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特開2024-32190サーバ装置、ファイル共有プログラム及びファイル共有システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032190
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】サーバ装置、ファイル共有プログラム及びファイル共有システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/176 20190101AFI20240305BHJP
【FI】
G06F16/176
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135708
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】523093653
【氏名又は名称】DriveChecker株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166372
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 博明
(72)【発明者】
【氏名】北畠 智弘
(72)【発明者】
【氏名】原田 礼朗
(72)【発明者】
【氏名】筒井 裕一
(57)【要約】
【課題】ユーザが意図せずにファイルの共有状態が継続されることを回避可能なファイル共有システムを提供すること。
【解決手段】このファイル共有システムは、フォルダF1内に保存されているファイルf2の共有要求に応じてファイル共有を実行する共有実行手段130と、フォルダF1の共有要求に応じてフォルダF1の共有を実行する共有実行手段130と、共有実行手段130によって実行されたフォルダF1の共有を停止する共有停止手段140と、共有停止手段140によってフォルダF1の共有が停止された後にファイルf2が共有中である場合に当該共有中であることを報知する報知手段と、を有する。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォルダ内に保存されているファイルの共有要求に応じてファイル共有を実行するファイル共有実行手段と、
前記フォルダの共有要求に応じてフォルダ共有を実行するフォルダ共有実行手段と、
前記フォルダ共有実行手段によって実行されたフォルダ共有を停止するフォルダ共有停止手段と、
前記フォルダ共有停止手段によってフォルダ共有が停止された後に前記ファイルが共有中である場合に当該共有中であることを報知する報知手段と、
を有するサーバ装置。
【請求項2】
フォルダ内に保存されているファイルの共有要求に応じてファイル共有を実行するファイル共有実行手段と、
前記フォルダの共有要求に応じてフォルダ共有を実行するフォルダ共有実行手段と、
前記フォルダ共有実行手段によって実行されたフォルダ共有を停止するフォルダ共有停止手段と、
前記共有中のファイルの停止の要否を質問する質問手段と、
前記質問手段によってされた質問に対して前記ファイル共有の停止を必要とするという返答がされた場合に当該ファイル共有を停止するファイル共有停止手段と、
を有する、サーバ装置。
【請求項3】
前記共有要求のファイルがif-thenルールの「if」条件を満たす場合に当該条件に対応する「then」を遂行する遂行手段を有する、請求項1又は2記載のサーバ装置。
【請求項4】
フォルダ内に保存されているファイルの共有要求に応じてファイル共有を実行するステップと、
前記フォルダの共有要求に応じてフォルダ共有を実行するステップと、
前記フォルダ共有を停止するステップと、
前記フォルダ共有が停止された後に前記ファイルが共有中である場合に当該共有中であることを報知するステップと、
をサーバ装置に実行させるファイル共有プログラム。
【請求項5】
フォルダ内に保存されているファイルの共有要求に応じてファイル共有を実行するステップと、
前記フォルダの共有要求に応じてフォルダ共有を実行するステップと、
前記フォルダ共有を停止するステップと、
前記共有中のファイルの停止の要否を質問するステップと、
前記質問に対して前記ファイル共有の停止を必要とするという返答がされた場合に当該ファイル共有を停止するステップと、
をサーバ装置に実行させるファイル共有プログラム。
【請求項6】
請求項1又は2記載のサーバ装置と、
