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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032094
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】電源回路
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
H02J1/00 308C
H02J1/00 306B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135550
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】松本 碧人
【テーマコード(参考)】
5G165
【Fターム(参考)】
5G165BB05
5G165EA01
5G165FA01
5G165KA02
5G165LA01
5G165NA10
(57)【要約】
【課題】複数の電子回路を有するシステムの稼働率を向上させる。
【解決手段】DC電源からの電力供給を受けることにより起動する第1のDC/DC電源と、起動した前記第1のDC/DC電源から電力供給を受けてON状態に遷移する第1のリレースイッチと、ON状態の前記第1のリレースイッチを介して前記DC電源からの電力供給を受けることにより起動する第2のDC/DC電源と、前記第1のリレースイッチと並列に設けられ、起動した前記第2のDC/DC電源から電力供給を受けることによりON状態に遷移する第2のリレースイッチと、を備える、電源回路が提供される。
【選択図】図5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DC電源からの電力供給を受けることにより起動する第1のDC/DC電源と、
起動した前記第1のDC/DC電源から電力供給を受けてON状態に遷移する第1のリレースイッチと、
ON状態の前記第1のリレースイッチを介して前記DC電源からの電力供給を受けることにより起動する第2のDC/DC電源と、
前記第1のリレースイッチと並列に設けられ、起動した前記第2のDC/DC電源から電力供給を受けることによりON状態に遷移する第2のリレースイッチと、
を備える、電源回路。
【請求項2】
前記電源回路は、
起動した前記第2のDC/DC電源から電力供給を受けてON状態に遷移する第3のリレースイッチと、
ON状態の前記第3のリレースイッチを介して前記DC電源からの電力供給を受けることにより起動する第3のDC/DC電源と、
前記第3のリレースイッチと並列に設けられ、起動した前記第3のDC/DC電源から電力供給を受けることによりON状態に遷移する第4のリレースイッチと、
を備える、請求項1に記載の電源回路。
【請求項3】
前記電源回路は、
前記DC電源からの電力供給を受けることにより起動する第4のDC/DC電源と、
起動した前記第4のDC/DC電源から電力供給を受けてON状態に遷移する第5のリレースイッチと、
ON状態の前記第5のリレースイッチを介して前記DC電源からの電力供給を受けることにより起動する第5のDC/DC電源と、
前記第1のリレースイッチと並列に設けられ、起動した前記第5のDC/DC電源から電力供給を受けることによりON状態に遷移する第6のリレースイッチと、
を備える、請求項1に記載の電源回路。
【請求項4】
前記電源回路は、
前記第5のリレースイッチと並列に設けられ、起動した前記第5のDC/DC電源から電力供給を受けることによりON状態に遷移する第7のリレースイッチと、
前記第5のリレースイッチと並列に設けられ、起動した前記第1のDC/DC電源から電力供給を受けることによりON状態に遷移する第8のリレースイッチと、
を備える、請求項3に記載の電源回路。
【請求項5】
前記電源回路は、
前記第4のDC/DC電源と並列に設けられた第6のDC/DC電源を備える、
請求項3に記載の電源回路。
【請求項6】
前記電源回路は、
前記第1のDC/DC電源と並列に設けられた第7のDC/DC電源を備える、
請求項1~5のいずれか一項に記載の電源回路。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子回路に電力を供給する電源を有する電源回路に関する技術が知られている。例えば、電源から電子回路への電力供給を制御する制御装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
より詳細に、かかる制御装置は、電源からの電力供給を受けると起動する制御部を備える。さらに、制御装置は、制御部の起動に基づいて電源から電子回路への電力供給をONにする第一のリレースイッチと、第一のリレースイッチと並列に設けられ、第一のリレースイッチのONに基づいて電源から電子回路への電力供給をONにする第二のリレースイッチとを備える。かかる構成によれば、電源から電子回路に安定的に電力が供給され得る。
【0004】
さらに、複数のスイッチング素子をONにするタイミングをずらす技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。かかる技術では、例えば、あるスイッチング素子のONによって電源出力回路からプリンタヘッドへの電力供給が開始されてから、ある遅延時間後に、他のスイッチング素子のONによって電源出力回路からディスプレイへの電力供給が開始される。これによって、プリンタの状態をディスプレイに表示させる前に、プリンタを使用可能な状態にしたいという要求が満たされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-191562号公報
【特許文献2】特開2006-129641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、複数の電子回路を有するシステムにおいては、電子回路ごとに必要な電圧が異なることが想定され得る。したがって、電源から印加される電圧を変換するコンバータが電子回路ごとに必要となる。このとき、複数のコンバータが同時に起動してしまうと、コンバータに突入する電流(以下、「突入電流」とも言う。)の値が大きくなってしまう。そして、コンバータへの突入電流値が大きくなってしまうことは、コンバータの破損または誤作動の原因となり得る。
