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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032225
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】船舶
(51)【国際特許分類】
   B63B 35/00 20200101AFI20240305BHJP
   B63H 9/04 20200101ALI20240305BHJP
   B63H 25/00 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
B63B35/00 T
B63H9/04
B63H25/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135778
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】503218067
【氏名又は名称】住友重機械マリンエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】青野 健
(72)【発明者】
【氏名】舛谷 明彦
(57)【要約】
【課題】発電部での発電に伴う抵抗を有効に用いることができる船舶を提供する。
【解決手段】船舶1は、船体11の横方向D2における中央位置CLに対して横方向D2に離間した位置に設けられ、水の流れによって発電を行う発電部40A,40Bを備える。このため、発電部40A,40Bは、発電に伴って当該位置において抵抗を生じる。これに対し、調整部41は、発電部40A,40Bによって船体11に作用するモーメントを調整する。そのため、発電部40A,40Bでの発電に伴う抵抗を船体に作用するモーメントの調整に利用することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体と、
船体の横方向における中央位置に対して前記横方向に離間した位置に設けられ、水の流れによって発電を行う発電部と、
前記発電部によって前記船体に作用するモーメントを調整する調整部と、を備える、船舶。
【請求項2】
前記調整部は、前記発電部の前記中央位置に対する距離を調整することで、前記モーメントを調整する、請求項1に記載の船舶。
【請求項3】
前記調整部は、前記発電部の抵抗を調整することで、前記モーメントを調整する、請求項1に記載の船舶。
【請求項4】
前記発電部は、前記船体に対して、前記横方向の両側に設けられる、請求項1に記載の船舶。
【請求項5】
風力によって前記船体を推進させる風力推進部を更に備える、請求項1に記載の船舶。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、船舶においてはCO等のGHGガスの削減が求められている。例えば、特許文献1に記載された船舶は、船体の推進時にプロペラの遊転によって発電を行い、発電した電力を船舶において有効に利用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-45018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述のような船舶において、船体の推進時に翼車などの遊転によって発電を行った場合、当該翼車において推進を妨げる抵抗が生じてしまう。このような発電部での発電に伴う抵抗を有効に用いることが求められていた。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、発電部での発電に伴う抵抗を有効に用いることができる船舶を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る船舶は、船体と、船体の横方向における中央位置に対して横方向に離間した位置に設けられ、水の流れによって発電を行う発電部と、発電部によって船体に作用するモーメントを調整する調整部と、を備える。
【0007】
本発明に係る船舶は、船体の横方向における中央位置に対して横方向に離間した位置に設けられ、水の流れによって発電を行う発電部を備える。このため、発電部は、発電に伴って当該位置において抵抗を生じる。これに対し、調整部は、発電部によって船体に作用するモーメントを調整する。そのため、発電部での発電に伴う抵抗を船体に作用するモーメントの調整に利用することができる。以上より、発電部での発電に伴う抵抗を有効に用いることができる。
【0008】
