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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003201
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】光電気複合伝送モジュール
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/12 20060101AFI20231228BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
G02B6/12 301
G02B6/42
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023194540
(22)【出願日】2023-11-15
(62)【分割の表示】P 2019147454の分割
【原出願日】2019-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003812
【氏名又は名称】弁理士法人いくみ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 直幸
(72)【発明者】
【氏名】大須賀 皓也
(72)【発明者】
【氏名】寺地 誠喜
(57)【要約】
【課題】接続部分と電気コネクタとの電気的な接続信頼性に優れる光電気複合伝送モジュールを提供すること。
【解決手段】光電気複合伝送モジュール1はプリント配線板2と電気コネクタ3と光電混載基板4とを備える。光電混載基板4は長尺形状を有する。光電混載基板4はフレキシブル配線板11と金属支持層12と光導波路フィルム13とを含む光電変換部分9と、光電混載基板4の長手方向一端部に配置されており、フレキシブル配線板11と、金属支持層12および光導波路フィルム13、または、光導波路フィルム13とを含む電気接続部分7とを備える。電気接続部分7が電気コネクタ3に挿入されている。光導波路フィルム13はアンダークラッド層20とコア層21とオーバークラッド層22とを備える。電気接続部分7における光導波路フィルム13はコア層21を含まずアンダークラッド層20およびオーバークラッド層22を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線板と、
前記プリント配線板に設けられる電気コネクタと、
前記プリント配線板と前記電気コネクタを介して電気的に接続される光電気混載基板とを備え、
前記光電気混載基板は、長尺形状を有し、
フレキシブル配線板と、金属支持層と、光導波路フィルムとを厚み方向においてこの順で含む光電変換部分と、
前記光電気混載基板の長手方向一端部に配置されており、前記フレキシブル配線板と、前記金属支持層および前記光導波路フィルム、または、前記光導波路フィルムとを含む接続部分とを備え、
前記接続部分が、前記電気コネクタに挿入されており、
前記光導波路フィルムは、アンダークラッド層と、コア層と、オーバークラッド層とを備え、
前記接続部分における前記光導波路フィルムは、前記コア層を含まず、前記アンダークラッド層および前記オーバークラッド層を含むことを特徴とする、光電気複合伝送モジュール。
【請求項2】
前記接続部分は、前記金属支持層および前記光導波路フィルムを含み、
前記接続部分において、前記光導波路フィルムが、前記金属支持層に接触していることを特徴とする、請求項1に記載の光電気複合伝送モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電気複合伝送モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フレキシブルプリント基板および光導波路フィルムを厚み方向に順に備える光電気変換モジュールを知られている。
【0003】
例えば、光電気変換モジュールの一端部に配置される接続部分が、フレキシブルプリント基板からなり、これをFPCコネクタに挿入することが提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-010254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のフレキブルプリント配線板は、薄く、かつ、可撓性を有する。そのため、FPCコネクタの挿入孔に確実に固定できず、そのため、電気的な接続信頼性が低下するという不具合を有する。
【0006】
