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特開2024-32212測色システム、端末装置、情報処理装置及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032212
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】測色システム、端末装置、情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01J 3/50 20060101AFI20240305BHJP
   H04N 1/60 20060101ALI20240305BHJP
   G16Y 40/20 20200101ALI20240305BHJP
   G16Y 40/60 20200101ALI20240305BHJP
【FI】
G01J3/50
H04N1/60
G16Y40/20
G16Y40/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135749
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】江副 敬史
(72)【発明者】
【氏名】上嶋 完司
【テーマコード(参考)】
2G020
5C079
【Fターム(参考)】
2G020AA08
2G020DA13
2G020DA32
2G020DA34
2G020DA35
2G020DA36
2G020DA43
2G020DA65
5C079LA02
5C079LA31
5C079LB01
5C079MA10
(57)【要約】
【課題】複数の領域に適用させるための複数の測色値が存在する場合であっても、各測色値を適用される領域を、容易に特定する。
【解決手段】端末装置と、情報処理装置と、を備えた測色システムであって、端末装置は、測色装置により測色された、測色対象の色を示す測色値と、測色対象の撮影画像及び測色対象の位置情報の少なくとも一方を含む付随情報と、を対応付けて送信する送信部を備え、情報処理装置は、測色値と、付随情報と、を受信する受信部と、測色値と、付随情報と、を対応付けて表示する表示部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置と、情報処理装置と、を備えた測色システムであって、
前記端末装置は、
測色装置により測色された、測色対象の色を示す測色値と、前記測色対象の撮影画像及び前記測色対象の位置情報の少なくとも一方を含む付随情報と、を対応付けて送信する送信部を備え、
前記情報処理装置は、
前記測色値と、前記付随情報と、を受信する受信部と、
前記測色値と、前記付随情報と、を対応付けて表示する表示部と、
を備える、測色システム。
【請求項2】
前記付随情報は、前記撮影画像を含み、
前記端末装置は、
前記測色装置による測色と、撮影部による撮影と、の実行指示を出力する出力部をさらに備え、
前記端末装置の前記送信部は、前記実行指示が出力された後で前記測色装置から取得した前記測色値と、前記実行指示が出力された後で、前記撮影部により撮影された前記撮影画像を含む前記付随情報と、を対応付けて送信する、請求項1に記載の測色システム。
【請求項3】
前記付随情報は、前記撮影画像を含み、
前記撮影画像には、前記測色装置による測色中の前記測色対象を示す前記測色装置の画像が含まれ、
前記情報処理装置の前記表示部は、ユーザーの操作に応じて、前記測色対象の一部が選択された場合に、前記撮影画像に含まれる、前記測色装置の画像と、前記測色対象の画像と、の位置関係に基づいて特定された、前記一部に対応する前記測色値を表示する、請求項1または2に記載の測色システム。
【請求項4】
前記付随情報は、前記撮影画像を含み、
前記撮影画像には、前記測色装置による測色中の前記測色対象を示す前記測色装置の画像が含まれ、
前記情報処理装置の前記表示部は、前記撮影画像に含まれる、前記測色装置の画像と、前記測色対象の画像と、の位置関係に基づいて特定された、前記測色対象内の複数の領域それぞれの前記測色値を、各領域に対応付けて表示する、請求項1または2に記載の測色システム。
【請求項5】
前記付随情報は、前記位置情報を含み、
前記情報処理装置の前記表示部は、
地図情報を表示し、
ユーザーの操作に応じて、前記地図情報上の範囲が指定されると、指定された範囲内の前記位置情報に対応する前記測色値を表示する、請求項1に記載の測色システム。
