(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032166
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】回路装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H02J 1/00 20060101AFI20240305BHJP
H02J 7/04 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
H02J1/00 306F
H02J1/00 306L
H02J7/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135674
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100166523
【弁理士】
【氏名又は名称】西河 宏晃
(72)【発明者】
【氏名】二ノ宮 正也
(72)【発明者】
【氏名】翁 勝美
【テーマコード(参考)】
5G165
5G503
【Fターム(参考)】
5G165CA01
5G165DA02
5G165EA01
5G165HA01
5G165HA08
5G165HA17
5G165JA04
5G165LA02
5G165MA10
5G165NA02
5G165NA05
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB02
5G503CA02
5G503CA11
5G503CC02
5G503DA04
(57)【要約】
【課題】バッテリーを定電流充電する回路において、大電流の充電電流から低電流の充電電流まで対応可能な回路装置等を提供すること。
【解決手段】回路装置100は、電流源回路140と第1充電回路110と第2充電回路120と制御回路160とを含む。制御回路160は、電流設定値INDAが第1電流範囲であるとき、電流設定値INDAが示す電流値の第1充電電流ICH1を第1充電回路110から充電ノードNBATに供給させる制御を行う。制御回路160は、電流設定値INDAが第1電流範囲より高電流側の第2電流範囲であるとき、電流設定値INDAが示す電流値の第2充電電流ICH2を第2充電回路120から充電ノードNBATに供給させる制御を行う。制御回路160は、第1電流モードと第2電流モードの切り替え期間において、第1充電電流ICH1及び第2充電電流ICH2の両方を非供給状態に設定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流源回路と、
前記電流源回路の出力電流に基づいて、定電流の第1充電電流を充電電流として充電ノードに供給する第1充電回路と、
前記電流源回路の前記出力電流に基づいて、前記第1充電電流よりも大きい定電流の第2充電電流を前記充電電流として前記充電ノードに供給する第2充電回路と、
制御回路と、
を含み、
前記制御回路は、
前記充電電流の電流値を設定する電流設定値が第1電流範囲であるとき、前記電流設定値が示す電流値の前記第1充電電流を前記第1充電回路から前記充電ノードに供給させる第1電流モードの制御を行い、
前記電流設定値が前記第1電流範囲より高電流側の第2電流範囲であるとき、前記電流設定値が示す電流値の前記第2充電電流を前記第2充電回路から前記充電ノードに供給させる第2電流モードの制御を行い、
前記第1電流モードと前記第2電流モードの切り替え期間において、前記第1充電電流及び前記第2充電電流の両方を非供給状態に設定することを特徴とする回路装置。
【請求項2】
請求項1に記載された回路装置において、
前記制御回路は、
前記第1充電電流を供給状態又は非供給状態に制御する第1イネーブル信号と、前記第2充電電流を供給状態又は非供給状態に制御する第2イネーブル信号とを出力し、
前記切り替え期間において、前記第1イネーブル信号及び前記第2イネーブル信号を非アクティブにすることで、前記第1充電電流及び前記第2充電電流の両方を非供給状態に設定することを特徴とする回路装置。
【請求項3】
請求項2に記載された回路装置において、
前記第1充電回路は、
前記第1イネーブル信号に基づいてイネーブル又はディセーブルに制御され、イネーブルであるときに、前記第1充電電流を前記充電ノードに供給し、
前記第2充電回路は、
前記第2イネーブル信号に基づいてイネーブル又はディセーブルに制御され、イネーブルであるときに、前記第2充電電流を前記充電ノードに供給し、
前記制御回路は、
前記切り替え期間において、前記第1イネーブル信号及び前記第2イネーブル信号を非アクティブにすることで前記第1充電回路及び前記第2充電回路をディセーブルにすることを特徴とする回路装置。
【請求項4】
請求項2に記載された回路装置において、
前記第1イネーブル信号に基づいてオン又はオフに制御され、オンであるときに、前記電流源回路からの前記出力電流を前記第1充電回路に供給する第1トランジスターと、
前記第2イネーブル信号に基づいてオン又はオフに制御され、オンであるときに、前記電流源回路からの前記出力電流を前記第2充電回路に供給する第2トランジスターと、
を含み、
前記制御回路は、
前記切り替え期間において、前記第1イネーブル信号及び前記第2イネーブル信号を非アクティブにすることで前記第1トランジスター及び前記第2トランジスターをオフにすることを特徴とする回路装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載された回路装置において、
前記制御回路は、前記電流設定値に基づいて、前記電流源回路の前記出力電流を制御する電流源制御値を前記電流源回路に出力し、
前記第1電流モードにおいて、前記電流源回路は、前記電流源制御値が示す電流値の第1電流を前記出力電流として前記第1充電回路に供給し、前記第1充電回路は、第1増幅率で前記第1電流を増幅することで前記第1充電電流を供給し、
前記第2電流モードにおいて、前記電流源回路は、前記電流源制御値が示す電流値の第2電流を前記出力電流として前記第2充電回路に供給し、前記第2充電回路は、前記第1増幅率よりも大きい第2増幅率で前記第2電流を増幅することで前記第2充電電流を供給することを特徴とする回路装置。
【請求項6】
請求項5に記載された回路装置において、
前記電流源回路は、
電流値がバイナリーに重み付けされた第1~第n定電流(nは2以上の整数)の出力又は非出力が前記電流源制御値の第1~第n制御ビット信号に基づいて制御される第1~第n電流源と、
前記第1電流モードにおいて、前記第1~第n電流源のうち前記第1~第n制御ビット信号に基づいて選択された電流源からの電流を前記第1電流として前記第1充電回路に供給する第1トランジスターと、
前記第2電流モードにおいて、前記第1~第n電流源のうち前記第1~第n制御ビット信号に基づいて選択された電流源からの電流を前記第2電流として前記第2充電回路に供給する第2トランジスターと、
を含むことを特徴とする回路装置。
【請求項7】
請求項6に記載された回路装置において、
前記制御回路は、
前記電流設定値に基づいて、前記第1充電電流の電流値を設定する第1設定値、及び前記第2充電電流の電流値を設定する第2設定値を設定し、
前記制御回路は、
前記第2電流モードにおいて、前記第2設定値のビット信号のうち第i+1~第i+nビット信号(iは1以上の整数)を前記第1~第n制御ビット信号として出力し、
前記第1電流モードにおいて、前記第1設定値のビット信号のうち第i+1-k~第i-k+nビット信号(kは1以上i以下の整数)を前記第1~第n制御ビット信号として出力することを特徴とする回路装置。
【請求項8】
請求項5に記載された回路装置において、
前記電流源回路は、
電流値がバイナリーに重み付けされたm個の定電流(mは2以上の整数)の出力又は非出力がmビットの第1電流源制御値に基づいて制御されるm個の電流源を有する第1電流源回路と、
電流値がバイナリーに重み付けされn個の定電流(nはm以上の整数)の出力又は非出力がnビットの第2電流源制御値に基づいて制御されるn個の電流源を有する第2電流源回路と、
を含み、
前記制御回路は、
前記電流源制御値として、前記mビットの前記第1電流源制御値と、前記nビットの前記第2電流源制御値とを出力し、
前記第1電流源回路は、
前記m個の電流源のうち前記mビットの前記第1電流源制御値に基づいて選択された電流源からの電流を前記第1電流として前記第1充電回路に供給し、
前記第2電流源回路は、
前記n個の電流源のうち前記nビットの前記第2電流源制御値に基づいて選択された電流源からの電流を前記第2電流として前記第2充電回路に供給することを特徴とする回路装置。
【請求項9】
請求項8に記載された回路装置において、
前記制御回路は、
前記電流設定値に基づいて、前記第1充電電流の電流値を設定する第1設定値、及び前記第2充電電流の電流値を設定する第2設定値を設定し、
前記第2設定値のビット信号のうち第i+1~第i+nビット信号(iは1以上の整数)を前記nビットの前記第2電流源制御値として出力し、
前記第1設定値のビット信号のうち第i+1-k~第i-k+mビット信号(kは1以上i以下の整数、mは2以上n以下の整数)を前記mビットの前記第1電流源制御値として出力することを特徴とする回路装置。
【請求項10】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載された回路装置と、
前記充電ノードに接続されるバッテリーと、
を含むことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路装置及び電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電圧の異なる2つの充電用の電源から二次電池を充電する充電装置が開示されている。一方の電源の電圧は、二次電池を充電するときの基準電圧よりも僅かに低く、他方の電源の電圧は、これより高い。充電装置は、バッテリー電圧を検出し、バッテリー電圧が2つの電源の電圧より低いとき、2つの電源によりバッテリーを充電する。充電装置は、二次電池がある程度充電され、バッテリー電圧が、電圧が低い方の電源の電圧を超えたとき、電圧が高い方の電源のみにより二次電池を充電する。この特許文献1では、二次電池が充電されるに従って充電電流が低下していき、その充電電流を検出することで充電を終了させている。そして、二次電池がある程度充電されたとき、バッテリー電圧に基づいて充電用の電源を2つから1つに切り替えることで、充電電流の検出精度を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バッテリーを定電流充電する回路において、大電流の充電電流から低電流の充電電流まで対応することが困難という課題があった。例えば、設定可能な充電電流の最大値を増加させようとすると電流設定の分解能が低下したり、或いは電流源回路の規模が増加してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、電流源回路と、前記電流源回路の出力電流に基づいて、定電流の第1充電電流を充電電流として充電ノードに供給する第1充電回路と、前記電流源回路の前記出力電流に基づいて、前記第1充電電流よりも大きい定電流の第2充電電流を前記充電電流として前記充電ノードに供給する第2充電回路と、制御回路と、を含み、前記制御回路は、前記充電電流の電流値を設定する電流設定値が第1電流範囲であるとき、前記電流設定値が示す電流値の前記第1充電電流を前記第1充電回路から前記充電ノードに供給させる第1電流モードの制御を行い、前記電流設定値が前記第1電流範囲より高電流側の第2電流範囲であるとき、前記電流設定値が示す電流値の前記第2充電電流を前記第2充電回路から前記充電ノードに供給させる第2電流モードの制御を行い、前記第1電流モードと前記第2電流モードの切り替え期間において、前記第1充電電流及び前記第2充電電流の両方を非供給状態に設定する回路装置に関係する。
