(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032069
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】パウチ容器
(51)【国際特許分類】
B65D 30/16 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
B65D30/16 G
B65D30/16 F
B65D30/16 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135508
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】519308260
【氏名又は名称】萩原 俊也
(74)【代理人】
【識別番号】100150142
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 礼路
(72)【発明者】
【氏名】萩原 俊也
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AA13
3E064AB25
3E064BA26
3E064BA30
3E064BA36
3E064BA54
3E064EA07
3E064EA12
3E064FA04
3E064FA05
3E064HF01
3E064HG03
3E064HM01
3E064HN65
3E064HS04
3E064HS07
(57)【要約】
【課題】強い力を加えることなく内容物を容易に取り出すことができるパウチ容器を提供する。
【解決手段】本発明は、パウチ容器であって、前後一対の側面部と、前記一対の側面部の両側縁部の間に設けられた一対のガゼット部であって、横部開放型のガゼット部と、前記一対の側面部の上端部に形成された流出口と、前記側面部の中央に位置し、かつ前記側面部の前記流出口方向から底部方向に延びる一対の可撓性のガイドポールであって、該ガイドポールの上端は、前記流出口に接することなく、該ガイドポールは、前記一対の側面部の内容物と接する面に備えられ、かつ該ガイドポールは、弾性を有する材質であり、前記容器に内容物を充填すると、該内容物にはパウチ容器外に押し出されようとする圧力が加わる、ガイドポールとを備えた、パウチ容器を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パウチ容器であって、
前後一対の側面部と、
前記一対の側面部の両側縁部の間に設けられた一対のガゼット部であって、横部開放型のガゼット部と、
前記一対の側面部の上端部に形成された流出口と、
前記側面部の中央に位置し、かつ前記側面部の前記流出口方向から底部方向に延びる一対の可撓性のガイドポールであって、該ガイドポールの上端は、前記流出口に接することなく、該ガイドポールは、前記一対の側面部の内容物と接する面に備えられ、かつ該ガイドポールは、弾性を有する材質であり、前記容器に内容物を充填すると、該内容物にはパウチ容器外に押し出されようとする圧力が加わる、ガイドポールと、
を備えた、パウチ容器。
【請求項2】
パウチ容器であって、
前後一対の側面部と、
前記一対の側面部の底部の間に設けられたガゼット部であって、底部開放型のガゼット部と、
前記一対の側面部の上端部に形成された流出口と、
前記側面部の中央に位置し、かつ前記側面部の前記流出口方向から底部方向に延びる一対の可撓性のガイドポールであって、該ガイドポールの上端は、前記流出口に接することなく、該ガイドポールは、前記一対の側面部の内容物と接する面に備えられ、かつ該ガイドポールは、弾性を有する材質であり、前記容器に内容物を充填すると、該内容物にはパウチ容器外に押し出されようとする圧力が加わる、ガイドポールと、
を備えた、パウチ容器。
【請求項3】
前記一対の可撓性のガイドポールは、前記流出口の下端から少なくとも5mm~15mm離れて位置する、請求項1または2に記載のパウチ容器。
【請求項4】
前記一対の可撓性のガイドポールは、前記一対の側面部の底部の間に設けられたガゼット部から少なくとも5mm~15mm離れて位置する、請求項2に記載のパウチ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清涼飲料水やゼリー飲料等を収容するためのパウチ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、清涼飲料水等の液体飲料やゼリー飲料を収容する容器として、プラスチックフィルム等の柔軟性を有するフィルムの周囲をシールして袋状に形成したパウチ容器が知られている。このようなパウチ容器として、側面もしくは底面またはその両方にガゼット(ガセット)と呼ばれる折り込み部を有するガゼット袋が知られている。ガゼット袋には、内容物を取り出すための流出口として、たとえばスパウト等が取り付けられており、ガゼット袋を傾けたり、スパウトから吸飲したりすることにより、ガゼット袋内の内容物をスパウトから取り出すことができる。
