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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032234
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】交通安全支援システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240305BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20240305BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20240305BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20240305BHJP
   G08B 21/18 20060101ALI20240305BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240305BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20240305BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20240305BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08B25/04 C
G08B25/10 A
G08B21/00 U
G08B21/18
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135791
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】片山 誠
(72)【発明者】
【氏名】石田 貴久
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
5H181
【Fターム(参考)】
5C086AA22
5C086AA54
5C086BA22
5C086CA06
5C086CA21
5C086CA25
5C086CB36
5C086DA15
5C086EA13
5C086FA06
5C086FA17
5C087AA03
5C087AA10
5C087AA19
5C087AA37
5C087BB11
5C087BB18
5C087DD03
5C087DD14
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF16
5C087GG02
5C087GG12
5C087GG14
5C087GG17
5C087GG35
5C087GG59
5C087GG70
5C087GG83
5H181AA01
5H181AA22
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC27
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL09
5H181MC07
5H181MC27
(57)【要約】
【課題】歩行者集団の安全な集団移動及び車両の安全な移動を支援する交通安全支援システムを提供すること。
【解決手段】交通安全支援システムは、歩行者集団3及び車両Vの安全な移動を支援する。交通安全支援システムは、歩行者集団3と共に移動する携帯情報端末30と、車両Vと共に移動する車載制御手段20と、携帯情報端末30及び車載制御手段20と通信可能に接続された交通管理サーバ6と、を備える。交通管理サーバ6は、携帯情報端末30及び車載制御手段20から送信される情報に基づいて歩行者集団3及び車両Vの位置を認識し、車両V及び歩行者集団が共通の特定交通エリア内を移動中である場合、車載制御手段20へ集団存在通知を送信し、車載制御手段20は、特定交通エリア内において集団存在通知を受信した場合、車両Vの速度を所定の上限速度以下に制限する自動速度制御装置24と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の児童を構成員として含む集団の徒歩による安全な集団移動及び車両の安全な移動を支援する交通安全支援システムであって、
前記集団と共に移動する携帯通信手段と、
前記車両と共に移動する車載制御手段と、
前記携帯通信手段及び前記車載制御手段と通信可能に接続された交通管理サーバと、を備え、
前記交通管理サーバは、前記携帯通信手段及び前記車載制御手段から送信される情報に基づいて前記集団及び前記車両の位置を認識し、前記車両及び前記集団が共通の特定交通エリア内を移動中である場合、前記車載制御手段へ前記集団の存在に関する集団存在通知を送信し、
前記車載制御手段は、
前記集団存在通知を受信する車載通信装置と、
前記特定交通エリア内において前記集団存在通知を受信した場合、当該特定交通エリア内における前記車両の速度を所定の上限速度以下に制限する自動速度制御装置と、を備えることを特徴とする交通安全支援システム。
【請求項2】
前記交通管理サーバは、前記車両の近傍かつ進行方向前方に前記集団が存在する場合、前記車載制御手段へ前記集団存在通知及び前記集団の特徴に関する集団特徴情報を送信し、
前記車載制御手段は、
前記車両の周囲の状態に関する周囲状態情報を取得する周囲状態情報取得装置と、
前記周囲状態情報及び前記集団特徴情報に基づいて前記集団の存在を認識する周囲状態認識装置と、
前記周囲状態認識装置による認識結果に基づいて前記車両を減速させる自動減速装置と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の交通安全支援システム。
【請求項3】
複数の児童を構成員として含む集団の徒歩による安全な集団移動及び車両の安全な移動を支援する交通安全支援システムであって、
前記集団と共に移動する携帯通信手段と、
前記車両と共に移動する車載制御手段と、
前記携帯通信手段及び前記車載制御手段と通信可能に接続された交通管理サーバと、を備え、
前記交通管理サーバは、前記携帯通信手段及び前記車載制御手段から送信される情報に基づいて前記集団及び前記車両の位置を認識し、前記車両の近傍かつ進行方向前方に前記集団が存在する場合、前記車載制御手段へ前記集団の存在に関する集団存在通知及び前記集団の特徴に関する集団特徴情報を送信し、
前記車載制御手段は、
前記集団存在通知及び前記集団特徴情報を受信する車載通信装置と、
前記車両の周囲の状態に関する周囲状態情報を取得する周囲状態情報取得装置と、
前記周囲状態情報及び前記集団特徴情報に基づいて前記集団の存在を認識する周囲状態認識装置と、
前記周囲状態認識装置による認識結果に基づいて前記車両を減速させる自動減速装置と、を備えることを特徴とする交通安全支援システム。
【請求項4】
前記交通管理サーバは、前記車両及び前記集団が共通の特定交通エリア内を移動中である場合、前記車載制御手段へ前記集団存在通知を送信し、
前記車載制御手段は、
前記特定交通エリア内において前記集団存在通知を受信した場合、当該特定交通エリア内における前記車両の速度を所定の上限速度以下に制限する自動速度制御装置と、を備えることを特徴とする請求項3に記載の交通安全支援システム。
【請求項5】
前記交通管理サーバは、前記集団の位置、前記構成員の身長、及び前記構成員の人数を前記集団特徴情報として前記車載制御手段へ送信することを特徴とする請求項2から4の何れかに記載の交通安全支援システム。
【請求項6】
前記車載制御手段は、前記集団存在通知を受信した場合、前記集団の存在を前記車両の運転者に報知する報知装置を備えることを特徴とする請求項5に記載の交通安全支援システム。
【請求項7】
前記車載通信装置は、前記自動減速装置が作動した場合、前記自動減速装置の作動地点位置及び作動日時を少なくとも含む自動減速装置作動情報を前記交通管理サーバへ送信し、
前記交通管理サーバは、前記自動減速装置作動情報を受信した場合、当該自動減速装置作動情報と前記作動日時における前記集団の位置とを関連付けて記憶媒体に記憶させることを特徴とする請求項2から4の何れかに記載の交通安全支援システム。
【請求項8】
前記車載制御手段は、歩行者との衝突の有無を判定する衝突判定装置を備え、
前記車載通信装置は、前記衝突判定装置によって衝突があったと判定された場合、衝突発生地点位置及び衝突発生日時を含む衝突発生情報を前記交通管理サーバへ送信し、
前記交通管理サーバは、前記衝突発生情報を受信した場合、当該衝突発生情報と前記衝突発生日時における前記集団の位置とを関連付けて記憶媒体に記憶させることを特徴とする請求項2から4の何れかに記載の交通安全支援システム。
【請求項9】
前記携帯通信手段は、前記集団の中で先導者として定められた少なくとも1名の前記構成員が所有する携帯情報端末であることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の交通安全支援システム。
【請求項10】
前記携帯情報端末は、前記先導者以外の者が所有するタグ情報又はコード情報を読み取り、当該読み取ったタグ情報又はコード情報を前記交通管理サーバへ送信し、
前記交通管理サーバは、前記携帯情報端末から送信されるタグ情報又はコード情報と関連付けられた者を前記構成員として認識することを特徴とする請求項9に記載の交通安全支援システム。
【請求項11】
前記携帯情報端末は、前記先導者が所定の目的地に到着した場合、目的地到着通知を前記交通管理サーバへ送信し、
前記交通管理サーバは、前記目的地到着通知を受信した後、前記構成員と関連付けられた保護者が所有する通信手段へ集団移動完了通知を送信することを特徴とする請求項10に記載の交通安全支援システム。
【請求項12】
前記携帯通信手段は、複数の前記構成員のうち少なくとも2名の前記構成員がそれぞれ所有する携帯情報端末によって構成されることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の交通安全支援システム。
【請求項13】
複数の前記携帯情報端末は、各々の所有者情報及び位置情報を前記交通管理サーバへ送信し、
前記交通管理サーバは、複数の前記携帯情報端末が所定範囲内に存在しかつ同一の進行方向へ移動していると判定した場合、前記所有者情報と関連付けられる者を前記構成員とする集団移動の開始を認識することを特徴とする請求項12に記載の交通安全支援システム。
【請求項14】
前記交通管理サーバは、前記構成員が所定の目的地に到達したと判定した後、前記構成員と関連付けられた保護者が所有する通信手段へ集団移動完了通知を送信することを特徴とする請求項13に記載の交通安全支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通安全支援システムに関する。より詳しくは、複数の児童を構成員として含む集団の安全な集団移動及び車両の安全な移動を支援する交通安全支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、児童の安全な登下校を支援するための見守りシステムに関する発明が示されている。特許文献1に記載の見守りシステムでは、児童は、位置情報受信機、情報処理システム、送信ユニット、バッテリを備える本体を鞄に入れて登下校を行う。またこの登下校時に本体は、目的地(例えば、登校時であれば学校、下校時であれば自宅)に無事に到着した場合、通学路から逸脱した場合、又は一定時間以上同じ場所にとどまった場合等には、これを保護者が所有するスマートフォンに通知することにより、児童の安全な登下校を支援している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-140708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで日本の小学校では、登校時又は下校時に複数の児童が集団となって一緒に通学路を移動する所謂集団登下校が行われる場合がある。しかしながら上述のように特許文献1に示された見守りシステムは、主に児童単独での移動を想定しており、集団登下校のように複数の児童による集団移動については十分に検討されていない。
【0005】
