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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032074
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】ディスク型遠心分離機
(51)【国際特許分類】
   B04B 1/18 20060101AFI20240305BHJP
   B04B 1/08 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
B04B1/18
B04B1/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135513
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】591162022
【氏名又は名称】巴工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107375
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 明広
(72)【発明者】
【氏名】小澤 健介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大
(72)【発明者】
【氏名】本郷 裕太郎
【テーマコード(参考)】
4D057
【Fターム(参考)】
4D057AB01
4D057AC01
4D057AC05
4D057AD01
4D057AE18
4D057AF03
4D057BA36
4D057BC12
(57)【要約】
【課題】固形物のミストが、ボウル内に形成されている固形物排出機構へ侵入することを好適に防止することができるディスク型遠心分離機を提供する。
【解決手段】作動水の供給によってボウル2内の弁体6を動作させ、分離室21の下方側を仕切る可動底板4を下降させて分離室21を開放状態とすることによって、分離室21内で分離された固形物をボウル2の外側へ排出し、ボウル2の外側に配置された回収部によって回収するように構成され、ボウル2の回転方向に従う上昇ヘリカルの突条が内周面に形成されたリング状のラビリンスシール7が、回収部とボウル下半部22の外周面との間を閉塞するように配置されていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング内に配置されたボウルと、間隙を形成しつつ積み重ねられた状態でボウルの分離室内に配置された多数枚の円錐形状の分離ディスクとが、鉛直に配置された回転軸周りに高速で回転するように構成され、
作動水の供給によってボウル内の弁体を動作させ、分離室の下方側を仕切る可動底板を下降させて分離室を半径方向に開放状態とすることによって、分離室内で集積された固形物をボウルの外側へ排出でき、ボウルの外側に配置された回収部によって回収されるように構成されたディスク型遠心分離機において、
ボウルの回転方向に従う上昇ヘリカルの突条が内周面に形成されたリング状のラビリンスシールが、回収部の内壁に装着され、ラビリンスシールの突条の先端部分と、ボウル下半部の外周面との間の隙間が5mm以下となるように構成されていることを特徴とするディスク型遠心分離機。
【請求項2】
ラビリンスシールが、樹脂材料等の非金属材料ないしはボウルを傷つけない金属材料によって形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のディスク型遠心分離機。
【請求項3】
ボウル下半部の下側面とケーシング底部との間の領域の半径方向内側の位置に排出口が形成された洗浄水供給路を有し、ボウル下半部の下側面において洗浄水を供給できるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のディスク型遠心分離機。
【請求項4】
洗浄水供給路の排出口の周囲に凹部が形成され、ボウル下半部の下側面に、下端部が凹部内に進入するように下方側へ突出する凸部が形成されていることを特徴とする、請求項3に記載のディスク型遠心分離機。
【請求項5】