【0003】
このようなパウチ容器の例として、特許文献1には、積層フィルムの周囲をシールしてなる自立可能なパウチ本体と、該パウチ本体の周囲の一側部に接合される、熱可塑性樹脂からなる充填口部材とを有する、パウチ容器が開示されている。特許文献1に記載のパウチ容器は、パウチ本体の両面部、或いは、一方の面部に、胴部保型部材が形成されていることを特徴とする。
【0004】
特許文献2には、表裏一対の外装シートの上縁同士及び両側縁同士がヒートシールされた上縁シール部及び側縁シール部を有するパウチと、パウチを形成している表裏一対の外装シートの上縁に挟み込まれた状態で、外装シートの上縁にヒートシールされるスパウトとを備えたスパウト付きパウチ容器が開示されている。特許文献2に記載のスパウト付きパウチ容器には、パウチ内におけるスパウトの流入口付近に、表裏一対の外装シートをヒートシールすることで、液体内容物をスパウトの流入口に案内する一対のガイドシール部が設けられている。一対のガイドシール部は、下方側に向かって両者の間隔が広がっており、それぞれのガイドシール部は、上縁シール部及び側縁シール部に繋がっていないことを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-076793号公報
【特許文献2】特開2012-201385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したような従来のパウチ容器は、スパウトから吸飲したりパウチ容器を傾けたりして内容物を取り出しても、内容物の一部がパウチ容器内に残留してしまうという問題がある。ほとんど全ての内容物取り出すためには、非常に強く吸飲したり、側面を指で強く圧迫したりしなければならない。特に、内容物が流動性の低い内容物および粘度が非常に高い内容物、たとえば内容物が固形に近い流動体である場合には、内容物の多くが容器内に残留してしまうという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、内容物が高粘度の液体やゲル状物質であっても強い力を加えることなく内容物を容易に取り出すことができるパウチ容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行い、側面または底面にガゼット部を有するパウチ容器内において、スパウトの近傍から底部まで延びる一対の可撓性のガイドポールを設ける際に、スパウトとガイドポールを接することなく設置することにより、内容物を容易に取り出すことができることを見出した。これらのガイドポールによって、容器内の内容物を容器外に押し出そうとする圧力が加わるとともに、最後まで内容物を容易に取り出すことができることを見出した。また、内容物を取り出す際には、内容物がガイドポールに沿って流出口に向かって流れやすくなることを見出した。
【0009】
本発明は、
パウチ容器であって、
前後一対の側面部と、
一対の側面部の両側縁部の間に設けられた一対のガゼット部であって、横部開放型のガゼット部と、
一対の側面部の上端部に形成された流出口と、
側面部の中央に位置し、かつ側面部の流出口方向から底部方向に延びる一対の可撓性のガイドポールであって、該ガイドポールの上端は、流出口に接することなく、該ガイドポールは、一対の側面部の内容物と接する面に備えられ、かつ該ガイドポールは、弾性を有する材質であり、容器に内容物を充填すると、該内容物にはパウチ容器外に押し出されようとする力が加わる、ガイドポールと、
を備えた、パウチ容器を提供する。
【0010】
また、本発明は、一対の可撓性のガイドポールは、流出口の下端から5mm~15mm離れて位置する、上記パウチ容器を提供する。
【0011】
また、本発明は、パウチ容器であって、
前後一対の側面部と、
一対の側面部の底部の間に設けられたガゼット部であって、底部開放型のガゼット部と、
一対の側面部の上端部に形成された流出口と、
側面部の中央に位置し、かつ側面部の出口方向から底部方向に延びる一対の可撓性のガイドポールであって、該ガイドポールの上端は、流出口に接することなく、該ガイドポールは、一対の側面部の内容物と接する面に備えられ、かつ該ガイドポールは、弾性を有する材質であり、容器に内容物を充填すると、該内容物にはパウチ容器外に押し出されようとする力が加わる、ガイドポールと、
を備えた、パウチ容器を提供する。
【0012】
