(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031994
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】耐火性のエンベロープを備える熱処理装置
(51)【国際特許分類】
F27B 9/24 20060101AFI20240229BHJP
F27B 5/08 20060101ALI20240229BHJP
F27D 1/00 20060101ALI20240229BHJP
F16L 59/02 20060101ALN20240229BHJP
【FI】
F27B9/24 Z
F27B5/08
F27D1/00 D
F16L59/02
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023196694
(22)【出願日】2023-11-20
(62)【分割の表示】P 2020566938の分割
【原出願日】2019-04-08
(31)【優先権主張番号】1854773
(32)【優先日】2018-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】515078420
【氏名又は名称】ウ.テ.イ.ア.-エバリュアシオン テクノロジク,アンジェニリ エ アプリカシオン
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】オリビエ ルペ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ サジェ
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、非常に高温での処理により適した熱処理装置を設計することである。
【解決手段】本発明は、製品を熱処理するための装置であって、この装置は、ハウジング2と、ハウジングの入口とハウジングの出口との間に製品を移送するためのコンベヤであって、幾何学的回転軸線に従ってハウジング内で回転するように取り付けられたスクリュー10と、スクリューのオーム加熱を伴って、前記軸線に従って前記スクリューを回転させるためのアクチュエータを備える、コンベヤとを備える装置に関する。本発明によれば、ハウジングは、スクリューが貫通する耐火材料からなるエンベロープ12を備え、エンベロープは管の形態で成形されており、その主内面はスクリューの輪郭に追従する。本発明はまた、上記装置の使用に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物質を800℃より高い温度で熱処理に供するための装置であって、前記装置は、
エンクロージャ(2)と、
前記エンクロージャの入口と前記エンクロージャの出口との間で前記物質を移送するためのコンベヤであって、前記コンベヤは、回転軸線を中心にして前記エンクロージャの内部で回転するように取り付けられたスクリュー(10)と、前記回転軸線を中心に回転して前記スクリューを駆動するためのアクチュエータとを有し、かつ、前記スクリュー自体は回転シャフトを有さない、コンベヤと、
前記スクリューのジュール効果の加熱部とを備える、装置において、
前記エンクロージャは、そこを通って延びる前記スクリューを有する耐火材料のエンベロープ(12)を備え、前記エンベロープは、前記スクリューの輪郭に続く主内面を有する管として成形されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記エンベロープ(12)は耐火セラミック製である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記エンベロープ(12)は中空円筒の形状である、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記エンベロープ(12)の内側半径が、前記スクリュー(10)の外側半径よりも1mm~20mmの範囲の値だけ大きい、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記エンベロープ(12)の前記内側半径が、前記スクリュー(10)の前記外側半径よりも、5mm~15mmの範囲の値だけ大きい、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記エンベロープ(12)は、連続した複数のセグメント(13)から構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記複数のセグメント(13)は、互いに係合するように成形されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記エンクロージャ(2)は、前記エンベロープ(12)を包囲し、かつ、前記エンベロープの形状に適合するように、少なくとも内側において成形されている外側ケーシング(16)を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記外側ケーシング(16)が中空円筒として成形されている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記エンクロージャ(2)が、前記エンベロープを囲む熱絶縁材料からなるブランケット(17)を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
