(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032092
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】魚釣用リール、及び、一方向クラッチ
(51)【国際特許分類】
A01K 89/01 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
A01K89/01 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135548
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
(72)【発明者】
【氏名】對馬 大輔
(72)【発明者】
【氏名】堀江 博典
【テーマコード(参考)】
2B108
【Fターム(参考)】
2B108BH02
(57)【要約】
【課題】リール本体の小型、軽量化が図れ、組み付けが容易で安定したクラッチ動作が得られる魚釣用リールを提供する。
【解決手段】魚釣用リールには、回転駆動軸の一方向の回転を許容し、他方向の回転を阻止する一方向クラッチ20が組み込まれている。一方向クラッチは、内輪と、外輪27と、複数の転がり部材25を付勢する付勢バネを保持する保持部を備えた第1保持器23Aと、外輪27を軸方向で挟持するように第1保持器に取り付けられる第2保持器23Bと、を備えたアッセンブリ構造を有している。リール本体には、一方向クラッチの回転方向の移動を規制する規制部が設けられ、第1保持器23A及び外輪27には、それぞれ径方向外方に突出する度当て23c、27cが形成されており、一方向クラッチ20は、規制部と各度当てによって回転方向の移動が規制されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リール本体内に支持された回転駆動軸の一方向の回転を許容し、他方向の回転を阻止する一方向クラッチが組み込まれた魚釣用リールにおいて、
前記一方向クラッチは、内輪と、外輪と、複数の転がり部材を付勢する付勢バネを保持する保持部を備えた第1保持器と、前記外輪を軸方向で挟持するように前記第1保持器に取り付けられる第2保持器と、を備えたアッセンブリ構造を有しており、
前記リール本体には、前記一方向クラッチの回転方向の移動を規制するように固定する規制部が設けられ、
前記第1保持器及び前記外輪には、それぞれ径方向外方に突出する度当てが形成されており、
前記一方向クラッチは、前記リール本体の規制部と前記各度当てによって回転方向の移動が規制されている、
ことを特徴とする魚釣用リール。
【請求項2】
前記規制部は、リール本体に設けられた円周壁に周方向に沿って形成され、前記度当てが配置される切欠部である、
ことを特徴とする請求項1に記載の魚釣用リール。
【請求項3】
前記切欠部は、前記円周壁の周方向に等間隔で2箇所以上設けられるとともに、前記度当ては、前記切欠部と同数設けられていることを特徴とする請求項2に記載の魚釣用リール。
【請求項4】
前記外輪は、前記規制部に対して遊度がある、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の魚釣用リール。
【請求項5】
前記第1保持器は、前記規制部に対して隙間なく接触している、
ことを特徴とする請求項4に記載の魚釣用リール。
【請求項6】
前記外輪と前記第1保持器又は第2保持器との間には、前記外輪と前記第1保持器又は第2保持器との間で位置決めする位置決め部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の魚釣用リール。
【請求項7】
前記位置決め部は、前記外輪の度当ての外周面に形成された凹所と、前記第1保持器又は第2保持器に形成され、前記凹所に嵌合する突起部と、を有する、
ことを特徴とする請求項6に記載の魚釣用リール。
【請求項8】
前記位置決め部は、前記外輪の内周面に形成された凹所と、前記第1保持器又は第2保持器に形成され、前記凹所に嵌合する径方向突部と、を有する、
ことを特徴とする請求項6に記載の魚釣用リール。
【請求項9】
前記度当てと前記切欠部との間に介在される脚部を備えた防食プレートを、前記一方向クラッチに対して軸方向に重ねて配設した、
ことを特徴とする請求項2に記載の魚釣用リール。
【請求項10】
魚釣用リールのリール本体内に支持された回転駆動軸の一方向の回転を許容し、他方向の回転を阻止するように設置される一方向クラッチにおいて、
前記一方向クラッチは、内輪と、外輪と、複数の転がり部材を付勢する付勢バネを保持する保持部を備えた第1保持器と、前記外輪を軸方向で挟持するように前記第1保持器に取り付けられる第2保持器と、を備えたアッセンブリ構造を有しており、
前記第1保持器及び前記外輪には、それぞれ径方向外方に突出する度当てが軸方向で重なるように形成されている、
ことを特徴とする一方向クラッチ。
【請求項11】