本発明は、複数の児童(幼児を含む)を構成員として含む集団の安全な集団移動と、この集団移動が行われる交通エリアにおける車両の安全な移動を支援する交通安全支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る交通安全支援システム(例えば、後述の交通安全支援システム1)は、複数の児童を構成員として含む集団(例えば、後述の歩行者集団3)の徒歩による安全な集団移動及び車両(例えば、後述の車両V)の安全な移動を支援するものであって、前記集団と共に移動する携帯通信手段(例えば、後述の携帯情報端末30)と、前記車両と共に移動する車載制御手段(例えば、後述の車載制御手段20)と、前記携帯通信手段及び前記車載制御手段と通信可能に接続された交通管理サーバ(例えば、後述の交通管理サーバ6)と、を備え、前記交通管理サーバは、前記携帯通信手段及び前記車載制御手段から送信される情報に基づいて前記集団及び前記車両の位置を認識し、前記車両及び前記集団が共通の特定交通エリア内を移動中である場合、前記車載制御手段へ前記集団の存在に関する集団存在通知を送信し、前記車載制御手段は、前記集団存在通知を受信する車載通信装置(例えば、後述の車載通信装置21)と、前記特定交通エリア内において前記集団存在通知を受信した場合、当該特定交通エリア内における前記車両の速度を所定の上限速度以下に制限する自動速度制御装置(例えば、後述の自動速度制御装置24)と、を備えることを特徴とする。
【0007】
(2)この場合、前記交通管理サーバは、前記車両の近傍かつ進行方向前方に前記集団が存在する場合、前記車載制御手段へ前記集団存在通知及び前記集団の特徴に関する集団特徴情報を送信し、前記車載制御手段は、前記車両の周囲の状態に関する周囲状態情報を取得する周囲状態情報取得装置(例えば、後述の周囲状態情報取得装置22)と、前記周囲状態情報及び前記集団特徴情報に基づいて前記集団の存在を認識する周囲状態認識装置(例えば、後述の周囲状態認識装置23)と、前記周囲状態認識装置による認識結果に基づいて前記車両を減速させる自動減速装置(例えば、後述の自動減速装置25)と、を備えることが好ましい。
【0008】
(3)本発明に係る交通安全支援システム(例えば、後述の交通安全支援システム1)は、複数の児童を構成員として含む集団(例えば、後述の歩行者集団3)の徒歩による安全な集団移動及び車両(例えば、後述の車両V)の安全な移動を支援するものであって、前記集団と共に移動する携帯通信手段(例えば、後述の携帯情報端末30)と、前記車両と共に移動する車載制御手段(例えば、後述の車載制御手段20)と、前記携帯通信手段及び前記車載制御手段と通信可能に接続された交通管理サーバ(例えば、後述の交通管理サーバ6)と、を備え、前記交通管理サーバは、前記携帯通信手段及び前記車載制御手段から送信される情報に基づいて前記集団及び前記車両の位置を認識し、前記車両の近傍かつ進行方向前方に前記集団が存在する場合、前記車載制御手段へ前記集団の存在に関する集団存在通知及び前記集団の特徴に関する集団特徴情報を送信し、前記車載制御手段は、前記集団存在通知及び前記集団特徴情報を受信する車載通信装置(例えば、後述の車載通信装置21)と、前記車両の周囲の状態に関する周囲状態情報を取得する周囲状態情報取得装置(例えば、後述の周囲状態情報取得装置22)と、前記周囲状態情報及び前記集団特徴情報に基づいて前記集団の存在を認識する周囲状態認識装置(例えば、後述の周囲状態認識装置23)と、前記周囲状態認識装置による認識結果に基づいて前記車両を減速させる自動減速装置(例えば、後述の自動減速装置25)と、を備えることを特徴とする。
【0009】
(4)この場合、前記交通管理サーバは、前記車両及び前記集団が共通の特定交通エリア内を移動中である場合、前記車載制御手段へ前記集団存在通知を送信し、前記車載制御手段は、前記特定交通エリア内において前記集団存在通知を受信した場合、当該特定交通エリア内における前記車両の速度を所定の上限速度以下に制限する自動速度制御装置(例えば、後述の自動速度制御装置24)と、を備えることが好ましい。
【0010】
(5)この場合、前記交通管理サーバは、前記集団の位置、前記構成員の身長、及び前記構成員の人数を前記集団特徴情報として前記車載制御手段へ送信することが好ましい。
【0011】
(6)この場合、前記車載制御手段は、前記集団存在通知を受信した場合、前記集団の存在を前記車両の運転者に報知する報知装置を備えることが好ましい。
【0012】
(7)この場合、前記車載通信装置は、前記自動減速装置が作動した場合、前記自動減速装置の作動地点位置及び作動日時を少なくとも含む自動減速装置作動情報を前記交通管理サーバへ送信し、前記交通管理サーバは、前記自動減速装置作動情報を受信した場合、当該自動減速装置作動情報と前記作動日時における前記集団の位置とを関連付けて記憶媒体(例えば、後述の異常時データ記憶部68)に記憶させることが好ましい。
【0013】
(8)この場合、前記車載制御手段は、歩行者との衝突の有無を判定する衝突判定装置(例えば、後述の衝突判定装置27)を備え、前記車載通信装置は、前記衝突判定装置によって衝突があったと判定された場合、衝突発生地点位置及び衝突発生日時を含む衝突発生情報を前記交通管理サーバへ送信し、前記交通管理サーバは、前記衝突発生情報を受信した場合、当該衝突発生情報と前記衝突発生日時における前記集団の位置とを関連付けて記憶媒体(例えば、後述の異常時データ記憶部68)に記憶させることが好ましい。
【0014】
(9)この場合、前記携帯通信手段は、前記集団の中で先導者として定められた少なくとも1名の前記構成員が所有する携帯情報端末(例えば、後述の携帯情報端末30)であることが好ましい。
【0015】
(10)この場合、前記携帯情報端末は、前記先導者以外の者が所有するタグ情報又はコード情報を読み取り、当該読み取ったタグ情報又はコード情報を前記交通管理サーバへ送信し、前記交通管理サーバは、前記携帯情報端末から送信されるタグ情報又はコード情報と関連付けられた者を前記構成員として認識することが好ましい。
【0016】
(11)この場合、前記携帯情報端末は、前記先導者が所定の目的地に到着した場合、目的地到着通知を前記交通管理サーバへ送信し、前記交通管理サーバは、前記目的地到着通知を受信した後、前記構成員と関連付けられた保護者が所有する通信手段へ集団移動完了通知を送信することが好ましい。
【0017】
(12)この場合、前記携帯通信手段は、複数の前記構成員のうち少なくとも2名の前記構成員がそれぞれ所有する携帯情報端末によって構成されることが好ましい。
【0018】
(13)この場合、複数の前記携帯情報端末は、各々の所有者情報及び位置情報を前記交通管理サーバへ送信し、前記交通管理サーバは、複数の前記携帯情報端末が所定範囲内に存在しかつ同一の進行方向へ移動していると判定した場合、前記所有者情報と関連付けられる者を前記構成員とする集団移動の開始を認識することが好ましい。
【0019】
(14)この場合、前記交通管理サーバは、前記構成員が所定の目的地に到達したと判定した後、前記構成員と関連付けられた保護者が所有する通信手段へ集団移動完了通知を送信することが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
(1)本発明において、交通管理サーバは、複数の児童を含む集団と共に移動する携帯通信手段及び車両と共に移動する車載制御手段と通信可能に接続されている。またこの交通管理サーバは、これら携帯通信手段及び車載制御手段から送信される情報に基づいて集団及び車両の位置を認識し、これら車両及び集団が共通の特定交通エリア内を移動中である場合、車載制御手段へ集団の存在に関する集団存在通知を送信する。ここで特定交通エリアとしては、例えば、幅の狭い生活道路や車道と歩道との間にガードレールが設けられていない道路等、車両で通行する際に特に注意を要する交通エリアが定められる。また車載制御手段の自動速度制御装置は、上記特定交通エリア内において集団存在通知を受信した場合、この特定交通エリア内における車両の速度を上限速度以下に制限する。よって本発明によれば、車両が複数の児童による集団の存在下で特定交通エリアを通行する際、車両の速度は上限速度以下に制限されるため、集団及び車両の安全な移動を支援することができる。
【0021】
(2)本発明において、交通管理サーバは、車両の近傍かつ進行方向前方に集団が存在する場合、車載制御手段へ集団存在通知及び集団の特徴に関する集団特徴情報を送信する。一方、車載制御手段は、車両の周囲の状態に関する周囲状態情報を取得する周囲状態情報取得装置と、周囲状態情報及び集団特徴情報に基づいて集団の存在を認識する周囲状態認識装置と、周囲状態認識装置による認識結果に基づいて車両を減速させる自動減速装置と、を備える。ところで集団の構成員である児童は、成人よりも身長が低くまた体格も小さい。このため、車両に搭載された周囲状態情報取得装置によって取得される周囲状態情報のみでは、成人よりも児童の方がその存在を認識し難い。そこで本発明では、周囲状態認識装置は、周囲状態情報に加えて交通管理サーバから送信される集団特徴情報に基づいて集団の存在を認識し、自動減速装置は、周囲状態認識装置による認識結果に基づいて車両を減速させる。よって本発明によれば、成人よりも身長が低くかつ体格が小さな児童の存在を精度良く認識し、適切なタイミングで車両を減速させることができるので、集団及び車両の安全な移動を支援することができる。
【0022】
(3)本発明において、交通管理サーバは、複数の児童を含む集団と共に移動する携帯通信手段及び車両と共に移動する車載制御手段と通信可能に接続されている。またこの交通管理サーバは、これら携帯通信手段及び車載制御手段から送信される情報に基づいて集団及び車両の位置を認識し、車両の近傍かつ進行方向前方に集団が存在する場合、車載制御手段へ集団の存在に関する集団存在通知及び集団の特徴に関する集団特徴情報を送信する。一方、車載制御手段は、車両の周囲の状態に関する周囲状態情報を取得する周囲状態情報取得装置と、周囲状態情報及び集団特徴情報に基づいて集団の存在を認識する周囲状態認識装置と、周囲状態認識装置による認識結果に基づいて車両を減速させる自動減速装置と、を備える。よって本発明によれば、上記(2)に係る発明と同じ理由により、成人よりも身長が低くかつ体格が小さな児童の存在を精度良く認識し、適切なタイミングで車両を減速させることができるので、集団及び車両の安全な移動を支援することができる。
【0023】
(4)本発明において、交通管理サーバは、これら携帯通信手段及び車載制御手段から送信される情報に基づいて集団及び車両の位置を認識し、これら車両及び集団が共通の特定交通エリア内を移動中である場合、車載制御手段へ集団存在通知を送信する。また車載制御手段の自動速度制御装置は、上記特定交通エリア内において集団存在通知を受信した場合、この特定交通エリア内における車両の速度を上限速度以下に制限する。よって本発明によれば、上記(1)に係る発明と同じ理由により、車両が複数の児童による集団の存在下で特定交通エリアを通行する際、車両の速度は上限速度以下に制限されるため、集団及び車両の安全な移動を支援することができる。
【0024】
(5)本発明において、交通管理サーバは、集団の位置、構成員の身長、及び構成員の人数等、主に集団の外観に関する情報を集団特徴情報として車載制御手段へ送信する。これにより周囲状態認識装置では、車両に搭載された周囲状態情報取得装置では取得しにくい集団特徴情報を補助的に用いることにより、集団の存在を精度良く認識することができる。よって本発明によれば、集団及び車両の安全な移動を支援することができる。
【0025】
(6)本発明において、車載制御手段の報知装置は、交通管理サーバから送信される集団存在通知を受信した場合、集団の存在を運転者に報知する。これにより報知装置からの報知を受けた運転者は、集団の存在に注意を払いながら慎重に車両を移動させることができるので、集団及び車両の安全な移動を支援することができる。
【0026】
(7)本発明において、車載通信装置は、自動減速装置が作動した場合、自動減速装置の作動地点位置及び作動日時を少なくとも含む自動減速装置作動情報を交通管理サーバへ送信し、交通管理サーバは、自動減速装置作動情報を受信した場合、自動減速装置作動情報と作動日時における集団の位置とを関連付けて記憶媒体に記憶させる。よって本発明によれば、自動減速装置の作動が集団を構成する児童の突飛な行動に起因するものである場合には、記憶媒体に記憶されたデータを児童に対する交通安全教育に活用することができる。
【0027】
(8)本発明において、車載通信装置は、歩行者に対する衝突があったと判定された場合、衝突発生地点位置及び衝突発生日時を含む衝突発生情報を交通管理サーバへ送信し、交通管理サーバは、衝突発生情報を受信した場合、この衝突発生情報と衝突発生日時における集団の位置とを関連付けて記憶媒体に記憶させる。これにより交通管理サーバでは、集団の構成員と車両との衝突の有無を判定することができ、また記憶媒体に記憶された事故に関するデータを必要に応じてヘルプネット、警察、及び児童の保護者等へ速やかに提供することができる。
【0028】
