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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032056
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】画像形成装置および画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20240305BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240305BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20240305BHJP
   B41J 3/36 20060101ALI20240305BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
G03G21/00 388
B41J29/38 302
B41J29/38 201
B41J29/42 F
B41J3/36 Z
H04N1/00 127B
H04N1/00 350
H04N1/00 567M
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135490
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【弁理士】
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100120477
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 賢改
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(74)【代理人】
【氏名又は名称】半田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】山田 博信
【テーマコード(参考)】
2C055
2C061
2H270
5C062
【Fターム(参考)】
2C055CC01
2C055CC05
2C061AP01
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AS06
2C061AS08
2C061CQ04
2C061CQ05
2C061CQ24
2C061CQ34
2C061HJ06
2C061HJ07
2C061HN04
2C061HN15
2C061HN24
2C061HV09
2C061HV44
2H270KA59
2H270LB10
2H270LC02
2H270MB07
2H270MD02
2H270MD25
2H270MD26
2H270MF14
2H270MH15
2H270MH16
2H270NC07
2H270NC08
2H270PA83
2H270QB13
2H270ZC03
2H270ZC04
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA29
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB32
5C062AB34
5C062AB38
5C062AB42
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC14
5C062AC16
5C062AC22
5C062AC34
5C062AC58
5C062AE03
5C062AE07
5C062AE15
5C062AF00
(57)【要約】
【課題】印刷停止後の印刷再開時におけるユーザビリティを向上する。
【解決手段】画像形成装置は、連続媒体を搬送する搬送部と、バリアブルデータを含む印刷データを記憶する記憶部と、連続媒体に印刷データを印刷する印刷部と、連続媒体の搬送異常を検知する異常検知部と、搬送部および印刷部を制御して印刷動作を実行する制御部とを有する。制御部は、異常検知部の検知に基づく印刷停止後の印刷再開時に、印刷停止前に最後に印刷された印刷データに含まれるバリアブルデータと、後続の少なくとも一つの印刷データに含まれるバリアブルデータとを表示部に表示させる。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続媒体を搬送する搬送部と、
バリアブルデータを含む印刷データを記憶する記憶部と、
前記連続媒体に前記印刷データを印刷する印刷部と、
前記連続媒体の搬送異常を検知する異常検知部と、
前記搬送部および前記印刷部を制御して印刷動作を実行する制御部と
を有し、
前記制御部は、前記異常検知部の検知に基づく印刷停止後の印刷再開時に、印刷停止前に最後に印刷された印刷データに含まれるバリアブルデータと、後続の少なくとも一つの印刷データに含まれるバリアブルデータとを表示部に表示させる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記表示部は、前記画像形成装置、または、前記画像形成装置に印刷データを送信する情報処理装置に備えられている
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記バリアブルデータは、前記連続媒体に印刷される前記印刷データ毎に可変するバリアブル情報を少なくとも含み、
前記制御部は前記バリアブル情報を前記表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記印刷データに含まれるバリアブルデータを、識別情報と対応付けて前記記憶部に記憶する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記印刷停止前に最後に印刷された印刷データは、印刷停止時に前記印刷部よりも下流側の前記連続媒体に印刷されている印刷データである
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記連続媒体を切断するカッタをさらに有し、
前記制御部は、前記カッタによる前記連続媒体の切断位置の選択肢を前記表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記表示部の表示に基づいて第1の切断位置が選択された場合、
前記制御部は、印刷再開時に、選択されたバリアブルデータを含む印刷データを、印刷停止がなかった場合と同じ位置に印刷するように、前記印刷部を制御する
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記表示部の表示に基づいて第2の切断位置が選択された場合、
前記制御部は、印刷再開時に、選択されたバリアブルデータを含む印刷データを、前記連続媒体の先頭に印刷し、且つ、後続の印刷データのうち、印刷停止がなかった場合に前記連続媒体の1カット目に印刷される印刷データを印刷した上で、前記カッタにより前記連続媒体を切断する
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記表示部の表示に基づいて第3の切断位置が選択された場合、
前記制御部は、印刷再開時に、選択されたバリアブルデータを含む印刷データを、前記連続媒体の先頭に印刷し、且つ、後続の印刷データのうち、印刷停止がなかった場合に前記連続媒体の1カット目および2カット目の一部に印刷される印刷データを印刷した上で、前記カッタにより前記連続媒体を切断する
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記連続媒体は、基材層と、前記基材層に貼り付けられた剥離層とを有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項11】
連続媒体を搬送する搬送部と、
バリアブルデータを含む印刷データを記憶する記憶部と、
前記連続媒体に前記印刷データを印刷する印刷部と、
前記連続媒体を切断するカッタと、
前記連続媒体の搬送異常を検知する異常検知部と、
前記搬送部、前記印刷部および前記カッタを制御して印刷動作を実行する制御部と
前記搬送部および前記印刷部を制御して印刷動作を実行する制御部と
を有し、
前記制御部は、前記異常検知部の検知に基づく印刷停止後の印刷再開時に、前記カッタによる前記連続媒体の切断位置の選択肢を表示部に表示させる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
画像形成装置と情報処理装置とを有する画像形成システムであって、
前記情報処理装置は、バリアブルデータを含む印刷データを前記画像形成装置に出力し、
前記画像形成装置は、
連続媒体を搬送する搬送部と、
前記印刷データを記憶する記憶部と、
前記連続媒体に前記印刷データを印刷する印刷部と、
前記連続媒体の搬送異常を検知する異常検知部と、
前記搬送部および前記印刷部を制御して印刷動作を実行する制御部と
を有し、
前記画像形成装置または前記情報処理装置は、表示部を有し、