【請求項6】
測色装置により測色された、測色対象の色を示す測色値と、前記測色対象の撮影画像及び前記測色対象の位置情報の少なくとも一方を含む付随情報と、を対応付けて送信する送信部を備える、端末装置。
【請求項7】
前記付随情報は、前記撮影画像を含み、
前記測色装置による測色と、撮影部による撮影と、の実行指示を出力する出力部をさらに備え、
前記送信部は、前記実行指示が出力された後で前記測色装置から受信した前記測色値と、前記実行指示が出力された後で、前記撮影部により撮影された前記撮影画像を含む前記付随情報と、を対応付けて送信する、請求項6に記載の端末装置。
【請求項8】
測色装置により測色された、測色対象の色を示す測色値と、前記測色対象の撮影画像及び前記測色対象の位置情報の少なくとも一方を含む付随情報と、を受信する受信部と、
前記測色値と、前記付随情報と、を対応付けて表示する表示部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項9】
コンピューターに、
測色装置により測色された、測色対象の色を示す測色値と、前記測色対象の撮影画像及び前記測色対象の位置情報の少なくとも一方を含む付随情報と、を対応付けて送信するステップを実行させるためのプログラム。
【請求項10】
コンピューターに、
測色装置により測色された、測色対象の色を示す測色値と、前記測色対象の撮影画像及び前記測色対象の位置情報の少なくとも一方を含む付随情報と、を受信するステップと、
前記測色値と、前記付随情報と、を対応付けて表示するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測色システム、端末装置、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、測色した色で印刷するための技術が知られている。測色に関する技術としては、特許文献1に、カラーチャートの各パッチの色設定値である基準値とそのパッチの測色値の履歴情報とが記憶されており、この基準値と測色値とを比較することで、色再現の成功率を算出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-39421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術においては、所定の領域に対応する測色値を特定するのが難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための測色システムは、端末装置と、情報処理装置と、を備えた測色システムであって、前記端末装置は、測色装置により測色された、測色対象の色を示す測色値と、前記測色対象の撮影画像及び前記測色対象の位置情報の少なくとも一方を含む付随情報と、を対応付けて送信する送信部を備え、前記情報処理装置は、前記測色値と、前記付随情報と、を受信する受信部と、前記測色値と、前記付随情報と、を対応付けて表示する表示部とを備える、測色システム。
【0006】
また、上記課題を解決するための端末装置は、測色装置により測色された、測色対象の色を示す測色値と、前記測色対象の撮影画像及び前記測色対象の位置情報の少なくとも一方を含む付随情報と、を対応付けて送信する送信部を備える。
【0007】
また、上記課題を解決するための情報処理装置は、測色装置により測色された、測色対象の色を示す測色値と、前記測色対象の撮影画像及び前記測色対象の位置情報の少なくとも一方を含む付随情報と、を受信する受信部と、前記測色値と、前記付随情報と、を対応付けて表示する表示部とを備える。
【0008】
また、上記課題を解決するためのプログラムは、コンピューターに、測色装置により測色された、測色対象の色を示す測色値と、前記測色対象の撮影画像及び前記測色対象の位置情報の少なくとも一方を含む付随情報と、を対応付けて送信するステップを実行させるためのプログラムである。
【0009】
また、上記課題を解決するためのプログラムは、コンピューターに、測色装置により測色された、測色対象の色を示す測色値と、前記測色対象の撮影画像及び前記測色対象の位置情報の少なくとも一方を含む付随情報と、を受信するステップと、前記測色値と、前記付随情報と、を対応付けて表示するステップと、を実行させるためのプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】測色システムの概要説明図。