請求項3又は請求項4のディスク型遠心分離機の運転中において、洗浄水供給路への洗浄水の供給を、作動水供給路への作動水の供給開始前30秒以内、又は、同時に開始し、固形物の排出完了後3秒以上継続することを特徴とするディスク型遠心分離機における洗浄水の供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円錐形状の分離ディスクを多数枚重ねてボウル内に配置し、これらを高速回転させて供給された処理物の分離を行うように構成されたディスク型遠心分離機に関する。
【背景技術】
【0002】
遠心力を利用して処理物を分離する遠心分離機の一つとして、円錐形状の分離ディスクを多数枚積み重ねてボウル内に配置し、これらを高速回転させて処理物に遠心力を作用させる遠心分離機(ディスク型遠心分離機)が知られている。
【0003】
図4は、従来の一般的なディスク型遠心分離機1の内部構造を示す断面図である。このディスク型遠心分離機1は、ケーシング3内に、上半部が円錐状に形成されたボウル2が配置され、このボウル2内には、多数枚の円錐形状の分離ディスク12が、僅かな間隙を形成しつつ積み重ねられた状態で配置されている。ボウル2は、ケーシング3の底部(ケーシング底部31)を貫通する鉛直に配置された回転軸11の上端部と結合されており、図示しないモーターから回転軸11に供給される回転駆動力によって、ボウル2及び内蔵されている分離ディスク12が高速で回転するように構成されている。
【0004】
ボウル2の例えば上方に配置されている原液供給管13から、ボウル2内の空間(分離室21)へ処理物の原液を投入すると、遠心力の作用により、処理物中の密度の大きい成分(例えば、固形物スラッジ、重液等)が、分離室21内の半径方向外側の領域S1へ移動し、密度の小さい成分(例えば、清澄液、軽液等)が、分離室21内の半径方向内側の領域S2へ移動することになり、それらを個別の経路で排出させることにより、処理物を密度の大きい成分の相と、密度の小さい成分の相とに分離することができる。(尚、液分より重い固形物、重液、及び、軽液の三相に分離できるディスク型遠心分離機も存在する。)
【0005】
ディスク型遠心分離機1は、僅かな間隙を形成しつつ積み重ねられた多数枚の分離ディスク12により、据付面積に対し極めて大きな分離沈降面積を確保することができるため、大量の処理物の分離処理を短時間で効率良く行うことができるという利点を有している。
【0006】
尚、図4に示すディスク型遠心分離機1の運転を実行すると、分離処理の進行に従って処理物から分離された固形物が、分離室21内の領域S1(半径方向外側の領域)に蓄積されていくことになるが、それらの固形物は、ディスク型遠心分離機1の運転中に、つまり、ボウル2を高速回転させた状態のまま、分離室21の下方側を仕切る可動底板4を含む固形物排出機構を動作させることによって、ボウル2の外側へ瞬時に排出することができる。
【0007】
この固形物排出機構について具体的に説明すると、まず、可動底板4は、図5に示すように、分離室21の半径方向外側に位置する外周側上縁部41がボウル2の上半部(ボウル上半部23)に密着した、分離室21を半径方向外側に解放されていない捕集状態を成す閉位置と、図6に示すように、閉位置から僅かに下降して、外周側上縁部41がボウル上半部23から離れた、分離室21を半径方向に開放状態とする開位置との間で、上下動が可能なように構成されている。
【0008】
また、図5に示すように、ケーシング底部31の中央に配置されているセンターベース5の内部には、可動底板4によるボウルの捕集状態を維持させる作用をもたらす貯留水と呼ぶ水をボウル下半部22内へ供給するための貯留水供給路51、及び、貯留水を抜いて可動底板4が開位置に戻させる作用をもたらす作動水と呼ぶ水を供給するための作動水供給路52が形成されている。
【0009】
更に、ボウル下半部22内には、貯留水供給路51の排出口の半径方向(ボウル2の半径方向)外側に位置する円環状の第一環状流路24、作動水供給路52の排出口の半径方向外側に位置する円環状の第二環状流路25、可動底板4の下方側において第一環状流路24と連通する貯留室26、貯留室26の半径方向外側において貯留室26と連通する排水路27、及び、第二環状流路25と連通する作動水流路28が形成されている。
【0010】
また、ボウル下半部22内には、排水路27を開閉させる弁体6が配置されている。この弁体6は、図5に示すように、半径方向の最も外側に位置しているとき、排水路27を閉鎖し、この位置から半径方向内側の位置へ移動することによって排水路27を開放するように構成されている。ディスク型遠心分離機1の運転時(ボウル2の回転時)において、弁体6は、遠心力によって半径方向外側に付勢されることになる。従って運転時においては、基本的に、排水路27は弁体6によって閉鎖された状態に維持される。