(9)本発明では、集団の中で先導者として定められた少なくとも1名の構成員が所有する携帯情報端末を、集団と交通管理サーバとの間の通信を担う携帯通信手段として利用する。よって本発明によれば、集団を構成する全ての構成員が携帯情報端末を所有していない場合であっても、集団を構成する全ての構成員及び車両の安全な移動を支援することができる。
【0029】
(10)本発明において、集団の中の先導者が所有する携帯情報端末は、先導者以外の者が所有するタグ情報又はコード情報を読み取り、当該読み取ったタグ情報又はコード情報を交通管理サーバへ送信し、交通管理サーバは、携帯情報端末から送信されるタグ情報又はコード情報と関連付けられた者を構成員として認識する。よって本発明によれば、集団を構成する全ての構成員が携帯情報端末を所有していない場合であっても、集団を構成する構成員の存在を認識することができるので、集団を構成する全ての構成員及び車両の安全な移動を支援することができる。
【0030】
(11)本発明において、携帯情報端末は、先導者が集団移動の目的地に到達した場合、目的地到達通知を交通管理サーバへ送信し、交通管理サーバは、この目的地到達通知を受信した後、構成員と関連付けられた保護者が所有する通信手段へ集団移動完了通知を送信する。よって本発明によれば、集団の安全な移動を支援することができるとともに、集団が無事目的地へ到着したことを速やかに保護者に通知することができる。
【0031】
(12)本発明では、複数の構成員のうち少なくとも2名の構成員がそれぞれ所有する携帯情報端末を、集団と交通管理サーバとの間の通信を担う携帯通信手段として利用する。よって本発明によれば、上記(10)の発明のように、先導者がそれ以外の者のタグ情報又はコード情報を読み取る必要が無くなるので、先導者の負担を軽減することができる。
【0032】
(13)本発明において、携帯通信手段を構成する複数の携帯情報端末は、各々の所有者情報及び位置情報を交通管理サーバへ送信し、交通管理サーバは、複数の携帯情報端末が所定範囲内に存在しかつ同一の進行方向へ移動していると判定した場合、所有者情報と関連付けられる者を構成員とする集団移動の開始を認識する。これにより、交通管理サーバでは、構成員による各々の携帯情報端末の複雑な操作を経ることなく、集団移動の開始を認識することができるので、各構成員の負担を軽減することができる。
【0033】
(14)本発明において、交通管理サーバは、構成員が目的地に到達したと判定した後、構成員と関連付けられた保護者が所有する通信手段へ集団移動完了通知を送信する。よって本発明によれば、集団の安全な移動を支援することができるとともに、集団が無事目的地へ到達したことを速やかに保護者に通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の第1実施形態に係る交通安全支援システム及びこの交通安全支援システムによる管理下にある交通エリア内を移動する交通参加者を模式的に示す図である。
図2】交通管理サーバ及びこの交通管理サーバと通信可能に接続されている車載制御手段及び携帯情報端末の構成を示すブロック図である。
図3】交通安全支援システムによる支援処理の具体的な手順を示すメインフローチャートである。
図4】集団認識処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
図5】位置認識処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
図6】第1報知処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
図7】第2報知処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
図8】第3報知処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
図9】車両の前方を横断しようとする歩行者集団を車両側から視た図である。
図10A】異常判定処理(その1)の具体的な手順を示すフローチャートである。
図10B】異常判定処理(その2)の具体的な手順を示すフローチャートである。
図10C】異常判定処理(その3)の具体的な手順を示すフローチャートである。
図11】到着判定処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
図12A】本発明の第2実施形態に係る交通安全支援システムにおける集団認識処理(その1)の具体的な手順を示すフローチャートである。
図12B】集団認識処理(その2)の具体的な手順を示すフローチャートである。
図13】位置認識処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
図14】第1報知処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
図15】第2報知処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
図16】第3報知処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
図17A】異常判定処理(その1)の具体的な手順を示すフローチャートである。
図17B】異常判定処理(その2)の具体的な手順を示すフローチャートである。
図17C】異常判定処理(その3)の具体的な手順を示すフローチャートである。
図18】到着判定処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態に係る交通安全支援システムについて、図面を参照しながら説明する。
【0036】
図1は、本実施形態に係る交通安全支援システム1及びこの交通安全支援システム1による管理下にある交通エリア内を交通参加者として移動する車両ユーザ2及び歩行者集団3を模式的に示す図である。
【0037】
なお本実施形態において交通参加者とは、道路や歩道等の交通エリアを、車両や徒歩等の何等かの移動手段を利用して移動する人をいうものとする。
【0038】
また本実施形態において車両ユーザ2とは、四輪自動車や自動二輪車等の車両Vを移動手段として車道55a,55bや交差点56を移動する交通参加者(すなわち、車両Vの運転者)を言うものとする。
【0039】
また本実施形態において歩行者集団3とは、徒歩を移動手段として歩道57や横断歩道58等を移動する交通参加者の集団を言うものとする。より具体的には、本実施形態における歩行者集団3とは、複数の児童(幼児を含む)を構成員として含みかつ各々の出発地点から目的地までの間の主要な移動経路を共通とする複数の歩行者によって形成される集団を言うものとする。
【0040】
このような歩行者集団3は、例えば、各々の自宅から共通の施設(例えば、小学校)へ徒歩によって集団で移動する集団登校時や、共通の施設(例えば、小学校)から各々の自宅へ徒歩によって集団で移動する集団下校時には、この共通の施設に所属する複数の児童を構成員として形成される。なお以下では、これら集団登下校時において、複数の児童を構成員として形成される歩行者集団3を例に説明するが、本発明はこれに限らない。このような歩行者集団3は、例えば、共通の施設(例えば、幼稚園や保育所等)から所定の目的地(例えば、公園)へ徒歩によって集団で移動する集団移動(所謂、散歩)時にも形成される。この場合、歩行者集団3は、この共通の施設に所属する複数の幼児や複数の引率者を構成員として形成される。
【0041】
また以下の説明では、所謂左側通行が定められている交通エリア(すなわち、車両Vは道路の中央から左側を通行しなければならない交通エリア)を例に説明するが、本発明はこれに限らない。すなわち本発明は、所謂右側通行が定められている交通エリア(すなわち、車両Vは道路の中央から右側を通行しなければならない交通エリア)に対しても適用可能である。
【0042】
交通安全支援システム1は、車両ユーザ2が運転する車両Vと共に移動する車載制御手段20と、歩行者集団3と共に移動する携帯情報端末30と、これら車載制御手段20及び携帯情報端末30と無線による通信可能に接続された交通管理サーバ6と、を備える。交通安全支援システム1は、これら車載制御手段20、携帯情報端末30、及び交通管理サーバ6の間の無線による通信を介して、交通エリア内における歩行者集団3の徒歩による安全な集団移動及び車両Vの安全な移動を支援する。
【0043】
交通管理サーバ6は、上述の車両V及び歩行者集団3と共に移動する車載制御手段20及び携帯情報端末30(以下、これらをまとめて「エリア端末」とも言う)に対し基地局59を介して通信可能に接続された1台又は複数台のコンピュータによって構成される。より具体的には、交通管理サーバ6は、複数のエリア端末に対し、基地局59、ネットワークコア及びインターネットを介して接続されたサーバや、複数のエリア端末に対し基地局59及びMEC(Mulch-access Edge Computing)コアを介して接続されたエッジサーバ等によって構成される。
【0044】
図2は、交通管理サーバ6及びこの交通管理サーバ6と通信可能に接続されている車載制御手段20及び携帯情報端末30の構成を示すブロック図である。
【0045】
車載制御手段20は、車載通信装置21、周囲状態情報取得装置22、周囲状態認識装置23、自動速度制御装置24、自動減速装置25、報知装置26、及び衝突判定装置27等、車両Vと共に移動する複数の車載装置によって構成される。
【0046】
車載通信装置21は、交通管理サーバ6や図示しない緊急通報センター等の車外装置と、図示しないネットワークを介して接続されている。車載通信装置21は、車両Vの移動中にこれら車外装置との間で各種情報を送受信する。
【0047】
より具体的には、車載通信装置21は、車両Vの移動中、図示しないGPSセンサを利用して取得した車両Vの位置情報を逐次交通管理サーバ6へ送信する。車載通信装置21は、車両Vの移動中、自動減速装置25が作動した場合、後述の自動減速装置作動情報を交通管理サーバ6へ送信する。車載通信装置21は、車両Vの移動中、衝突判定装置27によって衝突があったと判定された場合、後述の衝突発生情報や接続可否情報等を交通管理サーバ6へ送信する。また車載通信装置21は、車両Vの移動中、交通管理サーバ6から送信される後述の集団存在通知、及び集団特徴情報等の各種情報を受信する。
【0048】
周囲状態情報取得装置22は、車両Vに搭載されたカメラやレーダ等の車載外部センサユニットを用いることにより、車両Vの周囲の状態に関する情報(以下、「周囲状態情報」という)を取得し、周囲状態認識装置23へ送信する。
【0049】
周囲状態認識装置23は、周囲状態情報取得装置22から送信される周囲状態情報に対してセンサフュージョン処理を行うことにより、車両Vの周囲に存在する対象物の存在、この対象物の種類、この対象物の位置(車両Vから視た対象物の向き及び距離等を含む)、及びこの対象物に対する車両Vの相対速度等を認識する。特に周囲状態認識装置23では、周囲状態情報取得装置22によって取得される周囲状態情報と、車載通信装置21によって受信される集団特徴情報とを組み合わせることにより、成人と比較して身長が低くかつ体格の小さな複数の児童を構成員とする歩行者集団3の存在や位置等を、周囲状態情報単独で認識する場合よりも精度良く認識することができる。
【0050】
自動速度制御装置24は、車両Vの移動中、所定の条件が成立した場合、車両Vの速度を所定の上限速度以下に自動で制限する。したがって自動速度制御装置24が作動中である場合、車両Vは上限速度より高い速度で移動することができない。自動速度制御装置24は、例えば、予め定められた特定交通エリア内において上述の車載通信装置21によって集団存在通知を受信した場合、この集団存在通知に係る歩行者集団3と車両Vとの接触を未然に防ぐため、車両Vの速度を特定交通エリア毎に定められた上限速度以下に制限する。
【0051】
自動減速装置25は、車両Vの移動中、周囲状態認識装置23による認識結果に基づいて、車両Vの速度を自動で減速させる。より具体的には、自動減速装置25は、周囲状態認識装置23による認識結果に基づいて、車両Vの進行方向前方に存在する対象を抽出するとともに、この対象と車両Vとの間の衝突予測時間を算出し、この衝突予測時間が所定の閾値未満となった場合、車両Vの速度を自動で減速させることにより、車両Vと対象との接触を回避する。
【0052】
報知装置26は、車両Vの移動中、上述の車載通信装置21によって集団存在通知を受信した場合、この集団の存在を車両Vの運転者である車両ユーザに報知する。より具体的には、報知装置26は、集団存在通知を受信した場合、図示しない車載モニタやスピーカを作動させることにより、画像や音声によって集団の存在を車両ユーザに報知する。
【0053】