【0007】
さらに、コンバータをONにするリレースイッチがコンバータごとに設けられている場合には、いずれかのコンバータからの出力が停止してしまうと、出力が停止したコンバータから電圧が印加されなくなったリレースイッチおよび電子回路がオフになってしまう。これによって、出力が停止したコンバータの次段以降のコンバータおよび電子回路がすべて停止してしまうことが生じ得る。そのため、複数の電子回路を有するシステムの稼働率を向上させることが求められる。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、複数の電子回路を有するシステムの稼働率を向上させることが可能な、新規かつ改良された技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、DC電源からの電力供給を受けることにより起動する第1のDC/DC電源と、起動した前記第1のDC/DC電源から電力供給を受けてON状態に遷移する第1のリレースイッチと、ON状態の前記第1のリレースイッチを介して前記DC電源からの電力供給を受けることにより起動する第2のDC/DC電源と、前記第1のリレースイッチと並列に設けられ、起動した前記第2のDC/DC電源から電力供給を受けることによりON状態に遷移する第2のリレースイッチと、を備える、電源回路が提供される。
【0010】
前記電源回路は、起動した前記第2のDC/DC電源から電力供給を受けてON状態に遷移する第3のリレースイッチと、ON状態の前記第3のリレースイッチを介して前記DC電源からの電力供給を受けることにより起動する第3のDC/DC電源と、前記第3のリレースイッチと並列に設けられ、起動した前記第3のDC/DC電源から電力供給を受けることによりON状態に遷移する第4のリレースイッチと、を備えてもよい。
【0011】
前記電源回路は、前記DC電源からの電力供給を受けることにより起動する第4のDC/DC電源と、起動した前記第4のDC/DC電源から電力供給を受けてON状態に遷移する第5のリレースイッチと、ON状態の前記第5のリレースイッチを介して前記DC電源からの電力供給を受けることにより起動する第5のDC/DC電源と、前記第1のリレースイッチと並列に設けられ、起動した前記第5のDC/DC電源から電力供給を受けることによりON状態に遷移する第6のリレースイッチと、を備えてもよい。
【0012】
前記電源回路は、前記第5のリレースイッチと並列に設けられ、起動した前記第5のDC/DC電源から電力供給を受けることによりON状態に遷移する第7のリレースイッチと、前記第5のリレースイッチと並列に設けられ、起動した前記第1のDC/DC電源から電力供給を受けることによりON状態に遷移する第8のリレースイッチと、を備えてもよい。
【0013】
前記電源回路は、前記第4のDC/DC電源と並列に設けられた第6のDC/DC電源を備えてもよい。
【0014】
前記電源回路は、前記第1のDC/DC電源と並列に設けられた第7のDC/DC電源を備えてもよい。
【発明の効果】
【0015】
以上説明した本発明によれば、複数の電子回路を有するシステムの稼働率を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】複数のDC/DC電源への突入電流値の時間変化の例を示す図である。
図2】比較例に係る電源回路の構成例を示すブロック図である。
図3】すべてのDC/DC電源の起動が完了した時点における、比較例に係る電源回路9の構成例を示すブロック図である。
図4】比較例が有する改善すべき点について説明するための図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る電源回路の構成例を示すブロック図である。
図6】すべてのDC/DC電源の起動が完了した時点における、本発明の第1の実施形態に係る電源回路1の構成例を示すブロック図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係る電源回路1が奏する効果について説明するための図である。
図8】本発明の第2の実施形態に係る電源回路の構成例を示すブロック図である。
図9】本発明の第2の実施形態においてDC電源A0の電源がONにされる前に、いずれかのDC/DC電源が故障している場合について説明するための図である。
図10】本発明の第3の実施形態に係る電源回路の構成例を示すブロック図である。
図11】本発明の第3の実施形態においてDC電源A0の電源がONにされる前に、初段のDC/DC電源C1および初段のDC/DC電源F1が故障している場合について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0018】
<0.電源回路の概要>
本発明の実施形態に係る電源回路の概要について説明する。
【0019】
近年、複数の電子回路を有するシステムが知られている。かかるシステムにおいては、電子回路ごとに必要な電圧が異なることが想定され得る。したがって、電源から印加される電圧を変換するコンバータが電子回路ごとに必要となる。一例として、大型電子機器には、大量の電子回路が組み込まれていることがある。このような大型電子機器では、多数のコンバータが必要となる。
【0020】
なお、以下では、電源によって印加される電圧が直流(DC:Direct Current)電圧である場合を想定する。したがって、電源を「DC電源」とも言う。したがって、コンバータは、DC電源から出力される電圧を変換するDC/DCコンバータ(以下、「DC/DC電源」とも言う。)に該当し得る。また、以下の説明において、「電圧が印加されること」および「閾値以上の大きさの電圧が印加されること」それぞれは、「電力が供給されること」とも換言され得る。
【0021】
(比較例の説明)
ここで、図1を参照しながら、複数のDC/DC電源への突入電流値の時間変化について説明する。図1は、複数のDC/DC電源への突入電流値の時間変化の例を示す図である。図1を参照すると、複数のDC/DC電源が同時に起動する場合における、複数のDC/DC電源への突入電流値の時間変化が「同時起動時」のグラフによって示されている。
