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特開2024-31945電流を伝達するための表面のコーティング
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031945
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】電流を伝達するための表面のコーティング
(51)【国際特許分類】
   C25D 15/02 20060101AFI20240229BHJP
   H01R 13/03 20060101ALI20240229BHJP
   B60L 53/16 20190101ALI20240229BHJP
   C25D 7/00 20060101ALI20240229BHJP
   C25D 5/22 20060101ALI20240229BHJP
   C25D 17/16 20060101ALN20240229BHJP
【FI】
C25D15/02 J
H01R13/03
B60L53/16
C25D7/00 H
C25D5/22
C25D15/02 F
C25D17/16 A
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023136000
(22)【出願日】2023-08-24
(31)【優先権主張番号】22192362.6
(32)【優先日】2022-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】518345815
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ソリューソンズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】イザベル ブレシュ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・クロード ピュイップ
【テーマコード(参考)】
4K024
5H125
【Fターム(参考)】
4K024AA03
4K024AA09
4K024AA10
4K024AB01
4K024AB02
4K024AB12
4K024AB19
4K024BB10
4K024CA12
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125FF12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】基材へのコーティング厚さを減少させることによって、摩耗挙動を向上させ、接触抵抗を純Agのレベルで安定させ、コストを削減する。又、コーティングを施した充電コンタクト、およびコーティングを施した自動車用プラグコネクタ/充電口を提供する。
【解決手段】基材の表面101のコーティングであって、コーティングは、EVバッテリを充電するための自動車用プラグ接続部において電流を伝達するように設計され、表面に対して実質的に平行に広がる、異なる微細構造および性能の層10、20、30を有し、ナノ結晶粒径、すなわち1000nm未満、特に300nm超の平均粒径を示す銀粒子21、および黒鉛微粒子22を含む少なくとも1つの細粒層20と、細粒層に隣接して位置し、細粒層の粒径よりも平均して大きい粒径を示す銀粒子31を主に含むまたは銀粒子のみを含む少なくとも1つの粗粒層30とを含む、コーティングを提供する。
【選択図】図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材(100)の表面(101)のコーティング(1)であって、前記コーティング(1)は、EVバッテリを充電するための自動車用プラグ接続部において電流を伝達するように設計され、前記表面(101)に対して少なくとも実質的に平行に広がる、異なる微細構造および性能の層(10、20、30)を有し、
-ナノ結晶粒径、すなわち1000ナノメートル未満であり、かつ特に300ナノメートル超の平均粒径を示す銀粒子(21)、および黒鉛微粒子(22)を含む少なくとも1つの中間細粒層(20)と、
-前記細粒層(20)に隣接して位置し、前記細粒層(20)における粒径よりも平均して大きい粒径を示す銀粒子(31)を主に含むまたは前記銀粒子(31)のみを含む少なくとも1つの粗粒層(30)と
を含む、コーティング(1)。
【請求項2】
-銀粒子(11)を含む少なくとも1つの最外面細粒層(10)をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のコーティング(1)。
【請求項3】
前記最外面細粒層(10)は、ナノ結晶粒径、すなわち少なくとも1000ナノメートル未満、特に300ナノメートル超の平均粒径を示すことを特徴とする、請求項2に記載のコーティング(1)。
【請求項4】
前記最外面細粒層(10)は黒鉛微粒子(12)を含むことを特徴とする、請求項2または3に記載のコーティング(1)。
【請求項5】
前記最外面細粒層(10)は、少なくとも実質的に、または少なくとも10%、25%、50%、75%以上の面積率で、前記表面(101)を覆うことを特徴とする、請求項2から4のいずれか一項に記載のコーティング(1)。
【請求項6】
前記黒鉛微粒子(12、22)は、前記細粒層において、ナノスケールサイズ、すなわち少なくとも1000ナノメートル未満、特に250ナノメートル未満の平均サイズを有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のコーティング(1)。
【請求項7】
前記黒鉛微粒子(12、22)は、少なくとも実質的に前記層(10、20)に沿って、および/または、前記表面(101)に対して平行に広がることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のコーティング(1)。
