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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031992
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】移動体、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/686 20240101AFI20240229BHJP
   G06T 7/70 20170101ALI20240229BHJP
   G05D 1/242 20240101ALI20240229BHJP
   G05D 1/243 20240101ALI20240229BHJP
   G05D 1/633 20240101ALI20240229BHJP
   G01S 13/86 20060101ALI20240229BHJP
   G05D 1/43 20240101ALN20240229BHJP
【FI】
G05D1/686
G06T7/70 A
G05D1/242
G05D1/243
G05D1/633
G01S13/86
G05D1/43
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023189748
(22)【出願日】2023-11-07
(62)【分割の表示】P 2022078613の分割
【原出願日】2022-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】515086621
【氏名又は名称】株式会社計数技研
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100121223
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 悟道
(72)【発明者】
【氏名】早石 直広
(72)【発明者】
【氏名】竹内 宏佑
(57)【要約】
【課題】追従対象に適切に追従して移動することができる移動体を提供する。
【解決手段】追従対象に追従して移動する移動体1は、複数方向に関して周囲の物体までの距離を測定する測距センサ11と、移動体1の周囲の撮影画像を取得するイメージセンサ12と、測距センサ11の測定結果、及びイメージセンサ12によって取得された撮影画像を用いて、ローカル座標系における追従対象の位置を特定する特定部13と、移動体1を移動させる移動機構16と、特定部13によって特定された追従対象に追従するように移動機構16を制御する移動制御部17と、を備える。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
追従対象に追従して移動する移動体であって、
複数方向に関して周囲の物体までの距離を測定する測距センサと、
前記移動体の周囲の撮影画像を取得するイメージセンサと、
前記測距センサの測定結果、及び前記イメージセンサによって取得された撮影画像を用いて、ローカル座標系における追従対象の位置を特定する特定部と、
前記移動体を移動させる移動機構と、
前記特定部によって特定された追従対象に追従するように前記移動機構を制御する移動制御部と、を備えた移動体。
【請求項2】
記憶部と、
前記特定部によって特定された前記追従対象の最新の位置を前記記憶部に蓄積する蓄積部と、をさらに備え、
前記移動制御部は、前記特定部によって前記追従対象の位置を特定できない場合に、前記蓄積部によって蓄積された前記追従対象の最新の位置に移動するように前記移動機構を制御する、請求項1記載の移動体。
【請求項3】
前記記憶部では、最新の所定の範囲における前記追従対象の位置が記憶されており、
前記移動制御部は、前記特定部によって前記追従対象の位置を特定できなくなった場合に、前記蓄積部によって蓄積された、最新の所定の範囲における前記追従対象の位置に応じた経路に沿って移動するように前記移動機構を制御する、請求項2記載の移動体。
【請求項4】
前記移動体は、搬送対象物を搬送するものであり、
前記測距センサの測定結果、及び前記イメージセンサによって取得された撮影画像の少なくとも一方を用いて前記搬送対象物の大きさを取得する取得部をさらに備え、
前記移動制御部は、前記測距センサの測定結果、及び前記イメージセンサによって取得された撮影画像の少なくとも一方と、前記取得部によって取得された前記搬送対象物の大きさとを用いて、障害物への衝突を回避するように前記移動機構を制御する、請求項1から請求項3のいずれか記載の移動体。
【請求項5】
前記特定部は、前記測距センサの測定結果を用いて、前記移動体の移動中のローカル座標系における位置の変化が、他の物体と比較して少ない物体の位置を、前記追従対象の位置とする、請求項1から請求項3のいずれか記載の移動体。
【請求項6】
コンピュータを、
追従対象に追従して移動する移動体の複数方向に関して周囲の物体までの距離を測定する測距センサの測定結果、及び、前記移動体の周囲の撮影画像を取得するイメージセンサによって取得された撮影画像を用いて、ローカル座標系における追従対象の位置を特定する特定部、
前記特定部によって特定された追従対象に追従するように、前記移動体を移動させる移動機構を制御する移動制御部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、追従対象に追従して移動する移動体等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、距離センサによる測定結果を用いて、人間に追従して移動する移動体が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-178789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
距離センサを用いることによって、移動体の周囲の物体までの距離を正確に知ることはできるが、人間などの追従対象であるのかどうかを適切に判断することが難しいという問題がある。仮に、移動体が適切な追従対象以外に追従して移動した場合には、想定外の移動になるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、追従対象に適切に追従して移動することができる移動体等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様による移動体は、追従対象に追従して移動する移動体であって、複数方向に関して周囲の物体までの距離を測定する測距センサと、移動体の周囲の撮影画像を取得するイメージセンサと、測距センサの測定結果、及びイメージセンサによって取得された撮影画像を用いて、ローカル座標系における追従対象の位置を特定する特定部と、移動体を移動させる移動機構と、特定部によって特定された追従対象に追従するように移動機構を制御する移動制御部と、を備えたものである。
【0007】