前記外輪と前記第1保持器又は第2保持器との間には、前記外輪と前記第1保持器又は第2保持器との間で位置決めする位置決め部が設けられている、
ことを特徴とする請求項10に記載の一方向クラッチ。
【請求項12】
前記位置決め部は、前記外輪の度当ての外周面に形成された凹所と、前記第1保持器又は第2保持器に形成され、前記凹所に嵌合する突起部と、を有する、
ことを特徴とする請求項11に記載の一方向クラッチ。
【請求項13】
前記位置決め部は、前記外輪の内周面に形成された凹所と、前記第1保持器又は第2保持器に形成され、前記凹所に嵌合する径方向突部と、を有する、
ことを特徴とする請求項11に記載の一方向クラッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣用リールに関し、詳細には、駆動軸の逆回転を防止する一方向クラッチを組み込んだ魚釣用リール、及び、一方向クラッチに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、魚釣用リールであるスピニングリールには、ハンドルの回転操作でロータの釣糸巻き取り方向の回転を許容すると共に、ハンドルを逆回転させようとした際、ロータの逆回転を防止する逆転防止機構が組み込まれている。通常、逆転防止機構は、ピニオンギアに回り止め嵌合される内輪と、内輪の径方向外方に配設され、複数の転がり部材を保持した保持器と、保持器の径方向外方に配設され、リール本体に対して回り止め固定された外輪とを備えた一方向クラッチで構成されている。
【0003】
前記一方向クラッチの保持器は、リール本体に対してネジ止め固定されており、これにより、転がり部材を付勢する付勢バネの弾性力が維持され、一方向クラッチの回転を円滑にすることが可能となる。しかし、保持器をリール本体にネジ止めすると、その分、リール本体が大型化すると共に、その組み付け性の低下や、構成部材を個別に組み込んだ場合、単独の性能検査が行なえなくなる等の問題が発生する。このため、例えば、特許文献1等に見られるように、一方向クラッチの構成部材を一体化したアッセンブリ構造にしておき、リール本体に対する組み付けをネジ止め式にする(外輪の外側にネジ座を設けてリール本体に固定する)ことが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した特許文献1に開示された構成では、アッセンブリ化した構造体にネジ止めするためのネジ孔を設ける必要があり、リール本体側は強度を確保する必要がある。このため、一方向クラッチを単にアッセンブリ化しただけでは、リール本体を小型化する上では十分ではない。
【0006】
また、一方向クラッチをアッセンブリ化するに際しては、その構成部材の構成や配設態様を考慮する必要がある。例えば、保持器が外輪に対してずれたり、軸方向に変動すると、一方向クラッチとして、安定した動作が得られない(スムーズな回転が得られない、逆転防止するまでの制動時間が長いなど)、更には、組み付けが容易でない、等の問題が発生してしまう。
【0007】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、一方向クラッチを組み込んだ魚釣用リールにおいて、リール本体の小型、軽量化が図れ、組み付けが容易で安定したクラッチ動作が得られる魚釣用リールを提供することを目的とする。また、本発明は、そのような作用が得られる一方向クラッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、本発明に係る魚釣用リールは、リール本体内に支持された回転駆動軸の一方向の回転を許容し、他方向の回転を阻止する一方向クラッチが組み込まれており、前記一方向クラッチは、内輪と、外輪と、複数の転がり部材を付勢する付勢バネを保持する保持部を備えた第1保持器と、前記外輪を軸方向で挟持するように前記第1保持器に取り付けられる第2保持器と、を備えたアッセンブリ構造を有しており、前記リール本体には、前記一方向クラッチの回転方向の移動を規制するように固定する規制部が設けられ、前記第1保持器及び前記外輪には、それぞれ径方向外方に突出する度当てが形成されており、前記一方向クラッチは、前記リール本体の規制部と前記各度当てによって回転方向の移動が規制されていることを特徴とする。
【0009】
上記した魚釣用リールによれば、一方向クラッチがアッセンブリ化されているので、リール本体に対する組み付け性の向上が図れる。また、構成部材である保持器は、複数の転がり部材を付勢する付勢バネを保持する保持部を備えた第1保持器と、外輪を軸方向で挟持するように前記第1保持器に取り付けられる第2保持器と、を備えており、第1保持器及び外輪には、それぞれ径方向外方に突出する度当てが形成され、これらは、リール本体の規制部によって回転方向の移動が規制された状態になっている。このため、保持器が軸方向に変動したり、外輪に対してずれることが防止され、一方向クラッチとして、安定した動作を得ることが可能となる。また、リール本体に対してネジ止めする必要がないため、リール本体側にネジ孔を形成する等、強度を確保するような構造にする必要性がなくなり、リール本体を小型、軽量化することが可能となる。