本発明は、接続部分と電気コネクタとの電気的な接続信頼性に優れる光電気複合伝送モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明(1)は、プリント配線板と、前記プリント配線板に設けられる電気コネクタと、前記プリント配線板と前記電気コネクタを介して電気的に接続される光電気混載基板とを備え、前記光電気混載基板は、長尺形状を有し、フレキシブル配線板と、金属支持層と、光導波路フィルムとを厚み方向においてこの順で含む光電変換部分と、前記光電気混載基板の前記長手方向一端部に配置されており、前記フレキシブル配線板と、前記金属支持層および/または前記光導波路フィルムとを含む接続部分とを備え、前記接続部分が、前記電気コネクタに挿入されている、光電気複合伝送モジュールを含む。
【0008】
この光電気複合伝送モジュールによれば、接続部分が、電気コネクタに挿入されており、かかる接続部分が、フレキシブル配線板と、金属支持層および/または光導波路フィルムとを含む。接続部分は、フレキシブル配線板に加え、金属支持層および/または光導波路フィルムによって、接続部分の厚みを、電気コネクタに対応して調整できる。また、接続部分におけるフレキシブル配線板を、金属支持層および/または光導波路フィルムによって支持でき、そのため、接続部分を剛直にできる。そのため、接続部分は、電気コネクタに挿入されて確実に固定される。その結果、電気コネクタを介した光電気混載基板およびプリント配線板間の電気的な接続信頼性に優れる。
【0009】
本発明(2)は、前記接続部分は、前記金属支持層および前記光導波路フィルムを含み、前記接続部分において、前記光導波路フィルムが、前記金属支持層に接触しているる、(1)に記載の光電気複合伝送モジュールを含む。
【0010】
しかるに、光導波路フィルムが、接着剤層を介して金属支持層に配置されると、接着剤層の厚みは、制御が困難となり易いことから、接続部分の厚みが変動し易い。
【0011】
一方、この光電気複合伝送モジュールでは、光導波路フィルムが、金属支持層に直接接触するので、接続部分の厚みの制御が正確かつ容易である。そのため、上記した電気的な接続信頼性に優れる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の光電気複合伝送モジュールでは、電気コネクタを介した光電気混載基板およびプリント配線板間の電気的な接続信頼性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の光電気複合伝送モジュールの一実施形態(電気接続部分が、光導波路フィルムを含む態様)の長手方向に沿う断面図である。
図2図2は、図1に示す光電気複合伝送モジュールの製造方法を説明する工程断面図である。
図3図3は、図1に示す光電気複合伝送モジュールの変形例(電気接続部分が、金属支持層および光導波路フィルムを含む態様)の断面図である。
図4図4は、図1に示す光電気複合伝送モジュールの変形例(電気接続部分が、金属支持層を含む態様)の断面図である。
図5図5は、図1に示す光電気複合伝送モジュールの変形例(光電混載基板が、フレキシブル配線板と金属支持層と光導波路フィルムとを厚み方向一方側に向かって順に含む態様)の長手方向に沿う断面図である。
図6図6は、図3に示す光電気複合伝送モジュールの変形例(光電混載基板が、フレキシブル配線板と金属支持層と光導波路フィルムとを厚み方向一方側に向かって順に含む態様)の長手方向に沿う断面図である。
図7図7は、図4に示す光電気複合伝送モジュールの変形例(光電混載基板が、フレキシブル配線板と金属支持層と光導波路フィルムとを厚み方向一方側に向かって順に含む態様)の長手方向に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の光電気複合伝送モジュールの一実施形態を図1図2を参照して説明する。
【0015】
光電気複合伝送モジュール1は、長尺形状を有する。光電気複合伝送モジュール1は、プリント配線板2と、電気コネクタ3と、光電混載基板4とを備える。
【0016】
プリント配線板2は、光電気複合伝送モジュール1の長手方向一端部に配置されている。プリント配線板2は、基板25と、端子(図示せず)とを備える。基板25は、平板形状を有する。基板25の材料としては、例えば、ガラス繊維強化エポキシ樹脂などの硬質材料が挙げられる。端子(図示せず)は、次に説明する電気コネクタ3に対応して、基板25の厚み方向一方面に設けられている。
【0017】
電気コネクタ3は、例えば、FPCコネクタ、ZIFコネクタ、基板用コネクタなどを含む。電気コネクタ3は、プリント配線板2の厚み方向一方面に配置されている。電気コネクタ3は、例えば、断面視略コ字(U字)形状を有する。電気コネクタ3は、差し込み口5と、差し込み口5内に設けられるコネクタ端子6とを有する。
