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  • 特開-吸音材及びその製造方法 図1
  • 特開-吸音材及びその製造方法 図2
  • 特開-吸音材及びその製造方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032095
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】吸音材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G10K 11/16 20060101AFI20240305BHJP
   E04B 1/84 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
G10K11/16 120
E04B1/84 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135551
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】321000026
【氏名又は名称】株式会社大貴
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】吉永 隼士
【テーマコード(参考)】
2E001
5D061
【Fターム(参考)】
2E001DF04
2E001FA03
2E001FA11
2E001GA03
2E001GA12
2E001JC03
2E001JC08
5D061AA02
5D061AA06
5D061AA23
5D061AA29
5D061BB27
5D061DD11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】焼却処分に適した吸音材、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】吸音材1は、粒状体10を備えている。粒状体10は、吸音性を有している。粒状体10は、衛生用品に由来する有機材料を含有している。衛生用品に由来するとは、衛生用品の分級時又は製造時に発生するという意味である。粒状体10は、有機材料を含有するため、焼却処分することが可能である。また、有機材料は、衛生用品に由来するものであり、プラスチック、フラッフパルプ及び吸水性ポリマーからなる群から選択される1又は2以上の材料である。このため、衛生用品の分級時又は製造時に発生する有機材料を粒状体10の材料として利用することが可能となる。これにより、有機材料の廃材を有効活用することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸音性を有する粒状体を備え、
前記粒状体は、衛生用品に由来する有機材料を含有することを特徴とする吸音材。
【請求項2】
請求項1に記載の吸音材において、
前記粒状体は、前記有機材料を主材料とする吸音材。
【請求項3】
請求項2に記載の吸音材において、
前記粒状体は、実質的に前記有機材料のみからなる吸音材。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の吸音材において、
前記粒状体は、有機物のみからなる吸音材。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れかに記載の吸音材において、
前記粒状体は、前記有機材料としてプラスチックを含有する吸音材。
【請求項6】
請求項1乃至3の何れかに記載の吸音材において、
前記粒状体は、前記有機材料としてフラッフパルプを含有する吸音材。
【請求項7】
請求項1乃至3の何れかに記載の吸音材において、
前記粒状体は、前記有機材料として吸水性ポリマーを含有する吸音材。
【請求項8】
請求項1乃至3の何れかに記載の吸音材において、
前記粒状体を挟んで互いに対向する第1及び第2の面状部材を備える吸音材。
【請求項9】
請求項8に記載の吸音材において、
前記第1の面状部材と前記第2の面状部材との間の空間は、複数の区画に仕切られている吸音材。
【請求項10】
吸音性を有する粒状体を形成する粒状体形成工程を含み、
前記粒状体形成工程においては、衛生用品に由来する有機材料を含有する前記粒状体を形成することを特徴とする吸音材の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の吸音材の製造方法において、
前記粒状体形成工程においては、押出造粒により前記粒状体を形成する吸音材の製造方法。
【請求項12】
請求項10に記載の吸音材の製造方法において、
前記粒状体形成工程においては、前記有機材料を主材料とする前記粒状体を形成する吸音材の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の吸音材の製造方法において、
前記粒状体形成工程においては、実質的に前記有機材料のみからなる前記粒状体を形成する吸音材の製造方法。
【請求項14】
請求項10乃至13の何れかに記載の吸音材の製造方法において、
前記粒状体形成工程においては、有機物のみからなる前記粒状体を形成する吸音材の製造方法。
【請求項15】
請求項10乃至13の何れかに記載の吸音材の製造方法において、
前記粒状体形成工程においては、前記有機材料としてプラスチックを含有する前記粒状体を形成する吸音材の製造方法。
【請求項16】
請求項10乃至13の何れかに記載の吸音材の製造方法において、
前記粒状体形成工程においては、前記有機材料としてフラッフパルプを含有する前記粒状体を形成する吸音材の製造方法。
【請求項17】
請求項10乃至13の何れかに記載の吸音材の製造方法において、
