IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京プロセスサービス株式会社の特許一覧

特開2024-32174スクリーンマスクの製造方法およびスクリーンマスク
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032174
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】スクリーンマスクの製造方法およびスクリーンマスク
(51)【国際特許分類】
   B41C 1/14 20060101AFI20240305BHJP
   B41N 1/24 20060101ALI20240305BHJP
   G03F 7/12 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
B41C1/14 101
B41N1/24
G03F7/12
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135683
(22)【出願日】2022-08-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000220170
【氏名又は名称】竹田東京プロセスサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】木村 幹
(72)【発明者】
【氏名】大田 裕子
【テーマコード(参考)】
2H084
2H114
2H196
【Fターム(参考)】
2H084AA30
2H084AA32
2H084BB02
2H084BB04
2H084CC10
2H114AA23
2H114AB04
2H114AB08
2H114DA04
2H114GA11
2H196AA19
2H196BA01
(57)【要約】
【課題】陰像形成材料の表面側の平滑性を向上させ、厚さ方向の高さを一定に近づけることが可能となるスクリーンマスクの製造方法およびスクリーンマスクを提供する。
【解決手段】陽像形成工程は、第1面になる側のパターン開口形成陽像以外の位置および第2面になる側のパターン開口形成陽像以外の位置の少なくともいずれか一方に凹部形成陽像を形成し、陰像形成工程は、パターン開口形成陽像71a以外の部分であって凹部形成陽像42,62a以外の部分に陰像85を形成し、陽像除去工程は、パターン開口形成陽像71aを除去すると共に凹部形成陽像42,62aを除去することによって、陰像85により、第1面91と第2面92とパターン開口とに加えて、第1面91から第2面92の手前まで凹む第1面側凹部および第2面92から第1面91の手前まで凹む第2面側凹部の少なくともいずれか一方を形成する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン開口形成陽像を形成する陽像形成工程と、
前記パターン開口形成陽像以外の部分に陰像を形成する陰像形成工程と、
前記パターン開口形成陽像を除去して前記陰像により第1面と第2面と前記第1面及び前記第2面を連通させるパターン開口とを形成する陽像除去工程と、
を含むスクリーンマスクの製造方法であって、
前記陽像形成工程は、
前記パターン開口形成陽像に加えて、前記第1面になる側の前記パターン開口形成陽像以外の位置および前記第2面になる側の前記パターン開口形成陽像以外の位置の少なくともいずれか一方に凹部形成陽像を形成し、
前記陰像形成工程は、
前記パターン開口形成陽像以外の部分であって前記凹部形成陽像以外の部分に陰像を形成し、
前記陽像除去工程は、
前記パターン開口形成陽像を除去すると共に前記凹部形成陽像を除去することによって、前記陰像により、前記第1面と前記第2面と前記パターン開口とに加えて、前記第1面から前記第2面の手前まで凹む第1面側凹部および前記第2面から前記第1面の手前まで凹む第2面側凹部の少なくともいずれか一方を形成することを特徴とするスクリーンマスクの製造方法。
【請求項2】
前記陽像形成工程は、
前記パターン開口形成陽像に加えて、前記第1面になる側の前記パターン開口形成陽像以外の位置と前記第2面になる側の前記パターン開口形成陽像以外の位置とに前記凹部形成陽像を形成し、
前記陽像除去工程は、
前記パターン開口形成陽像を除去すると共に前記凹部形成陽像を除去することによって、前記陰像により、前記第1面と前記第2面と前記パターン開口とに加えて、前記第1面から前記第2面の手前まで凹む第1面側凹部と前記第2面から前記第1面の手前まで凹む第2面側凹部とを形成することを特徴とする請求項1記載のスクリーンマスクの製造方法。
【請求項3】
前記陽像形成工程は、
前記パターン開口形成陽像に加えて、前記第1面になる側の前記パターン開口形成陽像以外の位置と前記第2面になる側の前記パターン開口形成陽像以外の位置とに、前記第1面および前記第2面の広がる方向の位置をずらして前記凹部形成陽像を形成することを特徴とする請求項2記載のスクリーンマスクの製造方法。
【請求項4】
前記第1面になる側の前記凹部形成陽像と前記第2面になる側の前記凹部形成陽像とは、スクリーンメッシュまで硬化している請求項3記載のスクリーンマスクの製造方法。
【請求項5】
前記陽像形成工程は、
前記第1面になる側と前記第2面になる側との両側から露光を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載のスクリーンマスクの製造方法。
【請求項6】
前記凹部形成陽像は、ドット状、ライン状および格子状のいずれか一つである請求項1乃至4のいずれか一項記載のスクリーンマスクの製造方法。
【請求項7】
第1面と第2面とを連通させるパターン開口が形成されたスクリーンマスクであって、
前記第1面の前記パターン開口とは異なる位置に、前記第1面から前記第2面の手前まで凹む第1面側凹部が設けられ、
前記第2面の前記パターン開口とは異なる位置に、前記第2面から前記第1面の手前まで凹む第2面側凹部が設けられていることを特徴とするスクリーンマスク。
【請求項8】
前記第1面側凹部と前記第2面側凹部とは、前記第1面および前記第2面の広がる方向の位置をずらしていることを特徴とする請求項7記載のスクリーンマスク。
【請求項9】
前記第1面側凹部と前記第2面側凹部とは、スクリーンメッシュまで延びていることを特徴とする請求項7または8記載のスクリーンマスク。
【請求項10】
前記第1面側凹部および前記第2面側凹部は、ドット状、ライン状および格子状のいずれか一つである請求項7または8記載のスクリーンマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーンマスクの製造方法およびスクリーンマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
陽像を形成し、陽像以外の部分に陰像を形成した後、陽像を除去することで、陰像によってパターン開口を形成するスクリーン印刷版の製造方法およびスクリーン印刷版がある(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭64-26446号公報
【特許文献2】特開平10-326019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなスクリーンマスクの製造時において、陰像を形成する際に、印刷解像性向上、印刷厚さの安定性確保の観点から、陰像形成材料の表面側を平面状に近づけたい、すなわち平滑性を向上させ、厚さ方向の高さを一定に近づけたいという要望がある。
【0005】
したがって、本発明は、陰像形成材料の表面側の平滑性を向上させ、厚さ方向の高さを一定に近づけることが可能となるスクリーンマスクの製造方法およびスクリーンマスクの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るスクリーンマスクの製造方法の一態様は、パターン開口形成陽像を形成する陽像形成工程と、前記パターン開口形成陽像以外の部分に陰像を形成する陰像形成工程と、前記パターン開口形成陽像を除去して前記陰像により第1面と第2面と前記第1面及び前記第2面を連通させるパターン開口とを形成する陽像除去工程と、を含むスクリーンマスクの製造方法であって、前記陽像形成工程は、前記パターン開口形成陽像に加えて、前記第1面になる側の前記パターン開口形成陽像以外の位置および前記第2面になる側の前記パターン開口形成陽像以外の位置の少なくともいずれか一方に凹部形成陽像を形成し、前記陰像形成工程は、前記パターン開口形成陽像以外の部分であって前記凹部形成陽像以外の部分に陰像を形成し、前記陽像除去工程は、前記パターン開口形成陽像を除去すると共に前記凹部形成陽像を除去することによって、前記陰像により、前記第1面と前記第2面と前記パターン開口とに加えて、前記第1面から前記第2面の手前まで凹む第1面側凹部および前記第2面から前記第1面の手前まで凹む第2面側凹部の少なくともいずれか一方を形成することを特徴とする。
【0007】
これにより、陽像形成工程において、パターン開口形成陽像に加えて、第1面になる側のパターン開口形成陽像以外の位置および第2面になる側のパターン開口形成陽像以外の位置の少なくともいずれか一方に凹部形成陽像を形成しておく。その結果、陰像形成工程において、パターン開口形成陽像以外の部分であって凹部形成陽像以外の部分に陰像形成材料を充填すると、陰像形成材料が、パターン開口形成陽像に加えて凹部形成陽像にも支持される。よって、陰像形成材料の凹部形成陽像側の表面の平滑性を向上させ、厚さ方向の高さを一定に近づけることが可能となる。
【0008】
本発明に係るスクリーンマスクの一態様は、第1面と第2面とを連通するパターン開口が形成されたスクリーンマスクであって、前記第1面の前記パターン開口とは異なる位置に、前記第1面から前記第2面の手前まで凹む第1面側凹部が設けられ、前記第2面の前記パターン開口とは異なる位置に、前記第2面から前記第1面の手前まで凹む第2面側凹部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
