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特開2024-31911可動な空力学的後部表面を備える自動車
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  • 特開-可動な空力学的後部表面を備える自動車 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031911
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】可動な空力学的後部表面を備える自動車
(51)【国際特許分類】
   B62D 37/02 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
B62D37/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023135261
(22)【出願日】2023-08-23
(31)【優先権主張番号】102022000017631
(32)【優先日】2022-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】519463178
【氏名又は名称】フェラーリ エッセ.ピー.アー.
【氏名又は名称原語表記】FERRARI S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Emilia Est, 1163, 41100 MODENA, Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マッテオ ビアンカラーナ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】単純かつ反復可能な方法で、ダウンフォースを能動的に調整可能な、後部に可動面を含む自動車を提供する。
【解決手段】自動車は、ロール軸、ピッチ軸(Y)、及びヨー軸を有し、尾部(1b)と、尾部(1b)に固定されて、ピッチ軸(Y)に従って延在する梁(36)とを含み、ピッチ軸(Y)に平行なそれぞれの軸を中心に梁(36)にヒンジ止めされて、それぞれの面(14)を画定する、少なくとも2つのブレード(13、13’)を備え、ブレード(13、13’)は、軸を中心に回転可能であり、使用時に、ロール軸に沿った自動車の空力学的な流れに対して横方向になるように面(14)が配置される第1の構成と、面(14)が前述した空力学的な流れに対して平行であり、互いに向き合う第2の構成に、選択的に可動自在であることを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール軸(X)、ピッチ軸(Y)、及びヨー軸(Z)を有する自動車(1)であって、尾部(1b)と、前記尾部(1b)に固定されて、前記ピッチ軸(Y)に従って延在する梁(36)とを備え、前記ピッチ軸(Y)に平行なそれぞれの軸(H)を中心に前記梁(36)にヒンジ止めされて、それぞれの面(14)を画定する少なくとも2つのブレード(13、13’)を更に備え、そのため、前記ブレード(13、13’)が前記軸(H)を中心に回転可能であり、使用時に、前記ロール軸(X)に沿った前記自動車(1)の空力学的な流れに対して横方向となるように、前記面(14)が配置される第1の構成と、前記面(14)が、前記空力学的な流れに対して平行であり、互いに向き合う第2の構成とに選択的に可動自在であり、前記尾部(1b)に固定されて、前記自動車(1)の上方及び外側に面する外面(12)を有する、上部後方本体パネル(11)を備え、前記2つのブレード(13、13’)のうち、第1のブレード(13)が、前記第1の構成において、前記外面(12)に隣接する端部(13a)を有することを特徴とする、自動車(1)。
【請求項2】
前記面(14)が、前記第1の構成において、前記ロール軸(X)に対して横方向であり、前記第2の構成において、前記ヨー軸(Z)に対して横方向である、請求項1に記載の自動車。
【請求項3】
前記梁(36)が、前記第2の構成において、前記ブレード(13、13’)の前記面(14)のそれぞれと同一平面上に配置された、2つの更なる面(40a、40b)を備える、請求項1又は2に記載の自動車。
【請求項4】
前記ブレード(13、13’)が、前記ヨー軸(Z)に従って上下に配置される、請求項1から3のいずれか一項に記載の自動車。
【請求項5】
前記ヨー軸(Z)に従って、前記梁(36)と前記上部後方本体パネル(11)との間に画定された開口部(37)を有し、前記第1の構成では、前記第1のブレード(13)が前記開口部(37)を閉じる、請求項1から4のいずれか一項に記載の自動車。
【請求項6】
前記外面(12)が、前記上部後方本体パネル(11)の後方部分(15)で、前記ピッチ軸(Y)に従って延在する幅寸法を有し、前記第1の構成において、前記幅寸法全体が上方から完全に覆われるように、前記第1のブレード(13)が配置される、請求項5に記載の自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本特許出願は、2022年8月25日に出願されたイタリア特許出願第102022000017631号の優先権を主張し、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、特にスポーツタイプの自動車に関する。
【背景技術】
【0003】
いくつかの自動車は、使用中にダウンフォースを能動的に調整するために、後部に可動面を含むことが知られている。
【0004】
現実には、垂直方向のダウンフォースの負荷を発生させるために、より一層応用自在な自動車ソリューションを見極める必要があると、一般に考えられている。
【0005】
