(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032159
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】材料吐出装置、ノズル及び可塑化装置
(51)【国際特許分類】
B29C 45/46 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
B29C45/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135663
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】渕井 理司
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 貴行
(72)【発明者】
【氏名】姉川 賢太
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 正幸
(72)【発明者】
【氏名】丸山 英伸
(72)【発明者】
【氏名】山口 珠莉
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206JA07
4F206JD05
4F206JL02
4F206JM01
4F206JQ31
4F206JQ90
(57)【要約】
【課題】安定して可塑化材料の供給が可能な材料吐出装置を提供すること。
【解決手段】材料吐出装置は、駆動モーターと、溝形成面を有し、回転するスクリューと、対向面を有し、可塑化した材料が流れる連通孔が形成されたバレルと、前記材料を加熱する加熱部と、前記材料を外部へと射出するノズルと、前記材料の圧力又は温度を測定する複数の測定部と、を備え、前記測定部は、ノズル流路壁の外周に配置され、前記ノズル流路壁の厚さは、以下の(1)又は(2)を満たす。(1)前記ノズル流路壁が鉄を主成分とする材料で構成されている場合、前記ノズル流路壁の厚さは、0.2mm以上2.5mm以下、(2)前記ノズル流路壁がアルミニウムを主成分とする材料で構成されている場合、前記ノズル流路壁の厚さは、0.2mm以上4mm以下。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動モーターと、
溝が形成された溝形成面を有し、前記駆動モーターの駆動軸を中心として回転するスクリューと、
前記溝形成面と対向する対向面を有し、可塑化した材料が流れる連通孔が形成されたバレルと、
前記溝に供給された前記材料を加熱する加熱部と、
前記連通孔と連通し、可塑化した前記材料を外部へと射出するノズルと、
前記材料が通過する流路内の複数箇所の前記材料の圧力又は温度を測定する複数の測定部と、を備え、
前記測定部は、前記ノズル内の前記流路を区画するノズル流路壁の外周に配置され、
前記ノズル流路壁の厚さは、以下の(1)又は(2)を満たす、
材料吐出装置。
(1)前記ノズル流路壁が鉄を主成分とする材料で構成されている場合、前記ノズル流路壁の厚さは、0.2mm以上2.5mm以下、
(2)前記ノズル流路壁がアルミニウムを主成分とする材料で構成されている場合、前記ノズル流路壁の厚さは、0.2mm以上4mm以下。
【請求項2】
前記連通孔から分岐した分岐流路を有するシリンダーと、
前記シリンダー内を往復動して可塑化した前記材料を吸引、又は、吸引した前記材料を前記流路に送出するプランジャーと、を備え、
前記スクリュー、前記バレル、及び前記シリンダーの少なくともいずれかに、複数の前記測定部が配置される、
請求項1に記載の材料吐出装置。
【請求項3】
前記スクリューは、前記駆動軸が延びる方向における長さが、前記駆動軸が延びる方向に垂直な方向における長さよりも短いフラットスクリューであり、
前記溝形成面と前記対向面とは、前記駆動軸が延びる方向において対向しており、
前記フラットスクリューは、前記溝形成面を有する第1部分と、前記第1部分と別体であり前記駆動軸に接続された第2部分とを備え、
前記測定部は、前記第1部分と前記第2部分との間に配置される、
請求項1に記載の材料吐出装置。
【請求項4】
前記第1部分が鉄を主成分とする材料で構成されている場合、前記第1部分の厚さは、0.2mm以上10mm以下であり、
前記第1部分がアルミニウムを主成分とする材料で構成されている場合、前記第1部分の厚さは、0.2mm以上14mm以下である、
請求項3に記載の材料吐出装置。
【請求項5】
前記スクリューは、前記駆動軸が延びる方向における長さが、前記駆動軸が延びる方向に垂直な方向における長さよりも短いフラットスクリューであり、
前記溝形成面と前記対向面とは、前記駆動軸が延びる方向において対向しており、
前記バレルは、前記対向面を有する第3部分と、
前記第3部分と別体であり前記対向面を含まない第4部分とを備え、
前記測定部は、前記第3部分と前記第4部分との間に配置される、
請求項1に記載の材料吐出装置。
【請求項6】
前記第3部分が鉄を主成分とする材料で構成されている場合、前記第3部分の厚さは、0.2mm以上15mm以下であり、
前記第3部分がアルミニウムを主成分とする材料で構成されている場合、前記第3部分の厚さは、0.2mm以上21mm以下である、
請求項5に記載の材料吐出装置。
【請求項7】
前記加熱部は、前記バレル内に配置されており、
前記測定部は、前記加熱部のうちの前記対向面と対向する位置に配置される、
請求項1に記載の材料吐出装置。
【請求項8】
前記スクリューは、前記駆動軸が延びる方向における長さが、前記駆動軸が延びる方向に垂直な方向における長さよりも短いフラットスクリューであり、
前記溝形成面と前記対向面とは、前記駆動軸が延びる方向において対向しており、
前記加熱部は、前記バレル内に配置されており、第1加熱部と、前記第1加熱部よりも前記連通孔の近くに配置された第2加熱部とを備え、
前記第1加熱部と前記第2加熱部とは、各々個別に制御され、前記駆動軸が延びる方向における前記第2加熱部の厚さは、前記第1加熱部の厚さよりも厚い、
請求項1に記載の材料吐出装置。
【請求項9】
前記第1加熱部及び前記第2加熱部は、前記駆動軸が延びる方向から見たときに、前記連通孔を取り囲む形状を有する、
請求項8に記載の材料吐出装置。
【請求項10】
前記測定部は、圧電素子及び電極を含む圧電体を備える圧力センサーである、
請求項1に記載の材料吐出装置。
【請求項11】
前記圧力センサーは、前記ノズル、前記スクリュー、前記バレル、及び前記シリンダーの少なくともいずれかに、成膜により形成されている、
請求項10に記載の材料吐出装置。
【請求項12】
可塑化した材料を射出するノズルであって、
可塑化した前記材料が流れる流路を区画するノズル流路壁を有し、
前記ノズル流路壁の外周には、前記流路内の複数箇所の前記材料の圧力又は温度を測定する複数の測定部と、を備え、
前記ノズル流路壁の厚さは、以下の(1)又は(2)を満たす、
ノズル。
(1)前記ノズル流路壁が鉄を主成分とする材料で構成されている場合、前記ノズル流路壁の厚さは、0.2mm以上2.5mm以下、
(2)前記ノズル流路壁がアルミニウムを主成分とする材料で構成されている場合、前記ノズル流路壁の厚さは、0.2mm以上4mm以下。
【請求項13】
駆動モーターと、
溝が形成された溝形成面を有し、前記駆動モーターの駆動軸を中心として回転するスクリューと、
前記溝形成面と対向する対向面を有し、可塑化した材料が流れる連通孔が形成されたバレルと、
前記溝に供給された前記材料を加熱する加熱部と、
前記対向面における前記材料の圧力又は温度を測定する複数の測定部と、を備え、
前記バレルは、前記対向面を有する第3部分と、
前記第3部分と別体であり前記対向面を含まない第4部分とを備え、
前記測定部は、前記第3部分と前記第4部分との間に配置され、
前記第3部分の厚さは、以下の(1)又は(2)を満たす、
可塑化装置。
(1)前記第3部分が鉄を主成分とする材料で構成されている場合、前記第3部分の厚さは、0.2mm以上15mm以下、