これにより、陽像形成工程において、パターン開口形成陽像に加えて、第1面になる側のパターン開口形成陽像以外の位置および第2面になる側のパターン開口形成陽像以外の位置の両方に凹部形成陽像を形成しておくことになる。その結果、陰像形成工程において、パターン開口形成陽像以外の部分であって凹部形成陽像以外の部分に陰像形成材料を充填すると、陰像形成材料が、パターン開口形成陽像に加えて凹部形成陽像にも支持される。よって、陰像形成材料の第1面になる側の表面および第2面になる側の表面の平滑性を向上させ、第1面、第2面の厚さ方向の高さを一定に近づけることが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、陰像形成材料の表面側の平滑性を向上させ、厚さ方向の高さを一定に近づけることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る第1実施形態のスクリーンマスクの製造方法の陽像形成工程における第2面着色工程後の状態を概略的に示す断面図である。
図2】本発明に係る第1実施形態のスクリーンマスクの製造方法の陽像形成工程における第1露光工程を概略的に示す断面図である。
図3】本発明に係る第1実施形態のスクリーンマスクの製造方法の陽像形成工程における第2露光工程を概略的に示す断面図である。
図4】本発明に係る第1実施形態のスクリーンマスクの製造方法の陽像形成工程における現像工程後の状態を概略的に示す断面図である。
図5】本発明に係る第1実施形態のスクリーンマスクの製造方法のパターン開口形成陽像、第1面側凹部形成陽像および第2面側凹部形成陽像のそれぞれの形状および配置の一例を示す平面図である。
図6】本発明に係る第1実施形態のスクリーンマスクの製造方法のパターン開口形成陽像、第1面側凹部形成陽像および第2面側凹部形成陽像のそれぞれの形状および配置の別の例を示す平面図である。
図7】本発明に係る第1実施形態のスクリーンマスクの製造方法のパターン開口形成陽像、第1面側凹部形成陽像および第2面側凹部形成陽像のそれぞれの形状および配置のさらに別の例を示す平面図である。
図8】本発明に係る第1実施形態のスクリーンマスクの製造方法の陰像形成工程における閉塞工程および陰像形成材料充填硬化工程後の状態を概略的に示す断面図である。
図9】本発明に係る第1実施形態のスクリーンマスクの製造方法の陰像形成工程における第2面研磨工程後の状態を概略的に示す断面図である。
図10】本発明に係る第1実施形態のスクリーンマスクの製造方法の陽像除去工程後のスクリーンマスクを概略的に示す断面図である。
図11】本発明に係る第2実施形態のスクリーンマスクの製造方法の陽像形成工程における第2面着色工程後の状態を概略的に示す断面図である。
図12】本発明に係る第2実施形態のスクリーンマスクの製造方法の陽像形成工程における第1露光工程を概略的に示す断面図である。
図13】本発明に係る第2実施形態のスクリーンマスクの製造方法の陽像形成工程における第2露光工程を概略的に示す断面図である。
図14】本発明に係る第2実施形態のスクリーンマスクの製造方法の陽像形成工程における現像工程後の状態を概略的に示す断面図である。
図15】本発明に係る第2実施形態のスクリーンマスクの製造方法のパターン開口形成陽像および第1面側凹部形成陽像のそれぞれの形状および配置の一例を示す平面図である。
図16】本発明に係る第2実施形態のスクリーンマスクの製造方法のパターン開口形成陽像および第1面側凹部形成陽像のそれぞれの形状および配置の別の例を示す平面図である。
図17】本発明に係る第2実施形態のスクリーンマスクの製造方法のパターン開口形成陽像および第1面側凹部形成陽像のそれぞれの形状および配置のさらに別の例を示す平面図である。
図18】本発明に係る第2実施形態のスクリーンマスクの製造方法の陰像形成工程における閉塞工程および陰像形成材料充填硬化工程後の状態を概略的に示す断面図である。
図19】本発明に係る第2実施形態のスクリーンマスクの製造方法の陰像形成工程における第2面研磨工程後の状態を概略的に示す断面図である。
図20】本発明に係る第2実施形態のスクリーンマスクの製造方法の陽像除去工程後のスクリーンマスクを概略的に示す断面図である。
図21】本発明に係る第3実施形態のスクリーンマスクの製造方法の陽像形成工程における第2面着色工程後の状態を概略的に示す断面図である。
図22】本発明に係る第3実施形態のスクリーンマスクの製造方法の陽像形成工程における第1露光工程を概略的に示す断面図である。
図23】本発明に係る第3実施形態のスクリーンマスクの製造方法の陽像形成工程における第2露光工程を概略的に示す断面図である。
図24】本発明に係る第3実施形態のスクリーンマスクの製造方法の陽像形成工程における現像工程後の状態を概略的に示す断面図である。
図25】本発明に係る第3実施形態のスクリーンマスクの製造方法のパターン開口形成陽像および第2面側凹部形成陽像のそれぞれの形状および配置の一例を示す平面図である。
図26】本発明に係る第3実施形態のスクリーンマスクの製造方法のパターン開口形成陽像および第2面側凹部形成陽像のそれぞれの形状および配置の別の例を示す平面図である。
図27】本発明に係る第3実施形態のスクリーンマスクの製造方法のパターン開口形成陽像および第2面側凹部形成陽像のそれぞれの形状および配置のさらに別の例を示す平面図である。
図28】本発明に係る第3実施形態のスクリーンマスクの製造方法の陰像形成工程における閉塞工程および陰像形成材料充填硬化工程後の状態を概略的に示す断面図である。
図29】本発明に係る第3実施形態のスクリーンマスクの製造方法の陰像形成工程における第2面研磨工程後の状態を概略的に示す断面図である。
図30】本発明に係る第3実施形態のスクリーンマスクの製造方法の陽像除去工程後のスクリーンマスクを概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
本発明に係る第1実施形態のスクリーンマスクの製造方法およびこれを用いて製造されるスクリーンマスクについて、図1図10を参照しつつ説明する。以下の説明における厚さ方向は、図1図4図8図14図18図24図28図30における上下方向である。
【0013】
第1実施形態のスクリーンマスクの製造方法では、図1に示すように、マスクベース11を準備する。マスクベース11は、シート状であり、シート状のベース材12と、ベース材12内にベース材12と同様に広がるように埋設されたシート状のスクリーンメッシュ13とを有している。スクリーンメッシュ13は一定の張力で張られた状態で、図示略の枠に張り付けられている。ベース材12は、光硬化型であって硬化前の樹脂材料からなっている。スクリーンメッシュ13は、金属製または合成樹脂製の線状部材が網目状に織られて形成されている。あるいは、スクリーンメッシュ13は、電気メッキ工法で作製された多数の開口を持つシート状の金属板の場合もある。
【0014】
ベース材12は、その厚さ方向の一側に平面状の第1面21を有しており、その厚さ方向の他側に平面状の第2面22を有している。マスクベース11においても、第1面21が厚さ方向の一側に、第2面22が厚さ方向の他側にある。第1面21と第2面22とは互いに反対に向いて平行に広がっている。スクリーンメッシュ13は、ベース材12内で第1面21および第2面22と平行に広がっており、第1面21との間の距離が、第2面22との間の距離よりも大きくなっている。以下においては、マスクベース11の第1面21および第2面22を基準とした方向を用いて説明する。
【0015】
第1実施形態のスクリーンマスクの製造方法では、陽像形成工程を行う。陽像形成工程では、まず、準備されたマスクベース11の第2面22に、ベース材12とは異なる色の感光乳剤を平面状に塗布して着色層25を形成する第2面着色工程を行う。
【0016】
陽像形成工程では、次に、図2に示すように、適宜の位置にパターン開口形成用開口31および第1面側凹部形成用開口32が形成された第1面側露光用マスク33で第1面21を覆ってマスクベース11のベース材12にマスクベース11の厚さ方向に沿って第1面21側から露光を行う第1露光工程を行う。第1露光工程によって、第1面21の広がる方向の位置および形状をパターン開口形成用開口31と合わせた第1面側パターン開口形成陽像41と、第1面21の広がる方向の位置および形状を第1面側凹部形成用開口32と合わせた第1面側凹部形成陽像42(凹部形成陽像)とが、ベース材12が硬化することによって形成される。第1露光工程では、第1面側パターン開口形成陽像41および第1面側凹部形成陽像42が、いずれも、ベース材12の第1面21から、第2面22より手前であるスクリーンメッシュ13の位置まで硬化するように露光を調整する。第1露光工程では、第1面側露光用マスク33を用いずにレーザ等によって第1面側パターン開口形成陽像41および第1面側凹部形成陽像42を直接描画しても良い。
【0017】
陽像形成工程では、次に、図3に示すように、適宜の位置にパターン開口形成用開口51および第2面側凹部形成用開口52が形成された第2面側露光用マスク53で着色層25を覆って着色層25およびマスクベース11のベース材12にマスクベース11の厚さ方向に沿って着色層25側から露光を行う第2露光工程を行う。第2露光工程によって、第2面22の広がる方向の位置および形状をパターン開口形成用開口51と合わせた第2面側パターン開口形成陽像61と、第2面22の広がる方向の位置および形状を第2面側凹部形成用開口52と合わせた第2面側凹部形成陽像62とが、着色層25およびベース材12が硬化することによって形成される。第2露光工程では、第2面側パターン開口形成陽像61および第2面側凹部形成陽像62が、いずれも、着色層25から、ベース材12の第1面21より手前であるスクリーンメッシュ13の位置まで硬化するように露光を調整する。第2露光工程でも、第2面側露光用マスク53を用いずにレーザ等によって第2面側パターン開口形成陽像61および第2面側凹部形成陽像62を直接描画しても良い。
【0018】
