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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032179
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】ピッキングシステム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
B65G1/137 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135689
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 徳之
(72)【発明者】
【氏名】小林 哲平
(72)【発明者】
【氏名】二橋 謙介
【テーマコード(参考)】
3F522
【Fターム(参考)】
3F522AA02
3F522BB01
3F522BB28
3F522BB35
3F522CC01
3F522GG18
3F522GG25
3F522JJ02
3F522JJ04
(57)【要約】
【課題】より少ない台数のロボットによって、複数種類の物品をパレットに所定数積み付ける処理を効率よく行うことが可能なピッキングシステムを提供する。
【解決手段】ピッキングシステムは、完成パレットにおける所定種類の物品の数が正パレットにおける所定種類の物品の数の所定割合以上である、と判定された場合に、当該完成パレットを転用候補に追加する転用候補追加部と、ピッキングオーダーに応じて所定数の物品をピッキングした後の補充パレットにおける所定種類の物品の残数と完成パレットにおける所定種類の物品の数とが一致する完成パレットが、完成パレットの転用候補に存在する、と判定された場合に、転用候補の完成パレットの順番を、ピッキングオーダーに応じて所定種類の物品を有する補充パレットから所定数の物品をピッキングして構成される別の完成パレットの直後に割り当てる順番割当部と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されたピッキングオーダーに基づいて複数種類の物品を積んだ完成パレットを設定する完成パレット設定部と、
前記完成パレットにおける所定種類の物品の数が、前記所定種類の物品のみを積んだ正パレットにおける前記所定種類の物品の数の所定割合以上であるか否かを判定する物品数比較判定部と、
前記完成パレットにおける前記所定種類の物品の数が前記正パレットにおける前記所定種類の物品の数の所定割合以上である、と判定された場合に、当該完成パレットを転用候補に追加する転用候補追加部と、
前記ピッキングオーダーに応じて所定数の物品をピッキングした後の補充パレットにおける前記物品の残数をチェックする補充パレット残数確認部と、
前記補充パレットにおける前記所定種類の物品の残数と一致する数の前記所定種類の物品を有する前記完成パレットが、転用候補の前記完成パレットに存在するか否かを判定する転用候補有無判定部と、
前記補充パレットにおける前記所定種類の物品の残数と前記完成パレットにおける前記所定種類の物品の数とが一致する前記完成パレットが、前記完成パレットの転用候補に存在する、と判定された場合に、転用候補の前記完成パレットの順番を、前記ピッキングオーダーに応じて前記所定種類の物品を有する補充パレットから所定数の物品をピッキングして構成される別の前記完成パレットの直後に割り当てる順番割当部と、
を有するピッキングシステム。
【請求項2】
所定の前記完成パレットに積まれる物品種類に、所定の前記完成パレットの直前の前記完成パレットの最後に積み付けられる末尾物品種類が含まれているか否かを判定する荷種判定部と、
所定の前記完成パレットに積まれる物品種類に、直前の前記完成パレットの最後に積み付けられる末尾物品種類が含まれている、と判定された場合に、前記末尾物品種類を、所定の前記完成パレットにおいて最初に積まれる物品種類に設定する積付順番設定部と、
を有する請求項1に記載のピッキングシステム。
【請求項3】
パレタイザにおいて同一の補充パレットを再度使用するまでの推定時間が、所定の第一判定閾値以下であるか否かを判定する第一時間比較判定部と、
前記推定時間が前記第一判定閾値以下である、と判定された場合に、無人搬送デバイスによって前記補充パレットを前記パレタイザから仮置き場に搬送させ、前記推定時間が前記第一判定閾値よりも大きい、と判定された場合に、前記無人搬送デバイスによって前記補充パレットを前記パレタイザから保管エリアに搬送させる搬送指示部と、
を有する請求項1又は請求項2に記載のピッキングシステム。
【請求項4】
前記第一判定閾値が、前記無人搬送デバイスによって、前記補充パレットを前記パレタイザから前記保管エリアに返却し、その後、前記補充パレットを前記保管エリアからパレタイザまで搬送する往復時間に相当する値として定められている請求項3に記載のピッキングシステム。
【請求項5】
パレタイザが同一の補充パレットから物品をピッキングする作業時間を推定する作業時間推定部と、
前記パレタイザが所定の補充パレットから物品をピッキングする推定作業時間が、所定の第二判定閾値以上であるか否かを判定する第二時間比較判定部と、
前記推定作業時間が前記第二判定閾値以上である、と判定された場合に、無人搬送デバイスに、次の補充パレットを前記パレタイザに搬送せずに仮置き場に搬送するタスクを割り当て、前記推定作業時間が前記第二判定閾値よりも小さい、と判定された場合に、前記無人搬送デバイスに、次の補充パレットを前記パレタイザに搬送するタスクを割り当てるタスク割当部と、
を有する請求項1又は請求項2に記載のピッキングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ピッキングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、出荷のオーダーに応じて、パレットに同一種類の物品を積んで保管された一種類又は複数種類の補充パレットから、別のパレット(出荷用のパレット)に一種類又は複数種類の物品を所定数積み付けて、出荷パレットとして出荷するためのピッキングシステムがある。