【0011】
このディスク型遠心分離機1を使用して分離処理を行う場合、まず、ボウル2を高速回転させた状態で、貯留水を、ケーシング底部31の下方側から貯留水供給路51を介してボウル下半部22内へ供給する。そうすると、貯留水が第一環状流路24を通って貯留室26内に流入し、弁体6によって閉鎖された排水路27から排出されることなく、貯留室26内に貯留される。
【0012】
ボウル2の高速回転によって、貯留室26内に貯留されている貯留水には大きな遠心力が作用し、貯留室26内の圧力が上昇する。この圧力によって可動底板4が上方へ押し上げられ、外周側上縁部41がボウル上半部23に対して強く押し付けられて密着する。その結果、分離室21は捕集状態となる。
【0013】
捕集状態の分離室21内に処理物を投入して分離処理を行うことにより、分離された固形物が分離室21内(領域S1)にある程度蓄積した場合、図6に示すように、作動水を、ケーシング底部31の下方側から作動水供給路52を介してボウル下半部22内へ供給する。そうすると、作動水が第二環状流路25を通って作動水流路28内に流入する。
【0014】
作動水流路28は、弁体6のピストン61を収容するシリンダ62と連通しており、作動水を、ピストン61の半径方向外側からシリンダ62内へ流入させることができるように構成されている。このため、作動水流路28に作動水が供給されると、シリンダ62内のピストン61が、作動水によって半径方向内側へ押圧され、弁体6が半径方向内側へ移動する。
【0015】
弁体6が半径方向内側へ移動すると、図6に示すように、排水路27が開放され、貯留室26内に貯留されている貯留水が、排水路27を通ってボウル2の外側へ排出される。そうすると、可動底板4を上方へ押し上げていた貯留室26内の圧力が低下し(分離室21内の圧力よりも小さくなり)、可動底板4が下降して、外周側上縁部41とボウル上半部23との間に隙間が形成され、この隙間から、分離室21内の固形物がボウル2の外側へ排出される。
【0016】
そして、ボウル2から排出された固形物は、ケーシング3の最外周側(ボウル2の半径方向外側)に形成されている円環状の回収部32によって捕捉され、図4に示す排出口34から機外へ排出されることになる。
【0017】
尚、作動水供給路52への作動水の供給時間は、通常5秒程度で充分であり、その後、貯留水供給路51へ再び貯留水を供給して貯留室26内に貯留し、可動底板4を閉位置に復帰させることにより、ボウル2を高速回転させた状態のまま、分離処理を継続することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開昭56-108550号公報
【特許文献2】特開2019-107622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
図4図6に示すような従来のディスク型遠心分離機1においては、弁体6の周辺領域に異物が堆積して、弁体6のストロークが阻害ないしは制限され、固形物の排出を適切に行えなくなってしまうという現象が確認されている。この現象は、分離室21から固形物が排出される際に、その一部がミスト状となって、ボウル2とケーシング3との間の隙間(ボウル下半部22の外周面と回収部32の内壁33との間の領域、及び、ボウル下半部22の下側面とケーシング底部31との間の領域)を通って、第二環状流路25から作動水流路28内に侵入し、弁体6の周辺まで到達して、ピストン61を収容するシリンダ62の内壁等に付着し、堆積することによって生じるものと考えられる。
【0020】
本発明は、このような従来技術における問題を解決しようとするものであって、固形物のミストが、ボウル内に形成されている固形物排出機構へ侵入することを好適に防止することができるディスク型遠心分離機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明に係るディスク型遠心分離機は、ケーシング内に配置されたボウルと、間隙を形成しつつ積み重ねられた状態でボウルの分離室内に配置された多数枚の円錐形状の分離ディスクとが、鉛直に配置された回転軸周りに高速で回転するように構成され、作動水の供給によってボウル内の弁体を動作させ、分離室の下方側を仕切る可動底板を下降させて分離室を半径方向に開放状態とすることによって、分離室内で集積された固形物をボウルの外側へ排出でき、ボウルの外側に配置された回収部によって回収されるように構成され、ボウルの回転方向に従う上昇ヘリカルの突条が内周面に形成されたリング状のラビリンスシールが、回収部の内壁に装着され、ラビリンスシールの突条の先端部分と、ボウル下半部の外周面との間の隙間が5mm以下となるように構成されていることを特徴としている。