ここで、第1面側露光用マスク33のパターン開口形成用開口31と、第2面側露光用マスク53のパターン開口形成用開口51とは、第1面21および第2面22の広がる方向における位置および形状が一致している。言い換えれば、第1面側露光用マスク33のパターン開口形成用開口31と、第2面側露光用マスク53のパターン開口形成用開口51とは、マスクベース11の厚さ方向に鏡面対称状に形成されている。このため、第1面側パターン開口形成陽像41に第2面側パターン開口形成陽像61が繋がって第1面21と第2面22とを結ぶパターン開口形成陽像71となる。
【0019】
これに対して、第1面側露光用マスク33の第1面側凹部形成用開口32と、第2面側露光用マスク53の第2面側凹部形成用開口52とは、第1面21および第2面22の広がる方向における位置が完全にずれている。言い換えれば、第1面側露光用マスク33の第1面側凹部形成用開口32は、マスクベース11の厚さ方向に鏡面対称状とした場合に、第2面側露光用マスク53の第2面側凹部形成用開口52とは重ならない位置に形成されている。このため、第1面側凹部形成陽像42と第2面側凹部形成陽像62とは一切繋がることがなく、互いに完全に分離した位置に形成される。
【0020】
また、第1面側露光用マスク33のパターン開口形成用開口31および第2面側露光用マスク53のパターン開口形成用開口51に対して、第1面側露光用マスク33の第1面側凹部形成用開口32と、第2面側露光用マスク53の第2面側凹部形成用開口52とは、第1面21および第2面22の広がる方向における位置が完全にずれている。このため、第1面側凹部形成陽像42と第2面側凹部形成陽像62とは、パターン開口形成陽像71とも完全に分離した位置に形成される。
【0021】
陽像形成工程では、次に、図4に示すように、着色層25の硬化していない部分およびベース材12の硬化していない部分を除去する現像工程を行う。現像工程は、着色層25およびベース材12の材質に応じて行うことになり、例えば、これらの硬化していない部分を水で洗い流す水現像を行う。これにより、パターン開口形成陽像71と、第1面側凹部形成陽像42と、第2面側凹部形成陽像62とが残る。残ったパターン開口形成陽像71、第1面側凹部形成陽像42および第2面側凹部形成陽像62は、いずれもスクリーンメッシュ13に支持された状態となる。
【0022】
以上により、陽像形成工程は、硬化した着色層25および硬化したベース材12からなるパターン開口形成陽像71を形成することになり、パターン開口形成陽像71に加えて、第1面21側のパターン開口形成陽像71以外の位置に、硬化したベース材12からなる第1面側凹部形成陽像42を形成すると共に、第2面22側のパターン開口形成陽像71以外の位置に、硬化した着色層25および硬化したベース材12からなる第2面側凹部形成陽像62を形成する。しかも、陽像形成工程は、パターン開口形成陽像71と第1面側凹部形成陽像42と第2面側凹部形成陽像62とを、第1面21および第2面22の広がる方向の位置をずらして形成する。第1面21側の第1面側凹部形成陽像42と第2面22側の第2面側凹部形成陽像62とは、スクリーンメッシュ13まで硬化している。陽像形成工程は、第1面21側と第2面22側との両側から露光を行う。
【0023】
ここで、パターン開口形成陽像71、第1面側凹部形成陽像42および第2面側凹部形成陽像62は、一例として、図5に示すようになっている。図5の例では、第2面22側から見た場合、パターン開口形成陽像71は、直線状であり、第1面側凹部形成陽像42および第2面側凹部形成陽像62は、いずれも円形のドット状である。すなわち、パターン開口形成陽像71は、スクリーンメッシュ13の厚さ方向に広がる平板状であり、第1面側凹部形成陽像42および第2面側凹部形成陽像62は、いずれも、スクリーンメッシュ13の厚さ方向に延びる円柱状である。第1面側凹部形成陽像42および第2面側凹部形成陽像62は、第2面22の広がる方向において、パターン開口形成陽像71に平行な縦方向およびパターン開口形成陽像71に垂直な横方向共に等間隔に広がる格子の交点位置に、均等の密度となるように配置されている。第1面側凹部形成陽像42および第2面側凹部形成陽像62は、格子の縦方向に等間隔で交互に配置されており、格子の横方向にも等間隔で交互に配置されている。なお、第1面側凹部形成陽像42および第2面側凹部形成陽像62の形状は、円柱状以外に、四角柱状、三角柱状、楕円柱状等の種々の形状を採用することが可能である。また、第1面側凹部形成陽像42および第2面側凹部形成陽像62の大きさ、並べ方も種々のパターンを採用することが可能である。
【0024】
パターン開口形成陽像71、第1面側凹部形成陽像42および第2面側凹部形成陽像62は、別の例として、図6に示すようにすることも可能である。図6の例では、第2面22側から見た場合、パターン開口形成陽像71、第1面側凹部形成陽像42および第2面側凹部形成陽像62は、互いに平行な直線状である。すなわち、パターン開口形成陽像71、第1面側凹部形成陽像42および第2面側凹部形成陽像62は、いずれもスクリーンメッシュ13の厚さ方向に広がる平板状であり、互いに平行な平板状である。第1面側凹部形成陽像42および第2面側凹部形成陽像62は、スクリーンメッシュ13の広がる方向において等間隔で交互に配置されている。
【0025】
パターン開口形成陽像71、第1面側凹部形成陽像42および第2面側凹部形成陽像62は、さらに別の例として、図7に示すようにすることも可能である。図7の例では、第2面22側から見た場合、パターン開口形成陽像71は直線状であり、第1面側凹部形成陽像42は、パターン開口形成陽像71に平行な直線状の部分とパターン開口形成陽像71に垂直な直線状の部分とからなる格子状であり、第2面側凹部形成陽像62はドット状である。第2面側凹部形成陽像62は、格子状の第1面側凹部形成陽像42の各直線間の中央位置に配置されている。なお、第1面側凹部形成陽像42をドット状とし、第2面側凹部形成陽像62を格子状としても良い。
【0026】
よって、第1面側凹部形成陽像42および第2面側凹部形成陽像62は、それぞれが、ドット状、ライン状および格子状のいずれか一つである。第1面側凹部形成陽像42と第2面側凹部形成陽像62との組み合わせを、ドット状とライン状との組み合わせとしたり、ライン状と格子状との組み合わせとしたりすることも可能である。
【0027】
陽像形成工程の次に、図8に示すように陰像形成工程を行う。陰像形成工程では、まず、現像工程で残った、パターン開口形成陽像71の第1面21からなる端面と第1面側凹部形成陽像42の第1面21からなる端面とに閉塞シート80を平面状に広げて貼付して第1面21側を閉塞させる閉塞工程を行う。ここで、閉塞シート80は、例えば一面に粘着層が形成された粘着シートであり、この粘着シートの粘着層を、全てのパターン開口形成陽像71の第1面21からなる端面と、全ての第1面側凹部形成陽像42の第1面21からなる端面とに貼り付ける。
【0028】
陰像形成工程では、次に、着色層25側すなわち第2面22側から、閉塞シート80までの範囲の、パターン開口形成陽像71と第1面側凹部形成陽像42と第2面側凹部形成陽像62とスクリーンメッシュ13との隙間に、これらの第2面22側を全て覆うまで陰像形成材料81を充填し硬化させる陰像形成材料充填硬化工程を行う。これにより、陰像形成材料81内に、パターン開口形成陽像71と第1面側凹部形成陽像42と第2面側凹部形成陽像62とスクリーンメッシュ13とが埋設された状態になる。ここで、出来上がったスクリーンマスクが印刷用として使用される場合には、陰像形成材料81としてインクの種類に応じた材料が選択される。例えば、水性インクの印刷用マスクとして使用される場合には、水に強いシリコーンゴムが用いられ、有機溶剤インクの印刷用マスクとして使用される場合には、エポキシ樹脂が用いられる。そして、陰像形成材料81を、材料に合わせた、加熱、光の照射等の適した硬化方法で硬化させる。陰像形成材料81は、硬化する樹脂であれば種々の材料を使用することができる。
【0029】
陰像形成工程では、次に、パターン開口形成陽像71と第2面側凹部形成陽像62と硬化した陰像形成材料81とを、閉塞シート80とは反対側から、平面研磨を行って、閉塞シート80とは反対側の面82を平面状に近づける第2面研磨工程を行って陰像85を形成する。第2面研磨工程では、パターン開口形成陽像71と第2面側凹部形成陽像62とに形成された着色層25の硬化部分がなくなるまで平面研磨を行うことによって、面82が所定の平面状となる。勿論、第2面研磨工程においては、スクリーンメッシュ13および第1面側凹部形成陽像42が露出する位置まで平面研磨を行うことはない。第2面研磨工程によって、パターン開口形成陽像71が削られてパターン開口形成陽像71aとなり、第2面側凹部形成陽像62が削れられて第2面側凹部形成陽像62a(凹部形成陽像)となる。
【0030】
以上により、陰像形成工程は、パターン開口形成陽像71a以外の部分であって第1面側凹部形成陽像42以外の部分であり、さらに第2面側凹部形成陽像62a以外の部分に陰像85を形成する。
【0031】
次に、図10に示すように、陽像除去工程を行う。陽像除去工程では、まず、閉塞シート80を剥がして除去し、その後、溶剤を用いて、パターン開口形成陽像71aと、第1面側凹部形成陽像42と、第2面側凹部形成陽像62aとを除去する。これにより、陰像85によって、第1面21側に第1面91が形成され、第2面22側に面82の一部からなる第2面92が形成され、第1面91と第2面92とを連通させるパターン開口95が形成されたスクリーンマスク100が形成される。スクリーンマスク100には、これら第1面91、第2面92およびパターン開口95に加えて、第1面91から第2面92の手前にあるスクリーンメッシュ13の位置まで凹む第1面側凹部101と第2面92から第1面91の手前にあるスクリーンメッシュ13の位置まで凹む第2面側凹部102とが形成される。
【0032】
以上により、陽像除去工程は、パターン開口形成陽像71aを除去して陰像85により、第1面91と、第2面92と、第1面91及び第2面92を連通させるパターン開口95と、を形成する。また、陽像除去工程は、パターン開口形成陽像71aに加えて、第1面側凹部形成陽像42と、第2面側凹部形成陽像62aとを除去することによって、陰像85により、第1面91と第2面92とパターン開口95とに加えて、第1面91から第2面92の手前にあるスクリーンメッシュ13の位置まで凹む第1面側凹部101と、第2面92から第1面91の手前にあるスクリーンメッシュ13の位置まで凹む第2面側凹部102とを形成する。
