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特開2024-32188決済装置、決済方法及び決済プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032188
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】決済装置、決済方法及び決済プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/40 20120101AFI20240305BHJP
   G06Q 20/06 20120101ALI20240305BHJP
【FI】
G06Q20/40 300
G06Q20/06 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135702
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】519110124
【氏名又は名称】PayPay株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武田 桃太郎
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055AA15
5L055AA75
(57)【要約】
【課題】識別情報を表示可能な媒体を介して、所定のアプリケーションを用いたオフライン決済を実現すること。
【解決手段】本願に係る決済装置は、第1提供部と、第2提供部と、決済処理部とを有する。第1提供部は、利用者端末から、利用者の口座内に所在する電子マネーで決済する際に利用する識別情報の発行要求を受け付けた場合は、口座を示す識別情報であって、発行要求の度に異なる第1の識別情報を提供する。第2提供部は、繰り返し決済可能な第2の識別情報の発行要求を受け付けた場合は、前記口座と紐づく繰り返し決済可能な識別情報を提供する。決済処理部は、識別情報を受け付けた場合は、識別情報と紐づく口座を用いた決済を行う。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者端末から、利用者の口座内に所在する電子マネーで決済する際に利用する識別情報の発行要求を受け付けた場合は、当該口座を示す識別情報であって、発行要求の度に異なる第1の識別情報を提供する第1提供部と、
繰り返し決済可能な識別情報の発行要求を受け付けた場合は、前記口座と紐づく繰り返し決済可能な第2の識別情報を提供する第2提供部と、
識別情報を受け付けた場合は、当該識別情報と紐づく口座を用いた決済を行う決済処理部と、
を有することを特徴とする決済装置。
【請求項2】
前記決済処理部は、
前記第2の識別情報を用いた決済日時が、予め前記利用者に指定された有効期間内であるか否かに基づいて、当該有効期間内である場合に前記決済を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の決済装置。
【請求項3】
前記決済処理部は、
前記第2の識別情報を用いた決済額が、予め前記利用者に指定された与信枠内であるか否かに基づいて、当該与信枠内である場合に前記決済を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の決済装置。
【請求項4】
前記決済処理部は、
前記第2の識別情報を用いた決済が可能な場所が指定された場合は、前記第2の識別情報を用いた決済が可能な場所として指定された場所と決済情報が示す場所とに基づいて認証を行い、当該認証に基づき前記決済を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の決済装置。
【請求項5】
前記決済処理部は、
前記第2の識別情報を用いた決済時、前記識別情報を発行した際の前記利用者端末の位置情報と、決済場所の位置情報とが所定の範囲内であるか否かに基づいて、当該所定の範囲内である場合に前記決済を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の決済装置。
【請求項6】
前記決済処理部は、
前記第2の識別情報の発行時にパスワードが指定された場合は、前記第2の識別情報の発行時に指定されたパスワードと決済先で入力されたパスワードとに基づいて認証を行い、当該認証に基づき前記決済を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の決済装置。
【請求項7】
前記第1提供部は、
識別情報を用いた一度の決済によって使用できなくなる第1の識別情報を提供する
ことを特徴とする請求項1に記載の決済装置。
【請求項8】
前記第1提供部は、
識別情報が提供されてから、決済サービスの提供事業者によって指定された所定の期間内に使用されなかった場合に使用できなくなる識別情報を提供する
ことを特徴とする請求項1に記載の決済装置。
【請求項9】
前記第2提供部は、
与信枠をプリペイド枠としてスタックさせることで発行された前記第2の識別情報を提供し
前記決済処理部は、
前記プリペイド枠から前記決済を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の決済装置。
【請求項10】
前記決済処理部により第2の識別情報を用いた決済が完了した場合には、残った前記プリペイド枠を示す情報を前記利用者端末へ通知する通知部、
を更に有することを特徴とする請求項9に記載の決済装置。
【請求項11】
前記決済処理部は、
有効期間が過ぎた場合、又は、前記利用者が利用終了の操作を行った場合、残った前記プリペイド枠を前記口座の残高へ戻す処理を行う
ことを特徴とする請求項9に記載の決済装置。
【請求項12】
コンピュータが実行する決済方法であって、
利用者端末から、利用者の口座内に所在する電子マネーで決済する際に利用する識別情報の発行要求を受け付けた場合は、当該口座を示す識別情報であって、発行要求の度に異なる第1の識別情報を提供する第1提供工程と、
繰り返し決済可能な識別情報の発行要求を受け付けた場合は、前記口座と紐づく繰り返し決済可能な第2の識別情報を提供する第2提供工程と、
識別情報を受け付けた場合は、当該識別情報と紐づく口座を用いた決済を行う決済処理工程と、
を含むことを特徴とする決済方法。
【請求項13】
利用者端末から、利用者の口座内に所在する電子マネーで決済する際に利用する識別情報の発行要求を受け付けた場合は、当該口座を示す識別情報であって、発行要求の度に異なる第1の識別情報を提供する第1提供手順と、
繰り返し決済可能な識別情報の発行要求を受け付けた場合は、前記口座と紐づく繰り返し決済可能な第2の識別情報を提供する第2提供手順と、