前記サーバ装置に対してファイル/フォルダの共有/停止要求を送信するクライアント装置と、がネットワークを介して接続されている、ファイル共有システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ装置、ファイル共有プログラム及びファイル共有システムに関し、一のクライアント装置から他のクライアント装置に対してファイル共有することができる、サーバ装置、ファイル共有プログラム及びファイル共有システムに関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1に記載されているように、既存のファイル共有システムの一つとして、Google社が提供している「Googleドライブ」というものがある。Googleドライブでは、Google社のストレージに保存しているデータを、ファイル単位或いはフォルダ単位で、誰に対しても共有を許可することができる。
【0003】
非特許文献2に記載されているように、Googleドライブは、ファイル共有の際には、共有の態様を選択することが可能である。具体的には、共有相手に対して、「閲覧者」、「閲覧者(コメント可)」、「編集者」という3態様のアクセス権限を選択的に付与することができる。
【0004】
非特許文献2に記載されている説明によれば、これらのアクセス権限は、概略、
・「閲覧者」とは、ファイルの閲覧を許可するものの、ファイルへの変更や他のユーザとの共有は許可しない権限をいい、
・「閲覧者(コメント可)」とは、ファイルの閲覧のみならず、ファイルへのコメントや提案についても許可するものの、ファイルへの変更や他のユーザとのファイルの共有は許可しない権限をいい、
・「編集者」とは、更に、ファイルの閲覧、ファイルへのコメントや提案、ファイルへの変更や他のユーザとのファイルの共有も許可する権限をいう。
【0005】
Googleドライブでは、例えば、特定のファイルの共有中に当該特定のファイルが保存されているフォルダを共有することもでき、その状態で当該フォルダの共有を停止することもできる。
【非特許文献1】https://www.google.com/intl/ja_jp/drive/
【非特許文献2】https://support.google.com/drive/answer/7166529?hl=ja&co=GENIE.Platform%3DDesktop#zippy=%2C%E5%85%B1%E6%9C%89%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%81%AE%E7%B7%A8%E9%9B%86%E3%82%B3%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88%E8%A1%A8%E7%A4%BA%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、例えばGoogleドライブでは、特定のファイルの共有中に当該特定のファイルが保存されているフォルダの共有をした後に当該フォルダの共有を停止すると、当該ファイルの共有は継続される仕様になっている。
【0007】
Googleドライブにてこの仕様が採用されていることをユーザが知っているのであれば、当該フォルダの共有を停止後に特定のファイルの共有の継続を希望しない場合には、当該特定のファイルの共有も停止をすることは可能である。
【0008】
一方、Googleドライブにてこの仕様が採用されていることをユーザが知らない、或いは、知っていたけれども失念していたといった場合には、当該フォルダの共有を停止後に特定のファイルの共有が意図せずに継続してしまうという事態に陥る。
【0009】
そこで、本発明は、ユーザが意図せずにファイルの共有状態が継続されることを回避可能なファイル共有システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のサーバ装置は、
フォルダ内に保存されているファイルの共有要求に応じてファイル共有を実行するファイル共有実行手段と、
前記フォルダの共有要求に応じてフォルダ共有を実行するフォルダ共有実行手段と、
前記フォルダ共有実行手段によって実行されたフォルダ共有を停止するフォルダ共有停止手段と、
前記フォルダ共有停止手段によってフォルダ共有が停止された後に前記ファイルが共有中である場合に当該共有中であることを報知する報知手段と、
を有する。
【0011】
また、本発明のサーバ装置は、
フォルダ内に保存されているファイルの共有要求に応じてファイル共有を実行するファイル共有実行手段と、
前記フォルダの共有要求に応じてフォルダ共有を実行するフォルダ共有実行手段と、
