(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032126
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】オンサイト検査装置、プログラム、オンサイト検査キット、及びオンサイト検査システム
(51)【国際特許分類】
C12M 1/34 20060101AFI20240305BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20240305BHJP
C12Q 1/6837 20180101ALI20240305BHJP
【FI】
C12M1/34 B
C12N15/09 200
C12Q1/6837 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135604
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】514028927
【氏名又は名称】INOCO LAB JAPAN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130982
【弁理士】
【氏名又は名称】黒瀬 泰之
(72)【発明者】
【氏名】入鹿山 剛堂
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029AA23
4B029BB20
4B029FA03
4B029FA11
4B063QA18
4B063QQ10
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR79
4B063QS39
4B063QX02
(57)【要約】
【課題】速やかに検査結果を得ることができ、しかも、新たな標的物質の登場にも迅速に対応できるオンサイト検査装置、プログラム、オンサイト検査キット、及びオンサイト検査システムを提供する。
【解決手段】オンサイト検査装置3は、プロセッサを有する。プロセッサは、互いに異なる分子構造を有する複数の分子のそれぞれに反応する複数のプローブが配列されてなるマイクロアレイ11上に検体を流した状態でマイクロアレイ11上に現出した影像パターンを取得し、取得した影像パターンと、予め記憶されている1以上の影像パターンとの比較によって得られる標的物質の特定結果をユーザに対して通知する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを有し、
前記プロセッサは、
互いに異なる分子構造を有する複数の分子のそれぞれに反応する複数のプローブが配列されてなるマイクロアレイ上に検体を展開した状態で前記マイクロアレイ上に現出した影像パターンを取得し、
取得した前記影像パターンと、予め記憶されている1以上の影像パターンとの比較によって得られる標的物質の特定結果をユーザに対して通知する、
オンサイト検査装置。
【請求項2】
前記複数のプローブはそれぞれ、対応する前記分子に反応して発光又は呈色するよう構成され、
前記検体は、前記複数のプローブのそれぞれと対応する前記分子との結合を増強することにより前記発光又は呈色を顕著化する人工シャペロン高分子ととともに前記マイクロアレイ上に展開される、
請求項1に記載のオンサイト検査装置。
【請求項3】
前記検体は、標的物質を所定の箇所で分割することによって得られる前記標的物質の複数の断片の集合体である、
請求項1に記載のオンサイト検査装置。
【請求項4】
前記標的物質は、ウイルスを構成する核酸であり、
前記所定の箇所は、所定の塩基配列を含む箇所である、
請求項3に記載のオンサイト検査装置。
【請求項5】
前記1以上の影像パターンを記憶する記憶部をさらに有し、
前記プロセッサは、取得した前記影像パターンと、前記記憶部に記憶されている1以上の影像パターンとを比較することにより、前記標的物質の種類を特定する、
請求項1に記載のオンサイト検査装置。
【請求項6】
前記オンサイト検査装置はスマートフォンである、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のオンサイト検査装置。
【請求項7】
互いに異なる分子構造を有する複数の分子のそれぞれに反応する複数のプローブが配列されてなるマイクロアレイ上に検体を流した状態で前記マイクロアレイ上に現出した影像パターンを取得し、
取得した前記影像パターンと、予め記憶されている1以上の影像パターンとの比較によって得られる標的物質の特定結果をユーザに対して通知する、
処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項8】
検体から標的物質を抽出し、抽出した前記標的物質を所定の箇所で分割するマイクロリアクタと、
互いに異なる分子構造を有する複数の分子のそれぞれに反応する複数のプローブが配列されてなるマイクロアレイと、を含み、
前記マイクロアレイは、前記マイクロリアクタにより分割された前記標的物質を前記複数のプローブに行き渡らせることができるように構成される、
