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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031964
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】抗SEZ6抗体薬物複合体
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/30 20060101AFI20240229BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20240229BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240229BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240229BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240229BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20240229BHJP
【FI】
C07K16/30 ZNA
A61K47/68
A61P35/00
A61P11/00
A61K39/395 L
C12N15/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023137027
(22)【出願日】2023-08-25
(31)【優先権主張番号】63/373,668
(32)【優先日】2022-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512212195
【氏名又は名称】アッヴィ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オイニーン・オハインマイア
(72)【発明者】
【氏名】エミリー・ジェイ・フェーブル
(72)【発明者】
【氏名】レジーナ・エム・ライリー
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・シー・フィリップス
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC27
4C076CC41
4C076DD41
4C076EE59
4C076FF70
4C085AA26
4C085BB11
4C085BB31
4C085DD62
4C085EE01
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA50
4H045BA51
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA74
4H045GA20
(57)【要約】
【課題】がんを治療するための、より標的化された有力な療法を開発すること。
【解決手段】本開示は、SEZ6抗体薬物複合体(ADC)を、そのようなADCを使用する組成物及び方法を含めて、提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(IV):
【化1】
(式中、nが、1~10の整数であり、Abが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3を含む重鎖可変領域、並びにCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3を含む軽鎖可変領域を含む抗SEZ6抗体であり、
CDR-H1が、配列番号3として示されるアミノ酸配列を有し、
CDR-H2が、配列番号4として示されるアミノ酸配列を有し、
CDR-H3が、配列番号5として示されるアミノ酸配列を有し、
CDR-L1が、配列番号6として示されるアミノ酸配列を有し、
CDR-L2が、配列番号7として示されるアミノ酸配列を有し、
CDR-L3が、配列番号8として示されるアミノ酸配列を有する)
の抗SEZ6抗体薬物複合体。
【請求項2】
抗体がIgG1抗体である、請求項1に記載の抗SEZ6抗体薬物複合体。
【請求項3】
抗体が、
(a)配列番号1として示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び
(b)配列番号2として示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域
を含む、請求項1に記載の抗SEZ6抗体薬物複合体。
【請求項4】
抗体が、
(a)配列番号9として示されるアミノ酸を有する重鎖及び
(b)配列番号10として示されるアミノ酸配列を有する軽鎖
を含む、請求項1に記載の抗SEZ6抗体薬物複合体。
【請求項5】
式(IV):
【化2】
(式中、nが、1~10の整数であり、Abが、配列番号9として示されるアミノ酸配列をそれぞれ有する2つの重鎖、及び配列番号10として示されるアミノ酸配列をそれぞれ有する2つの軽鎖を含む抗SEZ6抗体である)
の抗SEZ6抗体薬物複合体。
【請求項6】
nが6である、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗SEZ6抗体薬物複合体。
【請求項7】
nが2である、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗SEZ6抗体薬物複合体。
【請求項8】
nが4である、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗SEZ6抗体薬物複合体。
【請求項9】
nが8である、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗SEZ6抗体薬物複合体。
【請求項10】
nが10である、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗SEZ6抗体薬物複合体。
【請求項11】
治療有効量の、請求項1~5のいずれかに記載の抗体薬物複合体を含み、組成物中の抗体薬物複合体の主な化学種が、6であるnを有する、組成物。
【請求項12】
治療有効量の、請求項1~5のいずれかに記載の抗体薬物複合体、及び薬学的に許容される賦形剤を含み、組成物が、6又は約6のDARを有する、医薬組成物。
【請求項13】
小細胞肺がんを治療する方法であって、治療有効量の、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体を、それを必要とする患者に投与するステップを含む、方法。
【請求項14】
小細胞肺がんを治療する方法であって、治療有効量の、請求項12に記載の医薬組成物を、それを必要とする患者に投与するステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体にわたって参照により本明細書に組み込まれる、2022年8月26日出願の米国仮出願第63/373,668号の利益を主張する。
【0002】
配列表
本出願は、電子的に提出された、その全体にわたって参照により本明細書に組み込まれる配列表を含有する。2023年8月4日作成の前記配列表は、SeqList_350794-46100と命名され、サイズが14,965バイトである。
【0003】
本出願は、抗SEZ6抗体薬物複合体(ADC)に関する。
【背景技術】
【0004】
