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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031963
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】水素貯蔵モジュール
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/12 20060101AFI20240229BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20240229BHJP
   B60L 58/30 20190101ALI20240229BHJP
   B60K 15/03 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
F17C13/12 301A
H01M8/04 H
H01M8/04 N
B60L58/30
B60K15/03 E
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023137026
(22)【出願日】2023-08-25
(31)【優先権主張番号】10 2022 121 458.3
(32)【優先日】2022-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】520050956
【氏名又は名称】プーレム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Purem GmbH
【住所又は居所原語表記】Homburger Strasse 95, 66539 Neunkirchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヨッヘン ハマー
(72)【発明者】
【氏名】リサ ツィンマーマン
(72)【発明者】
【氏名】ハイケ テッベン
(72)【発明者】
【氏名】フィリプ ヴァインマン
【テーマコード(参考)】
3D038
3E172
5H125
5H127
【Fターム(参考)】
3D038CA22
3D038CA24
3D038CC18
3D038CD19
3E172AA06
3E172AB01
3E172BA01
3E172BB12
3E172DA75
3E172EA03
3E172EB02
3E172FA05
5H125AA01
5H125AC07
5H125FF09
5H127AB04
5H127AC02
5H127BA02
5H127BA22
5H127BA33
5H127BA48
5H127BA59
5H127BB02
5H127BB18
5H127EE13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】周辺への過剰に高い濃度のガス状の水素の放出を回避することができる、特に車両における燃料電池システム用の水素貯蔵モジュールを提供する。
【解決手段】特に車両における燃料電池システム用の水素貯蔵モジュールは、液状の水素を貯蔵するための少なくとも1つの水素タンク18と、この少なくとも1つの水素タンク18から放出されたガス状の水素(H)を収着しかつ触媒変換するための少なくとも1つの水素収着/触媒ユニット22とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に車両における燃料電池システム用の水素貯蔵モジュールであって、液状の水素を貯蔵するための少なくとも1つの水素タンク(18)と、該少なくとも1つの水素タンク(18)から放出されたガス状の水素(H)を収着しかつ触媒変換するための少なくとも1つの水素収着/触媒ユニット(22)とを備える、水素貯蔵モジュール。
【請求項2】
前記少なくとも1つの水素収着/触媒ユニット(22)は、ガス状の水素(H)により周流可能な少なくとも1つの基材(30)を備え、該基材(30)に水素収着材料(34)と水素触媒材料(36)とが設けられていることを特徴とする、請求項1記載の水素貯蔵モジュール。
【請求項3】
前記少なくとも1つの基材(30)は、セラミック材料(28)で構成されており、または/かつ前記少なくとも1つの基材(30)は、ガス状の水素(H)により通流可能な多数の流路(32)を有することを特徴とする、請求項2記載の水素貯蔵モジュール。
【請求項4】
前記少なくとも1つの基材(30)は、前記流路(32)を取り囲む表面に前記水素収着材料(34)と前記水素触媒材料(36)とを有することを特徴とする、請求項3記載の水素貯蔵モジュール。
【請求項5】
前記少なくとも1つの基材(30)の基材表面の少なくとも一部が、前記水素収着材料(34)でコーティングされており、前記水素触媒材料(36)は、少なくとも前記水素収着材料(34)の表面に設けられていることを特徴とする、請求項2から4までのいずれか1項記載の水素貯蔵モジュール。