前記制御部は、前記異常検知部の検知に基づく印刷停止後の印刷再開時に、印刷停止前に最後に印刷された印刷データに含まれるバリアブルデータと、後続の少なくとも一つの印刷データに含まれるバリアブルデータとを前記表示部に表示させる
ことを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、連続媒体に印刷を行う画像形成装置および画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
連続媒体に印刷を行う画像形成装置において、印刷動作が途中で停止した場合に、印刷停止直前に印刷した印刷データの次の印刷データから印刷を再開する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-217731号公報(段落0097~0098)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、異常検知などの理由で印刷動作が停止し、印刷停止直前に印刷された印刷データを再印刷したい場合に対応することができない。例えば、バリアブルデータを印刷するときには、印刷停止直前に印刷された印刷物の印字不良により、印刷停止直前の印刷データを再印刷したい状況がある。そのため、ユーザビリティの更なる向上が求められている。
【0005】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、印刷停止後の印刷再開時におけるユーザビリティを向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の画像形成装置は、連続媒体を搬送する搬送部と、バリアブルデータを含む印刷データを記憶する記憶部と、連続媒体に印刷データを印刷する印刷部と、連続媒体の搬送異常を検知する異常検知部と、搬送部および印刷部を制御して印刷動作を実行する制御部とを有する。制御部は、異常検知部の検知に基づく印刷停止後の印刷再開時に、印刷停止前に最後に印刷された印刷データに含まれるバリアブルデータと、後続の少なくとも一つの印刷データに含まれるバリアブルデータとを表示部に表示させる。
【発明の効果】
【0007】
本開示の画像形成装置では、表示部の表示に基づき、ユーザが印刷再開時のバリアブルデータを選択することができるため、印刷停止前に最後に印刷された印刷データを再印刷することもでき、また、その次の印刷データから印刷を再開することもできる。印刷再開時の先頭の印刷データが選択可能であるため、ユーザビリティが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態のプリンタの全体構成を示す図である。
図2】ラベル媒体の例を示す図(A),(B)である。
図3】実施の形態のラベル媒体の断面構造を概念的に示す図である。
図4】実施の形態のラベル媒体の1カット分を示す図である。
図5】実施の形態のラベルを示す図である。
図6】実施の形態の画像形成システムの構成を示す機能ブロック図である。
図7】実施の形態のプリンタおよびコンピュータの構成を示す機能ブロック図である。
図8】実施の形態のラベル媒体の設定画面の一例を示す図である。
図9】実施の形態のラベルの編集画面の一例を示す図である。
図10】実施の形態のバリアブルデータとラベル番号との対応関係を示す表である。
図11】実施の形態のコンピュータの制御動作を示すフローチャートである。
図12】実施の形態のプリンタの印刷動作を示すフローチャートである。
図13】実施の形態のプリンタの印刷障害制御を示すフローチャートである。
図14】実施の形態のプリンタにおける印刷停止時のラベル媒体の状態を説明するための図(A),(B)である。
図15】実施の形態の印刷再開先頭ラベルの選択画面を示す図である。
図16】実施の形態の印刷再開パターンの選択画面を示す図である。
図17】実施の形態の印刷再開パターンを説明するための図(A)~(D)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<プリンタ>
まず、本実施の形態の画像形成装置としてのプリンタ1の全体構成について説明する。図1は、本実施の形態のプリンタ1を示す図である。プリンタ1は、電子写真法を用いて、ロール状のラベル媒体3にカラー画像を形成するよう構成されている。
【0010】
プリンタ1は、連続媒体としてのラベル媒体3をロール状に保持する媒体保持部5と、ラベル媒体3を搬送する媒体搬送部6と、イエロー(Y)、マゼンタ(M)およびシアン(C)のトナー像を形成する画像形成ユニット4Y,4M,4Cと、トナー像をラベル媒体3に転写する転写ユニット7と、トナー像をラベル媒体3に定着する定着ユニット8と、ラベル媒体3を排出する媒体排出部9とを有する。
【0011】
媒体搬送部6、画像形成ユニット4Y,4M,4C、転写ユニット7、定着ユニット8、および媒体排出部9は、ハウジング18に収容されている。媒体保持部5は、ハウジング18の外側に取り付けられている。
【0012】
ハウジング18は、媒体保持部5からのラベル媒体3を導入する給紙口18aと、ラベル媒体3を排出する排出口18bとを有する。給紙口18aと排出口18bとの間に、ラベル媒体3の搬送路Pが規定される。ハウジング18には、表示部と操作部とを有する操作パネル17が設けられている。
【0013】
媒体保持部5は、ラベル媒体3をロール状に保持するホルダ51を有する。ラベル媒体3は、基材層である台紙30(図3)の表面に、剥離層であるラベル31(図3)を貼り付けたものである。ホルダ51には、ラベル媒体3の巻き芯が着脱可能に取り付けられる。ホルダ51から引き出されたラベル媒体3は、給紙口18aからハウジング18の内部に導かれる。
【0014】
媒体搬送部6は、ラベル媒体3の搬送路Pに沿って、搬送ローラ61,62,63を有する。搬送ローラ61,62,63はいずれも、搬送路Pを挟んで対向配置された一対のローラである。搬送ローラ61,62,63は、ラベル媒体3を図中右から左に搬送する。
【0015】
搬送ローラ62,63の間には、切断部としてのカッタ65が配置されている。カッタ65は、回転刃と、回転刃を押圧する揺動刃とを有するロータリカッタであり、ラベル媒体3を一定の長さ(カット長と称する)に切断する。また、ラベル媒体3の搬送方向において搬送ローラ61の上流側には、温度センサ64が配置されている。
【0016】
画像形成ユニット4Y,4M,4Cは、ラベル媒体3の搬送路Pに沿って配置されている。画像形成ユニット4Y,4M,4Cは、トナーを除いて共通の構成を有するため、画像形成ユニット4と称する。
【0017】
画像形成ユニット4は、像担持体としての感光体ドラム41と、帯電部材としての帯電ローラ42と、現像剤担持体としての現像ローラ44と、供給部材としての供給ローラ45と、層規制部材としての層規制ブレード46と、クリーニング部材48とを有する。
【0018】
感光体ドラム41は、導電性の基体の表面に、電荷発生層と電荷輸送層とからなる感光層を備えたドラム状の部材であり、図中時計回りに回転する。
【0019】
帯電ローラ42は、感光体ドラム41の表面に当接するように配置され、感光体ドラム41の回転に追従して回転する。帯電ローラ42は帯電電圧を印加され、感光体ドラム41の表面を一様に帯電させる。
【0020】
感光体ドラム41に対向するように、露光装置としての露光ヘッド43が配置されている。露光ヘッド43は、感光体ドラム41の軸方向に発光素子を配列した発光素子アレイと、レンズ要素を配列したレンズアレイとを有する。発光素子は、例えばLED(発光ダイオード)である。露光ヘッド43は、感光体ドラム41の表面に光を照射し、静電潜像を形成する。なお、露光ヘッド43は、ハウジング18の上部を覆う上部カバーに支持されている。
【0021】
現像ローラ44は、感光体ドラム41の表面に当接するように配置されている。現像ローラ44は、感光体ドラム41の回転方向と逆方向(当接部における表面の移動方向が順方向となる方向)に回転する。現像ローラ44は現像電圧を印加され、感光体ドラム41の表面の静電潜像にトナー(現像剤)を付着させる。
【0022】
供給ローラ45は、現像ローラ44の表面に当接するように配置される。供給ローラ45は、現像ローラ44の回転方向と同方向に回転する。供給ローラ45は供給電圧を印加され、現像ローラ44にトナーを供給する。
【0023】
層規制ブレード46は、現像ローラ44の表面に押し当てられた金属製のブレードである。層規制ブレード46は、現像ローラ44の表面のトナー層(現像剤層)の厚さを規制する。
【0024】
クリーニング部材48は、感光体ドラム41の表面に当接するように配置されたブレードまたはローラである。クリーニング部材48は、感光体ドラム41の表面に残った残留トナーを掻き取る。
【0025】
画像形成ユニット4の構成要素のうち、現像ローラ44、供給ローラ45および層規制ブレード46を含む部分、すなわち感光体ドラム41上の静電潜像の現像に寄与する部分は、現像部を構成する。
【0026】