調整部は、発電部の中央位置に対する距離を調整することで、モーメントを調整してよい。この場合、調整部は、発電部の距離を調整するだけの簡単な構成にてモーメントを調整することができる。
【0009】
調整部は、発電部の抵抗を調整することで、モーメントを調整してよい。この場合、発電部の船体に対する距離を調節しなくとも、モーメントを調整することができる。
【0010】
発電部は、船体に対して、横方向の両側に設けられてよい。この場合、調整部は、左右の発電部のモーメントを調整することができる。
【0011】
船舶は、風力によって船体を推進させる風力推進部を更に備えてよい。この場合、船舶が風力推進部による帆走を行っているときに、発電部による発電を行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、発電部での発電に伴う抵抗を有効に用いることができる船舶を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る船舶の一例を示す概略断面図である。
図2】(a)はロータ帆の原理について説明する図であり、(b)は船舶の平面図である。
図3】(a)~(c)は、船舶の概略平面図である。
図4】本実施形態に係る船舶の制御システムを示すブロック図である。
図5】(a)~(c)は、船舶の概略平面図である。
図6】(a)~(c)は、船舶の概略平面図である。
図7】(a)~(c)は、船舶の概略平面図である。
図8】風力推進部の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、「前」「後」の語は船体の進行方向に対応するものであり、「横」の語は船体の左右(幅)方向に対応するものであり、「上」「下」の語は船体の上下方向に対応するものである。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る船舶の一例を示す概略断面図である。船舶1は、例えば原油や液体ガス等の石油系液体貨物を運搬する船舶であり、例えば、オイルタンカーである。なお、船舶は、オイルタンカーに限定されず、例えば、バルクキャリア、その他、様々な種類の船舶であってよい。
【0016】
船舶1は、図1に示すように、船体11と、推進器12と、複数の風力推進部10と、を備えている。船体11は、船首部2と、船尾部3と、機関室4と、貨物室6と、を有している。船体11の上部には(または船内には)上甲板19が設けられている。船首部2は、船体11の前方側に位置している。船尾部3は、船体11の後方側に位置している。
【0017】
船首部2は、例えば満載喫水状態における造波抵抗の低減が図られた形状を有している。推進器12は、船体11の推力を機械的に発生させるものであり、例えばスクリュープロペラが用いられている。推進器12は、推進時に船尾部3における喫水線(海Wの水面)よりも下方に設置される。また、船尾部3における喫水線よりも下方には、推進方向を調整するための舵15が設置されている。
【0018】
機関室4は、船尾部3の船首側に隣り合う位置に設けられている。機関室4は、推進器12に駆動力を付与するためのメインエンジン16を配置するための区画である。上甲板19上には、機関室4の上方に居住区22、及び排気用の煙突23が設けられる。貨物室6は、船首部2と機関室4との間に設けられている。貨物室6は、貨物を収容するための区画である。貨物室6は、外板20と内底板21の二重船殻構造を採用することによって、複数のタンク26と複数のバラストタンク27とに区画されている。タンク26は、船舶1によって運搬される貨物を積載する。バラストタンク27は、船の大きさ等に応じた量のバラスト水を収容する。
【0019】
風力推進部10は、風力によって船体11を推進させる機構である。本実施形態では、風力推進部10としてロータ式の風力推進機構が採用されている。風力推進部10は、船体11の上甲板19上に前後方向に並ぶように複数(ここでは四個)設けられている。図2(a)に示すように、風力推進部10は、上下方向に延びる円柱状のロータ帆31と、ロータ帆31を回転させる電動機32と、を備える。ロータ帆31に対して横側から風WDが吹き込むと、後側ではロータ帆31の回転方向と風WDの向きが互いに反対となり、前側ではロータ帆31の回転方向と風WDの向きが一致する。これによって、ロータ帆31の前後で圧力差が発生することで、前側へ向かう推力PFが発生する(マグナス効果)。図2(b)に示すように、船体11に対して横側から風WDが吹くことで、各風力推進部10の推力PFにより、船体11は前方へ進む。
【0020】
