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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032172
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】チャイルドシート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/28 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
B60N2/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135681
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】596101130
【氏名又は名称】株式会社シーエー産商
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100214031
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 明弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100198247
【弁理士】
【氏名又は名称】並河 伊佐夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188765
【弁理士】
【氏名又は名称】赤座 泰輔
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 敏之
(72)【発明者】
【氏名】戸谷 正昭
(72)【発明者】
【氏名】劉 珂
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087CE07
(57)【要約】
【課題】操作性を向上させたチャイルドシートを提供する。
【解決手段】チャイルドシート10は、係合部106と被係合部127とが係合するとともに、第二固定手段80がシート本体14を固定している状態では、係合部106及び被係合部127が、シート本体14から離れる側のみに移動を許容されるように構成される。回転操作部材150は、一端側で第一スライド操作部材90に対して回転可能に軸支され、他端側に操作面162が配設され、回転軸が第一スライド操作部材90の回転軸と同軸線とされ、回転操作部材150の他端側のシート本体14とは反対側の面が、第二スライド操作部材120の他端側のシート本体14側の面と当接可能とされ、回転操作部材150及び第二スライド操作部材120のそれぞれの操作面162、操作面130が、シート本体14から離れる側から押圧操作される。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用のシートに取り付けられる台座と、前記台座に対して回転可能且つリクライニング可能なシート本体と、前記台座に対して回転可能な回転部材と、を備え、前記シート本体が前記回転部材に対してスライド移動可能に係合連結されたチャイルドシートであって、
前記シート本体の下面側には、下面から上面に向かう有底孔として形成された取付凹部が配設され、
前記回転部材には、係止孔が配設され、
前記台座に対する前記シート本体の回転方向の位置を固定する第一固定手段と、前記台座に対する前記シート本体のスライド方向の位置を固定する第二固定手段と、を有し、
前記第一固定手段は、回転操作部材を備え、
前記第二固定手段は、第一スライド操作部材と、第二スライド操作部材と、を備え、
前記第一スライド操作部材は、一対のサイドバーと、一端側で一対の前記サイドバーどうしを連結する連結柱と、を有してコの字状に形成され、一端側には前記係止孔と係止可能な係止片が配設され、他端側には、前記第二スライド操作部材と係合可能な係合部が配設され、
前記第二スライド操作部材は、一対のサイドバーと、他端側で一対の前記サイドバーどうしを連結する連結柱と、を有してコの字状に形成され、一端側には前記係合部と係合可能な被係合部が配設され、他端側には操作面が配設され、
前記第一スライド操作部材と、前記第二スライド操作部材は、回転軸が平行となるように前記取付凹部において軸支され、
前記係合部と前記被係合部とが係合するとともに、前記第二固定手段が前記シート本体を固定している状態では、前記係合部及び前記被係合部が、前記シート本体から離れる側のみに移動を許容されるように構成され、
前記回転操作部材は、一端側で前記第一スライド操作部材に対して回転可能に軸支され、他端側に操作面が配設され、回転軸が前記第一スライド操作部材の回転軸と同軸線とされ、前記回転部材及び前記台座に配設される被係合溝と係合可能な係合爪を有し、
前記回転操作部材の他端側の前記シート本体とは反対側の面が、前記第二スライド操作部材の他端側の前記シート本体側の面と当接可能とされ、前記回転操作部材及び第二スライド操作部材のそれぞれの操作面が、前記シート本体から離れる側から押圧操作されることを特徴とするチャイルドシート。