(2)前記第3部分がアルミニウムを主成分とする材料で構成されている場合、前記第3部分の厚さは、0.2mm以上21mm以下である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料吐出装置、ノズル及び可塑化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、可塑化部の流路内における造形材料の圧力を測定する圧力測定部と、測定された圧力の測定値に応じてスクリューの回転を調節する制御部と、を有する三次元造形装置が開示されている。詳しくは、可塑化部は、材料が供給される溝が形成された溝形成面を有するフラットスクリューと、溝形成面に対向する対向面を有し、対向面に流路の開口部が設けられたバレルとを有し、圧力測定部は、開口部に近い第1流路に設けられる、としている。
【0003】
特許文献1の三次元造形装置では、圧力測定部による圧力の測定値に応じて、スクリューの回転を調節することにより、ノズルから吐出される造形材料の量の安定化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の三次元造形装置には、改良の余地があった。詳しくは、特許文献1の圧力測定部では、流路内における1点の圧力を測定しているため、流路内の造形材料の状態を詳細に分析することは困難であった。そのため、より一層正確なフィードバック制御を行う上で改良の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る一態様の材料吐出装置は、駆動モーターと、溝が形成された溝形成面を有し、前記駆動モーターの駆動軸を中心として回転するスクリューと、前記溝形成面と対向する対向面を有し、可塑化した材料が流れる連通孔が形成されたバレルと、前記溝に供給された前記材料を加熱する加熱部と、前記連通孔と連通し、可塑化した前記材料を外部へと射出するノズルと、前記材料が通過する流路内の複数箇所の前記材料の圧力又は温度を測定する複数の測定部と、を備え、前記測定部は、前記ノズル内の前記流路を区画するノズル流路壁の外周に配置され、前記ノズル流路壁の厚さは、以下の(1)又は(2)を満たす。
(1)前記ノズル流路壁が鉄を主成分とする材料で構成されている場合、前記ノズル流路壁の厚さは、0.2mm以上2.5mm以下。
(2)前記ノズル流路壁がアルミニウムを主成分とする材料で構成されている場合、前記ノズル流路壁の厚さは、0.2mm以上4mm以下。
【0007】
本願に係る一態様の射出成型装置は、上記の材料吐出装置と、前記ノズルから射出される前記材料を受ける成形型を固定する固定部と、を備える。
【0008】
本願に係る一態様のノズルは、可塑化した材料を射出するノズルであって、前記材料が流れる流路を区画するノズル流路壁を有し、前記ノズル流路壁の外周には、前記流路内の複数箇所の前記材料の圧力又は温度を測定する複数の測定部と、を備え、前記ノズル流路壁の厚さは、以下の(1)又は(2)を満たす。
(1)前記ノズル流路壁が鉄を主成分とする材料で構成されている場合、前記ノズル流路壁の厚さは、0.2mm以上2.5mm以下。
(2)前記ノズル流路壁がアルミニウムを主成分とする材料で構成されている場合、前記ノズル流路壁の厚さは、0.2mm以上4mm以下。
【0009】
本願に係る一態様の可塑化装置は、駆動モーターと、溝が形成された溝形成面を有し、前記駆動モーターの駆動軸を中心として回転するスクリューと、前記溝形成面と対向する対向面を有し、可塑化した材料が流れる連通孔が形成されたバレルと、前記溝に供給された前記材料を加熱する加熱部と、前記対向面における前記材料の圧力又は温度を測定する複数の測定部と、を備え、前記バレルは、前記対向面を有する第3部分と、前記第3部分と別体であり前記対向面を含まない第4部分とを備え、前記測定部は、前記第3部分と前記第4部分との間に配置され、前記第3部分の厚さは、以下の(1)又は(2)を満たす。
(1)前記第3部分が鉄を主成分とする材料で構成されている場合、前記第3部分の厚さは、0.2mm以上15mm以下。
(2)前記第3部分がアルミニウムを主成分とする材料で構成されている場合、前記第3部分の厚さは、0.2mm以上21mm以下である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図9】圧力センサーの配線態様の一例を示す模式図。
【
図14】圧力センサー設置位置のシミュレーション結果を示す図表。
【
図17】実施形態3に係る三次元造形装置の概略構成図。
【
図18】変形例に係る圧力センサーの異なる配置態様図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施形態1
***射出成型装置の概要***
図1は、実施形態1に係る射出成型装置の概略構成を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施形態の射出成型装置200は、材料吐出装置110、型締装置130、成形型160、制御部190などから構成されいている。なお、各図には、互いに直交する3軸であるX軸、Y軸およびZ軸を図示している。詳しくは、型締装置130の延在方向をYプラス方向、材料吐出装置110が有するホッパー70の延在方向をZプラス方向としている。
【0012】
射出成型装置200は、成形型160内に、材料吐出装置110から成形材料を射出して成形品を成型する。
材料吐出装置110と型締装置130とは、制御部190によって動作が制御される。制御部190は、CPUとメモリーとを備えるコンピューターとして構成されており、メモリーに記憶されたプログラムをCPUが実行することにより、射出成型装置200の各部を制御する。なお、制御部190は、回路によって構成されていても良い。また、射出成型装置200の各部には、電源部から電力が供給されているが、図示を省略している。
【0013】
本実施形態では、型締装置130には、金属製の成形型160が装着されている。成形型160は、金属製に限られず、樹脂製あるいはセラミック製でも良い。金属製の成形型160のことを金型ともいう。成形型160は、固定型161と可動型162とを含む。固定型161は材料吐出装置110に固定されており、可動型162は型締装置130に固定されている。
可動型162は、型締装置130により固定型161に対して型締め方向、型開き方向に移動可能に設けられている。本実施形態では、型締め/型開き方向は、Yマイナス/プラス方向である。
【0014】
材料吐出装置110のYプラス側には、固定型支持部141が設けられている。固定型支持部141は、固定型161を固定するためのクランプ機構を含んで構成されている。固定型支持部141は、固定型161の反対側(Xマイナス方向)の面にも対として設けられている。
型締装置130のYマイナス側には、可動型支持部142が設けられている。可動型支持部142は、可動型162を固定するためのクランプ機構を含んで構成されている。可動型支持部142は、可動型162の反対側(Xマイナス方向)の面にも対として設けられている。固定型支持部141、可動型支持部142は固定部に相当する。
換言すれば、射出成型装置200は、材料吐出装置110と、材料吐出装置110から射出される材料を受ける成形型160を固定する固定部としての固定型支持部141、可動型支持部142を備える。
【0015】
型締装置130は、固定型161と可動型162との開閉を行う機能を有している。型締装置130は、制御部190の制御下で、モーターによって構成される型駆動部131を駆動することによってボールネジ132を回転させ、ボールネジ132に結合された可動型162を固定型161に対して移動させて成形型160を開閉させる。
【0016】
材料吐出装置110には、成型品の材料が投入されるホッパー70が接続されている。成型品の材料として、例えば、ペレット状に形成された熱可塑性樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、PC(ポリカーボネート)、POM(ポリアセタール)、PP(ポリプロピレン)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)などが用いられる。材料吐出装置110への材料の供給は、ホッパー70に限らず、例えば、材料が圧送されるチューブを介して行われても良い。
【0017】
材料吐出装置110は、ホッパー70から供給された材料の少なくとも一部を可塑化して成形材料を生成し、固定型161と可動型162との間に区画されたキャビティにその成形材料を射出する。成形材料のことを可塑化材料ともいう。なお、「可塑化」とは、溶融を含む概念であり、固体から流動性を有する状態に変化させることである。具体的には、ガラス転移が起こる材料の場合、可塑化とは、材料の温度をガラス転移点以上にすることである。ガラス転移が起こらない材料の場合、可塑化とは、材料の温度を融点以上にすることである。