図3(a)に示すように、船舶1は、発電部40A,40Bを備える(図1も参照)。発電部40A,40Bは、船体11の横方向D2における中央位置CLに対して横方向D2に離間した位置に設けられ、水の流れによって発電を行う機器である。船体11の中央位置CLは、前後方向D1に延びる中心線に対応する。発電部40A,40Bは、船体11に対して、横方向D2の両側に設けられる。船体11の右側に発電部40Aが設けられ、左側に発電部40Bが設けられる。発電部40A,40Bは、船体11における前側に設けられる。発電部40A,40Bは、水の流れによって遊転する翼車によって構成される。船舶1が前方へ推進すると、翼車が相対的に前側から後側へ向かう水の流れを受ける。これにより、翼車の遊転によって発電部40A,40Bが発電する。発電部40A,40Bが発電を行うことで、当該発電部40A,40Bの位置に抵抗RA,RBが発生する。なお、図1では、図示の便宜上、船底側に発電部40A,40Bが出ているように描かれているが、図1は概略図であるため、船体に対して発電部40A,40Bがどのように設けられるかは限定されない。発電部40A,40Bは、船体11の側面に設けられ、船底側に出ないように設けられてもよい。
【0021】
船舶1は、発電部40A,40Bによって船体11に作用するモーメントを調整する調整部41を備える。調整部41は、発電部40A,40Bの中央位置CLに対する距離を調整することで、船体11に作用するモーメントを調整する。調整部41は、船舶1の右側で発電部40Aを支持する支持部材42Aと、船舶1の左側で発電部40Bを支持する支持部材42Bと、を備える。支持部材42A,42Bは、横方向D2に延びる第1の部分42aと、第1の部分42aの先端から前側へ延びる第2の部分42bと、を有する。また、調整部41は、支持部材42A,42Bの第1の部分42aの横方向D2における突出量を調整する駆動機構(不図示)を有する。
【0022】
調整部41は、支持部材42Aの第1の部分42aの右側への突出量を増やすことで、中央位置CLに対する発電部40Aの距離を大きくすることができ(図3(c)参照)、支持部材42Aの第1の部分42aの右側への突出量を減らすことで、中央位置CLに対する発電部40Aの距離を短くすることができる(図3(b)参照)。調整部41は、支持部材42Bの第1の部分42aの左側への突出量を増やすことで、中央位置CLに対する発電部40Bの距離を大きくすることができ(図3(b)参照)、支持部材42Bの第1の部分42aの左側への突出量を減らすことで、中央位置CLに対する発電部40Bの距離を短くすることができる(図3(c)参照)。
【0023】
図4を参照して、船舶1の制御システム100について説明する。制御システム100の制御装置50は、上述のような複数の風力推進部を有する船舶1を制御する装置である。具体的に、制御システム100は、前述の複数の風力推進部10と、推進器12と、舵15と、発電部40A,40Bと、を備える。また、制御システム100は、これらの機器を制御する制御装置50と、情報検出部51と、を備える。
【0024】
制御装置50は、プロセッサ、メモリ、ストレージ、通信インターフェースを備え、一般的なコンピュータとして構成されている。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)などの演算器である。メモリは、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体である。ストレージは、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶媒体である。通信インターフェースは、データ通信を実現する通信機器である。プロセッサは、メモリ、ストレージ、通信インターフェースを統括し、制御装置50の機能を実現する。制御装置50では、例えば、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより各種の機能を実現する。制御装置50は、複数のコンピュータから構成されていてもよい。
【0025】
制御装置50は、風力推進部10の電動機32へ制御信号を出力することで、ロータ帆31を所望の回転数で回転させる。制御装置50は、推進器12の駆動部(メインエンジン16等)へ制御信号を出力することで、推進器12を動作させる。制御装置50は、舵15の駆動部へ制御信号を出力することで、舵が所望の角度となるように動作させる。情報検出部51は、制御装置50の演算に必要な各種情報を検出する。情報検出部51は、風向風速計、舵角計、船体11の姿勢・動揺の計測器、GPSなどの船体11の位置を検出可能な計測器などを備える。
【0026】
