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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032237
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】車両のスライドドア装置
(51)【国際特許分類】
   E05D 15/10 20060101AFI20240305BHJP
   E05F 11/54 20060101ALI20240305BHJP
   B60J 5/06 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
E05D15/10
E05F11/54 A
B60J5/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135794
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】門田 豪郎
【テーマコード(参考)】
2E034
【Fターム(参考)】
2E034FA01
2E034GA01
2E034GA08
(57)【要約】
【課題】スライドドアを閉塞位置に移動させたときの連結機構の車両における収納スペースを小さく抑え、且つ、閉塞位置と開放位置との間でのスライドドアのガイドレールに沿った移動を安定させることができる車両のスライドドア装置を提供する。
【解決手段】スライドドア装置は、ガイドレール12Aに沿って移動することが可能なローラユニット20と、車両11のスライドドア13を固定することが可能なドア固定部材16と、そのドア固定部材16をローラユニット20に繋ぐ連結機構14と、を備える。連結機構14は、ローラユニット20がガイドレール12Aの湾曲部12aを通過する際、ローラユニット20の移動に伴って、以下のような伸長動作または収縮動作を行う。伸長動作する連結機構14は、ドア固定部材16をローラユニット20から徐々に離れさせる。収縮動作する連結機構14は、ドア固定部材16をローラユニット20に徐々に近づける。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の側部で前後に延びるガイドレールと、前記ガイドレールに沿って移動することが可能なローラユニットと、車両のスライドドアを固定することが可能なドア固定部材と、そのドア固定部材を前記ローラユニットに繋ぐ連結機構と、を備え、
前記スライドドアを車両の側部に位置する開口部を閉じる閉塞位置と前記開口部を開く開放位置との間で前記ガイドレールに沿って移動させるとき、前記開放位置が前記閉塞位置よりも車両の幅方向外側となるよう前記連結機構が前記ドア固定部材を車両の幅方向に移動させる車両のスライドドア装置において、
前記ガイドレールは、湾曲部を有しており、
前記連結機構は、
前記ローラユニットが前記ガイドレールの前記湾曲部を前記閉塞位置側から前記開放位置側に通過する際、前記湾曲部に沿った前記ローラユニットの移動に伴って、前記ドア固定部材を前記ローラユニットから徐々に離れさせる伸長動作を行い、
前記ローラユニットが前記ガイドレールの前記湾曲部を前記開放位置側から前記閉塞位置側に通過する際、前記湾曲部に沿った前記ローラユニットの移動に伴って、前記ドア固定部材を前記ローラユニットに徐々に近づける収縮動作を行うものとされている車両のスライドドア装置。
【請求項2】
前記連結機構は、ガイド部材と、スライド部材と、変位機構と、を備えており、
前記ガイド部材は、前記ローラユニットに固定されて同ローラユニットから前記ドア固定部材に向けて突出し、
前記スライド部材は、前記ドア固定部材に対し揺動軸を介して同揺動軸周りに回転可能に接続され、且つ、前記ガイド部材に対し伸縮するようにスライドすることが可能とされており、
前記変位機構は、
前記ローラユニットが前記ガイドレールの前記湾曲部を前記閉塞位置側から前記開放位置側に通過する際の前記スライド部材及び前記ガイド部材の前記揺動軸周りの回転に基づき、前記スライド部材を前記ガイド部材に対し伸長する方向にスライドさせることによって前記伸長動作を行い、