識別情報を受け付けた場合は、当該識別情報と紐づく口座を用いた決済を行う決済処理手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする決済プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、決済装置、決済方法及び決済プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、端末デバイスがオフライン状態である際にオフライン状態で決済できる環境を提供する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2018-522333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、識別情報を表示可能な媒体を介して、利用者端末の所定のアプリケーションを用いたオフライン決済を実現することはできなかった。
【0005】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、識別情報を表示可能な媒体を介して、利用者端末の所定のアプリケーションを用いたオフライン決済を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る決済装置は、利用者端末から、利用者の口座内に所在する電子マネーで決済する際に利用する識別情報の発行要求を受け付けた場合は、当該口座を示す識別情報であって、発行要求の度に異なる第1の識別情報を提供する第1提供部と、繰り返し決済可能な識別情報の発行要求を受け付けた場合は、前記口座と紐づく繰り返し決済可能な第2の識別情報を提供する第2提供部と、識別情報を受け付けた場合は、当該識別情報と紐づく口座を用いた決済を行う決済処理部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、識別情報を表示可能な媒体を介して、利用者端末の所定のアプリケーションを用いたオフライン決済を実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る情報処理の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る決済システムの構成例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る決済サーバの構成例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る発行情報記憶部の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る決済情報記憶部の一例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る利用者端末の構成例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る加盟店端末の構成例を示す図である。
図8図8は、実施形態に係る情報処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、決済サーバの機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る決済装置、決済方法及び決済プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る決済装置、決済方法及び決済プログラムが限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0010】
〔1.実施形態〕
図1を用いて、本実施形態の決済装置等により実現される情報処理について説明する。図1は、実施形態に係る情報処理の一例を示す図である。なお、図1では、本実施形態に係る決済装置の一例である決済サーバ10によって、実施形態に係る情報処理などが実現されるものとする。
【0011】
〔1-1.決済システムの構成〕
図1の説明に先立って、図2を用いて決済システム1の構成について説明する。図2は、実施形態に係る決済システムの構成例を示す図である。図2に示すように、実施形態に係る決済システム1は、決済サーバ10と、利用者端末100と、加盟店端末200とを含む。決済サーバ10、利用者端末100及び加盟店端末200は、ネットワークNを介して有線又は無線により相互に通信可能に接続される。ネットワークNは、例えば、インターネットなどのWAN(Wide Area Network)である。なお、図2に示した決済システム1には、複数台の決済サーバ10、複数台の利用者端末100及び複数台の加盟店端末200が含まれていてもよい。
【0012】
図2に示す決済サーバ10は、実施形態に係る情報処理を実行する情報処理装置であり、サーバ装置やクラウドシステム等により実現される。例えば、決済サーバ10は、識別情報(例えば、QRコード(登録商標))の発行要求に応じて識別情報を発行し、利用者端末100へ提供する。
【0013】
また、決済サーバ10は、利用者が識別情報を用いて決済した場合には、識別情報と決済情報とを取得し決済を行う。例えば、決済サーバ10は、利用者の口座から引き落とし処理を行う。
【0014】
図2に示す利用者端末100は、利用者によって利用される情報処理装置である。例えば、利用者端末100は、決済サーバ10から提供された識別情報をウェブブラウザやアプリケーションにより表示する。利用者端末100は、例えば、スマートフォンや、タブレット型端末、ノート型PC(Personal Computer)、デスクトップPC、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)等により実現される。なお、図1に示す例では、利用者端末100がスマートフォンである場合を示す。
【0015】
なお、利用者端末100は、所定の情報処理を実現する制御情報を決済サーバ10から受け取った場合には、制御情報に従って情報処理を実現する。ここで、制御情報は、例えば、JavaScript(登録商標)等のスクリプト言語やCSS(Cascading Style Sheets)等のスタイルシート言語により記述される。なお、決済サーバ10から提供される所定のアプリケーションそのものを制御情報とみなしてもよい。
【0016】
図2に示す加盟店端末200は、利用者が利用する加盟店によって利用される情報処理装置である。例えば、加盟店端末200は、利用者が加盟店で識別情報を用いた決済を行った場合には、決済情報と識別情報とを決済サーバ10へ提供する。加盟店端末200は、例えば、スマートフォンや、タブレット型端末、ノート型PC、デスクトップPC、携帯電話機、PDA等により実現される。なお、図1に示す例では、加盟店端末200がスマートフォンである場合を示す。
【0017】
なお、加盟店端末200は、所定の情報処理を実現する制御情報を決済サーバ10から受け取った場合には、制御情報に従って情報処理を実現する。ここで、制御情報は、例えば、JavaScript(登録商標)等のスクリプト言語やCSS等のスタイルシート言語により記述される。なお、決済サーバ10から提供される所定のアプリケーションそのものを制御情報とみなしてもよい。
【0018】
〔1-2.利用者端末を用いた決済について〕