【0018】
***材料吐出装置の概要***
図2は、材料吐出装置の概略構成を示す断面図である。
材料吐出装置110は、スクリュー111、バレル112、吸引送出部90、ノズル114などから構成される。なお、材料吐出装置110の構成からノズル114を除いた装置構成を可塑化装置100という。
【0019】
スクリュー111は、収容部101に収容されている。スクリュー111は、ローター、あるいは、フラットスクリューとも呼ばれる。スクリュー111は、駆動モーター118によって、駆動モーター118の駆動軸119を中心に収容部101内で回転する。なお、駆動軸119の中心を通りY軸に沿った線分を中心線60としている。中心線60は、XZ平面において、駆動モーター118の駆動軸119の中心に一致する。駆動モーター118によるスクリュー111の回転は制御部190によって制御される。なお、スクリュー111は、減速機を介して駆動モーター118によって駆動されても良い。
【0020】
バレル112の中心には、連通孔115が形成されている。連通孔115は、流路116に連通している。流路116には、後述するシリンダー121及びノズル114が接続されている。なお、本実施形態では、バレル112、連通孔115、流路116、及び、ノズル114の中心は、中心線60と一致している。
流路116内には、シリンダー121よりも上流部に、球体状の逆止弁124が備えられている。逆止弁124は、ノズル114側からスクリュー111側への可塑化材料の逆流を防止する。
【0021】
吸引送出部90は、シリンダー121、プランジャー122、プランジャー駆動部123などから構成される。
シリンダー121は、流路116からXマイナス方向に分岐した分岐流路117を流路116の一部として有する。つまり、シリンダー121の内部が分岐流路117となる。
吸引送出部90は、シリンダー121内の可塑化材料を、成形型160のキャビティに射出注入する機能を有する。吸引送出部90は、制御部190の制御下で、ノズル114からの成形材料の射出量や射出速度、射出圧力を制御する。シリンダー121は、略円筒状を成し、内部にプランジャー122を備えている。
【0022】
プランジャー122は、シリンダー121の内部を流路116から離れる方向に移動して分岐流路117内に可塑化材料を吸引して計量する。そして、プランジャー122は、シリンダー121の内部を流路116に近づく方向に移動することにより、流路116に可塑化材料を送出する。
送出された可塑化材料は、ノズル114に圧送される。プランジャー122は、モーターを含んで構成されるプランジャー駆動部123により駆動される。ノズル114に圧送された可塑化材料は、ノズル114から成形型160のキャビティに射出される。換言すれば、材料吐出装置110は、連通孔115から分岐した分岐流路117を有するシリンダー121と、シリンダー121内を往復運動して可塑化した材料を吸引、又は、吸引した材料を流路に送出するプランジャー122を含む吸引送出部90とを備える。
【0023】
図3は、材料吸引時の一態様を示す断面図である。
図4は、材料圧送時の一態様を示す断面図である。
図5は、スクリューの斜視図である。
図10は、バレルの平面図である。
図5に示すように、スクリュー111は、中心線60に沿った方向における高さが直径よりも小さい略円柱状を有する。スクリュー111の溝形成面201には、中央部205を中心に、渦状の溝202が形成されている。溝形成面201は、バレル112の対向面212に対向する面である。換言すれば、スクリュー111は、駆動軸119(
図3)が延びる方向における長さが、駆動軸119が延びる方向に垂直な方向における長さよりも短いフラットスクリューであり、溝形成面201と対向面212とは、駆動軸119が延びる方向において対向している。
【0024】
溝202は、スクリュー111の側面に形成された材料投入口203に連通している。ホッパー70から供給される材料は、材料投入口203を通じて溝202に供給される。溝202は、凸条部204によって隔てられることにより形成されている。
図5では、溝202が2本形成されている例を示しているが、溝202の数は、1本でも良いし、3本以上であってもよい。
【0025】
図10に示すように、バレル112は、スクリュー111の溝形成面201に対向する対向面212を有している。対向面212の中央には、流路116に連通する連通孔115が形成されている。対向面212には、連通孔115に接続され、連通孔115から外周に向かって渦状に延びている複数の案内溝211が形成されている。案内溝211は、可塑化材料を連通孔115に導く機能を有する。なお、案内溝211は連通孔115に直接的に接続されていなくてもよく、案内溝211は、対向面212に形成されていなくてもよい。
【0026】
図3に示すように、バレル112の対向面212の内部には、ヒーター81,82が設けられている。ヒーター81,82は、リング状の電熱線ヒーターであり、連通孔115を中心にして同心円状(
図16)に配置されている。ヒーター81,82は、制御部190により各々個別に制御される。なお、ヒーター81,82は、リング状でなくてもよく、例えば多角形状であってもよい。
スクリュー111の溝202に供給された材料は、ヒーター81,82による加熱、及び、スクリュー111の回転により、スクリュー111とバレル112との間において可塑化されながら流動し、中央部205へと導かれる。
【0027】
図3に示すように、プランジャー122がXマイナス方向に移動する吸引時においては、逆止弁124がYプラス方向に移動し、矢印で示すように、可塑化された材料が流路116からシリンダー121内の分岐流路117に流入する。
他方、
図4に示すように、プランジャー122がXプラス方向に移動する圧送時においては、圧送される材料圧により逆止弁124がYマイナス方向に移動することにより、連通孔115が閉じられ、可塑化材料の逆流が防止される。そして、プランジャー122に押し出された可塑化材料は、矢印で示すように、ノズル114に圧送される。
【0028】
換言すれば、可塑化装置100は、駆動モーター118と、溝202が形成された溝形成面201を有し、駆動モーター118の駆動軸119を中心として回転するスクリュー111と、溝形成面201と対向する対向面212を有し、可塑化した材料が流れる連通孔115が形成されたバレル112と、溝202に供給された材料を加熱する加熱部としてのヒーター81,82とを備える。そして、材料吐出装置110は、可塑化装置100の構成に加えて、連通孔115と連通し、可塑化した材料を外部へと射出するノズル114をさらに備える。
【0029】
***スクリューにおけるセンサーの配置態様***
図6は、スクリューの断面図である。
ここでは、
図5、
図6を用いて、圧力センサー10、及び、温度センサー30の配置態様について説明する。
図5に示すように、スクリュー111の溝形成面201の内部には、測定部としての複数の圧力センサー10、及び、温度センサー30が配置されている。
複数の圧力センサー10は、平面的に小さな円板状をなしており、溝202に重なる部分において、中央部205から放射線状に配置されている。
温度センサー30は、平面的に棒状をなしており、中央部205から放射線状に複数本配置されている。
図5に示すように、複数の圧力センサー10と、複数の温度センサー30とは、平面的に重ならないように配置されている。
【0030】
図6に示すように、スクリュー111は、第1部分11と、第2部分21との2つの部分から構成されている。好適例では、第1部分11、第2部分21共にステンレス鋼で構成される。なお、アルミニウムで構成されることでも良い。
第1部分11は、溝形成面201を有しており、その背面に第2部分21を収納するための凹部であるキャビティ11aを備えている。
第2部分21は、円板状の部材であり、その中央には、駆動軸119が挿入される貫通穴21bが設けられている。第1部分11と第2部分21とは、不図示のボルトを含む接続機構により一体化されており、駆動軸119の回転に伴ない一緒に回転する。
