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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032113
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/16 20060101AFI20240305BHJP
   G06F 1/3231 20190101ALI20240305BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240305BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
G06F11/16 658
G06F1/3231
H04N1/00 127A
B41J29/38 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135576
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】望月 明子
【テーマコード(参考)】
2C061
5B011
5B034
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061HH05
2C061HK05
2C061HN04
2C061HN05
2C061HN15
2C061HT08
5B011DA01
5B011EA10
5B011EB08
5B011KK04
5B034CC01
5B034DD06
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA35
5C062AB17
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB40
5C062AB42
5C062AB49
5C062AC22
5C062AC34
5C062AF12
(57)【要約】
【課題】節電状態から復帰したタイミングで他の情報処理装置とデータの同期を取る場合、同期処理により同期対象のデータ全てを同期した後、要求される処理の実行を開始する構成と比較して、要求される処理の実行開始の遅延を抑止する。
【解決手段】実デバイス10は、節電モードからの復帰時に、同期の取れていない更新データの一覧を仮想デバイス20から取得する。同期処理部11は、更新データのうち、多くのユーザに共通して影響を与える緊急データを優先して同期を取る。緊急データ以外の第2データに対し、パネル操作により節電モードから復帰した場合にはパネル操作に関連する第2データを、ユーザログインにより復帰した場合にはログインユーザに関連する第2データを、ジョブが入力されて復帰した場合にはジョブに関連する第2データを、それぞれ優先して同期を取ると、その後、処理の実行を開始でき、また残りの第2データの同期を取る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持するデータを他の情報処理装置と同期させる情報処理装置において、
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
節電状態からの復帰に伴い、前記他の情報処理装置から同期対象とするデータの一覧を取得し、
前記同期対象とするデータのうち、1又は複数のユーザによる処理の実行に影響を与える第1データであって前記他の情報処理装置側で指定された第1データの同期を取る第1同期処理の実行後に、前記第1データ以外の第2データの同期を取る第2同期処理を実行するよう同期処理を制御し、
同期処理の実行終了前に処理の実行が要求された場合、前記第2同期処理の実行の終了を待つことなく前記第1同期処理の実行終了後に、要求された処理の実行を開始する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、節電状態からの復帰後に前記第2データの同期を取る優先順を決定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第2データの同期を取る優先順は、保持するデータの利用履歴を参照して決定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第2データの同期を取る優先順は、節電状態からの復帰のトリガとなる事象に応じて決定されることを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記第2同期処理の実行前に処理の実行要求をするユーザを特定できる場合、前記第2同期処理において前記第2データに含まれるデータのうち当該ユーザに関連するデータを優先して同期を取り、
当該ユーザに関連するデータの同期を取った後に、前記ユーザから要求される処理の実行を開始する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記第2同期処理の実行前にユーザから実行要求される処理を特定できる場合、前記第2データに含まれるデータのうち当該処理に関連するデータを優先して同期を取り、
当該処理に関連するデータの同期を取った後に、前記処理の実行を開始する、
ことを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、節電状態からの復帰のトリガとなる事象がユーザインタフェースに対する操作の場合、節電状態から復帰後、前記第1同期処理の実行終了後に前記ユーザインタフェースからの操作を受け付けることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記プロセッサは、節電状態から復帰後、前記第2同期処理が終了するまで同期処理中の旨を前記ユーザインタフェースに表示することを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記他の情報処理装置は、クラウド上に形成されることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
保持するデータを他の情報処理装置と同期させる情報処理装置に搭載のコンピュータに、
節電状態からの復帰に伴い、前記他の情報処理装置から同期対象とするデータの一覧を取得する機能、
前記同期対象とするデータのうち、1又は複数のユーザによる処理の実行に影響を与える第1データであって前記他の情報処理装置側で指定された第1データの同期を取る第1同期処理の実行後に、前記第1データ以外の第2データの同期を取る第2同期処理を実行するよう同期処理を制御する機能、
同期処理の実行終了前に処理の実行が要求された場合、前記第2同期処理の実行の終了を待つことなく前記第1同期処理の実行終了後に、要求された処理の実行を開始する機能、
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、実機である複合機と複合機に対応するクラウド上の仮想デバイスを連携させて、クラウドサービスを提供する技術が知られている。ユーザは、複合機に直接アクセスしなくても、クラウド上の仮想デバイスにアクセスすれば、複合機が提供する画像処理等のサービスを利用することが可能となる。
【0003】
仮想デバイスが複合機と同じサービスを提供するために、複合機と仮想デバイスは、逐次同期を取り、同じデータ若しくはデータが対応付けられた状態を維持する。同期は、複合機から仮想デバイスに更新を問い合わせることに応じて開始される。
【0004】
ところで、複合機は、電源オフの状態や節電モードの場合、仮想デバイスと同期を取ることはできない。従って、複合機は、節電状態から復帰した時点で仮想デバイスに更新を問い合わせ、同期が取れなかった間に更新されたデータを取り込んで同期の取れた状態にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-082334号公報
【特許文献2】特開2019-144949号公報
【特許文献3】特開2017-010321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
節電状態から復帰したタイミングで他の情報処理装置との間でデータの同期を取る場合において、同期対象とする全てのデータを一括して同期させてから、要求された処理の実行を開始させようとすると、例えば同期の対象とするデータの容量が膨大であると同期を終了させるまでに多大な時間を要してしまい、結果として処理の実行の開始を遅らせてしまう。
【0007】
本発明は、節電状態から復帰したタイミングで他の情報処理装置とデータの同期を取る場合、同期処理により同期対象のデータ全てを同期した後、要求される処理の実行を開始する構成と比較して、要求される処理の実行開始の遅延を抑止する
ことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る情報処理装置は、保持するデータを他の情報処理装置と同期させる情報処理装置において、プロセッサを備え、前記プロセッサは、節電状態からの復帰に伴い、前記他の情報処理装置から同期対象とするデータの一覧を取得し、前記同期対象とするデータのうち、1又は複数のユーザによる処理の実行に影響を与える第1データであって前記他の情報処理装置側で指定された第1データの同期を取る第1同期処理の実行後に、前記第1データ以外の第2データの同期を取る第2同期処理を実行するよう同期処理を制御し、同期処理の実行終了前に処理の実行が要求された場合、前記第2同期処理の実行の終了を待つことなく前記第1同期処理の実行終了後に、要求された処理の実行を開始する、ことを特徴とする。
【0009】
また、前記プロセッサは、節電状態からの復帰後に前記第2データの同期を取る優先順を決定することを特徴とする。
【0010】
また、前記第2データの同期を取る優先順は、保持するデータの利用履歴を参照して決定されることを特徴とする。
【0011】
また、前記第2データの同期を取る優先順は、節電状態からの復帰のトリガとなる事象に応じて決定されることを特徴とする。
【0012】
また、前記プロセッサは、前記第2同期処理の実行前に処理の実行要求をするユーザを特定できる場合、前記第2同期処理において前記第2データに含まれるデータのうち当該ユーザに関連するデータを優先して同期を取り、当該ユーザに関連するデータの同期を取った後に、前記ユーザから要求される処理の実行を開始する、ことを特徴とする。
【0013】
また、前記プロセッサは、前記第2同期処理の実行前にユーザから実行要求される処理を特定できる場合、前記第2データに含まれるデータのうち当該処理に関連するデータを優先して同期を取り、当該処理に関連するデータの同期を取った後に、前記処理の実行を開始する、ことを特徴とする。
【0014】
また、前記プロセッサは、節電状態からの復帰のトリガとなる事象がユーザインタフェースに対する操作の場合、節電状態から復帰後、前記第1同期処理の実行終了後に前記ユーザインタフェースからの操作を受け付けることを特徴とする。
【0015】
また、前記プロセッサは、前記プロセッサは、節電状態から復帰後、前記第2同期処理が終了するまで同期処理中の旨を前記ユーザインタフェースに表示することを特徴とする。
【0016】
また、前記他の情報処理装置は、クラウド上に形成されることを特徴とする。
【0017】
本発明に係るプログラムは、保持するデータを他の情報処理装置と同期させる情報処理装置に搭載のコンピュータに、節電状態からの復帰に伴い、前記他の情報処理装置から同期対象とするデータの一覧を取得する機能、前記同期対象とするデータのうち、1又は複数のユーザによる処理の実行に影響を与える第1データであって前記他の情報処理装置側で指定された第1データの同期を取る第1同期処理の実行後に、前記第1データ以外の第2データの同期を取る第2同期処理を実行するよう同期処理を制御する機能、同期処理の実行終了前に処理の実行が要求された場合、前記第2同期処理の実行の終了を待つことなく前記第1同期処理の実行終了後に、要求された処理の実行を開始する機能、を実現させる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、節電状態から復帰したタイミングで他の情報処理装置とデータの同期を取る場合、同期処理により同期対象のデータ全てを同期した後、要求される処理の実行を開始する構成と比較して、要求される処理の実行開始の遅延を抑止することができる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、保持する第2データのうち、利用される可能性のある第2データを優先して同期を取ることができる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、保持する第2データのうち、過去に利用されている第2データを優先して同期を取ることができる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、保持する第2データのうち、節電状態からの復帰のトリガとなる事象を参照して同期を取る第2データの優先順を決定することができる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、ユーザが利用する可能性のあるデータを優先して同期を取ることができる。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、処理に利用される可能性のあるデータを優先して同期させることができる。
【0024】
請求項7に記載の発明によれば、ユーザが要求する処理の実行に影響を与えない環境になったと推定して、ユーザ操作を受け付けるようにすることができる。
【0025】
請求項8に記載の発明によれば、操作可能であっても同期処理中であることをユーザに知らせることができる。
【0026】
請求項9に記載の発明によれば、外部に存在する他の情報処理装置と同期を取ることができる。
【0027】
請求項10に記載の発明によれば、節電状態から復帰したタイミングで他の情報処理装置とデータの同期を取る場合、同期処理により同期対象のデータ全てを同期した後、要求される処理の実行を開始する構成と比較して、要求される処理の実行開始の遅延を抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】実施の形態1におけるサービスシステムの全体構成及び各装置のブロック構成を示す図である。
図2A】実施の形態1における実デバイス側同期処理を示すフローチャートである。
図2B図2Aに続くフローチャートである。
図3】実施の形態1における仮想デバイス側同期処理を示すフローチャートである。
図4】実施の形態2における実デバイス側同期処理を示すフローチャートである。
図5】実施の形態2における仮想デバイス側同期処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0030】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態におけるサービスシステムの全体構成及び各装置のブロック構成を示す図である。図1には、オンプレミス環境に設置される複合機10と、クラウド上に形成される複合機20と、がインターネット等のネットワーク2を介して接続される構成が示されている。複合機10は、オンプレミス環境に物理的に設置される実機であることから、以降の説明では「実デバイス10」とも称することにする。一方、複合機20は、クラウド上に仮想的に形成される複合機であることから、以降の説明では「仮想デバイス20」とも称することにする。本実施の形態では、実デバイス10と仮想デバイス20を便宜的に1対1の関係にあるものとして説明するが、1台の仮想デバイス20に対して複数台の実デバイス10を対応付けてもよい。
【0031】
本実施の形態における複合機10は、印刷機能、コピー機能、スキャナ機能等各種機能を搭載した画像形成装置の一形態であり、情報処理装置(「コンピュータ」ともいう)を内蔵する装置である。本実施の形態における複合機10は、従前から存在する汎用的なハードウェア構成で実現できる。すなわち、複合機10は、CPU、ROM、RAM、画像データや親展ボックス等を記憶するハードディスクドライブ(HDD)等の記憶手段、ユーザインタフェースとしての操作パネル、インターネット等のネットワーク2や、ユーザが携帯するICカードとの間で近距離無線通信を実現する通信手段、そして各種機能の提供に必要なスキャナやプリントエンジン等を備える。
【0032】
仮想デバイス20は、1又は複数のコンピュータにより実現される仮想的な画像形成装置の一形態であり、情報処理装置を有する装置である。
【0033】
実デバイス10と仮想デバイス20が同等のサービスをユーザに提供するために、実デバイス10と仮想デバイス20の間でデータの同期を取る必要がある。「データの同期」というのは、基本的には同じデータを相互に保持することである。また、仮想デバイス20に存在するソフトウェアの一部(「サブセット」と呼ばれる)が複合機10に存在する場合もある。このように、「データの同期」という語は、それぞれが保持するデータが完全同一であることを限定的に解釈するものではない。本実施の形態では、複合機10,20が連携して、それぞれがデータを利用して提供すべきサービスを提供できる状態にすることを「データの同期」という。
【0034】