非特許文献1には、出荷オーダーに応じて必要な種類の補充パレットから物品をピッキングして、出荷用のパレットに積み付けるパレタイザ(ピッキングロボット)と、補充パレットをパレタイザに運ぶ無人搬送デバイス(無人搬送車;AGV)と、を備えるピッキングシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】゛特売品積み付けパッケージ″、[online]、株式会社Mujin、[令和4年8月8日検索]、インターネット<URL: https://www.mujin.co.jp/solution/distribution/tokubai/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のピッキングシステムにおいては、パレタイザや無人搬送デバイスなどのロボットの台数が少なくても、複数種類の物品をパレットに所定数積み付ける処理を効率よく実施できることが求められている。
【0005】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであって、より少ない台数のロボットによって、複数種類の物品をパレットに所定数積み付ける処理を効率よく行うことが可能なピッキングシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係るピッキングシステムは、入力されたピッキングオーダーに基づいて複数種類の物品を積んだ完成パレットを設定する完成パレット設定部と、前記完成パレットにおける所定種類の物品の数が、前記所定種類の物品のみを積んだ正パレットにおける前記所定種類の物品の数の所定割合以上であるか否かを判定する物品数比較判定部と、前記完成パレットにおける前記所定種類の物品の数が前記正パレットにおける前記所定種類の物品の数の所定割合以上である、と判定された場合に、当該完成パレットを転用候補に追加する転用候補追加部と、前記ピッキングオーダーに応じて所定数の物品をピッキングした後の補充パレットにおける前記物品の残数をチェックする補充パレット残数確認部と、前記補充パレットにおける前記所定種類の物品の残数と一致する数の前記所定種類の物品を有する前記完成パレットが、転用候補の前記完成パレットに存在するか否かを判定する転用候補有無判定部と、前記補充パレットにおける前記所定種類の物品の残数と前記完成パレットにおける前記所定種類の物品の数とが一致する前記完成パレットが、前記完成パレットの転用候補に存在する、と判定された場合に、転用候補の前記完成パレットの順番を、前記ピッキングオーダーに応じて前記所定種類の物品を有する補充パレットから所定数の物品をピッキングして構成される別の前記完成パレットの直後に割り当てる順番割当部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ピッキングシステムにおいて、より少ない台数のロボットによって、複数種類の物品をパレットに所定数積み付ける処理を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態に係るピッキングシステムの配置例を示す図である。
図2】本開示の実施形態に係るピッキングシステムに備える制御装置の構成例を示すブロック図である。
図3】本開示の実施形態に係るピッキングオーダーの例を示す図である。
図4】本開示の実施形態に係るピッキングシステムにおいて、完成パレット順番の更新処理を示す図である。
図5図4に示す処理の途中段階で得られる完成パレット単位のピッキングオーダーの例を示す図である。
図6】本開示の実施形態に係るピッキングシステムにおいて、完成パレット単位での物品の積付順番の更新処理を示す図である。
図7】本開示の実施形態に係るピッキングシステムにおいて、補充パレットの搬送先の選択処理、及び、無人搬送デバイスのタスク割当処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1図7を参照して、本開示の一実施形態に係るピッキングシステムについて説明する。
【0010】
[ピッキングシステムの構成]
図1に示すように、本実施形態に係るピッキングシステム1は、倉庫などにおいて、入力されたピッキングオーダー(後述)に応じて、パレットに同一種類の物品を積んで保管された複数の補充パレットから、別のパレット(出荷用のパレット)に一種類又は複数種類の物品を所定数積み付けて出荷パレットとして出荷するためのシステムである。
本実施形態のピッキングシステム1は、補充パレットや出荷パレットを搬送する無人搬送デバイス2と、補充パレットから物品をピッキングして、出荷用のパレットに積み付けるパレタイザ3と、これら無人搬送デバイス2及びパレタイザ3の動作を制御する制御装置4と、を備える。
【0011】
無人搬送デバイス2は、基本的に、補充パレットを保管エリア5と積付エリア6に配置されたパレタイザ3との間で搬送する。また、無人搬送デバイス2は、パレタイザ3による物品の積み付けによって完成した出荷パレットをパレタイザ3から出荷場所(不図示)まで搬送する。無人搬送デバイス2は、例えば、物品が載っていないパレット(空のパレット)を搬送してもよい。
本実施形態の無人搬送デバイス2には、保管エリア5で稼働する無人フォークリフト2A(AGF)と、積付エリア6で稼働する無人搬送車2B(AGV)と、がある。保管エリア5における無人フォークリフト2Aの数、積付エリア6における無人搬送車2Bの数は、それぞれ1つでもよいし複数でもよい。
【0012】
無人搬送車2Bは、補充パレットや出荷パレット、空のパレットを下から持ち上げて運ぶように構成されている。このため、無人搬送車2Bによる補充パレットなどの搬送には、脚付きの搬送架台が用いられる。脚付きの搬送架台は、補充パレットなどを載置することができ、かつ、無人搬送車2Bが搬送架台の下側に入り込むように構成されている。パレタイザにおける物品のピッキング及び積み付けを考慮すると、無人搬送車2Bは、補充パレットなどを縦方向に重ねて搬送することはできない。
【0013】
積付エリア6は、主にパレタイザ3によって補充パレットから物品をピッキングして、出荷用のパレットに積み付けるエリアである。積付エリア6には、仮置き場7が配置されている。仮置き場7は、脚付きの搬送架台に載せられた補充パレットなどが一時的に置かれる場所である。