発作関連ホモログ6(SEZ6)は、選択されたニューロン系細胞の細胞表面にみられる膜貫通タンパク質である(Shimizu-Nishikawa K、ら Cloning and characterization of seizure-related gene、SEZ6.Biochem Biophys Res Commun.1995;216(1):382-9頁;Gunnersen JM、ら)。SEZ6は、小細胞肺がん(SCLC)を含む神経内分泌腫瘍において選択的に発現される(Kudoh S,ら Significance of achaete-scute complex homologue 1(ASCL1)in pulmonary neuroendocrine carcinomas;RNA sequence analyses using small cell lung cancer cells and ASCL1-induced pulmonary neuroendocrine carcinoma cells.Histochem Cell Biol.2020;153(6):443-456頁)。小細胞肺がん(SCLC)は、全ての診断された肺がんのうちの13~15%を占める高悪性度の神経内分泌癌であり、約260,000件の新規症例が毎年世界中で診断され、約33,000件が米国で診断され、25,000人が死に至る。進展型疾患についての5年生存率は2%(患者の約65%)であり、限局段階疾患の5年生存率は15%である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Shimizu-Nishikawa K、ら Cloning and characterization of seizure-related gene、SEZ6.Biochem Biophys Res Commun.1995;216(1):382-9頁
【非特許文献2】Kudoh S,ら Significance of achaete-scute complex homologue 1(ASCL1)in pulmonary neuroendocrine carcinomas;RNA sequence analyses using small cell lung cancer cells and ASCL1-induced pulmonary neuroendocrine carcinoma cells.Histochem Cell Biol.2020;153(6):443-456頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
がんの従来の治療処置はしばしば無効であり、ゆえに依然として、がんを治療するための、より標的化された有力な療法を開発する必要性がある。化学的リンカーを介して細胞毒性薬物に結合した、SEZ6を標的とする抗体を含む抗体薬物複合体(ADC)は、SEZ6を発現する腫瘍を有する患者を治療するための、標的化された療法をもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
式(IV):
【0008】
【化1】
(式中、nが、1~10の整数であり、Abが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3を含む重鎖可変領域、並びにCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3を含む軽鎖可変領域を含む抗SEZ6抗体であり、
CDR-H1が、配列番号3として示されるアミノ酸配列を有し、
CDR-H2が、配列番号4として示されるアミノ酸配列を有し、
CDR-H3が、配列番号5として示されるアミノ酸配列を有し、
CDR-L1が、配列番号6として示されるアミノ酸配列を有し、
CDR-L2が、配列番号7として示されるアミノ酸配列を有し、
CDR-L3が、配列番号8として示されるアミノ酸配列を有する)
の抗SEZ6抗体薬物複合体が、本明細書で提供される。
【0009】
一部の実施形態において、抗体薬物複合体の抗SEZ6抗体は、(a)配列番号1として示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び(b)配列番号2として示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0010】
一部の実施形態において、抗体薬物複合体の抗SEZ6抗体は、IgG1抗体である。
【0011】
一部の実施形態において、抗体薬物複合体の抗SEZ6抗体は、(a)配列番号9として示されるアミノ酸を有する重鎖及び(b)配列番号10として示されるアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。
【0012】
一部の実施形態において、抗SEZ6抗体薬物複合体は、式(IV):
【0013】
【化2】
(式中、nは、1~10の整数であり、Abは、配列番号9として示されるアミノ酸配列をそれぞれ有する2つの重鎖、及び配列番号10として示されるアミノ酸配列をそれぞれ有する2つの軽鎖を含む抗SEZ6抗体である)の構造を有する。
【0014】
一部の実施形態において、抗SEZ6抗体薬物複合体は、6であるnを有する。
【0015】
一部の実施形態において、抗SEZ6抗体薬物複合体は、2であるnを有する。
【0016】
一部の実施形態において、抗SEZ6抗体薬物複合体は、4であるnを有する。
【0017】
一部の実施形態において、抗SEZ6抗体薬物複合体は、8であるnを有する。
【0018】
一部の実施形態において、抗SEZ6抗体薬物複合体は、10であるnを有する。
【0019】
治療有効量の、本明細書で開示される抗SEZ6抗体薬物複合体を含み、組成物中の抗体薬物複合体の主な化学種が、6であるnを有する、組成物も、本明細書で提供される。
【0020】
治療有効量の、本明細書で開示される抗SEZ6抗体薬物複合体、及び薬学的に許容される賦形剤を含み、組成物が、6又は約6のDARを有する、医薬組成物も、本明細書で提供される。
【0021】
小細胞肺がんを治療する方法であって、治療有効量の、本明細書で開示される抗SEZ6抗体薬物複合体を、それを必要とする患者に投与するステップを含む、方法も本明細書で提供される。
【0022】
小細胞肺がんを治療する方法であって、治療有効量の、本明細書で開示される抗SEZ6抗体薬物複合体を含む、治療有効量の、本明細書で開示される医薬組成物を、それを必要とする患者に投与するステップを含む、方法も本明細書で提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1A】Calu-6(肺腺癌)細胞株についての、TOP1阻害剤化合物の投与後の細胞増殖を示すグラフである。
図1B】A375(悪性黒色腫)細胞株についての、TOP1阻害剤化合物の投与後の細胞増殖を示すグラフである。
図2A】ADC-1、陰性対照である非標的指向性ADC(ADC-2)又はTOP1阻害剤単独(実施例1G)の、SCLC細胞株に対する、SEZ6 mRNAについて陽性であった細胞株:H526に対するインビトロ活性を示すグラフである。
図2B】ADC-1、陰性対照である非標的指向性ADC(ADC-2)又はTOP1阻害剤単独(実施例1G)の、SCLC細胞株に対する、SEZ6 mRNAについて陽性であった細胞株:H146に対するインビトロ活性を示すグラフである。
図2C】ADC-1、陰性対照である非標的指向性ADC(ADC-2)又はTOP1阻害剤単独(実施例1G)の、SCLC細胞株に対する、SEZ6 mRNAについて陽性であった細胞株:H187に対するインビトロ活性を示すグラフである。
図2D】ADC-1、陰性対照である非標的指向性ADC(ADC-2)又はTOP1阻害剤単独(実施例1G)の、SCLC細胞株に対する、SEZ6 mRNAについて陽性であった細胞株:H1963FP5に対するインビトロ活性を示すグラフである。
図2E】ADC-1、陰性対照である非標的指向性ADC(ADC-2)又はTOP1阻害剤単独(実施例1G)の、SCLC細胞株に対する、SEZ6 mRNAについて陽性であった細胞株:CORL95に対するインビトロ活性を示すグラフである。
図2F】ADC-1、陰性対照である非標的指向性ADC(ADC-2)又はTOP1阻害剤単独(実施例1G)の、SCLC細胞株に対する、SEZ6 mRNAについて陰性であった細胞株:SBC5に対するインビトロ活性を示すグラフである。
図2G】ADC-1、陰性対照である非標的指向性ADC(ADC-2)又はTOP1阻害剤単独(実施例1G)の、SCLC細胞株に対する、SEZ6 mRNAについて陰性であった2つの細胞株:SW1271に対するインビトロ活性を示すグラフである。
図2H】ADC-1、陰性対照である非標的指向性ADC(ADC-2)又はTOP1阻害剤単独(実施例1G)の、SCLC細胞株に対する、SEZ6 mRNAについて陽性であった細胞株:H524に対するインビトロ活性を示すグラフである。
