(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032191
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】サーバ装置、ファイル共有プログラム及びファイル共有システム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/176 20190101AFI20240305BHJP
【FI】
G06F16/176
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135709
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】523093653
【氏名又は名称】DriveChecker株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166372
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 博明
(72)【発明者】
【氏名】北畠 智弘
(72)【発明者】
【氏名】原田 礼朗
(72)【発明者】
【氏名】筒井 裕一
(57)【要約】
【課題】様々な観点からファイルを処理し得るファイル共有システムを提供すること。
【解決手段】このファイル共有システムは、クライアント装置200と、if-thenルールが格納されている格納媒体400と、クライアント装置200Bから送信されるファイルの共有要求を受信する受信手段(受付手段)120と、受信手段(受付手段)120によって受信される共有要求のファイルが格納媒体400に格納されているif-thenルールの「if」条件を満たす場合に当該条件に対応する「then」を遂行する遂行手段140と、を備えるサーバ装置100と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアント装置から送信されるファイルの共有要求を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信される共有要求のファイルがif-thenルールの「if」条件を満たす場合に当該条件に対応する「then」を遂行する遂行手段と、を備えるサーバ装置と、
を有するサーバ装置。
【請求項2】
前記受信手段によって受信される共有要求に応じてファイル共有に必要な処理を実行する実行手段を備える、請求項1記載のサーバ装置。
【請求項3】
前記受信手段によって受信される共有要求に応じて前記ファイルにアクセスするための宛先を生成する手段を備える、請求項1記載のサーバ装置。
【請求項4】
前記遂行手段は、前記ファイルにアクセスするための宛先又は当該宛先へのアクセス権を無効化する手段を含む、請求項1記載のサーバ装置。
【請求項5】
クライアント装置から送信されるファイルの共有要求を受信するステップと、
前記共有要求のファイルがif-thenルールの「if」条件を満たす場合に当該条件に対応する「then」を遂行するステップと、
をサーバ装置に実行させるファイル共有プログラム。
【請求項6】
請求項1記載のサーバ装置と前記クライアント装置とがネットワークを介して接続されているファイル共有システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ装置、ファイル共有プログラム及びファイル共有システムに関し、一のクライアント装置から他のクライアント装置に対してファイル共有することができる、サーバ装置、ファイル共有プログラム及びファイル共有システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、誤共有を防止できるファイル共有システムについての開示がされている。このファイル共有システムは、顧客情報保持部と、ファイルが共有要件を充足するか否かをチェックするファイルチェック部と、事業者からのアップロードを実行するファイル受信部と、ファイルを顧客にダウンロード又は閲覧させるファイル開示部とを備え、ファイル受信部はファイルチェック部において共有要件を充足すると判断された場合にアップロードを実行する、というものである。
【0003】
このように、特許文献1のファイル共有システムは、概略、共有したいファイルから抽出された顧客情報と保持されている顧客情報とが一致する場合に、共有要件を充足するとして当該ファイルを当該顧客と共有するというものである。
【0004】
そして、特許文献1に係る意見書によれば、例えば、ID=100の顧客Aの電話番号(顧客情報)とID=110の顧客Bの電話番号とが一致する場合、顧客Aと顧客Bとが同一家族であるとして共有要件を満たすという扱いがされている。