図2】測色システムの構成図。
図3】測色処理を示すフローチャート。
図4】色調整処理を示すフローチャート。
図5】印刷データ設定画面の表示例を示す図。
図6】測色値選択画面の表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態)
図1は、本発明の一実施形態にかかる測色システムの処理の概要を説明する図である。測色システム1は、測色対象Aの測色値に基づいて、測色対象Aの印刷を行う。測色対象Aは、例えば、ポスターや、看板、標識などであり、測色システムは、既に存在しているポスターなどの色を再現するために用いられる。具体的には、まず、営業担当者などの作業者が、測色装置10を用いて、測色対象Aの測色を行う(1)。そして、測色値は、営業担当者が所持する端末装置20を介してクラウドサーバーなどのサーバー装置30に送信される(2)。そして、印刷担当者は、情報処理装置40において、サーバー装置30に格納される測色値の中から、測色対象Aに対応した印刷物の印刷に利用する測色値を選択する(3)。印刷装置50は、印刷担当者により選択された測色値により、測色対象Aの印刷を行う(4)。
【0012】
図2は、測色システム1の概略構成図である。測色システム1は、測色装置10と、端末装置20と、サーバー装置30と、情報処理装置40と、印刷装置50と、を備えている。測色装置10は、測色値(Lab値)を取得する。端末装置20は、携帯型の情報処理装置であり、例えばスマートフォンなどである。測色装置10及び端末装置20は、営業担当者など、測色を行う管理者により所持される。サーバー装置30は、端末装置20を介して測色値などを取得し、これを格納する。情報処理装置40は、サーバー装置30に格納されている測色値を取得し、印刷装置50に対して、測色値を指定した印刷の指示などを行う。測色装置10と端末装置20は、例えばブルートゥース(登録商標)などの近距離無線通信を行う。端末装置20、サーバー装置30、情報処理装置40及び印刷装置50は、ネットワークNを介して互いに通信する。ネットワークNの態様は特に限定されるものではなく、インターネットや、ローカルネットワークが挙げられる。
【0013】
測色装置10は、通信部100と、測色部102と、を備える。通信部100は、端末装置20と近距離無線通信を行う。測色部102は、測色を行い、測色値を得る。
【0014】
端末装置20は、通信部200と、プロセッサー202と、不揮発性メモリー204と、入力部206と、表示部208と、撮影部210と、GNSS受信部212と、時計部214と、を備える。通信部200は、外部機器と有線または無線の各種の通信プロトコルに従って通信する。通信部200は、測色装置10と近距離無線通信を行い、また、ネットワークNを介し、サーバー装置30など他の装置と通信を行う。通信部200は、送信部及び受信部の一例である。
【0015】
プロセッサー202は、図示しないCPUやROMやRAM等を備え、不揮発性メモリー204に記録された種々のプログラムを実行し、端末装置20の各部を制御する。なお、プロセッサー202は、単一のチップで構成されてもよく、複数のチップで構成されてもよい。また、例えばCPUに替えてASICが採用されてもよく、CPUとASICとが協働する構成であってもよい。不揮発性メモリー204には、各種の情報や、各種プログラムが格納される。入力部206は、ユーザーによる入力を受け付けるための装置であり、操作ボタンやタッチパネルなどである。表示部208は、各種情報を表示する。撮影部210は、撮影画像を得る。GNSS受信部212は、Global Navigation Satellite Systemの信号を受信する装置である。GNSS受信部212は、航法衛星からの電波を受信し、作業者の位置を算出するための信号を出力する。時計部214は、日時を計測する。
【0016】
情報処理装置40は、通信部400と、プロセッサー402と、不揮発性メモリー404と、入力部406と、表示部408と、を備える。通信部400は、ネットワークNを介し、サーバー装置30、印刷装置50など、他の装置と通信を行う。プロセッサー402、不揮発性メモリー404、入力部406、及び表示部408は、それぞれ端末装置20のプロセッサー202、不揮発性メモリー204、入力部206、及び表示部208と同様である。なお、入力部206は、キーボードなどであってもよい。
【0017】