このような構成により、距離センサとイメージセンサとを用いて追従対象の位置を特定するため、例えば、イメージセンサによって人物を特定した後に、測距センサの測定結果を用いて、その人物の位置を特定することができ、より正確に追従対象の位置を特定することができる。その結果、追従対象に適切に追従して移動することができるようになる。
【0008】
また、本発明の一態様による移動体では、記憶部と、特定部によって特定された追従対象の最新の位置を記憶部に蓄積する蓄積部と、をさらに備え、移動制御部は、特定部によって追従対象の位置を特定できない場合に、蓄積部によって蓄積された追従対象の最新の位置に移動するように移動機構を制御してもよい。
【0009】
このような構成により、追従対象が、測距センサやイメージセンサのセンシングの範囲から外れた場合であっても、蓄積された追従対象の最新の位置に移動することによって、再度、追従対象に追従することができるようになる。
【0010】
また、本発明の一態様による移動体では、記憶部では、最新の所定の範囲における追従対象の位置が記憶されており、移動制御部は、特定部によって追従対象の位置を特定できなくなった場合に、蓄積部によって蓄積された、最新の所定の範囲における追従対象の位置に応じた経路に沿って移動するように移動機構を制御してもよい。
【0011】
このような構成により、追従対象の過去の経路に沿って追従対象に近づくことができ、例えば、障害物などを避ける経路を移動することができるようになる。
【0012】
また、本発明の一態様による移動体では、移動体は、搬送対象物を搬送するものであり、測距センサの測定結果、及びイメージセンサによって取得された撮影画像の少なくとも一方を用いて搬送対象物の大きさを取得する取得部をさらに備え、移動制御部は、測距センサの測定結果、及びイメージセンサによって取得された撮影画像の少なくとも一方と、取得部によって取得された搬送対象物の大きさとを用いて、障害物への衝突を回避するように移動機構を制御してもよい。
【0013】
このような構成により、取得部によって取得された搬送対象物の大きさを用いることによって、例えば、搬送対象物が大きい場合には、それに応じて障害物から離れた位置を通過するようにすることができ、障害物を適切に回避することができるようになる。
【0014】
また、本発明の一態様による移動体では、特定部は、測距センサの測定結果を用いて、移動体の移動中のローカル座標系における位置の変化が、他の物体と比較して少ない物体の位置を、追従対象の位置としてもよい。
【0015】
このような構成により、追従対象に追従して移動している際に、例えば、移動体の前を追従対象以外の人物が横切った場合でも、その人物に追従しないようにすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様による移動体等によれば、追従対象に適切に追従して移動することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態による移動体及び搬送台車を示す模式図
図2】同実施の形態による移動体の底面図
図3A】同実施の形態による移動体の構成を示す機能ブロック図
図3B】同実施の形態による移動体の構成を示す機能ブロック図
図4】同実施の形態による移動体の動作を示すフローチャート
図5A】同実施の形態における測距センサについて説明するための図
図5B】同実施の形態におけるイメージセンサについて説明するための図
図6】同実施の形態における撮影画像の一例を示す図
図7】同実施の形態における測距センサの測定結果の一例を示す図
図8A】同実施の形態における蓄積された追従対象の位置等の一例を示す図
図8B】同実施の形態における蓄積された追従対象の位置等の一例を示す図
図9A】同実施の形態における移動体の移動の一例について説明するための図
図9B】同実施の形態における移動体の移動の一例について説明するための図
図10】同実施の形態におけるコンピュータシステムの構成の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明による移動体について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素及びステップは同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。本実施の形態による移動体は、測距センサの測定結果と、イメージセンサによって取得された撮影画像とを用いて追従対象の位置を特定し、その位置を特定した追従対象に追従するように移動するものである。
【0019】
図1は、本実施の形態による移動体1及び搬送台車2を示す模式図であり、図2は、移動体1の底面図であり、図3Aは、移動体1の構成を示す機能ブロック図である。
【0020】
本実施の形態による移動体1は、一例として、搬送対象物3を搬送する移動体であってもよい。なお、移動体1は、追従対象に追従して移動するものであり、図1図2で示されるように、本体10と、本体10に取り付けられた移動機構16とを備えてもよい。移動体1が搬送対象物3を搬送するとは、例えば、移動体1そのものに積載された搬送対象物3を搬送することであってもよく、移動体1が、搬送対象物3の積載された搬送台車2を牽引することであってもよい。本実施の形態では、後者の場合について主に説明する。なお、本実施の形態では、移動体1が搬送対象物3を搬送する場合について主に説明するが、移動体1は、他の用途のために用いられてもよい。移動体1は、例えば、案内や警護、監視、エンターテインメントなどのための移動体であってもよい。すなわち、移動体1は、搬送ロボット、案内ロボット、警護ロボット、監視ロボット、エンターテインメントロボットなどであってもよい。また、本実施の形態では、移動体1が走行体である場合について主に説明し、それ以外の場合については後述する。また、本実施の形態では、図1で示されるように、追従対象が人物5である場合について主に説明する。
【0021】
移動体1の本体10は、例えば、荷台であってもよく、または、移動機構16等が取り付けられる部材であってもよい。本実施の形態では、本体10が、移動機構16が取り付けられる直方体形状の部材である場合について主に説明する。移動機構16については後述する。
【0022】
図3Aを参照して、本実施の形態による移動体1は、測距センサ11と、イメージセンサ12と、特定部13と、記憶部14と、蓄積部15と、移動機構16と、移動制御部17とを備える。
【0023】
