(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032049
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】自動操舵制御システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240305BHJP
G05D 1/43 20240101ALI20240305BHJP
B62D 6/00 20060101ALI20240305BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240305BHJP
B60W 10/00 20060101ALI20240305BHJP
B60W 40/06 20120101ALI20240305BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20240305BHJP
【FI】
G08G1/00 J
G05D1/02 E
B62D6/00
G08G1/16 C
B60W10/00
B60W40/06
B60W60/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135481
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000171506
【氏名又は名称】佐々木 久
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 久
【テーマコード(参考)】
3D232
3D241
5H181
5H301
【Fターム(参考)】
3D232CC20
3D232DA84
3D232DA88
3D232DD02
3D232FF04
3D232FF08
3D232GG01
3D241BA12
3D241CC17
3D241DC34Z
5H181AA01
5H181CC03
5H181CC14
5H181FF27
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL09
5H181LL15
5H301CC03
5H301CC06
5H301EE08
5H301GG08
5H301GG24
5H301HH01
(57)【要約】
【課題】従来の自動操舵は、自車と同じ相対速度で接近する車線前方や側方の白線、全ての障害物を複数のカメラやレーザレーダ等で検知、しかも操舵や車線の縦断線形、ライダー等の読取り速度や方向により常に目標が変動する中、白線のデジタル化が難しく次元の違いもあって白線沿いの自動操舵は解決が困難な課題であった。
【解決手段】
車両の操舵は、前輪である操舵輪のトーイン、キャンバー、キャスターと駆動輪の出力制御で内輪差を生じさせ、車体を常に車線中央にキープする以外に方法はなく、車線中心に沿って走行させるため車線中心に常に強い指向性を示すデジタル標示線を敷設し該デジタル標示線上のレーザ光スポットの真上に車両の中心が非接触で位置する様に常にハンドルを操作するサーボモーターの回転方向を自動操舵制御装置で制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車線の中心に回帰反射性素材からなるデジタル標示線(1)を敷設し、車両(2)の操舵輪付近下端部にレーザ光(6)の光源部と受光部が同一センサ内にある左CMOSレーザセンサ(4)と右CMOSレーザセンサ(5)を左右対称に設置し、車体(2)の下方を真横に路面(15)上のデジタル標示線(1)を跨いで照射した一条の線状レーザ光(6)は互いに重なりレーザ光の照射範囲(7)のデジタル標示線(1)との交差部に強いレーザ光スポット(8)を形成、そのレーザ光(6)を左CMOSレーザセンサ(4)と右CMOSレーザセンサ(5)へ回帰させ、回帰した各レーザ光(6)の入射角度と左CMOSレーザセンサ(4)から右CMOSレーザセンサ(5)までの距離から演算して、常に車両(2)の中心がデジタル標示線(1)の真上に非接触で重なるようにハンドルを操作するサーボモーター(10)の回転方向を制御し、車両(2)の操舵輪(3)のトーイン、キャンバー、キャスターと駆動輪の制御機能から内輪差を生じさせ車両(2)を車線中央に沿いに自動走行させる制御を司る自動操舵制御装置(A)を車載する自動操舵制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車線の中心に画かれた回帰性反射材からなるデジタル標示線に車両を沿わす制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路交通法には、車両は車両通行帯を走行し安全な停止距離と車間距離を確保することが規定されており、車両通行帯の車線における車両の正確な位置を察知する手段として車両周辺の白線映像や、車両四隅のセンサや、ライダー、レーダ、スキャナーのほか路面を走査して路面標示上に出来たスポット光の位置を車両から計測する、例えは特許文献1から特許文献5の技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-31799号公報