衝突判定装置27は、車両Vの移動中、車両Vと物体との衝突の有無を判定する。この衝突判定装置27は、車両Vに搭載された図示しない加速度センサの検出値に基づいて衝突の有無を判定することにより、車両Vと衝突した物体を車両と歩行者とで切り分けることができる。
【0054】
携帯情報端末30は、歩行者集団3を構成する複数の構成員の中で先導者として定められた少なくとも1名の構成員が所有するスマートフォンやウェアラブルデバイス(例えば、眼鏡型、腕時計型等)である。上述のように小学校の集団登下校時に形成される歩行者集団3は、この小学校に通学する異年齢の複数の児童を構成員とする。このため集団登下校時に形成される歩行者集団3の中では、複数の児童のうち最も高学年(すなわち、高年齢)の児童が先導者として定められる場合が多い。なお本実施形態では、歩行者集団3を構成する複数の構成員のうち携帯情報端末30を所有する先導者を除く全ての構成員は、各々の個人情報と関連付けられたRFタグや2次元コード等を所有している場合について説明する。
【0055】
この携帯情報端末30には、その所有者を先導者とする歩行者集団3による安全な集団移動を見守るための見守りアプリケーションソフトがインストールされている。図2に示すようにこの携帯情報端末30には、見守りアプリケーションソフトを起動することによって、位置情報取得部31、情報読取部32、衝突判定部33、ポイントデータ記憶部34、及び通信部35、等の機能が実現される。
【0056】
位置情報取得部31は、歩行者集団3の移動中、図示しないGPSセンサを利用して取得した歩行者集団3(より具体的には、歩行者集団3の構成員である携帯情報端末30の所有者)の位置情報を取得する。
【0057】
情報読取部32は、携帯情報端末30の所有者を先導者とする歩行者集団3に児童が新たに構成員として合流する際に、先導者による携帯情報端末30の操作の下、この新たな構成員が所有するRFタグや2次元コード等に埋め込まれたタグ情報やコード情報を読み取る。以下では、情報読取部32によって読み込んだタグ情報やコード情報をID情報ともいう。
【0058】
衝突判定部33は、携帯情報端末30に搭載された加速度センサの検出値を用いることにより、携帯情報端末30又はこれを保持する先導者に対する衝突の有無を判定する。より具体的には、衝突判定部33は、携帯情報端末30又はこれを保持する先導者に車両が衝突した時に発生する加速度に相当する異常加速度を加速度センサによって検出した場合、先導者に車両が衝突したと判定する。
【0059】
ポイントデータ記憶部34は、歩行者集団3が無事目的地へ到着する度に、交通管理サーバ6から先導者に対して報酬として付与される先導者ポイントに関するデータを記憶する。携帯情報端末30を所有する構成員は、上述のように他の構成員が所有するRFタグや2次元コード等を読み取ったり、先導者として他の構成員を無事目的地へ到着させたりする必要があることから、他の構成員と比較して集団移動時における負荷が大きい。そこで交通安全支援システム1では、このような先導者である児童に対して歩行者集団3が無事目的地へ到着する度に先導者ポイントを付与することにより、この児童の先導者としてのモチベーションを向上させることができる。
【0060】
通信部35は、交通管理サーバ6に対し各種データを送受信する。より具体的には、通信部35は、携帯情報端末30において取得されたデータ(より具体的には、位置情報取得部31によって取得された位置情報、情報読取部32によって読み込んだID情報、後述の衝突発生情報、及び目的地到着通知等)を交通管理サーバ6へ送信したり、交通管理サーバ6から送信されるデータ(より具体的には、後述の先導者ポイントデータ等)を受信したりする。
【0061】
交通管理サーバ6は、通信ユニット61と、歩行者集団認識ユニット62と、位置認識ユニット63と、報知ユニット64と、異常判定ユニット65と、到着判定ユニット66と、構成員特徴データベース67と、異常時データ記憶部68と、を備える。
【0062】
通信ユニット61は、移動中の車載制御手段20や携帯情報端末30との間で各種データを送受信する。より具体的には、通信ユニット61は、車載制御手段20から送信されるデータ(より具体的には、位置情報、自動減速装置作動情報、衝突発生情報、及び接続可否情報等)を受信したり、携帯情報端末30から送信されるデータ(より具体的には、位置情報、ID情報、衝突発生情報、及び目的地到着通知等)を受信したりする。また通信ユニット61は、車載制御手段20へ各種データ(より具体的には、集団存在通知、及び集団特徴情報等)を送信したり、携帯情報端末30へ各種データ(より具体的には、先導者ポイントデータ等)を送信したりする。また通信ユニット61は、警察、緊急通報センター、歩行者集団3の構成員の保護者や担当の先生が所有する通信手段(例えば、スマートフォン)へ各種データを送信する。
【0063】
歩行者集団認識ユニット62は、後に図4を参照して説明するように、携帯情報端末30から送信されるID情報に基づいて歩行者集団3が集団移動中であることやこの歩行者集団3の構成員等を認識する。
【0064】
位置認識ユニット63は、後に図5を参照して説明するように、車載制御手段20や携帯情報端末30から送信される位置情報に基づいて、車両Vや歩行者集団3の位置を認識する。
【0065】
報知ユニット64は、後に図6図8を参照して説明するように、位置認識ユニット63による認識結果に基づいて車両V及び歩行者集団3の相対位置を認識するとともに、車両Vの近傍に歩行者集団3が存在する場合、車載制御手段20へ集団存在通知や集団特徴情報等を送信する。
【0066】
異常判定ユニット65は、後に図10A図10Cを参照して説明するように、車載制御手段20から送信される自動減速装置作動情報や衝突発生情報、及び携帯情報端末30から送信される衝突発生情報等に基づいて、車両Vと歩行者集団3との間の異常(例えば、車両Vの自動減速装置25の作動や、車両Vと歩行者集団3との間の接触)の有無を判断し、異常が生じた場合には交通管理サーバ6において取得したデータを異常時データ記憶部68に記憶させる。また異常判定ユニット65は、車両Vと歩行者集団3との間で異常が発生したと判断した場合、緊急通報センターや警察へ異常時データ記憶部68に記憶されたデータを提供したり、歩行者集団3の構成員の保護者が所有する通信手段(例えば、スマートフォン)へメッセージを送信したりする。
【0067】
到着判定ユニット66は、後に図10を参照して説明するように、後述の目的地到着通知に基づいて歩行者集団3の構成員が目的地に到着したか否かを判定する。到着判定ユニット66は、歩行者集団3の構成員が目的地に到着したと判定した場合、この構成員の保護者が所有する通信手段へ集団移動完了通知を送信したり、先導者に対して先導者ポイントを付与したりする。また到着判定ユニット66は、歩行者集団3の構成員が目的地に到着しなかったと判定した場合、先導者の保護者、未着の構成員の保護者、及び担任の先生等が所有する通信手段(例えば、スマートフォン)へ未着通知を送信する。
【0068】
構成員特徴データベース67には、構成員として予め登録された児童の外観の特徴に関する特徴データ(例えば、構成員の身長、構成員が着用する帽子の色、構成員である先導者が所有する旗や腕章等の色等)と、その構成員に割り当てられたID情報と、が関連付けられた状態で記憶されている。
【0069】
異常時データ記憶部68は、歩行者集団3と車両Vとの間で生じた異常に関するデータを記憶する。ここで異常時データ記憶部68に記憶されるデータは、例えば、歩行者集団3を対象とする自動減速装置25の作動時に関する自動減速装置作動時データや、歩行者集団3と車両Vとの間の事故に関する事故発生時データ等を含む。
【0070】
次に、交通安全支援システム1によって歩行者集団3及び車両Vの安全な移動を支援する支援処理の手順について、図3図11を参照しながら説明する。
【0071】
図3は、交通安全支援システム1による支援処理の具体的な手順を示すメインフローチャートである。図3に示すように、交通安全支援システム1では、集団認識処理(ST1)と、位置認識処理(ST2)と、第1報知処理(ST3)と、第2報知処理(ST4)と、第3報知処理(ST5)と、異常判定処理(ST6)と、到着判定処理(ST7)と、を所定の周期で繰り返し実行することにより、歩行者集団3及び車両Vの安全な移動を支援する。図3に示す支援処理は、例えば携帯情報端末30を所有する児童が、他の児童と共に集団移動を開始するべく携帯情報端末30にインストールされた見守りアプリケーションソフトを起動し、さらにこの携帯情報端末30において見守りアプリケーションソフトが起動されたことを交通管理サーバ6側で認識したことに応じて開始する。以下では、これら支援処理の各ステップST1~ST7の具体的な手順について順に説明する。
【0072】
図4は、集団認識処理において歩行者集団3(携帯情報端末30)及び交通管理サーバ6によって実行される処理の具体的な手順を示すフローチャートである。この集団認識処理は、以下で説明するように、携帯情報端末30と交通管理サーバ6との間の通信によって、交通管理サーバ6側で集団移動を行う歩行者集団3の存在を認識する処理である。
【0073】
集団認識処理において携帯情報端末30によって実行される処理は、図4に示すようにステップST101~ST104の処理によって構成される。
【0074】
始めにステップST101では、携帯情報端末30は、歩行者集団3の構成員となる児童が所有するRFタグや2次元コード等に埋め込まれたID情報を初めて読み込んだか否かを判定する。携帯情報端末30は、ステップST101の判定結果がNOである場合、ステップST103に移り、YESである場合、ステップST102に移る。ステップST102では、携帯情報端末30は、初めて読み込んだID情報と関連付けられる児童を第1構成員とし、この第1構成員のID情報と共に先導者である所有者のID情報を交通管理サーバ6へ送信する。
【0075】
ステップST103では、携帯情報端末30は、歩行者集団3の構成員となる児童が所有するRFタグや2次元コード等に埋め込まれたID情報を追加で読み込んだか否かを判定する。携帯情報端末30は、ステップST103の判定結果がNOである場合、図5に示す位置認識処理を開始し、YESである場合、ステップST104に移る。ステップST104では、携帯情報端末30は、追加で読み込んだID情報と関連付けられる児童を追加構成員とし、この追加構成員のID情報を交通管理サーバ6へ送信する。
【0076】
以上のように携帯情報端末30は、図4に示す集団認識処理を繰り返し実行することにより、先導者による操作の下で読み込んだID情報を交通管理サーバ6へ逐次送信する。
【0077】
集団認識処理において交通管理サーバ6によって実行される処理は、図4に示すように、携帯情報端末30からID情報が送信された場合にのみ実行されるステップST301~ST304の処理によって構成される。
【0078】
始めにステップST301では、交通管理サーバ6は、携帯情報端末30から送信される第1構成員及び先導者のID情報を受信し、ステップST302に移る。このように交通管理サーバ6では、携帯情報端末30から第1構成員及び先導者の2名のID情報を受信したことを契機として、この携帯情報端末30の所有者を先導者とする歩行者集団3が集団移動を開始したことを認識することができる。
【0079】
次にステップST302では、交通管理サーバ6は、先導者及び第1構成員を構成員とする歩行者集団3が集団移動を開始したと認識したことに応じて、これら先導者及び第1構成員の各々の保護者が所有する通信手段(例えば、スマートフォン)へ集団移動開始通知を送信する。先導者及び第1構成員の保護者は、交通管理サーバ6から送信される集団移動開始通知を受信することにより、適切な時間に集団移動が開始されたことを把握することができる。
【0080】
次にステップST303では、交通管理サーバ6は、携帯情報端末30から送信される追加構成員のID情報を受信し、ステップST304に移る。このように交通管理サーバ6では、携帯情報端末30から追加構成員のID情報を受信したことを契機として、歩行者集団3に追加構成員が新たに合流したことを認識することができる。
【0081】
次にステップST304では、交通管理サーバ6は、追加構成員が歩行者集団3に新たに合流したと認識したことに応じて、この追加構成員の保護者が所有する通信手段(例えば、スマートフォン)へ集団移動開始通知を送信する。追加構成員の保護者は、交通管理サーバ6から送信される集団移動開始通知を受信することにより、適切な時間に集団移動が開始されたことを把握することができる。
【0082】
