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特開2024-31975アンテナ試験チャンバのクワイエットゾーン内にDUTのアンテナ要素を位置決めするシステム
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  • 特開-アンテナ試験チャンバのクワイエットゾーン内にDUTのアンテナ要素を位置決めするシステム 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031975
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】アンテナ試験チャンバのクワイエットゾーン内にDUTのアンテナ要素を位置決めするシステム
(51)【国際特許分類】
   G01R 29/08 20060101AFI20240229BHJP
   H04B 17/15 20150101ALI20240229BHJP
   H04B 17/29 20150101ALI20240229BHJP
   H01Q 3/02 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
G01R29/08 A
H04B17/15
H04B17/29
H01Q3/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023137475
(22)【出願日】2023-08-25
(31)【優先権主張番号】17/896,569
(32)【優先日】2022-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514046574
【氏名又は名称】キーサイト テクノロジーズ, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【氏名又は名称】池本 理絵
(72)【発明者】
【氏名】ミヌ・ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・ダグラス・ファンヴィッゲレン
【テーマコード(参考)】
5J021
【Fターム(参考)】
5J021AA09
5J021DA02
5J021DA04
5J021DA07
5J021JA10
(57)【要約】
【解決手段】 被試験デバイス(DUT)をオーバー・ジ・エアー(OTA)で試験するシステム100は、プローブアンテナ110と、方位角ポジショナ105と、リニアポジショナ120と、ロールポジショナ130とを備える。プローブアンテナ110は、DUTからの放射フィールドを測定し、DUTのアクティブアンテナ要素に対して照射することによって放射フィールドをDUTに放射する。方位角ポジショナ105は、方位軸の周りに第1の平面内でDUTを回転させる。リニアポジショナ120は、システム100のクワイエットゾーン内に留まるように、第1の平面に直交する第2の平面内の第1のY軸に沿ってDUTを直線的に駆動し、第2の平面内の第1のY軸に垂直な第2のX軸に沿ってDUTを直線的に駆動する。ロールポジショナ130は、第2の平面と方位角ポジショナ105との間に設けられ、方位軸に直交するロール軸の周りにDUTを回転させるように構成されている。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試験デバイス(DUT)をオーバー・ジ・エアー(OTA)で試験するシステム(100)であって、
送信試験において前記DUTからの放射フィールドを測定し、前記DUTのアクティブアンテナ要素へと電磁波を放出することによって、受信試験において前記DUTに対して放射フィールドを放射するように構成されたプローブアンテナ(110)と、
1つ以上の直交軸の周りに前記DUTを回転させるように構成された回転ポジショナと、
前記システム(100)のクワイエットゾーン内に留まるように、第1のY軸に沿って前記DUTを直線的に駆動するように構成され、前記第1のY軸に垂直な第2のX軸に沿って前記DUTを直線的に駆動するように構成されたリニアポジショナ(120)と
を備えるシステム。
【請求項2】
前記回転ポジショナは、方位角ポジショナ(105)及びロールポジショナ(130)を備える、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項3】
前記回転ポジショナは、前記DUTを任意の2つの直交軸の周りに回転させて、前記DUTを4*πステラジアンにわたって回転させるように構成されている、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項4】
前記リニアポジショナ(120)は、前記DUTと前記回転ポジショナとの間に取り付けられ、第1のY軸及び第2のX軸に沿って前記DUTを直線的に移動させるようになっている、請求項2に記載のシステム(100)。
【請求項5】
前記方位角ポジショナ(105)の回転を駆動するように構成された第1のモータ(107)と、
前記ロールポジショナ(130)の回転を駆動するように構成された第2のモータ(137)と、
前記第1のモータ(107)を制御して前記方位角ポジショナ(105)の回転を駆動するように構成され、前記第2のモータ(137)を制御して前記ロールポジショナ(130)の回転を駆動するように構成されたコントローラと
を更に備える、請求項2に記載のシステム(100)。
【請求項6】
前記DUTと前記回転ポジショナとの間で、前記第1のY軸に沿って、かつ前記第2のX軸に沿って前記DUTを直線的に駆動するようになっている、前記リニアポジショナ(120)を駆動するように構成された第3のモータを更に備え、前記コントローラは、前記第3のモータを制御して前記リニアポジショナ(120)を駆動し、前記第1のY軸に沿って、かつ前記第2のX軸に沿って前記DUTを駆動するように構成されている、請求項5に記載のシステム(100)。
【請求項7】
前記システム(100)は、前記DUTのアンテナ又はアンテナアレイのアクティブ要素を前記システム(100)の前記クワイエットゾーン内の中心に配置するように構成されている、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項8】
前記DUTは、1つ以上のアンテナ又はアンテナアレイを備え、
前記システム(100)は、第1の時間において前記DUTの前記第1のアンテナアレイの第1のアクティブ要素を前記クワイエットゾーン内の中心に配置し、第2の時間において前記第2のアンテナアレイの第2のアクティブ要素を前記クワイエットゾーン内の中心に配置するように構成されている、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項9】
前記1つ以上のアンテナ又はアンテナアレイは、互いに物理的に分離されている、請求項8に記載のシステム(100)。
【請求項10】
リニアポジショナ(120)は、第1のリニアポジショナ(120)と第2のリニアポジショナ(120)とを含み、前記第1のリニアポジショナ(120)は、前記方位角ポジショナ(105)の下に、前記プローブアンテナ(110)からのビームの波面に対して平行に取り付けられ、前記第2のリニアポジショナ(120)は、前記方位角ポジショナ(105)の上に、前記第1のリニアポジショナ(120)に対して垂直に取り付けられる、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項11】
前記プローブアンテナ(110)からの発散ビームをコリメートするように構成された放物面反射器(490)を更に備える、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項12】
前記システム(100)は、前記送信試験中及び前記受信試験中の任意の一時点において、前記DUT内の全てのアンテナ要素よりも少ないアンテナ要素に対して照射するように構成されている、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項13】
前記1つ以上の直交軸は、方位軸、仰角軸、又はロール軸を含む、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項14】
被試験デバイス(DUT)をオーバー・ジ・エアー(OTA)で試験するシステム(100)であって、
送信試験において前記DUTからの放射フィールドを測定し、前記DUTのアクティブアンテナ要素へと放出することによって受信試験において前記DUTに向けて放射フィールドを放射するように構成されたプローブアンテナ(110)と、
前記DUTの前記アクティブアンテナ要素へと放出するように構成されたプローブアンテナ(110)と、
前記プローブアンテナ(110)からの発散ビームをコリメートするように構成された放物面反射器(490)と、
前記プローブアンテナ(110)の開口を前記放物面反射器(490)の焦点に維持しながら、前記プローブアンテナ(110)の指向角を調整するように構成されているモータと、
モータを制御して前記プローブアンテナ(110)の前記移動を駆動するように構成されているコントローラと
を備えるシステム。
【請求項15】
被試験デバイス(DUT)をオーバー・ジ・エアー(OTA)で試験する方法であって、
送信試験において前記DUTからの放射フィールドを測定することと、
前記DUTのアクティブアンテナ要素へと照射することによって、受信試験において前記DUTに向けて放射フィールドを放出することと、
方位軸の周りに第1の平面内で前記DUTを回転させることと、
クワイエットゾーン内に留まるように、前記第1の平面に直交する第2の平面内の第1のY軸に沿って直線的に前記DUTを駆動し、前記第2の平面内の前記第1のY軸に垂直な第2のX軸に沿って直線的に前記DUTを駆動することと、