また、本発明は、一対の可撓性のガイドポールは、一対の側面部の底部の間に設けられたガゼット部から5mm~15mm離れて位置する、上記パウチ容器を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明のパウチ容器であれば、パウチ容器の流出口から通常の吸飲力で吸飲したり、パウチ容器を傾けたりすることにより、流出口から容易に内容物を取り出すことができる。本発明のパウチ容器は、内容物が高粘度の液体やゲル状物質であっても、容易に取り出すことができる。したがって、本発明のパウチ容器は、たとえば運転中や運動中など、すばやく飲料を摂取したい場合に有用である。また、本発明のパウチ容器であれば、吸飲力が弱い病人や幼児にとっても、内容物を容易に吸飲することができるため有用である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態である横部開放型のパウチ容器を示す図。
【
図2】本発明の一実施形態である底部開放型のパウチ容器を示す図。
【
図4】横部開放型のパウチ容器の内容物を含む例を示す図。
【
図5】横部開放型のパウチ容器の内容物を含む例を示す上面図。
【
図6】
図2に示した底部開放型のパウチ容器の上部拡大図。
【
図7】横部開放型のパウチ容器において、ガイドポールが側面部の両側縁部に設けられている例を示す図。
【
図8】パウチ容器の内容物を吸引する装置を示す図。
【
図9】アミノバイタルゼリーパーフェクトエネルギーの吸引試験時の状況を示す写真。
【
図10】トマトケチャップの吸引試験時の状況を示す写真。
【
図11】焼きプリンの吸引試験時の状況を示す写真。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のパウチ容器は、流動性を有する物質および容易に流動性を獲得し得る物質を収容するためのパウチ容器を提供する。
【0016】
本発明のパウチ容器は、前後一対の側面部と、一対の側面部の両側縁部の間に設けられた一対のガゼット部または一対の側面部の底部の間に設けられたガゼット部とを備える。側面部とガゼット部とは、周囲をヒートシール等でシールされることなどにより、袋状に形成される。側縁部とは、
図1のようにパウチ容器を配置した場合、一対の側面部の両側の縁部である。底部とは、
図2のようにパウチ容器を配置した場合、一対の側面部の底部である。
【0017】
パウチ本体の側面およびガゼット部の材質には、たとえばポリエチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルムおよびポリプロピレンフィルムなどのプラスチックフィルム、アルミニウムならびにナイロンなどを好適に用いることができる。
【0018】
一対の側面部の上端部には、内容物を容器外に流出させるための流出口が形成される。流出口は、側面部の上端の中央にいずれの位置に形成されてもよく、たとえば側面部の上端の中央、中央からずれた位置または端などであってもよい。流出口を側面部の上端の中央に形成するとは、たとえば
図1に示した場合である。
図1において、流出口を有する片が上端であり、下側の片が下端であり、上端と下端を結ぶ片がそれぞれ左右の端である。また、側面部の中央とは、
図1に示したパウチ容器のように、側面部の左右の側縁部から等距離の位置である。
【0019】
本発明のパウチ容器には、一対の側面部の内側に、側面部の流出口方向から底部方向まで延びる一対の可撓性のガイドポールを備える。ガイドポールは、側面部の内側、すなわち内容物と接する面に接着される。ガイドポールは、側面部の流出口方向から底部方向に延びる。すなわち、ガイドポールは、側面部の上端近傍から側面部の底部近傍まで延びる。ガイドポールの上端は、流出口の近傍に接着されるが、流出口と接しない。流出口とガイドポールが接していないことが重要であり、流出口とガイドポールが接していないことにより、両者が接している構造と比較して、内容物が流出口から容易に放出される。流出口とガイドポールは、たとえば5mm、7mm、10mm、15mmまたはそれ以上離して設置される。流出口とガイドポールは、たとえば5mm~15mm離して設置される。また、ガイドポールは、側面部の中央に位置するように設置される。側面部の中央とは、
図1のようにパウチ容器を配置した場合、左右のガゼットを重ね合わせたときの中心線の位置である。
図1において流出口を有する片が上端であり、
図1において下側の片が下端であり、上端と下端を結ぶ片がそれぞれ左右の端である。言い換えると、側面部の中央とは、
図1に示したパウチ容器のように、側面部の左右の側縁部から等距離の位置である。
【0020】
以下の実施例において示したように、パウチ容器の内容物を取り出す際に、ガイドポールが設置される位置によって吸引のために必要とされる力が大きく異なる。本発明のパウチ容器には、上記の位置にガイドポールを備えることによって、パウチ容器の内容物を取り出す際に、強い力を加えなくても容易に吸引することが可能となる。
