(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032051
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】マンホール蓋
(51)【国際特許分類】
E02D 29/14 20060101AFI20240305BHJP
A47K 11/00 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
E02D29/14 Z
A47K11/00 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135484
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】306024805
【氏名又は名称】株式会社 林物産発明研究所
(72)【発明者】
【氏名】林 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】林 和志郎
(72)【発明者】
【氏名】林 宏三郎
(72)【発明者】
【氏名】林 加奈子
【テーマコード(参考)】
2D036
2D147
【Fターム(参考)】
2D036BA02
2D036CA01
2D147BB21
(57)【要約】
【課題】 別途の倉庫を準備することなく、マンホール蓋に備え付けの備品のみで洋式トイレを提供し、さらには、洋式個室トイレを提供する。
【解決手段】 開閉可能な便用開口を有するマンホール蓋本体と、前記マンホール蓋本体の下面から下方に伸びる中空筒体と、前記中空筒体に収容可能な便座板を有するマンホール蓋であって、前記便用開口を開き、前記マンホール蓋本体を裏返し、前記中空筒体の遠位端に前記便座板を設置することで洋式トイレとして使用可能であることを特徴とするマンホール蓋。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能な便用開口を有するマンホール蓋本体と、
前記マンホール蓋本体の下面から下方に伸びる中空筒体と、
前記中空筒体に収容可能な便座板を有するマンホール蓋であって、
前記便用開口を開き、前記マンホール蓋本体を裏返し、前記中空筒体の遠位端に前記便座板を設置することで洋式トイレとして使用可能であることを特徴とするマンホール蓋。
【請求項2】
前記中空筒体にさらに複数の柱材と目隠しシートが収容され、
前記便座板又は前記中空筒体が前記柱材を固定するための固定部を有し。
前記柱材を組み立てて前記目隠しシートを張ることで個室トイレを形成可能である、請求項1のマンホール蓋。
【請求項3】
前記中空筒体にさらに便案内シートが収容され、
トイレとしての使用時に、便案内シートにより便を前記便用開口に誘導可能である、請求項1のマンホール蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害時にトイレを提供することのできるマンホール蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
地震や火災等の災害時には、トイレの不足が問題となる。駅や公園の公衆トイレだけでは多数の被災者に対応することは困難であり、景観や用地確保、費用等の観点から、街中に多数のトイレを設置することは実際上不可能である。
【0003】
このため、マンホール蓋を利用した仮設トイレが種々提案されている(例えば、特許文献1,2)。しかし、特許文献1は和式トイレであり、老人などには使用できない人もいる。また、特許文献1は遮蔽物が無く、個室トイレを提供できない。特許文献2は洋式トイレであり、ドームで個室を形成できるが、便器やドームはマンホール蓋に備え付けではなく、別途の倉庫等から運んでくる必要があり、鍵が無いために倉庫を開くことができない事態も想定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-132068号公報
【特許文献2】特開2012-219566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、別途の倉庫を準備することなく、マンホール蓋に備え付けの備品のみで洋式トイレを提供し、さらには、洋式個室トイレを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願には、
開閉可能な便用開口を有するマンホール蓋本体と、
前記マンホール蓋本体の下面から下方に伸びる中空筒体と、
前記中空筒体に収容可能な便座板を有するマンホール蓋であって、
前記便用開口を開き、前記マンホール蓋本体を裏返し、前記中空筒体の遠位端に前記便座板を設置することでトイレとして使用可能であることを特徴とするマンホール蓋が開示される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の1実施形態のマンホール蓋2を示す。(a)は上方斜視図。(b)は下方斜視図。
【
図2】本発明の1実施形態のマンホール蓋2を示す。(a)は通常時。(b)はトイレとしての使用時。
【
図3】本発明の1実施形態のトイレ用の個室5を示す。(a)は平面図。(b)は側面図。
【
図4】本発明の他の実施形態の本発明の1実施形態のマンホール蓋2を示す。(a)は通常時。(b)はトイレとしての使用時。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1,2に、本発明の1実施形態のマンホール蓋2を示す。マンホール蓋2は、便用開口11を有するマンホール蓋本体10とマンホール蓋本体10の下面から下方に伸びる中空筒体20を有する。
【0009】
便用開口11は、蓋12の付け外しにより開閉可能である(
図2参照)。中空筒体20は、内部に中空の収容空間21を有する。収容空間21には、便座板31、柱材32、目隠しシート33等の備品30を収容可能である。収容空間21は、さらに、非常用の飲料提供のための浄水装置、ポータブル発電機やバッテリーを収容してもよい。
【0010】
マンホール蓋本体10は、従来のマンホール蓋本体と同様の材料(金属等)で形成できる。中空筒体20や便座板31は金属、琺瑯、プラスチック等で形成できる。マンホール蓋本体10と中空筒体20は、溶接や一体形成、ネジ式等で固定するとよい。
【0011】
通常時は、
図2(a)のように、マンホール蓋本体10の下面を下向きにしてマンホール蓋2をマンホール縁3に設置することでマンホール1に蓋をすることができる。
【0012】
災害時には、
図2(b)のように、便用開口11の蓋12を外し、マンホール蓋2を裏返しにし(マンホール蓋本体10の下面を上向きにし)、マンホール蓋2をマンホール縁3に設置し、中空筒体20の遠位端に便座板31を設置することで洋式トイレ4を形成できる。
【0013】
さらに、
図3のように、柱材32を組み立てて箱型構造を形成し、目隠しシート33を貼付することで、
図3のように、トイレ4の周りに個室5を形成できる。柱材32は、木材、プラスチック等で形成できる。柱材32は相互差し込み式等で組み立て可能とするとよい。不図示のジョイントを用いて組み立て可能としてもよい。
【0014】
便座板31の下面等に設けた差し込み穴などの接続部31a(
図2(b)参照)を用いて柱材32を固定し、あるいは、さらに中空筒体20と便座板31をネジ等で固定すると、個室5を容易に安定化、高強度化等することが可能である。
【0015】
上記マンホール蓋2では、別途の倉庫を準備することなく、災害時に、マンホール蓋2に備え付けの備品のみで洋式トイレ4を提供し、さらには、洋式トイレ4を個室にすることができる。
【0016】
図4は、他の実施形態のマンホール蓋2Aを示す。マンホール蓋2Aでは、
図4(a)のように、中空筒体20の遠位端に便案内シート34がさらに収容されている。便案内シート34は収容空間21内の備品30の落下防止の役割を果たし得る。便案内シート34は、他の備品30とともに、収容空間21内に収容してもよい。トイレとして使用する際は、
図4(b)のように、便座板31から便用開口11の間に便案内シート34を敷くことで、便を便用開口11に誘導することができる。
【0017】
上記実施形態に記載したマンホール蓋やその要素の寸法、形状、配置、個数、材料等は例示であり、他の態様も可能である。
【符号の説明】
【0018】
1・・・マンホール
2,2A・・・マンホール蓋
3・・・マンホール縁
4・・・洋式トイレ
5・・・個室
10・・・マンホール蓋本体
11・・・便用開口
12・・・蓋
20・・・中空筒体
21・・・収容空間
30・・・備品
31・・・便座板
31a・・・接続部
32・・・柱材
33・・・目隠しシート
34・・・便案内シート