前記フォルダ共有実行手段によって実行されたフォルダ共有を停止するフォルダ共有停止手段と、
前記共有中のファイルの停止の要否を質問する質問手段と、
前記質問手段によってされた質問に対して前記ファイル共有の停止を必要とするという返答がされた場合に当該ファイル共有を停止するファイル共有停止手段と、を有する。
【0012】
前記共有要求のファイルがif-thenルールの「if」条件を満たす場合に当該条件に対応する「then」を遂行する遂行手段を有してもよい。
【0013】
また、本発明のファイル共有プログラムは、
フォルダ内に保存されているファイルの共有要求に応じてファイル共有を実行するステップと、
前記フォルダの共有要求に応じてフォルダ共有を実行するステップと、
前記フォルダ共有を停止するステップと、
前記フォルダ共有が停止された後に前記ファイルが共有中である場合に当該共有中であることを報知するステップと、
をサーバ装置に実行させる。
【0014】
また、本発明のファイル共有システムは、
上記サーバ装置と、
上記サーバ装置に対してファイル/フォルダの共有/停止要求を送信するクライアント装置と、がネットワークを介して接続されている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、本明細書では「『ファイル』共有システム」について説明するが、フォルダを共有した場合であっても当該フォルダ内に保存されているファイルが共有されることになるから、フォルダの共有も広義にファイルの共有に含まれるものとする。
【0016】
(構成の説明)
図1は、本発明の実施形態のファイル共有システムの模式的な構成を示すブロック図である。図1には、以下説明する、サーバ装置100と、第1~第nクライアント装置200A~200B(これらを区別しないものを「クライアント装置200」と称する。)と、ネットワーク300と、格納媒体400と、を示している。なお、図1に示す構成はあくまで例示であって、例えば、格納媒体400はサーバ装置100に内蔵されていてもよい。
【0017】
サーバ装置100は、本実施形態のファイル共有システムの管理者等によって管理されるものである。サーバ装置100は、クライアント装置200の操作者等に対して、ウェブを通じたファイル共有サービスを提供するために、業務用コンピュータ等によって実現することができる。
【0018】
クライアント装置200は、本実施形態のファイル共有システムのユーザによって操作されるものである。クライアント装置200は、サーバ装置100によって情報管理がされるパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)等によって実現することができる。
【0019】
以下、主として、クライアント装置200Aを本実施形態のファイル共有システムを利用する会社の社員(「自社社員A」という。)が操作し、クライアント装置200Bを他社の社員(「他社社員B」という。)が操作し、クライアント装置200Aがクライアント装置200Bへのファイル/フォルダの共有の実行/停止をサーバ装置100に要求する場合を例とした説明をする。
【0020】
ネットワーク300は、インターネット、携帯電話網、固定電話網などのネットワーク全般の総称である。ネットワーク300には、インターネットの下流で構築されるローカルエリアネットワーク(LAN)などのネットワークを含むこともできる。
【0021】
格納媒体400は、クライアント装置200Aからの共有の実行要求に従って共有されているファイルを示す情報が格納されるものである。また、特定のファイルや特定のフォルダのデータの漏洩防止などの目的で、例えば自社社員Aの責任者Nがクライアント装置200Nを操作することによって送信する、種々のif-thenルールが格納されるものである。
【0022】
if-thenルールの例としては、例えば「共有の実行要求がされたファイルのファイル名又はファイル内に『confidential』/『マル秘』/『重要!』などの文字が含まれている場合には(if)、ファイル共有先のクライアント装置200が当該ファイルにアクセスするためのURL又は当該URLへのアクセス権を無効化するとともに責任者Nに対して共有許可を要求し、これに応じて共有許可があればファイル共有のための処理を再度実行する(then)」というものが挙げられる。if-thenルールは、ファイルに関してのみ設定することができるというわけではなく、フォルダに対しても設定することができる。
【0023】