【0021】
また、側面部のそれぞれに設けられたガイドポールは、
【0022】
ガイドポールは、当業者に公知の任意の方法で側面部に取り付けることができる。たとえば、ガイドポールを熱で溶解して、側面部またはガゼット部に接着することができる。ガイドポールは、弾性を有する任意の材質であることができる。たとえば、ガイドポールは、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエステルおよびポリプロピレンなどのプラスチック、アルミニウムならびにナイロンなどを好適に用いることができる。また、ガイドポールは、任意の形状であることができ、たとえば円、四角および三角などの任意の断面形状のポールであることができる。また、ガイドポールは、任意のサイズであることができる。たとえば、ガイドポールは、
図1に示すように、パウチ本体の内部に収まるサイズである。
【0023】
ここで、本発明のパウチ容器の一例として、横部開放型のパウチ容器1を
図1に示す。
【0024】
図1に示すパウチ容器1は、前後一対の側面部11、12と、側面部11、12の両側縁部に設けられた一対のガゼット部13、14とにより構成されるパウチ本体10を備える。ガゼット部13、14は、側面部11、12の間に折り込まれるように構成される。
図1では、ポリエチレンフィルムからなる側面部11、12の間にさらに1枚のポリエチレンフィルムを折り畳んで重ね合わせることによってガゼット部13、14を形成している。ポリエチレンフィルムを中心線に沿って折りたたんでおき、両側面部の間に挟み込んで各側縁部を接着することによって各ガゼット部を形成する。パウチ本体10は、当業者に公知の任意の手段によって側面部11、12およびガゼット部13、14の周囲を接着することによって形成される。たとえば、パウチ本体10は、側面部11、12およびガゼット部13、14の周囲をヒートシール等によりシールすることにより袋状に形成される。
【0025】
パウチ本体10の上端部には、流出口15が形成されている。流出口15は、たとえばスクリューキャップ等により開閉可能なスパウト等であってもよい。スパウトは、パウチ本体10の上端部において、一対の側面部11、12の間に挟み込まれるように構成することができる。また、流出口15には、スパウトに限らず、種々の形態の注出部材を用いることができる。また、流出口15は、側面部11、12をノズル形状に成形したものであってもよい。スパウトなどの流出口15を備えるパウチ本体10は、当業者に公知の任意の方法で製造することができる。
【0026】
パウチ本体10の内部には、ガゼット部13、14の内側に、側面部の流出口近傍から底部方向に延びる一対のガイドポール16、17を備える。ガイドポール16、17は、それぞれガゼット部13、14の内側、すなわち内容物と接する面に接着される。ガイドポール16、17の上端2は、流出口15の近傍に接着されるが、流出口15の下端3と接していない。ガイドポール16、17の下端4は、
図1においては、側面部の下端と接していないが、接していてもよい。ガイドポール16、17は、当業者に公知の接着方法によって接着することができ、たとえば接着箇所を加熱溶解してガゼット部に接着される。
【0027】
横部開放型のパウチ容器の例を、
図3に示す。
図3に示すパウチ容器300は、両側縁部にガゼット部33、34を備えるパウチ本体30の内部に、両側面部の内側中央に接着されたガイドポール31、32を備えている。ガイドポール31、32の上端2および下端4は、それぞれスパウトおよび底部には接していない。
【0028】
本発明のパウチ容器の他の例として、底部開放型のパウチ容器2を
図2に示す。
【0029】
図2に示すパウチ容器200は、前後一対の側面部21、22と、側面部21、22の底部の間に設けられたガゼット部23とにより構成されるパウチ本体20を備える。ガゼット部23は、側面部21、22の間に折り込まれるように構成される。パウチ本体20は、側面部21、22およびガゼット部23の周囲をヒートシール等によりシールすることにより袋状に形成される。
【0030】
パウチ本体20の上端部には、流出口24が形成される。流出口24は、上述した流出口15と同様に構成することができる。
【0031】
パウチ本体20の内部には、側面部21、22の内側に流出口24の近傍から底部まで延びる一対のガイドポール25、26が設けられる。ガイドポール25、26は、それぞれ側面部21、22の内側、すなわち内容物と接する面に接着される。ガイドポール25、26の上端2は、流出口15の近傍に接着されるが、流出口15の下端3と接していない。ガイドポール25、26の下端4は、