【請求項2】
前記回転操作部材が一端側において、前記第一スライド操作部材の前記サイドバー間に架け渡されるように配設されていることを特徴とする請求項1記載のチャイルドシート。
【請求項3】
前記回転操作部材の操作面の操作により、前記シート本体の回転方向の位置の固定を解除可能とされ、
前記第二スライド操作部材の操作面の操作により、前記回転操作部材と前記第二スライド操作部材とが当接して、前記シート本体の回転方向の位置の固定を解除可能及び前記シート本体のスライド方向の位置の固定を解除可能とされていることを特徴とする請求項1又は2記載のチャイルドシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート本体が台座に対して回転可能かつリクライニング可能なチャイルドシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のチャイルドシートとして特許文献1に記載されるものがあり、これによれば、シート本体の回転方向の位置を固定する第1固定手段と、シート本体のスライド方向の位置を固定する第2固定手段と、を備えていた。それら第1固定手段及び第2固定手段は何れも台座若しくは回転部材に対して係合爪を接近又は離間させる操作部材を有するものとされ、それら第1固定手段の操作部材と第2固定手段の操作部材をシート本体の底面に上下方向に重ねて配置されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許6093420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のチャイルドシートでは、第2固定手段の操作部材の操作面は、上方から下向きに押し下げ操作可能な位置に配置されている。また第1固定手段の操作部材の操作面は、操作面の下方に位置しており、下方から上向きに押し上げ操作が可能とされていて、それぞれ操作方向が異なるため、さらなる操作性の向上が望まれていた。
【0005】
本発明は、上記に鑑みて、操作性を向上させたチャイルドシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明では、車両用のシートに取り付けられる台座と、前記台座に対して回転可能且つリクライニング可能なシート本体と、前記台座に対して回転可能な回転部材と、を備え、前記シート本体が前記回転部材に対してスライド移動可能に係合連結されたチャイルドシートであって、
前記シート本体の下面側には、下面から上面に向かう有底孔として形成された取付凹部が配設され、
前記回転部材には、係止孔が配設され、
前記台座に対する前記シート本体の回転方向の位置を固定する第一固定手段と、前記台座に対する前記シート本体のスライド方向の位置を固定する第二固定手段と、を有し、
前記第一固定手段は、回転操作部材を備え、
前記第二固定手段は、第一スライド操作部材と、第二スライド操作部材と、を備え、
前記第一スライド操作部材は、一対のサイドバーと、一端側で一対の前記サイドバーどうしを連結する連結柱と、を有してコの字状に形成され、一端側には前記係止孔と係止可能な係止片が配設され、他端側には、前記第二スライド操作部材と係合可能な係合部が配設され、
前記第二スライド操作部材は、一対のサイドバーと、他端側で一対の前記サイドバーどうしを連結する連結柱と、を有してコの字状に形成され、一端側には前記係合部と係合可能な被係合部が配設され、他端側には操作面が配設され、
前記第一スライド操作部材と、前記第二スライド操作部材は、回転軸が平行となるように前記取付凹部において軸支され、
前記係合部と前記被係合部とが係合するとともに、前記第二固定手段が前記シート本体を固定している状態では、前記係合部及び前記被係合部が、前記シート本体から離れる側のみに移動を許容されるように構成され、
前記回転操作部材は、一端側で前記第一スライド操作部材に対して回転可能に軸支され、他端側に操作面が配設され、回転軸が前記第一スライド操作部材の回転軸と同軸線とされ、前記回転部材及び前記台座に配設される被係合溝と係合可能な係合爪を有し、
前記回転操作部材の他端側の前記シート本体とは反対側の面が、前記第二スライド操作部材の他端側の前記シート本体側の面と当接可能とされ、前記回転操作部材及び前記第二スライド操作部材のそれぞれの操作面が、前記シート本体から離れる側から押圧操作される。
【0007】
これによれば、回転操作部材、第二スライド操作部材の、操作面を操作するときに、シート本体から離れる側から押圧操作することになるので、換言すれば、それぞれ同じ方向から操作できるため、操作性を向上させることができる。さらに、第二固定手段を第一スライド操作部材と、第二スライド操作部材と、に分割して構成することで、各部材の動作領域が小さくなるので、構造をコンパクトにすることができる。
【0008】
