(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032200
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】結紮装置用クリップユニット
(51)【国際特許分類】
A61B 17/08 20060101AFI20240305BHJP
A61B 17/122 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
A61B17/08
A61B17/122
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135726
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】516259332
【氏名又は名称】レイクR&D株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160370
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 鈴
(72)【発明者】
【氏名】小口 祐二
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD19
4C160DD29
4C160MM43
4C160NN01
(57)【要約】
【課題】大きな傷口の一方の壁面を把持することができ把持した一方の壁面を他方の壁面まで近寄せてから合わさった対孔壁の両側部分を対孔壁に寄せて傷口を確実に閉じて体腔内に留置することができる結紮装置用クリップユニットの提供。
【解決手段】四股アーム部11を含むクリップユニット本体8aと締付リング30とを有し、四股アーム部11は、先端側が小さく開き閉脚時に畜勢復帰力を生じる第1と第2のアーム脚12,13と、先端側が大きく開き閉脚時に畜勢復帰力を生じる第3と第4のアーム脚14,15とを含み、締付リング30が第1の被嵌位置Cに位置したときに第1と第2のアーム脚12,13の先端部位12c,13cが閉じ合わさり、締付リング30が第2の被嵌位置Bに位置したときに第3と第4のアーム脚14,15の先端部位14c,15cが閉じ合わさる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡のチャネルに挿通され生体の体腔内に挿入して患部を把持し止血等を行うための結紮装置の先端に分離可能に備えられ、施術後に分離され体内に残される結紮装置用クリップユニットであって、
前記結紮装置の操作ワイヤの先端に連結された連結解除具によりチャックされる基端連結部と、前記基端連結部より一体に延在する第1-第4のアーム脚を有しかつ各アーム脚先端に爪を有する四股アーム部と、前記四股アーム部の基端側に被嵌されかつ前記結紮装置の操作により先端方向に摺動可能に設けられている締付リングとを有し、
前記四股アーム部は、中途より広がり始め先端が所要の間隔開いた二股状で閉方向に畜勢復帰力を増大する前記第1と第2のアーム脚と、前記第1と第2のアーム脚よりも先側の中途より広がり始め先端が第1と第2のアーム脚よりも所要の大きい間隔開いた二股状で閉方向に畜勢復帰力を増大する前記第3と第4のアーム脚とを含み、
前記第1のアーム脚の基端部と第3のアーム脚の基端部とが横並びであり、また前記第2のアーム脚の基端部と第4のアーム脚の基端部とが横並びであり、前記締付リングが前記第1-第4のアーム脚の基端部の横断面上の四隅が内周面に当接する被嵌状態が初期被嵌位置とされ、
前記締付リングが初期被嵌位置から先端方向に所要寸法離れた第1の締付位置に移動したときに前記第1と第2のアーム脚の先端部位が閉じ合わさり、さらに前記締付リングが先端方向に所要寸法離れた第2の締付位置に移動したときに前記締付リングが前記第1-第4のアーム脚の先端部位が閉じ合わさる構成である
ことを特徴とする結紮装置用クリップユニット。
【請求項2】
前記第1と第2のアーム脚は、前記基端連結部より一体に延在し前記締付リングの前記初期被嵌位置となる前記基端部と、中途部位であって先広がりに傾斜延在する第1の広がり部と、先端部位であって略互いに略平行に延在する第1の挟持部とを含んでおり、
前記第3と第4のアーム脚は、前記基端連結部より一体に延在し前記締付リングの前記初期被嵌位置となる前記基端部と、中途部位であって先広がりに湾曲延在する第2の広がり部と、先端部位であって先端に向かって互いに漸次に開くように所定の交差角を有する第2の挟持部とを含んでいる構成である
請求項1に記載の結紮装置用クリップユニット。
【請求項3】
前記締付リングが初期被嵌位置から先端方向に所要寸法離れた第1の締付位置に移動したときに前記締付リングが前記第1と第2のアーム脚の中途部位の前記第1の広がり部を締め付けて先端部位である前記第1の挟持部が閉じ合わさり、さらに前記締付リングが先端方向に所要寸法離れた第2の締付位置に移動したときに前記締付リングが前記第3と第4のアーム脚の中途部位の前記第2の広がり部の締め付けを経過して先端部位である第2の挟持部を締め付けて前記第3と第4のアーム脚の前記第2の挟持部が閉じ合わさる構成である
請求項2に記載の結紮装置用クリップユニット。
【請求項4】
前記第1と第2のアーム脚の先端に有する一対の前記爪は、開閉中心側に向いていて、前記第1と第2のアーム脚の先端側が閉じ合わさるときに、前後に重なるようになっており、
前記第3と第4のアーム脚の先端に有する一対の前記爪は、開閉中心側に向いていて、前記第1と第2のアーム脚の先端側が閉じ合わさるときに、前後に重なるようになっている構成である