前記ローラユニットが前記ガイドレールの前記湾曲部を前記閉塞位置側から前記開放位置側に通過する際の前記スライド部材及び前記ガイド部材の前記揺動軸周りの回転に基づき、前記スライド部材を前記ガイド部材に対し収縮する方向にスライドさせることによって前記収縮動作を行う請求項1に記載の車両のスライドドア装置。
【請求項3】
前記変位機構は、前記ドア固定部材と前記ガイド部材とのうちの一方に設けられたピンと、前記ドア固定部材と前記ガイド部材とのうちの他方に設けられたスリットとを備え、
前記ピンは、前記スリットに挿入されており、前記ローラユニットが前記ガイドレールの前記湾曲部を通過する際の前記ドア固定部材と前記スライド部材との前記揺動軸を中心とする相対回転に基づき、前記スリットに対し相対移動するものであり、
前記スリットは、前記ローラユニットが前記ガイドレールの前記湾曲部を前記閉塞位置側から前記開放位置側に通過する際に前記ピンと前記揺動軸との距離が長くなり、前記ローラユニットが前記ガイドレールの前記湾曲部を前記開放位置側から前記閉塞位置側に通過する際に前記ピンと前記揺動軸との距離が短くなるよう湾曲している請求項2に記載の車両のスライドドア装置。
【請求項4】
前記連結機構は、第1リンクと、第2リンクと、を備えており、
前記第1リンクは、その長手方向の一方の端部が前記ローラユニットに対し第1ピンを介して同第1ピン周りに回転可能に接続され、且つ、前記長手方向の他方の端部が前記ドア固定部材に対し第2ピンを介して同第2ピン周りに回転可能に接続されており、
前記第2リンクは、前記第1リンクよりも前記開放位置寄りに位置するとともに前記第1リンクよりも長くされており、前記第2リンクの長手方向の一方の端部が前記ローラユニットに対し第3ピンを介して同第3ピン周りに回転可能に接続され、且つ、前記長手方向の他方の端部が前記ドア固定部材に対し第4ピンを介して同第4ピン周りに回転可能に接続されている請求項1に記載の車両のスライドドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のスライドドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示される車両のスライドドア装置は、ガイドレールと、ローラユニットと、ドア固定部材と、連結機構と、を備えている。ガイドレールは車両の側部で前後に延びている。ローラユニットは、ガイドレールに沿って移動することが可能なものである。ドア固定部材は、車両のスライドドアを固定することが可能となっている。連結機構は、ドア固定部材を上記ローラユニットに繋ぐためのものである。
【0003】
スライドドアは、ドア固定部材及び連結機構を介してローラユニットに繋がっているため、そのローラユニットによってガイドレールに沿って移動するように案内される。スライドドアは、車両の側部に位置する開口部を閉じる閉塞位置と上記開口部を開く開放位置との間で、上記ガイドレールに沿った移動をする。連結機構は、スライドドアがガイドレールに沿って移動するとき、上記開放位置が上記閉塞位置よりも車両の幅方向外側となるよう、ドア固定部材を車両の幅方向に移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-74343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記スライドドア装置では、スライドドアの開放位置を閉塞位置に対しより大きく車両の幅方向外側とすることが望まれている。しかし、そうしたことを実現するための連結機構は大型化するため、スライドドアを閉塞位置に移動させたときの同機構の車両における収納スペースを大きくとらなければならなくなる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決する車両のスライドドア装置の各態様を記載する。
(態様1)