印刷装置50は、通信部500と、プロセッサー502と、不揮発性メモリー504と、入力部506と、表示部508と、印刷部510と、を備える。通信部500は、ネットワークNを介し、情報処理装置40など、他の装置と通信を行う。プロセッサー502、不揮発性メモリー504、入力部506、及び表示部508は、それぞれ端末装置20のプロセッサー202、不揮発性メモリー204、入力部206、及び表示部208と同様である。印刷部510は、インクジェット方式や電子写真方式等の各種の印刷方式により、印刷を行う。
【0018】
図3は、端末装置20による、測色処理を示すフローチャートである。測色処理は、営業担当者が測色対象Aの測色を行う場合に実行される処理である。測色処理は、図1における(1),(2)に対応する処理である。
【0019】
測色処理は、例えば、営業担当者により、測色処理の開始ボタン(不図示)が押下された場合に開始される。測色処理において、まず、プロセッサー202は、測色装置10による測色と、撮影と、を実行するための実行指示を、表示部208に表示させる(ステップS100)。具体的には、表示部208は、「測色装置による測色を行い、測色中の測色装置と、測色対象とを含む画像を撮影して下さい」といったテキスト情報を表示部208に表示させる。ここで、表示部208は、出力部の一例であり、本処理は、測色装置10による測色と、撮影部210による撮影と、の実行指示を出力する処理の一例である。
【0020】
次に、プロセッサー202は、通信部200を介して、測色装置10から測色値を取得する(ステップS102)。営業担当者は、測色対象Aに測色装置10を当てて、測色開始の操作を行う。これに対応して、測色装置10により得られた測色値は、近距離無線通信を介して、端末装置20に送信される。
【0021】
次に、プロセッサー202は、営業担当者による入力部206への操作に応じて、撮影部210により得られた撮影画像を取得する(ステップS104)。なお、営業担当者は、端末装置20を用いて、測色対象Aに測色装置10を当てている時に、測色装置10と、測色対象Aと、を含む画像の撮影を行うものとする。ステップS104においては、このとき撮影された撮影画像が取得される。
【0022】
次に、プロセッサー202は、付随情報を生成する(ステップS106)。付随情報は、測色値に付随する情報であり、測色値に関連する情報を含む。本実施形態においては、付随情報には、ステップS104において取得した撮影画像の他、撮影日時、位置情報(測色地点)、が含まれる。撮影日時は、時計部214による計測値である。位置情報は、GNSS受信部212の受信信号に基づいて特定される。
【0023】
次に、プロセッサー202は、測色値と、付随情報と、を対応付けて、通信部200を介して、サーバー装置30に送信する(ステップS108)。これにより、測色値と付随情報は対応付けてサーバー装置30に格納される。このように、プロセッサー202は、実行指示が表示された後で測色装置から受信した測色値と、実行指示が出力された後で、撮影部210により撮影された撮影画像を含む付随情報と、を対応付けて送信する。以上で測色処理が完了する。
【0024】
営業管理者は、測色対象Aに色の異なる複数の領域が存在する場合には、各領域に対して測色を行う。これに伴い、各領域について、測色処理が実行される。また、営業管理者は、複数の測色対象について、測色を行い、これに伴い、複数の測色対象に対応して、測色処理が実行される。以上の処理により、サーバー装置30には複数の測色対象それぞれについて、測色値と、付随情報と、が対応付けて格納される。さらに、測色対象に色の異なる複数の領域が存在する場合には、領域毎に、測色値と、付随情報と、が対応付けて格納される。
このように、サーバー装置30には、複数の測色値が格納されるので、測色対象を印刷する際に、異なる領域の測色値を誤って適用する可能性がある。本実施形態においては、以下に示す処理において、このように誤った適用がなされるのを防ぐことができる。
【0025】
図4は、情報処理装置40による、色調整処理を示すフローチャートである。色調整処理は、印刷担当者が、測色対象Aに対応した印刷を行う場合に実行される処理である。色調整処理は、図1の(3)、(4)に対応する処理である。
【0026】