図2においては、側面部の下端およびガゼット部と接していないが、接していてもよい。ガイドポール25、26は、当業者に公知の接着方法によって接着することができ、たとえば接着箇所を加熱溶解してガゼット部に接着される。
【0032】
図4および5は、
図1に示したパウチ容器1に内容物を充填したときの模式図である。パウチ容器1に内容物を充填すると、両端の各ガゼット部にも内容物が入り込む。また、ガゼット部は、空のときには折りたたまれているが、内容物が充填されると容器の外側に広がる。
図1のパウチ容器1では、ガゼット部13,14の折りたたまれた箇所にガイドポール16、17が接着されているため、ガゼット部が広がると共にガイドポールも一緒に広がることとなる。本発明のパック容器は、内容物を充填した状態において、流出口15の口径よりも外側にガイドポールの上端2が位置することとなる。
【0033】
図6は、
図2に示すパウチ容器の上部拡大図である。
図6において示したとおり、流出口15とガイドポール25、26の上端2は、接していない。流出口15とガイドポール25、26の上端2は、距離aだけ離れている。距離aは、パウチ容器のサイズに応じて適切な長さとすることができる。たとえば、以下の実施例に示したように、内容物が固形に近い流動体、たとえばケチャップ、プリン、アイスクリームおよび流動食などであり、パウチ容器の寸法が縦幅130mm~190mm、横幅80mm~100mmおよびガゼット幅20~65mmの場合、距離aは、7mm~15mm程度、たとえば7mm、10mmまたは15mmであることが好ましい。他の態様においても、流出口の下端とガイドポールの上端の距離aは、内容物の粘度等に基づいて適した距離に設定することができる。本発明のパウチ容器は、内容物を充填すると、ガイドポールが設けられていることによって、内容物にはパウチ容器外に押し出されようとする圧力が加わる。そのため、パウチ容器から内容物を取り出す際、たとえば流出口から吸飲する際には、非常に少ない吸飲力で容易に内容物を吸飲することができる。内容物を流出し始めると、まずパウチ容器の両側縁部にある内容物が流出する。次いで、ガイドポールの力によりパウチ容器が収縮するとともに、パック容器の内面のガイドポールに沿って内容物が流れる流路ができ、内容物が流出口に向かって効率よく流れる。内容物は、パウチ容器の中心部が完全に密着するまで流出される。その結果、パック容器内のほとんどすべての内容物を容易に流出させることができる。従来のパック容器では、内容物を吸引してパック内の残量が1/4以下になるとパック容器の側面部の上下部が吸引圧力によってスパウトに近い部分から付着してしまい、付着から数秒にてパック容器の中央部において両側面部が付着してしまい、パック容器の下部には25~35%の内容物が取り残されたままとなる。これを吸引するためには、両手で内容物をパック容器の上部に押し上げる作業が必要となる。また、吸引下としても十数%の内容物がパック内に残留してしまう。
【0034】
また、
図7のようにガイドポールが側面部の両側縁部の内側に設けられている場合、吸引を開始してパック容器内の内容物の残量が2/3程度になると、吸引された内容物が両側面のガイドポールを中心として集まり始める。また、パック容器の側面部が中央部において付着するにつれてガイドポールを中心とした細い流路が形成される。粘度の低い液体であれば、当該流路を伝って液体がスパウト外部へと吸引されるものの、粘度の高い液体は、当該流路をとおることができないために、吸引によって内容物を放出することが困難となる。
【0035】
一方、本願発明のパック容器は、吸引を開始すると同時に内容物がガイドポール上部に集まり、最初にパック容器の上端部から付着が始まり、内容物がパック容器の中央部に集まってくる。内容物の吸引が進むにつれて両側面部が付着して、両側面部の中心に設置されたガイドポールの両側に沿って流路が形成される。この流路を通って、吸引された内容物が流出口から放出され、最終的にガゼット部に残っている内容物を流出口から吸引することができる。内容物の粘度が高くなるにつれ、また液体よりも固体に近づくにつれて、吸引によって流出口から内容物を吸引することが困難となるため、従来のパック容器ではガイドポールを有していたとしても吸引によって内容物を放出することが困難であった。一方、本願発明のパック容器は、パック容器の中央にガイドポールを備え、かつガイドポールが流出口に接していないことにより、容器内の内容物がガイドポールの両側に沿って集まることにより、中央に配置された流出口から全ての内容物を吸引することができる。内容物は、パウチ容器の中心部が完全に密着するまで流出される。その結果、パック容器内のほとんどすべての内容物を容易に流出させることができる。すなわち、パウチ容器の内容物に強い圧力が加えられ、パウチ容器全面に張りが生まれるため、内容物に対して、外部に押し出そうとするより強い圧力が加えられる。これにより、内容物が高粘度の液体またはゲル状物などであっても、容易に流出させることが可能になる。
