(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031952
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】回転運動を検出するための誘導式センサ装置
(51)【国際特許分類】
G01D 5/20 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
G01D5/20 K
G01D5/20 110F
G01D5/20 110H
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023136236
(22)【出願日】2023-08-24
(31)【優先権主張番号】10 2022 208 799.2
(32)【優先日】2022-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン クンツ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル クラインクネヒト
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077AA46
2F077CC02
2F077FF03
2F077FF16
2F077FF39
2F077JJ01
2F077JJ06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】回転軸線中心に回転可能な結合装置と、測定値検出装置を備えた誘導式センサ装置に関する。
【解決手段】測定値検出装置10は励起構造体12と受信構造体14を備えた複層の回路支持体7を含み受信構造体は結合装置5に対応付け、励起構造体は発振器回路28に結合され、発振器回路は動作中周期的な交番信号を励起構造体に入力し、結合装置は励起構造体と対応する受信構造体間の誘導結合に影響を及ぼすよう構成され、伝達装置30が回転軸線DA中心に回転可能な本体3回転運動を所定伝達比で第1の結合装置へと同軸上伝達するよう構成され、第1の結合装置は回転軸線中心に回転可能な本体と異なる回転数で回転し、受信構造体14は有意重なり合うことなく回路支持体上に同心状配置され、評価・制御ユニット20が受信構造体に誘導された信号を評価するよう構成され、受信構造体は信号を本体回転運動に関する情報を表す相異なる測定信号として供給する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸線(DA)を中心として回転可能な本体(3)の回転運動を検出するための誘導式センサ装置(1)であって、
前記誘導式センサ装置(1)は、前記回転軸線(DA)を中心として回転可能な少なくとも2つの結合装置(5)と、少なくとも1つの測定値検出装置(10)とを備え、
前記少なくとも1つの測定値検出装置(10)は、少なくとも1つの励起構造体(12)と、少なくとも2つの受信構造体(14)とを備えた複層の回路支持体(7)を含み、
前記少なくとも2つの受信構造体(14)は、前記少なくとも2つの結合装置(5)のうちの1つにそれぞれ対応付けられており、
前記少なくとも1つの励起構造体(12)は、少なくとも1つの発振器回路(26)に結合されており、
前記少なくとも1つの発振器回路(26)は、動作中、少なくとも1つの周期的な交番信号(WS1,WS2)を前記少なくとも1つの励起構造体(12)に入力し、
前記少なくとも2つの結合装置(5)は、前記少なくとも1つの励起構造体(12)と、対応する前記受信構造体(14)との間の誘導結合にそれぞれ影響を及ぼすように構成されており、
少なくとも1つの伝達装置(30)が、前記回転軸線(DA)を中心とした前記回転可能な本体(3)の回転運動を、所定の伝達比で、前記少なくとも2つの結合装置(5)のうちの少なくとも1つの第1の結合装置(5A1,5A2)へと同軸上で伝達するように構成されており、
これにより、少なくとも前記第1の結合装置(5A1,5A2)は、前記回転軸線(DA)を中心として、前記回転可能な本体(3)とは異なる回転数で回転し、
前記少なくとも2つの受信構造体(14)のうちの少なくとも2つの受信構造体(14)は、有意に重なり合うことなく前記回路支持体(7)上に同心状に配置されており、
少なくとも1つの評価・制御ユニット(20)が、前記少なくとも2つの受信構造体(14)において誘導された信号を評価するように構成されており、
前記少なくとも2つの受信構造体(14)は、前記信号を、前記本体(3)の前記回転運動に関する情報を表す少なくとも2つの相異なる測定信号(MS1,MS2,MS3)として供給する、
誘導式センサ装置(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの励起構造体(12)と、前記少なくとも2つの受信構造体(14)とは、同心状に配置されている、
請求項1に記載の誘導式センサ装置(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの励起構造体(12)と、前記少なくとも2つの受信構造体(14)とは、有意に重なり合うことなく前記回路支持体(7)上に同心状に配置されている、
請求項2に記載の誘導式センサ装置(1)。
【請求項4】
前記第1の結合装置(5A1,5A2)に対応付けられた少なくとも1つの第1の受信構造体(14A)が、前記少なくとも1つの励起構造体(12)の半径方向外側に配置されており、
少なくとも1つのさらなる受信構造体(14B,14C)が、前記少なくとも1つの励起構造体(12)の半径方向内側で、前記回路支持体(7)上に配置されている、