オンサイト検査キット。
【請求項9】
前記複数のプローブはそれぞれ、対応する前記分子に反応して発光又は呈色するよう構成され、
前記マイクロリアクタにより分割された前記標的物質は、前記複数のプローブのそれぞれと対応する前記分子との結合を増強することにより前記発光又は呈色を顕著化する人工シャペロン高分子ととともに前記マイクロアレイ上に展開される、
請求項7に記載のオンサイト検査キット。
【請求項10】
前記マイクロアレイを内蔵し、該マイクロアレイを撮影するための開口部を有する筐体、
をさらに含む請求項7に記載のオンサイト検査キット。
【請求項11】
オンサイト検査装置及び検査システムサーバを含むオンサイト検査システムであって、
前記オンサイト検査装置は、
互いに異なる分子構造を有する複数の分子のそれぞれに反応する複数のプローブが配列されてなるマイクロアレイ上に検体を展開した状態で前記マイクロアレイ上に現出した影像パターンを取得するプロセッサと、
取得した前記影像パターンを前記検査システムサーバに対して送信する通信部と、を有し、
前記検査システムサーバは、
1以上の影像パターンを記憶する記憶部と、
前記オンサイト検査装置から受信した前記映像パターンと、前記記憶部に記憶されている1以上の影像パターンとを比較することにより標的物質の種類を特定するプロセッサと、
特定した前記標的物質の種類を示す情報を前記オンサイト検査装置に対して送信する通信部と、を有し、
前記オンサイト検査装置の前記プロセッサは、前記検査システムサーバから受信される前記情報により示される標的物質の種類をユーザに対して通知する、
オンサイト検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオンサイト検査装置、プログラム、オンサイト検査キット、及びオンサイト検査システムに関し、特に、ウイルス感染の有無をオンサイトで検査するためのオンサイト検査装置、プログラム、オンサイト検査キット、及びオンサイト検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
検体中に存在するタンパク質などの標的物質を、マイクロアレイにより検出する技術が知られている。マイクロアレイは、互いに異なる標的物質と結合し、発光又は呈色反応を示す複数の物質をマトリクス状に配置したもので、試料をマトリクスアレイ上に流し込むことにより生ずる発光又は呈色のパターンを確認することで、試料中に含まれる標的物質を検出することができる。特許文献1には、この種の技術の一例が開示されている。
【0003】
また、核酸間のハイブリッド形成を促進する高分子材料(人工シャペロン高分子)を用いることにより、1分子単位で標的物質を検出する技術が知られている。特許文献2には、この種の技術の一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-029080号公報
【特許文献2】特開2021-145598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、新型コロナウイルスの長引く感染対策において、PCR検査、抗原検査、抗体検査のニーズが極めて高くなっている。しかしながら、PCR検査には、検査装置を有する専門機関で検査を受けたとしても、結果が出るまでに数時間を要するという課題がある。また、抗原検査及び抗体検査には、検査自体の結果は15分程度で得られるものの、新たな変異株に対応する検査キットが流通するまでに2~3ヶ月を要するという課題がある。
【0006】
したがって、本発明の目的の一つは、速やかに検査結果を得ることができ、しかも、新たな標的物質の登場にも迅速に対応できるオンサイト検査装置、プログラム、オンサイト検査キット、及びオンサイト検査システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるオンサイト検査装置は、プロセッサを有し、前記プロセッサは、互いに異なる分子構造を有する複数の分子のそれぞれに反応する複数のプローブが配列されてなるマイクロアレイ上に検体を流した状態で前記マイクロアレイ上に現出した影像パターンを取得し、取得した前記影像パターンと、予め記憶されている1以上の影像パターンとの比較によって得られる標的物質の特定結果をユーザに対して通知する、オンサイト検査装置である。
【0008】
本発明によるプログラムは、互いに異なる分子構造を有する複数の分子のそれぞれに反応する複数のプローブが配列されてなるマイクロアレイ上に検体を展開した状態で前記マイクロアレイ上に現出した影像パターンを取得し、取得した前記影像パターンと、予め記憶されている1以上の影像パターンとの比較によって得られる標的物質の特定結果をユーザに対して通知する、処理をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0009】
