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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032181
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】シートスライド装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/07 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
B60N2/07
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135691
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】521452902
【氏名又は名称】アディエント ユーエス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ミンホ
(72)【発明者】
【氏名】後藤 美空
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087BA02
3B087BA03
3B087BB03
3B087BB05
(57)【要約】
【課題】軽量化を図りつつ必要なシート強度を得ることができるシートスライド装置を提供する。
【解決手段】アッパーレール50F、50Rは、ロアレール30F、30R内に収容される下端部から、レール溝36F、36Rを介して上方に延出する縦壁状に形成されたアッパーレール本体部51F、51Rと、アッパーレール本体部51F、51Rの上端部に一体に成形されたメンバ支持部55F、55Rと、を備えている。メンバ支持部55F、55Rは、左側のクッションサイドメンバ111Ltから右側のクッションサイドメンバ111Rtまで左右方向に延在し、左右のクッションサイドメンバ111Lt、111Rtにそれぞれ連結されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員が着座するシートと、
前記シートを左右方向にスライドする横スライド機構と、を有し、
前記横スライド機構は、
前後方向に離隔して配置されており、左右方向に延在するレール溝が設けられた前後のロアレールと、
前記前後のロアレールに対応して前後方向に離隔して配置されており、前記前後のロアレールによって左右方向への移動が案内される前後のアッパーレールと、を有し、
前記シートは、
左右方向に離隔して配置された左右のクッションサイドメンバを備えたシートクッションを備え、
前記前後のアッパーレールのそれぞれは、
前記ロアレール内に収容される下端部から、前記レール溝を介して上方に延出する縦壁状に形成されたアッパーレール本体部と、
前記アッパーレール本体部の上端部に一体に成形されたメンバ支持部と、を備え、
前記メンバ支持部は、
前記左側のクッションサイドメンバから前記右側のクッションサイドメンバまで左右方向に延在し、前記左右のクッションサイドメンバにそれぞれ連結されている
シートスライド装置。
【請求項2】
前記メンバ支持部は、
前記クッションサイドメンバの前後端部における下縁部の形状に沿うように形成された第1支持面と、
前記クッションサイドメンバの前後端部の前後縁部に沿って立ち上がるように形成された第2支持面と、を備える
請求項1記載のシートスライド装置。
【請求項3】
前記メンバ支持部は、
シートベルトアンカが取り付けられる固定部である
請求項1又は2記載のシートスライド装置。
【請求項4】
前記後側のロアレール及び前記後側のアッパーレールは、
前記シート及び前記シートに着座した乗員の重心位置の下方に配置される
請求項1又は2記載のシートスライド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートスライド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用シートを左右方向へ移動させるシートスライド装置が知られている。特許文献1には、左右方向に延びるロアレールと、シートが取り付けられて、ロアレールに沿って移動するアッパーレールと、を有する横スライド機構が開示されている。また、特許文献2にも同様の機構が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6966673号公報