現像部の上方には、現像剤としてのトナーを収容する現像剤収容体としてのトナーカートリッジ47が取り付けられている。トナーカートリッジ47はトナーを収容し、図示しないトナー供給口を介して現像部にトナーを補給する。
【0027】
転写ユニット7は、搬送路Pを挟んで画像形成ユニット4Y,4M,4Cと反対側に配置されている。転写ユニット7は、画像形成ユニット4Y,4M,4Cの各感光体ドラム41に対向配置された3つの転写ローラ71を有する。
【0028】
転写ユニット7は、また、画像形成ユニット4Y,4M,4Cの各感光体ドラム41と転写ローラ71との間を通過する転写体としての転写ベルト72と、転写ベルト72が張架された駆動ローラ73およびテンションローラ74とを有する。
【0029】
転写ベルト72は、無端状のベルトであり、ラベル媒体3を保持して走行する。駆動ローラ73は、図中反時計回りに回転し、転写ベルト72を走行させる。テンションローラ74は、転写ベルト72に張力を付与する。転写ローラ71は転写電圧を印加され、感光体ドラム41上のトナー像を転写ベルト72上のラベル媒体3に転写する。
【0030】
転写ユニット7は、また、転写ベルト72に対して画像形成ユニット4Y,4M,4Cと反対の側に、ベルトクリーニング部材76と廃トナータンク75とを有する。ベルトクリーニング部材76は、転写ベルト72の表面に付着した廃トナーを掻き取る。廃トナータンク75は、転写ベルト72の表面から掻き取られたトナーを収容する。
【0031】
定着ユニット8は、ラベル媒体3の搬送方向において転写ユニット7の下流側に配置されている。定着ユニット8は、熱源を内蔵する定着ローラ81と、定着ローラ81との間で定着ニップを形成する加圧ローラ82とを有する。定着ローラ81および加圧ローラ82は、ラベル媒体3が定着ニップを通過する際に、トナー像に熱および圧力を加えてラベル媒体3に定着させる。
【0032】
媒体排出部9は、ラベル媒体3の搬送方向において定着ユニット8の下流側に配置されている。媒体排出部9は、定着ユニット8を通過したラベル媒体3を搬送してハウジング18の排出口18bから排出する排出ローラ91を有する。
【0033】
ハウジング18に取り付けられた操作パネル17は、プリンタ1の状態を表示する表示部14(図6)と、ユーザがプリンタ1への指示を入力する操作部15(図6)とを有する。操作パネル17は、例えばタッチパネルである。
【0034】
ラベル媒体3の搬送路Pに沿って、ラベル媒体3の通過を検知するセンサT1,T2,T3,T4が配置されている。給紙センサT1は、ラベル媒体3の搬送方向において給紙口18aの下流側に配置されている。カッタセンサT2は、搬送ローラ61の下流側に配置されている。書出センサT3は、搬送ローラ63の下流側に配置されている。排出センサT4は、媒体排出部9と排出口18bとの間に配置されている。
【0035】
以上の構成において、画像形成ユニット4Y,4M,4C、転写ユニット7および定着ユニット8は、ラベル媒体3に画像を印刷する印刷部101を構成する。媒体搬送部6、転写ベルト72および媒体排出部9は、ラベル媒体3を搬送する搬送部102を構成する。
【0036】
なお、プリンタ1の全体構成は、図1に示した構成に限らず、ラベル媒体3(連続媒体)を搬送する搬送部102と、搬送されるラベル媒体3に画像を印刷する印刷部101とを有していればよい。
【0037】
<ラベル媒体>
図2(A),(B)は、ラベル媒体3の例を示す図である。図2(A),(B)において、プリンタ1におけるラベル媒体3の搬送方向(媒体搬送方向とも称する)を矢印Fで示す。
【0038】
図2(A)に示すダイカットラベル媒体3Aは、台紙30とラベル31とを有する。台紙30は、媒体搬送方向に長い帯状であり、上述したカッタ65(図1)によって所定の長さ(後述するカット長L)に切断される。台紙30は、光を透過する材質で構成されている。
【0039】
ラベル31は、台紙30の表面に、媒体搬送方向に等間隔に貼り付けられている。ここでは、ラベル媒体3の1カット当たりに5枚のラベル31が配置されているが、1カット当たりのラベル31の枚数は任意である。
【0040】
媒体搬送方向におけるラベル31の間隔(ピッチ)を、Aとする。後述する印刷障害制御では、排出センサT4(図1)でラベル媒体3のラベル31の前端を検知することにより、印刷停止前に正常に印刷された最後のラベル31を特定する。
【0041】
図2(B)に示す全面ラベル媒体3Bは、台紙30の全面にラベル31を貼り付けたものである。台紙30は、光を透過しない材質で形成される。台紙30の幅方向端部の裏面には、ブラックマーク35が形成されている。
【0042】
ブラックマーク35は、媒体搬送方向に等間隔に形成されている。後述する印刷障害制御では、排出センサT4(図1)でラベル媒体3のブラックマーク35を検知することにより、印刷停止前に正常に印刷された最後のラベル31を特定する。
【0043】
ラベル31は、次のような方法で検出することができる。ダイカットラベル媒体3Aの場合には、例えば、光透過型センサを用いてラベル31を検出する方法がある。また、全面ラベル媒体3Bの場合には、例えば、反射型センサを用いて台紙30の裏面のブラックマークを検出する方法がある。
【0044】
以下では、ラベル媒体3としてダイカットラベル媒体3A(図2(A))を用いる場合について説明するが、本実施の形態は全面ラベル媒体3B(図2(B))に適用することもできる。
【0045】
図3は、ラベル媒体3の断面構造を概略的に示す図である。ラベル媒体3は、基材層としての台紙30と、剥離層としてのラベル31と、これらの間に設けられた粘着層34を有する。粘着層34は、アクリル系、ウレタン系、あるいはシリコーン系の接着剤で構成される。ラベル31は、台紙30から剥離され、製品やその梱包等に貼り付けられる。
【0046】
図4は、プリンタ1によって印刷したラベル媒体3の1カット分を示す図である。図4に示した例では、ラベル媒体3は、媒体搬送方向にカット長Lで切断される。ラベル媒体3のカット長Lに相当する部分を、1カット(単位カット)と称する。ラベル媒体3の1カットには、5枚のラベル31が配置されている。
【0047】
プリンタ1は、全てのラベル31(全てのページ)に共通して用いられる固定データ(フォームデータとも称する)と、ラベル31毎(ページ毎)に可変するバリアブルデータとを含む印刷データを印刷する。このような印刷は、バリアブル印刷または可変印刷とも称する。
【0048】
なお、本実施の形態では、全てのラベル31に共通して用いられるデータを、固定データ(フォームデータとも称する)と定義する。また、固定データに対して、ラベル31毎に可変するデータをバリアブルデータと定義する。なお、固定データには全てのラベル31に印刷される固有情報が少なくとも含まれており、バリアブルデータにはラベル31毎に可変するバリアブル情報が少なくとも含まれている。
【0049】
ここでは、全てのラベル31に「SN」というテキストが印刷される。一方、バリアブルデータは、ラベル31毎に異なるデータである。ここでは、5つのラベル31に、それぞれ、「AB2789」、「XL3875」、「FF6321」、「QW0030」および「UZ3875」というテキスト(文字設定)が印刷される。
【0050】
固定データおよびバリアブルデータは、図4では英文字と数字を組み合わせたテキストであるが、テキストに限らず、図形あるいは画像などの知覚情報であるバリアブル情報であってもよい。バリアブルデータは、例えば、表計算ソフト等により一覧表の形式で保存されたデータに基づいて印刷される。
【0051】
図5は、ラベル31の一例を示す図である。ラベル31は、媒体搬送方向に幅L1を有し、媒体搬送方向に直交する方向に長さL2を有する。ラベル31には、上述した固定データが印刷される固定データエリア32と、バリアブルデータが印刷されるバリアブルデータエリア33とが設定される。
【0052】
<画像形成システム>
図6は、本実施の形態の画像形成システム100を示す機能ブロック図である。画像形成システム100は、画像形成装置としてのプリンタ1と、情報処理装置としてのコンピュータ2(ホストコンピュータ)とを有する。プリンタ1とコンピュータ2とは、ネットワークNを介して通信可能に接続されている。
【0053】
プリンタ1は、制御部10と、記憶部13と、表示部14と、操作部15と、通信部16とを有する。
【0054】
制御部10は、例えばCPU(Central Processing Unit)を有し、コンピュータ2から受信した印刷データに基づき印刷動作を実行する。制御部10は、印刷制御部11と、印刷障害制御部12とを有するが、これらについては後述する。
【0055】
記憶部13は、半導体メモリ、ハードディスク等の記憶装置であり、印刷動作に必要な各種情報、プログラム等を記憶する。
【0056】
表示部14は、プリンタ1の状態を示す情報、ユーザの操作入力に必要な情報等を表示する部分であり、例えばLED、LCD(液晶ディスプレイ)等で構成される。操作部15は、ユーザの操作を受け付ける部分であり、例えばスイッチ等で構成される。ここでは、表示部14と操作部15とを組み合わせて、操作パネル17(図1)を構成している。