また、「データ」には、アプリケーションやアプリケーションで使用するデータ、複合機10,20に対する各種設定値などが含まれる。つまり、本実施の形態では、複合機10,20が動作する上で参照する電子的なデータを「データ」と総称する。なお、データがアプリケーションの場合、バージョンアップや機能の追加などにより同期を取る必要が発生する。
【0035】
図1において、実デバイス10は、同期処理部11、制御部12及び記憶部13を有する。なお、図1には、本実施の形態の説明に必要な構成要素のみを図示しており、その他の構成要素、例えば、複合機10として提供する印刷機能等を実現するための構成要素等は省略する。複合機20においても同様に省略する。
【0036】
同期処理部11は、仮想デバイス20との間でデータの同期を取る同期処理を実施する。同期処理部11に含まれる節電復帰タイプ通知部111は、実デバイス10が節電状態から復帰したときに、節電状態からの復帰のトリガとなる事象として節電復帰タイプを仮想デバイス20に通知する。制御部12は、例えば、操作パネルへの表示制御や節電状態から復帰させるなど複合機10としての動作を制御する。
【0037】
記憶部13には、各種情報が記憶されるが、図1には、各種情報のうちデータ、履歴情報及びユーザ情報が含まれていることを示している。データは、仮想デバイス20との間で同期を取る対象となるデータである。履歴情報は、ユーザの複合機10の利用履歴が蓄積されることで生成される情報である。履歴情報には、例えばユーザによる操作パネルの操作履歴やユーザからの要求に応じてジョブの実行した場合に形成されるジョブログ情報が含まれる。ユーザ情報は、複合機10を使用するユーザの個人情報である。ユーザ情報には、例えばユーザが実デバイス10に登録したアプリケーションの特定情報等が含まれる。
【0038】
実デバイス10における各構成要素11~12は、実デバイス10に搭載されるコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPUで動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、記憶部13は、実デバイス10に搭載されたHDDにて実現される。あるいは、RAM又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
【0039】
仮想デバイス20は、実デバイス10の仮想的な複合機であることから、基本的には実デバイス10と同等の機能を有している。すなわち、仮想デバイス20は、実デバイス10と同様に同期処理部21、制御部22及び記憶部23を有する。ただ、発揮する機能が若干異なってくる。
【0040】
すなわち、同期処理部21は、同期処理部11と連携動作することで、複合機10,20間でデータの同期を取るが、実デバイス10の節電状態からの復帰時に対応するために更新データ一覧作成部211、一覧送信部212及び更新データ送信部213を含む。更新データ一覧作成部211は、実デバイス10が節電状態の時に仮想デバイス20において更新されることにより同期の対象となるデータ(以下、「更新データ」ともいう)、換言すると実デバイス10の節電状態からの復帰時点で同期が取れていないため同期対象とするデータの一覧を作成する。一覧送信部212は、更新データ一覧作成部211により作成された更新データの一覧を実デバイス10へ送信する。更新データ送信部213は、更新データの実体を実デバイス10へ送信する。
【0041】
記憶部23には、基本的には、実デバイス10と同等の各種情報が記憶される。ただ、記憶部23には、更に実デバイス10と同期の取れていない状態のデータ、すなわち更新データが記憶される。
【0042】
仮想デバイス20における各構成要素21~22は、仮想デバイス20に搭載されるコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPUで動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、記憶部23は、仮想デバイス20に搭載されたHDDにて実現される。あるいは、RAM又はクラウド上にある記憶手段を利用してもよい。
【0043】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD-ROMやUSBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPUがプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0044】
前述したように、各複合機10,20はそれぞれ、同等のサービスを提供する。そのために、複合機10,20間でデータの同期を取るために実施される同期処理は、実デバイス10が仮想デバイス20に所定のタイミングで問い合わせることによって開始される。但し、実デバイス10が電源オフの状態や節電モードによる節電状態の時には、問い合わせることはできないため、節電状態時に仮想デバイス20側で更新されたデータに関しては、同期は取れない。従って、仮想デバイス20では、同期の取れない間に更新されたデータ(上記「更新データ」)を記憶部23に保持する。また、少なくとも更新データに対しては、当該更新データがどのアプリケーション等のデータにより利用されるかということを判別可能にするための属性情報を紐付けて管理する。
【0045】
より詳細にいうと、更新データの属性情報には、当該更新データが、例えばセキュリティの観点から同期を取るのに緊急性を要するか否かを示す情報、システム関連のデータか否かを示す情報、どのアプリケーションにより使用されるデータなのかという、使用されるアプリケーションを特定する情報、どの処理により使用されるデータなのかという、使用される処理を特定する情報、また更新データがアプリケーションの場合においてアプリケーションの種別を示す情報などが含まれる。
【0046】
また、本実施の形態では、属性に応じて更新データを第1データ及び第2データの2種類に大別している。「第1データ」は、更新データのうち、1又は複数のユーザによる処理の実行に影響を与えるデータであって仮想デバイス20側で第1データに該当すると指定されたデータである。「第2データ」は、更新データのうち第1データ以外のデータである。
【0047】
本実施の形態では、更新データのうち、例えばセキュリティの観点から同期を取るのに緊急性を要するデータ及びシステム関連のデータを第1データに含める。第1データとして取り扱う更新データは、全てのユーザに影響を与える可能性があるので、実デバイス10を使用するユーザを問わず、緊急に同期を取ることが望ましい。ここでいう「緊急」というのは、節電状態を強制的に解消させて同期を即座に取る必要があると限定的に解釈するのではなく、節電状態から復帰した直後にどのような処理が実行されるかが特定できない場合でも、換言すると節電状態から復帰した直後にいかなる処理が実行されようとも不具合を発生させないようにするために、節電状態から復帰したら早急に同期を取るのが望ましいということを意味する。
【0048】
本実施の形態では、仮想デバイス20の管理者等が、緊急性を要するデータ及びシステム関連のデータの全てを第1データとして指定したものとする。もちろん、例えばシステム関連のデータでも、致命的なエラーのバグ修正ではなく、単なる操作パネルの画面レイアウト変更レベルの更新データも含まれている場合があるので、管理者等は、緊急データに含める更新データを選択的に指定してもよい。後述する同期処理の説明からでも明らかになるが、第1データとして取り扱うデータの量が少ないほど、節電状態から復帰した後における処理の実行の開始をより一層早めることが可能となる。なお、本実施の形態では、「第1データ」を説明の便宜上、「緊急データ」とも記載して説明する。
【0049】
次に、本実施の形態における動作について説明する。
【0050】
実デバイス10は、節電状態から復帰した時点で仮想デバイス20に更新を問い合わせ、節電状態の間に仮想デバイス20側で更新されたデータを取り込んで同期を取るように動作する。このように、同期処理は、節電状態から復帰した時点でも開始される。
【0051】
ところで、本実施の形態においては、節電状態からの復帰のトリガとなる事象を「節電復帰タイプ」と称している。「節電復帰タイプ」は、定期的な節電からの復帰、ユーザの操作による復帰、特定のユーザの操作による復帰、印刷ジョブなどの外部入力による復帰などである。なお、電源オフの状態は、電力消費を軽減していることから節電状態に該当すると考えられる。ただ、本実施の形態では、電源オン中の動作モードの1つである節電モードに該当しないため、電源オフ状態からの復帰を節電復帰タイプに含めないことにした。仮に、フローチャートに含めるとしたならば、定期処理と同様に処理すればよい。