【0031】
そして、圧力センサー10、及び、温度センサー30は、第1部分11と第2部分21との間に配置される。
図6における中心線60の左側には、圧力センサー10の断面を示している。
図6に示すように、圧力センサー10は、溝202の底面の下に取付けられている。好適例では、圧力センサー10は、第1部分11のキャビティ11aの底面11bに設けられる。
【0032】
図7、
図8は、
図6のd部における拡大図である。
圧力センサー10は、好適例では、圧電素子を用いた圧力センサーを用いる。圧力センサー10は、個別のディスクリート部品であっても良いし、第1部分11のキャビティ11aの底面11bに成膜して作り込むことであっても良い。
図7に示す圧力センサー10aは、圧力センサー10をディスクリート部品とした場合の一例を示している。
圧力センサー10aは、基板1の上に、第1電極2、圧電素子3、第2電極4をこの順番で積層した構成となっている。第1電極2、圧電素子3、第2電極4により圧電体が構成される。
【0033】
基板1は、例えば、セラミック基板であり、その上に、金属電極である第1電極2が成膜されている。
圧電素子3は、第1電極2の上に成膜されており、例えば、PZT(Pb(Zr,Ti)O3)や、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)を用いる。そして、圧電素子3の上に、金属電極である第2電極4が成膜される。つまり、圧電素子3を、第1電極2と第2電極4とて挟持した構成となっている。これらの積層体は、金属製のパッケージ5で封止されている。
好適例では、圧力センサー10aは、キャビティ11aの底面11bに、耐熱性の接着剤で固定される。耐熱性の接着剤としては、例えば、アルミナなどの耐火性セラミックスと無機ポリマーを主成分とする耐熱性無機接着剤や、セメント系接着剤を用いる。
【0034】
図8に示す圧力センサー10bは、圧力センサー10を成膜により作り込んだ成膜部品とした場合の一例を示している。
まず、第1部分11のキャビティ11aの底面11bには、絶縁層6が設けられている。絶縁層6は、好適例では、セラミック膜であり、例えば、プラズマ溶射によるセラミックスコーティングを用いて成膜される。なお、セラミック膜に限定するものではなく、絶縁性と耐熱性とを有する絶縁層であれば良い。
圧力センサー10bは、底面11bの絶縁層6の上に、第1電極2、圧電素子3、第2電極4をこの順番で積層した構成となっている。第1電極2、圧電素子3、第2電極4の材料は、圧力センサー10aと同じである。成膜方法は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法や、蒸着法、スパッタリングなどを用いることができる。これらの積層体は、絶縁層7で封止されている。絶縁層7は、好適例では、セラミック膜としている。
好適例では、圧力センサー10bは、ノズル114、スクリュー111、バレル112、及びシリンダー121の少なくともいずれかに、成膜により形成され得る。
【0035】
なお、以下の説明において、圧力センサー10a,10bを区分けせず、いずれでも選択可能な場合は、枝番を付けずに圧力センサー10として説明する。
換言すれば、スクリュー111は、溝形成面201を有する第1部分11と、第1部分11と別体であり駆動軸119に接続された第2部分21とを備え、測定部としての圧力センサー10、及び、温度センサー30は、第1部分11と第2部分21との間に配置される。また、測定部としての圧力センサー10は、圧電素子3及び電極としての第1電極2、第2電極4を含む圧電体を備える圧力センサーである。
【0036】
図6に戻る。
図6における中心線60の右側には、温度センサー30の断面を示している。
図6に示すように、温度センサー30は、第1部分11のキャビティ11aの底面11bに設けられる。温度センサー30は、好適例では、光ファイバーによって構成されたFBG(ファイバー・ブラッグ・グレーティング)センサーを用いる。詳しくは、温度センサー30は、1本の光ファイバーの内部に形成された周期的な回折格子30aを備えた構成となっている。回折格子30aは、屈折率が変調する部分であり、回折格子30aの周期が作るブラッグ反射条件を満たす波長の光のみを反射させる。この反射光のブラッグ波長を観測することにより、温度を測定することができる。なお、温度センサー30は、歪の測定も可能である。
【0037】
温度センサー30には、光ファイバーに光を射出する光源と、反射光を受光して温度や圧力を計測するための計測器とが接続される。制御部190は、測定された温度を、光ファイバーに接続された計測器(図示せず)から取得する。
なお、温度センサー30は、FBGセンサーに限定するものではなく、耐熱性が高い温度センサーであれば良く、例えば、熱電対センサーを用いても良い。
【0038】
図9は、圧力センサーの配線態様の一例を示す模式図である。
スクリュー111は、駆動軸119を回転軸として回転するため、圧力センサー10も一緒に回転する。このため、圧力センサー10が検出した圧力データや、駆動電力などを可塑化装置100との間でやり取りする配線構成には、工夫が必要である。
具体的には、
図9に示すように、駆動モーター118の駆動軸119には、スリップリング部138が設けられている。スリップリング部138は、回転しながら電気接続を可能とする回転式コネクターであり、リング部134、ブラシ部135などから構成される。
【0039】
リング部134は、駆動軸119に取り付けられており、駆動軸119と一緒に回転する。リング部134と、スクリュー111との間には複数本の配線136が設けられている。複数本の配線136は、圧力センサー10に接続しており、駆動軸119と一緒に回転する。リング部134には、複数本の配線136と対応した複数本の金属製のリング体が設けられている。
リング部134の側面には、ブラシ部135が設けられている。ブラシ部135には、リング部134のリング体に対応する接続ブラシが設けられている。ブラシ部135は、支持部135aに支持されており、支持部135aは可塑化装置100に固定されている。つまり、ブラシ部135は、駆動軸119の回転に係らずに、静止している。
【0040】
このような構成により、スクリュー111が回転しても、複数本の配線136を介して、圧力データや、駆動電力などの電気信号を連続してやり取りすることが可能としている。
【0041】
***バレル及び周辺部位におけるセンサーの配置態様***
図10は、バレルの平面図である。
図11は、バレルの断面図である。
ここでは、
図10、
図11を用いて、バレル112及びその周辺部位における圧力センサー10、及び、温度センサー30の配置態様について説明する。
【0042】
図10に示すように、バレル112は、第3部分12と、第4部分22との2つの部分から構成されている。第3部分12は、対向面212を有する円板状の部分であり、ベース部分となる第4部分22の中央に配置されている。好適例では、第3部分12、第4部分22共にステンレス鋼で構成される。なお、アルミニウムで構成されることでも良い。
図10に示すように、バレル112の対向面212内部には、連通孔115を中心として同心円状に、2つのヒーター81,82が設けられている。複数の圧力センサー10は、平面的に2つのヒーター81,82と重なる部分に配置されている。
また、温度センサー30は2本設けられており、1本は平面的に連通孔115とヒーター81との間に同心円状に配置されている。もう1本は、ヒーター81とヒーター82との間に同心円状に配置されている。
【0043】
図11に示すように、第4部分22には、連通孔115を中心とした凸部22bが設けられている。第3部分12には、底面12aから掘下げられた凹部であるキャビティ12bが設けられている。第3部分12は、キャビティ12bに凸部22bを勘合させて、第4部分22と接続する。凸部22bにおける連通孔115の周囲には、ワッシャー14が設けられている。ワッシャー14は、アルミニウム製のリング状のワッシャーであり、連通孔115から第3部分12と第4部分22との接合面を介して材料が横漏れすることを防止する。
そして、圧力センサー10、及び、温度センサー30は、第3部分12と第4部分22との間に配置される。
【0044】
まず、圧力センサー10の配置態様について説明する。
