(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032047
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】プログラム、コンピュータおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20240305BHJP
【FI】
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135479
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100131842
【弁理士】
【氏名又は名称】加島 広基
(72)【発明者】
【氏名】綱脇 彰則
(72)【発明者】
【氏名】田畑 里希
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC07
5L049CC12
(57)【要約】
【課題】データ保存システムを構成するデータセンターを新たに設置する場合に、このようなデータセンターの設置が適切であるか否かを判断することができるプログラム、コンピュータおよび情報処理方法を提供する。
【解決手段】プログラムはコンピュータ10を受付手段22と、記憶手段24と、第1判定手段26として機能させる。受付手段22は、複数のデータセンター110が互いに連携することにより構成されるデータ保存システム100におけるデータセンター110が設置されるべき候補となる不動産の情報である不動産情報を受け付ける。第1判定手段26は、受付手段22が受け付けた不動産情報および記憶手段24により記憶部40に予め記憶されている判断基準情報に基づいて、受付手段22が受け付けた不動産情報に係る不動産にデータセンター110を設置すべきであるか否かの判定を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを受付手段と、記憶手段と、第1判定手段として機能させるプログラムであって、
前記受付手段は、複数のデータセンターが互いに連携することにより構成されるデータ保存システムにおける前記データセンターが設置されるべき候補となる不動産の情報である不動産情報を受け付け、
前記記憶手段は、前記データセンターの設置の判断基準となる判断基準情報を記憶部に予め記憶させておき、
前記第1判定手段は、前記受付手段が受け付けた不動産情報および前記記憶手段により前記記憶部に予め記憶されている前記判断基準情報に基づいて、前記受付手段が受け付けた不動産情報に係る前記不動産に前記データセンターを設置すべきであるか否かの判定を行う、プログラム。
【請求項2】
前記コンピュータを第2判定手段および算出手段として更に機能させ、
前記算出手段は、前記不動産に前記データセンターを設置したときの収益率を算出し、
前記第2判定手段は、前記収益率に基づいて、前記受付手段が受け付けた不動産情報に係る前記不動産に前記データセンターを設置すべきであるか否かの判定を行う、請求項1記載のプログラム。
【請求項3】
前記算出手段は、前記受付手段が受け付けた不動産情報に基づいて、前記データセンターが設置される建物が新築か改修かというカテゴリ、前記データセンターのスペックレベルのカテゴリ、または前記データセンターが設置される建物が新築か改修かと前記データセンターのスペックレベルとを組み合わせたカテゴリのうち少なくともいずれかのカテゴリ毎に前記収益率を算出し、前記第2判定手段は、前記受付手段が受け付けた不動産情報に係る前記不動産に前記データセンターを設置すべきであるか否かの判定を前記カテゴリ毎に行う、請求項2記載のプログラム。
【請求項4】
前記コンピュータを更にカテゴリ判断手段として機能させ、
前記カテゴリ判断手段は、前記算出手段により算出された前記カテゴリ毎の前記収益率に基づいて、どのカテゴリが適切であるかを判断する、請求項3記載のプログラム。
【請求項5】
前記コンピュータを更に算出手段として機能させ、
前記記憶手段は、前記データ保存システムにおける既に設置されている前記データセンターの情報を前記記憶部に予め記憶させておき、
前記算出手段は、前記受付手段が受け付けた不動産情報および前記記憶手段により前記記憶部に予め記憶されている前記データセンターの情報に基づいて、前記不動産に前記データセンターを設置したときの前記データ保存システムの安全率を算出する、請求項1記載のプログラム。
【請求項6】
前記コンピュータを第2判定手段として更に機能させ、
前記算出手段は、前記不動産に前記データセンターを設置したときの収益率を算出し、
前記第2判定手段は、前記算出手段により算出された前記収益率および前記安全率に基づいて、前記受付手段が受け付けた不動産情報に係る前記不動産に前記データセンターを設置すべきであるか否かの判定を行う、請求項5記載のプログラム。
【請求項7】
前記算出手段は、前記受付手段が受け付けた不動産情報に基づいて、前記データセンターが設置される建物が新築か改修かというカテゴリ、前記データセンターのスペックレベルのカテゴリ、または前記データセンターが設置される建物が新築か改修かと前記データセンターのスペックレベルとを組み合わせたカテゴリのうち少なくともいずれかのカテゴリ毎に前記収益率および前記安全率を算出し、前記第2判定手段は、前記受付手段が受け付けた不動産情報に係る前記不動産に前記データセンターを設置すべきであるか否かの判定を前記カテゴリ毎に行う、請求項6記載のプログラム。
【請求項8】
前記コンピュータを更にカテゴリ判断手段として機能させ、
前記カテゴリ判断手段は、前記算出手段により算出された前記カテゴリ毎の前記収益率および前記安全率に基づいて、どのカテゴリが適切であるかを判断する、請求項6記載のプログラム。
【請求項9】
前記記憶手段は、前記受付手段が受け付けた不動産情報に係る前記不動産に前記データセンターを設置すべきであると前記第1判定手段により判定された場合に、当該不動産に前記データセンターを設置する旨の情報を前記受付手段が受け付けた場合は、当該データセンターの情報を前記記憶部に記憶させる、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項10】
コンピュータを受付手段と、算出手段と、第2判定手段として機能させるプログラムであって、
前記受付手段は、複数のデータセンターが互いに連携することにより構成されるデータ保存システムにおける前記データセンターが設置されるべき候補となる不動産の情報である不動産情報を受け付け、
前記算出手段は、前記不動産に前記データセンターを設置したときの収益率を算出し、 前記第2判定手段は、算出された前記収益率に基づいて、前記受付手段が受け付けた不動産情報に係る前記不動産に前記データセンターを設置すべきであるか否かの判定を行う、プログラム。
【請求項11】
プログラムを実行することにより受付手段と、記憶手段と、第1判定手段として機能するコンピュータであって、
前記受付手段は、複数のデータセンターが互いに連携することにより構成されるデータ保存システムにおける前記データセンターが設置されるべき候補となる不動産の情報である不動産情報を受け付け、
前記記憶手段は、前記データセンターの設置の判断基準となる判断基準情報を記憶部に予め記憶させておき、