【0033】
ここで、第1面91は、剥がされた閉塞シート80の形状に倣った形状となる。閉塞シート80は、パターン開口形成陽像71に加えて第1面側凹部形成陽像42にも貼り付けられるため、パターン開口形成陽像71だけに貼り付けられる場合と比べて平面状に近づいて平滑性が向上し、厚さ方向の高さが一定に近づく。これにより、閉塞シート80に倣って形成される第1面91は、閉塞シート80がパターン開口形成陽像71だけに貼り付けられる場合と比べて、平面状に近づいて平滑性が向上し、厚さ方向の高さが一定に近づく。すなわち、陰像85を形成する際に、陰像形成材料81の第1面21側の表面の平滑性を向上させ、厚さ方向の高さも一定に近づけることが可能となる。
【0034】
第2面92は、上記したように平面研磨で形成される。パターン開口形成陽像71に加えて第2面側凹部形成陽像62が形成されていることから、陰像形成材料81が、平面研磨前の充填時にパターン開口形成陽像71と第2面側凹部形成陽像62との両方に支持される状態となって、パターン開口形成陽像71だけに支持される場合と比べて第2面22側の表面が平面状に近づいて平滑性が向上し、厚さ方向の高さが一定に近づく。すなわち、陰像85を形成する際に、平面研磨前の陰像形成材料81の第2面22側の表面の平滑性を向上させ、厚さ方向の高さを一定に近づけることが可能となる。これにより、平面研磨により第2面22側の表面を研磨して第2面92を形成する際に必要な取り代が少なくて済む。
【0035】
以上の製造方法で製造されたスクリーンマスク100は、第1面91と第2面92とを連通させるパターン開口95が形成されている。スクリーンマスク100は、第1面91のパターン開口95とは異なる位置に、第1面91から第2面92の手前まで凹む第1面側凹部101が設けられ、第2面92のパターン開口95とは異なる位置に、第2面92から第1面91の手前まで凹む第2面側凹部102が設けられている。スクリーンマスク100は、第1面側凹部101と第2面側凹部102とが、第1面91および第2面92の広がる方向の位置をずらしている。スクリーンマスク100は、第1面側凹部101と第2面側凹部102とが、スクリーンメッシュ13まで延びている。スクリーンマスク100は、印刷用とされる場合、第1面91が被印刷物側に、第2面92がインクを刷り込むスキージ側に、それぞれ配置される。
【0036】
以上のように、スクリーンマスク100には、第1面21側に第1面91が形成されることになり、第2面22側に第2面92が形成されることになる。言い換えれば、スクリーンマスク100において、第1面91になる側が第1面21側であり、第2面92になる側が第2面22側である。第1面21および第2面22の広がる方向が、第1面91および第2面92の広がる方向となる。
【0037】
ここで、パターン開口形成陽像71、第1面側凹部形成陽像42および第2面側凹部形成陽像62が図5に示す形状である場合、スクリーンマスク100を第2面92側から見たり透過したりすれば、パターン開口95は、直線状となり、第1面側凹部101および第2面側凹部102は、いずれもドット状となる。第1面側凹部101および第2面側凹部102は、第2面92の広がる方向において、パターン開口95に平行な縦方向およびパターン開口95に垂直な横方向共に等間隔に広がる格子の交点位置に、均等の密度となるように配置される。第1面側凹部101および第2面側凹部102は、格子の縦方向に等間隔で交互に配置され、格子の横方向にも等間隔で交互に配置される。
【0038】
パターン開口形成陽像71、第1面側凹部形成陽像42および第2面側凹部形成陽像62が図6に示す形状である場合、スクリーンマスク100を第2面92側から見たり透過したりすれば、パターン開口95、第1面側凹部101および第2面側凹部102は、互いに平行な直線状となる。第1面側凹部101および第2面側凹部102は、第2面92の広がる方向において等間隔で交互に配置される。
【0039】
パターン開口形成陽像71、第1面側凹部形成陽像42および第2面側凹部形成陽像62が図7に示す形状である場合、スクリーンマスク100を第2面92側から見たり透過したりすれば、パターン開口95は直線状となり、第1面側凹部101は、パターン開口95に平行な直線状の部分とパターン開口95に垂直な直線状の部分とからなる格子状となり、第2面側凹部102はドット状となる。第2面側凹部102は、格子状の第1面側凹部101の各直線間の中央位置に配置される。なお、第1面側凹部101をドット状とし、第2面側凹部102を格子状としても良い。
【0040】
よって、スクリーンマスク100において、第1面側凹部101および第2面側凹部102は、それぞれが、ドット状、ライン状および格子状のいずれか一つである。第1面側凹部101と第2面側凹部102との組み合わせを、ドット状とライン状との組み合わせとしたり、格子状とライン状との組み合わせとしたりすることも可能である。
【0041】
以上に述べたスクリーンマスク100の製造方法によれば、陽像形成工程において、パターン開口形成陽像71に加えて、第1面21側のパターン開口形成陽像71以外の位置に第1面側凹部形成陽像42を形成すると共に、第2面22側のパターン開口形成陽像71以外の位置に第2面側凹部形成陽像62を形成する。したがって、陰像形成工程において充填される陰像形成材料81が、パターン開口形成陽像71と第2面側凹部形成陽像62との両方に支持される状態となって、パターン開口形成陽像71だけに支持される場合と比べて第2面22側の表面の平滑性を向上させ、厚さ方向の高さを一定に近づけることができる。これにより、その後の第2面92を形成するための平面研磨の取り代を少なくすることができ、平面研磨の工数を低減できて、製造コストを低減することができる。
【0042】
また、第1面91を形成する閉塞シート80は、パターン開口形成陽像71に加えて第1面側凹部形成陽像42にも貼り付けられるため、パターン開口形成陽像71だけに貼り付けられる場合と比べて平滑性を向上させ、厚さ方向の高さを一定に近づけることができる。これにより、閉塞シート80に倣って形成される陰像形成材料81の第1面21側の表面は、閉塞シート80がパターン開口形成陽像71だけに貼り付けられる場合と比べて平滑性を向上させ、厚さ方向の高さを一定に近づけることができる。すなわち、第1面91の平滑性を向上させ、厚さ方向の高さを一定に近づけることができる。これにより、第1面91の形成に平面研磨等を行わなくて済むことになるため、製造コストを低減することができる。
【0043】
第1面91のパターン開口95とは異なる位置に、第1面91から第2面92の手前にあるスクリーンメッシュ13の位置まで凹む第1面側凹部101が設けられ、第2面92のパターン開口95とは異なる位置に、第2面92から第1面91の手前にあるスクリーンメッシュ13の位置まで凹む第2面側凹部102が設けられるスクリーンマスク100は、上記の製造方法で製造することができる。これにより、スクリーンマスク100の製造コストを低減することができる。
【0044】
スクリーンマスク100は、平滑性が高められ、厚さ方向の高さが一定に近づけられた閉塞シート80に倣って第1面91の平滑性を向上させ、陰像85の厚さを一定に近づけることができるため、スクリーンマスク100を基板を覆って基板に接触させる場合、第1面91の基板への密着性を高めることができる。よって、印刷に使用する場合のインクの吐出厚および印刷解性が安定する。
【0045】
スクリーンマスク100は、第2面92を形成する際の平面研磨の取り代が少なく済むため、陰像85のスクリーンメッシュ13から第2面92側の部分の厚さを厚くすることができる。よって、陰像85のこの部分の強度を向上させることができ、陰像85のこの部分とスクリーンメッシュ13との接合強度を高めることができる。
【0046】
なお、着色層25が形成された一枚のマスクベース11において、場所によって、一の範囲に第1面側凹部形成陽像42および第2面側凹部形成陽像62の両方を形成し、これとは異なる範囲に、第1面側凹部形成陽像42および第2面側凹部形成陽像62のうちの一方である第1面側凹部形成陽像42のみを形成し、これらとは異なる範囲に、第1面側凹部形成陽像42および第2面側凹部形成陽像62のうちの他方である第2面側凹部形成陽像62のみを形成することもできる。ここで、陰像形成材料81の第1面21側の表面の平滑性を向上させ、厚さ方向の高さを一定に近づけるためには、第1面側凹部形成陽像42を、隣り合うパターン開口形成陽像71の間隔が広い場合に形成するのが良い。隣り合うパターン開口形成陽像71の間隔が例えば5mm以上の場合には、これらの間に一つ以上の第1面側凹部形成陽像42を設けるのが好ましい。また、陰像形成材料81の第2面22側の表面の平滑性を向上させ、厚さ方向の高さを一定に近づけるためには、第2面側凹部形成陽像62を、隣り合うパターン開口形成陽像71の間隔が広い場合に形成するのが良い。隣り合うパターン開口形成陽像71の間隔が例えば1mm以上の場合には、これらの間に一つ以上の第2面側凹部形成陽像62を設けるのが好ましい。
【0047】
陽像形成工程は、第1面側凹部形成陽像42と第2面側凹部形成陽像62とを、第1面21および第2面22の広がる方向の位置をずらして形成するため、形成されたスクリーンマスク100は、第1面側凹部101と第2面側凹部102とが、第1面91および第2面92の広がる方向の位置をずらして形成される。これにより、第1面側凹部101と第2面側凹部102とが繋がって第1面91と第2面92とを連通させる開口となってしまうことがないため、このような開口を閉塞させる処理が不要となる。
【0048】
第1面側凹部形成陽像42と第2面側凹部形成陽像62とは、スクリーンメッシュ13まで延びており、よって、第1面側凹部101と第2面側凹部102とが、スクリーンメッシュ13まで延びている。したがって、第1面側凹部形成陽像42と第2面側凹部形成陽像62とを、スクリーンメッシュ13で支持することができる。
【0049】