請求項3に記載の誘導式センサ装置(1)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの伝達装置(30)は、遊星歯車伝動装置(30A)又は歯車システムとして構成されている、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の誘導式センサ装置(1)。
【請求項6】
前記少なくとも2つの結合装置(5)は、所定数の導電性の結合セグメント(5.1)をそれぞれ有し、
前記所定数の導電性の結合セグメント(5.1)は、前記少なくとも2つの受信構造体(14)において誘導される信号の周期性を規定する、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の誘導式センサ装置(1)。
【請求項7】
前記第1の結合装置(5A1,5A2)は、歯付きディスクとして形成されていて、前記回路支持体(7)の第1の側(7.1)に面しており、
前記導電性の結合セグメント(5.1)は、歯として形成されていて、切欠部によって相互に分離されている、
請求項6に記載の誘導式センサ装置(1)。
【請求項8】
前記第1の結合装置(5A1,5A2)の前記導電性の結合セグメント(5.1)は、内側の短絡リング(5.2A)又は外側の短絡リング(5.2B)を介して相互に接続されている、
請求項7に記載の誘導式センサ装置(1)。
【請求項9】
前記第1の結合装置(5A1,5A2)の前記導電性の結合セグメント(5.1)に、少なくとも1つの半径方向スリットがそれぞれ導入されており、
前記少なくとも1つの半径方向スリットによって前記内側の短絡リング(5.2A)又は前記外側の短絡リング(5.2B)が分離されている、
請求項8に記載の誘導式センサ装置(1)。
【請求項10】
第2の結合装置(5B)及び第3の結合装置(5C)は、羽根として形成された導電性の結合セグメント(5.1)を備えたロータとしてそれぞれ構成されており、
2つの前記結合装置(5B,5C)の前記導電性の結合要素(5.1)の個数は、それぞれ異なっており、
前記第2の結合装置(5B)は、前記回路支持体(7)の第1の側(7.1)に面しており、前記第3の結合装置(5C)は、前記回路支持体(7)の第2の側(7.2)に面している、
請求項6乃至9のいずれか一項に記載の誘導式センサ装置(1)。
【請求項11】
2つの前記結合装置(5B,5C)に対応付けられた前記受信構造体(14B,14C)は、前記回路支持体(7)の複数の異なる層に配置されており、少なくとも部分的に重なり合っている、
請求項10に記載の誘導式センサ装置(1)。
【請求項12】
前記少なくとも2つの受信構造体(14)は、周期的に反復するループ構造体を備えた少なくとも1つの受信コイルをそれぞれ有する、
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の誘導式センサ装置(1)。
【請求項13】
前記少なくとも2つの受信構造体(14)のそれぞれ1つの第1の受信コイルが、正弦チャネルを形成し、
前記少なくとも2つの受信構造体(14)のそれぞれ1つの第2の受信コイルが、余弦チャネルを形成し、
前記少なくとも2つの測定信号(MS1,MS2,MS3)は、前記正弦チャネルの信号と、前記余弦チャネルの信号とをそれぞれ含み、
前記少なくとも1つの評価・制御ユニットは、前記本体(3)の前記回転運動の対応する情報を逆正接関数によって決定するように構成されている、
請求項12に記載の誘導式センサ装置(1)。
【請求項14】
前記少なくとも2つの受信構造体(14)は、周期的に反復するループ構造体を備えた少なくとも3つの受信コイルをそれぞれ有し、前記少なくとも3つの受信コイルは、1つの多相システムを形成し、
前記少なくとも1つの評価・制御ユニット(20)は、前記多相システムの信号の適当な位相変換を実施し、それぞれの前記測定信号(MS1,MS2,MS3)を逆正接関数によって決定するように構成されている、
請求項12に記載の誘導式センサ装置(1)。
【請求項15】
前記少なくとも1つの評価・制御ユニット(20)は、前記回転可能な本体(3)の第1の区分と前記回転可能な本体(3)の第2の区分との間の差分角度、及び/又は、前記回転可能な本体(3)の絶対回転角度を、前記少なくとも2つの相異なる測定信号(MS1,MS2,MS3)から特定するように構成されている、
請求項1乃至14のいずれか一項に記載の誘導式センサ装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸線を中心として回転可能な本体の回転運動を検出するための誘導式センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術から、複数回の完全な機械的回転を介して一義的となる操舵角度の絶対角度を、少なくとも2つの個別角度からバーニヤ計算を用いて計算することが知られている。この場合、少なくとも1つの角度は、機械的に減少する。このことはつまり、個別角度は、シャフトの機械的な一回転と共に360度未満しか回転しないということを意味する。多くの場合、このことは、磁気センサを用いて実現される。したがって、独国特許出願公開第102010063845号明細書からは、例えば、自動車におけるステアリングコラムといった回転可能な本体の回転角度を特定するための磁気式の角度センサと、この角度センサにおいて使用可能な歯車とが公知である。歯車によって形成された磁界を、その配向について磁界センサによって検出することが望ましい。この場合、シャフト上に主歯車が設けられており、この主歯車の回転運動を検出することが望ましく、このシャフトの隣には、半径方向にずらされた回転軸線上に、少なくとも1つのさらなる歯車が設けられている。
【0003】