ここで、決済サーバ10が実行する情報処理に先立ち、利用者端末100を用いた決済(電子決済)の一例について説明する。なお、以下の説明では、店舗Aに配置された2次元コード(QRコード(登録商標))であって、店舗Aを識別する店舗識別情報Cを示す2次元コードを用いて、利用者Uが利用者端末100を用いた決済を行う例について説明するが、実施形態は、これに限定されるものではない。以下に説明する決済の一例は、任意の利用者が任意の利用者端末100を用いて、任意の店舗にて決済を行う場合においても適用可能である。また、店舗識別情報Cは、QRコード(登録商標)のみならず、バーコードや所定のマーク、番号等であってもよい。
【0019】
例えば、利用者Uが店舗Aにて各種の商品やサービスといった決済対象(取引対象)の利用や購入に伴う決済を行う場合、利用者Uは、利用者端末100に予めインストールされた決済アプリを起動する。そして、利用者Uは、決済アプリを介して、店舗Aに設置された店舗識別情報Cを撮影する。このような場合、利用者端末100は、決済対象の価格を入力するための画面を表示し、利用者U或いは店舗Aの店員から決済金額の入力を受け付ける。そして、利用者端末100は、利用者Uを識別する利用者識別情報と、店舗識別情報C(若しくは、店舗識別情報Cが示す情報、すなわち、店舗Aを示す情報(例えば、店舗ID))と、決済金額とを示す決済情報を決済サーバ10へと送信する。
【0020】
このような場合、決済サーバ10は、利用者識別情報が示す利用者Uの口座から、店舗識別情報Cが示す店舗Aの口座へと、決済金額が示す額の電子マネーを移行させる。そして、決済サーバ10は、決済が完了した旨の通知を利用者端末100へと送信する。このような場合、利用者端末100は、決済が完了した旨の画面や所定の音声を出力することで、電子マネーによる決済が行われた旨を通知する。
【0021】
なお、利用者端末100を用いた決済は、上述した処理に限定されるものではない。例えば、利用者端末100を用いた決済は、店舗Aに設置された店舗端末を用いたものであってもよい。例えば、利用者端末100は、利用者Uを識別するため利用者識別情報を画面上に表示させる。このような場合、店舗Aに設置された店舗端末は、利用者端末100に表示された利用者識別情報を読み取り、利用者識別情報(若しくは、利用者識別情報が示す情報、すなわち、利用者Uを示す情報(例えば、利用者ID))と、決済金額と、店舗Aを識別する情報とを示す決済情報を決済サーバ10へと送信する。このような場合、決済サーバ10は、利用者識別情報が示す利用者Uの口座から、店舗Aの口座へと、決済金額が示す額の電子マネーを移行させ、店舗Aの店舗端末或いは利用者端末100に対し、決済が完了した旨の画面や所定の音声を出力させることで、決済が行われた旨を通知してもよい。
【0022】
また、利用者端末100を用いた決済は、利用者Uが予め電子マネーをチャージした口座から店舗Aの口座へと電子マネーを移行させる処理のみならず、例えば、利用者Uが予め登録したクレジットカードを用いた決済であってもよい。このような場合、例えば、利用者端末100は、店舗Aの口座に対して決済金額の電子マネーを移行させるとともに、利用者Uのクレジットカードの運用会社に対し、決済金額を請求してもよい。
【0023】
〔1-3.実施形態の概要について〕
ここで、従来、端末デバイスがオフライン状態である際にオフライン状態で決済できる環境を提供する技術が知られている。しかしながら、このような技術では、識別情報を表示可能な媒体を介して、利用者端末の所定のアプリケーションを用いたオフライン決済を実現することはできなかった。通常、端末装置に表示したコードを店舗端末が読み取る決済の場合、端末装置に対して、一回だけ決済可能なQRコード(登録商標)や、使用可能な時間が限定されたQRコード(登録商標)が付与される。サーバ装置は、店舗端末から取得した識別情報が、すでに決済に用いられた識別情報や、使用可能な時間が経過した場合は、決済ができない旨を店舗端末に提供する。しかしながら、このような技術では、端末装置がオフライン時に決済できない。また、プール等のアミューズメント施設において、端末装置を持ち歩きたくないといった要望も考えられる。
【0024】
そこで、決済サーバ10は、実施形態に係る情報処理を実行する。以下、図1を用いて、決済サーバ10が実行する情報処理について説明する。なお、以下の説明では、利用者端末100が利用者U1により利用される例を示す。また、以下の説明では、利用者端末100を利用者U1と同一視する場合がある。すなわち、以下では、利用者U1を利用者端末100と読み替えることもできる。
【0025】
また、上述した決済処理で用いられた識別情報は、利用者の口座内に所在する電子マネーで決済する際に利用する識別情報の発行要求を受け付けた際に提供される利用者の口座を示す識別情報である。なお、発行要求の度に異なる識別情報が提供される。また、上述した決済処理で用いられた識別情報は、識別情報を用いた一度の決済によって使用できなくなる一度限りの識別情報、若しくは、識別情報が提供(又は発行)されてから所定の期間内に使用されなかった場合に使用できなくなる期間限定の識別情報である。これは不正使用を防止するためであり、使用できなくなる期間は決済サービス事業者によって予め決定され第1の識別情報については全て同じ期間が設定される。以下の説明において、上述した決済処理で用いられた識別情報と区別して、繰り返し決済可能な識別情報を、適宜、「インスタント識別情報」とする。インスタント識別情報は、インスタント識別情報を用いた決済が可能な場所の情報と利用者の識別情報とを含む。
【0026】
まず、利用者U1は、スーパー銭湯や大型プールなどの施設内で、その施設内で決済可能なインスタント識別情報を発行するために、所定のアプリケーション上で、その施設内で決済可能なインスタント識別情報を発行するための操作を行う。例えば、利用者U1は、インスタント識別情報の発行ボタンを押下する。利用者端末100は、その施設内で決済可能なインスタント識別情報を発行するための操作を受け付けると、その施設内で決済可能なインスタント識別情報の発行要求を決済サーバ10へ送信する(ステップS101)。なお、発行要求には、例えば、インスタント識別情報の有効期間を指定するための情報(例えば、その日中など)、どのインスタント識別情報で決済されたかを利用者U1が判別できるようにするための情報、そのインスタント識別情報に対応して設定する与信枠の情報、利用者U1のアカウント情報などが含まれる。有効期間や与信枠の情報は予め決済サービスの低起用事業者によって決められていてもよいし、利用者から指定を受け付けてもよい。
【0027】
決済サーバ10は、利用者端末100から送信された発行要求を取得すると、与信枠を利用者U1の残高から引き落とし、プリペイド枠としてスタックさせることで、インスタント識別情報を発行する(ステップS102)。なお、発行されるインスタント識別情報の文字情報は、例えば、一意の文字列の情報であってもよいし、プリペイドであることを示す情報と利用者情報とを組み合わせた情報であってもよい。なお、実施形態に係る与信枠は、インスタント識別情報に紐づき管理されるウォレットと紐づけて設定される与信枠であり、例えば、インスタント識別情報に紐づき管理されるウォレットの残高(具体的には、与信枠の残高等)として利用者U1に内容が提示されてもよい。このように、インスタント識別情報に紐づいて管理される与信枠は、一般的なクレジットカード払いなどで支払う場合に参照される通常の与信枠とは異なるものである。