図2は、図1に示すサーバ装置100の模式的な構成を示すブロック図である。図2には、以下説明する、保存手段110と、受付手段120と、共有実行手段130と、共有停止手段140と、共有状態確認手段150と、質問手段160と、遂行手段170と、を示している。
【0024】
保存手段110は、例えば、自社社員Aの操作に従ってネットワーク300を介してクライアント装置200Aから送信されてくる、他社社員Bが操作するクライアント装置200Bと共有し得るファイルを、図示しないストレージに保存するものである。
【0025】
受付手段120は、例えば、自社社員Aの操作に従ってネットワーク300を介してクライアント装置200Aから送信されてくる、他社社員Bが操作するクライアント装置200Bに対するファイル共有の実行要求を受け付けるものである。
【0026】
共有実行手段130は、受付手段120によって受け付けられたファイル/フォルダの共有の実行要求に応じてファイル/フォルダの共有を実行するものである。共有実行手段130は、一例としては、ファイル/フォルダ共有先となるクライアント装置200が当該ファイル/フォルダにアクセスするためのURLを生成して、そのURLを当該クライアント装置200に送信することによって実行する。
【0027】
共有停止手段140は、受付手段120によって受け付けられたファイル/フォルダの共有の停止要求に応じて、共有実行手段130によって実行されたファイル/フォルダの共有を停止するものである。共有停止手段140は、自社社員Aが、下記報知手段による報知を受けて明示的に要求したことを受けてファイル共有を停止することもできるし、下記質問手段160による質問を受けて暗示的に要求したことを受けてファイル共有を停止することもできる。
【0028】
ここでいう明示的な要求とは、字句どおり、自社社員Aがクライアント装置200Aを操作して、ファイル等の共有停止の要求をサーバ装置100に対して送信することをいう。また、暗示的な要求とは、典型的には、サーバ装置100が、(1)自社社員Aの要求に従ってフォルダ内に保存されているファイルの共有を実行し、(2)自社社員Aの要求に従って当該フォルダの共有を実行し、(3)自社社員Aの要求に従って当該フォルダ共有を停止した後に、(4)自社社員Aに対して当該ファイルの共有停止の要否を尋ねて、必要であるというの意向の返信があった場合にファイル共有を停止することをいう。なお、上記(1)と上記(2)との処理を実行する順番は不問である。
【0029】
共有状態確認手段150は、特定のフォルダの共有の停止要求があった場合などに、格納媒体400に格納されている当該特定のフォルダに保存されているファイルの共有状態を確認するものである。格納媒体400では、共有中のフォルダ/ファイルを、例えば、図示しないストレージ内における保存場所を示すパスによって管理してもよいし、ファイル名によって管理してもよいし、マイクロソフト社のウィンドウズエクスプローラーのようなユーザインタフェースを通じて責任者Nや自社社員Aが視認できるように共有中のファイル/フォルダを共有中でないものと色分け表示したり、共有中のファイル名等をボールド及び/又はイタリック表示したり、共有中のファイル名等を点灯/点滅表示したり、共有中のファイル名等にその旨のアイコンを表示したりするなどの態様としてもよい。
【0030】
質問手段160は、共有停止手段140によってフォルダの共有停止された後に、当該フォルダ内に保存されているファイルの共有停止の要否を、クライアント装置200Aを操作する自社社員Aに対して質問するものである。なお、質問手段160とともに又は質問手段160に代えて、ファイルが共有中である場合に当該共有中であることを報知する報知手段を設けてもよい。
【0031】
遂行手段170は、受付手段120によって受け付けられた共有の実行要求のファイル/フォルダが、格納媒体400に格納されているif-thenルールの「if」条件を満たす場合に当該条件に対応する「then」を遂行するものである。
【0032】
なお、URLを用いてファイル/フォルダの共有を実行する場合には、クライアント装置200Bの宛先に基づくセキュアなURLを生成したり、アクセスの有効期限を設けたURLとしたりすることができるという利点があるが、ファイル等の共有実行のためにURLを用いることは必須ではない点に留意されたい。
【0033】
また、図2に示す各手段110~170によって実現される処理は、サーバ装置100が備えるCPUとメモリとの協働によって実行されるプログラムによって実現してもよい。
【0034】