前記方位軸に直交するロール軸の周りに前記DUTを回転させることと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
オーバー・ジ・エアー(OTA:over-the-air(無線))測定システムは、送信試験条件において被試験デバイス(DUT:device-under-test)からの放射電磁界を測定し、及び/又は受信試験条件においてDUTを放射電磁界にさらす(つまり、DUTからの放射電磁界を測定し、又はDUTを放射電磁界にさらす、あるいはそれらの両方の)プローブアンテナを含むことができる。現実の世界の試験条件をエミュレートするために、DUT内のアンテナ要素は、プローブアンテナから遠方界(far-field)距離にあることが必要である。遠方界条件では、プローブアンテナ及びDUTの両方のアンテナ要素は、DUT及びプローブアンテナの他方からのビーム内の電磁界の平坦な波面(wave front)を受ける。遠方界条件が満たされない場合は、プローブアンテナのアンテナ要素及びDUTは、球形の波面にさらされている。
【0002】
直接遠方界(DFF:direct far-field)システムは、プローブアンテナに直接DUTを露出させることができる。試験に必要な空間を低減するために、コンパクトアンテナテストレンジ(CATR:compact antenna test range)により、放物面反射器を使用して、放物面反射器の焦点でプローブアンテナからの発散ビームをコリメートして反射することができる。直接DFFシステム又はCATRのいずれにおいても、DUTは、遠方界条件下でDUTのアンテナ要素を試験するために、クワイエットゾーン(quiet zone)内に配置される。任意の内部チャンバにおけるクワイエットゾーンとは、プローブアンテナからの電磁界の波面が、指定した限度内でほぼ理想的な平坦性を有する試験ゾーンである。
【0003】
OTA測定システムにおけるクワイエットゾーンのサイズは、複数の要因によって決定される。DFF試験システムでは、これらの要因には、プローブアンテナからのビームの幅、及びDUTとプローブアンテナとの間の距離が含まれる。CATRのセットアップでは、クワイエットゾーンのサイズは、プローブアンテナからのビームの幅と、放物面反射器の焦点距離及びサイズとによって決定される。
【0004】
DFFシステム又はCATRシステムのいずれにおいても、DUTとプローブアンテナとの間の経路における経路損失は、周波数が高くなるにつれて増加するが、CATRシステムでは、ビームがコリメートされ、放物面反射器から反射された後に経路損失が減少する。CATRシステムはまた、プローブアンテナと反射器との間の距離を最小化して、経路損失を最小化するように設計することができる。概して、クワイエットゾーンが大きいと、クワイエットゾーンをカバーするために必要なビームの幅及び伝搬距離が大きくなるため、経路損失が大きくなる。
【0005】
DUTによって使用される周波数が高くなるにつれて、DUTはますます電力の制約を受ける可能性がある。例えば、ミリ波及びサブテラヘルツ(THz)のOTAシステム(mm-wave and sub-teraheltz (THz) OTA system)において使用される高周波数では、デバイスの電力は制限される。ミリ波及びサブテラヘルツ等の高い周波数の使用に伴い、OTA測定システムは、利得及びビーム幅が反比例するため、ビーム幅が狭くなるような高い指向性を有する高利得プローブアンテナを使用することが多くなっている。ビーム幅を狭くすることで、電力測定の感度が改善される。
【0006】
DUTに入射するビームは、プローブアンテナからのビームの波の位相面(wave phase front)の形状に加えて、ビームの幅に対応する振幅特性も有しており、該振幅特性は、プローブアンテナからのビームのビームパターンに基づいている。ビームの幅は、DUTの照射範囲を最大化することと、電力が制約されたDUTに対するビームの利得及び指向性を最大化することとの間のバランスに基づいて選択される。ビームの波面(wave front)は、OTAシステムのクワイエットゾーン内のDUTに入射する必要があり、該波面は、ビームの波面が入射するDUTを照射するスポットに類似している。電力の制約なしに使用可能なプローブアンテナでは、許容可能なスポットサイズと達成可能な利得の大きさとの間に反比例の関係が存在する。
【0007】
携帯電話等のDUTは時代とともに大型化しており、現在のDUTの中には、試験対象の2つ以上のアンテナアレイを有しているものもある。これらのDUTの各アンテナアレイを試験にさらす必要がある。DUTよりも大きい波面を有するビームを使用すること、又は更には、DUTの複数のアンテナアレイの一部若しくは全てはおろか、DUTの1つのアンテナアレイさえも照射するのに十分に大きい波面を有するビームを使用することが、実用的ではない場合がある。5G又は6GのDUTを試験するため等の高周波ビームの場合、OTAシステムのクワイエットゾーンにおいてDUTが照射されるビームの幅は、DUTよりも小さい場合があり、DUTの個々のアンテナアレイよりも更に小さい場合がある。DUT内の放射要素の全範囲にわたって延在しない小さなクワイエットゾーンでは、利得、総放射電力(TRP:total radiated power)、等価等方放射電力(EIRP:equivalent isotropic radiated power)、サイドローブレベル(side lobe level)、及びヌル深度(null depth)等の試験パラメータにおける測定誤差が生じる可能性がある。アンテナ要素がDUTの中心からオフセットされている場合、及び/又はクワイエットゾーンがDUTの全範囲をカバーするほど十分に大きくない場合(つまり、アンテナ要素がDUTの中心からオフセットされている場合、又はクワイエットゾーンがDUTの全範囲をカバーするほど十分に大きくない場合、あるいはそれらの両方の場合)、DUTがDUTポジショナ上で回転されるときに放射要素がクワイエットゾーンの外側に出てしまうことから、測定誤差が生じる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、少なくとも上述のシステムの欠点を克服する、DUTを試験するシステムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
例示的な実施形態は、添付の図面と併せて読むと、以下の詳細な説明から最も深く理解される。種々の特徴は必ずしも縮尺通りに描かれていないことを強調したい。実際には、検討を明確にするために、寸法が任意に拡大又は縮小される場合がある。適用可能で、実用的な場合にはいつでも、同じ参照番号が同じ要素を指している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】代表的な実施形態による、被試験デバイス(DUT)制御のためのシステムの正面図を示す図である。
図1B】代表的な実施形態による、図1Aの被試験デバイス(DUT)制御のためのシステムの正面図を示し、方位角(azimuth)ポジショナは、図1Aの向きから90度回転している。
図2A】代表的な実施形態による、被試験デバイス(DUT)制御のためのシステム用のロールオーバ方位角(roll-over-azimuth)DUTポジショナを示す図である。
図2B】代表的な実施形態による、被試験デバイス(DUT)制御のためのシステム用のXYオーバロールオーバ方位角(XY-over-roll-over-azimuth)DUTポジショナを示す図である。
図2C】代表的な実施形態による、図2BのXYオーバロールオーバ方位角DUTポジショナと同等のシステムを示す図である。
図3】代表的な実施形態による、被試験デバイス(DUT)制御のための分離されたリニアポジショナを有する試験システムを示す図である。
図4A】代表的な実施形態による、被試験デバイス(DUT)測定のためのシステム用の直接遠方界システムを示す図である。
図4B】代表的な実施形態による、被試験デバイス(DUT)測定のためのシステム用のコンパクトアンテナテストレンジ(CATR)を示す図である。
図5】代表的な実施形態による、被試験デバイス(DUT)制御のためのシステムにおけるDUTアンテナアレイ間の切り替えを示す図である。
図6】代表的な実施形態による、被試験デバイス(DUT)制御の方法を示す図である。
図7】代表的な実施形態による、被試験デバイス(DUT)測定におけるプローブ制御のための別のシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の詳細な説明では、説明のためであり、限定するものではないが、本教示による実施形態を完全に理解してもらうために、具体的な詳細を開示する代表的な実施形態について述べる。しかしながら、本明細書において開示する具体的な詳細から逸脱するが、本開示と矛盾しない他の実施形態も依然として、添付の特許請求の範囲内にある。代表的な実施形態の説明を不明瞭にするのを避けるために、既知のシステム、デバイス、材料、動作方法及び製造方法の説明は省略される場合がある。しかし、当業者の理解の範囲内にあるシステム、デバイス、材料及び方法は、本教示の範囲内にあり、代表的な実施形態に従って使用される場合がある。本明細書において使用される用語は特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものでないことは理解されたい。本明細書の用語の定義及び説明は、用語の科学技術的な意味に加えて、本教示の技術分野において一般に理解され、受け入れられるような意味を有する。
【0012】
種々の要素又は構成要素を説明するために、本明細書において第1の、第2の、第3の等の用語が使用される場合があるが、これらの要素又は構成要素はこれらの用語によって限定されるべきではないことは理解されたい。これらの用語は、或る要素又は構成要素を別の要素又は構成要素から区別するためにのみ使用する。したがって、以下に論じられる第1の要素又は構成要素は、本発明の概念の教示から逸脱することなく、第2の要素又は構成要素と呼ぶことができる。