【0028】
決済サーバ10は、インスタント識別情報の発行後、発行したインスタント識別情報を、利用者端末100へ送信する(ステップS103)。そして、利用者端末100は、決済サーバ10から送信されたインスタント識別情報を受信すると、利用者U1の電子ペーパー機能付きのリストバンドに近距離無線通信でインスタント識別情報を送信する(ステップS104)。利用者U1は、このリストバンドにインスタント識別情報を表示して施設内で決済を行う。例えば、利用者U1は、リストバンドにインスタント識別情報を表示して、施設内の自販機やフードコートなどで決済を行う。なお、利用者端末100は、ここまではオンラインの状態(インターネットに接続されている状態)であったが、ここから先はオフラインの状態(インターネットに接続されていない状態)とする。
【0029】
利用者U1が施設内の店舗での決済時にインスタント識別情報を提示し、利用者U1が提示したインスタント識別情報を店舗側のコードスキャナで読み取ることで、加盟店端末200は、コードスキャナで読み取られたインスタント識別情報と、決済金額や加盟店の識別情報などを含む決済情報とを決済サーバ10へ送信する(ステップS105)。
【0030】
決済サーバ10は、加盟店端末200から送信された情報に基づき、例えば、識別情報を受け付けた決済日時や与信枠に基づいて判定し、プリペイド枠から決済金額の引き落としを行う(ステップS106)。例えば、決済サーバ10は、決済日時が予め指定された有効期間内にあるか、決済金額が与信枠に基づいてスタックされたプリペイド枠内であるかを判定し、このような条件を満たすと判定した場合に、プリペイド枠から決済金額の引き落としを行う。なお、引き落とした決済金額は、加盟店の口座に振り込まれる。そして、決済サーバ10は、利用者端末100及び加盟店端末200に、決済完了通知を送信する(ステップS107/ステップS108)。この際、決済サーバ10は、利用者端末100に、引き落とし後のプリペイド枠を通知するための情報を送信してもよい。
【0031】
決済サーバ10は、例えば、有効期間が過ぎた場合や、利用者U1がインスタント識別情報の利用を終了した場合(例えば、利用者U1が「インスタントQRの終了」などのボタンを押下した場合)には、残ったプリペイド枠を残高へ戻す処理を実行する。
【0032】
このように、決済サーバ10が期間限定のインスタント識別情報を発行することで、利用者は利用者端末100がオフラインの状態でも、所定のアプリケーションを用いた決済を行うことができる。これにより、決済サーバ10は、利用者がスマートフォンなどの利用者端末100を持ち歩けない場面において決済が可能なソリューションを提供することができる。また、決済サーバ10は、リストバンド決済市場の向上を促進させることができる。
【0033】
リストバンド決済は月額の費用が高いためリストバンド決済の仕組みを導入したくても踏み切れない場合がある。決済サーバ10は、所定のアプリケーションを用いた決済が加盟店で可能であれば、実質リストバンド決済を可能とする仕組みを提供することができる。また、決済サーバ10は、所定のアプリケーションのアカウントや残高を所有していない家族などに対して、施設内で予め予算を決めた範囲で自由に使えるインスタント識別情報を発行して与えることができる。また、決済サーバ10は、アカウントを法人アカウントとし、社員の識別情報とインスタント識別情報とを紐づけて予め定めておくことで、福利厚生として月額上限設定付きのインスタント識別情報を配布することができる。
【0034】
〔1-4.実施形態の処理のバリエーションについて〕
(プリンタ)
上記実施形態では、利用者端末100は、決済サーバ10から送信されたインスタント識別情報を受信すると、利用者U1の電子ペーパー機能付きのリストバンドに近距離無線通信でインスタント識別情報を送信する場合を示した。ここで、利用者端末100がインスタント識別情報を送信する送信先は、リストバンドに限られず、他の電子ペーパー機能付きのデバイスであってもよく、特に限定されないものとする。また、利用者端末100がインスタント識別情報を送信する送信先は、インスタント識別情報を印刷可能なプリンタ(例えば、利用者U1がインスタント識別情報を用いた決済を行う施設外のプリンタ)などであってもよい。この場合、利用者端末100は、決済サーバ10から送信されたインスタント識別情報を受信すると、所定のプリンタ(例えば、コンビニなどのプリンタ)にインスタント識別情報を送信する。利用者U1は、インスタント識別情報を印刷し、印刷したインスタント識別情報を提示して決済を行う。例えば、利用者U1が施設内の店舗での決済時に、印刷したインスタント識別情報を提示し、利用者U1が提示したインスタント識別情報を店舗側のコードスキャナで読み取ることで、加盟店端末200は、コードスキャナで読み取られたインスタント識別情報と、決済金額や加盟店の識別情報などを含む決済情報とを決済サーバ10へ送信する。
【0035】
(オフライン状態でのインスタ識別情報の表示)
上記実施形態では、利用者端末100は、決済サーバ10から送信されたインスタント識別情報を受信すると、利用者U1の電子ペーパー機能付きのリストバンドにインスタント識別情報を送信し、リストバンドに表示されたインスタント識別情報を提示することで決済を行う場合を示した。また、上記バリエーションでは、利用者端末100は、決済サーバ10から送信されたインスタント識別情報を受信すると、所定のプリンタにインスタント識別情報を送信し、プリンタで印刷されたインスタント識別情報を提示することで決済を行う場合を示した。ここで、利用者端末100は、決済サーバ10から送信されたインスタント識別情報を受信すると、オフライン状態でもインスタント識別情報が表示され続けるような制御を行ってもよい。そして、利用者U1は、オフライン状態の利用者端末100で表示されたインスタント識別情報を提示して決済を行ってもよい。例えば、利用者U1が施設内の店舗での決済時に、オフライン状態の利用者端末100で表示されたインスタント識別情報を提示し、利用者U1が提示したインスタント識別情報を店舗側のコードスキャナで読み取ることで、加盟店端末200は、コードスキャナで読み取られたインスタント識別情報と、決済金額や加盟店の識別情報などを含む決済情報とを決済サーバ10へ送信してもよい。
【0036】
(パスワードの指定)