【0014】
保管エリア5は、補充パレットなどを保管するエリアである。保管エリア5は、前述した仮置き場7よりもパレタイザ3から遠くに離れて位置する。本実施形態において、保管エリア5には、補充パレットなどを保管するための棚8(保管棚8)が配置されている。保管棚8は、例えば縦方向に複数の棚板を並べて構成されてよい。この場合、無人フォークリフト2Aによって、補充パレットなどを縦方向に複数並べることができる。
【0015】
保管エリア5と積付エリア6との境界には、無人フォークリフト2Aと無人搬送車2Bとの間で補充パレットなどを受け渡す受渡場所9が設けられている。前述したように、無人搬送車2Bは補充パレットなどを1つずつしか搬送できないため、受渡場所9においては、補充パレットなどが無人フォークリフト2Aと無人搬送車2Bとの間で1つずつ受け渡される。
【0016】
[制御装置の構成]
本実施形態において、制御装置4は、一般的なコンピュータの構成を有する。すなわち、図2に示すように、制御装置4は、CPU10と、メモリ11と、入力機器12と、出力機器13と、記録媒体14と、通信インターフェース15と、を備える。
【0017】
CPU10は、ピッキングシステム1のコンピュータとしての動作を司るプロセッサである。
メモリ11は、CPU10の動作に必要な記憶領域である。
入力機器12は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル等である。
出力機器13は、例えば、ディスプレイ等である。
記録媒体14は、HDD、SSD等の大容量記憶デバイスである。本実施形態において、記録媒体14には、ピッキングオーダーT1(後述)を記録することができる。
通信インターフェース15は、外部の装置との間で各種のデータを送受信する。本実施形態において、通信インターフェース15は、ピッキングシステム1全体を管理する倉庫管理システム(不図示)からピッキングオーダーT1を受信する。
【0018】
図3に示すように、ピッキングオーダーT1は、各出荷先(顧客)が必要とする物品の種類と種類毎の物品の数とを示すリストである。図3のピッキングオーダーT1では、出荷先毎に、物品の種類と種類毎の物品の数が示されている。
【0019】
図2に示すように、CPU10は、特定のプログラムに従って動作することで、完成パレット設定部100、物品数比較判定部101、転用候補追加部102、補充パレット残数確認部103、転用候補有無判定部104、順番割当部105、荷種判定部200、積付順番設定部201、第一時間比較判定部300、搬送指示部301、作業時間推定部302、第二時間比較判定部303、及び、タスク割当部304としての機能を有する。
【0020】
完成パレット設定部100は、制御装置4に入力されたピッキングオーダーT1に基づいて、複数種類の物品を積んだ完成パレットを設定する。完成パレットは、ピッキングオーダーT1に基づいて複数種類の物品の積み付けが最適化された仮想の出荷パレットである。完成パレット設定部100は、出荷先毎に1つ又は複数の完成パレットを設定する。
【0021】
物品数比較判定部101は、完成パレットにおける所定種類の物品の数が、所定種類の物品のみを積んだ正パレットにおける所定種類の物品の数の所定割合以上であるか否かを判定する。正パレットは、同一種類の物品を100%積んだ状態の補充パレットである。正パレットにおける所定種類の物品の数の所定割合は、少なくとも0よりも大きくかつ1よりも小さい値である。当該「所定割合」は、例えば1/2や1/3、1/4などであってよい。
【0022】
転用候補追加部102は、完成パレットにおける所定種類の物品の数が正パレットにおける所定種類の物品の数の所定割合以上である、と判定された場合に、当該完成パレットを転用候補に追加する。転用候補となる完成パレットは、所定種類の物品の数が正パレットにおける所定種類の物品の数の所定割合以上となっている完成パレットである。
【0023】
補充パレット残数確認部103は、ピッキングオーダーT1に応じて所定数の物品をピッキングした後の補充パレットにおける物品の残数をチェックする。補充パレット残数確認部103がチェックする「物品の残数」は、ピッキング前の補充パレットにおける物品の数から、ピッキングオーダーT1に応じて当該補充パレットからパレタイザ3がピッキングした物品の数を差し引いた数である。ピッキング前の補充パレットにおける物品の数は、正パレットにおける物品の数であってもよいし、正パレットよりも少ない数の物品を積んだ補充パレットにおける物品の数であってもよい。
【0024】
転用候補有無判定部104は、補充パレットにおける所定種類の物品の残数と一致する数の所定種類の物品を有する完成パレットが、転用候補の完成パレットに存在するか否かを判定する。
【0025】
順番割当部105は、補充パレットにおける所定種類の物品の残数と完成パレットにおける所定種類の物品の数とが一致する完成パレットが、完成パレットの転用候補に存在する、と判定された場合に、転用候補の完成パレットの順番を、ピッキングオーダーT1に応じて所定種類の物品を有する補充パレットから所定数の物品をピッキングして構成される別の完成パレットの直後に割り当てる。すなわち、順番割当部105は、パレタイザ3が所定種類の物品を有する補充パレットから所定数の物品をピッキングして別の完成パレットに積み付けた後に残った補充パレットが、次の完成パレットに転用されるように、処理される完成パレットの順番を変更する。
【0026】
荷種判定部200は、所定の完成パレットに積まれる物品種類に、所定の完成パレットの直前の完成パレットの最後に積み付けられる末尾物品種類が含まれているか否かを判定する。
【0027】
積付順番設定部201は、所定の完成パレットに積まれる物品種類に、直前の完成パレットの最後に積み付けられる末尾物品種類が含まれている、と判定された場合に、末尾物品種類を、所定の完成パレットにおいて最初に積まれる物品種類に設定する。すなわち、積付順番設定部201は、所定の完成パレットにおいて積まれる物品種類の順番を変更する。
【0028】