【請求項8】
前記黒鉛微粒子(12、22)の結晶構造は、六方晶系黒鉛2Hであることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のコーティング(1)。
【請求項9】
少なくとも概して前記表面(101)の一部に沿って、前記層(10、20、30)のうちの2つが前記表面(101)上に積み重ねられていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のコーティング(1)。
【請求項10】
前記粗粒層(30)は、微結晶粒径、すなわち少なくとも1マイクロメートル超および1000マイクロメートル未満、特に5マイクロメートル未満の平均粒径を示すことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のコーティング(1)。
【請求項11】
前記粗粒層(30)、特に前記表面(101)の最も近くに位置する前記粗粒層(30)の下で、Ag、Ni、Pd、Fe、Sn、および/またはCuフラッシュからなる接着層が、前記基材(100)の前記表面(101)に、特に直接蒸着されていることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載のコーティング(1)。
【請求項12】
基材(100)の表面(101)のコーティング(1)であって、前記コーティング(1)は、EVバッテリを充電するための自動車用プラグ接続部において電流を伝達するように設計され、前記表面(101)に対して少なくとも実質的に平行に広がる、異なる微細構造および性能の層(10、20、30)を有し、
-ナノ結晶粒径、すなわち1000ナノメートル未満であり、かつ特に300ナノメートル超の平均粒径を示す銀粒子(21)、ならびに、ナノダイヤモンド、鉛(Pb)、モリブデン(Mo)、硫化モリブデン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、CNT、グラフェン、硫化銀、硫化タングステン、またはフッ化カルボニル(CFx)のうちの少なくとも1つを含む自己潤滑性微粒子(23)を含み、特に前記自己潤滑性微粒子(23)は黒鉛微粒子(22)である、少なくとも1つの細粒層(20)と、
-前記細粒層(20)に隣接して位置し、黒鉛などのより大きい自己潤滑性微粒子をより少なく含むとともに、前記細粒層(20)における粒径よりも平均して大きい粒径を示す銀粒子(31)を主に含むまたは前記銀粒子(31)のみを含む、少なくとも1つの粗粒層(30)と
を含む、コーティング(1)。
【請求項13】
充電コネクタであって、充電口および/または充電ガンを備える自動車用プラグ接続部において使用するための充電コンタクトが設けられ、前記充電コンタクトは、請求項1から12のいずれか一項に記載のコーティング(1)が施された基材(100)を有する、充電コネクタ。
【請求項14】
前記基材(100)は、銅もしくは銅合金、AlもしくはAl合金を少なくとも主に含み、かつ/または、少なくとも部分的に回転対称もしくは平坦であり、打抜きもしくは機械加工されていることを特徴とする、請求項13に記載の充電コンタクト。
【請求項15】
請求項13または14に記載の少なくとも1つの充電コンタクトを用いてEVバッテリを充電するための、特に充電口および/または充電ガンを備える自動車用充電接続部。
【請求項16】
ハウジングが前記コンタクトを保持し、特に前記ハウジングはポリマーから形成されていることを特徴とする、請求項13に記載の自動車用充電コネクタ。
【請求項17】
追加のハウジング、ならびに/または追加の能動的および/もしくは受動的冷却要素が、前記コネクタまたはバスバー/ケーブルに直接連結されていることを特徴とする、請求項13または16に記載の自動車用充電コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材の表面のコーティングに関する。コーティングは、自動車用プラグ接続部、特に電動車両(EV)のバッテリを充電するための端子において電流を伝達するように特に設計されている。
【0002】
本発明はまた、自動車用充電口および充電ガンにおいて使用するための、コーティングを施した充電コンタクトに関する。
【0003】
本発明はさらに、充電口および/または充電ガンを特に備え、コーティングを施した充電コンタクトを備える、自動車用充電コネクタであって、自動車用充電コネクタは、EVバッテリを充電するための自動車用プラグ接続部の一部である、自動車用充電コネクタに関する。
【背景技術】
【0004】
本出願を通してさらに説明するように、インフラ側の(通常は充電ガンを備え、通常は充電口側を有する電動車両に相補的な)自動車用充電接続部における、コーティングで被覆された充電コンタクトは、その充電コンタクトが自動車用充電接続部の一部であるように設けられるため、本発明の一部である。
【0005】
EVバッテリの高電力充電(HPC)は、例えば100kWhのバッテリの充電時間を、例えば30分から5分に短縮するために、絶えず増大する電流に依拠している。特にHPC用途において、駆動用バッテリを充電するために電流を伝達するには、特に低接触抵抗で高電圧(例えば、100V、200V、または400V超)において高電流(例えば、200A超)を伝達することができ、接触抵抗を著しく増加させることなく、多くの嵌合サイクル(例えば、少なくとも10000、20000、または40000)に耐えることができる、充電コンタクトが必要である。重要な点は、ジュール加熱および/または電流のディレーティングを生じさせる可能性のある、充電コンタクトの摩耗挙動および電気接触抵抗である。
【0006】