本発明によるオンサイト検査キットは、検体から標的物質を抽出し、抽出した前記標的物質を所定の箇所で分割するマイクロリアクタと、互いに異なる分子構造を有する複数の分子のそれぞれに反応する複数のプローブが配列されてなるマイクロアレイと、を含み、前記マイクロアレイは、前記マイクロリアクタにより分割された前記標的物質を前記複数のプローブに行き渡らせることができるように構成される、オンサイト検査キットである。
【0010】
本発明によるオンサイト検査システムは、オンサイト検査装置及び検査システムサーバを含むオンサイト検査システムであって、前記オンサイト検査装置は、互いに異なる分子構造を有する複数の分子のそれぞれに反応する複数のプローブが配列されてなるマイクロアレイ上に検体を展開した状態で前記マイクロアレイ上に現出した影像パターンを取得するプロセッサと、取得した前記影像パターンを前記検査システムサーバに対して送信する通信部と、を有し、前記検査システムサーバは、1以上の影像パターンを記憶する記憶部と、前記オンサイト検査装置から受信した前記映像パターンと、前記記憶部に記憶されている1以上の影像パターンとを比較することにより標的物質の種類を特定するプロセッサと、特定した前記標的物質の種類を示す情報を前記オンサイト検査装置に対して送信する通信部と、を有し、前記オンサイト検査装置の前記プロセッサは、前記検査システムサーバから受信される前記情報により示される標的物質の種類をユーザに対して通知する、オンサイト検査システムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、マイクロアレイ上に現出した影像パターンを取得し、予め記憶されている1以上の影像パターンと比較するだけで検査結果を得ることができるので、速やかに検査結果を得ることが可能になる。また、予め記憶されている1以上の影像パターンを更新するだけで標的物質に対応できるので、新たな標的物質の登場にも迅速に対応することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態によるオンサイト検査システム1のシステム構成を示す図である。
【
図2】ユーザ端末3、検査機関端末4、及び検査システムサーバ5のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】オンサイト検査キット2の内部構成を示す図である。
【
図4】分子ビーコン型の反応を用いる場合の蛍光反応を説明する図である。
【
図5】核酸酵素型の反応を用いる場合の蛍光反応を説明する図である。
【
図6】マイクロアレイ11上に現れたパターンによる標的物質の種類の特定の具体的な例を示す図である。
【
図7】マイクロアレイ11上に現れたパターンによる標的物質の種類の特定の具体的な例を示す図である。
【
図8】オンサイト検査システム1を構成する各装置によって実行される処理を示すシーケンス図である。
【
図9】本発明の実施の形態の変形例によるオンサイト検査システム1を構成する各装置によって実行される処理を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態によるオンサイト検査システム1のシステム構成を示す図である。同図に示すように、オンサイト検査システム1は、オンサイト検査キット2と、ユーザ端末3と、検査機関端末4と、検査システムサーバ5とを有して構成される。このうちユーザ端末3、検査機関端末4、及び検査システムサーバ5は、通信ネットワーク6を介して相互に接続される。
図1には、図面の簡略化のためユーザ端末3及び検査機関端末4を1つずつ示しているが、オンサイト検査システム1は通常、複数のユーザ端末3及び複数の検査機関端末4を含んで構成される。
【0015】
オンサイト検査システム1は、検体Sに含まれる標的物質を検出するためのシステムである。検体Sは、例えば、綿棒によって取得したユーザの鼻粘膜抽出物を所定の溶媒に溶かしたものである。オンサイト検査システム1による検出の対象となる標的物質には、各種の核酸を構成する塩基配列、複数のペプチドの結合からなるタンパク質など、様々な分子構造を有する物質が広く含まれ得る。標的物質としての塩基配列により構成される核酸の具体的な例としては、各種変異体を含むコロナウイルスを構成するRNA(リボ核酸)、その他のウイルスを構成するDNA(デオキシリボ核酸)又はRNA、細胞から分泌されるエクソソームに含まれるDNA又はRNAなどが挙げられる。各種ウイルスを構成する核酸を検出の対象とする場合、オンサイト検査システム1は、それらのウイルスによる感染の有無を検出するために使用され得る。エクソソームに含まれる核酸(例えば、microRNA)又はタンパク質を検出の対象とする場合、オンサイト検査システム1は、癌を含む各種の疾病を診断するために使用され得る。また、オンサイト検査システム1は、皮脂に含まれる核酸(例えば、microRNA)を検出の対象とすることで、肌の状態を診断する用途にも使用され得る。その他、オンサイト検査システム1は、様々な動植物に含まれる標的物質を検出の対象とすることにより、動植物の産地判定や真贋判定にも使用され得る。