【0018】
差し込み口5は、次に説明する電気接続部分7(接続部分の一例)が差し込み可能に構成されている。差し込み口5は、その内側において、厚み方向に対向する第1面26および第2面27を有する。第2面27は、第1面26に対して厚み方向一方側に間隔が隔てられる。
【0019】
コネクタ端子6は、第2面27に設けられている。コネクタ端子6は、電気接続部分7のコネクタ側端子17(後述)に対応して設けられる。
【0020】
図2に示すように、第1面26およびコネクタ端子6間の距離T0は、電気コネクタ3の規格(種類)に応じて適宜設定されている。具体的には、第1面26およびコネクタ端子6間の距離T0は、例えば、10μm以上、好ましくは、100μm以上であり、また、例えば、2,000μm以下、好ましくは、500μm以下である。
【0021】
光電混載基板4は、長尺の平板形状を有する。光電混載基板4は、電気接続部分7と、電気伝送部分8と、光電変換部分9と、光伝送部分10とを長手方向においてこの順で有する。また、光電混載基板4は、フレキシブル配線板11と、金属支持層12と、光導波路フィルム13とを含む。
【0022】
電気接続部分7は、光電混載基板4の長手方向一端部に配置されている。電気接続部分7は、少なくともフレキシブル配線板11を含む。光電混載基板4におけるその他の構成について後で説明する。電気接続部分7は、電気コネクタ3に挿入されており、これにより、電気コネクタ3を介して、プリント配線板2と電気的に接続されている。
【0023】
電気伝送部分8は、コネクタ端子6の長手方向他方側に隣接配置されている。電気伝送部分8は、フレキシブル配線板11と、光導波路フィルム13とを厚み方向においてこの順で含む。一方、電気伝送部分8は、金属支持層12を含まない。
【0024】
光電変換部分9は、電気伝送部分8の長手方向他方側に隣接配置されている。光電変換部分9は、フレキシブル配線板11と、金属支持層12と、光導波路フィルム13とを厚み方向においてこの順で含む。
【0025】
光伝送部分10は、光電変換部分9の長手方向他方側に隣接配置されている。光伝送部分10は、フレキシブル配線板11と、光導波路フィルム13とを厚み方向においてこの順で含む。一方、光伝送部分10は、金属支持層12を含まない。光伝送部分10の光導波路フィルム13の長手方向他端面は、図示しない別の光学部材(光ファイバーなど)と光学的に接続される。
【0026】
フレキシブル配線板11は、長手方向において、光電混載基板4の一端から他端にわたって、光電混載基板4の全体に配置されている。具体的には、フレキシブル配線板11は、電気接続部分7と、電気伝送部分8と、光電変換部分9と、光伝送部分10とに配置されている。フレキシブル配線板11は、ベース絶縁層14と、導体層15と、カバー絶縁層24とを備える。
【0027】
ベース絶縁層14の平面視形状は、フレキシブル配線板11の平面視形状と同一である。ベース絶縁層14は、電気接続部分7と、電気伝送部分8と、光電変換部分9と、光伝送部分10とに配置されている。ベース絶縁層14の材料としては、例えば、ポリイミドなどの絶縁材料が挙げられる。
【0028】
導体層15は、ベース絶縁層14の厚み方向一方面に配置されている。導体層15は、光伝送部分10に配置されず、電気接続部分7と、電気伝送部分8と、光電変換部分9とに配置されている。具体的には、導体層15は、変換側端子16と、コネクタ側端子17と、電気配線18とを備える。変換側端子16は、光電変換部分9に配置されている。コネクタ側端子17は、電気接続部分7に配置されている。電気配線18は、電気伝送部分8に配置されている。電気配線18は、変換側端子16およびコネクタ側端子17を連結する。導体層15の材料としては、例えば、銅などの導体材料が挙げられる。
【0029】
カバー絶縁層24は、電気接続部分7、光電変換部分9および光伝送部分10に配置されず、電気伝送部分8に配置されている。具体的には、カバー絶縁層24は、電気配線18を被覆するように、電気配線18の周囲のベース絶縁層14の厚み方向一方面に接触している。カバー絶縁層24の材料は、ベース絶縁層14の材料と同様である。
【0030】
なお、このフレキシブル配線板11には、変換側端子16に実装される光電変換素子23が設けられてもよい。光電変換素子23は、接合部材19を介して変換側端子16と電気的に接続される。光電変換素子23は、光を電気に変換したり、電気を光に変換する素子である。
【0031】
電気接続部分7におけるフレキシブル配線板11の厚みは、ベース絶縁層14およびコネクタ側端子17の合計厚みである。具体的には、電気接続部分7におけるフレキシブル配線板11の厚みは、例えば、20μm以上、好ましくは、50μm以上であり、また、例えば、250μm以下、好ましくは、100μm以下である。