図3A】H1963細胞株由来異種移植片(CDX)マウスモデルにおける、ADC-1処理の用量応答曲線を示すグラフである。
図3B】H526細胞株由来異種移植片(CDX)マウスモデルにおける、ADC-1処理の用量応答曲線を示すグラフである。
図3C】LU95患者由来異種移植片(PDX)マウスモデルにおける、ADC-1処理の用量応答曲線を示すグラフである。
図3D】LU149患者由来異種移植片(PDX)マウスモデルにおける、ADC-1処理の用量応答曲線を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示において使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が別途明確に定めない限り、複数の指示対象を含む。用語「a」(又は「an」)、さらに用語「1つ以上」及び「少なくとも1つ」は、文脈が別途明確に定めない限り、本明細書において互換可能に使用可能である。
【0025】
本開示において使用される場合、別途明記されない限り、用語「約」及び「およそ」は概して、当業者が、列挙される値と同等である(すなわち、同じ機能又は結果を有する)と考える数の範囲を指す。多くの例において、用語「約」及び「およそ」は、最も近い意義ある数字に丸められた数を含んでいてよい。特定の実施形態において、用語「約」及び「およそ」は、当業者により判断される正常な変動、例えば、20%又は10%又は5%以内の変動などを可能にするように解釈される。特定の実施形態において、用語「約」及び「およそ」は、正確な列挙される値を包含する。文脈が別途明確に定めない限り、本明細書において提供される全ての数値は、用語、約により修飾される。
【0026】
特定の実施形態において、TOP1阻害剤を含む抗SEZ6 ADCを含む、抗SEZ6抗体薬物複合体(ADC)、及びADCを使用する方法が、本明細書で開示される。
【0027】
トポイソメラーゼ1阻害剤(TOP1i)
トポイソメラーゼ1(TOP1)は、DNA複製中に形成されるスーパーコイルを除去する。TOP1阻害剤(TOP1i)は、TOP1-DNA複合体に結合し、これを安定化させ、DNA鎖切断及びアポトーシスを誘導することができる。
【0028】
特定の実施形態において、構造式(I)によるトポイソメラーゼI阻害薬(「TOP1i薬」)が本明細書において提供され、トポイソメラーゼI阻害薬は、抗SEZ6抗体への結合により、細胞への標的化された送達を目的としていてよい。
【0029】
【化3】
【0030】
特定の実施形態において、TOP1i薬は、(7S)-14-(3-アミノビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-7-エチル-7-ヒドロキシ-2H,10H-[1,3]ジオキソロ[4,5-g]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-8,11(7H,13H)-ジオンである。
【0031】
特定の実施形態において、本明細書において意図されるTOP1i薬は、構造式(II):
【0032】
【化4】
(式中、
【0033】
【化5】
は、TOP1i薬に対するリンカーの結合点を表す)
において示されるように、リンカーを介して抗体に結合していてよい。
【0034】
リンカー薬物LD1(構造式(III))
特定の実施形態において、TOP1iリンカー薬物(LD1)は、式(III)による化合物である。特定の実施形態において、LD1は、(2S)-2-(2-ブロモアセトアミド)-N-[(2S)-1-({3-[(7S)-7-エチル-7-ヒドロキシ-8,11-ジオキソ-7,8,11,13-テトラヒドロ-2H,10H-[1,3]ジオキソロ[4,5-g]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-14-イル]ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル}アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル]-3-メチルブタンアミドである。
【0035】
【化6】
【0036】
抗SEZ6 ADC
特定の実施形態において、本明細書において記載されるTOP1i薬(すなわち、式(I))は、抗SEZ6抗体に結合して、抗SEZ6 TOP1i抗体薬物複合体を形成してよい。抗体薬物複合体は、SEZ6発現腫瘍などの標的組織に、1つ以上の薬物部分を選択的に送達する。ゆえに、特定の実施形態において、本開示は、小細胞肺がんの治療における治療上の使用のための、抗SEZ6 TOP1i ADCを提供する。
【0037】
特定の実施形態において、TOP1i薬は、リンカー部分により抗SEZ6抗体に結合している。特定の実施形態において、リンカーは、1つの位置ではTOP1i薬に対する共有結合を、別の位置では抗体に対する共有結合を形成することにより、TOP1i薬を抗SEZ6抗体に連結させる。特定の実施形態において、共有結合は、リンカーにおける官能基と、TOP1i薬及び抗SEZ6抗体における官能基との間の反応により形成される。特定の実施形態において、本開示の抗SEZ6 ADCは、式(III)のTOP1iリンカー薬物に結合した抗SEZ6抗体から構成される。
【0038】
特定の実施形態において、「Ab」は、配列番号9として示されるアミノ酸配列を有する重鎖、及び配列番号10として示されるアミノ酸配列を有する軽鎖を含む抗SEZ6抗体を指す。特定の実施形態において、Abは、式(III)のTOP1iリンカー薬物に結合している。
【0039】
Ab抗SEZ6抗体
特定の実施形態において、Abは、ヒト化抗SEZ6 IgG1モノクローナル抗体である。特定の実施形態において、Abは、当技術分野で開発された規則に従って、及び/又は既知の可変領域のデータベースに対し配列を整列させることにより特定される、可変領域及びCDR(相補性決定領域)を含む。
【0040】
これらの領域を特定する方法は、Kontermann and Dubel、eds.、Antibody Engineering、Springer、New York、N.Y.、2001及びDinarelloら、Current Protocols in Immunology、John Wiley and Sons Inc.、Hoboken、N.J.、2000に記載されている。例えば、CDRは、Kabatら(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest(第5版)、U.S.Dept.of Health and Human Services、PHS、NIH、NIH Publication No.91-3242(本明細書では「Kabat」と呼ばれる)により提供される機構のうちの1つに従って、又はAbM(Oxford Molecular/MSI Pharmacopia)(本明細書では「AbM」と呼ばれる)に従って特定されてよい。AbMは、www.bioinf.org.uk/abs(the Department of Biochemistry & Molecular Biology University College LondonのA.C.Martinにより維持される)のAbysisデータベースから得られる。
【0041】
特定の実施形態において、Abは、配列番号9(出現順で、可変領域は太字であり、配列番号1として示されるアミノ酸配列を有する。定常領域はイタリック体である。CDRは下線を有し、それぞれ配列番号3、4及び5として示されるアミノ酸配列を有する。)として示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。
【0042】
【化7】
【0043】

特定の実施形態において、Abは、配列番号10(出現順で、可変領域は太字であり、配列番号2として示されるアミノ酸配列を有する。定常領域はイタリック体である。CDRは下線を有し、それぞれ配列番号6、7及び8として示されるアミノ酸配列を有する。)として示されるアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。