【0016】
オンサイト検査キット2は、ユーザの手元に予め届けられる使い捨ての検査キットであり、直方体形状の筐体2aを有して構成される。筐体2aの表面には、筐体2a内に検体Sを注ぎ込むための開口部2bと、筐体2aの内部を覗き込むための開口部2cとが予め設けられる。筐体2a内の詳細な構成については後述するが、開口部2cの内側にはマイクロアレイ11(
図3を参照)が配置されており、オンサイト検査キット2は、開口部2bに注ぎ込まれた検体Sに含まれる標的物質の種類に応じた影像パターン(発光又は呈色のパターン)がこのマイクロアレイ11上に現出することとなるように構成される。オンサイト検査システム1は、こうしてマイクロアレイ11上に現出した影像パターンを用いて検体Sに含まれる標的物質の種類を特定し、特定の結果をユーザに通知するよう構成される。
【0017】
ユーザ端末3は、ユーザがオンサイト検査キット2とともに使用する端末装置であり、カメラ3aを有して構成される。ユーザは、所定の検査アプリ3bを予めインストールした状態で、ユーザ端末3を使用する。検査アプリ3bは、検体Sから標的物質を検出するために必要となる各種の処理を実行するソフトウェアである。カメラ3aは、検査アプリ3bからの制御に従い、上述した開口部2cを通じて、マイクロアレイ11上に現出した影像パターンを撮影する役割を果たす。以下の説明では、カメラ3aにより撮影された影像パターンを「検体プロファイル」と称する。検査アプリ3bが行う処理には、カメラ3aに撮影を実行させ、得られた影像から検体プロファイルを取得し、取得した検体プロファイルを検査システムサーバ5に送信する処理が含まれる。
【0018】
検査機関端末4は、各種ウイルスやエクソソームなどの検査や研究を行う機関に設置されるコンピュータである。この機関は、標的物質の分子構造(塩基配列など)を特定し、特定の結果に基づいて、マイクロアレイ11上に現出する影像パターンを導出する機能を有している。検査機関端末4は、新たな標的物質(コロナウイルスの変異株など)が発見され、対応する影像パターンが導出された場合に、発見された標的物質の種類と、導出された影像パターンとを対応付けるデータを生成し、検査システムサーバ5に対して送信する役割を果たす。以下の説明では、こうして検査機関端末4から検査システムサーバ5に送信されるデータを「標本プロファイル」と称する。
【0019】
検査システムサーバ5は、検査機関端末4から受信した標本プロファイルを記憶するとともに、各ユーザ端末3の検査アプリ3bから検体プロファイルを受信し、受信した検体プロファイルにより示される影像パターンと、記憶している1以上の標本プロファイル内の影像パターンとを比較することにより、検体Sに含まれる標的物質の種類を特定する処理を行うクラウドサーバである。特定の結果は検査システムサーバ5から検査アプリ3bに通知され、検査アプリ3bによりユーザに通知される。
【0020】
図2は、ユーザ端末3、検査機関端末4、及び検査システムサーバ5のハードウェア構成の一例を示す図である。ユーザ端末3、検査機関端末4、及び検査システムサーバ5はそれぞれ、図示した構成を有するコンピュータ100によって構成され得る。典型的な例では、ユーザ端末3を構成するコンピュータ100はスマートフォンであり、検査機関端末4を構成するコンピュータ100はパーソナルコンピュータである。ただし、これら以外のコンピュータ100によってユーザ端末3及び検査機関端末4を構成してよいのは勿論である。検査システムサーバ5を構成するコンピュータ100は、複数のコンピュータの結合によって構成されるコンピュータであってよい。
【0021】
図2に示すように、コンピュータ100は、CPU(Central Processing Unit)101、記憶装置102、入力装置103、出力装置104、及び通信装置105を有して構成される。
【0022】
CPU101は、コンピュータ100の各部を制御するとともに、記憶装置102に記憶される各種のプログラムを読み出して実行するプロセッサである。後掲する
図8及び
図9を参照して説明する各処理は、ユーザ端末3、検査機関端末4、及び検査システムサーバ5のCPU101が記憶装置102に記憶されるプログラムを実行することによって実現される。ユーザ端末3のCPU101によって実行されるプログラムには、上述した検査アプリ3bが含まれる。
【0023】
記憶装置102は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの主記憶装置と、ハードディスクなどの補助記憶装置とを含み、コンピュータ100のオペレーティングシステムや各種のアプリケーションを実行するための各種のプログラム、及び、これらのプログラムによって利用されるデータ(上述した標本プロファイルを含む)を記憶する役割を果たす。
【0024】