銀(Ag)は、銅または銅合金からなる部分のコーティングとして使用される有望な材料として展開されており、良好な導電性および摩耗挙動をもたらしている。銀を含むコーティングを、電着プロセスを使用して設けることができる。しかしながら、銀または主に金属の(硬質)銀合金は、嵌合サイクルにより、特に3000以上の嵌合サイクルになると、依然として摩耗を受ける。銀コーティングを合金にすることによってコーティングの硬度を高めることが知られているが、これにより、接触抵抗が望ましくない方法で増加し得る。黒鉛(C)微粒子を銀合金に添加して、コーティングに固有の潤滑をもたらすことがさらに知られている。接触抵抗の増加が生じることがあり、これは概ね共蒸着した有機物に関連する。銀コーティングの厚さを増加させることによって、摩耗挙動は向上するが、コストが不必要に増加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、基材にコーティングを形成するためのコーティング厚さを減少させることによって、摩耗挙動を向上させ、接触抵抗を純Agのレベルで安定させ、コストを削減することである。さらなる目的は、コーティングを施した充電コンタクト、およびコーティングを施した自動車用プラグコネクタ/充電口を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による解決策は、請求項1、12、13、および15の主題によって提供される。好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【0009】
特に、基材の表面のコーティングであって、コーティングは、EVバッテリを充電するための自動車用プラグ接続部において電流を伝達するように設計され、表面に対して少なくとも実質的に平行に広がる、異なる微細構造および性能の層を有し、コーティングは、
-ナノ結晶粒径、すなわち1000ナノメートル(nm)未満、特に1、50、または300ナノメートル超の平均粒径を示す銀粒子(silver grains)、および黒鉛微粒子(黒鉛粒子、graphite particles)を含む少なくとも1つの層と、
-細粒層に隣接して位置し、平均して細粒層の粒径よりも大きい粒径を示す銀粒子を主に含むまたは銀粒子のみを含む少なくとも1つの粗粒層と
を含む、コーティングが提案される。
【0010】
異なる微細構造および性能の層は、特に厚さが制限され、通常はコーティング全体よりも薄い。同じことが、特に幅に関して当てはまる。異なる微細構造および性能の層はそれぞれ、特に粒子および/または相の配置、分散、形状、および/またはサイズが異なる、特に銀ベースの複数の粒子および/または相を含んでよく、またはこれから構成されてよく、特に前記層のうちの1つまたは複数は、黒鉛微粒子、および/または、例えばPTFE微粒子もしくは硫化物含有微粒子などの他の自己潤滑/自己潤滑性微粒子を含むことができる。
【0011】
一般に、微粒子、すなわち、自己潤滑性微粒子、黒鉛微粒子などの本明細書に記載の微粒子は、層内および/または層間に埋め込まれる。これは、通常、微粒子が微細構造および/または層によって取り囲まれることを意味する。これは、粒子を層に機械的かつ物理的に良好に接続するように機能する。
【0012】
細粒層は、中間層および/または上層であってよく、これは、中間細粒層が、特に、界面基材に平行なコーティング、すなわち他の層の間および/または下のコーティングの厚さに沿って位置することを意味する。
【0013】
本明細書に記載のコーティングを、追加の機械的衝撃による電着によって形成することができ、機械的衝撃は、微粒子を粉砕し、または微細構造の成長/発達に局所的に影響を与える高エネルギー密度を加えるように機能して、細粒層および粗粒層の両方と、表面に対して少なくとも実質的に平行な広がりとを実現できるようにすることができる。本発明によるコーティングを、電気めっきプロセス、好ましくはバレルめっきによって形成することができる。
【0014】
層の「性能」は、層の機械的特性および電気的特性に関連する。通常、いずれかの層の異なる微細構造により、前記層の異なる性能が得られる。したがって、コーティング全体にわたる異なる層が、そのような異なる特性を備えることができ、組合せによる相乗効果を実現できるようになっていることが望ましい。
【0015】
ナノ結晶粒径がコーティング全体にわたって存在しない場合でも、ナノ結晶粒径により、コーティングの強化効果および/または強度増加、特にホールペッチ強化が可能になる。コーティング強度の増加は硬度値の向上に相関し、同様の接触抵抗におけるコーティング上の摩擦中の摩耗挙動を向上させるようになっている。加えて、黒鉛により、低接触抵抗における摩耗挙動をさらに低下させる/制限する高い嵌合サイクル要件、特にHPC用途について、電気プラグ接続部で有用なコーティングの自己潤滑効果が可能になる。表面に対して実質的に平行な、嵌合方向の広がりにより、コーティングの上面図において、基材の表面上のより大きい領域が、コーティング材料、例えば、ナノ結晶粒子を含む高い硬度の層によって覆われるため、摩耗挙動がさらに向上することが有利である。また、通常、表面が従来技術と比較して平滑になる。
【0016】
本発明により、銀および黒鉛を含む従来技術のコーティングと比較して、小さいコーティング厚さで、20000~50000の嵌合サイクル中の摩耗が全くなくなる、または少なくともかなり低減する。これにより、電流のディレーティングのない、例えば5分以内の高速充電、および/または、被覆されたコンタクトおよびソケットの耐久寿命が、低コストで可能になる。問題となる黒色フィンガ/黒色トレイ効果(black finger/tray effects)は、平滑な表面によって略除去される。要するに、本発明は、したがって、高い持続可能性をもたらす。
【0017】
加えて、本発明により、従来技術と比較して、特にラックめっきと比較して、コーティング厚さを低減させることができる。これにより、形成時間の節約になるだけでなく、電着に必要な電解質が少なくなり、貴金属の使用が少なくなる。これも、コストの節約になり、持続可能性を向上させる。