より具体的には、少なくとも、ダウンフォース及び空力抵抗が比較的低い、より負荷の低い構成、並びに、ダウンフォースが比較的高く、より大きな空力抵抗が妨げとなることのある、より負荷の高い構成を伴う、応用自在なコンフィギュアビリティを自動車にもたらす必要があると考えられている。
【0006】
更に、可動面の位置を調整することを目的とするアクチュエータによって、可動面が移動する間に、アクチュエータに伝達される応力を低減する必要があるとも考えられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上述した必要性の少なくとも1つを、好ましくは単純かつ反復可能な方法で満たすことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、この目的は、請求項1に記載の自動車によって達成される。
【0009】
各従属請求項は、本発明の特定の実施形態を記載するものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
以下に、非限定的な実施例として、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態をよりよく理解するための説明を行う。
【0011】
図1】本発明による自動車の斜視図である。
図2】自動車の後部の拡大斜視図である。
図3図2とは異なる構成の後部を示す、図2と同様の拡大斜視図である。
図4】明瞭にするために部品を取り除いた、図2に対応する後部の側面図である。
図5】明瞭にするために部品を取り除いた、図3に対応する後部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1において、参照番号1は、全体として自動車を示すために使用される。
【0013】
全ての自動車と同じく、自動車1は、通常の前進方向を有する。
【0014】
公知のように、前進方向は、図1に示すロール軸Xと一致するものである。更に、自動車1は、軸Xに水平に直交する軸であるピッチ軸Y、並びに、軸X、Yの両方に直交するヨー軸Zを有する。
【0015】
軸Zは、少なくとも1つの垂直成分を有し、軸Xが水平であるとき、すなわち自動車1が平面内を進行するときには、垂直である。
【0016】
これ以降、前方及び後方などの用語は、前進方向を基準として理解すべきである。
【0017】
自動車1は、自動車1の後端部で終了する、尾部又は後部1bを備える。
【0018】
自動車1は、図示されていないフレーム、及びフレームによって支持された本体2を含む、車体を更に備える。本体2は、更に、例えばドア3、フェンダ4、リアバンパ5、ルーフ6、ボンネット7といった、自動車の複数の外装パネルを含む。
【0019】
リアバンパ5は、尾部1bの一部である。
【0020】
自動車1は、更に、サイドウィンドウ8及びフロントガラス9といった、公知のタイプの他の外装パネルを備える。
【0021】
一般に、これらのパネルは、それぞれが自動車1の少なくとも1つの外装面又は外面、すなわち自動車1の外部からユーザが見ることができる表面を有するため、外側にある。
【0022】
これらのパネルのうち、自動車1は、尾部1bに固定されて、特にルーフ6と自動車1の後端との間に配置された、上部後方本体パネル11を備える。
【0023】
パネル11は、上方に、詳細には自動車1の後方に面する。したがって、パネル11は、ルーフ6を基準として、下方に傾斜している。
【0024】
言い換えれば、パネル11は、自動車1の上方及び外側に面する、外面12を有する。
【0025】
更に、自動車1は、尾部1bに固定され、軸Yに従って延在する、梁36を備える。
【0026】
特に、梁36は、パネル11の上方、より正確には、パネル11の後方部分15の上方に配置される。
【0027】
梁36は、軸Yに従って反対側にあり、尾部1bに固定された、2つの端部36a、36bを有する。
【0028】
自動車1は、詳細には、軸Zに従って梁36とパネル11との間に開口部37を有する。開口部37は、軸Xに従った方向を向いている。
【0029】
梁36は、軸Yに従って部分15の全幅にわたって延在し、したがって部分15を上方から、具体的にはその全体にわたって覆う。
【0030】
更に、自動車1は、軸Yに平行なそれぞれの軸Hを中心として梁36にヒンジ止めされた、2つの空力フィン又はブレード13、13’を備える。図示の実施形態は、2つのブレード13、13’のみを有するが、これは必須のものではない。自動車1は、実際には、他のブレードを備えることができる。例えば、具体的には、軸Yに直交する1つ又はそれ以上の平面、例えば4つのブレードを得るための自動車1の中央平面で、ブレード13、13’を1つ又はそれ以上に切断することを想定して、ブレード13、13’を4つ以上のブレードに分割することもできる。4つの分割されたブレード間の分離空間は、パネル11からそのような分離空間を閉じるまで横方向に突出するようにパネルに固定された、更なるブレードによって占有され、したがって閉じることができる。このことは、ブレードの分割数が4つより多い場合にも、同様に当てはめることができる。
【0031】
好ましくは、ブレード13、13’は、特に形状及びサイズにおいて、互いに同一のものである。
【0032】
ブレード13、13’は、それぞれの面14、特に平坦部を画定する。
【0033】
ブレード13、13’は、軸Zに従って上下に配置される。
【0034】
ブレード13、13’は、軸Hを中心として回転可能であり、選択的に2つの異なる構成に可動自在である。
【0035】
第1の構成、すなわちダウンフォースが高い構成によれば、ブレード13、13’又は面14は、軸Xに沿った自動車1の使用中に発生する、空力学的な流れを横切るように配置される。
【0036】
具体的には、ダウンフォースが高い構成におけるブレード13、13’又は面14は、軸Xに対して横方向であり、より正確には直交する。