図11に示すように、第3部分12の底面12aには、ヒーター81,82をセットするための円環状の溝である第1溝13aと、第2溝13bとが設けられている。圧力センサー10は第1溝13a及び第2溝13bの底に配置される。つまり、対向面212とヒーター81との間に圧力センサー10が配置される。同様に、対向面212とヒーター82との間に圧力センサー10が配置される。
換言すれば、加熱部としてのヒーター81,82は、バレル112内に配置されており、測定部としての圧力センサー10は、ヒーター81,82のうちの対向面212と対向する位置に配置される。
【0045】
1本目の温度センサー30は、第3部分12のキャビティ12bの底部に配置される。2本目の温度センサー30は、第3部分12の底面における第1溝13aと、第2溝13bとの間に配置される。
換言すれば、バレル112は、対向面212を有する第3部分12と、第3部分12と別体であり対向面212を含まない第4部分22とを備え、測定部としての圧力センサー10、及び、温度センサー30は、第3部分12と第4部分22との間に配置される。
【0046】
また、
図11に示すように、シリンダー121の外側にも、圧力センサー10、及び、温度センサー30が配置されている。詳しくは、シリンダー121のヒーター81,82側の外側には、シリンダー121の延在方向に沿って複数の圧力センサー10が配置されている。また、シリンダー121の反対側の外側には、シリンダー121の延在方向に沿って1本の温度センサー30が配置されている。これにより、シリンダー121の分岐流路117内における材料の状態を把握することができる。
【0047】
図11において、連通孔115の下流側で分岐流路117との合流部分を含む点線で囲った部分をチェックバルブ抑え部40という。チェックバルブ抑え部40の外側にも、圧力センサー10、及び、温度センサー30が配置されている。
【0048】
図12は、
図11におけるC視の拡大図である。
図12は、チェックバルブ抑え部40をXマイナス側から観察した図であり、流路116を構成する管状部51の外側を図示している。
図12に示すように、管状部51の外側において、分岐流路117に対向する部分の4ヶ所に圧力センサー10が配置されている。4ヶ所の圧力センサー10は、分岐流路117を囲うように配置されている。
そして、1本の温度センサー30は、管状部51の外側の中央で、流路116の延在方向に沿って配置されている。
図12に示すように、4ヶ所の圧力センサー10と温度センサー30とは、管状部51の外側において重ならないように配置されている。
【0049】
***ノズルにおけるセンサーの配置態様***
図13は、ノズルの断面図である。
ここでは、
図13を用いて、ノズル114における圧力センサー10、及び、温度センサー30の配置態様について説明する。
【0050】
ノズル114は、本体部75、ヒーター83、キャップ部材76などから構成される。ノズル114は、ホットランナーであり、マイクロプローブともいう。
本体部75は、可塑化装置100との接合部分である接続部54と、接続部54からYプラス方向に延在し、接続部54よりも細い円筒部55とから構成される。本体部75の内部には、中心線60に沿って流路120が設けられている。好適例では、本体部75は、ステンレス鋼で構成される。なお、アルミニウムで構成されることでも良い。
流路120の末端側には、雌ねじ120bが形成されている。雌ねじ120bには、不図示のノズルヘッド部が螺合される。
【0051】
図13に示すように、円筒部55の一方の外側には、複数の圧力センサー10が円筒部55の延在方向に沿って一定間隔で配置されている。そして、円筒部55の他方の外側には、1本の温度センサー30が円筒部55の延在方向に沿って配置されている。なお、この配置態様に限定するものではなく、円筒部55の外周において、圧力センサー10と温度センサー30とが重ならないように配置されることであれば良い。
円筒部55の外周には、圧力センサー10及び温度センサー30を覆って絶縁層65が成膜される。好適例では、絶縁層65は、絶縁層6と同じセラミック膜である。
【0052】
絶縁層65の外側には、電熱線ヒーターからなるヒーター83が巻き付けられている。コイルの線材は、例えば、ニクロム線を用いる。ヒーター83の加熱により、流路120を流れる材料の溶融状態が維持される。
ヒーター83の外周には、ヒーター83を覆って絶縁層66が成膜される。好適例では、絶縁層66は、絶縁層6と同じセラミック膜である。
そして、絶縁層66の外側には、金属製のキャップであるキャップ部材76が被される。好適例では、キャップ部材76は、ステンレス鋼で構成される。なお、アルミニウムで構成されることでも良い。
【0053】
なお、円筒部55に直接成膜することにより圧力センサー10bを形成する場合は、
図8での説明と同様に、円筒部55の外周に絶縁層を成膜した後に、各機能層を積層すれば良い。また、ノズル114は、ホットランナーであるものとして説明したが、コールドランナーであっても良く、この場合は、ヒーター83は設けなくて良い。コールドランナーであっても、圧力センサー10、温度センサー30により、流路120内の状況を把握することができる。
上記のように、本実施形態では、スクリュー111、バレル112、及びシリンダー121の少なくともいずれかに、複数の測定部としての圧力センサー10、温度センサー30が配置される。また、流路を構成する部分であれば良く、チェックバルブ抑え部40や、ノズル114に、複数の測定部としての圧力センサー10、温度センサー30が配置されても良い。
【0054】
***圧力センサーの好適な設置態様***
図14は、圧力センサー設置位置のシミュレーション結果を示す図表である。
上述したように、本実施形態では流路の上流から下流までにおける各部位への圧力センサー10の配置態様について説明した。
ここで、材料の流動に伴う流路のたわみを効率良く検出するためには、流路と圧力センサー10との距離は近い方が好ましい。他方、流路を構成する各部位の構造体としての強度も確保する必要がある。
図14の表91は、上記を鑑みて導出したシミュレーション結果の一覧表であり、各部位の最大厚さを材質ごとに算出している。
【0055】
まず、
図13のノズル114を事例として説明する。
図13に示すように、ノズル114の円筒部55の外側には、流路120における圧力変動を検出するための圧力センサー10が取り付けられている。流路120と圧力センサー10との距離は、円筒部55の流路壁の厚さt5となる。
ノズル114の材質がステンレス鋼の場合、そのヤング率Eは約202Gpaとなる。
流路壁の剛性は、以下の数式(1)で求められる。また、断面二次モーメントiは、数式(2)で求められる。
【0056】
剛性 = E*i ……… 式(1)
i =(b*t3/12)……… 式(2)
なお、bは、梁の長さである。
【0057】
ノズル114の材質がステンレス鋼の場合、数式(1)により求めた剛性からして構造体としての強度を確保するためには、流路壁の最小厚さt5は、0.2mmとなる。
そして、流路壁の厚さが、それ以上厚くなると圧力検出が困難となる流路壁の最大厚さt5は、表91に示すように2.5mmとなる。なお、表91の値は、数式(2)から厚さtを求めた数値である。
同様に、超硬合金を用いた場合、流路壁の最小厚さt5は0.2mmとなり、流路壁の最大厚さt5は2.0mmとなる。なお、超硬合金も、ステンレス鋼と同様、鉄を主成分とする材料である。
【0058】
また、ノズル114の材質がアルミニウムの場合、数式(1)により求めた剛性からして構造体としての強度を確保するためには、流路壁の最小厚さt5は、0.2mmとなる。そして、流路壁の厚さが、それ以上厚くなると圧力検出が困難となる流路壁の最大厚さt5は、表91に示すように4.0mmとなる。
換言すれば、ノズル114の円筒部55の流路壁の厚さt5は、以下の(1)又は(2)を満たす。
(1)ノズル流路壁が鉄を主成分とする材料で構成されている場合、ノズル流路壁の厚さt5は、0.2mm以上2.5mm以下である。
(2)ノズル流路壁がアルミニウムを主成分とする材料で構成されている場合、ノズル流路壁の厚さt5は、0.2mm以上4mm以下である。
【0059】
また、
図14には、ノズル114の材質を樹脂とした場合の数値も比較例として記載している。樹脂を用いる場合は、高耐熱性樹脂、または、耐熱グレードの樹脂を用いることが好ましい。
