどのパイプの変形を生じることなく、損傷なく支持し、安全で均一な回転を可能にする回転装置を提供することにある。また、回転装置は、異なる管径に対応できる汎用性を有し、比較的少ない部品で構成されることが望ましい。
【0008】
本発明の主な特徴は、請求項1の特徴部分に記載されている。
さらなる実施形態は、下位の請求項の主題であるか、または以下に説明される。
【0009】
大径のパイプをその長手軸回りに回転させるための本発明に係る回転装置は、ベース本体と、ベース本体上に配置された2つの支持装置とを備え、各支持装置はベースと少なくとも1つの揺動部材とを備える。揺動部材は、軸回りに回転可能に取り付けられている。軸はベースの受け部に配置され、ベースはベース本体に装着されている。2つの支持装置は、それぞれ第1揺動部材と第2揺動部材とを有する。
【0010】
第1揺動部材は第1軸を有し、ベースの受け部内の第1軸に回転可能に取り付けられ、支持装置の第1(主)ピボット軸が第1軸を通る。第1揺動部材は、第1軸から延び、互いに一定の角度で配置された2つの主ピボットアームを有する。第1揺動部材の第1主ピボットアームは、サイドアームを有する。サイドアームは、ピボットアームの続きとして形成され、ピボットアームを延長する。第1軸から最も離れた位置にあるサイドアームの外側端部には、ローラが回転可能に取り付けられたローラ軸が配置されている。
【0011】
第1揺動部材の第2主ピボットアームは、一端に第2軸用の受け部を有する。第2揺動部材は、第2軸に回転可能に取り付けられている。支持装置の第2ピボット軸は第2軸を通る。第2揺動部材は、第2軸から延び、互いに一定の角度で配置された2つのピボットアームを有する。第2揺動部材の各ピボットアームには、ローラ軸が配置されており、これらのローラ軸のピボットアームにローラが回転可能に取り付けられている。第1ピボット軸と第2ピボット軸とは互いに平行に延びている。
【0012】
支持装置は、両ピボット軸回りに、互いに独立して回転させることができる。各ローラは、ローラ軸と、ローラ軸を通って延びる回転軸とを有し、ローラの回転軸は互いに平行に、かつ回転装置に支持されるパイプの長手軸に平行に延びている。ローラだけがパイプの接触点を形成し、パイプが回転装置上に置かれたときに、ローラだけがパイプ表面に接触する。
【0013】
ベース本体は、地面、運搬車または他の支持体上に設置される回転装置の基部を構成している。ベース本体は、支持装置が取り付けられている上側面を有する。好ましくは、上側面は平坦面、例えば、ほぼ長方形の平面として具現化される。平坦面は、例えば、支持装置を連続的に可変調節するためのスライド面として、かつ/または、支持装置をピンによって固定するための等距離に配置された孔として具現化することができる。ベース本体の下側には、地面に設置するための足が設けられていてもよい。さらに、クレーンに固定するためのアタッチメント部材などのさらなる構成部材がベース本体に設けられていてもよい。
【0014】
好ましくは、ローラ軸は、第1軸から見てサイドアームの最外端に、第2軸から見て第2揺動部材のピボットアームの最外端にそれぞれ配置され、これにより、ローラはサイドアームおよび第2揺動部材を越えて突出し、ローラはパイプの方向にパイプの接触点を形成する。
【0015】
一実施形態では、ローラはアイドリングローラとして構成され、駆動部を持たない。別の実施形態では、ローラは従動ローラとして設計されている。
【0016】
2つの支持装置はそれぞれ、ベース、2つの揺動部材、および合計3つのローラを備える。支持装置のベースは、軸受として具現化された受け部を有する。この受け部には、第1揺動部材が第1軸回りに回転可能に取り付けられており、支持装置の第1ピボット軸は第1軸を通っている。第1揺動部材は2つの主ピボットアームを有する。好ましくは、主ピボットアームは同じ長さであり、同じ基本形状を有する。さらに好ましくは、それらは互いに一体的に連結されている。第1揺動部材の第1主ピボットアームはサイドアームを有する。
【0017】
サイドアームの先端にはローラが配置されている。ローラは、サイドアームに回転可能に取り付けられたローラ軸を有する。第2主ピボットアームは、第2軸のための受け部を有し、この受け部は軸受として具現化されている。この第2軸には第2揺動部材が取り付けられている。第2揺動部材は、第2主ピボットアームの一端に配置される。支持装置の第2ピボット軸は第2軸を通って延びている。