【0013】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、「一つの(a、an)」及び「その、前記(the)」という単数形の用語は、文脈上、他の意味として明確に指示される場合を除いて、単数形及び複数形の両方を含むことを意図している。さらに、「備える、含む(comprises、comprising)」という用語及び/又は類似の用語(つまり、「備える、含む(comprises、comprising)」という用語、又は類似の用語、あるいはそれらの両方の用語)は、本明細書において使用されるときに、言及される特徴、要素及び/又は構成要素(つまり、特徴、要素、又は構成要素、あるいはそれらの全て)の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、要素、構成要素及び/又はそのグループ(つまり、特徴、要素、構成要素、又はそのグループ、あるいはそれらの全て)の存在又は追加を除外しない。本明細書において使用される場合、「及び/又は(and/or)」という用語は、関連して列挙される項目のうちの1つ以上の項目のありとあらゆる組み合わせを含む。
【0014】
本開示は、それゆえ、その種々の態様、実施形態及び/又は具体的な特徴若しくはサブ構成要素のうちの1つ以上を通して、以下に具体的に言及されるような利点のうちの1つ以上を明らかにすることを意図している。
【0015】
本明細書において説明されるように、被試験デバイス(DUT)制御のためのシステムは、システム内でDUTを動的に位置決めするための位置決め構造を使用して、サブテラヘルツ(sub-teraheltz)及びミリ波(mm-wave)のデバイスOTAを試験するため等のクワイエットゾーンに必要なサイズを低減することができる。アクティブ放射アンテナ要素の位置が既知であるホワイトボックス試験条件の場合、システムは、DUTがクワイエットゾーンよりも大きい場合等に、クワイエットゾーン内でDUTのアンテナアレイを中心に配置することができる。DUTポジショナがDUTを回転させるときに、DUTの放射要素を小さなクワイエットゾーン内に維持することができる。
【0016】
有益には、被試験デバイス制御は、本明細書において説明される機構を使用して、遠方界OTA測定システムのクワイエットゾーン内のビームの電磁界の照射内にDUTのアンテナアレイの放射要素を維持する動的な能力を提供する。
【0017】
本開示の一態様によれば、被試験デバイス(DUT)をオーバー・ジ・エアー(OTA)で試験するシステムは、送信試験においてDUTからの放射フィールド(radiated field)を測定し、DUTのアクティブアンテナ要素に電磁波を放出することによって受信試験においてDUTに放射フィールドを放射するように構成されたプローブアンテナと、1つ以上の直交軸の周りにDUTを回転させるように構成された回転ポジショナと、このシステムのクワイエットゾーン内に留まるように、第1のY軸(例えば、以下で説明するY’’軸)に沿ってDUTを直線的に駆動し、第1のY軸に垂直な第2のX軸(例えば、以下で説明するX’’軸)に沿ってDUTを直線的に駆動するように構成されたリニアポジショナとを備える。
【0018】
本開示の別の態様によれば、被試験デバイス(DUT)をオーバー・ジ・エアー(OTA)で試験するシステムが説明される。本システムは、送信試験においてDUTからの放射フィールドを測定し、DUTのアクティブアンテナ要素へと放出することによって受信試験においてDUTに放射フィールドを放射するように構成されたプローブアンテナと、DUTのアクティブアンテナ要素へと放出するように構成されたプローブアンテナと、プローブアンテナからの発散ビームをコリメートするように構成された放物面反射器と、プローブアンテナの開口を放物面反射器の焦点に維持しながら、プローブアンテナの指向角(pointing angle)を調整するように構成されたモータと、モータを制御してプローブアンテナの移動を駆動するように構成されたコントローラとを備える。
【0019】
本開示の更なる態様によれば、被試験デバイス(DUT)をオーバー・ジ・エアー(OTA)で試験する方法が説明される。本方法は、送信試験においてDUTからの放射フィールドを測定することと、DUTのアクティブアンテナ要素に対して照射することによって、受信試験においてDUTに向けて放射フィールドを放射することと、方位軸(azimuth axis)の周りに第1の平面内でDUTを回転させることと、クワイエットゾーン内に留まるように、第1の平面に直交する第2の平面内の第1のY軸に沿って直線的にDUTを駆動し、第2の平面内の第1のY軸に垂直な第2のX軸に沿って直線的にDUTを駆動することと、方位軸に直交するロール軸の周りにDUTを回転させることとを含む。
【0020】
以下で説明される種々の代表的な実施形態において、本教示の種々の態様を実行するために、モータ(例えば、第1のモータ107及び第2のモータ137)を制御するためのコントローラ(例えば、第1のコントローラ109及び第2のコントローラ139)及びメモリ(例えば、メモリ140)が説明される。
【0021】
メモリ(例えば、メモリ140)は、メインメモリ及び/又はスタティックメモリ(つまり、メインメモリまたはスタティックメモリあるいはそれらの両方)を含むことができ、かかるメモリは、1つ以上のバスを介して互いに及びコントローラと通信することができる。メモリは、本明細書において説明する方法及びプロセスの一部又は全ての態様を実施するために使用される命令を記憶又は格納する。メモリは、例えば、任意の数、種類、及び組み合わせのランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory)及び読み出し専用メモリ(ROM:read-only memory)によって実装することができて、プロセッサによって実行されると、本教示による種々のステップ及び方法をプロセッサに実施させる命令としての役割を果たす、ソフトウェアアルゴリズム等の種々の種類の情報をメモリに記憶することができる。さらに、本明細書において説明される方法及びプロセスに対する更新もメモリに記憶されうる。
【0022】
種々の種類のROM及びRAMは、ディスクドライブ、フラッシュメモリ、電気的プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM:electrically programmable read-only memory)、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM:electrically erasable and programmable read only memory)、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、テープ、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM:compact disk read only memory)、デジタル多用途ディスク(DVD:digital versatile disk)、フロッピーディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク(ブルーレイディスク)、ユニバーサルシリアルバス(USB:universal serial bud)ドライブ、又は当技術分野で知られている任意の他の形態の記憶媒体等、任意の数、種類、及び組み合わせのコンピュータ可読記憶媒体を含みうる。メモリ140は、データ及び実行可能ソフトウェア命令を記憶するための有形記憶媒体であり、ソフトウェア命令がその中に記憶されている間は非一時的である。本明細書において使用される場合、「非一時的」という用語は、状態の永続的な特徴としてではなく、或る期間にわたって続く状態の特徴として解釈されるべきである。「非一時的」という用語は、任意の時間に任意の場所に一時的にのみ存在する搬送波若しくは信号又は他の形態の特性等の瞬間的な特性を明確に排除する。メモリは、以下で説明するシステムの種々の機能の実行を可能にするソフトウェア命令及び/又はコンピュータ可読コード(つまり、ソフトウェア命令又はコンピュータ可読コードあるいはそれらの両方)(集合的に「命令」と称される)を記憶することができる。メモリは、セキュア及び/又は暗号化(つまり、セキュア又は暗号化あるいはそれらの両方)、又は非セキュア及び/又は非暗号化(つまり、非セキュア又は非暗号化あるいはそれらの両方)でありうる。
【0023】
「メモリ(memory)」は、コンピュータ可読記憶媒体の一例であり、場合によっては複数のメモリ又はデータベースであると解釈されるべきである。メモリ又はデータベースは、例えば、コンピュータに対してローカルな、及び/又は複数のコンピュータシステム若しくはコンピューティングデバイスの間で分散された(つまり、コンピュータに対してローカルな、又は複数のコンピュータシステム若しくはコンピューティングデバイスの間で分散された、あるいはそれらの両方の)、又は既知の構成要素及び方法に従って「クラウド」内に配置された複数のメモリ又はデータベースでありうる。コンピュータ可読記憶媒体は、米国特許法第101条の下で特許性のある主題を構成する任意の媒体であると定義され、米国特許法第101条の下で特許性のある主題を構成しない任意の媒体を除外する。かかる媒体の例は、コンピュータ又はデータ処理システムによって可読フォーマットで情報を記憶するコンピュータメモリデバイス等の非一時的媒体を含む。非一時的媒体のより具体的な例には、コンピュータディスク及び不揮発性メモリが含まれる。
【0024】
