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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032134
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】駐車場管理システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/14 20060101AFI20240305BHJP
   G08G 1/04 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
G08G1/14 A
G08G1/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135615
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】596082770
【氏名又は名称】西菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】弁理士法人ぱるも特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 紀彦
(72)【発明者】
【氏名】吉村 修
(72)【発明者】
【氏名】尾嵜 憲司
(72)【発明者】
【氏名】山下 明輝
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB13
5H181BB15
5H181CC04
5H181KK01
5H181KK06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】撮影された画像に基づいて、管理対象領域に出入りする車両を検知し、集計することによって管理対象領域に存在する車両数を把握するシステムを提供する。
【解決手段】駐車場を撮影して、画像情報を出力する撮像装置と、画像情報処理装置とを備え、前記画像情報処理装置は、前記撮像装置による前記駐車場の管理対象領域の画像情報に基づいて、前記管理対象領域に入る車両と前記管理対象領域から出る車両とを検知し、検知結果を出力する車両検知手段、および前記車両検知手段の出力を受けて、前記管理対象領域に入る車両数を加算し、前記管理対象領域から出る車両数を減算することによって前記管理対象領域に存在する車両数を集計する集計手段を有する画像情報処理手段を備えたことを特徴とする駐車場管理システムとした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場を撮影して、画像情報を出力する撮像装置と、画像情報処理装置とを備え、前記画像情報処理装置は、前記撮像装置による前記駐車場の管理対象領域の画像情報に基づいて、前記管理対象領域に入る車両と前記管理対象領域から出る車両とを検知し、検知結果を出力する車両検知手段、および前記車両検知手段の出力を受けて、前記管理対象領域に入る車両数を加算し、前記管理対象領域から出る車両数を減算することによって前記管理対象領域に存在する車両数を集計する集計手段を有する画像情報処理手段を備えたことを特徴とする駐車場管理システム。
【請求項2】
前記画像情報処理手段は、前記撮像装置によって撮影された画像に基づいて、前記管理対象領域に存在する車両数を把握する画像情報解析手段を有することを特徴とする請求項1に記載の駐車場管理システム。
【請求項3】
前記駐車場が複数の前記管理対象領域に区分され、前記管理対象領域に応じて前記画像情報処理手段が設定されていることを特徴とする請求項1に記載の駐車場管理システム。
【請求項4】
前記画像情報解析手段による車両数の把握が、前記撮像装置によって撮影された画像に基づいて予め定められた時間間隔で周期的に行われることを特徴とする請求項2に記載の駐車場管理システム。
【請求項5】
前記画像情報解析手段による車両数の把握が、前記撮像装置によって撮影された画像に基づいて予め定められた時間間隔で周期的に行われ、前記車両検知手段による検知は、前記車両の出入りの都度行われることを特徴とする請求項2に記載の駐車場管理システム。
【請求項6】
前記画像情報解析手段による車両数の把握の周期は、前記車両検知手段の検知の出力よりも短く設定されていることを特徴とする請求項5に記載の駐車場管理システム。
【請求項7】
前記画像情報解析手段による車両数の把握において、誤りなく把握できる車両数を第1の閾値として設定し、把握された車両数が前記第1の閾値を超えた場合には、前記車両検知手段によって検知された車両数を前記集計手段によって集計して、前記管理対象領域に存在する車両数とするようにしたことを特徴とする請求項2に記載の駐車場管理システム。
【請求項8】
前記車両検知手段による検知は、前記車両検知手段による検知を開始した時点からの経過時間に応じて前記画像情報解析手段による車両数の把握に切り替えられることを特徴とする請求項2に記載の駐車場管理システム。