以上のように交通管理サーバ6は、図4に示す集団認識処理を繰り返し実行することにより、携帯情報端末30の所有者を先導者とする歩行者集団3の集団移動が開始されたこと、この歩行者集団3に新たに構成員が合流したこと、及びこの歩行者集団3の最新の構成員の人数や氏名等を認識することができる。また交通管理サーバ6は、図4に示す集団認識処理を繰り返し実行することにより、携帯情報端末30から送信されるID情報と関連付けられた児童を歩行者集団3の構成員として認識することができる。
【0083】
図5は、位置認識処理において歩行者集団3(携帯情報端末30)、交通管理サーバ6、及び車両V(車載制御手段20)によって実行される処理の具体的な手順を示すフローチャートである。この位置認識処理は、以下で説明するように、携帯情報端末30及び車載制御手段20と交通管理サーバ6との間の通信によって、交通管理サーバ6側で歩行者集団3及び車両Vの最新の位置を認識する処理である。
【0084】
位置認識処理において携帯情報端末30によって実行される処理は、図5に示すようにステップST111の処理によって構成される。
【0085】
始めにステップST111では、携帯情報端末30は、図示しないGPSセンサによって取得された歩行者集団3の最新の位置情報を交通管理サーバ6へ送信し、図6に示す第1報知処理を開始する。以上のように携帯情報端末30は、図5に示す位置認識処理を繰り返し実行することにより、集団移動を行っている歩行者集団3の最新の位置情報を交通管理サーバ6へ逐次送信する。
【0086】
位置認識処理において車載制御手段20によって実行される処理は、図5に示すようにステップST511の処理によって構成される。
【0087】
始めにステップST511では、車載制御手段20は、図示しないGPSセンサによって取得された車両Vの最新の位置情報を交通管理サーバ6へ送信し、図6に示す第1報知処理を開始する。以上のように車載制御手段20は、図5に示す位置認識処理を繰り返し実行することにより、移動中の車両Vの最新の位置情報を交通管理サーバ6へ逐次送信する。
【0088】
位置認識処理において交通管理サーバ6によって実行される処理は、図5に示すように、携帯情報端末30又は車載制御手段20から位置情報が送信された場合にのみ実行されるステップST311~ST312の処理によって構成される。
【0089】
始めにステップST311では、交通管理サーバ6は、携帯情報端末30から送信される位置情報を受信し、ステップST312に移る。ステップST312では、交通管理サーバ6は、車載制御手段20から送信される位置情報を受信し、図6に示す第1報知処理を開始する。以上のように交通管理サーバ6は、図5に示す位置認識処理を繰り返し実行することにより、移動中の歩行者集団3及び車両Vの最新の位置を認識することができる。
【0090】
図6は、第1報知処理において交通管理サーバ6及び車両V(車載制御手段20)によって実行される処理の具体的な手順を示すフローチャートである。この第1報知処理は、以下で説明するように、車両Vの近傍に歩行者集団3が存在する場合、この車両Vの運転者である車両ユーザ2に歩行者集団3の存在を報知する処理である。
【0091】
第1報知処理において交通管理サーバ6によって実行される処理は、図6に示すようにステップST321~ST322の処理によって構成される。
【0092】
始めにステップST321では、交通管理サーバ6は、車両Vの近傍に歩行者集団3が存在するか否か、より具体的には、車両Vを中心とする所定第1距離の範囲内に歩行者集団3が存在するか否かを判定する。交通管理サーバ6は、ステップST321の判定結果がNOである場合、図7に示す第2報知処理を開始し、YESである場合、ステップST322に移る。
【0093】
ステップST322では、交通管理サーバ6は、車両Vの近傍に歩行者集団3が存在することを車両Vの運転者に報知するべく、車載制御手段20へ集団存在通知を送信し、図7に示す第2報知処理を開始する。なおこの際、交通管理サーバ6は、集団存在通知と共に歩行者集団3の位置情報を車載制御手段20へ送信してもよい。以上のように交通管理サーバ6は、図6に示す第1報知処理を繰り返し実行することにより、車両Vの近傍に歩行者集団3が存在することを条件として車載制御手段20へ集団存在通知を送信する。
【0094】
第1報知処理において車載制御手段20によって実行される処理は、図6に示すように、交通管理サーバ6から集団存在通知が送信された場合にのみ実行されるステップST521~ST522の処理によって構成される。
【0095】
始めにステップST521では、車載制御手段20は、交通管理サーバ6から送信される集団存在通知を受信し、ステップST522に移る。ステップST522では、車載制御手段20は、図示しない車載モニタやスピーカを作動させることにより、画像や音声を介して車両Vの運転者に対し、車両Vの近傍に歩行者集団3が存在する旨を報知し、図7に示す第2報知処理を開始する。より具体的には、車載制御手段20は、例えば「周辺に集団で登下校中の児童がいます。ご注意下さい。」といった内容のメッセージを画像や音声によって運転者に報知する。なおこの際、車載制御手段20は、交通管理サーバ6から送信される歩行者集団3の位置情報を受信した場合、この歩行者集団3の存在と共にその位置を報知してもよい。以上のように車載制御手段20は、図6に示す第1報知処理を繰り返し実行することにより、交通管理サーバ6から送信される集団存在通知を受信することを条件として歩行者集団3の存在を運転者に報知する。
【0096】
図7は、第2報知処理において交通管理サーバ6及び車両V(車載制御手段20)によって実行される処理の具体的な手順を示すフローチャートである。この第2報知処理は、以下で説明するように、車両V及び歩行者集団3が共通の特定交通エリア内を移動中である場合、この車両Vの運転者である車両ユーザ2に歩行者集団3の存在を報知するとともに、車両Vの速度を制限する処理である。
【0097】
第2報知処理において交通管理サーバ6によって実行される処理は、図7に示すようにステップST331~ST333の処理によって構成される。
【0098】
始めにステップST331では、交通管理サーバ6は、歩行者集団3は予め定められた特定交通エリア内を移動中であるか否かを判定する。交通管理サーバ6は、ステップST331の判定結果がNOである場合、図7に示す第3報知処理を開始し、YESである場合、ステップST332に移る。ここで特定交通エリアとしては、例えば、幅の狭い生活道路や車道と歩道との間にガードレールが設けられていない道路等、車両Vで通行する際に特に注意を要する交通エリアが定められる。
【0099】
ステップST332では、交通管理サーバ6は、ステップST331において歩行者集団3が存在すると判定された特定交通エリアと同じエリア内を車両Vが移動中であるか否かを判定する。交通管理サーバ6は、ステップST332の判定結果がNOである場合、図7に示す第3報知処理を開始し、YESである場合、ステップST333に移る。
【0100】
ステップST333では、交通管理サーバ6は、現在、車両Vが走行中である特定交通エリア内に歩行者集団3が存在することを車両Vの運転者に報知するべく、車載制御手段20へ集団存在通知を送信し、図8に示す第3報知処理を開始する。なおこの際、交通管理サーバ6は、集団存在通知と共に歩行者集団3の位置情報を車載制御手段20へ送信してもよい。以上のように交通管理サーバ6は、図7に示す第2報知処理を繰り返し実行することにより、車両V及び歩行者集団3が共通の特定交通エリア内を移動中であることを条件として車載制御手段20へ集団存在通知を送信する。
【0101】
第2報知処理において車載制御手段20によって実行される処理は、図7に示すように、交通管理サーバ6から集団存在通知が送信された場合にのみ実行されるステップST531~ST533の処理によって構成される。
【0102】
始めにステップST531では、車載制御手段20は、交通管理サーバ6から送信される集団存在通知を受信し、ステップST532に移る。ステップST532では、車載制御手段20は、図示しない車載モニタやスピーカを作動させることにより、画像や音声を介して車両Vの運転者に対し、車両Vが特定交通エリア内を移動中でありかつ共通の特定交通エリア内に歩行者集団3が存在する旨を報知し、ステップST533に移る。より具体的には、車載制御手段20は、例えば「特定交通エリア内です。同エリア内に集団で登下校中の児童がいます。ご注意下さい。」といった内容のメッセージを画像や音声によって運転者に報知する。なおこの際、車載制御手段20は、交通管理サーバ6から送信される歩行者集団3の位置情報を受信した場合、この歩行者集団3の存在と共にその位置を報知してもよい。
【0103】
次にステップST533では、車載制御手段20は、車両Vの速度を現在移動中の特定交通エリア毎に定められた上限速度以下に制限し、図8に示す第3報知処理を開始する。以上のように車載制御手段20は、図7に示す第3報知処理を繰り返し実行することにより、特定交通エリア内において交通管理サーバ6から送信される集団存在通知を受信することを条件として、特定交通エリア内を移動中であること及び共通の特定交通エリア内に歩行者集団3が存在することを運転者に報知すると共に、車両Vの速度を上限速度以下に制限する。
【0104】
図8は、第3報知処理において交通管理サーバ6及び車両V(車載制御手段20)によって実行される処理の具体的な手順を示すフローチャートである。この第3報知処理は、以下で説明するように、車両Vの近傍かつ進行方向前方に歩行者集団3が存在する場合、この車両Vの運転者である車両ユーザ2に歩行者集団3の存在を報知するとともに、車両Vの前方に存在する歩行者集団3の存在を精度良く認識する処理である。
【0105】
第3報知処理において交通管理サーバ6によって実行される処理は、図8に示すようにステップST341~ST344の処理によって構成される。
【0106】
始めにステップST341では、交通管理サーバ6は、車両Vの近傍に歩行者集団3が存在するか否か、より具体的には、車両Vを中心とする第2距離の範囲内内に歩行者集団3が存在するか否かを判定する。ここで第2距離は、上述の第1報知処理における第1距離よりも短く設定される。交通管理サーバ6は、ステップST341の判定結果がNOである場合、図10Aに示す異常判定処理を開始し、YESである場合、ステップST342に移る。
【0107】
ステップST342では、交通管理サーバ6は、車両Vの進行方向前方に歩行者集団3が存在するか否かを判定する。交通管理サーバ6は、ステップST342の判定結果がNOである場合、図10Aに示す異常判定処理を開始し、YESである場合、ステップST343に移る。
【0108】
ステップST343では、交通管理サーバ6は、車両Vの近傍かつ進行方向前方に歩行者集団3が存在することを車両Vの運転者に報知するべく、車載制御手段20へ集団存在通知を送信し、ステップST344に移る。
【0109】
ステップST344では、交通管理サーバ6は、歩行者集団3の特徴に関する情報である集団特徴情報を車載制御手段20へ送信し、図10Aに示す異常判定処理を開始する。ここで集団特徴情報とは、主に歩行者集団3の外観の特徴に関する複数の情報によって構成される。より具体的には、集団特徴情報には、歩行者集団3の位置情報、歩行者集団3を構成する構成員の人数、先導者の身長、先導者以外の各構成員の身長、先導者が所有する旗や腕章等の色、各構成員が着用する帽子の色等が含まれる。交通管理サーバ6は、ID情報に基づいて構成員特徴データベース67を検索することによって取得される特徴データや、図4に示す集団認識処理による認識結果や、図5に示す位置認識処理による認識結果等に基づいて上述のような集団特徴情報を生成し、車載制御手段20へ送信する。
【0110】
第3報知処理において車載制御手段20によって実行される処理は、図8に示すように、交通管理サーバ6から集団存在通知が送信された場合にのみ実行されるステップST541~ST545の処理によって構成される。
【0111】
始めにステップST541では、車載制御手段20は、交通管理サーバ6から送信される集団存在通知を受信し、ステップST542に移る。ステップST542では、車載制御手段20は、図示しない車載モニタやスピーカを作動させることにより、画像や音声を介して車両Vの運転者に対し、車両Vの近傍かつ進行方向前方に歩行者集団3が存在する旨を報知し、ステップST543に移る。より具体的には、車載制御手段20は、例えば「前方に集団で登下校中の児童がいます。ご注意下さい。」といった内容のメッセージを画像や音声によって運転者に報知する。
【0112】
ステップST543では、車載制御手段20は、交通管理サーバ6から送信される集団特徴情報を受信し、ステップST544に移る。ステップST544では、車載制御手段20は、ステップST543で受信した集団特徴情報と車両Vに搭載された車載外部センサユニットによって取得された周囲状態情報とを組み合わせて用いることにより、車両Vの前方に存在する歩行者集団3の存在や位置等を認識し、ステップST545に移る。