【0036】
本発明のパウチ容器は、流動性の低い内容物および粘度が非常に高い内容物、たとえば内容物が固形に近い流動体、たとえばケチャップ、プリン、アイスクリームおよび流動食などであっても容易に容器から吸引して流出させることができ、容器内に残留する量を少なくすることができる。また、本発明のパウチ容器であれば、吸飲力が弱い病人や幼児にとっても、内容物を容易に吸飲することができるため有用である。
【0037】
本発明のパウチ容器に収容される内容物は、流動性を有する物質、および外部からの圧力等によって流動性を獲得し得る物質であればよく、たとえば液状、クリーム状およびゲル状の飲食品、調味料、化粧品および洗剤等であることができる。具体的には、たとえば水、ジュースおよびスポーツドリンク等の各種飲料、アイスクリーム等のクリーム状食品、ゼリーおよび蒟蒻ゼリー等のゲル状食品、スープ等の液状食品、おかゆ等の流動食品、液体調味料、食用油、味噌、基礎化粧品、洗濯洗剤、食器用洗剤、シャンプー、ボディーソープ、ハンドソープならびにその他の各種洗剤等が挙げられる。特に、本発明のパウチ容器に収容される内容物は、流動性の低い内容物および粘度が非常に高い内容物、たとえば内容物が固形に近い流動体、たとえばケチャップ、プリン、アイスクリームおよび流動食などであってもよい。
【実施例0038】
(水の放出量の検討)
各種パウチ容器の形状およびガイドポールの配置について、パウチ内容物として水を充填し、内容物の放出量を確認した。容器として、No.1
図7に示した形状の容器、No.2
図1に示した形状の容器、No.3
図2に示した形状の容器を使用した。比較例として、
図1に示した形状の容器においてガイドポールを備えていないパウチ容器を使用した。No.1の容器は
、縦135mm×横84mm×ガゼット48mmのサイズであり、No.2の容器は、縦135mm×横90mm×ガゼット50mm(2箇所)のサイズであり、No.3の容器は、縦135mm×横90mm×ガゼット50mm(底部)のサイズであり、比較例の容器は、No.1の容器は、縦135mm×横84mm×ガゼット48mのサイズである。ガゼットの寸法は、ガゼットを開いた状態の寸法、すなわち
図1においてガゼット部14および
図2においてガゼット部23の「く」の字のガゼットの長さである。No.2の容器は、側面部の中央において流出口の下端から10mmの位置をガイドポールの上端として100mmのガイドポールを設置した。No.3の容器は、側面部の中央において流出口の下端から7mmの位置をガイドポールの上端として95cmのガイドポールを設置した。ガイドポールの幅は、5mmであり、厚みは、2mmである。
【0039】
それぞれのパウチ容器に水181gを充填した。充填したパウチ容器を傾斜15°の斜面に開口部を上にして置いた。各パウチ容器から放出された水の量を計測した。次いで、各パウチ容器を傾斜10°の斜面に置き、さらに放出された水の量を計測した。また、放出された水の量に基づいて、容器から放出された水の割合%を計算した。
【0040】
【0041】
上記実験により、パウチ容器内にガイドポールを有することにより、パック内に圧力が生じ、これが吐出圧として水を放出することが実証された。また、ガイドポールの設置位置により、No.1<No.3<No.2の順で水の放出量が異なることが明らかとなった。No.1とNo.3およびNo.2との放出量の違いは、3%および6%であるが、吸引時の吸引しやすさに対しては非常に大きな効果を与える。
【0042】
(吸引による流出量の試験)
No.1、No.2およびNo.3のパウチ容器について、吸引試験を行った。内容物としてアミノバイタルゼリーパーフェクトエネルギー(味の素株式会社)、プレーンヨーグルト(株式会社明治、ブルガリアヨーグルト)、アイスクリーム(クーリッシュ バニラ:株式会社ロッテ)、焼プリン(森永乳業株式会社、焼きプリン)およびトマトケチャップ(カゴメ株式会社)を充填し、吸引試験を行った。
【0043】
吸引装置を利用して、0.001~0.1MPaの計測ゲージ付き容器にて本発明のパウチ容器の吸飲のしやすさを測定した。