車両の側部で前後に延びるガイドレールと、前記ガイドレールに沿って移動することが可能なローラユニットと、車両のスライドドアを固定することが可能なドア固定部材と、そのドア固定部材を前記ローラユニットに繋ぐ連結機構と、を備え、前記スライドドアを車両の側部に位置する開口部を閉じる閉塞位置と前記開口部を開く開放位置との間で前記ガイドレールに沿って移動させるとき、前記開放位置が前記閉塞位置よりも車両の幅方向外側となるよう前記連結機構が前記ドア固定部材を車両の幅方向に移動させる車両のスライドドア装置において、前記ガイドレールは、湾曲部を有しており、前記連結機構は、前記ローラユニットが前記ガイドレールの前記湾曲部を前記閉塞位置側から前記開放位置側に通過する際、前記湾曲部に沿った前記ローラユニットの移動に伴って、前記ドア固定部材を前記ローラユニットから徐々に離れさせる伸長動作を行い、前記ローラユニットが前記ガイドレールの前記湾曲部を前記開放位置側から前記閉塞位置側に通過する際、前記湾曲部に沿った前記ローラユニットの移動に伴って、前記ドア固定部材を前記ローラユニットに徐々に近づける収縮動作を行うものとされている車両のスライドドア装置。
【0007】
上記構成によれば、スライドドアが閉塞位置から開放位置に向かってガイドレールに沿って移動する際には、ローラユニットがガイドレールの湾曲部を閉塞位置側から開放位置側に通過する。このとき、連結機構は、上記湾曲部に沿ったローラユニットの移動に伴って、ドア固定部材をローラユニットから徐々に離れさせる伸長動作を行う。また、スライドドアが開放位置から閉塞位置に向かってガイドレールに沿って移動する際には、ローラユニットがガイドレールの湾曲部を開放位置側から閉塞位置側に通過する。このとき、連結機構は、上記湾曲部に沿ったローラユニットの移動に伴って、ドア固定部材をローラユニットに徐々に近づける収縮動作を行う。こうした収縮動作を通じて連結機構の大きさが小さくなるため、スライドドアを閉塞位置に移動させたときの連結機構の車両における収納スペースを小さく抑えることができる。また、連結機構の上記伸長動作及び上記収縮動作は、ガイドレールの湾曲部をローラユニットが通過することに伴って徐々に行われる。このため、連結機構の上記伸長動作及び上記収縮動作をスムーズに行うことができ、閉塞位置と開放位置との間でのスライドドアのガイドレールに沿った移動を安定させることができる。
【0008】
(態様2)
前記連結機構は、ガイド部材と、スライド部材と、変位機構と、を備えており、前記ガイド部材は、前記ローラユニットに固定されて同ローラユニットから前記ドア固定部材に向けて突出し、前記スライド部材は、前記ドア固定部材に対し揺動軸を介して同揺動軸周りに回転可能に接続され、且つ、前記ガイド部材に対し伸縮するようにスライドすることが可能とされており、前記変位機構は、前記ローラユニットが前記ガイドレールの前記湾曲部を前記閉塞位置側から前記開放位置側に通過する際の前記スライド部材及び前記ガイド部材の前記揺動軸周りの回転に基づき、前記スライド部材を前記ガイド部材に対し伸長する方向にスライドさせることによって前記伸長動作を行い、前記ローラユニットが前記ガイドレールの前記湾曲部を前記閉塞位置側から前記開放位置側に通過する際の前記スライド部材及び前記ガイド部材の前記揺動軸周りの回転に基づき、前記スライド部材を前記ガイド部材に対し収縮する方向にスライドさせることによって前記収縮動作を行う(態様1)に記載の車両のスライドドア装置。
【0009】
上記構成によれば、スライド部材がガイド部材に対し伸縮するようスライドすることにより、連結機構の伸長動作及び収縮動作が行われる。このため、スライドドアが閉塞位置に移動して連結機構が収縮動作したとき、連結機構の大きさを小さくしやすくなる。
【0010】
(態様3)
前記変位機構は、前記ドア固定部材と前記ガイド部材とのうちの一方に設けられたピンと、前記ドア固定部材と前記ガイド部材とのうちの他方に設けられたスリットとを備え、前記ピンは、前記スリットに挿入されており、前記ローラユニットが前記ガイドレールの前記湾曲部を通過する際の前記ドア固定部材と前記スライド部材との前記揺動軸を中心とする相対回転に基づき、前記スリットに対し相対移動するものであり、前記スリットは、前記ローラユニットが前記ガイドレールの前記湾曲部を前記閉塞位置側から前記開放位置側に通過する際に前記ピンと前記揺動軸との距離が長くなり、前記ローラユニットが前記ガイドレールの前記湾曲部を前記開放位置側から前記閉塞位置側に通過する際に前記ピンと前記揺動軸との距離が短くなるよう湾曲している(態様2)に記載の車両のスライドドア装置。
【0011】