【0022】
「同時起動時」のグラフを参照すると、複数のDC/DC電源への突入電流値が大きくなってしまっていることが把握される。複数のDC/DC電源への突入電流値が大きくなってしまうことは、DC/DC電源の破損または誤作動の原因となり得る。そこで、このような突入電流値が大きくなってしまうことを防止するために、リレースイッチを用いて複数のDC/DC電源を連鎖的に起動させることが想定される。
【0023】
図1を参照すると、複数のDC/DC電源が連鎖的に起動する場合における、複数のDC/DC電源への突入電流値の時間変化が「分散起動時」のグラフによって示されている。「分散起動時」のグラフを参照すると、複数のDC/DC電源が互いに異なるタイミングに時分割で起動しているため、複数のDC/DC電源への突入電流値が抑制されていることが把握される。
【0024】
続いて、図2を参照しながら、リレースイッチを用いて複数のDC/DC電源を連鎖的に起動させる比較例について説明する。
【0025】
(比較例の構成)
図2は、比較例に係る電源回路の構成例を示すブロック図である。図2に示されるように、比較例に係る電源回路9は、DC電源A0を備える。さらに、比較例に係る電源回路9は、初段の構成として、DC/DC電源C1および電子回路D1を備える。
【0026】
また、電源回路9は、第k段(ただし、kは、2≦k≦nを満たす任意の整数)の構成として、リレースイッチBk、DC/DC電源Ckおよび電子回路Dkを備える。ただし、nは、2以上の整数である。図2には、第2段の構成として、リレースイッチB2、DC/DC電源C2および電子回路D2が示され、第3段の構成として、リレースイッチB3、DC/DC電源C3および電子回路D3が示され、第n段の構成として、リレースイッチBn、DC/DC電源Cnおよび電子回路Dnが示されている。
【0027】
例えば、電子回路D1~Dnそれぞれは、入力装置または出力装置であり得る。入力装置は、センサ(例えば、音響センサなど)であり得る。出力装置は、プリンタ、ディスプレイまたは他の出力装置であり得る。電子回路D2~Dnも、電子回路D1と同様の入力装置または出力装置であり得る。なお、電子回路D1~Dnは、一つのシステム(例えば、電子機器など)を構成する。
【0028】
DC電源A0は、初段のDC/DC電源C1と接続されている他、第2段のリレースイッチB2から第n段のリレースイッチBnまでのそれぞれと接続されている。DC/DC電源C1は、初段の電子回路D1と接続されている。
【0029】
リレースイッチBkは、自身と同じ段のDC/DC電源Ckと接続されている。図2に示された例では、リレースイッチB2がDC/DC電源C2と接続され、リレースイッチB3がDC/DC電源C3と接続され、リレースイッチBnがDC/DC電源Cnと接続されている。
【0030】
DC/DC電源Ckは、自身と同じ段の電子回路Dkと接続されている。図2に示された例では、DC/DC電源C2が電子回路D2と接続され、DC/DC電源C3が電子回路D3と接続され、DC/DC電源Cnが電子回路Dnと接続されている。
【0031】
また、DC/DC電源C(k-1)は、次段のリレースイッチBkと接続線N(k-1)によって接続されている。図2に示された例では、DC/DC電源C1がリレースイッチB2と接続線N1によって接続され、DC/DC電源C2がリレースイッチB3と接続線N2によって接続され、DC/DC電源C(n-1)(不図示)がリレースイッチBnと接続線N(n-1)によって接続されている。
【0032】
(比較例の動作)
このような電源回路9において、DC電源A0の電源がONにされると、DC電源A0に接続された初段のDC/DC電源C1(第1のDC/DC電源)が起動する。これによって、初段のDC/DC電源C1の出力部と接続された電子回路D1に対して、初段のDC/DC電源C1によって電圧が印加された後、初段のDC/DC電源C1によって接続線N1により第2段のリレースイッチB2(第1のリレースイッチ)に対して、閾値以上の大きさの電圧が印加される。
【0033】
第2段のリレースイッチB2に対して、閾値以上の大きさの電圧が印加されると、第2段のリレースイッチB2がON状態に遷移する。これによって、DC電源A0によって第2段のリレースイッチB2を介して、第2段のDC/DC電源C2(第2のDC/DC電源)に電圧が印加されることによって、第2段のDC/DC電源C2が起動する。これによって、第2段のDC/DC電源C2によって第2段の電子回路D2に対して電圧が印加された後、第2段のDC/DC電源C2によって接続線N2により第3段のリレースイッチB3(第3のリレースイッチ)に対して、閾値以上の大きさの電圧が印加される。
【0034】
続いて、DC/DC電源C2によって閾値以上の大きさの電圧が印加されたリレースイッチB3がON状態に遷移し、ON状態に遷移したリレースイッチB3を介して、DC電源A0によってDC/DC電源C3(第3のDC/DC電源)に電圧が印加されることによって、DC/DC電源C3が起動し、DC/DC電源C3によって電子回路D3に対して電圧が印加され、DC/DC電源C3の次段のリレースイッチB4に対して、DC/DC電源C3によって閾値以上の大きさの電圧が印加される。
【0035】
以降においては、k=3,・・・,n-2について、前段のDC/DC電源Ckによって閾値以上の大きさの電圧が印加されたリレースイッチB(k+1)がON状態に遷移し、ON状態に遷移したリレースイッチB(k+1)と同じ段のDC/DC電源C(k+1)が起動し、DC/DC電源C(k+1)によって電子回路D(k+1)に対して電圧が印加され、DC/DC電源C(k+1)の次段のリレースイッチB(k+2)に対してDC/DC電源C(k+1)によって閾値以上の大きさの電圧が印加されることが繰り返される。
【0036】
そして、最終的に、リレースイッチBnがON状態に遷移し、第n段のDC/DC電源Cnが起動し、第n段の電子回路Dnに対して電圧が印加される。
【0037】