前記第1判定手段は、前記受付手段が受け付けた不動産情報および前記記憶手段により前記記憶部に予め記憶されている前記判断基準情報に基づいて、前記受付手段が受け付けた不動産情報に係る前記不動産に前記データセンターを設置すべきであるか否かの判定を行う、コンピュータ。
【請求項12】
プログラムを実行することにより受付手段と、算出手段と、第2判定手段として機能するコンピュータであって、
前記受付手段は、複数のデータセンターが互いに連携することにより構成されるデータ保存システムにおける前記データセンターが設置されるべき候補となる不動産の情報である不動産情報を受け付け、
前記算出手段は、前記不動産に前記データセンターを設置したときの前記データ保存システムの収益率を算出し、
前記第2判定手段は、算出された前記収益率に基づいて、前記受付手段が受け付けた不動産情報に係る前記不動産に前記データセンターを設置すべきであるか否かの判定を行う、コンピュータ。
【請求項13】
コンピュータにより行われる情報処理方法であって、
前記コンピュータは、複数のデータセンターが互いに連携することにより構成されるデータ保存システムにおける前記データセンターが設置されるべき候補となる不動産の情報である不動産情報を受け付け、
前記コンピュータは、前記データセンターの設置の判断基準となる判断基準情報を記憶部に予め記憶させておき、
前記コンピュータは、受け付けた不動産情報および前記記憶部に予め記憶されている前記判断基準情報に基づいて、受け付けた不動産情報に係る前記不動産に前記データセンターを設置すべきであるか否かの判定を行う、情報処理方法。
【請求項14】
コンピュータにより行われる情報処理方法であって、
前記コンピュータは、複数のデータセンターが互いに連携することにより構成されるデータ保存システムにおける前記データセンターが設置されるべき候補となる不動産の情報である不動産情報を受け付け、
前記コンピュータは、前記不動産に前記データセンターを設置したときの前記データ保存システムの収益率を算出し、
前記コンピュータは、算出された前記収益率に基づいて、不動産情報に係る前記不動産に前記データセンターを設置すべきであるか否かの判定を行う、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、コンピュータおよび情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
サーバやネットワーク機器を保管するための専用の建物としてデータセンターが各地に設置されている。従来では、このようなデータセンターの安全性を高めるために、免振装置、発電機、無停電電源装置等の機器設備の安全性を高める取り組みが行われている。このようなデータセンター用の建物として、特許文献1には、用地が限られているような場合であっても、多数のユニットを安全に配置することを可能としたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、データセンターの安全性を高めるために免振装置、発電機、無停電電源装置等の機器設備の安全性を高めても、データセンターを構成するサーバ等のコンピュータの安全率が低い場合にはデータ保存システム全体としての安全率が高くならないという問題がある。このため、本件発明者は、複数の互いに連携するデータセンターを組み合わせることによりデータ保存システム全体としての安全率を高くすることを発見した。ここで、データ保存システムを構成するデータセンターを新たに設置する場合に、このようなデータセンターの設置が適切であるか否かが分かれば便利である。
【0005】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、データ保存システムを構成するデータセンターを新たに設置する場合に、このようなデータセンターの設置が適切であるか否かを判断することができるプログラム、コンピュータおよび情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプログラムは、
コンピュータを受付手段と、記憶手段と、第1判定手段として機能させるプログラムであって、
前記受付手段は、複数のデータセンターが互いに連携することにより構成されるデータ保存システムにおける前記データセンターが設置されるべき候補となる不動産の情報である不動産情報を受け付け、
前記記憶手段は、前記データセンターの設置の判断基準となる判断基準情報を記憶部に予め記憶させておき、
前記第1判定手段は、前記受付手段が受け付けた不動産情報および前記記憶手段により前記記憶部に予め記憶されている前記判断基準情報に基づいて、前記受付手段が受け付けた不動産情報に係る前記不動産に前記データセンターを設置すべきであるか否かの判定を行うことを特徴とする。
【0007】
本発明のプログラムは、
前記コンピュータを第2判定手段および算出手段として更に機能させ、
前記算出手段は、前記不動産に前記データセンターを設置したときの収益率を算出し、
前記第2判定手段は、前記収益率に基づいて、前記受付手段が受け付けた不動産情報に係る前記不動産に前記データセンターを設置すべきであるか否かの判定を行ってもよい。
【0008】
また、前記算出手段は、前記受付手段が受け付けた不動産情報に基づいて、前記データセンターが設置される建物が新築か改修かというカテゴリ、前記データセンターのスペックレベルのカテゴリ、または前記データセンターが設置される建物が新築か改修かと前記データセンターのスペックレベルとを組み合わせたカテゴリのうち少なくともいずれかのカテゴリ毎に前記収益率を算出し、前記第2判定手段は、前記受付手段が受け付けた不動産情報に係る前記不動産に前記データセンターを設置すべきであるか否かの判定を前記カテゴリ毎に行ってもよい。
【0009】
本発明のプログラムは、
前記コンピュータを更にカテゴリ判断手段として機能させ、
前記カテゴリ判断手段は、前記算出手段により算出された前記カテゴリ毎の前記収益率に基づいて、どのカテゴリが適切であるかを判断してもよい。
【0010】
本発明のプログラムは、
前記コンピュータを更に算出手段として機能させ、
前記記憶手段は、前記データ保存システムにおける既に設置されている前記データセンターの情報を前記記憶部に予め記憶させておき、
前記算出手段は、前記受付手段が受け付けた不動産情報および前記記憶手段により前記記憶部に予め記憶されている前記データセンターの情報に基づいて、前記不動産に前記データセンターを設置したときの前記データ保存システムの安全率を算出してもよい。
【0011】
本発明のプログラムは、
前記コンピュータを第2判定手段として更に機能させ、
前記算出手段は、前記不動産に前記データセンターを設置したときの収益率を算出し、
前記第2判定手段は、前記算出手段により算出された前記収益率および前記安全率に基づいて、前記受付手段が受け付けた不動産情報に係る前記不動産に前記データセンターを設置すべきであるか否かの判定を行ってもよい。
【0012】