【請求項6】
前記少なくとも1つの基材に加熱ユニット(38)が割り当てられていることを特徴とする、請求項2から5までのいずれか1項記載の水素貯蔵モジュール。
【請求項7】
前記加熱ユニット(38)は、熱を提供するために電気的に励起可能であることを特徴とする、請求項6記載の水素貯蔵モジュール。
【請求項8】
前記少なくとも1つの水素収着/触媒ユニット(22)は、水素を吸着するように構成されていることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の水素貯蔵モジュール。
【請求項9】
前記水素収着材料(34)は物理吸着材料を含むことを特徴とする、請求項2を引用する請求項8記載の水素貯蔵モジュール。
【請求項10】
前記物理吸着材料はゼオライトを含むことを特徴とする、請求項9記載の水素貯蔵モジュール。
【請求項11】
前記水素収着材料(34)は化学吸着材料を含むことを特徴とする、請求項2を引用する請求項8記載の水素貯蔵モジュール。
【請求項12】
前記化学吸着材料は、金属、好ましくはリチウム、リチウムとアルミニウムとから成る混合物またはナトリウムとホウ素とから成る混合物を含むことを特徴とする、請求項11記載の水素貯蔵モジュール。
【請求項13】
前記少なくとも1つの水素収着/触媒ユニット(22)は、水素を触媒酸化させるように構成されていることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の水素貯蔵モジュール。
【請求項14】
前記水素触媒材料(36)はパラジウムまたは/および白金を含むことを特徴とする、請求項2を引用する請求項13記載の水素貯蔵モジュール。
【請求項15】
特に車両用の燃料電池システムであって、少なくとも1つの燃料電池(12)と、該少なくとも1つの燃料電池(12)のアノード領域(16)にガス状の水素(H)を供給するための、請求項1から14までのいずれか1項記載の水素貯蔵モジュール(40)とを備える、燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両において電気的なエネルギーを発生させるために設けられた燃料電池システムにおいて水素を貯蔵することができる水素貯蔵モジュールに関する。
【0002】
燃料電池システムに燃料電池プロセス用の水素を提供するために、例えば車両に使用される水素貯蔵モジュールでは、水素が、少なくとも1つの水素タンク内に液状の凝集状態にて-250℃未満の極めて低い温度で貯蔵される。このような燃料電池システムが比較的長い期間にわたって使用されないと、一般的にクライオタンクとも呼ばれるこのような水素タンク内に、極めて良好な断熱にもかかわらず回避することができない入熱に基づき、増圧に繋がるガス状の水素が発生してしまう。このガス状の水素は、このような水素タンク内の、例えば約20barの値を上回る過剰に高い増圧を回避するために、例えば周期的に実施される過程内でコントロールして流出させられなければならない。
【0003】
本発明の課題は、周辺への過剰に高い濃度のガス状の水素の放出を回避することができる、特に車両における燃料電池システム用の水素貯蔵モジュールを設けることである。
【0004】
本発明によれば、この課題は、特に車両における燃料電池システム用の水素貯蔵モジュールであって、液状の水素を貯蔵するための少なくとも1つの水素タンクと、この少なくとも1つの水素タンクから放出されたガス状の水素を収着しかつ触媒変換するための少なくとも1つの水素収着/触媒ユニットとを備える、水素貯蔵モジュールによって解決される。
【0005】
本発明により構成された水素貯蔵モジュールでは、周辺への過度に濃度増加させられたガス状の水素の放出を回避するために、2つのプロセスが使用される。まず、少なくとも1つの水素タンクから、電気的なエネルギーを発生させるための燃料電池で変換されないガス状の水素が放出された場合に、水素を一時的に収着する収着プロセスが使用される。引き続き、収着された水素の部分または少なくとも主要な部分を触媒プロセスで酸化させ、例えば空気中の酸素によって変換して、水を形成することができる。本発明に係る水素貯蔵モジュールは、収着プロセスにおいて熱の形態で放出されたエネルギーを、水素収着/触媒ユニットの温度を触媒プロセスの反応温度の範囲内の温度または反応温度を上回る温度に上昇させるために使用することができる。したがって、水素の収着によって、自体もエネルギーを放出する触媒プロセスを進行させることができ、これによって、少なくとも1つの水素タンクからのガス状の水素の流出時に、外部からエネルギーの供給なしに、少なくとも1つの水素タンクから放出されたガス状の水素を変換し、高濃度のひいては爆発の危険に関して潜在的な問題をはらんでいる水素の放出を回避することが可能となる。
【0006】