【0018】
銀粒子を含む少なくとも1つの最外面細粒層を設けることができる。最外面細粒層は、残りの層および/またはコーティングの構成要素の上に特に位置する。コーティングの表面の摩耗挙動を、コーティングの表面の全体もしくは略全体にわたって局所的にまたは少なくとも実質的に向上させることができる。
【0019】
上面層である最外面細粒層は、ナノ結晶粒径を示すことができ、これは、特に電流の伝達中に新しいコーティングを使用する場合に摩耗挙動をさらに向上させるために、平均粒径が、少なくとも1000ナノメートル未満および/または少なくとも1ナノメートル超、特に300ナノメートル超であることを特に意味する。
【0020】
最外面細粒層が特にランダムに分散された黒鉛微粒子を含む場合、自己潤滑効果が生じる。
【0021】
最外面細粒層の黒鉛微粒子は、ナノスケールサイズを有することができ、これは、黒鉛微粒子の平均粒径が、少なくとも1000ナノメートル未満および/または少なくとも1ナノメートル超、特に750、500、もしくは250ナノメートル未満であることを特に意味する。
【0022】
前述したように、黒鉛微粒子は、層に対する微粒子の位置を安定させるために、細粒層および最外面細粒層に埋め込まれることが好ましい。
【0023】
特に最外面細粒層の黒鉛微粒子は、特に、表面および/もしくは層のうちの少なくとも1つに対して少なくとも実質的に平行にかつ/またはそれに沿って、広がりかつ/または分散される。
【0024】
要するに、特に最外面細粒層が、少なくとも実質的にまたは少なくとも1%、5%、10%、25%、50%、75%以上の厚さの割合で表面を覆う場合、コーティングは、より平滑な表面だけでなく、より良好な摩耗挙動およびより良好な自己潤滑特性を有することができる。表面を有する基材上にコーティングを配置することができるという考えに基づいて、最外面細粒層は、最外面領域が存在する基材表面位置の表面を「覆う」。最外面領域は、記載した意味で前記表面を「覆う」ために、基材の表面に接触する必要はない。
【0025】
特に最外面細粒層および/または細粒層の黒鉛微粒子は、特に、ナノスケールサイズを示すことができ、これは、平均粒径が少なくとも1000ナノメートル未満および/または少なくとも1ナノメートル超、特に750、500、もしくは250ナノメートル未満であることを特に意味する。前記黒鉛微粒子は、特に、表面および/もしくは細粒層のうちの少なくとも1つに対して少なくとも実質的に平行に広がりかつ/または分散される。黒鉛微粒子は、層のうちの少なくとも1つおよび/または表面に少なくとも実質的に沿って、特にそれに対して平行に広がることもできる。これにより、高い潤滑効果の存在が保証される。
【0026】
黒鉛微粒子の格子構造および/または結晶構造が六方晶系2Hであるとき、自己潤滑効果が向上し、コーティングプロセス中に、表面に対して実質的に平行な広がりを含む層の形成が容易になる。それに加えて、銀マトリックスの格子構造が3Cまたは/および4H改質を示す場合、摩耗抵抗がはるかに向上する。
【0027】
特に、最外面細粒層に関連する、前述した機構のうちの少なくとも1つまたはすべてを有する最外面細粒層により、黒色フィンガ/トレイ効果を除去することができ、従来技術のコーティングとは対照的に、表面をより平滑にすることができる。
【0028】
粗粒層の銀粒子および/またはエピタキシャル成長を伴う他の銀粒子、特に、細粒層に対するマトリックスとして機能する少なくとも実質的に銀の粒子は、<311>:<111>:<220>=1:0.74:0.46の粒子配向分布を有することができる。あるいはまたは加えて、前記銀粒子は、前述した3Cまたは/および4H改質に相関する001および111テクスチャを有するマトリックスを示す。異なる微細構造の層は、1:10~1:300の比を形成することができると有利である。
【0029】
少なくとも概して表面の一部に沿って、細粒層、特に異なる層のうちの2つ以上(例えば3つ、4つ、または5つ)を、表面上に積み重ねることができる。「一部」とは、特に表面の領域に関して言う。したがって、層を、コーティングの最外面に対して表面にわたって互いに局所的に重ねて配置することができ、特に、層は、互いに接触することができ、または(例えば、さらなる層、さらなる粒子、さらなる微粒子、および/またはその他によって)少なくとも部分的に互いに離間することができる。
【0030】
粗粒層は、微結晶粒径、すなわち、少なくとも1マイクロメートル超および1000マイクロメートル未満、特に10マイクロメートル未満の平均粒径を示すことができる。したがって、粗粒層、特に複数の粗粒層は、最外面細粒層および/または中間細粒層を含む一種のマトリックスとして機能することができる。実質的により大きい粒子は、実質的に粗粒層に含まれる、および/または粗粒層によって取り囲まれる細粒層の硬度とは対照的に、例えば延性をもたらすことができる。
【0031】
粗粒層の下で、Snおよび/またはPdおよび/またはAgおよび/またはNiおよび/またはFeおよび/またはCuフラッシュからなるまたはこれを含む特に(細粒の)接着層を、特に基材に直接蒸着することができる。したがって、粗粒層を接着層上に配置することができる。特に、接着層を、基材の表面の最も近くに位置する粗粒層の下、および/または、少なくとも実質的に粗粒層のそれぞれの下、特に80%もしくは90%を超えて下に配置することができる。接着層は、コーティングの一部であっても、基材の一部であってもよい。
接着層は、コーティング(または、接着層に対してコーティングの残りの部分)が接着層を介して基材により良好に接続するという点で、コーティングの機械的特性をサポートすることができ、有利である。コーティングの剥離の危険性を低下させることができる。
【0032】