すなわち、そのようなプログラムは、例えば、フォルダ内に保存されているファイル共有の実行要求に応じてファイル共有を実行するステップと、そのフォルダ共有の実行要求に応じてフォルダ共有を実行するステップと、そのフォルダ共有を停止するステップと、そのフォルダ共有が停止された後に前記ファイルが共有中である場合に当該共有中であることを報知する又は前記ファイル共有の停止の要否を質問するステップと、をサーバ装置100に実行させるものとすることができる。
【0035】
図3は、図1に示すファイル共有システムの動作原理の説明図である。図3(a)~図3(c)には、フォルダF1及びフォルダF1内に保存されているファイルf1~f3を示している。図3(a)~図3(c)において斜線が付されているファイルf2やフォルダF1は、それらが共有中であることを意味する。
【0036】
なお、フォルダF1に保存されているファイル数は複数である必要はなく、また、フォルダF1内に別のフォルダが保存されていてもよく(つまり、複数のフォルダが階層的に設けられていてもよい。)、更に当該下位のフォルダ内に一又は複数のファイルが保存されていていてもよい。
【0037】
図3(a)には、フォルダF1及びファイルf1~f3のうちファイルf2のみが共有中であることを示している。この状態から例えばフォルダF1についても共有することが可能であり、その場合には図3(a)の状態から図3(b)の状態に移行する。
【0038】
図3(b)には、フォルダF1が共有中であることを示している。フォルダF1が共有状態となると、フォルダF1内にはファイルf1~f3が保存されているので、それらのファイルf1~f3も共有中となる。この状態からフォルダF1の共有を停止することが可能であり、その場合には図3(b)の状態から図3(c)の状態に移行する。
【0039】
図3(c)には、フォルダF1及びファイルf1~f3のうちファイルf2のみが共有中であることを示している。このように、一度共有したフォルダF1の当該共有を停止すると、図3(b)の状態から図3(c)の状態に移行する。図3(c)におけるファイルの共有状態は、図3(a)におけるファイルの共有状態と同じである。
【0040】
ここで、自社社員Aとしては、図3(b)の状態でフォルダF1の共有を停止すると、図3(c)の状態に移行するのではなくて、フォルダF1及びファイルf1~f3の全ての共有が停止されたと誤解する場合がある(例えば、ファイル共有システムとして既知のDropboxでは、そのように共有が停止されることから尚更である。)。この場合には、自社社員Aの意図に反して、ファイルf2の共有中が継続してしまう。
【0041】
Googleドライブは、背景技術で説明したように、ファイル等の共有の際のファイル権限の種別として例えば「閲覧者」を選択することが可能である。しかし、図3(c)に示すようにファイルf2の共有中が継続してしまえば、他社社員Bはファイルf2を開いた状態でスクリーンショットを撮影等することが可能となり、その画像からファイルf2のコピーを光学文字認識(OCR)等によって作成することができてしまう。これではアクセス権限を「閲覧者」とした意義が没却してしまう。
【0042】
本実施形態では、このような事態に鑑みて、図3(c)の状態に移行した場合に、報知手段によって前記ファイルが共有中である場合に当該共有中であることを報知する、又は、質問手段160によってファイルf2の共有の停止の要否を質問して当該共有の停止を必要とするという返答がされた場合に当該共有を停止するようにしている。
【0043】
一方、Dropboxでは、上記のように、図3(a)の状態から図3(b)の状態に移行した後に、フォルダF1の共有を停止すると、図3(c)の状態に移行するのではなくて、ファイルf2の共有も停止される仕様になっているが、寧ろ、図3(c)の状態に移行することを希望する自社社員Aや責任者Nもいる。本実施形態のファイル共有システムは、報知手段又は質問手段160の処理によって、このような希望にも応じられるようにしている。
【0044】
図4は、図2に示す質問手段160等によってクライアント装置200Aのディスプレイに表示されるファイルが共有中であることの報知画面及び当該共有停止の要否の質問画面例を示す図である。図4には、フォルダF1内に保存されているファイルf2が共有中であることを報知することのコメントと、ファイルf2の共有停止の要否を質問することのコメントとが表示されているが、前者のみ又は後者のみのコメントを表示してもよい。
【0045】
自社社員Aがクライアント装置200Aを操作することによって、図4に示す「はい」が選択された場合にはファイルf2の共有が停止され、図4に示す「いいえ」が選択された場合にはファイルf2の共有が継続される。