【0060】
以下、上記と同様に、各部のシミュレーション結果について説明する。
図6に示すスクリュー111では、溝形成面201の溝202の底部と、圧力センサー10との距離は、第1部分11の厚さt1となる。
第1部分11の材質がステンレス鋼の場合、数式(1)により求めた剛性からして構造体としての強度を確保するためには、第1部分11の厚さt1は、0.2mmとなる。
そして、第1部分11の厚さが、それ以上厚くなると圧力検出が困難となる第1部分11の最大厚さt1は、表91に示すように10.0mmとなる。
同様に、超硬合金を用いた場合、第1部分11の最小厚さt1は0.2mmとなる。第1部分11の最大厚さt1は7.0mmとなる。なお、超硬合金も、ステンレス鋼と同様、鉄を主成分とする材料である。
【0061】
また、第1部分11の材質がアルミニウムの場合、数式(1)により求めた剛性からして構造体としての強度を確保するためには、第1部分11の最小厚さt1は、0.2mmとなる。そして、第1部分11の厚さが、それ以上厚くなると圧力検出が困難となる第1部分11の最大厚さt1は、表91に示すように14.0mmとなる。
換言すれば、第1部分11が鉄を主成分とする材料で構成されている場合、第1部分11の厚さt1は、0.2mm以上10mm以下であり、第1部分11がアルミニウムを主成分とする材料で構成されている場合、第1部分11の厚さt1は、0.2mm以上14mm以下である。
【0062】
図11に示すバレル112では、対向面212と圧力センサー10との距離は、第3部分12の厚さt2となる。
第3部分12の材質がステンレス鋼の場合、数式(1)により求めた剛性からして構造体としての強度を確保するためには、第3部分12の厚さt2は、0.2mmとなる。
そして、第3部分12の厚さが、それ以上厚くなると圧力検出が困難となる第3部分12の最大厚さt2は、表91に示すように15.0mmとなる。
同様に、超硬合金を用いた場合、第3部分12の最小厚さt2は0.2mmとなる。第3部分12の最大厚さt2は10.0mmとなる。
【0063】
また、第3部分12の材質がアルミニウムの場合、数式(1)により求めた剛性からして構造体としての強度を確保するためには、第3部分12の最小厚さt2は、0.2mmとなる。そして、第3部分12の厚さが、それ以上厚くなると圧力検出が困難となる第3部分12の最大厚さt2は、表91に示すように21.0mmとなる。
換言すれば、第3部分12が鉄を主成分とする材料で構成されている場合、第3部分12の厚さt2は、0.2mm以上15mm以下であり、第3部分12がアルミニウムを主成分とする材料で構成されている場合、第3部分12の厚さt2は、0.2mm以上21mm以下である。
【0064】
図11に示すシリンダー121では、分岐流路117と圧力センサー10との距離は、シリンダー121の壁の厚さt3となる。
シリンダー121の材質がステンレス鋼の場合、数式(1)により求めた剛性からして構造体としての強度を確保するためには、シリンダー121の壁の厚さt3は、0.2mmとなる。そして、シリンダー121の壁の厚さが、それ以上厚くなると圧力検出が困難となるシリンダー121の壁の最大厚さt3は、表91に示すように5.5mmとなる。
同様に、超硬合金を用いた場合、シリンダー121の壁の最小厚さt3は0.2mmとなる。シリンダー121の壁の最大厚さt3は4.0mmとなる。
換言すれば、シリンダー121が鉄を主成分とする材料で構成されている場合、シリンダー121の壁の厚さt3は、0.2mm以上5.5mm以下であり、シリンダー121がアルミニウムを主成分とする材料で構成されている場合、シリンダー121の壁の厚さt3は、0.2mm以上8.0mm以下である。
【0065】
図11に示すチェックバルブ抑え部40では、流路116と圧力センサー10との距離は、管状部51の壁の厚さt4となる。
管状部51の材質がステンレス鋼の場合、数式(1)により求めた剛性からして構造体としての強度を確保するためには、管状部51の壁の厚さt4は、0.2mmとなる。そして、管状部51の壁の厚さが、それ以上厚くなると圧力検出が困難となる管状部51の壁の最大厚さt4は、表91に示すように11.0mmとなる。同様に、超硬合金を用いた場合、管状部51の壁の最小厚さt4は0.2mmとなる。管状部51の壁の最大厚さt4は8.0mmとなる。
換言すれば、管状部51が鉄を主成分とする材料で構成されている場合、管状部51の壁の厚さt4は、0.2mm以上11.0mm以下であり、管状部51がアルミニウムを主成分とする材料で構成されている場合、管状部51の壁の厚さt4は、0.2mm以上16.0mm以下である。
【0066】
以上、述べた通り、本実施形態の材料吐出装置110、可塑化装置100、ノズル114によれば、以下の効果を得ることができる。
材料吐出装置110は、駆動モーター118と、溝202が形成された溝形成面201を有し、駆動モーター118の駆動軸119を中心として回転するスクリュー111と、溝形成面201と対向する対向面212を有し、可塑化した材料が流れる連通孔115が形成されたバレル112と、溝202に供給された材料を加熱する加熱部としてのヒーター81,82と、連通孔115と連通し、可塑化した材料を外部へと射出するノズル114と、材料が通過する流路内の複数箇所の材料の圧力又は温度を測定する複数の測定部としての圧力センサー10、温度センサー30を備え、測定部は、ノズル114内の流路120を区画するノズル流路壁の外周に配置され、ノズル114の円筒部55の流路壁の厚さt5は、以下の(1)又は(2)を満たす。
(1)ノズル流路壁が鉄を主成分とする材料で構成されている場合、ノズル流路壁の厚さt5は、0.2mm以上2.5mm以下である。
(2)ノズル流路壁がアルミニウムを主成分とする材料で構成されている場合、ノズル流路壁の厚さt5は、0.2mm以上4mm以下である。
【0067】
これによれば、ノズル114の流路120内における複数点での圧力を測定することが可能となるため、流路内の1点の圧力を測定していた従来構成と異なり、流路120内の造形材料の状態を正確に把握することができ、分析することができる。
さらに、流路に対する圧力センサー10の設置位置の最適化が図られているため、正確な圧力を測定することができる。
よって、正確なフィードバック制御を行うことができるため、造形材料の吐出量を正確に制御することができる。
従って、安定して可塑化材料の供給が可能な材料吐出装置110を提供することができる。
【0068】
さらに、流路120内における複数点での温度を測定することもできるため、流路120内の造形材料の状態をより正確に把握することができ、分析することができる。
よって、より正確なフィードバック制御を行うことができるため、造形材料の吐出量をより正確に制御することができる。
従って、より安定して可塑化材料の供給が可能な材料吐出装置110を提供することができる。
【0069】
また、連通孔115から分岐した分岐流路117を有するシリンダー121と、シリンダー121内を往復運動して可塑化した材料を吸引、又は、吸引した材料を流路に送出するプランジャー122を含む吸引送出部90とを備え、スクリュー111、バレル112、及びシリンダー121の少なくともいずれかに、複数の測定部としての圧力センサー10、温度センサー30が配置される。
これによれば、流路を構成する部位に複数の測定部が設けられるため、流路内の造形材料の状態を正確に把握することができ、分析することができる。
【0070】
また、スクリュー111は、駆動軸119が延びる方向における長さが、駆動軸119が延びる方向に垂直な方向における長さよりも短いフラットスクリューであり、溝形成面201と対向面212とは、駆動軸119が延びる方向において対向しており、スクリュー111は、溝形成面201を有する第1部分11と、第1部分11と別体であり駆動軸119に接続された第2部分21とを備え、測定部としての圧力センサー10、及び、温度センサー30は、第1部分11と第2部分21との間に配置される。
これによれば、溝202を有する溝形成面201の直下に、測定部を配置することができるため、造形材料の状態をより正確に把握することができ、分析することができる。
【0071】