陽像形成工程は、第1面21側と第2面22側との両側から露光を行う。このため、厚さの厚いマスクベース11を使用してもパターン開口形成陽像71を形成することができ、また、着色層25の厚さを厚くしてもパターン開口形成陽像71を形成することができる。よって、硬化した陰像形成材料81、パターン開口形成陽像71および第2面側凹部形成陽像62の第2面22側の平面研磨によって、スクリーンメッシュ13および第1面側凹部形成陽像42を露出させることなく確実に不要部分を除去できて第2面92を平面状に近づけることができる。
【0050】
第1面側凹部形成陽像42および第2面側凹部形成陽像62は、それぞれが、ドット状、ライン状および格子状のいずれか一つであり、よって、第1面側凹部101および第2面側凹部102は、それぞれが、ドット状、ライン状および格子状のいずれか一つである。したがって、第1面側凹部形成陽像42および第2面側凹部形成陽像62を効果的な位置に容易に形成することができる。
なお、露光工程は、第1面21と第2面22とを同時に行っても良い。また、第1面21の露光、現像を順に行い、その後、第2面22側にベース材12を再度塗布し、着色層25の塗布、第2面22の露光、現像を順に行っても良い。また、第1面21と第2面22の露光時の合わせ精度に余裕を持たせるため、第2面側露光用マスク53のパターン開口形成用開口51の開口幅を、第1面側露光用マスク33のパターン開口形成用開口31の開口幅に対して数μmから数十μm程度大きくても良い。
【0051】
[第2実施形態]
本発明に係る第2実施形態のスクリーンマスクの製造方法およびこれを用いて製造されるスクリーンマスクについて、図11図20を参照しつつ第1実施形態との相違部分を中心に説明する。
【0052】
第2実施形態のスクリーンマスクの製造方法では、陽像形成工程において、図11に示すように、第1実施形態と同様、マスクベース11の第2面22に着色層25を形成する第2面着色工程を行い、次に、図12に示すように、第1実施形態と同様の第1面側露光用マスク33で第1面21を覆ってマスクベース11のベース材12にマスクベース11の厚さ方向に沿って第1面21側から露光を行う第1露光工程を行う。第1露光工程によって、第1面21の広がる方向の位置および形状をパターン開口形成用開口31と合わせた第1面側パターン開口形成陽像41と、第1面21の広がる方向の位置および形状を第1面側凹部形成用開口32と合わせた第1面側凹部形成陽像42とが、ベース材12が硬化することによって形成される。第1露光工程では、第1面側パターン開口形成陽像41および第1面側凹部形成陽像42が、いずれも、ベース材12の第1面21から、第2面22より手前であるスクリーンメッシュ13の位置まで硬化するように露光を調整する。
【0053】
陽像形成工程では、次に、図13に示すように、適宜の位置にパターン開口形成用開口51のみが形成された第2面側露光用マスク53Aで着色層25を覆って着色層25およびマスクベース11のベース材12にマスクベース11の厚さ方向に沿って着色層25側から露光を行う第2露光工程を行う。第2露光工程によって、第2面22の広がる方向の位置および形状をパターン開口形成用開口51と合わせた第2面側パターン開口形成陽像61が、着色層25およびベース材12が硬化することによって形成される。第2露光工程では、第2面側パターン開口形成陽像61が、着色層25から、ベース材12の第1面21より手前であるスクリーンメッシュ13の位置まで硬化するように露光を調整する。
【0054】
ここで、第1面側露光用マスク33のパターン開口形成用開口31と、第2面側露光用マスク53Aのパターン開口形成用開口51とは、第1面21および第2面22の広がる方向における位置および形状が一致している。このため、第1面側パターン開口形成陽像41に第2面側パターン開口形成陽像61が繋がって第1面21と第2面22とを結ぶパターン開口形成陽像71となる。
【0055】
第1面側露光用マスク33のパターン開口形成用開口31および第2面側露光用マスク53Aのパターン開口形成用開口51に対して、第1面側露光用マスク33の第1面側凹部形成用開口32は、第1面21および第2面22の広がる方向における位置が完全にずれている。このため、第1面側凹部形成陽像42は、パターン開口形成陽像71とは完全に分離した位置に形成される。
【0056】
陽像形成工程では、次に、図14に示すように、着色層25の硬化していない部分およびベース材12の硬化していない部分を除去する第1実施形態と同様の現像工程を行う。これにより、パターン開口形成陽像71と、第1面側凹部形成陽像42とが残る。残ったパターン開口形成陽像71および第1面側凹部形成陽像42は、いずれもスクリーンメッシュ13に支持された状態となる。
【0057】
以上により、陽像形成工程は、硬化した着色層25および硬化したベース材12からなるパターン開口形成陽像71を形成することになり、パターン開口形成陽像71に加えて、第1面21側のパターン開口形成陽像71以外の位置に、硬化したベース材12からなる第1面側凹部形成陽像42を形成する。しかも、陽像形成工程は、パターン開口形成陽像71と第1面側凹部形成陽像42とを、第1面21および第2面22の広がる方向の位置をずらして形成する。第1面21側の第1面側凹部形成陽像42は、スクリーンメッシュ13まで延びている。陽像形成工程は、第1面21側と第2面22側との両側から露光を行う。
【0058】
ここで、パターン開口形成陽像71および第1面側凹部形成陽像42は、一例として、図15に示すようになっている。図15の例では、第2面22側から見た場合、パターン開口形成陽像71は、直線状であり、第1面側凹部形成陽像42は、円形のドット状である。すなわち、パターン開口形成陽像71は、スクリーンメッシュ13の厚さ方向に広がる平板状であり、第1面側凹部形成陽像42は、スクリーンメッシュ13の厚さ方向に延びる円柱状である。第1面側凹部形成陽像42は、スクリーンメッシュ13の広がる方向において均等の密度となるように千鳥状に配置されている。なお、第1面側凹部形成陽像42の形状は、円柱状以外に、四角柱状、三角柱状、楕円柱状等の種々の形状を採用することが可能である。また、第1面側凹部形成陽像42の大きさ、並べ方も種々のパターンを採用することが可能である。
【0059】
パターン開口形成陽像71および第1面側凹部形成陽像42は、別の例として、図16に示すようにすることも可能である。図16の例では、第2面22側から見た場合、パターン開口形成陽像71および第1面側凹部形成陽像42は、互いに平行な直線状である。すなわち、パターン開口形成陽像71および第1面側凹部形成陽像42は、いずれもスクリーンメッシュ13の厚さ方向に垂直に広がり、互いに平行な平板状である。
【0060】
パターン開口形成陽像71および第1面側凹部形成陽像42は、さらに別の例として、図17に示すようにすることも可能である。図17の例では、第2面22側から見た場合、パターン開口形成陽像71は直線状であり、第1面側凹部形成陽像42は、パターン開口形成陽像71に平行な直線状の部分とパターン開口形成陽像71に垂直な直線状の部分とからなる格子状である。すなわち、パターン開口形成陽像71は、スクリーンメッシュ13の厚さ方向に広がる平板状であり、第1面側凹部形成陽像42は、パターン開口形成陽像71と平行に広がる平板状の部分と、パターン開口形成陽像71と垂直に広がる平板状の部分とからなる。
【0061】
よって、第1面側凹部形成陽像42は、ドット状、ライン状および格子状のいずれか一つである。
【0062】
陽像形成工程の次に、図18に示すように陰像形成工程を行う。陰像形成工程では、まず、第1実施形態と同様に、現像工程で残った、パターン開口形成陽像71の第1面21からなる端面と第1面側凹部形成陽像42の第1面21からなる端面とに閉塞シート80を平面状に広げて貼付して第1面21側を閉塞させる閉塞工程を行う。
【0063】
陰像形成工程では、次に、第1実施形態と同様に、着色層25側すなわち第2面22側から、閉塞シート80までの範囲の、パターン開口形成陽像71と第1面側凹部形成陽像42とスクリーンメッシュ13との隙間に、これらの第2面22側を全て覆うまで陰像形成材料81を充填し硬化させる陰像形成材料充填硬化工程を行う。これにより、陰像形成材料81内に、パターン開口形成陽像71と第1面側凹部形成陽像42とスクリーンメッシュ13とが埋設された状態になる。
【0064】
陰像形成工程では、次に、パターン開口形成陽像71と硬化した陰像形成材料81とを、閉塞シート80とは反対側から、第1実施形態と同様の平面研磨を行って、閉塞シート80とは反対側の面82Aを平面状に近づける第2面研磨工程を行って陰像85Aを形成する。第2面研磨工程では、パターン開口形成陽像71に形成された着色層25の硬化部分がなくなるまで平面研磨を行うことによって、面82Aが形成される。第2面研磨工程によって、パターン開口形成陽像71が削られてパターン開口形成陽像71aとなる。
【0065】
以上により、陰像形成工程は、パターン開口形成陽像71以外の部分であって第1面側凹部形成陽像42以外の部分に陰像85Aを形成する。
【0066】
次に、図20に示すように、第1実施形態と同様の陽像除去工程を行う。陽像除去工程では、まず、閉塞シート80を剥がして除去し、その後、溶剤を用いて、パターン開口形成陽像71aと、第1面側凹部形成陽像42とを除去する。これにより、陰像85Aによって、第1面21側に第1面91が形成され、第2面22側に面82Aの一部からなる第2面92Aが形成され、第1面91と第2面92Aとを連通させるパターン開口95が形成されたスクリーンマスク100Aが形成される。スクリーンマスク100Aには、これら第1面91、第2面92Aおよびパターン開口95に加えて、第1面91から第2面92Aの手前にあるスクリーンメッシュ13の位置まで凹む第1面側凹部101が形成される。
【0067】
以上により、陽像除去工程は、パターン開口形成陽像71aを除去して陰像85Aにより第1面91と、第2面92Aと、第1面91及び第2面92Aを連通させるパターン開口95と、を形成する。また、陽像除去工程は、パターン開口形成陽像71aに加えて、第1面側凹部形成陽像42を除去することによって、陰像85Aにより、第1面91と第2面92Aとパターン開口95とに加えて、第1面91から第2面92Aの手前にあるスクリーンメッシュ13の位置まで凹む第1面側凹部101を形成する。