上記実施形態において、決済サーバ10は、インスタント識別情報の発行時に、利用者U1から、パスワード(例えば、4桁のパスワード)の指定を受け付けてもよい。例えば、インスタント識別情報の発行要求に、インスタント識別情報のパスワードを指定するための情報が含まれることで、決済サーバ10は、インスタント識別情報のパスワードの情報を取得することで、発行するインスタント識別情報にパスワードの設定を行ってもよい。なお、決済時、利用者U1が提示したインスタント識別情報を店舗側のコードスキャナで読み取る際に、店舗側で利用者U1が指定したパスワードを入力することで、加盟店端末200は、インスタント識別情報と、決済情報に加えて入力されたパスワードを決済サーバ10へ送信し、決済サーバ10にてパスワード認証を行い決済が認証される。これにより、決済サーバ10は、利用者U1が万が一インスタント識別情報を提示する媒体をなくした場合でも、他人に勝手に利用されるリスクを軽減させることができる。
【0037】
(複数のインスタント識別情報の発行)
上記実施形態において、決済サーバ10は、一人の利用者から複数のインスタント識別情報の発行要求を受け付けた場合に、インスタント識別情報を複数発行してもよい。例えば、利用者がプールなどのレジャー施設に家族で訪問した際に、利用者のアカウントで利用者の家族用のインスタント識別情報を発行したい場合が想定し得る。例えば、利用者に妻、息子、娘がいる場合には、妻用、息子用、娘用にそれぞれ異なるインスタント識別情報を発行したい場合が想定し得る。また、家族用に発行したい複数のインスタント識別情報に、それぞれ異なる金額を設定したい場合が想定し得る。決済サーバ10は、利用者から複数のインスタント識別情報の発行要求とともに、それぞれのインスタント識別情報に設定したい金額や、それぞれのインスタント識別情報に付与したい名称などの情報を受け付けた場合には、それぞれ異なる金額や名称が設定された複数のインスタント識別情報を発行してもよい。
【0038】
このような場合、各インスタント識別情報と紐づくウォレットには、発行供給元となる利用者のアカウントの残高を元とする残高が充当される。また、名称は任意に設定可能であるものとする。例えば、決済サーバ10は、利用者からの発行要求に基づいて、妻用に、名称が「妻(プール)」で金額が「1万円」に設定されたインスタント識別情報と、息子用に、名称が「息子(プール)」で金額が「6千円」に設定されたインスタント識別情報と、娘用に、名称が「娘(プール)」で金額が「5千円」に設定されたインスタント識別情報の異なる3つのインスタント識別情報を発行してもよい。なお、発行は、一度の発行要求に基づいて同時に発行されてもよいし、発行要求が異なるタイミングであった場合にはそれぞれのタイミングで発行されてもよい。そして、妻、息子、娘が発行されたインスタント識別情報を用いて決済を行うと、各インスタント識別情報と紐づくウォレットから決済される。例えば、妻が昼食に弁当を2千円分購入した場合には、妻用のインスタント識別情報に設定された金額が1万円から8千円になる。また、例えば、息子と娘がプールで利用可能なチケットをどちらも2千円分購入した場合には、息子用のインスタント識別情報に設定された金額が6千円から4千円になり、娘用のインスタント識別情報に設定された金額が5千円から4千円になる。
【0039】
一方、決済サーバ10は、発行要求元となる利用者のウォレットに、複数のインスタント識別情報を紐づけてもよい。例えば、決済サーバ10は、発行供給元となる利用者のウォレットの残高(与信枠)のうち、「1万円」分を妻用に、「6千円」を息子用に、「5千円」を娘用に設定し、各残高を家族それぞれのインスタント識別情報に紐づける。そして、決済サーバ10は、例えば、妻が昼食に弁当を2千円分購入した場合には、発行要求元の利用者のウォレットの残高のうち、妻用のインスタント識別情報と紐づけた残高「1万円」を「8千円」とし、息子が昼食に弁当を1千円分購入した場合には、発行要求元の利用者のウォレットの残高のうち、息子用のインスタント識別情報と紐づけた残高「6千円」を「5千円」としてもよい。
【0040】
(決済履歴の表示)
上記実施形態において、決済サーバ10は、利用者U1からの要求に応じて、インスタント識別情報ごとに決済の履歴(例えば、何時に何処で決済されたかを示す履歴)を表示させるための情報を送信してもよい。その場合、決済サーバ10は、利用者に設定された任意の名称も含めた情報を送信してもよい。例えば、利用者U1が12時に2千円のランチセットを購入していた場合には、決済サーバ10は、12時に2千円のランチセットを購入した旨を示す情報を送信してもよい。
【0041】
(与信枠の増額)
上記実施形態において、決済サーバ10は、インスタント識別情報の発行後に、発行されたインスタント識別情報に対して与信枠の増額を受け付けてもよい。例えば、決済サーバ10は、施設内で決済可能な与信枠を、5千円から1万円とする増額を受け付けてもよい。この場合、決済サーバ10は、増額された1万円の与信枠に基づき決済を行う。与信枠は、プリペイド方式のみならず、後払い形式の与信枠でもよい。利用者の利用履歴や信用情報に基づいて与信額が設定され、施設の利用完了後に、利用者の口座から電子マネーを減算してもよく、後払い、もしくはクレジットカードからの引き落としでもよい。つまり与信枠は、ペイペイ側が先に施設に提供し、施設の利用完了後に、任意の手法で利用者に請求が行われる電子マネーの口座であってもよい。
【0042】
(決済可能な施設の指定)
上記実施形態において、決済サーバ10は、インスタント識別情報の発行時に、インスタント識別情報を用いた決済が可能な場所(例えば、施設、加盟店、地域など)の指定を受け付けてもよい。例えば、インスタント識別情報の発行時に、インスタント識別情報を用いた決済が可能な場所を指定することで、決済サーバ10は、発行するインスタント識別情報に決済可能な場所の設定を行ってもよい。決済サーバ10は、加盟店端末200から受信したインスタント識別情報に紐づく決済可能な場所と、決済情報に含まれる加盟店情報の場所に基づいて決済を認証する。また、決済が可能な場所の指定を受け付ける際に、決済が可能な場所が利用者の端末の位置情報から所定の範囲内であるか否かに基づいて設定の受け付け可否を決定してもよい。例えば、決済サーバ10は、インスタント識別情報の発行要求を受け付けた際の利用者端末100の位置情報と、発行要求に含まれる決済可能な場所が所定の範囲内でないと判定された場合にはインスタント識別情報の発行を行わず、発行ができない旨を通知するための情報を送信してもよい。
【0043】
(決済の認証)
上記実施形態において、決済サーバ10は、インスタント識別情報を用いた決済時、インスタント識別情報を発行した際の利用者端末100の位置情報と、決済した決済場所の位置情報(例えば、加盟店の位置情報、加盟店端末200の位置情報など)が所定の範囲内であるか否かに基づいて決済の認証を行ってもよい。例えば、決済サーバ10は、インスタント識別情報を発行した際の利用者端末100の位置情報と、決済した決済場所の位置情報とが所定の範囲内であると判定された場合に決済を行ってもよい。また、例えば、決済サーバ10は、インスタント識別情報を発行した際の利用者端末100の位置情報と、決済した決済場所の位置情報とが所定の範囲内でないと判定された場合には決済を行わず、決済ができなかった旨を通知するための情報を送信してもよい。
【0044】
〔2.決済サーバの構成〕
