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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032062
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】調整装置及び電子機器システム
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20240305BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20240305BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20240305BHJP
   G02B 7/04 20210101ALI20240305BHJP
【FI】
G03B21/14 D
H05K5/02 V
H05K5/03 A
G02B7/04 E
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135499
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津雪 泰弘
【テーマコード(参考)】
2H044
2K203
4E360
【Fターム(参考)】
2H044BE02
2H044BE08
2K203FB03
2K203GC16
2K203GC17
2K203KA90
2K203MA23
4E360AB08
4E360AB17
4E360AB33
4E360BA03
4E360BB22
4E360BC05
4E360BD02
4E360BD05
4E360CA02
4E360EA18
4E360EA24
4E360EA28
4E360EC04
4E360EC12
4E360ED02
4E360ED07
4E360ED13
4E360ED18
4E360ED23
4E360ED30
4E360FA02
4E360FA20
4E360GA07
4E360GA12
4E360GA22
4E360GA53
4E360GB01
4E360GC02
4E360GC08
4E360GC12
(57)【要約】
【課題】電子機器の調整部材の調整を行うことができる部材を備え、電子機器に容易に取り付けられる調整装置及び電子機器システムを提供する。
【解決手段】調整装置は、レンズ鏡筒80に設けられる調整リング30に圧接されて調整リング30を回転させる一対の回転体152b、及び一対の回転体152bを回転駆動する電動の一対の駆動モータMを含むベース部材152と、ベース部材152と接続され、ベース部材152との間でレンズ鏡筒80が収納される筐体20を挟持する第1フレーム153及び第2フレーム154と、を備え、第1フレーム153及び第2フレーム154は、第1フレーム153及び第2フレーム154に復元力を付与する一対のバネ部材159を含み、一対のバネ部材159の復元力により筐体20を挟持して筐体20に固定される。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器に設けられる調整部材を物理的に動かすベース部材と、
前記ベース部材及び前記電子機器を挟持する挟持部材と、を備え、
前記挟持部材は、弾性部材を含み、前記弾性部材の復元力により前記ベース部材及び前記電子機器を挟持する、
調整装置。
【請求項2】
前記ベース部材は、前記電子機器のうち前記調整部材が露出する開口である調整開口が設けられた第1主面と対向し、
前記挟持部材は、前記ベース部材と接続される第1フレーム、及びその一部が前記電子機器のうち前記第1主面とは反対側の第2主面と当接する第2フレームを含み、
前記弾性部材は、前記第1フレームと前記第2フレームの間を連結する、
請求項1に記載の調整装置。
【請求項3】
前記第1フレームは、前記弾性部材の一端が係合される第1係合片を有し、
前記第2フレームは、前記弾性部材の他端が係合される第2係合片を有し、
前記弾性部材は、外力に応じて前記挟持する方向に伸縮自在である、
請求項2に記載の調整装置。
【請求項4】
前記第2フレームは、押下することにより前記弾性部材の復元力に抗って前記ベース部材と前記第2フレームとの間の前記挟持する方向における距離を調整する押下面を有する、請求項3に記載の調整装置。
【請求項5】
前記押下面が押されている状態で且つ前記電子機器を挟持していない状態の前記ベース部材と前記第2フレームとの間の前記挟持する方向における距離は、前記押下面が押されていない状態で且つ前記電子機器を挟持していない状態の前記ベース部材と前記第2フレームとの間の前記挟持する方向における距離よりも長い、請求項4に記載の調整装置。
【請求項6】
前記押下面が押されている状態で且つ前記電子機器を挟持していない状態の前記ベース部材と前記第2フレームとの間の前記挟持する方向における距離は、前記電子機器における前記挟持する方向の厚さより長い、請求項4に記載の調整装置。
【請求項7】
前記第1フレームは、前記押下面の両側において前記押下面と平行に設けられる両側面を有し、
前記押下面は、前記ベース部材と前記挟持部材の間に前記電子機器が挟持された状態で、前記両側面と前記挟持する方向における位置が一致する、請求項4に記載の調整装置。
【請求項8】
前記電子機器に取り付けられて前記押下面を覆うとともに前記ベース部材を保護する保護カバーを備える、請求項4に記載の調整装置。
【請求項9】
前記ベース部材を駆動する信号を受信する受信部材、及び前記ベース部材の駆動を制御する駆動基板を含み、
前記保護カバーは、前記受信部材及び前記駆動基板を覆うように前記電子機器に取り付けられる、
請求項8に記載の調整装置。
【請求項10】
前記電子機器はレンズ鏡筒を備え、
前記挟持部材は、前記レンズ鏡筒からの光が出射される前記電子機器の投影口開口に対応する位置が開口しており、前記投影口開口の開口端との間を密閉する密閉部材を含む、
請求項1に記載の調整装置。
【請求項11】
前記弾性部材は、前記密閉部材を間に挟むように一対設けられる、請求項10に記載の調整装置。
【請求項12】