図8に示したように、パウチ容器の取り付け口、ホース、溶液回収部、バルブ、吸引ポンプを順に組み立てた吸引装置を使用して、本発明のパウチ容器における各飲食物の吸引しやすさを測定した。パウチ容器の取り付け口にパウチ容器を接続し、ホースを介して溶液回収部につながる。溶液回収部は、バルブを介して接続された吸引ポンプに吸引することにより溶液回収部内が陰圧となるが、吸引ポンプが空気のみを吸引し、液体を吸引させずに底部に液体が貯まる。手動の吸引ポンプを使用して、0.001MPaから徐々に吸引力を高めて吸引状態を観察した。また、No.1、No.2およびNo.3のパウチ容器について、同一の内容物を充填した。吸引装置のパウチ容器の取り付け口に、各容器を取り付けて吸引ポンプによって内容物を吸引した。内容物が溶液回収部に吸引されなくなるまで、吸引ポンプによって吸引した。吸引後の残量を測定することにより、吸引されやすさを比較することができる。
【0044】
以下の表1は、吸引試験の結果を示す表である。
【0045】
【0046】
(アミノバイタルゼリーパーフェクトエネルギー)
アミノバイタルゼリーパーフェクトエネルギーは、183gを各容器に充填した。
No.1は、側面のガゼット部に2本のガイドポールが設置されており、パック内の内容物は2/3程度の量となると両サイドのガイドポールに向かって集まってきた。流体が二つに分かれて、ガイドポールと側面部のフィルムの間にできた流路を通って内容物が吸引された。0.004MPaにて全容量の95%が吸引され、パック内に内容物を10g残して、吸引が終了した。
No.2は、No.1と同様にガゼット部が側面にあるが、ガイドポールは、側面部の中央に配置されている。吸引が開始されると、内容物が本体中央部に集まってきた。富士山がたに内容物が集まり、吸引が完了する。0.004MPaにて全容量の95%が吸引され、パック内に内容物を9g残して、吸引が終了した。
No.3は、ガゼット部が底部にあり、ガイドポールは、側面部の中央に配置されている。吸引が開始されるとパック上部から吸引が開始し、吸引が進むにつれてパック両端から内容物が中央のガイドポールに集まってきた。0.003MPaにて全容量の96%が吸引され、パック内に内容物を8g残して、吸引が終了した。
【0047】
比較例として、市販の容器のままのアミノバイタルゼリーパーフェクトエネルギー:味の素株式会社の吸引試験も行った。容器のサイズは、縦130mm×横84mm×ガゼット50mmであり、内容物は183gであった。0.004MPaにて59g(32%)が吸引され、0.005MPaにて50g(27%)が吸引され、0.006MPaにて25g(14%)が吸引されて、パック内に49g(27%)を残して、吸引が終了した。
【0048】
図9は、No.3の容器におけるアミノバイタルゼリーパーフェクトエネルギーの吸引試験時の状況を示す写真である。0.002MPa~0.003MPaの状態を示している。
【0049】
本願発明のパック容器No.2およびNo.3は、No.1の容器と比較して内容物が吸引されやすいことが明らかとなった。
【0050】
(プレーンヨーグルト)
プレーンヨーグルトを各容器に充填した。
No.1は、0.003MPaから内容物の吸引を始め、0.005MPaにて94%を吸引し、パック内に内容物を9g残して、吸引が終了した。
No.2は、0.003MPaから内容物の吸引を始め、0.004MPaにて95%を吸引し、パック内に内容物を8g残して、吸引が終了した。
No.3は、0.003MPaから内容物の吸引を始め、0.003MPaのままで96%を吸引し、パック 内に内容物を7g残して、吸引が終了した。
【0051】
本願発明のパック容器No.2およびNo.3は、No.1の容器と比較して内容物が吸引されやすいことが明らかとなった。
【0052】
(アイスクリーム)
クーリッシュアイスクリームを各容器に充填した。
No.1は、0.003MPaから内容物の吸引を始め、0.005MPaにてパック内に内容物を37g残して、吸引が終了した。
No.2は、0.003MPaから内容物の吸引を始め、0.005MPaにてパック内に内容物を7g残して、吸引が終了した。
No.3は、0.003MPaから内容物の吸引を始め、0.005MPaにてパック内に内容物を6g残して、吸引が終了した。
【0053】
比較例として、市販の容器のままクーリッシュ バニラ:株式会社ロッテの吸引試験も行った。容器のサイズは、縦123mm×横80mm×ガゼット40mmであり、内容物は112gであった。0.016MPaでは、全く吸引されず、0.018MPaにて30gが吸引されて、パック内に72g残して、吸引が終了した。
【0054】
本願発明のパック容器No.2およびNo.3は、No.1の容器と比較して内容物が吸引されやすいことが明らかとなった。
【0055】
(トマトケチャップ)
トマトケチャップは、200gを各容器に充填した。
No.1は、0.004MPaから内容物の吸引を始め、0.006MPaにてパック内に内容物を16g残して、吸引が終了した。92%が吸引された。
No.2は、0.003MPaから内容物の吸引を始め、0.006MPaにてパック内に内容物を13g残して、吸引が終了した。94%が吸引された。