測距センサ11は、複数方向に関して周囲の物体までの距離を測定する。測距センサ11は、例えば、レーザセンサや、超音波センサ、マイクロ波を用いた距離センサなどであってもよい。レーザセンサは、例えば、レーザレンジセンサ(レーザレンジスキャナ)やLIDAR(ライダー)であってもよい。なお、それらの測距センサについてはすでに公知であり、それらの説明を省略する。本実施の形態では、測距センサ11がレーザレンジセンサである場合について主に説明する。また、測距センサ11は、1個のレーザレンジセンサを有していてもよく、または、2個以上のレーザレンジセンサを有していてもよい。後者の場合には、2個以上のレーザレンジセンサによって、全方向がカバーされてもよい。また、測距センサ11が超音波センサや、マイクロ波を用いた距離センサなどである場合に、距離センサの測距方向を回転させることによって複数方向の距離を測定してもよく、複数方向ごとに配置された複数の距離センサを用いて複数方向の距離を測定してもよい。複数方向の距離を測定するとは、例えば、あらかじめ決められた角度範囲や全周囲(すなわち、360度)について、あらかじめ決められた角度間隔で複数方向の距離を測定することであってもよい。その角度間隔は、例えば、1度間隔や2度間隔、5度間隔などのように一定であってもよい。測距センサ11から得られる情報は、例えば、移動体1のある向きを基準とした複数の方位角のそれぞれに関する周辺の物体までの距離であってもよい。その距離を用いることによって、移動体1のローカル座標系において、移動体1の周囲にどのような物体が存在するのかを知ることができるようになる。測距センサ11は、例えば、2次元の平面方向の距離を測定してもよく、3次元における複数方向の距離を測定してもよい。本実施の形態では、測距センサ11が、2次元の水平方向の距離を測定する場合について主に説明する。
【0024】
イメージセンサ12は、移動体1の周囲の撮影画像を取得する。イメージセンサ12は、例えば、CCDイメージセンサや、CMOSイメージセンサなどであってもよい。イメージセンサ12は、例えば、イメージセンサ上に結像させるためのレンズ等の光学系を含んでいてもよい。また、イメージセンサ12は、単眼であってもよく、双眼(ステレオカメラ)であってもよい。本実施の形態では、イメージセンサ12が単眼である場合について主に説明する。イメージセンサ12は、動画を撮影するもの、すなわち、連続した画像フレームを取得するものであってもよく、静止画を撮影するものであってもよい。撮影画像は、例えば、カラーであってもよく、グレースケールであってもよいが、追従対象を特定する観点からは、カラーであることが好適である。
【0025】
なお、測距センサ11とイメージセンサ12とは、それぞれ移動体1の進行方向(すなわち前方)の情報を少なくとも取得することが好適である。図5A図5Bは、移動体1の上面図であり、それぞれ測距センサ11による距離の測定と、イメージセンサ12による撮影とを示す図である。なお、図5A図5Bでは、説明の便宜上、それぞれ別の図面に測距センサ11とイメージセンサ12を示しているが、実際には、1個の移動体1に、測距センサ11とイメージセンサ12とが装着されていることになる。測距センサ11の測距の向きと、イメージセンサ12の撮影の向きとは、例えば、図5A図5Bで示されるように、同じであってもよい。また、両センサによるセンシングの範囲は、少なくとも重複した範囲を有しているものとする。両センサのセンシングの範囲は、例えば、同じであってもよく、一方が他方よりも広くてもよい。また、測距センサ11によって取得された測定結果と、イメージセンサ12によって取得された撮影画像とは、距離の測定方向の角度と、撮影画像における位置との対応関係が分かるようになっていることが好適である。例えば、距離の測定方向の各角度が、撮影画像における水平方向のどの位置に対応するのかが分かるようになっていることが好適である。
【0026】
また、測距センサ11が測定結果を取得する頻度と、イメージセンサ12が撮影画像を取得する頻度(すなわち、単位時間当たりの取得数)とは、例えば、同程度であってもよく、測距センサ11が測定結果を取得する頻度の方が、イメージセンサ12が撮影画像を取得する頻度よりも高くてもよい。両者が情報を取得する頻度は特に限定されないが、例えば、測距センサ11は、1秒間に1~100回程度の測定を行い、イメージセンサ12は、1~10秒に1回程度の撮影を行ってもよい。
【0027】
特定部13は、測距センサ11の測定結果、及びイメージセンサ12によって取得された撮影画像を用いて、移動体1のローカル座標系における追従対象の位置を特定する。特定部13は、例えば、イメージセンサ12によって取得された撮影画像を用いて、撮影画像における追従対象を特定してもよい。追従対象が人物である場合には、この特定は、例えば、撮影画像において人物の領域を認識することによって行われてもよい。撮影画像における人物の領域の認識は、例えば、人物のパターンマッチングによって行われてもよく、セグメンテーションを行い、そのセグメンテーションの結果において人物の領域を特定することによって行われてもよく、人物の検知モデル(例えば、Yolov5など)を用いて行われてもよい。その後、特定部13は、撮影画像において特定した追従対象の領域に対応する測距センサ11の測定結果を用いて、追従対象までの距離及び方向を取得してもよい。より具体的には、特定部13は、撮影画像において特定した追従対象の方位角、または方位角の範囲における、測距センサ11によって測定された距離を用いて、移動体1のローカル座標系における追従対象の位置を特定してもよい。なお、特定部13によって特定された追従対象の位置は、例えば、移動体1のローカル座標系である2次元直交座標系における座標値であってもよい。
【0028】
なお、測距センサ11の測定結果は、角度ごとの距離の集合、すなわち各測定点までの距離の集合である。そのため、特定部13は、例えば、測定結果についてクラスタリングを行ってもよい。このクラスタリングによって、例えば、壁までの距離のクラスタ、人物までの距離のクラスタ、人物以外の障害物までの距離のクラスタなどに分類することができる。このクラスタリングの一例としては、例えば、上記特許文献1を参照されたい。そして、特定部13は、撮影画像において特定した追従対象の領域に対応するクラスタを特定し、そのクラスタに含まれる測定点の代表位置を追従対象の位置としてもよい。なお、撮影画像において特定した追従対象の領域に対応するクラスタは、例えば、撮影画像で特定した追従対象の方位角の方向に存在するクラスタであってもよい。複数の測定点の代表位置は、例えば、複数の測定点の重心の位置や、複数の測定点のうち、移動体1に最も近い測定点の位置などであってもよい。
【0029】
距離の測定結果と、撮影画像との取得の頻度が同程度である場合には、上記の処理が繰り返されてもよい。一方、撮影画像の取得の頻度の方が、距離の測定結果の取得の頻度よりも低い場合には、特定部13は、測距センサ11の測定結果において、追従対象の位置を追跡することによって、追従対象の最新の位置を特定してもよい。より具体的には、特定部13は、各時点の測距センサ11の測定結果に含まれる各測定点までの距離についてクラスタリングを行ってもよい。また、特定部13は、ある時刻の測定結果に応じた各クラスタに含まれる測定点の形状と、次の時刻の測定結果に応じた各クラスタに含まれる測定点の形状とを用いて、クラスタの対応関係を特定してもよい。その対応関係の特定では、複数の測定点の形状が似ていると共に、近い位置に存在する隣接する時刻のクラスタが、対応しているクラスタとして特定されてもよい。複数の測定点の形状が似ているとは、複数の測定点の形状の類似度が、閾値を超えていることであってもよい。また、近い位置とは、例えば、閾値より近い位置であってもよい。このようにして、特定部13は、追従対象のクラスタの位置を追跡してもよい。なお、距離の測定結果と、撮影画像との取得の頻度が同程度である場合であっても、特定部13は、追従対象の位置の特定に撮影画像を用いる頻度を、距離の測定結果を用いる頻度よりも低くしてもよい。通常、画像処理の方が、距離の測定結果に関する処理よりも負荷が大きいからである。