入力装置103は、ユーザの入力操作を受け付けてCPU101に供給する装置であり、例えばキーボード、マウス、タッチパネルを含んで構成される。出力装置104は、CPU101の処理結果をユーザに対して出力する装置であり、例えばディスプレイ、スピーカーを含んで構成される。通信装置105は、外部の装置と通信するための装置であり、CPU101の指示にしたがってデータの送受信を行う。ユーザ端末3、検査機関端末4、及び検査システムサーバ5はそれぞれ、この通信装置105を用いて、
図1に示した通信ネットワーク6を含む他の装置、システム、ネットワークなどとの間で通信を行う。
【0025】
次に、
図3~
図6を参照し、オンサイト検査キット2の内部構成と、オンサイト検査キット2内で行われる処理とについて、詳しく説明する。
【0026】
図3は、オンサイト検査キット2の内部構成を示す図である。同図に示すように、オンサイト検査キット2の内部には、マイクロリアクタ10及びマイクロアレイ11が配置される。
【0027】
マイクロリアクタ10は化学反応を行うための装置であり、3つの合流点A,B,Cを有する反応流路10aを有して構成される。合流点Aは、開口部2bに注ぎ込まれた検体Sと、検体Sから標的物質を抽出する機能を有する抽出試薬R1とが流入するよう構成される。
【0028】
合流点Bは、抽出試薬R1により検体Sから抽出された標的物質と、所定の箇所で標的物質を分割する機能を有する分割試薬R2とが流入するよう構成される。分割試薬R2の具体的な種類は、分割により得られる標的物質の各断片の組み合わせにより標的物質の特徴が十分に表されることとなるようなもの、別の言い方をすれば、分割により得られる標的物質の各断片の組み合わせが標的物質の種類ごとに異なることとなるようなものが選定される。例えば標的物質が塩基配列である場合であれば、所定の塩基配列(数塩基からなる短い塩基配列)を選択的に分解することにより、この所定の塩基配列を含む箇所で標的物質を分割するリボヌクレアーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、制限酵素、ヌクレアーゼあるいはリボヌクレアーゼ活性を有するその他の核酸酵素、核酸を分割する化学試薬などを分割試薬R2として用いることが好適である。また、例えば標的物質がタンパク質である場合であれば、所定のペプチド結合を選択的に分解することにより、この所定のペプチド結合を含む箇所で標的物質をペプチド単位に分割する酵素ペプチターゼ、プロテアーゼなどを分割試薬R2として用いることが好適である。合流点Bを通過した検体Sは、分割試薬R2によって複数の分子(断片)に分割された状態となる。以下では、こうして分割された状態の検体Sを「検体Sa」と称して、元の検体Sと区別することにする。また、検体Saを構成する個々の分子を「検体分子」と称する。
【0029】
合流点Cは、検体Saと、マイクロアレイ11上での反応を促進するための反応促進試薬R3とが流入するよう構成される。合流点Cを通過した検体Saは、反応促進試薬R3との混合溶液となった状態でマイクロリアクタ10から流出し、マイクロアレイ11上に供給される。反応促進試薬R3として具体的には、検体分子と後述するプローブとの結合を増強することにより、プローブの発光又は呈色を顕著化する機能を有する人工シャペロン高分子を用いることが好適である。
【0030】
マイクロアレイ11は、互いに異なる分子構造を有する複数の分子のそれぞれに反応して発光又は呈色する複数の物質(以下「プローブ」という)をマトリクス状に配列したものである。上述した影像パターンは、このプローブが対応する検体分子に反応して発光又は呈色することによって生成される。反応の具体的な型式は特に限定されないが、例えば、分子ビーコン型、核酸酵素(MNAZyme)型などが挙げられる。
【0031】
図4は、分子ビーコン型の反応を用いる場合の蛍光反応を説明する図である。同図に示すように、分子ビーコン型を用いる場合のプローブは、一端でマイクロアレイ11に固定された直鎖状の分子ビーコン20と、分子ビーコン20の他端近傍に設けられた蛍光基21と、一端近傍に配置された消光基22とを含んで構成される。初期状態では、分子ビーコン20が折れ曲がって消光基22と蛍光基21とが接触していることにより、蛍光基21は消光状態となっている。分子ビーコン20に結合する検体分子23を含む検体Saと、反応促進試薬R3である人工シャペロン高分子24とを含む混合溶液をマイクロアレイ11上に展開すると、検体分子23が分子ビーコン20と結合し、蛍光基21と消光基22が離れることから、蛍光基21は蛍光による発光状態となる。
【0032】
図5は、核酸酵素型の反応を用いる場合の蛍光反応を説明する図である。この場合のプローブは、同図に示すように、塩基nを有し、一端でマイクロアレイ11に固定された直鎖状の核酸酵素基質30と、核酸酵素基質30のうち塩基nよりもマイクロアレイ11に近い位置に設けられた蛍光基31と、核酸酵素基質30のうち塩基nよりもマイクロアレイ11から遠い位置に設けられた消光基32と、塩基nよりもマイクロアレイ11に近い位置で核酸酵素基質30に結合する核酸酵素33と、塩基nよりもマイクロアレイ11から遠い位置で核酸酵素基質30に結合する核酸酵素34とを含んで構成される。初期状態では、消光基32の影響により蛍光基21は消光状態となっている。核酸酵素33,34に結合する検体分子35を含む検体Saと、蛍光基の発光又は呈色を増強する機能を有する人工シャペロン高分子36とを含む混合溶液をマイクロアレイ11上に展開すると、検体分子35が核酸酵素33,34と結合して基質切断反応が起き、塩基nのところで核酸酵素基質30が切断される。これにより、蛍光基31と消光基32が離れることから、蛍光基31は蛍光による発光状態となる。