色調整処理において、まず、プロセッサー402は、地図情報を表示部408に表示する(ステップS200)。なお、地図情報は、情報処理装置40の不揮発性メモリー404に予め格納されているものとする。プロセッサー402は、サーバー装置30に格納されている、測色値に対応する付随情報に示される位置情報を参照し、複数の測色値それぞれに対応した測色位置が含まれる範囲の地図情報を表示する。
【0027】
次に、印刷担当者は、これから印刷を行う予定の測色対象Aが含まれる範囲を、表示部408に表示されている地図上で指定すると、プロセッサー402は、印刷担当者により、入力部406を介して、指定された範囲を受け付ける。そして、プロセッサー402は、この範囲を測色値指定範囲として設定する(ステップS202)。
【0028】
例えば、サーバー装置30には、同日に測色を行った、地域X内の測色地点に対応した測色値と、地域Y内の測色地点に対応した測色値と、が格納されているとする。この場合には、ステップS200においては、地域X及び地域Yを含む範囲の地図情報が表示される。そして、印刷担当者が、地域X内の測色地点で得られた測色値に対応した測色対象について、これから印刷を行う予定である場合には、印刷担当者は、入力部406を介して、地域Xを含み、地域Yを含まない範囲を指定する。これに対応して、ステップS202においては、地域Xを含み、地域Yを含まない範囲が測色値指定範囲として設定される。
【0029】
次に、プロセッサー402は、印刷データ設定画面を表示部408に表示する(ステップS204)。印刷データ設定画面は、印刷担当者が、入力部406を介した操作により、測色対象Aの印刷時のサイズや、印刷媒体(例えば、ロール紙)における印刷位置、色情報を設定するための画面である。なお、測色対象Aの形状や測色対象Aに含まれる各領域の色情報(初期値)は、例えば、印刷の依頼主等から提供され、予め情報処理装置40に登録されているものとする。
【0030】
図5は、印刷データ設定画面の一例を示す図である。印刷データ設定画面600には、測色対象Aに対応した印刷データのイメージ画像が表示されている。例えば、測色対象Aが上下に2色で構成される矩形である場合には、図5に示すように、上下に2色の矩形状の印刷データのイメージ画像610が表示される。イメージ画像610の上領域610aと下領域610bは、色情報の初期値に対応した色で表示されている。ただし、色情報の初期値で示される色は、実際の測色対象Aの各領域の色とは異なる場合がある。これは、例えば、色情報の初期値が、測色対象Aの撮影画像における色値であり、光の加減で実際の色値と異なっていることなどに起因する。ステップS206以降の処理により、この色ずれが補正される。
【0031】
ステップS204の処理の後、プロセッサー402は、印刷担当者により、入力部406を介して、測色対象の部分領域が選択されるまで待機し(ステップS206でN)、部分領域が選択されると(ステップS206でY)、処理をステップS208へ進める。ここで、部分領域は、測色対象内の一部の範囲であり、かつ同一色で示される範囲である。図6に示すイメージ画像610においては、上領域610a及び下領域610bがそれぞれ部分領域となる。例えば、印刷担当者が、下領域610bを選択した状態で、カラー選択ボタン620を選択すると、プロセッサー402は、下領域610bが選択されたと判断する。
【0032】
そして、ステップS208において、プロセッサー402は、通信部400を介して、サーバー装置30から、測色地点が測色値指定範囲に含まれる測色値と、これに対応する付随情報を取得(受信)する。例えば、測色値指定範囲として、地域Xが指定された場合には、測色地点が地域Xに含まれる測色値が取得される。
【0033】
次に、プロセッサー402は、測色値選択画面を表示部408に表示する(ステップS210)。ここで、測色値選択画面は、印刷担当者が、入力部406を介した操作により、選択中の部分領域に適用する測色値を選択するための画面である。測色値選択画面には、ステップS208において取得された測色値に対応した色を示すカラーパッチが表示される。すなわち、測色値選択画面には、地図情報上で指定された範囲内の測色地点に対応する測色値のカラーパッチが表示される。
【0034】
図6は、測色値選択画面の一例を示す図である。測色値選択画面700の左側の欄には、ステップS208において取得された、測色値指定範囲内を測色地点とする測色値に対応したカラーパッチ710a~710dが表示される。ここで、カラーパッチ710bが選択されると、右側の欄には、選択されたカラーパッチ710bに対応した付随情報が表示される。具体的には、右側の欄には、選択されたカラーパッチ710bに対応する、測色値721と、撮影日時722とが表示される。さらに、右側の欄には、選択されたカラーパッチ710bに対応する、測色地点を示す地図画像723と、撮影画像724が表示される。このように、測色値と、付随情報とが対応付けて表示される。