【0030】
また、後述するように、移動体1は、追従対象に追従して移動する。したがって、適切な移動制御が行われている状況では、ローカル座標系における追従対象の位置はほぼ同じになる。そのため、特定部13は、測距センサ11の測定結果を用いて、移動体1の移動中のローカル座標系における位置の変化が、他の物体と比較して少ない物体の位置を、追従対象の位置としてもよい。このようにすることで、特定部13は、例えば、移動体1の前を横切る人物を追従対象として誤認識しないようにすることができる。より具体的には、特定部13は、各時点の測距センサ11の測定結果に含まれる各測定点までの距離についてクラスタリングを行ってもよい。また、特定部13は、各クラスタの時系列における対応関係を特定することによって、ローカル座標系における各クラスタの位置の変化を特定してもよい。そして、特定部13は、位置の変化が最も少ないクラスタを、追従対象のクラスタとしてもよい。
【0031】
記憶部14では、特定部13によって特定された追従対象の最新の位置が少なくとも記憶される。なお、記憶部14では、その最新の位置を含む、最新の所定の範囲における追従対象の位置が記憶されていてもよい。所定の範囲とは、例えば、所定の時間の範囲(例えば、最新の5秒間や10秒間の範囲など)であってもよく、所定の距離の範囲(例えば、最新の5メートルや10メートルの範囲など)であってもよい。前者の場合には、例えば、最新の位置から所定の時間内に取得された位置が記憶部14において記憶されることになり、後者の場合には、例えば、最新の位置から所定の距離内に含まれる取得された位置が記憶部14において記憶されることになる。本実施の形態では、最新の所定の範囲が、時間の範囲である場合について主に説明する。
【0032】
また、記憶部14では、後述するように、追跡対象の位置以外の情報も記憶されてもよい。記憶部14は、不揮発性の記録媒体によって実現されることが好適であるが、揮発性の記録媒体によって実現されてもよい。記録媒体は、例えば、半導体メモリや磁気ディスク、光ディスクなどであってもよい。
【0033】
蓄積部15は、特定部13によって特定された追従対象の最新の位置を記憶部14に蓄積する。記憶部14において記憶されている位置のうち、最新の位置のみが用いられる場合には、蓄積部15は、その最新の位置を上書きで蓄積してもよく、または、それまでに記憶されている位置とは別に蓄積してもよい。後者の場合には、最新の位置がどれであるのかが分かるように蓄積されることが好適である。また、記憶部14において、最新の所定の範囲の位置が記憶されている場合には、蓄積部15は、例えば、最新の所定の範囲の位置のみが記憶部14で記憶されるように、それ以外の位置を削除してもよく、または、最新の所定の範囲の位置がどれであるのかが分かるように、最新の位置を順次、蓄積してもよい。また、蓄積部15は、特定部13によって特定されたすべての最新の位置を蓄積してもよく、または、一部の最新の位置を蓄積してもよい。後者の場合には、例えば、最新の位置を所定の時間間隔ごとに蓄積してもよく、または、最新の位置を所定の距離ごとに蓄積してもよい。
【0034】
なお、蓄積部15によって蓄積される追従対象の最新の位置は、移動体1のローカル座標系における位置であるため、その位置が蓄積された後に移動体1が移動すると、移動後の移動体1と、蓄積された位置との関係が分からなくなる。そのため、蓄積部15は、例えば、最新の位置が蓄積されてから、次の最新の位置が蓄積されるまでの移動体1の移動の差分を示す情報を記憶部14に蓄積してもよい。移動の差分を示す情報は、例えば、ある位置が蓄積された時点の移動体1の位置及び方向を基準とした、次の位置が蓄積される時点の移動体1の位置及び方向を示す情報であってもよい。すなわち、ある位置が蓄積された時点の移動体1のローカル座標系において、次の位置が蓄積される時点の移動体1の位置及び方向を示す情報であってもよい。移動の差分を示す情報は、例えば、後述する駆動輪である車輪31a,31bの回転数を用いて取得されてもよい。なお、駆動輪の回転数を用いて現在位置、現在方向を取得する方法はすでに公知であり、その説明を省略する。また、蓄積部15は、例えば、移動の差分を示す情報を記憶部14に蓄積することに代えて、記憶部14で記憶されている位置が、現在のローカル座標系における位置となるように、絶えず更新してもよい。この場合には、蓄積部15は、例えば、移動体1が微小量だけ移動するごとに、記憶部14で記憶されている各位置が、その微小量の移動後のローカル座標系における位置となるように更新してもよい。この更新も、駆動輪である車輪31a,31bの回転数を用いて行われてもよい。
【0035】
移動機構16は、移動体1を移動させるものであり、図2で示されるように、本体10の裏面側に設けられた、車輪31a~31d、及びモータ32a,32bを有していてもよい。なお、車輪31a~31dのそれぞれを特に区別しない場合には、車輪31と呼ぶこともある。また、モータ32a,32bを区別しない場合には、モータ32と呼ぶこともある。また、車輪31の個数は、3個以上であればその個数を問わない。また、車輪31は、全方向移動型車輪であってもよい。図2で示されるように、車輪31a,31bは、それぞれモータ32a,32bによって駆動される駆動輪であり、車輪31c,31dは、旋回可能な従動輪である。なお、本実施の形態では、駆動輪である車輪31a,31bの回転数の差によって移動体1の進行方向が決定される場合について説明するが、移動機構16は、例えば、車輪31c,31dの向きを変更可能な操舵機構を有していてもよい。また、すべての車輪31が駆動輪であってもよい。この場合には、一部の車輪31、例えば、前方側の車輪31c,31dが操舵輪となってもよく、すべての車輪31が操舵輪となってもよく、また、移動機構16は、操舵輪の向きを変更可能な操舵機構を有していてもよい。モータ32または車輪31a,31bには、車輪31a,31bの回転数を取得するためのエンコーダが設けられていてもよい。
【0036】