図3は、すべてのDC/DC電源の起動が完了した時点における、比較例に係る電源回路9の構成例を示すブロック図である。図3を参照すると、すべてのリレースイッチB2~BnがON状態に遷移し、DC/DC電源C1~Cnの起動が完了している。このようにして、DC/DC電源C1~Cnが異なるタイミングに起動することによって、DC/DC電源C1~Cnへの突入電流値が抑制される。
【0038】
(比較例の改善すべき点)
しかしながら、比較例は改善すべき点を有している。図4を参照しながら、比較例が有する改善すべき点について説明する。
【0039】
図4は、比較例が有する改善すべき点について説明するための図である。すべてのリレースイッチB2~BnがON状態に遷移し、DC/DC電源C1~Cnの起動が完了しているときに、図4に示されるように、DC/DC電源C2の出力部Exが何らかの理由によって(例えば、出力部Exにおける接触不良などによって)停止した場合を想定する。
【0040】
かかる場合には、DC/DC電源C2によってDC/DC電源C2の次段のリレースイッチB3に閾値以上の大きさの電圧が印加されなくなるため、図4に示されるように、リレースイッチB3がOFF状態に遷移してしまう(S91)。これによって、DC電源A0によってリレースイッチB3を介してDC/DC電源C3に電圧が印加されなくなるため、DC/DC電源C3が停止してしまい、DC/DC電源C3から電圧が印加されなくなる電子回路D3も停止状態に遷移してしまう(S92)。
【0041】
第4段以降においても、リレースイッチがOFF状態に遷移してしまうとともに、DC/DC電源が停止してしまう。そして、最終的に、最終段のリレースイッチBnがOFF状態に遷移してしまうとともに(S93)、最終段のDC/DC電源Cnが停止状態に遷移してしまい、最終段の電子回路Dnも停止状態に遷移してしまう(S94)。すなわち、いずれかのDC/DC電源の出力部が停止してしまうと、出力部が停止したDC/DC電源の次段以降のDC/DC電源もすべて停止してしまうという点が改善すべき点である。
【0042】
そこで、本発明の実施形態においては、比較例が有する改善すべき点をどのようにして改善するかについて主に説明する。
【0043】
以上、本発明の実施形態に係る電源回路の概要について説明した。
【0044】
<1.第1の実施形態>
続いて、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0045】
(構成)
まず、図5を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る電源回路の構成例について説明する。
【0046】
図5は、本発明の第1の実施形態に係る電源回路の構成例を示すブロック図である。図5を参照すると、本発明の第1の実施形態に係る電源回路1が示されている。さらに、図5を参照すると、本発明の第1の実施形態に係る電源回路1のうち、比較例に係る電源回路9(図2)と特に異なる構成が太線によって強調されている。
【0047】
この太線からも把握されるように、本発明の第1の実施形態に係る電源回路1は、リレースイッチB2-α~Bn-αを備える点が、比較例に係る電源回路9(図2)と比較して主に異なっている。したがって、以下では、リレースイッチB2-α~Bn-αについて主に説明し、本発明の第1の実施形態に係る電源回路1のうち、比較例に係る電源回路9(図2)と共通する構成についての詳細な説明は省略する。
【0048】
電源回路1は、第k段(ただし、kは、2≦k≦nを満たす任意の整数)の構成として、リレースイッチBk-αを備える。ただし、nは、2以上の整数である。図5には、第2段の構成として、リレースイッチB2-αが示され、第3段の構成として、リレースイッチB3-αが示され、第n段の構成として、リレースイッチBn-αが示されている。リレースイッチBk-αは、リレースイッチBkと並列に設けられている。
【0049】
したがって、第2段のリレースイッチB2-αから第n段のリレースイッチBn-αまでのそれぞれは、DC電源A0と接続されている。
【0050】
リレースイッチBk-α(ただし、kは、2≦k≦nを満たす任意の整数)は、自身と同じ段のDC/DC電源Ckと接続されている。図5に示された例では、リレースイッチB2-αがDC/DC電源C2と接続され、リレースイッチB3-αがDC/DC電源C3と接続され、リレースイッチBn-αがDC/DC電源Cnと接続されている。
【0051】
また、リレースイッチBk-αは、自身と同じ段のDC/DC電源Ckの出力部と接続線Mkによって接続されている。図5に示された例では、リレースイッチB2-αがDC/DC電源C2の出力部と接続線M2によって接続され、リレースイッチB3-αがDC/DC電源C3の出力部と接続線M3によって接続され、リレースイッチBn-αがDC/DC電源Cnの出力部と接続線Mnによって接続されている。
【0052】
(動作)
本発明の第1の実施形態に係る電源回路1においても、比較例に係る電源回路9と同様に、DC電源A0の電源がONにされ、初段のDC/DC電源C1が起動し、電子回路D1に対して電圧が印加される。さらに、比較例に係る電源回路9と同様に、第2段のリレースイッチB2に対して閾値以上の大きさの電圧が印加され、第2段のリレースイッチB2がON状態に遷移し、第2段のDC/DC電源C2が起動し、電子回路D2に対して電圧が印加された後、第3段のリレースイッチB3に対して、閾値以上の大きさの電圧が印加される。
【0053】
ここで、本発明の第1の実施形態に係る電源回路1においては、第2段のDC/DC電源C2によって接続線M2により第2段のリレースイッチB2-α(第2のリレースイッチ)に対しても、閾値以上の大きさの電圧が印加される。これによって、第2段のリレースイッチB2-αがON状態に遷移する。
【0054】
続いて、比較例に係る電源回路9と同様に、リレースイッチB3がON状態に遷移し、DC/DC電源C3が起動し、DC/DC電源C3によって電子回路D3に対して電圧が印加された後、リレースイッチB4に対して、閾値以上の大きさの電圧が印加される。
【0055】