前記ベース部材は、前記調整開口の開口端と係合される突起状の係合突起を有する、請求項2に記載の調整装置。
【請求項13】
前記電子機器はレンズ鏡筒を備え、
前記調整部材は、前記レンズ鏡筒におけるフォーカス及びズームの少なくとも一方を調整する被回転体を有し、
前記ベース部材は、前記被回転体を回転させる回転体及び回転体を駆動する駆動部材を含み、
前記回転体は、前記調整部材の回転不能時に空転するような力で前記調整部材に圧接される、請求項1に記載の調整装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の調整装置と、
前記電子機器と、
を備えた電子機器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調整装置及び電子機器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ズーム調整やフォーカス調整を手動で行うためのレンズ鏡筒に設けられるズームリングやフォーカスリング等の調整部材に圧接等されることにより、当該調整部材を調整して固定するための調整装置が提案されている。例えば、特許文献1には、監視カメラが備えるレンズ鏡筒のズームリングとフォーカスリングにロック機構が設けられた監視カメラ用レンズ装置が開示されている。このロック機構では、ズームリングやフォーカスリングを回動動作して調整した後、ロックツマミをねじ込むことにより、ブレーキ部材及びブレーキリングがズームリング、フォーカスリングに圧接され、ズームリング、フォーカスリングが固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2013/121832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レンズ鏡筒が収納された筐体を壁や天井に埋め込んで使用する場合等、人の手が届き難い場所に筐体を設置した場合、筐体の設置後にズームリングやフォーカスリングを調整することが困難となる。上記従来のロック機構では、人の手が届き難い場所に筐体を設置した場合、ズームリングやフォーカスリングのロックを解除して回動動作させることができず、筐体の設置後にズームリングやフォーカスリングの調整を容易に行うことができない。
【0005】
本発明は、電子機器の調整部材の調整を行うことができる部材を備え、電子機器に容易に取り付けられる調整装置及び電子機器システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の調整装置は、電子機器に設けられる調整部材を物理的に動かすベース部材と、前記前記ベース部材との間で前記電子機器を挟持する挟持部材と、を備え、前記挟持部材は、弾性部材を含み、前記弾性部材の復元力により前記電子機器を挟持する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電子機器の調整部材の調整を行うことができる部材を備え、電子機器に容易に取り付けられる調整装置及び電子機器システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る電子機器システムにおいて調整装置が取り付けられた投影装置を左前方上側から視た全体斜視図である。
図2】実施形態に係る調整装置が取り付けられた投影装置から調整装置の保護カバーを取り外した状態を右前方上側から視た斜視図である。
図3】実施形態に係る投影装置を左前方上側から視た斜視図である。
図4】実施形態に係る調整装置の分解斜視図である。
図5】実施形態に係る調整装置の第1保持板金及び第2保持板金の投影装置への取り付け態様を示す斜視図であって、投影装置を左前方下側から視た斜視図である。
図6】実施形態に係る調整装置の調整ユニットを左前方下側から視た斜視図である。
図7】実施形態に係る調整装置の調整ユニットを左後方上側から視た斜視図である。
図8】実施形態に係る調整装置の調整ユニットの分解斜視図である。
図9】実施形態に係る調整装置の調整ユニットの投影装置への取り付け方法(1)を示す投影装置の前後方向に沿った断面の断面図である。
図10】実施形態に係る調整装置の調整ユニットの投影装置への取り付け方法(2)を示す投影装置の前後方向に沿った断面の断面図である。
図11】実施形態に係る調整装置の調整ユニットの投影装置への取り付け方法(3)を示す投影装置の前後方向に沿った断面の断面図である。
図12】実施形態に係る調整装置が取り付けられた投影装置の投影口周りの左右方向に沿った断面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1に示すように、実施形態に係る電子機器システム1は、投影装置(電子機器)10及び調整装置100を備え、調整装置100は、投影装置10に取り付けられる。先に投影装置10について説明する。図3に示すように、投影装置10は、左右方向を長手方向とする略長矩形箱状に6面(上面(第1主面)20a、下面(第2主面)20b、左側面20c、右側面20d、前面20e、後面20f)を有する筐体20を備える。投影装置10は、前面20e側に投影口11を有する。投影装置10は、投影口11から投影光を出射する。なお、以下の説明においては、投影装置10における左右とは投影口11からの投影光の出射方向に対しての左右方向を示し、前後とは投影装置10の投影光の進行方向に対しての前後方向を示し、上下とは投影装置10の筐体20の厚み方向に対しての上下方向を示す。
【0010】
筐体20は、上面20aと右側面20dの一部を備える上ケース21と、下面20bと右側面20dの一部を備える下ケース22とを有する。筐体20は、前側に前側パネル23、後側に後側パネル24、左側に左側パネル25を有する。前側パネル23は、筐体20の左前角部20gまで延在し、左前角部20gは角R状とされる。また、前側パネル23には、投影口11の投影口開口部(投影口開口)23a、吸気口23b及び排気口23cが設けられる。後側パネル24は、左後角部20hまで延在し、左後角部20hは角R状とされる。後側パネル24には、図示しないが、吸気口や画像入出力用のコネクタ等の接続口が設けられる。筐体20の厚み寸法(上下方向寸法)は、例えば40~45mmである。