800℃より高い温度で物質を熱処理するための請求項1~10のいずれか一項に記載の装置の使用。
【請求項12】
前記装置は、物質と、800℃より高い温度で分解する前記物質に付随する気体とに熱処理を加えるために使用される、請求項11に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱処理装置に関する。
【0002】
本発明は、また、800℃より高い温度で物質に熱処理を施すための該装置の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
産業界で一般的に使用されている熱処理装置は、熱処理を行うための移送部材及び加熱手段を備えている。
【0004】
したがって、エンクロージャと、エンクロージャの入口とエンクロージャの出口との間で物質を移送するためのコンベヤ手段とを有する熱処理装置であって、該コンベヤ手段は、エンクロージャ内部で回転軸線を中心として回転するように取り付けられたスクリューと、スクリューを回転駆動するための手段とを備えている装置が知られている。この装置は、ジュール効果によってスクリューを加熱するための加熱手段も有する。
【0005】
処理用の物質は、通常、分割された固体の形態でエンクロージャの入口に挿入される。スクリューは、物質をエンクロージャの出口に向けて連続的に駆動する。スクリューの温度のため、物質が進むにつれて次第に加熱され、それによって熱処理を受ける。
【0006】
それにもかかわらず、このような配置は、必ずしも高温での処理を想定することを可能にするわけではない。
【0007】
特許文献1(欧州特許第2218300号明細書)において、本出願人は、こうして、耐火性材料からなる内壁を有するエンクロージャを有することを提案した。このように、内壁を加熱するための手段を構成するスクリューは、前記内壁自体が、前記エンクロージャの内側を前進する分割された固体の放射加熱のための加熱手段を構成する。
【0008】
上記の装置により、分割された固体の放射熱処理が促進される。
【0009】
とはいえ、それでも、物質を非常に高温で処理することを想定しうるには十分ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、非常に高温での処理により適した熱処理装置を設計することである。
【0012】
本発明の別の目的は、上記の装置の使用を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的を達成するために、物質を熱処理するための装置であって、該装置は、
エンクロージャと、
該エンクロージャの入口と該エンクロージャの出口との間で該物質を移送するためのコンベヤであって、該コンベヤは、該エンクロージャの内部で回転軸線を中心にして回転するように取り付けられたスクリューと、該軸を中心に回転して該スクリューを駆動するためのアクチュエータとを有する、コンベヤと、
スクリューのジュール効果加熱部材とを備える、装置が提供される。
【0014】
本発明によれば、エンクロージャは、そこを通って延びるスクリューを有する耐火材料からなるエンベロープを備え、前記エンベロープは、スクリューの輪郭に追従する内面を有する管として成形される。
【0015】
その結果、エンベロープは、スクリューの輪郭の周囲に密着する。したがって、スクリューとエンベロープとの間の任意の空間が制限され、それによって、物質が通過しているエンベロープ内で熱交換を増すことができる。
【0016】
したがって、本発明は、物質の温度を著しく上昇させることができる。
【0017】
従って、本発明により、高温、ひいては非常に高温でも作動させることができる。このようにして、発明者らは、800℃よりも高い温度、さらには1000℃よりも高い温度、より好ましくは1300℃、1500℃、さらには1800℃よりも高い温度(上記の温度は、エンクロージャ内に記録された最高温度に対応し、上記の温度は、一般に、後半で、かつエンクロージャの出口付近のエンベロープで見出される)で作動することが可能であることを見出した。
【0018】
当然、本発明は、望まれるはずのより低い温度(したがって、800℃より低い温度)での熱処理に対しても、同様に良く使用することができる。
【0019】
選択的に、エンベロープは、耐火性セラミックで作られる。
【0020】
選択的に、エンベロープは中空円筒の形状である。
【0021】
選択的に、エンベロープの内側半径は、スクリューの外側半径よりも、1ミリメートル(mm)~20mmの範囲の値だけ大きい。
【0022】
選択的に、エンベロープの内側半径は、スクリューの外側半径よりも、5mm~15mmの範囲の値だけ大きい。
【0023】