また、前記回転操作部材が一端側において、前記第一スライド操作部材の前記サイドバー間に架け渡されるように配設されている。
【0009】
これによれば、回転操作部材により、第一スライド操作部材の強度を確保することができる。
【0010】
また、前記回転操作部材の操作面の操作により、前記シート本体の回転方向の位置の固定を解除可能とされ、
前記第二スライド操作部材の操作面の操作により、前記回転操作部材と前記第二スライド操作部材とが当接して、前記シート本体の回転方向の位置の固定を解除可能及び前記シート本体のスライド方向の位置の固定を解除可能とされている。
【0011】
これによれば、シート本体の回転方向位置の固定の解除のみを行う、シート本体の回転方向及びシート本体のスライド方向の位置の固定の解除を行うという、二つのモードを選択して操作することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態におけるチャイルドシートの側面図である。
図2図1におけるチャイルドシートの分解斜視図である。
図3図2における台座及び回転部材を分離して示した斜視図である。
図4】同実施形態のシート本体の底面図である。
図5図1の部分縦断面図である。
図6】シート本体の左斜め下からみた斜視図である。
図7】シート本体の右斜め下からみた斜視図である。
図8】第一スライド操作部材と第二スライド操作部材の下側からみた斜視図である。
図9】第一スライド操作部材と第二スライド操作部材の上側からみた斜視図である。
図10】回転操作部材の上側からみた斜視図である。
図11】回転操作部材の下側からみた斜視図である。
図12】回転操作部材のみを操作したときの説明図である。
図13】回転操作部材と、第二スライド操作部材の両方を操作したときの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明をする。以下の説明では、各図面に付される矢印は、Fを前、Bを後ろ、Rを右、Lを左、Uを上、Dを下、とする。
【0014】
なお、本実施形態では、図1に示す状態を、原位置として説明する。
【0015】
本実施形態のチャイルドシート10は、図1~3に示すように、車両用のシートに取り付けられる台座12と、この台座12に対して回転可能且つリクライニング可能なシート本体14を備えている。
【0016】
シート本体14は、合成樹脂製のシェル部16を有し、このシェル部16の内側に発泡材からなる図示しないクッション材を取り付け、シェル部16とクッション材との外表面側を図示しないシートカバーによって覆われて構成されている。
【0017】
シート本体14は、着座した乳幼児の周囲を前側と上側とを除いて覆うように湾曲して構成されるもので、シート本体14の内側には、シート本体14に着座させた乳幼児を固定させるための図示しないショルダーベルトとバックルとが配置されている。
【0018】
シェル部16は合成樹脂製の一体成型品とされている。本実施形態の場合、シェル部16は、ポリプロピレン(PP)製とされるもので、乳幼児の下面側から後面側にかけて覆う座面部18と、乳幼児の左右の側方を覆う側壁部20と、乳幼児の後方を覆う背面部22と、を備えている。この背面部22には、上下方向に高さ調整可能なヘッドレスト24が取り付けられている。
【0019】
13は、台座12の背面下部から後方に突き出した一対のコネクタである。本実施形態のチャイルドシートでは、コネクタ13の内部に設けられたフックを、車両用シートの側に用意されたISO-FIX方式のクランプバーに係合させることで、台座12を車体側(車両用シートの側)に連結することができる。このコネクタ13は、台座12に対して回動可能に設けられており、使用しない場合には台座12の内部に収納することが可能である。
【0020】
また本実施形態のチャイルドシート10は、台座12の底面に、折り畳み式のサポートレッグ15が設けられている。チャイルドシート10が車両用シートに固定された状態でこのサポートレッグ15を、車両フロア上にL字状に起立させることで、前面衝突時等におけるチャイルドシート10の前方への回動を防止し、チャイルドシート10の安全性の向上を図ることができる。
【0021】
図4、6~7等で示すように座面部18には、前面側の端部近傍から背面部22に向かって前後方向に延びる長孔形状の4つの開口28、29、30、31が、右側と左側とに分かれて形成されている。
【0022】
これら開口28、29、30、31の図中左右方向の両側には、各開口の長手方向の縁部に沿って前後方向に連続的に延びる突条部32、33、34、35が形成されている。
【0023】
図4~7等で示すようにシート本体14の座面部18裏側には、下面から上面に向かう有底孔として形成される、取付凹部38が形成されている。取付凹部38には、後述する第一固定手段140及び第二固定手段80が配設される。
【0024】
そして座面部18の裏側において、取付凹部38及び開口28、29、30、31を除く部分は、台座12に向かって球面半径の凸曲面をなしている。