【0113】
図9は、車両の前方を横断しようとする歩行者集団3を車両側から視た図である。なお図9には、先導者である構成員3aと、構成員3aよりも低年齢である2名の構成員3b,3cと、の3名を構成員とする歩行者集団3を示す。図9に示すように、歩行者集団3は、比較的身長の高い構成員3aを先頭とする隊列を形成して集団移動を行う場合が多い。
【0114】
車両に搭載された車載外部センサユニットに基づいて取得される周囲状態情報のみでは、成人と比較して身長が低くかつ体格の小さな構成員3a~3cの存在や位置等の認識精度は、成人よりも低下する。このため車載制御手段20は、周囲状態情報と、集団特徴情報とを組み合わせて用いることにより、歩行者集団3の各構成員3a~3cの存在や位置等を精度良く認識することができる。
【0115】
より具体的には、例えば周囲状態情報のみでは、図9において破線9aで示す領域、すなわち3名の構成員3a~3cのうち比較的身長の高い構成員3aしか認識できない場合がある。しかしながらこのような場合であっても、周囲状態情報と集団特徴情報とを組み合わせて用いることにより、車載制御手段20では、構成員3aの後方には身長の低い2名の構成員3b,3cが存在すると推定できるため、すなわち図9において破線9bで示す領域にわたり3名の構成員3a~3cが分布して存在するものと推定できるため、全構成員3a~3bの存在や位置等を精度良く認識することができる。
【0116】
図8に戻り、ステップST545では、車載制御手段20は、ステップST544における認識結果を自動減速装置25へ送信し、図10Aに示す異常判定処理を開始する。これにより自動減速装置25は、精度良く得られた歩行者集団3の認識結果に基づいて、この歩行者集団3に対する接触が未然に回避されるように適切なタイミングで車両Vを自動で減速させることができる。
【0117】
図10Aは、異常判定処理において交通管理サーバ6及び車両V(車載制御手段20)によって実行される処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
【0118】
異常判定処理において車載制御手段20によって実行される処理は、図10Aに示すようにステップST551~ST552の処理によって構成される。
【0119】
始めにステップST551では、車載制御手段20は、歩行者集団3を対象として自動減速装置25が作動したか否かを判定する。より具体的には、車載制御手段20は、上述のステップST543において受信した集団特徴情報に基づいて認識される歩行者集団3を対象として、この対象との接触を回避するために自動減速装置25が作動したか否かを判定する。車載制御手段20は、ステップST551の判定結果がNOである場合、図10Bに示す異常判定処理を開始し、YESである場合、ステップST552に移る。
【0120】
ステップST552では、車載制御手段20は、自動減速装置25の作動に関する自動減速装置作動情報を交通管理サーバ6へ送信し、図10Bに示す異常判定処理を開始する。ここで自動減速装置作動情報は、自動減速装置25が作動した地点の位置に関する作動地点位置及び自動減速装置25が作動した日時に関する作動日時を少なくとも含む。以上のように車載制御手段20は、図10Aに示す異常判定処理を繰り返し実行することにより、歩行者集団3との接触を回避するために自動減速装置25が作動することを条件として、自動減速装置作動情報を交通管理サーバ6へ送信する。
【0121】
異常判定処理において交通管理サーバ6によって実行される処理は、図10Aに示すように、車載制御手段20から自動減速装置作動情報が送信された場合にのみ実行されるステップST351~ST352の処理によって構成される。
【0122】
ステップST351では、交通管理サーバ6は、車載制御手段20から送信される自動減速装置作動情報を受信し、ステップST352に移る。ステップST352では、交通管理サーバ6は、ステップST351で受信した自動減速装置作動情報と、この作動日時における歩行者集団3の位置情報とを関連付けることによって生成した自動減速装置作動時データを異常時データ記憶部68に記憶させ、図10Bに示す異常判定処理を開始する。以上のように交通管理サーバ6は、図10Aに示す異常判定処理を繰り返し実行することにより、自動減速装置作動情報とその作動日時における歩行者集団3の位置情報とを関連付けて異常時データ記憶部68に記憶させる。
【0123】
図10Bは、異常判定処理において携帯情報端末30、交通管理サーバ6、及び車両V(車載制御手段20)によって実行される処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
【0124】
異常判定処理において携帯情報端末30によって実行される処理は、図10Bに示すようにステップST161~ST162の処理によって構成される。
【0125】
始めにステップST161では、携帯情報端末30は、異常加速度を検出したか否かを判定することにより、その所有者である先導者と車両との衝突の有無を判定する。携帯情報端末30は、ステップST161の判定結果がNOである場合、図10Cに示す異常判定処理を開始し、YESである場合、ステップST162に移る。ステップST162では、携帯情報端末30は、異常加速度を検出した地点の位置である衝突発生地点位置及び異常加速度を検出した日時である衝突発生日時を含む衝突発生情報を交通管理サーバ6へ送信し、図10Cに示す異常判定処理を開始する。
【0126】
以上のように携帯情報端末30は、図10Bに示す異常判定処理を繰り返し実行することにより、先導者が車両に衝突したと判定された場合、衝突発生情報を交通管理サーバ6へ送信する。
【0127】
異常判定処理において車載制御手段20によって実行される処理は、図10Bに示すようにステップST561~ST564の処理によって構成される。
【0128】
ステップST561では、車載制御手段20は、歩行者集団3の構成員と車両Vとが衝突したか否かを判定する。より具体的には、車載制御手段20は、上述のステップST543において受信した集団特徴情報に基づいて認識される歩行者集団3の構成員と車両Vとが衝突したか否かを判定する。車載制御手段20は、ステップST561の判定結果がNOである場合、図10Cに示す異常判定処理を開始し、YESである場合、ステップST562に移る。
【0129】
ステップST562では、車載制御手段20は、歩行者集団3との衝突に関連する衝突発生情報を交通管理サーバ6へ送信し、ステップST563に移る。ここで衝突発生情報は、例えば、衝突した位置に関する衝突位置情報、衝突した日時に関する衝突日時情報、衝突した時の速度に関する衝突速度情報、及びステップST543において取得した集団特徴情報等を含む。
【0130】
ステップST563では、車載制御手段20は、緊急通報センターへの接続を開始し、ステップST564に移る。ここで車載制御手段20は、緊急通報センターとの接続が成功した場合、緊急通報センターに対し救助を要請する。ステップST565では、車載制御手段20は、緊急通報センターに対する接続可否情報(すなわち、緊急通報センターとの接続が成功したか否かに関する情報)を交通管理サーバ6へ送信し、図10Cに示す異常判定処理を開始する。
【0131】
異常判定処理において交通管理サーバ6によって実行される処理は、図10Bに示すように携帯情報端末30及び車載制御手段20のうち少なくとも車載制御手段20から衝突発生情報が送信された場合にのみ実行されるステップST361~ST364の処理によって構成される。
【0132】
ステップST361では、交通管理サーバ6は、車載制御手段20から送信される衝突発生情報を受信し、ステップST362に移る。ステップST362では、携帯情報端末30から送信される衝突発生情報を受信し、ステップST363に移る。
【0133】
ステップST363では、交通管理サーバ6は、ステップST361において車載制御手段20から受信した衝突発生情報と、この衝突発生情報によって特定される衝突発生日時における歩行者集団3の位置とを関連付けることによって生成した事故発生時データを異常時データ記憶部68に記憶させ、ステップST364に移る。ここで交通管理サーバ6は、ステップST362において携帯情報端末30から送信される衝突発生情報を受信した場合、車載制御手段20から送信される衝突発生情報と、歩行者集団3の位置と、携帯情報端末30から送信される衝突発生情報と、を関連付けることによって事故発生時データを生成する。
【0134】
ステップST364では、交通管理サーバ6は、車載制御手段20から送信される接続可否情報を受信し、図10Cに示す異常判定処理を開始する。
【0135】
図10Cは、異常判定処理において交通管理サーバ6によって実行される処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
【0136】
異常判定処理において交通管理サーバ6によって実行される処理は、図10Cに示すように、車載制御手段20から接続可否情報が送信された場合にのみ実行されるステップST371~ST375の処理によって構成される。
【0137】
始めにステップST371では、交通管理サーバ6は、ステップST364において受信した接続可否情報に基づいて、車載制御手段20と緊急通報センターとの間の接続が成功したか否かを判定する。交通管理サーバ6は、ステップST371の判定結果がYESである場合、ステップST372に移り、NOである場合、ステップST373に移る。
【0138】
ステップST372では、交通管理サーバ6は、緊急通報センターとの間で情報の共有を図るべく、異常時データ記憶部68に記憶された事故発生時データを緊急通報センターへ送信し、ステップST374に移る。なお緊急通報センターと警察との間では情報が共有されるため、ステップST372では、交通管理サーバ6は、事故発生時データを警察へあえて送信する必要はない。
【0139】
ステップST373では、交通管理サーバ6は、警察との間で情報の共有を図るべく、異常時データ記憶部68に記憶された事故発生時データを警察へ送信し、ステップST374に移る。
【0140】
ステップST374では、交通管理サーバ6は、警察又は緊急通報センターから、歩行者集団3の構成員の保護者に対する連絡要請があったか否かを判定する。交通管理サーバ6は、ステップST374の判定結果がNOである場合、図11に示す到着判定処理を開始し、YESである場合、ステップST375に移る。
【0141】
ステップST375では、交通管理サーバ6は、要請を受けた保護者が所有する通信手段(例えば、スマートフォン)へ、警察又は緊急通報センターからのメッセージを送信し、図11の到着判定処理を開始する。
【0142】
図11は、到着判定処理において携帯情報端末30及び交通管理サーバ6によって実行される処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
【0143】
到着判定処理において携帯情報端末30によって実行される処理は、図11に示すようにステップST181~ST185の処理によって構成される。
【0144】
始めにステップST181では、携帯情報端末30は、その所有者である先導者が目的地に到着したか否かを判定する。携帯情報端末30は、ステップST181の判定結果がNOである場合、図4に示す集団認識処理に戻り、YESである場合、ステップST182に移る。
【0145】
ステップST182では、携帯情報端末30は、先導者が目的地に到着したことを示す目的地到着通知を交通管理サーバ6へ送信し、ステップST183に移る。ステップST183では、携帯情報端末30は、後に説明するように交通管理サーバ6から送信される先導者ポイントに関するデータを受信し、ステップST184に移る。ステップST184では、携帯情報端末30は、受信した先導者ポイントに関するデータをポイントデータ記憶部34に記憶させ、ステップST185に移る。ステップST185では、携帯情報端末30は、ポイントデータ記憶部34に記憶されている先導者ポイントの累積値を表示部に表示し、見守りアプリケーションソフトを終了する。
【0146】
到着判定処理において交通管理サーバ6によって実行される処理は、図11に示すように、携帯情報端末30から目的地到着通知が送信された場合にのみ実行されるステップST381~ST388の処理によって構成される。
【0147】
ステップST381では、交通管理サーバ6は、携帯情報端末30から送信される目的地到着通知を受信し、ステップST382に移る。これにより交通管理サーバ6は、歩行者集団3の先導者が目的地に到着したことを認識することができる。
【0148】