以下で説明される種々のコントローラ(例えば、第1のコントローラ109及び第2のコントローラ139)は、1つ以上の処理デバイスを表し、本明細書の種々の実施形態において説明されるような機能を実行するためにメモリに記憶されたソフトウェア命令を実行するように構成されている。コントローラは、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ハードワイヤード論理回路、又はそれらの組み合わせの任意の組み合わせを使用して、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、システムオンチップ(SOC:system on a chip)、汎用コンピュータ、中央処理ユニット、コンピュータプロセッサ、マイクロプロセッサ、グラフィックス処理ユニット(GPU:graphical processing unit)、マイクロコントローラ、状態機械、プログラマブル論理デバイス、又はそれらの組み合わせによって実装されうる、プロセッサを備える。加えて、本明細書における任意の処理ユニット又はプロセッサは、複数のプロセッサ、並列プロセッサ、又は両方を含みうる。複数のプロセッサが、単一のデバイス又は複数のデバイスに含まれるか、又は結合されうる。
【0025】
本明細書において使用される場合、「プロセッサ(processor)」という用語は、プログラム又は機械実行可能命令を実行することができる電子構成要素を包含する。「プロセッサ」を備えるコンピューティングデバイスへの言及は、マルチコアプロセッサのように、2つ以上のプロセッサ又は処理コアを含むと解釈されるべきである。プロセッサはまた、単一のコンピュータシステム内の、又はクラウドベース若しくは他のマルチサイトアプリケーション等の複数のコンピュータシステム間に分散されたプロセッサの集合を指す場合もある。コンピューティングデバイスという用語はまた、それぞれが単数又は複数のプロセッサを含むコンピューティングデバイスの集合又はネットワークを含むと解釈されるべきである。モジュールは、同じコンピューティングデバイス内にありうるか、又は複数のコンピューティングデバイスにわたって分散されうる1つ又は複数のプロセッサを使用して種々の機能を実行するためのソフトウェア命令を有する。
【0026】
図1Aは、代表的な実施形態による、被試験デバイス(DUT)制御のためのシステムの正面図を示している。
【0027】
図1Aのシステム100は、被試験デバイス(DUT)を試験するためのオーバー・ジ・エアー(OTA)システムである。システム100は、方位角ポジショナ(AP:azimuth positioner)105と、プローブアンテナ110と、第1のモータ107と、第1のコントローラ109と、リニアポジショナ(LP)120と、ロールポジショナ(RP)130と、第2のモータ137と、第2のコントローラ139と、メモリ140とを含む。
【0028】
図1Aの方位角ポジショナ105は、ロールポジショナ130、リニアポジショナ120及びDUTを支持する。ロールポジショナ130は、リニアポジショナ120(図1B参照)の背後に配置され、リニアポジショナ120及びDUTを支持する。リニアポジショナ120は、DUTがリニアポジショナ120上に移動可能に位置決めされるように、DUTを支持する。特に、DUTは、通常、リニアポジショナ120に取り付けられた固定具(図示せず)に固定される。
【0029】
方位角ポジショナ105は、ロールポジショナ130、リニアポジショナ120、及びDUTを、第1の平面に平行に、かつ方位軸の周りに回転させるように構成されている。方位軸は、垂直方向(図1Aの座標系によるY方向)における方位角ポジショナ105の回転軸でありうる。第1の平面は、図1A及び図1BのX軸及びZ軸によって画定される平面でありうる。換言すれば、第1の平面は、システム100を支持するシステム100の下の地面(図1A及び図1BのX-Z平面)又は構造の表面に平行でありうる。方位軸は、方位角ポジショナ105の回転中心でありえて、図1A及び図1BのY方向に延在することができる。図1A及び図1Bに関連して説明される実施形態の-Y方向(負のY方向)は、重力の方向に対応しうる。方位角ポジショナ105は第1のモータ107によって駆動され、第1のモータは第1のコントローラ109によって制御される。図1AのX’Y’Z’座標系は、固定されたY’軸がY軸に平行であり、回転の方位軸を示すが、X’軸及びZ’軸はY’軸の周りに回転するように、方位角ポジショナ105の回転とともに移動/変換する。
【0030】
プローブアンテナ110は、送信試験においてDUTからの放射フィールドを測定し、DUTのアンテナアレイのアクティブアンテナ要素へと放出することによって受信試験においてDUTに向けて放射フィールドを放射するように構成されている。図1Aの他の特徴を不明瞭にすることを避けるために、図1Aのプローブアンテナは、図1Aの方位角ポジショナ105、ロールポジショナ130、リニアポジショナ120、及びDUTに対してオフセットされて示されている。しかしながら、動作中、プローブアンテナ110は、図1B及び図4Aに示すように、システム内のDUTに隣接して(DUTの直前の位置に)配置されうる。コンパクトアンテナテストレンジ(CATR)用途では、プローブアンテナ110は、図4B及び図7に示されるような介在する放物面反射器に対してオフセットして配置されうる。
【0031】
第1のモータ107は、例示的に、既知の精密ステッパモータ、又はサーボモータ(servo motor)(「サーボ」)、又は直接駆動モータ(direct drive motor)である。第1のモータ107は、方位角ポジショナ105の回転を駆動するように構成されている。第1のモータ107は、第1のコントローラ109によって制御される。第1のモータ107は、電気モータでありえる。
【0032】
以下でより完全に説明するように、第1のコントローラ109は、第1のモータ107を制御して方位角ポジショナ105の回転を駆動するように構成されている。一例として、第1のコントローラ109は、少なくとも、命令を記憶するメモリと、命令を実行して第1のモータ107を試験パターンで系統的に制御するプロセッサとを含みうる。第1のコントローラ109は、メモリ140に記憶されたソフトウェア命令を実行することによって、試験計画に従って、第1のモータ107を制御して、方位角ポジショナ105の回転を駆動することができる。
【0033】
リニアポジショナ120は、システム100のクワイエットゾーン内に留まるようにDUTを駆動するように構成されている。以下でより詳細に説明するように、リニアポジショナ120は、DUTを、第1の平面(例えば、図1A及び図1Bの座標系におけるY-Z平面)に垂直な第2の平面において第1の軸(例えば、図1A及び図1Bの座標系におけるX方向)に沿って直線的に駆動するとともに、第1の軸に垂直な第2の平面において第2の軸(例えば、図1A及び図1Bの座標系におけるY方向)に沿って直線的に駆動するように構成されている。リニアポジショナ120は、第1の軸及び第2の軸に沿ってDUTを駆動及び操向(steer)するための別個の機構を含みうる。例えば、リニアポジショナ120は、第1の軸に沿ってDUTを駆動するための1つ以上の第1のギア及び/又はシャフト(つまり、第1のギア又は第1のシャフトあるいはそれらの両方)と、第2の軸に沿ってDUTを駆動するための1つ以上の第2のギア及び/又はシャフト(つまり、第2のギア又は第2のシャフトあるいはそれらの両方)とを含みうる。
【0034】
リニアポジショナ120は、DUTを駆動しながら、図1A及び図1Bのシステム100の方位角ポジショナ105又は他の要素を移動させることなく動作することができる。図1A及び図1Bに示すように、第1の軸はX’’軸でありえて、第2の軸はY’’軸でありうる。第1の軸及び第2の軸は、必ずしも常に従来のX’’(水平方向)及び従来のY’’(垂直方向)である必要はなく、代わりに、リニアポジショナ120及びDUTがロールポジショナ130によって回転されているとき等に、依然として同一平面上にあり、互いに垂直でありながら、従来のX’’方向及びY’’方向からオフセットさせることができる。リニアポジショナ120は、一度にX’’方向又はY’’方向等の一方向にDUTを直線的に駆動し、次いで別の時間にY’’方向又はX’’方向等の別の方向にDUTを駆動するように構成することができる。
【0035】
第2のモータ137は、リニアポジショナ120を駆動するように構成することができて、第2のコントローラ139によって制御される。第1のモータ107と同様に、第2のモータ137は、例示的に、既知の精密ステッパモータ、又はサーボモータ(「サーボ」)、又は直接駆動モータである。あるいは、第2のモータ137は、手動リニアステージ(manual linear stage)でありうる。第2のモータ137は、メモリ140に記憶された命令の実行時に第2のコントローラ139によって制御されるステッパモータでありうる。リニアポジショナ120は、第2のモータ137によって駆動されて、DUTを1つ以上の特定の測定位置に移動させることができる。第2のコントローラ139は、第2のモータ137を制御してリニアポジショナ120を駆動するように構成されうる。一例として、第2のコントローラ139は、少なくとも、命令を記憶するメモリと、命令を実行して第2のモータ137を試験パターンで系統的に制御するプロセッサとを含みうる。第2のコントローラ139は、メモリ140に記憶されたソフトウェア命令を実行することによって、試験計画に従って、第2のモータ137を制御して、リニアポジショナ120を第1の軸に沿って直線的に、かつ第2の軸に沿って直線的に駆動することができる。
【0036】
特に、第1のコントローラ109及び第2のコントローラ139は、単一/マスタコントローラによって置換することができて、第1のモータ107及び第2のモータ137は、単一モータによって置換することができる。単一/マスタコントローラは、メモリ140に記憶されたソフトウェア命令を実行することによって、試験計画に従って、1つ以上のモータを制御してポジショナを駆動するようになっている。