【0052】
「定期的な節電からの復帰」は、実デバイス10のシステム、例えば制御部12による動作の制御により節電モードから復帰するタイプである。「ユーザの操作による復帰」は、例えば、ユーザが節電モード状態の実デバイス10の操作パネル等を操作することによって節電モードから復帰するタイプである。なお、操作パネルが操作された時点では、いずれかのユーザが実デバイス10の使用を開始すると推定できるが、どのユーザか、またどの処理を実行させるかまでは特定できない。
【0053】
また、実デバイス10の機種に依存するかもしれないが、ユーザは、携帯するICカードを実デバイス10のカードリーダに読み取らせることで、節電モード状態の実デバイス10を節電状態から復帰させ、自動ログインすることができる。実デバイス10は、ユーザID等の個人識別情報が記録されているICカードを読み取ることによってユーザを特定することができる。このように、「特定のユーザの操作による復帰」は、ICカードの読み取り等によってユーザを特定できる状態で節電モードから復帰するタイプである。なお、ユーザがログインした時点では、いずれのユーザが実デバイス10の使用を開始するかということは特定できるが、どの処理を実行させるかまでは特定できない。
【0054】
また、「外部入力による復帰」は、実デバイス10の操作パネルからのユーザ入力操作ではなく、例えばユーザが使用するPC等の外部からネットワークを介して送信されてくるジョブによって節電モードから復帰するタイプである。ジョブを解析することによって、処理の実行を要求するユーザに加えて、実行対象の処理が特定される。
【0055】
前述したように、節電復帰タイプによって節電復帰時に判明している情報(ユーザ、処理等)に差が生じてくるが、本実施の形態では、節電復帰タイプに応じて第2データとして取り扱う更新データの同期を取る優先順を決定するようにした
【0056】
図2A,Bは、実デバイス10側における同期処理を示すフローチャートである。また、図3は、仮想デバイス20側における同期処理を示すフローチャートである。以下、本実施の形態における同期処理について、図2,3に示すフローチャートを用いて説明する。本実施の形態における同期処理は、実デバイス10側で、同期対象とするデータの送信制御、特に第2データに含まれる更新データの同期を取る優先順の決定を行うことを特徴としている。
【0057】
図2Aにおいて、実デバイス10は、節電状態から復帰すると、節電状態からの復帰のトリガとなる事象、すなわち節電復帰タイプを判別する(ステップ101)。制御部12は、既存の機能を利用して節電復帰タイプを判別することができる。
【0058】
続いて、同期処理部11における節電復帰タイプ通知部111は、判別された節電復帰タイプを仮想デバイス20に通知する(ステップ102)。この通知は、従来の、節電状態からの復帰時に更新を仮想デバイス20に問い合わせる処理に対応する。なお、本実施の形態における仮想デバイス20は、節電復帰タイプによって処理内容を変えないので、節電復帰タイプを通知せずに、例えば節電状態から復帰した旨の通知や同期処理の要求など、従前と同様に更新を問い合わせることでもよい。
【0059】
図3において、仮想デバイス20が実デバイス10から通知される節電復帰タイプを受信すると(ステップ201)、同期処理部21における更新データ一覧作成部211は、記憶部23を参照して、同期対象とするデータ、すなわち更新データを特定し、更新データの一覧を作成する(ステップ202)。続いて、一覧送信部212は、作成された更新データの一覧を実デバイス10へ送信する(ステップ203)。
【0060】
なお、以降の処理で取り扱うデータは、更新データのみなので、説明の便宜上、単に「データ」という場合でも、それは更新データを指す。また、本実施の形態では、更新データは存在するものとして説明する。仮に、存在しない場合、同期処理部21は、更新データの一覧の代わりに更新データは存在しない旨を送信する。これにより、実デバイス10との間の同期処理を終了させることができる。
【0061】
図2Aに戻り、同期処理部11は、節電復帰タイプの通知に応じて仮想デバイス20から送信されてくる更新データの一覧を取得する(ステップ103)。これ以降、データの更新が開始されることになるため、制御部12は、データの更新中であることを操作パネルに表示させる(ステップ104)。なお、制御部12は、データ更新中である旨の表示として、データ更新に要する所要時間、データ更新終了予測時刻又は残時間、更新データ数等、進捗状況やデータ更新の終了に関する予測時間を推定しうる情報を逐次更新させながら表示させてもよい。また、ユーザによるパネル操作を節電復帰のトリガとなっている場合は、操作パネルが操作できない状態であることを操作パネルに表示させてもよい。
【0062】
また、詳細は後述するように、第1データと第2データとで同期を取る処理の開始タイミングが異なる。本実施の形態では、ステップ103において全ての更新データの一覧を得るようにしているが、第1データと第2データとに分けてそれぞれ必要なときまでに取得するように処理してもよい。
【0063】
続いて、同期処理部11は、緊急データの送信要求を仮想デバイス20へ送信することによって緊急データの送信を指示する(ステップ105)。
【0064】
図3において、同期処理部21は、実デバイス10からの送信指示を受信すると(ステップ204)、その送信指示に応じて更新データの中から緊急データを抽出する(ステップ205)。そして、更新データ送信部213は、抽出した緊急データを実デバイス10へ送信する(ステップ206)。緊急データは、更新データに紐付けられている属性情報を参照することで特定できる。同期処理部21は、一覧に含まれる全ての更新データの送信が完了していない場合(ステップ207でN)、ステップ204に移行して実デバイス10から次の指示が送られてくるのを待機する。
【0065】
図2Aにおいて、同期処理部11は、送信指示に応じて送られてくる緊急データを取得すると、その緊急データで更新する(ステップ106)。
【0066】
本実施の形態においては、以上のようにして更新データのうち緊急データ(すなわち、第1データ)の同期を優先して取るよう同期制御する。
【0067】
なお、上記説明では、仮想デバイス20側で緊急データを特定するようにしたが、実デバイス10へ送信する更新データの一覧に各更新データの属性情報を付加することによって実デバイス10側で特定できるようにしてもよい。
【0068】
続いて、同期処理部11は、第1データの同期を取る同期処理(以下、「第1同期処理」ともいう)の実行終了後に第2データの同期処理(以下、「第2同期処理」ともいう)の実行を開始するよう同期処理を制御する。本実施の形態では、第2同期処理の内容、すなわち第2データを構成する更新データの同期を取る順番を節電復帰タイプに応じて決定している。そのため、同期処理部11は、節電復帰タイプを確認する。ただ、節電復帰タイプが「定期的な節電からの復帰」の場合(ステップ107でY)、制御部12が節電モードから復帰させているため、現時点でどのユーザ、またどの処理が実行されるのかは定かではないし、実行されるとは限らない。そのため、第2データの中で同期を取るための優先順を決める必要は生じてこない。換言すると、全ての第2データを同じ優先順とするよう決定するということができる。
【0069】
そこで、同期処理部11は、同期を取っていない残りの更新データ、この場合は同期済みの第1データ以外の全ての第2データの送信要求を仮想デバイス20へ送信することによって緊急データ以外の残りの更新データの送信を指示する(ステップ117)。
【0070】
図3において、同期処理部21は、実デバイス10からの送信指示を受信すると(ステップ204)、その送信指示に応じて更新データの中から同期済みの緊急データ以外の更新データを抽出する(ステップ205)。そして、更新データ送信部213は、抽出した更新データを実デバイス10へ送信する(ステップ206)。同期処理部21は、残りの更新データを送信することによって、更新データの一覧に含まれる全ての更新データを送信することになるので(ステップ207でY)、同期処理を終了させる。
【0071】
図2Bにおいて、同期処理部11は、送信指示に応じて送られてくる更新データを取得すると、その更新データで更新する(ステップ118)。なお、同期処理部11は、更新データの一覧を参照することで、ステップ106,118で全ての更新データの更新を取得したことがわかる。
【0072】
以上説明したように、節電復帰タイプが「定期的な節電からの復帰」の場合、同期処理部11は、第1データに続けて全ての第2データを残りの更新データとして取得し、これにより全ての更新データの同期を取ることができる。制御部12は、第2同期処理が終了し、全ての更新データの同期が取られると、節電状態から復帰後、ステップ104において操作パネルに表示させていたデータの更新中である旨を操作パネルから消去する(ステップ119)。