【特許文献2】特開2020-19410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の機構によれば、シートの強度を得るために、シートに対して補剛部材を設ける必要があり、シート重量が増加してしまうという不都合があった。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、軽量化を図りつつ必要なシート強度を得ることができるシートスライド装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の第1の態様にかかるシートスライド装置は、乗員が着座するシートと、シートを左右方向にスライドする横スライド機構と、を有し、横スライド機構は、前後方向に離隔して配置されており、左右方向に延在するレール溝が設けられた前後のロアレールと、前後のロアレールに対応して前後方向に離隔して配置されており、前後のロアレールによって左右方向への移動が案内される前後のアッパーレールと、を有し、シートは、左右方向に離隔して配置された左右のクッションサイドメンバを備えたシートクッションを備え、前後のアッパーレールのそれぞれは、ロアレール内に収容される下端部から、レール溝を介して上方に延出する縦壁状に形成されたアッパーレール本体部と、アッパーレール本体部の上端部に一体に成形されたメンバ支持部と、を備え、メンバ支持部は、左側のクッションサイドメンバから右側のクッションサイドメンバまで左右方向に延在し、左右のクッションサイドメンバにそれぞれ連結されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、軽量化を図りつつ必要なシート強度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、シートスライド装置が適用される車両用シートを示す斜視図である。
図2図2は、横スライド機構及びクッションサイドメンバを示す斜視図である。
図3図3は、前後の横スライド機構を示す側面図である。
図4図4は、後側の横スライド機構の要部を拡大して示す側面図である。
図5図5は、前側の横スライド機構の腰部を拡大して示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、実施形態に係る車両用シートスライド装置について説明する。本明細書では、車両における左右方向、前後方向、及び上下方向を基準に、シートスライド装置における左右方向、前後方向、及び上下方向を定義する。左右方向及び前後方向は、水平面内において直交する2つの方向に対応し、上下方向は、鉛直方向に対応する。
【0010】
図1において、シートスライド装置1は、車両床面において車両用シートを移動させる装置である。このシートスライド装置1は、自動車(車両の一例)の前後方向に配列された複数列のシート、例えば3列のシートのうち、2列目のシート100に適用されている。
【0011】
シート100は、一人乗り用のシートである。図1には1つのシート100のみが描かれているが、車両には、一対のシート100が、左右方向に所定の距離だけ離隔して配置されている。シートスライド装置1は、シート100毎に設けられている。
【0012】
シート100は、シートクッション110と、シートバック120と、ヘッドレスト130とを有している。シートクッション110は、着座した乗員の臀部から下方を支持し、シートバック120は、着座した乗員の腰部及び背中を支持する。ヘッドレスト130は、シートバック120の上部に取り付けられ、着座した乗員の頭部を支持する。
【0013】
シートスライド装置1は、シート100を前後方向に移動するための縦スライド機構2を備えている。
【0014】
縦スライド機構2は、左右のロアレール20Lt、20Rtと、左右のロアレール20Lt、20Rtに対応して設けられた左右のアッパーレール(図示せず)と、を有している。
【0015】
左右のロアレール20Lt、20Rtは、左右方向に所定距離だけ離隔した状態で、車両床面に取り付けられている。左右のロアレール20Lt、20Rtは、前後方向に延在しており、平行に配置されている。
【0016】
ロアレール20Lt、20Rtの横断面形状は、矩形枠形状を有している。ロアレール20Lt、20Rtの上面には、前後方向に沿って延在するレール溝21Lt、21Rtが設けられている。ロアレール20Lt、20Rtは、アルミニウムなどの金属材料を用いて、押し出し成形によって形成されている。
【0017】
アッパーレールは、ロアレール20Lt、20Rtに対してスライド可能に取り付けられる。アッパーレールは、ロアレール20Lt、20Rtによって案内されることにより、前後方向に移動する。アッパーレールは、アルミニウムなどの金属材料を用いて、押し出し成形によって形成されている。
【0018】
図2に示すように、シートスライド装置1は、シート100を左右方向に移動するための横スライド機構3を備えている。横スライド機構3は、縦スライド機構2における左右のアッパーレールに連結されており、左右のアッパーレールの前後方向の移動に連動して、前後方向へ移動することができる。