【0011】
投影装置10の上面20aと右側面20dとの間の縁部20i及び投影装置10の下面20bと右側面20dとの間の縁部20jは、ともに前後方向にわたって筐体20の上ケース21及び下ケース22における右側面20dとの接続部である縁部21a,22aは、角R状の曲面状とされる。筐体20の縁部20i、22j以外の縁部(例えば、上面20aと左側面20cとの間の縁部など)は、略直角状である。上ケース21の上面20aには、投影装置10の設定等を行うことができる操作パネル21bが設けられる。下ケース22における右側面20dには、図示しない電源プラグの接続口が設けられる。また、図5に示すように、下ケース22における下面20bの左右両端側のうちやや前方寄りの位置には、投影装置10の筐体20にチルト機構を取り付けるための複数の第1ネジ孔H1が上下方向に向けて設けられている。
【0012】
図3に示すように、投影装置10の筐体20内には、レンズ鏡筒80が収納されている。レンズ鏡筒80には、可動可能な調整部材とされる調整リング30(フォーカス調整リング31及びズーム調整リング32を有する被回転体)がレンズ鏡筒80側に設けられている。フォーカス調整リング31及びズーム調整リング32は、レンズ鏡筒80の光軸周りに、略半円弧のリング状に設けられ(図12参照)、外周にはローレットが施されている。筐体20の上面20aの左前角部には、略矩形に開口する調整開口部(調整開口)20a1が設けられる。
【0013】
調整リング30(フォーカス調整リング31及びズーム調整リング32を有する被回転体)は、調整開口部20a1から上方に露出されている。投影装置10に調整装置100等が取り付けられていない状態では、調整開口部20a1から露出されている調整リング30をレンズ鏡筒80の光軸周りに手動で時計回り及び反時計回りに回転させることができ、回転量に応じてレンズ鏡筒80のフォーカス調整やズーム調整を行うことができる。ここで、図12に示すように、調整開口部20a1の左右両側にそれぞれ対向配置される、上面20aの端縁部20a2は、調整開口部20a1に沿って前後方向に延在して設けられており、それぞれ調整リング30側に向かって下方に傾斜している。下方に傾斜する端縁部20a2の先端下面は、平坦面状に形成されており、調整リング30との間に1mm以下の隙間を有している。
【0014】
筐体20には、調整開口部20a1を覆う形で、フォーカス調整リング31及びズーム調整リング32を調整するための調整装置100が着脱自在に取り付けられる。以下、調整装置100の構成について説明する。図1及び図4に示すように、調整装置100は、保護カバー110、駆動基板120、第1保持板金130、第2保持板金140、及び調整ユニット150を備えている。このうち保護カバー110、駆動基板120、及び第1保持板金130は、筐体20の上面20a側に取り付けられ、第2保持板金140は、筐体20の左側面20c側に取り付けられ、調整ユニット150は、筐体20を上下方向に挟み込む形で筐体20の前面20e側に取り付けられる。
【0015】
図2図4、及び図5に示すように、第1保持板金130は、板金材料により一体的に形成された略L字状の板状部材であり、第1板部131と、第1板部131の右側縁部から略直角に連なる第2板部132とを有している。第1板部131は、筐体20の上面20aのうち操作パネル21bより前方側の大部分を覆う形で上面20aに載置される。第1板部131のうち筐体20の調整開口部20a1周りに対応する部分は略矩形状に切り欠かれている。このため、上面20aのうち調整開口部20a1周りの部分は、第1板部131に覆われないようになっている。
【0016】
第1板部131には、前後両端にそれぞれ、上方向に向けて第1板部131の主面から折れ曲がって突出し、且つ左右方向にわたって延びている一対の取付壁部131bが設けられている。一対の取付壁部131bの頭頂部において、略正四角形の四つの頂点に対応する位置に、対向するように互いに前方向あるいは後方向に突出した突出片が設けられ、突出片には、駆動基板120を取り付けるための第2ネジ孔H2が上下方向に貫通するようにそれぞれ設けられている。したがって、駆動基板120は、第1板部131の上面に直接接触することなく、第1板部131の板面から離間した形で、突出片に支持されている。このため、駆動基板120が駆動時に生じる熱を投影装置10の筐体20に伝搬しにくく、あるいは投影装置10の筐体20内で生じる熱を駆動基板120に伝搬しにくい構造になっている。第1板部131の右側部分及び前側部分の3箇所には、保護カバー110を取り付けるための第3ネジ孔H3が上下方向に貫通するように設けられている。また、第1板部131の左側縁部には、上方にわずかに立ち上がる取付壁部131aが設けられている。取付壁部131aには、第2保持板金140を取り付けるための複数の第4ネジ孔H4が左右方向に貫通するように設けられている。
【0017】
第1保持板金130の第2板部132は、第1板部131が筐体20の上面20aに載置された状態で、筐体20の右側面20dに当接される。第2板部132の下方側の先端部の一部は、筐体20の下面20b側まで延びて内側に略直角に折れ曲がっており、筐体20の下面20bと当接される下面当接部132aとなっている。下面当接部132aには、第1保持板金130を筐体20に取り付けるための複数の第5ネジ孔H5が上下方向に貫通するように設けられている。
【0018】
第2保持板金140は、板金材料により一体的に形成された略三角形状の板状部材であり、第1保持板金130と連結されることにより筐体20の左側面20cに当接される。第2保持板金140の一端側には、第1保持板金130の第4ネジ孔H4と対応する配置で複数の第6ネジ孔H6が左右方向に貫通するように設けられている。第2保持板金140は、第6ネジ孔H6が筐体20の上面20aに載置された第1保持板金130の第4ネジ孔H4と重ね合わされて外側からネジ止めされることにより、筐体20の左側面20cに当接した状態で第1保持板金130と連結される。
【0019】