上記構成によれば、ローラユニットがガイドレールの湾曲部を通過する際、前記ドア固定部材と前記スライド部材とが揺動軸を中心に相対回転すると、スリットの湾曲によりピンと揺動軸との距離が変化する。これにより、ガイド部材に対しスライド部材が伸縮するように、同スライド部材をスライドさせることができる。
【0012】
(態様4)
前記連結機構は、第1リンクと、第2リンクと、を備えており、前記第1リンクは、その長手方向の一方の端部が前記ローラユニットに対し第1ピンを介して同第1ピン周りに回転可能に接続され、且つ、前記長手方向の他方の端部が前記ドア固定部材に対し第2ピンを介して同第2ピン周りに回転可能に接続されており、前記第2リンクは、前記第1リンクよりも前記開放位置寄りに位置するとともに前記第1リンクよりも長くされており、前記第2リンクの長手方向の一方の端部が前記ローラユニットに対し第3ピンを介して同第3ピン周りに回転可能に接続され、且つ、前記長手方向の他方の端部が前記ドア固定部材に対し第4ピンを介して同第4ピン周りに回転可能に接続されている(態様1)に記載の車両のスライドドア装置。
【0013】
上記構成によれば、ローラユニットがガイドレールの湾曲部を閉塞位置側から開放位置側に通過する際、第1リンクの第1ピン及び第2ピンに対する回転動作、及び、第2リンクの第3ピン及び第4ピンに対する回転動作が行われる。これにより、ドア固定部材をローラユニットから徐々に離れさせる連結機構の伸長動作が行われる。また、ローラユニットがガイドレールの湾曲部を開放位置側から閉塞位置側に通過する際にも、第1リンクの第1ピン及び第2ピンに対する回転動作、及び、第2リンクの第3ピン及び第4ピンに対する回転動作が行われる。これにより、ドア固定部材をローラユニットに徐々に近づける連結機構の収縮動作が行われる。このように連結機構の上記伸長動作及び上記収縮動作を行うことにより、上記伸長動作及び上記収縮動作をスムーズなものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】スライドドア装置が適用される車両を示す側面図である。
図2】上記スライドドア装置のドア固定部材、連結機構、及びローラユニットを示す平面図である。
図3】上記スライドドア装置のドア固定部材、連結機構、及びローラユニットを示す側面図である。
図4】上記スライドドア装置の動作を示す平面図である。
図5】上記スライドドア装置のドア固定部材、連結機構、及びローラユニットを示す斜視図である。
図6】上記スライドドア装置のドア固定部材、連結機構、及びローラユニットを示す分解斜視図である。
図7】上記連結機構の他の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、車両のスライドドア装置の一実施形態について、図1図6を参照して説明する。
図1に示す車両11のスライドドア装置は、車両11の側部で前後に延びるガイドレール12A~12Cと、ガイドレール12A~12Cに沿って移動することが可能なローラユニット20と、を備えている。ガイドレール12Aは車両11の上下方向の中央部に設けられている。ガイドレール12Bは車両11の上部に設けられている。ガイドレール12Cは車両11の下部に設けられている。
【0016】
ローラユニット20は、ガイドレール12A~12C毎に設けられている。ガイドレール12Aに対応するローラユニット20は、スライドドア13の後端部と繋がっている。ガイドレール12Bに対応するローラユニット20、及び、ガイドレール12Cに対応するローラユニット20は、スライドドア13の前端部と繋がっている。スライドドア13は、ローラユニット20と共にガイドレール12A~12Cに沿って移動することが可能となっている。
【0017】
スライドドア13は、上記ガイドレール12A~12Cに沿った移動により、車両11の側部に形成された開口部15を閉塞する閉塞位置と、その開口部15を開放する開放位置との間で移動する。スライドドア13は、ローラユニット20がガイドレール12A~12Cの前端部、すなわち図1の右端部に達したとき、上述した閉塞位置に達する。また、スライドドア13は、ローラユニット20がガイドレール12A~12Cの後端部、すなわち図1の左端部に達したとき、上述した開放位置に達する。
【0018】