水素の収着および触媒変換のために、十分に大きな表面積を提供することができるように、少なくとも1つの水素収着/触媒ユニットは、ガス状の水素により周流可能な少なくとも1つの基材を備え、この基材に水素収着材料と水素触媒材料とが設けられていることが提案される。
【0007】
この場合、例えば、少なくとも1つの基材は、セラミック材料で構成されていてよく、または/かつ少なくとも1つの基材は、ガス状の水素により通流可能な多数の流路を有してよい。特に、基材は、実質的に直線状に延在する複数の流路を備えたハニカム状の構造を有してよい。代替的な構成では、基材が多孔質体として形成されていてよく、これによって、流路が基材の多孔質の構造内に形成されている。
【0008】
少なくとも1つの水素タンクから放出されたガス状の水素と相互作用するために、少なくとも1つの基材は、流路を取り囲む表面に水素収着材料と水素触媒材料とを有してよい。
【0009】
このことを達成するために、少なくとも1つの基材の基材表面の少なくとも一部が、水素収着材料でコーティングされていてよく、水素触媒材料は、少なくとも水素収着材料の表面に設けられていてよい。
【0010】
特に極めて低い周辺温度でも、水素を変換するために実施すべき触媒プロセスを迅速に進行させることができるように、少なくとも1つの基材に加熱ユニットが割り当てられていることが提案される。この場合、この加熱ユニットは、熱を提供するために電気的に励起可能であってよい。
【0011】
有利な構成では、少なくとも1つの水素収着/触媒ユニットは、水素を吸着するように構成されていてよい。
【0012】
この場合、水素収着材料の格子構造内への水素の物理的な取込みのプロセスを使用することができるように、水素収着材料は物理吸着材料を含むことが提案される。水素の取込みに特に適した材料として、物理吸着材料はゼオライトを含んでよい。
【0013】
代替的な構成において、水素収着材料への水素の化学的な吸着のプロセスを使用することができるように、水素収着材料は化学吸着材料を含んでよい。このために、例えば、化学吸着材料は、メタルハイドライドを形成する金属、例えばリチウム、リチウムとアルミニウムとから成る混合物またはナトリウムとホウ素とから成る混合物を含んでよい。
【0014】
少なくとも1つの水素収着/触媒ユニットは、水素を触媒酸化させるように構成されていてよい。このために、水素触媒材料はパラジウムまたは/および白金を含んでよい。
【0015】
本発明は、さらに、特に車両用の燃料電池システムであって、少なくとも1つの燃料電池と、この少なくとも1つの燃料電池のアノード領域にガス状の水素を供給するための、本発明により構成された水素貯蔵モジュールとを備える、燃料電池システムに関する。
【0016】
以下に、本発明を添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】例えば車両用の燃料電池システムの原理図である。
図2図1の燃料電池システムの水素収着/触媒ユニットの原理的な断面図である。
図3図2の水素収着/触媒ユニットの、水素により周流可能な基材の端面図である。
【0018】
図1に示した燃料電池システム10は、例えば、車両において電気的なエネルギーを提供して、走行モータを駆動すると共に電気的なエネルギーを別の消費器に供給するために使用されてよい。燃料電池システム10は、中央のシステム領域として燃料電池12を備えている。この燃料電池12のカソード領域14には、酸素もしくは酸素を含んだガスL、例えば空気が供給される。燃料電池12のアノード領域16には、1つ以上の水素タンク18からガス状の水素H(分子状の水素H)が供給される。水素と酸素とは燃料電池14で変換されて、電気的なエネルギーを発生させる。カソード領域14とアノード領域16とから出る燃料電池排ガスは、燃料電池排ガス設備20を介して周辺に放出されてよい。この燃料電池排ガス設備20では、例えば燃料電池排ガス内で連行される水もしくは燃料電池排ガス内に含まれる水蒸気を周辺への放出前に分離することができ、これによって、燃料電池排ガスシステム20の出口領域でミストの発生を阻止することができる。
【0019】
図1に示した燃料電池システム10は、さらに、水素収着/触媒ユニット22を備えている。この水素収着/触媒ユニット22は、弁装置24を介して水素タンク18に接続されてよく、この水素タンクと共に水素貯蔵モジュール40の主要なシステム領域を形成している。
【0020】
水素タンク18内には、燃料電池プロセスのために必要な水素が、液状の凝集状態にて極めて低い温度で貯蔵される。このとき、燃料電池システム12の比較的長い休止期間後、水素タンク18の内部に液状の水素からガス状の水素が形成されることがある。このガス状の水素は水素タンク18から排出されなければならない。この水素タンク18からガス状の水素Hを排気するために、弁装置24はガス状の水素Hを水素収着/触媒ユニット22に案内する。この水素収着/触媒ユニット22は、図2および図3に概略的に示したように、例えば管状のハウジング26内に収容された、例えばセラミック材料28でモノリシックに構成された基材30を備えている。この基材30には、ガス、特に水素タンク18から弁装置24を介して放出されたガス状の水素Hが通流することができる多数の流路32が形成されている。これらの流路32は、ハニカム構造の形態で実質的に直線状に延在するように基材30に形成されていて、多角形の横断面輪郭を有していてよい。