ステップST382では、交通管理サーバ6は、ステップST381において受信した目的地到着通知に係る歩行者集団3の各構成員からの目的地到着通知を受信し、ステップST383に移る。ここで携帯情報端末30を所有しない構成員からの目的地到着通知は、目的地に存在する通信手段から以下の手順によって送信される。例えば、歩行者集団3の集団移動の目的地が学校である場合(すなわち、集団登校時である場合)、学校の先生が所有する通信手段(例えば、スマートフォン)は、目的地に到着した構成員が所有するRFタグや2次元コード等に埋め込まれたID情報を読み込んだことを契機として、このID情報と関連付けられた構成員の目的地到着通知を交通管理サーバ6へ送信する。また歩行者集団3の集団移動の目的地が自宅である場合(すなわち、集団下校時である場合)、自宅に設置された通信手段(通信機能及び読取機能を有する防犯カメラやインターフォン等)は、目的地に到着した構成員が所有するRFタグや2次元コード等に埋め込まれたID情報を読み込んだことを契機として、このID情報と関連付けられた構成員の目的地到着通知を交通管理サーバ6へ送信する。これにより交通管理サーバ6は、歩行者集団3の構成員が目的地に到着したことを認識することができる。
【0149】
ステップST383では、交通管理サーバ6は、ST382において受信した目的地到着通知に係る構成員の保護者が所有する通信手段(例えば、スマートフォン)へ、当該構成員が無事目的地に到着したことを示す集団移動完了通知を送信し、ステップST384に移る。
【0150】
ステップST384では、交通管理サーバ6は、歩行者集団3の全ての構成員が目的地に到着したか否かを判定する。交通管理サーバ6は、ステップST384の判定結果がNOである場合、ステップST385に移り、YESである場合、ステップST387に移る。
【0151】
ステップST385では、交通管理サーバ6は、ステップST381において初めて目的地到着通知を受信してから所定時間が経過したか否かを判定する。交通管理サーバ6は、ステップST385の判定結果がNOである場合、ステップST382に戻り、YESである場合、ステップST386に移る。ステップST386では、交通管理サーバ6は、先導者の保護者、未着の構成員の保護者、及び先生が所有する通信手段(例えば、スマートフォン)へ未着通知を送信し、図4の集団認識処理に戻る。
【0152】
ステップST387では、交通管理サーバ6は、先導者の保護者が所有する通信手段(例えば、スマートフォン)へ先導者及び他の構成員が全員無事目的地に到着したことを示す集団移動完了通知を送信し、ステップST388に移る。
【0153】
ステップST388では、交通管理サーバ6は、歩行者集団3の構成員が全員無事目的地に到着したことについての先導者に対する報酬として、先導者ポイントに関するデータを携帯情報端末30へ送信し、図4の集団認識処理に戻る。
【0154】
本実施形態に係る交通安全支援システム1によれば、以下の効果を奏する。
(1)交通管理サーバ6は、複数の児童を含む歩行者集団3と共に移動する携帯情報端末30及び車両Vと共に移動する車載制御手段20と通信可能に接続されている。またこの交通管理サーバ6は、これら携帯情報端末30及び車載制御手段20から送信される情報に基づいて歩行者集団3及び車両Vの位置を認識し、これら車両V及び歩行者集団3が共通の特定交通エリア内を移動中である場合、車載制御手段20へ歩行者集団3の存在に関する集団存在通知を送信する。また車載制御手段20の自動速度制御装置24は、上記特定交通エリア内において集団存在通知を受信した場合、この特定交通エリア内における車両Vの速度を上限速度以下に制限する。よって交通安全支援システム1によれば、車両Vが複数の児童による歩行者集団3の存在下で特定交通エリアを通行する際、車両Vの速度は上限速度以下に制限されるため、歩行者集団3及び車両Vの安全な移動を支援することができる。
【0155】
(2)交通管理サーバ6は、車両Vの近傍かつ進行方向前方に歩行者集団3が存在する場合、車載制御手段20へ集団存在通知及び歩行者集団3の特徴に関する集団特徴情報を送信する。一方、車載制御手段20は、車両Vの周囲の状態に関する周囲状態情報を取得する周囲状態情報取得装置22と、周囲状態情報及び集団特徴情報に基づいて集団の存在を認識する周囲状態認識装置23と、周囲状態認識装置23による認識結果に基づいて車両Vを自動で減速させる自動減速装置25と、を備える。また周囲状態認識装置23は、周囲状態情報に加えて交通管理サーバ6から送信される集団特徴情報に基づいて歩行者集団3の存在を認識し、自動減速装置25は、周囲状態認識装置23による認識結果に基づいて車両を減速させる。よって交通安全支援システム1によれば、成人よりも身長が低くかつ体格が小さな児童の存在を精度良く認識し、適切なタイミングで車両Vを減速させることができるので、歩行者集団3及び車両Vの安全な移動を支援することができる。
【0156】
(3)交通管理サーバ6は、複数の児童を含む歩行者集団3と共に移動する携帯情報端末30及び車両Vと共に移動する車載制御手段20と通信可能に接続されている。またこの交通管理サーバ6は、これら携帯情報端末30及び車載制御手段20から送信される情報に基づいて歩行者集団3及び車両Vの位置を認識し、車両Vの近傍かつ進行方向前方に歩行者集団3が存在する場合、車載制御手段20へ歩行者集団3の存在に関する集団存在通知及び歩行者集団3の特徴に関する集団特徴情報を送信する。一方、車載制御手段20は、車両Vの周囲の状態に関する周囲状態情報を取得する周囲状態情報取得装置22と、周囲状態情報及び集団特徴情報に基づいて歩行者集団3の存在を認識する周囲状態認識装置23と、周囲状態認識装置23による認識結果に基づいて車両Vを減速させる自動減速装置25と、を備える。よって交通安全支援システム1によれば、上記(2)と同じ理由により、成人よりも身長が低くかつ体格が小さな児童の存在を精度良く認識し、適切なタイミングで車両Vを減速させることができるので、歩行者集団3及び車両Vの安全な移動を支援することができる。
【0157】
(4)交通管理サーバ6は、これら携帯情報端末30及び車載制御手段20から送信される情報に基づいて歩行者集団3及び車両Vの位置を認識し、これら車両V及び歩行者集団3が共通の特定交通エリア内を移動中である場合、車載制御手段20へ集団存在通知を送信する。また車載制御手段20の自動速度制御装置24は、上記特定交通エリア内において集団存在通知を受信した場合、この特定交通エリア内における車両Vの速度を上限速度以下に制限する。よって交通安全支援システム1によれば、上記(1)と同じ理由により、車両Vが複数の児童による歩行者集団3の存在下で特定交通エリアを通行する際、車両Vの速度は上限速度以下に制限されるため、歩行者集団3及び車両Vの安全な移動を支援することができる。
【0158】
(5)交通管理サーバ6は、歩行者集団3の位置、構成員の身長、及び構成員の人数等、主に歩行者集団3の外観に関する情報を集団特徴情報として車載制御手段20へ送信する。これにより周囲状態認識装置23では、車両Vに搭載された周囲状態情報取得装置22では取得しにくい集団特徴情報を補助的に用いることにより、歩行者集団3の存在を精度良く認識することができる。よって交通安全支援システム1によれば、歩行者集団3及び車両Vの安全な移動を支援することができる。
【0159】
(6)車載制御手段20の報知装置26は、交通管理サーバ6から送信される集団存在通知を受信した場合、歩行者集団3の存在を運転者に報知する。これにより報知装置26からの報知を受けた運転者は、歩行者集団3の存在に注意を払いながら慎重に車両Vを移動させることができるので、歩行者集団3及び車両Vの安全な移動を支援することができる。
【0160】
(7)車載通信装置21は、自動減速装置25が作動した場合、自動減速装置25の作動地点位置及び作動日時を少なくとも含む自動減速装置作動情報を交通管理サーバ6へ送信し、交通管理サーバ6は、自動減速装置作動情報を受信した場合、自動減速装置作動情報と作動日時における歩行者集団3の位置とを関連付けて異常時データ記憶部68に記憶させる。よって交通安全支援システム1によれば、自動減速装置25の作動が歩行者集団3を構成する児童の突飛な行動に起因するものである場合には、異常時データ記憶部68に記憶されたデータを児童に対する交通安全教育に活用することができる。
【0161】
(8)本発明において、車載通信装置は、歩行者に対する衝突があったと判定された場合、衝突発生地点位置及び衝突発生日時を含む衝突発生情報を交通管理サーバへ送信し、交通管理サーバは、衝突発生情報を受信した場合、この衝突発生情報と衝突発生日時における集団の位置とを関連付けて記憶媒体に記憶させる。これにより交通管理サーバでは、集団の構成員と車両との衝突の有無を判定することができ、また記憶媒体に記憶された事故に関するデータを必要に応じてヘルプネット、警察、及び児童の保護者等へ速やかに提供することができる。
【0162】
(9)交通安全支援システム1では、歩行者集団3の中で先導者として定められた少なくとも1名の構成員が所有する携帯情報端末30を、歩行者集団3と交通管理サーバ6との間の通信を担う携帯通信手段として利用する。よって交通安全支援システム1によれば、歩行者集団3を構成する全ての構成員が携帯情報端末30を所有していない場合であっても、歩行者集団3を構成する全ての構成員及び車両Vの安全な移動を支援することができる。
【0163】
(10)交通安全支援システム1において、歩行者集団3の中の先導者が所有する携帯情報端末30は、先導者以外の者が所有するRFタグや2次元コード等に埋め込まれたID情報を読み取り、この読み取ったID情報を交通管理サーバ6へ送信し、交通管理サーバ6は、携帯情報端末30から送信されるID情報と関連付けられた者を構成員として認識する。よって交通安全支援システム1によれば、歩行者集団3を構成する全ての構成員が携帯情報端末30を所有していない場合であっても、歩行者集団3を構成する構成員の存在を認識することができるので、歩行者集団3を構成する全ての構成員及び車両Vの安全な移動を支援することができる。
【0164】
(11)交通安全支援システム1において、携帯情報端末30は、先導者が集団移動の目的地に到達した場合、目的地到達通知を交通管理サーバ6へ送信し、交通管理サーバ6は、この目的地到達通知を受信した後、構成員と関連付けられた保護者が所有する通信手段へ集団移動完了通知を送信する。よって交通安全支援システム1によれば、歩行者集団3の安全な移動を支援することができるとともに、歩行者集団3が無事目的地へ到着したことを速やかに保護者に通知することができる。
【0165】
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態に係る交通安全支援システムについて、図面を参照しながら説明する。本実施形態に係る交通安全支援システムは、主に歩行者集団と共に移動する携帯通信手段の構成が第1実施形態に係る交通安全支援システム1と異なる。以下では、本実施形態に係る交通安全支援システムの構成について、第1実施形態と異なる点について説明する。
【0166】
より具体的には、第1実施形態に係る交通安全支援システム1では、歩行者集団と共に移動する携帯通信手段として、歩行者集団の中で定められた先導者が所有する携帯情報端末を用いた。これに対し本実施形態に係る交通安全支援システムは、歩行者集団と共に移動する携帯通信手段として、歩行者集団を構成する複数の構成員のうち少なくとも2名の構成員がそれぞれ所有する携帯情報端末を用いる点が第1実施形態に係る交通安全支援システム1と異なる。
【0167】
また第1実施形態に係る交通安全支援システム1では、図2を参照して説明したように、位置情報取得部31、情報読取部32、衝突判定部33、ポイントデータ記憶部34、及び通信部35等の複数の機能を備える携帯情報端末30を利用した。これに対し本実施形態に係る交通安全支援システムにおいて携帯通信手段として用いる複数の携帯情報端末は、GPSセンサを利用して位置情報を取得する位置情報取得機能、及び取得した位置情報をその所有者毎に割り当てられたID情報と共に交通管理サーバへ送信する通信機能の少なくとも2つの機能があれば良く、第1実施形態に係る携帯情報端末30のように多機能である必要はない。なお以下では、複数の携帯情報端末として、位置情報取得機能及び通信機能に加え、衝突判定部33と同じ衝突判定機能を備えるものを用いる場合について説明するが、本発明はこれに限らない。
【0168】
以下では、本実施形態に係る交通安全支援システムによって歩行者集団及び車両の安全な移動を支援する支援処理の手順について、図12A図14を参照しながら説明する。なおこの支援処理のメインフローチャートは、図3を参照して説明した第1実施形態に係る交通安全支援システム1における支援処理と同じであるので、詳細な説明を省略する。