【0037】
幾つかの実施形態において、リニアポジショナ120は、第1のコントローラ109の制御下で第2のモータ137によって駆動されうるため、第2のコントローラ139は、省略することができる。他の実施形態において、リニアポジショナ120は、第1のコントローラ109の制御下で第1のモータ107によって駆動されうるため、第2のモータ137及び第2のコントローラ139の両方を省略することができる。すなわち、図1A及び図1Bに基づく実施形態において、1つ又は2つ以上のモータを使用することができ、図1A及び図1Bに基づく実施形態において、1つ又は2つ以上のコントローラを使用することができる。あるいは、代表的な実施形態によれば、種々のポジショナが専用コントローラによって制御されるが、上述したように、1つのコントローラを使用して全てのポジショナ及びモータを制御することができる。
【0038】
図1A及び図1Bのロールポジショナ130は、方位角ポジショナ105とリニアポジショナ120との間に配置されている。本明細書に記載の実施形態において、ロールポジショナ130は、ロールポジショナ130が厳密に方位角ポジショナ105とリニアポジショナ120との間にない場合であっても、方位角ポジショナ105と、リニアポジショナ120がDUTを直線的に駆動する第2の平面との間に設けることができる。ロールポジショナ130は、方位軸に直交する第2のロール軸の周りにロールすることができる。さらに、図2C及び図3に示すように、本明細書において説明する第2のロール軸は、ロールポジショナ130の軸である。第2のロール軸は、図1A及び図1Bに示される座標系におけるZ’’方向にあり、ロールポジショナ130の回転中心でありうる。
【0039】
ロールポジショナ130は、第3のモータ(図示せず)、第2のモータ137、又は第1のモータ107によって駆動されうる。ロールポジショナ130を駆動するモータは、第3のコントローラ(図示せず)、第2のコントローラ139又は第1のコントローラ109によって制御されうる。上述の他のモータと同様に、第3のモータは、例示的に、既知の精密ステッパモータ、又はサーボモータ(「サーボ」)、又は直接駆動モータである。
【0040】
DUTは、1つ、2つ、又は3つ以上のアンテナアレイを有するモバイルデバイスでありえる。DUTは、例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータ、又は5Gネットワーク若しくは将来の6Gネットワーク等のブロードバンドセルラーネットワークを介して通信するように構成された別のコンピュータ若しくはデバイスでありえる。システム100は、送信試験においてDUTからの放射フィールドを測定し、受信試験においてDUTに放射フィールドを放射することによって、DUTのワイヤレス能力を試験するように構成されている。
【0041】
図1Aにおいて、システム100は、DUTが球体の周りに回転する間、プローブアンテナ110を固定したままにする。プローブアンテナ110は、球体全体にわたってDUTのパターンをサンプリングすることができる。DUTは、方位角ポジショナ105によって第1の平面内の方位軸の周りに、かつロールポジショナ130の回転軸の周りに回転され(図2C及び図3も参照)、リニアポジショナ120によって第1の軸及び/又は第2の軸(つまり、第1の軸又は第2の軸あるいはそれらの両方)に沿って直線的に駆動される。
【0042】
動作中、システム100は、試験計画が実施されている間、システム100のクワイエットゾーン内の第1の方位角と第2のロールとの交点にDUTを維持することができる。
【0043】
図1Bは、代表的な実施形態による、図1Aの被試験デバイス(DUT)制御のためのシステムの側面図を示している。図1Bに示すシステムの種々の態様及び詳細は、図1Aの代表的な実施形態に関連して説明したものと共通であり、図1Bの代表的な実施形態の本説明を不明瞭にすることを回避するために繰り返さない場合がある。
【0044】
図1Bに示されるように、DUTはリニアポジショナ120上に位置決めされ、リニアポジショナ120はロールポジショナ130上に位置決めされる。ロールポジショナ130は、方位角ポジショナ105の要素上に位置決めされる。その結果、図1Bの座標系のY方向に、DUT、リニアポジショナ120、ロールポジショナ130、方位角ポジショナ105の順に配置される。
【0045】
図1A及び図1Bのリニアポジショナ120は単一の要素として示されているが、リニアポジショナ120は、独立して動作するか又は動作される第1のリニアポジショナ(図示せず)及び第2のリニアポジショナ(図示せず)を含みうる。例えば、第1のリニアポジショナは、DUTをX’’方向に移動させるために第1のギア又は第1のねじ山付きスクリューによって駆動される第1の駆動シャフトを備えることができ、第2のリニアポジショナは、DUTをY’’方向に移動させるために第2のギア又は第2のねじ山付きスクリューによって駆動される第2の駆動シャフトを備えることができる。リニアポジショナ120のうちの第1のリニアポジショナ及び第2のリニアポジショナは、別個のモータによって駆動することができて、かかる別個のモータは、別個のコントローラによって別々に制御されうる。
【0046】
他の利点の中でも、図1A及び図1Bのシステム100は、DUT内の全てのアンテナ要素よりも少ないアンテナ要素が任意の一時点で放出されうるように、クワイエットゾーンのサイズの縮小を可能にする。任意の一時点でプローブアンテナ110からのビームによって放出されるDUTのアンテナ要素は、少なくとも幾つかの非アクティブアンテナ要素を含むことなく、アクティブアンテナ要素を含みうる。有益には、本教示によって与えられるアンテナ要素の必要数の減少は、非アクティブDUT要素上の無駄な照射を最小限に抑えつつ、比較的小さいアクティブDUT領域上の放出をより大きい電力密度で行うことを可能にする。より小さい試験ゾーンにおけるより高い電力密度は、電力制約されたDUTの測定においてより大きいダイナミックレンジを可能にする。より小さいクワイエットゾーンは、プローブアンテナ110からDUTへの、及びDUTからプローブアンテナ110への信号の低減された経路損失をもたらす。経路損失の低減は、プローブアンテナ110からのビームの幅の低減に起因する。プローブアンテナ110のビーム幅は、規定されたサイズのビームフロントでDUTに対して照射するように選択することができる。システム100は、DUTが操作されているときであっても、システム100がDUTのアンテナアレイのアクティブ要素をシステム100のクワイエットゾーン内の中心に配置することができるようなDUTの操作を可能にする。
【0047】
図2Aは、代表的な実施形態による、被試験デバイス(DUT)制御のためのシステム用のロールオーバ方位角(roll-over-azimuth)DUTポジショナを示している。図2AのDUTポジショナの種々の詳細及び態様は、図1A及び図1Bの代表的な実施形態に共通であり、ここで説明されている代表的な実施形態の説明を不明瞭にすることを避けるために繰り返されない場合がある。
【0048】
システム200Aは、ロールオーバ方位角DUTポジショナシステムである。システム200Aは、DUTを試験するようになっている方位角ポジショナ205A及びロールポジショナ230を含む。
【0049】
以下に説明される方位角ポジショナ205A及びロールポジショナ230の移動は、メモリに記憶された命令の実行を通して、コントローラによって制御されるモータによって達成されうる。モータ、コントローラ、及びメモリの多くの態様及び詳細は、図1A及び図1Bに関連して説明した代表的な実施形態に関連して使用することが企図される。これらの共通の態様及び詳細は、概して、ここで説明されている代表的な実施形態を不明瞭にすることを回避するために繰り返されない。
【0050】
図2Aにおいて、移動の矢印によって示されるように、方位角ポジショナ205Aは、図1A及び図1Bに関連して説明される代表的な実施形態に関連して説明される方位角等の垂直方位軸(矢印206によって示される図2Aの座標軸におけるY軸)の周りに回転するように構成されている。方位角ポジショナ205Aは、ロールポジショナ230及びDUTを支持する。方位角ポジショナ205Aは、図1A及び図1Bの第1のモータ107等の第1のモータによって駆動することができて、第1のモータは、図1A及び図1Bの第1のコントローラ109等のコントローラによって制御されうる。
【0051】
ロールポジショナ230は、図1A及び図1Bに基づく実施形態における第2のロール軸等の水平ロール軸(矢印231によって示されるZ軸)の周りに回転するように構成されている。第2のロール軸は、紙面に出入りするZ方向のロールポジショナ230の軸を含みうる。ロールポジショナ230は、図2AのX軸及びY軸によって形成される平面内でDUTの回転を駆動するように構成されている。ロールポジショナ230は、図1A及び図1Bの第2のモータ137等の第2のモータによって駆動することができ、第2のモータは、図1A及び図1Bの第2のコントローラ139等のコントローラによって制御されうる。
【0052】
図2Aにおいて、DUTは、図2B図3及び図5に示すように、第1のアンテナアレイA及び第2のアンテナアレイBを有しうる。システム200Aのクワイエットゾーンは、DUTの第1のアンテナアレイA又は第2のアンテナアレイをカバーするのに十分な大きさであればよい。かかるシステムでは、試験シーケンス中にDUTが方位軸又はロール軸の周りに回転すると、アンテナアレイA又はアンテナアレイBは、いずれかのアレイが方位角ポジショナ及びロールポジショナの両方の回転中心に中心合わせされない限り、クワイエットゾーンから出ることになる。
【0053】