【0019】
横スライド機構3は、前後のロアレール30F、30Rと、前後のロアレール30F、30Rに対応して設けられた前後のアッパーレール50F、50Rとを有している。
【0020】
前後のロアレール30F、30Rは、前後方向に所定距離だけ離隔して配置されている。前後のロアレール30F、30Rは、左右方向に延在しており、平行に配置されている。個々のロアレール30F、30Rは、縦スライド機構2における左右のアッパーレールに跨がるように、左右のアッパーレールに対して固定されている。
【0021】
ロアレール30F、30Rの上面には、左右方向に延在するレール溝36F、36Rが設けられている。ロアレール30F、30Rは、アルミニウムなどの金属材料を用いて、押し出し成形によって形成されている。
【0022】
前後のアッパーレール50F、50Rは、前後のロアレール30F、30Rに対してスライド可能に取り付けられている。具体的には、前側のアッパーレール50Fは、前側のロアレール30Fに対してスライド可能に取り付けられている。前側のアッパーレール50Fは、前側のロアレール30Fによって案内されることにより、左右方向に移動する。後側のアッパーレール50Rは、後側のロアレール30Rに対してスライド可能に取り付けられている。後側のアッパーレール50Rは、後側のロアレール30Rによって案内されることにより、左右方向に移動する。
【0023】
シートクッション110の内部には、左右方向に離隔して配置された左右のクッションサイドメンバ111Lt、111Rtが設けられている。左右のクッションサイドメンバ111Lt、111Rtは、シートクッション110の前部において左右に延びるフロントフレーム112に連結されて、前方から後方へと延在している。前後のアッパーレール50F、50Rは、左側のクッションサイドメンバ111Ltから右側のクッションサイドメンバ111Rtまで左右方向に延在し、ボルト及びナットなどの締結具(図示省略)により、左右のクッションサイドメンバ111Lt、111Rtに連結されている。
【0024】
このように、アッパーレール50F、50Rは、左右方向に延在しつつ、左右のクッションサイドメンバ111Lt、111Rtにそれぞれ連結されている。左右のクッションサイドメンバ111Lt、111Rtは、アッパーレール50F、50Rによって繋がれ、これにより、シートクッション110、ひいてはシート100に対して剛性を付与する。また、アッパーレール50F、50Rは、クッションサイドメンバ111Lt、111Rtを下方から支持する。前後のアッパーレール50F、50Rは、アルミニウムなどの金属材料を用いて、押し出し成形によって形成されている。
【0025】
以下、図3及び図4を参照し、後側のロアレール30R及び後側のアッパーレール50Rの詳細な構造について説明する。後側のロアレール30R及び後側のアッパーレール50Rは、シート100及び当該シート100に着座した乗員(例えば標準体型の乗員)の重心位置を想定し、当該重心位置の下方又はその近傍となるように配置されている。すなわち、後側のロアレール30R及び後側のアッパーレール50Rは、前側のロアレール30F及び前側のアッパーレール50Fと比べ、重心位置までの距離が近くなるように配置されている。
【0026】
図3に示すように、後側のロアレール30Rは、ロアレール本体部31Rと、基部40Rと、を備えている。
【0027】
図4に示すように、ロアレール本体部31Rは、後側のアッパーレール50Rの移動をガイドするための空間SRを形成している。ロアレール本体部31Rは、レール底壁32Rと、一対のレール側壁33Rと、一対のレール頂壁34Rとを主体に構成されている。レール底壁32R、一対のレール側壁33R、及び一対のレール頂壁34Rは、一体に形成されている。
【0028】
レール底壁32Rは、基部40Rの上端部40aRに固定されている。レール底壁32Rは、前後方向の中央部に向かって下り傾斜となるような前後の傾斜面32aR、32bRを備えている。
【0029】
レール底壁32Rには、後側のアッパーレール50Rが移動するためのローラー機構35Rが設けられている。ローラー機構35Rは、前側の傾斜面32aRに回転自在に配置される前側のローラー35aRと、後側の傾斜面32bRに回転自在に配置される後側のローラー35bRとで構成されている。前後のローラー35aR、35bRは、例えばポリアセタール樹脂によって形成されている。
【0030】