ここで、本発明の第1の実施形態に係る電源回路1においては、第3段のDC/DC電源C3によって接続線M3により第3段のリレースイッチB3-α(第4のリレースイッチ)に対しても、閾値以上の大きさの電圧が印加される。これによって、第3段のリレースイッチB3-αがON状態に遷移する。
【0056】
以降においては、k=3,・・・,n-2について、前段のDC/DC電源Ckによって閾値以上の大きさの電圧が印加されたリレースイッチB(k+1)がON状態に遷移し、ON状態に遷移したリレースイッチB(k+1)と同じ段のDC/DC電源C(k+1)が起動し、DC/DC電源C(k+1)によって電子回路D(k+1)に対して電圧が印加され、DC/DC電源C(k+1)の次段のリレースイッチB(k+2)に対してDC/DC電源C(k+1)によって閾値以上の大きさの電圧が印加される他、DC/DC電源C(k+1)と同じ段のリレースイッチB(k+1)-αに対してDC/DC電源C(k+1)によって閾値以上の大きさの電圧が印加されることが繰り返される。
【0057】
そして、最終的に、リレースイッチBnがON状態に遷移し、第n段のDC/DC電源Cnが起動し、第n段の電子回路Dnに対して電圧が印加される他、第n段のリレースイッチBn-αがON状態に遷移する。
【0058】
図6は、すべてのDC/DC電源の起動が完了した時点における、本発明の第1の実施形態に係る電源回路1の構成例を示すブロック図である。図6を参照すると、すべてのリレースイッチB2~Bnの他、リレースイッチB2-α~Bn-αがON状態に遷移し、DC/DC電源C1~Cnの起動が完了している。このようにして、DC/DC電源C1~Cnが異なるタイミングに起動することによって、DC/DC電源C1~Cnへの突入電流値が抑制される。
【0059】
さらに、本発明の第1の実施形態に係る電源回路1は、比較例に係る電源回路9が奏するはずのない効果を奏し得る。図7を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る電源回路1が奏する効果について説明する。
【0060】
図7は、本発明の第1の実施形態に係る電源回路1が奏する効果について説明するための図である。すべてのリレースイッチB2~Bn、および、リレースイッチB2-α~Bn-αがON状態に遷移し、DC/DC電源C1~Cnの起動が完了しているときに、図7に示されるように、DC/DC電源C2の出力部Exの動作が何らかの理由によって(例えば、出力部Exにおける接触不良などによって)停止した場合を想定する。
【0061】
かかる場合には、比較例と同様に、DC/DC電源C2によってDC/DC電源C2の次段のリレースイッチB3に電圧が印加されなくなるため、図7に示されるように、リレースイッチB3がOFF状態に遷移してしまう(S11)。しかし、本発明の第1の実施形態においては、リレースイッチB3-αに、DC/DC電源C3が接続線M3を介して閾値以上の大きさの電圧を印加し続けるため、リレースイッチB3-αが、引き続きON状態を継続する(S12)。
【0062】
これによって、DC電源A0によってリレースイッチB3-αを介してDC/DC電源C3に電圧が印加され続けるため、DC/DC電源C3が稼働状態を継続し、DC/DC電源C3によって電圧が印加され続ける電子回路D3も稼働状態を継続する(S13)。
【0063】
第4段以降においても、リレースイッチがON状態を継続するとともに、DC/DC電源が稼働状態を継続する。そして、最終段のリレースイッチBnもON状態を継続するとともに、最終段のDC/DC電源Cnも稼働状態を継続し、電子回路Dnも稼働状態を継続する(S14)。すなわち、本発明の第1の実施形態に係る電源回路1においては、初段のDC/DC電源C1以外のいずれかのDC/DC電源の出力部が停止してしまったとしても、出力部が停止したDC/DC電源の次段以降のDC/DC電源が停止してしまう可能性が低減される。
【0064】
(効果)
本発明の第1の実施形態によれば、DC/DC電源C1~Cnの起動が完了しているときに、初段のDC/DC電源C1以外のいずれかのDC/DC電源の出力部が停止してしまったとしても、出力部が停止したDC/DC電源の次段以降のDC/DC電源が停止してしまう可能性が低減される。したがって、本発明の第1の実施形態によれば、DC/DC電源C1~Cnから電圧が印加される電子回路D1~Dnを有するシステムの稼働率を向上させることが可能となる。
【0065】
以上、本発明の第1の実施形態について説明した。
【0066】
<2.第2の実施形態>
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0067】
本発明の第1の実施形態に係る電源回路1は、DC電源A0の電源がONにされる前にいずれかのDC/DC電源が故障している場合、故障しているDC/DC電源の次段以降のDC/DC電源を起動させることができないという改善すべき点を有する。本発明の第2の実施形態に係る電源回路2(図8)は、本発明の第1の実施形態が有するかかる改善すべき点を改善する。
【0068】
(構成)
まず、図8を参照しながら、本発明の第2の実施形態に係る電源回路の構成例について説明する。
【0069】
図8は、本発明の第2の実施形態に係る電源回路の構成例を示すブロック図である。図8を参照すると、本発明の第2の実施形態に係る電源回路2が示されている。電源回路2においては、本発明の第1の実施形態に係る電源回路1(図5)にそれぞれ対応する、回路K1と回路K2とが並列に設けられている。回路K1のうち、本発明の第1の実施形態に係る電源回路1と特に異なる構成が太線によって強調されている。
【0070】
この太線からも把握されるように、本発明の第2の実施形態に係る回路K1は、リレースイッチB2-β~Bn-βを備える点が、本発明の第1の実施形態に係る電源回路1(図5)と比較して主に異なっている。したがって、以下では、リレースイッチB2-β~Bn-βについて主に説明し、回路K1のうち、本発明の第1の実施形態に係る電源回路1(図5)と共通する構成についての詳細な説明は省略する。
【0071】