独国特許出願公開第102020205202号明細書からは、誘導式の角度測定装置が公知であり、誘導式の角度測定装置は、複数の導体路群を備えたスケール要素と、走査要素とを有し、走査要素は、励起トラックと、少なくとも2つの受信導体路を備えた受信トラックとを有し、受信導体路は、正弦波形の軌道を有する。走査要素は、複層のプリント基板として構成されており、スケール要素の走査のために使用される。走査要素は、4つの受信導体路を備えた外側の受信トラックと、4つの受信導体路を備えた内側の受信トラックと、3つの励起トラックとを有する。外側の受信トラックの受信導体路は、半径方向で外側の励起トラックと中央の励起トラックとの間に配置されている。内側の受信トラックの受信導体路は、中央の励起トラックと内側の励起トラックとの間に配置されている。さらに、これらの受信導体路は、スルーホールコンタクトを備えたそれぞれ異なる平面上に延在している。受信導体路同士は、測定方向に沿って相互に相対的にずらされている。スケール要素は、例えばエポキシ樹脂から製造された基板からなり、この基板上における外側の目盛トラックには、外側の受信トラックに対応付けられた第1の導体路及び第2の導体路が配置されている。さらに、スケール要素は、導電性の目盛領域を有する内側の目盛トラックを含み、これらの導電性の目盛領域の間には導電性の材料は配置されていない。走査要素とスケール要素とは、所定の間隔を置いて相対運動可能に相互に対向するように配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第102010063845号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102020205202号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の開示
独立請求項1の特徴を有する、回転軸線を中心として回転可能な本体の回転運動を検出するための誘導式センサ装置は、回転軸線を中心とした回転可能な本体の回転運動を、所定の伝達比で、複数の結合装置のうちの少なくとも1つへと同軸上で伝達することにより、本体の複数回の回転を介した回転角度のバーニヤ計算が可能となるという利点を有する。これにより、回転可能な本体の回転軸線と、少なくとも1つの結合装置とを半径方向にずらすことを回避することが可能となり、構造スペースを節約することが可能となる。さらに、少なくとも2つの受信構造体を同心状に配置することにより、センサ装置の構造スペースをより最適に利用し尽くすことが可能となり、又は、これに代えて、構造スペースを節約することさえ可能となる。このことは、特に本発明に係る誘導式センサ装置の実施形態によって可能となる。なぜなら、誘導式センサ装置の少なくとも1つの結合装置は、磁気式のセンサ装置のための典型的な磁石と比較して内側が中空であるものとしてよく、これにより、その回転運動が検出されるべき回転可能な本体について貫通させることが可能となるからである。
【0006】
特に、誘導式センサ装置の少なくとも1つの電子的な評価・制御ユニットにおいては、磁気式又は混合式のセンサ装置と比較して、コストを大幅に削減することが可能である。なぜなら、絶対回転角度を特定するために追加的に使用される信号は、同一の回路によって処理され、したがって、多重化を、少なくとも1つの評価・制御ユニットのアナログの部分において実施することができるからである。したがって、例えば、2つの測定信号から角度を計算するために、回路ブロックを2つの評価・制御ユニットに何度も組み込む必要がなくなる。
【0007】
さらに、誘導式の測定を使用することによってコスト的な利点が得られる。なぜなら、既に従来技術から公知のASICモジュール(ASIC:特定用途向け集積回路)において同様の測定原理が使用されており、このASICモジュールを、本発明に係る誘導式センサ装置の実施形態における評価・制御ユニットとして使用することができるからである。さらに、バーニヤ操舵角度の計算と、有効なトルクの計算とを、同一のASICモジュールにおいて実現することが可能であり、このことにより、対応する制御装置における複雑さが軽減され、制御装置における線路及び通信インタフェースの個数が削減される。
【0008】
本発明の実施形態は、回転軸線を中心として回転可能な本体の回転運動を検出するための誘導式センサ装置であって、誘導式センサ装置は、回転軸線を中心として回転可能な少なくとも2つの結合装置と、少なくとも1つの測定値検出装置とを備え、少なくとも1つの測定値検出装置は、少なくとも1つの励起構造体と、少なくとも2つの受信構造体とを備えた複層の回路支持体を含み、少なくとも2つの受信構造体は、少なくとも2つの結合装置のうちの1つにそれぞれ対応付けられている、誘導式センサ装置を提供する。少なくとも1つの励起構造体は、少なくとも1つの発振器回路に結合されており、少なくとも1つの発振器回路は、動作中、少なくとも1つの周期的な交番信号を少なくとも1つの励起構造体に入力する。少なくとも2つの結合装置は、少なくとも1つの励起構造体と、対応する受信構造体との間の誘導結合にそれぞれ影響を及ぼすように構成されている。少なくとも1つの伝達装置が、回転軸線を中心とした回転可能な本体の回転運動を、所定の伝達比で、少なくとも2つの結合装置のうちの少なくとも1つの第1の結合装置へと同軸上で伝達するように構成されており、これにより、少なくとも第1の結合装置は、回転軸線を中心として、回転可能な本体とは異なる回転数で回転する。この場合、少なくとも2つの受信構造体のうちの少なくとも2つの受信構造体は、有意に重なり合うことなく回路支持体上に同心状に配置されている。少なくとも1つの評価・制御ユニットが、少なくとも2つの受信構造体において誘導された信号を評価するように構成されており、少なくとも2つの受信構造体は、信号を、本体の回転運動に関する情報を表す少なくとも2つの相異なる測定信号として供給する。