【請求項9】
前記画像情報解析手段による車両数の把握において、誤りなく把握できる車両数を第2の閾値として設定し、把握された車両数が前記第2の閾値以下である場合には、前記画像情報解析手段による車両数が正しいとして、前記車両検知手段による加減算結果を破棄し、前記画像情報解析手段によって把握された車両数を前記管理対象領域に存在する車両数としたことを特徴とする請求項2に記載の駐車場管理システム。
【請求項10】
前記第2の閾値は、時間の経過に伴って、予め定められた車両数分を増加するように変動させたことを特徴とする請求項9に記載の駐車場管理システム。
【請求項11】
前記画像情報処理装置は、前記駐車場の通路の移動車両を識別する車両識別手段と、前記移動車両が、前記管理対象領域のどこの駐車枠に駐車するかを推定する駐車位置推定手段と、前記車両識別手段および前記駐車位置推定手段からの出力を受けて前記移動車両と前記駐車枠との情報を結合する監視手段とを備えた通路画像情報処理手段を有することを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の駐車場管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、駐車場管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
駐車場の利用状況(駐車枠の空き状況)を把握するために、高い位置に配置された撮像装置によって、駐車されている車両の画像情報を取得し、得られた画像情報を分析することが行われている。
【0003】
また、駐車枠の利用状態の検出に画像処理技術の輪郭法又は機械学習法を用いて車両の有無を判別し、さらに、画像が不明瞭な場合には、撮影画像の中から駐車枠の利用状態が同じである明瞭な画像を検出して使用することによってノイズを抑制して、検出精度を向上させることが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-84364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示されているように、駐車場内に存在する車両数を把握するためには、駐車場を撮影する撮像技術を高めること、および撮影された画像情報から必要な情報を抽出する情報処理技術を高めることが必要である。
しかし、駐車される車両数が多くなると、車両の陰に後方の車両が隠れるため、画像情報から車両数を把握する精度が低下するという問題が生じる。
【0006】
本願は、前述の問題に対して、駐車している車両の画像情報から車両数を把握するシステムに代わる駐車場管理システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の駐車場管理システムは、駐車場を撮影して、画像情報を出力する撮像装置と、画像情報処理装置とを備え、前記画像情報処理装置は、前記撮像装置による前記駐車場の管理対象領域の画像情報に基づいて、前記管理対象領域に入る車両と前記管理対象領域から出る車両とを検知し、検知結果を出力する車両検知手段、および前記車両検知手段の出力を受けて、前記管理対象領域に入る車両数を加算し、前記管理対象領域から出る車両数を減算することによって前記管理対象領域に存在する車両数を集計する集計手段を有する画像情報処理手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本願の駐車場管理システムによれば、撮像装置によって撮影された画像に基づいて、管理対象領域に出入りする車両を検知し、集計することによって管理対象領域に存在する車両数を把握するシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1の駐車場管理システムの構成を示す図である。
図2】駐車場の一例を示す平面図である。
図3】駐車場の管理対象領域の俯瞰画像の一例を示す図である。
図4】駐車場の管理対象領域の平面図である。
図5】実施の形態1の集計の処理を示すフロー図である。
図6】実施の形態1の車両検知手段を使用した車両数の集計を説明する図である。
図7】実施の形態1および2の通路画像情報処理手段の動作を説明する図である。
図8】実施の形態2の駐車場管理システムの構成を示す図である。
図9】実施の形態2の画像情報解析手段による車両数を説明する図である。
図10】実施の形態2の車両検知手段による車両数と画像情報解析手段による車両数を説明する図である。
図11】実施の形態2の集計手段のフロー図である。
図12】実施の形態2の画像情報解析手段の周期を短縮した場合を説明する図である。
図13】実施の形態3の第1の閾値を説明する図である。
図14】実施の形態3のフロー図である。
図15】実施の形態4の第2の閾値を説明する図である。
図16】実施の形態4のフロー図である。