また、荷種判定部200は、所定の完成パレットに積まれる物品種類に、所定の完成パレットの直後の完成パレットの最初に積み付けられる先頭物品種類が含まれているか否かを判定する。
【0029】
また、積付順番設定部201は、所定の完成パレットに積まれる物品種類に、直後の完成パレットの最初に積み付けられる先頭物品種類が含まれている、と判定された場合に、先頭物品種類を、所定の完成パレットにおいて最後に積まれる物品種類に設定する。
【0030】
第一時間比較判定部300は、パレタイザ3において同一の補充パレットを再度使用するまでの推定時間が、所定の第一判定閾値以下であるか否かを判定する。本実施形態において、第一判定閾値は、無人搬送デバイス2によって、補充パレットをパレタイザ3から保管エリア5に返却し、その後、補充パレットを保管エリア5からパレタイザ3まで搬送する往復時間に相当する値として定められている。なお、第一判定閾値は、実際に測定した往復時間、あるいは、測定した往復時間の平均値などであってもよいし、例えば、ピッキングシステム1の管理者が適当に設定した時間であってもよい。
【0031】
搬送指示部301は、推定時間が第一判定閾値以下である、と判定された場合に、無人搬送デバイス2によって補充パレットをパレタイザ3から仮置き場7に搬送させ、推定時間が第一判定閾値よりも大きい、と判定された場合に、無人搬送デバイス2によって補充パレットをパレタイザ3から保管エリア5に搬送させる。本実施形態において、パレタイザ3から仮置き場7への補充パレットの搬送は、無人搬送デバイス2のうち無人搬送車2Bのみによって実施される。また、パレタイザ3から保管エリア5への補充パレットの搬送は、無人搬送デバイス2の無人搬送車2B及び無人フォークリフト2Aによって実施される。
【0032】
作業時間推定部302は、パレタイザ3が同一の補充パレットから物品をピッキングする作業時間を推定する。
【0033】
第二時間比較判定部303は、パレタイザ3が所定の補充パレットから物品をピッキングする推定作業時間が、所定の第二判定閾値以上であるか否かを判定する。推定作業時間は、作業時間推定部302で推定された「作業時間」である。第二判定閾値は、ピッキングシステム1の管理者が設定する時間であり、例えば、無人搬送デバイス2が、補充パレットの搬送以外の仕事(タスク)を十分に行うことが可能な時間であってよい。例えば、無人搬送車2Bが1回分の仕事(タスク)を行う時間が50秒である場合、無人搬送車2Bが他の仕事を十分に行うことが可能な時間は、例えば10回分の仕事を行う時間、すなわち500秒に設定されてよい。
【0034】
タスク割当部304は、推定作業時間が第二判定閾値以上である、と判定された場合に、無人搬送デバイス2に、次の補充パレットをパレタイザ3に搬送せずに仮置き場7に搬送するタスクを割り当て、推定作業時間が第二判定閾値よりも小さい、と判定された場合に、無人搬送デバイス2に、次の補充パレットをパレタイザ3に搬送するタスクを割り当てる。無人搬送デバイス2によって搬送される「次の補充パレット」は、パレタイザ3によって物品をピッキングされている「現在の補充パレット」の後に、パレタイザ3によって物品をピッキングされる補充パレットである。
【0035】
[完成パレット順番の更新処理]
以下、図4図5を参照しながら、制御装置4のCPU10、特に、完成パレット設定部100、物品数比較判定部101、転用候補追加部102、補充パレット残数確認部103、転用候補有無判定部104、及び、順番割当部105の処理について説明する。
【0036】
図4に示すように、制御装置4のCPU10は、倉庫管理システムからピッキングオーダーT1を受信する(ステップS100)。受信したピッキングオーダーT1は、記録媒体14に記録される。
【0037】
次に、制御装置4の完成パレット設定部100は、入力されたピッキングオーダーT1に基づいて、複数種類の物品を積んだ完成パレットを設定する(ステップS101)。ステップS101の処理において、完成パレット設定部100は、ピッキングオーダーT1に基づいて、図5に示す完成パレット単位のピッキングオーダーT2を作成する。具体的に、完成パレット設定部100は、ピッキングオーダーT1に基づいて、所定の出荷先(例えば図3,5に示す出荷先A)に出荷すべき複数種類の物品を、複数の完成パレット(例えば図5に示す複数の完成パレットA1,A2,…)に適切に分配するように設定する。なお、同一の出荷先に出荷すべき同一種類の物品は、同一の完成パレットに配置されることが好ましい。異なる出荷先に出荷される同一種類の物品は、別個の完成パレット(例えば図4に示す完成パレットA2と完成パレットB1)に分けて配置される。
【0038】
次に、物品数比較判定部101は、完成パレットにおける所定種類の物品の数が、所定種類の物品のみを積んだ正パレットにおける所定種類の物品の数の所定割合以上であるか否かを判定する(ステップS102)。
【0039】
完成パレットにおける所定種類の物品の数が正パレットにおける所定種類の物品の数の所定割合以上である、と物品数比較判定部101が判定した場合、転用候補追加部102は、当該完成パレットを転用候補に追加する(ステップS103)。一方、完成パレットにおける所定種類の物品の数が正パレットにおける所定種類の物品の数の所定割合よりも少ない、と物品数比較判定部101が判定した場合、転用候補追加部102は、当該完成パレットを転用候補に追加しない(ステップS104)。
これらステップS102~S104の処理は、完成パレット単位で実施される。
【0040】
全ての完成パレットについてステップS102~S104が適宜実施された後には、制御装置4のCPU10が、全ての完成パレットを順番に並べる(ステップS105)。ステップS105において並べられる完成パレットの順番は、ピッキングシステム1において出荷パレットを作成する暫定的な順番に相当する。
【0041】
ステップS105の後に、補充パレット残数確認部103は、ピッキングオーダーT1に応じて所定数の物品をピッキングした後の補充パレットにおける物品の残数をチェックする(ステップS106)。ピッキングした後の補充パレットにおける物品の残数は、ピッキングオーダーT1におけるリスト(物品の種類と物品の数とが1対1で対応する物品種類)単位でチェックされる。