【0018】
第2揺動部材は、互いに一定の角度で配置された2つのピボットアームを有する。ピボットアームは、好ましくは、同じ長さで、同じ基本形状を有する。さらに好ましくは、それらは互いに一体的に連結されている。
【0019】
第2揺動部材のピボットアームの各端部には、それぞれ1つのローラが配置されている。各ローラは、ピボットアームに回転可能に取り付けられるローラ軸を有する。好ましい実施形態では、第2揺動部材のピボットアームは鏡面対称であり、鏡面は第2軸を通過して延びている。
【0020】
揺動部材は、好ましくは、少なくとも2つの平行で相互に連結されたサイド部材を備え、ローラは、サイド部材の間に配置される。一実施形態では、第1揺動部材は、大部分が一致する4本の平行なサイド部材を備える。サイド部材は主ピボットアームおよびサイドアームの両方を構成する。この実施形態においては、第1揺動部材の外側を形成する2つの外側サイド部材と、2つの内側サイド部材とがある。2つの内側サイド部材は、1つまたは複数の安定化部材によって互いに連結されていてもよい。そして、サイドアームに取り付けられたローラである外側ローラは、2つの内側サイド部材の間に配置される。第1軸と第2軸は、外側ローラのローラ軸と同様に、4本のサイド部材の全てを通過する。
【0021】
一実施形態では、第2揺動部材は、好ましくは、大部分が一致する2つの平行なサイド部材を備える。サイド部材は、1つ以上の安定化部材によって互いに連結されてもよい。サイド部材は、第2揺動部材の2つのピボットアームを形成する。第2軸およびローラ軸は、両方のサイド部材を通過する。第2揺動部材のサイド部材は、例えば、それぞれ第1揺動装置の外側サイド部材と内側サイド部材との間に配置される。
【0022】
一実施形態では、支持装置のベースは、ベース本体に堅固に連結されており、例えばベース本体に溶接されている。
【0023】
さらなる実施形態では、支持装置のベースは、ベース本体に調節可能に取り付けられ、好ましくはベース本体の孔に連結部材を用いて取り付けられる。この実施形態では、ベースは、ベース本体上の位置を調整できるように、ベース本体に着脱可能に取り付けられている。
【0024】
この目的のために、ベース本体は、好ましくは、連結部材を受け入れるための格子状の孔、スロット状の孔、または取付レールを有し、それによって、ベース本体上の支持装置間の距離を連続的にまたは段階的に調整することができる。また、第1支持装置のベースをベース本体に堅固に連結し、第2支持装置のベースを調節可能に設計することも可能である。この実施形態では、ベース本体上の支持装置の位置を調整することによってのみ距離を達成することができ、したがって、組み立ての労力が少なくて済む。
【0025】
支持装置は、好ましくは、ベース本体の中心軸Cに対してベース本体上に鏡面対称に配置され、それにより、第1揺動部材のサイドアームは、それぞれの場合にベース本体の外側に向かって配置され、第2揺動部材は、それぞれの場合に中心軸に面する側に配置される。したがって、2つの第2揺動部材はそれぞれ、回転装置の中心に向かって支持装置の内側に配置され、第1揺動部材のサイドアームはそれぞれ、回転装置の外側に向かってロードアームとして向けられる。
【0026】
本発明による回転装置は、長手方向継ぎ目溶接および円周方向継ぎ目溶接された大径の鋼製パイプ、いわゆる大径のパイプ、および大径のパイプ部分の管径が少なくとも6m、好ましくは少なくとも8~10mの大径のパイプの回転(長手軸回りの回転)に使用される。例えば、浮体式海洋基礎構造物(スパーブイ)に見られるような、最大12mを超える管径も、回転装置によって回転させることができる。長手方向に継ぎ目溶接された大径のパイプ部分は、鋼板パネルから製造される。板金素材はまず丸く曲げられ、できあがった溝付きパイプ部分の開口端が、製造工程の後半において取り除かれる仮付け溶接(タック溶接)によって接合される。タック溶接されたパイプ部分は溶接室に置かれ、まず内側シーム溶接、次に外側シーム溶接が施される。その後、パイプはさらに加工され、例えば、コーティングされる。