【0022】
尚、ラビリンスシールは、樹脂材料等の非金属材料ないしはボウルを傷つけない金属材料によって形成されていることが好ましく、また、ボウル下半部の下側面とケーシング底部との間の領域の半径方向内側の位置に排出口が形成された洗浄水供給路を有し、ボウル下半部の下側面において洗浄水を供給できるように構成されていることが好ましい。更に、洗浄水供給路の排出口の周囲には凹部が形成され、ボウル下半部の下側面に、下端部が凹部内に進入するように下方側へ突出する凸部が形成されていることが好ましい。
【0023】
また、上記ディスク型遠心分離機の運転中において、洗浄水供給路への洗浄水の供給を、作動水供給路への作動水の供給開始前または同時に開始し、固形物排出機構の排出動作が完了してから3秒以上後まで継続することが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るディスク型遠心分離機は、ボウルの外側に排出された固形物を回収する回収部と、ボウル下半部の外周面の間隙を僅かにするように、特徴的な構造のラビリンスシールが配置されているため、ラビリンスシールとボウル下半部の外周面との間に浸入した固形物のミストを、ボウルの回転と突条によって上方へ押し出すことができ、ミストがラビリンスシールの下方側へ通過することを防止することができる。その結果、弁体の周辺の内壁に異物が付着、堆積して、固形物排出機構が適正に動作しなくなってしまうという問題を好適に回避することができる。
【0025】
また、洗浄水供給路を形成して、ボウル下半部の下側面において洗浄水を供給できるように構成した場合には、ボウルを高速回転させた状態で洗浄水を供給することにより、ボウル下半部の下側面とケーシング底部の間の領域において、水の幕を形成することができ、半径方向内側へのミストの侵入を防止することができるほか、ボウル下半部の下側面とケーシング底部の表面を洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本発明に係るディスク型遠心分離機1の内部構造を示す拡大断面図であって、可動底板4が閉位置にある状態を示す図である。
図2図2は、図1に示すラビリンスシール7(中間部分を省略)の拡大断面図である。
図3図3は、本発明に係るディスク型遠心分離機1の内部構造を示す拡大断面図であって、可動底板4が開位置にある状態を示す図である。
図4図4は、従来の一般的なディスク型遠心分離機1の内部構造を示す断面図である。
図5図5は、図4に示すディスク型遠心分離機1の内部構造を示す拡大断面図であって、可動底板4が閉位置にある状態を示す図である。
図6図6は、図4に示すディスク型遠心分離機1の内部構造を示す拡大断面図であって、可動底板4が開位置にある状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面に沿って、本発明に係る「ディスク型遠心分離機」の実施形態を説明する。図1は、本発明に係るディスク型遠心分離機1の内部構造を示す拡大断面図である。このディスク型遠心分離機1は、図4図6に示す従来のディスク型遠心分離機1と基本的な構成が一致しており、同様の原理によって処理物の分離処理を行い、また、同様の固形物排出機構によって固形物を分離室21から排出することができる。
【0028】
つまり、分離室21に投入した処理物を、遠心力の作用によって固形物と液体とに分離し、それらを個別の経路で排出し、回収することができ、また、運転中に作動水を作動水供給路52に供給することにより、可動底板4を下降させて分離室21を瞬間的に開放し、可動底板4の外周側上縁部41とボウル上半部23との間から固形物を排出できるように構成されている。
【0029】
本実施形態のディスク型遠心分離機1において特徴的な事項は、ボウル下半部22の外周面の外側にラビリンスシール7が配置されていること、及び、洗浄水を供給する洗浄水供給路53がセンターベース5の内部に形成されていることである。
【0030】