【特許文献2】特許第3979179号公報
【特許文献3】特開2002-49423号公報
【特許文献4】特開2016-20125号公報
【特許文献5】特開2018-216966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、車線前方や左右の白線をカメラやレーザレーダで検知する技術が記載されている。しかし、全ての白線や道路標示は車両の走行速度と同じ相対速度で接近、しかも車両の操舵や車線線形の変化、ライダー等の読取り速度や方向により画像は常に変動しており、操舵の基準となる車両前方の白線自体がデジタル化できず障害物回避や操舵の制御が物理的に不可能です。
【0005】
特許文献2には、車線境界線や停止線をデジタル化して車両四隅のセンサで検知することで居眠り・脇見・逆走を回避し人工知能(AI)を活用し線上での停止・発進をイメージすれば誤発進やブレーキの踏み遅れや間違いを回避する事も可能ですが車線境界線までの距離が計測出来ず車線に沿うための自動操舵の制御が出来ない課題が有る。
【0006】
特許文献3には、車線境界線をデジタル化して車両側方のセンサで検知することで車線逸脱直前の車両を車線中央へ引き戻す技術が記載されているが、常に車線境界線を認識できておらず車線に沿っての操舵が制御ができない課題が有る。
【0007】
更に、特許文献3の記述にあるRF-IDのタグを路面に埋設し車線中心の電磁マーカーとした場合、磁性体の電界強度には指向性がなく車線中心の位置決めに適さない課題が有る。
【0008】
特許文献4には、CMOSレーザセンサを車両の前部両側下端部に左右対称となる様に固定、両脇の路面を同調して内側から外に向かって走査し、路面標示までの読取距離が左右均しくなる様にハンドルを操作するモーターの回転方向を制御する装置が記載されているが、走行時は次元が異なり両脇の路面を同調して内側から外に向かって走査するため、常に車体に近い内側の車線境界線を早く認識しする事から計測位置のデータに差異を生じ自動操舵の制御ができない課題がある。
【0009】
特許文献5には、CMOSレーザセンサを車両の前部両側下端部に左右対称となる様に固定、両脇の路面標示超えまでレーザ光を照射、両脇の路面標示の交差部に出来たレーザ光スポット位置が左右均しくなる様にハンドルを操作するモーターの回転方向を制御する装置が記載されているが車体から車線境界線までの距離が短く白線をデジタル化するのが難しく又白線を複数検知した場合、目標として沿うべき白線を特定できない難点がある。更に車両が車線境界線に片寄り同方向に旋回した場合後輪の車線逸脱や脱輪が避けられない課題もある。
【0010】
レーザ光を車外へ照射した場合、太陽光との識別が難しく白線上にコントラストが生じないため白線自体が読み取れない場合や人体にも悪い影響があり課題もある。
【0011】
タクシー乗り場やバス停留所のように突如歩道が削られたり車道幅員が左右に片寄る場合もあり車線中央を走行することが好ましいとは限らない場合もある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
車両(2)の操舵には、前輪である操舵輪(3)のトーイン、キャンバー、キャスターと駆動輪のデファレンシャルギア等の出力制御で内輪差を生じさせる必要があり、車両(2)を車線の中心に沿って走行させるため回帰性反射材で画かれ白を基調とするデジタル標示線(1)を車線中心に沿って敷設する。
【0013】
車体(2)の両側へ強い回帰指向性を示すようデジタル標示線(1)に沿って縦にスリットを入れ、雨天でも濡れた路面(15)からデジタル標示線(1)が浮上して見える様に敷設する。
【0014】
逆にデジタル標示線(1)に接する路面(15)は、レーザ光(6)を吸収するアスファルト等の黒を基調とした非回帰反射性素材で構成する。
【0015】
デジタル標示線(1)は、左CMOSレーザセンサ(4)及び右CMOSレーザセンサ(5)双方に共通する一条の標識線であって、左CMOSレーザセンサ(4)及び右CMOSレーザセンサ(5)から照射されたレーザ光照射範囲(7)の交差部に強いレーザ光スポット(8)を形成させて、左CMOSレーザセンサ(4)及び右CMOSレーザセンサ(5)へ回帰反射させる。
【0016】