【0068】
ここで、第1面91は、剥がされた閉塞シート80の形状に倣った形状となる。閉塞シート80は、パターン開口形成陽像71に加えて第1面側凹部形成陽像42にも貼り付けられるため、パターン開口形成陽像71だけに貼り付けられる場合と比べて平面状に近づいて平滑性が向上し、厚さ方向の高さが一定に近づく。これにより、閉塞シート80に倣って形成される第1面91は、閉塞シート80がパターン開口形成陽像71だけに貼り付けられる場合と比べて、平面状に近づいて平滑性が向上し、厚さ方向の高さが一定に近づく。すなわち、陰像85Aを形成する際に、陰像形成材料81の第1面21側の表面の平滑性を向上させ、厚さ方向の高さを一定に近づけることが可能となる。
【0069】
以上の製造方法で製造されたスクリーンマスク100Aは、第1面91のパターン開口95とは異なる位置に、第1面91から第2面92Aの手前まで凹む第1面側凹部101が設けられている。スクリーンマスク100Aは、第1面側凹部101が、スクリーンメッシュ13まで延びている。スクリーンマスク100Aは、印刷用とされる場合、第1面91が被印刷物側に、第2面92Aがインクを刷り込むスキージ側に、それぞれ配置される。
【0070】
スクリーンマスク100Aにおいて、第1面91になる側が第1面21側であり、第2面92Aになる側が第2面22側である。第1面21および第2面22の広がる方向が、第1面91および第2面92Aの広がる方向となる。
【0071】
ここで、パターン開口形成陽像71および第1面側凹部形成陽像42が図15に示す形状である場合、スクリーンマスク100Aを第2面92A側から見たり透過したりすれば、パターン開口95は、直線状となり、第1面側凹部101は、ドット状となる。第1面側凹部101は、第1面91の広がる方向において均等の密度となるように千鳥状に配置される。
【0072】
パターン開口形成陽像71および第1面側凹部形成陽像42が図16に示す形状である場合、スクリーンマスク100Aを第2面92A側から見たり透過したりすれば、パターン開口95および第1面側凹部101は、互いに平行な直線状となる。
【0073】
パターン開口形成陽像71および第1面側凹部形成陽像42が図17に示す形状である場合、スクリーンマスク100Aを第2面92A側から見たり透過したりすれば、パターン開口95は直線状となり、第1面側凹部101は、パターン開口95に平行な直線状の部分とパターン開口95に垂直な直線状の部分とからなる格子状となる。
【0074】
よって、スクリーンマスク100Aにおいて、第1面側凹部101は、ドット状、ライン状および格子状のいずれか一つである。
【0075】
以上に述べたスクリーンマスク100Aの製造方法によれば、陽像形成工程において、パターン開口形成陽像71に加えて、第1面21側のパターン開口形成陽像71以外の位置に第1面側凹部形成陽像42を形成する。したがって、第1面91を形成する閉塞シート80は、パターン開口形成陽像71に加えて第1面側凹部形成陽像42にも貼り付けられるため、パターン開口形成陽像71だけに貼り付けられる場合と比べて平滑性を向上させ、厚さ方向の高さを一定に近づけることができる。これにより、閉塞シート80に倣って形成される陰像形成材料81の第1面21側の表面は、閉塞シート80がパターン開口形成陽像71だけに貼り付けられる場合と比べて平滑性を向上させ、厚さ方向の高さを一定に近づけることができる。すなわち、第1面91の平滑性を向上させ、厚さ方向の高さを一定に近づけることができる。これにより、第1面91の形成に平面研磨等を行わなくて済むことになるため、製造コストを低減することができる。
【0076】
第1面91のパターン開口95とは異なる位置に、第1面91から第2面92Aの手前にあるスクリーンメッシュ13の位置まで凹む第1面側凹部101が設けられるスクリーンマスク100Aは、上記の製造方法で製造することができる。これにより、スクリーンマスク100Aの製造コストを低減することができる。
【0077】
スクリーンマスク100Aは、平滑性が高められた閉塞シート80に倣って第1面91の平滑性を向上させ、厚さ方向の高さを一定に近づけることができるため、スクリーンマスク100Aを基板を覆って基板に接触させる場合、第1面91の基板への密着性を高めることができる。よって、印刷に使用する場合のインクの吐出厚および印刷解性が安定する。
【0078】
第1面側凹部形成陽像42は、スクリーンメッシュ13まで硬化しており、よって、第1面側凹部101が、スクリーンメッシュ13まで延びている。したがって、第1面側凹部形成陽像42を、スクリーンメッシュ13で支持することができる。
【0079】
陽像形成工程は、第1面21側と第2面22側との両側から露光を行う。このため、厚さの厚いマスクベース11を使用してもパターン開口形成陽像71を形成することができ、また、着色層25の厚さを厚くしてもパターン開口形成陽像71を形成することができる。よって、硬化した陰像形成材料81およびパターン開口形成陽像71の第2面22側の平面研磨によって、スクリーンメッシュ13および第1面側凹部形成陽像42を露出させることなく確実に不要部分を除去できて第2面92Aを平面状に近づけることができる。
【0080】
第1面側凹部形成陽像42は、ドット状、ライン状および格子状のいずれか一つであり、よって、第1面側凹部101は、ドット状、ライン状および格子状のいずれか一つである。したがって、第1面側凹部形成陽像42を効果的な位置に容易に形成することができる。
なお、露光工程は、第1面21と第2面22とを同時に行っても良い。また、第1面21の露光、現像を順に行い、その後、第2面22側にベース材12を再度塗布し、着色層25の塗布、第2面22の露光、現像を順に行っても良い。また、第1面21と第2面22の露光時の合わせ精度に余裕を持たせるため、第2面側露光用マスク53のパターン開口形成用開口51の開口幅を、第1面側露光用マスク33のパターン開口形成用開口31の開口幅に対して数μmから数十μm程度大きくても良い。
【0081】
[第3実施形態]
本発明に係る第3実施形態のスクリーンマスクの製造方法およびこれを用いて製造されるスクリーンマスクについて、図21図30を参照しつつ第1実施形態との相違部分を中心に説明する。
【0082】
第3実施形態のスクリーンマスクの製造方法では、陽像形成工程において、第1実施形態と同様に、図21に示すようにマスクベース11の第2面22に着色層25を形成する第2面着色工程を行う。
【0083】
陽像形成工程では、次に、図22に示すように、適宜の位置にパターン開口形成用開口31のみが形成された第1面側露光用マスク33Bで第1面21を覆ってマスクベース11のベース材12にマスクベース11の厚さ方向に沿って第1面21側から露光を行う第1露光工程を行う。第1露光工程によって、第1面21の広がる方向の位置および形状をパターン開口形成用開口31と合わせた第1面側パターン開口形成陽像41が、ベース材12が硬化することによって形成される。第1露光工程では、第1面側パターン開口形成陽像41が、ベース材12の第1面21から、第2面22より手前であるスクリーンメッシュ13の位置まで硬化するように露光を調整する。
【0084】
陽像形成工程では、次に、図23に示すように、適宜の位置にパターン開口形成用開口51および第2面側凹部形成用開口52が形成された第1実施形態と同様の第2面側露光用マスク53で着色層25を覆って着色層25およびマスクベース11のベース材12にマスクベース11の厚さ方向に沿って着色層25側から露光を行う第2露光工程を行う。第2露光工程によって、第2面22の広がる方向の位置および形状をパターン開口形成用開口51と合わせた第2面側パターン開口形成陽像61と、第2面22の広がる方向の位置および形状を第2面側凹部形成用開口52と合わせた第2面側凹部形成陽像62とが、着色層25およびベース材12が硬化することによって形成される。第2露光工程では、第2面側パターン開口形成陽像61および第2面側凹部形成陽像62が、いずれも、着色層25から、ベース材12の第1面21より手前であるスクリーンメッシュ13の位置まで硬化するように露光を調整する。
【0085】
ここで、第1面側露光用マスク33Bのパターン開口形成用開口31と、第2面側露光用マスク53のパターン開口形成用開口51とは、第1面21および第2面22の広がる方向における位置および形状が一致している。このため、第1面側パターン開口形成陽像41に第2面側パターン開口形成陽像61が繋がって第1面21と第2面22とを結ぶパターン開口形成陽像71となる。
【0086】
第1面側露光用マスク33Bのパターン開口形成用開口31および第2面側露光用マスク53のパターン開口形成用開口51に対して、第2面側露光用マスク53の第2面側凹部形成用開口52は、第1面21および第2面22の広がる方向における位置が完全にずれている。このため、第2面側凹部形成陽像62は、パターン開口形成陽像71とは完全に分離した位置に形成される。
【0087】
陽像形成工程では、次に、図24に示すように、着色層25の硬化していない部分およびベース材12の硬化していない部分を除去する第1実施形態と同様の現像工程を行う。これにより、パターン開口形成陽像71と、第2面側凹部形成陽像62とが残る。残ったパターン開口形成陽像71および第2面側凹部形成陽像62は、いずれもスクリーンメッシュ13に支持された状態となる。
【0088】
以上により、陽像形成工程は、硬化した着色層25および硬化したベース材12からなるパターン開口形成陽像71を形成することになり、パターン開口形成陽像71に加えて、第2面22側のパターン開口形成陽像71以外の位置に、硬化した着色層25および硬化したベース材12からなる第2面側凹部形成陽像62を形成する。第2面22側の第2面側凹部形成陽像62は、スクリーンメッシュ13まで硬化している。陽像形成工程は、第1面21側と第2面22側との両側から露光を行う。
【0089】