【0010】
また、本発明は、魚釣用リールに組み込まれて、上記した作用が得られる一方向クラッチを提供することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る魚釣用リールによれば、リール本体の小型、軽量化が図れ、組み付けが容易で安定したクラッチ動作が得られる魚釣用リールが得られるとともに、そのような作用が得られる一方向クラッチが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る魚釣リール(スピニングリール)の第1の実施形態を示す分解斜視図。
【
図2】
図1に示すスピニングリールの内部構成を示す図。
【
図3】魚釣用リールに組み込まれる一方向クラッチの斜視図。
【
図4】
図3に示す一方向ラッチに防食プレートを設置した平面図。
【
図9】一方向クラッチに配設される防食プレートの一形態例を示す斜視図。
【
図10】一方向クラッチの第2の実施形態を示しており、第1保持器とリール本体側の規制部との嵌合状態を示す図。
【
図11】一方向クラッチの第3の実施形態を示しており、第1保持器と外輪との間に配設される位置決め部の構成を示す斜視図。
【
図12】本発明に係る魚釣用リールの別の構成例を示す分解斜視図。
【
図13】
図12に示す一方向クラッチの固定状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1及び
図2は、本発明に係る魚釣用リールであるスピニングリールの実施形態を示す図であり、
図1は分解斜視図、
図2は内部構成を示す図である。
なお、以下、一方向クラッチを説明するにあたり、スプール側となる方向を前方(上側)、リール本体側となる方向を後方(下側)と定義し、軸方向Xは、スプール軸の軸芯方向、中心Oは、スプール軸の軸芯位置と定義する(
図2参照)。
【0014】
最初に、本実施形態のスピニングリールの全体構成の概略について説明する。
スピニングリール(以下、リールと称する)1のリール本体2には、釣竿に装着されるリール脚2Aが一体形成されている。リール本体2の前方には、回転可能に支持されたロータ3と、ロータ3の回転運動と同期して前後動可能に支持された公知のスプール(図示せず)とが配設されている。
【0015】
前記ロータ3は、スプールの周囲を回転する一対の腕部3aを備えており、各腕部3aの夫々の前端部には、ベール5の基端部を取り付けたベール支持部材3bが釣糸巻き取り位置と釣糸放出位置との間で回動自在に支持されている。この場合、ベール5の一方の基端部は、ベール支持部材3bに一体的に設けられた釣糸案内部(ラインローラ)6に取り付けられている。
【0016】
前記リール本体2内には、ハンドル軸が軸受けを介して回転可能に支持されており、その突出端部には、ハンドルが取り付けられている。前記ハンドル軸には、ハンドルを回転操作した際、その駆動力を前記ロータ3に伝達してロータを回転駆動する駆動力伝達機構10が設けられている。
【0017】
駆動力伝達機構10は、公知のように、前記ハンドル軸に一体回転可能に装着された駆動ギアと、この駆動ギアに噛合するピニオン歯部を具備したピニオン11とを備えている。前記ピニオン11は、ハンドル軸と直交する前後方向に延出し、内部に軸方向に延在する空洞部11aが形成された回転駆動軸としての機能を有する。この場合、空洞部11aには、ハンドルを回転操作した際にスプールを前後動させる公知のオシレート機構と係合するスプール軸が挿通され、その先端に前記スプールが装着される。
【0018】
前記ピニオン11は、リール本体1に回転可能に支持されている。また、ピニオン11はスプール側に向けて延出しており、ピニオン11の先端部には、前記ロータ3が一体回転可能に取り付けられている。前記ロータ3は、中心部分に形成されたボス部3Aの貫通孔がピニオン11の先端に外嵌され、ナット(図示せず)を締め付けることで固定される。また、前記ピニオン11上には、逆転防止機構を構成する一方向クラッチ20が配設されている。
【0019】
上記した構成により、ハンドルを巻き取り操作すると、駆動力伝達機構10を介してロータ3が回転駆動される共に、オシレート機構及びスプール軸を介してスプールが前後方向に往復動される。したがって、釣糸は、回転駆動されるロータ3の釣糸案内部6を介してスプールに均等に巻回されるようになる。
【0020】
次に、本実施形態の一方向クラッチ20について、
図1及び
図2に加え、
図3から
図9を参照して説明する。
図3から
図9は、
図1に示すスピニングリールに組み込まれるアッセンブリ構造となった一方向クラッチを示しており、
図3は斜視図、
図4は防食プレートを設置した平面図、
図5は
図4に示す一方向クラッチの斜視図、
図6は
図4に示す一方向ラッチの側面図、
図7は
図6のA-A線に沿った断面図、
図8は
図6のB-B線に沿った断面図、そして、