【0025】
取付凹部38の後側には、後述するバネ104を固定可能な後バネ受け部37が、二か所配設され(図6、7では省略している)、取付凹部38の前側には、後述するバネ166を受け止め可能な前バネ受け部36が配設されている。
台座12は、図1、2、3、5等に示すように、上下方向に2分割可能で、台座上部46と台座下部47とで構成されている。これらはそれぞれ合成樹脂により一体成形されている。図2、3でも示すように、シート本体14の底面側(座面部18の裏側)と対向する面には環状の支持面26が形成され、支持面26は、シート本体14の座面部18の裏側と当接し、シート本体14を支持している。この支持面26は凹曲面をなしており、その球面半径の値はシート本体14側の凸曲面と同じである。シート本体14は台座12に対して回転移動する際、またスライド移動する際、支持面26上を摺動する。
【0026】
支持面26の前後方向及び左右方向には、各90°間隔でシート本体14の回転方向の移動を防止するための被係合溝48が形成されている。これら被係合溝48の溝は、前後方向に配される溝が長く、左右方向に配される溝が短く形成されている。
【0027】
また、支持面26の内側には、上向きに円形の開口が形成され、その内部に回転部材44が回転可能に収容されている。
【0028】
回転部材44は、図2、3等に示すように全体が円板形状をなしている。50は、平面視円形で断面が円弧状の主面部である。主面部50の外周端部は、図5、12、13等に示すように、下向きに立ち下がっており一定の高さを有する周壁部52が形成されている。また、周壁部52の下端には、外向きに延びる鍔部54が一体に形成されている。
【0029】
主面部50の上面には、図2、3に示すように、前後方向に延びる4つの連結突部55、56、57、58が形成されている。これら連結突部は、外形が平面視長円形状をなしており、その短手幅方向の厚みが同一である。連結突部の厚みは、連結突部55、56、57、58がシート本体14の開口28、29、30、31に挿入可能となるよう開口の幅よりも僅かに小さく設定されている。
【0030】
図2、3中、左側の連結突部55、56は、同一の線上に配置され、また、図2、3中、右側の連結突部57、58も同一の線上に配置されている。連結突部55、56、57、58は、同一の線上に配置された2つが一組となって、図2で示すように、その上面に後述するガイドレール40が取り付けられる。
【0031】
連結突部55、56、57、58からは、上方に延びるように雄ねじ59がそれぞれ二本ずつ配設されている。
【0032】
また主面部50には、後述する第一固定手段140の係合爪158と係合可能な被係合溝60が、外周端部から中心部に向かって形成されている。
【0033】
回転部材44の中央付近には、後述する第二固定手段80の係止片96と係合可能な貫通孔62(特許請求の範囲の係止孔に相当する)が、それぞれ図中前後方向に沿って6個ずつ並設されている(図2、3参照)。尚、貫通孔62の数については必要に応じて適宜変更可能である。
【0034】
この回転部材44もまた合成樹脂にて一体に成形されている。
【0035】
ガイドレール40は、全体として断面略コ字形状をなしている。また、ガイドレール40は、長手方向において円弧状をなしている。ガイドレール40には、固定用の雄ねじ59を挿通させるための孔69が、雄ねじ59に対応するように八か所設けられている。
【0036】
次にシート本体14と回転部材44との連結構造について説明する。
【0037】
本実施形態では、図2、3に示すように、回転部材44に形成された連結突部55、56、57、58が、シート本体14に形成された前後方向に延びる長孔形状の開口28、29、30、31にそれぞれ挿入される。このためシート本体14に前後方向の力が作用した場合、シート本体14は、長孔形状の開口28、29、30、31と連結突部55、56、57、58との間に生じた前後方向の隙間に基づいて、前後方向にスライド移動することができる。
【0038】
ここで、球面をなすシート本体14の底面は、球面をなす台座12の支持面26で支持されており、シート本体14が支持面26で支持された状態でスライド移動するとシート本体14の傾倒角度が変化してリクライニング機能が発揮される。
【0039】
尚、本実施形態では連結突部55、56、57、58が長孔形状の開口28、29、30、31の開口端部に当接することでシート本体14の前後方向の移動端が規定される。
【0040】
シート本体14に回転方向の力が作用した場合、シート本体14に作用した力は開口28、29、30、31と連結突部55、56、57、58との係合作用により回転部材44に伝達され、台座12に対して回転自在に設けられた回転部材44と一体にシート本体14は回転する。これにより本実施形態ではシート本体14を中心軸周りに回転させることができる。
【0041】