【0033】
図3に戻る。マイクロアレイ11内に配列されるプローブの種類及び数は、今後新たに登場するであろう変異株を含む様々な標的物質から生成される検体Saを構成する特徴的な検体分子の種類をできるだけ包含することとなるように、別の言い方をすれば、未知のものを含めてできるだけ多くの標的物質を識別できるように、予め選定される。
図3には、16種類のプローブA~Pを有するマイクロアレイ11の例を示しているが、マイクロアレイ11内に配列するプローブの数は16種類に限られるものではなく、上記のような選定の結果として、16種類より多くなることや少なくなることがあり得る。例えばコロナウイルスのRNAを標的物質とする場合、既知又は未知の多数の変異株をそれぞれ識別する場合を考慮すると、数10万個のプローブが必要になることもあり得る。
【0034】
また、マイクロアレイ11は、マイクロリアクタ10から出力された検体Saと反応促進試薬R3の混合溶液をマイクロアレイ上に展開することにより、検体Sa及び反応促進試薬R3を各プローブに行き渡らせることができるように構成される。典型的には、プローブが配列されている表面の全体に検体Saと反応促進試薬R3の混合溶液を流し込めるように、マイクロアレイ11を構成すればよい。このような混合溶液の流し込みを実現するためのマイクロアレイ11の形状の一例として、
図3には複数のプローブを4×4の行列形式で並べる例を示しているが、混合溶液を各プローブに行き渡らせることができれば、例えば一直線状や渦巻き状など他の形式で各プローブを並べることとしてもよい。
【0035】
マイクロリアクタ10から出力された検体Saと反応促進試薬R3の混合溶液をマイクロアレイ11上に流し込むと、マイクロアレイ11上に、検体Saを構成する検体分子の種類に応じた影像パターン(発光又は呈色のパターン)が現出する。上述したように、分割により得られる標的物質の各断片(すなわち、検体Saを構成する検体分子)の組み合わせが標的物質の種類ごとに異なることとなるように分割試薬R2を選定していることから、マイクロアレイ11上に現出した影像パターンも、標的物質の種類ごとに異なることになる。したがって、マイクロアレイ11上に現出した影像パターンを確認することによって、検体Sに含まれる標的物質の種類を特定できることになる。なお、カメラ3aによって撮影された写真から影像パターンを判別しやすくするため、マイクロアレイ11近傍の適切な位置に、適当な角度で、UV光を発するLEDなどの励起光源を配置しておくことが好ましい。この場合、励起光源を配置する基板に導波路を設け、この導波路を介して、励起光源からマイクロアレイ11に励起光を照射するように構成してもよい。また、励起光源の動作電力は、ボタン電池などの二次電池から取得することとしてもよいし、有線接続によりユーザ端末3から取得することとしてもよい。
【0036】
図6及び
図7はそれぞれ、マイクロアレイ11上に現出した影像パターンによる標的物質の種類の特定の具体的な例を示す図である。これらの図に示す小文字のa~zはそれぞれ、プローブA~Zに対応する分子構造(例えば、塩基配列)を表している。また、「+」の文字は、上述した分割試薬R2による分割の基準となる分子構造(例えば、数塩基からなる短い塩基配列)を表している。
【0037】
図6に示した検体Sは、分子構造a,b,e,f,g,j,k,l,n,o,q,r,s,t,u,v,w,x,y,zを分子構造+で接続してなる分子構造を有する標的物質を含んでいる。そして、そのような検体Sを抽出試薬R1及び分割試薬R2によって処理することによって得られる検体Saは、それぞれ分子構造a,b,e,f,g,j,k,l,n,o,q,r,s,t,u,v,w,x,y,zのいずれかによって構成される標的物質の複数の断片(検体分子)の集合体となる。
【0038】
一方、
図7に示した検体Sは、分子構造a,b,c,d,e,f,g,j,k,q,r,s,t,v,w,x,y,zを分子構造+で接続してなる分子構造を有する核酸を含んでいる。そして、そのような検体Sを抽出試薬R1及び分割試薬R2によって処理することによって得られる検体Saは、それぞれ分子構造a,b,c,d,e,f,g,j,k,q,r,s,t,v,w,x,y,zのいずれかによって構成される標的物質の複数の断片(検体分子)の集合体となる。
【0039】
検体Saをマイクロアレイ11上に流すと、検体Saに含まれる各検体分子に対応するプローブが反応し、反応したプローブの箇所だけが発光又は呈色することになる。