【0037】
ダウンフォースが高い構成におけるブレード13、13’のそれぞれは、ブレード13’上を通過する空気流に対する障害物を形成し、すなわち、より高く配置されたブレードは、空気流の流れがブレード13、13’と衝突する側を基準として、ブレード13、13’の反対側に渦流を形成する。実際に、ブレード13’を空気流が通り越すことに起因して、そのような反対側の部分に局所的な低気圧が生じる。このようにして、自動車1に作用する、ダウンフォースの負荷が発生する。
【0038】
一方、ブレード13、13’は、ここでは、空気流との干渉による空力抵抗の増加を決定付ける。
【0039】
第2の構成、すなわち空力抵抗が低い構成によれば、ブレード13、13’又は面14は、軸Xに沿った空力学的な流れと整合する、又は平行になるように配置される。
【0040】
また、それぞれの面14は、互いに向き合っている。
【0041】
具体的には、空力抵抗が低い構成におけるブレード13、13’は、軸Xと整列している、又はより正確には、軸Xに平行である。言い換えれば、面14は、軸Xと整列している、又はより正確には、軸Xと平行である。更に言い換えれば、面14は、軸Zに対して横方向である、又はより正確には、直交する。
【0042】
ここでは、ブレード13、13’の空気流との干渉は最小限のものであり、そのため、空力抵抗は最小となる。
【0043】
好ましくは、梁36は、特に軸Zに従って互いに反対側にある、2つの面40a、40bを有し、それらは軸Zに対して横方向のものである。ブレード13、13’が空力抵抗の低い構成にあるとき、面40a、40bは、面14のそれぞれと同一平面に配置される。
【0044】
好ましくは、ダウンフォースが高い構成では、ブレード13は、特に梁36にヒンジ止めされた端部13b、及び、径方向の反対側にある端部13aを有する。端部13aは、ダウンフォースが高い構成において面12に隣接する。
【0045】
このようにして、ブレード13及び面12によって、空気流を妨げるためのブラインド又はくさび形の領域が形成され、したがってブレード13と面12との間に空気が通過することが著しく制限され、又は更には実質的に防止され、したがって自動車1にダウンフォースの負荷が生成される。実際には、ブレード13と面12との相対的な配置により、軸Xに沿った空気の通過がブレード13’を通り越すことなく、実質的に防止される。
【0046】
言い換えれば、ダウンフォースが高い構成では、ブレード13によって開口部37が閉じられる。
【0047】
ダウンフォースが高い構成では、面14のそれぞれは平行であることが好ましく、同一平面に属することがより好ましい。
【0048】
更に、ダウンフォースが高い構成では、ブレード13は、面12の後方部分15を上方から完全に覆う。
【0049】
面12は、部分15において幅寸法を有する。この幅寸法は、軸Yに沿って延在するものである。
【0050】
ダウンフォースが高い構成では、幅寸法全体が、上方から、特にブレード13によって覆われる。
【0051】
好都合には、自動車1は、ダウンフォースが高い構成と空力抵抗が低い構成との間で、状況に応じてブレード13を移動させるように制御することができる、駆動装置20を備える。
【0052】
特に、駆動装置20は、互いに噛み合い、かつブレード13、13’に対してそれぞれ固定された2つの歯車21、及び、ブレード13、13’の一方、具体的にはブレード13’に対して固定された従動プーリ22、及び、駆動プーリ23、及び、駆動プーリ23の回転を従動プーリ22に伝達し、したがって互いに噛み合う2つの歯車21に伝達するためのベルト24を備える。
【0053】
歯車21が回転することは、反対の回転方向に従って、ブレード13、13’が協調して回転することを意味する。
【0054】
より全体的には、駆動装置20は、反対の回転方向に従って、ブレード13、13’を協調して回転させるように構成される。特に、駆動装置20は、ブレード13、13’を同じ速度で回転させる。
【0055】
駆動装置20は、例えば、図示しない制御ユニットによって適切に制御することができ、かつ、場合によっては、制御ユニットを操作するために自動車1のユーザが作動させることができ、次いで、制御ユニットがそれに対応して駆動装置20を制御する、図示しないコマンドによって適切に制御することができる。
【0056】
上述したことに基づき、自動車1の利点は明らかである。
【0057】
自動車1は、高いダウンフォース及び低い空力抵抗をそれぞれ保証する、少なくとも2つの別個の構成の間で、ブレード13、13’によって調整することのできる姿勢を有するため、非常に応用自在である。
【0058】
更に、空力抵抗が低い構成からダウンフォースが高い構成へブレード13、13’が回転することは、駆動装置20に重大な応力を与えない。実際に、空力抵抗が低い構成において互いに向き合う面14の間に生成された空気流は、実際には、ダウンフォースが高い構成に向かうブレード13、13’の回転を促進するものである。
【0059】
最後に、特許請求の範囲によって定義される保護の範囲から逸脱することなく、本発明による自動車1に修正及び変形を加えることができることは明らかである。
【0060】
特に、記載され図示された構成要素の数及び形状は異なっていてもよく、特に大きな自由度をもって変更することができる。
【0061】
更に、自動車1が、尾部1bに固定されて、自動車の上方及び外側に面する外面12を有する上部後方本体パネル11を備え、第1の構成における2つのブレード13、13’のうち、第1のブレード(13)が外面12に隣接する端部13aを有するという事実も、好ましい実施態様であるが、これは厳密に必要なものではなく、特に、記載された実施態様又は実施形態のいずれかと組み合わせることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】