【0046】
なお、ファイルf2が、例えば「confidential」であるならばその共有を停止し、一方、「confidential」でないならばその共有を継続することを希望する自社社員Aや責任者Nもいると考えられる。そのため、図4に示すような画面は、ファイル2が例えば「confidential」であるか否かを確認し、例えば「confidential」である場合にのみ表示するように自社社員Aや責任者Nが選択できるようにしてもよい。
【0047】
さらに、本実施形態では、そもそもファイル等を共有する際に、遂行手段170によって格納媒体400に格納されているif-thenルールの「if」条件を満たす場合に当該条件に対応する「then」を遂行するようにしている。
【0048】
例えば、既述の例のif-thenルールを格納媒体400に格納しておけば、図3(a)に示すファイルf2の共有を意図せずに実行したり、図3(b)に示すフォルダF1の共有を意図せずに実行したりすることがなくなり、データの漏洩防止を図ることができる。
【0049】
図5は、図2に示す遂行手段140によってクライアント装置200Nに提示される共有許可の選択画面例を示す図である。自社社員Aの責任者Nは、例えばif-thenルールの遂行を受けて或いはそれに先立って、クライアント装置200Nを操作することによって、図5に例示する画面などを通じて、共有対象のファイルに対するアクセス権限を選択することができる。
【0050】
図5には、例えば、「閲覧」・「ダウンロード」・「編集」・「印刷」・「ファイル共有の継続」・「ファイル共有の停止」・「ファイル共有の遮断」といった共有関連項目と、それらの許否の選択ボックスとを示している。
【0051】
既述の例のif-thenルールが遂行される場合には、責任者Nに対して共有許可を要求することになるが、例えば、この要求に応じて、責任者Nが「閲覧」及び「印刷」のみを許可することを選択した例を図5に示している。
【0052】
なお、責任者Nがif-thenルールの遂行に先立ってアクセス権限を付与しており、かつ、自社社員Aがその権限の範囲内で共有の実行を要求した場合には、図5に示す選択画面をクライアント装置200Nに表示する必要はない。具体的には、図5の例の場合に、自社社員Aがファイル共有の態様として「閲覧」のみを選択していた場合である。
【0053】
一方、仮に自社社員Aがファイル共有の態様として「ダウンロード」を選択していた場合でも、責任者Nから図5に示す共有許可が送信された場合にはそちらが優先され、「閲覧」及び「印刷」しかクライアント装置200Bを操作する他社社員Bには許可されない。
【0054】
なお、仮に、責任者Nは、そもそも他社社員Bに対してファイルの共有許可をしない場合には「ファイル共有の遮断」を選択すればよいし、自社社員Aがしたファイルの共有許可の態様で構わない場合には「ファイル共有の継続」を選択すればよいし(その前提として、責任者Nには自社社員Aがしたファイルの共有許可の態様を確認できる。)、一旦ファイルの共有許可をしたもののそれが失当であると思い直した場合にはサーバ装置100に図5に示す画面の再送依頼をして「ファイル共有の停止」を選択すればよい。
【0055】
(動作の説明)
図6図7は、図1に示すファイル共有システムの動作を示すフローチャートである。なお、以下、例えば自社社員Aがクライアント装置200Aを操作することによって作成したファイルf1~f3が、保存手段110によって図示しないストレージに保存されていて、これらのうちファイルf2のみが「confidential」のファイルであることを前提に、図1に示すファイル共有システムの動作について説明する。
【0056】
まず、クライアント装置200Nがネットワーク300を通じて格納媒体400に対して、既述のif-thenルールを含む一又は二以上の所定のif-thenルールを送信すると、格納媒体400は当該if-thenルールを受信してそれらを格納する(ステップS11)。
【0057】
つぎに、クライアント装置200Aがネットワーク300を通じてサーバ装置100に対して共有を実行したいファイルとしてファイルf2を特定する情報と、ファイルf2に対するアクセス権限(例えば閲覧のみ)と、ファイルf2の共有先となるクライアント装置200Bに係る宛先(例えば他社社員Bのメールアドレス)とを含む共有要求を送信すると、サーバ装置100はその共有の実行要求を受付手段120によって受け付ける(ステップS12)。
【0058】