次に、図3を用いて、実施形態に係る決済サーバ10の構成について説明する。図3は、実施形態に係る決済サーバ10の構成例を示す図である。図3に示すように、決済サーバ10は、通信部20と、記憶部30と、制御部40とを有する。なお、決済サーバ10は、決済サーバ10の管理者から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
【0045】
(通信部20)
通信部20は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部20は、ネットワークNと有線又は無線で接続され、ネットワークNを介して、決済サーバ10等との間で情報の送受信を行う。
【0046】
(記憶部30)
記憶部30は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。図3に示すように、記憶部30は、発行情報記憶部31と、決済情報記憶部32とを有する。
【0047】
発行情報記憶部31は、発行したインスタント識別情報の情報を記憶する。ここで、図4を用いて、発行情報記憶部31が記憶する情報の一例を説明する。図4は、実施形態に係る発行情報記憶部31の一例を示す図である。図4の例において、発行情報記憶部31は、「インスタント識別情報」、「アカウントID」、「有効期間」、「与信枠」、「決済可能場所」といった項目を有する。
【0048】
「インスタント識別情報」は、利用者の発行要求に基づき発行したインスタント識別情報を示す。図4に示す例では、「インスタント識別情報」に「インスタント識別情報#1」や「インスタント識別情報#2」といった概念的な情報が格納される例を示したが、実際には、コード情報が格納される。「アカウントID」は、利用者の所定のアプリケーションでのアカウントIDを示す。「有効期間」は、インスタント識別情報を用いた決済が可能な有効期間を示す。「与信枠」は、インスタント識別情報を用いた決済の与信枠を示す。「決済可能場所」は、インスタント識別情報を用いた決済が可能な場所(例えば、施設、加盟店、地域など)を示す。
【0049】
決済情報記憶部32は、インスタント識別情報を用いた決済情報を記憶する。ここで、図5を用いて、決済情報記憶部32が記憶する情報の一例を説明する。図5は、実施形態に係る決済情報記憶部32の一例を示す図である。図5の例において、決済情報記憶部32は、「決済ID」、「アカウントID」、「インスタント識別情報」、「決済情報」、「残高」といった項目を有する。
【0050】
「決済ID」は、決済情報を識別するための識別情報を示す。「アカウントID」は、利用者の所定のアプリケーションでのアカウントIDを示す。「インスタント識別情報」は、決済に用いられたインスタント識別情報を示す。「決済情報」は、決済金額、決済場所、決済日時などを含む決済情報を示す。「残高」は、インスタント識別情報ごとに予め設定された与信枠の残高を示す。
【0051】
(制御部40)
制御部40は、コントローラ(controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、決済サーバ10内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部40は、コントローラであり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。実施形態に係る制御部40は、図3に示すように、取得部41と、第1提供部42と、第2提供部43と、決済処理部44と、通知部45とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現又は実行する。
【0052】
(取得部41)
取得部41は、各種情報を取得する。取得部41は、外部の情報処理装置から各種情報を取得する。取得部41は、利用者端末100等の他の情報処理装置から各種情報を取得する。
【0053】
取得部41は、記憶部30から各種情報を取得する。取得部41は、発行情報記憶部31や決済情報記憶部32から各種情報を取得する。
【0054】
取得部41は、取得した各種情報を記憶部30に格納する。取得部41は、発行情報記憶部31や決済情報記憶部32に各種情報を格納する。
【0055】
取得部41は、所定の場所で繰り返し決済可能なインスタント識別情報の発行要求を取得する。例えば、取得部41は、発行要求に含まれる情報として、インスタント識別情報の有効期間を指定するための情報、決済時にインスタント識別情報を特定するための情報、与信枠の情報、利用者のアカウント情報などを取得する。
【0056】
取得部41は、利用者が決済時に識別情報を提示することで読み取られた識別情報と決済情報とを取得する。
【0057】
(第1提供部42)
第1提供部42は、利用者端末100から、利用者の口座内に所在する電子マネーで決済する際に利用する識別情報の発行要求を受け付けた場合に、口座を示す識別情報であって、発行要求の度に異なる識別情報を発行し提供する。なお、後述の第2提供部43により提供される識別情報による決済に限られず、第1提供部42により提供される識別情報による決済も与信枠に基づき実施されてもよい。
【0058】
(第2提供部43)
第2提供部43は、繰り返し決済可能な識別情報(インスタント識別情報に対応)の発行要求を受け付けた場合は、口座と紐づく繰り返し決済可能な識別情報を発行し提供する。例えば、第2提供部43は、取得部41により取得された発行要求に基づき、与信枠をプリペイド枠としてスタックさせることで、インスタント識別情報を発行する。
【0059】
(決済処理部44)
決済処理部44は、利用者が決済時に識別情報を提示することで読み取られた識別情報を受け付けた場合に、紐づく口座で決済を行う。例えば、決済処理部44は、第1提供部により提供された識別情報に基づき決済を行う。また、例えば、決済処理部44は、第2提供部により提供されたインスタント識別情報に基づき決済を行う。また、決済処理部44は、受け付けた識別情報の利用が、例えば、予め指定された有効期間内であるか否かを判定し、予め指定された有効期間内であると判定された場合に決済を行う。また、決済処理部44は、受け付けた識別情報の利用が、例えば、予め指定された与信枠内であるか否かを判定し、予め指定された与信枠内であると判定された場合に決済を行う。
【0060】
(通知部45)
通知部45は、決済完了の旨を通知するための情報を送信する。また、通知部45は、引き落とし後の残高を通知するための情報を送信する。
【0061】
〔3.利用者端末の構成〕
次に、図6を用いて、実施形態に係る利用者端末100の構成について説明する。図6は、実施形態に係る利用者端末100の構成例を示す図である。図6に示すように、利用者端末100は、通信部110と、入力部120と、出力部130と、制御部140とを有する。
【0062】
(通信部110)
通信部110は、例えば、NIC等によって実現される。そして、通信部110は、所定のネットワークNと有線又は無線で接続され、所定のネットワークNを介して、決済サーバ10等との間で情報の送受信を行う。
【0063】
(入力部120)