図17】実施の形態4の第1の閾値と第2の閾値を説明する図である。
図18】実施の形態5の第2の閾値の変動を説明する図である。
図19】実施の形態の情報処理装置を実現するハードウエア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本願に係る駐車場管理システムの実施の形態について図面を用いて説明する。なお、各図において同一または相当する部分については、各々同一符号を付して、重複する説明を省略する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による駐車場管理システムを示す構成図である。
図1に示すように、駐車場管理システム1000は、駐車場を撮影する撮像装置10と、この撮像装置10によって撮影された画像情報を分析して必要とする情報を得る情報処理システム20とを備えている。
【0012】
撮像装置10は、駐車場の、車両の高さよりも高い位置に取り付けられ、駐車場全体を撮影し、画像情報を情報処理システム20に出力する。
情報処理システム20は、撮像装置10から出力された画像情報を処理することによって駐車場の利用状況を把握する。
【0013】
情報処理システム20は、画像情報処理装置21および管理装置22を備えている。
画像情報処理装置21は、第1の画像情報処理手段210、第2の画像情報処理手段220、および通路画像情報処理手段230を備えている。
【0014】
第1の画像情報処理手段210は、車両検知手段211および集計手段212を備えている。また、第2の画像情報処理手段220は、第1の画像情報処理手段210と同様に、車両検知手段221および集計手段222を備えている。第1の画像情報処理手段210および第2の画像情報処理手段220のそれぞれは、駐車場の予め定められた管理対象領域のそれぞれの画像情報を処理するように割り当てられている。
【0015】
なお、通路画像情報処理手段230は、駐車枠の画像情報だけでなく、駐車場の通路103の画像情報の処理を担当しており、車両識別手段231、駐車位置推定手段232および監視手段233を備えている。
【0016】
画像情報処理装置21の中の、第1の画像情報処理手段210について、その動作について説明する。なお、第2の画像情報処理手段220については、担当する管理対象領域が異なるが、動作については同様であるので、説明を省略する。
【0017】
車両検知手段211は、撮像装置10から画像情報を受け、画像情報に含まれている車両画像を抽出し、駐車場の予め定められた管理対象領域に対する車両画像の移動方向を見ることによって、管理対象領域の駐車枠に入る車両であるか、管理対象領域から出る車両であるかを検知し、管理対象領域に入る車両を検知した場合には加算する信号を出力し、管理対象領域から出る車両を検知した場合には減算する信号を出力する。
【0018】
この車両検知手段211の出力を受けて、集計手段212は、管理対象領域に存在する車両数に対して加算および減算を行い、集計値を管理装置22に出力する。
ここで、車両画像の抽出は、車両の画像を予め学習して様々な車両の画像を記憶しておくことによって、画像の一部であっても、画像情報の中からほぼ正確に行うことができるものである。
【0019】
管理装置22は、集計手段212からの出力を受けて、駐車場の混雑状況に関する情報などの管理情報を出力する。
また、管理装置22は、撮像装置10の画像情報を受けて、撮像装置10の撮影の方向、角度、倍率などの制御を行う。
【0020】
この駐車場管理システム1000によって管理する駐車場の例を図2に示す。
図2は、駐車場の平面図であって、駐車場100に対する撮像装置10の配置と、駐車場100における駐車枠101、管理対象領域102、通路103および車両50を表している。
【0021】
駐車場100を管理する場合、図2に示す平面図が必要になる。この実施の形態1においては、駐車場100を複数の領域に分けて管理対象領域102としている。すなわち、管理対象領域102は、予め定められた複数の駐車枠101を一つにまとめた領域である。
図2の例では、符号A、B、C、D、E、F、G、Hを付けた領域をそれぞれ管理対象領域102としている。また、通路103は、管理対象領域102の間を車両50が走行するように設けられている。
【0022】
撮像装置10によって撮影された駐車場100のうち、Bの管理対象領域102の俯瞰画像の一例を図3に示す。
図3は、連続して撮影される俯瞰画像のうちの1フレームの画像情報である。この俯瞰画像の複数のフレームを観察することによって、管理対象領域102から出る方向に移動する車両51および管理対象領域102に入る方向に移動する車両52を検知することができる。
【0023】
図3の俯瞰画像を平面図に表すと、図4に示すようになる。ここで、管理対象領域102内に存在する車両50は、それぞれ駐車枠101内に収まっている。この車両50の台数については、従来の画像分析によって把握できるが、この実施の形態1では、図4に示す移動中の車両(管理対象領域102から出る車両51と、管理対象領域102に入る車両52)を検知することによって台数の集計を行う。