【0009】
本発明に係る誘導式センサ装置の実施形態は、原則的に、360度を超える全ての種類の角度測定のために使用可能である。バーニヤの計算のためには、回転可能な本体上に直接的に取り付けられた結合装置によって測定される、又は、さらなる伝達装置上に取り付けられたさらなる結合装置と、対応する受信構造体とによって測定される第2の角度情報が必要である。回転可能な本体上に直接的に配置されている場合には、結合装置の回転数は、回転可能な本体の回転数に対して減速又は変速されない。代替的に、さらなる伝達装置上に配置されている場合には、さらなる結合装置の回転数は、回転可能な本体の回転数に対して減速又は変速され、この場合、使用される伝達装置の伝達比は、相互に異なっている。特に、誘導式の操舵角度センサとトルクセンサとが組み合わせられている場合には、合計して少なくとも3つの結合装置及び受信構造体を使用することができ、この場合、トルク測定のための2つの結合装置を、回転運動可能な本体上に直接的に配置することができ、1つの結合装置を、伝達装置上に配置することができる。
【0010】
代替的に、結合装置が機械的に減速又は変速されることによって、操舵角度決定のために2つのみの結合装置及び2つのみの受信構造体を備えた本発明に係る誘導式センサ装置の実施形態を実現することができる。この場合、2つの受信構造体は、有意に重なり合うことなく同心状に配置されている。
【0011】
本明細書における評価・制御ユニットとは、検出されたセンサ信号を処理又は加工又は評価する電気的なアセンブリ又は電気回路であると理解することができる。好ましくは、評価・制御ユニットを、ASICモジュール(ASIC:特定用途向け集積回路)として構成することができる。評価・制御ユニットは、ハードウェア及び/又はソフトウェアによって構成し得る少なくとも1つのインタフェースを有し得る。ハードウェアによって構成されている場合には、インタフェースは、例えばASICモジュールの一部とすることができる。しかしながら、インタフェースは、別個の集積回路とすることも、又は、少なくとも部分的にディスクリート(個別)部品から構成することも、可能である。ソフトウェアによって構成されている場合には、インタフェースを、例えば、その他のソフトウェアモジュールに隣接してマイクロコントローラ上に設けられたソフトウェアモジュールとすることができる。
【0012】
励起構造体とは、以下においては、少なくとも1つの発振器回路によって入力された交番信号を送出する、所定の巻線数を備えた送信コイルであると理解することができる。少なくとも1つの受信構造体は、好ましくは、周期的に反復するループ構造体を備えた少なくとも1つの受信コイルを有し得る。この場合、受信コイルのループ構造体の周期性は、複数の異なる受信構造体においてそれぞれ異なっている。
【0013】
従属請求項に記載されている手段及び発展形態によって、独立請求項1に記載されている誘導式センサ装置を有利に改良することが可能である。
【0014】
少なくとも1つの励起構造体と、少なくとも2つの受信構造体とを、同心状に配置することができることは、特に有利である。好ましくは、少なくとも1つの励起構造体と、少なくとも2つの受信構造体とを、有意に重なり合うことなく回路支持体上に同心状に配置することができる。したがって、例えば、第1の結合装置に対応付けられた少なくとも1つの第1の受信構造体を、少なくとも1つの励起構造体の半径方向外側に配置することができ、少なくとも1つのさらなる受信構造体を、少なくとも1つの励起構造体の半径方向内側で、回路支持体上に配置することができる。これにより、省スペースの配置が可能となり、それと同時にEMCロバスト性(EMC:電磁両立性)も改善される。
【0015】
誘導式センサ装置の有利な実施形態においては、少なくとも1つの伝達装置を、遊星歯車伝動装置として構成することができる。遊星歯車伝動装置として構成することにより、少なくとも1つの結合装置に対する回転可能な本体の回転又は回転運動の簡単な同軸上での減速若しくは同軸上での変速が可能となり、これにより、減速又は変速された回転角度を、誘導式センサ装置を用いて簡単に測定することが可能となる。代替的に、少なくとも1つの伝達装置を、歯車システム又は歯車伝動装置として構成するものとしてもよい。
【0016】
誘導式センサ装置のさらなる有利な実施形態においては、少なくとも2つの結合装置は、所定数の導電性の結合セグメントをそれぞれ有し得るものであり、所定数の導電性の結合セグメントは、少なくとも2つの受信構造体において誘導される信号の周期性を規定する。
【0017】
誘導式センサ装置のさらなる有利な実施形態においては、第1の結合装置は、歯付きディスクとして形成可能であり、回路支持体の第1の側に面するものとし得る。この場合、導電性の結合セグメントを、歯として形成することができ、切欠部によって相互に分離することができる。さらに、第1の結合装置の導電性の結合セグメントを、内側の短絡リング又は外側の短絡リングを介して相互に接続することができる。このために、歯付きディスクを、例えば、金属薄板からの打ち抜きによって製造することができる。
【0018】
誘導式センサ装置のさらなる有利な実施形態においては、第1の結合装置の導電性の結合セグメントに、少なくとも1つの半径方向スリットをそれぞれ導入することができ、少なくとも1つの半径方向スリットによって内側の短絡リング又は外側の短絡リングが分離されている。第1の結合装置の短絡リングに流れる渦電流は、誘導式センサ装置の対応する受信構造体における誘導された有効振幅に寄与せず、利用可能な振幅を低減するので、導電性の結合セグメントに導入された少なくとも1つの半径方向スリットは、短絡リングを分離し、流れる渦電流の向きを変化させることができる。これにより、利用可能な振幅に能動的に寄与する角度依存性の渦電流場がもたらされる。このことはつまり、誘導式の結合装置の少なくとも1つの導電性の結合セグメントにおける適当な半径方向スリットによって、対応する受信構造体において誘導される電圧の振幅を顕著に拡大することができるということを意味する。