【0035】
このように、カラーパッチ710bに示される色の情報だけでなく、付随情報として測色値に対応付けられた情報が表示されるので、印刷担当者は、これらの情報に基づいて、選択中の部分領域に適用する測色値を選択することができる。色の情報のみで選択した場合には、色味の近い複数の測色値が存在する場合に、誤った測色値を選択してしまう可能性がある。これに対し、本実施形態においては、このように、測色地点が示されるので、例えば、S病院での測色値と、T美容院の測色値を明確に区別することができる。
【0036】
さらに図6の撮影画像724に示すように、撮影画像には、測色装置10の画像と、測色対象Aの画像とが含まれている。したがって、印刷担当者は、測色装置10と測色対象Aの位置関係を撮影画像724において確認することで、測色値が、測色対象Aのうち、いずれの部分領域に対応するかを、正確に把握することができる。例えば、図6に示す例では、撮影画像724において、測色装置10は、測色対象Aの下側に当てられていることが視認できるので、これにより、選択中の測色値(カラーパッチ710b)が、測色対象Aの下領域の測色値であることがわかる。
【0037】
印刷担当者は、カラーパッチを選択し、その付随情報を確認することで、適用すべき測色値を特定する。そして、印刷担当者は、測色値を決定した場合には、カラーパッチを選択した状態で、「この色を適用」のボタン730を選択する。これに対応して、適用指示が情報処理装置40に入力される。
【0038】
図6において、ステップS210の処理の後、ステップS212において、プロセッサー402は、適用指示が入力されるまで待機し(ステップS212でN)、適用指示が入力されると(ステップS212でY)、処理をステップS214へ進める。ステップS214において、プロセッサー402は、表示画面を印刷データ設定画面600に遷移させ、印刷データ設定画面600において、適用指示に係る測色値で着色されたイメージ画像610を表示する。これにより、印刷担当者は、イメージ画像610において、選択した測色値で着色された状態を確認することができる。
【0039】
次に、プロセッサー402は、入力部406を介して印刷指示が入力されたか否かを確認する(ステップS216)。印刷指示が入力されていない場合には(ステップS216でN)、プロセッサー402は、処理をステップS206へ進める。このように、ステップS206~ステップS216の処理を繰り返すことにより、測色対象Aに含まれるすべての部分領域に対して、測色値が適用される。印刷指示が入力された場合には(ステップS216でY)、プロセッサー402は、処理をステップS218へ進める。ステップS218において、プロセッサー402は、各部分領域に適用された測色値を各部分領域の色情報として印刷データと共に印刷要求を印刷装置50へ送信する。これに対応して、印刷装置50においては、印刷データに基づく印刷が行われ、測色対象に対応した印刷物が得られる。以上で、色調整処理が完了する。
【0040】
このように、本実施形態に係る測色システム1では、測色値と共に、付随情報が記録され、印刷時には、測色値と付随情報が対応付けて表示される。したがって、印刷担当者は、複数の領域に適用させるための複数の測色値が存在する場合であっても、各測色値を適用される領域を、容易に特定することができる。
【0041】
(付記)
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。
【0042】
そうした第1の変形例としては、上述の実施形態においては、測色値と付随情報は、サーバー装置30に格納されるものとしたが、これらの情報が格納される場所は、実施形態に限定されるものではない。他の例としては、測色値と付随情報は、情報処理装置40に格納されてもよい。また、測色装置と端末装置は、一体に設けられ、撮影部210は、この一体の装置とは別の装置として設けられてもよい。
【0043】
第2の変形例としては、測色値選択画面においては、測色値と付随情報と、が対応付けて表示されればよく、そのための具体的な表示態様は、実施形態に限定されるものではない。例えば、測色値と、測色地点と、撮影日時と、が一覧表示され、測色値が選択された場合に、撮影画像が表示されてもよい。