また、前記算出手段は、前記受付手段が受け付けた不動産情報に基づいて、前記データセンターが設置される建物が新築か改修かというカテゴリ、前記データセンターのスペックレベルのカテゴリ、または前記データセンターが設置される建物が新築か改修かと前記データセンターのスペックレベルとを組み合わせたカテゴリのうち少なくともいずれかのカテゴリ毎に前記収益率および前記安全率を算出し、前記第2判定手段は、前記受付手段が受け付けた不動産情報に係る前記不動産に前記データセンターを設置すべきであるか否かの判定を前記カテゴリ毎に行ってもよい。
【0013】
本発明のプログラムは、
前記コンピュータを更にカテゴリ判断手段として機能させ、
前記カテゴリ判断手段は、前記算出手段により算出された前記カテゴリ毎の前記収益率および前記安全率に基づいて、どのカテゴリが適切であるかを判断してもよい。
【0014】
また、前記記憶手段は、前記受付手段が受け付けた不動産情報に係る前記不動産に前記データセンターを設置すべきであると前記第1判定手段により判定された場合に、当該不動産に前記データセンターを設置する旨の情報を前記受付手段が受け付けた場合は、当該データセンターの情報を前記記憶部に記憶させてもよい。
【0015】
本発明のプログラムは、
コンピュータを受付手段と、算出手段と、第2判定手段として機能させるプログラムであって、
前記受付手段は、複数のデータセンターが互いに連携することにより構成されるデータ保存システムにおける前記データセンターが設置されるべき候補となる不動産の情報である不動産情報を受け付け、
前記算出手段は、前記不動産に前記データセンターを設置したときの収益率を算出し、 前記第2判定手段は、算出された前記収益率に基づいて、前記受付手段が受け付けた不動産情報に係る前記不動産に前記データセンターを設置すべきであるか否かの判定を行うことを特徴とする。
【0016】
本発明のコンピュータは、
プログラムを実行することにより受付手段と、記憶手段と、第1判定手段として機能するコンピュータであって、
前記受付手段は、複数のデータセンターが互いに連携することにより構成されるデータ保存システムにおける前記データセンターが設置されるべき候補となる不動産の情報である不動産情報を受け付け、
前記記憶手段は、前記データセンターの設置の判断基準となる判断基準情報を記憶部に予め記憶させておき、
前記第1判定手段は、前記受付手段が受け付けた不動産情報および前記記憶手段により前記記憶部に予め記憶されている前記判断基準情報に基づいて、前記受付手段が受け付けた不動産情報に係る前記不動産に前記データセンターを設置すべきであるか否かの判定を行うことを特徴とする。
【0017】
本発明のコンピュータは、
プログラムを実行することにより受付手段と、算出手段と、第2判定手段として機能するコンピュータであって、
前記受付手段は、複数のデータセンターが互いに連携することにより構成されるデータ保存システムにおける前記データセンターが設置されるべき候補となる不動産の情報である不動産情報を受け付け、
前記算出手段は、前記不動産に前記データセンターを設置したときの前記データ保存システムの収益率を算出し、
前記第2判定手段は、算出された前記収益率に基づいて、前記受付手段が受け付けた不動産情報に係る前記不動産に前記データセンターを設置すべきであるか否かの判定を行うことを特徴とする。
【0018】
本発明の情報処理方法は、
コンピュータにより行われる情報処理方法であって、
前記コンピュータは、複数のデータセンターが互いに連携することにより構成されるデータ保存システムにおける前記データセンターが設置されるべき候補となる不動産の情報である不動産情報を受け付け、
前記コンピュータは、前記データセンターの設置の判断基準となる判断基準情報を記憶部に予め記憶させておき、
前記コンピュータは、受け付けた不動産情報および前記記憶部に予め記憶されている前記判断基準情報に基づいて、受け付けた不動産情報に係る前記不動産に前記データセンターを設置すべきであるか否かの判定を行うことを特徴とする。
【0019】
本発明の情報処理方法は、
コンピュータにより行われる情報処理方法であって、
前記コンピュータは、複数のデータセンターが互いに連携することにより構成されるデータ保存システムにおける前記データセンターが設置されるべき候補となる不動産の情報である不動産情報を受け付け、
前記コンピュータは、前記不動産に前記データセンターを設置したときの前記データ保存システムの収益率を算出し、
前記コンピュータは、算出された前記収益率に基づいて、不動産情報に係る前記不動産に前記データセンターを設置すべきであるか否かの判定を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明のプログラム、コンピュータおよび情報処理方法によれば、データ保存システムを構成するデータセンターを新たに設置する場合に、このようなデータセンターの設置が適切であるか否かを判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施の形態によるデータ保存システムの構成を概略的に示す図である。
【
図2】
図1に示すデータ保存システムを構成する各データセンターの構成を概略的に示す図である。
【
図3】本発明の実施の形態によるコンピュータ(サーバ)の構成を概略的に示す図である。
【
図4】データ保存システムを構成するデータセンターを新たに設置する場合に、このようなデータセンターの設置が適切であるか否かを
図3に示すコンピュータにより判定するときの動作を示すフローチャートである。
【
図5】データ保存システムの安全率の算出式を示す図である。
【
図6】データ保存システムを構成するデータセンターを新たに設置する場合に、このようなデータセンターの設置が適切であるか否かを
図3に示すコンピュータにより判定するときの他の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至
図5は、本実施の形態に係るコンピュータ10および当該コンピュータ10による情報処理方法を示す図である。
【0023】
まず、データ保存システム100およびこのデータ保存システム100を構成する複数のデータセンター110について
図1および
図2を用いて説明する。本実施の形態では、サーバやネットワーク機器を保管するためのデータセンター110が各地に設置されており、これらの複数のデータセンター110が組み合わせられることによりデータ保存システム100が構築されている。
図1に示すように、各データセンター110に設置されるサーバは例えば光回線により互いに通信可能に接続されている。このようにして各データセンター110のサーバを相互接続させることにより仮想の大規模データセンター群としてデータ保存システム100が構築される。このようなデータ保存システム100によれば、あるデータセンター110のサーバにトラブルが生じた場合でも、他のデータセンター110のサーバに支障が生じていないときは、これらの他のデータセンター110のサーバに記憶される情報を用いてデータ保存システム100全体として問題なく運用を行うことができる。このようなデータ保存システム100の運用時に、複数のデータセンター110にデータを分散して保存してもよいし、同じデータを各データセンター110に保存することによりデータセンター110をバックアップとして使用してもよい。
【0024】