該レーザ光スポット(8)が、常に車両(2)の中心真下に非接触で位置する様にハンドルを操作するサーボモーター(10)の回転方向を自動操舵制御装置(A)で制御する。
【0017】
これ等から車両(2)が車線外へ飛出すことや、旋回時に後輪が縁石へ接触したり車線逸脱を生じることを回避し、車両(2)の加速や減速にも即応して車両(2)を車線中央に沿って走行させる。
【0018】
デジタル標示線(1)を車線の中心に一条設けることで車体から車線境界線までの距離が遠近関係なく利用できるようにする。又デジタル標示線(1)は各車両にも共通した標識線であり車両位置をGPS等を利用して走行している車線区分と最寄りの緯度・経度を基準に10進法で等距離間隔に標示した後ナンバープレートの位置座標を表示する事で、路面の摩擦係数や空走距離を含む適正な停止距離や車間距離を算出し追従することが可能となる。
【0019】
車線の中心に敷設するデジタル標示線(1)が分岐し又は途切れるときは、予め200m前後手前のデジタル標示線(1)上に、その旨をデジタル標示線(1)の一部をバーコード化して表示し車両(2)が、該コードを読取った場合は自動操舵を終了し分岐・終了するまでの間に手動に切替え他の車線へ移行する、或いはデジタル標示線(1)が分岐によりレーザ光スポット(8)が複数できる場合は、ナビゲーション等と協調しデジタル標示線(1)の分岐部に形成されたレーザ光スポット(8)の中から進路を選択し走行を続行させることを可能にする。
【0020】
車線の横断線形の半径や縦断線形の勾配等もコード化し読取らせることで減速や加速を促すだけでなく、前以って表示がなくレーザ光スポット(8)が急に途切れた場合は、直ちに走行を停止し手動で操舵する構造とする。
【0021】
デジタル標示線(1)の位置が移動するとレーザ光スポット(8)も移動するためレーザ光スポット(8)の位置を左CMOSレーザセンサ(4)と右CMOSレーザセンサ(5)で非接触で検知すると、デジタル標示線(1)の位置も移動し下記の数式1によって求められる。
【0022】
【0023】
本発明の自動操舵制御システムは、センシングした計測値に基づきリアルタイムでデジタル標示線(1)に沿った操舵を制御する。
【発明の効果】
【0024】
本発明では、こうした課題に鑑み発明したものであり、デジタル標示線(1)は、左CMOSレーザセンサ(4)及び右CMOSレーザセンサ(5)双方に共通する一条の標識線であって、左CMOSレーザセンサ(4)及び右CMOSレーザセンサ(5)から照射されたレーザ光照射範囲(7)の交差部に強いレーザ光スポット(8)を形成させて、左CMOSレーザセンサ(4)及び右CMOSレーザセンサ(5)へ回帰させるため操舵の精度を高める効果がある。
【0025】
車線の中心に回帰反射性素材からなるデジタル標示線(1)を敷設し、車両(2)の操舵輪(3)の前側下端部に固定した左CMOSレーザセンサ(4)から車体の下方を真横に路上のデジタル標示線(1)を跨いで一条の線状レーザ光(6)を照射し、更に左右対称に固定した右CMOSレーザセンサ(5)からも車体の下方を真横に路上のデジタル標示線(1)を跨ぎ左側からのレーザ光(6)の照射範囲(7)に重ねて照射、左CMOSレーザセンサ(4)と右CMOSレーザセンサ(5)に対し、デジタル標示線(1)との交差部にできた強いレーザ光スポット(8)を回帰反射させ、該レーザ光スポット(8)が常に操舵と走行により車両(2)の中心直下に非接触で位置する様にハンドルを操作するサーボモーター(10)の回転方向を制御し、車両(2)の操舵輪(3)のトーイン、キャンバー、キャスターと駆動輪制御機能から内輪差を生じさせ車線中央に沿っての走行を常に実行する自動操舵制御システムとなる。
【0026】
これらの動作は全て車両(2)内又は車両(2)下で行われ直接通行人等の目にレーザ光(6)が照射されることがなく安全である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本発明の自動操舵制御システムを前から見た制御系統図である。
【
図2】
図2は、本発明の自動操舵制御システムを車両搭載した正面説明図である。
【
図3】
図3は、本発明の自動操舵制御システムを車両搭載した平面説明図である。
【
図4】
図4は、本発明の自動操舵制御システムをデジタル標示線に沿う操舵方法を示す説明図である。
【
図5】
図5は、本発明の自動操舵制御システムをデジタル標示線に沿う操舵方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
車線の幅は、一般道路で、2.75m~3.5m、高速道路では、3.25m~3 .5mである。また普通自動車の幅が1.7m、軽自動車が1.48mであり、法定速度での自動操舵は可能で走行速度を下げる事で大方の道路での自動操舵も可能となる。