第2保持板金140の下方側の先端部は、筐体20の下面20b側まで延びて筐体20の内側に略直角に折れ曲がっており、筐体20の下面20bと当接される下面当接部140aとなっている。下面当接部140aには、第2保持板金140を筐体20に取り付けるための複数の第7ネジ孔H7が上下方向に貫通するように設けられている。図5に示すように、第1保持板金130及び第2保持板金140は、互いに連結された状態で、各下面当接部132a、140aに設けられた第5ネジ孔H5、第7ネジ孔H7がそれぞれ筐体20の下面20bの一対の第1ネジ孔H1に重ね合わされて下方からネジ止めされることにより、筐体20の左右両側を上下方向に挟み込む形で筐体20に取り付けられる。
【0020】
図2に示すように、駆動基板120は、調整ユニット150を駆動するための基板であり、略四角形状をなしている。駆動基板120の四隅には、それぞれ第8ネジ孔H8が上下方向に貫通するように設けられている。駆動基板120は、各第8ネジ孔が第1保持板金130の4つの第2ネジ孔H2に重ね合わされて上方からネジ止めされることにより、第1保持板金130の第1板部131上に取り付けられる。駆動基板120の上面側には、後述する調整ユニット150の駆動モータMを駆動する駆動信号を外部(リモコン等)から受信するための受信部材122、駆動モータMと接続配線128を介して接続される2つのモータ接続端子124、及びその他の接続端子群126が設けられている。駆動信号は赤外線等の光が好ましく、受信部材122は、駆動信号の波長帯域の信号光を受信する受光センサが好ましい。
【0021】
保護カバー110は、下方に開口する略箱状をなしており、駆動信号の波長帯域の信号光を透過する透明材料で設けられている。このため、受信部材122が保護カバー110に覆われた状態でも、受信部材122に信号が届くようになっている。保護カバー110の前方左側部分には、前方に開口するカバー開口110aが設けられている。カバー開口110aの上方には庇状の庇部112が設けられている。庇部112は、カバー開口110aの上方の開口端に沿って略水平に延びる形で設けられている。カバー開口110a内には、調整ユニット150の上側部分が収容される。
【0022】
保護カバー110は、調整ユニット150の後述するベース部材152、及び駆動基板120を覆うように筐体20に取り付けられる。保護カバー110のうち第1保持板金130の各第3ネジ孔H3と対応する位置には、カバー側ネジ孔(不図示)がそれぞれ上下方向に向けて設けられている。保護カバー110は、筐体20に第1保持板金130、第2保持板金140、駆動基板120、調整ユニット150が取り付けられた後、カバー側ネジ孔が第1保持板金130の第3ネジ孔H3上に重ね合わされて下方からネジ止めされることにより、筐体20に取り付けられる。すなわち、保護カバー110は、調整装置100を筐体20に取り付ける際、筐体20に最後に取り付けられる部材である。保護カバー110は、ベース部材152及び駆動基板120を覆うことによりこれらの部材を外部から保護する。
【0023】
次に、調整ユニット150の構成について詳しく説明する。図6~8に示すように、調整ユニット150は、後方側に開放された略凹状をなす部材であり、筐体20の上面20aと対向するように配置されるベース部材152、第1フレーム(挟持部材)153、第2フレーム(挟持部材)154、防塵ガイド(密閉部材)156、防塵パッキン(密閉部材)157、押圧パッド158、及び一対のバネ部材(弾性部材)159を有している。調整ユニット150の前側部分には、投影口11よりも一回り大きく開口する略矩形状のユニット開口部150aが設けられている。調整ユニット150は、ユニット開口部150aが前後方向において投影口11と重なるように、筐体20を上下方向に挟み込む形で筐体20に取り付けられる(図2参照)。
【0024】
図8等に示すように、ベース部材152は、略矩形厚板状の部材であり、内部に投影装置10の調整リング30を調整するための機構が設けられている。ベース部材152は、その外形をなすケース体152a、2つの駆動モータM、2つの回転体(ゴムローラ)152b、及びケース体152aの内部に設けられた図示しないギヤ機構を有している。2つの駆動モータMは、左右に並列配置されてケース体152aの後方側に露出しており、駆動基板120から駆動信号が入力されることにより駆動する。2つの回転体152bは、前後に配置されてその下側部分がケース体152aの下方側からわずかに露出している(図9~12参照)。
【0025】
図8図9等に示すように、ケース体152aの前方側には、後述する第2フレーム154の押下部154cが収容される押下空間152cが設けられている。押下空間152cは、ベース部材152における一対の側壁部152c1、後壁部152c2、及び底壁部152c3に囲まれた空間からなっており、前方及び上方に開放されている。また、図6図9等に示すように、ケース体152aの下面のうち2つの回転体152bが露出する部分の周りには、下方側に向けて突起状に設けられた係合突起152dが設けられている。係合突起152dは、筐体20の調整開口部20a1の開口端(後方側を除く)に沿って設けられており、開口端の左右両側において前後方向に沿って延びる一対の突起と、開口端の後方左右両側において突出する突起と、開口端の前方において左右方向に沿って下方に凹状とされた円弧状の突起とからなっている。係合突起152dがケース体152aの下面から突出する長さは、例えば3~5mmである。
【0026】
ベース部材152は、係合突起152dが調整開口部20a1の開口端に係合されることにより、調整開口部20a1周りの部分を覆うように筐体20に取り付けられる。詳しくは、ベース部材152は、2つの回転体152bがそれぞれ調整開口部20a1から露出するフォーカス調整リング31及びズーム調整リング32と上下方向に圧接されるように取り付けられる(図12参照)。このように調整開口部20a1周りに取り付けられたベース部材152では、2つの駆動モータMが駆動することにより内部のギヤ機構を介して2つの回転体152bが回転駆動され、各回転体152bの回転に伴って各回転体152bが押し付けられたフォーカス調整リング31及びズーム調整リング32が物理的に回転される。これにより、電動でレンズ鏡筒80のフォーカス調整やズーム調整を行うことができる。
