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  • 特開-接続端子 図1
  • 特開-接続端子 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032106
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】接続端子
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/70 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
H01R4/70 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135566
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000231350
【氏名又は名称】ジヤトコ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】505336622
【氏名又は名称】株式会社TOP
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】光山 明宏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】天谷 祐次
(57)【要約】
【課題】バスバーの保護性を向上する。
【解決手段】接続端子は、基部と、前記基部に充填された充填材と、前記基部及び前記充填材を貫通するように配置されたバスバーと、前記バスバーを被覆する被覆チューブと、を有し、前記被覆チューブは、前記充填材に埋め込まれるように配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
前記基部に充填された充填材と、
前記基部及び前記充填材を貫通するように配置されたバスバーと、
前記バスバーを被覆する被覆チューブと、
を有し、
前記被覆チューブは、前記充填材に埋め込まれるように配置されている、
接続端子。
【請求項2】
請求項1に記載の接続端子であって、
前記バスバーにおける前記充填材側の端部に電線が電気的に接続されており、
前記電線は、保護チューブで被覆されており、
前記保護チューブは、前記被覆チューブで被覆されている、
接続端子。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の接続端子であって、
前記バスバーに隣接配置された隣接バスバーをさらに有し、
前記被覆チューブは、絶縁性を有する、
接続端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続端子に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バスバーをチューブで被覆した構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-12768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構造では、バスバーにチューブによって被覆されていない部分があり、外部に露出している。そのため、バスバーの保護性については向上の余地がある。
【0005】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、バスバーの保護性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様によれば、基部と、前記基部に充填された充填材と、前記基部及び前記充填材を貫通するように配置されたバスバーと、前記バスバーを被覆する被覆チューブと、を有し、前記被覆チューブは、前記充填材に埋め込まれるように配置されている、接続端子が提供される。
【発明の効果】
【0007】
これによれば、被覆チューブを充填材に埋め込むように配置するので、被覆チューブで保護しきれないバスバーの根元部分を充填材によって保護できる。よって、バスバーの保護性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施形態に係る接続端子を備えるハーネスの概略構成図である。
図2図2は、接続端子の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態に係る接続端子110、120を備えるハーネス100について説明する。
【0010】
図1は、ハーネス100の概略構成図である。図1に示すように、本実施形態のハーネス100は、回転電機200とインバータ300とを電気的に接続する。
【0011】
ハーネス100は、接続端子110と、接続端子120と、電線131、132、133と、を備える。本実施形態では、回転電機200は三相交流で作動する。よって、ハーネス100は、3本の電線131、132、133を備える。
【0012】