また、第1部分11が鉄を主成分とする材料で構成されている場合、第1部分11の厚さt1は、0.2mm以上10mm以下であり、第1部分11がアルミニウムを主成分とする材料で構成されている場合、第1部分11の厚さt1は、0.2mm以上14mm以下である。
これによれば、溝形成面201の溝202に対する圧力センサー10の設置位置の最適化が図られているため、正確な圧力を測定することができる。
【0072】
また、バレル112は、対向面212を有する第3部分12と、第3部分12と別体であり対向面212を含まない第4部分22とを備え、測定部としての圧力センサー10、及び、温度センサー30は、第3部分12と第4部分22との間に配置される。
これによれば、対向面212の直下に、測定部を配置することができるため、造形材料の状態をより正確に把握することができ、分析することができる。
【0073】
また、第3部分12が鉄を主成分とする材料で構成されている場合、第3部分12の厚さt2は、0.2mm以上15mm以下であり、第3部分12がアルミニウムを主成分とする材料で構成されている場合、第3部分12の厚さt2は、0.2mm以上21mm以下である。
これによれば、対向面212に対する圧力センサー10の設置位置の最適化が図られているため、正確な圧力を測定することができる。
【0074】
また、加熱部としてのヒーター81,82は、バレル112内に配置されており、測定部としての圧力センサー10は、ヒーター81,82のうちの対向面212と対向する位置に配置される。
これによれば、対向面212の直下に、圧力センサー10が配置されるため、より正確な圧力を測定することができる。
【0075】
また、測定部としての圧力センサー10は、圧電素子3及び電極としての第1電極2、第2電極4を含む圧電体を備える圧力センサーである。
これによれば、圧力センサー10は、耐熱性が高くコンパクトであるため、流路を構成する部位に容易に配置することができる。
【0076】
また、圧力センサー10bは、ノズル114、スクリュー111、バレル112、及びシリンダー121の少なくともいずれかに、成膜により形成される。
これによれば、流路を構成する各部位に、成膜により圧力センサー10bを作り込むことができる。
【0077】
また、射出成型装置200は、材料吐出装置110と、材料吐出装置110から射出される材料を受ける成形型160を固定する固定部としての固定型支持部141、可動型支持部142を備える。
これによれば、安定して可塑化材料の供給が可能な材料吐出装置110を備えているため、安定して射出成型が可能な射出成型装置200を提供することができる。
【0078】
可塑化した材料を射出するノズル114であって、材料が流れる流路120を区画するノズル流路壁としての円筒部55の流路壁を有し、円筒部55の外周には、流路120内の複数箇所の材料の圧力又は温度を測定する複数の測定部としての圧力センサー10、温度センサー30を備え、ノズル114の円筒部55の流路壁の厚さt5は、以下の(1)又は(2)を満たす。
(1)ノズル流路壁が鉄を主成分とする材料で構成されている場合、ノズル流路壁の厚さt5は、0.2mm以上2.5mm以下である。
(2)ノズル流路壁がアルミニウムを主成分とする材料で構成されている場合、ノズル流路壁の厚さt5は、0.2mm以上4mm以下である。
【0079】
これによれば、ノズル114の流路120内における複数点での圧力を測定することが可能となるため、流路120内の造形材料の状態を正確に把握することができ、分析することができる。さらに、流路120内における複数点での温度を測定することもできるため、流路120内の造形材料の状態をより正確に把握することができ、分析することができる。よって、より正確なフィードバック制御を行うことができるため、造形材料の吐出量をより正確に制御することができる。
従って、安定して可塑化材料の供給が可能なノズル114を提供することができる。
【0080】
可塑化装置100は、駆動モーター118と、溝202が形成された溝形成面201を有し、駆動モーター118の駆動軸119を中心として回転するスクリュー111と、溝形成面201と対向する対向面212を有し、可塑化した材料が流れる連通孔115が形成されたバレル112と、溝202に供給された材料を加熱する加熱部としてのヒーター81,82と、対向面212における材料の圧力又は温度を測定する複数の測定部としての圧力センサー10、温度センサー30を備え、バレル112は、対向面212を有する第3部分12と、第3部分12と別体であり対向面212を含まない第4部分22とを備え、測定部としての圧力センサー10、及び、温度センサー30は、第3部分12と第4部分22との間に配置され、第3部分12の厚さt2は、以下の(1)又は(2)を満たす。
(1)第3部分12が鉄を主成分とする材料で構成されている場合、第3部分12の厚さt2は、0.2mm以上15mm以下である。
(2)第3部分12がアルミニウムを主成分とする材料で構成されている場合、第3部分12の厚さt2は、0.2mm以上21mm以下である。
【0081】
これによれば、バレル112の対向面212における複数点での圧力を測定することが可能となるため、造形材料の状態を正確に把握することができ、分析することができる。
さらに、対向面212における複数点での温度を測定することもできるため、造形材料の状態をより正確に把握することができ、分析することができる。よって、より正確なフィードバック制御を行うことができるため、造形材料の吐出量をより正確に制御することができる。
従って、安定して可塑化材料の供給が可能な可塑化装置100を提供することができる。
【0082】
実施形態2
***バレルの異なる態様***
図15は、実施形態2に係るバレルの断面図であり、
図11に対応している。
図16は、バレルの斜視図である。
上記実施形態では、ヒーター81,82の厚さは同じとして説明したが、この構成に限定するものではなく、内側のヒーターの厚さを高くしても良い。例えば、本実施形態のバレル112bでは、連通孔115側のヒーター85の厚さを、外側のヒーター82よりも厚くしている。これにより、ヒーター85から引き出される配線72と、ヒーター82から引き出される配線71とを、Xマイナス方向に重ねて引き出すことができる。以下、上記実施形態と同じ部位には、同じ付番を付し、重複する説明は省略する。
【0083】
図15に示すように、本実施形態のバレル112bでは、連通孔115側のヒーター85の厚さを、外側のヒーター82よりも厚くしている。詳しくは、ヒーター85の厚さは、第3部分12の底面12aよりも高くなっている。
また、
図15では、ヒーター82,85と電気的に接続する配線71,72を図示している。配線71は、ヒーター82からXマイナス方向に引き出されている。第3部分12の底面12aには、配線71を通す溝17が形成されている。
【0084】
そして、配線72は、ヒーター85からXマイナス方向に引き出されている。配線72は、ヒーター82と重なり、それから配線71と重なって延在する。
図16に示すように、配線72のヒーター82と重なる部分は、耐熱チューブ73で全周被覆されている。これにより、ヒーター82の熱による配線72のダメージを抑制している。なお、ヒーター85の厚さを厚くする構成に限定するものではなく、配線72の高さが相対的に高くなれば良く、例えば、ヒーター85の厚さをヒーター82と同じとして、ヒーター85を入れる第1溝13aの深さを浅くすることにより、ヒーター85を底面12aから突出させても良い。または、ヒーター85の厚さをヒーター82と同じとして、ヒーター85を底面12aに対して傾けてセットすることにより、配線72の引き出し側の高さをヒーター82よりも高くすることでも良い。
【0085】
換言すれば、加熱部としてのヒーター85,82は、バレル112b内に配置されており、第1加熱部としてのヒーター82よりも連通孔115の近くに配置された第2加熱部としてのヒーター85を備え、ヒーター85とヒーター82とは、各々個別に制御され、駆動軸119が延びる方向におけるヒーター85の厚さは、ヒーター82の厚さよりも厚い。また、ヒーター85及びヒーター82は、駆動軸119が延びる方向から見たときに、連通孔115を取り囲む形状を有し、例えば、環状又は多角形状に配置される。
【0086】
以上、述べた通り、本実施形態の材料吐出装置110によれば、上記実施形態での効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