制御装置50は、発電部40A,40Bを制御して、当該発電部40A,40Bによる発電のON/OFFを切り替える。制御装置50は、船舶1が風力推進部10による帆走を行っているときは、発電部40A,40Bによる発電をONとする。これにより、発電部40A,40Bの翼車が遊転し、発電を行う。発電部40A,40Bが発電した電力は、風力推進部10の電動機32に供給される。あるいは、発電部40A,40Bが発電した電力は、バッテリなどに蓄電されてもよい。制御装置50は、船舶1が推進器12による推進を行っているときは、発電部40A,40Bでの発電をOFFとする。これにより、発電部40A,40Bの翼車の遊転は停止する。なお、発電部40A,40Bは、発電OFF時には、船体11の内部に収容されるような機構を有してもよい。発電部40A,40Bは、発電OFF時には、本体や翼の角度を調整して抵抗を減らすような機構を有していても良い。
【0027】
制御装置50は、調整部41を制御する。制御装置50は、情報検出部51で検出された検出結果に基づいて、船体11が進行すべき方向と、船体11に作用している回頭モーメントを検出する。例えば、船体11が直線している場合、発電部40Aで発生するモーメントと発電部40Bで発生するモーメントとは、互いに釣り合っていることが好ましい。従って、制御装置50は、図3(a)に示すように、発電部40Aの中央位置CLに対する距離と、発電部40Bの中央位置CLに対する距離とが、等しくなるように調整部41を制御する。これにより、発電部40Aでの抵抗RAによるモーメントと、発電部40Bでの抵抗RBによるモーメントとが、釣り合う。
【0028】
例えば、船体11に対して左周りの回頭モーメントMT1が作用することが好ましい場合について説明する。なお、回頭モーメントは、船の針路をコントロールするためのモーメントである。本実施形態では、回頭モーメントを調整しているが、調整可能なモーメントは回頭モーメントに限定されない。この場合、発電部40Aで発生するモーメントよりも、発電部40Bで発生するモーメントのほうが大きいことが好ましい。従って、制御装置50は、図3(b)に示すように、発電部40Aの中央位置CLに対する距離を小さくし、発電部40Bの中央位置CLに対する距離を大きくするように、調整部41を制御する。これにより、発電部40Aでの抵抗RAによるモーメントよりも、発電部40Bでの抵抗RBによるモーメントの方が大きくなり、船体11に対して左周りの回頭モーメントとが、釣り合う。
【0029】
例えば、船体11に対して右周りの回頭モーメントMT2が作用することが好ましい場合について説明する。この場合、発電部40Bで発生するモーメントよりも、発電部40Aで発生するモーメントのほうが大きいことが好ましい。従って、制御装置50は、図3(c)に示すように、発電部40Bの中央位置CLに対する距離を小さくし、発電部40Aの中央位置CLに対する距離を大きくするように、調整部41を制御する。これにより、発電部40Bでの抵抗RBによるモーメントよりも、発電部40Aでの抵抗RAによるモーメントの方が大きくなり、船体11に対して右周りの回頭モーメントとが、釣り合う。
【0030】
以上により、調整部41が船体11を所望の方向へ曲げようとする回頭モーメントを発生させることができるため、別途に抵抗を生じる当て舵などの操舵を抑制することができる。
【0031】
次に、本実施形態に係る船舶1の作用・効果について説明する。
【0032】
本実施形態に係る船舶1は、船体11の横方向D2における中央位置CLに対して横方向D2に離間した位置に設けられ、水の流れによって発電を行う発電部40A,40Bを備える。このため、発電部40A,40Bは、発電に伴って当該位置において抵抗を生じる。これに対し、調整部41は、発電部40A,40Bによって船体11に作用するモーメントを調整する。そのため、発電部40A,40Bでの発電に伴う抵抗を船体に作用するモーメントの調整に利用することができる。以上より、発電部40A,40Bでの発電に伴う抵抗を有効に用いることができる。
【0033】
調整部41は、発電部40A,40Bの中央位置に対する距離を調整することで、モーメントを調整してよい。この場合、調整部41は、発電部40A,40Bの距離を調整するだけの簡単な構成にてモーメントを調整することができる。
【0034】
発電部40A,40Bは、船体11に対して、横方向D2の両側に設けられてよい。この場合、調整部41は、左右の発電部40A,40Bのモーメントを調整することができる。
【0035】
船舶1は、風力によって船体11を推進させる風力推進部10を更に備えてよい。この場合、船舶1が風力推進部10による帆走を行っているときに、発電部40A,40Bによる発電を行うことができる。
【0036】