電線131、132、133は、それぞれ、接続端子110及び接続端子120と電気的に接続される。
【0013】
接続端子110は、基部10に設けられた締結部10a、10bをそれぞれボルト50で回転電機200のステータハウジング210に締結することで、回転電機200に固定される。
【0014】
接続端子120は、基部20に設けられた締結部20a、20bをそれぞれボルト50でインバータ300のケース310に締結することで、インバータ300に固定される。
【0015】
続いて、図2を参照しながら、接続端子110の構成について説明する。なお、接続端子110の構成と接続端子120の構成とは同様であるので、接続端子120については詳細な説明を省略する。
【0016】
図2は、接続端子110の概略断面図である。図2に示すように、接続端子110は、基部10と、基部10に充填された充填材11と、基部10及び充填材11を貫通するバスバー12、13、14と、バスバー12を被覆する被覆チューブ15と、バスバー13を被覆する被覆チューブ16と、バスバー14を被覆する被覆チューブ17と、を有する。
【0017】
基部10は、締結部10a、10bと、外周面に設けられた外周溝10cと、基部10がステータハウジング210に固定された状態で回転電機200の外部に露出する側の面に設けられた凹部10dと、を有する。基部10は、絶縁性樹脂で形成される。基部10は、例えば、インサート成形によって、バスバー12、13、14と一体に成形することができる。
【0018】
外周溝10cには、基部10とステータハウジング210との間を封止するOリング60が取り付けられる。
【0019】
凹部10dは、バスバー12、13、14の根元部分の周囲を囲うように形成されている。よって、凹部10dに充填材11を充填すると、バスバー12、13、14の根元部分が充填材11によって保護される。
【0020】
充填材11は、例えば、エポキシ樹脂等の熱硬化樹脂をポッティング工法によって凹部10dに充填することで形成される。基部10に充填材11を充填すると、その結果として、バスバー12、13、14が基部10及び充填材11を貫通する構成が実現される。
【0021】
バスバー12、13、14は、銅、アルミ等の導電材で形成され、回転電機200のステータコイル(図示せず)に電気的に接続される。
【0022】
被覆チューブ15は、バスバー12における回転電機200の外部に露出する部分を覆う絶縁チューブである。被覆チューブ16は、バスバー13における回転電機200の外部に露出する部分を覆う絶縁チューブである。被覆チューブ17は、バスバー14における回転電機200の外部に露出する部分を覆う絶縁チューブである。被覆チューブ15、16、17は、例えば、熱収縮チューブであってもよい。
【0023】
また、被覆チューブ15、16、17は、それぞれの基部10側の端部が充填材11に埋め込まれるように配置されている。つまり、充填材11は、被覆チューブ15、16、17を基部10に対して所定の位置に配置した後で、基部10に充填される。
【0024】
例えば、充填材11を設けずに、被覆チューブ15、16、17を基部10の表面に押し付けることによりバスバー12、13、14の根元まで被覆チューブ15、16、17で保護することが考えられる。しかしながら、この場合は、どうしても基部10と被覆チューブ15、16、17との間に隙間ができてしまったり、経年劣化により被覆チューブ15、16、17が変形する等によりバスバー12、13、14の根元部分が露出してしまったりして、バスバー12、13、14の保護性が低下する。
【0025】
また、例えば、充填材11を設けて、被覆チューブ15、16、17を充填材11の表面に押し付けることによりバスバー12、13、14の根元まで被覆チューブ15、16、17で保護することが考えられる。しかしながら、この場合も、上記と同様、どうしても充填材11と被覆チューブ15、16、17との間に隙間ができてしまったり、経年劣化により被覆チューブ15、16、17が変形する等によりバスバー12、13、14の根元が露出してしまったりして、バスバー12、13、14の保護性が低下する。
【0026】
そこで、本実施形態では、上述したように、被覆チューブ15、16、17を充填材11に埋め込むように配置している。これによれば、被覆チューブ15、16、17で保護しきれないバスバー12、13、14の根元部分を充填材11によって適切に保護することができる。よって、バスバー12、13、14の保護性が向上する。
【0027】
バスバー12における充填材11側の端部には、電線131が電気的に接続される。バスバー13における充填材11側の端部には、電線132が電気的に接続される。バスバー14における充填材11側の端部には、電線133が電気的に接続される。バスバー12、13、14と電線131、132、133との接続は、例えば、溶接やはんだ付けによって行われる。
【0028】
電線131は、保護チューブ131aで被覆されている。電線132は、保護チューブ132aで被覆されている。電線133は、保護チューブ133aで被覆されている。保護チューブ131a、132a、133aは、例えば、シリコーンガラスチューブである。