【0006】
また本開示の他の態様は、上記の回路装置と、前記充電ノードに接続されるバッテリーと、を含む電子機器に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態における回路装置と電子機器の構成例。
【
図2】第1実施形態における制御回路の動作説明図。
【
図3】第1電流モードと第2電流モードの切り替えにおける問題点を説明する波形例。
【
図4】第1実施形態における第1イネーブル信号と第2イネーブル信号の波形例。
【
図6】第1実施形態における電流源回路の詳細構成例。
【
図7】電流源制御値が変化したときに生じる問題点を説明する波形例。
【
図8】第1実施形態における電流源制御値の第1波形例。
【
図9】第1実施形態における電流源制御値の第2波形例。
【
図10】第1実施形態における電流源制御値の第3波形例。
【
図11】第1実施形態における電流源回路の抵抗比と動作を説明する図。
【
図12】第1充電回路、第2充電回路、及び電流源回路のパラメーター例。
【
図13】第2実施形態における回路装置と電子機器の構成例。
【
図14】第2実施形態における制御回路の動作説明図。
【
図15】第1充電回路と第1電流源回路の詳細構成例。
【
図16】第2充電回路と第2電流源回路の詳細構成例。
【
図17】第2実施形態における第1電流源制御値と第2電流源制御値の波形例。
【
図18】第2実施形態における第1電流源回路及び第2電流源回路の抵抗比と動作を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが必須構成要件であるとは限らない。
【0009】
1.第1実施形態
図1は、第1実施形態における回路装置100と、その回路装置100を含む電子機器200の構成例である。
【0010】
電子機器200は、回路装置100とバッテリー10を含む。バッテリー10は、二次電池であり、例えばリチウムイオン二次電池、ニッケル水素蓄電池、又はニッケルカドミウム蓄電池等である。電子機器200は、バッテリー10を内蔵する又は取り付け可能な機器であればよい。一例としては、電子機器200は、スマートフォン、タブレット型端末、無線イヤフォン、無線補聴器、スマートウォッチ、デジタルカメラ、又はモバイルバッテリー等である。電子機器200がスマートフォン等である場合には、電子機器200は処理装置、記憶装置、無線通信装置、表示装置、又は操作入力装置等を含んでもよい。
【0011】
回路装置100は、外部から供給される電源に基づいてバッテリー10を充電する。回路装置100は、第1充電回路110と第2充電回路120と電流源回路140と基準電圧生成回路150と制御回路160と記憶部170と逆流防止回路190と端子TBATとを含む。回路装置100は、例えば複数の回路素子が半導体基板に集積された集積回路装置である。
【0012】
逆流防止回路190は、第1充電回路110と第2充電回路120の出力ノードNCSRと、端子TBATに接続された充電ノードNBATとの間にもうけられる。端子TBATにはバッテリー10の端子が接続される。制御回路160が逆流防止回路190をオンにすることで、第1充電回路110からの第1充電電流ICH1又は第2充電回路120からの第2充電電流ICH2が、充電電流IBATとして充電ノードNBATに供給される。充電電流IBATが端子TBATからバッテリー10に供給されることで、バッテリー10が充電される。
【0013】
逆流防止回路190は、P型トランジスターTS1とN型トランジスターTS2と抵抗RSとを含む。P型トランジスターTS1のソースが充電ノードNBATに接続され、ドレインが出力ノードNCSRに接続される。N型トランジスターTS2のソースがグランドノードに接続され、ドレインがP型トランジスターTS1のゲートに接続される。抵抗RSの一端が充電ノードNBATに接続され、他端がP型トランジスターTS1のゲートに接続される。制御回路160がN型トランジスターTS2をオフにすると、P型トランジスターTS1がオフになる。P型トランジスターTS1は、出力ノードNCSRから充電ノードNBATへの方向を順方向とする寄生ダイオードを有するので、P型トランジスターTS1がオフのときには、逆流防止回路190はバッテリー10から第1充電回路110及び第2充電回路120への逆流を防止する。バッテリー10への充電が行われる際には、制御回路160がN型トランジスターTS2をオンにする。これにより、P型トランジスターTS1がオンになる。以下では主に、逆流防止回路190のP型トランジスターTS1がオンであるときの充電動作を説明する。
【0014】
制御回路160は、充電電流の設定値を示す電流設定値INDAに基づいて、その電流設定値INDAが示す電流値でバッテリー10への充電が行われるように、充電を制御する。電流設定値INDAは、例えば回路装置100の外部に設けられた処理装置から入力される、或いは制御回路160が、バッテリー電圧VBATを検出する不図示の検出回路からの検出結果に基づいて電流設定値INDAを設定してもよい。
【0015】
制御回路160は、電流設定値INDAに基づいて、第1充電回路110がバッテリー10を充電する第1充電モードと、第2充電回路120がバッテリー10を充電する第2充電モードとを切り替える。具体的には、制御回路160は、電流設定値INDAが閾値未満のとき、第1イネーブル信号XONSをアクティブにして、電流設定値INDAに基づいて第1電流モードの電流源制御値QDAを電流源回路140に出力する。制御回路160は、電流設定値INDAが閾値以上のとき、第2イネーブル信号XONLをアクティブにして、電流設定値INDAに基づいて第2電流モードの電流源制御値QDAを電流源回路140に出力する。
【0016】
基準電圧生成回路150は、基準電圧VREFを生成する。基準電圧生成回路150は、例えばバンドギャップリファレンス回路であるが、これに限定されない。なお、基準電圧VREFは回路装置100の外部から供給されてもよい。
【0017】
電流源回路140は、基準電圧VREFに基づいて、電流源制御値QDAにより設定される出力電流を第1充電回路110と第2充電回路120に供給する。具体的には、電流源回路140は、イネーブル信号XONSがアクティブのとき、第1電流IS1を出力電流として第1充電回路110に供給する。電流源回路140は、第2イネーブル信号XONLがアクティブのとき、電流源回路140は第2電流IS2を出力電流として第2充電回路120に供給する。
【0018】
電源ノードNINには電源電圧VINが供給される。電源電圧VINは、例えば回路装置100の外部電源から供給される。或いは、回路装置100は、外部電源からの電力を受電して電源電圧VINを出力する不図示の受電回路又は電圧変換回路等を含んでもよい。
【0019】
第1充電回路110は、イネーブル信号XONSがアクティブのとき、電源電圧VINと第1電流IS1に基づいて第1充電電流ICH1を出力ノードNCSRに出力する。具体的には、第1充電回路110は、第1電流IS1を第1増幅率で増幅し、その増幅後の電流を第1充電電流ICH1として出力する。
【0020】
第2充電回路120は、第2イネーブル信号XONLがアクティブのとき、電源電圧VINと第2電流IS2に基づいて第2充電電流ICH2を出力ノードNCSRに出力する。具体的には、第2充電回路120は、第2電流IS2を第2増幅率で増幅し、その増幅後の電流を第2充電電流ICH2として出力する。第2充電電流ICH2の電流値は、第1充電電流ICH1の電流値よりも大きい。即ち、電流設定値INDAの閾値に対応した充電電流IBATの閾値をIthとしたとき、ICH1<Ith≦ICH2となっている。
【0021】
図2は、第1実施形態における制御回路160の動作説明図である。
【0022】
制御回路160は、電流設定値INDAと閾値THRとを比較する。制御回路160は、電流設定値INDAが閾値THR未満であるとき、第1電流モードと判断し、ローレベルの第1イネーブル信号XONSと、ハイレベルの第2イネーブル信号XONLとを出力する。なお、ここではローアクティブであるとする。制御回路160は、電流設定値INDAが閾値THR以上であるとき、第2電流モードと判断し、ハイレベルの第1イネーブル信号XONSと、ローレベルの第2イネーブル信号XONLとを出力する。
【0023】
制御回路160は、第1設定値STV1=GA1×INDA+OF1を求める第1補正と、第2設定値STV2=GA2×INDA+OF2を求める第2補正とを行う。第1設定値STV1は第1傾き補正値GA1と電流設定値INDAとの積に第1オフセット補正値OF1を加算したものであり、第2設定値STV2は第2傾き補正値GA2と電流設定値INDAとの積に第2オフセット補正値OF2を加算したものである。制御回路160は、電流設定値INDAが閾値THR未満であるとき、第1設定値STV1に基づいて電流源制御値QDAを出力する。これにより、第1充電モードにおける充電電流IBAT=ICH1は、第1補正により補正された第1設定値STV1によって制御される。制御回路160は、電流設定値INDAが閾値THR以上であるとき、第2設定値STV2に基づいて電流源制御値QDAを出力する。これにより、第2充電モードにおける充電電流IBAT=ICH2は、第2補正により補正された第2設定値STV2によって制御される。
【0024】
なお、制御回路160は、電流設定値INDAが閾値THR以下のとき、第1電流モードと判断し、電流設定値INDAが閾値THRより大きいとき、第2電流モードと判断してもよい。
【0025】