次に、スライドドア装置におけるガイドレール12A周りの構造について詳しく説明する。なお、こうした構造は、スライドドア装置におけるガイドレール12B,12C周りの構造として採用することも可能である。
【0019】
図2及び図3に示すように、上記スライドドア装置は、スライドドア13(図1)に固定することが可能なドア固定部材16と、そのドア固定部材16をローラユニット20に繋ぐための連結機構14と、を備えている。連結機構14は、ドア固定部材16に対し揺動軸18を介して連結されており、その揺動軸18を中心として水平方向に揺動することが可能となっている。
【0020】
ローラユニット20には、スライドドア13からの荷重を受ける支持ローラ21が回転可能に支持されている。支持ローラ21は、車両11に側部に形成された荷重受け面25に沿って転動する。そして、スライドドア13からの荷重は、ドア固定部材16、連結機構14、ローラユニット20、及び支持ローラ21を介して、上記荷重受け面25に作用する。ローラユニット20には、二つのガイドローラ22が回転可能に支持されている。これらガイドローラ22は、図4に示すようにガイドレール12Aに沿って転動することが可能となっている。
【0021】
図4には、スライドドア13、ドア固定部材16、連結機構14、及びローラユニット20がガイドレール12Aに沿って移動する際の動きが示されている。ガイドレール12Aは、その前端寄りの箇所、すなわち図4の左端寄りの箇所に湾曲部12aを有している。この湾曲部12aにより、ガイドレール12Aの前端部は、前端に向かうほど車両11の幅方向内側に位置するようになる。
【0022】
スライドドア13は、ドア固定部材16、連結機構14、及びローラユニット20と共にガイドレール12Aに沿って移動することにより、閉塞位置と開放位置との間で移動する。スライドドア13が閉塞位置に到達したとき、スライドドア13、ドア固定部材16、連結機構14、及びローラユニット20は、図4の左端に位置する。スライドドア13が開放位置に到達したとき、スライドドア13、ドア固定部材16、連結機構14、及びローラユニット20は、図4の右端に位置する。
【0023】
図4から分かるように、二つのガイドローラ22がガイドレール12Aに沿って転動しながらローラユニット20が湾曲部12aを通過するとき、連結機構14がドア固定部材16に対し揺動軸18を中心に揺動する。これにより、スライドドア13をガイドレール12Aに沿って移動させるとき、開放位置が閉塞位置よりも車両11の幅方向外側となるよう、連結機構14がドア固定部材16を車両11の幅方向に移動させる。
【0024】
連結機構14は、ローラユニット20がガイドレール12Aの湾曲部12aを閉塞位置側から開放位置側に通過する際、湾曲部12aに沿ったローラユニット20の移動に伴って、ドア固定部材16をローラユニット20から徐々に離れさせる伸長動作を行う。また、連結機構14は、ローラユニット20がガイドレール12Aの湾曲部12aを開放位置側から閉塞位置側に通過する際、湾曲部12aに沿ったローラユニット20の移動に伴って、ドア固定部材16をローラユニット20に徐々に近づける収縮動作を行う。連結機構14の上記伸長動作及び上記収縮動作は、ガイドレール12Aの湾曲部12aをローラユニット20が通過することに伴って徐々に行われる。
【0025】
<連結機構14の詳細な構造>
図5及び図6に示すように、連結機構14は、ガイド部材31と、スライド部材32と、変位機構33と、を備えている。ガイド部材31は板状に形成されている。ガイド部材31は、ローラユニット20に固定されて一体となっており、同ローラユニット20からドア固定部材16に向けて突出している。ドア固定部材16には揺動軸18が取り付けられている。ガイド部材31には、上記揺動軸18と平行に延びるピン34が形成されている。ピン34は変位機構33としての役割を担う。
【0026】
スライド部材32は、ドア固定部材16に対し揺動軸18を介して同揺動軸18周りに回転できるように接続されている。詳しくは、ドア固定部材16には揺動軸18が取り付けられている。一方、スライド部材32には上記揺動軸18を通すための孔35が形成されている。そして、揺動軸18が上記孔35を通されることにより、スライド部材32がドア固定部材16に対し揺動軸18周りに回転できるように接続されている。