移動制御部17は、特定部13によって特定された追従対象に追従するように移動機構16を制御する。移動機構16の制御は、例えば、移動の開始の制御、移動の停止の制御、進行方向の制御等であってもよい。移動制御部17は、例えば、特定部13による追従対象の位置の特定が行われている場合には、特定部13によって特定された追従対象の最新の位置に向かうように移動機構16を制御してもよい。追従対象が停止した際には、移動制御部17は、例えば、追従対象と移動体1との距離があらかじめ決められた距離となる位置で停止するように移動機構16を制御してもよい。すなわち、移動制御部17は、追従対象と移動体1との距離があらかじめ決められた距離となるように、追従対象に追従するための移動制御を行ってもよい。なお、移動制御部17は、追従対象に追従するように移動制御を行うため、グローバル座標系における位置を知らなくてもよい。そのため、移動体1では、グローバル座標系における位置を取得する構成、例えば、GPS(Global Positioning System)やSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)などの構成を有していなくてもよい。
【0037】
移動制御部17は、特定部13によって追従対象の位置を特定できない場合に、蓄積部15によって蓄積された追従対象の最新の位置に移動するように移動機構16を制御する。例えば、追従対象の人物が曲がり角を曲がったことによって、移動体1のセンシング範囲から外れたような場合に、このようにして記憶部14で記憶されている位置を用いた移動制御が行われてもよい。なお、記憶部14で記憶されている位置が、蓄積時のローカル座標系における位置である場合には、移動制御部17は、例えば、移動の差分を示す情報を用いて、その位置を、現在のローカル座標系における位置に変換し、その変換後の位置に移動するように移動制御を行ってもよい。このように、蓄積部15によって蓄積された追従対象の最新の位置に移動することによって、移動体1は、少なくとも追従対象に近づくことができ、その移動先において再度、追従対象の位置を特定することができた場合には、移動を継続することができるようになる。なお、記憶部14で記憶されている位置を用いて移動しても、追従対象の位置を特定できなかった場合には、移動体1は、例えば、エラーが発生したとして、その位置で移動を終了してもよく、また、その移動後の位置において360度の旋回を行って、追従対象を探してもよい。
【0038】
特定部13によって追従対象の位置を特定できない場合に、移動制御部17は、例えば、記憶部14で記憶されている最新の位置が目標位置となるように移動制御を行ってもよい。この場合には、移動体1は、例えば、現在位置から最新の位置まで、最短の経路で移動してもよい。最短の経路は、通常、直線の経路である。また、最新の所定の範囲における追従対象の位置が記憶部14で記憶されている場合には、移動制御部17は、特定部13によって追従対象の位置を特定できないときに、例えば、蓄積部15によって蓄積された、最新の所定の範囲における追従対象の位置に応じた経路に沿って移動するように移動機構16を制御してもよい。この場合には、移動体1は、追従対象と同様の経路で、記憶されている最新の位置まで移動することになる。そのため、例えば、追従対象が障害物をよけながら移動していた場合には、それと同様に、移動体1も障害物をよける経路で移動することになる。
【0039】
移動制御部17は、測距センサ11の測定結果、及びイメージセンサ12によって取得された撮影画像の少なくとも一方を用いて、障害物を検出し、その検出した障害物への衝突を回避するように移動機構16を制御してもよい。障害物への衝突の回避は、例えば、減速や停止によって行われてもよく、障害物を回避するように移動経路を変更することによって行われてもよい。なお、所定の目標位置への移動制御、障害物への衝突を回避するための移動制御等についてはすでに公知であり、その詳細な説明を省略する。
【0040】
搬送台車2は、本体20と、本体20の裏面側に固定された複数の車輪21と、本体20の進行方向の前方側と後方側とにそれぞれ設けられたフレーム部22とを有している。なお、本体20は、荷台であり、その荷台に搬送対象物3が載置されるものとする。また、車輪21の個数は、2個以上であればその個数を問わない。また、車輪21は、すべて旋回可能な従動輪であってもよく、一部は旋回可能な従動輪であり、残りは旋回できない固定輪であってもよい。また、移動体1の連結部10aと、搬送台車2の連結部20aとが連結されることによって、搬送台車2が移動体1によって牽引されてもよい。なお、移動体1の連結部10aと、搬送台車2の連結部20aとは、鉛直方向に延びる連結軸によって連結されてもよい。この場合には、連結部10a,20aの少なくとも一方は、その連結軸を中心として回動可能に設けられていてもよい。なお、搬送台車2は、搬送対象物3が積載されて、移動体1によって牽引されるものであれば、その構成を問わない。例えば、搬送台車2には、フレーム部22が設けられていなくてもよく、本体20のすべての周囲にフレーム部22が設けられていてもよい。
【0041】
搬送対象物3は、特に限定されないが、例えば、段ボールやボックス、折り畳みコンテナなどであってもよく、パレットに載置されたものであってもよく、その他の搬送対象物であってもよい。
【0042】
次に、移動体1の動作について図4のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS101)測距センサ11は、複数方向に関して周囲の物体までの距離を測定する。
【0043】
(ステップS102)イメージセンサ12は、周囲の撮影画像を取得する。
【0044】
(ステップS103)特定部13は、ステップS101で取得された測定結果と、ステップS102で取得された撮影画像とを用いて、追従対象のローカル座標系における位置を特定する。
【0045】
(ステップS104)蓄積部15は、ステップS103で特定された最新の位置を記憶部14に蓄積する。また、蓄積部15は、例えば、最新の位置と共に、移動の差分も記憶部14に蓄積してもよい。また、ステップS103で最新の位置が特定できなかった場合には、蓄積部15は、例えば、最新の位置を蓄積しなくてもよく、または、位置が特定できなかった旨を記憶部14に蓄積してもよい。なお、最新の位置が特定できなかった場合でも、蓄積部15は、例えば、移動の差分を記憶部14に蓄積してもよい。
【0046】
(ステップS105)移動制御部17は、ステップS103において、追従対象の位置を特定できたかどうか判断する。そして、追従対象の位置を特定できた場合には、ステップS106に進み、そうでない場合には、ステップS107に進む。
【0047】
(ステップS106)移動制御部17は、ステップS103で特定された最新の位置に移動するように移動機構16を制御する。
【0048】
(ステップS107)移動制御部17は、記憶部14で記憶されている最新の位置に移動するように、移動機構16を制御する。この場合に、例えば、最新の位置まで最短距離で移動するように移動制御が行われてもよく、追従対象の最新の位置までの移動経路に沿うように移動制御が行われてもよい。
【0049】
(ステップS108)移動制御部17は、移動制御を終了するかどうか判断する。そして、移動制御を終了する場合には、追従対象に追従して移動するための一連の移動の処理が終了となり、そうでない場合には、ステップS101に戻る。なお、移動制御部17は、例えば、移動を終了する旨の指示が入力された際に、移動制御を終了すると判断してもよい。