【0044】
【化8】
【0045】
特定の実施形態において、Abは、配列番号9として示されるアミノ酸配列をそれぞれ有する2つの重鎖、及び配列番号10として示されるアミノ酸配列をそれぞれ有する2つの軽鎖を含む。
【0046】
特定の実施形態において、Abは、配列番号3として示されるアミノ酸配列を有するCDR-H1、配列番号4として示されるアミノ酸配列を有するCDR-H2、配列番号5として示されるアミノ酸配列を有するCDR-H3、配列番号6として示されるアミノ酸配列を有するCDR-L1、配列番号7として示されるアミノ酸配列を有するCDR-L2、及び配列番号8として示されるアミノ酸配列を有するCDR-L3を含む。CDR-H1のアミノ酸配列は、AbM定義を使用して特定され、残りのCDRアミノ酸配列は、Kabat定義を使用して特定された。
【0047】
特定の実施形態において、Abは、配列番号1として示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン、及び配列番号2として示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメインを含む。
【0048】
結合した薬物の数
特定の実施形態において、本明細書で開示されるADCは、抗体の形状、及び少なくとも部分的に、結合を引き起こすのに使用される方法次第で、各種化学量論的モル比で抗体部分に結合した薬物分子を含む。
【0049】
用語「薬物量」又は「薬物積載」は、個々のADC分子における抗体1つあたりの薬物分子の数を指す。抗SEZ6 ADCに結合したTOP1i薬の数は変動してよく、抗SEZ6抗体における利用可能な結合部位の数により制限される。本発明の抗SEZ6 ADCについて意図される場合、リンカーは、抗SEZ6 ADCにおいて、抗体に単一のTOP1i薬を結合させる。抗SEZ6 ADCが、使用及び/又は保存条件下で許容されないレベルの凝集を呈しない限り、最大10であるnを有する抗SEZ6 ADC(すなわち、式(IV))が意図される。特定の実施形態において、抗SEZ6 ADCは、1~10の範囲にあるnを有する。特定の実施形態において、抗SEZ6 ADCは、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10から選択されるnを有する。特定の実施形態において、nは、2、3、4、5又は6である。特定の実施形態において、nは、2、4、6、8又は10である。特定の実施形態において、nは、2、4又は6である。特定の実施形態において、nは6である。特定の実施形態において、薬物積載は、薬物分子1個、薬物分子2個、薬物分子3個、薬物分子4個、薬物分子5個、薬物分子6個、薬物分子7個、薬物分子8個、薬物分子9個又は薬物分子10個を含んでいてよい。
【0050】
抗SEZ6 ADC組成物を生成する結合方法が本明細書において提供され、ADCの主な化学種は6であるnを有し、組成物は、6又は約6の薬物-抗体比(DAR)を有する。DARは、組成物中の、各抗体に結合した薬物の平均数である。他の結合方法は当技術分野で既知であり、様々な数の結合した薬物を有する(例えば、2、3、4、5、6又は7であるnを有する)ADC及び様々なDAR(例えば、4、5、6又は約4、約5又は約6のDAR)の組成物を生成するのに利用可能である。
【0051】
例示的なADC
特定の実施形態において、式(IV):
【0052】
【化9】
(式中、抗体Abは、配列番号9として示されるアミノ酸配列をそれぞれ有する2つの重鎖、及び配列番号10として示されるアミノ酸配列をそれぞれ有する2つの軽鎖を含む)の抗SEZ-6抗体薬物複合体が提供される。特定の実施形態において、リンカー-薬物の抗体に対する結合は、抗体のシステイン残基のスルフヒドリル基とで形成される結合を介する。特定の実施形態において、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10の値を有する。
【0053】
特定の実施形態において、nは、2、4、6、8又は10の値を有する。特定の実施形態において、nは6である。特定の実施形態において、構造式(IV)の抗SEZ6 ADCは、配列番号9として示されるアミノ酸配列を有する重鎖、及び配列番号10として示されるアミノ酸配列を有する軽鎖を有するAbを含み、nは、2、4、6、8又は10の値を有する。特定の実施形態において、構造式(IV)の抗SEZ6 ADCは、配列番号9として示されるアミノ酸配列を有する重鎖、及び配列番号10として示されるアミノ酸配列を有する軽鎖を有するAbを含み、nは6の値を有する。
【0054】
本明細書において使用される場合、「ADC-1」は、構造式(IV)によるADCを含むADC組成物であり、Abは、配列番号9として示されるアミノ酸配列をそれぞれ有する2つの重鎖、及び配列番号10として示されるアミノ酸配列をそれぞれ有する2つの軽鎖、及び約6の薬物-抗体比(DAR)を有し、主な化学種は6であるnを有する。ADC-1を作製するのに使用される手順は、以下の実施例に記載される。一実施形態において、ADC-1は、2種以上の様々な値のnを有する複数のADC-1化学種を含む組成物である。一部の実施形態において、ADC-1の組成物は、約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、約6.0、約6.1、約6.2、約6.3、約6.4又は約6.5の平均薬物-抗体比(DAR)を有する。一部の実施形態において、ADC-1の組成物は、抗SEZ6抗体1つあたりに結合した平均6分子のトポイソメラーゼ1阻害剤(TOP1i)を有する。一部の実施形態において、組成物中のADC-1の主な化学種は、n=6を有する。一部の実施形態において、ADC-1は約6の平均DARを有する。
【0055】
使用方法
特定の実施形態において、小細胞肺がん(SCLC)を治療するための方法であって、治療有効量の式(IV)のADCを、それを必要とする対象に投与するステップを含む、方法が提供される。
【0056】
用語「対象」は、本明細書において使用される場合、ヒトを指す。用語「ヒト」、「患者」及び「対象」は、本明細書において互換可能に使用される。
【0057】
用語「治療する」、「治療すること」及び「治療」は、本明細書において使用される場合、疾患及び/又はその付随する症状を軽減又は抑制する方法を指す。
【0058】
句「治療有効量」は、特定の対象又は対象集団において治療のために投与された場合に、治療されるべき状態若しくは障害の症状のうちの1つ以上の発症を防止する、又は治療されるべき状態若しくは障害の症状のうちの1つ以上をある程度軽減するのに十分なADCの量を指す。
【実施例0059】
本明細書において記載されるADC、抗体及びTOP1iの例示的な実施形態についての特定の特性及び性質を強調する以下の実施例が、例示の目的で提供される。
[実施例1]
【0060】
【化10】
実施例1
(2S)-2-(2-ブロモアセトアミド)-N-[(2S)-1-({3-[(7S)-7-エチル-7-ヒドロキシ-8,11-ジオキソ-7,8,11,13-テトラヒドロ-2H,10H-[1,3]ジオキソロ[4,5-g]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-14-イル]ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル}アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル]-3-メチルブタンアミド
【0061】
【化11】
実施例1A
tert-ブチル(3-(メトキシ(メチル)カルバモイル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)カルバメート