【0044】
第3の変形例としては、付随情報は、少なくとも測色対象の撮影画像及び位置情報の少なくとも一方を含めばよい。例えば、撮影画像のみ、位置情報のみ、であっても、これらの情報により、複数の測色値の中から、所定の領域に適用すべき測色値を絞り込むことができる。一方で、付随情報には、営業担当者が入力したテキスト情報を含んでもよい。例えば、営業担当者は、同一のビル内の複数階それぞれにおいて測色を行った場合に、測色が行われた階の情報をテキスト情報として入力する。これにより、印刷担当者は、営業担当者により入力された情報も参照して、測色値を特定することができる。
【0045】
第4の変形例について説明する。本実施形態においては、図3に示す測色処理において、測色装置10による測色と、撮影部210による撮影の実行指示は、表示部208に表示されたが、実行指示は出力部から出力されればよく、その形態は実施形態に限定されるものではない。他の例としては、端末装置20がスピーカーを備える場合には、実行指示は音声出力されてもよい。
【0046】
第5の変形例としては、情報処理装置40は、印刷データ設定画面600において、部分領域が選択された場合に、選択された部分領域に適用されるべき測色値を自動的に抽出し、これを反映したイメージ画像を表示してもよい。具体的には、情報処理装置40において、プロセッサー402は、サーバー装置30に測色値が格納された場合に、測色値に対応する印刷データ内の測色対象の部分画像を特定する。そして、プロセッサー402は、測色値と、印刷データ内の部分領域と、を対応付けて、不揮発性メモリー404に格納しておく。これにより、プロセッサー402は、部分領域が選択された場合には、選択された部分領域に対応付けられている測色値を適用させたイメージ画像を表示することができる。
【0047】
このように、部分領域と測色値とを対応付ける処理は、以下により実現されてもよい。すなわち、まず、プロセッサー402は、撮影画像において、画像特徴量から測色装置の画像を抽出し、測色装置の画像と、測色対象の画像の位置関係から、測色装置に対応する、測色対象内の領域を測色値に対応する領域として特定する。そして、プロセッサー402は、当該領域の特徴量に基づいて、印刷データ内の部分領域と、この部分領域に対応する撮影画像内の領域とのマッチングを行う。そして、プロセッサー402は、同一領域とは判断された印刷データ内の部分領域と、撮影画像内の領域の測色値と、を対応付ける。なお、測色装置の抽出は、ディープラーニングの技術を用いて実現されてもよい。
【0048】
また、他の例としては、情報処理装置40は、印刷データ設定画面600の表示時に、測色対象に対応する印刷データに含まれる各部分領域それぞれに適用されるべき測色値を自動的に抽出し、これを反映したイメージ画像を表示してもよい。この場合の処理も、上記と同様に、画像の特徴量によるマッチングや、ディープラーニングの技術を用いて実現されればよい。
【0049】
さらに、本発明は、コンピューターが実行するプログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、複数の装置が備える部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのプログラムの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリーであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【0050】
また、上記の実施形態は、発明を限定するものではない。実施形態には、効果を異にする複数の発明が含まれているため、実施形態中から読み取れる1の課題や効果は実施形態に含まれる全ての発明にとっての課題や効果であるというわけではない。
【符号の説明】
【0051】
1…測色システム、10…測色装置、20…端末装置、30…サーバー装置、40…情報処理装置、50…印刷装置、100、200、400、500…通信部、102…測色部、202、402、502…制御部、204、404、504…不揮発性メモリー、206、406、506…入力部、208、408、508…表示部、210…撮影部、212…GNSS受信部、214…時計部、510…印刷部
図1
図2
図3
図4
図5
図6