【0073】
なお、上記説明では、仮想デバイス20側で第2データを特定するようにしたが、実デバイス10へ送信する更新データの一覧に各更新データの属性情報を付加することによって実デバイス10側で特定できるようにしてもよい。あるいは、更新データの一覧を参照して、取得済みの緊急データ以外の更新データを第2データと特定してもよい。
【0074】
一方、節電復帰タイプが「ユーザの操作による復帰」の場合、これは、ユーザが操作パネルを操作したことをトリガとした節電モードからの復帰である。この場合(ステップ107でN、ステップ108でY)、ユーザは、実デバイス10の設置場所にいて、実デバイス10を使用するために操作パネルを操作したと推定できる。つまり、ユーザは、節電モードから復帰した後、操作パネルを続けて操作することが容易に予測できる。従って、同期処理部11は、パネル操作に関連するデータの送信要求を仮想デバイス20へ送信することによってパネル操作に関連するデータの送信を指示する(ステップ109)。「パネル操作に関連するデータ」とは、例えば、ユーザによるパネル操作が必要となるアプリケーションや、操作パネルのレイアウトに関するデータ等操作パネルに関わるデータである。なお、節電モードからの復帰のためのパネル操作だけでは、ユーザは、ログイン前なので特定できない。
【0075】
図3において、同期処理部21は、実デバイス10からの送信指示を受信すると(ステップ204)、その送信指示に応じて第2データの中からパネル操作に関連するデータを抽出する(ステップ205)。そして、更新データ送信部213は、抽出したパネル操作に関連するデータを実デバイス10へ送信する(ステップ206)。パネル操作に関連するデータは、更新データに紐付けられている属性情報を参照することで特定できる。同期処理部21は、一覧に含まれる全ての更新データを送信していない場合(ステップ207でN)、ステップ204に移行して実デバイス10から次の指示が送られてくるのを待機する。
【0076】
図2Aにおいて、同期処理部11は、送信指示に応じて送られてくるパネル操作に関連するデータを取得すると、そのパネル操作に関連するデータで更新する(ステップ110)。
【0077】
本実施の形態においては、以上のようにして第2データのうちパネル操作に関連するデータの同期を優先して取るよう同期制御する。
【0078】
パネル操作に関連するデータの同期が取れると、ユーザによる操作パネルの操作において不具合が生じないと考えられるので、制御部12は、操作パネルからの操作を受け付けるように制御すると共に、パネル操作が可能である旨を操作パネルに表示させる(ステップ111)。なお、この時点では、全ての更新データの同期は完了していないので、ステップ104において表示させたデータの更新中であることは、操作パネルに表示されたままにする。
【0079】
以上のようにして、節電復帰タイプが「ユーザの操作による復帰」の場合、第2データのうちパネル操作に関連するデータを優先して同期を取る。第2データのそれ以外の残りのデータについては、特に優先順を設定する必要はないものとし、同期処理部11は、同期を取っていない残りのデータ、すなわち、この場合は緊急データ(すなわち、第1データ)と、第2データのうちパネル操作に関連するデータ以外の残りの更新データの送信要求を仮想デバイス20へ送信することによって残りの更新データの送信を指示する(ステップ117)。
【0080】
なお、残りのデータの送信指示に対する同期処理部21の処理については、説明済みなので説明を省略する。残りのデータは、更新データの一覧と、送信済みの更新データを比較することで特定できる。
【0081】
図2Bにおいて、同期処理部11は、送信指示に応じて送られてくる更新データを取得すると、その更新データで更新する(ステップ118)。
【0082】
以上のようにして、全ての更新データの同期は取れるので、制御部12は、第2同期処理が終了し、全ての更新データの同期が取られると、節電状態から復帰後、ステップ104において操作パネルに表示させていたデータの更新中である旨を操作パネルから消去する(ステップ119)。
【0083】
以上説明したように、節電復帰タイプが「ユーザの操作による復帰」の場合、同期処理部11は、第1データに続けて同期を取る第2データのうち、パネル操作に関連するデータを優先して同期を取るようにした。ユーザから要求される処理は、パネル操作に関連するデータの同期を取った後に実行を開始される。
【0084】
残りの第2データ、すなわちパネル操作に関連しないデータは、ユーザがパネル操作をする際に使用されないと考えられる。従って、パネル操作に関連しない第2データの同期が取れていない状態でも、ユーザによるパネル操作に影響を与えないと考えられる。つまり、本実施の形態では、節電復帰タイプが特定されることによって実行されうる処理を特定し、その特定した処理、この例では操作パネルからのユーザ操作により実行される処理は、同期を取った後でないと実行に影響を与える可能性のある第1データと、第2データのうちパネル操作に関連する第2データとによる同期の終了後に実行を開始できるようにした。換言すると、操作パネルからのユーザ操作により実行される処理は、第2データのうちパネル操作に関連しない第2データの同期の終了を待つことなく実行を開始することができる。なお、ユーザ操作により実行される処理と、第2同期処理のうちパネル操作に関連しない第2データの同期を取る処理(ステップ117~118)は、同時並行して実行されてもよい。
【0085】
なお、上記説明では、仮想デバイス20側でパネル操作に関連するデータを特定するようにしたが、実デバイス10へ送信する更新データの一覧に各更新データの属性情報を付加することによって実デバイス10側で特定できるようにしてもよい。また、残りのデータは、更新データの一覧と、取得済みの更新データを比較することで特定できる。
【0086】
次に、節電復帰タイプが「特定のユーザの操作による復帰」の場合、これは、ユーザがICカードを読み取らせることをトリガとした節電モードからの復帰である。ユーザは、ICカードを読み取らせることで実デバイス10に自動的にログインでき、これにより、実デバイス10は、ログインしたユーザを特定することができ、これにより、処理の実行要求をするユーザを推測することができる。この場合(ステップ108でN、ステップ112でY)、同期処理部11は、ログインユーザを特定のユーザとし、当該ユーザに関連するデータの送信要求を仮想デバイス20へ送信することによって当該ユーザに関連するデータの送信を指示する(ステップ113)。「特定のユーザに関連するデータ」とは、例えば、複合機10,20にインストールされているアプリケーションのうち当該ユーザがユーザ登録されているアプリケーション、当該ユーザが過去の使用したことのあるデータ、当該ユーザが作成したデータ、当該ユーザが作成したデータを使用するアプリケーション等である。なお、ユーザは、何らかの処理を実行するためにログインしたと推定できるが、この時点では、実行させる処理は特定できない。
【0087】
図3において、同期処理部21は、実デバイス10からの送信指示を受信すると(ステップ204)、その送信指示に応じて更新データの中から特定のユーザに関連するデータを抽出する(ステップ205)。そして、更新データ送信部213は、抽出したデータを実デバイス10へ送信する(ステップ206)。特定のユーザに関連するデータは、更新データに紐付けられている属性情報やユーザ情報、履歴情報を参照することで特定できる。履歴情報を参照することで、特定のユーザが過去に使用したアプリケーション等のデータを特定することができる。同期処理部21は、一覧に含まれる全ての更新データの送信が完了していない場合(ステップ207でN)、ステップ204に移行して実デバイス10から次の指示が送られてくるのを待機する。
【0088】
図2Bにおいて、同期処理部11は、送信指示に応じて送られてくる特定のユーザに関連するデータを取得すると、その特定のユーザに関連するデータで更新する(ステップ114)。
【0089】
本実施の形態においては、以上のようにして第2データのうち特定のユーザに関連するデータの同期を優先して取るよう同期制御する。
【0090】
以上のようにして、節電復帰タイプが「特定のユーザの操作による復帰」の場合、第2データのうち特定のユーザに関連するデータを優先して同期を取る。第2データのそれ以外の残りのデータについては、特に優先順を設定する必要はないものとし、同期処理部11は、同期を取っていない残りのデータ、すなわち、この場合は緊急データ(すなわち、第1データ)と、第2データのうち特定のユーザに関連するデータ以外の残りの更新データの送信要求を仮想デバイス20へ送信することによって残りの更新データの送信を指示する(ステップ117)。