入力部120は、利用者からの各種操作を受け付ける。図1に示す例では、利用者U1からの各種操作を受け付ける。例えば、入力部120は、タッチパネル機能により表示面を介して利用者からの各種操作を受け付けてもよい。また、入力部120は、利用者端末100に設けられたボタンや、利用者端末100に接続されたキーボードやマウスからの各種操作を受け付けてもよい。
【0064】
(出力部130)
出力部130は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等によって実現されるタブレット端末等の表示画面であり、各種情報を表示するための表示装置である。例えば、出力部130は、決済サーバ10から取得した情報を表示する。
【0065】
(制御部140)
制御部140は、例えば、コントローラであり、CPUやMPU等によって、利用者端末100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。例えば、この各種プログラムには、利用者端末100にインストールされたアプリケーションのプログラムが含まれる。例えば、この各種プログラムには、決済サーバ10から取得した情報を表示するアプリケーションのプログラムが含まれる。また、制御部140は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現される。
【0066】
図6に示すように、制御部140は、受信部141と、送信部142とを有し、以下に説明する情報処理の作用を実現又は実行する。
【0067】
(受信部141)
受信部141は、各種情報を受信する。受信部141は、外部の情報処理装置から各種情報を受信する。受信部141は、決済サーバ10等の他の情報処理装置から各種情報を受信する。例えば、受信部141は、識別情報の発行要求に応じて送信された利用者の口座を示す識別情報を受信する。
【0068】
(送信部142)
送信部142は、外部の情報処理装置へ各種情報を提供する。送信部142は、外部の情報処理装置へ各種情報を送信する。送信部142は、決済サーバ10等の他の情報処理装置へ各種情報を送信する。例えば、送信部142は、利用者からの操作に応じて、所定の場所で決済可能な識別情報の発行要求を送信する。
【0069】
〔4.加盟店端末の構成〕
次に、図7を用いて、実施形態に係る加盟店端末200の構成について説明する。図7は、実施形態に係る加盟店端末200の構成例を示す図である。図7に示すように、加盟店端末200は、通信部210と、入力部220と、出力部230と、制御部240とを有する。
【0070】
(通信部210)
通信部210は、例えば、NIC等によって実現される。そして、通信部210は、所定のネットワークNと有線又は無線で接続され、所定のネットワークNを介して、決済サーバ10等との間で情報の送受信を行う。
【0071】
(入力部220)
入力部220は、加盟店からの各種操作を受け付ける。図1に示す例では、加盟店からの各種操作を受け付ける。例えば、入力部220は、タッチパネル機能により表示面を介して加盟店からの各種操作を受け付けてもよい。また、入力部220は、加盟店端末200に設けられたボタンや、加盟店端末200に接続されたキーボードやマウスからの各種操作を受け付けてもよい。
【0072】
(出力部230)
出力部230は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等によって実現されるタブレット端末等の表示画面であり、各種情報を表示するための表示装置である。例えば、出力部230は、決済サーバ10から取得した情報を表示する。
【0073】
(制御部240)
制御部240は、例えば、コントローラであり、CPUやMPU等によって、加盟店端末200内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。例えば、この各種プログラムには、加盟店端末200にインストールされたアプリケーションのプログラムが含まれる。例えば、この各種プログラムには、決済サーバ10から取得した情報を表示するアプリケーションのプログラムが含まれる。また、制御部240は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現される。
【0074】
図7に示すように、制御部240は、受信部241と、送信部242とを有し、以下に説明する情報処理の作用を実現又は実行する。
【0075】
(受信部241)
受信部241は、各種情報を受信する。受信部241は、外部の情報処理装置から各種情報を受信する。受信部241は、決済サーバ10等の他の情報処理装置から各種情報を受信する。例えば、受信部241は、利用者の識別情報を用いた決済完了時に、決済完了の旨を通知するための情報を受信する。
【0076】
(送信部242)
送信部242は、外部の情報処理装置へ各種情報を提供する。送信部242は、外部の情報処理装置へ各種情報を送信する。送信部242は、決済サーバ10等の他の情報処理装置へ各種情報を送信する。例えば、送信部242は、利用者から提示された識別情報と、決済情報とを送信する。
【0077】
〔5.情報処理のフロー〕
図8を用いて、実施形態に係る決済サーバ10の情報処理の手順について説明する。図8は、実施形態に係る情報処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0078】
図8に示すように、決済サーバ10は、繰り返し決済可能な識別情報の発行要求を受け付けた場合は、口座と紐づく繰り返し決済可能な識別情報を提供する(ステップS201)。
【0079】
決済サーバ10は、識別情報を受け付けた場合は、識別情報と紐づく口座を用いた決済を実行する(ステップS202)。
【0080】
〔6.効果〕
上述してきたように、実施形態に係る決済サーバ10は、第1提供部42と、第2提供部43と、決済処理部44とを有する。第1提供部42は、利用者端末100から、利用者の口座内に所在する電子マネーで決済する際に利用する識別情報の発行要求を受け付けた場合は、口座を示す識別情報であって、発行要求の度に異なる第1の識別情報を提供する。第2提供部43は、繰り返し決済可能な第2の識別情報の発行要求を受け付けた場合は、口座と紐づく繰り返し決済可能な識別情報を提供する。決済処理部44は、識別情報を受け付けた場合は、識別情報と紐づく口座を用いた決済を行う。
【0081】
これにより、実施形態に係る決済サーバ10は、利用者端末100がオフラインの状態であっても、識別情報を表示可能な媒体を介して、利用者端末100の所定のアプリケーションを用いたオフライン決済を実現することができる。
【0082】
また、決済処理部44は、第2の識別情報を用いた決済日時が、予め利用者に指定された有効期間内であるか否かに基づいて、有効期間内である場合に決済を行う。
【0083】
これにより、実施形態に係る決済サーバ10は、オフライン決済時でも、決済認証を適切に行うことができる。
【0084】
また、決済処理部44は、第2の識別情報を用いた決済額が、予め利用者に指定された与信枠内であるか否かに基づいて、与信枠内である場合に決済を行う。
【0085】