当該物品の残数は、全てのリスト(物品品種)についてチェックされてよいが、例えば、転用候補の完成パレットに含まれる物品種類のうち、物品の数が正パレットにおける物品数の所定割合以上の物品種類については、補充パレットにおける物品の残数がチェックされなくてもよい。
【0042】
その後、転用候補有無判定部104は、補充パレットにおける所定種類の物品の残数と一致する数の所定種類の物品を有する完成パレットが、転用候補の完成パレットに存在するか否かを判定する(ステップS107)。ステップS107において取り上げられる補充パレットにおける物品の残数は、正パレットにおける物品数の所定割合以上となるものに限られてよい。補充パレットにおける所定種類の物品の残数と完成パレットにおける所定種類の物品の数とが一致する完成パレットが、完成パレットの転用候補に存在することは、ある補充パレットにおける所定種類の物品の残数が、ある転用候補となっている完成パレットにおいて所定種類の物品の数と一致し、かつ、正パレットにおける所定種類の物品数の所定割合以上であることを意味する。
【0043】
補充パレットにおける所定種類の物品の残数と完成パレットにおける所定種類の物品の数とが一致する完成パレットが、完成パレットの転用候補に存在する、と転用候補有無判定部104が判定した場合、順番割当部105は、転用候補の完成パレットの順番を、ピッキングオーダーT1に応じて所定種類の物品を有する補充パレットから所定数の物品をピッキングして構成される別の完成パレットの直後に割り当てる(ステップS108)。一方、補充パレットにおける所定種類の物品の残数と完成パレットにおける所定種類の物品の数とが一致する完成パレットが、完成パレットの転用候補に存在しない、と転用候補有無判定部104が判定した場合、順番割当部105は、転用候補の完成パレットの順番の割り当てを実施しない(ステップS109)。これらステップS107~S109の処理は、転用候補の完成パレット単位で実施される。
【0044】
[完成パレット単位での物品の積付順番の更新処理]
次に、図6を参照しながら、制御装置4の荷種判定部200及び積付順番設定部201の処理について説明する。以下で説明する処理は、図4に示した全ての処理の後に行われるものとして説明する。
【0045】
図6に示すように、荷種判定部200は、所定の完成パレットに積まれる物品種類に、所定の完成パレットの直前の完成パレットの最後に積み付けられる末尾物品種類が含まれているか否かを判定する(ステップS200)。
【0046】
所定の完成パレットに積まれる物品種類に、直前の完成パレットの最後に積み付けられる末尾物品種類が含まれている、と荷種判定部200が判定した場合、積付順番設定部201は、末尾物品種類を、所定の完成パレットにおいて最初に積まれる物品種類に設定する(ステップS201)。すなわち、積付順番設定部201は、所定の完成パレットにおいて積まれる物品種類の順番を更新する。一方、所定の完成パレットに積まれる物品種類に、直前の完成パレットの最後に積み付けられる末尾物品種類が含まれていない、と荷種判定部200が判定した場合、積付順番設定部201は、所定の完成パレットにおいて積まれる物品種類の順番を更新しない(ステップS202)。
【0047】
上記したステップS201又はS202の後に、荷種判定部200は、所定の完成パレットに積まれる物品種類に、所定の完成パレットの直後の完成パレットの最初に積み付けられる先頭物品種類が含まれているか否かを判定する(ステップS203)。
【0048】
所定の完成パレットに積まれる物品種類に、直後の完成パレットの最初に積み付けられる先頭物品種類が含まれている、と荷種判定部200が判定した場合、積付順番設定部201は、先頭物品種類を所定の完成パレットにおいて最後に積まれる物品種類に設定する(ステップS204)。すなわち、積付順番設定部201は、所定の完成パレットにおいて積まれる物品種類の順番を更新する。一方、所定の完成パレットに積まれる物品種類に、直後の完成パレットの最初に積み付けられる先頭物品種類が含まれていない、と荷種判定部200が判定した場合、積付順番設定部201は、所定の完成パレットにおいて積まれる物品種類の順番を更新しない(ステップS205)。
上記したステップS200~S205は、完成パレット単位で実施される。
【0049】
なお、図6に示す処理において、ステップS203~S205の処理は、例えばステップS200~S202の処理の前に実施されてもよい。
また、図6に示す処理は、図4に示した全ての処理の後に行われることに限らず、例えば図4におけるステップS101の処理の後に続けて行われてもよい。
【0050】
[補充パレットの搬送先の選択処理]
次に、図7を参照しながら、制御装置4の第一時間比較判定部300及び搬送指示部301の処理について説明する。以下で説明する処理は、図6に示した全ての処理の後に行われるものとして説明する。
【0051】
図7に示すように、第一時間比較判定部300は、パレタイザ3において同一の補充パレットを再度使用するまでの推定時間が、所定の第一判定閾値以下であるか否かを判定する(ステップS301)。第一時間比較判定部300による推定時間の判定は、ピッキングオーダーT1におけるリスト(物品の種類と物品の数とが1対1で対応する物品種類)単位で実施される。
【0052】
推定時間が第一判定閾値以下である、と第一時間比較判定部300が判定した場合、搬送指示部301は、無人搬送デバイス2によって補充パレットをパレタイザ3から仮置き場7に搬送させる(ステップS302)。一方、推定時間が第一判定閾値よりも大きい、と第一時間比較判定部300が判定した場合、搬送指示部301は、無人搬送デバイス2によって補充パレットをパレタイザ3から保管エリア5に搬送させる(ステップS303)。すなわち、ステップS301~S303では、仮置き場7を使用するか否かを、ピッキングオーダーT1におけるリスト単位で判定する。
【0053】
[無人搬送デバイスのタスク割当処理]
次に、図7を参照しながら、制御装置4の作業時間推定部302、第二時間比較判定部303及びタスク割当部304の処理について説明する。以下で説明する処理は、図6に示した全ての処理の後に行われるものとして説明する。
【0054】