図9は一方向クラッチに配設される防食プレートの一形態例を示す斜視図である。
【0021】
図1に示したように、リール本体2のスプール側には、略円板形状に形成された基部2Bが配設されており、基部2Bの表面部分には、一方向クラッチ20の回転方向の移動を規制する規制部が設けられている。本実施形態の規制部は、リール本体2に設けられた円周壁(軸方向に突出する円筒部)2Cとして構成されている。前記ピニオン11は、円周壁2Cの中心部分を貫いて回転可能に支持されており、その中間部に一方向クラッチ20が配設されている。この場合、円周壁2Cには、後述する一方向クラッチ20の突出部(度当て)が配置されるように、180°間隔で切欠部2cが形成されている。
【0022】
前記ピニオン11は、ハンドルの回転操作によって駆動ギアを介して回転駆動される。また、前記一方向クラッチ20は、ピニオン11の中間部分に配設されて、ピニオン11の釣糸巻き取り方向の回転を許容すると共に逆回転を防止する機能を備え、内輪21と、外輪27と、複数の転がり部材25を付勢する付勢バネ24を保持する保持部23aを備えた保持器23とを有している。保持器23は、前記保持部23aを備えた第1保持器23Aと、前記外輪27を軸方向で挟持するように第1保持器23Aに取り付けられる第2保持器23Bと、を備えている。そして、これらの構成部材は、アッセンブリ化されており(複数の構成部材を一体化したアッセンブリ構造;ASSYとも称される)、一体的に取り扱うことが可能となっている。
このように保持器23を、複数の部材(第1保持器23A及び第2保持器23B)で構成することで、外輪等の構成部材が軸方向に抜けることが抑制され、アッセンブリ化を図り易くなる。
【0023】
前記内輪21は、ピニオン11に対して回り止めされており、ピニオン11とともに一体回転する駆動軸としての機能を有する。具体的には、ピニオン11の断面は、部分的に非円形部が形成された形状となっており、この部分に内輪21の非円形部を嵌合させることで、内輪21は、ピニオン11と共に一体回転可能となっている(
図5参照)。
【0024】
前記保持器23は、内輪21の径方向外方に配設されており、上述したように第1保持器23A及び第2保持器23Bを一体化することで構成されている。本実施形態では、第1保持器23Aが下側に、第2保持器23Bが上側に配設されており、これら第1保持器23A及び第2保持器23Bは、外輪27を挟持するようにして一体的に組み付けられてアッセンブリ化されている。この場合、第1保持器23Aを上側、第2保持器23Bを下側として定義しても良い。
【0025】
なお、前記第1保持器23A及び第2保持器23Bを一体化する連結構造(係合固定部)については特に限定されることはない。例えば、第1保持器23Aに、周方向に所定の間隔をおいて軸方向に突出する変位可能な凸部を形成すると共に、第2保持器23Bの対応する位置に、前記凸部が嵌まり込む凹部を形成することで構成することが可能である。この構成では、第2保持器23Bを、外輪27を挟み込むように軸方向に移動させて凹部に凸部を係合させることで、第1保持器23A及び第2保持器23Bを一体化することが可能である。或いは、前記第1保持器23A及び第2保持器23Bは、溶着、ネジ止め等によって一体化されても良い。
【0026】
前記第1保持器23Aには、周方向に一定間隔おいて配置される前記保持部23aが形成されている。各保持部23aには、円周方向に向けて開口する(
図7に示すように、反時計回り方向に向けて開口する)凹所23bが形成されており、各凹所23b内には、付勢バネ24が保持されている。そして、各保持部間には、転がり部材25が配設されており、各頃がり部材25は、付勢バネ24によって周方向(
図7では、反時計回り方向;逆回転方向)に付勢されている。
【0027】
前記外輪27は、各転がり部材25の径方向外方に配設され、リング形状(略リング形状でも良い)に形成されている(
図7参照)。外輪27の内周面には、夫々の転がり部材25の回転を阻止する楔領域27aと、転がり部材25を自由に回転させるフリー領域27bが連続して形成されている。前記保持器23(第1保持器23A)に保持されている各転がり部材25は、付勢バネ24によって常時、楔領域側に付勢された状態となっている。また、外輪27の外周面27dは、円形状(略円形状が含まれる)に形成されている。
【0028】
前記略リング形状に形成された外輪27の一部には、径方向外方に突出するように突出部27cが設けられている。この突出部は、外輪27の回転を規制する度当てとしての機能を備えている(以下、度当て27cとも称する)。度当て27cは、外輪27の外周面27dから径方向外方に突出するように一体形成されており、1個所以上設けられている。この場合、外輪には、大きなトルクが掛かって、1個所では応力が集中して偏り等が生じる可能性があるので、等間隔で2個以上形成することが好ましい。本実施形態では、180°間隔で軸芯(中心О)を挟んで対向するように2個所設けられている。各度当て27cは、周方向に一定の幅を有しており、周方向の両サイド27e,27fが回り止め機能を有する。