選択的に、エンベロープは連続した複数のセグメントで構成される。
【0024】
選択的に、複数のセグメントは、互いに係合するように成形される。
【0025】
選択的に、エンクロージャは、エンベロープを包囲し、かつ、エンベロープの形状に適合するように少なくとも内側に成形された、外側ケーシングを有する。
【0026】
選択的に、ケーシングは、中空円筒として成形される。
【0027】
選択的に、エンクロージャは、エンクロージャを囲む熱絶縁材料で作られたブランケットを有する。
【0028】
また、本発明は、800℃より高い温度で物質に熱処理を施す上記装置の使用に関する。
【0029】
選択的に、この装置は、物質と、800℃より高い温度で分解する物質に付随する気体にも熱処理を施すために使用される。
【0030】
本発明の他の特性及び利点は、特定の実施形態に関する、以下の説明及び添付の図面を参照してより明確となる。
【0031】
添付図面の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、本発明の特定の実施形態における熱処理装置の概略縦断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した装置のエンベロープの斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示したエンベロープのセグメントの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、本発明の特定の実施形態における熱処理装置を示し、全体を示す参考番号1が与えられている。
【0034】
この例では、装置1は、例えばメタンガス又は実際に二水素などの気体を生成するために、例えば植物性廃棄物又は実際に高分子廃棄物などのガス化廃棄物に適用可能である。当然、この用途は限定的なものではなく、装置1は、他の多くの用途に使用されうる。例として言及すると、焙焼、熱分解、気化、揮発除去、乾燥などがある。同様に、分割された固体は、粉末、粉粒体、片、繊維、シートなどの形態としうるが、それらは、植物、鉱物、化学的などの起源のものとしうる。
【0035】
装置1は、ほぼ水平方向に延びておりかつ複数の脚部によって地面の上方で保持されているエンクロージャ2を有する。
【0036】
この例では、エンクロージャ2は、実質的にエンクロージャ2の第1長手方向端部においてエンクロージャ2のカバー内に配置された入口4を有する。特定の実施形態では、装置は、エンクロージャの入口4に密閉されて接続される入口管5を有する。一例として、入口管5は、既に、対象の物質を分割された固体に粉砕、圧縮、押出、溶融、又は造粒するための装置に接続されているか、あるいは、実際には、分割された固体の形態である対象の物質を事前調整するための装置に接続されている。事前調整理装置は、例として、物質を特定の値の温度及び相対湿度に加熱及び乾燥させ、高密度にするため、又は物質を湿らせるため、その他のものとして、部分的又は全体的に溶融させることによって間質性空気を抽出する役目を果たす。
【0037】
また、エンクロージャ2は、実質的にエンクロージャ2の2つの長手方向端部の第2端部において、この例ではエンクロージャ2の下面に配置された第1の出口6を有する。特定の実施形態では、装置は、エンクロージャ2の第1の出口6に密閉された方法で接続される出口管7を有する。一例として、出口管7は、物質を冷却するための装置に接続される。
【0038】
この例では、エンクロージャ2は、また、実質的にエンクロージャ2の二つの長手方向端部の第2の端部においてエンクロージャ2のカバー内に具体的に配置されているが、さらに上流に配置することができる第2の出口8を有している。この第2の出口8は、分割された固体の熱処理から生じ得る気体の副生成物を回収する役割を果たす。対象とする気体の副生成物の性質は、対象とする処理の種類によって異なる。したがって、気体、煙、蒸気、重金属などとなるであろう。特定の実施形態では、装置は、エンクロージャ2の第2の出口8に密閉されて接続される出口管9を有する。一例として、出口管9は、例えば、前記気体の副生成物を浄化するために、気体状副生成物の後処理のための装置に接続される。
【0039】
箱(図示せず)は、エンクロージャ2の各端部に固定される。
【0040】
装置1は、エンクロージャ2の内側で長手軸線Xを中心として回転するように取り付けられた長手軸線Xのスクリュー10を有する。具体的には、スクリュー10は、その2つの端部の各々がそれぞれのシャフトセグメント11a、11bの先端に締結された螺旋コイルの形態をなしているが、これは当然のことながら単なる一例であり、他の任意の螺旋の幾何学的構成を用いることができる。
【0041】
したがって、スクリュー10は、それ自体はシャフトを有していない。
【0042】
各シャフトセグメント11a、11bの他端は、同一軸上にありかつ関連する箱を通るシャフトに接続されている。
【0043】
各箱には、スクリュー10を回転駆動する手段と、スクリュー10に電気を送る手段とが設けられており、それが、ジュール効果加熱手段を構成するようになっている。このようにスクリュー10が加熱移送手段を構成している。