請求項1に記載の結紮装置用クリップユニット。
【請求項5】
前記第1と第2のアーム脚の各先端近傍部および各先端より延在する各爪は、前記第3と第4のアーム脚とは板幅方向反対側に延びて幅広に形成されており、
前記第3と第4のアーム脚の各先端近傍部および各先端より延在する各爪は、前記第1と第2のアーム脚とは板幅方向反対側に延びて幅広に形成されている
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の結紮装置用クリップユニット。
【請求項6】
前記四股アーム部は、前記第1-第4のアーム脚の基端側に前記締付リングが被嵌する初期被嵌位置と、前記第1と第2のアーム脚の一対の第1の挟持部同士が閉じ合わさるときの前記締付リングの第1の締付位置と、前記締付リングの前記第3と第4のアーム脚の一対の第2の挟持部同士が閉じ合わさるときの前記締付リングの第2の締付位置のそれぞれにおいて、前記締付リングが乗り越え可能且つ前記締付リングに当接して基端側への移動を阻止する複数の突起部を有する構成である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の結紮装置用クリップユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡のチャネルに通され、消化器官内の任意の患部と対面する位置に案内され患部を挟み込んで止血等を行うための内視鏡処置具である結紮装置の先端部材として備えられ、生体の体腔内に挿入され患部を挟み込んで止血等を行い、そのまま分離され消化器官内に残される結紮装置用クリップユニット関する。
【背景技術】
【0002】
結紮装置は、内視鏡のチャネルよりも基端側に位置する操作部と、結合部を介して操作部に連結される可撓性を有するインナーシースと、結合部の先端位置からインナーシースの先端位置に被嵌している可撓性を有するアウターシースと、操作部のスライダから先方向に延在しインナーシースの先端内近傍に挿通された操作ワイヤと、インナーシースの先端内先端に備えられた連結解除具と、弾性により開いた状態と締付リングにより締め付けられて閉じた状態になるアーム部を有し基端部を連結解除具でチャックされるクリップユニットとを有する。
【0003】
クリップユニットは、開状態のアーム部が消化器官内の患部を挟持できる位置にセットされた状態から操作部における操作によりインナーシースが先方向に移動されることによりインナーシースの先端部で締付リングの締付位置が先側へ移動されることによりアーム部が閉状態になり消化器官内の患部を挟持し、この状態で連結解除具がチャック解除されることにより結紮装置から分離され消化器官内に残される。
【0004】
従来の結紮装置のクリップユニットとして、例えば特許文献1と特許文献2が挙げられる。
【0005】
特許文献1に記載されたクリップユニットは、一対のアーム板部の先端の爪の近傍に鋭利な突起部を備えており、例えば腫瘍等の切除後の粘膜の欠損部の両側部分を合わせて縫縮する場合に、前記突起部が粘膜に突き刺さることにより、一対のアーム板部の各爪が粘膜に滑らずに粘膜の欠損部の両側部分を手繰り寄せることができ、手繰り寄せた粘膜の欠損部の両側部分を一対の爪で把持することにより、該欠損部を縫縮することができ、これにより、傷口が2本のアーム脚を広げた範囲内の大きさであれば傷口を閉じることができる。
【0006】
特許文献2に記載されたクリップユニットは、先端に爪を有するアーム脚と、アーム脚に対して大きく開いている先端に爪を有するアーム先端脚と、アーム先端脚の途中から分岐しアーム脚に対して小さく開いている先端に爪を有するアーム分岐脚とを含み、締付リングをアーム脚の先端側に移動させるに従って小さく開いているアーム脚とアーム分岐脚との間隔を狭めて傷口の開口部一縁を挟持し、この挟持状態の傷口の開口部一縁を他縁側に移動させ締付リングを分岐箇所を超える位置までアーム先端側に移動させることによって、大きく開いた傷口を容易に紮装することができ、これにより、病変を切除した後の穴状態の患部の一方の壁面をクランプし、クランプした壁面を他方の壁面まで移動させ、壁面同士で縫合し縫合後は患部が露出することがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2015-8858号公報
【特許文献2】特開2017-176335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載されているクリップユニットは、例えば、傷口が6mm以下の穴であれば縫合は可能かもしれないが、大きな穴の縫合は困難である。病変の傷口(穴)を縫合する場合は、外科手術の場合は糸で縫合するが、内視鏡を用いて穴を縫合するとなると病変の穴の両側の壁面同士の縫合方法が必要となるので、6mmよりも大きな病変の傷口の縫合に適用することは難しい。仮に、一方の爪で一方の壁面を引っかけて他方の壁面へ移動させ、他方の爪で他方の壁面を引っかけて病変の穴の両側の壁面同士の縫合するのは不可能である。
【0009】
特許文献2に記載されたクリップユニットは、アーム脚とアーム分岐脚とで傷口の一方の壁面をクランプし、傷口の他方の壁面まで移動させるが、この時にアーム脚とアーム分岐脚にかなり大きな負荷がかかるためアーム脚とアーム分岐脚とに大きな強度とバネ性が必要となる。
【0010】