【0057】
通信部16は、コンピュータ2との通信のためのインターフェース部分である。プリンタ1は、通信部16を介して、コンピュータ2からの印刷ジョブを受信する。
【0058】
コンピュータ(ホストコンピュータ)2は、制御部20と、通信部23と、表示部24と、操作部25と、記憶部26とを有する。
【0059】
制御部20は、例えばCPUを有し、通信部23と、表示部24と、操作部25と、記憶部26とを制御する。
【0060】
通信部23は、プリンタ1との通信のためのインターフェース部分である。コンピュータ2は、通信部23を介して、プリンタ1に印刷ジョブを送信する。
【0061】
表示部24は、コンピュータ2の状態を示す情報、ユーザの指示入力に必要な情報等を表示する部分であり、例えばLCD等で構成される。操作部25は、ユーザの操作を受け付ける部分であり、例えばキーボード、マウス等で構成される。
【0062】
記憶部26は、メモリ、ハードディスク等の記憶装置である。記憶部26には、例えば、アプリケーション21、プリンタドライバ22、およびオペレーションシステム(OS)が格納される。
【0063】
プリンタ1の制御部10は、上記の通り、印刷制御部11および印刷障害制御部12を有する。また、コンピュータ2の制御部20は、記憶部26に格納されたアプリケーション21およびプリンタドライバ22を呼び出して実行する。
【0064】
図7は、プリンタ1およびコンピュータ2の構成を示す機能ブロック図である。この図7では、プリンタ1の制御部10の印刷制御部11および印刷障害制御部12が実行する各機能、並びに、コンピュータ2の制御部20が実行するアプリケーション21およびプリンタドライバ22に含まれる各機能を示している。
【0065】
まず、コンピュータ2の制御部20が実行するアプリケーション21およびプリンタドライバ22に含まれる各機能について説明する。
【0066】
アプリケーション21は、プリンタ1の印刷対象となるデータを作成および編集するためのソフトウェアである。アプリケーション21は、ラベル定義部211と印刷実行部212とを有する。
【0067】
ラベル定義部211は、プリンタドライバ22を介して、ユーザにラベルを定義させる機能である。ラベル定義部211は、媒体選択部211aと、ラベルフォーマット定義部211bと、バリアブルデータ登録部211cとを有する。
【0068】
媒体選択部211aは、コンピュータ2の記憶部26に登録されたラベル媒体3の設定名(後述する設定画面300の設定選択部301における選択事項)を選択する機能である。
【0069】
ラベルフォーマット定義部211bは、媒体選択部211aで選択されたラベル媒体3に印刷される描画データ(テキスト、図形、画像)を定義する機能である。具体的には、図5に示した固定データエリア32およびバリアブルデータエリア33に印刷する描画データを決定し、またそれぞれの配置および大きさを決定する。ここで定義されたフォーマットは、印刷する全てのラベルに適用される。
【0070】
図8は、ラベル媒体3の印刷に関する設定画面300の一例を示す図である。この設定画面300は、アプリケーション21の媒体選択部211aおよびラベルフォーマット定義部211bが、プリンタドライバ22を介して、コンピュータ2の表示部24に表示する。設定画面300は、例えば、ユーザがアプリケーション21の印刷メニューでプリンタドライバ22を選択すると表示される。
【0071】
設定画面300は、設定選択部301と、ラベルサイズ入力部302と、媒体形態選択部303と、カット単位選択部304と、バリアブルデータ設定部305と、閉じるボタン306と、キャンセルボタン307とを有する。
【0072】
設定選択部301は、ラベルフォーマット定義部211bが管理している媒体設定の名称の一覧を表示し、ユーザが媒体設定を選択する部分である。ラベルフォーマット定義部211bが管理している媒体設定には、例えば、ラベル1、ラベル2、ラベル3…といった任意の名称が付与されている。
【0073】
ラベルサイズ入力部302は、ラベル媒体3のラベル31のサイズを入力する部分である。具体的には、図5に示したラベル31の幅L1および長さL2を入力する。
【0074】
媒体形態選択部303は、ラベル媒体3の種類として、例えば図2(A),(B)に示したダイカットラベル紙、全面ラベル紙等の選択肢を表示し、いずれかを選択する部分である。
【0075】
カット単位選択部304は、ラベル媒体3の1カットに含まれるラベル31の数を選択する部分である。図4に示した例では、カット単位は5である。
【0076】
バリアブルデータ設定部305は、ラベル媒体3のバリアブルデータエリア33(図5)に印刷されるバリアブルデータを登録する部分(参照ボタン)である。ここでは、コンピュータ2の記憶部26に記憶されているバリアブルデータがリスト化されたファイルを登録する。このようなファイルとしては、例えば、CSV(Comma Separated Value)、あるいは表計算ソフトのファイルがある。
【0077】
図9は、ラベル媒体3の描画データの編集画面400を示す図である。編集画面400は、アプリケーション21のラベルフォーマット定義部211bが、コンピュータ2の表示部24に表示する。編集画面400には、図8に示した設定画面300でのユーザの設定内容が反映される。
【0078】
編集画面400は、ラベル媒体3の固定データエリア32とバリアブルデータエリア33とを定義するデータ定義部401を有する。
【0079】
データ定義部401には、図8のラベルサイズ入力部302で入力された幅L1および長さL2に基づき、ラベル31と相似形の編集エリア402が表示される。
【0080】
この編集エリア402内には、固定データエリア32に対応する固定データ配置部403と、バリアブルデータエリア33に対応するバリアブルデータ配置部404とが表示される。
【0081】
編集画面400の上部には、ファイルタブ405、レイアウトタブ406、挿入タブ407、バリアブルタブ408等が表示される。レイアウトタブ406を選択すると、各データ配置部403,403の配置および大きさを変更することができる。各データ配置部403,404の配置および大きさは、例えば、カーソルの移動操作等により変更することができる。
【0082】
固定データ配置部403には、テキスト、図形または画像等を入力することができる。例えば、挿入タブ407を選択すると、テキスト、図形または画像等のデータを、ドラッグアンドドロップにより固定データ配置部403に配置することができる。テキストの場合には、固定データ配置部403に直接入力することもできる。ここでは、英文字のSNという文字列を入力している。
【0083】
バリアブルデータ配置部404には、図8のバリアブルデータ設定部305で設定したバリアブルデータが既に登録されている。このバリアブルデータを変更したい場合には、バリアブルタブ408を選択することにより、コンピュータ2の記憶部26に記憶されているファイル(CSV、表計算ソフトのファイル等)を登録することができる。
【0084】
図7に戻り、アプリケーション21のバリアブルデータ登録部211cは、ラベルフォーマット定義部211bにより登録した描画データから取り出したバリアブルデータを、コンピュータ2の記憶部26に保存する機能である。
【0085】
アプリケーション21の印刷実行部212は、ラベル定義部211で定義したラベル31の印刷指示を行う機能である。印刷実行部212は、印刷用紙選択部212aと、印刷指示部212bとを有する。
【0086】
印刷用紙選択部212aは、OSを介してコンピュータ2の表示部24にダイアログを表示し、ユーザにラベル媒体3の種類(例えば、ダイカットラベル紙、全面ラベル紙)を選択させる機能である。
【0087】
なお、ラベル媒体3の種類は、アプリケーション21の媒体選択部211aにより既に選択されているが(図8の媒体形態選択部303参照)、印刷用紙選択部212aはダイアログを表示してユーザに変更の有無を確認する。
【0088】
印刷指示部212bは、OSを経由してプリンタドライバ22に印刷指示を出力する機能である。印刷指示は、印刷設定と、描画情報とを含む。印刷設定は、ラベル媒体3の種類と、解像度等である。描画情報は、描画データ(固定データおよびバリアブルデータ)と、描画データの配置およびサイズ等である。
【0089】
プリンタドライバ22は、アプリケーション21の印刷指示によって呼び出され、印刷ジョブを作成してプリンタ1の制御部10に送信するソフトウェアである。プリンタドライバ22は、プリンタドライバ設定部221と、印刷制御部222とを有する。
【0090】
プリンタドライバ設定部221は、印刷対象であるラベル媒体3の属性および印刷動作を設定する機能である。プリンタドライバ設定部221は、媒体登録部221aと、バリアブルデータ登録部221bとを有する。
【0091】
媒体登録部221aは、上述したアプリケーション21のラベル定義部211の媒体選択部211aおよびラベルフォーマット定義部211bに通知するため、設定画面300(図8)でユーザの設定を登録させる機能である。