3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボン酸(4.9g)、N,O-ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(2.2g)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(11.30mL)のジクロロメタン(10mL)中溶液に、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(8.61g)を少しずつ、10℃で添加した。反応混合物を20℃で12時間撹拌した。2つの付加反応を引き起こし、記載されたように20℃で12時間撹拌させた。3つの反応全てを組み合わせた。反応をジクロロメタン(200mL)で希釈し、1N HCl水溶液(50mL)に添加した。形成された沈殿物を濾過し、濾液を分離させた。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)及びブライン(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣を、石油エーテル中1~50%酢酸エチルで溶出する、シリカゲルでのクロマトグラフィーにより精製して、表題の化合物を得た。H NMR (400 MHz, CDCl) δ ppm 4.97 (br s, 1H), 3.66 (s, 3H), 3.18 (s, 3H), 2.34 (s, 6H), 1.45 (s, 9H). MS (ESI+) m/z 271.2 (M+H)
【0062】
【化12】
実施例1B
tert-ブチル(3-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-カルボニル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)カルバメート
5-ブロモベンゾ[d][1,3]ジオキソール(8.83g)のテトラヒドロフラン(100mL)中溶液に、n-ブチルリチウム(17.57mL、ヘキサン中2.5M)をゆっくりと、-65℃で窒素ガス下で添加した。混合物を-65℃で30分間撹拌した。実施例1A(4.75g)のテトラヒドロフラン(40mL)中溶液をゆっくりと添加した。混合物を-65℃で3時間撹拌した。3つの付加反応を引き起こし、-65℃で3時間撹拌させた。4つの反応全てを組み合わせた。混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(500mL)でクエンチし、酢酸エチル(3×500mL)で抽出した。組み合わされた有機層をブライン(500mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣を、石油エーテル中1~50%酢酸エチルで溶出する、シリカゲルでのクロマトグラフィーにより精製して、表題の化合物を得た。H NMR (400 MHz, CDCl) δ ppm 7.63 (dd, 1H), 7.45 (d, 1H), 6.82 (d, 1H), 6.03 (s, 2H), 5.04 (br s, 1H), 2.50 (s, 6H), 1.46 (s, 9H). MS (ESI+) m/z 354.2 (M+Na)
【0063】
【化13】
実施例1C
N-(3-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-カルボニル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-2,2,2-トリフルオロアセトアミド
ステップ1:実施例1B(6.2g)のジクロロメタン(62mL)中溶液に、トリフルオロ酢酸(62mL)をゆっくりと、0℃で添加した。反応を25℃で4時間撹拌した。2つの付加反応を引き起こし、25℃で4時間撹拌した。各混合物を減圧下で濃縮した。各残渣を、さらなる精製なしに次のステップに使用した。
【0064】
ステップ2:上記粗生成物のジクロロメタン(62mL)中溶液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(16.34mL)及びトリフルオロ酢酸無水物(3.96mL)を液滴で、0℃で添加した。混合物を25℃で2時間撹拌した。2つの付加反応を記載されたように引き起こし、25℃で2時間撹拌した。3つの反応全てを組み合わせ、水(200mL)中に注ぎ、ジクロロメタン(2×200mL)で抽出した。有機層をブライン(200mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣を、石油エーテル中25%酢酸エチルで溶出する、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題の化合物を得た。H NMR (501 MHz, CDCl) δ ppm 7.61 (dd, 1H), 7.43 (d, 1H), 7.00 (s, 1H), 6.85 (d, 1H), 6.05 (s, 2H), 2.62 (s, 6H). MS (ESI+) m/z 328.2 (M+H)
【0065】
【化14】
実施例1D
2,2,2-トリフルオロ-N-(3-(6-ニトロベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-カルボニル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アセトアミド
実施例1C(4.3g)の無水酢酸(25mL)中溶液に、硝酸銅(II)三水和物(4.76g)を少しずつ、0℃で添加した。混合物を0℃で3時間撹拌した。3つの付加反応を引き起こし、記載されたように0℃で3時間撹拌した。4つの反応全てを組み合わせた。混合物を水(50mL)中に注ぎ、酢酸エチル(5×100mL)で抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣を、石油エーテル中75%酢酸エチルで溶出する、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題の化合物を得た。H NMR (400 MHz, CDCl) δ ppm 7.61 (s, 1H), 6.77 (br s, 1H), 6.64 (s, 1H), 6.21 (s, 2 H), 2.43 (s, 6 H). MS (APCI+) m/z 373.1 (M+H)
【0066】
【化15】
実施例1E
N-(3-(6-アミノベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-カルボニル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-2,2,2-トリフルオロアセトアミド
実施例1D(4g)のエタノール(40mL)及び水(8mL)中溶液に、鉄(5.4g)及び塩化アンモニウム(5.17g)を、窒素下で添加した。混合物を100℃で3時間撹拌した。3つの付加反応を引き起こし、記載されたように100℃で3時間撹拌した。周囲温度に冷却した後、4つの反応全てを組み合わせた。混合物を水(1L)中に注ぎ、酢酸エチル(5×500mL)で抽出した。組み合わされた有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣を、石油エーテル中10~75%酢酸エチルで溶出する、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題の化合物を得た。H NMR (400 MHz, CDCl) δ ppm 7.22 (s, 1H), 6.70 (s, 1H), 6.50 (s, 2H), 6.14 (s, 1H), 5.92 (s, 2H), 2.63 (s, 6H). MS (ESI+) m/z 343.2 (M+H)
【0067】
【化16】
実施例1F
(S)-N-(3-(7-エチル-7-ヒドロキシ-8,11-ジオキソ-8,10,11,13-テトラヒドロ-7H-[1,3]ジオキソロ[4,5-g]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-14-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-2,2,2-トリフルオロアセトアミド