前記粒状体形成工程においては、前記有機材料として吸水性ポリマーを含有する前記粒状体を形成する吸音材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸音材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の吸音材としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。同文献に記載された吸音材は、複数の粒状体からなり、吸音パネルを構成している。各粒状体は、無機材料からなる。吸音パネルは、鋼製パネル等の硬質体に複数の粒状体が充填されてなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-121712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の吸音材は、粒状体が音のエネルギーを吸収することにより、防音に効果を発揮する。しかしながら、各粒状体が無機材料からなるため、不要になった吸音材を焼却処分することができないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、焼却処分に適した吸音材、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による吸音材は、吸音性を有する粒状体を備え、上記粒状体は、衛生用品に由来する有機材料を含有することを特徴とする。
【0007】
この吸音材においては、吸音性を有する粒状体が設けられている。粒状体は、衛生用品に由来する有機材料を含有する。このように粒状体は、有機材料を含有するため、焼却処分することが可能である。
【0008】
また、本発明による吸音材の製造方法は、吸音性を有する粒状体を形成する粒状体形成工程を含み、上記粒状体形成工程においては、衛生用品に由来する有機材料を含有する上記粒状体を形成することを特徴とする。
【0009】
この製造方法においては、吸音性を有する粒状体が形成される。粒状体は、衛生用品に由来する有機材料を含有する。このように粒状体は、有機材料を含有するため、焼却処分することが可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、焼却処分に適した吸音材、及びその製造方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明による吸音材の一実施形態を示す模式図である。
図2】粒状体10を示す模式図である。
図3図1の吸音材の変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
図1は、本発明による吸音材の一実施形態を示す模式図である。吸音材1は、複数の粒状体10を備えている。複数の粒状体10は、相互に接着されていてもよいし、接着されていなくてもよい。各粒状体10は、吸音性を有している。すなわち、各粒状体10は、音のエネルギーを吸収する性質を有している。吸音材1は、例えば、建物、道路もしくは鉄道、又はそれらの工事現場における防音対策に使用される。建物の防音対策に使用される場合、吸音材1は、例えば、壁(例えば戸境壁)の中や床の下に配設される。
【0014】
図2は、粒状体10を示す模式図である。各粒状体10は、粒状に成形された造粒物である。かかる粒状の形状としては、例えば、球、円柱、又は楕円体が挙げられる。各粒状体10の粒径は、例えば、5mm以上20mm以下である。ここで、粒状体10の粒径は、当該粒状体10を内包し得る最小の球の直径として定義される。
【0015】
各粒状体10は、有機材料12を含有している。有機材料12は、衛生用品に由来する。ここで、「衛生用品に由来する」とは、衛生用品の分級時又は製造時に発生するという意味である。分級は、通常、衛生用品を細断する細断工程、及び細断された衛生用品に含まれる複数の材料を相互に分離する分離工程の双方を含む作業である。ただし、本明細書においては、細断工程のみからなる作業も、分級に包摂されるものとする。衛生用品は、例えば、紙おむつ、生理用ナプキン又は尿取りパッドである。衛生用品としては、廃棄物としての衛生用品を用いることが好ましい。衛生用品は、未使用であってもよいし、使用済みであってもよい。
【0016】
有機材料12は、衛生用品を構成する材料である。本実施形態において有機材料12は、プラスチック、フラッフパルプ及び吸水性ポリマーからなる群から選択される1又は2以上の材料である。すなわち、粒状体10は、有機材料12として、プラスチック、フラッフパルプ、又は吸水性ポリマーを含有している。吸水性ポリマーは、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム等のアクリル系吸水性ポリマーである。
【0017】
粒状体10が有機材料12としてプラスチック、フラッフパルプ及び吸水性ポリマーの全てを含有する場合、粒状体10に占めるプラスチック、フラッフパルプ及び吸水性ポリマーの重量割合は、例えば、それぞれ、30%以上50%以下、30%以上50%以下及び10%以上30%以下である。プラスチックの重量割合は、フラッフパルプの重量割合より大きくても小さくてもよいし、フラッフパルプの重量割合に等しくてもよい。
【0018】
粒状体10は、有機材料12を主材料としている。ここで、粒状体10の主材料とは、粒状体10を構成する材料のうち、当該粒状体10に占める重量割合が最大のものをいう。有機材料12がプラスチック、フラッフパルプ及び吸水性ポリマーのうち2以上の材料を含む場合、それらの材料の重量割合の合計をもって有機材料12の重量割合とする。
【0019】
粒状体10は、実質的に有機材料12のみからなることが好ましい。「実質的に」とは、粒状体10の吸音性を阻害しない限り、防腐剤、殺菌剤等の他の材料が粒状体10に添加されていてもよいという趣旨である。その場合であっても、粒状体10に占める他の材料の重量割合は1%以下(すなわち、有機材料12の重量割合が99%以上)であることが好ましい。粒状体10は、有機物のみからなることが好ましい。すなわち、粒状体10が他の材料(有機材料12以外の材料)を含有する場合、他の材料も有機物であることが好ましい。