【0027】
典型的な構造では、パイプの肉厚は、35mmから250mm、好ましくは40mmから200mm、特に好ましくは50mmから170mmである。直径6m~10mの大径のパイプおよび大径のパイプ部分は、好ましくは50mm~170mmの肉厚を有する。大径のパイプ部分の長さは通常2mから4.2mである。パイプは複数のパイプ部分を溶接して作られ、120mまでの長さがある。これらの寸法では、パイプの重量は平均して1,000トンを超える。本発明による回転装置を用いれば、パイプの重量や大きさにかかわらず、パイプの表面に凹みや損傷を与えることなく、これらのパイプを安全かつ損傷なく回転させることができる。
【0028】
ベース本体および場合により支持装置は、好ましくは鋼製、特に好ましくは構造用鋼製である。ベース本体および支持装置は鋼製である場合には特に好ましい。
【0029】
支持装置は、2つの軸、すなわち第1ピボット軸と第2ピボット軸回りに回転することができ、これにより搭載されたパイプの直径に適合することができる。揺動部材を回転させることにより、ローラの位置が変更される。パイプが回転装置上に置かれると、パイプはまず第2揺動部材のローラに接触し、このローラは中心に向かっている。パイプの重量がローラを下方に押し下げ、第2揺動部材に置かれたもう一方のローラもパイプの表面に当たるまで、第2揺動部材は第2ピボット軸回りに下方に回転する。同時に、重量により第1揺動部材も下方に押し下げられ、第1揺動部材も第1ピボット軸回りに下方に同様に中心に向かって回転し、サイドアームの外側ローラもパイプの表面に当たるまで回転する。ピボット軸回りの回転量は、パイプの直径と支持装置間の距離とに依存する。揺動部材はそれぞれピボット軸を支点として回転し、回転運動は停止するまで偏角を介して行われる。
【0030】
揺動部材により、本発明による回転装置は、異なる管径に適応するので、回転装置を交換する必要がなく、異なる管径に対応する複数の回転装置を準備しておく必要がない。これにより、異なる管径に対応する多様な回転装置により、変換の労力なしに柔軟な使用が可能になる。管径の差が大きい場合には、調整可能なベースを備えた実施形態では、回転装置は、わずかな変更手順によって他の管径にも適合させることができる。
【0031】
本発明のさらなる目的は、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の少なくとも2つの回転装置と、少なくとも8mの管径を有するパイプとを含むシステムを提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明による回転装置を、図面を参照して実施形態により詳細に説明する。
図1】本発明に係る回転装置の一実施形態を示す図である。
図2】本発明に係る回転装置の断面を示す斜視図である。
図3】本発明に係る回転装置の断面を示す側面図である。
図4】パイプが載置された状態の本発明に係る回転装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、本発明に係る回転装置1を示す斜視図である。
回転装置1は、ベース本体2と、2つの支持装置3とを備える。支持装置3はそれぞれベース4を有し、ベース4は2つのベース部材4a,4bによって形成され、それぞれのベース部材4a,4bは三角形の縦断面を有し、すなわち、三角柱として設計されている。ベース4は、ベース本体2の上面15に取り付けられている。
【0034】
第1揺動部材5が、それぞれの場合において、第1軸7によってベース4に回転可能に取り付けられている。第1揺動部材5は、2つの主ピボットアーム8,11を有し、サイドアーム9が第1主ピボットアーム8上に配置されている。第1主ピボットアーム8とサイドアーム9とは、この実施形態では一体的に連結されており、サイドアーム9は第1主ピボットアームの続きを形成している。
【0035】
サイドアーム9の先端には、ローラ10がローラ軸31に回転可能に取り付けられている。第2主ピボットアーム11は、回転装置の中心、すなわち他の支持装置の方向に向けられている。第2主ピボットアーム11の端部には、第2軸21の受け部が配置されている。第2揺動部材6は、第2軸21に回転可能に取り付けられている。第2揺動部材は2つのピボットアームを有する。ピボットアームの両端には、それぞれ1つのローラ24がローラ軸30に回転可能に取り付けられている。ベース本体2は床面に設置される。この目的のために、ベース本体2は地面に立つ接地面としての足14を備えている。