ここで、パターン開口形成陽像71および第2面側凹部形成陽像62は、一例として、図25に示すようになっている。図25の例では、第2面22側から見た場合、パターン開口形成陽像71は、直線状であり、第2面側凹部形成陽像62は、円形のドット状である。すなわち、パターン開口形成陽像71は、スクリーンメッシュ13の厚さ方向に広がる平板状であり、第2面側凹部形成陽像62は、スクリーンメッシュ13の厚さ方向に延びる円柱状である。第2面側凹部形成陽像62は、スクリーンメッシュ13の広がる方向において均等の密度となるように千鳥状に配置されている。なお、第2面側凹部形成陽像62の形状は、円柱状以外に、四角柱状、三角柱状、楕円柱状等の種々の形状を採用することが可能である。また、第2面側凹部形成陽像62の大きさ、並べ方も種々のパターンを採用することが可能である。
【0090】
パターン開口形成陽像71および第2面側凹部形成陽像62は、別の例として、図26に示すようにすることも可能である。図26の例では、第2面22側から見た場合、パターン開口形成陽像71および第2面側凹部形成陽像62は、互いに平行な直線状である。すなわち、パターン開口形成陽像71および第2面側凹部形成陽像62は、いずれもスクリーンメッシュ13の厚さ方向に広がる平板状であり、互いに平行な平板状である。隣り合う第2面側凹部形成陽像62と第2面側凹部形成陽像62との間の間隔は、スクリーンメッシュ13の広がる方向において均等となっている。
【0091】
パターン開口形成陽像71および第2面側凹部形成陽像62は、さらに別の例として、図27に示すようにすることも可能である。図27の例では、第2面22側から見た場合、パターン開口形成陽像71は直線状であり、第2面側凹部形成陽像62は、パターン開口形成陽像71に平行な直線状の部分とパターン開口形成陽像71に垂直な直線状の部分とからなる格子状である。すなわち、パターン開口形成陽像71は、スクリーンメッシュ13の厚さ方向に広がる平板状であり、第2面側凹部形成陽像62は、パターン開口形成陽像71と平行に広がる平板状の部分と、パターン開口形成陽像71と垂直に広がる平板状の部分とからなる。
【0092】
よって、第2面側凹部形成陽像62は、ドット状、ライン状および格子状のいずれか一つである。
【0093】
陽像形成工程の次に、図28に示すように陰像形成工程を行う。陰像形成工程では、まず、現像工程で残った、パターン開口形成陽像71の第1面21からなる端面に閉塞シート80をできるだけ平面状に広げて貼付して第1面21側を閉塞させる閉塞工程を行う。
【0094】
陰像形成工程では、次に、着色層25側すなわち第2面22側から、閉塞シート80までの範囲の、パターン開口形成陽像71と第2面側凹部形成陽像62とスクリーンメッシュ13との隙間に、これらの第2面22側を全て覆うまで陰像形成材料81を充填し硬化させる陰像形成材料充填硬化工程を行う。これにより、陰像形成材料81内に、パターン開口形成陽像71と第2面側凹部形成陽像62とスクリーンメッシュ13とが埋設された状態になる。
【0095】
陰像形成工程では、次に、図29に示すように、パターン開口形成陽像71と第2面側凹部形成陽像62と硬化した陰像形成材料81とを、閉塞シート80とは反対側から、平面研磨を行って、閉塞シート80とは反対側の面82を平面状に近づける第2面研磨工程を行って陰像85Bを形成する。第2面研磨工程では、パターン開口形成陽像71と第2面側凹部形成陽像62とに形成された着色層25の硬化部分がなくなるまで平面研磨を行うことによって、面82が所定の平面状となる。勿論、第2面研磨工程においては、スクリーンメッシュ13が露出する位置まで平面研磨を行うことはない。第2面研磨工程によって、パターン開口形成陽像71が削られてパターン開口形成陽像71aとなり、第2面側凹部形成陽像62が削れられて第2面側凹部形成陽像62aとなる。
【0096】
以上により、陰像形成工程は、パターン開口形成陽像71a以外の部分であって第2面側凹部形成陽像62a以外の部分に陰像85Bを形成する。
【0097】
次に、図30に示すように、陽像除去工程を行う。陽像除去工程では、第1実施形態と同様に、まず、閉塞シート80を剥がして除去し、その後、溶剤を用いて、パターン開口形成陽像71aと、第2面側凹部形成陽像62aとを除去する。これにより、陰像85Bによって、第1面21側に第1面91Bが形成され、第2面22側に面82の一部からなる第2面92が形成され、第1面91Bと第2面92とを連通させるパターン開口95が形成されたスクリーンマスク100Bが形成される。スクリーンマスク100Bには、これら第1面91B、第2面92およびパターン開口95に加えて、第2面92から第1面91Bの手前にあるスクリーンメッシュ13の位置まで凹む第2面側凹部102が形成される。
【0098】
以上により、陽像除去工程は、パターン開口形成陽像71aを除去して陰像85Bにより、第1面91Bと、第2面92と、第1面91B及び第2面92を連通させるパターン開口95と、を形成する。また、陽像除去工程は、パターン開口形成陽像71aに加えて、第2面側凹部形成陽像62aを除去することによって、陰像85Bにより、第1面91Bと第2面92とパターン開口95とに加えて、第2面92から第1面91Bの手前にあるスクリーンメッシュ13の位置まで凹む第2面側凹部102を形成する。
【0099】
ここで、第2面92は、上記したように平面研磨で形成される。パターン開口形成陽像71に加えて第2面側凹部形成陽像62が形成されていることから、陰像形成材料81が、平面研磨前の充填時にパターン開口形成陽像71と第2面側凹部形成陽像62との両方に支持される状態となって、パターン開口形成陽像71だけに支持される場合と比べて第2面22側の表面が平面状に近づいて平滑性が向上し、厚さ方向の高さが一定に近づく。すなわち、陰像85Bを形成する際に、平面研磨前の陰像形成材料81の第2面22側の表面の平滑性を向上させ、厚さ方向の高さを一定に近づけることが可能となる。これにより、平面研磨により第2面22側の表面を研磨して第2面92を形成する際に必要な取り代が少なくて済む。
【0100】
以上の製造方法で製造されたスクリーンマスク100Bは、第1面91Bと第2面92とを連通させるパターン開口95が形成されている。スクリーンマスク100Bは、第2面92のパターン開口95とは異なる位置に、第2面92から第1面91Bの手前まで凹む第2面側凹部102が設けられている。スクリーンマスク100Bは、第2面側凹部102が、スクリーンメッシュ13まで延びている。スクリーンマスク100Bは、印刷用とされる場合、第1面91Bが被印刷物側に、第2面92がインクを刷り込むスキージ側に、それぞれ配置される。スクリーンマスク100Bは、逆に、第2面92が被印刷物側に、第1面91Bがスキージ側に、それぞれ配置されても良い。
【0101】
スクリーンマスク100Bにおいて、第1面91Bになる側が第1面21側であり、第2面92になる側が第2面22側である。第1面21および第2面22の広がる方向が、第1面91Bおよび第2面92の広がる方向となる。
【0102】
ここで、パターン開口形成陽像71および第2面側凹部形成陽像62が図25に示す形状である場合、スクリーンマスク100Bを第2面92側から見ると、パターン開口95は、直線状となり、第2面側凹部102は、ドット状となる。第2面側凹部102は、第2面92の広がる方向において、均等の密度となるように千鳥状に配置される。
【0103】
パターン開口形成陽像71および第2面側凹部形成陽像62が図26に示す形状である場合、スクリーンマスク100Bを第2面92側から見ると、パターン開口95および第2面側凹部102は、互いに平行な直線状となる。第2面側凹部102は、隣り合うもの同士が等間隔となる。
【0104】
パターン開口形成陽像71および第2面側凹部形成陽像62が図27に示す形状である場合、スクリーンマスク100Bを第2面92側から見ると、パターン開口95は直線状となり、第1面側凹部101は、パターン開口95に平行な直線状の部分とパターン開口95に垂直な直線状の部分とからなる格子状となる。
【0105】
よって、スクリーンマスク100Bにおいて、第2面側凹部102は、ドット状、ライン状および格子状のいずれか一つである。
【0106】
以上に述べたスクリーンマスク100Bの製造方法によれば、陽像形成工程において、パターン開口形成陽像71に加えて、第2面22側のパターン開口形成陽像71以外の位置に第2面側凹部形成陽像62を形成する。したがって、陰像形成工程において充填される陰像形成材料81が、パターン開口形成陽像71と第2面側凹部形成陽像62との両方に支持される状態となって、パターン開口形成陽像71だけに支持される場合と比べて第2面22側の表面の平滑性を向上させ、厚さ方向の高さを一定に近づけることができる。これにより、その後の第2面92を形成するための平面研磨の取り代を少なくすることができ、平面研磨の工数を低減できて、製造コストを低減することができる。
【0107】
第2面92のパターン開口95とは異なる位置に、第2面92から第1面91Bの手前にあるスクリーンメッシュ13の位置まで凹む第2面側凹部102が設けられるスクリーンマスク100Bは、上記の製造方法で製造することができる。これにより、スクリーンマスク100Bの製造コストを低減することができる。
【0108】
スクリーンマスク100Bは、第2面92を形成する際の平面研磨の取り代が少なく済むため、陰像85Bのスクリーンメッシュ13から第2面92側の部分の厚さを厚くすることができる。よって、陰像85Bのこの部分の強度を向上させることができ、陰像85Bのこの部分とスクリーンメッシュ13との接合強度を高めることができる。
【0109】
第2面側凹部形成陽像62は、スクリーンメッシュ13まで延びており、よって、第2面側凹部102が、スクリーンメッシュ13まで延びている。したがって、第2面側凹部形成陽像62をスクリーンメッシュ13で支持することができる。
【0110】
陽像形成工程は、第1面21側と第2面22側との両側から露光を行う。このため、厚さの厚いマスクベース11を使用してもパターン開口形成陽像71を形成することができ、また、着色層25の厚さを厚くしてもパターン開口形成陽像71を形成することができる。よって、硬化した陰像形成材料81、パターン開口形成陽像71および第2面側凹部形成陽像62の第2面22側の平面研磨によって、スクリーンメッシュ13を露出させることなく確実に不要部分を除去できて第2面92を平面状に近づけることができる。