記憶部170は、第1補正の補正パラメーターである第1傾き補正値GA1及び第1オフセット補正値OF1と、第2補正の補正パラメーターである第2傾き補正値GA2及び第2オフセット補正値OF2と、閾値THRとを記憶する。第1傾き補正値GA1及び第2傾き補正値GA2は、電流設定値INDAから第1充電電流ICH1への第1変換特性と、電流設定値INDAから第2充電電流ICH2への第2変換特性との間の傾き差を低減するための補正パラメーターである。第1オフセット補正値OF1及び第2オフセット補正値OF2は、第1変換特性と第2変換特性との間のオフセット差を低減するための補正パラメーターである。制御回路160は、記憶部170に記憶された補正パラメーターを用いて第1補正及び第2補正の少なくとも一方を行うことで、第1変換特性と第2変換特性との間の傾き差及びオフセット差の少なくとも一方を低減する。記憶部170はメモリー又はレジスター等である。メモリーは、例えば不揮発性メモリー又はRAMである。また、メモリーは、不揮発メモリー及びレジスターが複合して構成してもよいし、記憶できるものであればヒューズや回路装置100の外部の回路等であってもよい。
【0026】
なお、上記では傾き補正及びオフセット補正の両方が行われる例を説明したが、傾き補正及びオフセット補正のいずれか一方のみが行われてもよい。また、上記では第1補正及び第2補正の少なくとも一方が行われる例を示したが、第1補正及び第2補正の両方が行われなくてもよい。その場合には、第1設定値はSTV1=INDAであり、第2設定値はSTV2=INDAである。
【0027】
図3は、第1電流モードと第2電流モードの切り替えにおける問題点を説明する波形例である。
【0028】
図3の波形例では、制御回路160は、第1電流モードから第2電流モードへの切り替えにおいて第2イネーブル信号XONLをハイレベルからローレベルにすると同時に第1イネーブル信号XONSをローレベルからハイレベルにする。また、制御回路160は、第2電流モードから第1電流モードへの切り替えにおいて第2イネーブル信号XONLをローレベルからハイレベルにすると同時に第1イネーブル信号XONSをハイレベルからローレベルにする。この場合、第1イネーブル信号XONS及び第2イネーブル信号XONLの僅かな信号遅延差によって、充電電流IBATが意図しない大電流になる可能性がある。
【0029】
例えば、第1実施形態の
図12等で後述する例では、第2充電回路120の増幅率は、第1充電回路110の増幅率の8倍である。また、閾値256として、電流設定値INDAが256のときの第2電流モードの第2電流IS2=62.5uAは、電流設定値INDAが255のときの第1電流モードの第2電流IS2=0.5mAの1/8である。増幅率の8倍と電流の1/8倍がキャンセルすることで、正しい第2充電電流ICH2が得られる。しかし、電流モードの切り替えにおいて、第1充電回路110及び第2充電回路120側と電流源回路140側との信号遅延差により、充電回路の増幅率が高く、電流源回路の出力電流が大きい方の組み合わせになった場合には、意図しない大きな充電電流IBATが流れる可能性がある。
【0030】
或いは、後述する第2実施形態においても同様な問題が生じる。第2実施形態では、電流源回路140が第1電流源回路141と第2電流源回路142に分かれている。このため、電流モードの切り替えにおいて、信号遅延差によって第1イネーブル信号XONSと第2イネーブル信号XONLが同時にローレベルになると、IBAT=ICH1+ICH2となって意図しない大きな充電電流IBATが流れる可能性がある。
【0031】
図4は、第1実施形態における第1イネーブル信号XONSと第2イネーブル信号XONLの波形例である。なお、
図4の手法は第2実施形態にも適用可能である。
【0032】
制御回路160は、電流モードの切り替え期間において、第1イネーブル信号XONSと第2イネーブル信号XONLを両方とも非アクティブにする。具体的には、制御回路160は、第1電流モードから第2電流モードへの切り替え期間PA、及び第2電流モードから第1電流モードへの切り替え期間PBにおいて、XONS=XONL=Hにする。期間PAの長さと期間PBの長さは、例えば記憶部170に記憶され、任意の長さに設定可能である。一例としては、期間PAの長さと期間PBの長さは、100ns、200ns、300nsのいずれかに設定される。期間PAの長さと期間PBの長さは同じであっても異なってもよく、いずれか一方が0nsより長く且つ他方が0nsに設定されてもよい。
【0033】
本実施形態によれば、第1イネーブル信号XONS及び第2イネーブル信号XONLの信号遅延差が生じたとしても、切り替え期間PA、PBにおいてはバッテリー10に対して第1充電電流ICH1及び第2充電電流ICH2が非供給になる。これにより、
図3で説明した意図しない大きな充電電流IBATが流れない。
【0034】
以下、第1充電回路110、第2充電回路120及び電流源回路140の詳細構成例とその動作を説明する。
図5は、第1充電回路110と第2充電回路120の詳細構成例である。
【0035】
第1充電回路110は、演算増幅器OPA1とP型トランジスターTA1と抵抗RCSI1と抵抗RRSS1とを含む。
【0036】
P型トランジスターTA1のソースは電源ノードNINに接続され、ドレインはノードNCS1に接続される。電源ノードNINには電源電圧VINが供給される。抵抗RCSI1の一端がノードNCS1に接続され、他端がノードNCSI1に接続される。抵抗RRSS1の一端がノードNCS1に接続され、他端が出力ノードNCSRに接続される。演算増幅器OPA1の非反転入力端子はノードNCSI1に接続され、反転入力端子は出力ノードNCSRに接続され、出力ノードはP型トランジスターTA1のゲートに接続される。
【0037】
演算増幅器OPA1は、第1イネーブル信号XONSがアクティブのとき動作イネーブルとなる。これにより、第1充電電流ICH1=(RCSI1/RRSS1)×IS1が出力ノードNCSRに供給され、充電電流IBATとして充電ノードNBATに供給される。
【0038】
第2充電回路120は、演算増幅器OPA2とP型トランジスターTA2と抵抗RCSI2と抵抗RRSS2とを含む。
【0039】
P型トランジスターTA2のソースは電源ノードNINに接続され、ドレインはノードNCS2に接続される。抵抗RCSI2の一端がノードNCS2に接続され、他端がノードNCSI2に接続される。抵抗RRSS2の一端がノードNCS2に接続され、他端が出力ノードNCSRに接続される。演算増幅器OPA2の非反転入力端子はノードNCSI2に接続され、反転入力端子は出力ノードNCSRに接続され、出力ノードはP型トランジスターTA2のゲートに接続される。
【0040】
演算増幅器OPA2は、第2イネーブル信号XONLがアクティブのとき動作イネーブルとなる。これにより、第2充電電流ICH2=(RCSI2/RRSS2)×IS2が出力ノードNCSRに供給され、充電電流IBATとして充電ノードNBATに供給される。
【0041】
図6は、第1実施形態における電流源回路140の詳細構成例である。電流源回路140は、演算増幅器OPFとスイッチ回路145とP型トランジスターTFと抵抗RG1~RG13とN型トランジスターTG1~TG13とを含む。
【0042】
スイッチ回路145は、第1トランジスターTE1と第2トランジスターTE2とを含む。第1トランジスターTE1と第2トランジスターTE2は、例えばP型トランジスターである。第1トランジスターTE1のソースはノードNCSI1に接続され、ドレインはノードNQに接続される。第2トランジスターTE2のソースはノードNCSI2に接続され、ドレインはノードNQに接続される。第1イネーブル信号XONSがローレベルのとき、第1トランジスターTE1はオンであり、P型トランジスターTFに流れる電流IQが第1電流IS1としてノードNCSI1に流れる。第2イネーブル信号XONLがローレベルのとき、第2トランジスターTE2はオンであり、P型トランジスターTFに流れる電流IQが第2電流IS2としてノードNCSI2に流れる。
【0043】
P型トランジスターTFのソースはノードNQに接続され、ドレインはノードNS3に接続される。演算増幅器OPFの反転入力端子に基準電圧VREFが入力される。演算増幅器OPFの非反転入力端子はノードNS3に接続され、出力ノードはP型トランジスターTFのゲートに接続される。抵抗RG1の一端はノードNS3に接続され、他端はN型トランジスターTG1のドレインに接続される。N型トランジスターTG1のソースはグランドノードに接続される。同様に、抵抗RG2~RG13の一端はノードNS3に接続され、他端はN型トランジスターTG2~TG13のドレインに接続される。N型トランジスターTG2~TG13のソースはグランドノードに接続される。以下、電流源制御値QDAのビット信号を制御ビット信号と呼ぶ。N型トランジスターTG1のゲートには、電流源制御値QDAの制御ビット信号QDA[0]が入力される。同様に、N型トランジスターTG2~TG13のゲートには、電流源制御値QDAの制御ビット信号QDA[1]~QDA[12]が入力される。
【0044】
演算増幅器OPFは、第1電流モードと第2電流モードのいずれにおいても動作イネーブルであり、ノードNS3の電圧はVS3=VREFとなる。抵抗RG1とN型トランジスターTG1を電流源回路140の第1電流源と呼ぶ。電流源制御値QDAの制御ビット信号QDA[0]が1のときN型トランジスターTG1がオンであり、第1電流源がVREF/RG1の電流を流す。同様に、抵抗RG2~RG13とN型トランジスターTG2~TG13を電流源回路140の第2~第13電流源と呼ぶ。電流源制御値QDAの制御ビット信号QDA[1]~QDA[12]が1のときN型トランジスターTG2~TG13がオンであり、第2~第13電流源がVREF/RG2~VREF/RG13の電流を流す。P型トランジスターTFに流れる電流IQは、電流源制御値QDAの制御ビット信号QDA[0]~QDA[12]のうち1である制御ビット信号に対応した電流源が流す電流の合計である。
【0045】
なお、ここでは電流源回路140に含まれる電流源の数を13としたが、電流源回路140に含まれる電流源の数はn個であればよい。nは2以上の整数である。
【0046】
図7は、電流源制御値QDAが変化したときに生じる問題点を説明する波形例である。
図7に示すように、制御回路160が、電流源制御値QDAをD1からD2に、D2からD3に変化させる。この電流源制御値QDAの変化は、第1電流モード内におけるQDAの変化、第2電流モード内におけるQDAの変化、第1電流モードから第2電流モードへの切り替えにおけるQDAの変化、又は第2電流モードから第1電流モードへの切り替えにおけるQDAの変化のいずれであってもよい。
【0047】