【0019】
誘導式センサ装置のさらなる有利な実施形態においては、第2の結合装置及び第3の結合装置を、羽根として形成された導電性の結合セグメントを備えたロータとしてそれぞれ構成することができる。この場合、2つの結合装置の導電性の結合セグメントの個数は、それぞれ異なっている。さらに、第2の結合装置は、回路支持体の第1の側に面しており、第3の結合装置は、回路支持体の第2の側に面している。このことはつまり、回路支持体が、第2の結合装置と第3の結合装置との間に配置されているということを意味する。したがって、2つの結合装置に対応付けられた受信構造体は、回路支持体の複数の異なる層に配置可能であり、少なくとも部分的に重なり合うことができる。
【0020】
誘導式センサ装置のさらなる有利な実施形態においては、少なくとも2つの受信構造体は、周期的に反復するループ構造体を備えた少なくとも1つの受信コイルをそれぞれ有し得る。この場合、少なくとも2つの受信構造体のそれぞれ1つの第1の受信コイルが、正弦チャネルを形成することができ、少なくとも2つの受信構造体のそれぞれ1つの第2の受信コイルが、余弦チャネルを形成することができる。少なくとも2つの測定信号は、正弦チャネルの信号と、余弦チャネルの信号とをそれぞれ含み、少なくとも1つの評価・制御ユニットは、本体の回転運動の対応する情報を逆正接関数によって決定するように構成されている。代替的に、少なくとも2つの受信構造体は、周期的に反復するループ構造体を備えた少なくとも3つの受信コイルをそれぞれ有し得るものであり、少なくとも3つの受信コイルが1つの多相システムを形成する。この場合、少なくとも1つの評価・制御ユニットは、多相システムの信号の適当な位相変換を実施し、それぞれの測定信号を逆正接関数によって決定するように構成されている。
【0021】
誘導式センサ装置のさらなる有利な実施形態においては、少なくとも1つの評価・制御ユニットは、回転可能な本体の第1の区分と回転可能な本体の第2の区分との間の差分角度、及び/又は、回転可能な本体の絶対回転角度を、少なくとも2つの相異なる測定信号から特定するように構成可能である。次いで、少なくとも1つの差分角度から、回転可能な本体に作用するトルクを計算することができる。
【0022】
本発明の実施例を図面に示し、以下の記載において、より詳細に説明する。図面においては、同一又は類似の機能を実施するコンポーネント又は要素には、同一の参照符号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に係る誘導式センサ装置の第1の実施例の概略図である。
【
図2】透明に図示された回路支持体を備えた、
図1の本発明に係るセンサ装置の概略平面図である。
【
図3】透明に図示された回路支持体を備えた、本発明に係るセンサ装置の第2の実施例の概略平面図である。
【
図4】
図1乃至
図3の本発明に係る誘導式センサ装置のための評価・制御ユニットの実施例の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
発明の実施形態
図1乃至
図4から見て取れるように、回転軸線DAを中心として回転可能な本体3の回転運動を検出するための本発明に係る誘導式センサ装置1,1A,1Bの図示の実施例は、回転軸線DAを中心として回転可能な少なくとも2つの結合装置5,5A1,5A2,5B,5Cと、少なくとも1つの測定値検出装置10とをそれぞれ含み、少なくとも1つの測定値検出装置10は、少なくとも1つの励起構造体12,12A,12Bと、少なくとも2つの受信構造体14,14A,14B,14Cとを備えた複層の回路支持体7を含み、少なくとも2つの受信構造体14,14A,14B,14Cは、少なくとも2つの結合装置5,5A1,5A2,5B,5Cのうちの1つにそれぞれ対応付けられている。少なくとも1つの励起構造体12,12A,12Bは、少なくとも1つの発振器回路28に結合されており、少なくとも1つの発振器回路28は、動作中、少なくとも1つの周期的な交番信号WS1,WS2を少なくとも1つの励起構造体12,12A,12Bに入力する。少なくとも2つの結合装置5,5A1,5A2,5B,5Cは、少なくとも1つの励起構造体12,12A,12Bと、対応する受信構造体14,14A,14B,14Cとの間の誘導結合にそれぞれ影響を及ぼす。少なくとも1つの伝達装置30が、回転軸線DAを中心とした回転可能な本体3の回転運動を、所定の伝達比で、少なくとも2つの結合装置5のうちの少なくとも1つの第1の結合装置5A1,5A2へと同軸上で伝達し、これにより、少なくとも第1の結合装置5A1,5A2は、回転軸線DAを中心として、回転可能な本体3とは異なる回転数で回転する。この場合、少なくとも2つの受信構造体14,14A,14B,14Cのうちの少なくとも2つの受信構造体14,14A,14B,14Cは、有意に重なり合うことなく回路支持体7上に同心状に配置されている。少なくとも1つの評価・制御ユニット20が、少なくとも2つの受信構造体14,14A,14B,14Cにおいて誘導された信号を評価し、少なくとも2つの受信構造体14,14A,14B,14Cは、これらの信号を、本体3の回転運動に関する情報を表す少なくとも2つの相異なる測定信号MS1,MS2,MS3として供給する。
【0025】
図1乃至