【0111】
第2面側凹部形成陽像62は、ドット状、ライン状および格子状のいずれか一つであり、よって、第2面側凹部102は、ドット状、ライン状および格子状のいずれか一つである。したがって、第2面側凹部形成陽像62を効果的な位置に容易に形成することができる。
なお、露光工程は、第1面21と第2面22とを同時に行っても良い。また、第1面21の露光、現像を順に行い、その後、第2面22側にベース材12を再度塗布し、着色層25の塗布、第2面22の露光、現像を順に行っても良い。また、第1面21と第2面22の露光時の合わせ精度に余裕を持たせるため、第2面側露光用マスク53のパターン開口形成用開口51の開口幅を、第1面側露光用マスク33のパターン開口形成用開口31の開口幅に対して数μmから数十μm程度大きくても良い。
【0112】
(付記1)
パターン開口形成陽像を形成する陽像形成工程と、
前記パターン開口形成陽像以外の部分に陰像を形成する陰像形成工程と、
前記パターン開口形成陽像を除去して前記陰像により第1面と第2面と前記第1面及び前記第2面を連通させるパターン開口とを形成する陽像除去工程と、
を含むスクリーンマスクの製造方法であって、
前記陽像形成工程は、
前記パターン開口形成陽像に加えて、前記第1面になる側の前記パターン開口形成陽像以外の位置および前記第2面になる側の前記パターン開口形成陽像以外の位置の少なくともいずれか一方に凹部形成陽像を形成し、
前記陰像形成工程は、
前記パターン開口形成陽像以外の部分であって前記凹部形成陽像以外の部分に陰像を形成し、
前記陽像除去工程は、
前記パターン開口形成陽像を除去すると共に前記凹部形成陽像を除去することによって、前記陰像により、前記第1面と前記第2面と前記パターン開口とに加えて、前記第1面から前記第2面の手前まで凹む第1面側凹部および前記第2面から前記第1面の手前まで凹む第2面側凹部の少なくともいずれか一方を形成することを特徴とするスクリーンマスクの製造方法。
【0113】
(付記2)
前記陽像形成工程は、
前記パターン開口形成陽像に加えて、前記第1面になる側の前記パターン開口形成陽像以外の位置と前記第2面になる側の前記パターン開口形成陽像以外の位置とに前記凹部形成陽像を形成し、
前記陽像除去工程は、
前記パターン開口形成陽像を除去すると共に前記凹部形成陽像を除去することによって、前記陰像により、前記第1面と前記第2面と前記パターン開口とに加えて、前記第1面から前記第2面の手前まで凹む第1面側凹部と前記第2面から前記第1面の手前まで凹む第2面側凹部とを形成することを特徴とする付記1に記載のスクリーンマスクの製造方法。
【0114】
(付記3)
前記陽像形成工程は、
前記パターン開口形成陽像に加えて、前記第1面になる側の前記パターン開口形成陽像以外の位置と前記第2面になる側の前記パターン開口形成陽像以外の位置とに、前記第1面および前記第2面の広がる方向の位置をずらして前記凹部形成陽像を形成することを特徴とする付記2に記載のスクリーンマスクの製造方法。
【0115】
(付記4)
前記第1面になる側の前記凹部形成陽像と前記第2面になる側の前記凹部形成陽像とは、スクリーンメッシュまで硬化している付記3に記載のスクリーンマスクの製造方法。
【0116】
(付記5)
前記陽像形成工程は、
前記第1面になる側と前記第2面になる側との両側から露光を行うことを特徴とする付記1乃至付記4のいずれか一つに記載のスクリーンマスクの製造方法。
【0117】
(付記6)
前記凹部形成陽像は、ドット状、ライン状および格子状のいずれか一つである付記1乃至付記5のいずれか一つに記載のスクリーンマスクの製造方法。
【0118】
(付記7)
第1面と第2面とを連通させるパターン開口が形成されたスクリーンマスクであって、
前記第1面の前記パターン開口とは異なる位置に、前記第1面から前記第2面の手前まで凹む第1面側凹部が設けられ、
前記第2面の前記パターン開口とは異なる位置に、前記第2面から前記第1面の手前まで凹む第2面側凹部が設けられていることを特徴とするスクリーンマスク。
【0119】
(付記8)
前記第1面側凹部と前記第2面側凹部とは、前記第1面および前記第2面の広がる方向の位置をずらしていることを特徴とする付記7に記載のスクリーンマスク。
【0120】
(付記9)
前記第1面側凹部と前記第2面側凹部とは、スクリーンメッシュまで延びていることを特徴とする付記7または付記8に記載のスクリーンマスク。
【0121】
(付記10)
前記第1面側凹部および前記第2面側凹部は、ドット状、ライン状および格子状のいずれか一つである付記7乃至付記9のいずれか一つに記載のスクリーンマスク。
【符号の説明】
【0122】
71 パターン開口形成陽像
85,85A,85B 陰像
91,91B 第1面
92,92A 第2面
95 パターン開口
100,100A,100B スクリーンマスク
42 第1面側凹部形成陽像(凹部形成陽像)
62a 第2面側凹部形成陽像(凹部形成陽像)
101 第1面側凹部
102 第2面側凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
【手続補正書】
【提出日】2023-05-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン開口形成陽像を形成する陽像形成工程と、
前記パターン開口形成陽像以外の部分に陰像を形成する陰像形成工程と、
前記パターン開口形成陽像を除去して前記陰像により第1面と第2面と前記第1面及び前記第2面を連通させるパターン開口とを形成する陽像除去工程と、
を含むスクリーンマスクの製造方法であって、
前記陽像形成工程は、
前記パターン開口形成陽像に加えて、前記第1面になる側の前記パターン開口形成陽像以外の位置前記第2面になる側の前記パターン開口形成陽像以外の位置に凹部形成陽像を形成し、
前記陰像形成工程は、
前記パターン開口形成陽像以外の部分であって前記凹部形成陽像以外の部分に陰像を形成し、
前記陽像除去工程は、
前記パターン開口形成陽像を除去すると共に前記凹部形成陽像を除去することによって、前記陰像により、前記第1面と前記第2面と前記パターン開口とに加えて、前記第1面から前記第2面の手前まで凹む第1面側凹部前記第2面から前記第1面の手前まで凹む第2面側凹部を形成することを特徴とするスクリーンマスクの製造方法。
【請求項2】
前記陽像形成工程は、
前記パターン開口形成陽像に加えて、前記第1面になる側の前記パターン開口形成陽像以外の位置と前記第2面になる側の前記パターン開口形成陽像以外の位置とに、前記第1面および前記第2面の広がる方向の位置をずらして前記凹部形成陽像を形成することを特徴とする請求項記載のスクリーンマスクの製造方法。
【請求項3】
前記第1面になる側の前記凹部形成陽像と前記第2面になる側の前記凹部形成陽像とは、スクリーンメッシュまで硬化している請求項記載のスクリーンマスクの製造方法。
【請求項4】
第1面と第2面とを連通させるパターン開口が形成されたスクリーンマスクであって、
前記第1面の前記パターン開口とは異なる位置に、前記第1面から前記第2面の手前まで凹む第1面側凹部が設けられ、
前記第2面の前記パターン開口とは異なる位置に、前記第2面から前記第1面の手前まで凹む第2面側凹部が設けられており、
前記第1面側凹部と前記第2面側凹部とは、スクリーンメッシュまで延びていることを特徴とするスクリーンマスク。
【請求項5】
前記第1面側凹部と前記第2面側凹部とは、前記第1面および前記第2面の広がる方向の位置をずらしていることを特徴とする請求項記載のスクリーンマスク。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るスクリーンマスクの製造方法の一態様は、パターン開口形成陽像を形成する陽像形成工程と、前記パターン開口形成陽像以外の部分に陰像を形成する陰像形成工程と、前記パターン開口形成陽像を除去して前記陰像により第1面と第2面と前記第1面及び前記第2面を連通させるパターン開口とを形成する陽像除去工程と、を含むスクリーンマスクの製造方法であって、前記陽像形成工程は、前記パターン開口形成陽像に加えて、前記第1面になる側の前記パターン開口形成陽像以外の位置前記第2面になる側の前記パターン開口形成陽像以外の位置に凹部形成陽像を形成し、前記陰像形成工程は、前記パターン開口形成陽像以外の部分であって前記凹部形成陽像以外の部分に陰像を形成し、前記陽像除去工程は、前記パターン開口形成陽像を除去すると共に前記凹部形成陽像を除去することによって、前記陰像により、前記第1面と前記第2面と前記パターン開口とに加えて、前記第1面から前記第2面の手前まで凹む第1面側凹部前記第2面から前記第1面の手前まで凹む第2面側凹部を形成することを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
これにより、陽像形成工程において、パターン開口形成陽像に加えて、第1面になる側のパターン開口形成陽像以外の位置第2面になる側のパターン開口形成陽像以外の位置に凹部形成陽像を形成しておく。その結果、陰像形成工程において、パターン開口形成陽像以外の部分であって凹部形成陽像以外の部分に陰像形成材料を充填すると、陰像形成材料が、パターン開口形成陽像に加えて凹部形成陽像にも支持される。よって、陰像形成材料の凹部形成陽像側の表面の平滑性を向上させ、厚さ方向の高さを一定に近づけることが可能となる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明に係るスクリーンマスクの一態様は、第1面と第2面とを連通させるパターン開口が形成されたスクリーンマスクであって、前記第1面の前記パターン開口とは異なる位置に、前記第1面から前記第2面の手前まで凹む第1面側凹部が設けられ、前記第2面の前記パターン開口とは異なる位置に、前記第2面から前記第1面の手前まで凹む第2面側凹部が設けられており、前記第1面側凹部と前記第2面側凹部とは、スクリーンメッシュまで延びていることを特徴とする。