以下、D1からD2への変化を例に説明する。制御回路160が、タイミングt1において電流源制御値QDAをD1からD2に変化させたとする。例えば、D1=0 1111 1111 1111bであり、D2=1 0000 0000 0000bであるとする。このとき、制御ビット信号間の僅かな信号遅延差によって、タイミングt1において意図しない電流源制御値QDAになる可能性がある。例えば、制御ビット信号QDA[12]に対して制御ビット信号QDA[11:0]が僅かに遅延したとすると、タイミングt1においてQDA[12:0]=1 1111 1111 1111bと等価な状態になる。そうすると、電流源回路140が想定の2倍程度の電流を出力することになり、意図しない大きな充電電流IBATが流れる可能性がある。
【0048】
なお、
図7に示したD1、D2の値は一例であって、D1~D3は任意の値であってよい。以下の
図8、
図9においても同様にD1~D3は任意の値であってよい。
【0049】
図8は、第1実施形態における電流源制御値QDAの第1波形例である。制御回路160は、切り替え期間PCにおいて、電流源回路140の出力電流がゼロになる又は低減するように、電流源制御値QDAを所定値DPCに設定する。
図8において、切り替え期間PCは、制御回路160がQDA=D1を出力する期間とQDA=D2を出力する期間との間の期間、及び、制御回路160がQDA=D2を出力する期間とQDA=D3を出力する期間との間の期間である。
【0050】
期間PCの長さは、例えば記憶部170に記憶され、任意の長さに設定可能である。期間PCの長さは、例えば記憶部170に記憶され、一例としては100ns、200ns、300nsのいずれかに設定される。
【0051】
以下、QDA=D1を出力する期間とQDA=D2を出力する期間との間の切り替え期間PCを例に説明する。
図8には、切り替え期間PCにおいて電流源回路140の出力電流がゼロになる例を示す。例えば、D1=0 1111 1111 1111bであり、D2=1 0000 0000 0000bであるとする。制御回路160は、切り替え期間PCにおいて電流源制御値QDAをゼロにする、即ちQDA=DPC=0 0000 0000 0000bを出力する。これにより、
図6のN型トランジスターTG1~TG13が全てオフになり、第1~第13電流源が非出力になり、第1電流IS1及び第2電流IS2が非出力になるので、バッテリー10に対して第1充電電流ICH1及び第2充電電流ICH2が非供給になる。これにより、制御ビット信号間の信号遅延差が生じたとしても、
図7で説明した意図しない大きな充電電流IBATが流れない。
【0052】
図9は、第1実施形態における電流源制御値QDAの第2波形例である。
図9には、切り替え期間PCにおいて電流源回路140の出力電流が低減する例を示す。制御回路160は、切り替え期間PCにおいて、電流源制御値QDAの上位5ビットQDA[12:8]をゼロにし、下位8ビットQDA[7:0]をD1[7:0]にする。これにより、
図6のN型トランジスターTG1~TG13のうちTG9~TG13がオフになり、第1~第13電流源のうち第9~第13電流源が非出力になる。DPC≦D1なので、QDA=DPCのときの電流源回路140の出力電流は、QDA=D1のときの出力電流以下となる。即ち、切り替え期間PCにおいて電流源回路140の出力電流が低減する。これにより、切り替え期間PCにおいて充電電流IBATが低減するので、制御ビット信号間の信号遅延差が生じたとしても、
図7で説明した意図しない大きな充電電流IBATが流れない。
【0053】
なお、
図8と
図9には、DPCの上位5ビットがゼロに設定され、第9~第13電流源が非出力になる例を示したが、これに限定されず、DPCの上位n-p+1ビットがゼロに設定され、第1~第n電流源のうち第p~第n電流源が非出力になればよい。pは2以上n以下の整数であればよい。
図8と
図9は、n=13、p=9であるときの例である。
【0054】
図10は、第1実施形態における電流源制御値QDAの第3波形例である。制御回路160は、電流源制御値QDAが閾値GD未満であるとき、電流源制御値QDAを変化させるときに切り替え期間PCを設けない。
【0055】
例えば、D1≧GD、D2<GDとする。制御回路160は、電流源制御値QDAをD1からD2に変化させるときには切り替え期間PCを設け、切り替え期間PCにおいて電流源制御値QDAを所定値DPCに設定する。
図8又は
図9で説明した所定値DPCのいずれが設定されてもよい。制御回路160は、電流源制御値QDAをD2からD3に変化させるときには切り替え期間PCを設けずに、電流源制御値QDAをD2から直接にD3に切り替える。電流源制御値QDAが閾値GD以下である場合には、
図7で説明した意図しない充電電流IBATがそれほど大きくならないと予想される。このため、電流源制御値QDAが閾値GDより大きいときのみ切り替え期間PCを設けることで、意図しない大きな充電電流IBATが流れないようにしておけばよい。ここでは、D1≧GD、D2<GDとしたが、D1>GD、D2≦GDであってもよい。
【0056】
なお、閾値GDは、ゼロより大きく且つ電流源制御値QDAの最大値より小さい任意の値であってよい。例えば、
図9においてDPCの最大値は255となるが、閾値GDは、それと同じ値255に設定されてもよい。記憶部170は閾値GDを記憶してもよい。また、閾値GDは閾値THRと同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
【0057】
図11は、第1実施形態における電流源回路140の抵抗比と動作を説明する図である。
【0058】
第1~第13電流源の電流比を決める抵抗RG1~RG13の抵抗比は、RG13:RG12:・・・:RG2:RG1=0.25:0.5:・・・:512:1024である。この逆数比が電流比となるので、第1~第13電流源が流す電流はバイナリーに重み付けされる。
【0059】
制御回路160は、電流設定値INDAを補正して第1設定値STV1及び第2設定値STV2を求めるが、このとき電流設定値INDAのLSBよりも高い精度で第1設定値STV1及び第2設定値STV2を演算する。例えば、電流設定値INDAが13ビットのINDA[12:0]であるとき、第1設定値STV1は、18ビットのSTV1[17:0]として演算され、第2設定値STV2は、21ビットのSTV2[20:0]として演算される。このとき、電流設定値のLSBであるINDA[0]に相当するビットは、STV1[17:0]においてSTV1[8]であり、STV2[20:0]においてSTV2[8]である。
【0060】
制御回路160は、第1電流モードつまり第1イネーブル信号XONSがローレベルのとき、STV1[17:0]の上位13ビットを電流源制御値QDAに割り当てて、QDA[12:0]=STV1[17:5]を電流源回路140に出力する。制御回路160は、第2電流モードつまり第2イネーブル信号XONLがローレベルのとき、STV2[20:0]の上位13ビットを電流源制御値QDAに割り当てて、QDA[12:0]=STV2[20:8]を電流源回路140に出力する。QDA[12:0]において、電流設定値のLSBであるINDA[0]に相当するビットは、第1電流モードではQDA[3]であり、第2電流モードではQDA[0]である。即ち、電流設定値INDAのLSBに対応する第1電流IS1の分解能と第2電流IS2の分解能とが異なることになる。この差は、第1充電回路110の第1増幅率と第2充電回路120の第2増幅率の違いによって吸収されるので、電流設定値INDAのLSBに対応する第1充電電流ICH1の分解能と第2充電電流ICH2の分解能は、ほぼ同等になる。この点については
図12においても説明する。
【0061】
なお、ここでは電流設定値INDAに対して下位側に8ビット拡張された第1設定値STV1と第2設定値STV2が演算される例を示した。但し、演算に必要な精度が確保できる範囲で、拡張されるビット数は任意であってよい。また、ここでは第1設定値STV1から電流源制御値QDAへの割り当てと、第2設定値STV2から電流源制御値QDAへの割り当てとの間で、3ビットだけシフトされる例を示した。但し、第1増幅率と第2増幅率との関係で第1充電電流ICH1と第2充電電流ICH2を同分解能にできる範囲で、シフトされるビット数は任意であってよい。
【0062】
図12の左図は、第1電流モードにおける第1充電回路110と電流源回路140のパラメーター例であり、
図12の右図は、第2電流モードにおける第2充電回路120と第2電流源回路142のパラメーター例である。
図12右図には、左図のパラメーターとの関係も示している。なお、
図12には、理想的なパラメーター例、つまり補正しなくても理想的な第1充電電流と第2充電電流の特性が得られるときのパラメーター例を示す。
【0063】
基準電圧をVREF=1.25Vとし、抵抗RG1~RG13のユニット抵抗を5kΩとし、電流モード切り替えの閾値を256とする。以下の記載においては、適宜に四捨五入により丸めた数値を記載する。
【0064】
左図に示すように、第1電流モードにおいて電流設定値INDAのLSBに相当する第4電流源の抵抗は、RG4=5kΩ×128である。このため、電流設定値INDAのLSBに相当する第1電流IS1の分解能はVREF/RG4=1.95uAとなる。第1電流の最大値IS1maxはIS1分解能×255=0.5mAである。RRSS1=32Ω、RCSI1=700Ωとすると、第1増幅率はRCSI1/RRSS1=21.9倍である。第1充電電流ICH1の分解能はIS1分解能×第1増幅率=42.7uAとなり、第1充電電流の最大値ICH1maxはIS1max×第1増幅率=10.9mAとなる。抵抗RCSI1の両端の最小電位差は、RCSI1×IS1分解能=1.37mVとなる。
【0065】
右図に示すように、第2電流モードにおいて電流設定値INDAのLSBに相当する第1電流源の抵抗は、RG1=5kΩ×1024である。このため、電流設定値INDAのLSBに相当する第2電流IS2の分解能はVREF/RG1=0.244uAとなる。QDA[12:0]=0 0001 0000 0000bのとき、第2電流が最小値IS2min=IS2分解能×256=62.5uAとなる。第2電流の最大値IS2maxはIS2分解能×8191=2mAである。RRSS2=1Ω、RCSI2=175Ωとすると、第2増幅率はRCSI2/RRSS2=175倍である。第2充電電流ICH2の分解能はIS2分解能×第2増幅率=42.7uAとなり、第2充電電流の最大値ICH2maxはIS2max×第2増幅率=350mAとなる。抵抗RCSI2の両端の最小電位差は、RCSI2×IS2min=10.9mVとなる。なお、左図のパラメーターとの関係は図示の通りである。
【0066】