図2に示すように、データ保存システム100を構成するデータセンター110としてハイスペックおよびロースペックのものがある。ハイスペックなデータセンター110は、変電所や発電機等の複数の電源から電力の供給を受け、UPS(無停電電源装置)を含む電源供給経路も複数のものが並列に設けられ、各電源供給経路に分電盤が配置されている。このように、ハイスペックなデータセンター110では、複数の電源供給経路からサーバに電力が供給されるため、データセンター110の安全率(所定の期間の間にデータセンター110全体としてのトラブルが生じない確率)は高くなるが、設置費用やランニングコストが大きくなる。
【0025】
一方、ロースペックなデータセンター110は、変電所や電源車等の単一の電源から電力の供給を受け、UPS(無停電電源装置)を含む電源供給経路も単一であり、この単一の電源供給経路に分電盤が配置されている。このように、ロースペックなデータセンター110では、単一の電源供給経路からサーバに電力が供給されるため、データセンター110の安全率はハイスペックなデータセンター110と比較して小さくなるが、設置費用やランニングコストは安価となる。
【0026】
本実施の形態では、ハイスペックなデータセンター110のサーバ同士が相互に通信可能に接続されたり、ロースペックなデータセンター110のサーバ同士が相互に通信可能に接続されたり、ハイスペックなデータセンター110のサーバとロースペックなデータセンター110のサーバとが相互に通信可能に接続されたりすることにより、データ保存システム100が構築される。
【0027】
従来は、データセンター110の安全性を高めるために、免振装置、発電機、無停電電源装置等の機器設備の安全性を高める取り組みが行われていた。しかしながら、免振装置、発電機、無停電電源装置等の機器設備の安全性を高めても、データセンター110を構成するサーバ等のコンピュータの安全率(所定の期間の間にサーバ等のコンピュータが使用不可となる等のトラブルが生じない確率)が低い場合にはデータ保存システム100全体としての安全率(所定の期間の間にデータ保存システム100全体としてのトラブルが生じない確率)が高くならないという問題がある。このため、本件特許出願の発明者は、複数の互いに連携するデータセンター110を組み合わせることによりデータ保存システム100全体としての安全率を高くすることを発見した。
【0028】
本実施の形態によるコンピュータ10は、データセンター110が設置されるべき候補となる不動産の情報である不動産情報を入力したときに、この不動産にデータセンター110を設置すべきであるか否かの判定を行うものである。
【0029】
本実施の形態によるコンピュータ10の構成について
図3を用いて説明する。コンピュータ10は、制御部20と、表示部34と、操作部36と、記憶部40と、通信インターフェース42とを備えている。このようなコンピュータ10の各構成要素の詳細について以下に説明する。
【0030】
制御部20は、例えばCPU(中央演算処理装置)等であり、記憶部40に記憶されているプログラムを実行することにより受付手段22、記憶手段24、第1判定手段26、第2判定手段27、算出手段28およびカテゴリ判断手段30として機能する。受付手段22は、外部装置(例えば、ユーザ端末50や外部データベース60)から様々な情報を受け付ける。本実施の形態では、受付手段22は、ユーザ端末50から不動産情報(後述)を受け付けたり外部データベース60から判断基準情報(後述)、用途地域情報(後述)、自治体情報(後述)および既に設置されているデータセンター110の情報(後述)の情報を受け付けたりする。受付手段22が受け付ける情報の詳細については後述する。記憶手段24は、データセンター110の設置の判断基準となる判断基準情報(後述)やデータ保存システム100における既に設置されているデータセンター110の情報を記憶部40や外部データベース60等に予め記憶させておく。第1判定手段26は、受付手段22が受け付けた不動産情報および記憶部40や外部データベース60に予め記憶されている判断基準情報に基づいて、受付手段22が受け付けた不動産情報に係る不動産にデータセンター110を設置すべきであるか否かの判定を行う。第2判定手段27は、不動産にデータセンター110を設置したときの収益率(後述)に基づいて、受付手段22が受け付けた不動産情報に係る不動産にデータセンター110を設置すべきであるか否かの判定を行う。第1判定手段26および第2判定手段27による判定方法の詳細については後述する。算出手段28は、受付手段22が受け付けた不動産情報に基づいて、当該不動産情報に係る不動産にデータセンター110を設置したときの収益率やデータ保存システム100の安全率を算出する。算出手段28による収益率や安全率の算出方法の詳細については後述する。カテゴリ判断手段30は、算出手段28により算出されたカテゴリ毎の収益率、あるいは算出手段28により算出されたカテゴリ毎の収益率および安全率に基づいて、どのカテゴリが適切であるかを判断する。カテゴリ判断手段30による判断方法の詳細については後述する。
【0031】
なお、制御部20により実行されるプログラムは記憶部40に記憶されたものであることに限定されることはない。制御部20により実行されるプログラムとして、外部装置から通信インターフェース42を介して制御部20に送信されるものや、コンピュータ10に装着されたUSBメモリ等の記憶媒体に記憶されているもの、コンピュータ10とは別のサーバ(例えば、クラウドサーバ)等に記憶されているもの等が用いられてもよい。
【0032】
表示部34は、例えばモニタ等から構成され、制御部20から表示指示信号が送られることにより様々な情報を表示するようになっている。操作部36は例えばキーボードやマウス等から構成され、操作者は操作部36により様々な情報を制御部20に入力することができるようになっている。また、本実施の形態では、表示部34および操作部36が一体化されたものとしてタッチパネル等が用いられるようになっていてもよい。記憶部40は例えばHDD(Hard Disk Drive)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)およびSSD(Solid State Drive)などで構成され、様々な情報が記憶部40に記憶されるようになっている。
【0033】
通信インターフェース42は、制御部20を外部装置(例えば、ユーザ端末50や外部データベース60)と通信可能に接続するものである。制御部20は通信インターフェース42を介して外部装置(例えば、ユーザ端末50や外部データベース60)に対して信号の送受信を行うことができるようになっている。
【0034】
次に、このようなコンピュータ10による情報処理方法について
図4および
図5を用いて説明する。
図4は、データ保存システム100を構成するデータセンター110を新たに設置する場合に、このようなデータセンター110の設置が適切であるか否かを
図3に示すコンピュータ10により判定するときの動作を示すフローチャートである。また、
図5は、データ保存システム100の安全率の算出式を示す図である。
【0035】