つぎに、サーバ装置100では、共有実行手段130が、受付手段120によって受け付けられた共有の実行要求に応じて、例えばファイルf2の閲覧のみを許可する態様のアクセス権限のもとで、ファイルf2にアクセスするためのURLを生成して、ネットワーク300を通じて、他社社員Bの例えばメールアドレス宛てに送信する(ステップS13)。
【0059】
つぎに、サーバ装置100は、ネットワーク300を通じて格納媒体400に例えば即座にアクセスし、ステップS13を実行することによってクライアント装置200Bにて閲覧可能とされたファイルf2に関連するif-thenルールを参照する(ステップS14)。
【0060】
ここで、ファイルf2には「confidential」という文字が含まれているので、サーバ装置100は、遂行手段170によって、ファイルf2に関連する既述のif-thenルールを読み出す(ステップS15)。
【0061】
そして、遂行手段170は、ファイルf2に対して、クライアント装置200Bからアクセスできないようにするために、ステップS13を実行することによって送信したファイルf2のURL等を、一旦、無効化する(ステップS16)。
【0062】
つぎに、サーバ装置100では、遂行手段170によって、図5に例示する画面がクライアント装置200Aに表示させるための、共有許可の送信要求が実行される(ステップS17,S18)。
【0063】
図6には、サーバ装置100からクライアント装置200Aに対して共有許可の送信要求が実行され、ついで、クライアント装置200Aからクライアント装置200Nに対して共有許可の送信要求が実行される例を示しているが、サーバ装置100からクライアント装置200Nに対して共有許可の送信要求が直接実行されてもよい。
【0064】
なお、この例の場合には、図5に例示する画面をクライアント装置200Aに表示させる必要はないので、サーバ装置100からクライアント装置200Aに対する要求は、「共有許可が要求されたファイルは『confidential』であるため、責任者Nからの許可がなければ共有許可されません」というようなメッセージと、責任者Nに対して共有許可を要求することに「同意する」/「同意しない」という選択ボタンとを含む画像を送信することもできる。
【0065】
こうすると、自社社員Aは、仮にファイルf2が「confidential」であることを失念していて、ファイルf2の共有が実行されたくないと思い至った場合には「同意しない」ボタンを選択すれば、以後、責任者Nに対して余計な対応を強いることを回避することができる。
【0066】
一方、自社社員Aは、仮にファイルf2については共有すべきでないことは承知していたものの、ファイルf2の共有の実行を希望していた場合には「同意する」ボタンを選択すれば、責任者Nからの共有許可がされることを条件に、ファイル共有が実行される。
【0067】
実際に、責任者Nがクライアント装置200Nを操作することによって、ネットワーク300を通じて、サーバ装置100に対して共有許可を送信すると、サーバ装置100では遂行手段170がその共有許可を受信する(ステップS19)。
【0068】
この場合、サーバ装置100は、共有実行手段130によって、クライアント装置200Bに対してファイルf2を共有するための処理を再度実行するために、ファイルf2にアクセスするためのURLを生成して、ネットワーク300を通じて、例えば他社社員Bのメールアドレス宛てに送信する(ステップS20)。
【0069】
その後、クライアント装置200Aがネットワーク300を通じてサーバ装置100に対して共有したいフォルダとしてフォルダF1を特定する情報と、フォルダF1に対するアクセス権限(フォルダF1に保存されているファイルf1~f3のいずれも例えば閲覧のみ)と、フォルダF1の共有先となるクライアント装置200Bに係る宛先とを含む共有の実行要求を送信したとする。
【0070】
この場合、本実施形態のファイル共有システムでは、ステップS12~S20と同様の処理が実行される(ステップS21~S29)。この例では、ファイルf1,f3に関連するif-thenルールは存在しないが、ファイルf2に関連する既述のif-thenルールが存在するため、ステップS25~S27が実行される。
【0071】
もっとも、ステップS16~S18の共有許可の送信要求処理が実行され、これに対してステップS19の共有許可処理が実行されていることをもって、ステップS25~S29の各処理を割愛することも一法である。
【0072】