【0044】
このために、スクリュー10を構成する材料の大部分は導電性である。スクリュー10は、高い融点を有し、当然、装置が使用される温度よりも高い融点を有するように選択される。したがって、800℃より高い融点、好ましくは1500℃より高い、より好ましくは2000℃より高い、さらに好ましくは2500℃より高い、又はさらに3000℃より高い融点を有する金属で作られたスクリューを有することが可能である。したがって、非常に高温で作動させるために、タンタル基合金などの高融点(耐火性)金属又は高融点金属合金からなるスクリュー10を有することが可能である(スクリュー10の融点は実質的に3000℃である)。
【0045】
さらに、高温(典型的には800℃よりも高い)又は非常に高温(典型的には1500℃よりも高い)で熱処理を行うことが望まれる場合、箱は、箱の内部に存在する温度は、それらが含む構成要素に適合する温度であり、したがって、800℃よりもかなり低い温度であるように、エンクロージャ2に配置されて接続される必要がある。このため、箱には、断熱部材及び/又は換気部材(例えば、冷却流体を循環させる、冷却フィン、1つ又は複数のファンなど)を設けることができる。好ましくは、スクリュー10を担持するシャフトセグメントは中空であり、その結果、冷却流体が複数のシャフトセグメントの内部を循環することができる。
【0046】
更なる詳細については、本願の出願人の名義の特許文献である欧州特許第2218300号明細書を参照すればよく、スクリュー10の駆動及び加熱並びに箱及び複数のシャフトセグメントの冷却についても一層十分に記載されている。
【0047】
本発明によれば、エンクロージャは、耐火性(高融点)材料からなるエンベロープ12を備え、このエンベロープを通してスクリュー10が延びている。スクリュー10は、それと接触する物質を直接的に加熱する機能と、該物質を長手方向に移送させる機能に加えて、エンベロープ12も加熱し、それ自体が大量の分割された固体に対して放射加熱を提供する。
【0048】
スクリュー10の大部分は、導電性材料によって構成され、少なくとも1つの電力供給部に接続されるので、エンベロープ12が、耐火性及び電気絶縁性の両方を有する材料で作られなければならない。一例として、耐火コンクリート又は炉壁を作るために一般的に使用されるような耐火セラミック材料で作ることができる。このような材料は融点が非常に高く、特に2000℃より高い。例えば、エンベロープ12はアルミナ(Al2O3)に基づいてもよい。明らかに、エンベロープ12は、高い融点を有し、装置が使用される温度よりも当然に高い融点を有するように選択される。
【0049】
本例において、管5、7、9は、同様に、エンベロープ12の材料と同種の耐火材料からなることが好ましい。
【0050】
種々の図を参照すると、エンベロープ12は、スクリュー10がそれを通して配置される長手方向に延びる管の形状をなしている。したがって、管状エンベロープ12は、スクリュー10を円周方向に囲む。
【0051】
この例では、スクリュー10は、さらに、エンベロープ12の下面に載置されている。
【0052】
このように、エンベロープ12は中空円筒の形状をなしている。
【0053】
エンベロープ12の断面は、スクリュー10の輪郭と適合する。したがって、エンベロープ12の断面は、スクリュー10を取り囲むその内径を有する環状の形状をなしている。
【0054】
その結果、スクリュー10と周囲のエンベロープ12との間のいかなる隙間も制限される。
【0055】
こうして、物質の部分的又は全面的な熱分解によって生成された気体は、スクリュー10の中心に通過し、温度が最も高い巻部によって画定される対応する螺旋状空間に押し込まれ、それによって、物質の固相のように、物質から来た気体を非常に高い温度で熱処理することが可能になる。また、気体は、最初から、スクリュー10の中心を介して螺旋状空間を通過するように強いられ、それによって、それがエンクロージャを通過している間、スクリュー10の中心における気体の通過時間を最大にする。
【0056】
エンベロープから脱出するためには、スクリュー10とエンベロープ12との接近が非常に狭いため、気体は、スクリュー10の複数の加熱巻部の間に残されている空間に沿って移動しなければならない。スクリューのコア内を移動する距離で気体の熱処理を終了する。
【0057】
これは、エンベロープ12の頂部プレナムに入る気体の比率を制限する役割を果たし、その結果、前記気体が熱処理を受ける期間が長くなる。
【0058】
このように、エンベロープ12は、スクリュー10の直径に可能な限り密接して適合するように成形される。エンベロープ12の内側半径は、10の外側半径と同一であることが好ましい。このような状況下では、スクリュー10も(エンベロープの下面のみならず)エンベロープ12の残部に接触する。したがって、スクリュー10とエンベロープ12とは同心である。
【0059】