図3からさらに見て取れるように、図示の実施例における本発明に係る誘導式センサ装置1,1A,1Bは、3つの受信構造体14A,14B,14Cと、3つの結合装置5A1,5A2,5B,5Cと、評価・制御ユニット20と、をそれぞれ含む。この場合、第1の受信構造体14Aは、第1の結合装置5A1,5A2に対応付けられており、回路支持体7の第1の側7.1に、ここでは下側に配置されている。第2の受信構造体14Bは、第2の結合装置5Bに対応付けられており、同様に回路支持体7の第1の側7.1に配置されている。第3の受信構造体14Cは、第3の結合装置5Cに対応付けられており、回路支持体7の第2の側7.2に配置されている。
図1乃至
図3からさらに見て取れるように、第1の励起構造体12Aは、回路支持体7の第1の側7.1に配置されており、第1の結合装置5A1,5A2及び第2の結合装置5Bに面している。第2の励起構造体12Bは、回路支持体7の第2の側7.2に配置されており、第3の結合装置5Cに面している。したがって、回路支持体7の第1の側7.1は、第1の結合装置5A1,5A2及び第2の結合装置5Bに面しており、その一方で、回路支持体7の第2の側7.2は、第3の結合装置5Cに面している。さらに、第2の結合装置5B及び第3の結合装置5Cは、トーションバー3Aとして形成された回転可能な本体3に直接的に接続されている。このことはつまり、トーションバー3Aの回転運動が、第2の結合装置5B及び第3の結合装置5Cの回転運動に対応するということを意味する。第1の結合装置5A1,5A2は、伝達装置30を介してトーションバー3Aに接続されている。したがって、第1の結合装置5A1,5A2の回転運動は、伝達装置30の伝達比に依存して、トーションバー3Aとして形成された回転可能な本体3の回転運動に対して変速又は減速されている。
【0026】
図1乃至
図3からさらに見て取れるように、励起構造体12は、少なくとも1つの励起コイルをそれぞれ有する。図示の実施例における受信構造体14,14A,14B,14Cは、周期的に反復するループ構造体を備えた2つの受信コイルをそれぞれ有する。この場合、受信構造体14,14A,14B,14Cのそれぞれ1つの第1の受信コイルが、正弦チャネルを形成し、受信構造体14,14A,14B,14Cのそれぞれ1つの第2の受信コイルが、余弦チャネルを形成する。したがって、対応する測定信号MS1,MS2,MS3は、正弦チャネルの信号と、余弦チャネルの信号とをそれぞれ含む。評価・制御ユニットは、本体3の回転運動の対応する情報を逆正接関数によって決定する。個々の受信構造体14,14A,14B,14Cのループ構造体同士が交差することを回避するために、ループ構造体の複数の区分が、回路支持体7の複数の異なる層に配置されている。それぞれのループ構造体の個々の区分は、詳細には図示されていないスルーホールコンタクトを介して相互に電気的に接続されている。
【0027】
誘導式センサ装置1の図示されていない代替的な実施例においては、受信構造体14,14A,14B,14Cは、周期的に反復するループ構造体を備えた3つの受信コイルをそれぞれ有し、これらの3つの受信コイルが1つの多相システムを形成する。この場合、評価・制御ユニット20は、多相システムの信号の適当な位相変換を実施し、それぞれの測定信号MS1,MS2,MS3を逆正接関数によって決定する。
【0028】
図2及び
図3からさらに見て取れるように、第1の励起構造体12Aと、第1の受信構造体14A及び第2の受信構造体14Bとは、有意に重なり合うことなく回路支持体7の第1の側7.1に同心状に配置されている。この場合、第1の結合装置5A1,5A2に対応付けられた第1の受信構造体14Aは、第1の励起構造体12Aの半径方向外側に配置されている。第2の結合装置5Bに対応付けられた第2の受信構造体14Bは、第1の励起構造体12Aの半径方向内側に設けられている。さらに、第2の励起構造体12B及び第3の受信構造体14Cは、有意に重なり合うことなく回路支持体7の第2の側7.2に同心状に配置されている。この場合、第3の結合装置5Cに対応付けられた第3の受信構造体14Cは、第2の励起構造体12Bの半径方向内側に配置されている。
【0029】
図1乃至
図3からさらに見て取れるように、第2の結合装置5Bに対応付けられた第2の受信構造体14Bと、第3の結合装置5Cに対応付けられた第3の受信構造体14Cとは、回路支持体7の複数の異なる層に配置されており、少なくとも部分的に重なり合っている。
【0030】
図1乃至
図3からさらに見て取れるように、結合装置5,5A1,5A2,5B,5Cは、所定数の導電性の結合セグメント5.1,5.1A,5.1B,5.1Cをそれぞれ有し、これらの所定数の導電性の結合セグメント5.1,5.1A,5.1B,5.1Cは、受信構造体14,14A,14B,14Cにおいて誘導される信号の周期性を規定する。図示の実施例においては、第1の結合装置5A1,5A2は、一例として15個の導電性の結合セグメント5.1Aを有する。第2の結合装置5Bは、4つの導電性の結合セグメント5.1Bを有し、第3の結合装置5Cは、7つの導電性の結合セグメント5.1Cを有する。
【0031】
図1及び
図2からさらに見て取れるように、誘導式センサ装置1Aの図示の第1の実施例における第1の結合装置5A1は、歯付きディスクとして形成されており、回路支持体7の第1の側7.1に面している。導電性の結合セグメント5.1Aは、歯として形成されており、切欠部によって相互に分離されている。この場合、第1の結合装置5A1の導電性の結合セグメント5.1Aは、外側の短絡リング5.2Bを介して相互に接続されている。誘導式センサ装置1の図示されていない代替的な実施例においては、第1の結合装置5A1の導電性の結合セグメント5.1Aに、少なくとも1つの半径方向スリットがそれぞれ導入されており、この少なくとも1つの半径方向スリットによって外側の短絡リング5.2Bが分離されている。
【0032】