【0092】
バリアブルデータ登録部221bは、上述したアプリケーション21のバリアブルデータ登録部211cと協働して、設定画面300(図8)のバリアブルデータ設定部305で設定されたバリアブルデータが格納されたファイルを、コンピュータ2内の記憶部26に保存する機能である。
【0093】
プリンタドライバ22の印刷制御部222は、アプリケーション21からの印刷指示に基づき、印刷ジョブを生成してプリンタ1に送信する機能である。印刷制御部222は、印刷指示解析部222aと、印刷データ生成部222bと、バリアブルデータ付加部222cと、印刷ジョブ送信部222dとを有する。
【0094】
印刷指示解析部222aは、アプリケーション21の印刷実行部212から入力された印刷指示を解析する機能である。印刷指示は、印刷設定と、描画情報とを含む。印刷設定は、ラベル媒体3の種類と、解像度等である。描画情報は、描画データ(固定データおよびバリアブルデータ)と、描画データの配置およびサイズ等である。
【0095】
印刷データ生成部222bは、アプリケーション21の印刷実行部212から入力された描画データを、プリンタ1の印刷制御部11が解釈可能な印刷データ、例えばPDL(Post Description Language)に変換する機能である。
【0096】
バリアブルデータ付加部222cは、バリアブルデータ登録部221bが記憶部26に保存したバリアブルデータを、印刷データに付加する機能である。なお、バリアブルデータは、印刷データ生成部222bが生成した印刷データ(PDL)にも含まれているが、バリアブルデータ付加部222cは、PDL等に変換しないバリアブルデータを印刷データに付加する。これにより、印刷データにバリアブルデータが付加された印刷ジョブが完成する。
【0097】
プリンタドライバ22の印刷ジョブ送信部222dは、上記のとおり印刷データにバリアブルデータが付加された印刷ジョブを、プリンタ1に送信する機能である。
【0098】
次に、プリンタ1の制御部10の印刷制御部11および印刷障害制御部12が実行する各機能について説明する。
【0099】
印刷制御部11は、コンピュータ2のプリンタドライバ22から送信された印刷ジョブに基づき、印刷動作を実行する。印刷制御部11は、印刷ジョブ受信部11aと、印刷データ保存部11bと、バリアブルデータ保存部11cと、画像展開部11dと、印刷処理部11eとを有する。
【0100】
印刷ジョブ受信部11aは、プリンタドライバ22から送信された印刷ジョブを受信する機能である。
【0101】
印刷データ保存部11bは、印刷ジョブ受信部11aで受信した印刷ジョブに含まれる印刷データを、プリンタ1の記憶部13に保存する機能である。
【0102】
バリアブルデータ保存部11cは、印刷ジョブ受信部11aで受信した印刷ジョブに含まれるバリアブルデータ(バリアブルデータ付加部222cで付加されたもの)を、プリンタ1の記憶部13に保存する機能である。
【0103】
このとき、バリアブルデータ保存部11cは、図10に示すように、ラベル媒体3の各カットに印刷されるバリアブルデータのそれぞれに、ラベル番号(識別情報)を対応付けて記憶部13に保存する。
【0104】
図10に示した例では、ラベル媒体3の1カット目(カット番号1)に印刷される5つのバリアブルデータに含まれるバリアブル情報「AB2789」、「XL3875」、「FF6321」、「QW0030」、「UZ3875」に、それぞれラベル番号「1」、「2」、「3」、「4」、「5」を対応付ける。
【0105】
また、ラベル媒体3の2カット目(カット番号2)に印刷される5つのバリアブルデータに含まれるバリアブル情報「11111」、「22222」、「33333」、「44444」、「55555」にも、それぞれラベル番号「1」、「2」、「3」、「4」、「5」を対応付ける。
【0106】
図10では、ラベル媒体3の1カット目と2カット目におけるバリアブルデータとラベル番号との対応関係を示しているが、3カット目についても、バリアブルデータとラベル番号とが対応付けられて記憶される。
【0107】
このようにバリアブルデータとラベル番号とを対応付けて記憶するのは、印刷停止後の印刷再開時に最初に印刷するラベル31(印刷再開先頭ラベル)を、ユーザが選択できるようにするためである。
【0108】
図7に戻り、画像展開部11dは、印刷データ保存部11bが記憶部13に保存した印刷データを、ラベル31毎のラスターデータに展開する機能である。
【0109】
印刷処理部11eは、画像展開部11dが展開したラスターデータに基づき、図1に示したプリンタ1のプリンタエンジン(すなわち、媒体搬送部6、画像形成ユニット4Y,4M,4C、転写ユニット7、定着ユニット8および媒体排出部9)を動作させて印刷動作を実行する機能である。
【0110】
印刷障害制御部12は、印刷処理部11eによる印刷動作の実行中に搬送異常(走行ジャム)等の印刷障害が発生した場合のプリンタ1の動作を制御する。印刷障害制御部12は、障害状態判定部12aと、障害解除判定部12bと、選択制御部12cと、障害解除部12dとを有する。
【0111】
障害状態判定部12aは、印刷障害が発生して印刷動作を停止した場合に、印刷停止前に正常に印刷された最後のラベル31を特定する機能である。
【0112】
障害解除判定部12bは、ユーザによる印刷障害の解除が行われたか否かを監視し、判定する機能である。
【0113】
選択制御部12cは、印刷再開時に最初に印刷するラベル31(印刷再開先頭ラベル)および印刷再開時の印刷パターンを、ユーザに選択させる機能である。
【0114】
障害解除部12dは、選択制御部12cにおけるユーザの選択結果に応じて、プリンタ1のプリンタエンジンを動作させて印刷動作を再開させる機能である。
【0115】
<プリンタ1の基本動作>
次に、プリンタ1の基本動作について、図1を参照して説明する。プリンタ1に電源が投入されると、制御部10は定着ユニット8のウォーミングアップを行い、定着ローラ81を所定の定着温度に維持する。また、制御部10は、給紙センサT1によりラベル媒体3の有無を確認し、コンピュータ2からの印刷ジョブの受信を待つ。
【0116】
制御部10は、コンピュータ2からの印刷ジョブを印刷ジョブ受信部11a(図7)で受信すると、印刷処理部11e(図7)により印刷動作を開始する。まず、搬送ローラ61,62により、ラベル媒体3を画像形成ユニット4Y,4M,4Cに向けて搬送する。ラベル媒体3の先端が搬送ローラ63に達すると、搬送ローラ63によりラベル媒体3を搬送する。
【0117】
ラベル媒体3の先端が書出センサT3によって検知されると、制御部10(より具体的には印刷処理部11e)は、感光体ドラム41および駆動ローラ73の回転を開始する。駆動ローラ73の回転により転写ベルト72が走行し、ラベル媒体3を搬送して画像形成ユニット4Y,4M,4Cの順に通過させる。
【0118】
各画像形成ユニット4では、感光体ドラム41からの回転伝達により、現像ローラ44および供給ローラ45が回転する。帯電ローラ42は、感光体ドラム41に追従して回転する。
【0119】
制御部10は、各画像形成ユニット4の帯電ローラ42、現像ローラ44および供給ローラ45に、帯電電圧、現像電圧および供給電圧をそれぞれ印加する。帯電ローラ42は、感光体ドラム41の表面を一様に帯電させる。また、制御部10は、印刷データに応じて露光ヘッド43を発光させ、感光体ドラム41上に静電潜像を形成する。
【0120】
現像ローラ44には、供給ローラ45によってトナーが供給され、層規制ブレード46により薄層化される。現像ローラ44上のトナーは、感光体ドラム41上の潜像部分に移動して付着する。これにより、感光体ドラム41上の潜像が現像され、現像剤像としてのトナー像が形成される。
【0121】
制御部10は、感光体ドラム41の回転によりトナー像が転写ベルト72に到達するタイミングで、転写ローラ71に転写電圧を印加する。これにより、感光体ドラム41上のトナー像が転写ベルト72上のラベル媒体3の表面(より具体的にはラベル31の表面)に転写される。転写後に感光体ドラム41の表面に残留したトナーは、クリーニング部材48によって掻き取られる。
【0122】
このようにして各色のトナー像が転写されたラベル媒体3は、定着ユニット8に搬送される。定着ユニット8では、定着ローラ81および加圧ローラ82によってトナー像が加熱、加圧されて、ラベル媒体3の表面に定着される。トナー像が定着したラベル媒体3は、媒体排出部9の排出ローラ91によって排出口18bから外部に排出される。
【0123】
制御部10は、印刷ジョブに後続(次のカット)の印刷データが存在する場合には、印刷動作を継続し、印刷ジョブに後続の印刷データが存在しない場合は、印刷動作を終了する。
【0124】
なお、この印刷動作中に、制御部10は、印刷ジョブに含まれる切断位置情報に基づき、ラベル媒体3を切断する。すなわち、カッタセンサT2がラベル媒体3の先端を検知してから一定時間(ラベル媒体3がカット長Lだけ搬送される時間)の経過後に、カッタ65を駆動してラベル媒体3を切断する。