回路K1は、第k段(ただし、kは、2≦k≦nを満たす任意の整数)の構成として、リレースイッチBk-βを備える。ただし、nは、2以上の整数である。図8には、第2段の構成として、リレースイッチB2-βが示され、第3段の構成として、リレースイッチB3-βが示され、第n段の構成として、リレースイッチBn-βが示されている。リレースイッチBk-βは、リレースイッチBkと並列に設けられている。
【0072】
したがって、第2段のリレースイッチB2-βから第n段のリレースイッチBn-βまでのそれぞれは、DC電源A0と接続されている。
【0073】
リレースイッチBk-β(ただし、kは、2≦k≦nを満たす任意の整数)は、自身と同じ段のDC/DC電源Ckと接続されている。図8に示された例では、リレースイッチB2-βがDC/DC電源C2と接続され、リレースイッチB3-βがDC/DC電源C3と接続され、リレースイッチBn-βがDC/DC電源Cnと接続されている。
【0074】
また、リレースイッチBk-βは、回路K2における自身と同じ段のDC/DC電源Fkの出力部と接続されている。図8に示された例では、リレースイッチB2-βがDC/DC電源F2の出力部と接続され、リレースイッチB3-βがDC/DC電源F3の出力部と接続され、リレースイッチBn-βがDC/DC電源Fnの出力部と接続されている。
【0075】
回路K2は、初段の構成として、DC/DC電源F1および電子回路G1を備える。さらに、回路K2は、第k段(ただし、kは、2≦k≦nを満たす任意の整数)の構成として、リレースイッチEk、DC/DC電源Fkおよび電子回路Gkを備える。ただし、nは、2以上の整数である。回路K2のうち、本発明の第1の実施形態に係る電源回路1と特に異なる構成が太線によって強調されている。
【0076】
この太線からも把握されるように、本発明の第2の実施形態に係る回路K2は、リレースイッチE2-β~En-βを備える点が、本発明の第1の実施形態に係る電源回路1(図5)と比較して主に異なっている。したがって、以下では、リレースイッチE2-β~En-βについて主に説明し、回路K2のうち、本発明の第1の実施形態に係る電源回路1(図5)と共通する構成についての詳細な説明は省略する。
【0077】
回路K2の内部の構成同士の接続関係は、回路K1の内部の構成同士の接続関係と同様である。一例として、本発明の第1の実施形態において、リレースイッチBk-αが、自身と同じ段のDC/DC電源Ckと接続されているのと同様に、本発明の第2の実施形態において、リレースイッチEk-αが、自身と同じ段のDC/DC電源Fkと接続されている。
【0078】
リレースイッチEk-β(ただし、kは、2≦k≦nを満たす任意の整数)は、自身と同じ段のDC/DC電源Fkと接続されている。図8に示された例では、リレースイッチE2-βがDC/DC電源F2と接続され、リレースイッチE3-βがDC/DC電源F3と接続され、リレースイッチEn-βがDC/DC電源Fnと接続されている。
【0079】
また、リレースイッチEk-βは、回路K1における自身より一つ前の段のDC/DC電源C(k-1)の出力部と接続されている。図8に示された例では、リレースイッチE2-βがDC/DC電源C1の出力部と接続され、リレースイッチE3-βがDC/DC電源C2の出力部と接続され、リレースイッチEn-βがDC/DC電源C(n-1)(不図示)の出力部と接続されている。
【0080】
(故障がない場合における動作)
まず、DC電源A0の電源がONにされる前に、いずれのDC/DC電源も故障していない場合について説明する。
【0081】
かかる場合には、DC電源A0の電源がONにされると、本発明の第1の実施形態に係る電源回路1と同様に、回路K1において、DC/DC電源C1~Cnが起動し、電子回路D1~Dnに対して電圧が印加され、リレースイッチB2~BnがON状態に遷移する他、リレースイッチB2-α~Bn-αもON状態に遷移する。
【0082】
回路K2においても、本発明の第1の実施形態に係る電源回路1と同様に、DC/DC電源F1~Fnが起動し、電子回路G1~Gnに対して電圧が印加され、リレースイッチE2~EnがON状態に遷移する他、リレースイッチE2-α~En-αもON状態に遷移する。
【0083】
(故障がある場合における動作)
続いて、図9を参照しながら、DC電源A0の電源がONにされる前に、いずれかのDC/DC電源が故障している場合について説明する。
【0084】
図9は、本発明の第2の実施形態においてDC電源A0の電源がONにされる前に、いずれかのDC/DC電源が故障している場合について説明するための図である。ここでは、具体的な例として、DC電源A0の電源がONにされる前に、回路K2におけるDC/DC電源F1が故障している場合を想定する。
【0085】
かかる場合には、DC電源A0の電源がONにされると、回路K1においては、正常に、DC/DC電源C1~Cnが起動し、電子回路D1~Dnに対して電圧が印加され、リレースイッチB2~BnがON状態に遷移する他、リレースイッチB2-α~Bn-αもON状態に遷移する。
【0086】
一方、回路K2においては、DC/DC電源F1が故障しているため、DC/DC電源F1によってDC/DC電源F1の次段のリレースイッチE2に閾値以上の大きさの電圧が印加されない。これによって、リレースイッチE2がOFF状態を継続してしまう(S21)。これによって、DC電源A0によってリレースイッチE2を介してDC/DC電源F2に電圧が印加されないため、DC/DC電源F2(第5のDC/DC電源)から電圧が印加されないリレースイッチE2-α(第7のリレースイッチ)もOFF状態を継続してしまう(S22)。
【0087】
しかし、リレースイッチE2-β(第8のリレースイッチ)に対しては、起動したDC/DC電源C1(第1のDC/DC電源)によって閾値以上の大きさの電圧が印加される。これによって、リレースイッチE2-βがON状態に遷移する(S23)。そして、DC電源A0によってON状態に遷移したリレースイッチE2-βを介してDC/DC電源F2に電圧が印加されることによって、DC/DC電源F2が起動する。これによって、DC/DC電源F2によって電子回路G2に対して電圧が印加される。電子回路G2に対して電圧が印加されると、電子回路G2は稼働状態に遷移する(S24)。その後、DC/DC電源F2によってリレースイッチE3に対して、閾値以上の大きさの電圧が印加される。