【特許文献1】特開6532145号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、顧客情報が一致しているか否かということと、当該ファイルが共有してもよいものであるか否かということとは概念を異にする。例えば、顧客Aと顧客Bとが同一家族であるというだけで、顧客Aと顧客Bとの関係が直ちにプライバシーフリーとなるわけではないから、特定のファイルを顧客Aと共有することに問題がなくとも、そのファイルを顧客Bと共有することに問題がある場合もある。
【0006】
また、例えば、特定のファイルが閲覧されることには問題ないものの、そのファイルが印刷されることには問題がある場合もある。したがって、ファイル共有システムにおいては、閲覧等のためのアップロードだけに着目したのでは、ユーザに対して十分に満足のいくサービスを提供することができない場合がある。
【0007】
そこで、本発明は、様々な観点からファイルを処理し得るファイル共有システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のサーバ装置は、
クライアント装置から送信されるファイルの共有要求を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信される共有要求のファイルがif-thenルールの「if」条件を満たす場合に当該条件に対応する「then」を遂行する遂行手段と、を備える。
【0009】
また、本発明のサーバ装置は、前記受信手段によって受信される共有要求に応じてファイル共有に必要な処理を実行する実行手段を備えることもできる。
【0010】
さらに、本発明のサーバ装置は、前記受信手段によって受信される共有要求に応じて前記ファイルにアクセスするための宛先を生成する手段を備えることもできる。
【0011】
さらにまた、本発明のサーバ装置は、前記遂行手段は、前記ファイルにアクセスするための宛先又は当該宛先へのアクセス権を無効化する手段を含むこともできる。
【0012】
また、本発明のファイル共有プログラムは、クライアント装置から送信されるファイルの共有要求を受信するステップと、
前記共有要求のファイルがif-thenルールの「if」条件を満たす場合に当該条件に対応する「then」を遂行するステップと、
をサーバ装置に実行させる。
【0013】
また、本発明のファイル共有システムは、上記サーバ装置と上記クライアント装置とがネットワークを介して接続されている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
(構成の説明)
図1は、本発明の実施形態のファイル共有システムの模式的な構成を示すブロック図である。
図1には、以下説明する、サーバ装置100と、第1~第nクライアント装置200A~200N(これらを区別しないものを「クライアント装置200」と称する。)と、ネットワーク300と、格納媒体400と、を示している。なお、
図1に示す構成はあくまで例示であって、例えば、格納媒体400はサーバ装置100に内蔵されていてもよい。
【0016】
サーバ装置100は、本実施形態のファイル共有システムの管理者等によって管理されるものである。サーバ装置100は、クライアント装置200の操作者等に対して、ウェブを通じたファイル共有サービスを提供するために、業務用コンピュータ等によって実現することができる。
【0017】
クライアント装置200は、本実施形態のファイル共有システムのユーザによって操作されるものである。クライアント装置200は、サーバ装置100によって情報管理がされるパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)などによって実現することができる。
【0018】
以下、主として、クライアント装置200Aを本実施形態のファイル共有システムを利用する会社の責任者Aが操作し、クライアント装置200Bを当該会社の社員(「自社社員B」という。)が操作し、クライアント装置200Nを他社の社員(「他社社員N」という。)が操作し、クライアント装置200Bがクライアント装置200Nへのファイル共有をサーバ装置100に要求する場合を例とした説明をする。
【0019】
ネットワーク300は、インターネット、携帯電話網、固定電話網などのネットワーク全般の総称である。ネットワーク300には、インターネットの下流で構築されるローカルエリアネットワーク(LAN)などのネットワークを含むこともできる。
【0020】
格納媒体400は、例えば責任者Aがクライアント装置200Aを操作することによって送信する、種々のif-thenルールが格納されるものである。if-thenルールの例としては、例えば「共有要求がされたファイルのファイル名又はファイル内に『confidential』の文字が含まれている場合には(if)、ファイル共有先となるクライアント装置200が当該ファイルにアクセスするためのURL又は当該URLへのアクセス権を無効化する(then)」というものが挙げられる(以下、このif-thenルールの例を「ルール例1」という。)。