材料吐出装置110によれば、加熱部としてのヒーター85,82は、バレル112b内に配置されており、第1加熱部としてのヒーター82よりも連通孔115の近くに配置された第2加熱部としてのヒーター85を備え、ヒーター85とヒーター82とは、各々個別に制御され、駆動軸119が延びる方向におけるヒーター85の厚さは、ヒーター82の厚さよりも厚い。
【0087】
従来におけるヒーター配線の処理方法としては、例えば、ヒーター85の配線72を第4部分22側に引き出す方法があった。具体的には、第4部分22に貫通孔を設け、当該貫通孔に配線72を通して、第4部分22の下側(Yマイナス側)から配線72を引き出して端部に接続コネクターを取り付けて、制御部190と接続していた。ヒーター82の配線71も同様である。この従来の方法では、メンテナンスでヒーター85を取り外す際に、接続コネクターが貫通穴に引っ掛かってしまい取り外しが煩わしかった。
これに対して、本実施形態によれば、ヒーター85から引き出される配線72と、ヒーター82から引き出される配線71とを、Xマイナス方向に重ねた構成とできる。
よって、第3部分12からヒーター85と配線72のセットと、ヒーター82と配線71のセットとを容易に取り外すことができるため、メンテナンス性が良い。
従って、メンテナンス性が良く、安定して可塑化材料の供給が可能な材料吐出装置110を提供することができる。
【0088】
また、ヒーター85及びヒーター82は、駆動軸119が延びる方向から見たときに、連通孔115を取り囲む形状を有し、例えば、環状又は多角形状に配置される。
これによれば、対向面212を有する第3部分12を万遍に加熱することができる。さらに、ヒーター85と配線72のセットは、ヒーター82と配線71のセットの上に重なる構成となっているため、取り外しが容易であり、メンテナンス性が良い。
【0089】
実施形態3
***三次元造形装置***
図17は、実施形態3に係る三次元造形装置の概略構成図である。
上記各実施形態の材料吐出装置110は、三次元造形装置にも適用することができる。以下、上記実施形態と同じ部位には、同じ付番を付し、重複する説明は省略する。
【0090】
図17に示す、本実施形態の三次元造形装置300は、可塑化材料からなる造形材料を生成して吐出する材料吐出装置110と、造形材料が積層される造形面215を有するステージ210と、ノズル114とステージ210との相対位置を変更する位置変更部230と、位置変更部230を制御する制御部191などから構成される。
【0091】
ステージ210は、ノズル114に対向する位置に配置されている。本実施形態では、ノズル114に対向するステージ210の造形面215は、X,Y方向、すなわち水平方向に平行となるように配置される。三次元造形装置300は、三次元造形時において、ノズル114の先端からステージ210の造形面215に向けて造形材料を吐出させて層を積層することによって三次元造形物を造形する。
ステージ210には、加熱部としてステージヒーター213が備えられている。ステージヒーター213は、ステージ210上に吐出された造形材料の温度が急激に低下することを抑制する。
【0092】
位置変更部230は、ノズル114とステージ210との相対位置を変化させる。本実施形態では、ノズル114の位置が固定されており、位置変更部230は、ステージ210を移動させる。位置変更部230は、3つのモーターの駆動力によって、ステージ210をX,Y,Z方向の3軸方向に移動させる3軸ポジショナーによって構成される。位置変更部230は、制御部191の制御下において、ノズル114とステージ210との相対的な位置関係を変更する。なお、ノズル114の移動とは、ノズル114をステージ210に対して相対的に移動させることを意味する。
【0093】
なお、位置変更部230によってステージ210を移動させる構成の代わりに、ステージ210の位置が固定された状態で、位置変更部230がステージ210に対してノズル114を移動させる構成であっても良い。
または、位置変更部230によってステージ210をZ方向に移動させ、ノズル114をX,Y方向に移動させる構成や、位置変更部230によってステージ210をX,Y方向に移動させ、ノズル114をZ方向に移動させる構成が採用されても良い。これらの構成であっても、ノズル114とステージ210との相対的な位置関係が変更可能である。
【0094】
以上、述べた通り、本実施形態の三次元造形装置300によれば、以下の効果を得ることができる。
三次元造形装置300は、材料吐出装置110と、材料が積層される造形面215を有するステージ210とを備える。
これによれば、三次元造形装置300は、材料吐出装置110を備えているため、安定供給される均一な可塑化状態の材料を用いて、効率良く3D造形を行うことができる。従って、造形効率が高く安定性に優れた三次元造形装置300を提供することができる。
【0095】
***変形例、センサーの異なる態様***
図18は、変形例に係る圧力センサーの異なる配置態様図であり、
図11に対応している。
上記実施形態では、測定部は、流路壁を介して流路内の材料の温度又は圧力を測定していたが、この構成に限定するものではない。例えば、
図18に示すように、流路116を構成する管状部51に貫通孔32を形成し、貫通孔32内に取付け部材33を挿入する構成としても良い。取付け部材33における流路116の反対側には、圧力センサー10が設けられており、取付け部材33を介して流路116内の圧力を測定する。以下、上記実施形態と同じ部位には、同じ付番を付し、重複する説明は省略する。
【0096】
取付け部材33は、好適例では、管状部51と同じ材質としている。金属製であることが好ましい。取付け部材33を貫通孔32に挿入した後に、取付け部材33の背面に圧力センサー10を取付けても良いし、圧力センサー10を備えた取付け部材33を貫通孔32に挿入しても良い。
これによれば、例えば、流路壁が厚い場合、流路壁よりも薄い取付け部材33を貫通孔32内に挿入することにより、流路116により近い位置で圧力測定することができる。よって、より正確に材料の状態を把握することができる。換言すれば、流路壁の厚みに関わらず、流路内の圧力を測定することができる。
なお、
図18では、圧力センサー10に適用した事例を説明したが、取付け部材33を用いる構成を温度センサー30に適用しても良い。温度センサーに適用する場合は、熱電対センサーを用いることが好ましい。これらの場合も、上記と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0097】
1…基板、2…第1電極、3…圧電素子、4…第2電極、5…パッケージ、6…絶縁層、7…絶縁層、10…圧力センサー、10a…圧力センサー、10b…圧力センサー、11…第1部分、11a…キャビティ、11b…底面、12…第3部分、12a…底面、12b…キャビティ、13a…第1溝、13b…第2溝、17…溝、21…第2部分、21b…貫通穴、22…第4部分、22b…凸部、30…温度センサー、30a…回折格子、40…チェックバルブ抑え部、51…管状部、54…接続部、55…円筒部、60…中心線、66…絶縁層、70…ホッパー、71,72…配線、73…耐熱チューブ、75…本体部、76…キャップ部材、81,82,83,85…ヒーター、90…吸引送出部、91…表、100…可塑化装置、101…収容部、110…材料吐出装置、111…スクリュー、112…バレル、112b…バレル、114…ノズル、115…連通孔、116…流路、117…分岐流路、118…駆動モーター、119…駆動軸、120…流路、121…シリンダー、122…プランジャー、123…プランジャー駆動部、124…逆止弁、130…型締装置、131…型駆動部、132…ボールネジ、134…リング部、135…ブラシ部、135a…支持部、136…配線、138…スリップリング部、141…固定型支持部、142…可動型支持部、160…成形型、161…固定型、162…可動型、190…制御部、191…制御部、200…射出成型装置、201…溝形成面、202…溝、203…材料投入口、204…凸条部、205…中央部、210…ステージ、211…案内溝、212…対向面、213…ステージヒーター、215…造形面、230…位置変更部、300…三次元造形装置。