実施例1E(3.5g)及び(S)-4-エチル-4-ヒドロキシ-7,8-ジヒドロ-1H-ピラノ[3,4-f]インドリジン-3,6,10(4H)-トリオン(2.69g)のトルエン(140mL)中懸濁液に、パラ-トルエンスルホン酸一水和物(1.945g)を添加した。混合物を115℃で12時間撹拌した。3つの付加反応を引き起こし、記載されたように115℃で12時間撹拌した。周囲温度に冷却した後、4つの反応全てを組み合わせた。混合物を濾過し、収集された固体をアセトニトリル(200mL)で粉砕して、表題の化合物を得た。H NMR (400 MHz, ジメチルスルホキシド-d) δ ppm 10.28 (s, 1H), 7.64 (s, 1H), 7.52 (s, 1H), 7.24 (s, 1H), 6.47 (s, 1H), 6.30 (dd, 2H), 5.42 (s, 2H), 5.36 (s, 2H), 2.87 (s, 6H), 1.94 - 1.77 (m, 2H), 0.88 (t, 3H). MS (ESI+) m/z 570.3 (M+H)
【0068】
【化17】
実施例1G
(7S)-14-(3-アミノビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-7-エチル-7-ヒドロキシ-2H,10H-[1,3]ジオキソロ[4,5-g]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-8,11(7H,13H)-ジオン
実施例1F(3g)のメタノール(30mL)中溶液に、HCl(60mL、メタノール中4M)を添加した。混合物を65℃で4時間撹拌した。4つの付加反応を引き起こし、先に記載されたように65℃で4時間撹拌した。周囲温度に冷却した後、5つの反応全てを組み合わせた。混合物を減圧下で濃縮し、残渣をメタノール(200mL)で粉砕して、表題の化合物を得た。H NMR (400 MHz, ジメチルスルホキシド-d) δ ppm 9.23 (s, 3H), 7.54 (s, 1H), 7.51 (s, 1H), 7.24 (s, 1H), 6.30 (d, 2H), 5.41 (s, 2H), 5.39 - 5.26 (m, 2H), 2.79 (s, 6H), 1.87 (七重線, 2H), 0.88 (t, 3H). MS (ESI+) m/z 474.3 (M+H)
【0069】
【化18】
実施例1H
tert-ブチル((S)-1-(((S)-1-((3-((S)-7-エチル-7-ヒドロキシ-8,11-ジオキソ-8,10,11,13-テトラヒドロ-7H-[1,3]ジオキソロ[4,5-g]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-14-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)カルバメート
(S)-2-((S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-メチルブタンアミド)プロパン酸(2.49g)、2-ヒドロキシピリジン1-オキシド(1.31g)及びN-((エチルイミノ)メチレン)-N,N-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン塩酸塩(2.26g)のアセトニトリル(40mL)中懸濁液に、2,6-ルチジン(2.74mL)を添加した。混合物を周囲温度で30分間撹拌した。分離フラスコ内で、実施例1G(4g)及び2,6-ルチジン(2.74mL)を、N,N-ジメチルホルムアミド(40mL)中で組み合わせ、上記溶液を添加した。混合物を周囲温度で一晩撹拌した。混合物を減圧下で濃縮し、残渣をジクロロメタン(300mL)中に溶解させ、飽和塩化アンモニウム水溶液(100mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣を、ジクロロメタン中0~10%メタノールで溶出する、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題の化合物を得た。H NMR (400 MHz, ジメチルスルホキシド-d) δ ppm 8.65 (s, 1H), 7.89 (d, 1H), 7.61 (s, 1H), 7.49 (s, 1H), 7.22 (s, 1H), 6.77 (d, 1H), 6.46 (s, 1H), 6.29 (d, 2H), 5.41 (s, 2H), 5.32 (s, 2H), 4.29 (q, 1H), 3.87 - 3.77 (m, 1H), 2.76 (s, 6H), 1.99 (q, 1H), 1.92 - 1.81 (m, 2H), 1.41 (s, 9H), 1.25 (d, 3H), 0.92 - 0.80 (m, 9H). MS (ESI+) m/z 744.4 (M+H)
【0070】
【化19】
実施例1I
(S)-2-アミノ-N-((S)-1-((3-((S)-7-エチル-7-ヒドロキシ-8,11-ジオキソ-8,10,11,13-テトラヒドロ-7H-[1,3]ジオキソロ[4,5-g]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-14-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-3-メチルブタンアミド
実施例1H(5.5g)を、トリフルオロ酢酸(30mL)で、周囲温度で30分間処理した。混合物を減圧下で濃縮し、残渣を水(200mL)中50%アセトニトリル中に溶解させた。溶液を凍結乾燥して、表題の化合物を得た。H NMR (600 MHz, ジメチルスルホキシド-d) δ ppm 8.80 (s, 1H), 8.59 (d, 1H), 8.10 (d, 3H), 7.60 (s, 1H), 7.48 (s, 1H), 7.23 (s, 1H), 6.33 - 6.26 (m, 2H), 5.41 (d, 2H), 5.35 - 5.23 (m, 2H), 4.35 (p, 1H), 3.66 - 3.63 (m, 1H), 2.77 (s, 6H), 2.17 - 2.06 (m, 1H), 1.91 - 1.83 (m, 2H), 1.31 (d, 3H), 1.01 - 0.96 (dd, 6H), 0.89 (t, 3H). MS (ESI+) m/z 644.4 (M+H)
【0071】
【化20】
実施例1J
(2S)-2-(2-ブロモアセトアミド)-N-[(2S)-1-({3-[(7S)-7-エチル-7-ヒドロキシ-8,11-ジオキソ-7,8,11,13-テトラヒドロ-2H,10H-[1,3]ジオキソロ[4,5-g]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-14-イル]ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル}アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル]-3-メチルブタンアミド
2-ブロモ酢酸(1.435g)のN,N-ジメチルホルムアミド(26mL)中溶液に、エチル2-エトキシキノリン-1(2H)-カルボキシレート(2.55g)を添加した。混合物を周囲温度で10分間撹拌した。分離フラスコ内で、実施例1I(4.5g)及び2,6-ルチジン(3.61mL)を、N,N-ジメチルホルムアミド(26mL)中で組み合わせ、上記溶液を添加した。混合物を周囲温度で30分間撹拌した。混合物をトリフルオロ酢酸(4mL)で酸性化し、0.1%トリフルオロ酢酸を含有する水中5~75%アセトニトリルで30分間にわたり溶出する、Lunaカラム(250×50mm、10mm)を使用するCombiFlash(登録商標)Teledyne Isco機構での逆相HPLCにより精製して、凍結乾燥後に表題の化合物を得た。H NMR (600 MHz, ジメチルスルホキシド-d) δ ppm 8.57 (s, 1H), 8.32 (d, 1H), 8.16 (d, 1H), 7.67 (s, 1H), 7.52 (s, 1H), 7.24 (s, 1H), 6.30 (dd, 2H), 5.42 (s, 2H), 5.38 (d, 2H), 4.28 - 4.19 (m, 2H), 4.03 - 3.91 (m, 2H), 2.76 (s, 6H), 2.02 (h, 1H), 1.86 (ddp, 2H), 1.25 (d, 3H), 0.93 - 0.84 (m, 9H). MS (ESI+) m/z 764.46 (M+H)