【0032】
金属支持層12は、長手方向において、光電混載基板4の中間部に配置されている。具体的には、金属支持層12は、電気接続部分7、電気伝送部分8および光伝送部分10に配置されず、光電変換部分9に配置されている。金属支持層12は、フレキシブル配線板11の厚み方向他方面に配置されている。具体的には、金属支持層12は、ベース絶縁層14の厚み方向一方面に、接着剤層を介さずに接触している。なお、金属支持層12は、厚み方向を貫通する貫通孔28を有する。金属支持層12の材料としては、42アロイ、アルミニウム、銅-ベリリウム、りん青銅、銅、銀、アルミニウムなどの金属が挙げられる。優れた剛性および靱性を確保する観点から、好ましくは、ステンレスが挙げられる。
金属支持層12の厚みは、例えば、3μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、100μm以下、好ましくは、50μm以下である。
【0033】
光導波路フィルム13は、平面視において、フレキシブル配線板11と同一に配置されている。光導波路フィルム13は、長手方向において、光電混載基板4の一端から他端にわたって、光電混載基板4の全体に配置されている。具体的には、光導波路フィルム13は、電気接続部分7と、電気伝送部分8と、光電変換部分9と、光伝送部分10とにわたって配置されている。光導波路フィルム13は、アンダークラッド層20と、コア層21と、オーバークラッド層22とを備える。
【0034】
アンダークラッド層20は、電気接続部分7と、電気伝送部分8と、光電変換部分9と、光伝送部分10とに配置されている。アンダークラッド層20は、フレキシブル配線板11のベース絶縁層14の厚み方向他方面に、金属支持層12の厚み方向他方面、外側面および内側面(貫通孔28の周側面)に接触するように、配置されている。
【0035】
コア層21は、電気接続部分7に配置されず、電気伝送部分8と、光電変換部分9と、光伝送部分10とに配置されている。コア層21は、アンダークラッド層20の厚み方向他方面に配置されている。コア層21は、アンダークラッド層20より幅狭のパターンに形成されている。なお、光電変換部分9におけるコア層21には、ミラー29が形成されている。ミラー29は、光電変換素子23の光の入出口(図示せず)と厚み方向に対向する。
【0036】
オーバークラッド層22は、平面視において、アンダークラッド層20と同一位置に配置されている。具体的には、オーバークラッド層22は、電気接続部分7と、電気伝送部分8と、光電変換部分9と、光伝送部分10とに配置されている。オーバークラッド層22は、アンダークラッド層20の厚み方向他方面に、コア層21の厚み方向他方面および側面を被覆するように、配置されている。
【0037】
光導波路フィルム13の材料としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂などの透明かつ可撓性の材料が挙げられる。好ましくは、光信号の伝送性の観点から、エポキシ樹脂が挙げられる。コア層21の屈折率は、アンダークラッド層20およびオーバークラッド層22の屈折率より高い。
【0038】
アンダークラッド層20の厚みは、例えば、2μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、600μm以下、好ましくは、40μm以下である。コア層21の厚みは、例えば、5μm以上、好ましくは、30μm以上であり、また、例えば、100μm以下、好ましくは、70μm以下である。オーバークラッド層22の厚みは、例えば、2μm以上、好ましくは、5μm以上であり、また、例えば、600μm以下、好ましくは、40μm以下である。オーバークラッド層22の厚みは、アンダークラッド層20の厚み方向他方面およびオーバークラッド層22の厚み方向他方面間の距離である。アンダークラッド層20の厚みに対する、オーバークラッド層22の厚みの比は、例えば、1以上、好ましくは、2以上であり、また、例えば、10以下、好ましくは、5以下である。
【0039】
電気接続部分7における光導波路フィルム13の厚みは、アンダークラッド層20およびオーバークラッド層22の合計厚みである。電気接続部分7における光導波路フィルム13の厚みは、例えば、20μm以上、好ましくは、50μm以上であり、また、例えば、250μm以下、好ましくは、100μm以下である。
【0040】
そして、この光電気複合伝送モジュール1では、電気接続部分7は、フレキシブル配線板11の他に、光導波路フィルム13を含む。つまり、電気接続部分7は、金属支持層12を含まず、フレキシブル配線板11および光導波路フィルム13を含む。好ましくは、電気接続部分7は、フレキシブル配線板11および光導波路フィルム13からなる。