【0027】
第1フレーム153は、金属製のフレーム部材であり、中央が開口した枠板状の第1枠状部153a、及び第1枠状部153aの上端部左右両側からそれぞれ後方に延びる一対の第1延在部(両側面)153bを有している。第1枠状部153aの中央部には、投影口11よりも一回り大きく開口する略矩形状の第1開口部153a1が設けられている。第1開口部153a1周りの四隅には、防塵ガイド156を取り付けるための第10ネジ孔H10がそれぞれ前後方向に貫通するように設けられている。第1枠状部153aの上端側には、上方に開放するように略矩形状に切り欠かれた切欠部153a2が設けられている。また、第1枠状部153aの後方の左右両側には、内側(第1開口部153a1側)に向けてわずかに張り出す張出部153a3がそれぞれ設けられている。各張出部153a3は、上下方向に沿って縦長に設けられている。
【0028】
各第1延在部153bは、第1フレーム153を後方側から見て互いに略直交に折り曲がった二辺の形状をなしており、上下方向に向けられた板面と左右方向に向けられた板面とからなっている。このうち上下方向に向けられた板面には、ベース部材152をネジ止めして接続するための複数の第11ネジ孔H11が上下方向に貫通するように設けられている。ベース部材152は、ケース体152aの外面が各第1延在部153bの内面側に当接され、かつ押下空間152cが切欠部153a2側に露出した状態で、取付ネジ160によってケース体152aの上面左右両側が第11ネジ孔H11を介して各第1延在部153bにネジ止めされることにより、調整ユニット150の上側部分に取り付けられる(図7参照)。なお、各第1延在部153bの前端部の内面側には、バネ部材159の一端側が係合されるフック状の第1フック部(第1係合片)153b1が上下方向に沿って設けられている(図8及び図9参照)。
【0029】
第2フレーム154は、金属製のフレーム部材であり、中央が開口した枠板状の第2枠状部154a、第2枠状部154aの下端部から後方に延びる第2延在部154b、及び第2枠状部154aの上端側に設けられた押下部154cを有している。第2枠状部154aの中央部には、第1フレーム153の第1開口部153a1よりも一回り大きく開口する略矩形状の第2開口部154a1が設けられている。第2開口部154a1の開口端のうち左右両側の部分には、バネ部材159の他端側が係合されるフック状の第2フック部(第2係合片)154a2がそれぞれ設けられている。
【0030】
第2延在部154bは、後方側に向けて左右方向の幅が徐々に短くされた略台形状に延びており、上方に開放された略浅皿状をなしている底面部154b1と、底面部154b1の周縁のうち、左右側の周縁にそれぞれ沿って設けられ、上方向に折り曲げられている2つの第1壁部154b2と、各第1壁部154b2の先端を略台形の上底に沿うようにさらに折り曲げられた部位とスポット溶接によって溶接された溶接部154b3によって各第1壁部154b2と強固に連結され、上方向に折り曲げられている第2壁部154b4と、有している。第2延在部154bの上面側には、押圧パッド158が収容されて取り付けられる。第2延在部154bは、側方から見たときに略L字状をなしており、前方側が後方側よりもやや厚く設けられることにより、前方側から後方側に向けてやや上方に傾斜している(図9参照)。これにより、第2延在部154bの強度向上が図られている。押下部154cは、第2枠状部154aの上端部の後面側に設けられており、左右方向に横長の角柱状とされている。押下部154cの外形及び大きさは、ベース部材152に設けられた押下空間152cの形状及び大きさと略等しくされている。なお、押下部154cの上面は、作業者が押下可能な押下面154c1となっている。
【0031】
防塵ガイド156は、樹脂製の環状部材とされる。防塵ガイド156の開口の形状及び大きさは、第1フレーム153の第1開口部153a1の形状及び大きさと略一致している。防塵ガイド156は、その開口が第1開口部153a1と略一致するように第1枠状部153aの後面側に当接され、取付ネジ155によって第1枠状部153aの前方側から第10ネジ孔H10を介して第1枠状部153aにネジ止めされることにより、第1フレーム153に取り付けられる。防塵パッキン157は、ゴム製の環状パッキンとされる。防塵パッキン157の開口の形状及び大きさは、防塵ガイド156の開口の形状及び大きさ(第1開口部153a1の形状及び大きさ)と略一致している。防塵パッキン157は、その開口が防塵ガイド156の開口と一致するようにして、防塵ガイド156の後面に対して接着等により取り付けられる。第1開口部153a1、防塵ガイド156、及び防塵パッキン157は、ユニット開口部150aを構成する。
【0032】
押圧パッド158は、樹脂製の厚板状の部材とされる。押圧パッド158は、第2フレーム154の第2延在部154bの上面側にネジ止めにより取り付けられる。調整装置100が投影装置10に取り付けられている状態で、投影装置10を下方から見た場合に、押圧パッド158は、ベース部材152の回転体152bと調整リング30とが当接している領域と重なるように配置されている。第2フレーム154に取り付けられた押圧パッド158は、第2フレーム154の一部とされ、調整ユニット150により筐体20を挟持する際に筐体20の下面20bと当接する。第2延在部154bに取り付けられた押圧パッド158の上面は、水平な平坦面となっており、第2延在部154bよりもやや上方側に位置している(図9参照)。一対のバネ部材159は、いわゆるつるまきバネであり、その両端にそれぞれフック状の係合部が設けられている。一対のバネ部材159は、左右方向において防塵ガイド156及び防塵パッキン157を間に挟むように設けられる。
【0033】