【0027】
スライド部材32は、ガイド部材31に対し、伸縮するようにスライドすることが可能とされている。詳しくは、スライド部材32には、受け入れ部36が形成されており、その受け入れ部36に対しガイド部材31が挿入されている。スライド部材32とガイド部材31とは、受け入れ部36に対しガイド部材31を出し入れする方向に相対移動することが可能となっている。
【0028】
スライド部材32には長孔37が形成されている。長孔37は、受け入れ部36に対しガイド部材31を出し入れする方向に長く延びている。スライド部材32の受け入れ部36にガイド部材31が挿入されたとき、ガイド部材31のピン34がスライド部材32の長孔37を貫通する。ガイド部材31に対するスライド部材32のスライドは、長孔37とピン34との相対移動によって許容される。
【0029】
ドア固定部材16にはスリット38が形成されている。スリット38は変位機構33としての役割を担う。スリット38には、ガイド部材31におけるピン34の先端が挿入されている。ローラユニット20がガイドレール12Aの湾曲部12a(図4)を通過する際、図2に示すようにドア固定部材16とスライド部材32とが揺動軸18を中心として相対回転する。こうした相対回転に基づき、ピン34がスリット38に対し相対移動する。スリット38は、こうしたピン34とスリット38との相対移動により、連結機構14の上記伸長動作及び上記収縮動作が行われるよう湾曲している。詳しくは、スリット38は、以下の(A)及び(B)が実現するように湾曲している。
【0030】
(A)図4において、ローラユニット20がガイドレール12Aの湾曲部12aを閉塞位置側から開放位置側に通過する際、ドア固定部材16とスライド部材32との揺動軸18を中心とする相対回転に基づき、ピン34と揺動軸18との距離が長くなる。これにより、ドア固定部材16及びスライド部材32がガイド部材31及びローラユニット20から離れる。言い換えれば、スライド部材32がガイド部材31に対し伸長する方向にスライドする。その結果、連結機構14の上記伸長動作が行われる。
【0031】
(B)図4において、ローラユニット20がガイドレール12Aの湾曲部12aを開放位置側から閉塞位置側に通過する際、ドア固定部材16とスライド部材32との揺動軸18を中心とする相対回転に基づき、ピン34と揺動軸18との距離が短くなる。これにより、ドア固定部材16及びスライド部材32がガイド部材31及びローラユニット20から離れる。言い換えれば、スライド部材32がガイド部材31に対し収縮する方向にスライドする。その結果、連結機構14の上記収縮動作が行われる。
【0032】
次に、本実施形態における車両のスライドドア装置の動作について説明する。
スライドドア13が閉塞位置から開放位置に向かってガイドレール12A~12Cに沿って移動する際には、ローラユニット20がガイドレール12Aの湾曲部12aを閉塞位置側から開放位置側に通過する。このとき、連結機構14は、上記湾曲部12aに沿ったローラユニット20の移動に伴って、ドア固定部材16をローラユニット20から徐々に離れさせる伸長動作を行う。
【0033】
また、スライドドア13が開放位置から閉塞位置に向かってガイドレール12A~12Cに沿って移動する際には、ローラユニット20がガイドレール12Aの湾曲部12aを開放位置側から閉塞位置側に通過する。このとき、連結機構14は、上記湾曲部12aに沿ったローラユニット20の移動に伴って、ドア固定部材16をローラユニット20に徐々に近づける収縮動作を行う。
【0034】
こうした収縮動作を通じて連結機構14の大きさが小さくなるため、スライドドア13を閉塞位置に移動させたときの連結機構14の車両11における収納スペースを小さく抑えることができる。
【0035】
また、連結機構14の上記伸長動作及び上記収縮動作は、ガイドレール12Aの湾曲部12aをローラユニット20が通過することに伴って徐々に行われる。このため、連結機構14の上記伸長動作及び上記収縮動作をスムーズに行うことができ、閉塞位置と開放位置との間でのスライドドア13のガイドレール12A~12Cに沿った移動を安定させることができる。
【0036】