【0169】
図12A及び図12Bは、集団認識処理において歩行者集団(各構成員が所有するN台(Nは、2以上の整数)の携帯情報端末)及び交通管理サーバによって実行される処理の具体的な手順を示すフローチャートである。この集団認識処理は、以下で説明するように、N台の携帯情報端末と交通管理サーバとの間の通信によって、交通管理サーバ側で集団移動を行う歩行者集団の存在を認識する処理である。
【0170】
集団認識処理においてN台の携帯情報端末によって実行される処理は、図12Aに示すようにステップST201の処理によって構成される。
【0171】
始めにステップST201では、N台の携帯情報端末は、各々のGPSセンサによって取得された各構成員の最新の位置情報を、そのID情報と共に交通管理サーバへ送信し、図14に示す第1報知処理を開始する。以上のようにN台の携帯情報端末は、図12Aに示す集団認識処理を繰り返し実行することにより、N名の児童の各々の最新の位置情報を交通管理サーバへ逐次送信する。
【0172】
集団認識処理において交通管理サーバによって実行される処理は、図12A及び図12Bに示すように、各携帯情報端末から位置情報及びID情報が送信された場合にのみ実行されるステップST401~ST409の処理によって構成される。
【0173】
始めにステップST401では、交通管理サーバは、各携帯情報端末から送信されるID情報及び位置情報を受信し、ステップST402に移る。このように交通管理サーバでは、各携帯情報端末から送信される位置情報をID情報と共に受信することにより、携帯情報端末を所有するN名の児童の最新の位置を把握することができる。
【0174】
ステップST402では、交通管理サーバは、携帯情報端末を所有するN名の児童のうち、児童毎に定められた出発地点(集団登校時である場合、各々の自宅であり、集団下校時である場合、学校)から離れた児童を検出したか否かを判定する。交通管理サーバは、ステップST402の判定結果がNOである場合、ステップST404に移り、YESである場合、ステップST403に移る。ステップST403では、交通管理サーバは、出発地点から離れたことを検出した児童の保護者が所有する通信手段(例えば、スマートフォン)へ児童が出発地点から目的地へ向けて移動し始めたことを示す出発通知を送信し、ステップST404に移る。
【0175】
ステップST404では、交通管理サーバは、N名の児童のうちの少なくとも2名を構成員とする歩行者集団が既に検出されているか否かを判定する。交通管理サーバは、ステップST404の判定結果がNOである場合、ステップST405に移り、YESである場合、ステップST408(図12B参照)に移る。
【0176】
ステップST405では、交通管理サーバは、出発地点から離れた少なくとも2名の児童を構成員とする歩行者集団が形成されているか否かを判定する。ここで交通管理サーバは、所定範囲内に存在しかつ同一の進行方向に移動する少なくとも2名の児童を検出した場合、これら児童を構成員とする歩行者集団が形成されていると判定することができる。交通管理サーバは、ステップST405の判定結果がNOである場合、ステップST401に戻り、YESである場合、ステップST406に移る。
【0177】
ステップST406では、交通管理サーバは、歩行者集団を形成する各構成員の保護者が所有する通信手段へ集団移動開始通知を送信し、ステップST407に移る。ステップST407では、交通管理サーバは、歩行者集団を形成する複数の構成員中から1名を代表者として定め、ステップST408(図12B参照)に移る。なお以下の処理では、このステップST407において定めた代表者の位置を歩行者集団の位置とする。
【0178】
ステップST408では、交通管理サーバは、歩行者集団に新たに児童が構成員として合流したか否かを判定する。ここで交通管理サーバは、新たな児童が、例えば代表者を中心とする所定範囲内に存在しかつこの代表者と同一の進行方向に移動していると判定した場合、歩行者集団に新たに児童が合流したと判定することができる。交通管理サーバは、ステップST408の判定結果がNOである場合、図13に示す位置認識処理を開始し、YESである場合、ステップST409に移る。ステップST409では、交通管理サーバは、新たに合流した児童の保護者が所有する通信手段へ集団移動開始通知を送信し、図13に示す位置認識処理を開始する。
【0179】
以上のように交通管理サーバは、図12A及び図12Bに示す集団認識処理を繰り返し実行することにより、携帯情報端末を所有する児童を構成員とする歩行者集団の集団移動が開始されたこと、この歩行者集団に新たに構成員が合流したこと、及びこの歩行者集団の最新の構成員の人数や氏名等を認識することができる。また交通管理サーバは、図12A及び図12Bに示す集団認識処理を繰り返し実行することにより、携帯情報端末から送信されるID情報と関連付けられた児童を歩行者集団の構成員として認識することができる。ただし実際の歩行者集団の構成員の中には、携帯情報端末を所有しない児童も存在するが、交通管理サーバでは、このような携帯情報端末を所有しない児童は構成員として認識することができない。
【0180】
図13は、位置認識処理において交通管理サーバ及び車両(車載制御手段)によって実行される処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
【0181】
なお図13に示す位置認識処理において、ステップST412,ST611に示す処理は、図5を参照して説明した位置認識処理におけるステップST312,ST511に示す処理と同じであるので詳細な説明を省略する。また上述のように交通管理サーバでは、歩行者集団の中で定められた代表者の位置を歩行者集団の位置として認識することができる。
【0182】
図14は、第1報知処理において交通管理サーバ及び車両(車載制御手段)によって実行される処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
【0183】
なお図14に示す第1報知処理において、ステップST421~ST422,ST621~ST622に示す処理は、図6を参照して説明した第1報知処理におけるステップST321~ST322,ST521~ST522に示す処理と同じであるので詳細な説明を省略する。
【0184】
図15は、第2報知処理において交通管理サーバ及び車両(車載制御手段)によって実行される処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
【0185】
なお図15に示す第2報知処理において、ステップST431~ST433,ST631~ST633に示す処理は、図7を参照して説明した第2報知処理におけるステップST331~ST333,ST531~ST533に示す処理と同じであるので詳細な説明を省略する。
【0186】
図16は、第3報知処理において交通管理サーバ及び車両(車載制御手段)によって実行される処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
【0187】
なお図16に示す第3報知処理において、ステップST441~ST444,ST641~ST645に示す処理は、図8を参照して説明した第3報知処理におけるステップST341~ST344,ST541~ST545に示す処理と同じであるので詳細な説明を省略する。
【0188】
図17A図17B、及び図17Cは、異常判定処理において歩行者集団(N台の携帯情報端末)、交通管理サーバ、及び車両(車載制御手段)によって実行される処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
【0189】
なお図17A図17Cに示す異常判定処理において、ステップST451~ST452,ST651~ST652,ST261~ST262,ST461~ST464,ST661~ST664,ST471~ST475に示す処理は、図9A図9Cを参照して説明した異常判定処理におけるステップST351~ST352,ST551~ST552,ST161~ST162,ST361~ST364,ST561~ST564,ST371~ST375に示す処理と同じであるので詳細な説明を省略する。
【0190】
図18は、到着判定処理において交通管理サーバによって実行される処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
【0191】
到着判定処理において交通管理サーバによって実行される処理は、図18に示すようにステップST481~ST486の処理によって構成される。
【0192】
始めにステップST481では、交通管理サーバは、現在認識されている歩行者集団の構成員のうち、構成員毎に定められた目的地(集団登校時である場合、学校であり、集団下校時である場合、各々の自宅)に到着した児童を検出したか否かを判定する。交通管理サーバは、ステップST481の判定結果がNOである場合、図12Aの集団認識処理に戻り、YESである場合、ステップST482に移る。
【0193】
ステップST482では、交通管理サーバは、目的地に到着したと判定した構成員を歩行者集団から除外し、ステップST483に移る。ステップST483では、交通管理サーバは、目的地に到着した児童の保護者が所有する通信手段へ、集団移動完了通知を送信し、ステップST484に移る。
【0194】
ステップST484では、交通管理サーバは、現在認識されている歩行者集団の構成員の全員が目的地に到着したか否かを判定する。交通管理サーバは、ステップST484の判定結果がYESである場合、支援処理を終了し、NOである場合、ステップST485に移る。
【0195】
ステップST485では、交通管理サーバは、ステップST403において初めて出発通知を送信してから所定時間が経過したか否かを判定する。交通管理サーバは、ステップST485の判定結果がNOである場合、図12Aの集団認識処理に戻り、YESである場合、ステップST486に移る。ステップST486では、交通管理サーバは、未着の構成員の保護者、及び先生が所有する通信手段へ未着通知を送信し、支援処理を終了する。
【0196】
本実施形態に係る交通安全支援システムによれば、(1)~(8)に示す効果に加えて、以下の効果を奏する。
(12)本実施形態に係る交通安全支援システムでは、複数の構成員のうち少なくとも2名の構成員がそれぞれ所有する携帯情報端末を、歩行者集団と交通管理サーバとの間の通信を担う携帯通信手段として利用する。よって交通安全支援システムによれば、第1実施形態に係る交通安全支援システム1のように、先導者がそれ以外の者のタグ情報又はコード情報を読み取る必要が無くなるので、先導者の負担を軽減することができる。
【0197】
(13)携帯通信手段を構成する複数の携帯情報端末は、各々のID情報及び位置情報を交通管理サーバへ送信し、交通管理サーバは、複数の携帯情報端末が所定範囲内に存在しかつ同一の進行方向へ移動していると判定した場合、ID情報と関連付けられる者を構成員とする集団移動の開始を認識する。これにより、交通管理サーバでは、構成員による各々の携帯情報端末の複雑な操作を経ることなく、集団移動の開始を認識することができるので、各構成員の負担を軽減することができる。
【0198】
(14)交通管理サーバは、構成員が目的地に到達したと判定した後、構成員と関連付けられた保護者が所有する通信手段へ集団移動完了通知を送信する。よって交通安全支援システムによれば、歩行者集団の安全な移動を支援することができるとともに、歩行者集団が無事目的地へ到達したことを速やかに保護者に通知することができる。
【0199】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限らない。本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0200】
1…交通安全支援システム
2…車両ユーザ
V…車両
20…車載制御手段
21…車載通信装置
22…周囲状態情報取得装置
23…周囲状態認識装置
24…自動速度制御装置
25…自動減速装置
26…報知装置
27…衝突判定装置
3…歩行者集団
30…携帯情報端末(携帯通信手段)
31…位置情報取得部
32…情報読取部
33…衝突検出部
34…ポイントデータ記憶部
35…通信部
6…交通管理サーバ
61…通信ユニット
62…歩行者集団認識ユニット
63…位置認識ユニット
64…報知ユニット
65…異常判定ユニット
66…到着判定ユニット
67…構成員特徴データベース
68…異常時データ記憶部(記憶媒体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図17C
図18