組立の容易さの理由から、エンベロープ12の半径がスクリューの半径よりもわずかに大きいことが好ましい場合がある。このような状況下では、スクリューがエンベロープ12の下面に載置された状態で、スクリュー10とエンベロープ12は同心ではなく、わずかに軸線から外れる。したがって、エンベロープ12の上部にはプレナムが存在する。好ましくは、エンベロープ12は、このプレナムが1mm~20mm、好ましくは5mm~15mm、より好ましくは5mm~10mmを占めるように成形される。
【0060】
どのような状況においても、エンベロープ12は、スクリュー10のための純正シースとなり、スクリュー10の形状に適合するだけでなく、スクリュー10にも近接しているように成形される。
【0061】
当然、エンベロープ12は、360°にわたってスクリュー10を囲んでいる。さらに、エンベロープ12は、少なくともスクリュー10の全長に沿って延びている。
【0062】
エンベロープ12は、エンクロージャ2の全長に沿って延在することが好ましい。
【0063】
一例として、エンベロープ12は、成形によって製造されてもよい。
【0064】
図3及び
図4でより明確に分かるように、この例では、エンベロープ12は単一片として作られていない。このように、エンベロープ12は、連続した複数のセグメント13から構成される。
【0065】
これは、特に、スクリュー10をエンベロープ12の内側に配置しやすくする役割を果たす。また、複数のセグメント13の一つが破損した場合には、これにより、エンベロープ12の一部のみを変更することが可能となる。
【0066】
これにより、エンベロープ12も製作し易くなる。特に、各セグメント13は、成形によって製造されうる。
【0067】
好ましくは、種々のセグメント13は全て互いに同一である。
【0068】
エンベロープ12は、典型的には、3~7個のセグメントを備える。
【0069】
好ましくは、種々のセグメント13は、ねじの締結、接着剤、スナップ締め、相互係合、密封などによって、互いに接続される。
【0070】
好ましくは、種々のセグメント13は、互いに係合することができるように成形される。
【0071】
これにより、エンベロープ12に対して良好な連続性が得られる。これは、特に、エンベロープ12に対して良好な漏洩密封性を与えるように働き、これは、特に、エンベロープ12の内側に気体の副生成物を保持するのに有利である。
【0072】
さらに、種々のセグメント13の相互係合により、種々のセグメント13が互いに対して自動的に中心合わせされることが可能になり、それにより、エンベロープ12の組立が容易になる。
【0073】
この例では、各セグメント13は円筒管の形態をなしており、セグメント13の第1の端部は円形の内側溝14を有し、セグメント13の(第1の端部とは反対側の)第2の端部は隣接するセグメント13の円形の内側溝14内に挿入されるのに適した円形の延長部15を有している。
【0074】
これは、種々のセグメント13の間に階段状の係合を提供し、したがって、全体的に良好な洩密封性を提供する。
【0075】
種々のセグメント13が相互に係合した後(例えば、セラミックシールによって)、互いに固定することができる。
【0076】
図4でより明確に分かるように、特定の実施形態では、エンクロージャ2は、エンベロープ12及びスクリュー10を包囲し、かつ、好ましくは、エンベロープ12の形状、従って、スクリュー10の形状に適合するように成形された外側ケーシング16を有する。
【0077】
このように、ケーシング16は、エンベロープ12が係合される、長手方向に延びる管として成形され、管は2つの端壁によって閉鎖されている。スクリュー10を担持するシャフトセグメント11a、11bは、2つの端壁を通過する。
【0078】
したがって、ケーシング16はエンベロープ12を円周方向に囲む。当然、ケーシング16は、360°にわたってスクリュー12を囲んでいる。
【0079】
したがって、ケーシング16は、エンベロープ12と同心である。
【0080】
ケーシング16の断面は、エンベロープ12の輪郭に追従する。したがって、ケーシング16の断面は、エンベロープ12を囲むその内径を有する環状の形状をなしている。
【0081】
その結果、ケーシング16とエンベロープ12との間のいかなる空間も制限される。
【0082】
この例では、ケーシング16は単一片を備えている。
【0083】
ケーシング16は中空円筒の形状をしている。
【0084】
ケーシング16は金属材料からなる。典型的には、ケーシング16は、ステンレス鋼などの鋼製であり、例えば、非磁性である。
【0085】
好ましい実施形態では、ケーシング16とエンベロープ12とが互いに接触していない。
【0086】
したがって、エンクロージャ2は、エンベロープ12とケーシング16との間に延在する熱絶縁材料からなる中間ブランケット17を有する。例として、ブランケット17はロックウール製である。
【0087】
この例では、ブランケット17は、エンベロープ12の外側がブランケット17の内側と接触し、ケーシング16の内側がブランケット17の外側と接触するように配置されている。
【0088】