また、本実施形態では、連結突部55、56、57、58を開口28、29、30、31にそれぞれ挿入させ、かつ、雄ねじ59を孔69に挿入させた状態で、同一の線上に位置する2つの連結突部55、56とその両側に位置し線状に延びる突条部32、33とを上から覆うように1つのガイドレール40を配置し、ねじ部材にてこのガイドレール40を連結突部55、56の上面に取り付けている。
【0042】
以上は、連結突部55、56にガイドレール40を取り付けた例について述べたが、連結突部57、58に対しても同様にガイドレール40が取り付けられる。
【0043】
図4、6、7は、シート本体14の座面部18の底面側を示した図である。
【0044】
座面部18の底面に形成された取付凹部38の左右方向の両側壁面70、71の対称位置には、軸孔72、72が形成され、シート本体14のスライド方向の位置を固定するための第一スライド操作部材90が、軸孔72、72に揺動可能に取り付けられている。
【0045】
また、取付凹部38の左右方向の両側壁面70、71の軸孔72よりも背面側の位置には、軸孔74、74が形成され、シート本体14のスライド方向の位置を固定するための第二スライド操作部材120が、軸孔74、74に揺動可能に取り付けられている。
【0046】
取付凹部38には、図4に示すように、台座12に対するシート本体14の回転方向の位置を固定する第一固定手段140と、台座12に対するシート本体14のスライド方向の位置を固定する第二固定手段80と、が配設されている。
【0047】
第二固定手段80は、図8、9に示すように、第一スライド操作部材90と、第二スライド操作部材120と、を備えている。
【0048】
第一スライド操作部材90は、一対のサイドバー92、92と、一端側で一対のサイドバー92、92どうしを連結する連結柱94と、を有して略コの字状に形成されている。
【0049】
第一スライド操作部材90の後端側(一端側)には、貫通孔62と係止可能な係止片96が二つ配設されている。
【0050】
サイドバー92の前後方向の略中間部には、外側に突出する円柱状の係止ピン98が形成されており、この係止ピン98がシート本体14側の軸孔74に挿入され、第一スライド操作部材90は係止ピン98周りに揺動可能に保持される。
【0051】
サイドバー92の係止ピン98とは反対側の面には、内側に突出する円柱状の軸ピン100が形成されており、軸ピン100の外側に後述する回転操作部材150の軸受部154が嵌められ、回転操作部材150は軸ピン100周りに揺動可能に保持される。
【0052】
連結柱94にはバネ受け部102が形成されており、組み付け状態において、図9に示すように、第一スライド操作部材90に付勢力を付与するバネ104の一端がこのバネ受け部102にて保持される。
【0053】
第一スライド操作部材90の他端側には、第二スライド操作部材120と係合可能な係合部106が配設されている。
【0054】
係合部106は、矩形平板状で、上側及び外側に突出する平板部108と、サイドバー92の先端部の、上側の端面及び左右の端面と、を含んで構成される。
【0055】
第二スライド操作部材120は、一対のサイドバー122と、他端側で一対のサイドバー122どうしを連結する連結柱124と、を有して略コの字状に形成されている。
【0056】
サイドバー122の前後方向の略中間部には、外側に突出する円柱状の係止ピン126が形成されており、この係止ピン126がシート本体14側の軸孔72に挿入され、第二スライド操作部材120は係止ピン126周りに揺動可能に保持される。
【0057】
第二スライド操作部材120の後端側(一端側)には係合部106と係合可能な被係合部127が配設され、前端側(他端側)には操作面130が配設されている。
【0058】
被係合部127は、矩形平板状で、サイドバー122の内側に延びた後さらに下側に延びるL字部128と、サイドバー122の先端部の、上面側の端面及び左右の端面と、を含んで構成される。
【0059】
サイドバー122のL字部128と、サイドバー122の間にサイドバー92の先端(前端)を進入させ、サイドバー92の外側かつサイドバー92の平板部108の下側にサイドバー122の先端部分(後端部分)を配することで、係合部106と被係合部127とが係合される。
【0060】
係止片96と、貫通孔62とが係合して第二固定手段80が、シート本体14を固定している状態では、係合部106と被係合部127とが咬み合うように当接して、それぞれシート本体14に向かう動きが規制され、シート本体14から離れる側のみに移動を許容される構成とされている。
【0061】
本実施形態ではこの第一スライド操作部材90と、第二スライド操作部材120と、バネ104と、回転部材44に設けられた貫通孔62と、で第二固定手段80が構成されている。
【0062】
第一固定手段140は、回転操作部材150を備えている。
【0063】
回転操作部材150は、図10、11に示すように、全体がY字形状とされ、二又に分岐した各分岐アーム152の先端側(後端側)には、第一スライド操作部材90の軸ピン100の外側に、回転可能に外側から嵌められる断面C字状の軸受部154が形成されている。