【0024】
この実施の形態1による集計の処理は、図5に示す手順によって行われる。
図5に示すように、まず、撮像装置10から管理対象領域102の画像情報(俯瞰画像の画像情報)を車両検知手段211で受け(ステップS51)、車両検知手段211では、画像情報の中から車両の画像を抽出し、移動中の車両画像を把握する(ステップS52)。
ここで、移動中の車両画像が複数、同時に把握した場合には、それぞれの車両画像について並列に処理を行う。
【0025】
移動中の車両画像から、その車両が管理対象領域102に入る車両か否かの判別を行う(ステップS53)。
管理対象領域102に入る車両である場合には、加算対象の車両とする(ステップS54)。
【0026】
管理対象領域102に入る車両ではない場合には、管理対象領域102から出る車両であるか否かの判別を行う(ステップS55)。
管理対象領域102から出る車両である場合には、減算対象の車両とする(ステップS56)。
ここで、管理対象領域102から出る車両ではないと判別された場合には、加減算の対象に関係しない車両とする(ステップS57)。
【0027】
加算対象の車両(管理対象領域102に入る車両)の場合には+1の値、減算対象の車両(管理対象領域102から出る車両)の場合には-1の値、また、関係しない車両の場合には0の値を出力し(ステップS58)、集計手段212において集計を行う。
なお、ステップS53とステップS55との順序は、入れ替えることができる。
【0028】
この実施の形態1において、車両検知手段211の出力および集計手段212による集計の状態の例を図6に示す。
図6の図中、縦軸は車両数、横軸は時間である。車両が管理対象領域102に入った場合にはプラス1、管理対象領域102から出た場合にはマイナス1を出力することによって、車両を検知する都度の検知結果は、図中の下側に示す棒グラフAのように、その都度に計上され、出力される。この棒グラフAの検知結果を集計手段212で加減して集計することによって、累計値は、階段グラフBに示すようになる。
【0029】
この実施の形態1では、撮像装置10からの画像情報に基づいて、管理対象領域102から出る車両51および管理対象領域102に入る車両52を検知し、入る車両数を加算し、出る車両数を減算して集計することによって、管理対象領域102に存在する車両数を把握している。すなわち、管理対象領域102の周囲を横切る車両の画像とその車両の画像の移動方向を検知することによって車両の出入りを検知し、この検知結果を集計するものである。
【0030】
実施の形態1に示した通路画像情報処理手段230については、図1に示すように、車両識別手段231と駐車位置推定手段232と監視手段233とを備えている。
ここで、通路画像情報処理手段230は、図7に示すように、通路103を走行する移動車両53が、どの駐車枠101に駐車するのかという情報を処理する。
【0031】
図1に示す車両識別手段231は、撮像装置10からの画像情報に基づいて、通路103における移動車両53を認識し、移動車両53の画像から、移動車両53の特徴を把握して、移動車両53毎に区別して位置情報および移動方向の情報を把握する。
【0032】
駐車位置推定手段232は、撮像装置10からの画像情報に基づいて、駐車枠101の配置情報と移動車両53の位置情報および移動方向の情報とに基づいて移動車両53が、どの駐車枠101に駐車するかを推定する。
【0033】
監視手段233は、車両識別手段231および駐車位置推定手段232からの出力を受けて、移動車両53が、推定された駐車枠101に駐車するのかを監視する。車両識別手段231において識別された移動車両53が、駐車位置推定手段232において推定された駐車枠101に駐車しなかった場合には、移動車両53の移動に応じて新たに駐車枠101を推定するよう監視手段233から駐車位置推定手段232に指示が出される。
【0034】
したがって、駐車枠101の推定は、必ずしも当たらなくても問題は無く、移動車両53の移動に伴って、新たに推定を繰り返すことによって、最終的に移動車両53の情報と駐車枠101の情報とを結びつけることできる。
【0035】
また、車両識別手段231において、移動車両53の移動方向を監視手段233に出力することから、監視手段233では、移動車両53が逆走している場合を検出し、その情報を管理装置22に出力することができる。
【0036】
管理装置22は、監視手段233から逆走などの信号を受けた場合には、該当する移動車両53に対して警告を出すなどの管理機能を果たすことができる。
さらに、通路画像情報処理手段230によって移動車両53の動きを把握することによって移動車両53に対して駐車枠101を案内するための情報を作成することができる。
【0037】
実施の形態2.