別の解決策は、基材の表面のコーティングであって、コーティングは、EVバッテリを充電するための自動車用プラグ接続部において、特に充電口および/または充電ガンを備える自動車用充電コネクタを用いて電流を伝達するように設計され、表面に対して少なくとも実質的に平行に広がる異なる微細構造および性能の層を有するコーティングによって提案される。前記コーティングは、
-ナノ結晶粒径、すなわち1000ナノメートル未満、特に1、50、もしくは300ナノメートル超の平均粒径を示す銀粒子、ならびに、黒鉛および/またはナノダイヤモンドおよび/またはグラフェンおよび/またはCNT、鉛(Pb)、モリブデン(Mo)、硫化モリブデン、硫化銀、硫化タングステン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、またはフッ化カルボニル(CFx)などの自己潤滑性微粒子を含み、自己潤滑性微粒子は、1000ナノメートル未満、特に1、50、もしくは300ナノメートル超の粒径を有する、少なくとも1つの細粒層と、
-細粒層に隣接して位置し、細粒層の粒径よりも平均して大きい粒径を示す銀粒子を主に含むまたは銀粒子のみを含む、少なくとも1つの粗粒層と
を含む。
【0033】
自己潤滑性微粒子を、黒鉛微粒子によって置き換えるまたは補完することができることがわかっている。前述した自己潤滑性微粒子は、コーティングの低摩擦係数に有利であるため、使用中のコーティングの摩耗が低減する。このコーティングは、特に前述した用途における機構および利点のいずれかを利用することができる。
【0034】
さらに、前述したコーティングのうちの1つなどのコーティングを施した銅もしくは銅合金またはAlもしくはAl合金からなる基材を有する充電接続部を形成する、自動車用充電口および/または充電ガンを備える/用いる自動車用プラグ接続部において使用するために設けられる充電コンタクトが、解決策として提案されている。
【0035】
コンタクトは、機構および利点のいずれかを特に部分的に利用することができ、前述した用途において使用することができる。
【0036】
基材は、少なくとも主に銅もしくは銅合金またはAlもしくはAl合金を含むことができ、(銀合金と比べて)良好な導電性が、許容できるコストでもたらされるようになっている。
【0037】
基材は、特に、少なくとも部分的に回転対称および/または平坦であってよく、特に、回転バレル/ソケットまたは平坦なレセプタクルの位置における嵌合によって接続を実現することができるようになっており、2つの対応する充電コンタクトのうちの少なくとも一方または両方を、特にボルト締めおよび/または溶接によって、フラットケーブルまたは丸形ケーブルに接続することができる。
【0038】
さらに、前述した充電コンタクトのうちの少なくとも1つを備える自動車用充電コネクタが提案される。充電接続部は、充電口および/または充電ガンを備えることができ、EVバッテリを充電するための自動車用プラグ接続部において特に使用することができる。
【0039】
2つ以上のコンタクトの場合、コンタクトは、実質的に互いに平行に延びることができ、したがって、対応する充電コンタクトの嵌合が容易になり、コーティングの摩擦が低減する。
【0040】
自動車用充電コネクタは、1つまたは複数のコンタクトを保持するハウジングを備えることができる。ハウジングを、ポリマー/樹脂から構成および/または形成することができる。ハウジングは、コンタクトの電気絶縁体および/またはプロテクタとして機能することができ、金属からなるシールドによってさらに完成/補完されてもよい。
【0041】
自動車用充電コネクタは、追加のハウジングならびに/または追加の能動的および/もしくは受動的冷却要素を備えることができる。追加のハウジングは、充電コンタクトをさらに保護するように機能することができる。冷却要素は、過熱および/またはディレーティングを防ぐことができる。
【0042】
ハウジングおよび/または追加のハウジングは、例えば望ましくない衝突による充電コンタクトへの損傷を避けるため、かつ安全性を高めるために、嵌合方向において充電コンタクトのうちの少なくとも1つを覆いかつ/またはその上に重なっていてもよい。
【0043】
図面と併せた従来技術および実施形態の以下の説明から、本発明のさらなる詳細および利点が明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1A】従来技術によるSEM分析におけるコーティングの断面図である。
図1B】従来技術によるEBSD分析におけるコーティングの断面図である。
図2A】本発明によるSEM分析におけるコーティングの断面図である。
図2B】本発明によるEBSD分析におけるコーティングの断面図である。
図3A】本発明によるSEM分析によるコーティングのFIBラメラの全体図(3A)である。
図3B】本発明によるSEM分析によるコーティングのFIBラメラの細粒層および粗粒層を含む領域を示す図(3B)である。
図3C】本発明によるSEM分析によるコーティングのFIBラメラの最外面細粒層を含む領域を示す図(3C)である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1Aは、従来技術による基材100の表面101のコーティング1を示す。従来技術によるコーティング1は、電着、特にラックめっきプロセスを使用して形成することができる。コーティング1は、EVバッテリを充電するための自動車用プラグ接続部において電流を伝達するように設計されている。従来技術のコーティング1の微細構造は、互いに直接重なる2つの層10、20を主に含み、その一方は、ランダムに分散された銀粒子11および埋め込まれた黒鉛微粒子12を示す最外面層10である。黒鉛微粒子12は、層10および/またはコーティング1内でランダムに配向されている。
【0046】
図1Aの他方の層20は、基材100に隣接し、最外層10に直接接触する接着層である。細粒層20は、接着層として機能し、銀粒子21および/またはニッケル粒子および/またはCu粒子から構成される。2つの層10、20は、基材界面101に沿って基材界面101に対して実質的に平行に広がる。