また、特許文献2に記載されたクリップユニットは、アーム脚とアーム先端脚とアーム分岐脚とに十分に高いバネ性を有することが以下の点において重要である。すなわち、構成上、アーム脚とアーム分岐脚の開き幅が特許文献1に記載されたクリップユニットの2分の1となっていて、その上、内視鏡を通過させるためアーム脚とアーム先端脚とアーム分岐脚を閉じた状態で可撓性シースに挿通させるが、バネ性が悪いとこの挿通後にアーム脚とアーム分岐脚の開き幅がどうしても縮小してしまう影響がでる。バネ性で開き幅が十分に開いた状態に復元せず縮小してしまうことにより患部の壁面を掴む幅が担保できない状況となるという問題がある。これを回避するために高いバネ性を有する金属材料の選別などの特殊な金属や特殊製造方法が求められる。現在のところ、アーム脚とアーム先端脚とアーム分岐脚を備えた三股構造のアームは、製造に関しレーザー抜きやエッチングでの抜きは高温でへたってしまい、また硫酸などでバネ性が無くなるなど材料に影響が起きるため、製品的にはプレス以外は不可能であり、プレス加工が複雑でアーム脚とアーム先端脚との開き幅の確保ができず現在のところ製造がままならないという問題がある。
【0011】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、二対の開閉自在なアーム部を有する四股構造であり、一対のアーム部で大きな傷口の一方の壁面を把持することができ一方の壁面を他方の壁面まで近寄せてからもう一対のアーム部で合わさった対孔壁の両側部分を対孔壁に寄せて傷口を確実に閉じて体腔内に留置することができる機能を有する結紮装置用クリップユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願の第1の発明態様は、上記目的を達成するため、内視鏡のチャネルに挿通され生体の体腔内に挿入して患部を把持し止血等を行うための結紮装置の先端に分離可能に備えられ、施術後に分離され体内に残される結紮装置用クリップユニットであって、
前記結紮装置の操作ワイヤの先端に連結された連結解除具によりチャックされる基端連結部より一体に延在する第1-第4のアーム脚を有しかつ各アーム脚先端に爪を有する四股アーム部と、前記四股アーム部の基端側に被嵌されかつ前記結紮装置の操作により先端方向に摺動可能に設けられている締付リングとを有し、
前記四股アーム部は、中途より広がり始め先端が所要の間隔開いた二股状で閉方向に畜勢復帰力を増大する第1と第2のアーム脚と、第1と第2のアーム脚よりも先側の中途より広がり始め先端が第1と第2のアーム脚よりも所要の大きい間隔開いた二股状で閉方向に畜勢復帰力を増大する第3と第4のアーム脚とを含む構成である。
【0013】
そして、前記第1のアーム脚の基端部と第3のアーム脚の基端部とが横並びであり、また前記第2のアーム脚の基端部と第4のアーム脚の基端部とが横並びであり、前記締付リングが前記第1-第4のアーム脚の基端部の横断面上の四隅が内周面に当接する被嵌状態が初期被嵌位置とされ、
前記締付リングが初期被嵌位置から先端方向に所要寸法離れた第1の締付位置に移動したときに前記第1と第2のアーム脚の先端部位が閉じ合わさり、さらに前記締付リングが先端方向に所要寸法離れた第2の締付位置に移動したときに前記締付リングが前記第1-第4のアーム脚の先端部位が閉じ合わさる構成である。
【0014】
本願の第2の発明態様は、前記第1の発明態様の構成に加え、
前記第1と第2のアーム脚が、前記基端連結部より一体に延在し前記締付リングの前記初期被嵌位置となる前記基端部と、中途部位であって先広がりに傾斜延在する第1の広がり部と、先端部位であって略互いに略平行に延在する第1の挟持部とを含んでおり、
前記第3と第4のアーム脚が、前記基端連結部より一体に延在し前記締付リングの前記初期被嵌位置となる前記基端部と、中途部位であって先広がりに湾曲延在する第2の広がり部と、先端部位であって先端に向かって互いに漸次に開くように所定の交差角を有する第2の挟持部とを含んでいる構成である。
【0015】
本願の第3の発明態様は、前記第2の発明態様の構成に加え、
前記締付リングが初期被嵌位置から先端方向に所要寸法離れた第1の締付位置に移動したときに前記締付リングが前記第1と第2のアーム脚の中途部位の前記第1の広がり部を締め付けて先端部位である前記第1の挟持部が閉じ合わさり、さらに前記締付リングが先端方向に所要寸法離れた第2の締付位置に移動したときに前記締付リングが前記第3と第4のアーム脚の中途部位の前記第2の広がり部の締め付けを経過して先端部位である第2の挟持部を締め付けて前記第3と第4のアーム脚の前記第2の挟持部が閉じ合わさる構成である。
【0016】
本願の第4の発明態様は、前記第1の発明態様の構成に加え、
前記第1と第2のアーム脚の先端に有する一対の前記爪が、開閉中心側に向いていて、前記第1と第2のアーム脚の先端側が閉じ合わさるときに、前後に重なるようになっており、
前記第3と第4のアーム脚の先端に有する一対の前記爪が、開閉中心側に向いていて、前記第1と第2のアーム脚の先端側が閉じ合わさるときに、前後に重なるようになっている構成である。
【0017】
本願の第5の発明態様は、前記第1ないし4のいずれか1つの発明態様の構成に加え、
前記第1と第2のアーム脚の各先端近傍部および各先端より延在する前記各爪が、前記第3と第4のアーム脚とは板幅方向反対側に延びて幅広に形成されており、
前記第3と第4のアーム脚の各先端近傍部および各先端より延在する前記各爪が、前記第1と第2のアーム脚とは板幅方向反対側に延びて幅広に形成されている構成である。
【0018】
本願の第6の発明態様は、前記第1ないし4のいずれか1つの発明態様の構成に加え、