【0050】
なお、図4のフローチャートにおいて、上記したように、測距センサ11による距離の測定は、イメージセンサ12による撮影画像の取得よりも高い頻度で行われてもよい。また、図4のフローチャートにおける処理の順序は一例であり、同様の結果を得られるのであれば、各ステップの順序を変更してもよい。例えば、イメージセンサ12による撮影画像の取得の処理(ステップS102)の後に、測距センサ11による距離の測定の処理(ステップS101)を行ってもよい。
【0051】
次に、本実施の形態による移動体1の動作について、具体例を用いて説明する。この具体例では、移動体1が追従対象である人間の移動に追従して移動するものとする。まず、追従対象であるユーザが、移動体1を操作して、追従を開始する旨を入力して、歩き始めたとする。すると、測距センサ11は、移動体1の周囲の物体までの距離を測定して特定部13に渡すと共に、イメージセンサ12は、移動体1の周囲の図6で示される撮影画像を取得して特定部13に渡す(ステップS101、S102)。なお、距離の測定結果は、図7で示されるものであったとする。図7では、移動体1のローカル座標系であるxy座標系において測定点が黒丸で示されている。
【0052】
特定部13は、図6で示される撮影画像において、人物の検知モデルを用いて人物5の領域を特定し、その特定した領域の方位角の範囲を特定する。また、特定部13は、図7で示される距離の測定結果において、撮影画像において特定した人物5の領域の方位角の範囲に相当する測定点を特定する。本具体例では、人物5の領域の方位角の範囲に相当する測定点として、y軸を挟んで両側に位置する測定点の集合が特定されたとする。すると、特定部13は、その測定点の集合のうち、最も移動体1に近い測定点6の位置を、追従対象の最新の位置として、蓄積部15及び移動制御部17に渡す(ステップS103)。
【0053】
その測定点6のローカル座標系における位置は(X11,Y11)であったとする。すると、蓄積部15は、その追従対象の位置と、その時点の時刻T11と、移動の差分とを記憶部14に蓄積する(ステップS104)。なお、時刻は、図示しない時計部やタイマから取得されてもよい。また、この時点では、移動を開始したところであるため、移動の差分は、すべて0であってもよい。その後、移動制御部17は、特定部13から受け取った追従対象の位置(X11,Y11)に移動するように移動機構16を制御する(ステップS105,S106)。なお、移動制御部17は、特定部13によって追従対象の最新の位置が特定されてからの移動体1の移動の差分を、移動機構16の駆動輪である車輪31a,31bの回転数を用いて取得してもよい。このようにして、移動体1は、図9Aで示されるように、追従対象である人物5に追従して移動することになる。なお、図9Aでは、説明の便宜上、移動体1及び人物5の移動方向を矢印で示しており、搬送台車2を省略している。
【0054】
このような処理が繰り返されることによって(ステップS101~S106,S108)、記憶部14では、図8Aで示されるように、追従対象の位置や移動の差分が記憶されたとする。なお、時間の経過に応じて、時刻はT11,T12,T13のように変化するものとする。また、本具体例では、記憶部14において、最新の3個の情報が記憶部14で記憶されるものとする。また、移動の差分は、位置の差分(a13,b13)等と、角度の差分θ13等とを含んでいる。
【0055】
その後、同様にして距離の測定や撮影画像の取得が行われるが、図9Bで示されるように、追従対象である人物5が壁7の曲がり角を曲がった後に、移動体1から人物5を検出できなくなったとする。すると、特定部13は、追従対象である人物5の位置を特定できなくなる(ステップS101~S104)。そのため、図8Bで示されるように、記憶部14では、最新の時刻T23の追従対象の位置が記憶されなくなる。この場合には、移動制御部17は、図8Bで示される追従対象の位置(X21,Y21)、(X22,Y22)を、移動の差分を用いて現在のローカル座標系における位置に変換し、その変換後の位置を用いて、移動制御を行うことになる(ステップS105,S107)。具体的には、移動の差分(a23,b23,θ23)は、時刻T22から時刻T23までの移動の差分であるとする。すると、移動制御部17は、その移動の差分と、追従対象の位置(X22,Y22)とを用いて、現在のローカル座標系における(X22,Y22)に相当する位置P22を求めることができる。また、同様にして、移動制御部17は、現在のローカル座標系における(X21,Y21)に相当する位置P21を求めることができる。それらの位置P21,P22は、図9Bで示されるようになっていたとすると、移動制御部17は、追従対象の位置が再度、特定できるようになるまで、まず、位置P21に向かい、その後に位置P22に向かうように移動制御を行う。なお、そのように移動すると、追従対象の人物5がセンシング範囲に入ることになるため、移動体1は、再度、追従対象の人物5に追従して移動することができるようになる。
【0056】
なお、本具体例では、図8A図8Bで示されるように、追従対象の位置や移動の差分と共に時刻が記憶部14に蓄積される場合について説明したが、時刻は蓄積されなくてもよい。より新しい追従対象の位置などが分かるように蓄積されるのであれば、時刻は必要ないからである。また、本具体例では、距離の測定と撮影画像の取得とが同じ頻度で行われる場合について説明したが、上記したように、そうでなくてもよい。撮影画像の取得の頻度は、距離の測定の頻度よりも低くてもよい。また、本具体例では、追従対象の位置が特定されるごとに追従対象の位置等が蓄積される場合について説明したが、そうでなくてもよい。追従対象の位置等の蓄積は、追従対象の位置の特定よりも低い頻度で行われてもよい。追従対象の位置等の蓄積は、例えば、所定の時間間隔で行われてもよく、追従対象の位置の特定が所定の回数行われるごとに1回だけ行われてもよい。
【0057】
以上のように、本実施の形態による移動体1によれば、測距センサ11とイメージセンサ12とを用いて追従対象の位置を特定するため、例えば、イメージセンサ12によって人物を特定した後に、測距センサ11の測定結果を用いて、その人物の位置を特定することができ、より正確に追従対象の位置を特定することができる。その結果、追従対象に適切に追従して移動することができるようになる。また、特定された追従対象の最新の位置を蓄積することによって、追従対象の位置を特定できない場合であっても、その蓄積された位置に基づいて移動することができる。その結果、曲がり角や障害物によって特定できなくなった追従対象に近づくことにより、再度、追従対象を特定できた場合には、追従対象への追従を継続できるようになる。また、複数の位置が記憶部14で記憶されている場合には、追従対象の移動経路に沿って移動することも可能になる。
【0058】