したがって、ブランケット17も同様に、エンクロージャ2の形状及びエンベロープ12の形状と適合する。
【0089】
このように、ブランケット17は、エンベロープ12が係合される、長手方向に延びる管の形状であり、ブランケット17自体はケーシング16を通って延び、管を閉鎖する2つの端壁を有する。2つの端壁は、エンベロープ12の2つの端部が担持する壁であり、また、そこを通るスクリュー10を担持するシャフトセグメント11a、11bを有する壁である。これら端壁自体は、ケーシング16の対応する端壁に押圧される。このように、ブランケット17はケーシング16の全長にわたって延在し、ケーシング16の端壁に対して両端部で当接するようになっている。
【0090】
したがって、ブランケット17は、エンベロープ12を円周方向に囲む。当然、ブランケット17は、エンベロープ12を360°にわたって囲んでいる。
【0091】
このように、ブランケット17は、エンベロープ12と同心である。
【0092】
ブランケット17の断面は、ケーシング16及びエンベロープ12の輪郭に追従する。このように、ブランケット17の断面は、エンベロープ12を囲むその内円と、ケーシング16によって囲まれるその外円とを有する環状の形状をなしている。
【0093】
ブランケット17は、中空円筒の形状である。
【0094】
この例では、ブランケット17は単一片である。
【0095】
ケーシング16及びブランケット17に関して、また、ブランケット17及びエンベロープ12に関して、非常に近接している、又は、実際に接触している、複数の層(ケーシング、ブランケット、エンベロープ、スクリュー)を有するそのほぼ管状の形状により、エンクロージャ2は、小さな寸法となる。
【0096】
このように、多種多様な処理を行うことができると共に、簡単で、多用途で、コンパクトで、しかもエネルギー消費の少ない、高温又は非常に高温の熱処理装置1を製造することができる。
【0097】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、反対に、本発明は、上述した本質的な特徴を再現するために、均等な手段を用いて、任意の変形形態に及ぶ。
【0098】
特に、エンベロープのみがスクリューの形状に適合することが可能である。このように、エンクロージャのケーシングは、何らかの他の形状を有しうる。また、その外面が異なる一方で、内面のみがエンベロープの形状に適合するケーシングを有することも可能であろう。ケーシングとブランケット、及び/又は、ブランケットとエンベロープは、ケーシング、ブランケット、及び/又は、エンベロープの全長にわたって接触している必要はない。
【0099】
ブランケットは、単一片である必要はなく、互いに締結される、及び/又は、エンベロープに締結される、及び/又は、ケーシングに締結される、複数の要素で構成することができる。ブランケットを省略することが可能である。
【0100】
同様に、ケーシングは単一片である必要はない。
【0101】
エンベロープは、単一片としうる。エンベロープの内面のみがスクリューの形状に適合し、その外面は何らかの他の形状を有することが可能である。このように、エンベロープは、管、すなわち、円筒状でない外形の細長い中空部材とすることができる。
【0102】
エンベロープの内側半径がスクリューの内側半径よりも大きい場合でも、エンベロープとスクリューは同心にすることができ、この場合、スクリューはエンベロープの下面に当接しない。この例では、物質は、分割された固体の形態でエンクロージャの中に挿入されるが、物質は、例えば、液体又は実際には気体として、何らかの他の形態で挿入され得る。同様にして、出口にある1つ以上の物質を気体、液体、油、固体などの形態で回収することができる。エンクロージャの入口と出口の数は、状況に応じて調整する必要がある。
【0103】
本発明の可能な用途の中で、熱処理装置は、後処理を受けるために、熱分解から来る炭を処理するように、従来の熱分解設備から下流に設置することができることも理解されるべきである。
また、本開示は以下の発明を含む。
第1の態様は、
物質を熱処理に供するための装置であって、前記装置は、
エンクロージャ(2)と、
前記エンクロージャの入口と前記エンクロージャの出口との間で前記物質を移送するためのコンベヤであって、前記コンベヤは、回転軸線を中心にして前記エンクロージャの内部で回転するように取り付けられたスクリュー(10)と、前記回転軸線を中心に回転して前記スクリューを駆動するためのアクチュエータとを有し、かつ、前記スクリュー自体は回転シャフトを有さない、コンベヤと、
前記スクリューのジュール効果の加熱部とを備える、装置において、
前記エンクロージャは、そこを通って延びる前記スクリューを有する耐火材料のエンベロープ(12)を備え、前記エンベロープは、前記スクリューの輪郭に続く主内面を有する管として成形されていることを特徴とする装置である。
第2の態様は、
前記エンベロープ(12)は耐火セラミック製である、第1の態様における装置である。
第3の態様は、
前記エンベロープ(12)は中空円筒の形状である、第1の態様又は第2の態様における装置である。