【0047】
この従来技術の例のみでなく、本発明のいずれかのコーティング1との組合せにおいても、Cuフラッシュを層20の下および基材界面101の上に配置することができる。
【0048】
黒鉛微粒子12が、最外面細粒層10の表面まで到達しており、取扱いおよび組立て中に、コーティング1の表面が閉じないことおよび黒色フィンガ/トレイ効果の原因となる可能性があることが見て取れる。従来技術によるコーティング1は粗く、「閉じていない」。
【0049】
図1Bは、EBSD分析画像における従来技術によるコーティング1を示し、元の顕微鏡画像の色は、グレースケールに変換されている。色がないにもかかわらず、最外面層10のコーティングが、0.5超~10マイクロメートルのサイズの複数の微結晶銀粒子11と、黒鉛微粒子12とを主に含むことが見て取れる。
【0050】
最外面層10の真下および基材界面101の真上で基材界面101に沿って広がる細粒層20は、ナノ結晶銀粒子21のサイズ、すなわち1または0.5マイクロメートル未満の平均粒径を有するサイズを示す。
【0051】
言い換えると、従来技術は、最外面層10と細粒接着層20とから構成されている。最外面層10は、微結晶粒子(銀粒子11)および黒鉛微粒子12を示し、最外面層10は、細粒層20の真上に位置する。細粒層20は、ナノ結晶銀粒子21から構成されている。細粒層20には、黒鉛微粒子が埋め込まれていない/共蒸着されていない(したがって、参照符号が記入されていなくてよい)。
【0052】
図2A図2Bは、基材100の表面101のコーティング1を示し、コーティング1は、EVバッテリを充電するための自動車用プラグ接続部において電流を伝達するように設計されている。コーティング1は、表面101に対して実質的に平行に広がる、異なる微細構造および性能の層10、20、30を有する。コーティング1を、機械的衝撃(mechanical impact)による電着を使用して形成することができ、機械的衝撃は、電着プロセス中に黒鉛微粒子12、22、32を粉砕するように機能することができる。
【0053】
従来技術と比較して、好ましくは基材に直接蒸着された追加の層、例えば接着層および/またはCuフラッシュを設けることもできる。
【0054】
図2A図2Bにおいて、少なくとも部分的に、1000ナノメートル未満および300ナノメートル超の平均粒径を有するナノ結晶粒径を示す銀粒子11を含む、少なくとも1つの最外面細粒層10があり、この最外面細粒層10は、埋め込まれた黒鉛微粒子12をさらに含む。黒鉛微粒子12は、少なくとも1000ナノメートル未満、特に250ナノメートル未満の平均サイズなどのナノスケールサイズを有する。黒鉛微粒子12は、少なくとも実質的に層10および表面101に沿って広がる。
【0055】
コーティング1は、いくつかの中間細粒層20を含み、これらの中間細粒層20は、ナノ結晶粒径、すなわち、1000ナノメートル未満および300ナノメートル超の平均粒径を示す銀粒子21と、埋め込まれた黒鉛微粒子22とを含み、これらの粒子はすべて、基材100の表面101に対して平行に配向されている。黒鉛微粒子22は、少なくとも1000ナノメートル未満、特に250ナノメートル未満の平均サイズなどのナノスケールサイズを有する。黒鉛微粒子22は、少なくとも実質的に層20および表面101に沿って広がる。
【0056】
さらに、図2A図2Bのコーティング1は、いくつかの粗粒領域および/または粗粒層30を含み、これらは、他の層10、20のうちの少なくとも一方に隣接して位置し、平均して、ここでは細粒層20および/または最外面細粒層10の粒径よりも少なくとも1桁大きい粒径を示す銀粒子31(概ね、いくつかの埋め込まれた黒鉛微粒子32の存在の間の銀粒子31)を主に含む。粗粒層30の銀粒子31は、中間細粒層20を埋め込むマトリックスとして機能し、それに続いて、粗い銀粒子31よりも高い硬度および低い延性を有する最外面細粒層10、20がある。図2Aは、ぼやけた境界を通して識別される測定アーチファクトAを示すことに留意されたい。
【0057】
原則として、黒鉛微粒子12、黒鉛微粒子22、および黒鉛微粒子32は、特に結晶構造に関して同じ黒鉛微粒子または少なくとも同様の黒鉛微粒子であってもよい。しかしながら、黒鉛微粒子12、22、32は、サイズが異なる黒鉛微粒子であってもよい。
【0058】
ここでは、黒鉛微粒子12は最外面細粒層10に対応し、黒鉛微粒子22は細粒層20に対応し、黒鉛微粒子32は粗粒層30に対応する。したがって、既知のコーティングプロセスによるプロセスの不確実性により層10、20、30を明瞭に区別できない場合、個々の黒鉛微粒子12、22、32の対応が異なることがある。銀粒子11、21、31に関して同様に、実質的に同じことが当てはまり、銀粒子11、21はそれぞれ、細粒層10または細粒層20に対応し、30のような銀粒子は粗粒層30にそれぞれ属するが、明瞭に区別できない層10、20、30によってのみ、前述した問題が生じる。
【0059】
図2A図2Bにおいて、最外面細粒層10は、異なる厚さで表面全体を覆い、厚い部分は、少なくとも10%の面積率を有し、図示の断面は、この面積率の値についてのみ評価される。細粒層のより大きい膜厚を有する面積率は、他の位置で異なっていてもよく、特により大きくてもよい。
【0060】
黒鉛微粒子12、22、32の結晶構造は、すべての場合に(すなわち、最外面細粒層10、中間細粒層20、および粗粒層30において)六方晶系2Hである。さらに、例えば、層30、32のうちの2つが、基材界面101上に積み重ねられる。粗粒層30は、微結晶粒径、すなわち、少なくとも1マイクロメートル超および1000マイクロメートル未満、ここでは5マイクロメートル未満の銀粒子31の平均サイズを示す。
【0061】