【0036】
図2は、図1の支持装置3の斜視図であり、第1揺動部材5は、第1軸7によってベース4に取り付けられている。図において、第1主ピボットアーム8は、回転装置の中心から図中左側外方に延びている。第1主ピボットアーム8は、サイドアーム9によって延長されている。第1揺動部材5は、互いに平行に配置された4つの相互に連結されたサイド部材12によって形成されており、これらのサイド部材12は、主ピボットアームとサイドアームの両方を構成している。
【0037】
第1揺動部材の外側を形成する2つの外側サイド部材と、2つの内側サイド部材とがある。2つの内側サイド部材12は、安定化部材13によって互いに連結されている。外側ローラ10は、2つの内側サイド部材12の間に配置されている。第1軸7は、外側ローラ10の第2軸21およびローラ軸31と同様に、4本のサイド部材の全てを貫通している。
【0038】
第2揺動部材6は、第2軸21に回転可能に取り付けられている。第2揺動部材6は、互いに平行に配置され、互いに連結された2つのサイド部材25によって形成されている。サイド部材25は、安定化部材26によって、ローラ24の間の中央で互いに連結されている。サイド部材は、第2揺動部材の2つのピボットアームを形成する。第2軸21およびローラ軸30は、両サイド部材25を貫通している。
【0039】
2つの第2揺動部材はそれぞれ、回転装置の中心に向かって支持装置の内側に配置されているのに対し、第1揺動部材のサイドアームはそれぞれ、回転装置の外側にロードアームとして向けられている。第2揺動部材のサイド部材25はそれぞれ、第1揺動部材の外側サイド部材12と内側サイド部材12との間に配置されている。
【0040】
図3は、本発明における支持装置3の側面図である。第1揺動部材5は、第1主ピボットアーム8上のサイドアーム9が上方を向くように右に回転される。短い主ピボットアーム11は下方に回転される。第2揺動部材6は中央に配置されるよう配向されている。第2揺動部材の2つのピボットアーム22,23は、この実施形態では鏡面対称になるように設計されている。
【0041】
図4は、パイプ100を載せた本発明に係る回転装置1を概略的に示している。回転装置1は、2つの支持装置3を備えている。支持装置3は、ベース本体2(図示せず)に取り付けられたベース4を有する。支持装置3はそれぞれ、第1軸7を通る第1ピボット軸によって、パイプに向かって、すなわちベース本体2の中心軸に向かって回転する。パイプ100は、回転装置の6つのローラ10,24の上にのみ載っている。ローラ10,24は、パイプ100の唯一の接触点を形成するので、パイプ100が回転装置上に置かれると、ローラだけがパイプの表面に接触する。
【0042】
各ローラは、ローラ軸と、ローラ軸を通って延びる回転軸とを有する。ローラの回転軸は互いに平行であり、回転装置上に支持されたパイプの長手軸に平行である。パイプの回転方向は矢印Dで示されている。
【0043】
本発明は、上述した実施形態のいずれか一つに限定されるものではなく、むしろ様々な変形が可能である。
【0044】
特許請求の範囲、明細書および図面から生じる、構造的詳細、空間的配置および工程ステップを含む特徴および利点の全ては、個々に、および多種多様な組み合わせの両方において、本発明に不可欠であり得る。
【符号の説明】
【0045】
1 回転装置
2 ベース本体
3 支持装置
4 ベース
5 第1揺動部材
6 第2揺動部材
7 第1軸
8 第1主ピボットアーム
9 サイドアーム
10 ローラ
11 第2主ピボットアーム
12 サイド部材
13 安定化部材
14 足
15 上面
21 第2軸
22 ピボットアーム
23 ピボットアーム
24 ローラ
25 サイド部材
26 安定化部材
30 ローラ軸
31 ローラ軸
100 パイプ
D パイプの回転方向
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】