図2Bは、代表的な実施形態による、被試験デバイス(DUT)制御のためのシステム200B用のXYオーバロールオーバ方位角DUTポジショナを示している。図2BのDUTポジショナの種々の詳細及び態様は、図1A図2Aの代表的な実施形態に共通であり、ここで説明されている代表的な実施形態の説明を不明瞭にすることを避けるために繰り返されない場合がある。
【0054】
システム200Bは、方位角ポジショナ205Bと、ロールステージ(図示せず)と、リニアポジショナ220とを含む。システム200Bはまた、方位角ポジショナ205B、ロールステージ、及びリニアポジショナ220を駆動するための1つ以上のモータ及びコントローラを含みうる。
【0055】
方位角ポジショナ205B及びリニアポジショナ220は、メモリに記憶された命令を実行することによってコントローラによって制御されるモータによって駆動されうる。モータ、コントローラ、及びメモリの多くの態様及び詳細は、図1A図2Aに関連して説明した代表的な実施形態に関連して使用することが企図される。これらの共通の態様及び詳細は、概して、ここで説明されている代表的な実施形態を不明瞭にすることを回避するために繰り返されない。
【0056】
図2Bにおいて、方位角ポジショナ205Bは、垂直方位軸(図2Bの座標系におけるY軸)の周りに回転する(矢印206によって示される)ように構成されている。方位角ポジショナ205Bは、ロールステージ、リニアポジショナ220及びDUTが方位角ポジショナ205Bとともに回転するように、ロールステージ、リニアポジショナ220及びDUTを支持する。ロールステージは、図1A及び図1Bのロールポジショナ130及び/又は図2Aのロールポジショナ230(つまり、図1A及び図1Bのロールポジショナ130、又は図2Aのロールポジショナ230、あるいはそれらの両方)と同様又は同一でありえる。ロールステージは、リニアポジショナ220及びDUTをロールさせるために、Z方向の軸の周りに回転(矢印227によって示される)するように構成されうる。図2Bにおいて、DUTは、第1のアンテナアレイA及び第2のアンテナアレイBがリニアポジショナ220を用いた線形位置決めによってクワイエットゾーン内で可変的に中心合わせされうるように、X方向及びY方向にオフセットされうる。
【0057】
リニアポジショナ220は、図1A及び図1Bのリニアポジショナ120に対応することができる。リニアポジショナ220は、図2Bの座標系のX軸及びY軸によって形成される平面内でDUTを直線的に駆動するように構成されている。リニアポジショナ220は、DUTをX方向に駆動し、それとは別にY方向に駆動するように構成されている。図2Bにおいて、リニアポジショナ220は、ロールステージの上方に追加された二軸リニアXYポジショナでありえる。リニアポジショナ220は、方位角ポジショナ205B又はDUTを除く図2Bの他の要素を移動させることなく動作することができる。リニアポジショナ220は、上述のモータのうちの1つ等のモータによって駆動されうる。ロールポジショナは、DUTの重量だけでなくリニアポジショナ220の追加の重量も扱うことができる。
【0058】
図2BのDUTは、第1のアンテナアレイA及び第2のアンテナアレイBを有しうる。リニアポジショナ220は、DUTを駆動して、第1の時間においてDUTの第1のアンテナアレイAの第1のアクティブ要素をシステム200Bのクワイエットゾーン内の中心に配置し、第2の時間においてDUTの第2のアンテナアレイBの第2のアクティブ要素をシステム200Bのクワイエットゾーン内の中心に配置するように構成されている。換言すれば、第1のアンテナアレイA及び第2のアンテナアレイBは、図2Bのシステム200Bを使用して、DUTを再位置決めして、別個の試験のために第1のアンテナアレイA及び第2のアンテナアレイBを再び中心に配置するようにDUTを直線的に駆動することによって、独立して試験することができる。
【0059】
DUTの製造業者は、DUTの各アンテナアレイの位置に関する情報をシステム200Bに提供することができる。高利得プローブアンテナは、比較的小さいクワイエットゾーンにおいて異なる時間に各アンテナアレイを別々に照射することができる。試験に供されるアンテナアレイは、システム200Bによる全回転角度にわたってクワイエットゾーン内に維持される。DUTをクワイエットゾーンの中心のスポットに維持しながら、球体を第1の方位角の周りに360度回転させ、ロールステージを第2のロール軸の周りに回転させる。同じDUT上の別のアンテナアレイが試験される場合、DUTは、他のアンテナアレイがクワイエットゾーンの中心にあるように移動され、次いで、球体上の各位置においてサンプリングが繰り返されうる。サンプリングが全回転角度にわたって実行される間、各アンテナアレイは、システム200B内の第1の方位角ポジショナ及び第2のロールポジショナの回転中心に維持されうる。
【0060】
有益には、図2Bのシステム200Bは、クワイエットゾーンのサイズの縮小を可能にし、その結果、DUT内の全てよりも少ないアンテナ要素が任意の一時点で照射することができて、照射されたアンテナ要素は、任意の一時点でDUTの少なくとも一部の非アクティブアンテナ要素を含むことなく、DUTのアンテナアレイのアクティブアンテナ要素を含むことができる。より小さいクワイエットゾーンは、クワイエットゾーンに対して照射するために必要なビーム幅が小さくなるため、経路損失が低減される。上述のように、本教示によって与えられるアンテナ要素の必要数の減少は、非アクティブDUT要素上の無駄な照射を最小限に抑えつつ、より小さいアクティブDUT領域上の電磁信号の照射をより大きい電力密度で行うことを可能にする。より小さい試験ゾーンにおけるより高い電力密度は、電力が制約されたDUTの測定においてより大きいダイナミックレンジを可能にする。さらに、図2Bのロールステージ上にロールポジショナ230を取り付けることにより、DUTのオフセットアンテナアレイの周りの回転中心をDUTの試験中に維持することが可能になる。さらに、システム200Bにおいて使用されるプローブアンテナのビーム幅は、規定されたサイズのビームフロントでDUTに対して照射するように選択することができる。システム200Bは、DUTが操作されているときであっても、システム200BがDUTのアンテナアレイのアクティブ要素をシステム200Bのクワイエットゾーン内の中心に配置することができるようなDUTの操作を可能にする。
【0061】
図2Bにおいて、システム200Bは、DUTが球体の周りに回転する間、プローブアンテナを固定位置に維持する。システム200Bのプローブアンテナは、球体全体にわたってDUTのパターンをサンプリングすることができる。一例として、DUTを方位角ポジショナ205B上に配置して、球体が移動する際に球体上の各経度及び全ての経度においてDUTをサンプリングすることができる。DUTの製造は、DUTの各アンテナアレイの位置に関する情報をシステム200Bに提供することができる。高利得プローブアンテナは、比較的小さいクワイエットゾーン内のアンテナアレイに対して照射することができる。アンテナアレイは、全回転角度にわたってクワイエットゾーン内に維持される。DUTは、球体が方位角360度で回転される間、クワイエットゾーンの中心のスポットに維持される。同じDUT上の別のアンテナアレイが試験される場合、DUTは、他のアンテナアレイがクワイエットゾーンの中心にあるように移動され、次いで、球体上の各位置においてサンプリングが繰り返されうる。各アンテナアレイは、ポジショナ内の第1の方位角軸及び第2のロール軸の回転中心に維持されうる一方で、サンプリングは、全回転角度にわたって実行される。
【0062】
図2Cは、代表的な実施形態による、図2BのXYオーバロールオーバ方位角DUT(XY-over-roll-over-azimuth DUT)ポジショナと同等のシステムを示している。図2CのDUTポジショナの種々の詳細及び態様は、図1A図2Bの代表的な実施形態に共通であり、ここで説明されている代表的な実施形態の説明を不明瞭にすることを避けるために繰り返されない場合がある。
【0063】
図2Cにおいて、等価システム200Cは、方位角ポジショナ205Cと、リニアポジショナ220と、ロールポジショナ230とを含む。方位角ポジショナ205C、リニアポジショナ220、及びロールポジショナ230の移動は、メモリに記憶された命令の実行を通して、コントローラによって制御されるモータによって達成されうる。モータ、コントローラ、及びメモリの多くの態様及び詳細は、図1A図2Bに関連して説明した代表的な実施形態に関連して使用することが企図される。これらの共通の態様及び詳細は、概して、ここで説明されている代表的な実施形態を不明瞭にすることを回避するために繰り返されない。
【0064】
図2Cに示すように、方位角ポジショナ205Cは、方位角ポジショナ205Cの中心における方位角の周りに回転する(矢印206によって示される)。方位角ポジショナ205Cの中心における方位角は、図2Cの座標系のY方向に向けられている。方位角ポジショナ205Cによって駆動される回転は、方位角ポジショナ205Cの方位角に垂直な第1の平面(図2Cの座標系のX-Z平面)内にありえて、第1の平面は、地面又は他のベース面に平行な水平面でありうる。
【0065】
図2Cのリニアポジショナ220は、X方向及びX方向に垂直なY方向にDUTを駆動するように構成されている。リニアポジショナ220は、X方向及びY方向によって画定され、第1の平面に対して垂直な第2の平面内でDUTを駆動することができる。
【0066】
ロールポジショナ230は、ロールポジショナ230の中心にあるロール軸(図2Cの座標系のZ軸)の周りにリニアポジショナ220及びDUTを(矢印232の方向に)ロールさせるように構成されている。ロールポジショナ230の中心にある第2のロール軸は、第2の平面に直交するZ方向に延在することができる。ロールポジショナ230は、方位角ポジショナ205Cの回転中心及びその近傍の中心空間にDUTを維持するように、方位角ポジショナ205Cから延在することができる。