この実施の形態2は、実施の形態1の第1の画像情報処理手段210および第2の画像情報処理手段220の構成を変更したもので、その他の構成は実施の形態1の内容と同じであるので説明を省略する。
【0038】
すなわち、この実施の形態2は、図8に示すように、管理対象領域102の車両数を把握する手段として、第1の画像情報処理手段210に画像情報解析手段213を追加し、第2の画像情報処理手段220に画像情報解析手段223を追加したものである。
【0039】
図8は、実施の形態2の駐車場管理システム1000の構成を示す図である。
以下、図8の第1の画像情報処理手段210およびその周辺について説明する。
【0040】
第1の画像情報処理手段210は、車両検知手段211、集計手段212および画像情報解析手段213を備えている。また、第1の画像情報処理手段210は、図2に示すように、駐車場100の予め定められた領域のうちの一つの領域を管理対象領域102として、この領域の画像情報を処理するように割り当てられている。
【0041】
画像情報解析手段213は、撮像装置10からの画像情報を使用して、管理対象領域102の画像情報に表れている車両50の形状(陰に隠れて一部しか見えない車体の形状を含む)を判断することによって、管理対象領域102の駐車枠101の車両50についての情報を把握して、管理対象領域102に含まれる車両数を集計手段212に出力する。
【0042】
車両検知手段211は、実施の形態1に示したものと同じように、撮像装置10からの画像情報を使用して、管理対象領域102から出る車両51および管理対象領域102に入る車両52を検知して、検知結果を集計手段212に出力する。
【0043】
集計手段212は、車両検知手段211および画像情報解析手段213の出力を受け、管理対象領域102内に存在する車両50の台数を集計する。
第1の画像情報処理手段210および第2の画像情報処理手段220のそれぞれの集計手段212、222による集計結果は、管理装置22に出力される。
【0044】
管理装置22は、第1の画像情報処理手段210および第2の画像情報処理手段220のそれぞれの集計手段212、222の出力を受けて、駐車場100全体の利用状態を集約する。
【0045】
次に、画像情報解析手段213の処理について、図2の符号Bを付けた管理対象領域102を例にとって説明する。
撮像装置10は、Bの管理対象領域102を撮影し、図3に示す俯瞰画像を得る。
【0046】
図3の俯瞰画像が画像情報解析手段213によって分析されて、管理対象領域102には、複数の駐車枠101が含まれ、いくつかの駐車枠101は、車両50によって使用されて「満」の状態であり、いくつかの駐車枠101は「空」の状態にあると判断され、さらに詳細に分析されることによって、このBの管理対象領域102には、駐車枠101が32か所あって、そのうち24か所が「満」であって、8か所が「空」であると判断される。
【0047】
なお、図3に示した俯瞰画像の解析においては、ディープラーニングによる推論により車両に検知と駐車された駐車枠101との判定を行うことによって、図4に示すように、管理対象領域の平面図に表し、駐車枠101の「満」、「空」の状態を推定することができる。
【0048】
図4においては、Bの管理対象領域102の32か所の駐車枠101のうち、24か所が使用されており、2台の車両51が出て、1台の車両52が入ろうとしており、21か所の駐車枠101の車両50が駐車中であることが示されている。
【0049】
この実施の形態2において、画像情報解析手段213の出力を集計手段212によって集計した結果の例を図9に示す。
図9の図中、縦軸は車両数、横軸は時間である。折れ線グラフCは、画像情報解析手段213によって所定時間毎に把握された車両数を表している。この事例では、車両数の把握を開始した時点では、車両数は0であって、所定時間を追う毎に、車両数が、3台、2台、5台、11台、18台、17台、22台、26台と変化している。
【0050】
図9図6に重ね合わせた状態を図10に示す。図10では、図9に示した画像情報解析手段213によって把握された車両数と、図6に示した、車両検知手段211によって検知された車両数の累計値とが一致することを示している。
【0051】
図10のように、画像情報解析手段213の解析結果と車両検知手段211の検知結果の累計値が一致する状態の場合には、画像情報解析手段213による解析結果(把握された車両数)に車両検知手段211による検知結果を集計手段212において加減算することによって、画像情報解析手段213による車両数の周期的な把握の間の変化を埋めることができる。この手順のフロー図は、図11に示すようになる。
【0052】
図11は、集計手段212による集計のフローを示している。すなわち、予め定めた時点から集計を開始する(ステップS110)。そして、画像情報解析手段213において車両数を把握する(ステップS111)。また、車両検知手段211において、管理対象領域102に出入りする車両を検知する(ステップS112)。
【0053】
集計手段212においては、画像情報解析手段213によって把握された車両数に、車両検知手段211によって検知された車両数を加減算する(ステップS113)。これによって、予め定めた時点からの車両数の変化を把握することができる。
【0054】