次に、調整ユニット150を構成する各部材の組付け態様について説明する。第1フレーム153と第2フレーム154の間は、バネ部材159を介して連結される。即ち、まず、各バネ部材159の上端の係合部が、それぞれ第1フレーム153の第1フック部153b1に係合される。次に、第2フレーム154の第2枠状部154aの左右両側部分が、第1フレーム153の第1枠状部153aと張出部153a3との間の空間内にその下側から挿入される。そして、各バネ部材159の下端の係合部が、それぞれ第2フレーム154の第2フック部154a2に係合される。第1フック部153b1及び第2フック部154a2に係合されたバネ部材159は、上下方向(挟持方向)に復元力を有し、復元力に抗するように反対側の方向に向けた外力に応じて伸長あるいは収縮する。
【0034】
これにより、第1フレーム153と第2フレーム154がバネ部材159を介して連結され、バネ部材159の復元力が両フレーム153,154に付与される。この状態では、第1フレーム153の前面は第2フレーム154の前方側に位置しており、第2枠状部154aの上端左右両側部分は、各第1延在部153bの内面側に干渉することにより、上方への抜け止めが図られる。また、押下部154cは切欠部153a2から前方側及び上方側に露出している。
【0035】
次に、押下部154cが押下空間152cに収容されるようにして、ベース部材152を第1フレームの各第1延在部153bに取り付けて第1フレーム153と接続する。その後、防塵ガイド156、防塵パッキン157、押圧パッド158をそれぞれ組付けることにより、調整ユニット150が完成する。このようにして組付けられた調整ユニット150では、図9に示すように、ベース部材152に設けられた各回転体152bと押圧パッド158が上下方向に対向する。各バネ部材159が自然長の状態(バネ部材159に作業者による外力が加わっていない静止状態)では、押下空間152cに位置する押下部154cの押下面154c1がベース部材152の上面と面方向に略一致しており、ベース部材152と押圧パッド158の上下方向における距離D1は、投影装置10の筐体20の厚み寸法よりやや小さい(例えば2~4mm小さい)長さとされる。
【0036】
以上のような構成とされた調整ユニット150は、次のようにして投影装置10に対して取り付けることができる。まず、図9に示すように、作業者は、ユニット開口部150aに指を入れて第1フレーム153を支持しつつ、図10に示すように、第2フレーム154の押下面154c1を下方に押下する。これにより、図10に示すように、押下部154cが押下空間152c内で下方に移動され、それとともに第2フレーム154が下方に移動し、各バネ部材159がその復元力に抗って下方に引き延ばされる。その結果、ベース部材152と押圧パッド158の上下方向における距離D2(D2>D1)が広がり、投影装置10の筐体20の厚み寸法より大きい(例えば6~8mm大きい)長さとなる。この状態で、ユニット開口部150aが筐体20の投影口開口部23aと略一致するように位置合わせしてから、投影口開口部23aの前方側からベース部材152と押圧パッド158の間に筐体20を挟み込む。
【0037】
このとき、図11に示すように、ベース部材152の係合突起152dを調整開口部20a1の開口端に係合させつつ、2つの回転体152bをそれぞれフォーカス調整リング31及びズーム調整リング32に圧接させる。そして、押下面154c1の押下を解除することにより、各バネ部材159の復元力により押下面154c1が上方に移動して(第2フレーム154が上方に移動して)、各回転体152bが調整リング30に圧接されるとともに押圧パッド158が筐体20の下面20bと当接し、各回転体152bと押圧パッド158の間で筐体20が挟持される。この状態では、距離D3は、距離D2より短く、距離D1と略同じ長さに設定されている。なおバネ部材159の復元力より各回転体152b及び押圧パッド158に筐体20を上下方向に押さえる力を生じさせるために、距離D3を距離D1より長く設定してもよい。
【0038】
以上のようにして、ベース部材152と押圧パッド158の間で筐体20を挟持する形で調整ユニット150が筐体20に対して固定される。この状態では、第1フレーム153の各第1延在部153bのうち上方に向けられた板面は、押下面154c1と平行かつ上下方向における位置が面方向に略一致する(図7参照)。なお、調整ユニット150が筐体20に固定された状態では、係合突起152dを調整開口部20a1の開口端に係合されることにより、調整ユニット150の位置ずれが防止される。このように調整ユニット150が筐体20に固定されることにより、防塵パッキン157と投影口開口部23aの間が前後方向に密着してシールされ、ユニット開口部150aの前方側からレンズ鏡筒80の投影口11にかけて開口周りの隙間が塞がれ、投影口11の防塵が図られる。なお、調整ユニット150は、筐体20の側方から取り付けることも可能であるが、防塵パッキン157と投影口開口部23aの間を確実にシールするためには、筐体29の前方側から取り付けることが好ましい。
【0039】
また、調整ユニット150が筐体20に固定された状態では、2つの回転体152bがフォーカス調整リング31及びズーム調整リング32に圧接されているので、リモコンからの駆動信号の受信に応じて、各駆動モータMの駆動により各回転体152bが回転すると、摩擦力によりフォーカス調整リング31及びズーム調整リング32が回転される。これにより、フォーカス調整リング31でのフォーカス及びズーム調整リング32でのズームの調整を行うことができる。なお、各バネ部材159は、フォーカス調整リング31及びズーム調整リング32の回転不能時(例えば、一方向に回転限界まで回転されてそれ以上同方向に回転しない状態時)に、各回転体152bが空転するような力でフォーカス調整リング31及びズーム調整リング32に圧接されるように、その復元力が調整されている。
【0040】
筐体20に固定された調整ユニット150は、上記とは逆の手順により筐体20から取り外すことができる。即ち、再び押下面154c1を押下してベース部材152と押圧パッド158の上下方向における距離を投影装置10の筐体20の厚み寸法より大きくなるまで広げることにより、調整ユニット150を筐体20から取り外すことができる。
【0041】