図6及び
図7においては、各プローブの欄内に示した黒丸の数が検体Sa内に含まれる対応分子の数を示している。また、各プローブの欄内に示したハッチングは、そのプローブが反応していないことを示している(逆に言えば、対応する欄内にハッチングを施していないプローブは、検体Saに反応し、発光又は呈色している)。
図6と
図7を比較すると理解されるように、検体Sに含まれる標的物質の分子構造によって、マイクロアレイ11の発光又は呈色のパターンが異なる。したがって、上記したように、マイクロアレイ11上に現出した影像パターンを確認することによって、検体Sに含まれる標的物質の種類を特定できることになる。
【0040】
なお、
図6及び
図7の検体Sはそれぞれ、対応するプローブがマイクロアレイ11内に存在しない分子構造を含んでいる。具体的に列挙すると、
図6の例では、分子構造q,r,s,t,u,v,w,x,y,zに対応するプローブがマイクロアレイ11内に存在せず、
図7の例では、分子構造q,r,s,t,v,w,x,y,zに対応するプローブがマイクロアレイ11内に存在しない。このような場合、これらの分子構造による発光又は呈色は勿論得られないが、他の分子構造によって十分に、検体Sに含まれる標的物質の種類を特定することができる。逆に言えば、マイクロアレイ11内に配列するプローブの種類及び数は、マイクロアレイ11内に存在しないプローブに対応する分子構造を含む標的物質があったとしても、他の分子構造によってその種類を十分に特定できるように、予め選定される。
【0041】
次に、
図8を参照し、マイクロアレイ11上に現出する影像パターンを用いて標的物質の種類を特定するためにオンサイト検査システム1を構成する各装置が行う処理について、詳しく説明する。
【0042】
図8は、本実施の形態によるオンサイト検査システム1を構成する各装置によって実行される処理を示すシーケンス図である。同図に示すように、まず初めに、検査機関端末4から検査システムサーバ5に対し、上述した標本プロファイル(発見された標的物質の種類と、マイクロアレイ11上に現出する影像パターンとを対応付けるデータ)が送信される(ステップS1)。検査システムサーバ5は、検査機関端末4から受信した標本プロファイルを自身の記憶装置102(
図2を参照)内に記憶する(ステップS2)
【0043】
次に、ユーザがオンサイト検査キット2の開口部2bに検体Sを注入した後(ステップS3)、検査アプリ3bは、ユーザ操作に応じて、オンサイト検査キット2の開口部2c内の撮影を実行する(ステップS4)。続いて検査アプリ3bは、撮影された影像から上述した検体プロファイルを取得し(ステップS5)、取得した検体プロファイルを検査システムサーバ5に送信する(ステップS6)。検査アプリ3bから検体プロファイルを受信した検査システムサーバ5は、受信した検体プロファイルと、記憶している1以上の標本プロファイル内の影像パターンとを比較することにより、検体Sに含まれる標的物質の種類を特定する(ステップS7)。具体的には、検体プロファイルと一致する影像パターンを含む標本プロファイルにより示される標的物質の種類を、ステップS7における特定の結果として取得すればよい。その後、検査システムサーバ5は、特定した標的物質の種類を示す情報を検査アプリ3bに対して送信し(ステップS8)、検査アプリ3bは、受信した情報により示される標的物質の種類をユーザに通知する(ステップS9)。一例では、検査アプリ3bは、標的物質の種類を示す文字列(例えば「新型コロナウイルス・オミクロン株亜種BA.5」など)を、ユーザ端末3のディスプレイ上に表示すればよい。これによりユーザは、検体Sに含まれる標的物質の種類を知ることが可能になる。
【0044】
以上説明したように、本実施の形態によるオンサイト検査システム1によれば、マイクロアレイ11上に現出した影像パターン(検体プロファイル)を取得し、予め記憶されている1以上の標本プロファイル内に含まれる影像パターンと比較するだけで検査結果を得ることができるので、速やかに検査結果を得ることが可能になる。また、検査システムサーバ5内に記憶される標本プロファイルを、オンラインを通じて更新するだけで新たな標的物質に対応できるので、新たな変異株など、新たな標的物質の登場にも迅速に対応することが可能になる。
【0045】
また、本実施の形態によるオンサイト検査システム1によれば、各ユーザ端末3で取得された検体プロファイルが検査システムサーバ5に集約されるので、集約された検体プロファイルから未知の変異株を発見することや、集約された検体プロファイルのビックデータ解析を行うことにより変異株流行の遷移を可視化することも可能になる。
【0046】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、本発明が、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施され得ることは勿論である。
【0047】