【0091】
なお、残りのデータの送信指示に対する同期処理部21の処理については、説明済みなので説明を省略する。残りのデータは、更新データの一覧と、送信済みの更新データを比較することで特定できる。
【0092】
図2Bにおいて、同期処理部11は、送信指示に応じて送られてくる更新データを取得すると、その更新データで更新する(ステップ118)。
【0093】
以上のようにして、全ての更新データの同期は取れるので、制御部12は、第2同期処理が終了し、全ての更新データの同期が取られると、節電状態から復帰後、ステップ104において操作パネルに表示させていたデータの更新中である旨を操作パネルから消去する(ステップ119)。
【0094】
以上説明したように、節電復帰タイプが「特定のユーザの操作による復帰」の場合、同期処理部11は、第1データに続けて同期を取る第2データのうち、特定のユーザに関連するデータを優先して同期を取るようにした。ログインユーザ、すなわち特定のユーザから要求される処理は、特定のユーザに関連するデータの同期を取った後に実行を開始される。
【0095】
残りの第2データ、すなわち特定のユーザに関連しないデータは、当該ユーザが追って処理を実行させたとしても使用されないと考えられる。従って、特定のユーザに関連しない第2データの同期が取れていない状態でも、当該ユーザによる処理の実行に影響を与えないと考えられる。つまり、本実施の形態では、節電復帰タイプが特定されることによって実行されうる処理を特定し、その特定した処理、この例では特定のユーザに関連する処理は、同期を取った後でないと実行に影響を与える可能性のある第1データと、第2データのうち特定のユーザに関連する第2データとによる同期の終了後に実行を開始できるようにした。換言すると、特定のユーザにより実行される処理は、第2データのうち特定のユーザに関連しない第2データの同期の終了を待つことなく実行を開始することができる。なお、特定のユーザにより実行される処理と、第2同期処理のうち特定のユーザに関連しない第2データの同期を取る処理(ステップ117~118)は、同時並行して実行されてもよい。
【0096】
なお、上記説明では、仮想デバイス20側で特定のユーザに関連するデータを特定するようにしたが、実デバイス10へ送信する更新データの一覧に各更新データの属性情報を付加することによって実デバイス10側で特定できるようにしてもよい。
【0097】
次に、節電復帰タイプが「外部入力による復帰」の場合、これは、ユーザが実デバイス10以外のデバイス、例えばユーザのPCなどから実デバイス10に対してジョブの実行を指示した場合において、このジョブが入力されたことをトリガとした節電モードからの復帰である。実デバイス10は、ジョブを参照することで、実行要求をしたユーザに加えて実行する処理まで特定できる。この場合(ステップ112でN)、同期処理部11は、ジョブに関連するデータの送信要求を仮想デバイス20へ送信することによってジョブに関連するデータの送信を指示する(ステップ115)。
【0098】
「ジョブに関連するデータ」とは、例えば、入力されたジョブが印刷ジョブの場合には、印刷に関するアプリケーション、入力されたジョブがScan to Mail機能を利用したジョブの場合には、スキャン機能に関するアプリケーション及びメール機能に関するアプリケーション等である。
【0099】
図3において、同期処理部21は、実デバイス10からの送信指示を受信すると(ステップ204)、その送信指示に応じて更新データの中からジョブに関連するデータを抽出する(ステップ205)。そして、更新データ送信部213は、抽出したジョブに関連するデータを実デバイス10へ送信する(ステップ206)。ジョブに関連するデータは、更新データに紐付けられている属性情報やユーザ情報を参照することで特定できる。同期処理部21は、一覧に含まれる全ての更新データの送信が完了していない場合(ステップ207でN)、ステップ204に移行して実デバイス10から次の指示が送られてくるのを待機する。
【0100】
図2Bにおいて、同期処理部11は、送信指示に応じて送られてくるジョブに関連するデータを取得すると、そのジョブに関連するデータで更新する(ステップ116)。
【0101】
本実施の形態においては、以上のようにして第2データのうちジョブに関連するデータの同期を優先して取るよう同期制御する。
【0102】
以上のようにして、節電復帰タイプが「外部入力による復帰」の場合、第2データのうちジョブに関連するデータを優先して同期を取る。第2データのそれ以外の残りのデータについては、特に優先順を設定する必要はないものとし、同期処理部11は、同期を取っていない残りのデータ、すなわち、この場合は緊急データ(すなわち、第1データ)と、第2データのうちジョブに関連するデータ以外の残りの更新データの送信要求を仮想デバイス20へ送信することによって残りの更新データの送信を指示する(ステップ117)。
【0103】
なお、残りのデータの送信指示に対する同期処理部21の処理については、説明済みなので説明を省略する。残りのデータは、更新データの一覧と、送信済みの更新データを比較することで特定できる。
【0104】
図2Bにおいて、同期処理部11は、送信指示に応じて送られてくる更新データを取得すると、その更新データで更新する(ステップ118)。
【0105】
以上のようにして、全ての更新データの同期は取れるので、制御部12は、第2同期処理が終了し、全ての更新データの同期が取られると、節電状態から復帰後、ステップ104において操作パネルに表示させていたデータの更新中である旨を操作パネルから消去する(ステップ119)。
【0106】
以上説明したように、節電復帰タイプが「外部入力による復帰」の場合、同期処理部11は、第1データに続けて同期を取る第2データのうち、ジョブに関連するデータを優先して同期を取るようにした。ユーザから要求されたジョブは、当該ジョブに関連するデータの同期を取った後に実行を開始される。
【0107】
残りの第2データ、すなわちジョブに関連しないデータは、当該ジョブが実行されても使用されないと考えられる。従って、当該ジョブに関連しない第2データの同期が取れていない状態でも、当該ジョブの実行に影響を与えないと考えられる。従って、外部からのジョブは、実デバイス10が節電モードから復帰し、緊急データ及び当該ジョブに関連する第2データの同期が取れた後早々に、当該ジョブに関連しない第2データの同期の終了を待つことなく実行されることになる。なお、ジョブと、当該ジョブに関連しない第2データの同期を取る処理(ステップ117~118)は、同時並行して行われてもよい。
【0108】
なお、上記説明では、仮想デバイス20側で特定のユーザに関連するデータを特定するようにしたが、実デバイス10へ送信する更新データの一覧に各更新データの属性情報を付加することによって実デバイス10側で特定できるようにしてもよい。
【0109】
ところで、更新データの一覧に基づく同期処理中に、操作パネルが操作されたり、ユーザがログインしたり、あるいはジョブが入力されたり、上記トリガに該当する事象が発生する場合も想定しうる。この場合、第1同期処理中に事象が発生した場合、第2同期処理の開始前であれば、発生した事象に応じて第2データの優先順を決定すればよい。第2同期処理中に事象が発生した場合、同期の取れていない第2データの中で、発生した事象に応じて優先順を再設定すればよい。
【0110】
本実施の形態では、上記説明したように、実デバイス10は、同期処理において、全ての同期対象とするデータを先にまとめて取得するのではなく、更新データの一覧のみを取得する。そして、実デバイス10は、更新データのうち処理の実行に影響を与える第1データの第1同期処理を先に実行する。同期処理の終了前に処理の実行が要求された場合、実デバイス10は、更新データのうち第1データ以外の第2データに対する第2同期処理の終了を待つことなく、第1同期処理の終了後に当該処理の実行を開始する。但し、処理の実行に影響を与える更新データが第2データに含まれている可能性があるので、実デバイス10は、節電復帰タイプから節電モードからの復帰後に実行が要求される処理を推測し、第2データのうち推測した処理の実行に影響を与えると考えられる第2データに関しては、当該処理の実行開始前に同期を取るようにする。つまり、実デバイス10は、当該処理の実行に影響を与えないと考えられる更新データに関しては、当該処理と並行して、あるいはその後にでも同期を取るようにする。本実施の形態においては、このようにして、要求される処理の実行の開始を遅延させないようにすることができる。
【0111】
実施の形態2.