【0072】
[実施例2] 細胞増殖
細胞生存率に対するTOP1i薬の効果を、代謝的に活性な細胞についてのATPの存在をモニタリングすることにより評価した。結果が図1A、1B及び表1に示される。Calu-6細胞(肺腺癌)及びA375細胞(悪性黒色腫)の増殖を、CellTiter-Glo(登録商標)発光を使用して定量化した。図1A、1B及び表1において示されるように、式(I)の化合物(実施例1G)は、増殖するCalu-6細胞(0.57nM、図1A)及びA375(0.50nM、図1B)の生存率を低減させることについてナノモル濃度以下の効力を呈した。このナノモル濃度以下の効力は、同じアッセイにおいてTOP1i薬SN-38の効力を上回って改善され、アッセイはEC50 6.58nM(Calu-6)及び2.30nM(A375)を示した。
【0073】
【表1】
【0074】
【化21】
【0075】
[実施例3] 抗体の調製及び精製
抗体Abを、それぞれ配列番号9及び10の重鎖及び軽鎖配列を有するIgG1抗体として、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において発現させた。結合前にAbを単離及び精製した。
【0076】
[実施例4] 結合の手順(ADC-1)
以下に記載されるように、Abをリンカー薬物(実施例1J)に結合させて、抗体薬物複合体ADC-1を形成させた。
【0077】
実施例3のAb抗体を、過剰量の還元剤で全体的に還元し、次いで過剰量の薬物-リンカーと結合させた。このことが、6つの薬物分子を主に含有するADC、すなわち6であるn及び6又は約6のDARを有する式(IV)のADCを含む最終薬物生成物をもたらす。ADC-1のDARは、LC-MSにより決定した。LC-MS分析は、Agilent LC/MSD TOF 6220 ESI質量分析計に接続されたAgilent 1100 HPLC機構を使用して実施した。ADC-1を、5mM(最終濃度)Bond-Breaker(登録商標)TCEP溶液(Thermo Scientific、Rockford、IL)で還元し、Protein Microtrap(Michrom Bioresorces、Auburn、CA)脱塩カートリッジにローディングし、周囲温度で、0.2分で、10%B~75%Bの勾配で溶出させた。移動相Aは0.1%ギ酸(FA)含有HOであり、移動相Bは0.1%FA含有アセトニトリルであり、流速は0.2mL/分であった。共溶出する軽鎖及び重鎖のエレクトロスプレーイオン化飛行時間型質量スペクトルを、Agilent MassHunterTM取得ソフトウェアを使用して取得した。抽出された強度対m/zスペクトルを、MassHunterソフトウェアの最大エントロピー機能を使用してデコンボリューションして、還元された各抗体断片の質量を決定した。結合した薬物の数に強度を掛けることにより正規化された、軽鎖及び重鎖についての、そのままの及び修正されたピークの強度を合計することにより、デコンボリューションされたスペクトルからDARを算出した。合計され、正規化された強度を強度の合計で割り、2つの軽鎖及び2つの重鎖についての合計結果から、完全ADC-1についての最終平均DAR値を算出した。
【0078】
4℃のAb抗体の溶液を、PBSE(リン酸カリウム二塩基性/塩化ナトリウム/エチレンジアミン四酢酸緩衝液)(125mMリン酸カリウム、150mM NaCL、6.3mM EDTA、pH7.2)で処理して、最終濃度0.1mMを達成した。トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP、10mM、10モル当量、Bond Breaker(商標)、Thermo Scientific(商標))を、穏やかに撹拌プレート混合(225rpm)しながら5分間、Ab抗体溶液(0.5X PBSE中およそ10~20mg/mL)に添加した。4℃での20時間のインキュベーション後、溶液を22℃にした。
【0079】
Pellicon(登録商標)3 0.57mカセット(Millipore)を使用して、還元Ab抗体を、PBSE緩衝液に緩衝液交換するため、UFDF(限外濾過/透析濾過)を行った。Ab抗体が濃度40mg/mLに達するまで、限外濾過(UF)を実施した。透析濾過(DF)は10透析濾過体積(DV)のPBSEで実施した。
【0080】
6.6モル当量の、N,N-ジメチルアセトアミド中リンカー薬物(実施例1J)の10mM溶液を、穏やかに撹拌プレート混合しながら、23℃で16時間インキュベートした。インキュベーション後、無菌の精製水で調製された、8.0当量の100mM N-アセチル-L-システイン(NAC、Sigma Aldrich)を溶液に添加し、穏やかに混合し、その後23℃で2時間インキュベートした。
【0081】
Pellicon(登録商標)3 0.57mカセット(Millipore)を使用して、生じた抗体薬物複合体(ADC-1)を、DMSO(ジメチルスルホキシド)及び15mMヒスチジン緩衝液、pH6の混合物に、その後15mMヒスチジン緩衝液に緩衝液交換するため、UFDFを行った。限外濾過及び透析濾過を実施した。ADC-1溶液を収集し、次いで緩衝液でさらに希釈した。最終ADC-1溶液を0.22μmフィルターで無菌濾過し、-80℃で保存した。
【0082】
[実施例5A] 対照ADC(ADC-2)
本明細書において使用される場合、ADC-2は、LD1(式(III)、実施例1J)に結合した抗体、Ab2を有するADCである。Ab2は、CMV糖タンパク質Hに結合するモノクローナル抗体であるMSL109である。MSL109は、非標的指向性対照抗体/陰性対照抗体として使用される。
【0083】
[実施例5B] 結合の手順(ADC-2)
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩水溶液(EDTA、0.5M、974μL、Sigma Aldrich)を、Ab2の精製溶液(20mMトリス緩衝液、pH7.4中12.3mg/mL)243.3mLに添加した。トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP、500mM、6.0モル当量、242.4μL、Bond Breaker(商標)、Thermo Scientific(商標))を、2mM EDTA含有Ab2溶液に添加し、穏やかに撹拌し、4℃で20時間維持した。4℃(1.0M、pH8.0)のトリス緩衝液を、溶液(24.5mL、10% v/v)に添加した。リンカー-薬物LD1(実施例1J、(2S)-2-(2-ブロモアセトアミド)-N-[(2S)-1-({3-[(7S)-7-エチル-7-ヒドロキシ-8,11-ジオキソ-7,8,11,13-テトラヒドロ-2H,10H-[1,3]ジオキソロ[4,5-g]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-14-イル]ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル}アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル]-3-メチルブタンアミド)を、pH8.0の還元抗体(10当量、N,N-ジメチルアセトアミド、90%純度中LD1、実施例1Jの10mM溶液22.5mL)に添加した。結合を穏やかに撹拌し、周囲温度のウォーターバス中で1.5時間静置させた。結合を、4当量のN-アセチル-L-システインの水溶液(NAC、Sigma Aldrich、1X DPBS、0.8mL中100mM溶液)の添加によりクエンチした。混合物を穏やかに撹拌し、周囲温度で1時間静置させた。トリス緩衝液(15%、Sigma、1.0M、pH7.4、44mL)を添加して、生じたADC-2溶液をpH7.5に調節した。ADC-2溶液を4℃で一晩保存した。ADC-2溶液を濃縮し、限外濾過/透析濾過(Pellicon(登録商標)3 0.22mカセット(Millipore))により緩衝液交換した。最終ADC-2溶液を、0.22μmフィルターで濾過し、生じたADC-2試料を4℃で保存した。ADC-2の最終体積は138mLであった。