【0067】
最後に、本教示では、図2Bの座標系のX軸の周りの回転が企図される。この軸は、試験中のDUTの移動の別の自由度を追加する仰角軸(elevation axis)でありえる。
【0068】
図3は、代表的な実施形態による、被試験デバイス(DUT)制御のための分離されたリニアポジショナを有する試験システムを示している。図3Aの試験システムの種々の詳細及び態様は、図1A図2Cの代表的な実施形態に共通であり、ここで説明されている代表的な実施形態の説明を不明瞭にすることを避けるために繰り返されない場合がある。
【0069】
図3において、システム300Aは、方位角ポジショナ305と、DUTの背後のロールポジショナ(roll positioner)(図3には図示せず)と、水平ステージ340と、垂直ステージ350とを含む。
【0070】
方位角ポジショナ305は、第1の方位角と見なされうる垂直方位角の周りに回転するように構成されている。方位角ポジショナ305は、図1A及び図1Bの方位角ポジショナ105、図2Aの方位角ポジショナ205A、又は図2Bの方位角ポジショナ205Bを含みうる。
【0071】
ロールポジショナ330は、水平な第2のロール軸の周りに回転するように構成されている。ロールポジショナ330は、図1A及び図1Bのロールポジショナ130、図2Aのロールポジショナ230、又は図2Bのロールステージ(図示せず)を含みうる。
【0072】
方位角ポジショナ305及びロールポジショナ330の移動は、メモリに記憶された命令の実行を通して、コントローラによって制御されるモータによって達成されうる。モータ、コントローラ、及びメモリの多くの態様及び詳細は、図1A図2Cに関連して説明した代表的な実施形態に関連して使用することが企図される。これらの共通の態様及び詳細は、概して、ここで説明されている代表的な実施形態を不明瞭にすることを回避するために繰り返されない。
【0073】
図3において、前の実施形態からのリニアポジショナは、水平ステージ340及び垂直ステージ350によって置換される。水平ステージ340及び垂直ステージ350は、ロールポジショナ330の上方又は下方に部分的に又は完全に設けることができる。さらに、垂直ステージ350は、前の実施形態における方位角ポジショナの固定された並進部材を代替する。垂直ステージ350は、図3AのY方向に調整可能とすることができる。
【0074】
水平ステージ340は、垂直ステージ350の下に設けられている。水平ステージ340は、垂直ステージ350、ロールポジショナ330及びDUTを支持する。水平ステージ340は、方位角ポジショナ305、垂直ステージ350、ロールポジショナ330、及びDUTを図3の座標系のX方向に並進させるように構成されている。
【0075】
垂直ステージ350は、水平ステージ340の上方に配置され、水平ステージ340によって支持されている。垂直ステージ350は、ロールポジショナ330及びDUTを図3の座標系のY方向に並進させるように構成されている。
【0076】
水平ステージ340のX方向の能力と垂直ステージ350のY方向の能力との組み合わせは、図1A及び図1Bのリニアポジショナ120並びに図2B及び図2Cのリニアポジショナ220の機能を代替する。
【0077】
システム300Aは、方位角ポジショナ305を回転させて(矢印352によって示される)垂直方位角(図3の座標系のY方向)の周りにDUTを回転させ、水平ロール軸(図3の座標系のX方向)の周りにロールポジショナ330を回転させることによって動作するようになっている。
【0078】
DUTは、DUTのアンテナアレイ(例えば、アンテナグループA)がクワイエットゾーンの中心に配置されるように、方位角ポジショナ305及びロールポジショナ330の回転の前又は後に、水平ステージ340及び垂直ステージ350を使用して直線的に位置決めすることができる。しかしながら、図3のアンテナグループBによって示されるように、ロールポジショナ330及び方位角ポジショナ305の中心にその中心が配置されていないアンテナ要素は、DUTが球体全体の周りに回転すると、クワイエットゾーンの外に移動する。したがって、アクティブアンテナ要素は、DUT球体のサンプリングごとに、垂直ステージ350及び水平ステージ340を備えるリニアポジショナを使用して、クワイエットゾーン内で再び中心に配置することができる。
【0079】
図3において、システム300Aは、DUTが球体全体の周りに回転する間、プローブアンテナを固定したままにする。システム300A内のプローブアンテナは、球体全体にわたってDUTのパターンをサンプリングすることができる。一例として、DUTは、球体が移動する際に球体上の各経度及び全ての経度でサンプリングすることができる。
【0080】
DUTの製造業者は、DUT内/上の各アンテナアレイの位置に関する情報をシステム300Aに提供することができる。高利得プローブアンテナは、比較的小さいクワイエットゾーン内のアンテナアレイに対して照射することができる。アンテナアレイは、リニアポジショナ250及び水平ステージ340を使用してアクティブ要素のアクティブ再位置決めが実行されない限り、全回転角度にわたってクワイエットゾーン内に維持されない場合がある。
【0081】
システム300Aは、クワイエットゾーンがDUTのアクティブアンテナアレイの中心に配置されることを確実にするように構成されている。システム300Aは、ロールオーバ垂直オーバ方位角オーバ横方向ステージシステム(roll-over-vertical-over-azimuth-over-transverse stage system)である。システム300Aは、ロールポジショナ330にリニアポジショナの追加の重量を課さず、DUTをX方向及びY方向にオフセットさせて所望のアンテナ要素をクワイエットゾーン内の中心に配置するように操作することができる。DUTが第1の方位軸の周りに、又は第2のロール軸の周りに回転する場合、DUTの幾つかのアンテナ要素はクワイエットゾーンの外に移動する可能性があるが、DUTは、水平ステージ340及び垂直ステージ350を使用してクワイエットゾーンに戻すことができる。
【0082】
図3のシステム300Aは、クワイエットゾーンのサイズの縮小を可能にし、その結果、DUT内の全てのアンテナ要素よりも少ないアンテナ要素が任意の一時点で照射することができて、照射されたアンテナ要素は、任意の一時点でDUTのアンテナアレイの少なくとも一部の非アクティブアンテナ要素を含むことなく、DUTのアンテナアレイのアクティブアンテナ要素を含むことができる。上述のように、本教示によって与えられるアンテナ要素の必要数の減少は、非アクティブDUT要素上の無駄な照射を最小限に抑えつつ、より小さなアクティブDUT領域上の照射をより大きい電力密度で行うことを可能にする。より小さい試験ゾーンにおけるより高い電力密度は、電力が制約されたDUTの測定においてより大きいダイナミックレンジを可能にする。再び、上述したように、より小さいクワイエットゾーンでは、有益には、ビーム幅が小さくなるため、経路損失が低減される。システム300Aにおいて使用されるプローブアンテナのビーム幅は、規定されたサイズのビームフロントでDUTに対して照射するように選択することができる。システム300Aは、DUTが操作されているときであっても、システム300AがDUTのアンテナアレイのアクティブ要素をシステム300Aのクワイエットゾーン内の中心に配置することができるようなDUTの操作を可能にする。
【0083】
図4Aは、代表的な実施形態による、被試験デバイス(DUT:device-under-test)制御のためのシステム用の直接遠方界システム(FFS:far-field system)を示している。
【0084】
図4Aは、図1A図1B図2A図2B図3C、又は図3のいずれかからのシステムを使用することが企図される状況を示している。図4AのDUTポジショナの種々の詳細及び態様は、図1A図3の代表的な実施形態に共通であり、ここで説明されている代表的な実施形態の説明を不明瞭にすることを避けるために繰り返されない場合がある。
【0085】
図4Aにおいて、フィード/プローブアンテナ210は、遠方界システム内のDUTに信号を直接放射する。図4Aにおいて、DUTは、DUT内のアンテナ要素が遠方界条件下で試験されるように、位置決めシステムによって、ほぼ理想的な平面波を有するクワイエットゾーン内に配置される。DUTは、クワイエットゾーン内の位置決めシステムに取り付けられ、4*πステラジアンという球体全体にわたる放射パターンが求められる。
【0086】
図4Aにおいて、プローブアンテナ410からのビームの電磁界が点線で示されており、該電磁界は、球形であるが、プローブアンテナ410がDUTから十分に離れて遠方界距離基準を満たす場合には、平面波として近似することができる波面を有する。プローブアンテナ410の任意の特定の例に対する遠方界距離は、DUTにおける開口のサイズに基づいている。DUTの対角開口がDである場合、プローブアンテナ410からDUTまでの遠方界距離は、Dの2乗の2倍をλで除算したもの((2*D^2)/λ)であり、ここでλは動作波長である。より高い周波数では、プローブアンテナ410を含む試験設備のサイズは、実用的なサイズよりも大きくなる可能性がある。
【0087】
図4Bは、代表的な実施形態による、被試験デバイス(DUT)制御のためのシステムのコンパクトアンテナテストレンジ(CATR)を示している。
【0088】
図4Bは、図1A図1B図2A図2B図2C図3A又は図3Bのいずれかからのシステムを使用できることが企図される状況を示している。図4Bでは、フィード/プローブアンテナ210は、コンパクトアンテナテストレンジ(CATR)内のDUTに信号を反射する放物面反射器490に信号を直接放射する。
【0089】