調整ユニット150を筐体20に固定させた後、第1保持板金130、第2保持板金140、駆動基板120を筐体20に取り付け、最後に保護カバー110を取り付けることにより、調整装置100の全体を投影装置10に取り付けることができる。図1に示すように、投影装置10に取り付けられた調整装置100では、保護カバー110の庇部112により、調整ユニット150の押下面154c1(押下部154cの上面)が覆われる。これにより、調整装置100を投影装置10に取り付けた後に押下面154c1に触れてしまうことが防止されるため、調整ユニット150が誤って外れてしまうことが防止される。
【0042】
以上説明したように本実施形態に係る調整装置100は、投影装置10に設けられる調整リング30に圧接されて調整リング30を回転させる一対の回転体152b、及び一対の回転体152bを回転駆動する電動の一対の駆動モータMを含むベース部材152と、ベース部材152と接続され、ベース部材152との間でレンズ鏡筒80が収納される筐体20を挟持する第1フレーム153及び第2フレーム154と、を備え、第1フレーム153及び第2フレーム154は、第1フレーム153及び第2フレーム154に復元力を付与する一対のバネ部材159を含み、一対のバネ部材159の復元力により筐体20を挟持して筐体20に固定される。
【0043】
上記のような構成とされた調整装置100では、バネ部材159の復元力を利用して第1フレーム153及び第2フレーム154で筐体20を挟持するため、第1フレーム153及び第2フレーム154を容易に筐体20に固定させることができ、かつ第2フレーム154の押下面154c1を押下することによって筐体20から容易に取り外すことができる。さらに筐体に固定された調整装置100では、一対の回転体152bが筐体20の調整リング30に圧接されるため、駆動モータMを電動で駆動させることにより、各回転体152bを介して調整リング30を回転させることができ、調整リング30の調整を行うことができる。このため、本実施形態の調整装置100は、例えば人の手が届き難い場所(天井や壁等)にレンズ鏡筒80が収納された筐体20を設置した場合であっても、リモコン等による遠隔操作で調整リング30の調整を行うことができ、また、筐体20に容易に着脱することができる。
【0044】
また、調整装置100では、ベース部材152は、筐体20のうち調整リング30が露出する開口である調整開口部20a1が設けられた上面20aと対向し、第1フレーム153及び第2フレーム154は、ベース部材152と接続される第1フレーム153、及びその一部に取り付けられた押圧パッド158が筐体20のうち上面20aとは反対側の下面20bと当接する第2フレーム154を含み、バネ部材159は、第1フレーム153と第2フレーム154の間を連結する。これにより、第1フレーム153と第2フレーム154にバネ部材159の復元力に起因した弾発力を付与しつつ、第1フレーム153と第2フレーム154の間で筐体20をその厚み方向に挟持するための具体的な構成を提供することができる。
【0045】
駆動モータMの駆動により、回転体152bが回転するときに生じる回転体152bと調整リング30との間のグリップ力は、調整リング30の回転量に影響を及ぼし、また回転体152bと調整リング30との相対位置に依存する。ここで、回転体152bとの回転による接触によって、調整リング30には、回転体152bから離れようとする方向の力が加わる。しかしながら、調整装置100が投影装置10に取り付けられている状態で、投影装置10を下方から見た場合に、押圧パッド158は、ベース部材152の回転体152bと調整リング30とが当接している領域と重なるように配置されているので、換言すれば、上記離れようとする力が発生している筐体20の箇所のちょうど裏側の位置で筐体20に固定されているので、押圧パッド158が、調整リング30と回転体152bとの相対位置が変位しないよう押し付けて投影装置10の筐体20を挟持することができ、ひいては安定した回転量で調整リング30を回転させることができる。
【0046】
このように、簡易的な構造で調整装置100を投影装置10に取り付けることができるため、投影装置10の筐体20における調整リング30の周囲に、調整装置100をネジ止めするためのネジ孔を設ける数を極力減らすことが可能となる。このため、経年劣化によってネジ孔から亀裂が入るリスクを低減することができる。
【0047】
また、調整装置100では、第1フレーム153は、バネ部材159の一端が係合される第1フック部153b1を有し、第2フレーム154は、バネ部材159の他端が係合される第2フック部154a2を有し、バネ部材159は、適切な外力に応じて上下方向に伸縮自在である。これにより、バネ部材159により第1フレーム153と第2フレーム154の間を上下方向、即ち筐体20の厚み方向に伸縮可能に連結するための具体的な構成を提供することができる。
【0048】
また、調整装置100では、第2フレーム154は、押下することによりバネ部材159の復元力に抗ってベース部材152と第2フレーム154の間の上下方向における距離D1~D3を調整する押下面154c1を有する。これにより、押下面154c1を押下することでベース部材152と第2フレーム154(本実施形態では押圧パッド158)の間の距離D1~D3を調整することができ、ベース部材152と第2フレーム154の間に筐体20を挟持させ易いものとすることができる。
【0049】
また、調整装置100では、第1フレーム153は、押下面154c1の両側において押下面154c1と平行に設けられる第1延在部153bを有し、押下面154c1は、ベース部材152と第2フレーム154の間に筐体20が挟持された状態で、第1延在部153bと上下方向における位置が一致するように設定することが可能である。この構成によれば、ベース部材152と第2フレーム154の間に筐体20が確実に挟持されていない場合は、押下面154c1と第1延在部153bの上下方向における位置が一致しないため、筐体20の挟持が不十分であることを容易に確認することができる。このため、ベース部材152と第2フレーム154の間に筐体20を確実に挟持して固定させることができる。