【0041】
電気接続部分7における光導波路フィルム13は、フレキシブル配線板11の厚み方向他方面に配置されている。具体的には、電気接続部分7において、光導波路フィルム13は、接着剤層を介さずに、ベース絶縁層14の厚み方向他方面に接触している。
【0042】
また、電気接続部分7における光導波路フィルム13は、コア層21を含まず、アンダークラッド層20およびオーバークラッド層22を含む。好ましくは、電気接続部分7における光導波路フィルム13は、アンダークラッド層20およびオーバークラッド層22からなる。そのため、電気接続部分7における光導波路フィルム13は、光導波せず、厚み調整層として機能する。厚み調整層を、共通の材料(コア層21より屈折率が高く、互いに共通する材料)から形成することができる。そのため、異なる材料で厚み調整層を形成する場合に比べて、電気コネクタ3の第1面26に対する追従性が良好であり、また、第1面26に対する密着性にも優れる。
【0043】
なお、電気伝送部分8における光導波路フィルム13は、プリント配線板2の厚み方向一方面に面する。
【0044】
この一実施形態において、図2に示すように、電気接続部分7の厚みT1は、フレキシブル配線板11の厚み方向一方面と、光導波路フィルム13の厚み方向他方面との間の距離であり、具体的には、コネクタ側端子17の厚み方向一方面と、オーバークラッド層22の厚み方向他方面との間の距離である。具体的には、電気接続部分7の厚みT1は、電気コネクタ3における第1面26およびコネクタ端子6間の距離T0と実質的に同一となるように、調整される。
【0045】
この光電気複合伝送モジュール1を製造するには、図2に示すように、まず、電気コネクタ3が実装されたプリント配線板2を準備する。
【0046】
別途、光電混載基板4を準備する。具体的には、まず、金属支持層12を準備し、次いで、金属支持層12の厚み方向一方面にベース絶縁層14、導体層15およびカバー絶縁層24を順に設ける。次いで、金属支持層12を外形加工して、貫通孔28を形成する。
その後、金属支持層12の厚み方向他方側において、アンダークラッド層20、コア層21およびオーバークラッド層22を順に設ける(作り込む)。これによって、フレキシブル配線板11、金属支持層12および光導波路フィルム13を備える光電混載基板4を準備する。その後、必要により、光電変換素子23を、光電混載基板4の光電変換部分9に実装する。
【0047】
その後、光電混載基板4の電気接続部分7を、電気コネクタ3の差し込み口5に差し込む。この際、コネクタ側端子17が差し込み口5のコネクタ端子6に接触して、それらが電気的に接続される。光導波路フィルム13は、電気コネクタ3の第1面26に密着する。これにより、光電混載基板4のフレキシブル配線板11と、プリント配線板2とが、電気コネクタ3を介して電気的に接続される。
【0048】
<作用効果>
そして、この光電気複合伝送モジュール1によれば、電気接続部分7が、電気コネクタ3に挿入されており、かかる電気接続部分7が、フレキシブル配線板11と、光導波路フィルム13とを含む。すると、電気接続部分7は、フレキシブル配線板11に加え、光導波路フィルム13によって、電気接続部分7の厚みを、電気コネクタ3の差し込み口5に対応して調整できる。また、電気接続部分7におけるフレキシブル配線板11を、光導波路フィルム13によって支持でき、そのため、電気接続部分7を剛直にできる。そのため、電気接続部分7は、電気コネクタ3の差し込み口5に挿入されて確実に固定される。その結果、電気コネクタ3を介した光電混載基板4およびプリント配線板2間の電気的な接続信頼性に優れる。
【0049】
<変形例>
以下の各変形例において、上記した一実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、各変形例は、特記する以外、一実施形態態と同様の作用効果を奏することができる。さらに、一実施形態およびその変形例を適宜組み合わせることができる。
【0050】
図1および図2において図示しないが、電気接続部分7における光導波路フィルム13がコア層21を含むことができる。
【0051】
図3に示すように、電気接続部分7は、フレキシブル配線板11および光導波路フィルム13の他に、金属支持層12を備える。つまり、電気接続部分7は、フレキシブル配線板11と、金属支持層12と、光導波路フィルム13とを備える。好ましくは、電気接続部分7は、フレキシブル配線板11と、金属支持層12と、光導波路フィルム13とからなる。電気接続部分7は、厚み方向他方側に向かって、フレキシブル配線板11と、金属支持層12と、光導波路フィルム13とを順に備える。電気接続部分7では、光導波路フィルム13は、接着剤層を介さずに、金属支持層12の厚み方向他方面に接触している。