【0021】
基材30のセラミック材料28は、流路32を取り囲む表面において少なくとも部分的に水素収着材料34で被覆されている。この水素収着材料34の表面にはもしくは水素収着材料34内に埋め込まれて、水素触媒材料36が設けられている。水素収着材料は、流路32内に導入されたガス状の水素Hを吸着によって基材30に捕捉するように働くため、特に水素タンク18からガス状の水素を流出させるためのこのようなプロセスの開始時に、高濃度の水素ガスが、水素収着/触媒ユニット22を介して周辺に放出されないようになっている。水素収着材料34をドーピングする水素触媒材料36は、ガス状の水素Hを触媒プロセスで酸化させ、例えば空気中の酸素によって変換して、水を形成するように働く。
【0022】
水素収着材料への水素の吸着時には、熱の形態のエネルギーが放出される。この熱の形態で放出されるエネルギーによって、水素収着材料34に接して設けられたかもしくは水素収着材料34内に埋め込まれた水素触媒材料36が加熱され、触媒作用により生じる水素の酸化を進行させる、約100℃以下の値であってよい反応温度の範囲内の温度もしくは反応温度を上回る温度にもたらされる。したがって、基材30内に導入された更なる水素Hが触媒作用により変換され、これによって、水素濃度が低下させられた、例えば水もしくは水蒸気を含んだガスGが、水素収着/触媒ユニット22から放出される。この水素濃度が低下させられたガスGは、例えば燃料電池排ガス設備20内に導入されてよく、これによって、燃料電池排ガスの場合と同様に、ガスGから水もしくは水蒸気を分離し、ひいては、実質的に水および水蒸気を含まないガスを周辺に放出することができる。
【0023】
吸着プロセスにおいて放出されるエネルギーにより開始される水素の触媒変換時には、同じく熱の形態のエネルギーが放出される。このエネルギーは、一方では水素触媒材料36、もう一方では水素収着材料34をさらに加熱させる。特に水素収着材料34の加熱によって、この水素収着材料34内にもしくは水素収着材料34に接して収着された水素が再び脱離させられ、すでに進行している触媒反応において、例えば水に変換される。
【0024】
前述した水素の取込みもしくは収着と水素の触媒変換とによって、少ない量もしくは低い濃度の水素を含んだガスGしか周辺に放出されないことを保証することができ、これによって、水素濃度が過剰に高められたガスの点火もしくは爆発の潜在的な危険を回避することができる。同時に、一方では吸着プロセス、もう一方では触媒反応において放出されるエネルギーによって、水素を変換するためのプロセスが、例えば0℃未満の低い周辺温度でも、水素濃度の低下を生じさせるプロセスが進行させられ、単独で維持されることが保証されている。このプロセスでは、同時に、プロセスの開始時に収着された水素も再び脱着され、触媒変換されるので、水素収着/触媒ユニット22がプロセス中に再生され、プロセスの終了後に更なる流出サイクルのために使用される。
【0025】
図2には、水素収着/触媒ユニット22が、例えば電気的に励起可能な加熱ユニット38を備えていてよいことが示してある。この加熱ユニット38は、基材30を外周領域で弦巻き線状に取り囲む1つ以上の加熱導体を備えていてよい。この加熱導体は、電圧の印加時に熱を発生させ、これによって、基材30ひいては基材30に設けられた水素収着材料34と、水素触媒材料36とを加熱する。したがって、特に周辺温度が極めて低い場合に加熱ユニット38を介して、吸着プロセスにおいて放出されるエネルギーに対して付加的に供給される熱によって、触媒反応が極めて迅速に進行させられ、ひいては、水素が酸化させられるかもしくは変換されて、水が形成される。
【0026】
水素を水素収着材料34に吸着するためには、種々異なるプロセスが使用されてよい。水素収着材料34は、例えば物理吸着材料を含んでいてよい。この物理吸着材料では、水素が物理吸着材料の格子構造内に捕捉される。水素の取込みに特に適した材料として、例えばゼオライトが使用されてよい。代替的なプロセスもしくは代替的な構成では、水素収着材料34が化学吸着材料を含んでいてよい。この化学吸着材料では、水素が化学反応によって収着される。このような化学吸着材料は、金属、例えばリチウム、リチウムとアルミニウムとから成る混合物またはナトリウムとホウ素とから成る混合物を含んでいてよい。
【0027】