【0029】
前記第1保持器23Aは、
図8に示すように、外輪27と同様な形状を備えており、好ましくは、外輪27の度当て27cと同じ位置(軸方向で重なる位置)に、略同形状の突出部23cが一体形成されている。この突出部23cも外輪と同様、180°間隔で軸芯(中心О)を挟んで対向するように2個所設けられており、度当てとしての機能を備えている(以下、度当て23cとも称する)。前記度当て23cは、周方向に一定の幅を有しており、周方向の両サイド23e,23fが回り止め機能を有する。
【0030】
前記リール本体2に突出形成された円周壁2Cには、その円周壁を径方向に貫通する切欠部2cが形成されている。この切欠部2cは、上記した第1保持器23Aの度当て23c、及び、外輪27の度当て27cが配設できる程度に形成されており、この切欠部2cに各度当て23c,27cを嵌合し、その表面から第2保持器23Bを配設することで、一方向クラッチは回り止め固定されるとともに外輪の軸方向の抜けが規制される(周方向及び軸方向の移動が規制される)。
【0031】
なお、切欠部2cは、円周壁2Cに1個所以上形成されていれば良いが、本実施形態では、第1保持器23A及び外輪27に形成される度当てと同数となるように、円周方向に等間隔で2箇所(180°間隔で中心Оに対して対称となる2個所)形成されている。このように、切欠部2cについては、第1保持器23A及び外輪27に形成される度当てと同数で、2箇所以上設けておくことで、一方向クラッチがガタ付くことなく、安定して保持することが可能となる。
【0032】
前記度当て23c,27cの外周面は、円周壁2Cの切欠部2c部分で径方向に露出しており、指を当て付けて摘まむことが可能となっている。このため、露出する各度当てによって、第1保持器23A及び外輪27を一体的に摘まみ易くなり、一方向クラッチ20の着脱作業性の向上が図れるようになる。この場合、切欠部2cの開口側(上端側)には、上方に移行するにしたがって次第に広がるように面取り2dを形成しておくことが好ましい(
図6参照)。このような面取り2dを形成しておくことで、第1保持器23A及び外輪27の着脱操作が行ない易くなる。
【0033】
上記した構成において、第1保持器23Aの度当て23cと切欠部2cについては、
図8に示すように、隙間なく接触(遊度がない状態で接触)するように構成することが好ましい。すなわち、両者の間に遊度が存在していると、内輪21が釣糸巻き取り方向に回転した状態では、付勢バネ24を保持している第1保持器23Aも内輪によって連れ回り作用を受け、付勢バネ24は周方向に移動するようになる(
図7において、付勢バネ24は、遊度の分、第1保持器と共に時計回り方向へ連れ回りする)。この状態で逆回転側に負荷がかかると、その遊度の分だけ、各転がり部材25を外輪27の楔領域27aに移動させる時間が延びてしまうため、制動までの時間がかかってしまい、迅速なロック性能を発揮することができない。これに対し、第1保持器23Aの度当て23cと切欠部2cを、
図8に示すように、隙間がない嵌合状態にすることで、付勢バネ24の固定位置を維持することができ、遊度による作動までの時間がかかることはなく、逆回転時に速やかなロック性能を発揮することが可能となる。
【0034】
なお、第1保持器23Aの外周面23gと円周壁2Cとの間については、隙間Sが生じる程度に形成しておいても良く、これにより、第1保持器23Aの公差を吸収することが可能となる。
【0035】
また、前記外輪27については、
図7に示すように、度当て27cと切欠部2cとの間、及び、外輪27の外周面と円周壁2Cの内周面との間に多少の遊度S1を持たせた状態にする構成することが好ましい。このように構成することで、外輪27と円周壁2Cに多少の公差が生じて、中心Оに対して同芯度がずれたとしても、そのずれを吸収することができ、これにより、スムーズな回転性能を確保しつつ、ガタ付きを防止し、更には、着脱操作を容易に行うことができる。また、外輪27を、円周壁2C内に嵌合させて両者の間が非接触状態(遊度S1が生じる)となるように構成することで、前記内輪21をセンタリングした際、外輪27と円周壁2Cとの間で非接触状態を維持して、両部材間で導通しないようにすることが可能となる。
【0036】
上記した構成では、外輪27と第2保持器23Bとの間に、外輪27と第2保持器23Bとを位置決めする位置決め部を設けておくことが好ましい。このような位置決め部を設けておくことで、上記したように、第1保持器23Aと第2保持器23Bを連結構造(係合固定部)で一体化した際、両者の位置関係が保持されるようになり、上記した構成部材をアッセンブリ化した一方向クラッチをリール本体に組み込み易くすることができる。すなわち、第1保持器23Aの度当て23cと外輪27の度当て27cを揃えた状態で位置決めが成されることから、取り扱いが容易となり、円周壁2Cの切欠部2cへ組み付け易くなる。
【0037】