第1の画像情報処理手段210は、駐車場100のうちの予め定められた一つの管理対象領域102の画像情報に基づいて、管理対象領域102内に駐車中の車両の台数を把握するとともに、管理対象領域102に出入りする車両数を検知することによって、管理対象領域102の利用状況を管理装置22に出力する。
【0055】
第2の画像情報処理手段220については、第1の画像情報処理手段210とは異なった管理対象領域102が割り振られて、第1の画像情報処理手段210と同様に動作して、管理対象領域102の利用状況を管理装置22に出力する。
【0056】
なお、実施の形態2においては、画像情報解析手段213における車両数の把握を周期的に行うと説明し、車両検知手段211による車両の検知をこの周期内に行うと説明した。しかし、画像情報解析手段213による車両数の把握の周期を短くすることができる。
【0057】
例えば、図12に示すように、数秒の周期で画像情報解析手段213によって画像情報から車両数を把握することによって、図6に示した管理対象領域102に出入りする車両51、52の動く時間よりも短くすることができる。
【0058】
図12は、図10と同様に、縦軸は車両数、横軸は時間として、車両検知手段211による検知の結果を集計したグラフをBとして示している。また、画像情報解析手段213による車両数の把握の結果をグラフCとして示したものである。このグラフCは、画像情報解析手段213による車両数の把握の周期を1秒に設定した事例である。
【0059】
すなわち、車両検知手段211による出力は、車両の出入りに要する時間によって定まるため、画像情報解析手段213による車両数の把握の周期を、車両検知手段211の検知の出力よりも短くすることによって、車両数の把握における情報処理時間を短縮することができるという効果を得ることができる。
【0060】
実施の形態3.
この実施の形態3では、実施の形態2において想定される誤差およびその対応策について説明する。
画像情報解析手段213を使用して、管理対象領域102に存在する車両数を把握する場合に生じる誤差は、管理対象領域102に存在する車両数に関係している。すなわち、車両数が増えると、車両の陰に後ろの車両が隠れ、車両の画像に重なりが多くなることによって生じるものである。
【0061】
また、車両検知手段211による車両の検知の結果を集計して、管理対象領域102に存在する車両数とする場合に生じる誤差は、出入りする車両の画像に、同時に移動する後ろの車両の画像が重なるために生じるものである。
【0062】
図13に、管理対象領域102に存在する車両数と誤差との関係を示す。図中、横軸は車両数、縦軸は誤差である。また、図中、符号aの線は、画像情報解析手段213による誤差の状態を示すもので、符号bの線は、車両検知手段211の検知結果の集計の誤差の状態を示すものである。
【0063】
図13に示すように、管理対象領域102の車両数が増えてくると、画像情報解析手段213による誤差は大きくなる。しかし、車両検知手段211による誤差については、出入りする車両を対象とするものであるため、誤差は、常時ほぼ変わらない状態で生じるため、符号bの線のように、常にいくらかの誤差を含むように表される。
【0064】
したがって、管理対象領域102の車両数が増えてくると、画像情報解析手段213による車両数の把握よりも、車両検知手段211の検知結果を集計するほうが誤差を小さく抑えることができる。そのため、符号aの線と符号bの線とが交差する車両台数を第1の閾値(符号X1)として設定し、車両数が、第1の閾値よりも小さい場合には、画像情報解析手段213を使用し、車両数が第1の閾値よりも大きくなれば、車両検知手段211を使用するように切り替えることで、誤差の増大化を抑えることができる。
【0065】
この実施の形態3の、画像情報解析手段213、車両検知手段211および集計手段212による処理のフローを図14に示す。
【0066】
まず、図14のフローを開始するにあたって(ステップS140)、画像情報を用いて車両数を把握する際に、誤りなく把握できると考えられる車両数を第1の閾値として設定する。仮に、車両が20台以下であれば、画像情報に基づいて誤りなく車両数を把握できると考えられる場合には、第1の閾値を20台として設定する。
【0067】
そして、駐車場100の管理対象領域102内の車両数が、画像情報解析手段213によって車両数の把握を行う(ステップS141)。把握された車両数について第1の閾値以下であるか否かを判断する(ステップS142)。
【0068】
把握された車両数が第1の閾値以下である場合には、画像情報解析手段213による車両数が正しいとして、画像情報解析手段213によって車両数の把握を継続する(ステップS143)。
【0069】
画像情報解析手段213によって把握された車両数が第1の閾値を超えた場合には、前に集計した車両数に、車両検知手段211によって検知された車両数を集計手段212において加減算することによって、管理対象領域102に存在する車両数とする(ステップS144)。
【0070】
この実施の形態3においては、管理対象領域102に車両が増えることによって生じる誤差を、誤差が生じると想定される車両数を第1の閾値として設定し、第1の閾値を超える車両数になったと判断される場合には、画像情報解析手段213による車両の把握を、車両検知手段211によって検知した車両数を集計することに切り替えることによって車両数の誤差の増大を防ぐことができる。
【0071】
実施の形態4.