作業時間推定部302は、パレタイザ3が同一の補充パレットから物品をピッキングする作業時間を推定する(ステップS300)。作業時間推定部302による作業時間の推定は、ピッキングオーダーT1における「物品の種類」毎に行われる。図7において、ステップS300の処理は、前述したステップS301~S303の処理の前に実施されるが、例えばステップS301~S303の処理の後に実施されてもよい。
【0055】
第二時間比較判定部303は、パレタイザ3が所定の補充パレットから物品をピッキングする推定作業時間が、所定の第二判定閾値以上であるか否かを判定する(ステップS304)。ステップS304において使用する推定作業時間は、前述したステップS300の処理において推定した作業時間である。
【0056】
推定作業時間が第二判定閾値以上である、と第二時間比較判定部303が判定した場合、タスク割当部304は、無人搬送デバイス2に、次の補充パレットをパレタイザ3に搬送せずに仮置き場7に搬送するタスクを割り当てる(ステップS305)。一方、推定作業時間が第二判定閾値よりも小さい、と第二時間比較判定部303が判定した場合、タスク割当部304は、無人搬送デバイス2に、次の補充パレットをパレタイザ3に搬送するタスクを割り当てる(ステップS306)。本実施形態において、ステップS305及びステップS306においてタスク割当部304が所定のタスクを割り当てる主な対象は無人搬送車2Bであるが、当該対象には例えば無人フォークリフト2Aが含まれてもよい。
ステップS305の処理においては、例えば、タスク割当部304が無人搬送デバイス2(特に無人搬送車2B)に、他のタスクを割り当ててもよい。他のタスクには、例えば空のパレットや搬送架台を搬送するタスクなどがある。
【0057】
図7において、上記したステップS304~S306の処理は、ステップS301~S303の処理の後に実施されるが、少なくともステップS300の処理の後に実施されればよい。このため、ステップS304~S306の処理は、例えばステップS301~S303の処理の前に実施されてもよい。
図7に示す全ての処理は、図4,6に示した全ての処理の後に行われることに限らず、例えば図4におけるステップS101の処理の後に続けて行われてもよい。
【0058】
[作用、効果]
本実施形態のピッキングシステム1では、完成パレットにおける所定種類の物品の数が、所定種類の物品のみを積んだ正パレットにおける所定種類の物品の数の所定割合以上である、と物品数比較判定部101が判定した場合、転用候補追加部102が完成パレットを転用候補に追加する。そして、ピッキングオーダーT1に応じて所定数の物品をピッキングした後の補充パレットにおける所定種類の物品の残数と完成パレットにおける所定種類の物品の数とが一致する完成パレットが、完成パレットの転用候補に存在する、と転用候補有無判定部104が判定した場合、順番割当部105が、転用候補の完成パレットの順番を、ピッキングオーダーT1に応じて所定種類の物品を有する補充パレットから所定数の物品をピッキングして構成される別の完成パレットの直後に割り当てる。
【0059】
これにより、パレタイザ3が所定種類の物品を有する補充パレットから所定数の物品をピッキングして別の完成パレットに積み付けた後に残った補充パレットを、次の完成パレットに転用することができる。ここで、残った補充パレットにおける所定種類の物品の数は、正パレットにおける物品数の所定割合以上であり、次の完成パレットにおいて設定されている所定種類の物品の数と一致する。
【0060】
このように、残った補充パレットを次の完成パレットに転用することで、パレタイザ3による次の完成パレットへの所定種類の物品の積み付けを省略することができる。また、無人搬送デバイス2によって補充パレットをパレタイザ3に供給(搬送)する回数を削減することもできる。すなわち、パレタイザ3及び無人搬送デバイス2の作業量を削減することができる。したがって、より少ない台数のロボット(パレタイザ3、無人搬送デバイス2)によって、複数種類の物品をパレットに所定数積み付ける処理を効率よく行うことが可能となる。
【0061】
また、本実施形態のピッキングシステム1では、所定の完成パレットに積まれる物品種類に、直前の完成パレットの最後に積み付けられる末尾物品種類が含まれている、と荷種判定部200が判定した場合、積付順番設定部201が末尾物品種類を所定の完成パレットにおいて最初に積まれる物品種類に設定する。このため、パレタイザ3は、補充パレットに積まれた同一種類の物品を、ある完成パレットの最後に積み付けた後、次の完成パレットの最初に積み付けることができる。すなわち、同一の補充パレットに積まれた物品を、連続する2つの完成パレットに積み付けることができる。これにより、無人搬送デバイス2によって同一種類の補充パレットをパレタイザ3に供給(搬送)する回数を削減することができる。すなわち、無人搬送デバイス2の作業量を削減することができる。したがって、より少ない台数の無人搬送デバイス2によって、複数種類の物品をパレットに所定数積み付ける処理を効率よく行うことが可能となる。
【0062】
また、本実施形態のピッキングシステム1では、所定の完成パレットに積まれる物品種類に、直後の完成パレットの最初に積み付けられる先頭物品種類が含まれている、と荷種判定部200が判定した場合、積付順番設定部201が先頭物品種類を所定の完成パレットにおいて最後に積まれる物品種類に設定する。このため、パレタイザ3は、補充パレットに積まれた同一種類の物品を、所定の完成パレットの最後に積み付けた後、直後の完成パレットの最初に積み付けることができる。すなわち、同一の補充パレットに積まれた物品を、連続する2つの完成パレットに積み付けることができる。これにより、無人搬送デバイス2によって同一種類の補充パレットをパレタイザ3に供給(搬送)する回数を削減することができる。すなわち、無人搬送デバイス2の作業量を削減することができる。したがって、より少ない台数の無人搬送デバイス2によって、複数種類の物品をパレットに所定数積み付ける処理を効率よく行うことが可能となる。
【0063】