【0029】
図2に示すように、被覆チューブ15は、保護チューブ131aの外周まで延びている。つまり、保護チューブ131aは被覆チューブ15に被覆されている。同様に、保護チューブ132aは被覆チューブ16に被覆されており、保護チューブ133aは被覆チューブ17に被覆されている。
【0030】
このように、被覆チューブ15、16、17を保護チューブ131a、132a、133aの外周まで延ばすことにより、バスバー12、13、14の先端部及び電線131、132、133の双方の保護性が向上する。
【0031】
また、本実施形態の接続端子110は、上述したように、複数のバスバー(12、13、14)を有し、バスバー12とバスバー13とは隣接して配置されており、バスバー13とバスバー14とは隣接して配置されている。
【0032】
導電体同士が近接すると放電が生じて互いに電気的に干渉を生じる場合がある。これに対して、本実施形態では、被覆チューブ(15、16、17)が絶縁性を有するので、複数のバスバー(12、13、14)を隣接配置するにあたり、放電の影響を抑えることができる。よって、複数のバスバー(12、13、14)の隣接距離を近づけることが可能になり、接続端子110の小型化に寄与することができる。
【0033】
具体的には、本実施形態では、バスバー12と、バスバー12に隣接配置される隣接バスバーであるバスバー13と、の間での放電の影響を抑制できる。言い換えると、バスバー13と、バスバー13に隣接配置される隣接バスバーであるバスバー12と、の間での放電の影響を抑制できる。
【0034】
また、バスバー13と、バスバー13に隣接配置される隣接バスバーであるバスバー14と、の間での放電の影響を抑制できる。言い換えると、バスバー14と、バスバー14に隣接配置される隣接バスバーであるバスバー13と、の間での放電の影響を抑制できる。
【0035】
以下、本発明の実施形態に係る接続端子110の主な作用効果についてまとめて説明する。なお、接続端子120も同様の作用効果を奏する。
【0036】
(1)接続端子110は、基部10と、基部10に充填された充填材11と、基部10及び充填材11を貫通するように配置されたバスバー12、13、14と、バスバー12、13、14を被覆する被覆チューブ15、16、17と、を有し、被覆チューブ15、16、17は、充填材11に埋め込まれるように配置されている。
【0037】
これによれば、被覆チューブ15、16、17を充填材11に埋め込むように配置するので、被覆チューブ15、16、17で保護しきれないバスバー12、13、14の根元部分を充填材11によって保護できる。よって、バスバー12、13、14の保護性が向上する。
【0038】
(2)バスバー12、13、14における充填材11側の端部に電線131、132、133が電気的に接続されており、電線131、132、133は、保護チューブ131a、132a、133aで被覆されており、保護チューブ131a、132a、133aは、被覆チューブ15、16、17で被覆されている。
【0039】
これによれば、バスバー12、13、14の先端部及び電線131、132、133の双方の保護性が向上する。
【0040】
(3)接続端子110は、バスバー(12、13、14)に隣接配置された隣接バスバー(12、13、14)を有し、被覆チューブ(15、16、17)は、絶縁性を有する。
【0041】
導電体同士が近接すると放電が生じて互いに電気的に干渉を生じる場合がある。これに対して、被覆チューブ(15、16、17)が絶縁性を有するので、複数のバスバー(12、13、14)を隣接配置するにあたり、放電の影響を抑えることができる。よって、複数のバスバー(12、13、14)の隣接距離を近づけることが可能になり、接続端子110の小型化に寄与することができる。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0043】
例えば、上記実施形態では、接続端子110、120を備え、回転電機200とインバータ300とを接続するハーネス100について説明した。しかしながら、本発明に係る接続端子を備えるハーネスが接続する電気機器はこれに限られない。本発明に係る接続端子は様々な電気機器を接続するハーネスに適用可能である。
【0044】
また、上記実施形態では、3つのバスバー12、13、14を備える接続端子110について説明した。しかしながら、接続端子が備えるバスバーの数は1つ又は2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
【符号の説明】
【0045】
110 接続端子
120 接続端子
10 基部
11 充填材
12 バスバー(隣接バスバー)
13 バスバー(隣接バスバー)
14 バスバー(隣接バスバー)
15 被覆チューブ
16 被覆チューブ
17 被覆チューブ
20 基部
131 電線
131a 保護チューブ
132 電線
132a 保護チューブ
133 電線
133a 保護チューブ
図1
図2