既に設置されている複数のデータセンター110から構成されるデータ保存システム100にユーザが新たなデータセンター110を追加したい場合に、ある建物にこのデータセンター110の設置場所を新築または改修するにあたり問題がないかどうかユーザが確認したい場合がある。この場合、ユーザはユーザ端末50により新たなデータセンター110が設置されるべき候補となる不動産の情報である不動産情報を入力する。不動産情報は、不動産の所有者の情報、住所情報、データセンター110が設置される建物の築年数、階数、階高、耐震性能、建物用途、床の耐荷重、延床面積、空室状況、更地であるか否かの情報等のうち少なくとも何れかの情報を含む。ユーザ端末50に入力された不動産情報は当該ユーザ端末50からコンピュータ10に送信される。このことにより受付手段22は不動産情報を受け付ける。なお、ユーザがユーザ端末50に不動産情報を入力する代わりに、コンピュータ10の操作部36により当該コンピュータ10の制御部20に直接不動産情報を入力してもよい。この場合も、受付手段22は操作部36により入力された不動産情報を受け付ける。
【0036】
受付手段22が不動産情報を受け付けると(
図4のSTEP1の「YES」)、制御部20は、記憶部40または外部データベース60から判断基準情報、用途地域情報、自治体情報および既に設置されているデータセンター110の情報を取得する(
図4のSTEP2)。具体的には、制御部20から外部データベース60に対して情報取得指令が送られることにより、外部データベース60から制御部20に判断基準情報、用途地域情報、自治体情報および既に設置されているデータセンター110の情報が送信される。または、制御部20は記憶部40から判断基準情報、用途地域情報、自治体情報および既に設置されているデータセンター110の情報の読み出しを行う。
【0037】
記憶部40や外部データベース60に記憶されている判断基準情報は、データセンター110が設置される建物の築年数が所定の年数以下であること、データセンター110が設置される建物の耐震性能が新耐震基準であること、データセンター110が設置される建物の空室状況として複数階の空室があること、データセンター110が設置される建物の階高が所定の長さよりも大きいこと、データセンター110が設置される建物の建築用途が住宅、集合住宅、ホテル以外であること、データセンター110が設置される建物の延床面積が所定の大きさ以上であること等の複数の基準を含む。記憶部40や外部データベース60に記憶されている用途地域情報は、不動産の用途が第二種住居、準住居、近隣商業、商業、準工業および工業のうち何れの用途であるかという情報を含む。
【0038】
記憶部40や外部データベース60に記憶されている自治体情報は、受付手段22が受け付けた不動産情報における不動産の住所のハザード情報(具体的には、高潮、洪水、内水、地震および土砂のうち少なくとも何れかのハザード情報)を含む。既に設置されているデータセンター110の情報は、既に設置されているデータセンター110のスペックのレベル(具体的には、ハイスペックまたはロースペック)、既に設置されているデータセンター110の位置、データセンター110が設置されている建物の情報(具体的には、データセンター110が既に設置されている建物の築年数、階数、階高、耐震性能、建物用途、延床面積、空室状況等)を含む。
【0039】
次に、第1判定手段26は、受付手段22が受け付けた不動産情報および記憶手段24により記憶部40や外部データベース60に予め記憶されている判断基準情報に基づいて、受付手段22が受け付けた不動産情報に係る不動産にデータセンター110を設置すべきであるか否かの判定を行う。具体的には、受付手段22が受け付けた不動産情報に基づいて、記憶部40や外部データベース60に記憶されている判断基準情報における複数の基準を満たすか否かに基づいて第1判定手段26はデータセンター110を設置すべきであるか否かの判定を行う。具体的には、第1判定手段26は上記の複数の基準全てを満たす場合にのみデータセンター110を設置すべきであると判定するようになっていても良いし、別の態様として第1判定手段26は上記の複数の基準のうち所定の数の基準を満たす場合にデータセンター110を設置すべきであると判定するようになっていても良い。別の方法として、各基準について評点が行われ、評点の合計点数で第1判定手段26がデータセンター110を設置すべきであるか否かの判定を行うようになっていてもよい。具体的には、各基準の評点の合計点数が所定の閾値以上である場合には第1判定手段26がデータセンター110を設置すべきであると判定してもよい。また、このような評点を用いて第1判定手段26が判定を行う場合でも、受付手段22が受け付けた不動産情報についてある所定の基準を満たさない場合は第1判定手段26がデータセンター110を設置すべきではないと判定してもよい。なお、第1判定手段26による判定方法は上述した態様に限定されることはなく、様々な他の態様としてもよい。
【0040】
また、受付手段22が受け付けた不動産情報および記憶手段24により記憶部40や外部データベース60に予め記憶されている判断基準情報に基づいて、受付手段22が受け付けた不動産情報に係る不動産にデータセンター110を設置すべきであると判定された場合でも(
図4のSTEP3の「YES」)、新たなデータセンター110を設置したときの収益性が悪い場合は、第2判定手段27は受付手段22が受け付けた不動産情報に係る不動産にデータセンター110を設置すべきではないと判定する。より詳細に説明すると、算出手段28は、新築/改修およびハイスペック/ロースペックの組み合わせの各カテゴリのデータセンター110を設置したときの収益率およびデータ保存システム100の安全率を算出する(
図4のSTEP4)。具体的には、データセンター110が設置される建物が新築でありかつハイスペックなデータセンター110を設置したとき、データセンター110が設置される建物が新築でありかつロースペックなデータセンター110を設置したとき、データセンター110が設置される建物が改修でありかつハイスペックなデータセンター110を設置したとき、データセンター110が設置される建物が改修であり改修かつロースペックなデータセンター110を設置したときの各々のカテゴリでの収益率およびデータ保存システム100の安全率を算出手段28が算出する。上述したように、ロースペックなデータセンター110の安全率はハイスペックなデータセンター110と比較して小さいが、設置費用やランニングコストは安価となる。
【0041】
より詳細に説明すると、算出手段28は、新たなデータセンター110を設置したときの単位期間当たりの利益の増加量(例えば年間の利益の増加量)から、新たなデータセンター110を設置するときの工事費を割ることにより新たな指標として収益率を算出する。具体的には、データ保存システム100の運営者は、各データセンター110によるデータ処理量や電力使用量、電力契約量等に基づいてサービスの利用者に対して費用を請求し、この費用がデータ保存システム100の運営者にとっての収入となる。ここで、各データセンター110によるデータ処理量は概して実際の電力使用量に略比例することが多い。また、データ保存システム100の運営者は、各データセンター110の電力使用量や電力契約量等に応じた電気料金を電力会社に支払う。このため、データ保存システム100における収入から支出を減算した利益は、各データセンター110の電力使用量や電力契約量等と大きな相関関係がある。また、データセンター110を設置するときの工事費もデータセンター110の規模に依存するが、このデータセンター110の規模はデータセンター110の電力使用量や電力契約量等と相関関係がある。このため、算出地点28により算出される収益率は各データセンター110の電力使用量や電力契約量等と相関関係がある。また、算出手段28は、各データセンター110の安全率に基づいて、データ保存システム100の安全率を算出する。具体的には、