また、本実施形態のピッキングシステム1では、パレタイザ3において同一の補充パレットを再度使用するまでの推定時間が第一判定閾値以下である、と第一時間比較判定部300が判定した場合、無人搬送デバイス2が、補充パレットを保管エリア5まで戻さず、保管エリア5よりもパレタイザ3に近い仮置き場7に搬送する。これにより、無人搬送デバイス2の作業量を削減することができる。したがって、より少ない台数の無人搬送デバイス2によって、複数種類の物品をパレットに所定数積み付ける処理を効率よく行うことが可能となる。
【0064】
また、本実施形態のピッキングシステム1では、第一判定閾値が、無人搬送デバイス2によって、補充パレットをパレタイザ3から保管エリア5に返却し、その後、補充パレットを保管エリア5からパレタイザ3まで搬送する往復時間に相当する値として定められている。これにより、無人搬送デバイス2の作業量を効率よく削減することができる。
【0065】
また、本実施形態のピッキングシステム1では、パレタイザ3が所定の補充パレットから物品をピッキングする作業推定時間が第二判定閾値以上である、と第二時間比較判定部303が判定した場合、無人搬送デバイス2が、次の補充パレットをパレタイザ3まで搬送せずに仮置き場7に搬送する。これにより、次の補充パレットを仮置き場7に置いたままとすることができる。このため、タスク割当部304は、当該無人搬送デバイス2に、他のタスク(例えば空のパレットや搬送架台を搬送するタスク)を割り当てることができる。すなわち、無人搬送デバイス2の待機時間を削減することができる。したがって、より少ない台数の無人搬送デバイス2によって、複数種類の物品をパレットに所定数積み付ける処理を効率よく行うことが可能となる。
【0066】
以上、本開示の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこれらの実施形態によって限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0067】
例えば、上記の実施形態では、制御装置4のCPU10が、完成パレット設定部100、物品数比較判定部101、転用候補追加部102、補充パレット残数確認部103、転用候補有無判定部104、順番割当部105、荷種判定部200、積付順番設定部201、第一時間比較判定部300、搬送指示部301、作業時間推定部302、第二時間比較判定部303、及び、タスク割当部304を、全て備える、としたが、これに限ることはない。
【0068】
CPU10は、例えば、完成パレット設定部100、物品数比較判定部101、転用候補追加部102、補充パレット残数確認部103、転用候補有無判定部104、及び、順番割当部105だけを備えてもよい。
また、CPU10は、例えば荷種判定部200及び積付順番設定部201だけを備えてもよい。
また、CPU10は、例えば第一時間比較判定部300及び搬送指示部301だけを備えてもよい。
また、CPU10は、例えば作業時間推定部302、第二時間比較判定部303、及び、タスク割当部304だけを備えてもよい。
【0069】
本開示において、ピッキングシステム1の制御装置4が実行する各種処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体14に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって上記各種処理が行われる。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体14とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0070】
上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。更に、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0071】
また、本開示において、ピッキングシステム1の制御装置4は、内部にCPU10を具備し、当該CPU10がプログラムに従って上記処理を実行する態様の他、ハードウェアのみで実現することとしてもよいし、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのカスタムLSIで実現することとしてもよい。
【0072】
<付記>
上述の実施形態に記載のピッキングシステム1は、例えば以下のように把握される。
【0073】
(1)第1の態様に係るピッキングシステム1は、入力されたピッキングオーダーT1に基づいて複数種類の物品を積んだ完成パレットを設定する完成パレット設定部100と、前記完成パレットにおける所定種類の物品の数が、前記所定種類の物品のみを積んだ正パレットにおける前記所定種類の物品の数の所定割合以上であるか否かを判定する物品数比較判定部101と、前記完成パレットにおける前記所定種類の物品の数が前記正パレットにおける前記所定種類の物品の数の所定割合以上である、と判定された場合に、当該完成パレットを転用候補に追加する転用候補追加部102と、前記ピッキングオーダーT1に応じて所定数の物品をピッキングした後の補充パレットにおける前記物品の残数をチェックする補充パレット残数確認部103と、前記補充パレットにおける前記所定種類の物品の残数と一致する数の前記所定種類の物品を有する前記完成パレットが、転用候補の前記完成パレットに存在するか否かを判定する転用候補有無判定部104と、前記補充パレットにおける前記所定種類の物品の残数と前記完成パレットにおける前記所定種類の物品の数とが一致する前記完成パレットが、前記完成パレットの転用候補に存在する、と判定された場合に、転用候補の前記完成パレットの順番を、前記ピッキングオーダーT1に応じて前記所定種類の物品を有する補充パレットから所定数の物品をピッキングして構成される別の前記完成パレットの直後に割り当てる順番割当部105と、を有するピッキングシステム1である。
【0074】
上記の構成では、パレタイザ3が所定種類の物品を有する補充パレットから所定数の物品をピッキングして別の完成パレットに積み付けた後に残った補充パレットを、次の完成パレットに転用することができる。ここで、残った補充パレットにおける所定種類の物品の数は、正パレットにおける物品数の所定割合以上であり、次の完成パレットにおいて設定されている所定種類の物品の数と一致する。