前記四股アーム部が、前記第1-第4のアーム脚の基端側に前記締付リングが被嵌する初期被嵌位置と、前記第1と第2のアーム脚の一対の第1の挟持部同士が閉じ合わさるときの前記締付リングの第1の締付位置と、前記締付リングの前記第3と第4のアーム脚の一対の第2の挟持部同士が閉じ合わさるときの前記締付リングの第2の締付位置のそれぞれにおいて、前記締付リングが乗り越え可能且つ前記締付リングに当接して基端側への移動を阻止する複数の突起部を有する構成である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、二対の開閉自在なアーム部を有する四股構造であり、一対のアーム部で大きな傷口の一方の壁面を把持することができ一方の壁面を他方の壁面まで近寄せてからもう一対のアーム部で合わさった対孔壁の両側部分を対孔壁に寄せて傷口を確実に閉じて体腔内に留置することができる機能を有する結紮装置用クリップユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明のクリップユニットの実施の形態に係り、クリップユニットを含む結紮装置の全体の概略構成を示す分解斜視図である。
【
図2】(A)図はクリップユニットをチャックする連結解除具を含む結紮装置の先端部分の拡大断面図、(B)図はクリップユニットが連結解除具でチャックされた状態の結紮装置の先端部分の拡大断面図である。
【
図3】本発明のクリップユニットの実施の形態に係り、(A)図はクリップユニットが開いた状態にあるときの斜視図、(B)図はクリップユニットの分解斜視図、(C)図はクリップユニットを構成する四股アーム部の組立製作時の分解斜視図、(D)図は変形実施例に係るクリップユニットを構成する四股アーム部の組立製作時の分解斜視図である。
【
図4】本発明のクリップユニットの実施の形態に係り、(A)四股アーム部が開いた状態にあるときの斜視図、(B)図はクリップユニットが開いた状態にあるときの斜視図、(C)図は第1と第2のアーム脚が締付リングにより締め付けられ閉じ合った状態を示す斜視図、(D)図は第1-第4のアーム脚が締付リングにより締め付けられ閉じ合った状態を示す斜視図である。
【
図5】本発明のクリップユニットの実施の形態に係り、(A)図はクリップユニットが開いた状態にあるときの正面図、(B)図はクリップユニットが開いた状態にあるときの背面図、(C)図は第1と第2のアーム脚が締付リングにより締め付けられ閉じ合った状態を示す正面図、(D)図は第1-第4のアーム脚が締付リングにより締め付けられ閉じ合った状態を示す正面図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係るクリップユニットを結紮装置に装着するところを示し、(A)図はクリップユニットの四股アーム部が開いた状態で基端連結部が結紮装置の連結解除具によりチャックされる前の配置状態を一部を示す側面図、(B)図は(A)図の状態からインナーシースを連結解除具と締付リングに被さるまで前進させて連結解除具を閉脚し連結解除具でクリップユニットの基端連結部をチャックした状態を示す側面図、(C)図は(B)図と同じ状態の正面図、(D)図は(C)図の状態からアウターシースをクリップユニットに被さるまで前進させて第1-第4のアーム脚がアウターシースにより萎ませられ状態を示す正面図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係るクリップユニットを閉じるところを示し、(A)図は
図5の(A)図の状態からアウターシースを連結解除具に被さらない位置まで後退させた状態を示す正面図(
図5の(C)図と同一図)、(B)図は(A)図の状態からインナーシースを操作ワイヤおよび連結解除具に相対的に前進させることにより締付リングを第1の締付位置に移動して第1と第2のアーム脚を閉じ合わせた状態を示す正面図である。
【
図8】本発明の実施の形態に係るクリップユニットが閉じてから分離されるところを示し、(A)図は
図6(B)図の状態からさらに前進させることにより締付リングを第2の締付位置に移動して第1-第4のアーム脚を閉じ合わせた状態を示す側面図、(B)図は(A)図の状態からインナーシースを連結解除具に被さらない位置まで相対的に後退させることにより連結解除具が畜勢復帰力により開いてクリップユニットの基端連結部のチャックを解除した状態を示す側面図である。
【
図9】本発明の実施の形態に係るクリップユニットを装着した結紮装置により生体組織、例えば消化器官内の大きく開いた傷口(患部)の一方の壁を挟むように第1と第2のアーム脚を当接するところを示す斜視図、(B)図は(A)図の状態から第1と第2のアーム脚を閉じ合わせ第1と第2のアーム脚で傷口の一方の壁を挟持したところを示す斜視図、(C)図は(B)図の状態から第1と第2のアーム脚を傷口の他方の壁の方向に移動し傷口の一方の壁を他方の壁に近接をさせるところを示す斜視図、(D)図は(C)図の状態から第3と第4のアーム脚を閉じ合わせ第3と第4のアーム脚で傷口の両方の壁のさらに両側部分を挟持して寄せたところを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態に係る結紮装置用クリップユニットを図面を参照して説明する。
【0022】
[結紮装置について]
結紮装置は、内視鏡のチャネルに通され、生体組織、例えば消化器官内の任意の患部を挟み込んで止血等を行うものである。クリップユニットは結紮装置の先端部を構成しており結紮装置の操作部の操作により動作し患部を挟み込んで止血等を行うために使用されるものであるので、先に結紮装置の概略の構成について説明する。
【0023】