本発明は、上述の実施形態に限定されない。
【0037】
図5に示すように、調整部41は、発電部40A,40Bの抵抗を調整することで、モーメントを調整してよい。この場合、発電部40A,40Bの船体11に対する距離を調節しなくとも、モーメントを調整することができる。この場合、発電部40A,40Bの翼車の遊転の抵抗を制御する機構が調整部41に該当する。調整部41は、翼車の遊転の回転数が大きくなるように調整することで抵抗を大きくする。なお、図5においては、発電部40Aと発電部40Bとの中央位置CLに対する距離は同じである。ただし、図3の距離を調整する機構と図5の抵抗を調整する機構を併用してもよい。
【0038】
例えば、船体11が直線している場合、発電部40Aで発生するモーメントと発電部40Bで発生するモーメントとは、互いに釣り合っていることが好ましい。従って、制御装置50は、図5(a)に示すように、発電部40Aの抵抗RAと発電部40Bの抵抗RBとが、等しくなるように調整部41を制御する。これにより、発電部40Aでの抵抗RAによるモーメントと、発電部40Bでの抵抗RBによるモーメントとが、釣り合う。
【0039】
例えば、船体11に対して左周りの回頭モーメントMT1が作用することが好ましい場合について説明する。この場合、発電部40Aで発生するモーメントよりも、発電部40Bで発生するモーメントのほうが大きいことが好ましい。従って、制御装置50は、図5(b)に示すように、発電部40Aの抵抗RAを小さくし、発電部40Bの抵抗RBを大きくするように、調整部41を制御する。これにより、発電部40Aでの抵抗RAによるモーメントよりも、発電部40Bでの抵抗RBによるモーメントの方が大きくなり、船体11に対して左周りの回頭モーメントとが、釣り合う。
【0040】
例えば、船体11に対して右周りの回頭モーメントMT2が作用することが好ましい場合について説明する。この場合、発電部40Bで発生するモーメントよりも、発電部40Aで発生するモーメントのほうが大きいことが好ましい。従って、制御装置50は、図5(c)に示すように、発電部40Aの抵抗RAを大きくし、発電部40Bの抵抗RBを小さくするように、調整部41を制御する。これにより、発電部40Aでの抵抗RAによるモーメントよりも、発電部40Bでの抵抗RBによるモーメントの方が小さくなり、船体11に対して右周りの回頭モーメントとが、釣り合う。
【0041】
図3に示す発電部40A,40Bは、流速が速い船体11の前側に設けられていたが、発電部40A,40Bの位置は特に限定されない。例えば、図6に示すように、船体の後側に発電部40A,40Bが設けられてもよい。船体11の後側で船の重心から遠い場所に設置すれば、第1の部分42aを相対的に短くすることができる。図6は船体11の最大全幅から外側にはみ出して発電部40A,40Bが設置されているように書かれているが、船体11の全幅から外側にはみ出さないように設置されていても良い。
【0042】
図7に示すように、前後方向D1における船体11の略中央位置に発電部40A,40Bが設けられてもよい。この場合、図3の位置によるメリットと図6の位置によるメリットのバランスをとることができる。
【0043】
また、風力推進部10の数や配置など、船体11に対してどのように設けるかなどは特に限定されない。例えば、横方向D2にずれるような風力推進部10を設けてもよい。
【0044】
発電部40A,40Bは、翼車のみならず、水の流れを利用して発電するものであればどのような機器を採用してもよく、例えば、振動発電などを採用してもよい。また、発電部40A,40Bの翼車は推進器を兼ねてもよい。なお、停船時には、翼車の軸を垂直に回転させて、船体11の上下運動や波で発電することも可能である。
【0045】
発電部40A,40Bは、船体11の両側に設けられていたが、横方向D2における片方のみに発電部が設けられてもよい。あるいは、前後方向D1に複数組の発電部40A,40Bが設けられてもよい。
【0046】
風力推進部10は、ロータ帆に限定されず、通常の帆や凧など、風力によって船体を推進させることができるものであれば特に限定されない。例えば、風力推進部10として、図8(a)(b)に示すような布帆を採用してもよく、図8(c)に示すような鋼帆を採用してもよく、図8(d)に示すような凧を採用してもよい。
【0047】
船体11の構造も図1に示すものに限定されず、用途等に応じて適宜変更してよい。
【符号の説明】
【0048】
1…船舶、11…船体、10…風力推進部、40A,40B…発電部、41…調整部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8