この実施の形態4では、車両検知手段211の検知結果を集計することにおいて想定される誤差およびその対応策について説明する。
【0072】
車両検知手段211による車両の検知の結果を集計して、管理対象領域102に存在する車両数とする場合に生じる誤差は、出入りする車両の画像に、同時に移動する後ろの車両の画像が重なるために生じるものである。また、この誤差は、車両検知手段211による車両の検知の際に生じるものであって、集計手段212による累計にこの誤差が積み重ねられることになる。
【0073】
すなわち、車両検知手段211による車両検知を継続する場合には、使用する時間の長さに応じて誤差が積み重ねられる。
【0074】
図15に、管理対象領域102に存在する車両数と誤差との関係を示す。
この図15は、図13と同様に、符号aの線は画像情報解析手段213による誤差の状態、符号bの線は車両検知手段211の検知結果の集計の誤差の状態を示すものである。
【0075】
ここでは、管理対象領域102の車両数が減少してきた場合を想定している。車両数が減少してくると、画像情報解析手段213を使用した場合よりも車両検知手段211を使用した場合の方が、誤差が大きくなる。そのため、符号aの線と符号bの線とが交差する車両台数を第2の閾値(符号X2)として設定し、車両数が、第2の閾値よりも小さくなった場合には、車両検知手段211の使用から画像情報解析手段213の使用に切り替えることで、誤差の増大化を抑えることができる。
【0076】
一般的に24時間開場している駐車場であっても、車両数が減少する時間帯がある。例えば、深夜あるいは早朝が考えられる。
この実施の形態4は、車両数が少なくなった場合には、画像情報解析手段213を使用することによって、正しい車両数にリセットするものである。
【0077】
この実施の形態4の、画像情報解析手段213、車両検知手段211および集計手段212による処理のフローを図16に示す。
【0078】
まず、図16のフローを開始するにあたって(ステップS160)、画像情報を用いて車両数を把握する際に、誤りなく確実に把握できると考えられる車両数を第2の閾値として設定する。仮に、車両が10台以下であれば、画像情報に基づいて誤りなく車両数を把握できると考えられる場合には、第2の閾値を10台として設定する。
【0079】
そして、駐車場100の管理対象領域102内の車両数が、車両検知手段211の検知結果による集計を行う(ステップS161)。集計された車両数が第2の閾値以下であるか否かを判断する(ステップS162)。
【0080】
把握された車両数が第2の閾値以下である場合には、画像情報解析手段213による車両数が正しいとして、それまでの車両検知手段211による累計結果の車両数を破棄して、画像情報解析手段213によって把握された車両数を使用する(ステップS163)。
【0081】
車両検知手段211によって検知された車両数を加減算した集計値が第2の閾値を超えている場合には、画像情報解析手段213によって車両数を把握することが正確でないとして、前に集計した車両数に、車両検知手段211によって検知された車両数を加減算することによって、管理対象領域102に存在する車両数とする(ステップS164)。
【0082】
画像情報解析手段213を使用の場合、車両検知手段211を使用の場合、第1の閾値および第2の閾値の関係を図17に示す。図中、縦軸は車両数、横軸は時間である。折れ線グラフCは、画像情報解析手段213を使用する場合を示し、折れ線グラフBは、車両検知手段211を使用する場合を示している。
【0083】
この実施の形態4においては、車両検知手段211を使用し続けて、累積の状態が長くなった場合には誤差が累積すると想定して、集計した車両数が予め定められた第2の閾値以下になった場合には、車両検知手段211の使用から、画像情報解析手段213の使用に切り替え、既に集計していた累計値を破棄して、画像情報解析手段213による車両数の把握としたので、車両数の誤差の増大を防ぐことができる。
【0084】
実施の形態5.