その都度の吸着プロセスでは、熱が放出され、水素収着材料34内への熱の供給によって、この水素収着材料34に収着質として捕捉された水素を再び脱離させることができ、その後、水素触媒材料36で変換することができるかもしくは酸化させることができる。このような水素触媒材料36はパラジウムまたは/および白金を含んでいてよい。
【0028】
最後に付言しておくと、主要な構成部材として1つ以上の水素タンク18と1つ以上の水素収着/触媒ユニット22とを備える本発明により構成された水素貯蔵モジュール40では、種々異なる変更が行われてよい。例えば、基材30が別の構造、例えば多孔質の構造を有していて、こうして、互いに入り組んでいるかもしくは互いに移行し合っている多数の流路を提供してよい。また、このような水素収着/触媒ユニット22から放出される、水素濃度が低下させられたガスGが、周辺に直接放出され、燃料電池排ガス設備内に放出されなくてもよい。さらに、強調しておくと、本発明により構成された水素貯蔵モジュール40は、特に車両における燃料電池システムに相俟ってしか使用することができないものではない。また、別の設備、特に定置の設備が、このような水素貯蔵モジュール40を使用してもよい。この水素貯蔵モジュール40では、ガス状の水素を1つ以上の水素タンク18から繰り返し流出させ、前述したプロセスによって、水素濃度が低下させられたガスを周辺に放出する可能性が提供されている。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-09-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
素貯蔵モジュールであって、液状の水素を貯蔵するための少なくとも1つの水素タンク(18)と、該少なくとも1つの水素タンク(18)から放出されたガス状の水素(H)を収着しかつ触媒変換するための少なくとも1つの水素収着/触媒ユニット(22)とを備える、水素貯蔵モジュール。
【請求項2】
前記少なくとも1つの水素収着/触媒ユニット(22)は、ガス状の水素(H)により周流可能な少なくとも1つの基材(30)を備え、該基材(30)に水素収着材料(34)と水素触媒材料(36)とが設けられていることを特徴とする、請求項1記載の水素貯蔵モジュール。
【請求項3】
前記少なくとも1つの基材(30)は、セラミック材料(28)で構成されており、または/かつ前記少なくとも1つの基材(30)は、ガス状の水素(H)により通流可能な多数の流路(32)を有することを特徴とする、請求項2記載の水素貯蔵モジュール。
【請求項4】
前記少なくとも1つの基材(30)は、前記流路(32)を取り囲む表面に前記水素収着材料(34)と前記水素触媒材料(36)とを有することを特徴とする、請求項3記載の水素貯蔵モジュール。
【請求項5】
前記少なくとも1つの基材(30)の基材表面の少なくとも一部が、前記水素収着材料(34)でコーティングされており、前記水素触媒材料(36)は、少なくとも前記水素収着材料(34)の表面に設けられていることを特徴とする、請求項2から4までのいずれか1項記載の水素貯蔵モジュール。
【請求項6】
前記少なくとも1つの基材に加熱ユニット(38)が割り当てられていることを特徴とする、請求項2からまでのいずれか1項記載の水素貯蔵モジュール。
【請求項7】
前記加熱ユニット(38)は、熱を提供するために電気的に励起可能であることを特徴とする、請求項6記載の水素貯蔵モジュール。
【請求項8】
前記少なくとも1つの水素収着/触媒ユニット(22)は、水素を吸着するように構成されていることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載の水素貯蔵モジュール。
【請求項9】
前記水素収着材料(34)は物理吸着材料を含むことを特徴とする、請求項2から4までのいずれか1項記載の水素貯蔵モジュール。
【請求項10】
前記物理吸着材料はゼオライトを含むことを特徴とする、請求項9記載の水素貯蔵モジュール。
【請求項11】
前記水素収着材料(34)は化学吸着材料を含むことを特徴とする、請求項2から4までのいずれか1項記載の水素貯蔵モジュール。
【請求項12】
前記化学吸着材料は、金属を含むことを特徴とする、請求項11記載の水素貯蔵モジュール。
【請求項13】
前記少なくとも1つの水素収着/触媒ユニット(22)は、水素を触媒酸化させるように構成されていることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載の水素貯蔵モジュール。
【請求項14】
前記水素触媒材料(36)はパラジウムまたは/および白金を含むことを特徴とする、請求項2から4までのいずれか1項記載の水素貯蔵モジュール。
【請求項15】
料電池システムであって、少なくとも1つの燃料電池(12)と、該少なくとも1つの燃料電池(12)のアノード領域(16)にガス状の水素(H)を供給するための、請求項1からまでのいずれか1項記載の水素貯蔵モジュール(40)とを備える、燃料電池システム。
【外国語明細書】