なお、本実施の形態では、追従対象の位置の特定に撮影画像が用いられる頻度が、距離の測定結果が用いられる頻度より低くなってもよいと説明したが、例えば、追従対象を見失った場合、すなわち追従対象の位置を特定できない場合には、撮影画像の取得の頻度や、追従対象の位置の特定に撮影画像を用いる頻度を、そうでない場合と比較して高くなるようにしてもよい。より早く、追従対象の位置を再度、特定できるようにするためである。
【0059】
また、本実施の形態による移動体1において、測距センサ11やイメージセンサ12を、追従対象の位置の特定以外の用途で用いてもよい。図3Bは、測距センサ11の測定結果や、イメージセンサ12によって取得された撮影画像を、追従対象の位置の特定以外の用途にも用いる移動体1の構成を示すブロック図である。図3Bにおいて、移動体1は、取得部18をさらに備えている。取得部18は、測距センサ11の測定結果、及びイメージセンサ12によって取得された撮影画像の少なくとも一方を用いて搬送対象物3の大きさを取得してもよい。例えば、測距センサ11によって360度のすべての角度の距離が測定されている場合や、イメージセンサ12が360度の全方向について撮影できる全方位カメラ(すなわち、360度カメラ)である場合などには、搬送対象物3もセンシング範囲に含まれることになる。そのため、取得部18は、測距センサ11の測定結果、及びイメージセンサ12によって取得された撮影画像の少なくとも一方を用いて、搬送対象物3の大きさを取得することができる。なお、取得部18は、測距センサ11の測定結果から搬送対象物3の大きさを取得してもよく、イメージセンサ12によって取得された撮影画像によって搬送対象物3の大きさを取得してもよく、その両方を用いて搬送対象物3の大きさを取得してもよい。測距センサ11の測定結果、及びイメージセンサ12によって取得された撮影画像の両方が搬送対象物3の大きさの取得に用いられた場合には、最終的な搬送対象物3の大きさは、それぞれによって取得された大きさの代表値となってもよい。代表値は、例えば、平均や最大値であってもよい。また、取得部18は、イメージセンサ12によって取得された撮影画像を用いて搬送対象物3を特定し、その特定した搬送対象物3の大きさを、測距センサ11の測定結果を用いて取得してもよい。より具体的には、撮影画像を用いて搬送対象物3の方位角、または方位角の範囲が特定され、その特定結果と、測距センサ11の測定結果とを用いて、搬送対象物3のサイズが取得されてもよい。撮影画像における搬送対象物3の特定は、人物の特定と同様に、例えば、パターンマッチングや、セグメンテーション、検知モデルなどを用いて行われてもよい。なお、大きさの取得の対象となる搬送対象物3は、例えば、図1で示されるように、搬送台車2に載置されている搬送対象物3であってもよく、移動体1に載置されている搬送対象物であってもよい。
【0060】
この場合には、移動制御部17は、測距センサ11の測定結果、及びイメージセンサ12によって取得された撮影画像の少なくとも一方と、取得部18によって取得された搬送対象物3の大きさとを用いて、障害物への衝突を回避するように移動機構16を制御してもよい。すなわち、移動制御部17は、測距センサ11の測定結果、及びイメージセンサ12によって取得された撮影画像の少なくとも一方を用いて移動体1の周囲に存在する障害物を検知し、その検知した障害物に衝突しないように移動制御を行ってもよい。その移動制御の際に、移動制御部17は、例えば、取得部18によって取得された搬送対象物3の大きさが大きいほど、より障害物から離れるようになる障害物への衝突回避の移動制御を行ってもよい。より具体的には、取得部18によって取得された搬送対象物3の大きさが大きいほど、移動体1が障害物からより離れた位置を通るように移動制御が行われてもよく、、移動体1が障害物からより離れた位置で停止するように移動制御が行われてもよい。なお、取得部18によって取得される搬送対象物3の大きさは、通常、水平方向の幅であるが、それ以外のサイズ、例えば搬送対象物3の高さなども取得されてもよい。搬送対象物3の高さも取得された場合には、移動制御部17は、その高さよりも低い位置に存在する障害物を避けて移動するように移動制御を行ってもよい。
【0061】
また、本実施の形態では、追従対象が人物である場合について主に説明したが、例えば、特定の人物が追従対象となってもよい。この場合には、特定部13は、撮影画像を用いて顔認証等を行い、特定の人物のみを追従対象としてもよい。また、追従対象は、人物ではなく、他の移動体であってもよい。この場合には、例えば、他の移動体に、その移動体を識別することができる図形やマーカ等が取り付けられており、特定部13は、その図形やマーカ等を撮影画像において認識して、追従対象の移動体の位置を特定してもよい。なお、追従対象の移動体には、例えば、図形やマーカ等が取り付けられておらず、特定部13は、追従対象の移動体の形状などの特徴を用いて、追従対象を特定してもよい。この場合には、撮影画像における他の移動体の特定は、人物の特定と同様に、例えば、パターンマッチングや、セグメンテーション、検知モデルなどを用いて行われてもよい。
【0062】
また、本実施の形態では、イメージセンサ12が単眼である場合について主に説明したが、イメージセンサ12は、例えば、ステレオカメラであってもよい。この場合には、撮影画像を用いて追従対象の位置を特定することも可能になる。したがって、特定部13は、距離の測定結果を用いて取得した追従対象の位置と、撮影されたステレオ画像を用いて取得した追従対象の位置とをもちいて、追従対象の最終的な位置を特定してもよい。その最終的な位置の特定は、例えば、両位置の代表位置の特定であってもよい。代表位置は、両位置の中間であってもよく、両位置をそれぞれの信頼度を用いて合成した結果の位置であってもよい。
【0063】
また、本実施の形態では、追従対象の位置が特定できない場合に、記憶されている過去の位置を用いて移動制御を行う場合について主に説明したが、そうでなくてもよい。移動体1は、そのような制御を行わなくてもよい。この場合には、移動体1は、記憶部14や蓄積部15を備えていなくてもよい。
【0064】
また、本実施の形態では、移動体1が陸上を走行する走行体である場合について主に説明したが、そうでなくてもよい。移動体1は、例えば、空中を飛行する飛行体であってもよく、水上を移動する水上移動体(例えば、船舶など)であってもよい。飛行体は、例えば、回転翼機であってもよく、飛行機であってもよく、飛行船であってもよく、その他の飛行体であってもよい。任意の位置に移動可能であるという観点からは、飛行体は、回転翼機であることが好適である。回転翼機は、例えば、ヘリコプターであってもよく、3個以上の回転翼(ロータ)を有するマルチコプターであってもよい。マルチコプターは、例えば、4個の回転翼を有するクワッドロータであってもよく、その他の個数の回転翼を有するものであってもよい。移動体1が飛行体である場合には、移動機構16は、例えば、プロペラ、及びプロペラを駆動させるモータやエンジンなどの駆動手段を有していてもよい。また、移動体1が水上移動体である場合には、移動機構16は、例えば、スクリュー、スクリューを駆動させるモータやエンジンなどの駆動手段、舵、及び舵の向きを変更可能な操舵機構を有していてもよい。