前記位置決め部は、外輪27と保持器23との間の位置を固定するものであれば良い。例えば、本実施形態の位置決め部は、外輪27の度当て27cの外周面27c1に形成された凹所27c2と、第2保持器23Bに形成され、前記凹所27c2に嵌合する突起部23c2とを備えて構成されている。この場合、第2保持器23Bには、上記した度当て23c,27cと重なる位置に、径方向に突出する一対の突出片23mが形成されており、この突出片23mの外周面23nに前記突起部23c2が垂下するように形成されている。
【0038】
上記した位置決め部を配設することで、円板状に形成された第1保持器23A、外輪27、第2保持器23Bを重ね、それぞれ径方向に突出する第1保持器23Aの度当て23c及び外輪27の度当て27cに対して、第2保持器23Bの突出片23mを位置合わせすることが容易に行えるようになる。このため、第2保持器23Bを軸方向に沿って外輪27に被せるようにすることで、前記突起部23c2が前記凹所27c2に嵌合されて位置決めが成され、アッセンブリ化が容易に行えるようになる。
【0039】
なお、円周壁2Cの径(円周壁の外周面の径)と、前記外輪27の最外径(度当て27cの露出側の外周面27c1の径)が同一となるように構成することで、一方向クラッチを小型化することが可能となる。
【0040】
更に、本実施形態では、第2保持器23B上に、リング状に形成された電食防止プレート(防食プレート;防食部材とも称する)28を軸方向に重ねて装着するようにしている(
図9参照)。
【0041】
一般的に、一方向クラッチの外輪は、リール本体に形成された円筒部と接触するように配設される。通常、外輪は、SUSにニッケルメッキ等の耐食被膜を形成した構造であるため、リール本体側をアルマイト処理したADC12、或いは、高強度樹脂材のような非金属材料で構成すると、両者の間で腐食の問題は発生し難いが、リール本体をマグネシウム系の金属材料で形成すると、両者の間の電位差が大きくなって腐食(電食)が生じ易くなる。
【0042】
上記した構成では、外輪27とリール本体2の円周壁2Cとの接触部分は、切欠部2cと、これに当て付く度当て27cの周方向両サイド27e,27fであることから、この部分を絶縁状態にすれば良い。
本実施形態の防食プレート28は、一方向クラッチ20に重ねられるように、軸方向から着脱可能に構成されており、リール本体が大型化しないように、板状でリング形状に構成されている。
【0043】
防食プレート28は、例えば、
図9に示すように構成することが可能である。
図9に示す防食プレート28は、第2保持器23Bの径方向外方に配設され、第2保持器23Bの表面部分に載置されるリング状の本体28aを有している。本体28aの直径方向の両側には、それぞれ径方向外方に突出する突片28bが形成されており、各突片28bの両側には、軸方向に垂下する脚部28cが一対設けられている。
【0044】
前記突片28bは、前記外輪27の度当て27cと略同一の形状に形成されており、一対の脚部28cは、本体28aを軸方向から外輪27の表面部分に載置した際、度当て27cの周方向両サイド27e,27fと、切欠部2cとの間に介在する(差し込まれる)ように構成されている(
図4~
図7参照)。この場合、外輪27を、度当て27cと切欠部2cとの間で多少の遊度を持たせるのであれば、防食プレート28を設置する構成においても、介在される脚部28cと切欠部2cとの間に同様な遊度が生じるように設定すれば良い。
【0045】
前記防食プレート28は、両部材との間に介在(一対の脚部28cが介在)されて、導通させないような絶縁材料で構成されたものであれば良い。例えば、リール本体(筒状部)がマグネシウムで構成されている場合、外輪との間で電位差が少ない材料、例えば、アルミ系材料(アルマイト処理されたアルミニウム合金)を用いることが好ましい。このような材料は、プレス成形等で容易に作成することができ、非磁性で構成されるので、以下のような磁気シール機構を配設しても、磁石に引き寄せられることはなく、アルマイト層を形成することで通電することもない。更に、形状がプレス成形で安定しているため、組み込みや取り外しが容易であると共に、回転性に影響を与えることもない。
【0046】
前記防食プレート(防食部材)の構成材料については、外輪27とリール本体の材料に応じて適切な材料を選択すれば良く、その他の金属材料や樹脂材料等で構成することも可能である。また、防食プレートについては、防食作用を有する部材を、一方向クラッチとリール本体との間に差し込むような構成であれば、その形状は適宜、変形することが可能である。
なお、防食プレート28については、配設しない構成であっても良い。
【0047】
上記した構成の一方向クラッチ20及びこれを組み込んだ魚釣用リールによれば、ハンドル(ロータ3)の釣糸繰出し方向の回転(逆回転)が防止される。
すなわち、ハンドルを釣糸巻き取り方向に回転操作してピニオンが回転駆動される(