【0088】
以降においては、k=2,・・・,n-2について、前段のDC/DC電源Fkによって閾値以上の大きさの電圧が印加されたリレースイッチE(k+1)がON状態に遷移し、ON状態に遷移したリレースイッチE(k+1)と同じ段のDC/DC電源F(k+1)が起動し、DC/DC電源F(k+1)によって電子回路G(k+1)に対して電圧が印加され、DC/DC電源F(k+1)の次段のリレースイッチE(k+2)に対してDC/DC電源F(k+1)によって閾値以上の大きさの電圧が印加され、DC/DC電源F(k+1)と同じ段のリレースイッチE(k+1)-αに対してDC/DC電源F(k+1)によって閾値以上の大きさの電圧が印加されることが繰り返される。
【0089】
そして、最終的に、リレースイッチEnがON状態に遷移し、第n段のDC/DC電源Fnが起動し、第n段の電子回路Gnに対して電圧が印加される。
【0090】
図9に示された例では、DC電源A0の電源がONにされる前に、回路K2においていずれかのDC/DC電源が故障している場合を想定した。しかし、DC電源A0の電源がONにされる前に、回路K1にいずれかのDC/DC電源が故障している場合であっても同様に、故障しているDC/DC電源の次段以降のDC/DC電源が停止してしまう可能性が低減される。
【0091】
一例として、DC電源A0の電源がONにされる前に、回路K1におけるDC/DC電源C1が故障している場合を想定する。かかる場合には、DC電源A0の電源がONにされると、回路K2においては、正常に、DC/DC電源F1~Fnが起動し、電子回路G1~Gnに対して電圧が印加され、リレースイッチE2~EnがON状態に遷移する他、リレースイッチE2-α~En-αもON状態に遷移する。ここで、DC/DC電源F1は、第4のDC/DC電源の例に該当し、リレースイッチE2は、第5のリレースイッチの例に該当する。
【0092】
一方、回路K1においては、DC/DC電源C1が故障しているため、DC/DC電源C1によってDC/DC電源C1の次段のリレースイッチB2に閾値以上の大きさの電圧が印加されない。これによって、リレースイッチB2がOFF状態を継続してしまう。これによって、DC電源A0によってリレースイッチB2を介してDC/DC電源C2に電圧が印加されないため、DC/DC電源C2から電圧が印加されないリレースイッチB2-αもOFF状態を継続してしまう。
【0093】
しかし、リレースイッチB2-β(第6のリレースイッチ)に対しては、起動したDC/DC電源F2(第5のDC/DC電源)によって閾値以上の大きさの電圧が印加される。これによって、リレースイッチB2-βがON状態に遷移する。そして、DC電源A0によってON状態に遷移したリレースイッチB2-βを介してDC/DC電源C2に電圧が印加されることによって、DC/DC電源C2が起動する。これによって、DC/DC電源C2によって電子回路D2に対して電圧が印加された後、DC/DC電源C2によってリレースイッチB3に対して、閾値以上の大きさの電圧が印加される。
【0094】
以降においては、k=2,・・・,n-2について、前段のDC/DC電源Ckによって閾値以上の大きさの電圧が印加されたリレースイッチB(k+1)がON状態に遷移し、ON状態に遷移したリレースイッチB(k+1)と同じ段のDC/DC電源C(k+1)が起動し、DC/DC電源C(k+1)によって電子回路D(k+1)に対して電圧が印加され、DC/DC電源C(k+1)の次段のリレースイッチB(k+2)に対してDC/DC電源C(k+1)によって閾値以上の大きさの電圧が印加され、DC/DC電源C(k+1)と同じ段のリレースイッチB(k+1)-αに対してDC/DC電源C(k+1)によって閾値以上の大きさの電圧が印加されることが繰り返される。
【0095】
そして、最終的に、リレースイッチBnがON状態に遷移し、第n段のDC/DC電源Cnが起動し、第n段の電子回路Dnに対して電圧が印加される。
【0096】
(効果)
本発明の第2の実施形態によれば、本発明の第1の実施形態と同様の効果が奏され得る。
【0097】
さらに、本発明の第2の実施形態によれば、DC電源A0の電源がONにされる前に、回路K2において、いずれかのDC/DC電源が故障していたとしても、故障しているDC/DC電源の次段以降のDC/DC電源が停止してしまう可能性が低減される。したがって、本発明の第2の実施形態によれば、DC/DC電源F1~Fnから電圧が印加される電子回路G1~Gnを有するシステムの稼働率をさらに向上させることが可能となる。
【0098】
また、本発明の第2の実施形態によれば、DC電源A0の電源がONにされる前に、回路K1において、いずれかのDC/DC電源が故障していたとしても、故障しているDC/DC電源の次段以降のDC/DC電源が停止してしまう可能性が低減される。したがって、本発明の第2の実施形態によれば、DC/DC電源C1~Cnから電圧が印加される電子回路D1~Dnを有するシステムの稼働率をさらに向上させることが可能となる。
【0099】
以上、本発明の第2の実施形態について説明した。
【0100】
<3.第3の実施形態>
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0101】
本発明の第2の実施形態に係る電源回路2は、DC電源A0の電源がONにされる前に初段のDC/DC電源C1およびDC/DC電源F1の双方が故障している場合、次段以降のDC/DC電源を起動させることができないという改善すべき点を有する。本発明の第3の実施形態に係る電源回路3(図10)は、本発明の第2の実施形態が有するかかる改善すべき点を改善する。
【0102】
(構成)
まず、図10を参照しながら、本発明の第3の実施形態に係る電源回路の構成例について説明する。
【0103】
図10は、本発明の第3の実施形態に係る電源回路の構成例を示すブロック図である。図10を参照すると、本発明の第3の実施形態に係る電源回路3が示されている。電源回路3のうち、本発明の第2の実施形態に係る電源回路2と特に異なる構成が太線によって強調されている。
【0104】