電気接続部分7における金属支持層12は、光導波路フィルム13とともに、厚み調整層として機能する。
【0052】
図3に示す変形例によれば、電気接続部分7は、フレキシブル配線板11に加え、金属支持層12および光導波路フィルム13によって、電気接続部分7の厚みを、電気コネクタ3の差し込み口5に対応して調整できる。また、電気接続部分7におけるフレキシブル配線板11を、金属支持層12および光導波路フィルム13によって支持でき、そのため、電気接続部分7をより一層剛直にできる。
【0053】
なお、光導波路フィルム13は、金属支持層12の厚み方向他方面に対して、図示しない接着剤層を介して、接着されていてもよい。
【0054】
好ましくは、電気接続部分7では、光導波路フィルム13は、接着剤層を介さずに、金属支持層12の厚み方向他方面に接触する。
【0055】
しかるに、光導波路フィルム13が、金属支持層12に接着剤層を介して接着されると、接着剤層の厚みは、制御が困難となり易いことから、電気接続部分7の厚みが変動し易い。
【0056】
しかし、図3に示す光電気複合伝送モジュール1では、電気接続部分7では、光導波路フィルム13は、接着剤層を介さずに、金属支持層12の厚み方向他方面に直接接触するので、電気接続部分7の厚みの制御が正確かつ容易である。そのため、上記した電気的な接続信頼性に優れる。
【0057】
図4に示すように、電気接続部分7は、フレキシブル配線板11に加えて、金属支持層12を含む。一方、電気接続部分7は、光導波路フィルム13を含まない。すなわち、電気接続部分7は、光導波路フィルム13を含まず、フレキシブル配線板11および金属支持層12からなる。電気接続部分7における金属支持層12は、厚み調整層である。
【0058】
光導波路フィルム13は、光電変換部分9および光伝送部分10に配置されている。
【0059】
図4に示す変形例によれば、電気接続部分7は、フレキシブル配線板11に加え、金属支持層12によって、電気接続部分7の厚みを、電気コネクタ3の差し込み口5に対応して調整できる。また、電気接続部分7におけるフレキシブル配線板11を、金属支持層12によって支持でき、そのため、電気接続部分7を剛直にできる。
【0060】
上記した一実施形態および変形例を踏まえると、電気接続部分7は、フレキシブル配線板11と、厚み調整層としての金属支持層12および/または光導波路フィルム13とを含む。そのため、厚み調整層の選択および組合せによって、電気接続部分7の厚みを自在に調整できる。つまり、上記した厚み調整層としては、例えば、金属支持層12のみ、例えば、光導波路フィルム13のみ、例えば、金属支持層12および光導波路フィルム13の組合せが挙げられる。
【0061】
また、光電変換部分9が含む金属支持層12および/または光導波路フィルム13を、長手方向一方側に向け、電気接続部分7まで延ばす態様が本発明に含まれる。これにより、電気接続部分7は、厚み調整層としての金属支持層12および/または光導波路フィルム13とを含む。
【0062】
一実施形態では、光電混載基板4は、フレキシブル配線板11と、金属支持層12と、光導波路フィルム13とを厚み方向他方側に向かって順に含む。しかし、図5図7に示すように、光電混載基板4は、フレキシブル配線板11と、金属支持層12と、光導波路フィルム13とを厚み方向一方側に向かって順に含むことができる。
【0063】
図5に示す変形例は、図1に示す光電気複合伝送モジュール1における光電混載基板4の層構成が厚み方向に反転されている。図6に示す変形例は、図3に示す光電気複合伝送モジュール1における光電混載基板4の層構成が厚み方向に反転されている。図7に示す変形例は、図4に示す光電気複合伝送モジュール1における光電混載基板4の層構成が厚み方向に反転されている。
【0064】
図5図7のいずれの変形例においても、コネクタ端子6は、第1面26に設けられている。電気伝送部分8におけるフレキシブル配線板11が、プリント配線板2の厚み方向一方面に面する。
【0065】
図5および図6に示す変形例では、光導波路フィルム13が、第2面27に密着する。図7に示す変形例では、金属支持層12が、第2面27に密着する。
【符号の説明】
【0066】
1 光電気複合伝送モジュール
2 プリント配線板
3 電気コネクタ
4 光電混載基板
7 電気接続部分
9 光電変換部分
11 フレキシブル配線板
12 金属支持層
13 光導波路フィルム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7