第2充電電流ICH2の最小値は、IS2min×第2増幅率={(IS1分解能/8)×256}×(第1増幅率×8)=(IS1分解能×256)×第1増幅率=(IS1max+IS1分解能)×第1増幅率である。IS1max×第1増幅率は、第1充電電流ICH1の最大値であり、IS1分解能×第1増幅率は、ICH1分解能である。また、ICH1分解能=ICH2分解能である。即ち、ICH1の最大値からICH2分解能だけ増加したものが、ICH2の最小値となっている。即ち、ICH1とICH2の切り替え前後においても、理想的には、電流設定値INDA[12:0]に対して充電電流IBATは線形になっている。
【0067】
但し、実際に製造された回路は様々な要因で理想的な特性にならないので、第1充電電流ICH1と第2充電電流ICH2の間にオフセット差又は傾き差が生じる。本実施形態によれば、
図2等で説明した第1補正及び第2補正の少なくとも一方を行うことで、第1充電電流ICH1と第2充電電流ICH2の特性差を低減可能である。
【0068】
以上の本実施形態において、回路装置100は、電流源回路140と第1充電回路110と第2充電回路120と制御回路160とを含む。第1充電回路110は、電流源回路140の出力電流に基づいて、定電流の第1充電電流ICH1を充電電流IBATとして充電ノードNBATに供給する。第2充電回路120は、電流源回路140の出力電流に基づいて、第1充電電流ICH1よりも大きい定電流の第2充電電流ICH2を充電電流IBATとして充電ノードNBATに供給する。制御回路160は、電流設定値INDAが第1電流範囲であるとき、電流設定値INDAが示す電流値の第1充電電流ICH1を第1充電回路110から充電ノードNBATに供給させる第1電流モードの制御を行う。制御回路160は、電流設定値INDAが第1電流範囲より高電流側の第2電流範囲であるとき、電流設定値INDAが示す電流値の第2充電電流ICH2を第2充電回路120から充電ノードNBATに供給させる制御を行う。
【0069】
本実施形態によれば、電流設定値INDAが第2電流範囲であるとき、第2充電回路120に切り替えられ、第1充電電流ICH1よりも大きい第2充電電流ICH2で充電が行われる。これにより、高充電電流化が実現される。そして、充電電流IBATの電流設定値INDAに応じて第1充電回路110と第2充電回路120を切り替えることで、充電電流IBATの電流値に応じて最適な定電流充電回路の設計が可能となる。これにより、高充電電流化を実現しつつ、回路規模の増加、充電電流の分解能低下、又は電力効率の低下を抑制することが可能になる。
【0070】
また本実施形態では、
図4で説明したように、制御回路160は、第1電流モードと第2電流モードの切り替え期間PA、PBにおいて、第1充電電流ICH1及び第2充電電流ICH2の両方を非供給状態に設定する。
【0071】
第1充電回路110と第2充電回路120を切り替えることで第1電流モードと第2電流モードを切り替えるので、その切り替え時において充電電流IBATが意図しない大電流になる可能性がある。本実施形態によれば、切り替え期間PA、PBにおいて第1充電電流ICH1及び第2充電電流ICH2の両方が非供給状態になるので、充電電流IBATが意図しない大電流にならない。
【0072】
また本実施形態では、制御回路160は、第1充電電流ICH1を供給状態又は非供給状態に制御する第1イネーブル信号XONSと、第2充電電流ICH2を供給状態又は非供給状態に制御する第2イネーブル信号XONLとを出力する。制御回路160は、切り替え期間PA、PBにおいて、第1イネーブル信号XONS及び第2イネーブル信号XONLを非アクティブにすることで、第1充電電流ICH1及び第2充電電流ICH2の両方を非供給状態に設定する。
【0073】
図3で説明したように、第1電流モードと第2電流モードの切り替えにおいて、第1イネーブル信号XONS及び第2イネーブル信号XONLの僅かな信号遅延差によって、充電電流IBATが意図しない大電流になる可能性がある。本実施形態によれば、切り替え期間PA、PBにおいて第1イネーブル信号XONS及び第2イネーブル信号XONLが非アクティブに設定される。これにより、第1充電電流ICH1及び第2充電電流ICH2の両方が非供給状態になるので、充電電流IBATが意図しない大電流にならない。
【0074】
また本実施形態では、第1充電回路110は、第1イネーブル信号XONSに基づいてイネーブル又はディセーブルに制御され、イネーブルであるときに、第1充電電流ICH1を充電ノードNBATに供給する。第2充電回路120は、第2イネーブル信号XONLに基づいてイネーブル又はディセーブルに制御され、イネーブルであるときに、第2充電電流ICH2を充電ノードNBATに供給する。制御回路160は、切り替え期間PA、PBにおいて、第1イネーブル信号XONS及び第2イネーブル信号XONLを非アクティブにすることで第1充電回路110及び第2充電回路120をディセーブルにする。
【0075】
本実施形態によれば、切り替え期間PA、PBにおいて、第1充電回路110及び第2充電回路120がディセーブルになることで、第1充電電流ICH1及び第2充電電流ICH2の両方が非供給状態になる。
【0076】
また本実施形態では、回路装置100は第1トランジスターTE1と第2トランジスターTE2とを含む。第1トランジスターTE1は、第1イネーブル信号XONSに基づいてオン又はオフに制御され、オンであるときに、電流源回路140からの出力電流を第1充電回路110に供給する。第2トランジスターTE2は、第2イネーブル信号XONLに基づいてオン又はオフに制御され、オンであるときに、電流源回路140からの出力電流を第2充電回路120に供給する。制御回路160は、切り替え期間PA、PBにおいて、第1イネーブル信号XONS及び第2イネーブル信号XONLを非アクティブにすることで第1トランジスターTE1及び第2トランジスターTE2をオフにする。
【0077】
本実施形態によれば、切り替え期間PA、PBにおいて、第1トランジスターTE1及び第2トランジスターTE2がオフになることで、電流源回路140から第1充電回路110及び第2充電回路120に電流が供給されなくなる。これにより、第1充電電流ICH1及び第2充電電流ICH2の両方が非供給状態になる。
【0078】
また本実施形態では、
図8又は
図9で説明したように、制御回路160は、電流源制御値QDAの切り替え期間PCにおいて、電流源回路140の出力電流がゼロになる又は低減するように電流源制御値QDAを設定する。
【0079】
図7で説明したように、電流源制御値QDAが変化したときに、電流源制御値QDAの制御ビット信号間の信号遅延差によって、意図しない大きな充電電流IBATが流れる可能性がある。本実施形態によれば、電流源制御値QDAの切り替え期間PCにおいて、電流源回路140の出力電流がゼロになる又は低減するので、意図しない大きな充電電流IBATが流れない。
【0080】
なお、「電流源回路140の出力電流が低減する」とは、切り替え期間PCの直前における電流源制御値QDAに基づいて電流源回路140が出力する電流よりも、切り替え期間PCにおいて設定された電流源制御値QDAに基づいて電流源回路140が出力する電流の方が、小さいということである。
【0081】
また本実施形態では、制御回路160は、電流源制御値QDAが閾値GDより大きいとき、切り替え期間PCにおいて、電流源回路140の出力電流がゼロになる又は低減するように電流源制御値QDAを設定する。
【0082】
電流源制御値QDAが閾値GDより小さい場合には、意図しない充電電流IBATがそれほど大きくならないと予想される。このため、電流源制御値QDAが閾値GD以上のときのみ、切り替え期間PCにおいて電流源回路140の出力電流がゼロになる又は低減するように電流源制御値QDAを設定しておけばよい。なお、制御回路160は、電流源制御値QDAが閾値GD以上のとき、切り替え期間PCにおいて、電流源回路140の出力電流がゼロになる又は低減するように電流源制御値QDAを設定してもよい。
【0083】
また本実施形態では、第1電流モードにおいて、電流源回路140は、電流源制御値QDAが示す電流値の第1電流IS1を出力電流として第1充電回路110に供給する。また、第1充電回路110は、第1増幅率で第1電流IS1を増幅することで第1充電電流ICH1を供給する。第2電流モードにおいて、電流源回路140は、電流源制御値QDAが示す電流値の第2電流IS2を出力電流として第2充電回路120に供給する。また、第2充電回路120は、第1増幅率よりも大きい第2増幅率で第2電流IS2を増幅することで第2充電電流ICH2を供給する。
【0084】
本実施形態によれば、第2電流モードにおける第2増幅率が第1電流モードにおける第1増幅率より大きいことで、第2電流モードにおいて、第1充電電流より大きい第2充電電流を生成できる。また、
図12で説明したように、ICH1分解能=ICH2分解能であり、ICH1分解能=IS1分解能×第1増幅率であり、RCSI1最小電位差=RCSI1×IS1分解能である。第1増幅率が第2増幅率より小さいことで、IS1分解能を大きくできるので、RCSI1最小電位差を大きくできる。これにより、第1充電電流ICH1の分解能をより精度よく刻むことが可能になる。また、IS2分解能はIS1分解能より小さくなるが、第1充電回路110と第2充電回路120を分けたことでRCSI2最小電位差=RCSI2×IS2minとなっている。これにより、第2充電電流ICH2の分解能の値は第1充電電流ICH1の分解能と同じになり、第1充電電流ICH1と同様、第2充電電流ICH2の分解能をより精度よく刻むことが可能になる。
【0085】
また本実施形態では、電流源回路140は第1~第n電流源を含む。第1~第n電流源は、電流値がバイナリーに重み付けされ、電流源制御値QDAに基づいて第1~第n定電流の出力又は非出力が制御される。制御回路160は、電流源制御値QDAの切り替え期間PCにおいて、第1~第n定電流を非出力にする電流源制御値QDAを設定する、又は、第1~第n定電流のうち高電流側の第p~第n定電流を非出力にする電流源制御値QDAを設定する。
【0086】
なお、
図6、
図9、
図11及び
図12などの例では、n=13、p=9であるが、nは2以上の整数であればよく、pは2以上n以下の整数であればよい。
【0087】
本実施形態によれば、電流源制御値QDAの切り替え期間PCにおいて、第1~第n定電流が非出力になることで、電流源回路140の出力電流がゼロになる。又は、電流源制御値QDAの切り替え期間PCにおいて、第1~第n定電流のうち高電流側の第p~第n定電流が非出力になることで、電流源回路140の出力電流が低減する。
【0088】