【0125】
切断されたラベル媒体3は、搬送ローラ63、転写ベルト72および排出ローラ91によって搬送され、排出口18bから排出される。カットされたラベル媒体3の後端を排出センサT4が検知することにより、制御部10は印刷済みラベル媒体3の排出完了を認識する。
【0126】
<作用>
次に、本実施の形態の作用について説明する。図11は、コンピュータ2のプリンタドライバ22による動作を示すフローチャートである。ステップS101において、プリンタドライバ22は、アプリケーション21からOSを介して受信した印刷データ(固定データ+バリアブルデータ)を、印刷装置が解釈可能な印刷データ(例えばPDL)に変換する。この動作は、図7の印刷データ生成部222bの機能に対応する。
【0127】
ステップS102において、プリンタドライバ22は、印刷データに対応するバリアブルデータがコンピュータ2の記憶部26に登録されているか判断する。
【0128】
印刷データに対応するバリアブルデータが記憶部26に登録されていた場合には、ステップS103において、プリンタドライバ22は、ステップS102で記憶部26から取り出したバリアブルデータを、ステップS101で生成した印刷データ(例えばPDL)に付加し、印刷ジョブ(PDL+バリアブルデータ)を完成させる。この動作は、図7のバリアブルデータ付加部222cの機能に対応する。
【0129】
ステップS104において、プリンタドライバ22は、印刷ジョブをプリンタ1に送信する。この動作は、図7の印刷ジョブ送信部222dの機能に対応する。
【0130】
図12は、プリンタ1の制御部10の動作を示すフローチャートである。ステップS111において、制御部10は、コンピュータ2から受信した印刷ジョブに含まれる印刷データを、プリンタ1の記憶部13に保存する。この動作は、図7の印刷ジョブ受信部11aおよび印刷データ保存部11bの機能に対応する。
【0131】
ステップS112において、制御部10は、印刷ジョブ(PDL+バリアブルデータ)に含まれるバリアブルデータ(ステップS103で印刷データ(例えばPDL)に付加されたバリアブルデータ)を、印刷データ(例えばPDL)と対応付けて、記憶部13に保存する。この動作は、図7のバリアブルデータ保存部11cの機能に対応する。
【0132】
ステップS113において、制御部10は、バリアブルデータインデックスを1に初期化する。バリアブルデータインデックスとは、各ラベル31に印刷するバリアブルデータに対応する数値である。
【0133】
ステップS114において、制御部10は、印刷データをラスターデータに展開する。展開する単位は、図8の設定画面300で設定されたラベル媒体3のカット単位である。1カットに5枚のラベル31が印刷される場合には、5枚のラベル31の印刷データがラスターデータに展開される。この動作は、図7の画像展開部11dの機能に対応する。
【0134】
ステップS115において、制御部10は、ステップS114で展開した印刷データについて、印刷プロセスに従って印刷動作を実行する。この動作は、図7の印刷処理部11eの機能に対応する。ステップS115の印刷動作では、1枚のラベル31を印刷する毎に、バリアブルデータインデックスを1ずつ増加させる。
【0135】
ステップS116において、制御部10は、印刷障害の発生の有無を判断する。印刷障害は、例えば、ラベル媒体3の斜行による搬送異常(走行ジャム)である。搬送異常は、ラベル媒体3のように長尺の媒体の場合に、特に発生しやすい。
【0136】
制御部10は、図1に示した排出センサT4(異常検知部)の検出信号に基づき、印刷障害の有無を判断する。例えば、搬送ローラ61,62の回転開始から所定時間が経過した時点で排出センサT4がラベル媒体3の前端を検知していない場合に、印刷障害が発生したと判断する。なお、排出センサT4に限らず、他のセンサを利用して印刷障害(ラベル媒体3の搬送異常)を検出してもよい。
【0137】
印刷障害の発生がない場合には、制御部10は、ステップS117において、バリアブルデータインデックスを更新する。すなわち、ステップS115で5枚のラベル31を印刷した場合には、バリアブルデータインデックスが5になっているため、これを1に更新する。
【0138】
印刷障害が発生した場合(ステップS116でYES)には、制御部10は、ステップS118において印刷動作を停止する。
【0139】
続くステップS119において、制御部10は、障害制御動作を行う。この動作は、図7の印刷障害制御部12の機能に対応する。
【0140】
図13は、ステップS119の障害制御動作を示すフローチャートである。ステップS201において、制御部10は、印刷停止前に正常に印刷された最後のラベル31を特定する。この動作は、図7の障害状態判定部12aの機能に対応する。
【0141】
図14は、印刷停止前に正常に印刷された最後のラベル31の特定方法を説明するための図である。図14(A)は単位カット当たりのラベル媒体3の全てのラベル31が正常に印刷された例を示す。図14(B)は、ラベル媒体3の2枚目までのラベル31が正常に印刷された例を示す。
【0142】
図14(B)に示すように、印刷動作が停止した時点で排出センサT4よりも下流側(従って印刷部101よりも下流側)に位置しているラベル31は、正常に印刷されていると判断することができる。図14(B)の例では、1枚目と2枚目のラベル31(図14(B)に符号31a,31bで示す)は、正常に印刷されていると判断することができる。
【0143】
一方、印刷動作が停止した時点で排出センサT4よりも上流側に位置しているラベル31は、定着ユニット8内または転写ユニット7上に位置しているため、正常に印刷されていない可能性が高い。図14(B)の例では、3~5枚目のラベル31は正常に印刷されていない可能性が高い。
【0144】
正常に印刷されたラベル31の判断は、例えば、排出センサT4の出力信号に基づいて行う。排出センサT4は、ラベル媒体3がダイカットラベル媒体3Aの場合には透過型センサを利用し、全面ラベル媒体3Bの場合には反射型センサを利用する。
【0145】
制御部10(より具体的には障害状態判定部12a)は、排出センサT4の出力信号に基づいてラベル媒体3のラベル31の間隔Aを検出し、これに基づき、排出センサT4よりも下流側に位置するラベル31を特定する。
【0146】
なお、正常に印刷されたラベル31は、図14(B)に示すように、印刷動作が停止した時点でプリンタ1の外部に排出されているため、ユーザが目視で確認することもできる。
【0147】
図13に戻り、ステップS202において、制御部10は、ユーザが印刷障害を解除するまで待機する。具体的には、ユーザが、走行ジャムを生じたラベル媒体3をプリンタ1から取り除き、プリンタ1の操作部15で対応完了を示すスイッチを押すまで待機する。この動作は、図7の障害解除判定部12bの機能に対応する。
【0148】
制御部10は、ステップS203において印刷障害が解除されたことを確認すると、ステップS204に進み、プリンタ1の表示部14にラベル選択画面500を表示する。この動作は、図7の選択制御部12cの機能に対応する。
【0149】
図15は、ラベル選択画面500を示す図である。ラベル選択画面500は、印刷を再開する際に最初に印刷するラベル31(すなわち印刷再開先頭ラベル)の選択肢を表示する選択肢表示部501と、選択キー502と、選択ボタン(確定ボタン)503と、キャンセルボタン504とを有する。
【0150】
ラベル選択画面500の選択肢表示部501には、印刷停止前に正常に印刷された最後のラベル31のバリアブルデータに含まれるバリアブル情報「XL3875」と、その次のラベル31のバリアブルデータに含まれるバリアブル情報「FF6321」と、さらにその次のラベル31のバリアブルデータに含まれるバリアブル情報「QW0030」の3つが表示される。
【0151】
言い換えると、印刷停止前に正常に印刷された最後のラベル31のラベル番号をNとすると、ラベル選択画面500の選択肢表示部501には、ラベル番号Nに対応付けられたバリアブル情報と、ラベル番号N+1に対応付けられたバリアブル情報と、ラベル番号N+2に対応付けられたバリアブル情報とが表示される。
【0152】
ユーザは、選択キー502を操作して、選択肢表示部501に表示された3つのバリアブルデータのうちの1つを選択する。なお、ラベル選択画面500のうち、選択キー502および選択ボタン503は、図1の操作部15に相当する。
【0153】
ユーザは、印刷停止前に正常に印刷された最後のラベル31の次のラベル31から印刷再開を希望する場合が多い。この場合、図15の例では、ユーザはバリアブルデータに含まれるバリアブル情報「FF6321」を選択する。
【0154】
一方、印刷停止前に正常に印刷された最後のラベル31を、改めて印刷したい場合もある。例えば、印刷停止後にラベル媒体3をプリンタ1から取り外して観察したところ、当該ラベル31の印刷に歪みが見られた場合などである。この場合、図15の例では、ユーザはバリアブルデータに含まれるバリアブル情報「XL3857」を選択する。