前後のローラー35aR、35bRの上端は、前後の傾斜面32aR、32bRに設けられた開口を介して、空間SR内に突出している。前後のローラー35aR、35bRの上端により、空間SR内のアッパーレール50Rが支持される。前後のローラー35aR、35bRの回転軸CaR、CbRは、前後の傾斜面32aR、32bRの傾斜に沿って配置されている。これにより、前後のローラー35aR、35bRは、ロアレール30Rを支持するローラー上端側が互いに近づくように傾斜した状態で配置されている。
【0031】
一対のレール側壁33Rは、レール底壁32Rの前後の縁辺部から鉛直上方にそれぞれ立ち上がっている。一方のレール側壁33Rは、レール底壁32Rの前側縁辺部に位置し、他方のレール側壁33Rは、レール底壁32Rの後側縁辺部に位置している。
【0032】
一対のレール頂壁34Rは、一対のレール側壁33Rの上側縁辺部に設けられており、互いに向かい合うように前後方向に延出している。各レール頂壁34Rの縁辺部34aR、34bRの間には一定の隙間が設けられており、この隙間によりレール溝36Rが形成される。前後方向におけるレール溝36Rの幅は、アッパーレール50Rの厚さよりも大きくなるように設定されている。
【0033】
基部40Rは、ロアレール本体部31Rを支持する。基部40Fは、ロアレール30Rを縦スライド機構2に固定するためのプレート状の部材である。
【0034】
図3に示すように、後側のアッパーレール50Rは、アッパーレール本体部51Rと、アッパーレール本体部51Rの上端に一体に成形されたメンバ支持部55Rと、を備えている。
【0035】
図4に示すように、アッパーレール本体部51Rは、ロアレール30Rのレール溝36Rを介して上方に延出する縦壁状に形成されている。アッパーレール本体部51Rの下端部52Rは、ロアレール本体部31Rの空間SR内に収容されている。
【0036】
アッパーレール本体部51Rの下端部52Rには、前後のローラー35aR、35bRの上端が当接するための前後の受け面52aR、52bRが形成されている。前後の受け面52aR、52bRは、前後方向の中央部に向かってそれぞれ下り傾斜となるような斜面形状に形成されている。
【0037】
図3に示すように、メンバ支持部55Rは、左右のクッションサイドメンバ111Lt、111Rtを支持する。メンバ支持部55Rは、前側に位置する第1支持面55aR、後側に位置する第2支持面55bRとで構成されている。第1支持面55aRは、クッションサイドメンバ111Lt、111Rtの後端部Eにおける下縁部E1を支持する部位であり、下縁部E1に沿うような面形状に形成されている。第2支持面55bRは、クッションサイドメンバ111Lt、111Rtの後端部Eにおける後縁部E2を支持する部位であり、後縁部E2の傾斜に沿って立ち上がるような斜面形状に形成されている。
【0038】
第1支持面55aRは、クッションサイドメンバ111Lt、111Rtの下縁部E1と締結されている。第2支持面55bRは、クッションサイドメンバ111Lt、111Rtの後縁部E2と締結されている。第1支持面55aRは、シートベルトアンカが取り付けられる固定部としても利用される。
【0039】
図2に示すように、アッパーレール50Rには、アッパーレール50Rの左右方向の移動をロックするロック機構57Rが設けられている。ロック機構57Rは、鋼製のベースプレート(図示せず)を介して、アッパーレール50Rに固定されている。
【0040】
ロック機構57Rは、回転可能に支持された軸58Rと、軸58Rに取り付けられた係合爪59Rとを備えている。係合爪59Rがロアレール30Rに設けられた係合穴37Rに進入することで、アッパーレール50Rの移動がロックされる。軸58Rは、乗員が操作可能なレバーの操作に応じて回転する。軸58Rが回転すると係合爪59Rも回転し、係合爪59Rがロアレール30Rの係合穴37Rから外れる。これにより、アッパーレール50Rに対して左右方向の移動が許容される。
【0041】
図4に示すように、レール溝36Rを隔てて向かい合うレール頂壁34Rの縁辺部34aR、34bRには、第1スライダー38aR、38bRが設けられている。第1スライダー38aR、38bRは、例えばポリアセタール樹脂によって形成されている。
【0042】
第1スライダー38aR、38bRは、縁辺部34aR、34bRを覆うように設けられており、第1スライダー38aR、38bRの外周部は、アッパーレール本体部51Rに対して接触する。個々のスライダー38aR、38bRは、アッパーレール本体部51Rと縁辺部34aR、34bRとの隙間を埋めるように介在することで、アッパーレール50Rの前後移動を規制する。
【0043】
つぎに、図3及び図5を参照し、前側のロアレール30F及び前側のアッパーレール50Fの詳細な構造について説明する。図3に示すように、前側のロアレール30Fは、ロアレール本体部31Fと、基部40Fと、を備えている。
【0044】