また本実施形態では、制御回路160は、電流設定値INDAに基づいて、第1~第n電流源を制御する電流源制御値QDAの第1~第n制御ビット信号QDA[0]~QDA[n-1]を出力する。電流源回路140は、第1トランジスターTE1と第2トランジスターTE2とを含む。第1トランジスターTE1は、第1電流モードにおいて、第1~第n電流源のうち第1~第n制御ビット信号QDA[0]~QDA[n-1]に基づいて選択された電流源からの電流を第1電流IS1として第1充電回路110に供給する。第2トランジスターTE2は、第2電流モードにおいて、第1~第n電流源のうち第1~第n制御ビット信号QDA[0]~QDA[n-1]に基づいて選択された電流源からの電流を第2電流IS2として第2充電回路120に供給する。
【0089】
なお、
図6、
図11及び
図12などの例では、n=13であるが、nは2以上の整数であればよい。
【0090】
本実施形態によれば、電流設定値INDAに基づいて第1~第n制御ビット信号QDA[0]~QDA[n-1]が出力され、その第1~第n制御ビット信号QDA[0]~QDA[n-1]に基づいて第1~第n電流源の出力又は非出力が制御される。これにより、第1電流モードにおいて、第1トランジスターTE1が第1~第n電流源からの電流を第1充電回路110に出力することで、第1充電回路110が、電流設定値INDAが示す電流値の第1充電電流ICH1を供給する。第2電流モードにおいて、第2トランジスターTE2が第1~第n電流源からの電流を第2充電回路120に出力することで、第2充電回路120が、電流設定値INDAが示す電流値の第2充電電流ICH2を供給する。
【0091】
また本実施形態では、制御回路160は、電流設定値INDAに基づいて、第1充電電流ICH1の電流値を設定する第1設定値STV1、及び第2充電電流ICH2の電流値を設定する第2設定値STV2を設定する。制御回路160は、第2電流モードにおいて、第2設定値STV2のビット信号のうち第i+1~第i+nビット信号STV2[i]~STV2[i+n-1]を第1~第n制御ビット信号QDA[0]~QDA[n-1]として出力する。制御回路160は、第1電流モードにおいて、第1設定値STV1のビット信号のうち第i+1-k~第i-k+nビット信号STV1[i-k]~STV1[i-k+n-1]を第1~第n制御ビット信号QDA[0]~QDA[n-1]として出力する。
【0092】
なお、
図6、
図11及び
図12の例では、n=13、i=8、k=3であるが、nは2以上の整数であればよく、iは1以上の整数であればよく、kは1以上i以下の整数であればよい。電流源回路140は、電流値がバイナリーに重み付けされたn個の電流源を有している。そして、このうち重みの高いほうから(n-k)個の電流源は、第1電流モードにおいて電流源制御値QDA[n―1:k]に対応する。
図18では、例えば、QDA[12:3]に対応した電流源は10個である。これは、電流設定値のLSBであるINDA[0]に相当するビットはQDA[3]だからである。電流設定値のLSBより下位ビットのQDA[k-1:0]に対応した電流源は動作しないように電流源をビットによらずに非アクティブにしてもよいし、ビットによらずにアクティブにしてもよい。また、電流設定値のLSBより下位ビットの電流源にQDA[k-1:0]を供給して制御してもよい。
図18においてQDA[k-1:0]はQDA[2:0]である。
【0093】
本実施形態によれば、
図11と
図12で説明したように、電流設定値INDAのLSBに対応する第1電流IS1の分解能と第2電流IS2の分解能とが異なる。本実施形態では、この分解能の差を、第1充電回路110の第1増幅率と第2充電回路120の第2増幅率の違いによって吸収できるので、電流設定値INDAのLSBに対応する第1充電電流ICH1の分解能と第2充電電流ICH2の分解能を、ほぼ同等にできる。
【0094】
また、本実施形態によれば、
図12で説明したように、第1増幅率が第2増幅率より小さいことで、第1電流IS1の分解能を第2電流IS2の分解能より大きくできる。この分解能の違いは、第2設定値STV2から電流源制御値QDAへのビット割り当てと、第1設定値STV1から電流源制御値QDAへのビット割り当てとが、kビットだけ異なることで、実現されている。第1電流IS1の分解能を大きくできることで、第1増幅率に関係する抵抗RCSI1の最小電位差を大きくできるので、演算増幅器OPFがより高精度な増幅率で増幅するための十分大きな電位差を確保できる。これにより、第1充電電流ICH1と第2充電電流ICH2をより高精度な分解能で刻むことができる。
【0095】
2.第2実施形態
図13は、第2実施形態における回路装置100と、その回路装置100を含む電子機器200の構成例である。第2実施形態は、第1実施形態に対して電流源回路140の構成が異なる。また、
図1の説明では、制御回路160は、電流源制御値QDAを電流源回路140に出力していたが本実施形態では第1電流源制御値QDA1及び第2電流源制御値QDA2を電流源回路140に出力することが異なる。
図4で説明した電流モードの切り替え期間PA、PBを設ける手法は、第1実施形態と同様である。なお、既に説明した構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付し、その構成要素についての説明を適宜に省略する。
【0096】
制御回路160は、電流設定値INDAに第1補正を行い、その結果を第1電流源制御値QDA1として電流源回路140に出力する。また、制御回路160は、電流設定値INDAに第2補正を行い、その結果を第2電流源制御値QDA2として電流源回路140に出力する。第1補正及び第2補正の手法については第1実施形態と同様である。
【0097】
電流源回路140は、第1電流源回路141と第2電流源回路142とを含む。第1電流源回路141は、第1電流源制御値QDA1により設定される電流値の第1電流IS1を生成し、その第1電流IS1を第1充電回路110に供給する。第2電流源回路142は、第2電流源制御値QDA2により設定される電流値の第2電流IS2を生成し、その第2電流IS2を第2充電回路120に供給する。
【0098】
図14は、第2実施形態における制御回路160の動作説明図である。電流モードの判定、第1イネーブル信号XONSの制御、及び第2イネーブル信号XONLの制御については、第1実施形態と同様である。
【0099】
制御回路160は、電流設定値INDAが閾値THR未満であるとき、第1設定値STV1に基づいて第1電流源制御値QDA1を出力すると共に、第2電流源制御値QDA2をゼロに設定する。これにより、第1充電モードにおける充電電流IBAT=ICH1は、第1補正により補正された第1設定値STV1によって制御される。制御回路160は、電流設定値INDAが閾値THR以上であるとき、第2設定値STV2に基づいて第2電流源制御値QDA2を出力すると共に、第1電流源制御値QDA1をゼロに設定する。これにより、第2充電モードにおける充電電流IBAT=ICH2は、第2補正により補正された第2設定値STV2によって制御される。
【0100】
図15は、第1充電回路110と第1電流源回路141の詳細構成例である。第1充電回路110の構成は、第1実施形態と同様である。
【0101】
第1電流源回路141は、演算増幅器OPB1とP型トランジスターTB1と抵抗RC1~RC13とN型トランジスターTC1~TC13とを含む。
【0102】
P型トランジスターTB1のソースはノードNCSI1に接続され、ドレインはノードNS1に接続される。演算増幅器OPB1の反転入力端子に基準電圧VREFが入力される。演算増幅器OPB1の非反転入力端子はノードNS1に接続され、出力ノードはP型トランジスターTB1のゲートに接続される。抵抗RC1の一端はノードNS1に接続され、他端はN型トランジスターTC1のドレインに接続される。N型トランジスターTC1のソースはグランドノードに接続される。同様に、抵抗RC2~RC13の一端はノードNS1に接続され、他端はN型トランジスターTC2~TC13のドレインに接続される。N型トランジスターTC2~TC13のソースはグランドノードに接続される。N型トランジスターTC1のゲートには、第1電流源制御値QDA1の制御ビット信号QDA1[0]が入力される。同様に、N型トランジスターTC2~TC13のゲートには、第1電流源制御値QDA1の制御ビット信号QDA1[1]~QDA1[12]が入力される。
【0103】
演算増幅器OPB1は、第1イネーブル信号XONSがアクティブのとき動作イネーブルとなる。これにより、ノードNS1の電圧がVS1=VREFとなる。抵抗RC1とN型トランジスターTC1を第1電流源回路141の第1電流源と呼ぶ。第1電流源制御値QDA1の制御ビット信号QDA[0]が1のときN型トランジスターTC1がオンであり、第1電流源がVREF/RC1の電流を流す。同様に、抵抗RC2~RC13とN型トランジスターTC2~TC13を第1電流源回路141の第2~第13電流源と呼ぶ。第1電流源制御値QDA1の制御ビット信号QDA1[1]~QDA1[12]が1のときN型トランジスターTC2~TC13がオンであり、第2~第13電流源がVREF/RC2~VREF/RC13の電流を流す。P型トランジスターTB1に流れる第1電流IS1は、第1電流源制御値QDA1の制御ビット信号QDA1[0]~QDA1[12]のうち1である制御ビット信号に対応した電流源が流す電流の合計である。なお、第1電流源回路141に含まれる電流源の数は13に限定されず、m個であればよい。mは2以上n以下の整数である。
【0104】
第1イネーブル信号XONSが非アクティブのときには、演算増幅器OPA1とOPB1は動作ディセーブルになる。このときP型トランジスターTA1とTB1がオフになり、第1電流IS1と第1充電電流ICH1は流れない。
【0105】
図16は、第2充電回路120と第2電流源回路142の詳細構成例である。第2充電回路120の構成は、第1実施形態と同様である。
【0106】
第2電流源回路142は、演算増幅器OPB2とP型トランジスターTB2と抵抗RD1~RD13とN型トランジスターTD1~TD13とを含む。
【0107】
P型トランジスターTB2のソースはノードNCSI2に接続され、ドレインはノードNS2に接続される。演算増幅器OPB2の反転入力端子に基準電圧VREFが入力される。演算増幅器OPB2の非反転入力端子はノードNS2に接続され、出力ノードはP型トランジスターTB2のゲートに接続される。抵抗RD1の一端はノードNS2に接続され、他端はN型トランジスターTD1のドレインに接続される。N型トランジスターTD1のソースはグランドノードに接続される。同様に、抵抗RD2~RD13の一端はノードNS2に接続され、他端はN型トランジスターTD2~TD13のドレインに接続される。N型トランジスターTD2~TD13のソースはグランドノードに接続される。N型トランジスターTD1のゲートには、第2電流源制御値QDA2の制御ビット信号QDA2[0]が入力される。同様に、N型トランジスターTD2~TD13のゲートには、第2電流源制御値QDA2の制御ビット信号QDA2[1]~QDA2[12]が入力される。