図3からさらに見て取れるように、誘導式センサ装置1Bの図示の第2の実施例における第1の結合装置5A2も同様に、歯付きディスクとして形成されており、回路支持体7の第1の側7.1に面している。第1の実施例とは異なり、誘導式センサ装置1Bの第2の実施例における歯として形成された導電性の結合セグメント5.1Aは、内側の短絡リング5.2Aを介して相互に接続されている。誘導式センサ装置1の図示されていない代替的な実施例においては、第1の結合装置5A2の導電性の結合セグメント5.1Aに、少なくとも1つの半径方向スリットがそれぞれ導入されており、この少なくとも1つの半径方向スリットによって内側の短絡リング5.2Aが分離されている。
【0033】
図1乃至
図3からさらに見て取れるように、第2の結合装置5B及び第3の結合装置5Cは、羽根として形成された導電性の結合セグメント5.1B,5.1Cを備えたロータとしてそれぞれ構成されており、2つの結合装置5B,5Cの導電性の結合セグメント5.1B,5.1Cの個数は、それぞれ異なっている。
【0034】
誘導式センサ装置1,1A,1Bの図示の実施例においては、伝達装置30は、遊星歯車伝動装置30Aとして構成されている。図示されていない代替的な実施例においては、伝達装置は、歯車システム又は歯車伝動装置として構成されている。
【0035】
図4からさらに見て取れるように、評価・制御ユニット20に配置された発振器回路28は、2つの周期的な交番信号WS1,WS2を生成する。この場合、図示の実施例においては、第1の交番信号WS1が、第1の励起構造体12Aに入力され、第2の交番信号WS2が、第2の励起構造体12Bに入力される。さらに、評価・制御ユニット20は、第1の受信構造体14Aから第1の測定信号を受信し、第2の受信構造体14Bから第2の測定信号MS2を受信し、第3の受信構造体14Cから第3の測定信号MS3を受信する。信号処理ブロック22は、測定信号MS1,MS2,MS3を多重化及び復調し、対応するアナログの回転角度信号DW1,DW2,DW3を生成し、これらのアナログの回転角度信号DW1,DW2,DW3は、アナログ/デジタル変換器24によって順次にデジタル化され、論理ブロック26に転送される。この場合、第1の回転角度信号DW1は、第1の測定信号MS1を表し、第2の回転角度信号DW2は、第2の測定信号MS2を表し、第3の回転角度信号DW3は、第3の測定信号MS3を表す。評価・制御ユニット20の論理ブロック26は、第1の回転角度信号DW1及び第2の回転角度信号DW2から、360度又は回転可能な本体3の一回転よりも大きい一意性範囲内にある回転可能な本体3の絶対回転角度を特定する。評価・制御ユニット20の論理ブロック26は、第2の回転角度信号DW2及び第3の回転角度信号DW3から、回転可能な本体3の第1の区分と回転可能な本体3の第2の区分との間の差分角度を特定する。この差分角度から、トーションバー3Aとして形成された回転可能な本体3に作用するトルクを特定することができる。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸線(DA)を中心として回転可能な本体(3)の回転運動を検出するための誘導式センサ装置(1)であって、
前記誘導式センサ装置(1)は、前記回転軸線(DA)を中心として回転可能な少なくとも2つの結合装置(5)と、少なくとも1つの測定値検出装置(10)とを備え、
前記少なくとも1つの測定値検出装置(10)は、少なくとも1つの励起構造体(12)と、少なくとも2つの受信構造体(14)とを備えた複層の回路支持体(7)を含み、
前記少なくとも2つの受信構造体(14)は、前記少なくとも2つの結合装置(5)のうちの1つにそれぞれ対応付けられており、
前記少なくとも1つの励起構造体(12)は、少なくとも1つの発振器回路(28)に結合されており、
前記少なくとも1つの発振器回路(28)は、動作中、少なくとも1つの周期的な交番信号(WS1,WS2)を前記少なくとも1つの励起構造体(12)に入力し、
前記少なくとも2つの結合装置(5)は、前記少なくとも1つの励起構造体(12)と、対応する前記受信構造体(14)との間の誘導結合にそれぞれ影響を及ぼすように構成されており、
少なくとも1つの伝達装置(30)が、前記回転軸線(DA)を中心とした前記回転可能な本体(3)の回転運動を、所定の伝達比で、前記少なくとも2つの結合装置(5)のうちの少なくとも1つの第1の結合装置(5A1,5A2)へと同軸上で伝達するように構成されており、
これにより、少なくとも前記第1の結合装置(5A1,5A2)は、前記回転軸線(DA)を中心として、前記回転可能な本体(3)とは異なる回転数で回転し、
前記少なくとも2つの受信構造体(14)のうちの少なくとも2つの受信構造体(14)は、前記回路支持体(7)上に同心状に配置されており、
少なくとも1つの評価・制御ユニット(20)が、前記少なくとも2つの受信構造体(14)において誘導された信号を評価するように構成されており、
前記少なくとも2つの受信構造体(14)は、前記信号を、前記本体(3)の前記回転運動に関する情報を表す少なくとも2つの相異なる測定信号(MS1,MS2,MS3)として供給する、
誘導式センサ装置(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの励起構造体(12)と、前記少なくとも2つの受信構造体(14)とは、同心状に配置されている、
請求項1に記載の誘導式センサ装置(1)。
【請求項3】
前記少なくとも2つの受信構造体(14)のうちの少なくとも2つの受信構造体(14)は、有意に重なり合うことなく前記回路支持体(7)上に同心状に配置されている、