このように、残った補充パレットを次の完成パレットに転用することで、パレタイザ3による次の完成パレットへの所定種類の物品の積み付けを省略することができる。また、無人搬送デバイス2によって補充パレットをパレタイザ3に供給(搬送)する回数を削減することもできる。すなわち、パレタイザ3及び無人搬送デバイス2の作業量を削減することができる。したがって、より少ない台数のロボット(パレタイザ3、無人搬送デバイス2)によって、複数種類の物品をパレットに所定数積み付ける処理を効率よく行うことが可能となる。
【0075】
(2)第2の態様に係るピッキングシステム1は、所定の前記完成パレットに積まれる物品種類に、所定の前記完成パレットの直前の前記完成パレットの最後に積み付けられる末尾物品種類が含まれているか否かを判定する荷種判定部200と、所定の前記完成パレットに積まれる物品種類に、直前の前記完成パレットの最後に積み付けられる末尾物品種類が含まれている、と判定された場合に、前記末尾物品種類を、所定の前記完成パレットにおいて最初に積まれる物品種類に設定する積付順番設定部201と、を有する(1)に記載のピッキングシステム1である。
【0076】
上記の構成では、所定の完成パレットに積まれる物品種類に、直前の完成パレットの最後に積み付けられる末尾物品種類が含まれている、と荷種判定部200が判定した場合、積付順番設定部201が末尾物品種類を所定の完成パレットにおいて最初に積まれる物品種類に設定する。このため、パレタイザ3は、補充パレットに積まれた同一種類の物品を、ある完成パレットの最後に積み付けた後、次の完成パレットの最初に積み付けることができる。すなわち、同一の補充パレットに積まれた物品を、連続する2つの完成パレットに積み付けることができる。これにより、無人搬送デバイス2によって同一種類の補充パレットをパレタイザ3に供給(搬送)する回数を削減することができる。すなわち、無人搬送デバイス2の作業量を削減することができる。したがって、より少ない台数の無人搬送デバイス2によって、複数種類の物品をパレットに所定数積み付ける処理を効率よく行うことが可能となる。
【0077】
(3)第3の態様に係るピッキングシステム1は、パレタイザ3において同一の補充パレットを再度使用するまでの推定時間が、所定の第一判定閾値以下であるか否かを判定する第一時間比較判定部300と、前記推定時間が前記第一判定閾値以下である、と判定された場合に、無人搬送デバイス2によって前記補充パレットを前記パレタイザ3から仮置き場7に搬送させ、前記推定時間が前記第一判定閾値よりも大きい、と判定された場合に、前記無人搬送デバイス2によって前記補充パレットを前記パレタイザ3から保管エリア5に搬送させる搬送指示部301と、を有する(1)又は(2)に記載のピッキングシステム1である。
【0078】
上記の構成では、パレタイザ3において同一の補充パレットを再度使用するまでの推定時間が第一判定閾値以下である、と第一時間比較判定部300が判定した場合、無人搬送デバイス2が、補充パレットを保管エリア5まで戻さず、保管エリア5よりもパレタイザ3に近い仮置き場7に搬送する。これにより、無人搬送デバイス2の作業量を削減することができる。したがって、より少ない台数の無人搬送デバイス2によって、複数種類の物品をパレットに所定数積み付ける処理を効率よく行うことが可能となる。
【0079】
(4)第4の態様に係るピッキングシステム1は、前記第一判定閾値が、前記無人搬送デバイス2によって、前記補充パレットを前記パレタイザ3から前記保管エリア5に返却し、その後、前記補充パレットを前記保管エリア5からパレタイザ3まで搬送する往復時間に相当する値として定められている(3)に記載のピッキングシステム1である。
【0080】
上記の構成では、無人搬送デバイス2の作業量を効率よく削減することができる。
【0081】
(5)第5の態様に係るピッキングシステム1は、パレタイザ3が同一の補充パレットから物品をピッキングする作業時間を推定する作業時間推定部302と、前記パレタイザ3が所定の補充パレットから物品をピッキングする推定作業時間が、所定の第二判定閾値以上であるか否かを判定する第二時間比較判定部303と、前記推定作業時間が前記第二判定閾値以上である、と判定された場合に、無人搬送デバイス2に、次の補充パレットを前記パレタイザ3に搬送せずに仮置き場7に搬送するタスクを割り当て、前記推定作業時間が前記第二判定閾値よりも小さい、と判定された場合に、前記無人搬送デバイス2に、次の補充パレットを前記パレタイザ3に搬送するタスクを割り当てるタスク割当部304と、を有する(1)から(4)のいずれか一項に記載のピッキングシステム1である。
【0082】
上記の構成では、パレタイザ3が所定の補充パレットから物品をピッキングする作業推定時間が第二判定閾値以上である、と第二時間比較判定部303が判定した場合に、無人搬送デバイス2が、次の補充パレットをパレタイザ3まで搬送せずに仮置き場7に搬送する。これにより、次の補充パレットを仮置き場7に置いたままとすることができる。このため、タスク割当部304は、当該無人搬送デバイス2に、他のタスク(例えば空のパレットや搬送架台を搬送するタスク)を割り当てることができる。すなわち、無人搬送デバイス2の待機時間を削減することができる。したがって、より少ない台数の無人搬送デバイス2によって、複数種類の物品をパレットに所定数積み付ける処理を効率よく行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0083】
1 ピッキングシステム
2 無人搬送デバイス
3 パレタイザ
5 保管エリア
6 積付エリア
7 仮置き場
100 完成パレット設定部
101 物品数比較判定部
102 転用候補追加部
103 補充パレット残数確認部
104 転用候補有無判定部
105 順番割当部
200 荷種判定部
201 積付順番設定部
300 第一時間比較判定部
301 搬送指示部
302 作業時間推定部
303 第二時間比較判定部
304 タスク割当部
T1 ピッキングオーダー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7