【0155】
また、印刷停止前に正常に印刷された最後のラベル31の次の次のラベルから印刷を開始したい場合もある。例えば、印刷停止後にラベル媒体3をプリンタ1から取り外して観察したところ、印刷停止前に正常に印刷された最後のラベル31の次のラベル31も正常に印刷されていることが目視で確認された場合などである。この場合、図15の例では、ユーザはバリアブルデータに含まれるバリアブル情報「QW0030」を選択する。
【0156】
ユーザは、選択肢表示部501に表示された印刷再開先頭ラベルのいずれかを選択キー502で選択し、選択ボタン503を押すことで選択結果を確定させる。
【0157】
図13に戻り、制御部10は、ステップS205においてラベル選択画面500(図15)の選択ボタン503が押されたことを確認すると、ステップS206に進み、ラベル選択画面500での選択結果に基づき、印刷再開先頭ラベルを決定する。
【0158】
続くステップS207において、制御部10は、プリンタ1の表示部14にパターン選択画面600を表示する。この動作は、図7の選択制御部12cの機能に対応する。
【0159】
図16は、パターン選択画面600を示す図である。パターン選択画面600は、印刷を再開する際にラベル媒体3をカットするパターン(すなわち印刷再開パターン)の選択肢を表示する選択肢表示部601と、選択キー602と、選択ボタン(確定ボタン)603と、キャンセルボタン604とを有する。
【0160】
図17(A)~(D)は、印刷再開パターンを説明するための図である。図17(A)は、印刷停止がなかった場合のラベル媒体3の1カット目と2カット目を示す。図17(B)~(D)は、印刷再開パターン1,2,3のそれぞれの1カット目と2カット目を示す。
【0161】
ここでは、印刷停止の直前に、1枚目と2枚目のラベル31(すなわちラベル番号が1と2のラベル31)が正常に印刷され、ユーザが3枚目のラベル31(すなわちラベル番号が3のラベル31)からの印刷開始を選択したものとする。
【0162】
図17(B)に示す印刷再開パターン1では、ラベル媒体3の1カット目において、ラベル番号が1と2のラベル31を、空白ラベル(すなわち印刷しないラベル)とする。そして、空白ラベルに続いて、ラベル番号3,4,5に対応付けられた印刷データを印刷し、ラベル媒体3を切断する。そのため、印刷再開パターン1では、ラベル媒体3のカット長は変化しない。
【0163】
図17(C)に示す印刷再開パターン2では、空白ラベルを設けずに、ラベル媒体3の1カット目の1,2,3枚目のラベルに、ラベル番号3,4,5に対応付けられた印刷データを印刷し、ラベル媒体3を切断する。そのため、印刷再開パターン2では、ラベル媒体3の1カット目のカット長が短くなる。
【0164】
図17(D)に示す印刷再開パターン3では、ラベル媒体3の1カット目に空白ラベルを設けず、ラベル媒体3の1カット目の1,2,3枚目のラベル31に、ラベル番号3,4,5に対応付けられた印刷データを印刷する。さらに、1カット目の4,5枚目のラベル31に、2カット目のラベル番号1,2に対応付けられた印刷データを印刷したのち、ラベル媒体3を切断する。すなわち、印刷再開パターン3では、ラベル媒体3のカット長は変化しないが、通常は2カット目に印刷されるバリアブルデータの一部が1カット目に詰めて印刷される。
【0165】
印刷再開パターン1では、印刷停止がなかった場合と比較して、バリアブルデータを含む印刷データの印刷位置が変化しないため、ラベル媒体3からラベル31を剥がして製品に貼り付ける工程(後工程)での作業性を向上することができる。
【0166】
印刷再開パターン2では、空白ラベルが生じないため、ラベル媒体3の材料コストを低減することができる。また、2カット目以降は、バリアブルデータを含む印刷データの印刷位置が変化しないため、後工程での作業性を向上することができる。但し、1カット目のカット長が短くなるため、切断後のラベル媒体3の管理が煩雑になる可能性がある。
【0167】
印刷再開パターン3では、空白ラベルが発生しないため、ラベル媒体3の材料コストを低減することができる。但し、印刷停止がなかった場合と比較して、バリアブルデータを含む印刷データの印刷位置が変化するため、後工程でラベル31を取り違えないように注意する必要が生じる。
【0168】
ユーザは、印刷再開パターン1,2,3のメリットとデメリットとを考慮し、図16の選択肢表示部601に表示された印刷再開パターン1,2,3のいずれかを選択キー602で選択し、選択ボタン603を押すことで選択結果を確定させる。なお、パターン選択画面600のうち、選択キー602および選択ボタン603は、図1の操作部15に相当する。
【0169】
図13に戻り、制御部10は、ステップS208においてパターン選択画面600(図16)の選択ボタン603が押されたことを確認すると、ステップS209に進み、パターン選択画面600での選択結果に基づき、印刷再開パターンを決定する。
【0170】
図13の障害制御が完了すると、制御部10は、図12のステップS120に進み、バリアブルデータインデックスを更新し、印刷動作を再開する。この動作は、図7の障害解除部12dの機能に対応する。
【0171】
その後、制御部10は、上述したようにステップS114~S117を実行する。制御部10は、ステップS121において、印刷ジョブに含まれる全印刷データの印刷が完了すると、印刷動作を終了する。
【0172】
<変形例等>
なお、上記の説明では、図15のラベル選択画面500をプリンタ1の表示部14に表示し、操作部15でユーザによる選択を受け付けたが、ラベル選択画面500をコンピュータ2の表示部24に表示し、操作部25でユーザによる選択を受け付けてもよい。
【0173】
同様に、上記の説明では、図16のパターン選択画面600をプリンタ1の表示部14に表示し、操作部15でユーザによる選択を受け付けたが、パターン選択画面600をコンピュータ2の表示部24に表示し、操作部25でユーザによる選択を受け付けてもよい。
【0174】
また、図15に示したラベル選択画面500では、印刷停止前に正常に印刷された最後のラベル31のバリアブルデータに含まれるバリアブル情報と、その次のラベル31のバリアブルデータに含まれるバリアブル情報と、さらにその次のラベル31のバリアブルデータに含まれるバリアブル情報の3つを表示したが、本実施の形態はこれに限定されるものではない。
【0175】
例えば、印刷停止前に正常に印刷された最後のラベル31のバリアブルデータに含まれるバリアブル情報と、その次のラベル31のバリアブルデータに含まれるバリアブル情報の2つを表示してもよい。また、4つ以上のバリアブルデータに含まれるバリアブル情報を表示してもよい。
【0176】
また、図16に示したパターン選択画面600では、印刷再開パターン1,2,3を表示したが、本実施の形態はこれに限定されるものではない。例えば、印刷再開パターン1,2,3のうちの2つのみを表示してもよく、4つ以上の再開パターンを表示してもよい。
【0177】
また、図13に示した印刷障害制御では、印刷再開先頭ラベルの選択(ステップS204~S206)と、印刷再開パターンの選択(ステップS207~S209)とを実行したが、いずれか一方のみを実行してもよい。すなわち、図13のステップS201~S206を実行して図12のステップS120に進んでもよく、ステップS201~S203,S207~S209を実行して図12のステップS120に進んでもよい。
【0178】
また、ここではラベル媒体3への印刷について説明したが、本実施の形態は、ラベル媒体3に限らず、連続媒体への印刷に適用することができる。連続媒体は、ロール状の媒体に限らず、ファンフォールド媒体であってもよい。
【0179】
<実施の形態の効果>
以上説明したように、本実施の形態のプリンタ1は、ラベル媒体3を搬送する搬送部102と、バリアブルデータを含む印刷データを記憶する記憶部13と、ラベル媒体3に印刷データを印刷する印刷部101と、ラベル媒体3の搬送異常を検知する異常検知部(例えば排出センサT4)と、制御部10とを有する。制御部10は、印刷停止後の印刷再開時に、印刷停止前に最後に印刷された印刷データに含まれるバリアブルデータと、後続の少なくとも1つのバリアブルデータとを表示部14(24)に表示させる。
【0180】
このように構成されているため、表示部14(24)の表示に基づくユーザの選択結果に応じて、印刷停止前に最後に印刷された印刷データを再印刷することもでき、また、その次の印刷データから印刷を再開することもできる。印刷再開時の先頭の印刷データが選択可能であるため、ユーザビリティが向上する。
【0181】
また、バリアブルデータの選択肢(すなわちラベル選択画面500)が、画像形成装置の表示部14またはコンピュータ2の表示部24に表示されるため、ユーザがバリアブルデータを選択しやすく、ユーザビリティがさらに向上する。
【0182】