例えば、検査アプリ3bから検査システムサーバ5に検体プロファイルを送信する際、ユーザ端末3の位置情報やユーザの個人情報(性別、年齢など)とともに送信することとしてもよい。こうすることで、地域ごとの変異株の分布や、男女比や年齢別の感染状況を確認することが可能になる。
【0048】
また、本実施の形態では、カメラ3aにより撮影された影像パターンを検体プロファイルとして用いる例を説明したが、カメラ3aにより撮影された影像パターンを解析することによってプローブごとの反応強度を取得し、取得した反応強度を示すデジタルデータを検体プロファイルとして用いることとしてもよい。例えば
図6の例であれば、プローブA~Pそれぞれの反応強度は1,1,0,0,2,2,1,0,0,1,3,1,0,2,1,0と表すことができ、これらの反応強度をそれぞれ2ビットで示す32ビットのデジタルデータ(01010000101001000001110100100100)を検体プロファイルとして用いることとしてもよい。この場合、標本プロファイル内の影像パターンについても、検体プロファイルと同様のデジタルデータとすることが好ましい。各プローブの反応強度を2ビット以上で表すデジタルデータを用いることにより、各プローブの発光又は呈色の有無だけでなく、各プローブの発光又は呈色の強度にも基づいて、より正確に、標的物質の種類を特定することが可能になる。ただし、各プローブの反応強度を1ビットで表すデジタルデータを用いてもよいのは勿論である。いずれにしても、約3万基の塩基配列を含むコロナウイルスのRNAの情報をそのまま比較の対象とする場合に比べれば、格段に少ない情報により標的物質の種類を特定することが可能になる。
【0049】
また、マイクロアレイ11に配列するプローブとして、標的物質の分子構造と完全に一致するパーフェクトプローブの他に、標的物質の分子構造の一部を変更してなるミスマッチプローブを加えることとしてもよい。こうすることで、標的物質に加え、標的物質に類似する物質を捉えることによる誤検出を防ぐことが可能になる。
【0050】
また、本実施の形態では、マイクロリアクタ10内で抽出試薬R1及び分割試薬R2を検体Sと混合させる例を説明したが、検体Sを採取する際に用いる溶解液の中に抽出試薬R1及び分割試薬R2を混合しておくこととしてもよい。また、分割試薬R2を用いる化学的な分割に代え、超音波などを用いた物理的な分割により検体Sを分割することとしてもよい。
【0051】
図9は、本実施の形態の変形例によるオンサイト検査システム1によって実行される処理を示すシーケンス図である。本変形例による処理は、標本プロファイル内の影像パターンと検体プロファイルとの比較を検査システムサーバ5ではなくユーザ端末3において行う点で、本実施の形態による処理と相違する。以下、相違点を中心に詳しく説明する。
【0052】
図8と
図9を比較すると理解されるように、本変形例では、ステップS2を実行した検査システムサーバ5から各ユーザ端末3に対し、ステップS2で記憶した標本プロファイルが配信される(ステップS10)。各ユーザ端末3の検査アプリ3bは、検査システムサーバ5が配信した標本プロファイルを受信し、ユーザ端末3の記憶装置102(
図2を参照)内に記憶する(ステップS11)。
【0053】
また、本変形例による検査アプリ3bは、ステップS7で検体プロファイルを取得した後、記憶している1以上の標本プロファイル内の影像パターンと比較することにより、検体Sに含まれる標的物質の種類を自ら特定する(ステップS20)。ステップS20における特定の具体的な方法は、
図8のステップS7と同様でよい。その後、検査アプリ3bは、特定した標的物質の種類をユーザに通知する(ステップS21)。ステップS21における通知の具体的な方法は、
図8のステップS9と同様でよい。
【0054】
このように、本変形例によるオンサイト検査システム1によっても、マイクロアレイ11上に現出した影像パターン(検体プロファイル)を取得し、予め記憶されている1以上の標本プロファイル内に含まれる影像パターンと比較するだけで検査結果を得ることができるので、速やかに検査結果を得ることが可能になる。また、ユーザ端末3内に記憶される標本プロファイルを、オンラインを通じて更新するだけで新たな標的物質に対応できるので、新たな変異株など、新たな標的物質の登場にも迅速に対応することが可能になる。加えて、本変形例によるオンサイト検査システム1によれば、通信ネットワーク6の障害などによってユーザ端末3と検査システムサーバ5の通信が行えない場合であっても、検査結果を得ることが可能になる。
【符号の説明】
【0055】
1 オンサイト検査システム
2 オンサイト検査キット
2a 筐体
2b,2c 開口部
3 ユーザ端末
3a カメラ
3b 検査アプリ
4 検査機関端末
5 検査システムサーバ
6 通信ネットワーク
10 マイクロリアクタ
10a 反応流路
11 マイクロアレイ
100 コンピュータ
101 CPU
102 記憶装置
103 入力装置
104 出力装置
105 通信装置
A,B 合流点
R1 抽出試薬
R2 分割試薬
S,Sa 検体