図5に示す式のように、例えば第1データセンター110から第nデータセンター110までのn個のデータセンター110を設置したい場合は、1から各データセンター110の安全率を引いた値を掛け合わせ、これらの掛け合わせられた値を更に1から減算することによりデータ保存システム100の安全率が算出される。上述したように、あるデータセンター110のサーバにトラブルが生じた場合でも、他のデータセンター110のサーバに支障が生じていないときは、これらの他のデータセンター110のサーバに記憶される情報を用いてデータ保存システム100全体として問題なく運用を行うことができるため、データ保存システム100を構成するデータセンター110の数が増えるとデータ保存システム100の安全率もより大きくなる。しかしながら、データ保存システム100を構成するデータセンター110の数を増やし過ぎた場合は、設置費用やランニングコストが高価となる。
【0042】
第2判定手段27は、上述した複数のカテゴリの全てについて、データセンター110を設置したときの収益率が所定の閾値よりも小さい場合には、受付手段22が受け付けた不動産情報に係る不動産にデータセンター110を設置すべきではないと判定する(
図4のSTEP5の「NO」)。一方、第2判定手段27は、上述した複数のカテゴリのうち、少なくとも一つのカテゴリについてデータセンター110を設置したときの収益率が所定の閾値以上である場合には、受付手段22が受け付けた不動産情報に係る不動産にデータセンター110を設置すべきであると判定する(
図4のSTEP5の「YES」)。
【0043】
受付手段22が受け付けた不動産情報に係る不動産にデータセンター110を設置すべきではないと第1判定手段26または第2判定手段27により判定された場合は(
図4のSTEP3の「NO」またはSTEP5の「NO」)、制御部20はデータセンター110を設置すべきではない旨の情報を出力する。出力された情報はユーザ端末50に送信されたり表示部34に表示されたりする(
図4のSTEP6)。このことにより、ユーザは自分が入力した不動産情報に係る不動産にデータセンター110を設置するべきではないことを認識することができる。
【0044】
一方、受付手段22が受け付けた不動産情報に係る不動産にデータセンター110を設置すべきであると第1判定手段26および第2判定手段27により判定された場合は(
図4のSTEP3の「YES」およびSTEP5の「YES」)、制御部20はデータセンター110を設置することを推奨する旨の情報を出力する。出力された情報はユーザ端末50に送信されたり表示部34に表示されたりする。このことにより、ユーザは自分が入力した不動産情報に係る不動産にデータセンター110を設置することが推奨されていることを認識することができる。
【0045】
また、データセンター110を設置したときの収益率が所定の閾値以上であるカテゴリが複数あるときには、カテゴリ判断手段30は、算出手段28により算出されたカテゴリ毎の収益率の情報、あるいは収益率および安全率の両方の情報に基づいて、どのカテゴリが適切であるかを判断する(
図4のSTEP7)。具体的には、カテゴリ判断手段30は、例えば収益率が最も大きいカテゴリを適切なカテゴリと判断する。あるいはカテゴリ判断手段30は、少なくとも安全率が所定の閾値よりも大きいカテゴリのうち収益率が最も大きいカテゴリを適切なカテゴリと判断する。また、カテゴリ判断手段30は、どのカテゴリが適切であるかを判断する際に、受付手段22が受け付けた不動産情報に含まれる建物の位置に基づく立地状況や建物の築年数等の情報を考慮してもよい。具体的には、カテゴリ判断手段30は、算出手段28により算出されたカテゴリ毎の収益率、あるいは収益率および安全率に基づいて評点を算出し、最も評点が大きいカテゴリを最適なカテゴリと判断する。このときに、例えば新たなデータセンター110が設置される建物の位置が東京23区である場合はそれ以外の場合と評点を変えてもよい。また、建物の築年数が所定の年数よりも大きい場合はそれ以外の場合よりも評点を低くしてもよい。
【0046】
制御部20は、カテゴリ判断手段30による判断結果を出力する(
図4のSTEP8)。出力された判断結果はユーザ端末50に送信されたり表示部34に表示されたりする(
図4のSTEP9)。このことにより、ユーザは自分が入力した不動産情報に係る不動産に、どのカテゴリ(新築/改修およびハイスペック/ロースペック)のデータセンター110を設置するべきであるかを認識することができる。
【0047】
その後、受付手段22が受け付けた不動産情報に係る不動産に設置すべきであると第1判定手段26および第2判定手段27により判定されたデータセンター110を、実際に設置する旨の情報をユーザがユーザ端末50に入力したりコンピュータ10の操作部36により入力したりすると、ユーザ端末50からコンピュータ10に入力情報が送信されることにより、受付手段22はデータセンター110が設置される旨の情報を受け付ける(
図4のSTEP10の「YES」)。この場合は、記憶手段24は、設置されるデータセンター110の情報を記憶部40や外部データベース60に記憶させる(
図4のSTEP11)。このことにより、次に別のデータセンター110を新たに設置するときに、算出手段28がデータ保存システム100の安全率を算出する際に今回設置されるデータセンター110の情報を反映させることができる。
【0048】
また、本実施の形態では、算出手段28により算出されたカテゴリ毎の収益率が、既に設置されているデータセンター110の情報により影響される場合がある。例えば、算出手段28により収益率を算出する際に、既に設置されているデータセンター110の近くに新たなデータセンター110を設置する場合は、各データセンター110の管理コストを低く抑えることができる。このため、このような場合は、記憶手段24が、今回設置されるデータセンター110の情報を記憶部40や外部データベース60に記憶させることにより、次に別のデータセンター110を新たに設置するときに、算出手段28がデータ保存システム100の収益率を算出する際に今回設置されるデータセンター110の情報を反映させることができる。
【0049】