【0050】
また、調整装置100は、筐体20に取り付けられて押下面154c1を覆うとともにベース部材152を保護する保護カバー110を備える。この構成によれば、保護カバー110が押下面154c1を覆うことにより、調整装置100を筐体に取り付けた後に誤って押下面154c1を押下してしまうことを防止することができ、調整装置100の筐体20からの意図しない脱落を防止することができる。
【0051】
また、調整装置100は、駆動モータMを駆動する信号を受光する受信部材122、及び駆動モータMの駆動を制御する駆動基板120を含み、保護カバー110は、受信部材122及び駆動基板120を覆うように筐体20に取り付けられる。これにより、駆動モータMを遠隔操作により電動で駆動するための具体的な構成、及びそのような構成を保護カバー110により外部から保護するための構成を提供することができる。
【0052】
また、調整装置100では、第1フレーム153及び第2フレーム154は、レンズ鏡筒80からの光が出射される筐体20の投影口開口部23aに対応する位置が開口しており、投影口開口部23aの開口端との間を密閉する防塵ガイド156及び防塵パッキン157を含む。これにより、第1フレーム153及び第2フレーム154に設けられた開口から筐体20の投影口開口部23aにかけて開口周りの隙間が塞がれるため、投影口開口部23aの防塵を図ることができる。さらに、ベース部材152が、調整開口部20a1を覆っていることにより調整開口部20a1から埃や油分等の干渉物が筐体20に侵入することを抑制できる。このため、調整リング30と回転体152bとの間のグリップ力を変えるような干渉物がないため、回転体152bによって適切な回転量で調整リング30を回転することができる。
【0053】
また、調整装置100では、バネ部材159は、防塵ガイド156及び防塵パッキン157を間に挟むように一対設けられる。これにより、ベース部材152と第2フレーム154の間で筐体20を挟持する力を高めることができるとともに、筐体20を挟持するためのバネ部材159の復元力を調整し易くすることができる。
【0054】
また、調整装置100では、ベース部材152は、調整開口部20a1の開口端と係合される突起状の係合突起152dを有する。この構成によれば、係合突起152dが調整開口部20a1の開口端に係合されることにより、ベース部材152に設けられた各回転体152bを調整開口部20a1から露出する調整リング30に容易に圧接させることができる。このように、各回転体152bを調整リング30に圧接させるための具体的な構成を提供することができる。
【0055】
また、調整装置100では、回転体152bは、調整リング30の回転不能時に空転するような力で調整リング30に圧接される。このため、調整リング30の回転不能時に回転体152bの回転が停止してしまうことを防止することができ、回転体152b及びベース部材152内に設けられた回転体152bを回転させるための機構が破損することを防止することができる。
【0056】
なお、以上説明した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0057】
例えば、上記の実施形態では、調整開口部から露出する調整リングにつまみ(把持部)等が設けられていない構成を例示したが、調整リングにつまみ等が設けられた構成であってもよい。この場合であっても、ベース部の回転体を調整リングに押し付けることにより、電動による回転体の回転に伴って調整リングを遠隔操作で回転させて調整することができる。また例えば、上記の実施形態では、ベース部に回転体としてのゴムローラが設けられた構成を例示したが、回転体としてゴムローラの代わりにギヤ等が設けられた構成であってもよい。この場合であっても、ギヤが調整リングを押し付けることにより、ギヤの回転駆動に伴って調整リングを物理的に回転させることができる。また、上記の実施形態では、弾性部材としてコイル状のバネ部材を適用したが、これに限定されず、板バネやガススプリング、油圧式等のダンパーであってもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 電子機器システム 10 投影装置
11 投影口 20 筐体
20a 上面 20a1 調整開口部
20a2 端縁部 20b 下面
20c 左側面 20d 右側面
20e 前面 20f 後面
20g 左前角部 20h 左後角部
20i 縁部 20j 縁部
21 上ケース 21b 操作パネル
22 下ケース 23 前側パネル
23a 投影口開口部 23b 吸気
23c 排気口 24 後側パネル
25 左側パネル 30 調整リング
31 フォーカス調整リング 32 ズーム調整リング
80 レンズ鏡筒 100 調整装置
110 保護カバー 110a カバー開口
112 庇部 120 駆動基板
122 受信部材 124 モータ接続端子
126 接続端子群 128 接続配線
130 第1保持板金 131 第1板部
131a 取付壁部 131b 取付壁部
132 第2板部 132a 下面当接部
140 第2保持板金 140a 下面当接部
150 調整ユニット 150a ユニット開口部
152 ベース部材 152a ケース体
152b 回転体 152c 押下空間
152c1 側壁部 152c2 後壁部
152c3 底壁部 152d 係合突起
153 第1フレーム 153a 第1枠状部
153a1 第1開口部 153a2 切欠部
153a3 張出部 154 第2フレーム
154a 第2枠状部 154a1 第2開口部
154a2 第2フック部 154b 第2延在部
154b1 底面部 154b2 第1壁部
154b3 溶接部 154b4 第2壁部
154c 押下部 154c1 押下面
155 取付ネジ 156 防塵ガイド
157 防塵パッキン 158 押圧パッド
159 バネ部材 160 取付ネジ
D1~D3 距離
H1~H8 第1~第8ネジ孔
H10,H11 第10,第11ネジ孔
M 駆動モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12