図7の時計回り方向に回転駆動される)と、ピニオンと共に内輪21も同方向に回転する。この際、保持器23(第1保持器23A)に保持される転がり部材25は、外輪27のフリー領域27bに移動するので、内輪21の回転力が外輪27に伝達されずピニオン11と共にロータ3は支障なく回転することができる。
【0048】
これに対して、ピニオンと共に内輪21が逆回転(ロータ3が釣糸繰出し方向に回転)しようとすると、保持器23(第1保持器23A)に保持される転がり部材25は、反時計回り方向に転動すると共に付勢バネ24によって外輪27の楔領域27aに位置するため、内輪21の回転力が外輪27に伝達される。この場合、外輪27は度当て27cによって回転が規制されているため、これがストッパとなって、ピニオン及びロータ3の逆回転が阻止される。
【0049】
また、上記した一方向クラッチ20は、リール本体2の円周壁2Cに形成された切欠部2cに度当て23c、27cを配置する構成であり、ネジによってリール本体への組み付けが不要となるので、ネジの座面を外輪の径方向外方に設けたり、座面用に強度を向上する必要がなくなる。これにより、取り扱いが容易で、リール全体の小型、軽量化を達成することが可能となる。
【0050】
特に、一方向クラッチ20は、転がり部材25を付勢保持した第1保持器23A、外輪27、及び、第2保持器23Bが予めアッセンブリ化されており、外輪27は両保持器23A,23Bによって抜け止めされることから、小型、軽量化を図りつつ取り扱い性が容易となり、メンテナンス性の向上、及び、リール本体に対する組み付け性が良くなる。
【0051】
また、第1保持器23A、外輪27にそれぞれ度当て23c、27cを形成し、これをリール本体2の円周壁2Cに形成された切欠部2cに配置する(好ましくは2箇所以上配置する)ことで、逆転方向にかかる負荷を効果的に受け止めることができる。この場合、第2保持器23Bに突出片23mを形成し、度当て23c、27cと共に軸方向に重なるような構成にしたことで(
図3参照)、各構成部材を一度に指で摘まんで着脱操作し易くなり、アッセンブリ構造として取り扱い性の向上が図れると共に、メンテナンス性の向上が図れる。すなわち、度当て23c、27c及び突出片23mは、直径方向で対称に設けているため、容易に摘まむことができ、一方向クラッチの着脱操作が容易に行えるようになる。
【0052】
また、外輪27と、リール本体の円周壁2Cの内周面及び切欠部2cとの間に隙間を持たせたことで、芯ずれ等が生じてもスムーズな回転を確保することができ、安定した逆転防止作用を発揮することが可能となる。この場合、第1保持器23Aをリール本体(切欠部2c)に対して隙間なく嵌合させることで、内輪21の釣糸巻き取り方向に伴う保持器23の回動(付勢バネ24の連れ回り)が規制された状態となり、スムーズな回転に加え、逆回転時の制動までの時間がかからなくなり、操作性が安定した逆転防止機能を発揮することができる。
【0053】
なお、上記した一方向クラッチ20をリール本体に組み込んだ後、
図1及び
図2に示すように、一方向クラッチ20に対する防水、防塵効果を高めるように、磁気シール機構50を配設しても良い。
【0054】
この磁気シール機構50は、公知のように、駆動軸(内輪21)の外周面との間に微小隙間を介在して配設されるリング形状の磁性板(極板)51,52と、磁性板間に挟持されるリング状の磁石53とを備え、駆動軸と磁性板との間の隙間に磁性流体を充填した構成となっている。
【0055】
また、本実施形態では、前記円周壁2Cと前記一方向クラッチ20を包み込むように、リール本体に防水キャップ60を設けている。この防水キャップ60は、一方向クラッチ20を包囲する円筒部61と、スプール側の開口を閉塞するカバー部62とを備えた形状となっており、カバー部62の内面に、前記磁気シール機構50の磁性板51が密着されている。
【0056】
このように、一方向クラッチ20のスプール側に磁気シール機構50を配設すると共に、円周壁2Cと一方向クラッチ20を包み込むように、防水キャップ60を設けることで、水分や塵等の異物が浸入することが防止され、耐久性を高めることが可能となる。
【0057】
図10は、一方向クラッチの第2の実施形態を示しており、第1保持器35Aとリール本体側の規制部(切欠部2c)との嵌合状態を示す図である。以下に説明する実施形態では、上記した実施形態と同様な構成部分については、同一の参照符号を付し、詳細な説明については省略する。
上記した実施形態では、位置決め部は、外輪27と第2保持器23Bとの間、具体的には、
図5~
図7に示したように、外輪27の度当て27cの外周面27c1に凹所27c2を形成し、第2保持器23Bに、前記凹所27c2に嵌合する突起部23c2を形成したが、突起部については、第1保持器23Aに形成しても良い。すなわち、第1保持器23Aの各度当て23cの外周面23pに、同様な位置決め機能を有する突起部23c3を軸方向上側に向けて一体形成しても良い。
【0058】
このように、位置決め部を構成する突起部を第1保持器23Aに形成することで、第2保持器23Bを、突起部がない構造体に代用できるため、設計の自由度の向上が図れるようになる。