図5に示すように、ロアレール本体部31Fは、前側のアッパーレール50Fの走行をガイドするための空間SFを形成している。ロアレール本体部31Fは、レール底壁32Fと、一対のレール側壁33Fと、一対のレール頂壁34Fとを主体に構成されている。レール底壁32R、一対のレール側壁33R、及び一対のレール頂壁34Rは、一体に形成されている。
【0045】
レール底壁32Fは、基部40Fの上端部40aFに固定されている。レール底壁32Rは、水平に沿うような平面形状を備えている。
【0046】
レール底壁32Rには、前側のアッパーレール50Fが移動するためのローラー機構35Fが設けられている。ローラー機構35Fは、回転自在に配置されたローラー35aFで構成されている。ローラー35aFは、例えばポリアセタール樹脂によって形成されている。ローラー35aFの上端は、レール底壁32Fに設けられた開口を介して、空間SF内に突出している。ローラー35aFの上端により、空間SF内のアッパーレール50Fが支持される。ローラー35aFの回転軸CaFは、水平に配置されている。これにより、ローラー35aFは、垂直に起立した状態で配置されている。
【0047】
一対のレール側壁33Fは、レール底壁32Fの前後の縁辺部から上方にそれぞれ立ち上がっている。一方のレール側壁33Fは、レール底壁32Fの前側縁辺部に位置し、他方のレール側壁33Fは、レール底壁32Fの後側縁辺部に位置している。
【0048】
一対のレール頂壁34Fは、一対のレール側壁33Fの上側縁辺部に設けられており、互いに向かい合うように前後方向に延出している。各レール頂壁34Fの縁辺部34aF、34bFの間には一定の隙間が設けられており、この隙間により、レール溝36Fが形成される。前後方向におけるレール溝36Fの幅は、アッパーレール50Fの厚さよりも大きくなるように設定されている。
【0049】
基部40Fは、ロアレール本体部31Fを支持する。基部40Fは、ロアレール30Fを縦スライド機構2に固定するためのプレート状の部材である。
【0050】
図3に示すように、前側のアッパーレール50Fは、アッパーレール本体部51Fと、アッパーレール本体部51Fの上端に一体に成形されたメンバ支持部55Fと、を備えている。
【0051】
図5に示すように、アッパーレール本体部51Fは、ロアレール30Fのレール溝36Fを介して上方に延出する縦壁状に形成されている。アッパーレール本体部51Fの下端部52Fは、ロアレール本体部31Rの空間SR内に収容されている。
【0052】
アッパーレール本体部51Fの下端部52Fには、ローラー35aFに対して当接する受け面52aFが形成されている。受け面52aFは、水平に沿うような平面形状に形成されている。
【0053】
図3に示すように、メンバ支持部55Fは、左右のクッションサイドメンバ111Lt、111Rtを支持する。メンバ支持部55Fは、後側に位置する第1支持面55aF、前側に位置する第2支持面55bFとで構成されている。第1支持面55aFは、クッションサイドメンバ111Lt、111Rtの前端部Bにおける下縁部B1を支持する部位であり、下縁部B1に沿うような面形状に形成されている。第2支持面55bFは、クッションサイドメンバ111Lt、111Rtの前端部Bにおける前縁部B2を支持する部位であり、前縁部B2の傾斜に沿って立ち上がるような斜面形状に形成されている。
【0054】
第1支持面55aFは、クッションサイドメンバ111Lt、111Rtの下縁部B1と締結されている。第2支持面55bFは、クッションサイドメンバ111Lt、111Rtの前縁部B2と締結されている。
【0055】
アッパーレール50Fは、アッパーレール50Fの左右方向の移動をロックするロック機構57Rが設けられている。ロック機構57Rは、鋼製のベースプレート(図示せず)を介して、アッパーレール50Fに固定されている。ロック機構57Fは、ロック機構57Rと同様の構成であり、回転可能に軸支された軸58Fと、軸58Fに取り付けられた係合爪59Fとを備えている。
【0056】
図5に示すように、レール溝36Fを隔てて向かい合うレール頂壁34Fの縁辺部34aF、34bFには、第2スライダー38aF、38bFが設けられている。第2スライダー38aF、38bFは、例えばポリアセタール樹脂によって形成されている。
【0057】
第2スライダー38aF、38bFは、縁辺部34aF、34bFを覆うように設けられている。第2スライダー38aF、38bFの外周部は、アッパーレール本体部51Fから離れている。すなわち、縁辺部34aF、34bFに設けられた第2スライダー38aF、38bFと、アッパーレール本体部51Fとの間には、一定の隙間部Gpが設けられている。
【0058】
このような構成の横スライド機構3では、前後のアッパーレール50F、50Rが前後のロアレール30F、30Rにガイドされながら移動することで、シート100を左右方向に沿ってスライド移動することができる。