【0021】
更に、if-thenルールの別の例としては、例えば「ファイルが『jpegファイル』である場合には(if)、ファイル共有先となるクライアント装置200が当該ファイルにアクセスするためのURL等を一度無効化するとともに責任者Aに対して共有許可を要求し、これに応じて共有許可があればファイル共有のための処理を再度実行する(then)」というものが挙げられる(以下、このif-thenルールの例を「ルール例2」という。)。
【0022】
図2は、
図1に示すサーバ装置100の模式的な構成を示すブロック図である。
図2には、以下説明する、保存手段110と、受付手段120と、実行手段130と、遂行手段140と、を示している。これらのうち、受付手段120及び遂行手段140が、本実施形態において特徴的な手段である。
【0023】
保存手段110は、例えば、自社社員Bの操作に従ってネットワーク300を介してクライアント装置200Bから送信されてくる、他社社員Nが操作するクライアント装置200Nと共有し得るファイルを、図示しないストレージに保存するものである。
【0024】
受付手段(受信手段)120は、例えば、自社社員Bの操作に従ってネットワーク300を介してクライアント装置200Bから送信されてくる、他社社員Nが操作するクライアント装置200Nに対するファイル共有要求を受け付けるものである。
【0025】
実行手段130は、受付手段120によって受け付けられたファイル共有要求に応じてファイル共有に必要な処理を実行するものである。実行手段130は、一例としては、ファイル共有先となるクライアント装置200Nが当該ファイルにアクセスするためのURLを生成して、そのURLをクライアント装置200Nに送信するものである。
【0026】
遂行手段140は、受付手段120によって受け付けられた共有要求のファイルが、格納媒体400に格納されているif-thenルールの「if」条件を満たす場合に当該条件に対応する「then」を遂行するものである。
【0027】
なお、URLを用いてファイル共有をする場合には、ファイル共有を停止などするための処理が容易であったり、クライアント装置200Nの宛先に基づくセキュアなURLを生成したり、アクセスの有効期限を設けたURLとしたりすることができるという利点があるが、ファイル共有のためにURLを用いることは必須ではない点に留意されたい。
【0028】
また、
図2に示す各手段110~140によって実現される処理は、サーバ装置100が備えるCPUとメモリとの協働によって実行されるプログラムによって実現してもよい。すなわち、そのようなプログラムは、例えば、クライアント装置200Bから送信されるファイルの共有要求を受信するステップと、共有要求のファイルがif-thenルールの「if」条件を満たす場合に当該条件に対応する「then」を遂行するステップと、をサーバ装置100に実行させるものとすることができる。
【0029】
ところで、既存のファイル共有システムの一つとして、Google社が提供している「Googleドライブ」というものがある。Googleドライブでも、Google社のストレージに保存しているデータを、ファイル単位或いはフォルダ単位で、誰に対しても共有を許可することができる(本明細書では、フォルダを共有した場合であっても当該フォルダ内に保存されているファイルが共有されることになるから、フォルダの共有も広義にファイルの共有に含まれるものとして扱う。)。
【0030】
そして、ファイル共有の際には、共有の態様を選択することが可能である。具体的には、共有相手に対して、「閲覧者」、「閲覧者(コメント可)」、「編集者」という3態様のアクセス権限を選択的に付与することができる。
【0031】
Google社の説明によれば、これらのアクセス権限は、本実施形態の例に即していうと、
・「閲覧者」とは、ファイルの閲覧を許可するものの、ファイルへの変更や他のユーザとの共有は許可しない権限をいい、
・「閲覧者(コメント可)」とは、ファイルの閲覧のみならず、ファイルへのコメントや提案についても許可するものの、ファイルへの変更や他のユーザとのファイルの共有は許可しない権限をいい、
・「編集者」とは、更に、ファイルの閲覧、ファイルへのコメントや提案、ファイルへの変更や他のユーザとのファイルの共有も許可する権限をいう。
【0032】
したがって、本実施形態のファイル共有システムを利用することなく、既存のGoogleドライブのみを利用する場合、自社社員Bが例えば「編集者」を選択して他社社員Nに対するファイルの共有要求をした場合には、他社社員Nは例えば当該ファイルをダウンロードすることが可能である。
【0033】