図1は結紮装置1の概略構成を示す分解斜視図を示す。結紮装置1は、医師等が操作する操作部2を有し、この操作部2を内視鏡のチャネルに挿入される手前まで、操作部2より先側部分が内視鏡のチャネルに挿入され、アウターシース5とインナーシース4と連結解除具7とクリップユニット8とがチャネルの先側に突出され消化器官内の任意の患部まで挿入される。
【0024】
結紮装置1は、操作部2と、操作部2の筒軸部2aの先端部に設けられた雄型筒状連結部3aと、雄型筒状連結部3aに嵌着または螺合により連結される雌型筒状連結部3bと、雌型筒状連結部3bの先端面より先方へ一体に延在している可撓性を有するインナーシース4と、インナーシース4の外側に被嵌されスライド可能である可撓性を有するアウターシース5と、操作部2のスライダ2bに連結されインナーシース4の先端内部に延在するよう挿通されている操作ワイヤ6と、インナーシース4の先端部内に収容され基端部を操作ワイヤ6の先端に連結された連結解除具7と、基端部を連結解除具7にチャック連結されたクリップユニット8とを含んで構成される。
【0025】
アウターシース5の基端部には大径円筒状のつまみ部5aが被嵌固定されていて、医師が指でつまみ部5aを摘み軸方向に押し引きによりアウターシース5をインナーシース4に対してスライド可能である。インナーシース4は、例えば断面矩形のステンレス鋼線を密着巻きしてなるインナーシース本体4aと、インナーシース本体4aの先端に延長接続された例えばステンレスパイプ製の保持筒4bとを含んでいる。
【0026】
図2(A)に示すように、保持筒4bは、先端内部に締付リング30を収容できる締付リング収容部4b1を有し、その奥にチャック絞り部4b2を有する。
【0027】
操作部2は、基端より所定長さの部分を直径を通るスリット2a1で二分されている筒軸部2aと、筒軸部2aの基端側外周面に被嵌しかつスリット2a1に挿通された直径連結部2b1を有し軸方向にスライドするスライダ2bと、筒軸部2aの基端に取り付けられた指掛リング2cとを含んで構成される。スライダ2bは、指掛部2b2を有する。
【0028】
図2(A)に示すように、連結解除具7は、ばね性を有する成形体であって、基端部が閉じかつインナーシース4の内部に位置され操作ワイヤ6の先端に連結され基端部より先側が漸次に開きが大きくなる二股アームとなっていて各先端に内向きのチャック爪を有する形状である。
【0029】
連結解除具7は、インナーシース4が先方向に移動されるときに、インナーシース本体4aのチャック絞り部4b2が被さるとチャック絞り部4b2の外圧が作用して二股アームが畜勢復帰力を高めつつ閉脚するようになっており、これにより、内向きの一対のチャック爪7a,7bがクリップユニット8の基端連結部10の端面部を抱え込んだ状態にチャックできる。
【0030】
結紮装置1は、医師が指掛リング2cとスライダ2bの指掛部2b2に指を掛けて指掛リング2cと指掛け部2b2との距離を縮めることによりスライダ2bを後端方向へスライド操作することができ、これにより、インナーシース4を先端方向へ連結解除具7に被さる位置(
図2(B),
図6(B),
図7(A)参照)、さらにクリップユニット8に被さる位置(
図7(B),
図8(A)参照)に移動することができる。また、医師が指掛リング2cに指を掛けて先端方向または基端方向に押し引きして装置全体の進退移動を行うことができる。
【0031】
なお、操作部2および連結解除具7の構成は上記構成に限定されない。
【0032】
[クリップユニット8の構成]
図3(A),(B),(C)に示すように、結紮装置用クリップユニット8はクリップユニット本体8aと、クリップユニット本体8aの基端寄りの初期被嵌位置A(
図3(A)位置)に嵌着される締付リング30とからなり、クリップユニット本体8aは、結紮装置1の連結解除具7にチャック連結される基端連結部10と、この基端連結部10より一体に先方向に延在する各アーム先端に爪を有する四股アーム部11とからなる。締付リング30は、所要の口径でかつ拡径しない筒状成形体であればよく、図示例では円筒形であるが、角筒形であってもよく、さらにコイル状であってもよい。
【0033】
図3(A)、
図4(A),(B)に示すように、クリップユニット8は、基端連結部10が結紮装置1の連結解除具7によりチャック連結・解除可能であることにより、結紮装置1の先端に分離可能に備えられ、生体の体腔内に挿入され四股アーム部11が開いた状態から二段階に閉脚し
図4(D)に示す形態となり患部を挟み込んで止血等を行い、施術後に連結解除具7がチャック解除することにより結紮装置1と分離され体腔内に残されるものである。
【0034】
[基端連結部10の構成]
図6(A),(B)に示すように、基端連結部10は、結紮装置1の連結解除具7による連結解除可能な構成であればよい。この実施の形態の基端連結部10は、四股アーム部11と分離した部品ではなく、例えばステンレス鋼板をプレス成形により四股アーム部11と一体に成形された形状であるのがよい。この実施の形態に示される基端連結部10は、
図3(B),
図4(A)に示すように、結紮装置1の連結解除具7の一対のチャック爪7a,7bに抱え込まれる端面部10aと、端面部10aの一対の対辺よりそれぞれ直角に折れ曲がり端面部10aから離れるに従い幅が大きくなる逆さ台形状の側面部10b,10bとを含む三面枠部分である。
【0035】
[四股アーム部11の構成]
図3(A)-(C),
図4(A)-(D)に示すように、四股アーム部11は、ステンレス鋼板をプレス成形により板厚方向に屈曲した例えば約6mmとなるよう小さく開いた状態である第1と第2のアーム脚12,13と、プレス成形により例えば約3倍に大きく開いた状態である第3と第4のアーム脚14,15とを含む構成である。