上記実施の形態1においては、実デバイス10が節電復帰タイプに応じて同期対象とするデータの送信制御を、実デバイス10側で行うようにした。本実施の形態では、同期対象とするデータの送信制御、特に第2データに含まれる更新データの同期を取る優先順の決定を仮想デバイス20側が行うようにしたことを特徴としている。
【0112】
本実施の形態におけるサービスシステムの全体構成及び複合機10,20のブロック構成は、実施の形態1と同じでよい。
【0113】
図4は、実デバイス10側における同期処理を示すフローチャートである。また、図5は、仮想デバイス20側における同期処理を示すフローチャートである。以下、本実施の形態における同期処理について、図4,5に示すフローチャートを用いて説明する。
【0114】
実デバイス10側において、節電復帰タイプを判断してからデータ更新中の旨を表示するまでの処理(ステップ151~154)は、実施の形態1における処理(ステップ101~104)と同じでよい。
【0115】
また、仮想デバイス20側において、節電復帰タイプを受信してから更新データの一覧を送信するまでの処理(ステップ251~253)は、実施の形態1における処理(ステップ201~203)と同じでよい。更新データの一覧を送信すると、同期処理部21は、更新データの一覧と節電復帰タイプを参照して、以下のように更新データの送信を制御する。
【0116】
まず、同期処理部21は、更新データの中に緊急データが含まれているかどうかを確認する。そして、緊急データが存在する場合(ステップ254でY)、更新データ送信部213は、更新データの一覧の中から緊急データを抽出して、実デバイス10へ送信する(ステップ255)。本実施の形態における、更新データの中から第1データ(つまり、緊急データ)や第2データ、そして第2データの中から節電復帰タイプに応じたデータの抽出方法は、実施の形態1と同じでよいので説明を省略する。
【0117】
図4において、同期処理部11は、仮想デバイス20から送られてくる緊急データを取得すると、その緊急データで更新する(ステップ155)。
【0118】
一方、緊急データが存在しない場合(ステップ254でN)、送信すべき更新データは存在しないので、ステップ155における処理に対応するために、緊急データは存在しない旨を実デバイス10に通知するようにしてもよい。
【0119】
実施の形態1において説明したように、本実施の形態においても緊急性を要する第1データ(つまり、緊急データ)を、緊急性を要していない第2データに優先させて同期を取るようにしている。緊急データの同期を取った後は、第2データの同期を取る第2同期処理に移行する。
【0120】
まず、図5に示すように、節電復帰タイプが「定期的な節電からの復帰」の場合(ステップ256でY)、同期処理部21は、同期を取っていない残りの更新データ、この場合は同期済みの第1データ以外の全ての第2データを実デバイス10へ送信する(ステップ264)。
【0121】
また、節電復帰タイプが「ユーザの操作による復帰」の場合(ステップ256でN,ステップ257で「ユーザ操作」)、同期処理部21は、第2データの中からパネル操作に関連するデータを抽出する(ステップ258)。そして、更新データ送信部213は、抽出したパネル操作に関連するデータを実デバイス10へ送信する(ステップ259)。その後、同期処理部21は、同期を取っていない残りのデータ、すなわち、第2データのうちパネル操作に関連するデータ以外の更新データを実デバイス10へ送信する(ステップ264)。
【0122】
また、節電復帰タイプが「特定のユーザの操作による復帰」の場合(ステップ256でN,ステップ257で「ユーザログイン」)、同期処理部21は、第2データの中からログインしたユーザに関連するデータを抽出する(ステップ260)。そして、更新データ送信部213は、抽出したユーザに関連するデータを実デバイス10へ送信する(ステップ261)。その後、更新データ送信部213は、同期を取っていない残りのデータ、すなわち、第2データのうち特定のユーザに関連するデータ以外の更新データを実デバイス10へ送信する(ステップ261)。
【0123】
なお、節電復帰タイプが「特定のユーザの操作による復帰」の場合、節電復帰タイプ通知部111は、ログインしたユーザを特定しうるユーザID等の個人識別情報を合わせて通知する必要がある。
【0124】
また、節電復帰タイプが「外部入力による復帰」の場合(ステップ256でN,ステップ257で「外部入力」)、同期処理部21は、第2データの中からジョブに関連するデータを抽出する(ステップ262)。そして、同期処理部21は、抽出したジョブに関連するデータを実デバイス10へ送信する(ステップ263)。その後、同期処理部21は、同期を取っていない残りのデータ、すなわち、第2データのうちジョブに関連するデータ以外の更新データを実デバイス10へ送信する(ステップ264)。
【0125】
なお、節電復帰タイプが「外部入力による復帰」の場合、節電復帰タイプ通知部111は、ジョブの実行を要求したユーザを特定する個人識別情報及び実行される処理を合わせて通知する必要がある。
【0126】
図4において、同期処理部11は、節電復帰タイプを確認する。まず、節電復帰タイプが「定期的な節電からの復帰」の場合(ステップ156でY)、同期処理部11は、ステップ264において送信された残りの更新データを取得すると、その更新データで更新する(ステップ160)。制御部12は、第2同期処理が終了し、全ての更新データの同期が取れると、節電状態から復帰後、ステップ154において操作パネルに表示させていたデータの更新中である旨を操作パネルから消去する(ステップ161)。
【0127】
一方、節電復帰タイプが「定期的な節電からの復帰」でない場合(ステップ156でN)、同期処理部11は、仮想デバイス20から送られてくる各種関連データを取得し、その関連データで更新する(ステップ157)。この関連データの同期を取ることによって、実デバイス10は、要求された処理の実行を開始することができる。
【0128】
続いて、節電復帰タイプが「ユーザの操作による復帰」の場合(ステップ158でY)、ステップ157において取得した関連データは、ステップ259において送信されたパネル操作に関連するデータである。従って、パネル操作に関連するデータの同期が取れると、制御部12は、パネル操作の操作が可能である旨を操作パネルに表示させる(ステップ159)。そして、同期処理部11は、仮想デバイス20から送られてくる残りの更新データを取得すると、その更新データで更新する(ステップ160)。この処理において取得するのは、ステップ264において送信されたパネル操作に関連するデータ以外の更新データである。同期処理部11は、仮想デバイス20から取得した更新データを、更新データの一覧と照合することにより、残りのデータが存在することを確認できる。
【0129】
一方、節電復帰タイプが「特定のユーザの操作による復帰」及び「外部入力による復帰」の場合(ステップ158でN)、処理内容は同じでよい。まず、節電復帰タイプが「特定のユーザの操作による復帰」の場合、ステップ157において取得した関連データは、ステップ261において送信された特定のユーザに関連するデータである。そして、ステップ160において取得した残りのデータは、ステップ264において送信された第2データのうち特定のユーザに関連するデータ以外の第2データである。
【0130】
また、節電復帰タイプが「外部入力による復帰」の場合、ステップ157において取得した関連データは、ステップ263において送信されたジョブに関連するデータである。そして、ステップ160において取得した残りのデータは、ステップ264において送信された第2データのうちジョブに関連するデータ以外の第2データである。