請求項1に記載の誘導式センサ装置(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの励起構造体(12)と、前記少なくとも2つの受信構造体(14)とは、前記回路支持体(7)上に同心状に配置されている、
請求項2に記載の誘導式センサ装置(1)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの励起構造体(12)と、前記少なくとも2つの受信構造体(14)とは、有意に重なり合うことなく前記回路支持体(7)上に同心状に配置されている、
請求項4に記載の誘導式センサ装置(1)。
【請求項6】
前記少なくとも2つの受信構造体(14)のうちの、前記第1の結合装置(5A1,5A2)に対応付けられた少なくとも1つの第1の受信構造体(14A)が、前記少なくとも1つの励起構造体(12)の半径方向外側に配置されており、
前記少なくとも2つの受信構造体(14)としての少なくとも1つのさらなる受信構造体(14B,14C)が、前記少なくとも1つの励起構造体(12)の半径方向内側で、前記回路支持体(7)上に配置されている、
請求項4に記載の誘導式センサ装置(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの伝達装置(30)は、遊星歯車伝動装置(30A)又は歯車システムとして構成されている、
請求項1に記載の誘導式センサ装置(1)。
【請求項8】
前記少なくとも2つの結合装置(5)は、所定数の導電性の結合セグメント(5.1)をそれぞれ有し、
前記所定数の導電性の結合セグメント(5.1)は、前記少なくとも2つの受信構造体(14)において誘導される信号の周期性を規定する、
請求項1に記載の誘導式センサ装置(1)。
【請求項9】
前記第1の結合装置(5A1,5A2)は、歯付きディスクとして形成されていて、前記回路支持体(7)の第1の側(7.1)に面しており、
前記導電性の結合セグメント(5.1)は、歯として形成されていて、切欠部によって相互に分離されている、
請求項8に記載の誘導式センサ装置(1)。
【請求項10】
前記第1の結合装置(5A1,5A2)の前記導電性の結合セグメント(5.1)は、内側の短絡リング(5.2A)又は外側の短絡リング(5.2B)を介して相互に接続されている、
請求項9に記載の誘導式センサ装置(1)。
【請求項11】
前記第1の結合装置(5A1,5A2)の前記導電性の結合セグメント(5.1)に、少なくとも1つの半径方向スリットがそれぞれ導入されており、
前記少なくとも1つの半径方向スリットによって前記内側の短絡リング(5.2A)又は前記外側の短絡リング(5.2B)が分離されている、
請求項10に記載の誘導式センサ装置(1)。
【請求項12】
前記少なくとも2つの結合装置(5)としての第2の結合装置(5B)及び第3の結合装置(5C)は、羽根として形成された導電性の結合セグメント(5.1)を備えたロータとしてそれぞれ構成されており、
前記第2の結合装置(5B)及び前記第3の結合装置(5C)の前記導電性の結合セグメント(5.1)の個数は、それぞれ異なっており、
前記第2の結合装置(5B)は、前記回路支持体(7)の第1の側(7.1)に面しており、前記第3の結合装置(5C)は、前記回路支持体(7)の第2の側(7.2)に面している、
請求項8に記載の誘導式センサ装置(1)。
【請求項13】
前記少なくとも2つの受信構造体(14)のうちの、前記第1の結合装置(5A1,5A2)に対応付けられた少なくとも1つの第1の受信構造体(14A)が、前記少なくとも1つの励起構造体(12)の半径方向外側に配置されており、
前記少なくとも2つの受信構造体(14)としての少なくとも1つのさらなる受信構造体(14B,14C)が、前記少なくとも1つの励起構造体(12)の半径方向内側で、前記回路支持体(7)上に配置されており、
前記第2の結合装置(5B)及び前記第3の結合装置(5C)に対応付けられた前記少なくとも1つのさらなる受信構造体(14B,14C)は、前記回路支持体(7)の複数の異なる層に配置されており、少なくとも部分的に重なり合っている、
請求項12に記載の誘導式センサ装置(1)。
【請求項14】
前記少なくとも2つの受信構造体(14)は、周期的に反復するループ構造体を備えた少なくとも1つの受信コイルをそれぞれ有する、
請求項1に記載の誘導式センサ装置(1)。
【請求項15】
前記少なくとも2つの受信構造体(14)のそれぞれ1つの第1の受信コイルが、正弦チャネルを形成し、
前記少なくとも2つの受信構造体(14)のそれぞれ1つの第2の受信コイルが、余弦チャネルを形成し、
前記少なくとも2つの相異なる測定信号(MS1,MS2,MS3)は、前記正弦チャネルの信号と、前記余弦チャネルの信号とをそれぞれ含み、
前記少なくとも1つの評価・制御ユニットは、前記本体(3)の前記回転運動の対応する情報を逆正接関数によって決定するように構成されている、
請求項14に記載の誘導式センサ装置(1)。
【請求項16】
前記少なくとも2つの受信構造体(14)は、周期的に反復するループ構造体を備えた少なくとも3つの受信コイルをそれぞれ有し、前記少なくとも3つの受信コイルは、1つの多相システムを形成し、
前記少なくとも1つの評価・制御ユニット(20)は、前記多相システムの信号の位相変換を実施し、それぞれの前記測定信号(MS1,MS2,MS3)を逆正接関数によって決定するように構成されている、
請求項14に記載の誘導式センサ装置(1)。
【請求項17】
前記少なくとも1つの評価・制御ユニット(20)は、前記回転可能な本体(3)の第1の区分と前記回転可能な本体(3)の第2の区分との間の差分角度、及び/又は、前記回転可能な本体(3)の絶対回転角度を、前記少なくとも2つの相異なる測定信号(MS1,MS2,MS3)から特定するように構成されている、
請求項1に記載の誘導式センサ装置(1)。
【外国語明細書】