No.3は、0.003MPaから内容物の吸引を始め、0.006MPaにてパック内に内容物を11g残して、吸引が終了した。95%が吸引された。
【0056】
本願発明のパック容器No.2およびNo.3は、No.1の容器と比較して内容物が吸引されやすいことが明らかとなった。
【0057】
図10は、No.3の容器におけるトマトケチャップの吸引試験時の状況を示す写真である。0.004MPaの状態を示している。
【0058】
(焼きプリン)
焼きプリンは、150gを各容器に充填した。
No.1は、0.004MPaから内容物の吸引を始め、0.006MPaにてパック内に内容物を17g残して、吸引が終了した。89%が吸引された。
No.2は、0.004MPaから内容物の吸引を始め、0.006MPaにてパック内に内容物を15g残して、吸引が終了した。90%が吸引された。
No.3は、0.004MPaから内容物の吸引を始め、0.006MPaにてパック内に内容物を7g残して、吸引が終了した。95%が吸引された。
【0059】
本願発明のパック容器No.2およびNo.3は、No.1の容器と比較して内容物が吸引されやすいことが明らかとなった。
【0060】
図11は、No.3の容器における焼きプリンの吸引試験時の状況を示す写真である。0.003MPa~0.004MPaの状態を示している。
【0061】
(ガイドポールの位置による吸引の変動)
図2に示した形状の容器においてガイドポールを設置する位置を変更した場合の吸引の変動を試験した。No.3~No.7の容器は、縦130mm×横90mm×ガゼット40mmのサイズである。ガイドポールの幅は、5mmであり、厚みは、2mmである。
No.3の容器は、側面部の中央において流出口の下端から7mmの位置をガイドポールの上端として100mmのガイドポールを設置した。
No.4の容器は、側面部の中央において流出口とガイドポールの上端を接触させて、隙間を0mmとして100mmのガイドポールを設置した。
No.5の容器は、側面部の中央において流出口の下端から15mmの位置をガイドポールの上端として100mmのガイドポールを設置した。
No.6の容器は、側面部の中央において流出口の下端から21mmの位置をガイドポールの上端として100mmのガイドポールを設置した。
No.7の容器は、側面部の中央において流出口の下端から10mmの位置をガイドポールの上端として100mmのガイドポールを設置した。
【0062】
内容物として、焼プリン(森永乳業株式会社、焼きプリン)およびトマトケチャップ(カゴメ株式会社、トマトケチャップ:焼いたらコク旨)を充填し、吸引試験を行った。上記(吸引による流出量の試験)と同様の手順によって、吸引試験を行った。
【0063】
(焼きプリンプ)
焼きプリンは、150gを各容器に充填した。以下の表4は、吸引試験の結果を示す表である。
【0064】
【0065】
流出口とガイドポールの上端が接触しているNo.4では、内容物が15%も残ってしまったが、流出口の下端から15mmの位置をガイドポールの上端であるNo.5および流出口の下端から21mmの位置をガイドポールの上端であるNo.6 は、有意にパック内に残留する内容物が減少した。流出口とガイドポールの上端の間の隙間が内容物の流出のためには重要であることが明らかとなった。
(トマトケチャップ)
トマトケチャップは、200gを各容器に充填した。以下の表5は、吸引試験の結果を示す表である。
【0066】
【0067】
上記のNo.3~7の各容器について、内容物としてトマトケチャップを使用して吸引試験を行った結果、ガイドポールを有さないパック容器では、合計吸引割合が42%であり、流出口とガイドポールの上端が接触しているNo.4では、合計吸引割合が32%であったが、流出口とガイドポールの上端の間に隙間を有するパック容器では、いずれも吸引割合が増加していた。しかし、流出口とガイドポールの上端の間が21mmの場合、合計吸引割合が47%となり、ガイドポールを有していないパック容器と同等の結果であった。今回試験を行ったパック容器のサイズにおいては、No.3、No.5およびNo.7のガイドポールの配置がトマトケチャップを容易に放出することに対して優れた効果を有していた。すなわち、流出口とガイドポールの上端の距離aが、No.3の7mm、No.5の15mmおよびNo.7の10mmのときにその他の距離の場合よりも容易にトマトケチャップを放出できることが明らかとなった。
【0068】
上記の結果を総合すると、焼きプリンやトマトケチャップのように粘度の高い内容物をパック容器に充填した場合、流出口の下端からガイドポールの上端までの距離が5~15mm程度であるときに、容易に内容物を吸引できることが明らかとなった。