より詳細には、ラビリンスシール7は、耐熱性と耐摩耗性に優れた合成樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン)等の非金属材料(ないしはボウルを傷つけない金属材料)をリング状に形成したものであり、図2に示すように、ボウル2の回転方向に従う上昇ヘリカルの突条71が内周面に形成されている。
【0031】
そして、このラビリンスシール7は、ケーシングの回収部の内壁33(ボウル下半部22の外側を取り囲むように円環状に配置されている)(図4に示すケーシング3、回収部32、内壁33を参照)の上縁部に対し、全周的に装着されるとともに、突条71(図2参照)の先端部分がボウル下半部22の外周面に対して、全周的に僅かな隙間(5mm以下)を置いて近接するように配置されている。
【0032】
一方、洗浄水供給路53は、流入口が、ケーシング底部31の下方側の位置に形成されるとともに、排出口が、ボウル下半部22の下側面とケーシング底部31との間の領域の半径方向内側の位置に形成されており、ケーシング底部31の下方側から、ボウル下半部22の下側面において洗浄水を供給できるようになっている。また、洗浄水供給路53の排出口の周囲には凹部54が形成されており、ボウル下半部22の下側面には、下端部が凹部54内に進入するように下方側へ突出する凸部29が形成されている。
【0033】
従来のディスク型遠心分離機1(図4図6参照)においては、上述したように、固形物のミストが、ボウル2とケーシング3との間の隙間を通って、ボウル2内の弁体6の周辺領域まで到達し、それらが付着、堆積して、弁体6のストロークが制限され、固形物排出機構が適正に動作しなくなってしまうという問題があったが、本実施形態のディスク型遠心分離機1においては、ラビリンスシール7と洗浄水供給路53とによって、この問題を好適に回避することができる。
【0034】
より詳細には、ラビリンスシール7は、回収部の内壁33とボウル下半部22の外周面の間隙を僅かにするように配置され、ボウル2の回転方向に従う上昇ヘリカルの突条71が、内周面に形成されているため、ラビリンスシール7とボウル下半部22の外周面との間にミストが侵入してしまった場合でも、ボウル2の回転と突条71によって上方へ押し出されることになり、ミストがラビリンスシール7の下方側へ通過することを防止することができる。
【0035】
また、ボウル2を高速回転させた状態で、洗浄水を、ケーシング底部31の下方側から、洗浄水供給路53を介して、ボウル下半部22において供給すると、洗浄水が、高速回転中のボウル下半部22及び凸部29に衝突し、ボウル2の回転方向へ弾かれるとともに、遠心力によって放射円状に拡がり、ボウル下半部22の下側面とケーシング底部31の間の領域において、水の幕(シールド)が形成され、半径方向内側へのミストの侵入を防止することができる。
【0036】
その結果、弁体6の周辺の内壁に異物が付着、堆積して、固形物排出機構が適正に動作しなくなってしまうという問題を好適に回避することができる。また、洗浄水供給路53から洗浄水を供給することにより、ボウル下半部22の下側面とケーシング底部31の表面を洗浄することができる。
【0037】
尚、洗浄水供給路53への洗浄水の供給は、固形物の排出の直前、又は、固形物の排出と同時に(つまり、作動水供給路52への作動水の供給開始の直前、例えば供給開始前30秒以内、又は、供給開始と同時に)開始し、固形物の排出完了後(つまり、作動水供給路52への作動水の供給を停止し、貯留水供給路51へ貯留水を供給して可動底板4を閉位置に復帰させた後)、ボウル2の周辺に浮遊するミストの濃度が十分に低くなるまで(例えば3秒以上)継続することが好ましい。
【符号の説明】
【0038】
1:ディスク型遠心分離機、
2:ボウル、
3:ケーシング、
4:可動底板、
5:センターベース、
6:弁体、
7:ラビリンスシール、
11:回転軸、
12:分離ディスク、
13:原液供給管、
21:分離室、
22:ボウル下半部、
23:ボウル上半部、
24:第一環状流路、
25:第二環状流路、
26:貯留室、
27:排水路、
28:作動水流路、
29:凸部、
31:ケーシング底部、
32:回収部、
33:内壁、
34:排出口、
41:外周側上縁部、
51:貯留水供給路、
52:作動水供給路、
53:洗浄水供給路、
54:凹部、
61:ピストン、
62:シリンダ、
71:突条
図1
図2
図3
図4
図5
図6