【0064】
回転操作部材150の下面からは、厚みが一定で平板状の係合爪158が下向きに突出している。係合爪158は、Y字状の回転操作部材150の後述する操作面162側の端部から、Y字の基部に相当する部分に沿って直線状に延びており、その先端は円弧形状をなしている。
【0065】
回転操作部材150の軸受部154とは反対側の端部(前端部)には、操作面162が一体に設けられている。
【0066】
回転操作部材150の操作面162と反対側の面には、バネ受け部164が形成されている。バネ166の一端が、このバネ受け部164にて保持される。
【0067】
本実施形態ではこの回転操作部材150と、バネ166と、台座12に設けられた被係合溝48と、回転部材44に設けられた被係合溝60と、で第一固定手段140が構成されることになる。さらに、回転操作部材150は、一端側で第一スライド操作部材90に対して回転可能に軸支され、他端側に操作面162が配設され、回転軸が第一スライド操作部材90の回転軸と同軸線とされていることになる。
【0068】
図5は、第一固定手段140及び第二固定手段80によりシート本体14が台座12に位置固定された状態の断面図である。
【0069】
第二固定手段80の第一スライド操作部材90は、軸孔74(図4)の位置において係止ピン98周りに揺動可能に支持されている。第二固定手段80の第二スライド操作部材120は、軸孔72(図4)の位置において係止ピン126周りに揺動可能に支持されている。
【0070】
第一固定手段140の回転操作部材150は、軸受部154(図4)の位置において軸ピン100周りに揺動可能に支持されている。回転操作部材150により、第一スライド操作部材90の強度が確保される。
【0071】
図5等に示すように、第一スライド操作部材90と、取付凹部38との間には、バネ104が設けられている。詳しくは、第一スライド操作部材90のバネ受け部102と、取付凹部38の後バネ受け部37との間にバネ104が介装されている。
【0072】
図5等に示すように、回転操作部材150と、取付凹部38との間には、バネ166が設けられている。詳しくは、回転操作部材150のバネ受け部164と、取付凹部38の前バネ受け部36との間に、バネ166が介装されている。
【0073】
このバネ166の下向きの付勢力により、回転操作部材150は、軸ピン100周りを図中反時計方向に揺動し、係合爪158は回転部材44側に突出する。
【0074】
一方、第一スライド操作部材90は、バネ104の下向きの付勢力により係止ピン98周りを図中時計方向に揺動し、係止片96は台座12側に突出する。
【0075】
尚、第二スライド操作部材120の操作面130は、下方から上向きに押し上げ操作可能とされている。また、回転操作部材150の操作面162は、操作面130と略面一とされ、下方から上向きに押し上げ操作が可能とされている。
【0076】
本実施形態では、回転操作部材150の操作面162の操作により、シート本体14の回転方向の位置の固定を解除可能とされている。
【0077】
また、第二スライド操作部材120の操作面130の操作により、回転操作部材150と第二スライド操作部材120が当接して、シート本体14の回転方向の位置の固定を解除可能及びシート本体14のスライド方向の位置の固定を解除可能とされている。
【0078】
第一固定手段140では、図5で示すように、バネ166の付勢力により台座12側に突出した係合爪158が、台座12の被係合溝48と回転部材44の被係合溝60とに跨って係合することで、シート本体14は回転方向に位置固定される。
【0079】
ここで、図12で示すように、バネ166の付勢力に抗して操作面162を上向きに押し上げると、回転操作部材150は時計方向に揺動して係合爪158は被係合溝48、被係合溝60から離間して係合状態が解除され、シート本体14は中心軸周りに回転移動が可能となる。
【0080】
一方、第二固定手段80では、バネ104の付勢力により回転部材44側に突出した係止片96が、回転部材44に設けられた貫通孔62に係合することで、シート本体14がスライド方向(シート本体14の前後方向)に位置固定されている。
【0081】
ここで、図13で示すように、バネ104の付勢力に抗して操作面130を上向きに押し挙げると、第一スライド操作部材90は反時計方向に、第二スライド操作部材120は時計周りに揺動して、係止片96が貫通孔62から離間するとともに、回転操作部材150と第二スライド操作部材120が当接して、係合爪158は、被係合溝48、被係合溝60から離間して係合状態が解除される。これによりシート本体14は、支持面26上を前後方向にスライド移動、中心軸周りに回転移動が可能となる。
【0082】
上記構成のチャイルドシート10では、車両用のシートに取り付けられる台座12と、台座12に対して回転可能且つリクライニング可能なシート本体14と、台座12に対して回転可能な回転部材44と、を備え、シート本体14が回転部材44に対してスライド移動可能に係合連結されたチャイルドシートであって、