以上のような構成からなる本実施の形態のプログラム、コンピュータ10および情報処理方法によれば、プログラムは、コンピュータ10を受付手段22と、記憶手段24と、第1判定手段26として機能させる。受付手段22は、複数のデータセンター110が互いに連携することにより構成されるデータ保存システム100におけるデータセンター110が設置されるべき候補となる不動産の情報である不動産情報を受け付ける。記憶手段24は、データセンター110の設置の判断基準となる判断基準情報を記憶部40または外部データベース60に予め記憶させておく。第1判定手段26は、受付手段22が受け付けた不動産情報および記憶手段24により記憶部40または外部データベース60に予め記憶されている判断基準情報に基づいて、受付手段22が受け付けた不動産情報に係る不動産にデータセンター110を設置すべきであるか否かの判定を行う。このことにより、データ保存システム100を構成するデータセンター110を新たに設置する場合に、このようなデータセンター110の設置が適切であるか否かを判断することができる。
【0050】
また、本実施の形態のプログラム、コンピュータ10および情報処理方法においては、上述したように、プログラムはコンピュータ10を更に第2判定手段27および算出手段28として機能させる。算出手段28は、不動産にデータセンター110を設置したときの収益率を算出する。第2判定手段27は、収益率に基づいて、受付手段22が受け付けた不動産情報に係る不動産にデータセンター110を設置すべきであるか否かの判定を行う。このことにより、データ保存システム100を構成するデータセンター110を新たに設置する場合に、データセンター110を設置したときの収益率に基づいて当該データセンター110の設置が適切であるか否かを判断することができる。
【0051】
また、本実施の形態のプログラム、コンピュータ10および情報処理方法においては、上述したように、算出手段28は、受付手段22が受け付けた不動産情報に基づいて、データセンター110が設置される建物が新築か改修かという条件とデータセンター110のスペックレベルとを組み合わせたカテゴリ毎に収益率を算出し、第2判定手段27は、受付手段22が受け付けた不動産情報に係る不動産にデータセンター110を設置すべきであるか否かの判定をカテゴリ毎に行う。この場合は、データ保存システム100を構成するデータセンター110を新たに設置する場合に、カテゴリ毎の収益率に基づいて当該データセンター110の設置が適切であるか否かを判断することができる。なお、他の態様として、算出手段28は、データセンター110が設置される建物が新築か改修かという条件とデータセンター110のスペックレベルとを組み合わせたカテゴリ毎ではなく、データセンター110が設置される建物が新築か改修かというカテゴリ毎の収益率を算出してもよい。また、更に他の態様として、算出手段28は、データセンター110のスペックレベル毎の収益率を算出してもよい。
【0052】
また、本実施の形態のプログラム、コンピュータ10および情報処理方法においては、上述したように、プログラムはコンピュータ10を更にカテゴリ判断手段30として機能させ、カテゴリ判断手段30は、算出手段28により算出されたカテゴリ毎の収益率に基づいて、どのカテゴリが適切であるかを判断する。この場合は、どのカテゴリでデータセンター110を設置すればよいかをユーザが認識することができる。
【0053】
また、本実施の形態のプログラム、コンピュータ10および情報処理方法においては、上述したように、プログラムはコンピュータ10を更に算出手段28として機能させ、記憶手段24は、データ保存システム100における既に設置されているデータセンター110の情報を記憶部40または外部データベース60に予め記憶させておき、算出手段28は、受付手段22が受け付けた不動産情報および記憶手段24により記憶部40または外部データベース60に予め記憶されているデータセンター110の情報に基づいて、不動産にデータセンター110を設置したときのデータ保存システム100の安全率を算出する。この場合には、既に設置されているデータセンター110の情報を用いることにより、新たにデータセンター110を設置したときのデータ保存システム100の安全率を精度良く算出することができる。
【0054】
また、プログラムはコンピュータ10を第2判定手段27として更に機能させ、算出手段28は、不動産にデータセンター110を設置したときの収益率を算出し、第2判定手段27は、算出手段28により算出された収益率および安全率に基づいて、受付手段22が受け付けた不動産情報に係る不動産にデータセンター110を設置すべきであるか否かの判定を行う。この場合は、データセンター110を設置したときのデータ保存システム100の安全率も考慮するため、データセンター110を設置すべきであるか否かの判定をより精度良く行うことができる。
【0055】
また、算出手段28は、受付手段22が受け付けた不動産情報に基づいて、データセンター110が設置される建物が新築か改修かという条件およびデータセンターのスペックレベルを組み合わせたカテゴリ毎に収益率および安全率を算出し、第2判定手段27は、受付手段22が受け付けた不動産情報に係る不動産にデータセンター110を設置すべきであるか否かの判定をカテゴリ毎に行う。この場合は、データ保存システム100を構成するデータセンター110を新たに設置する場合に、カテゴリ毎の収益率および安全率に基づいて当該データセンター110の設置が適切であるか否かを判断することができる。なお、他の態様として、算出手段28は、データセンター110が設置される建物が新築か改修かという条件とデータセンター110のスペックレベルとを組み合わせたカテゴリ毎ではなく、データセンター110が設置される建物が新築か改修かというカテゴリ毎の収益率および安全率を算出してもよい。また、更に他の態様として、算出手段28は、データセンター110のスペックレベル毎の収益率および安全率を算出してもよい。
【0056】
また、本実施の形態のプログラム、コンピュータ10および情報処理方法においては、上述したように、プログラムはコンピュータ10を更にカテゴリ判断手段30として機能させ、カテゴリ判断手段30は、算出手段28により算出されたカテゴリ毎の収益率および安全率に基づいて、どのカテゴリが適切であるかを判断する。この場合は、どのカテゴリでデータセンター110を設置すればよいかをユーザが認識することができる。
【0057】
また、本実施の形態のプログラム、コンピュータ10および情報処理方法においては、上述したように、記憶手段24は、受付手段22が受け付けた不動産情報に係る不動産にデータセンター110を設置すべきであると第1判定手段26により判定された場合に、当該不動産にデータセンター110を設置する旨の情報を受付手段22が受け付けた場合は、当該データセンター110の情報を記憶部40に記憶させる。この場合は、次に別のデータセンター110を新たに設置するときに、算出手段28がデータ保存システム100の収益率および安全率のうち少なくとも何れかを算出する際に今回設置されるデータセンター110の情報を反映させることができる。
【0058】
なお、本実施の形態によるプログラム、コンピュータ10および情報処理方法等は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
【0059】
例えば、受付手段22が受け付けた不動産情報に係る不動産にデータセンター110を設置すべきであるか否かが判断基準情報に基づいて第1判定手段26により判定されることなく、算出手段28が、受付手段22が受け付けた不動産情報に基づいてこの不動産にデータセンター110を設置したときのデータ保存システム100の収益率を算出し、第2判定手段27がこの算出された収益率に基づいてデータセンター110を設置すべきであるか否かを判定してもよい。このような態様について