この実施の形態5は、誤差を抑制するための「第2の閾値」を複数段階に設定することを提案するものである。
【0085】
「第2の閾値」は、実施の形態4において説明しているように、管理対象領域102に存在する車両数が少なくなると、画像情報解析手段213を使用した車両数の把握よりも車両検知手段211を使用して車両数を集計する方が、誤差が大きくなることから、第2の閾値を設定して、車両数が第2の閾値以下になった場合に、車両検知手段211の使用から画像情報解析手段213に切り替えるようにしている。しかし、車両検知手段211を使用して車両数を集計する場合には、時間の経過とともに誤差が増大するため、誤差を含んだ累積値が大きくなる。そのため、累積値は第2の閾値から離れることになる。
【0086】
このため、この実施の形態5では、経過時間に応じて、第2の閾値の車両数を変動させるようにしたものである。
【0087】
図18は、時間の経過に応じて設定する第2の閾値と誤差の関係を示すものである。図中、横軸は時間、縦軸は誤差である。また、図中、符号cの線は、車両検知手段211による誤差の状態を示すもので、車両検知手段211を使用して車両数を集計する場合には、誤差は、時間に応じてほぼ正比例して増加することを表している。
図に示すように、時間の経過とともに第2の閾値をX2-1,X2-2,X2-3,X2-4,X2-5のように変動させることで、時間経過による誤差の蓄積に応じた閾値となる。
【0088】
第2の閾値を時間の経過に伴って変動させることによって、車両検知手段211の使用から、画像情報解析手段213の使用への切り替えを緩和することになる。
これは、長い時間にわたって車両数検知手段211を使用した集計を継続させることを防ぐもので、これによって、誤差が増大し続けることを防ぐことができる。
【0089】
また、誤差の増大を防ぐために、車両検知手段211の使用から画像情報解析手段213に切り替わった時からの経過時間に応じて、画像情報解析手段213に切り替えることによって誤差の増大を防ぐことができる。
また、車両検知手段211への切り替えを、予め時刻を設定して実行させることによって誤差の増大を防ぐことができる。
【0090】
実施の形態1から5に共通して、情報処理システム20は、ハードウエアの一例を図19に示すように、プロセッサ130と記憶装置131から構成される。記憶装置131の構成は図示していないが、ランダムアクセスメモリ等の揮発性記憶装置と、フラッシュメモリ等の不揮発性の補助記憶装置とを備えている。また、フラッシュメモリの代わりにハードディスクの補助記憶装置を備えるようにしてもよい。この場合、補助記憶装置から揮発性記憶装置を介してプロセッサ130にプログラムが入力され、プロセッサ130は、このプログラムを実行する。また、プロセッサ130は、演算結果等のデータを記憶装置131の揮発性記憶装置に出力してもよいし、揮発性記憶装置を介して補助記憶装置にデータを保存してもよい。
【0091】
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【符号の説明】
【0092】
10 撮像装置、20 情報処理システム、21 画像情報処理装置、22 管理装置、50,51,52 車両、53 移動車両、100 駐車場、101 駐車枠、102 管理対象領域、103 通路、130 プロセッサ、131 記憶装置、210 第1の画像情報処理手段、211、221 車両検知手段、212、222 集計手段、213、223 画像情報解析手段、220 第2の画像情報処理手段、230 通路画像情報処理手段、231 車両識別手段、232 駐車位置推定手段、233 監視手段、1000 駐車場管理システム
図1
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