シート本体14の下面側には、下面から上面に向かう有底孔として形成された取付凹部38が配設され、
回転部材44には、係止孔としての貫通孔62が配設され、
台座12に対するシート本体14の回転方向の位置を固定する第一固定手段140と、台座12に対するシート本体14のスライド方向の位置を固定する第二固定手段80と、を有し、
第一固定手段140は、回転操作部材150を備え、
第二固定手段80は、第一スライド操作部材90と、第二スライド操作部材120と、を備え、
第一スライド操作部材90は、一対のサイドバー92、92と、一端側で一対のサイドバー92、92どうしを連結する連結柱94と、を有してコの字状に形成され、一端側には係止孔としての貫通孔62と係止可能な係止片96が配設され、他端側には、第二スライド操作部材120と係合可能な係合部106が配設され、
第二スライド操作部材120は、一対のサイドバー122、122と、他端側で一対のサイドバー122、122どうしを連結する連結柱124と、を有してコの字状に形成され、一端側には係合部106と係合可能な被係合部127が配設され、他端側には操作面130が配設され、
第一スライド操作部材90と、第二スライド操作部材120は、回転軸が平行となるように取付凹部38において軸支され、
係合部106と被係合部127とが係合するとともに、第二固定手段80がシート本体14を固定している状態では、係合部106及び被係合部127が、シート本体14から離れる側のみに移動を許容されるように構成され、
回転操作部材150は、一端側で第一スライド操作部材90に対して回転可能に軸支され、他端側に操作面162が配設され、回転軸が第一スライド操作部材90の回転軸と同軸線とされ、回転部材44及び台座12に配設される被係合溝48、被係合溝60と係合可能な係合爪158を有し、
回転操作部材150の他端側のシート本体14とは反対側の面が、第二スライド操作部材120の他端側のシート本体14側の面と当接可能とされ、回転操作部材150及び第二スライド操作部材120のそれぞれの操作面162、操作面130が、シート本体14から離れる側から押圧操作される。
【0083】
これによれば、回転操作部材150、第二スライド操作部材120の、操作面162、操作面130を操作するときに、シート本体14から離れる側から押圧操作することになるので、換言すれば、それぞれ同じ方向から操作できるため、操作性を向上させることができる。さらに、第二固定手段80を第一スライド操作部材90と、第二スライド操作部材120と、に分割して構成することで、各部材の動作領域が小さくなるので、構造をコンパクトにすることができる。
【0084】
また、回転操作部材150が一端側において、第一スライド操作部材90のサイドバー92間に架け渡されるように配設されている。
【0085】
これによれば、回転操作部材150により、第一スライド操作部材90の強度を確保することができる。
【0086】
また、回転操作部材150の操作面162の操作により、シート本体14の回転方向の位置の固定を解除可能とされ、
第二スライド操作部材120の操作面130の操作により、回転操作部材150と第二スライド操作部材120とが当接して、シート本体14の回転方向の位置の固定を解除可能及びシート本体14のスライド方向の位置の固定を解除可能とされている。
【0087】
これによれば、シート本体14の回転方向位置の固定の解除のみを行う、シート本体14の回転方向及びシート本体14のスライド方向の位置の固定の解除を行うという、二つのモードを選択して操作することが可能となる。
【0088】
本発明のチャイルドシートは上記構成に限定されるものではない。即ち、本発明の要旨を逸脱しない限り各種の設計変更等が可能である。
【0089】
例えば、上記実施形態では回転部材44に連結突部を、シート本体14に開口を設けたが、場合によっては回転部材44に長孔形状の開口を、シート本体14に連結突部を設けることも可能である等、その趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた態様で実施可能である。
【0090】
また、ガイドレール40による突条部の支持構造は、本出願人が先にした、特願2015-198925号(特許6093420号公報)のに記載されたものを用いることができる(特許6093420号公報、図11等参照)。
【符号の説明】
【0091】
10 チャイルドシート
12 台座
14 シート本体
38 取付凹部
44 回転部材
62 貫通孔
80 第二固定手段
90 第一スライド操作部材
92 サイドバー
94 連結柱
96 係止片
106 係合部
120 第二スライド操作部材
122 サイドバー
124 連結柱
127 被係合部
130 操作面
140 第一固定手段
150 回転操作部材
162 操作面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
図13