従来技術のコーティング1(図1A図1B)と比較して、本発明によるコーティング1(図2A図2B)は、黒鉛微粒子12、22、32のサイズ、分散、および広がりが異なることが明らかである。本発明によれば、黒鉛微粒子12、22、32は、基材100の表面101に対して主に実質的に平行に広がる。本発明によれば、最外面細粒層10および細粒層20の銀粒子11、21のサイズは、図1A図1Bの従来技術と比較して、平均して小さい。銀粒子11、21、31全体は、従来技術(図1A図1B)におけるランダムに広がった/成長したエピタキシャルである銀粒子11、21とは対照的に、かなり層状である(図2A図2B)。
本発明によれば、従来技術と比較して、黒鉛微粒子12、22、32の含有量が異なり(特に、より小さい)、表面粗さの値、例えばRa値またはRz値がより小さい(コーティング1の表面がより平滑である)。
【0062】
図3A図3Cは、本発明によるコーティング1が施された基材100を有する、自動車用プラグ接続部において使用するための充電コンタクトの、FIBカットのSEMで見られるコーティングの断面を示す。コーティング1は、基材100の表面101に対して実質的に平行に広がる異なる微細構造の層10、20、30を有する。表面/界面101は、図3A図3Cには示されていないが、図3A図3Cの下縁部または上縁部に対して実質的に平行に広がる。
【0063】
図3Aおよび図3Bに最も良く見られるように、ナノスケールサイズを示す黒鉛微粒子22を含み、ナノ結晶粒径を示す銀粒子21を含む細粒層20があり、細粒層20に隣接して、概ね銀粒子31(ここでも、図2A図2Bと同様に、いくつかの黒鉛微粒子32の間の銀粒子31)のみを含む粗粒層30があり、銀粒子31は、平均して細粒層20のサイズよりも大きい銀粒子31のサイズを示し、特に微結晶粒径(粒径>1μm)を示す。加えて、ナノ結晶粒径(特に300nm<粒径<1000nm)を示す銀粒子11を含み、ナノスケールサイズ(特に1nm<サイズ<250nm)を示す黒鉛微粒子12を含む最外面細粒層10がある。ここでは、最外面細粒層10は、少なくとも実質的に75%超の面積率で、特に少なくとも概ね完全に、コーティングを覆う。
【0064】
黒鉛微粒子12、22、32の結晶構造は、特に六方晶系2Hである。
【0065】
概して、層10、20、30のうちの少なくとも2つが、表面101上に積み重ねられる。
【0066】
コーティング1は、銅もしくは銅合金、AlもしくはAl合金から形成された基材100に設けられ、コーティング1と基材100とは、少なくとも実質的に充電コンタクトを形成する。コンタクトは、表面101の下の図示しない水平軸に沿って、少なくとも部分的に回転対称または平坦である。
【0067】
充電コンタクトを備える自動車用プラグ接続部は図示されないが、接続部はハウジングを備えることができ、このハウジングは、コンタクトを保持し、かつ/またはポリマー/樹脂から形成され、特に金属からなるシールドを有し、または有しておらず、特別な場合に接続部を冷却するための追加の機構を有する。
【0068】
言い換えると、本発明、特に図2A図2Bおよび/または図3A図3Cによれば、
微結晶微細構造を特に示す(粗粒層30の)銀粒子31によって少なくとも部分的に取り囲まれた、より硬質なナノ結晶中間層(最外面細粒層10および細粒層20)があってよく、
特に埋め込まれた黒鉛微粒子12、22を含む、摩耗を低減させる、ナノ結晶境界硬化上面層(最外面細粒層10)および/または細粒層20があってよく、
摩耗を低減させる、正確に広がる(小さい)分散質微粒子(最外面細粒層10または細粒層20のそれぞれの黒鉛微粒子12、22)があってよく、
摩耗を低減させる、正確に広がる(小さい)分散質微粒子(粗粒層30の黒鉛微粒子32)があってもよいが、この効果は、最外面細粒層10または細粒層20のそれぞれの黒鉛微粒子12、22よりも低くてもよく、
黒色フィンガ/トレイ効果を避けるために、埋め込まれた黒鉛微粒子12、22、32(特に最外面細粒層10の黒鉛微粒子12)を含むコーティング1の平滑な、かつ/または閉じた表面(特に最外面細粒層10)があってよく、
基材100の表面101に対して実質的に平行な、表面101に対する特定の粒子の広がりおよび分散があってよく、
粗粒層30は、黒鉛微粒子32、特に他の層10、20の黒鉛微粒子12および/もしくは22よりも少ない黒鉛微粒子32を有し、かつ/または取り囲むことができ、ならびに/あるいは、
コーティング1は、最外面細粒層10、細粒層20、および粗粒層30の層状の組合せから完全に構成されるのではなく、層状の微細構造から構成されてもよい。この微細構造では、局所的に、そのような層10、20、30が、銀粒子11、21、31全体の間に識別され、かつ/または銀粒子11、21、31全体によって取り囲まれ、黒鉛微粒子12、22、32が、銀粒子11、21、31の間に、特に粗粒層30の粗い銀粒子31の間にも存在し、かつ/または銀粒子11、21、31によって取り囲まれていてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 コーティング
10 最外面細粒層
11 銀粒子、相
12 黒鉛微粒子
20 中間細粒層
21 銀粒子、相
22 黒鉛微粒子
23 微粒子、例えばPTFEおよび/または硫化モリブデン
30 粗粒層
31 銀粒子、相
32 黒鉛微粒子
100 基材
101 基材の表面
A アーチファクト
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
【手続補正書】
【提出日】2023-10-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材(100)の表面(101)のコーティング(1)であって、前記コーティング(1)は、EVバッテリを充電するための自動車用プラグ接続部において電流を伝達するように設計され、前記表面(101)に対して平行に広がる、異なる微細構造および性能の層(10、20、30)を有し、