【0036】
第1と第2のアーム脚12,13は、例えば6-8mmとなるよう小さく開いており、第3と第4のアーム脚14,15は、第1と第2のアーム脚12,13の開き幅の例えば約3倍に大きく開いている。
【0037】
図3(C)はクリップユニット本体8aの製作過程の一例を示す分解斜視図である。
【0038】
この実施の形態では、第3と第4のアーム脚14,15が、基端部が基端連結部10と同じ広幅となるようプレス成形により形取りされてからさらに大きく開くようプレス成形により屈曲成形されており、第3と第4のアーム脚14,15の基端部以外の部分は第3と第4のアーム脚14,15の広幅な基端部の半分の幅とされている。
【0039】
また、第1と第2のアーム脚12,13が、第3と第4のアーム脚14,15の広幅な基端部の半分の幅にプレス成形により形取りされてからさらに小さく開くようプレス成形により屈曲成形されている。そして、第1と第2のアーム脚12,13の基端部が第3と第4のアーム脚14,15の基端部の板幅方向の段差部に当接され段差部当接面および側部当接面がレーザー溶接により一体化され、これによって、第1と第2のアーム脚12,13の基端部が十分な溶接強度を有している。
【0040】
図3と
図4とから分かるように、第1-第4のアーム脚12-15は、開き方向に対し垂直方向から見たときに板厚が見えており、第1と第2のアーム脚12,13は小さく開いた屈曲形状に見え、第3と第4のアーム脚14,15は大きく開いた屈曲形状に見える。
【0041】
図3(D)はクリップユニット本体8aの製作過程の他例を示す分解斜視図である。この変形例では、第1と第2のアーム脚12,13と基端連結部10の半分とが二股アーム状に一体であるとともに、第3と第4のアーム脚14,15と基端連結部10の他の半分とが二股アーム状に一体である、二分割とされている。この変形例では基端連結部10の半分同士の接合と、第1と第2のアーム脚12,13の基端部12a,13aと第3と第4のアーム脚14,15の基端部14a,15aとの接合が行われるから、接合強度が増大するとともに、二股アームの成型時の弾性形状が強く保持される。
【0042】
さらに別の変形例として、上記とは逆に、第1と第2のアーム脚12,13の基端部が広幅で基端連結部10と一体にプレス成形され、別途にプレス成形された第3と第4のアーム脚14,15の基端部が基端連結部10と第1と第2のアーム脚12,13の基端部に当接されレーザー溶接された構成であってもよい。
【0043】
図3(B)、
図4(A)から分かるように、クリップユニット本体8aは、第1のアーム脚12の基端部12aと第3のアーム脚14の基端部14aとが板幅方向に横並びに一体であり、また第2のアーム脚13の基端部13aと第4のアーム脚15の基端部15aとが板幅方向に横並びに一体であり、第1-第4のアーム脚12-15の基端部の長手方向に対して垂直な断面形状の四隅が締付リング30の内周面の四か所に当接した状態に締付リング30が第1-第4のアーム脚12-15の基端部に嵌着されている。
【0044】
さらに、
図3(A),
図4(A)を参照して、第1-第4のアーム脚12-15の屈曲形状、開き形状と締付リング30の締め付け力の作用について詳述する。
【0045】
第1と第2のアーム脚12,13は、締付リング30が初期被嵌位置Aにあるとき、基端連結部10の側面部10b,10bより一体に先方向に延在する所要長さの基端部12a,13aと、基端部12a,13aより傾斜直線状に先広がりに延在する第1の広がり部12b,13bと、第1の広がり部12b,13bより互いに略平行に延在する第1の挟持部12c,13cとを含む屈曲形状・開き形状を保持する。そして、第1の挟持部12c,13cの基端部同士は、締付リング30が第1の締付位置Bに来ると、第1の広がり部12b,13b同士および第1の挟持部12c,13c同士が閉じ合う。
【0046】
第3と第4のアーム脚14,15は、締付リング30が初期被嵌位置Aにあるとき、基端連結部10の側面部10b,10bより一体に延在する所要長さの基端部14a,15aと、基端部14a,15aより先広がりに湾曲する第2の広がり部14b,15bと、第2の広がり部14b,15bより先端に向かって互いに漸次に開くように所定の交差角を有する第2の挟持部14c,15cとを含む屈曲形状・開き形状を保持する。そして、第2の広がり部14b,15b同士は、締付リング30が第1の締付位置Bに来ても閉動を開始せず、締付リング30が第2の締付位置Cに来ると、第2の挟持部14c,15c同士および第2の挟持部14c,15c同士が閉じ合う。
【0047】
第1の広がり部12b,13bの広がり基端は、締付リング30が四股アーム部11の基端寄りの第1の被嵌位置に被嵌された位置にあるとき、当該位置の締付リング30の近傍にあり、このとき、第1の広がり部12b,13bに締付リング30の締め付け力が作用しないため、第1の挟持部12c,13cがプレス成型時の所要の間隔に小さく開いており、締付リング30の締め付け力が作用すれば閉方向に畜勢復帰力を増大する。
【0048】
第2の広がり部14b,15bの円弧上の広がり基端は、第1の広がり部12b,13bの広がり基端よりも先側に所要寸法離れた位置にあり、かつ締付リング30が第1の広がり部12b,13bを閉じ合わせる第1の締付位置Bにあるときに当該位置の締付リング30の締め付け力が作用しない先側近傍にあり、第2の広がり部14b,15bがプレス成型時の所要の間隔に大きく開いており、締付リング30の締め付け力が作用すれば閉方向に畜勢復帰力を増大する。