つぎに、クライアント装置200Aがネットワーク300を通じてサーバ装置100に対して共有を停止したいフォルダとしてフォルダF1を特定する情報と、フォルダF1の共有の停止先となるクライアント装置200Bに係る宛先とを含む共有の停止要求を送信すると、サーバ装置100はその共有の停止要求を受付手段120によって受け付ける(ステップS30)。
【0073】
サーバ装置100は、共有状態確認手段150によって格納媒体400を参照してフォルダF1のパスを特定し、次いで、共有停止手段140によってクライアント装置200BからアクセスできないようにするためにステップS29を実行することによって送信したフォルダF1のURL等を無効化する(ステップS31)。
【0074】
そして、サーバ装置100は、共有状態確認手段150によって特定済みのフォルダF1のパスに基づいて格納媒体400を参照して、フォルダF1内に保存されているファイルf2が共有中であることを確認し、例えば、質問手段160によってクライアント装置200Aのディスプレイに図4に例示するような報知・質問の画面を表示させる(ステップS32)。
【0075】
これに対して、クライアント装置200Aが、自社社員Aの操作に従ってファイルf2の共有の停止要求を送信すると、サーバ装置100はその共有の停止要求を受付手段120によって受け付ける(ステップS33)。
【0076】
サーバ装置100は、遂行手段170によって、ファイルf2に対して、クライアント装置200Bからアクセスできないようにするために、ステップS20を実行することによって送信したファイルf2のURL等を無効化する(ステップS34)。
【0077】
なお、ファイルf2は、ステップS20を実行することによって共有中となり、その後に、ステップS22を実行することによって重ねて共有中となる。この際、Googleドライブの例でいえば、既に共有中であるファイルがファイルf2であるということまでは特定できないが、フォルダF1内のファイルに重ねて共有中となっているものが存在していることは特定できる。
【0078】
そこで、サーバ装置100は、質問手段160を用いるのではなくて報知手段のみを用いる場合には、共有状態確認手段150によって、例えばステップS30の処理後であってステップS31の処理前に、格納媒体400を参照して共有停止の要求対象であるフォルダF1内に保存されているファイルf1~f3に、重ねて共有中となっているファイルが存在しているか否かを確認し、ステップS32の質問処理に代えてその確認結果を報知するようにしてもよい。
【0079】
なお、if-thenルールは、説明した例のものに限定されず、種々のものが考えられる。例えば、「『ダウンロード』要求がされたファイルのファイル名又はファイル内に『confidential』の文字が含まれている場合には(if)、送信済みのURL等を一度無効化するとともに『閲覧』のみを許可するためのURLを送信し、責任者Nからの許可をもって『ダウンロード』を許可するためのURLを再度送信する(then)」というものが挙げられる。
【0080】
或いは、例えば、「ファイル共有の相手先が『ファイル共有の遮断』されている場合には(if)、送信済みのURL等を一度無効化する(then)」というものも挙げられる。
【0081】
以上説明したように、図6図7に示すフローチャートの処理によれば、自社社員Aが意図しないファイル共有を継続することを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
図1】本発明の実施形態のファイル共有システムの模式的な構成を示すブロック図である。
図2図1に示すサーバ装置100の模式的な構成を示すブロック図である。
図3図1に示すファイル共有システムの動作原理の説明図である。
図4図2に示す質問手段160等によってクライアント装置200Aのディスプレイに表示されるファイルが共有中であることの報知画面及び当該教諭の停止の要否の質問画面例を示す図である。
図5図2に示す遂行手段140によってクライアント装置200Nに提示される共有許可の選択画面例を示す図である。
図6図1に示すファイル共有システムの動作を示すフローチャートである。
図7図1に示すファイル共有システムの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0083】
100 サーバ装置
110 保存手段
120 受付手段
130 共有実行手段
140 共有停止手段
150 共有状態確認手段
160 質問手段
170 遂行手段
200 クライアント装置
300 ネットワーク
400 格納媒体

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7