図6に示すフローチャートを用いて説明する。
【0060】
既に設置されている複数のデータセンター110から構成されるデータ保存システム100にユーザが新たなデータセンター110を追加したい場合に、ユーザはユーザ端末50により新たなデータセンター110が設置されるべき候補となる不動産の情報である不動産情報を入力する。ユーザ端末50に入力された不動産情報は当該ユーザ端末50からコンピュータ10に送信される。このことにより受付手段22は不動産情報を受け付ける
(
図6のSTEP101の「YES」)、制御部20は、記憶部40または外部データベース60から用途地域情報、自治体情報および既に設置されているデータセンター110の情報を取得する(
図6のSTEP102)。または、制御部20は記憶部40から用途地域情報、自治体情報および既に設置されているデータセンター110の情報の読み出しを行う。
【0061】
次に、算出手段28は、新築/改修およびハイスペック/ロースペックの組み合わせの各カテゴリのデータセンター110を設置したときの収益率およびデータ保存システム100の安全率を算出する(
図6のSTEP103)。上述した複数のカテゴリの全てについて、データセンター110を設置したときの収益率が所定の閾値よりも小さい場合には、第2判定手段27は、受付手段22が受け付けた不動産情報に係る不動産にデータセンター110を設置すべきではないと判定する(
図6のSTEP104の「NO」)。一方、上述した複数のカテゴリのうち少なくとも一つのカテゴリについてデータセンター110を設置したときの収益率が所定の閾値以上である場合には、第2判定手段27は、受付手段22が受け付けた不動産情報に係る不動産にデータセンター110を設置すべきであると判定する(
図6のSTEP104の「YES」)。
【0062】
受付手段22が受け付けた不動産情報に係る不動産にデータセンター110を設置すべきではないと第2判定手段27により判定された場合は(
図6のSTEP104の「NO」)、制御部20はデータセンター110を設置すべきではない旨の情報を出力する。出力された情報はユーザ端末50に送信されたり表示部34に表示されたりする(
図6のSTEP105)。一方、受付手段22が受け付けた不動産情報に係る不動産にデータセンター110を設置すべきであると第2判定手段27により判定された場合は(
図6のSTEP104の「YES」、制御部20はデータセンター110を設置するべきである旨の情報を出力する。出力された情報はユーザ端末50に送信されたり表示部34に表示されたりする。このことにより、ユーザは自分が入力した不動産情報に係る不動産にデータセンター110を設置するべきであることを認識することができる。
【0063】
また、データセンター110を設置したときの収益率が所定の閾値以上であるカテゴリが複数あるときには、カテゴリ判断手段30は、算出手段28により算出されたカテゴリ毎の収益率の情報、あるいは収益率および安全率の両方の情報に基づいて、どのカテゴリが適切であるかを判断する(
図6のSTEP106)。そして、制御部20は、カテゴリ判断手段30による判断結果を出力する(
図6のSTEP107)。出力された判断結果はユーザ端末50に送信されたり表示部34に表示されたりする(
図6のSTEP108)。このことにより、ユーザは自分が入力した不動産情報に係る不動産に、どのカテゴリ(新築/改修およびハイスペック/ロースペック)のデータセンター110を設置するべきであるかを認識することができる。
【0064】
その後、受付手段22が受け付けた不動産情報に係る不動産に設置すべきであると第2判定手段27により判定されたデータセンター110を実際に設置する旨の情報をユーザがユーザ端末50に入力したりコンピュータ10の操作部36により入力したりすると、ユーザ端末50からコンピュータ10に入力情報が送信されることにより、受付手段22はデータセンター110が設置される旨の情報を受け付ける(
図6のSTEP109の「YES」)。この場合は、記憶手段24は、設置されるデータセンター110の情報を記憶部40や外部データベース60に記憶させる(
図6のSTEP110)。このことにより、次に別のデータセンター110を新たに設置するときに、算出手段28がデータ保存システム100の安全率を算出する際に今回設置されるデータセンター110の情報を反映させることができる。
【0065】
図6に関連するプログラム、コンピュータ10および情報処理方法によれば、プログラムは、コンピュータ10を受付手段22と、第2判定手段27と、記憶手段24として機能させる。受付手段22は、複数のデータセンター110が互いに連携することにより構成されるデータ保存システム100におけるデータセンター110が設置されるべき候補となる不動産の情報である不動産情報を受け付ける。算出手段28は、不動産にデータセンター110を設置したときの収益率を算出し、第2判定手段27は、算出された収益率に基づいて、受付手段22が受け付けた不動産情報に係る不動産にデータセンター110を設置すべきであるか否かの判定を行う。このことにより、データ保存システム100を構成するデータセンター110を新たに設置する場合に、このようなデータセンター110の設置が適切であるか否かを判断することができる。
【0066】
また、ハイスペックなデータセンター110およびロースペックなデータセンター110は、それぞれ、
図2に示す構成のものに限定されることはない。ハイスペックなデータセンター110およびロースペックなデータセンター110として、
図2に示す構成以外の構成のものが用いられてもよい。また、データセンター110のスペックのレベルはハイスペックなデータセンター110およびロースペックなデータセンター110の2つのレベルに限定されることはない。データセンター110のスペックのレベルとして3つ以上のレベルが用いられてもよい。
【0067】
また、更に他の態様として、受付手段22が受け付けた不動産情報に係る不動産にデータセンター110を設置すべきであるか否かの判定が第1判定手段26や第2判定手段27により行われてなくても、算出手段28は、受付手段22が受け付けた不動産情報に基づいて、データセンター110が設置される建物が新築か改修かという条件とデータセンター110のスペックレベルとを組み合わせたカテゴリのうち少なくともいずれかのカテゴリ毎に収益率を算出してもよい。また、この場合、カテゴリ判断手段30は、算出手段28により算出されたカテゴリ毎の収益率に基づいて、どのカテゴリが適切であるかを判断してもよい。このことにより、どのカテゴリでデータセンター110を設置すればよいかをユーザが認識することができる。
【符号の説明】
【0068】
10 コンピュータ
20 制御部
22 受付手段
24 記憶手段
26 第1判定手段
27 第2判定手段
28 算出手段
30 カテゴリ判断手段
34 表示部
36 操作部
40 記憶部
42 通信インターフェース
50 ユーザ端末
60 外部データベース
100 データ保存システム
110 データセンター