【0049】
第1の挟持部12c,13cの先端側の略半部が板幅方向外方(第3,4アームと反対側方向)に幅広に延びている。また、第2の挟持部14c,15cの先端側の略半部が板幅方向外方(第1、2アームと反対側方向)に幅広に延びており、
図4(D)に示す全アームが閉じた状態において、締付リング30がそれ以上先端側へ移動しないようになっている。また、第1の挟持部12c,13cの各先端より延在する爪16,17は、互いに食い違い向かい合うように設けられている。また、第2の挟持部14c,15cの各先端より延在する爪18,19は、互いに食い違い向かい合うように設けられている。
【0050】
図4,
図5(A)-(D)に示すように、四股アーム部11は、第1-第4のアーム脚12-15の基端側に締付リング30が被嵌する初期被嵌位置A(
図5(A))と、第1と第2のアーム脚12,13の一対の第1の挟持部12c,13c同士が閉じ合わさるときの締付リング30の第1の締付位置B(
図5(C))と、締付リング30の第3と第4のアーム脚14,15の一対の第2の挟持部14c,15c同士が閉じ合わさるときの締付リング30の第2の締付位置C(
図5(D))のそれぞれにおいて、操作部の操作により基端側から強く押すと締付リング30が乗り越え可能であり、乗り越えた後は締付リング30の基端側部分に接することにより締付リング30の基端側への移動を阻止する複数の突起部20a,20bを有する構成としてもよい。各アーム脚は蓄勢復帰力により、締付リング30の閉方向への締め付けに対して開方向へ拡がろうとするのに伴いリングを基端側に押し戻そうとするが、そのときに各突起部に締付リング30の基端が接することにより、締付リング30は基端方向に戻ることなく第1の締付位置Bと第2の締付位置Cのそれぞれに位置決めされる。
【0051】
[締付リング30の移動について]
締付リング30の初期被嵌位置Aから第1の締付位置Bへの移動、さらに第2の締付位置Cへの移動は、操作部2のスライダ2bを筒軸部2aに対して先方向に移動することにより行うことができる。
【0052】
図4(A)は、クリップユニット本体8a(基端連結部10+四股アーム部11の成形体;締付リング30を含まない部分の構成;
図3(B)参照)の斜視図を示す。
図4(B)は、締付リング30がクリップユニット本体8aの初期被嵌位置Aに強制嵌着された状態を示す。この状態では、締付リング30が四股アーム部11に対し締め付け力を作用せず、第1-第4のアーム脚12-15は組立初期の形態に四股に開いている。
【0053】
図4(C)、
図5(C)は、締付リング30がクリップユニット本体8aの初期被嵌位置Aから第1の締付位置Bに移動した状態を示す。
図7(A)と(B)とから分かるように、締付リング30の初期被嵌位置Aから第1の締付位置Bへの移動はインナーシース4を先方向に移動することで行われる。締付リング30が第1の締付位置Bに位置すると、第1と第2のアーム脚12,13の第1の広がり部12b,13bを締め付けて第1と第2のアーム脚12,13が閉じ合わさるとともに、一対の爪16,17は、開閉中心側に向いてすれ違い前後に重なる。
【0054】
図4(D)、
図5(D)は、締付リング30がクリップユニット本体8aの第2の締付位置Cに移動した状態の斜視図を示す。
図7(B)と
図8(A)とから分かるように、締付リング30の第1の締付位置Bから第2の締付位置Cへの移動はインナーシース4をさらに先方向に移動することで行われる。締付リング30が第2の締付位置Cに位置すると、第3と第4のアーム脚14,15の第2の挟持部14c,15cを締め付け、第1と第2のアーム脚12,13に加えて第3と第4のアーム脚14,15が閉じ合わさるとともに、一対の爪18,19が開閉中心側に向いてすれ違い前後に重なる。なお、締付リング30が第2の締付位置Cの第2の挟持部14c,15cより手前の第2の広がり部14b,15bを締め付けて移動する途中では第3と第4のアーム脚14,15が互いに閉じ合っていく。
【0055】
[施術動作の説明]
図4-
図9を参照してクリップユニット8を装着した結紮装置1を用いて消化器官内の患部の施術を説明する。
【0056】
図6(A)に示すように、結紮装置1の先端にクリップユニット8を装着するには、インナーシース4およびアウターシース5を連結解除具7に被さらない後退位置とし、これにより連結解除具7の一対のチャック爪7a,7bが開いた状態とする。そして、クリップユニット8の基端連結部10を連結解除具7の一対のチャック爪7a,7bにより抱え込まれる相対位置にセットする。
【0057】
そして、
図6(B),(C)に示すように、インナーシース4のみを連結解除具7に被さる位置まで先方向に移動する。これにより、インナーシース4の外圧で連結解除具7の一対のチャック爪を閉じ合わせることができ、クリップユニット8の基端連結部10を抱え込む状態にチャックすることができる。この状態では、クリップユニット8の四股アーム部11がまだ開いている状態である。
【0058】
次に、結紮装置1のアウターシース5の基端のつまみ部5aよりも先側部分を内視鏡のチャネルに挿通するが、四股アーム部11が開いていると内視鏡のチャネルに挿通することができないので、アウターシース5の基端のつまみ部5aを摘んで前進させ、
図6(D)に示すように、アウターシース5の先端部がクリップユニット8の外側に被さるようにする。これによって、四股アーム部11を窄ませてアウターシース5の先端部内にクリップユニット8が収容された状態になる。