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)スライドドア13を閉塞位置に移動させたときの連結機構14の車両11における収納スペースを小さく抑え、且つ、閉塞位置と開放位置との間でのスライドドア13のガイドレール12A~12Cに沿った移動を安定させることができる。
【0037】
(2)連結機構14は、スライド部材32がガイド部材31に対し伸縮するようスライドすることにより、ローラユニット20とドア固定部材16との間の距離を変化させるための伸長動作及び収縮動作を行う。このため、スライドドア13が閉塞位置に移動して連結機構14が収縮動作したとき、連結機構14の大きさを小さくしやすくなる。
【0038】
(3)ローラユニット20がガイドレール12Aの湾曲部12aを通過する際、ドア固定部材16とスライド部材32とが揺動軸18を中心に相対回転すると、スリット38の湾曲によりピン34と揺動軸18との距離が変化する。これにより、ガイド部材31に対しスライド部材32が伸縮するように、同スライド部材32をスライドさせることができる。
【0039】
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・ガイド部材31にピン34を形成するとともにドア固定部材16にスリット38を形成したが、ピン34とスリット38との位置関係を逆にしてもよい。すなわち、ピン34をドア固定部材16に形成するとともに、スリット38をガイド部材31に形成するようにしてもよい。
【0040】
図7に示す連結機構14を採用してもよい。
この連結機構14は、第1リンク41と第2リンク42とを備えている。第1リンク41の長手方向の一方の端部は、ローラユニット20に対し第1ピン43を介して同第1ピン43周りに回転可能に接続されている。第1リンク41の長手方向の他方の端部は、ドア固定部材16に対し第2ピン44を介して同第2ピン44周りに回転可能に接続されている。第2リンク42は、第1リンク41よりも開放位置側寄り、すなわち図7の右寄りに位置するとともに、第1リンク41よりも長くされている。第2リンク42の長手方向の一方の端部は、ローラユニット20に対し第3ピン45を介して同第3ピン45周りに回転可能に接続されている。第2リンク42の長手方向の他方の端部は、ドア固定部材16に対し第4ピン46を介して同第4ピン46周りに回転可能に接続されている。
【0041】
この構成によれば、ローラユニット20がガイドレール12Aの湾曲部12aを閉塞位置側から開放位置側に通過する際、第1リンク41及び第2リンク42が次のように動作する。すなわち、上述したローラユニット20における湾曲部12aの通過により、第1リンク41の第1ピン43及び第2ピン44に対する回転動作、及び、第2リンク42の第3ピン45及び第4ピン46に対する回転動作が行われる。更に、それに伴ってドア固定部材16をローラユニット20から徐々に離れさせる連結機構14の伸長動作が行われる。また、ローラユニット20がガイドレール12Aの湾曲部12aを開放位置側から閉塞位置側に通過する際、第1リンク41及び第2リンク42が次のように動作する。すなわち、上述したローラユニット20における湾曲部12aの通過により、第1リンク41の第1ピン43及び第2ピン44に対する回転動作、及び、第2リンク42の第3ピン45及び第4ピン46に対する回転動作が行われる。これにより、ドア固定部材16をローラユニット20に徐々に近づける連結機構14の収縮動作が行われる。このように連結機構14の上記伸長動作及び上記収縮動作を行うことにより、上記伸長動作及び上記収縮動作をスムーズなものとすることができる。
【符号の説明】
【0042】
11…車両
12A~12C…ガイドレール
12a…湾曲部
13…スライドドア
14…連結機構
15…開口部
16…ドア固定部材
18…揺動軸
20…ローラユニット
21…支持ローラ
22…ガイドローラ
25…荷重受け面
31…ガイド部材
32…スライド部材
33…変位機構
34…ピン
35…孔
36…受け入れ部
37…長孔
38…スリット
41…第1リンク
42…第2リンク
43…46第1~第4ピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7