これに対し、本実施形態のファイル共有システムを既存のGoogleドライブと併用する場合には、自社社員Bがたとえ「編集者」を選択して他社社員Nに対するファイル共有を要求した場合であっても、そのファイルが「confidential」という文字を含み、かつ、ルール例1のif-thenルールが格納媒体400に格納されているのであれば、ファイル共有はなされない又は共有されたとしてもすぐにURL等が無効化されることになる。
【0034】
なお、既存のGoogleドライブのみならず、既知のDropboxというファイル共有システムにおいても、ファイルの共有時に、「閲覧可能」、「編集可能」、「読み取り専用」とのいずれかのアクセス権限を選択することができる。
【0035】
Dropbox社の説明によれば、これらのアクセス権限は、本実施形態の例に即していうと、
・「閲覧可能」とは、ファイルの閲覧・コメントを許可するものも、編集はできない権限であり、
・「編集可能」とは、ファイルの閲覧・コメント・編集のいずれも許可する権限であり、
・「読み取り専用」とは、ファイルの閲覧のみでき、コメントを見ることができない権限をいう。
【0036】
本実施形態のファイル共有システムを既存のDropboxと併用する場合にも、本実施形態のファイル共有システムを既存のGoogleドライブと併用する場合と同様の処理を実行することになる。
【0037】
その他にも、マイクロソフト社が提供するOneDrive、BOX社が提供するBOX、ファイルフォース社が提供するFileforceなどのファイル共有システムがあるが、これらについても、GoogleドライブやDropboxと同様に、複数の種別のアクセス権限が選択可能とされている。
【0038】
したがって、本実施形態のファイル共有システムを、このような既存のファイル共有システムと併用すれば、ルール例1,2の例でいうと、自社社員Bが「confidential」という文字を含むファイルについて誤って共有要求をしてしまった場合や、責任者Aの許可を得ることを前提として自社社員Bがしたファイル共有要求が実行されるようにすることができる。
【0039】
もっとも、本実施形態のファイル共有システムは、既存のファイル共有システムと併用することが必須ではない点に留意されたい。したがって、本実施形態のファイル共有システムは、既存のファイル共有システムのように、ファイル共有を要求する際にアクセス権限を選択するといった機能を用意せず、それ単独で格納媒体400に格納されているif-thenルールにのみ従った処理を実行するようにしてもよい。
【0040】
図3は、
図2に示す遂行手段140によってクライアント装置200Aに提示される共有許可の選択画面例を示す図である。責任者Aは、例えばif-thenルールの遂行を受けて或いはそれに先立って、クライアント装置200Aを操作することによって、
図3に例示する画面などを通じて、共有対象のファイルに対するアクセス権限を選択することができる。
【0041】
図3には、例えば、「閲覧」・「ダウンロード」・「編集」・「印刷」・「ファイル共有の継続」・「ファイル共有の停止」・「ファイル共有の遮断」といった共有関連項目と、それらの許否の選択ボックスとを示している。
【0042】
ルール例2の「then」が遂行される場合には、責任者Aからの共有許可を要求することになるが、この要求に応じて、責任者Aが「閲覧」及び「印刷」のみを許可することを選択した例を
図3に示している。
【0043】
なお、責任者Aがif-thenルールの遂行に先立ってアクセス権限を付与しており、かつ、自社社員Bがその権限の範囲内で共有を要求した場合には、
図3に示す選択画面をクライアント装置200Aに表示する必要はない。具体的には、
図3の例の場合に、自社社員Bがファイル共有の態様として「閲覧」のみを選択していた場合である。
【0044】
一方、仮に自社社員Bがファイル共有の態様として「ダウンロード」を選択していた場合でも、責任者Aから
図3に示す共有許可が送信された場合にはそちらが優先され、「閲覧」及び「印刷」しかクライアント装置200Nを操作する他社社員Nには許可されない。
【0045】
なお、仮に、責任者Aは、そもそも他社社員Nに対してファイルの共有許可をしない場合には「ファイル共有の遮断」を選択すればよいし、自社社員Bがしたファイルの共有許可の態様で構わない場合には「ファイル共有の継続」を選択すればよいし(その前提として、この場合には責任者Aには自社社員Bがしたファイルの共有許可の態様が示される。)、一旦ファイルの共有許可をしたもののそれが失当であると思い直した場合にはサーバ装置100に
図3に示す画面の再送依頼をして「ファイル共有の停止」を選択すればよい。
【0046】
(動作の説明)
図4は、
図1に示すファイル共有システムの動作を示すフローチャートである。なお、以下、例えば自社社員Bがクライアント装置200Bを操作することによって作成したファイルが、保存手段110によって図示しないストレージに保存されていることを前提に、
図1に示すファイル共有システムの動作を説明する。
【0047】