【0108】
演算増幅器OPB2は、第2イネーブル信号XONLがアクティブのとき動作イネーブルとなる。これにより、ノードNS2の電圧がVS2=VREFとなる。抵抗RD1とN型トランジスターTD1を第2電流源回路142の第1電流源と呼ぶ。第2電流源制御値QDA2の制御ビット信号QDA2[0]が1のときN型トランジスターTD1がオンであり、第1電流源がVREF/RD1の電流を流す。同様に、抵抗RD2~RD13とN型トランジスターTD2~TD13を第2電流源回路142の第2~第13電流源と呼ぶ。第2電流源制御値QDA2の制御ビット信号QDA2[1]~QDA2[12]が1のときN型トランジスターTD2~TD13がオンであり、第2~第13電流源がVREF/RD2~VREF/RD13の電流を流す。P型トランジスターTB2に流れる第2電流IS2は、第2電流源制御値QDA2の制御ビット信号QDA2[0]~QDA2[12]のうち1である制御ビット信号に対応した電流源が流す電流の合計である。なお、第2電流源回路142に含まれる電流源の数は13に限定されず、n個であればよい。
【0109】
第2イネーブル信号XONLが非アクティブのときには、演算増幅器OPA2とOPB2は動作ディセーブルになる。このときP型トランジスターTA2とTB2がオフになり、第2電流IS2と第2充電電流ICH2は流れない。
【0110】
図17は、第2実施形態における第1電流源制御値QDA1と第2電流源制御値QDA2の波形例である。
【0111】
制御回路160は、第1電流モードにおける第1電流源制御値QDA1の切り替え期間PCaにおいて、第1電流源回路141の出力電流がゼロになる又は低減するように、第1電流源制御値QDA1を所定値DPCaに設定する。制御回路160は、第2電流モードにおける第2電流源制御値QDA2の切り替え期間PCbにおいて、第2電流源回路142の出力電流がゼロになる又は低減するように、第2電流源制御値QDA2を所定値DPCbに設定する。
【0112】
第1実施形態の
図8と同様に、制御回路160はDPCaとDPCbの全ビットをゼロにしてもよい。或いは、
図9と同様に、制御回路160は、DPCaとDPCbの上位n-p+1ビットをゼロにしてもよい。また
図10と同様に、制御回路160は、QDA1≦GDであるとき、第1電流源制御値QDA1を変化させるときに切り替え期間PCaを設けず、QDA2≦GDであるとき、第2電流源制御値QDA2を変化させるときに切り替え期間PCbを設けなくてもよい。
【0113】
図18は、第2実施形態における第1電流源回路141及び第2電流源回路142の抵抗比と動作を説明する図である。
【0114】
第1電流源回路141において第1~第13電流源の電流比を決める抵抗RC1~RC13の抵抗比は、RC13:RC12:・・・:RC2:RC1=0.25:0.5:・・・:512:1024である。この逆数比が電流比となるので、第1~第13電流源が流す電流はバイナリーに重み付けされる。制御回路160は、第1電流モードつまり第1イネーブル信号XONSがローレベルのとき、STV1[17:0]の上位13ビットを第1電流源制御値QDA1に割り当てて、QDA1[12:0]=STV1[17:5]を第1電流源回路141に出力する。
【0115】
第2電流源回路142において第1~第13電流源の電流比を決める抵抗RD1~RD13の抵抗比は、RD13:RD12:・・・:RD2:RD1=0.25:0.5:・・・:512:1024である。この逆数比が電流比となるので、第1~第13電流源が流す電流はバイナリーに重み付けされる。制御回路160は、第2電流モードつまり第2イネーブル信号XONLがローレベルのとき、STV2[20:0]の上位13ビットを第2電流源制御値QDA2に割り当てて、QDA2[12:0]=STV2[20:8]を第2電流源回路142に出力する。
【0116】
第2実施形態の
図18と第1実施形態の
図11とを比較すると、実質的に第2実施形態において第1実施形態と同じ動作が実現されていることが分かる。
【0117】
以上の本実施形態において、電流源回路140は、m個の電流源を有する第1電流源回路141と、n個の電流源を有する第2電流源回路142とを含む。第1電流源回路141のm個の電流源は、電流値がバイナリーに重み付けされたm個の定電流の出力又は非出力が第1電流源制御値QDA1に基づいて制御される。第2電流源回路142のn個の電流源は、電流値がバイナリーに重み付けされn個の定電流の出力又は非出力が第2電流源制御値QDA2に基づいて制御される。制御回路160は、電流源制御値として、第1電流源制御値QDA1と第2電流源制御値QDA2とを出力する。制御回路160は、第1電流源制御値QDA1の切り替え期間PCaにおいて、m個の定電流を非出力にするように第1電流源制御値QDA1を設定し、又はm個の定電流のうち高電流側のs個の定電流を非出力にするように第1電流源制御値QDA1を設定する。制御回路160は、第2電流源制御値QDA2の切り替え期間PCbにおいて、n個の定電流を非出力にするように第2電流源制御値QDA2を設定し、又はn個の定電流のうち高電流側のt個の定電流を非出力にするように第2電流源制御値QDA2を設定してもよい。
【0118】
なお、
図15~
図18の例ではm=n=13であるが、mは2以上の整数であればよく、nはm以上の整数であればよく、n≠mであってもよい。また、
図9、
図15~
図18の例ではs=t=5であるが、sは1以上m未満の整数であればよく、tは1以上n未満の整数であればよく、s≠tであってもよい。
【0119】
本実施形態によれば、第1電流源制御値QDA1の切り替え期間PCaにおいて、m個の定電流が非出力になることで、第1電流源回路141の出力電流がゼロになる。又は、第1電流源制御値QDA1の切り替え期間PCaにおいて、m個の定電流のうち高電流側のs個の定電流が非出力になることで、第1電流源回路141の出力電流が低減する。また、第2電流源制御値QDA2の切り替え期間PCbにおいて、n個の定電流が非出力になることで、第2電流源回路142の出力電流がゼロになる。又は、第2電流源制御値QDA2の切り替え期間PCbにおいて、n個の定電流のうち高電流側のt個の定電流が非出力になることで、第2電流源回路142の出力電流が低減する。
【0120】
また本実施形態では、制御回路160は、第1電流源回路141のm個の電流源を制御するmビットの第1電流源制御値QDA1と、第2電流源回路142のn個の電流源を制御するnビットの第2電流源制御値QDA2と、を出力する。第1電流源回路141は、m個の電流源のうちmビットの第1電流源制御値QDA1に基づいて選択された電流源からの電流を第1電流IS1として第1充電回路110に供給する。第2電流源回路142は、n個の電流源のうちnビットの第2電流源制御値QDA2に基づいて選択された電流源からの電流を第2電流IS2として第2充電回路120に供給する。
【0121】
本実施形態によれば、電流設定値INDAに基づいてmビットの第1電流源制御値QDA1が出力され、そのmビットの第1電流源制御値QDA1に基づいて、第1電流源回路141におけるm個の電流源の出力又は非出力が制御される。これにより、第1電流モードにおいて、m個の電流源からの電流が第1充電回路110に出力されることで、第1充電回路110が、電流設定値INDAが示す電流値の第1充電電流ICH1を供給する。また、電流設定値INDAに基づいてnビットの第2電流源制御値QDA2が出力され、そのnビットの第2電流源制御値QDA2に基づいて、第2電流源回路142におけるn個の電流源の出力又は非出力が制御される。これにより、第2電流モードにおいて、n個の電流源からの電流が第2充電回路120に出力されることで、第2充電回路120が、電流設定値INDAが示す電流値の第2充電電流ICH2を供給する。
【0122】
また本実施形態では、制御回路160は、電流設定値INDAに基づいて、第1充電電流ICH1の電流値を設定する第1設定値STV1、及び第2充電電流ICH2の電流値を設定する第2設定値STV2を設定する。制御回路160は、第2電流モードにおいて、第2設定値STV2のビット信号のうち第i+1~第i+nビット信号STV2[i]~STV2[i+n-1]をnビットの第2電流源制御値QDA2として出力する。制御回路160は、第1電流モードにおいて、第1設定値STV1のビット信号のうち第i+1-k~第i-k+mビット信号STV1[i-k]~STV1[i-k+m-1]をmビットの第1電流源制御値QDA1として出力する。
【0123】
なお、
図15~
図18の例では、m=n=13、i=8、k=3であるが、mは2以上の整数であればよく、nはm以上の整数であればよく、n≠mであってもよく、iは1以上の整数であればよく、kは1以上i以下の整数であればよい。
【0124】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、電流設定値INDAのLSBに対応する第1電流IS1の分解能と第2電流IS2の分解能とが異なる。本実施形態では、この分解能の差を、第1充電回路110の第1増幅率と第2充電回路120の第2増幅率の違いによって吸収できるので、電流設定値INDAのLSBに対応する第1充電電流ICH1の分解能と第2充電電流ICH2の分解能を、ほぼ同等にできる。
【0125】
以上に説明した本実施形態の回路装置は、電流源回路と第1充電回路と第2充電回路と制御回路とを含む。第1充電回路は、電流源回路の出力電流に基づいて、定電流の第1充電電流を充電電流として充電ノードに供給する。第2充電回路は、電流源回路の出力電流に基づいて、第1充電電流よりも大きい定電流の第2充電電流を充電電流として充電ノードに供給する。制御回路は、充電電流の電流値を設定する電流設定値が第1電流範囲であるとき、電流設定値が示す電流値の第1充電電流を第1充電回路から充電ノードに供給させる第1電流モードの制御を行う。制御回路は、電流設定値が第1電流範囲より高電流側の第2電流範囲であるとき、電流設定値が示す電流値の第2充電電流を第2充電回路から充電ノードに供給させる第2電流モードの制御を行う。制御回路は、第1電流モードと第2電流モードの切り替え期間において、第1充電電流及び第2充電電流の両方を非供給状態に設定する。
【0126】