また、制御部10は、印刷データに含まれるバリアブルデータを、ラベル番号(識別情報)と対応付けて記憶部に記憶しているため、印刷再開時に、ラベル番号に基づいてバリアブルデータを管理することができる。言い換えると、ラベル番号(識別情報)と対応付けられたバリアブルデータに含まれるバリアブル情報としての文字設定を、印刷再開時に表示部14に表示させることができる。
【0183】
また、印刷停止時に印刷部101(画像形成ユニット4Y,4M,4C、転写ユニット7および定着ユニット8)よりも下流側に印刷された印刷データを「印刷停止前に印刷された最後の印刷データ」と判断するため、正常に印刷された印刷データと、そうでない印刷データとを正確に判別することができる。
【0184】
また、ラベル媒体3を切断するカッタ65をさらに有し、カッタ65によるラベル媒体3の切断位置の選択肢を表示部14(24)に表示させるため、当該表示に基づく選択により、ラベル媒体3を後工程で取り扱いやすいように切断することが可能になる。
【0185】
例えば、第1の切断位置(印刷再開パターン1)が選択された場合、制御部10は、印刷再開時に、選択されたバリアブルデータを含む印刷データを、印刷停止がなかった場合と同じ位置に印刷するように、印刷部101を制御する。そのため、印刷停止がなかった場合と比較して、バリアブルデータを含む印刷データの印刷位置が変化しない。これにより、ラベル媒体3からラベル31を剥がして製品に貼り付ける工程(後工程)での作業性を向上することができる。
【0186】
また、第2の切断位置(印刷再開パターン2)が選択された場合、制御部10は、印刷再開時に、選択されたバリアブルデータを含む印刷データを、ラベル媒体3の先頭に印刷し、且つ、後続の印刷データのうち、印刷停止がなかった場合にラベル媒体3の1カット目に印刷される印刷データを印刷し、その後、カッタ65によりラベル媒体3を切断する。そのため、ラベル媒体3の無駄をなくし、コストを低減することができる。また、印刷再開後の2カット目以降は、バリアブルデータを含む印刷データの印刷位置が変化しないため、後工程での作業性を向上することができる。
【0187】
また、第3の切断位置(印刷再開パターン)が選択された場合、制御部10は、印刷再開時に、選択されたバリアブルデータを含む印刷データを、ラベル媒体3の先頭に印刷し、且つ、後続の印刷データのうち、印刷停止がなかった場合にラベル媒体3の1カット目および2カット目の一部に印刷される印刷データを印刷し、その後、カッタ65によりラベル媒体3を切断する。そのため、ラベル媒体3の無駄をなくし、コストを低減することができる。
【0188】
以上、望ましい実施の形態について具体的に説明したが、本開示は上記の実施の形態に限定されるものではなく、各種の改良または変形を行なうことができる。
【0189】
また、本開示は、連続媒体に画像を形成する画像形成装置、例えば、複写機、ファクシミリ、MFP(Multi Function Peripheral)等に利用することができる。
【0190】
以下に、本開示の諸態様を、付記としてまとめて記載する。
(付記1)
連続媒体を搬送する搬送部と、
バリアブルデータを含む印刷データを記憶する記憶部と、
前記連続媒体に前記印刷データを印刷する印刷部と、
前記連続媒体の搬送異常を検知する異常検知部と、
前記搬送部および前記印刷部を制御して印刷動作を実行する制御部と
を有し、
前記制御部は、前記異常検知部の検知に基づく印刷停止後の印刷再開時に、印刷停止前に最後に印刷された印刷データに含まれるバリアブルデータと、後続の少なくとも一つの印刷データに含まれるバリアブルデータとを表示部に表示させる
ことを特徴とする画像形成装置。
(付記2)
前記表示部は、前記画像形成装置、または、前記画像形成装置に印刷データを送信する情報処理装置に備えられている
ことを特徴とする付記1に記載の画像形成装置。
(付記3)
前記バリアブルデータは、前記連続媒体に印刷される前記印刷データ毎に可変するバリアブル情報を少なくとも含み、
前記制御部は前記バリアブル情報を前記表示部に表示させる
ことを特徴とする付記1または2に記載の画像形成装置。
(付記4)
前記制御部は、前記印刷データに含まれるバリアブルデータを、識別情報と対応付けて前記記憶部に記憶する
ことを特徴とする付記1から3までのいずれか1項に記載の画像形成装置。
(付記5)
前記印刷停止前に最後に印刷された印刷データは、印刷停止時に前記印刷部よりも下流側の前記連続媒体に印刷されている印刷データである
ことを特徴とする付記1から4までのいずれか1項に記載の画像形成装置。
(付記6)
前記連続媒体を切断するカッタをさらに有し、
前記制御部は、前記カッタによる前記連続媒体の切断位置の選択肢を前記表示部に表示させる
ことを特徴とする付記1から5までのいずれか1項に記載の画像形成装置。
(付記7)
前記表示部の表示に基づいて第1の切断位置が選択された場合、
前記制御部は、印刷再開時に、選択されたバリアブルデータを含む印刷データを、印刷停止がなかった場合と同じ位置に印刷するように、前記印刷部を制御する
ことを特徴とする付記6に記載の画像形成装置。
(付記8)
前記表示部の表示に基づいて第2の切断位置が選択された場合、
前記制御部は、印刷再開時に、選択されたバリアブルデータを含む印刷データを、前記連続媒体の先頭に印刷し、且つ、後続の印刷データのうち、印刷停止がなかった場合に前記連続媒体の1カット目に印刷される印刷データを印刷した上で、前記カッタにより前記連続媒体を切断する
ことを特徴とする付記6に記載の画像形成装置。
(付記9)
前記表示部の表示に基づいて第3の切断位置が選択された場合、
前記制御部は、印刷再開時に、選択されたバリアブルデータを含む印刷データを、前記連続媒体の先頭に印刷し、且つ、後続の印刷データのうち、印刷停止がなかった場合に前記連続媒体の1カット目および2カット目の一部に印刷される印刷データを印刷した上で、前記カッタにより前記連続媒体を切断する
ことを特徴とする付記6に記載の画像形成装置。
(付記10)
前記連続媒体は、基材層と、前記基材層に貼り付けられた剥離層とを有する
ことを特徴とする付記1から9までのいずれか1項に記載の画像形成装置。
(付記11)
連続媒体を搬送する搬送部と、
バリアブルデータを含む印刷データを記憶する記憶部と、
前記連続媒体に前記印刷データを印刷する印刷部と、
前記連続媒体を切断するカッタと、
前記連続媒体の搬送異常を検知する異常検知部と、
前記搬送部、前記印刷部および前記カッタを制御して印刷動作を実行する制御部と
前記搬送部および前記印刷部を制御して印刷動作を実行する制御部と
を有し、
前記制御部は、前記異常検知部の検知に基づく印刷停止後の印刷再開時に、前記カッタによる前記連続媒体の切断位置の選択肢を表示部に表示させる
ことを特徴とする画像形成装置。
(付記12)
画像形成装置と情報処理装置とを有する画像形成システムであって、
前記情報処理装置は、バリアブルデータを含む印刷データを前記画像形成装置に出力し、
前記画像形成装置は、
連続媒体を搬送する搬送部と、
前記印刷データを記憶する記憶部と、
前記連続媒体に前記印刷データを印刷する印刷部と、
前記搬送部および前記印刷部を制御して印刷動作を実行する制御部と
を有し、
前記画像形成装置または前記情報処理装置は、表示部を有し、
前記制御部は、前記異常検知部の検知に基づく印刷停止後の印刷再開時に、印刷停止前に最後に印刷された印刷データに含まれるバリアブルデータと、後続の少なくとも一つの印刷データに含まれるバリアブルデータとを表示部に表示させる
ことを特徴とする画像形成システム。
【符号の説明】
【0191】
1 プリンタ、 2 コンピュータ、 3 ラベル媒体(連続媒体)、 4,4Y,4M,4C 画像形成ユニット(画像形成部)、 5 媒体保持部、 6 媒体搬送部、 7 転写ユニット、 8 定着ユニット、 9 媒体排出部、 10 制御部、 11 印刷制御部、 12 印刷障害制御部、 13 記憶部、 14 表示部、 15 操作部、 20 制御部、 21 アプリケーション、 22 プリンタドライバ、 24 表示部、 26 記憶部、 30 台紙、 31 ラベル、 32 固定データエリア、 33 バリアブルデータエリア、 34 粘着層、 35 ブラックマーク、 41 感光体ドラム(像担持体)、 42 帯電ローラ(帯電部材)、 43 露光ヘッド(露光装置)、 44 現像ローラ(現像剤担持体)、 45 供給ローラ(供給ローラ)、 47 トナーカートリッジ(現像剤収容体)、 65 カッタ(切断部)、 100 画像形成システム、 101 印刷部、 102 搬送部、 300 設定画面、 301 設定選択部、 302 ラベルサイズ入力部、 303 媒体形態選択部、 304 カット単位選択部、 305 バリアブルデータ設定部、 400 編集画面、 401 データ定義部、 402 編集エリア、 403 データ配置部、 403 固定データ配置部、 404 バリアブルデータ配置部、 404 データ配置部、 500 ラベル選択画面、 501 選択肢表示部、 600 パターン選択画面、 601 選択肢表示部、 T1 給紙センサ、 T2 カッタセンサ、 T3 書出センサ、 T4 排出センサ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図17