まず、クライアント装置200Aがネットワーク300を通じて格納媒体400に対して一又は二以上の所定のif-thenルールを送信すると、格納媒体400は当該if-thenルールを受信してそれらを格納する(ステップS11)。
【0048】
つぎに、クライアント装置200Bがネットワーク300を通じてサーバ装置100に対して共有したいファイルを特定する情報と、当該ファイルに対するアクセス権限(例えば当該ファイルの閲覧のみ)と、当該ファイルの共有先となるクライアント装置200Nに係る宛先(例えば他社社員Nのメールアドレス)とを含む共有要求を送信すると、サーバ装置100はその共有要求を受付手段120によって受け付ける(ステップS12)。
【0049】
なお、サーバ装置100は、クライアント装置200Bがクライアント装置200Nに対する共有要求を受け付けた場合には、そのことをその時刻とともに記録することもできる。そうすると、例えばクライアント装置200B(自社社員B)が頻繁に「confidential」のファイルを他社社員Nらに共有しようとしているか否かを責任者Aらが把握することができ、必要に応じて自社社員Bに対して注意喚起などを行うことも可能となる。
【0050】
また、仮に自社社員Bによって尋常でない数の共有要求がされた場合には、自社社員Bのファイル共有システム用のアカウントが第三者に乗っ取られているなどの可能性もあるので、本実施形態のファイル共有システム以外の経由での情報漏洩防止のためには、このような記録は有益である。
【0051】
つぎに、サーバ装置100では、実行手段130が、受付手段120によって受け付けられた共有要求に応じて、例えば当該ファイルの閲覧のみを許可する態様のアクセス権限のもとで、当該ファイルにアクセスするためのURLを生成して、ネットワーク300を通じて、他社社員Nの例えばメールアドレス宛てに送信する(ステップS13)。
【0052】
つぎに、サーバ装置100は、ネットワーク300を通じて格納媒体400に例えば即座にアクセスし、ステップS13を実行することによってクライアント装置200Nにて閲覧可能とされたファイルに関連するif-thenルールを参照する(ステップS14)。
【0053】
ここで、当該ファイル内に「confidential」という文字が含まれていて、かつ、格納媒体400に「ルール例1」のif-thenルールが含まれていたとすると、サーバ装置100は、遂行手段140によって、当該ファイルに関連する「ルール例1」のif-thenルールを読み出す(ステップS15)。
【0054】
そして、遂行手段140は、クライアント装置200Bが共有要求したファイルに対して、クライアント装置200Nからアクセスできないようにするために、ステップS13を実行することによって送信したURL等を無効化する(ステップS16)。
【0055】
以上説明したように、
図4に示すフローチャートの処理によれば、先に閲覧のみという態様でファイル共有をするためのURLを送信したものの(ステップS13)、当該ファイルが「confidential」であるため、当該URL等を無効化して(ステップS16)、他社社員Nに対して秘匿情報が漏洩することを回避できる。
【0056】
なお、
図4に示すフローチャートの動作は一例であって、例えば、ステップS12のファイルの共有要求を受信した場合に、当該共有要求を受け付けてステップS13の処理を実行するのではなく、先にステップS14,S15の処理を実行することによって、if-thenルールに従って共有要求に必要な処理を実行しないことも一法である。なお、この場合には、ステップS16の処理も実行しないことになる。
【0057】
図5は、
図4に示すフローチャートとは別の動作を示すフローチャートである。
図4に示すフローチャートの場合、ルール例1のif-thenルールには対応できるが、ルール例2のif-thenルールには対応することができない。そこで、
図5に示すフローチャートでは、
図4に示すフローチャートの処理手順を変更して、ルール例2のif-thenルールにも対応できるようにしている。
【0058】
まず、ステップS21~ステップS26の処理は、ステップS11~ステップS16の処理と同様である。ただし、ここでは、ファイル共有の要求対象であるファイルが「jpegファイル」であり、かつ、格納媒体400に「ルール例2」のif-thenルールが含まれていたとする。したがって、この例では、ステップS25を実行した結果、ルール例2のif-thenルールが読み出されることになる。
【0059】
つぎに、サーバ装置100では、遂行手段140によって、
図3に例示する画面がクライアント装置200Aに表示させるための、共有許可の送信要求が実行される(ステップS27,S28)。
【0060】
図5には、サーバ装置100からクライアント装置200Bに対して共有許可の送信要求が実行され、次いで、クライアント装置200Bからクライアント装置200Aに対して共有許可の送信要求が実行される例を示しているが、サーバ装置100からクライアント装置200Aに対して共有許可の送信要求が直接実行されてもよい。