【0059】
本実施形態のシートスライド装置1において、アッパーレール50F、50Rのそれぞれは、ロアレール30F、30R内に収容される下端部52F、52Rから、レール溝36F、36Rを介して上方に延出する縦壁状に形成されたアッパーレール本体部51F、51Rと、アッパーレール本体部51F、51Rの上端部に一体に成形されたメンバ支持部55F、55Rと、を備えている。メンバ支持部55F、55Rは、左側のクッションサイドメンバ111Ltから右側のクッションサイドメンバ111Rtまで左右方向に延在し、左右のクッションサイドメンバ111Lt、111Rtにそれぞれ連結されている。
【0060】
この構成によれば、左右のクッションサイドメンバ111Lt、111Rtに跨がるようにメンバ支持部55F、55Rが連結されているので、メンバ支持部55F、55Rによってシートクッション110の剛性を補うことができる。メンバ支持部55F、55Rは、アッパーレール本体部51F、51Rに対して一体化されたロアレール30F、30Rの一部であるため、シートクッション110の剛性を補う補剛部材としてロアレール30F、30Rを流用することができる。シートクッション110の剛性を補うために別途の補剛部材を設ける必要がないので、シート重量の増加を抑制することができる。また、メンバ支持部55F、55Rは、アッパーレール本体部51F、51Rに対して一体化されているので、ロアレール30F、30Rの部品点数を増加させることもない。これにより、軽量化を図りつつ必要なシート強度を得ることができる。
【0061】
また、本実施形態において、メンバ支持部55F、55Rは、クッションサイドメンバ111Lt、111Rtの前後端部B、Eにおける下縁部E1、B1の形状に沿うように形成された第1支持面55aF、55aRと、クッションサイドメンバ111Lt、111Rtの前後端部B、Eの前後縁部B2、E2に沿って立ち上がるように形成された第2支持面55bF、55bRと、を備えている。
【0062】
この構成によれば、メンバ支持部55F、55Rが、クッションサイドメンバ111Lt、111Rtの前後端部B、Eの形状に沿って形成されている。これにより、メンバ支持部55F、55Rが、クッションサイドメンバ111Lt、111Rtにおける下縁部E1、B1及び前後縁部E2、B2のそれぞれで剛性を担保することができる。また、クッションサイドメンバ111Lt、111Rtにおける下縁部E1、B1及び前後縁部E2、B2のそれぞれで、メンバ支持部55F、55Rが連結されるので、シートクッション110の剛性を向上させることができる。また、クッションサイドメンバ111Lt、111Rtの前後端部B、Eの形状に沿って屈曲しているので、メンバ支持部55F、55Rについて高い剛性を得ることができる。これにより、シートクッション110の剛性を向上させることができる。
【0063】
また、本実施形態において、メンバ支持部55F、55Rは、高い剛性を備えた部材であるため、シートベルトアンカを取り付ける固定部として利用することができる。これにより、強い負荷が作用するシートベルトアンカの固定を信頼性よく行うことができる。
【0064】
また、本実施形態において、後側のロアレール30R及びアッパーレール50Rは、シート100及び当該シート100に着座した乗員の重心位置の下方に配置される。これにより、シート100及び当該シート100に着座した乗員の重量を、シートクッション110における剛性の高い部位で支えることができる。
【0065】
上述した実施形態では、2列目用シートを対象として、シートスライド装置を説明した。しかしながら、シートスライド装置の適用は、2列目用シート以外のシートであってもよい。また、一人乗り用のシートに限らず、複数人乗り用のシートであってもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 シートスライド装置
2 縦スライド機構
20Lt、20Rt ロアレール
21Lt、21Rt レール溝
3 横スライド機構
30F、30R ロアレール
31F、31R ロアレール本体部
35F、35R ローラー機構
35aF、35aR、35bR ローラー
38aF、38bF 第2スライダー
38aR、38bR 第1スライダー
40F、40R 基部
50F、50R アッパーレール
51F、51R アッパーレール本体部
57F、57R ロック機構
58F、58R 軸
59F、59R 係合爪
100 シート
110 シートクッション
111Lt、111Rt クッションサイドメンバ
112 フロントフレーム
120 シートバック
130 ヘッドレスト
Gp 隙間部
図1
図2
図3
図4
図5