【0020】
続いて、本発明による吸音材の製造方法の一実施形態として、吸音材1の製造方法の一例を説明する。この製造方法は、粒状体形成工程を含んでいる。
【0021】
粒状体形成工程は、粒状体10を形成する工程である。この工程においては、造粒装置を用いて粉体状の造粒材料(粒状体10を構成する材料)を造粒することにより、複数の粒状体10を形成する。造粒材料は、有機材料12を含んでいる。造粒材料は、有機材料12のみからなってもよいし、有機材料12及び他の材料からなってもよい。造粒は、湿式造粒であることが好ましい。湿式造粒としては、例えば押出造粒が挙げられる。押出造粒により粒状体10を形成する場合、造粒装置として押出造粒機が用いられる。
【0022】
押出造粒機は、造粒材料を通過させる複数の貫通孔が設けられたダイスを有する。押出造粒機においては、ダイスの表面側に供給された造粒材料がローラー等により貫通孔に押し込まれる。当該造粒材料は、貫通孔を通過してダイスの裏面側に押し出された後、カッター等により適宜の長さに切断される。これにより、柱状の粒状体10が形成される。造粒に先立って、造粒材料には、粉砕、混錬、加水等の前処理が必要に応じて行われる。造粒後、篩分け(分粒)、乾燥等の後処理が必要に応じて行われる。以上により、複数の粒状体10からなる吸音材1が得られる。
【0023】
本実施形態の効果を説明する。本実施形態においては、吸音性を有する粒状体10が形成される。粒状体10は、衛生用品に由来する有機材料12を含有する。このように粒状体10は、有機材料12を含有するため、焼却処分することが可能である。したがって、焼却処分に適した吸音材1、及びその製造方法が実現されている。
【0024】
また、有機材料12は、衛生用品に由来するものである。このため、衛生用品の分級時又は製造時に発生する有機材料を粒状体10の材料として利用することが可能となる。これにより、有機材料の廃材を有効活用することができる。
【0025】
粒状体10は、有機材料12を主材料としている。このように粒状体10の主材料を有機物とすることは、吸音材1の焼却処分への適合性を高めるのに有利である。ただし、有機材料12は、粒状体10の主材料でなくてもよい。
【0026】
粒状体10が実質的に有機材料12のみからなる場合、粒状体10の略全体を焼却処分することができる。さらに、粒状体が有機物のみからなる場合、粒状体10の全体を焼却処分することができる。
【0027】
粒状体10が有機材料12としてプラスチックを含有する場合、プラスチック廃材を有効活用することができる。このことは、プラスチックごみの削減に資する。
【0028】
粒状体10が有機材料12としてフラッフパルプを含有する場合、粒状体10の軽量化を図るとともに、粒状体10に消臭効果を付与することができる。
【0029】
粒状体10が有機材料12として吸水性ポリマーを含有する場合、粒状体10に調湿効果を付与することができる。
【0030】
粒状体10が押出造粒により形成される場合、粒状体10は、粉体状の材料が押し固められた造粒物となる。かかる造粒物の表面や内部には、多数の空隙が不規則に存在する。これにより、粒状体10に入射した音のエネルギーが減衰されやすくなるため、粒状体10の吸音性を高めることができる。このように粒状体10の表面や内部の空隙を増やす観点から、造粒材料が有機材料12としてプラスチックを含む場合、当該プラスチックが溶融しない状態で造粒を行うことが好ましい。
【0031】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態においては、吸音材1が粒状体10のみからなる場合を例示した。しかし、吸音材1は、例えば図3に示すように、粒状体10を挟んで互いに対向する面状部材22(第1の面状部材)及び面状部材24(第2の面状部材)を備えていてもよい。同図において面状部材22と面状部材24との間の空間は、複数の区画に仕切られている。各区画には、粒状体10が充填されている。
【0032】
面状部材22及び面状部材24は、硬質であってもよいし、軟質であってもよい。ここで、「硬質である」とは、床に垂直に立てたときに自律的に形状を維持できる程度の剛性を有するということである。一方、「軟質である」とは、上記剛性を有しないということである。面状部材22及び面状部材24が硬質である場合、吸音材1は、吸音ボードないし吸音パネルとして機能する。面状部材22及び面状部材24が軟質である場合、吸音材1は、吸音シートとして機能する。硬質の面状部材22,24としては、例えば、木板、金属板、又は石膏ボードを用いることができる。また、軟質の面状部材22,24としては、例えば、プラスチックシート、ゴムシート、布、又は不織布を用いることができる。面状部材22は、音を透過させる性質を有しており、音源側の面を構成する。面状部材24は、遮音性を有しており、音源と反対側の面を構成する。
【0033】
このように面状部材22及び面状部材24を設けることにより、吸音材1が粒状体10のみからなる場合に比して、吸音材1の施工(例えば建物の壁中に吸音材1を配置すること)が容易になる。また、面状部材22と面状部材24との間の空間を複数の区画に仕切ることにより、当該空間内での粒状体10の偏在を抑制することができる。
【0034】
上記実施形態においては、衛生用品として、紙おむつ、生理用ナプキン及び尿取りパッドを例示した。しかし、衛生用品は、衛生用紙(ティッシュペーパー、トイレットペーパー、ペーパータオル等)、又は衛生マスクであってもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 吸音材
10 粒状体
12 有機材料
22 面状部材(第1の面状部材)
24 面状部材(第2の面状部材)
図1
図2
図3