【0061】
なお、この例の場合には、
図3に例示する画面をクライアント装置200Bに表示させる必要はないので、サーバ装置100からクライアント装置200Bに対する要求は、「共有許可が要求されたファイルは『jpegファイル』のため、責任者Aからの許可がなければ共有許可されません」というようなメッセージと、責任者Aに対して共有許可を要求することに「同意する」/「同意しない」という選択ボタンとを含む画像を送信することもできる。
【0062】
こうすると、自社社員Bは、仮に「jpegファイル」については共有すべきでないことを失念していて、そのファイル共有が実行されたくないと思い至った場合には「同意しない」ボタンを選択すれば、以後、責任者Aに対して余計な対応を強いることを回避することができる。
【0063】
一方、自社社員Bは、仮に「jpegファイル」については共有すべきでないことは承知していたものの、そのファイル共有の実行を希望していた場合には「同意する」ボタンを選択すれば、責任者Aからの共有許可がされることを条件に、ファイル共有が実行される。
【0064】
実際に、責任者Aがクライアント装置200Aを操作することによって、ネットワーク300を通じて、サーバ装置100に対して共有許可を送信すると、サーバ装置100では遂行手段140がその供給許可を受信する(ステップS29)。
【0065】
この場合、サーバ装置100は、クライアント装置200Nに対するファイル共有のための処理を再度実行するために、当該jpegファイルにアクセスするためのURLを生成して、ネットワーク300を通じて、他社社員Nのメールアドレス宛てに送信する(ステップS30)。
【0066】
なお、サーバ装置100は、他社社員Nが当該URLを通じて当該jpegファイルをダウンロードした場合には、そのことをその時刻とともに記録することもできる。そうすると、仮に当該jpegファイルの情報が漏洩した場合に、責任者Aらは他社社員Nから漏洩された可能性があることを把握することができる。
【0067】
以上説明したように、
図5に示すフローチャートの処理によれば、責任者Aの共有許可があること条件に(ステップS29)、他社社員Nに対するファイル共有を行うことをできるので、ルール例2のif-thenルールにも対応できる。
【0068】
本実施形態では、if-thenルールとしてルール例1,2を具体的に示して説明したが、if-thenルールはこれらに限定されるものではなく、種々のものが考えられる。
【0069】
例えば、「『ダウンロード』要求がされたファイルのファイル名又はファイル内に『confidential』の文字が含まれている場合には(if)、送信済みのURL等を一度無効化するとともに『閲覧』のみを許可するためのURLを送信し、責任者Aからの許可をもって『ダウンロード』を許可するためのURLを再度送信する(then)」というものが挙げられる。また、責任者Aからの許可に代えて、自社社員Bの属する部署のメンバーの過半数の許可などとすることもできる。
【0070】
例えば、「ファイル共有の相手先が『ファイル共有の遮断』されている場合には(if)、送信済みのURL等を一度無効化する(then)」というものも挙げられる。また、「『ダウンロード』要求がされたファイルのファイル名又はファイル内に『confidential』の文字が含まれていて、かつ、それが印刷される場合には(if)、当該ファイルに『confidential』の文字を電子透かしによって追加してから印刷する(then)」というものが挙げられる。
【0071】
また、例えばルール例1の「if」条件に係るファイルを、「confidential」という文字を含むファイルに代えて、「マル秘」という文字、「重要!」という文字、責任者Aが指定したNGワードともいうべき特定の文字が含まれるファイルとすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【
図1】本発明の実施形態のファイル共有システムの模式的な構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示すサーバ装置100の模式的な構成を示すブロック図である。
【
図3】
図2に示す遂行手段140によってクライアント装置200Aに提示される共有許可の選択画面例を示す図である。
【
図4】
図1に示すファイル共有システムの動作を示すフローチャートである。
【
図5】
図4に示すフローチャートとは別の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0073】
100 サーバ装置
110 保存手段
120 受付手段
130 実行手段
140 遂行手段
200 クライアント装置
300 ネットワーク
400 格納媒体