第4の態様は、
前記エンベロープ(12)の内側半径が、前記スクリュー(10)の外側半径よりも1mm~20mmの範囲の値だけ大きい、第1の態様~第3の態様のいずれか1つにおける装置である。
第5の態様は、
前記エンベロープ(12)の前記内側半径が、前記スクリュー(10)の前記外側半径よりも、5mm~15mmの範囲の値だけ大きい、第4の態様における装置である。
第6の態様は、
前記エンベロープ(12)は、連続した複数のセグメント(13)から構成される、第1の態様~第5の態様のいずれか1つにおける装置である。
第7の態様は、
前記複数のセグメント(13)は、互いに係合するように成形されている、第6の態様における装置である。
第8の態様は、
前記エンクロージャ(2)は、前記エンベロープ(12)を包囲し、かつ、前記エンベロープの形状に適合するように、少なくとも内側において成形されている外側ケーシング(16)を備える、第1の態様~第7の態様のいずれか1つにおける装置である。
第9の態様は、
前記外側ケーシング(16)が中空円筒として成形されている、第8の態様における装置である。
第10の態様は、
前記エンクロージャ(2)が、前記エンベロープを囲む熱絶縁材料からなるブランケット(174)を有する、第1の態様~第9の態様のいずれか1つにおける装置である。
第11の態様は、
800℃より高い温度で物質を熱処理するための第1の態様~第10の態様のいずれか1つにおける装置の使用である。
第12の態様は、
前記装置は、物質と、800℃より高い温度で分解する前記物質に付随する気体とに熱処理を加えるために使用される、第11の態様における使用である。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物質を800℃より高い温度で熱処理に供するための装置であって、前記装置は、
エンクロージャ(2)と、
前記エンクロージャの入口と前記エンクロージャの出口との間で前記物質を移送するためのコンベヤであって、前記コンベヤは、回転軸線を中心にして前記エンクロージャの内部で回転するように取り付けられたスクリュー(10)と、前記回転軸線を中心に回転して前記スクリューを駆動するためのアクチュエータとを有し、かつ、前記スクリュー自体は回転シャフトを有さない、コンベヤと、
前記スクリューのジュール効果の加熱部とを備える、装置において、
前記エンクロージャは、そこを通って延びる前記スクリューを有する耐火材料のエンベロープ(12)を備え、前記エンベロープは、前記スクリューの輪郭に続く主内面を有する管として成形されており、
前記スクリューは、前記エンベロープの下面に載置されており、前記エンベロープの上部にはプレナムが存在するように前記スクリューと前記エンベロープは同心でない、ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記エンベロープ(12)は耐火セラミック製である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記エンベロープ(12)は中空円筒の形状である、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記エンベロープ(12)の内側半径が、前記スクリュー(10)の外側半径よりも1mm~20mmの範囲の値だけ大きい、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記エンベロープ(12)の前記内側半径が、前記スクリュー(10)の前記外側半径よりも、5mm~15mmの範囲の値だけ大きい、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記エンベロープ(12)は、連続した複数のセグメント(13)から構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記複数のセグメント(13)は、互いに係合するように成形されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記エンクロージャ(2)は、前記エンベロープ(12)を包囲し、かつ、前記エンベロープの形状に適合するように、少なくとも内側において成形されている外側ケーシング(16)を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記外側ケーシング(16)が中空円筒として成形されている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記エンクロージャ(2)が、前記エンベロープを囲む熱絶縁材料からなるブランケット(17)を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
800℃より高い温度で物質を熱処理するための請求項1~10のいずれか一項に記載の装置の使用。
【請求項12】
前記装置は、物質と、800℃より高い温度で分解する前記物質に付随する気体とに熱処理を加えるために使用される、請求項11に記載の使用。