【0029】
車線の中心に回帰反射性素材からなるデジタル標示線(1)を敷設し、車両(2)の操舵輪(3)の前側下端部に固定した左CMOSレーザセンサ(4)から車体の下方を真横に路面(15)上のデジタル標示線(1)を跨いで一条の線状レーザ光(6)を照射する。
【0030】
更に左右対称に設置した右CMOSレーザセンサ(5)からも車体の下方を真横に路面(15)上のデジタル標示線(1)を跨ぎ左側からのレーザ光照射範囲(7)に重ねて照射する。
【0031】
左CMOSレーザセンサ(4)と右CMOSレーザセンサ(5)に対し、デジタル標示線(1)との交差部にできた強いレーザ光スポット(8)を常に回帰反射させる。
【0032】
該レーザ光スポット(8)が、常に操舵と走行により車両(2)の中心真下に非接触で位置する様にハンドルを操作するサーボモーター(10)の回転方向を制御し、車両(2)の操舵輪(3)のトーイン、キャンバー、キャスターと駆動輪の駆動制御機能から内輪差を生じさせ車線中央に沿っての走行を実行する。
【0033】
左CMOSレーザセンサ(4)と右CMOSレーザセンサ(5)は、左右対称に設置されており、デジタル標示線(1)との交差部にできる強いレーザ光スポット(8)の位置は、左CMOSレーザセンサ(4)から右CMOSレーザセンサ(5)までの間を一辺とし、強いレーザ光スポット(8)からの回帰レーザ光(6)が左CMOSレーザセンサ(4)と右CMOSレーザセンサ(5)へ回帰したセンサへの入射角度から演算して自動で操舵を制御する。
【実施例0034】
図1は、本発明の自動操舵制御システムを車載した制御系統図で本発明の主体は光学系センサとその実装方法にあり電子、機構系の説明は省略する。
【0035】
車両(2)の中心が非接触で車線中心のデジタル標示線(1)に沿い、他の運転支援システムと協調することで自車線の先行車両との適正な停止距離や車間距離を確保し、適正な車線変更を実行させ車線逸脱に纏わる交通事故を未然に回避する。
【0036】
図1~
図3に示す通り、車両(2)の操舵輪付近下端部に搭載する左CMOSレーザセンサ(4)と右CMOSレーザセンサ(5)の各センサは左右対称に設置され、レーザ光(6)の光源部と受光部が同一センサ内にあり、車体(2)の下方を真横に路上のデジタル標示線(1)を跨いで照射した一条の線状レーザ光(6)は互いに重なりレーザ光(6)の照射範囲(7)のデジタル標示線(1)との交差部に強いレーザ光スポット(8)を形成し、左CMOSレーザセンサ(4)と右CMOSレーザセンサ(5)へ回帰する各回帰反射レーザ光(6)の入射角度と、左CMOSレーザセンサ(4)から右CMOSレーザセンサ(5)までの距離から演算して車両(2)のデジタル標示線(1)に対しての位置を把握し自動操舵の制御を実施する。
【0037】
図3~
図5に示す通り、車両(2)が直線から右カーブに進入した場合、車両(2)の中心は必然的に左に片寄り、デジタル標示線(1)との交差部にできる強いレーザ光スポット(8)は右に移動するため、自動操舵制御装置(A)は、車体を右に戻そうと右へ操舵する。
【0038】
図5に示す通り、車両(2)が直線から左カーブに進入した場合、車両(2)の中心は必然的に右に片寄り、デジタル標示線(1)との交差部にある強いレーザ光スポット(8)は左に移動するため、自動操舵制御装置(A)は車体を左に戻そうと左へ操舵する。
【0039】
図5に示す通り、車両(2)の操舵により車両(2)の中心が車線中央に回復した場合、デジタル標示線(1)との交差部にある強いレーザ光スポット(8)も車両(2)の中心に戻るため、この状態を保持して走行を継続する。
【0040】
車線の中心に敷設するデジタル標示線(1)が途切れたとき、又は車両(2)の右左折によりレーザ光スポット(8)が複数できる場合は、予め200m前後手前のデジタル標示線(1)上にバーコード等で表示された該コードを車両(2)が読取り自動操舵を終了し分岐・終了するまでの間に手動に切替え他の車線へ移行する、或いはナビゲーション等と協調しデジタル標示線(1)の分岐部に形成されたレーザ光スポット(8)の中から進路を選択し走行を続行させる。
少子高齢化社会を支える為、高齢者にも自立した移動が求められる中、認知・判断ミスによる逆走や誤発進による衝突や暴走、踏切事故と言った重大事故が懸念されており、こうした事故を防止しレベル3~4の自動運転に向けての運転支援が可能となる。
電動車いすの自動走行やドローンの規定航路の自動飛行、高圧送電線ケーブルの自動点検、新交通システムや路線バス等の走路の移動目標や、駅ホームやトンネル内壁等へ画くラインの高さや長さから、これに沿って動く電車や路線バス、エレベーター等の速度や停止位置を制御し、或いは自然災害によるダムや河川の水位を非接触で計測することを可能となる。