これにより、実施形態に係る決済サーバ10は、オフライン決済時でも、決済認証を適切に行うことができる。
【0086】
また、決済処理部44は、第2の識別情報を用いた決済が可能な場所が指定された場合は、第2の識別情報を用いた決済が可能な場所として指定された場所と決済情報が示す場所とに基づいて認証を行い、認証に基づき決済を行う。
【0087】
これにより、実施形態に係る決済サーバ10は、決済可能な場所の指定に基づいて、その場所での決済のみを許可し決済処理を実行することができる。
【0088】
また、決済処理部44は、第2の識別情報を用いた決済時、識別情報を発行した際の利用者端末100の位置情報と、決済場所の位置情報とが所定の範囲内であるか否かに基づいて、所定の範囲内である場合に決済を行う。
【0089】
これにより、実施形態に係る決済サーバ10は、オフライン決済時でも、決済認証を適切に行うことができる。
【0090】
また、決済処理部44は、第2の識別情報の発行時にパスワードが指定された場合は、第2の識別情報の発行時に指定されたパスワードと決済先で入力されたパスワードとに基づいて認証を行い、認証に基づき決済を行う。
【0091】
これにより、実施形態に係る決済サーバ10は、パスワードの指定に基づいて、そのパスワードが入力された場合にのみ決済を許可し決済処理を実行することができる。
【0092】
また、第1提供部42は、識別情報を用いた一度の決済によって使用できなくなる第1の識別情報を提供する。
【0093】
これにより、実施形態に係る決済サーバ10は、インスタント識別情報を用いた決済だけでなく、一回の使用で使えなくなる通常の識別情報を用いたオンライン決済も可能とすることができる。
【0094】
また、第1提供部42は、識別情報が提供されてから、決済サービスの提供事業者によって指定された所定の期間内に使用されなかった場合に使用できなくなる識別情報を提供する。
【0095】
これにより、実施形態に係る決済サーバ10は、インスタント識別情報を用いた決済だけでなく、発行してから所定の時間が経過すると使えなくなる通常の識別情報を用いたオンライン決済も可能とすることができる。
【0096】
また、第2提供部43は、与信枠をプリペイド枠としてスタックさせることで発行された第2の識別情報を提供する。また、決済処理部44は、プリペイド枠から決済を行う。
【0097】
これにより、実施形態に係る決済サーバ10は、プリペイド枠を用いた決済を適切に行うことができる。
【0098】
また、実施形態に係る決済サーバ10は、決済処理部44により第2の識別情報を用いた決済が完了した場合には、残った前記プリペイド枠を示す情報を利用者端末へ通知する通知部45を更に有する。
【0099】
これにより、実施形態に係る決済サーバ10は、利用者端末100がオフラインの状態であっても、残ったプリペイド枠を示す情報を通知することができる。
【0100】
また、決済処理部44は、有効期間が過ぎた場合、又は、利用者が利用終了の操作を行った場合、残ったプリペイド枠を口座の残高へ戻す処理を行う。
【0101】
これにより、実施形態に係る決済サーバ10は、残ったプリペイド枠を口座の残高へ戻すことができる。
【0102】
〔7.ハードウェア構成〕
また、上述してきた各実施形態に係る決済サーバ10は、例えば、図9に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。以下、決済サーバ10を例に挙げて説明する。図9は、決済サーバ10の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、ROM1200、RAM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
【0103】
CPU1100は、ROM1200又はHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1200は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0104】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を記憶する。通信インターフェイス1500は、通信網500(実施形態のネットワークNに対応する)を介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、また、通信網500を介してCPU1100が生成したデータを他の機器へ送信する。
【0105】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して生成したデータを出力装置へ出力する。
【0106】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラム又はデータを読み取り、RAM1300を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1300上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、又は半導体メモリ等である。
【0107】
例えば、コンピュータ1000が決済サーバ10として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1300上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部40の機能を実現する。また、HDD1400には、決済サーバ10の記憶装置内の各データが格納される。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から所定の通信網を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0108】
〔8.その他〕
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0109】
また、上述した決済サーバ10は、機能によっては外部のプラットフォーム等をAPI(Application Programming Interface)やネットワークコンピューティングなどで呼び出して実現するなど、構成は柔軟に変更できる。
【0110】
また、特許請求の範囲に記載した「部」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0111】
10 決済サーバ
20 通信部
30 記憶部
31 発行情報記憶部
32 決済情報記憶部
40 制御部
41 取得部
42 第1提供部
43 第2提供部
44 決済処理部
45 通知部
100 利用者端末
110 通信部
120 入力部
130 出力部
140 制御部
141 受信部
142 送信部
200 加盟店端末
210 通信部
220 入力部
230 出力部
240 制御部
241 受信部
242 送信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9