-ナノ結晶粒径、すなわち1000ナノメートル未満であり、かつ300ナノメートル超の平均粒径を示す銀粒子(21)、および黒鉛微粒子(22)を含む少なくとも1つの中間細粒層(20)と、
-前記細粒層(20)に隣接して位置し、前記細粒層(20)における粒径よりも平均して大きい粒径を示す銀粒子(31)を主に含む少なくとも1つの粗粒層(30)と
を含む、コーティング(1)。
【請求項2】
前記粗粒層(30)は、前記銀粒子(31)のみを含むことを特徴とする、請求項1に記載のコーティング(1)。
【請求項3】
-銀粒子(11)を含む少なくとも1つの最外面細粒層(10)をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のコーティング(1)。
【請求項4】
前記最外面細粒層(10)は、ナノ結晶粒径、すなわち1000ナノメートル未満の平均粒径を示すことを特徴とする、請求項に記載のコーティング(1)。
【請求項5】
前記最外面細粒層(10)は、ナノ結晶粒径、すなわち300ナノメートル超の平均粒径を示すことを特徴とする、請求項3または4に記載のコーティング(1)。
【請求項6】
前記最外面細粒層(10)は黒鉛微粒子(12)を含むことを特徴とする、請求項に記載のコーティング(1)。
【請求項7】
前記最外面細粒層(10)は、1%以上の面積率で、前記表面(101)を覆うことを特徴とする、請求項3に記載のコーティング(1)。
【請求項8】
前記黒鉛微粒子(12、22)は、前記細粒層において、ナノスケールサイズ、すなわち1000ナノメートル未満の平均サイズを有することを特徴とする、請求項1に記載のコーティング(1)。
【請求項9】
前記黒鉛微粒子(12、22)は、前記細粒層において、ナノスケールサイズ、すなわち250ナノメートル未満の平均サイズを有することを特徴とする、請求項1または8に記載のコーティング(1)。
【請求項10】
前記黒鉛微粒子(12、22)は、前記層(10、20)に沿って、および/または、前記表面(101)に対して平行に広がることを特徴とする、請求項1または6に記載のコーティング(1)。
【請求項11】
前記黒鉛微粒子(12、22)の結晶構造は、六方晶系黒鉛2Hであることを特徴とする、請求項1または6に記載のコーティング(1)。
【請求項12】
記表面(101)の一部に沿って、前記層(10、20、30)のうちの2つが前記表面(101)上に積み重ねられていることを特徴とする、請求項1に記載のコーティング(1)。
【請求項13】
前記粗粒層(30)は、微結晶粒径、すなわち1マイクロメートル超および1000マイクロメートル未満の平均粒径を示すことを特徴とする、請求項1に記載のコーティング(1)。
【請求項14】
前記粗粒層(30)は、微結晶粒径、すなわち5マイクロメートル未満の平均粒径を示すことを特徴とする、請求項1または13に記載のコーティング(1)。
【請求項15】
前記粗粒層(30)の下で、Ag、Ni、Pd、Fe、Sn、および/またはCuフラッシュからなる接着層が、前記基材(100)の前記表面(101)に、直接蒸着されていることを特徴とする、請求項1に記載のコーティング(1)。
【請求項16】
前記粗粒層(30)は、前記異なる微細構造および性能の層(10、20、30)のうち前記表面(101)の最も近くに位置することを特徴とする、請求項15に記載のコーティング(1)。
【請求項17】
基材(100)の表面(101)のコーティング(1)であって、前記コーティング(1)は、EVバッテリを充電するための自動車用プラグ接続部において電流を伝達するように設計され、前記表面(101)に対して平行に広がる、異なる微細構造および性能の層(10、20、30)を有し、
-ナノ結晶粒径、すなわち1000ナノメートル未満であり、かつ300ナノメートル超の平均粒径を示す銀粒子(21)、ならびに、ナノダイヤモンド、鉛(Pb)、モリブデン(Mo)、硫化モリブデン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、CNT、グラフェン、硫化銀、硫化タングステン、またはフッ化カルボニル(CFx)のうちの少なくとも1つを含む自己潤滑性微粒子(23)を含み、前記自己潤滑性微粒子(23)は黒鉛微粒子(22)である、少なくとも1つの細粒層(20)と、
-前記細粒層(20)に隣接して位置し、黒鉛などのより大きい自己潤滑性微粒子をより少なく含むとともに、前記細粒層(20)における粒径よりも平均して大きい粒径を示す銀粒子(31)を主に含む、少なくとも1つの粗粒層(30)と
を含む、コーティング(1)。
【請求項18】
前記粗粒層(30)は、前記銀粒子(31)のみを含むことを特徴とする、請求項17に記載のコーティング(1)。
【請求項19】
充電コネクタであって、充電口および/または充電ガンを備える自動車用プラグ接続部において使用するための充電コンタクトが設けられ、前記充電コンタクトは、請求項1に記載のコーティング(1)が施された基材(100)を有する、充電コネクタ。
【請求項20】
前記充電コンタクトの前記基材(100)は、銅もしくは銅合金、AlもしくはAl合金を少なくとも主に含み、かつ/または、少なくとも部分的に回転対称もしくは平坦であり、打抜きもしくは機械加工されていることを特徴とする、請求項19に記載の充電コネクタ
【請求項21】
請求項19に記載の充電コネクタの少なくとも1つの充電コンタクトを用いてEVバッテリを充電するための、充電口および/または充電ガンを備える自動車用充電接続部。
【請求項22】
ハウジングが前記コンタクトを保持し、特に前記ハウジングはポリマーから形成されていることを特徴とする、請求項19に記載の充電コネクタ。
【請求項23】
追加のハウジング、ならびに/または追加の能動的および/もしくは受動的冷却要素が、前記コネクタまたはバスバーまたはケーブルに直接連結されていることを特徴とする、請求項19または22に記載の充電コネクタ。
【外国語明細書】