【0059】
図11は、一方向クラッチの第3の実施形態を示しており、第1保持器と外輪との間に配設される位置決め部の構成を示す斜視図である。
上記した位置決め部は、外輪27の度当ての外周面に形成された凹所27c2と、第1保持器又は第2保持器に形成された突起部23c3、23c2によって構成したが、例えば、外輪27の内周面に形成された凹所27kと、第1保持器23Aに形成され、凹所27kに嵌合する径方向突部23kによって構成しても良い。
【0060】
このように、外輪27の径方向内側で位置決めすることで、位置決め部が径方向外方に露出することがなくなり、上記した実施形態における突起部23c2、23c3を傷付けたり、損傷することを防止することができる。この場合、凹所27k、及び、凹所に嵌合する径方向突部23kを形成する位置、形状、個数については限定されることはないが、径方向に突出する度当て27cの部分に形成することで、強度を確保することが可能となる。また、このような凹所27kは、前記楔領域27a、フリー領域27bと共に、打ち抜き加工することで容易に形成することが可能である。
【0061】
図12は、本発明に係る魚釣用リールの別の構成例を示す分解斜視図、
図13は、
図12に示す一方向クラッチの固定状態を示す斜視図である。
【0062】
本実施形態の一方向クラッチ20は、上記した実施形態と同様、アッセンブリ構造となっており、第1保持器23A、及び、外輪27に180°間隔で度当て23c、27cが形成されている。また、リール本体2に、度当て23c、27cの側面が当て付いて外輪の回転を規制する当接部(規制部)2Eが形成されている。この場合、当接部2Eは、第1の実施形態のように、円筒状に構成するのではなく、軸方向に突出して度当ての側面が当て付いて回転を規制する構造(例えば、ボス、リブ等)であれば良い。このため、度当てを第1保持器、及び、外輪に1か所設ける構成であれば、その両方向の回転を規制するように、度当ての周方向両側の2点で当て付くように設置すれば良い。
【0063】
なお、本実施形態の度当て23c、27cは、180°間隔で2個所形成しているため、各度当ての周方向両側に当接部2Eが設けられており、それぞれ度当ての周方向両側の2点(当接部2Eの側面2E´)で当て付くように構成している。
【0064】
このような構成によれば、上記した実施形態と同様、防食プレート28によってリール本体の腐食を防止することができると共に、切欠部2cを有する円周壁2Cを設けなくても、一方向クラッチ20を回り止め固定することができ、より軽量化、小型化を図ることが可能となる。また、このような構成では、当接部の周囲にスペースが生じるため、一方向クラッチ20の着脱操作が容易に行えるようになる。
【0065】
さらに、このような当接部2Eは、前記度当て23c、27cの最外径位置よりも径方向内側で、2点当接するように形成することが好ましい。
このような構成では、当接部2Eを薄肉厚化することができるので、さらに軽量化を図ることが可能となる。
【0066】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
上記した構成の度当て23c、27cについては、その形状については適宜、変形することが可能である。例えば、度当ての露出側の表面は、円周壁2Cの切欠部2c内において、円周壁2Cから径方向に突出していても良いし、突出しないようにしても良い。また、
図12に示す構成では、度当ての周方向両側で、当接部2Eに当て付くように構成したが、度当ての中央部分に、軸方向に沿って凹所を形成しておき、この凹所に嵌まり込むように当接部を形成しても良い。或いは、度当ての両サイドに当て付くように、断面コの字型で軸方向に延出する当接部をリール本体に設けても良い。
【0067】
上記した構造では、第1保持器23Aの度当て23cと、外輪27の度当て27cを、同一な位置で重なるように構成したが、周方向にずれた位置で各度当てを重ねた構成であっても良い。
【0068】
上記した実施形態の一方向クラッチは、保持器23を固定状態にしてロータの逆回転を防止したが、リール本体の外部に突出する操作部材を設け、操作部材の操作で保持器を回動させることで転がり部材をフリー領域に位置させ、ロータの逆回転を許容するような構造であっても良い。また、一方向クラッチ20の軸方向の移動を規制するように、別途、一方向クラッチ20に隣接して規制プレート(図示せず)を配設しても良い。
【0069】
また、本実施形態では、魚釣用リールとしてスピニングリールを例示したが、上記したようにアッセンブリ化した一方向クラッチ20については、それを組み込むことが可能な他のリール(両軸受け型リール等)にも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 スピニングリール(魚釣用リール)
2 リール本体
2C 円周壁(規制部)
2c 切欠部
3 ロータ
20 一方向クラッチ
23 保持器
23A 第1保持器
23B 第2保持器
23c 度当て
27 外輪
27c 度当て