【0059】
次いで、結紮装置1を、
図6(D)に示す状態で内視鏡のチャネルに挿通した内視鏡の挿入部を消化器官内の患部に所要近づいた位置に進出させ、さらに、アウターシース5が被さったクリップユニット8を消化器官内の患部の近傍まで進出させ、その後、
図7(A)に示すように、インナーシース4を連結解除具7および初期被嵌位置Aに被嵌している指掛リング2cに被さった状態を保持して、アウターシース5のつまみ部5aを摘んでアウターシース5をクリップユニット8の四股アーム部11に被さらない位置まで後退させる。これにより、四股アーム部11を畜勢復帰力で開いた状態に消化器官内の患部の近接位置に対向させる。
【0060】
次いで、
図9(A)に示すように、小さく開いている第1と第2のアーム脚12,13を患部の一方の壁を挟むように進出させ当接させてから、
図9(B)に示すように、操作部2のスライダ2bを筒軸部2aに対し相対的に前進するよう操作してインナーシース4を先方向に所要寸法移動することにより、初期被嵌位置Aの締付リング30を第1と第2のアーム脚12,13の第1の広がり部12b,13bを締め付ける第1の締付位置Bまで移動する。これにより、第1と第2のアーム脚12,13の第1の挟持部12c,13cが閉じ合い患部の一方の壁を挟持する状態になる。このとき、第1と第2のアーム脚12,13の先端の爪16,17が一方の壁に両側から食い込むので、患部の一方の壁が第1の挟持部12c,13cから滑って逃げることがない。
【0061】
次いで、例えばクリップユニット8の軸心を傾かせることにより、
図9(C)に示すように、第1の挟持部12c,13cで挟持された患部の一方の壁を他方の壁に近接させる。第1と第2のアーム脚12,13と第3と第4のアーム脚14,15とは一体である基端部から独立して開いていて、締付リング30の締付位置に応じて締め付けられる構成であるので、上記の第1と第2のアーム脚12,13が閉じるとき、第3と第4のアーム脚14,15の開いた状態が幾分狭まることはない。
【0062】
次いで、大きく開いている第3と第4のアーム脚14,15を閉じるため、
図1に示す操作部2のスライダ2bを筒軸部2aに対し相対的にさらに後退するよう操作し、インナーシース4を先方向にさらに所要寸法移動する。これにより、
図8(A)に示すように、締付リング30を第3と第4のアーム脚14,15の第2の広がり部14b,15bの締め付ける移動途中位置を経てさらに第2の挟持部14c,15cを締め付ける第2の締付位置Cまで移動することができる。これにより、
図9(D)に示すように、患部の両方の壁を挟んだ両側部位に爪18,19が食い込みかつ第2の挟持部14c,15cが両側部位を寄せ合わせるように挟持することができるので、広く開いた傷口の両壁を閉じ合わせることができる。傷口の両壁を閉じ合わせた状態を一定時間維持すると傷口の両壁が組織結合することができる。
【0063】
施術完了後はクリップユニット8を体腔内に留置する。したがって、施術完了後は、
図1に示す操作部2のつまみ部5aを筒軸部2aに対して基端方向に移動することにより、
図8(B)に示すように、インナーシース4を連結解除具7に被さらない位置まで相対移動する。これにより、連結解除具7が開いた状態に弾性復帰してチャック解除になる。次いで、指掛リング2cを基端方向に引くことにより結紮装置1がクリップユニット8から離れるので、クリップユニット8を
図4(D)、
図5(D)、
図9(D)に示す状態に体腔内に留置することができる。
【0064】
以上説明したように、本発明に係る結紮装置用クリップユニットによれば、二対の開閉自在な第1-第4のアーム脚12-15を有しかつ締付リングを二段階移動して二対の第1-第4のアーム脚12-15を一対ずつ段階的の閉じることができる四股構造であり、一対の第1と第2のアーム脚12,13で大きく開いた傷口(患部)の一方の壁面を把持することができ一方の壁面を他方の壁面まで近寄せてからもう一対の第3と第4のアーム脚14,15で合わさった対孔壁の両側部分を対孔壁に寄せて傷口を確実に閉じて体腔内に留置することができる結紮装置用クリップユニット8を提供することができる。また、プレス加工とレーザー溶接との組み合わせにより製造が容易でありかつばね開閉性が低下することがない結紮装置用クリップユニット8を提供することができる。
【符号の説明】
【0065】
1…結紮装置
2…操作部
2a…筒軸部
2a1…スリット
2b…スライダ
2b1…直径連結部
2b2…指掛け部
2c…指掛リング
3a…雄型筒状連結部
3b…雌型筒状連結部
4…インナーシース
4a…インナーシース本体
4b…保持筒
4b1…締付リング収容部
4b2…チャック絞り部
5…アウターシース
5a…つまみ部
6…操作ワイヤ
7…連結解除具
7a,7b…チャック爪
8…結紮装置用クリップユニット
8a…クリップユニット本体
10…基端連結部
10a…端面部
10b,10b…側面部
11…四股アーム部
12…第1のアーム脚
12a…基端部
12b…第1の広がり部(傾斜状広がり部)
12c…第1の挟持部(先端部位)
13…第2のアーム脚
13a…基端部
13b…第1の広がり部(傾斜状広がり部)
13c…第1の挟持部(先端部位)
14…第3のアーム脚
14a…基端部
14b…第2の広がり部
14c…第2の挟持部(先端部位)
15…第4のアーム脚
15a…基端部
15b…第2の広がり部
15c…第2の挟持部(先端部位)
16,17…爪
18,19…爪
20a,20b…突起部
30…締付リング
A…初期被嵌位置
B…第1の締付位置
C…第2の締付位置