この太線からも把握されるように、本発明の第3の実施形態に係る電源回路3は、DC/DC電源F1と並列に設けられたDC/DC電源f1(第6のDC/DC電源)を備える点が、本発明の第2の実施形態に係る電源回路2(図8)と比較して主に異なっている。さらに、本発明の第3の実施形態に係る電源回路3は、DC/DC電源C1と並列に設けられたDC/DC電源c1(第7のDC/DC電源)を備える点が、本発明の第2の実施形態に係る電源回路2(図8)と比較して主に異なっている。
【0105】
したがって、以下では、DC/DC電源f1およびDC/DC電源c1について主に説明し、電源回路3のうち、本発明の第2の実施形態に係る電源回路2(図8)と共通する構成についての詳細な説明は省略する。
【0106】
なお、DC/DC電源C1と直列な位置には、ダイオードH1が設けられ、DC/DC電源c1と直列な位置には、ダイオードh1が設けられている。ダイオードH1およびダイオードh1は、DC/DC電源C1およびDC/DC電源c1のうち、一方のDC/DC電源が故障した場合に、他方のDC/DC電源を保護するために設けられている。
【0107】
同様に、DC/DC電源F1と直列な位置には、ダイオードI1が設けられ、DC/DC電源f1と直列な位置には、ダイオードi1が設けられている。ダイオードI1およびダイオードi1は、DC/DC電源F1およびDC/DC電源f1のうち、一方のDC/DC電源が故障した場合に、他方のDC/DC電源を保護するために設けられている。
【0108】
(故障がない場合における動作)
まず、DC電源A0の電源がONにされる前に、いずれのDC/DC電源も故障していない場合を想定する。
【0109】
かかる場合には、DC電源A0の電源がONにされると、回路K1において、DC/DC電源C1およびDC/DC電源c1が起動する。そして、本発明の第2の実施形態と同様に、DC/DC電源C2~Cnが起動し、電子回路D1~Dnに対して電圧が印加され、リレースイッチB2~BnがON状態に遷移する他、リレースイッチB2-α~Bn-αもON状態に遷移する。
【0110】
回路K2においては、DC/DC電源F1およびDC/DC電源f1が起動する。そして、本発明の第2の実施形態と同様に、DC/DC電源F2~Fnが起動し、電子回路G1~Gnに対して電圧が印加され、リレースイッチE2~EnがON状態に遷移する他、リレースイッチE2-α~En-αもON状態に遷移する。
【0111】
(故障がある場合における動作)
続いて、図11を参照しながら、DC電源A0の電源がONにされる前に、初段のDC/DC電源C1および初段のDC/DC電源F1が故障している場合について説明する。
【0112】
図11は、本発明の第3の実施形態においてDC電源A0の電源がONにされる前に、初段のDC/DC電源C1および初段のDC/DC電源F1が故障している場合について説明するための図である。
【0113】
かかる場合には、DC電源A0の電源がONにされると、回路K1においては、初段のDC/DC電源C1は停止しているが、初段のDC/DC電源c1は故障していない。そのため、正常に、DC/DC電源C1~Cnが起動し、電子回路D1~Dnに対して電圧が印加されて電子回路D1~Dnが稼働状態に遷移し(S31)、リレースイッチB2~BnがON状態に遷移する他、リレースイッチB2-α~Bn-αもON状態に遷移する。
【0114】
回路K2においても、初段のDC/DC電源F1は故障しているが、初段のDC/DC電源f1は故障していない。そのため、正常に、DC/DC電源F1~Fnが起動し、電子回路G1~Gnに対して電圧が印加されて電子回路G1~Gnが稼働状態に遷移し(S32)、リレースイッチE2~EnがON状態に遷移する他、リレースイッチE2-α~En-αもON状態に遷移する。
【0115】
(効果)
本発明の第3の実施形態によれば、本発明の第2の実施形態と同様の効果が奏され得る。
【0116】
さらに、本発明の第3の実施形態によれば、回路K1において、初段のDC/DC電源C1に並列に初段のDC/DC電源c1が設けられることによって(換言すると、初段のDC/DC電源が冗長化されることによって)、DC/DC電源C1およびDC/DC電源c1の少なくともいずれか一方でも、正常に動作していれば、回路K1における第2段以降のDC/DC電源C2~Cnが正常に起動する。したがって、本発明の第3の実施形態によれば、DC/DC電源C1~Cnから電圧が印加される電子回路D1~Dnを有するシステムの稼働率をさらに向上させることが可能となる。
【0117】
同様に、回路K2において、初段のDC/DC電源F1に並列に初段のDC/DC電源f1が設けられることによって(換言すると、初段のDC/DC電源が冗長化されることによって)、DC/DC電源F1およびDC/DC電源f1の少なくともいずれか一方でも、正常に動作していれば、回路K2における第2段以降のDC/DC電源F2~Fnが正常に起動する。したがって、本発明の第3の実施形態によれば、DC/DC電源F1~Fnから電圧が印加される電子回路G1~Gnを有するシステムの稼働率をさらに向上させることが可能となる。
【0118】
以上、本発明の第3の実施形態について説明した。
【0119】
<4.むすび>
なお、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0120】
例えば、上記では、電子回路D1~Dnそれぞれが、入力装置または出力装置であり得ることについて説明した。この出力装置は、LED(Light Emitting Diode)電球などであってもよい。電子回路D1~DnそれぞれがLED電球である場合には、電子回路D1~Dnに電圧が印加されることにより、LED電球が連鎖的に点灯し得る。
【符号の説明】
【0121】
1~3 電源回路
A0 DC電源
B1~Bn リレースイッチ
C1~Cn DC/DC電源
c1 DC/DC電源
D1~Dn 電子回路
E1~En リレースイッチ
F1~Fn DC/DC電源
f1 DC/DC電源
G1~Gn 電子回路
K1、K2 回路

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11