【0131】
制御部12は、以上のようにして第2同期処理が終了することにより全ての更新データの同期が取れると、節電状態から復帰後、ステップ154において操作パネルに表示させていたデータの更新中である旨を操作パネルから消去する(ステップ161)。なお、実デバイス10は、仮想デバイス20から取得した更新データを、更新データの一覧と照合することにより、取得済みとそうでない更新データを判別してもよい。
【0132】
本実施の形態によれば、仮想デバイス20が節電復帰タイプを参照して、同期を取る更新データを選択しながらデータ送信制御を行うようにしても、実施の形態1と同様に更新データの同期を取ることができる。特に、節電復帰タイプに応じて第2データに含まれる更新データに優先順位を付けて送信するようにしているので、ユーザによる処理の実行の開始を遅らせないようにすることができる。
【0133】
上記例示したように、本実施の形態では、第2データを、要求される処理の実行に影響を与える第2データとそうでない第2データの2つのグループに分けて優先順を決定した。2つのグループと固定的であれば、本実施の形態の場合は、処理の実行に影響を与えるグループの同期処理(ステップ157)と,そうでないグループの同期処理(ステップ160)の2回の処理にて全ての第2データを取得することができる。ただ、第2データをそれ以上のグループに分けたり、分割するグループ数がその都度変更したりする場合には、ステップ157~160の処理、特に第2データを取得する処理の回数が変わってくるので、取得済みとそうでない更新データを把握するためには、更新データの一覧は有用である。
【0134】
上記実施の形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0135】
また上記実施の形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施の形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0136】
(付記)
(((1)))
保持するデータを他の情報処理装置と同期させる情報処理装置において、
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
節電状態からの復帰に伴い、前記他の情報処理装置から同期対象とするデータの一覧を取得し、
前記同期対象とするデータのうち、1又は複数のユーザによる処理の実行に影響を与える第1データであって前記他の情報処理装置側で指定された第1データの同期を取る第1同期処理の実行後に、前記第1データ以外の第2データの同期を取る第2同期処理を実行するよう同期処理を制御し、
同期処理の実行終了前に処理の実行が要求された場合、前記第2同期処理の実行の終了を待つことなく前記第1同期処理の実行終了後に、要求された処理の実行を開始する、
ことを特徴とする情報処理装置。
(((2)))
前記プロセッサは、節電状態からの復帰後に前記第2データの同期を取る優先順を決定することを特徴とする(((1)))に記載の情報処理装置。
(((3)))
前記第2データの同期を取る優先順は、保持するデータの利用履歴を参照して決定されることを特徴とする(((1)))又は(((2)))に記載の情報処理装置。
(((4)))
前記第2データの同期を取る優先順は、節電状態からの復帰のトリガとなる事象に応じて決定されることを特徴とする(((2)))に記載の情報処理装置。
(((5)))
前記プロセッサは、
前記第2同期処理の実行前に処理の実行要求をするユーザを特定できる場合、前記第2同期処理において前記第2データに含まれるデータのうち当該ユーザに関連するデータを優先して同期を取り、
当該ユーザに関連するデータの同期を取った後に、前記ユーザから要求される処理の実行を開始する、
ことを特徴とする(((1)))に記載の情報処理装置。
(((6)))
前記プロセッサは、
前記第2同期処理の実行前にユーザから実行要求される処理を特定できる場合、前記第2データに含まれるデータのうち当該処理に関連するデータを優先して同期を取り、
当該処理に関連するデータの同期を取った後に、前記処理の実行を開始する、
ことを特徴とする(((5)))に記載の情報処理装置。
(((7)))
前記プロセッサは、節電状態からの復帰のトリガとなる事象がユーザインタフェースに対する操作の場合、節電状態から復帰後、前記第1同期処理の実行終了後に前記ユーザインタフェースからの操作を受け付けることを特徴とする(((1)))に記載の情報処理装置。
(((8)))
前記プロセッサは、前記プロセッサは、節電状態から復帰後、前記第2同期処理が終了するまで同期処理中の旨を前記ユーザインタフェースに表示することを特徴とする(((7)))に記載の情報処理装置。
(((9)))
前記他の情報処理装置は、クラウド上に形成されることを特徴とする(((1)))に記載の情報処理装置。
(((10)))
保持するデータを他の情報処理装置と同期させる情報処理装置に搭載のコンピュータに、
節電状態からの復帰に伴い、前記他の情報処理装置から同期対象とするデータの一覧を取得する機能、
前記同期対象とするデータのうち、1又は複数のユーザによる処理の実行に影響を与える第1データであって前記他の情報処理装置側で指定された第1データの同期を取る第1同期処理の実行後に、前記第1データ以外の第2データの同期を取る第2同期処理を実行するよう同期処理を制御する機能、
同期処理の実行終了前に処理の実行が要求された場合、前記第2同期処理の実行の終了を待つことなく前記第1同期処理の実行終了後に、要求された処理の実行を開始する機能、
を実現させるためのプログラム。
【0137】
(((1)))に記載の発明によれば、節電状態から復帰したタイミングで他の情報処理装置とデータの同期を取る場合、同期処理により同期対象のデータ全てを同期した後、要求される処理の実行を開始する構成と比較して、要求される処理の実行開始の遅延を抑止することができる。
(((2)))に記載の発明によれば、保持する第2データのうち、利用される可能性のある第2データを優先して同期を取ることができる。
(((3)))に記載の発明によれば、保持する第2データのうち、過去に利用されている第2データを優先して同期を取ることができる。
(((4)))に記載の発明によれば、保持する第2データのうち、節電状態からの復帰のトリガとなる事象を参照して同期を取る第2データの優先順を決定することができる。
(((5)))に記載の発明によれば、ユーザが利用する可能性のあるデータを優先して同期を取ることができる。
(((6)))に記載の発明によれば、処理に利用される可能性のあるデータを優先して同期させることができる。
(((7)))に記載の発明によれば、ユーザが要求する処理の実行に影響を与えない環境になったと推定して、ユーザ操作を受け付けるようにすることができる。
(((8)))に記載の発明によれば、操作可能であっても同期処理中であることをユーザに知らせることができる。
(((9)))に記載の発明によれば、外部に存在する他の情報処理装置と同期を取ることができる。
(((10)))に記載の発明によれば、節電状態から復帰したタイミングで他の情報処理装置とデータの同期を取る場合、同期処理により同期対象のデータ全てを同期した後、要求される処理の実行を開始する構成と比較して、要求される処理の実行開始の遅延を抑止することができる。
【符号の説明】
【0138】
2 ネットワーク、10 複合機(実デバイス)、11.21 同期処理部、12,22 制御部、13.23 記憶部。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5