図4Bにおいて、DUTは、DUT内のアンテナ要素が遠方界条件下で試験されるように、位置決めシステムによって、ほぼ理想的な平面波を有するクワイエットゾーン内に再び配置される。DUTは、クワイエットゾーン内の位置決めシステムに取り付けられ、4*πステラジアンという球体全体にわたる放射パターンが求められる。図4Bでは、ビームが放物面反射器490によってコリメートされるため、クワイエットゾーンは、DUTを越えて負のZ軸に沿って延在することができる。CATRは、DFFシステムの代替物であり、図示のように、放物面反射器490を使用して、放物面反射器490の焦点面に平坦な波面を生成する。結果として、プローブアンテナ410は、放物面反射器490の焦点に球面場を放射し、球面場は、平坦な場として焦点面に反射される。CATRにおける放物線から平坦な面への変換は、周波数とは無関係とすることができるため、CATRは、帯域幅の大きいセットとともに使用して、より小さい部屋のサイズ、すなわち、より小さいチャンバ内で、半理想的な遠方界(semi ideal-far-field)試験条件を作成することができる。
【0090】
図5は、代表的な実施形態による、被試験デバイス(DUT)制御のためのシステムにおけるDUTアンテナアレイ間の切り替えを示している。一例として、第1のコントローラ109は、少なくとも、命令を記憶するメモリと、命令を実行して第1のモータ107を試験パターンで系統的に制御するプロセッサとを含みうる。
【0091】
図5は、第1のアンテナアレイA及び第2のアンテナアレイBを有するDUTを示している。図5において、DUT内の第1のアンテナアレイA及び第2のアンテナアレイBは、別個の独立したアンテナアレイである。図示されるように、DUTは、X方向(例えば、矢印502に沿って)及びY方向(例えば、矢印504に沿って)に操作されて、第1のアンテナアレイA及び第2のアンテナアレイBのアクティブ要素を、別々の時間にシステムのクワイエットフィールド(quiet field)の中心に配置することができる。図5の左側では、第1のアンテナアレイAがクワイエットゾーン内に位置決めされ、図5の右側では、第2のアンテナアレイBがクワイエットゾーン内に位置決めされている。一例として、水平方向及び垂直方向の直線移動は、図2B及び図2Cのリニアポジショナ220を使用して実施することができる。
【0092】
図6は、代表的な実施形態による、被試験デバイス(DUT)制御の方法を示している。この方法は、プロセッサを備えるコントローラによってメモリに記憶された命令を実行することによって実施されることが企図される。特に、例示的な方法は、上述のコントローラを使用して実施され、該コントローラは、メモリに記憶された命令を実行して、種々のモータによる移動をもたらし、方法の種々の態様を実行する。
【0093】
図6の方法は、S610において、方位角ポジショナの駆動回転を制御して、第1の方位角の周りに第1の平面内でDUTを回転させることによって開始する。
【0094】
S620において、DUTは、リニアポジショナによって直線的に駆動される。
【0095】
S630において、アンテナアレイのアクティブ要素が中心に配置されているかどうかについての判定が行われる。
【0096】
S640において、図6の方法は、方位角ポジショナの駆動回転を制御して、DUTを第2の平面内で第2のロール軸の周りに回転させることを含む。
【0097】
アンテナアレイのアクティブ要素が中心に配置されている場合(S630=Yes)には、図6の方法は、試験において、DUTからの放射フィールドを測定することと、放射フィールドをDUTに放射することとを含む。
【0098】
アンテナアレイのアクティブ要素が中心に配置されていない場合(S630=No)には、又は別様で、試験においてDUTからの放射フィールドを測定し、DUTに放射フィールドを放射した後、図6の方法はS610に戻る。
【0099】
図6の方法は、S650における全ての必要な測定及び放射が試験システム内の異なる位置でDUTに対して実行されるまで、試験パターン内でDUTを移動させることによって反復的に実行することができる。
【0100】
図7は、代表的な実施形態による、被試験デバイス(DUT)制御のための別のシステムを示している。
【0101】
図7において、プローブアンテナの指向角(pointing angle)は、プローブアンテナの開口を介在する放物面反射器790の焦点から移動させることなく、DUT内の任意のアクティブアンテナ要素上にクワイエットゾーンの中心を配置するように調整される。プローブアンテナの開口の中心が介在する放物面反射器790の焦点にある限り、DUTへの平行ビームの入射角は変化しない。プローブアンテナは、プローブアンテナの指向角を調整することによって、DUT上のアンテナ内のアクティブアンテナ要素を追跡するように回転させることができ、これは、プローブアンテナをさもなければ変位させることなく行うことができる。
【0102】
ビームのピーク振幅は、介在する放物面反射器790の振幅テーパリング効果だけでなく、プローブアンテナの指向角に関連する量だけDUT上でオフセットされる。図7に示されるアプローチは、ポジショナシステムが方位角ポジショナ及びロールポジショナの第2のロールによって提供される第1の方位角にわたって回転する際に、オフセットアンテナ要素をオフセットクワイエットゾーン内に維持しない場合がある。しかしながら、コントローラ(図7には図示せず)を使用して、プローブアンテナの指向角を適切に調整することによってオフセットアンテナの回転を追跡することができる。幾つかの実施形態において、方位角ポジショナ及びロールポジショナを使用してDUTのオフセットアンテナを回転させることを含む試験計画(test plan)は、DUTのオフセットアンテナの回転を考慮するようにプローブアンテナの回転を調整することもできる。他の実施形態において、DUTのオフセットアンテナの回転を追跡してコントローラにフィードバックし、プローブアンテナの回転を制御するために使用することができる。
【0103】
一実施形態において、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブル論理アレイ、及び他のハードウェア構成要素等の専用ハードウェア実施態様が、本明細書において説明する方法のうちの1つ以上を実施するように構築される。本明細書において説明される1つ以上の実施形態は、モジュール間で及びモジュールを通じて通信されうる関連する制御及びデータ信号を有する2つ以上の特定の相互接続されたハードウェアモジュール又はデバイスを使用して機能を実施しうる。したがって、本開示は、ソフトウェア、ファームウェア、及びハードウェアの実施態様を包含する。本出願におけるいかなるものも、有形の非一時的プロセッサ及び/又はメモリ(つまり、非一時的プロセッサ又はメモリあるいはそれらの両方)等のハードウェアではなく、ソフトウェアのみで実施される、又は実施可能であると解釈されるべきではない。
【0104】
本開示の種々の実施形態によれば、本明細書に記載される方法は、ソフトウェアプログラムを実行するハードウェアコンピュータシステムを使用して実施することができる。さらに、例示的で非限定的な実施形態において、実施態様は、分散処理、構成要素/オブジェクト分散処理、及び並列処理を含みうる。仮想コンピュータシステム処理は、本明細書において説明されるような方法又は機能のうちの1つ以上を実施することができ、本明細書において説明されるプロセッサは、仮想処理環境をサポートするために使用されうる。
【0105】
このように、被試験デバイス(DUT)制御は、DUTを試験するための試験システムのクワイエットゾーン内のDUTの維持管理を強化することができる。
【0106】
被試験デバイス(DUT)制御が幾つかの例示的な実施形態を参照して説明されたが、使用された用語は、限定のための用語ではなく、説明及び例示の用語であることが理解されよう。その態様における被試験デバイス(DUT)制御の範囲及び趣旨から逸脱することなく、ここで説明されている及び補正されている添付の特許請求の範囲内で変更を行うことができる。特定の手段、材料、及び実施形態を参照して被試験デバイス(DUT)制御を説明したが、被試験デバイス(DUT)制御は、開示された特定のものに限定されることを意図するものではなく、被試験デバイス(DUT)制御は、添付の特許請求の範囲内にあるような全ての機能的に等価な構造、方法、及び使用にまで及ぶ。
【0107】
本明細書において説明される実施形態の例示は、種々の実施形態の構造を包括的に理解してもらうことを意図している。それらの例示は、本明細書において説明される開示の全ての要素及び特徴の完全な記述としての役割を果たすことは意図していない。数多くの他の実施形態が、本開示を再検討した当業者には明らかになる場合がある。本開示の範囲から逸脱することなく、構造的及び論理的代替及び変更を行うことができるように、本開示から他の実施形態を利用し、導出することができる。さらに、例示は単に表現するものであり、縮尺通りに描かれない場合がある。例示内の或る特定の比率が誇張されている場合があり、一方、他の比率が最小化される場合がある。したがって、開示及び図は、限定するものではなく、例示するものと見なされるべきである。
【0108】
開示される実施形態のこれまでの説明は、任意の当業者が本開示において説明される概念を実践できるようにするために与えられる。その場合に、上記の開示される主題は、例示と見なされ、限定するものと見なされるべきではなく、添付の特許請求の範囲は、本開示の真の趣旨及び範囲内に入る全てのそのような変更形態、改善形態及び他の実施形態に及ぶことを意図している。したがって、法律によって許される最大限まで、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその均等物の最も広い許容可能な解釈によって決定されるべきであり、これまでの詳細な説明によって限定又は制限されるべきではない。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
【外国語明細書】