本実施形態によれば、充電電流の電流設定値に応じて、第1充電回路で充電する第1充電モードと、第2充電回路で充電する第2充電モードとを切り替えることで、充電電流の電流値に応じて最適な定電流充電回路の設計が可能となる。これにより、高充電電流化を実現しつつ、回路規模の増加、充電電流の分解能低下、又は電力効率の低下を抑制することが可能になる。また、第1電流モードと第2電流モードの切り替え時において充電電流が意図しない大電流になる可能性があるが、本実施形態によれば、第1電流モードと第2電流モードの切り替え期間において、第1充電電流及び第2充電電流の両方が非供給状態になるので、充電電流が意図しない大電流にならない。
【0127】
また本実施形態では、制御回路は、第1充電電流を供給状態又は非供給状態に制御する第1イネーブル信号と、第2充電電流を供給状態又は非供給状態に制御する第2イネーブル信号とを出力してもよい。制御回路は、切り替え期間において、第1イネーブル信号及び第2イネーブル信号を非アクティブにすることで、第1充電電流及び第2充電電流の両方を非供給状態に設定してもよい。
【0128】
第1電流モードと第2電流モードの切り替え期間において、第1イネーブル信号及び第2イネーブル信号の僅かな信号遅延差によって、充電電流が意図しない大電流になる可能性がある。本実施形態によれば、切り替え期間において第1イネーブル信号及び第2イネーブル信号が非アクティブに設定される。これにより、第1充電電流及び第2充電電流の両方が非供給状態になるので、充電電流が意図しない大電流にならない。
【0129】
また本実施形態では、第1充電回路は、第1イネーブル信号に基づいてイネーブル又はディセーブルに制御され、イネーブルであるときに、第1充電電流を充電ノードに供給してもよい。第2充電回路は、第2イネーブル信号に基づいてイネーブル又はディセーブルに制御され、イネーブルであるときに、第2充電電流を充電ノードに供給してもよい。制御回路は、切り替え期間において、第1イネーブル信号及び第2イネーブル信号を非アクティブにすることで第1充電回路及び第2充電回路をディセーブルにしてもよい。
【0130】
本実施形態によれば、切り替え期間において、第1充電回路及び第2充電回路がディセーブルになることで、第1充電電流及び第2充電電流の両方が非供給状態になる。
【0131】
また本実施形態では、回路装置は、第1トランジスターと第2トランジスターとを含んでもよい。第1トランジスターは、第1イネーブル信号に基づいてオン又はオフに制御され、オンであるときに、電流源回路からの出力電流を第1充電回路に供給してもよい。第2トランジスターは、第2イネーブル信号に基づいてオン又はオフに制御され、オンであるときに、電流源回路からの出力電流を第2充電回路に供給してもよい。制御回路は、切り替え期間において、第1イネーブル信号及び第2イネーブル信号を非アクティブにすることで第1トランジスター及び第2トランジスターをオフにしてもよい。
【0132】
本実施形態によれば、切り替え期間において、第1トランジスター及び第2トランジスターがオフになることで、電流源回路から第1充電回路及び第2充電回路に電流が供給されなくなる。これにより、第1充電電流及び第2充電電流の両方が非供給状態になる。
【0133】
また本実施形態では、制御回路は、電流設定値に基づいて、電流源回路の出力電流を制御する電流源制御値を電流源回路に出力してもよい。第1電流モードにおいて、電流源回路は、電流源制御値が示す電流値の第1電流を出力電流として第1充電回路に供給してもよい。第1充電回路は、第1増幅率で第1電流を増幅することで第1充電電流を供給してもよい。第2電流モードにおいて、電流源回路は、電流源制御値が示す電流値の第2電流を出力電流として第2充電回路に供給してもよい。第2充電回路は、第1増幅率よりも大きい第2増幅率で第2電流を増幅することで第2充電電流を供給してもよい。
【0134】
本実施形態によれば、第2電流モードにおける第2増幅率が第1電流モードにおける第1増幅率より大きいことで、第2電流モードにおいて、第1充電電流より大きい第2充電電流を生成できる。また、第1増幅率が第2増幅率より小さいことで、第1電流の分解能を大きくできる。これにより、第1充電電流の分解能をより精度よく刻むことが可能になる。また、第2電流の分解能は第1電流の分解能より小さくなるが、第1充電回路と第2充電回路を分けたことで、第2充電電流の分解能の値は第1充電電流の分解能と同じになり、第1充電電流と同様、第2充電電流の分解能をより精度よく刻むことが可能になる。
【0135】
また本実施形態では、電流源回路は、第1~第n電流源と第1トランジスターと第2トランジスターとを含んでもよい。nは2以上の整数である。第1~第n電流源は、電流値がバイナリーに重み付けされた第1~第n定電流の出力又は非出力が電流源制御値の第1~第n制御ビット信号に基づいて制御されてもよい。第1トランジスターは、第1電流モードにおいて、第1~第n電流源のうち第1~第n制御ビット信号に基づいて選択された電流源からの電流を第1電流として第1充電回路に供給してもよい。第2トランジスターは、第2電流モードにおいて、第1~第n電流源のうち第1~第n制御ビット信号に基づいて選択された電流源からの電流を第2電流として第2充電回路に供給してもよい。
【0136】
本実施形態によれば、電流設定値に基づいて第1~第n制御ビット信号が出力され、その第1~第n制御ビット信号に基づいて第1~第n電流源の出力又は非出力が制御される。これにより、第1電流モードにおいて、第1トランジスターが第1~第n電流源からの電流を第1充電回路に出力することで、第1充電回路が、電流設定値が示す電流値の第1充電電流を供給する。第2電流モードにおいて、第2トランジスターが第1~第n電流源からの電流を第2充電回路に出力することで、第2充電回路が、電流設定値が示す電流値の第2充電電流を供給する。
【0137】
また本実施形態では、制御回路は、電流設定値に基づいて、第1充電電流の電流値を設定する第1設定値、及び第2充電電流の電流値を設定する第2設定値を設定してもよい。制御回路は、第2電流モードにおいて、第2設定値のビット信号のうち第i+1~第i+nビット信号を第1~第n制御ビット信号として出力してもよい。iは1以上の整数である。制御回路は、第1電流モードにおいて、第1設定値のビット信号のうち第i+1-k~第i-k+nビット信号を第1~第n制御ビット信号として出力してもよい。kは1以上i以下の整数である。
【0138】
本実施形態によれば、電流設定値のLSBに対応する第1電流の分解能と第2電流の分解能とが異なる。本実施形態では、この分解能の差を、第1充電回路の第1増幅率と第2充電回路の第2増幅率の違いによって吸収できるので、電流設定値のLSBに対応する第1充電電流の分解能と第2充電電流の分解能を、ほぼ同等にできる。
【0139】
また本実施形態では、電流源回路は、第1電流源回路と第2電流源回路とを含んでもよい。第1電流源回路は、m個の電流源を有してもよい。m個の電流源は、電流値がバイナリーに重み付けされたm個の定電流の出力又は非出力がmビットの第1電流源制御値に基づいて制御されてもよい。mは2以上の整数である。第2電流源回路は、n個の電流源を有してもよい。n個の電流源電流値がバイナリーに重み付けされn個の定電流の出力又は非出力がnビットの第2電流源制御値に基づいて制御されてもよい。nはm以上の整数である。制御回路は、電流源制御値として、mビットの第1電流源制御値と、nビットの第2電流源制御値とを出力してもよい。第1電流源回路は、m個の電流源のうちmビットの第1電流源制御値に基づいて選択された電流源からの電流を第1電流として第1充電回路に供給してもよい。第2電流源回路は、n個の電流源のうちnビットの第2電流源制御値に基づいて選択された電流源からの電流を第2電流として第2充電回路に供給してもよい。
【0140】
本実施形態によれば、電流設定値に基づいてmビットの第1電流源制御値が出力され、そのmビットの第1電流源制御値に基づいて、第1電流源回路におけるm個の電流源の出力又は非出力が制御される。これにより、第1電流モードにおいて、m個の電流源からの電流が第1充電回路に出力されることで、第1充電回路が、電流設定値が示す電流値の第1充電電流を供給する。また、電流設定値に基づいてnビットの第2電流源制御値が出力され、そのnビットの第2電流源制御値に基づいて、第2電流源回路におけるn個の電流源の出力又は非出力が制御される。これにより、第2電流モードにおいて、n個の電流源からの電流が第2充電回路に出力されることで、第2充電回路が、電流設定値が示す電流値の第2充電電流を供給する。
【0141】
また本実施形態では、制御回路は、電流設定値に基づいて、第1充電電流の電流値を設定する第1設定値、及び第2充電電流の電流値を設定する第2設定値を設定してもよい。制御回路は、第2設定値のビット信号のうち第i+1~第i+nビット信号をnビットの第2電流源制御値として出力してもよい。iは1以上の整数である。制御回路は、第1設定値のビット信号のうち第i+1-k~第i-k+mビット信号をmビットの第1電流源制御値として出力してもよい。kは1以上i以下の整数である。mは2以上n以下の整数である。
【0142】
本実施形態によれば、電流設定値のLSBに対応する第1電流の分解能と第2電流の分解能とが異なる。本実施形態では、この分解能の差を、第1充電回路の第1増幅率と第2充電回路の第2増幅率の違いによって吸収できるので、電流設定値のLSBに対応する第1充電電流の分解能と第2充電電流の分解能を、ほぼ同等にできる。
【0143】
また本実施形態の電子器機は、上記のいずれかの回路装置と、充電ノードに接続されるバッテリーと、を含む。
【0144】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本開示の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本開示の範囲に含まれる。また回路装置、バッテリー及び電子機器等の構成及び動作等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0145】
10…バッテリー、100…回路装置、110…第1充電回路、120…第2充電回路、140…電流源回路、141…第1電流源回路、142…第2電流源回路、145…スイッチ回路、150…基準電圧生成回路、160…制御回路、170…記憶部、190…逆流防止回路、200…電子機器、256…閾値、GD…閾値、IBAT…充電電流、ICH1…第1充電電流、ICH2…第2充電電流、INDA…電流設定値、IS1…第1電流、IS2…第2電流、NBAT…充電ノード、PA,PB…第1電流モードと第2電流モードの切り替え期間、PC…電流源制御値の切り替え期間、PCa…第1電流源制御値の切り替え期間、PCb…第2電流源制御値の切り替え期間、QDA…電流源制御値、QDA1…第1電流源制御値、QDA2…第2電流源制御値、TE1…第1トランジスター、TE2…第2トランジスター、VBAT…バッテリー電圧、VIN…電源電圧、VREF…基準電圧、XONL…第2イネーブル信号、XONS…第1イネーブル信号