【0084】
[実施例6] インビトロでのSEZ6発現及び細胞生存率アッセイ
SCLC細胞株NCI-H526(「H526」)、NCI-H524(「H524」)、NCI-H146(「H146」)、NCI-H1963(「H1963」)及びSW-1271を、American Type Culture Collection(ATCC)から得た。COR-L95細胞を、Millipore Sigma(#96020733)から得た。SBC-5細胞を、医薬基盤研細胞バンク(JCRB)から得た。
【0085】
SCLC細胞株(表2、1列目に示される)を、白色384ウェルプレート(Corning(登録商標)3765)に、1,000~2,000細胞/30μL 10%熱不活化FBS(ウシ胎児血清)含有RPMI-1640基本培地で播種した。細胞プレートを、37℃で一晩、5%CO中でインキュベートした。Tecan D300eデジタルディスペンサーを使用して、ADCのストック濃度又は実施例1G及びDMSO(ジメチルスルホキシド)を含有する溶液を使用する用量応答を、0日目に細胞に行い、37℃でさらに10日間(ADC)又は3日間(実施例1G)、5%CO中でインキュベートした。試料は二連で試験した。プレートを読み取り前に30分間振とうしたことを除き、製造業者の説明書に従って、CellTiter-Glo(商標)発光細胞生存率アッセイ(Promega、#G7570)を用いて細胞生存率を評価した。発光をBioTek Synergy Neo2で読み取り、データをGraphPad Prismソフトウェアを使用して分析した。
【0086】
結果:
図2A~2G及び表2において示されるように、SEZ6を標的とするADC-1は有力な活性を有し、SEZ6 mRNAについて陽性であった5つのSCLC細胞株(NCI-H524、NCI-H526、COR-L96、NCI-H146、NCI-H1963FP5)に対し、nM以下~低nMの増殖阻害IC50を示した。対照的に、ADC-1は、SEZ6 mRNAについて陰性であった2つのSCLC細胞株(SW-1271及びSBC-5)において活性でなかった。さらに、非標的指向性ADC-2は全ての細胞株において不活性であり、ADC-1のSEZ6依存性細胞殺傷特異性を裏付けた。全ての細胞株は、nM以下~低nMのIC50により示されるように、実施例1Gに対し感受性であった。これらのデータは、SEZ6を発現するSCLC細胞株における、ADC-1のSEZ6特異的活性を示す。
【0087】
【表2】
【0088】
[実施例7] ADC-1は、インビボでのがん異種移植片の増殖を阻害する
図3A及び3B:マウスCDXモデル
成体メスSCID-bg(Fox Chase SCID Beigeマウス)又はSCID CB.17(Fox Chase SCIDマウス)マウス(およそ22g)を、Charles River(Wilmington、MA)から得た。Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care International(AAALAC)により承認された施設内で、定常的な空気循環を備える固形底プレキシガラスケージに、マウスを10匹の群で収容した。動物を、12時間明:暗周期の明期に試験した。
【0089】
NCI-H69(「H69」)、NCI-H1963(「H1963」)及びNCI-H526(「H526」)細胞を、American Type Culture Collection(ATCC、Manassas、VA)から得た。細胞を10% RPMI-1640培地で維持した。細胞培養培地は、Invitrogen(Carlsbad、CA)から得、10%ウシ胎児血清(Hyclone、Logan、UT)を添加した。
【0090】
500万個の細胞を、0日目にマウスの右側腹部に皮下接種した。注射体積は、培養培地及びマトリゲル(BD、Franklin Lakes、NJ)の1:1混合物から構成される0.1mLであった。腫瘍をおよそ200mmにサイズ適合させた。療法を、腫瘍をサイズ適合させてから24時間後に開始した。4つの処理群が存在した:(1)媒体、(2)ADC-1、(3)ADC-2及び(4)トポテカン(ADC-1、ADC-2及びトポテカンは媒体中で製剤化した)。各々を1日1回投与した。腫瘍体積を週に2~3回算出した。腫瘍の長さ(L)及び幅(W)の測定を電子キャリパーにより行い、体積を次の式:V=LxW/2に従って算出した。
【0091】
図3C~3D:マウスPDXモデル
SCLC患者由来異種移植片(PDX)モデルを、以前に記載されたようにステージIV腫瘍から樹立し(Anderson、ら 2015 PLoS One;PMID:25955027)、マウスにおいて継代して、有効性研究のため、NOD/SCID免疫不全マウスの右下乳腺脂肪体の皮下に単一細胞懸濁液を注射するのに十分な細胞数を発生させた。腫瘍細胞を注射すると、長さ及び幅を測定するためキャリパーを使用して腫瘍体積を収集し、楕円の式(体積=長さx幅x幅x0.5、幅が長さよりも短い場合;単位:mm)を使用して腫瘍体積を算出した。腫瘍が90~300mmの範囲に達した後、マウスを、1群あたりマウス5~10匹の処理群にランダム化し、各群はおよそ同じ平均腫瘍体積を有していた。マウスのランダム化された処理群は、以下のものを投与された:単回腹腔内(ip)用量としての媒体;トポテカン標準治療(Hospira;0.5mg/kg 1日1回で、5合計用量がip投与された;0.9%生理食塩水で製剤化);又はADC(ADC-1又はADC-2;媒体中で製剤化)、各々が単回ip用量として投与された。腫瘍体積を経時的にモニタリングすることにより有効性を測定し、GraphPad Prismでデータをプロットした。
【0092】
治療応答の大きさ(TGImax)及び永続性(TGD)のパラメーターを、薬物の有効性を表すのに使用した。TGImaxは、実験中の最大腫瘍増殖阻害である。腫瘍増殖阻害(TGI)は100(1-T/C)により算出し、式中、T及びCは、それぞれ処理及び対照群の平均腫瘍体積である。TGD又は腫瘍増殖遅延は、対照群と比較して延長された、体積1cmに達するのに必要な、処理腫瘍についての時間であった。TGDは100(T/C-1)により算出し、T及びCは、それぞれ処理及び対照群の、1cmに達するまでの期間の中央値である。
【0093】
結果:
H1963担腫瘍マウスにおいて単一薬剤として投与されると、ADC-1は、(TGImax=94%、p=0.002)で腫瘍増殖を有意に阻害し、TGD472%超の長続きする応答を引き起こした。H526細胞株では、ADC-1阻害剤は、(TGImax=97.4%、p0.001以下)で腫瘍増殖を有意に阻害し、TGD336.7%の長続きする応答を引き起こした(図3A及び図3B)。
【0094】
ADC-1処理は、(1)細胞株異種移植片(CDX;H1963)及び(2)患者由来異種移植片(PDX;LU95及びLU149)モデルにおいて、長続きする応答(検出可能な疾患なし)を発生させた。強い有効性(30日超の間、測定可能な疾患なし)が、増殖が速い高悪性度のH526CDXモデルにおいて観察され、媒体処理された腫瘍は17日間で2000mm超に増殖した。非標的指向性ADC-2ではほとんど応答がなかった(中程度の腫瘍増殖遅延~腫瘍増殖遅延なし)ことから、有効性応答はSEZ6標的特異的であった。ADC-1は、ヒト臨床曝露を概算するための用量及びレジメンで1サイクルとして投与された、SCLCについての第二選択標準治療であるトポテカンよりも有効であった(図3A~D)。
【0095】
【表3】
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図3A
図3B
図3C
図3D
【配列表】
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【外国語明細書】