【0065】
また、上記実施の形態において、各処理または各機能は、単一の装置または単一のシステムによって集中処理されることによって実現されてもよく、または、複数の装置または複数のシステムによって分散処理されることによって実現されてもよい。
【0066】
また、上記実施の形態において、各構成要素間で行われる情報の受け渡しは、例えば、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に異なるものである場合には、一方の構成要素による情報の出力と、他方の構成要素による情報の受け付けとによって行われてもよく、または、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に同じものである場合には、一方の構成要素に対応する処理のフェーズから、他方の構成要素に対応する処理のフェーズに移ることによって行われてもよい。
【0067】
また、上記実施の形態において、各構成要素が実行する処理に関係する情報、例えば、各構成要素が受け付けたり、取得したり、選択したり、生成したり、送信したり、受信したりした情報や、各構成要素が処理で用いる閾値や数式、アドレス等の情報等は、上記説明で明記していなくても、図示しない記録媒体において、一時的に、または長期にわたって保持されていてもよい。また、その図示しない記録媒体への情報の蓄積を、各構成要素、または、図示しない蓄積部が行ってもよい。また、その図示しない記録媒体からの情報の読み出しを、各構成要素、または、図示しない読み出し部が行ってもよい。
【0068】
また、上記実施の形態において、各構成要素等で用いられる情報、例えば、各構成要素が処理で用いる閾値やアドレス、各種の設定値等の情報がユーザによって変更されてもよい場合には、上記説明で明記していなくても、ユーザが適宜、それらの情報を変更できるようにしてもよく、または、そうでなくてもよい。それらの情報をユーザが変更可能な場合には、その変更は、例えば、ユーザからの変更指示を受け付ける図示しない受付部と、その変更指示に応じて情報を変更する図示しない変更部とによって実現されてもよい。その図示しない受付部による変更指示の受け付けは、例えば、入力デバイスからの受け付けでもよく、通信回線を介して送信された情報の受信でもよく、所定の記録媒体から読み出された情報の受け付けでもよい。
【0069】
また、上記実施の形態において、移動体1に含まれる2以上の構成要素が通信デバイスや入力デバイス等を有する場合に、2以上の構成要素が物理的に単一のデバイスを有してもよく、または、別々のデバイスを有してもよい。
【0070】
また、上記実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、または、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。その実行時に、プログラム実行部は、記憶部や記録媒体にアクセスしながらプログラムを実行してもよい。なお、上記実施の形態における移動体1を実現するソフトウェアは、例えば、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、コンピュータを、追従対象に追従して移動する移動体の複数方向に関して周囲の物体までの距離を測定する測距センサの測定結果、及び、移動体の周囲の撮影画像を取得するイメージセンサによって取得された撮影画像を用いて、ローカル座標系における追従対象の位置を特定する特定部、特定部によって特定された追従対象に追従するように、移動体を移動させる移動機構を制御する移動制御部として機能させるためのプログラムである。
【0071】
なお、上記プログラムにおいて、上記プログラムが実現する機能には、ハードウェアでしか実現できない機能は含まれない。例えば、情報を取得する取得部や、情報を蓄積する蓄積部などにおけるハードウェアでしか実現できない機能は、上記プログラムが実現する機能には少なくとも含まれない。
【0072】
また、このプログラムは、サーバなどからダウンロードされることによって実行されてもよく、所定の記録媒体(例えば、CD-ROMなどの光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)に記録されたプログラムが読み出されることによって実行されてもよい。また、このプログラムは、プログラムプロダクトを構成するプログラムとして用いられてもよい。
【0073】
また、このプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、または分散処理を行ってもよい。
【0074】
図10は、上記プログラムを実行して、上記実施の形態による移動体1を実現するコンピュータシステム901の一例を示す図である。上記実施の形態は、コンピュータハードウェア及びその上で実行されるコンピュータプログラムによって実現されうる。
【0075】
図10において、コンピュータシステム901は、MPU(Micro Processing Unit)911と、フラッシュメモリ等のROM912と、MPU911に接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶すると共に、一時記憶空間を提供するRAM913と、ハードディスク914と、MPU911、ROM912等を相互に接続するバス915とを備える。ブートアッププログラム等のプログラムや、アプリケーションプログラム、システムプログラム、及びデータは、ROM912やハードディスク914に記憶されてもよい。プログラムは実行の際にRAM913にロードされる。なお、プログラムは、ネットワークから直接、ロードされてもよい。また、コンピュータシステム901は、無線通信モジュールや、タッチパネル等の入力デバイスを備えていてもよい。
【0076】
プログラムは、コンピュータシステム901に、上記実施の形態による移動体1の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)、またはサードパーティプログラム等を必ずしも含んでいなくてもよい。プログラムは、制御された態様で適切な機能やモジュールを呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいてもよい。コンピュータシステム901がどのように動作するのかについては周知であり、詳細な説明は省略する。
【0077】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0078】
1 移動体
3 搬送対象物
11 測距センサ
12 イメージセンサ
13 特定部
14 記憶部
15 蓄積部
16 移動機構
17 移動制御部
18 取得部
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-11-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体。